JP7458296B2 - ハロゲンアミノジシラン化合物、シリコン含有薄膜形成用組成物およびシリコン含有薄膜 - Google Patents

ハロゲンアミノジシラン化合物、シリコン含有薄膜形成用組成物およびシリコン含有薄膜 Download PDF

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Description

本発明は、ハロゲンアミノジシラン化合物、シリコン含有薄膜形成用組成物およびシリコン含有薄膜に関する。
シリコン窒化(SiN)膜やシリコン炭窒化膜のようなシリコン含有薄膜は、化学的に不活性な薄い不動態層を構成することができ、半導体デバイスの製作において必須の材料である。例えば、シリコン窒化膜は、薄膜トランジスタを形成する際、ゲート絶縁膜やサイドウォールスペーサー等に用いられる。
一般的なシリコン窒化膜の製造方法として、ジクロロシラン(DCS:Dichlorosilane)とアンモニア(NH)とを用いるホットウォール型低圧化学気相成長法(LPCVD:Low pressure chemical Vapor deposition)により、600~750℃の成膜温度で形成する方法が知られている。一方、Fin-FETなどの3次元トランジスタでは、チャネル材料をシリコンからシリコンゲルマニウム、ゲルマニウムへと変更することが求められており、上記ゲルマニウムの性質上、チャネル形成後のシリコン窒化膜の成膜温度は、500℃未満にすることが不可欠である。しかしながら、従来のシリコン窒化膜形成技術では、500℃未満の成膜温度で良質な膜質のシリコン窒化膜が得られていないのが実状である。
ところで、近年、微細化や高集積化が進み、集積回路の水平寸法、垂直寸法が縮小し続ける中で、Åオーダーの膜厚制御、ならびに良好なカバレッジ特性を有する薄膜形成技術が求められている。
一般的に、シリコン窒化膜の製造は、原料ガスのシリコン材料と反応ガスの窒化材料とを、それぞれ交互にチャンバへ供給して行う。チャンバ内では、基板表面に吸着した原料化合物が、熱エネルギーによって窒化反応ガスと化学反応を生じて薄膜が形成される。このように、原料ガスと反応ガスとを交互に供給して薄膜を形成する方法は、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)と呼ばれている。
ALD法には、反応ガスをプラズマ活性化させた状態で供給する、プラズマ援用方式がある。このプラズマ援用方式では、シリコン含有膜形成する際に成膜温度を低くできるメリットがあるが、下地基板へのダメージの影響が避けられない点、ステップカバレッジ良好でない点、といった大きなデメリットが存在する。そのため、プラズマを用いない成膜プロセスが望まれており、低い温度でも窒化反応が進行する成膜材料および成膜プロセスの開発が行われている。
非特許文献1および特許文献1には、ヘキサクロロジシラン(HCDS、SiCl)とアンモニア(NH)とを用いた、成膜温度400℃以下のシリコン窒化膜形成技術が開示されている。
一方、塩素フリーなシリコン材料として、ビスターシャリーブチルアミノシラン(BTBAS)のようなアミノシラン化合物が知られている。
特開2002-343793号公報
M.Tanaka et al.,J.Electrochem.Soc.147,2284(2000)
しかしながら、非特許文献1および特許文献1に記載の発明では、HCDSとNHを用いた場合、500℃未満の成膜温度では、HCDS由来の塩素が膜中に多く残留し、粗な膜が形成されるという課題がある。さらに、副生成物としてアンモニウム塩、具体的には塩化アンモニウム(NHCl)が生成しやすいことが知られおり、プロセス中の基板を汚染するだけでなく、排気配管の閉塞の要因となる。
また、アミノシラン化合物は、塩化アンモニウムが発生せず、膜中に塩素が残留しない材料として有望であるが、500℃未満の成膜温度ではシリコン窒化膜を形成できないという課題がある。
このように、化学気相成長法を用いたシリコン含有薄膜の形成において、従来の原料では、優れたシリコン含有薄膜を500℃未満の成膜温度で形成することが困難であり、かつ、種々の要求に対して充分に応えることができていないのが実情であった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、化学気相成長法を用いたシリコン含有薄膜の形成に適用可能な、新規な原料化合物を提供することを課題とする。
また、本発明は、新規な原料化合物を含むシリコン含有薄膜形成用組成物、およびシリコン含有薄膜を提供する。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を備える。
] 下式111及び113のいずれかで表されるクロロアミノジシラン化合物。
Figure 0007458296000001

Figure 0007458296000002

ただし、式111及び113中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して選択される、炭素数1~5の直鎖または分枝の飽和アルキル基である。
また、式111中、xおよびyは、1≦x+yを満たし、0~2の中から選択される整数である。
] 前項[]に記載のハロゲンアミノジシラン化合物からなる群から選択される、いずれか1つまたは2以上のハロゲンアミノジシラン化合物を含む、シリコン含有薄膜形成用組成物。
] 前項[]に記載のシリコン含有薄膜形成用組成物を用いて成膜された、シリコン含有薄膜。
] 膜中Cl含有量が0.1atm%以下である、前項[]に記載のシリコン含有薄膜。
] 前記シリコン含有薄膜は、シリコン窒化膜である、前項[]または[]に記載のシリコン含有薄膜。
本発明のハロゲン化アミノジシラン化合物は、化学気相成長法を用いたシリコン含有薄膜の形成に適用可能な、新規な原料化合物である。
また、本発明は、化学気相成長法を用いたシリコン含有薄膜の形成に適用可能なシリコン含有薄膜形成用組成物、および薄膜形成用組成物を用いて成膜したシリコン含有薄膜を提供できる。
本発明のシリコン含有薄膜の成膜に適用可能な成膜装置の構成を模式的に示す系統図である。
本明細書において、式1で表される化合物を化合物1と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本明細書における下記の用語の意味は以下の通りである。
「シリコン含有原料」とは、シリコン原子を2以上有するシリコン含有化合物を主成分として含むものであり、具体的には50%以上、好ましくは90%以上含むものを意味する。また、シリコン含有原料は、適切な範囲内で2種以上のシリコン含有化合物を含んでいてもよい。また、シリコン含有原料は、精製前の粗原料、シリコン含有化合物を合成する際に発生した副生成物、保管中に発生した副生成物を適切な範囲内で不純物として含んでいてもよい。
「窒素含有原料」とは、窒素原子を1以上有する窒素含有化合物を主成分とするものを意味する。また、窒素含有原料は、適切な範囲内で2種以上の窒素含有化合物を含んでいてもよい。また、窒素含有原料は、精製前の素原料、窒素含有化合物を合成する際に発生した副生成物、保管中に発生した副生成物を適切な範囲内で不純物として含んでいてもよい。
「シリコン含有薄膜」とは、Si原子を主成分として含み、膜中Si含有量が20atm%以上の被膜を意味する。また、シリコン含有薄膜は、適切な範囲内で膜中にN原子、O原子、C原子を含んでいてもよい。
「シリコン窒化膜」とは、Si原子とN原子とを主成分として含む被膜を意味する。また、シリコン窒化膜は、適切な範囲内で膜中にO原子やC原子を含んでいてもよい。具体的には、シリコン窒化膜は、膜中にO原子を0~30atm%含んでいてもよいし、C原子を0~30atm%含んでいてもよい。
「シリコン炭窒化膜」とは、Si原子とN原子とC原子とを主成分として含む被膜を意味する。また、シリコン炭窒化膜は、適切な範囲内で膜中にO原子を含んでいてもよい。具体的には、シリコン炭窒化膜は、膜中にO原子を0~30atm%含んでいてもよい。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
<クロロアミノジシラン化合物>
本発明は、下式1で表されるハロゲンアミノジシラン化合物である。
SiA-SiA 式1
ただし、式1中、Aは、F、Cl、Br、およびIのうち、いずれかのハロゲン原子である。
ここで、式1中、AとしてF(フッ素)原子を選択すると、他のハロゲン原子よりも軽い原子であるため、蒸気圧が高い化合物が得られる。
また、式1中、AとしてCl(塩素)原子を選択すると、F原子ほどではないが、Br(臭素)原子やI(ヨウ素)原子よりも蒸気圧が高い化合物が得られる。さらに、シリコン含有薄膜を形成する観点において、電気陰性度がF原子よりも低いため、Si-Cl結合が解離しやすく、膜中にCl原子が残留しにくい傾向がある。
また、式1中、AとしてBr(臭素)原子を選択すると、F原子やCl原子よりも蒸気圧が低い化合物であるが、電気陰性度がCl原子よりも低いため、Si-Br結合が解離しやすく、膜中にBr原子が残留しにくい傾向がある。
また、式1中、AとしてI(ヨウ素)原子を選択すると、Br原子と同様蒸気圧が低い化合物であるが、電気陰性度がBr原子よりも低いため、Si-I結合が解離しやすく、膜中にI原子が残留しにくい傾向がある。
