JP7456125B2 - パーフルオロアルキル基を有する含窒素複素環化合物及びその利用 - Google Patents

パーフルオロアルキル基を有する含窒素複素環化合物及びその利用 Download PDF

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Description

パーフルオロアルキル基を有する含窒素複素環化合物及びその利用に関する技術が開示される。
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode, OLED)などの有機発光素子用の発光材料の探索が行われている。発光材料としては、発光色(発光極大波長)、発光効率(発光量子収率)、励起状態安定性(耐久性)など種々の特性が好ましいことが求められる。OLED用の発光材料の中でも、熱活性化遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence, TADF)を示す化合物は、純有機物でありながら高い発光効率を示し、次世代の発光材料として期待されている。
TADF材料について、例えば、特許文献1には、下記式で表されるカルバゾール環を有する化合物が、高い発光効率を有することが記載されている。
Figure 0007456125000001
また、特許文献2には、下記式で表される、パーフルオロアルキル基を有するカルバゾール環を有する化合物が、高い発光効率を有することが記載されている。
Figure 0007456125000002
国際公開第2016/181846号 国際公開第2018/047948号
本発明者らは、全てのカルバゾール環にトリフルオロメチル基が置換された化合物(特許文献2に記載される化合物)及びカルバゾール環にトリフルオロメチル基が置換されていない同骨格の化合物(特許文献1に記載される化合物)は、時として発光波長が紫外線領域に至り、ブルーライトとして知られる人体に対して悪影響を及ぼす発光を含むという課題があることを見出した。
したがって、本発明は、好適な発光波長を有する、パーフルオロアルキル基を有する含窒素複素環化合物、及びその利用に関する技術を提供することを1つの課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、N個(Nは2以上の整数である)の式(X):
Figure 0007456125000003
(式中、Qは、単結合又は-CH2-である。)
で表される環Xを有する化合物において、隣り合う2個の環Xが、(A)直接連結、(B)π共役連結基を介した連結、及び(C)縮合連結のいずれかにより連結しており、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個以上2N個未満であると、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が0個又は2N個である点を除き同じ構造を有する化合物よりも発光波長が長くなり、好適な発光波長を有することを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねて完成したものである。
本発明は、以下の態様を包含する。
項1.
N個(Nは2以上の整数である)の式(X):
Figure 0007456125000004
(式中、Qは、単結合又は-CH2-である。)
で表される環Xを有する化合物であって、隣り合う2個の環Xが、(A)直接連結、(B)π共役連結基を介した連結、及び(C)縮合連結のいずれかにより連結しており、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個以上2N個未満である、化合物[但し、下記の化合物:
Figure 0007456125000005
(式中、Yは、シアノ基又はパーフルオロメチル基である。)
を除く]。
項2.
(A)直接連結の場合、一方の環Xの窒素原子と、他方の環Xに含まれるベンゼン環に結合する窒素原子に対してパラ位にある炭素原子とが単結合により連結し、
(B)π共役連結基を介した連結の場合、双方の環Xの窒素原子同士がπ共役連結基を介して連結し、
(C)縮合連結の場合、双方の環Xが縮合して式:
Figure 0007456125000006
(式中、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、単結合又は-CH2-である。)
で表される環を形成することにより連結する、
項1に記載の化合物。
項3.
π共役連結基が、芳香環基である、項1又は2に記載の化合物。
項4.
1個以上N個未満の環Xの各々に含まれる少なくとも1個のベンゼン環が、当該ベンゼン環に結合する窒素原子に対してメタ位にパーフルオロアルキル基を有する、項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
項5.
1個以上N個未満の環Xの各々に含まれる少なくとも1個のベンゼン環が、当該ベンゼン環に結合する窒素原子に対してパラ位にパーフルオロアルキル基を有する、項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
項6.
パーフルオロアルキル基が、パーフルオロC1-4アルキル基である、項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
項7.
1個以上の環Xに電子供与性基が置換している、項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
項8.
Qが、単結合である、項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
項9.
