本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図1、図5、図6に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。また、図1に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
また、以下の説明においては、特に断りがない限り、図2、図3、図7、図8、図11~図13に示す矢印Nの方向を「北」、矢印Sの方向を「南」、矢印Eの方向を「東」、矢印Wの方向を「西」とする。
〔コンバインの全体構成〕
図1に示すように、普通型のコンバイン1(本発明に係る「農作業機」に相当)は、機体10、刈取部H(本発明に係る「収穫装置」及び「作業装置」に相当)、脱穀装置13、穀粒タンク14(本発明に係る「収穫物タンク」に相当)、搬送部16、穀粒排出装置18、衛星測位モジュール80を備えている。また、機体10は、クローラ式の走行装置11、運転部12、エンジンEGを有している。
走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。また、走行装置11は、エンジンEGからの動力によって駆動する。そして、コンバイン1は、走行装置11によって自走可能である。
また、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられている。運転部12には、コンバイン1の作業を監視するオペレータが搭乗可能である。尚、オペレータは、コンバイン1の機外からコンバイン1の作業を監視していても良い。
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の上側に設けられている。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
刈取部Hは、コンバイン1における前部に備えられている。そして、搬送部16は、刈取部Hの後側に設けられている。また、刈取部Hは、刈刃15及びリール17を含んでいる。
刈刃15は、圃場の植立穀稈を刈り取る。また、リール17は、機体左右方向に沿うリール軸芯17b周りに回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。刈刃15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送部16へ送られる。
この構成により、刈取部Hは、圃場の穀物(本発明に係る「農作物」、「収穫物」に相当)を収穫する。そして、コンバイン1は、刈刃15によって圃場の植立穀稈を刈り取りながら走行装置11によって走行する刈取走行が可能である。
即ち、コンバイン1は、圃場の穀物を収穫する刈取部Hを備えている。
刈取部Hにより収穫された刈取穀稈は、搬送部16によって機体後方へ搬送される。これにより、刈取穀稈は脱穀装置13へ搬送される。
脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒(本発明に係る「収穫物」に相当)は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
即ち、コンバイン1は、刈取部Hによって収穫された穀物を貯留する穀粒タンク14を備えている。
また、図1に示すように、運転部12には、通信端末4が配置されている。通信端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、通信端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、通信端末4は、コンバイン1の機外に位置していても良い。
ここで、コンバイン1は、図2に示すように圃場における外周側の領域で穀物を収穫しながら圃場の境界OBに沿って周回走行を行った後、図3に示すように圃場における内側の領域で刈取走行を行うことにより、圃場の穀物を収穫するように構成されている。
本実施形態においては、図2に示す周回走行は、手動操舵走行及び自動操舵走行により行われる。また、図3に示す内側の領域での刈取走行は、自動走行により行われる。即ち、コンバイン1は、自動走行が可能である。
尚、本発明はこれに限定されず、図2に示す周回走行は自動走行により行われても良い。また、本明細書において、自動操舵走行とは、αターンやUターン等の大きな方向転換のない前進走行を自動で行うことを意味する。また、本明細書において、自動走行とは、αターンやUターン等の大きな方向転換を含む走行を自動で行うことを意味する。
また、図1に示すように、運転部12には、主変速レバー19(本発明に係る「主変速操作具」に相当)が設けられている。コンバイン1が手動操舵走行または自動操舵走行を行っているとき、オペレータが主変速レバー19を操作すると、コンバイン1の車速が変化する。即ち、コンバイン1が手動操舵走行または自動操舵走行を行っているとき、オペレータは、主変速レバー19を操作することにより、コンバイン1の車速を変更することができる。
また、図1に示すように、運転部12には、操舵操作具41が設けられている。コンバイン1が手動操舵走行を行っているとき、オペレータが操舵操作具41を操作すると、走行装置11における左右のクローラの間に速度差が生じるように構成されている。これにより、コンバイン1が旋回する。即ち、コンバイン1が手動操舵走行を行っているとき、オペレータは、操舵操作具41を操作することにより、コンバイン1の操舵を行うことができる。
即ち、コンバイン1は、操舵のための操舵操作具41を備えている。
尚、コンバイン1は、操舵操作具41への操作力が走行装置11へ伝達されないように構成されている。即ち、操舵操作具41は、走行装置11に機械的に連動するものではない。オペレータが操舵操作具41を操作すると、操舵操作具41の動きが電気的に検知され、この検知に基づいて、走行装置11における左右のクローラが制御される。これにより、左右のクローラの間に速度差が生じると、コンバイン1は旋回する。また、左右のクローラの間に速度差がない状態では、コンバイン1は直進する。
〔動力伝達に関する構成〕
図4に示すように、コンバイン1は、脱穀クラッチC1及び刈取クラッチC2を備えている。エンジンEGから出力された動力は、走行装置11及び脱穀クラッチC1に分配される。
走行装置11は、主変速装置11a及び副変速装置11bを有している。本実施形態において、主変速装置11aは、静油圧式無段変速装置により構成されている。また、副変速装置11bは、ギヤ切替式の変速装置により構成されており、高速状態と低速状態との間で切替可能に構成されている。尚、高速状態は移動用(非作業用)の変速状態であり、低速状態は作業用の変速状態である。
エンジンEGから走行装置11に入力された動力は、主変速装置11a及び副変速装置11bにより変速される。そして、変速された動力によって、走行装置11のクローラが駆動することにより、コンバイン1が走行する。
図5に示すように、主変速レバー19は、前後方向に揺動操作可能に構成されている。主変速レバー19の可動域は、前進用操作位置FP、中立位置NP、後進用操作位置RPの3つに区画されている。そして、主変速レバー19が操作されることにより、主変速装置11aの変速状態が変化する。