なお、シリコン含有薄膜を形成する観点では、式1中、Aとして、F、Cl、Br、およびIのうち、膜中に残留しにくいBr原子やI原子を選択することが好ましく、蒸気圧が高く膜中に残留しにくいCl原子を選択することがより好ましい。
また、シリコン含有薄膜の形成に用いる観点では、蒸気圧が高く気化供給しやすいF原子が好ましく、蒸気圧が高く膜中に残留しにくいCl原子がより好ましい。なお、蒸気圧が高い材料の方が、低い材料よりも、気化供給などの取扱いが容易になるため、好ましい。一方、Br原子やI原子を選択する場合、副生成物としてHI、HBrが発生し、その原子の重さから、パージ除去が難しいため、薄膜形成が困難な場合がある。
特に、シリコン含有薄膜の形成に用いる際、式1中、AとしてCl原子を選択した場合、500℃未満の成膜温度で良質な膜質のシリコン含有薄膜が得られる。
また、式1中、XおよびYは、NHR1、又はNR2R3のアルキルアミノ基である。
また、式1中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して選択される、炭素数1~5の直鎖または分枝の飽和アルキル基である。なお、炭素数5を超えた直鎖又は分枝の飽和アルキル基、環状飽和アルキルや環状不飽和アルキルの化合物は、固体であることが多く、液体であったとしても蒸気圧が低く、気化供給などのハンドリングが難しいため、薄膜形成用組成物に適さない。
[直鎖状アルキル基]
炭素数1~5の、直鎖の飽和アルキル基は、以下の通りである。
・炭素数1:「-CH
・炭素数2:「-CHCH」(以下、「-C」と記載することもある。)
・炭素数3:「-(CHCH」(以下、「-C」と記載することもある。)
・炭素数4:「-(CHCH」(以下、「-C」と記載することもある。)
・炭素数5:「-(CHCH」(以下、「-C11」と記載することもある。)
[分枝状アルキル基]
炭素数3~5の、分枝の飽和アルキル基は、以下の通りである。
・炭素数3:「-CH(CH
・炭素数4:「-CHCH(CH」、「-CH(CH)(C)」、「-C(CH
・炭素数5:「-(CHCH(CH」、「-CHCH(CH)CHCH」、「-CH(CH)(CHCH」、「-CH(CH)CH(CH」、「-CHC(CH」、「-C(CH(C)」、「-CH(C
ここで、式1中、R1として直鎖の飽和アルキル基を選択すると、分子内電荷に分極が生まれ、基板表面への物理吸着および化学吸着反応が起こりやすい効果が得られる。
また、式1中、R1として分枝の飽和アルキル基を選択すると、直鎖の飽和アルキル基と同様、分子内電荷に分極が生じるため、基板表面への化学吸着反応が起こりやすい効果が得られる。ただし、直鎖の飽和アルキル基よりも、分枝の飽和アルキル基の方が嵩高い基であるため、分解しやすい構造となる。したがって、より低温で化学吸着反応が生じやすくなる点で、分枝の飽和アルキル基の方が好ましい。
ここで、式1中、R2およびR3として直鎖の飽和アルキル基を選択すると、分子内電荷に分極が生まれ、基板表面への物理吸着および化学吸着反応が起こりやすい効果が得られる。
また、式2中、R2およびR3として分枝の飽和アルキル基を選択すると、直鎖の飽和アルキル基と同様、分子内電荷に分極が生じるため、基板表面への化学吸着反応が起こりやすい効果が得られる。ただし、直鎖の飽和アルキル基よりも、分枝の飽和アルキル基の方が嵩高い基であるため、分解しやすい構造となる。したがって、より低温で化学吸着反応が生じやすくなる点で、分枝の飽和アルキル基の方が好ましい。
また、式1中、R1として炭素数が小さい飽和アルキル基を選択すると、炭素数が大きい飽和アルキル基と比べて分子量が小さい分子構造であるため、蒸気圧が高い化合物が得られる。なお、蒸気圧が高い材料の方が、低い材料よりも、気化供給などの取扱いが容易になる点で、好ましい。
一方、式1中、R1として炭素数が大きい飽和アルキル基を選択すると、炭素数が大きい飽和アルキル基であるほど、N原子に結合するH原子とR1の非対称性が高くなるため、分解しやすい構造となり、より低温で化学吸着反応が生じやすくなる点で、好ましい。
また、式1中、R2およびR3として炭素数が小さい飽和アルキル基を選択すると、大きい飽和アルキル基と比べ分子量が小さい分子構造であるため、蒸気圧が高い化合物が得られる。
なお、蒸気圧が高い材料の方が、低い材料よりも、気化供給などの取扱いが容易になる点で、好ましい。
一方、式1中、R2およびR3として炭素数が大きい飽和アルキル基を選択すると、炭素数が大きい飽和アルキル基であるほど、嵩高い基であるため、分解しやすい構造となるため、より低温で化学吸着反応が生じやすい。
また、式1中、R2およびR3として同一の飽和アルキル基を選択すると、対称性が高いため、分子内電荷の偏りが少なく、熱安定性が良好な化合物が得られる。
一方、式1中、R2およびR3として異なる飽和アルキル基を選択すると、非対称性が高くなるため、分解しやすい構造となり、より低温で化学吸着反応が生じやすい。
シリコン含有薄膜を形成する観点では、式1中、R1として、蒸気圧が高い効果が得られる「-(CHCH」や「-CH(CH」の飽和アルキル基を選択することが好ましく、より電荷の偏りが生まれ分解しやすく低温で化学吸着反応が生じやすい「-C(CH」、「-CH(CH)(C)」、「-C(CH(C)、「-CH(C」の飽和アルキル基を選択することがより好ましい。
シリコン含有薄膜を形成する観点では、式1中、R2およびR3として、蒸気圧が高い効果が得られる「-(CHCH」や「-CH(CH」の飽和アルキル基を選択することが好ましく、より電荷の偏りが生まれ分解しやすく低温で化学吸着反応が生じやすい「-C(CH」、「-CH(CH)(C)」、「-C(CH(C)、「-CH(C」の飽和アルキル基を選択することがより好ましい。
また、式1中、a、b、c、d、eおよびfは、以下の5つの式(1)~(5)を満たす整数である。
(1)a+b+c=3
(2)d+e+f=3
(3)1≦a+d≦4
(4)1≦b+e≦5
(5)0≦c+f≦4
ここで、式1中、aおよびdは、本化合物中の「Si-A(ハロゲン原子)」結合の数を示すものである。
化合物1中、「Si-A」結合の数が多い(すなわち、上式(3)に示す「a+d」が3または4である)と、「Si-A」結合が基板表面と衝突する確率が「a+d」が1または2である場合と比べて増加するため、吸着反応が生じやすくなる効果が得られる。
一方、化合物1中、「Si-A」結合の数が少ない(すなわち、上式(3)に示す「a+d」が1または2である)と、膜中にA(ハロゲン原子)が残留する割合が減少するため、膜質の良いシリコン含有薄膜が形成するという効果が得られる。そのため、「Si-A」結合の数が少ないほうが、より好ましい。
また、式1中、bおよびeは、本化合物中の「Si-N」結合の数を示すものである。
化合物1中、「Si-N」結合の数が多い(すなわち、上式(4)に示す「b+e」が4または5である)と、化合物の熱安定性が向上する効果が得られる。
一方、化合物1中、「Si-N」結合の数が少ない(すなわち、上式(4)に示す「b+e」が1または2である)と、「Si-N」結合の数が多いものと比べ、立体障害が少なく化合物が分解しやすいため、より低温で化学吸着反応が生じやすくなる効果が得られる。
また、式1中、cおよびfは、本化合物中の「Si-H」結合の数を示すものである。
化合物1中、「Si-H」結合の数が多い(すなわち、上式(5)に示す「c+f」が3または4である)と、分子の立体障害の影響が緩和されるため、より低温で化学吸着反応が生じやすくなる効果が得られる。
一方、化合物1中、「Si-H」結合の数が少ない(すなわち、上式(5)に示す「c+f」が0または1である)と、膜中水素(H)量が低減する効果が得られる。ただし、より低温で薄膜を形成する観点では、「Si-H」結合の数が多いほうが、好ましい。
シリコン含有薄膜の形成に用いる場合、式1中、a、b、c、d、eおよびfとして、(a=2、b=1、c=0、d=2、e=1、f=0)の組み合わせを選択することが好ましい。この場合、シリコン含有薄膜中のA(ハロゲン)の含有量をある程度少なくでき、基板表面に対して吸着反応が生じやすい効果が得られる。また、シリコン含有薄膜の形成に用いる場合、a、b、c、d、eおよびfとして、(a=1、b=1、c=1、d=1、e=1、f=1)の組み合わせを選択することがより好ましい。シリコン含有薄膜中のA(ハロゲン)の含有量が少なくでき、分子の立体障害の影響が緩和されるため、より低温で化学吸着しやすい効果が得られる。
化合物1は、化学気相成長法を用いたシリコン含有薄膜の形成に適用する場合、式1中のAがCl原子であること、すなわち、下式11で表されるクロロアミノジシラン化合物であることが好ましい。
SiCl-SiCl 式11
ただし、式11中、X,Yおよびa~fについては、式1と同様である。
さらに、化合物11は、化学気相成長法を用いたシリコン含有薄膜の形成に適用する場合、下式111~114で表されるクロロアミノジシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 0007458296000003
Figure 0007458296000004