下記式(1)~(3):
Figure 0007456125000007
[式中、
10は、1価の芳香環基であり、
11~R20は、それぞれ独立して、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり(但し、3個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個~5個である)、
11~Q13は、それぞれ独立して、単結合又は-CH2-であり、
21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又は1価の芳香環基であり、
23~R26は、それぞれ独立して、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり(但し、m個のLに置換する環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個以上2mn個未満である)、
21は、単結合又は-CH2-であり、
Lは、1個の芳香環で構成される連結基であり、
mは、1以上の整数であり、
nは、2以上Lに置換可能な最大数以下の整数であり、
p及びqは、それぞれ独立して、0又はLに置換可能な最大数であり、
31、R35、及びR39は、それぞれ独立して、1価の芳香環基であり、
32~R34、R36~R38、及びR40~R48は、それぞれ独立して、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり(但し、6個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個~8個である)、
31~Q33及びQ41~Q43は、それぞれ独立して、単結合又は-CH2-である]
のいずれかで表される、項1に記載の化合物。
項10.
下記式(a)を満たす、項1~9のいずれか一項に記載の化合物:
1>W0 (a)
[式(a)のW1は、下記式(b):
W=863.2-0.4440×SMR_VSA9[Å2]+2.109×fr_para_hydroxylation[-]-115.4×HOMO-LUMO Gap[eV] (b)
において、前記化合物の記述子SMR_VSA9、fr_para_hydroxylation、及びHOMO-LUMO Gapの値を代入して得られるWであり、
式(a)のW0は、式(b)において、前記化合物に含まれる環Xの合計の数をN個としたとき、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が2N個である以外、前記化合物と同じ構造を有する比較化合物の記述子SMR_VSA9、fr_para_hydroxylation、及びHOMO-LUMO Gapの値を代入して得られるWである]。
項11.
項1~10のいずれか一項に記載の化合物を含む遅延蛍光材料。
項12.
項1~10のいずれか一項に記載の化合物を含む有機発光素子。
項13.
有機EL素子である、請求項12に記載の有機発光素子。
項14.
下記式(4):
Figure 0007456125000008
[式中、
1aは、1価の芳香環基であり、
1c及びR1hが、パーフルオロアルキル基であり、R1b、R1d、R1e、R1f、R1g、及びR1iのうち、1又は2個が臭素原子であり、残りが水素原子又は電子供与性基であるか、又は
1d及びR1gが、パーフルオロアルキル基であり、R1b、R1c、R1e、R1f、R1h、及びR1iのうち、1又は2個が臭素原子であり、残りが水素原子又は電子供与性基であり、
1aは、単結合又は-CH2-である]
で表される化合物。
項14.
下記式(5):
Figure 0007456125000009
[式中、
21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又は1価の芳香環基であり、
23~R26は、それぞれ独立して、水素原子又はパーフルオロアルキル基であり(但し、m個のLに置換する環のうち、少なくとも1個の環において、R23~R26の少なくとも1個は、パーフルオロアルキル基であり、R23~R26の全てがパーフルオロアルキル基ではない)、
21は、単結合又は-CH2-であり、
Lは、1個の芳香環で構成される連結基であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
mは、1以上の整数であり、
nは、2以上Lに置換可能な最大数以下の整数であり、
p及びqは、それぞれ独立して、0又はLに置換可能な最大数であり、
aは、1以上n未満の整数である]
で表される化合物。
本発明によれば、好適な発光波長を有する、パーフルオロアルキル基を有する含窒素複素環化合物、及びその利用に関する技術が提供される。
図1Aは、学習用化合物S5の1H NMRスペクトルを示す図である。 図1Bは、図1Aの部分拡大図である。 図2は、学習用化合物S6の1H NMRスペクトルを示す図である。 図3Aは、学習用化合物S7の1H NMRスペクトルを示す図である。 図3Bは、図3Aの部分拡大図である。 図3Cは、学習用化合物S7の19F NMRスペクトルを示す図である。 図4Aは、供試用化合物T1の中間体の1H NMRスペクトルを示す図である。 図4Bは、供試用化合物T1の中間体の19F NMRスペクトルを示す図である。 図4Cは、供試用化合物T1の中間体のIRスペクトルを示す図である。 図5Aは、供試用化合物T4の中間体の1H NMRスペクトルを示す図である。 図5Bは、図5Aの部分拡大図である。 図5Cは、供試用化合物T4の中間体のIRスペクトルを示す図である。 図6Aは、供試用化合物T19の中間体の1H NMRスペクトルを示す図である。 図6Bは、図6Aの部分拡大図である。 図6Cは、供試用化合物T19の中間体のIRスペクトルを示す図である。 図7Aは、供試用化合物T19の1H NMRスペクトルを示す図である。 図7Bは、図7Aの部分拡大図である。 図7Cは、供試用化合物T19のIRスペクトルを示す図である。 図8Aは、供試用化合物T19-2の1H NMRスペクトルを示す図である。 図8Bは、図8Aの部分拡大図である。 図8Cは、供試用化合物T19-2の19F NMRスペクトルを示す図である。 