主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置しているとき、主変速装置11aは、前進用の変速状態である。このとき、主変速レバー19を前側に倒すほど、主変速装置11aから出力される動力は高速となる。
主変速レバー19が中立位置NPに位置しているとき、主変速装置11aは、中立状態である。このとき、主変速装置11aは、動力を出力しない。
主変速レバー19が後進用操作位置RPに位置しているとき、主変速装置11aは、後進用の変速状態である。このとき、主変速レバー19を後側に倒すほど、主変速装置11aから出力される動力は高速となる。
また、図5に示すように、主変速レバー19に、副変速スイッチ42が設けられている。副変速スイッチ42が押し操作されるたびに、副変速装置11bの変速状態は、高速状態と低速状態との間で切り替わる。
図4に示す脱穀クラッチC1は、動力を伝達する入状態と、動力を伝達しない切状態と、の間で状態変更可能に構成されている。
脱穀クラッチC1が入状態であるとき、エンジンEGからの動力は、脱穀装置13及び刈取クラッチC2へ伝達される。これにより、脱穀装置13は駆動する。
また、脱穀クラッチC1が切状態であるとき、エンジンEGからの動力は、脱穀装置13及び刈取クラッチC2の何れにも伝達されない。このとき、脱穀装置13は駆動しない。
また、刈取クラッチC2は、動力を伝達する入状態と、動力を伝達しない切状態と、の間で状態変更可能に構成されている。
脱穀クラッチC1と刈取クラッチC2との両方が入状態であるとき、エンジンEGからの動力は、刈取部Hへ伝達される。これにより、刈取部Hは駆動する。
また、刈取クラッチC2が切状態であるとき、エンジンEGからの動力は、刈取部Hへ伝達されない。このとき、刈取部Hは駆動しない。
また、脱穀クラッチC1が切状態であるときも、エンジンEGからの動力は、刈取部Hへ伝達されない。このとき、刈取部Hは駆動しない。
図4及び図6に示すように、コンバイン1は、刈取脱穀レバー43を備えている。刈取脱穀レバー43は、運転部12に設けられている。図6に示すように、刈取脱穀レバー43は、前後方向に揺動操作可能に構成されている。そして、刈取脱穀レバー43は、第1操作位置M1、第2操作位置M2、第3操作位置M3の間で、操作位置を択一的に切り替えることができるように構成されている。刈取脱穀レバー43が操作されることにより、脱穀クラッチC1及び刈取クラッチC2の入切状態が変化する。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第1操作位置M1であるとき、脱穀クラッチC1及び刈取クラッチC2は、何れも入状態である。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第2操作位置M2であるとき、脱穀クラッチC1は入状態であり、刈取クラッチC2は切状態である。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第3操作位置M3であるとき、脱穀クラッチC1及び刈取クラッチC2は、何れも切状態である。
〔制御部に関する構成〕
図4に示すように、コンバイン1は、制御部20を備えている。制御部20は、自車位置算出部21、領域算出部22、第1経路算出部23、走行制御部24を有している。
ここで、本実施形態においては、RTK-GPS(Real Time Kinematic GPS)が採用されている。図1に示す衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GSからのGPS信号と、既知位置に設置された基準局(図示せず)から送信された測位データと、を受信する。そして、図4に示すように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づく測位データと、基準局から受け取った測位データと、を自車位置算出部21へ送る。
自車位置算出部21は、衛星測位モジュール80から受け取った測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、領域算出部22及び走行制御部24へ送られる。
一般に、RTK-GPS測位においては、GPS衛星とGPS受信機との距離をN×λ+φ×λ+c×dT+c×dtとして、整数値バイアスと呼ばれるNを求める。これにより、高精度な測位が可能となる。尚、λは搬送波の波長である。また、φはGPS衛星とGPS受信機との間の波数の小数部である。また、cは電波伝搬速度、dTはGPS衛星の時計誤差、dtはGPS受信機の時計誤差である。
そして、このNが整数解として定まった状態は、FIXと呼ばれる。また、このときの測位結果は、FIX解と呼ばれる。
また、Nが整数解として定まっていない状態は、FLOATと呼ばれる。このときの測位結果は、FLOAT解と呼ばれる。FIX解はセンチメータ精度であるのに対して、FLOAT解は数十センチから数メータの精度となる。
そして、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位において、FIX解が得られている状態は、本発明に係る「高精度状態」に相当する。
尚、本発明はこれに限定されない。衛星測位モジュール80は、GPSを利用するものでなくても良い。例えば、衛星測位モジュール80は、GPS以外のGNSS(GLONASS、Galileo、みちびき、BeiDou等)を利用するものであっても良い。
領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図3に示すように、外周領域SA及び作業対象領域CAを算出する。
より具体的には、領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場の外周側における周回走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、領域算出部22は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。
例えば、図2においては、圃場の外周側における周回走行のためのコンバイン1の走行経路が矢印で示されている。図2に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。そして、この走行経路に沿った刈取走行が完了すると、圃場は、図3に示す状態となる。
図3に示すように、領域算出部22は、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。
そして、図4に示すように、領域算出部22による算出結果は、第1経路算出部23へ送られる。
第1経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示すように、作業対象領域CAにおける刈取走行のための走行経路である刈取走行経路LIを算出する。尚、図3に示すように、本実施形態においては、刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線である。また、複数のメッシュ線は直線でなくても良く、湾曲していても良い。
図4に示すように、第1経路算出部23により算出された刈取走行経路LIは、走行制御部24へ送られる。