Figure 0007458296000005
Figure 0007458296000006
ただし、化合物111~114中、R1、R2およびR3は、化合物11と同様に、それぞれ独立して選択される、炭素数1~5の直鎖または分枝の飽和アルキル基である。
また、化合物111,112中、xおよびyは、1≦x+yを満たし、0~2の中から選択される整数である。
以下の表1~表12に、化合物1の具体例を示す。
・化合物1111~1234:式1中のハロゲン原子AがCl原子の例である。
・化合物2111~2234:式1中のハロゲン原子AがF原子の例である。
・化合物3111~3234:式1中のハロゲン原子AがBr原子の例である。
・化合物4111~4234:式1中のハロゲン原子AがI原子の例である。
Figure 0007458296000007
Figure 0007458296000008
Figure 0007458296000009
Figure 0007458296000010
Figure 0007458296000011
Figure 0007458296000012
Figure 0007458296000013
Figure 0007458296000014
Figure 0007458296000015
Figure 0007458296000016
Figure 0007458296000017
Figure 0007458296000018
<ハロゲンアミノジシラン化合物の製造方法>
次に、本化合物1の製造方法(合成方法)について、式1中、ハロゲン原子AがCl(塩素)原子であるクロロアミノジシラン化合物(すなわち、化合物11)の場合を一例として、以下に説明する。
化合物11のクロロアミノジシラン化合物は、クロロジシラン化合物とアミン化合物とを原料として用い、下式2または下式3に示す反応によって、それぞれ合成する。
Figure 0007458296000019
Figure 0007458296000020
ただし、式2および式3中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して選択される、炭素数1~5の直鎖または分枝の飽和アルキル基である。
また、a、b、c、d、eおよびfは、a+b+c=3、d+e+f=3、1≦a+d≦4、1≦b+e≦5、0≦c+f≦4で示される5つの式を満たす整数である。
式2または式3に示す反応に用いるクロロジシラン化合物は、特に限定されるものではない。このようなクロロジシラン化合物としては、ヘキサクロロジシラン(SiCl)およびテトラクロロジシラン(SiCl)等が挙げられる。
なお、式2または式3に示す反応に用いるクロロジシラン化合物としては、例示したクロロジシラン化合物のうち、いずれか1つを用いてもよいし、2以上の混合物を用いてもよい。
式2に示す反応に用いるアミン化合物は、特に限定されるものではない。このようなアミン化合物としては、R1NHが挙げられる。なお、R1は、炭素数1~5の直鎖または分枝の飽和アルキル基である。具体的には、tBuNH、(CHCHNH、CH(C)NH、CHNH、CNH、(CH(C)CNH、(CCHNH、(CH)(C)CHNH等が挙げられる。なお、アミン化合物としては、例示したもののうち、いずれか1つを用いてもよいし、2以上の混合物を用いてもよい。
また、式3に示す反応に用いるアミン化合物は、特に限定されるものではない。このようなアミン化合物としては、R2R3NHが挙げられる。なお、R2およびR3は、それぞれ独立した、炭素数1~5の直鎖または分枝の飽和アルキル基である。具体的には、((CHCH)NH、(CHNH、(CHNH、(CNH、CHNHC、(tBu)NH、tBuNHC、(CHCHNHC、CHNHC、tBuNHCH、(CHCHNHCH、CHNHCH等が挙げられる。なお、アミン化合物としては、例示したもののうち、いずれか1つを用いてもよいし、2以上の混合物を用いてもよい。
なお、本化合物1の製造方法について、式1中、ハロゲン原子AがCl(塩素)原子の場合を一例として説明したが、これに限定されない。式1中、ハロゲン原子AがF、Br、またはI原子である場合は、式2および式3に示すクロロジシラン化合物にかえて、その他のハロゲン化ジシラン化合物を用いることで合成できる。
<シリコン含有薄膜形成用組成物>
本発明のシリコン含有薄膜形成用組成物(以下、「本組成物」とも記す)は、式1で表されるハロゲン化アミノジシラン化合物からなる群から選択される、いずれか1つまたは2以上のハロゲン化アミノジシラン化合物、必要に応じて他の成分を含む。
他の成分としては、具体的には、DCS、BTBAS、HCDSなどシリコン原子を1以上含む他のシリコン材料;アンモニア(NH)、アミン類化合物、ヒドラジン類化合物などの窒素含有化合物;ヘリウム(He)、窒素(N)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ネオン(Ne)などの不活性ガス;酸素(O)、水(HO)、オゾン(O)などの酸素含有化合物;水素等が挙げられる。
本組成物は、シリコン含有化合物として式1で表されるハロゲン化アミノジシラン化合物からなる群から選択される、いずれか1つまたは2以上のハロゲン化アミノジシラン化合物を含むため、化学気相成長法によってシリコン含有薄膜を成膜する際、シリコン含有原料として用いることができる。
本組成物は、化合物1を50質量%以上含み、90質量%以上含むことが好ましく、99質量%以上含むことがより好ましい。本組成物中、化合物1の含有量が99質量%以上であると、膜中への局所的な不純物の混入を抑えることができ、成膜速度が安定するという効果を奏する。
以下、本組成物中に含まれるシリコン含有化合物としてクロロアミノジシラン化合物を用いる場合を一例として説明するが、その他のハロゲン化アミノジシラン化合物(具体的には、式1中、A=F、Br、I)においても同様の効果が得られる。
本組成物中に含まれるシリコン含有化合物として、式11(但し、式中に示すa+dの値が2~4)等で表されるクロロアミノジシラン化合物を用いることで、本組成物をシリコン含有原料として成膜した際、膜中に残留する塩素(Cl)が少ない、良質なシリコン含有薄膜を提供できる。また、従来から公知のヘキサクロロジシラン(HCDS)をシリコン含有原料としてシリコン含有薄膜を成膜する場合よりも、塩化アンモニウム(NHCl)などの副生成物の生成量が少ない。
また、本組成物中に含まれるシリコン含有化合物として、式11(但し、式中、a=1、b=2、c=0、d=1、e=2、f=0)で表されるクロロアミノジシラン化合物、好ましくは式11(但し、式中、a=2、b=1、c=0、d=2、e=1、f=0)で表されるクロロアミノジシラン化合物、より好ましくは式11(但し、式中、a=1、b=1、c=1、d=1、e=1、f=1)で表されるクロロアミノジシラン化合物を用いることで、500℃未満の低温成膜温度領域において、膜中塩素(Cl)が少ない良質なシリコン窒化膜を提供できる。
ここで、シリコン含有化合物として用いる、式11(但し、式中、a=1、b=2、c=0、d=1、e=2、f=0)で表されるクロロアミノジシラン化合物、好ましくは式11(但し、式中、a=2、b=1、c=0、d=2、e=1、f=0)で表されるクロロアミノジシラン化合物、より好ましくは式11(但し、式中、a=1、b=1、c=1、d=1、e=1、f=1)で表されるクロロアミノジシラン化合物、HCDSなどのクロロ系Si材料と比べて、分子中にSi-Cl結合が少ないため、膜中Cl含有量が0.1atm%以下のシリコン含有薄膜、あるいはシリコン窒化膜を提供できる。
なお、式11(但し、式中、a=1、b=2、c=0、d=1、e=2、f=0)で表されるクロロアミノジシラン化合物としては、具体的には、表1、2中に示す、化合物1112、化合物1116、化合物1120、化合物1124、化合物1128、化合物1132、化合物1136、化合物1140、化合物1144、化合物1148、化合物1152、化合物1156、化合物1160、等が挙げられる。
また、式11(但し、式中、a=2、b=1、c=0、d=2、e=1、f=0)で表されるクロロアミノジシラン化合物としては、具体的には、表1、2中に示す、化合物1113、化合物1117、化合物1121、化合物1125、化合物1129、化合物1133、化合物1137、化合物1141、化合物1145、化合物1149、化合物1153、化合物1157、化合物1161等が挙げられる。
また、式11(但し、式中、a=1、b=1、c=1、d=1、e=1、f=1)で表されるクロロアミノジシラン化合物としては、具体的には、表1、2中に示す、化合物1111、化合物1115、化合物1119、化合物1123、化合物1127、化合物1131、化合物1135、化合物1139、化合物1143、化合物1147、化合物1151、化合物1155、化合物1159等が挙げられる。
以上説明したように、式1に示すハロゲン化アミノジシラン化合物(化合物1)を含む本組成物は、化学気相成長法によるシリコン含有薄膜を形成する際、シリコン含有原料として有用である。
<成膜装置>
次に、本発明のシリコン含有薄膜の製造(成膜)に適用可能な成膜装置の構成について説明する。図1は、本発明のシリコン含有薄膜の成膜に適用可能な成膜装置の構成を模式的に示す系統図である。
図1に示すように、成膜装置1は、反応場となる処理室2、処理室2内の被処理基材Pの表面温度を制御する温度制御装置3、処理室2にパージガスを供給するパージガス供給経路L1、処理室2内の雰囲気を排気する排気経路L2、シリコン含有原料ガスを供給する原料ガス供給経路L3、及び窒素含有原料ガスを供給する反応ガス供給経路L4を備える。
本発明のシリコン含有薄膜の成膜に適用可能な成膜装置1は、化学気相成長法に適用可能であれば、特に限定されない。成膜装置1としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置やALD(Atomic Layer Deposition)装置を用いることができる。
被処理基材Pは、表面の少なくとも一部にシリコン含有薄膜(以下、単に「薄膜」ともいう)を形成可能であれば、特に限定されない。被処理基材Pとしては、特に限定されないが、半導体ウエハ、樹脂、ガラスなどが挙げられる。具体的には、結晶シリコン(Si<100>またはSi<111>など)、酸化シリコン、歪みシリコン、SOI、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、ドープされた又はドープされていないシリコンウエハ、窒化シリコン、炭化シリコン、炭窒化シリコン、酸窒化シリコン、炭酸化シリコン、炭酸窒化シリコン、Cu、Al、Ru、Ta、W、Ti、Co、Zr、Hfなどの金属、TiN、TaN、WNなどの窒化金属、ZrO、HfO、TiO、TaO、WOなどの酸化金属、パターン形成された又はパターン形成されていないウエハなど、上記少なくとも1以上含まれる半導体ウエハ等を用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂を用いることができる。
シリコン含有薄膜は、シリコンを含むものであれば、特に限定されない。シリコン含有薄膜としては、シリコン窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン膜、シリコン酸炭窒化膜が好ましく、シリコン窒化膜、及びシリコン炭窒化膜がより好ましく、シリコン窒化膜がさらに好ましい。
温度制御装置3は、処理室2内の被処理基材Pの表面温度を所要の温度に制御可能なものであれば、特に限定されない。温度制御装置3としては、ヒーターと、その制御装置とを用いることができる。
温度制御装置3は、処理室2内の被処理基材Pの表面温度を500℃未満に制御することができ、450℃以下に制御することがより好ましい。
パージガス供給経路L1は、処理室2内にパージガスを供給する。
パージガスは、特に限定されないが、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガス、窒素(N)、水素(H)等を1つ以上用いることができる。
排気経路L2は、処理室2内のパージガス、原料ガス、及び反応ガス等を含む雰囲気ガスを処理室2内から排出して、処理室2内を減圧する。排気経路L2には、減圧ポンプ等の減圧装置4が配置されている。
原料ガス供給経路L3は、パージガス供給経路L1を介して処理室2内に原料ガスとしてシリコン含有化合物を含むシリコン含有原料を供給する。原料ガス供給経路L3には、液体のシリコン含有原料を貯留する原料容器5、気化器6及びキャリアガスの加熱器7が配置されている。
シリコン含有原料の供給方法は、特に限定されない。シリコン含有原料は、原料容器5の液相5Aから液体のシリコン含有原料(シリコン含有薄膜形成用組成物)を気化器6によって気化して供給することができる。また、気化器6を用いずに、原料容器5の気相5Bからシリコン含有原料の蒸気を供給することができる。なお、シリコン含有原料は、不活性ガス等のキャリアガスとともに処理室2内に供給してもよい。
また、キャリアガスによって原料容器5内をバブリングして、シリコン含有原料の蒸気をキャリアガスとともに処理室2内に供給してもよい。
なお、シリコン含有原料を供給する際、原料容器5を適宜加熱して、シリコン含有原料の蒸気圧を高くして供給してもよい。
シリコン含有原料としては、本発明のシリコン含有薄膜形成用組成物を用いることができる。
キャリアガスは、特に限定されないが、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガス、窒素(N)、水素(H)等を1つ以上用いることができる。
反応ガス供給経路L4は、パージガス供給経路L1を介して処理室2内に反応ガスとして窒素含有原料を供給する。なお、窒素含有原料は、不活性ガス等のキャリアガスとともに処理室2内に供給してもよい。
窒素含有原料は、1以上の窒素含有化合物を含む。
窒素含有化合物としては、アンモニア、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、ターシャリーブチルヒドラジン、ジメチルアミン、モノメチルアミン、及びターシャリーブチルアミン等の窒素含有化合物を用いることができる。
キャリアガスは、特に限定されないが、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガス、窒素(N)、水素(H)等を1つ以上用いることができる。
なお、本発明に適用可能な成膜装置1の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、原料ガス供給経路L3は、処理室2内に複数種のシリコン含有化合物をシリコン含有原料として供給するため、複数の分岐経路を有する構成としてもよい。また、反応ガス供給経路L4は、処理室2内に複数種の窒素含有化合物を窒素含有原料として供給するため、複数の分岐経路を有する構成としてもよい。
<シリコン含有薄膜の形成方法>
本発明のシリコン含有薄膜の形成方法は、シリコン含有原料として本発明のシリコン含有薄膜形成用組成物を用いて、化学気相成長法によってシリコン含有薄膜を形成する方法である。
化学気相成長法としては、特に限定されないが、例えば、CVD、プラズマCVD、及びALD、プラズマALDが挙げられる。これらの中でも、CVD、ALDが好ましく、ALDがより好ましい。
ALD法およびCVD法では、原料ガスとして、本化合物を少なくとも1以上含む本発明のシリコン含有薄膜形成用組成物を用い、反応ガスとして、窒素含有化合物、酸素含有化合物、および炭素含有化合物を用いて、シリコン含有薄膜を形成する。
窒素含有化合物は、特に限定されるものではない。窒素含有化合物としては、アンモニア、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、ターシャリーブチルヒドラジン、ジメチルアミン、モノメチルアミン、ターシャリーブチルアミン等が挙げられる。なお、窒素含有化合物として、これらの中からいずれか1つ、または2以上の混合物を用いてもよい。
酸素含有化合物は、特に限定されるものではない。酸素含有化合物としては、酸素、水、オゾン、過酸化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素等が挙げられる。なお、酸素含有化合物として、これらの中からいずれか1つ、または2以上の混合物を用いてもよい。
炭素含有化合物は、特に限定されるものではない。炭素含有化合物としては、メタン、エタン、プロピレン、ブタン、プロパン、エチレン、アセチレン等が挙げられる。なお、炭素含有化合物として、これらの中からいずれか1つ、または2以上の混合物を用いてもよい。
原料ガスおよび反応ガスは、上述した本化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物あるいは炭素含有化合物を単一ガスとして供給してもよいし、不活性ガス等のキャリアガスと共に供給してもよい。
キャリアガスは、特に限定されるものではない。キャリアガスとしては、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガス、窒素(N)ガス、水素(H)ガス等が挙げられる。これらの中からからいずれか1つ、または2以上の混合物を用いてもよい。
CVD法では、反応炉内に原料ガスと反応ガスとを同時に供給することで、シリコン含有薄膜を形成する。
これに対して、ALD法では、反応炉内に原料ガスと反応ガスとをそれぞれ交互に供給することで、シリコン含有薄膜を形成する。
なお、CVD法およびALD法では、反応炉内に供給する原料ガスおよび反応ガスのいずれか一方または両方をプラズマによって活性化させて、シリコン含有薄膜を形成してもよい。
以下、ALD法によるシリコン含有薄膜の具体的な形成方法について、成膜装置1を用いたシリコン窒化膜の場合を一例として詳細に説明する。
先ず、処理室2内に搬送された基板Pの表面温度を所要の温度に制御する。
次に、以下のステップを含むサイクルを行う。
・ステップA:処理室2内の基板Pに、本化合物を含む原料ガスを供給する。
・ステップB:原料ガスの供給を停止し、処理室2内に残留する原料ガスを除去する。
・ステップC:処理室2内の基板Pに、窒素含有化合物を含む反応ガスを供給する。
・ステップD:反応ガスの供給を停止し、処理室2内に残留する反応ガスを除去する。