また、図4に示すように、コンバイン1は、慣性計測装置81を備えている。また、制御部20は、自車方位算出部25を有している。
慣性計測装置81は、機体10のヨー角度の角速度、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を経時的に検知する。慣性計測装置81による検知結果は、自車方位算出部25へ送られる。
自車方位算出部25は、自車位置算出部21から、コンバイン1の位置座標を受け取る。そして、自車方位算出部25は、慣性計測装置81による検知結果と、コンバイン1の位置座標と、に基づいて、コンバイン1の姿勢方位を算出する。
より具体的には、まず、コンバイン1の走行中に、現在のコンバイン1の位置座標、及び、直前に走行していた地点におけるコンバイン1の位置座標に基づいて、自車方位算出部25は、初期姿勢方位を算出する。次に、初期姿勢方位が算出されてからコンバイン1が一定時間走行すると、自車方位算出部25は、その一定時間の走行の間に慣性計測装置81により検知された角速度を積分処理することにより、姿勢方位の変化量を算出する。
そして、このように算出された姿勢方位の変化量を初期姿勢方位に足し合わせることによって、自車方位算出部25は、姿勢方位の算出結果を更新する。その後、一定時間毎に、姿勢方位の変化量が同様に算出されると共に、順次、姿勢方位の算出結果が更新されていく。
ところで、慣性計測装置81により検知される角速度には、計測誤差(ドリフト)が含まれている。この計測誤差は時間経過と共に増大していくため、姿勢方位の変化量を算出する度に、算出された姿勢方位の変化量に含まれる誤差が大きくなっていく。
そこで、自車方位算出部25は、慣性計測装置81による検知結果に基づいて算出された姿勢方位を、コンバイン1の位置座標の変化に基づき算出される方位情報によって補正するように構成されている。尚、コンバイン1の位置座標の変化に基づき算出される方位情報は、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られており、且つ、コンバイン1が数メートル以上に亘って直進した場合に、高精度となる。そのため、自車方位算出部25は、コンバイン1の位置座標の変化に基づき算出される方位情報による補正を、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られており、且つ、コンバイン1が数メートル以上に亘って直進した場合にのみ行う。
尚、本明細書において、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られており、且つ、コンバイン1が数メートル以上に亘って直進した状態、及び、コンバイン1の位置座標の変化に基づいて高精度な方位情報が算出される状態を、高精度方位算出状態と呼称する。
以上で説明した構成により、自車方位算出部25は、コンバイン1の姿勢方位を高精度に算出することができる。自車方位算出部25により算出されたコンバイン1の姿勢方位は、走行制御部24へ送られる。
走行制御部24は、走行装置11を制御可能に構成されている。そして、走行制御部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、自車方位算出部25から受け取ったコンバイン1の姿勢方位と、第1経路算出部23から受け取った刈取走行経路LIと、に基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部24は、図3に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、機体10の走行を制御する。
即ち、コンバイン1は、走行装置11を有する機体10の走行を制御する走行制御部24を備えている。
ここで、走行制御部24は、オペレータが自動走行開始ボタン(図示せず)を押すことに応じて、刈取走行経路LIに沿った自動走行を開始するように構成されている。
作業対象領域CAにおける自動走行が開始されると、図3に示すように、コンバイン1は、刈取走行経路LIに沿った走行と、方向転換と、を繰り返すことにより、作業対象領域CAの全体を網羅するように刈取走行を行う。
尚、本実施形態においては、図3に示すように、圃場外に運搬車CVが駐車している。そして、外周領域SAにおいて、運搬車CVの近傍位置には、停車位置PPが設定されている。
運搬車CVは、コンバイン1が穀粒排出装置18から排出した穀粒を収集し、運搬することができる。穀粒排出の際、コンバイン1は停車位置PPに停車し、穀粒排出装置18によって穀粒を運搬車CVへ排出する。
図4に示すように、通信端末4は、排出ボタン4a(本発明に係る「排出操作具」に相当)を有している。コンバイン1が自動走行を行っているとき、オペレータが排出ボタン4aを操作すると、所定の信号が走行制御部24へ送られる。
走行制御部24は、この信号を受け取ると、排出作業を実行する。排出作業とは、穀粒タンク14から穀粒を排出する作業である。排出作業において、走行制御部24は、コンバイン1が作業対象領域CAにおける刈取走行を中断して停車位置PPへ向かうように、コンバイン1の走行を制御する。
即ち、コンバイン1は、操作されることにより穀粒タンク14から穀粒を排出する作業である排出作業が実行される排出ボタン4aを備えている。
尚、コンバイン1が停車位置PPへ向かって走行することは、本発明における「排出作業」の具体例である。
コンバイン1が停車位置PPで停車した状態で、オペレータが排出用リモコンを操作することにより、穀粒タンク14から、穀粒排出装置18によって穀粒が運搬車CVへ排出される。
尚、本発明はこれに限定されず、コンバイン1が停車位置PPで停車した状態で、運搬車CVへの穀粒の排出が自動的に行われても良い。
尚、制御部20、及び、制御部20に含まれる自車位置算出部21等の各要素は、マイクロコンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。
〔刈取部の昇降操作に関する構成〕
図1に示すように、コンバイン1は、刈取シリンダ15Aを備えている。また、図4に示すように、コンバイン1は、刈取昇降操作具44を備えている。
刈取昇降操作具44は、運転部12に設けられている。制御部20は、オペレータによる刈取昇降操作具44の操作に応じて、刈取シリンダ15Aの伸縮を制御するように構成されている。
刈取シリンダ15Aが伸びると、搬送部16及び刈取部Hは、一体的に、刈取部Hが上昇する方向に揺動する。これにより、刈取部Hは、機体10に対して上昇する。
また、刈取シリンダ15Aが縮むと、搬送部16及び刈取部Hは、一体的に、刈取部Hが下降する方向に揺動する。これにより、刈取部Hは、機体10に対して下降する。
この構成により、オペレータは、刈取昇降操作具44を操作することによって、刈取部Hの昇降操作を行うことができる。
〔自動操舵走行に関する構成〕
図4に示すように、制御部20は、自動操舵制御部30を有している。コンバイン1が自動走行を行っていないとき、自動操舵制御部30は、走行制御部24の制御モードを、第1モードと第2モードとの間で切り替えることができるように構成されている。
走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、コンバイン1が自動操舵走行を行うように、走行装置11を制御する。