ステップAでは、処理室2内の基板Pに対して、真空下で原料ガスを供給する。原料ガスとしては、上述したように本化合物を含むシリコン含有薄膜形成用組成物を適用できる。これにより、基板Pの表面とクロロアミノジシラン化合物との化学吸着反応が生じる。
ステップBでは、上述した化学吸着反応後に原料ガスの供給を停止し、処理室2内に残留する未反応のクロロアミノジシラン化合物を除去するためにパージを行う。
ステップCでは、処理室2内の基板Pに対して、真空下で反応ガスを供給する。反応ガスとしては、上述したように窒素含有化合物を含む反応ガスを適用できる。これにより、ステップAにおいて基板Pの表面に吸着したクロロアミノジシラン化合物を窒化させる。
ステップDでは、上述したクロロアミノジシラン化合物の窒化反応後に反応ガスの供給を停止し、処理室2内に残留する未反応の窒素含有化合物を除去するためにパージを行う。
なお、ステップB及びステップ2Dでは、ヘリウム(He)、窒素(N)、アルゴン(Ar)などの不活性ガスをパージガスとして適用できる。
ALD法では、上述したサイクルを複数回(例えば、300サイクル)繰り返すことで、基板P上に所望の膜厚のシリコン窒化膜を形成できる。
なお、反応ガスとして、窒素含有化合物、酸素含有化合物および炭素含有化合物を適宜選択することで、所望のシリコン含有薄膜を形成することができる。
また、原料ガスとして、シリコン含有薄膜形成用組成物中に含まれる本発明のクロロアミノジシラン化合物を適宜選択することで、所望の膜質、成膜量、および膜の緻密性を有するシリコン含有薄膜を形成することができる。
<シリコン含有薄膜>
本発明のシリコン含有薄膜は、上述した本発明のシリコン含有薄膜形成用組成物を用いた成膜によって得られる。
シリコン含有薄膜としては、上述したように、シリコン窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン膜、シリコン酸炭窒化膜が好ましく、シリコン窒化膜、及びシリコン炭窒化膜がより好ましく、シリコン窒化膜がさらに好ましい。
ところで、シリコン含有薄膜などの膜中に塩素(Cl)等のハロゲン原子が多く含有されると、粗な膜が形成されるだけでなく、電気特性、フッ酸耐性や下地基板の腐食などの悪影響に繋がることが知られている。具体的には、シリコン窒化膜では、デバイスを製造するエッチング工程のエッチングストッパ層として、フッ酸耐性が要求されるが、膜中ハロゲン原子含有量が増加すればするほど、エッチングレートが悪化する。例えば、膜中ハロゲン原子含有量が0.5atm%以上であるシリコン窒化膜と比べて、膜中ハロゲン原子含有量が0.1atm%以下であるシリコン窒化膜は、フッ酸耐性が良好となる。
本発明のシリコン含有薄膜は、上述した本発明のシリコン含有薄膜形成用組成物を用いた成膜によって得られるため、膜中Cl含有量が0.1atm%以下であり、フッ酸耐性に優れる。
<シリコン含有薄膜の評価方法>
本発明のシリコン含有薄膜の形成方法によって得られた薄膜は、以下の方法により、膜質、成膜量を評価できる。
(膜質の評価)
薄膜の膜質は、市販の分光エリプソメトリー(例えば、SOPRA社製分光エリプソメーター、「GES5E」等)を用いた膜厚及び屈折率の測定値から評価できる。
例えば、シリコン含有薄膜がシリコン窒化膜の場合、屈折率が1.8~2.1の範囲内であるとき、一般的に良質なシリコン窒化膜であると評価できる。
一方、屈折率が1.8未満であるとき、シリコン窒化膜は粗な膜構造であると評価できる。なお、屈折率の数値が小さいほど、膜中に酸素成分が混入していることを意味する。
また、屈折率が1.6以下の場合には、一般的にシリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜の性質を示す。
なお、屈折率が1.8を超えている場合、膜中に炭素成分が含まれている場合があり、炭素成分の含有量が多いほど、屈折率の数値が大きくなる傾向がある。
また、薄膜の膜質は、市販のフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR;例えば、パーキンエルマー社製フーリエ赤外分光光度計装置、「spectrum400」等)を用いた赤外吸収スペクトル測定の結果からも評価できる。
赤外吸収スペクトル測定の結果、一般的に「Si-N」結合由来の振動が800~900cm-1付近に観測され、「Si-O」結合由来の振動が1000~1100cm-1付近に観測される。これらの振動から、薄膜の膜質を評価できる。
さらに、膜中不純物は、市販のX線電子分光計(XPS:PHI社製、「QuanteraII」など)を用いて得られる膜中原子含有量の測定結果から、評価できる。なお、膜中Cl含有量や膜中C含有量が少ないほど、良質なシリコン窒化膜である。
(成膜量)
得られた膜厚から、1サイクルあたりの成膜量であるGPC(Growth per cycle)を算出できる。
以上説明したように、本発明のハロゲン化アミノジシラン化合物は、新規な化合物であり、化学気相成長法を用いたシリコン含有薄膜の形成に適用可能な原料化合物として有用である。
また、本発明のシリコン含有薄膜形成用組成物は、一般的なCVD法及びALD法に適用できる。
さらに、本発明のシリコン含有薄膜は、膜質に優れる。
特に、本発明のクロロアミノジシラン化合物は、500℃未満の低温成膜温度領域において、膜中塩素(Cl)が少ない良質なシリコン窒化膜を提供可能な原料化合物である。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<ハロゲン化アミノジシラン化合物の同定方法>
実施例1~20で合成したハロゲン化アミノジシラン化合物は、以下の手法によって同定した。
(GC分析)
GC分析は、ガスクロマトグラフ(島津製作所社製:GC-2014)を用いて行った。検出器はFIDを用いた。保持時間により、目的生成物および、その純度を確認した。測定条件は、以下の通りである。
・長さ:30.0m
・内径:0.25mm ID
・温度:SPL1 250℃
・カラムオーブン:35℃-270℃(昇温分析)
・キャリア:N
<シリコン含有薄膜の形成方法>
実施例1~20、および比較例1、2のシリコン含有薄膜は、以下の条件によって成膜した。
・成膜手法:ALD、CVD
・原料ガス:本発明のクロロアミノジシラン化合物、HCDS
・反応ガス:窒素含有化合物、酸素含有化合物、炭素含有化合物
・成膜温度(基板の表面温度):450℃
(ALDサイクル)
・ステップ1:反応炉内の基板に、原料ガスを供給する。
・ステップ2:原料ガスの供給を停止し、反応炉内に残留する原料ガスを除去する。
・ステップ3:反応炉内の基板に、反応ガスを供給する。
・ステップ4:反応ガスの供給を停止し、反応炉内に残留する反応ガスを除去する。
・サイクルの繰り返し回数:300回
<シリコン含有薄膜の評価方法>
実施例1~20、および比較例1のシリコン含有薄膜は、以下の評価を行った。
(膜中原子含有量)
膜中原子含有量は、X線光電子分光法(PHI社製:QuanteraII)を用いて測定した。測定条件は以下の通りである。測定成分はSi、N、C、Clの4成分とした。膜中不純物として、C含有量およびCl含有量に着目した。結果を下表14に示す。
・X線源:単色化Al
・検出領域:100μmφ
・検出深さ:約4~5nm(取出角45°)
・スパッタ条件:Ar+1.0kV
・スパッタ速度:約2nm/min
(フッ酸耐性)
シリコン含有薄膜のフッ酸耐性は、フッ酸エッチングレートによって評価した。
フッ酸エッチングレートは、フッ化水素(HF):水=1:100の割合で希釈したフッ酸溶液にシリコン含有薄膜のサンプルを浸漬し、所定時間経過した後、速やかに純水で洗浄し、窒素ガス等を吹きかけて乾燥させた。フッ酸浸漬前後の膜厚変化から単位時間におけるフッ酸エッチングレートを算出した。結果を下表14に示す。
<実施例1>
「SiCl(NHC(CH)-SiCl(NHC(CH)(化合物1113)の合成」
-70℃に冷却した反応容器にジエチルエーテル900mLとSiCl(25.16g、0.094mol、CAS No.:13465-77-5)をフラスコに添加した。よく撹拌されたこの溶液にジエチルエーテル100mLに溶かしたtBuNH(27.44g、0.38mol)をゆっくり滴下した。徐々に室温まで昇温した後、8時間撹拌した。減圧下でジエチルエーテルを留去後、ヘキサン1000mL入れ抽出し、アミン塩酸塩をろ過によって取り除いた。その後、-30℃で再結晶を行い、残留するヘキサンを留去することで、目的物であるSiCl(NHC(CH)-SiCl(NHC(CH)(化合物1113)7.29gを得た。収率は23%であった。
なお、目的物は、NMRおよびGC分析によって確認した。
GCにおける目的物の保持時間および純度:19min、90%
「SiCl(NHC(CH)-SiCl(NHC(CH)(化合物1113)を用いたシリコン含有薄膜の形成」
(1)シリコン窒化膜
合成により得られたSiCl(NHC(CH)-SiCl(NHC(CH)(化合物1113)とアンモニア(NH)を用いて、ALD法によって薄膜を形成した。
得られた薄膜は、分光エリプソメトリー(屈折率)およびFT-IR(Si-N結合由来の振動)により、シリコン窒化膜であることを確認した。
また、得られた薄膜は、膜中Si含有量が43.4atm%、膜中N含有量が54.6atm%、膜中C含有量が2.0atm%、膜中Cl含有量が、0.1atm%以下であった。