また、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、走行制御部24に、操舵操作具41の操作に応じた信号が入力される。そして、走行制御部24は、この信号に応じて、機体10の走行を制御する。
即ち、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、走行制御部24は、操舵操作具41の操作に応じて機体10の走行を制御する。
この構成により、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10は、操舵操作具41の操作に応じて走行する。これにより、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、手動操舵走行を行う。
以下では、自動操舵走行に関する構成について詳述する。
図4に示すように、通信端末4は、タッチパネル式のディスプレイ4bを有している。走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、ディスプレイ4bには、第1登録ボタン51及び第2登録ボタン52が表示されている。
また、自動操舵制御部30は、方位決定部31、第2経路算出部32、モード切替部33を備えている。
第1登録ボタン51がタッチ操作された場合、所定の信号が自動操舵制御部30へ送られる。自動操舵制御部30における方位決定部31は、この信号と、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標と、に基づいて、第1登録ボタン51がタッチ操作された時点でのコンバイン1の位置座標を算出する。このとき算出された位置座標は、第1登録地点Q1として、方位決定部31に記憶される。
また、第2登録ボタン52がタッチ操作された場合、所定の信号が自動操舵制御部30へ送られる。自動操舵制御部30における方位決定部31は、この信号と、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標と、に基づいて、第2登録ボタン52がタッチ操作された時点でのコンバイン1の位置座標を算出する。このとき算出された位置座標は、第2登録地点Q2として、方位決定部31に記憶される。
そして、方位決定部31は、第1登録地点Q1と第2登録地点Q2とに基づいて、自動操舵のための基準方位TAを決定する。より具体的には、方位決定部31は、第1登録地点Q1から第2登録地点Q2へ向かう直線の方向を算出し、この方向を基準方位TAとして決定する。
基準方位TAの形式は、特に限定されないが、例えば、東西南北を基準とした形式(例えば、「北」や「北27度東」等)であっても良いし、座標系における単位ベクトルであっても良い。
また、基準方位TAは、一方から他方への向きを有するものでなくても良い。例えば、基準方位TAは、座標系における直線の傾き(例えば、第1登録地点Q1と第2登録地点Q2とを通る直線の傾き)を示すものであっても良いし、座標系における直線そのもの(例えば、第1登録地点Q1と第2登録地点Q2とを通る直線そのもの)を示すものであっても良いし、東西南北を基準として方向を示すもの(例えば、「南北方向」や「東西方向」等)であっても良い。
方位決定部31が基準方位TAを決定した後、第2経路算出部32は、刈取部Hの刈幅中心を通ると共に基準方位TAに沿う方向の走行ラインを常時算出する。即ち、この走行ラインは、基準方位TAに基づいて算出される。そして、オペレータが自動操舵開始終了ボタン(図示せず)を操作すると、モード切替部33は、走行制御部24の制御モードを第2モードから第1モードに切り替える。
走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わると、第2経路算出部32は、制御モードが第2モードから第1モードに切り替わった時点で算出されていた走行ラインを固定する。固定された走行ラインは、自動操舵目標ラインGL(本発明に係る「走行経路」に相当)となり、自動操舵制御部30から走行制御部24へ送られる。即ち、第2経路算出部32は、制御モードが第2モードから第1モードに切り替わったタイミングで、そのときに算出していた走行ラインを自動操舵目標ラインGLとして決定する。
走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、自車方位算出部25から受け取ったコンバイン1の姿勢方位と、自動操舵制御部30から受け取った自動操舵目標ラインGLと、に基づいて、コンバイン1の走行を制御する。より具体的には、走行制御部24は、自動操舵目標ラインGLに沿った自動操舵走行によって刈取走行が行われるように、機体10の走行を制御する。
尚、このように、基準方位TAは、自動操舵のためのものである。即ち、コンバイン1は、自動操舵のための基準方位TAを決定する方位決定部31を備えている。
また、本発明は、以上で説明した構成に限定されない。走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、自動操舵目標ラインGLに代えて、基準方位TAに基づいて機体10の走行を制御しても良い。この場合、走行制御部24は、コンバイン1の姿勢方位が基準方位TAに合うように、または、基準方位TAに対して平行となるように、機体方位を制御しても良い。
即ち、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、基準方位TA、または、基準方位TAに基づいて算出された自動操舵目標ラインGLに基づいて機体10の走行を制御する。
ここで、自動操舵目標ラインGLに沿った自動操舵走行について、例を挙げて説明する。図7及び図8に示す例では、コンバイン1は、図2に示した圃場において、圃場の外周側における周回走行を行っている。
図7において、走行制御部24の制御モードは第2モードである。また、コンバイン1は、圃場の北端において、西へ向かって走行している。コンバイン1は、第1地点P1を通過した後、第2地点P2を通過する。
そして、この例では、コンバイン1が第1地点P1に位置しているとき、オペレータが、第1登録ボタン51をタッチ操作する。また、コンバイン1が第2地点P2に位置しているとき、オペレータが、第2登録ボタン52をタッチ操作する。
これにより、第1地点P1の位置座標が、第1登録地点Q1として方位決定部31に記憶される。また、第2地点P2の位置座標が、第2登録地点Q2として方位決定部31に記憶される。そして、方位決定部31は、第1登録地点Q1から第2登録地点Q2へ向かう直線の方向を算出し、この方向を基準方位TAとして決定する。この例において、基準方位TAは、西の方角に一致する。
その後、第2経路算出部32は、刈取部Hの刈幅中心を通ると共に基準方位TAに沿う方向の走行ラインを常時算出する。この例において、第2経路算出部32は、東西方向に延びる走行ラインを算出することとなる。
次に、コンバイン1が圃場の南端において東へ向かって走行する際、オペレータが、自動操舵開始終了ボタンを操作するものとする。これにより、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わると共に、図8に示すように、走行ラインが固定され、自動操舵目標ラインGLとなる。この自動操舵目標ラインGLは、圃場の南端部において、東西方向に延びている。
そして、図8に示すように、コンバイン1は、自動操舵走行により、圃場の南端において東へ向かって走行する。
尚、本実施形態において、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、オペレータが自動操舵開始終了ボタンを操作すると、モード切替部33は、走行制御部24の制御モードを第1モードから第2モードに切り替える。
即ち、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替えるモード切替部33を備えている。
ところで、図4に示すように、コンバイン1は、報知部53を備えている。走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードへ切り替わったとき、自動操舵制御部30は、所定の信号を報知部53へ送る。この信号に応じて、報知部53は、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードへ切り替わったことをオペレータへ知らせるための報知を行う。
即ち、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わった場合に報知を行う報知部53を備える。
また、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードへ切り替わったとき、自動操舵制御部30は、所定の信号を報知部53へ送る。この信号に応じて、報知部53は、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードへ切り替わったことをオペレータへ知らせるための報知を行う。
本実施形態において、報知部53は、音声を出力するスピーカーである。ただし、本発明はこれに限定されず、報知部53は、ランプや表示装置等であっても良い。
以上で説明した通り、モード切替部33は、オペレータが自動操舵開始終了ボタンを操作することに応じて、走行制御部24の制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替える。
ここで、モード切替部33は、自動操舵開始終了ボタンが操作されなくとも、状況に応じて、走行制御部24の制御モードを第1モードと第2モードとの間で自動的に切り替えるように構成されている。以下では、制御モードの自動的な切り替えについて詳述する。
〔第2モードから第1モードへの切り替えについて〕
図4に示すように、自動操舵制御部30は、直進判定部34を有している。直進判定部34は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10が所定距離D1に亘って直進したか否かを判定する。
詳述すると、操舵操作具41の操作状態を示す信号が、操舵操作具41から自動操舵制御部30へ送られる。直進判定部34は、この信号に基づいて、操舵操作具41が操作されているか否かを経時的に判定する。
そして、直進判定部34は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標に基づいて、操舵操作具41が操作されていない間のコンバイン1の移動距離を算出する。算出された移動距離が所定距離D1に達した場合、直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定する。また、算出された移動距離が所定距離D1に達しない場合、直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進していないと判定する。
尚、本発明はこれに限定されない。直進判定部34は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10が所定時間に亘って直進したか否かを判定するように構成されていても良い。
即ち、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10が所定距離D1または所定時間に亘って直進したか否かを判定する直進判定部34を備えている。
また、モード切替部33は、所定の開始条件が満たされており、且つ、直進判定部34により機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定された場合、走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えるように構成されている。また、モード切替部33は、開始条件が満たされていない場合には走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えないように構成されている。
尚、本発明はこれに限定されない。モード切替部33は、所定の開始条件が満たされており、且つ、直進判定部34により機体10が所定時間に亘って直進したと判定された場合、走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えるように構成されていても良い。
即ち、モード切替部33は、直進判定部34により機体10が所定距離D1または所定時間に亘って直進したと判定された場合、走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替える。より具体的には、モード切替部33は、所定の開始条件が満たされており、且つ、直進判定部34により機体10が所定距離D1または所定時間に亘って直進したと判定された場合、走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えるように構成されていると共に、開始条件が満たされていない場合には走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えないように構成されている。
尚、所定距離D1は、特に限定されないが、例えば1メートルであっても良い。また、所定時間は、特に限定されないが、例えば1秒であっても良い。
そして、図9に示す第1判定ルーチンによって、この開始条件が満たされているか否かが判定される。この第1判定ルーチンは、自動操舵制御部30に格納されている。自動操舵制御部30は、この第1判定ルーチンを、走行制御部24の制御モードが第2モードであるときに、一定時間毎に繰り返し実行する。
以下では、図4及び図9を参照し、第1判定ルーチンについて説明する。
第1判定ルーチンが開始されると、まず、ステップS01の処理が実行される。ステップS01では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、主変速レバー19の操作位置を示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置しているか否かが判定される。
主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置していない場合、ステップS01でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置している場合、ステップS01でYesと判定され、処理はステップS02へ移行する。