また、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは、34Å/minであった。
その他、CVD法やALD法により、アンモニア以外の様々な窒素含有化合物を用いて成膜を行ったところ、シリコン窒化膜が形成されることを確認した。
(2)シリコン酸化膜
合成により得られたSiCl(NHC(CH)-SiCl(NHC(CH)(化合物1113)とHOを用いて、ALD法によって薄膜を形成した。
得られた薄膜は、分光エリプソメトリー(屈折率)およびFT-IR(Si-O結合由来の振動)により、シリコン酸化膜であることを確認した。
その他、CVD法やALD法により、HO以外の様々な酸素含有化合物を用いて成膜を行ったところ、シリコン酸化膜が形成されることを確認した。
(3)その他
合成により得られたSiCl(NHC(CH)-SiCl(NHC(CH)(化合物1113)と、反応ガスとして窒素含有化合物、酸素含有化合物および/または炭素含有化合物を用いて、ALD法やCVD法によって薄膜を形成した。
得られた薄膜は、分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより、それぞれ、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを確認した。
<実施例2>
「SiHCl(NHC(CH)-SiHCl(NHC(CH)(化合物1111)の合成」
-70℃に冷却した反応容器にジエチルエーテル900mLとSiCl(20.50g、0.103molCAS No.:20536-16-7)をフラスコに添加した。よく撹拌されたこの溶液にジエチルエーテル100mLに溶かしたtBuNH(26.92g、0.37mol)をゆっくり滴下した。徐々に室温まで昇温した後、8時間撹拌した。減圧下でジエチルエーテルを留去後、ヘキサン1000mL入れ抽出し、アミン塩酸塩をろ過によって取り除いた。その後、-30℃で再結晶を行い、残留するヘキサンを留去することで、目的物であるSiHCl(NHC(CH)-SiHCl(NHC(CH)(化合物1111)5.51gを得た。収率は20%であった。
なお、目的物は、NMRおよびGC分析によって確認した。
GCにおける目的物の保持時間および純度:19min、90%
「SiHCl(NHC(CH)-SiHCl(NHC(CH)(化合物1111)を用いたシリコン含有薄膜の形成」
(1)シリコン窒化膜
合成により得られたSiHCl(NHC(CH)-SiHCl(NHC(CH)(化合物1111)とアンモニア(NH)を用いて、ALD法によって薄膜を形成した。
得られた薄膜は、分光エリプソメトリー(屈折率)およびFT-IR(Si-N結合由来の振動)により、シリコン窒化膜であることを確認した。
また、得られた薄膜は、膜中Si含有量が49.3atm%、膜中N含有量が48.4atm%、膜中C含有量が2.3atm%、膜中Cl含有量が、0.1atm%以下であった。
また、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは、8Å/minであった。
その他、CVD法やALD法により、アンモニア以外の様々な窒素含有化合物を用いて成膜を行ったところ、シリコン窒化膜が形成されることを確認した。
(2)シリコン酸化膜
合成により得られたSiHCl(NHC(CH)-SiHCl(NHC(CH)(化合物1111)とHOを用いて、ALD法によって薄膜を形成した。
得られた薄膜は、分光エリプソメトリー(屈折率)およびFT-IR(Si-O結合由来の振動)により、シリコン酸化膜であることを確認した。
その他、CVD法やALD法により、HO以外の様々な酸素含有化合物を用いて成膜を行ったところ、シリコン酸化膜が形成されることを確認した。
(3)その他
合成により得られたSiHCl(NHC(CH)-SiHCl(NHC(CH)(化合物1111)と、反応ガスとして窒素含有化合物、酸素含有化合物および/または炭素含有化合物を用いて、ALD法やCVD法によって薄膜を形成した。
得られた薄膜は、分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより、それぞれ、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを確認した。
参考例3>
「SiCl(NHC(CH-SiCl(NHC(CH(化合物1112)」
原材料であるアミン化合物の添加量(tBuNH、39.56g)を実施例1よりも増やし、実施例1と同様に合成することで、目的物であるSiCl(NHC(CH-SiCl(NHC(CH(化合物1112)を6.58g得た。収率は17%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl(NHC(CH-SiCl(NHC(CH(化合物1112)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは71Å/minであり、膜中Si含有量は45.1atm%、膜中N含有量は50.7atm%、膜中C含有量は4.2atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例4>
「SiCl-SiCl(NHC(CH)(化合物1114)」
原材料であるアミン化合物の添加量(tBuNH、10.31g)を実施例1よりも減らし、実施例1と同様に合成することで、目的物であるSiCl-SiCl(NHC(CH)(化合物1114)を4.16g得た。収率は14%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl-SiCl(NHC(CH)(化合物1114)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは92Å/minであり、膜中Si含有量は44.5atm%、膜中N含有量は55.0atm%、膜中C含有量は0.1atm%以下、膜中Cl含有量は0.5atm%であった。
<実施例5>
「SiHCl(NHCH(CH)-SiHCl(NHCH(CH))(化合物1115)」
原材料であるアミン化合物(CHCHNH(22.13g)を用いて、実施例2と同様に合成することで、SiHCl(NHCH(CH)-SiHCl(NHCH(CH))(化合物1115)を6.49g得た。収率は27%であった。
実施例2と同様の方法で、合成により得られた、SiHCl(NHCH(CH)-SiHCl(NHCH(CH))(化合物1115)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは10Å/minであり、膜中Si含有量は42.5atm%、膜中N含有量は56.0atm%、膜中C含有量は1.5atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例6>
「SiCl(NHCH(CH))-SiCl(NHCH(CH))(化合物1116)」
原材料であるアミン化合物(CHCHNH(40.81g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl(NHCH(CH))-SiCl(NHCH(CH))(化合物1116)を4.13g得た。収率は13%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl(NHCH(CH))-SiCl(NHCH(CH))(化合物1116)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは68Å/minであり、膜中Si含有量は43.4atm%、膜中N含有量は53.6atm%、膜中C含有量は3.1atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
<実施例7>
「SiCl(NHCH(CH))-SiCl(NHCH(CH))(化合物1117)」
原材料であるアミン化合物(CHCHNH(24.38g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl(NHCH(CH))-SiCl(NHCH(CH))(化合物1117)を6.10g得た。収率は21%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl(NHCH(CH))-SiCl(NHCH(CH))(化合物1117)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは32Å/minであり、膜中Si含有量は43.5atm%、膜中N含有量は54.8atm%、膜中C含有量は1.7atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例8>
「SiCl-SiCl(NHCH(CH))(化合物1118)」