ここで、図4に示すように、自動操舵制御部30は、副変速スイッチ42の操作信号を受け取るように構成されている。そして、自動操舵制御部30は、この操作信号に基づいて、副変速装置11bの変速状態を判定可能に構成されている。
ステップS02では、副変速装置11bが作業用の変速状態であるか否かが判定される。より具体的には、副変速装置11bが低速状態であるか否かが判定される。
副変速装置11bが低速状態でない場合、ステップS02でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、副変速装置11bが低速状態である場合、ステップS02でYesと判定され、処理はステップS03へ移行する。
ステップS03では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、自車位置算出部21から、上述のFIX解が得られているか否かを示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、機体位置の測位状態が所定の高精度状態であるか否かが判定される。より具体的には、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られているか否かが判定される。
衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られていない場合、ステップS03でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られている場合、ステップS03でYesと判定され、処理はステップS04へ移行する。
ステップS04では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、刈取脱穀レバー43の操作位置を示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、刈取クラッチC2が入状態であるか否かが判定される。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第2操作位置M2または第3操作位置M3である場合、ステップS04でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、刈取脱穀レバー43の操作位置が第1操作位置M1である場合、ステップS04でYesと判定され、処理はステップS05へ移行する。
ここで、図4に示すように、コンバイン1は、昇降検知部54を備えている。昇降検知部54は、刈取シリンダ15Aの伸縮状態を検知する。昇降検知部54による検知結果は、自動操舵制御部30へ送られる。そして、自動操舵制御部30は、昇降検知部54による検知結果に基づいて、刈取部Hが作業位置に位置しているか否かを判定可能に構成されている。
尚、本実施形態においては、刈取部Hの最上昇位置からの下降量が所定値以上であることが、刈取部Hが作業位置に位置していることに相当する。
ステップS05では、刈取部Hが作業位置に位置しているか否かが判定される。刈取部Hが作業位置に位置していない場合、ステップS05でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、刈取部Hが作業位置に位置している場合、ステップS05でYesと判定され、処理はステップS06へ移行する。
ステップS06では、機体10が所定距離D1に亘って直進したか否かが判定される。この判定は、上述のように、直進判定部34により行われる。
機体10が所定距離D1に亘って直進していない場合、ステップS06でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、機体10が所定距離D1に亘って直進した場合、ステップS06でYesと判定され、処理はステップS07へ移行する。
ステップS07では、モード切替部33によって、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替えられる。そして、処理はステップS08へ移行する。
ステップS08では、報知部53は、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードへ切り替わったことをオペレータへ知らせるための報知を行う。その後、処理は一旦終了する。
以上の説明から理解されるように、本実施形態において、上述の開始条件には、ステップS01からステップS05の全てにおいてYesと判定されることが含まれている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ステップS01からステップS05のうちの一部が設けられていなくても良い。
即ち、開始条件には、主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置していること、副変速装置11bが作業用の変速状態であること、機体位置の測位状態が所定の高精度状態であること、刈取部Hへの動力伝達のためのクラッチが入状態となっていること、刈取部Hが作業位置に位置していること、のうちの少なくとも一つが含まれている。
〔第1モードから第2モードへの切り替えについて〕
モード切替部33は、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、所定の解除条件が満たされた場合に、走行制御部24の制御モードを第2モードに切り替えるように構成されている。
そして、図10に示す第2判定ルーチンによって、この解除条件が満たされているか否かが判定される。この第2判定ルーチンは、自動操舵制御部30に格納されている。自動操舵制御部30は、この第2判定ルーチンを、走行制御部24の制御モードが第1モードであるときに、一定時間毎に繰り返し実行する。
以下では、図4及び図10を参照し、第2判定ルーチンについて説明する。
第2判定ルーチンが開始されると、まず、ステップS11の処理が実行される。ステップS11では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、主変速レバー19の操作位置を示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、主変速レバー19が前進用操作位置FP以外の操作位置に操作されたか否かが判定される。より具体的には、主変速レバー19が中立位置NPまたは後進用操作位置RPに位置しているか否かが判定される。
主変速レバー19が中立位置NPまたは後進用操作位置RPに位置している場合、ステップS11でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、主変速レバー19が中立位置NPまたは後進用操作位置RPに位置していない場合、ステップS11でNoと判定され、処理はステップS12へ移行する。
ステップS12では、副変速装置11bが作業用の変速状態でなくなったか否かが判定される。より具体的には、副変速装置11bが高速状態であるか否かが判定される。
副変速装置11bが高速状態である場合、ステップS12でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、副変速装置11bが高速状態でない場合、ステップS12でNoと判定され、処理はステップS13へ移行する。
ステップS13では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、自車位置算出部21から、上述のFIX解が得られているか否かを示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、機体位置の測位状態が所定の高精度状態でなくなったか否かが判定される。より具体的には、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られない状態であるか否かが判定される。言い換えれば、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位の状態がFLOATであるか否かが判定される。
衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られていない場合、ステップS13でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られている場合、ステップS13でNoと判定され、処理はステップS14へ移行する。
ステップS14では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、刈取脱穀レバー43の操作位置を示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、刈取クラッチC2が切状態になったか否かが判定される。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第2操作位置M2または第3操作位置M3である場合、ステップS14でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、刈取脱穀レバー43の操作位置が第1操作位置M1である場合、ステップS14でNoと判定され、処理はステップS15へ移行する。
ステップS15では、刈取部Hが非作業位置に移動したか否かが判定される。尚、本実施形態においては、刈取部Hの最上昇位置からの下降量が所定値以下であることが、刈取部Hが非作業位置に位置していることに相当する。刈取部Hが非作業位置に位置している場合、ステップS15でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、刈取部Hが非作業位置に位置していない場合、ステップS15でNoと判定され、処理はステップS16へ移行する。
ここで、図4に示すように、自動操舵制御部30は、刈取昇降操作具44の操作信号を受け取るように構成されている。そして、自動操舵制御部30は、この操作信号に基づいて、刈取部Hを非作業位置に移動させるための操作が行われたか否かを判定可能に構成されている。
ステップS16では、刈取部Hを非作業位置に移動させるための操作が行われたか否かが判定される。より具体的には、刈取部Hが上昇操作されたか否かが判定される。
刈取部Hが上昇操作された場合、ステップS16でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、刈取部Hが上昇操作されていない場合、ステップS16でNoと判定され、処理はステップS17へ移行する。
ステップS17では、操舵操作具41から自動操舵制御部30へ送られる操舵操作具41の操作状態を示す信号に基づいて、操舵操作具41が操作されたか否かが判定される。操舵操作具41が操作された場合、ステップS17でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、操舵操作具41が操作されていない場合、ステップS17でNoと判定され、処理はステップS18へ移行する。
ここで、図4に示すように、自動操舵制御部30は、排出ボタン4aの操作信号を通信端末4から受け取るように構成されている。そして、自動操舵制御部30は、この操作信号に基づいて、排出ボタン4aが操作されたか否かを判定可能に構成されている。
ステップS18では、排出ボタン4aが操作されたか否かが判定される。排出ボタン4aが操作された場合、ステップS18でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、排出ボタン4aが操作されていない場合、ステップS18でNoと判定され、処理は一旦終了する。
ステップS19では、モード切替部33によって、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードに切り替えられる。その後、処理は一旦終了する。
尚、ステップS19において、制御モードが切り替わった後、報知部53により、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードへ切り替わったことをオペレータへ知らせるための報知が行われても良い。
以上の説明から理解されるように、本実施形態において、上述の解除条件は、ステップS11からステップS18の何れかにおいてYesと判定されることである。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ステップS11からステップS17のうちの一部が設けられていなくても良い。
この場合、解除条件には、主変速レバー19が前進用操作位置FP以外の操作位置に操作されること、副変速装置11bが作業用の変速状態でなくなること、機体位置の測位状態が所定の高精度状態でなくなること、刈取部Hへの動力伝達のためのクラッチが切状態になること、刈取部Hが非作業位置に移動すること、刈取部Hを非作業位置に移動させるための操作が行われること、操舵操作具41が操作されること、のうちの少なくとも一つが含まれている。また、解除条件には、排出ボタン4aが操作されることが含まれている。
また、本発明はこれに限定されず、ステップS18が設けられている場合、ステップS11からステップS17の全てが設けられていなくても良い。
また、以上で説明したように、モード切替部33は、解除条件に含まれる複数の条件のうち、少なくとも一つが満たされた場合に、走行制御部24の制御モードを第2モードに切り替えるように構成されている。
しかしながら、本発明はこれに限定されない。モード切替部33は、解除条件に含まれる複数の条件のうち、二つ以上の所定個数の条件が満たされた場合に走行制御部24の制御モードを第2モードに切り替えるように構成されていても良い。
ここで、第2判定ルーチンによって走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードに切り替わると共に、第1判定ルーチンによって走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わる場合について、例を挙げて説明する。図11及び図12に示す例では、コンバイン1は、図2に示した圃場において、圃場の外周側における周回走行を行っている。
このとき、コンバイン1は、周回走行の2周目を走行している。既に、周回走行の1周目において、基準方位TAが決定されている。この例において、基準方位TAは、西の方角に一致する。