原材料であるアミン化合物(CHCHNH(9.80g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl-SiCl(NHCH(CH))(化合物1118)を5.53g得た。収率は20%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl-SiCl(NHCH(CH))(化合物1118)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは105Å/minであり、膜中Si含有量は42.5atm%、膜中N含有量は56.9atm%、膜中C含有量は0.1atm%以下、膜中Cl含有量は0.6atm%であった。
<実施例9>
「SiHCl(NH(CH)CH)-SiHCl(NH(CH)CH)(化合物1119)」
原材料であるアミン化合物CNH(21.10g)を用いて、実施例2と同様に合成することで、SiHCl(NH(CH)CH)-SiHCl(NH(CH)CH)(化合物1119)を6.19g得た。収率は24%であった。
実施例2と同様の方法で、合成により得られたSiHCl(NH(CH)CH)-SiHCl(NH(CH)CH)(化合物1119)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは12Å/minであり、膜中Si含有量は47.2atm%、膜中N含有量は51.0atm%、膜中C含有量は1.8atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例10>
「SiCl(NH(CH)CH)-SiCl(NH(CH)CH)(化合物1120)」
原材料であるアミン化合物CNH(41.51g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl(NH(CH)CH)-SiCl(NH(CH)CH)(化合物1120)を5.13g得た。収率は15%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl(NH(CH)CH)-SiCl(NH(CH)CH)(化合物1120)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは80Å/minであり、膜中Si含有量は48.0atm%、膜中N含有量は48.4atm%、膜中C含有量は3.6atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
<実施例11>
「SiCl(NH(CH)CH)-SiCl(NH(CH)CH)(化合物1121)」
原材料であるアミン化合物CNH(23.83g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl(NH(CH)CH)-SiCl(NH(CH)CH)(化合物1121)を6.89g得た。収率は23%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl(NH(CH)CH)-SiCl(NH(CH)CH)(化合物1121)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは34Å/minであり、膜中Si含有量は48.8atm%、膜中N含有量は49.4atm%、膜中C含有量は1.8atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例12>
「SiCl-SiCl(NH(CH)CH)(化合物1122)」
原材料であるアミン化合物CNH(11.15g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl-SiCl(NH(CH)CH)(化合物1122)を4.87g得た。収率は18%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl-SiCl(NH(CH)CH)(化合物1122)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは85Å/minであり、膜中Si含有量は43.4atm%、膜中N含有量は55.8atm%、膜中C含有量は0.2atm%、膜中Cl含有量は0.6atm%であった。
参考例13>
「SiHCl(N(CH(CH)))-SiHCl(N(CH(CH)))(化合物1143)」
原材料であるアミン化合物((CHCH)NH(39.98g)を用いて、実施例2と同様に合成することで、SiHCl(N(CH(CH)))-SiHCl(N(CH(CH)))(化合物1143)を8.15g得た。収率は25%であった。
実施例2と同様の方法で、合成により得られたSiHCl(N(CH(CH)))-SiHCl(N(CH(CH)))(化合物1143)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは39Å/minであり、膜中Si含有量は47.2atm%、膜中N含有量は49.3atm%、膜中C含有量は3.5atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例14>
「SiCl(N(CH(CH)))-SiCl(N(CH(CH)))(化合物1144)」
原材料であるアミン化合物((CHCH)NH(71.55g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl(N(CH(CH)))-SiCl(N(CH(CH)))(化合物1144)を8.78g得た。収率は18%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl(N(CH(CH)))-SiCl(N(CH(CH)))(化合物1144)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは100Å/minであり、膜中Si含有量は45.5atm%、膜中N含有量は46.7atm%、膜中C含有量は7.8atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例15>
「SiCl(N(CH(CH)))-SiCl(N(CH(CH)))(化合物1145)」
原材料であるアミン化合物((CHCH)NH(34.16g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl(N(CH(CH)))-SiCl(N(CH(CH)))(化合物1145)を7.15g得た。収率は19%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl(N(CH(CH)))-SiCl(N(CH(CH)))(化合物1145)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは69Å/minであり、膜中Si含有量は41.6atm%、膜中N含有量は55.3atm%、膜中C含有量は3.1atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例16>
「SiCl-SiCl(N(CH(CH)))(化合物1146)」
原材料であるアミン化合物((CHCH)NH(15.99g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl-SiCl(N(CH(CH)))(化合物1146)を5.87g得た。収率は19%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl-SiCl(N(CH(CH)))(化合物1146)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは115Å/minであり、膜中Si含有量は42.4atm%、膜中N含有量は55.4atm%、膜中C含有量は1.6atm%、膜中Cl含有量は0.6atm%であった。
参考例17>
「SiHCl(N((CH)CH))-SiHCl(N((CH)CH))(化合物1147)」
原材料であるアミン化合物(C)NH(37.93g)を用いて、実施例2と同様に合成することで、SiHCl(N((CH)CH))-SiHCl(N((CH)CH))(化合物1147)を6.91g得た。収率は21%であった。
実施例2と同様の方法で、合成により得られたSiHCl(N((CH)CH))-SiHCl(N((CH)CH))(化合物1147)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは41Å/minであり、膜中Si含有量は48.8atm%、膜中N含有量は47.5atm%、膜中C含有量は3.7atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例18>
「SiCl(N((CH)CH))-SiCl(N((CH)CH))(化合物1148)」