図11において、走行制御部24の制御モードは第1モードである。また、コンバイン1は、圃場の南端部において、第1ラインGL1に沿って東へ向かって走行している。尚、第1ラインGL1は、自動操舵目標ラインGLである。
そして、このとき、コンバイン1は、刈取部Hの左部が未刈領域を通り、刈取部Hの右部が既刈領域を通る状態で走行している。
そのため、図12に示すように、オペレータは、コンバイン1が第3地点P3を通過するときに、操舵操作具41を、左旋回方向に操作する。これにより、図10に示した第2判定ルーチンのステップS17においてYesと判定され、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードに切り替わる。また、これにより、コンバイン1は北東へ向かって走行する。
この時点で、第2経路算出部32により算出された走行ラインの固定は解除される。そして、この時点から、第2経路算出部32は、刈取部Hの刈幅中心を通ると共に基準方位TAに沿う方向の走行ラインを常時算出する。この例において、第2経路算出部32は、東西方向に延びる走行ラインを算出することとなる。
その後、オペレータは、操舵操作具41を右旋回方向に操作し、コンバイン1の機体方位を東へ戻す。そして、オペレータは、操舵操作具41を操作して、刈取部Hの右端が未刈領域の南端を通るようにコンバイン1の走行位置を微調整した後、コンバイン1が第4地点P4を通過するときに、操舵操作具41を直進状態とする。その後、オペレータは、操舵操作具41を操作しない。これにより、コンバイン1は、第4地点P4から直進する。
この例では、第4地点P4から第5地点P5までの距離が、所定距離D1であるとする。また、コンバイン1が第5地点P5に到達した時点で、図9に示した第1判定ルーチンのステップS01からステップS05でYesと判定される状態であるとする。
この場合、コンバイン1が第5地点P5に到達した時点で、第1判定ルーチンのステップS06においてYesと判定され、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わる。
これにより、図12に示すように、走行ラインが再び固定され、第2ラインGL2となる。第2ラインGL2は、自動操舵目標ラインGLである。第2ラインGL2は、第1ラインGL1よりも北側に位置している。
その後、コンバイン1は、第2ラインGL2に沿って、自動操舵走行により、東へ向かって走行する。
以上で説明した構成であれば、基準方位TAが決定された後、オペレータが、手動操舵によって機体10を所定距離D1または所定時間に亘って直進させることにより、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに自動的に切り替わることとなる。
即ち、以上で説明した構成であれば、制御モードを第2モードから第1モードへ切り替える際、オペレータは、制御モードを切り替えるための専用のボタン等を操作する必要がない。
従って、以上で説明した構成であれば、手動操舵走行から自動操舵走行への切り替えに要する労力を軽減可能なコンバイン1を実現できる。
〔第1別実施形態〕
上記実施形態においては、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、第2経路算出部32は、刈取部Hの刈幅中心を通ると共に基準方位TAに沿う方向の走行ラインを常時算出する。そして、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わる際、走行ラインが固定され、自動操舵目標ラインGLとなる。
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
図13に示すように、第1別実施形態において、第2経路算出部32は、基準方位TAが決定されたときに、基準方位TAに沿う方向に延びる複数の自動操舵目標ラインGLを算出する。
自動操舵目標ラインGL同士の間隔は、刈取部Hの刈幅から所定のオーバーラップ幅を減じた値に設定されている。そして、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わると、自動操舵制御部30は、複数の自動操舵目標ラインGLのうち、コンバイン1の現在の位置座標に最も近い自動操舵目標ラインGLを選択する。そして、走行制御部24は、選択された自動操舵目標ラインGLに沿った自動操舵走行によって刈取走行が行われるように、機体10の走行を制御する。
〔その他の実施形態〕
(1)走行装置11は、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
(2)上記実施形態においては、第1経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線でなくても良い。例えば、第1経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、渦巻き状の走行経路であっても良い。また、刈取走行経路LIは、別の刈取走行経路LIと直交していなくても良い。また、第1経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線であっても良い。
(3)自車位置算出部21、領域算出部22、第1経路算出部23、走行制御部24、自車方位算出部25、自動操舵制御部30、方位決定部31、第2経路算出部32、モード切替部33、直進判定部34のうち、一部または全てがコンバイン1の外部に備えられていても良いのであって、例えば、コンバイン1の外部に設けられた管理施設や管理サーバに備えられていても良い。
(4)コンバイン1は、自動操舵走行が可能である限りにおいて、自動走行ができないように構成されていても良い。
(5)操舵操作具41と刈取昇降操作具44とは同一の操作具であっても良く、例えば、操作レバーであっても良い。
(6)上述の開始条件に、機体方位の算出状態が所定の高精度状態であることが含まれていても良い。より具体的には、開始条件に、高精度方位算出状態であることが含まれていても良い。
(7)上述の開始条件に、「機体方位が基準方位TAに対して所定角度以内であるか、または、機体方位が基準方位TAに180°を加えた方位に対して所定角度以内であること」が含まれていても良い。
(8)直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進したか否かを判定すると共に、機体10が所定時間に亘って直進したか否かを判定するように構成されていても良い。
(9)上記実施形態においては、オペレータが、手動操舵によって機体10を所定距離D1または所定時間に亘って直進させることにより、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに自動的に切り替わる。この機能は、有効と無効との間で切り替え可能に構成されていても良い。また、有効と無効との間の切り替えは、例えば、ディスプレイ4bに表示されるボタンを操作することにより行われても良い。また、有効と無効との間で切り替え可能な構成において、基準方位TAが決定されたとき、この機能が無効に設定される構成であっても良いし、有効に設定される構成であっても良い。
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。