原材料であるアミン化合物(C)NH(70.13g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl(N((CH)CH))-SiCl(N((CH)CH))(化合物1148)を7.25g得た。収率は15%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl(N((CH)CH))-SiCl(N((CH)CH))(化合物1148)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは104Å/minであり、膜中Si含有量は44.2atm%、膜中N含有量は49.6atm%、膜中C含有量は6.2atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例19>
「SiCl(N((CH)CH))-SiCl(N((CH)CH))(化合物1149)」
原材料であるアミン化合物(C)NH(31.11g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl(N((CH)CH))-SiCl(N((CH)CH))(化合物1149)を5.58g得た。収率は15%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl(N((CH)CH))-SiCl(N((CH)CH))(化合物1149)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは82Å/minであり、膜中Si含有量は40.8atm%、膜中N含有量は56.1atm%、膜中C含有量は3.1atm%、膜中Cl含有量は0.1atm%以下であった。
参考例20>
「SiCl-SiCl(N((CH)CH))(化合物1150)」
原材料であるアミン化合物(C)NH(14.74g)を用いて、実施例1と同様に合成することで、SiCl-SiCl(N((CH)CH))(化合物1150)を4.19g得た。収率は13%であった。
実施例1と同様の方法で、合成により得られたSiCl-SiCl(N((CH)CH))(化合物1150)を用いて、ALD法やCVD法による成膜を行った。シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン膜、シリコン酸窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、シリコン酸炭化膜、シリコン炭化膜が形成されていることを分光エリプソメトリーおよびFT-IRにより確認した。なお、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは124Å/minであり、膜中Si含有量は45.6atm%、膜中N含有量は52.1atm%、膜中C含有量は1.7atm%、膜中Cl含有量は0.6atm%であった。
実施例1~20について、原料及び生成物の収率を下表13に示す。
<比較例1>
シリコン含有化合物としてヘキサクロロジシラン(HCDS、SiCl)、窒素含有化合物としてアンモニア(NH)を用いて、ALD法によって薄膜を形成した。
得られた薄膜は、分光エリプソメトリー(屈折率)およびFT-IR(Si-N結合由来の振動)により、シリコン窒化膜であることを確認した。
また、得られた薄膜は、膜中Si含有量が48atm%、膜中N含有量が51.3atm%、膜中Cl含有量が、0.7atm%であった。
また、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは、200Å/minであった。
<比較例2>
シリコン含有化合物として、SiH(NHC(CH)-SiH(NHC(CH)、窒素含有化合物としてアンモニア(NH)を用いて、ALD法による成膜を行ったところ、成膜温度450℃で薄膜を形成しないことが分かった。
その他のアミノジシラン化合物も比較例2と同様の傾向で、成膜温度450℃では薄膜を形成しなかった。
<比較例3>
シリコン含有化合物として、クロロアミノシラン化合物であるSiCl(NHC(CH、窒素含有化合物としてアンモニア(NH)を用いて、ALD法によって薄膜を形成した。
得られた薄膜は、分光エリプソメトリー(屈折率)およびFT-IR(Si-N結合由来の振動)により、シリコン窒化膜であることを確認した。
また、得られた薄膜は、膜中Si含有量が44.3atm%、膜中N含有量が53.1atm%、膜中C量が2.2atm%、膜中Cl含有量が、0.5atm%であった。
また、得られたシリコン窒化膜のフッ酸エッチングレートは、101Å/minであった。
Figure 0007458296000021

Figure 0007458296000022

Figure 0007458296000023
比較例1における膜中Cl含有量が1.1%であるのに対し、実施例1~3、5~7、9~11、13~15、17~19に示すように、本発明のクロロアミノジシラン化合物をシリコン含有化合物として含むシリコン含有薄膜形成用組成物を原料ガスとして成膜したシリコン窒化膜では、膜中Cl含有量がいずれも0.1atm%以下であった。
さらに、実施例4、8、12、16、20においても、膜中Cl含有量は0.6atm%以下であった。これらの結果は、HCDSなどSi-Cl結合の数が多い場合、Clが多く膜中に含有されることが示唆された。
また、比較例1で形成したシリコン窒化膜のフッ酸耐性が200Å/minに対し、実施例1~20において形成したシリコン窒化膜は、いずれもフッ酸耐性が良好であった。
比較例1では、膜中Clが多く含有されており、かつ、粗な膜が形成されたのに対し、本発明のクロロアミノジシラン化合物を用いて形成したシリコン窒化膜では、膜中Cl含有量が少なく、緻密な膜が形成されたたためである。
なお、実施例4は、実施例2と比較すると、フッ酸耐性が劣っていた。これにより、実施例2のクロロアミノジシラン化合物と比較して、分子中にSi-Cl結合を多く含有する実施例4のクロロアミノジシラン化合物をシリコン含有化合物として用いた場合、粗な膜が形成されたことが示唆された。
また、実施例1、3において、クロロアミノジシラン化合物中の置換基数により、フッ酸耐性が異なる結果となった。これにより、クロロアミノジシラン化合物中の置換基数が多くなるほど、立体障害が大きく嵩高い化合物となるため、粗な膜が形成されたことが示唆された。
さらに、実施例1、2、3において、クロロアミノジシラン化合物中にSi-H結合が含有されることにより、フッ酸耐性が向上する効果が確認された。すなわち、Si-Cl結合および置換基数が少ないことで、緻密な膜が形成されたことが示唆された。
さらに、実施例2と13、実施例3と14、実施例1と15、実施例4と16を比較した結果から、式11中、ジアルキルアミノ基と比べてアルキルアミノ基の方が、フッ酸耐性が良好であることを確認した。これは、より多くの置換基を含有するジアルキルアミノ基の方が嵩高い化合物であるため、粗な膜が形成されたことが示唆された。
比較例2について、アミノジシラン化合物を用いた場合、成膜温度450℃では薄膜が形成されなかったことから、Si-Cl結合を有するクロロアミノジシラン化合物は成膜温度の低温化に効果があることが示された。
表15では、実施例2のクロロアミノジシラン化合物と比較例3のクロロアミノシラン化合物との比較を行った。
実施例2のクロロアミノジシラン化合物(SiHCl(NHC(CH)-SiHCl(NHC(CH)に対し、比較例3のクロロアミノシラン化合物(SiCl(NHC(CHの1モルに対するSi-Cl結合の数、およびアルキルアミノ基の数を同じにして比較を行った。
比較例3と比較して、実施例2のシリコン含有薄膜が、GPCならびにフッ酸耐性が良好であることが確認された。
また、膜中塩素の含有量について、比較例3では検出された一方、実施例2では検出下限値以下であった。このことから、実施例3の方がより窒化が進行し、緻密な膜が形成されたことが示唆された。
以上より、比較例3のクロロアミノシラン化合物と比べ、実施例3のクロロアミノジシラン化合物の方が低温成膜に有効であることが示された。
1・・・成膜装置
2・・・処理室
3・・・温度制御装置
4・・・減圧装置
5・・・原料容器
6・・・気化器
7・・・加熱器
P・・・被処理基材(基板)
L1・・・パージガス供給経路
L2・・・排気経路
L3・・・原料ガス供給経路
L4・・・反応ガス供給経路

Claims (5)

  1. 下式111及び113のいずれかで表されるクロロアミノジシラン化合物。
    Figure 0007458296000024

    Figure 0007458296000025

    ただし、式111及び113中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して選択される、炭素数1~5の直鎖または分枝の飽和アルキル基である。
    また、式111中、xおよびyは、1≦x+yを満たし、0~2の中から選択される整数である。
  2. 請求項1に記載のハロゲンアミノジシラン化合物からなる群から選択される、いずれか1つまたは2以上のハロゲンアミノジシラン化合物を含む、シリコン含有薄膜形成用組成物。
  3. 請求項2に記載のシリコン含有薄膜形成用組成物を用いて成膜された、シリコン含有薄膜。
  4. 膜中Cl含有量が0.1atm%以下である、請求項3に記載のシリコン含有薄膜。
  5. 前記シリコン含有薄膜は、シリコン窒化膜である、請求項3または4に記載のシリコン含有薄膜。
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