図8Dは、供試用化合物T19-2のIRスペクトルを示す図である。 図9は、供試用化合物T21の1H NMRスペクトルを示す図である。 図10Aは、供試用化合物T22の中間体の1H NMRスペクトルを示す図である。 図10Bは、図10Aの部分拡大図である。 図10Cは、供試用化合物T22の中間体の19F NMRスペクトルを示す図である。 図11Aは、供試用化合物T25の中間体の1H NMRスペクトルを示す図である。 図11Bは、図11Aの部分拡大図である。 図11Cは、供試用化合物T25の中間体の19F NMRスペクトルを示す図である。 図12Aは、供試用化合物T28の中間体の1H NMRスペクトルを示す図である。 図12Bは、図12Aの部分拡大図である。 図12Cは、供試用化合物T28の中間体の19F NMRスペクトルを示す図である。 図13Aは、供試用化合物T28の1H NMRスペクトルを示す図である。 図13Bは、供試用化合物T28の19F NMRスペクトルを示す図である。 図13Cは、供試用化合物T28のIRスペクトルを示す図である。 図14Aは、供試用化合物T31の中間体の1H NMRスペクトルを示す図である。 図14Bは、図14Aの部分拡大図である。 図14Cは、供試用化合物T31の中間体の19F NMRスペクトルを示す図である。 図14Dは、供試用化合物T31の中間体のIRスペクトルを示す図である。 図15Aは、供試用化合物T34の1H NMRスペクトルを示す図である。 図15Bは、図15Aの部分拡大図である。 図15Cは、供試用化合物T34の19F NMRスペクトルを示す図である。 図15Dは、供試用化合物T34のIRスペクトルを示す図である。
<定義>
本明細書において、特に断りのない限り、「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などを含む意味で用いる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルキル基」は、鎖状の飽和炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基)、ペンチル基、ヘキシルなどの、直鎖又は分岐鎖状のC1-20アルキル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「パーフルオロアルキル基」は、前記アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置換された基を意味し、具体的には、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基(ヘプタフルオロn-プロピル基又はヘプタフルオロi-プロピル基)などのパーフルオロC1-12アルキル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルコキシ基」は、前記アルキル基の末端に酸素原子が結合した基を意味し、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n-プロポキシ基、イソプロポキシ基)、ブトキシ基(n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基)などの、直鎖又は分岐鎖状のC1-12アルコキシ基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「芳香環」は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環を含む意味で用いる。
芳香族炭化水素環の炭素数は、特に制限されないが、例えば、6~40である。芳香族炭化水素環は、ベンゼン環又は複数のベンゼン環が縮合した構造を有する縮合環であることが好ましい。芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、テトラセン環、ベンゾピレン環、ペリレン環、コロネン環、コラヌレン環、フェナレン環、トリアングレン環などが挙げられる。芳香族炭化水素環は、ベンゼン環、ナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
芳香族複素環は、環構成原子の数に特に制限はないが、例えば、5員~40員である。芳香族複素環は、環構成原子として、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含有する芳香族複素環であることが好ましい。芳香族複素環としては、例えば、含酸素芳香族複素環(例:フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾ[b,d]フラン環)、含硫黄芳香族複素環(例:チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾ[b,d]チオフェン環)、含窒素芳香族複素環(例:ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3-トリアゾール環、1,2,4-トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、1,3,5-トリアジン環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、アクリジン環、フェナジン環、フェナントロリン環)、含酸素及び窒素芳香族複素環(例:オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、フェノキサジン環)、含硫黄及び窒素芳香族複素環(例:チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、フェノチアジン環)が挙げられる。芳香族複素環は、通常、カルバゾール環以外であり、5員又は6員の芳香族複素環であることが好ましく、5員又は6員の含窒素芳香族複素環であることがより好ましく、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、又は1,3,5-トリアジン環であることがさらに好ましい。
「芳香環」には、1個以上の置換基を有する芳香環も含まれる。置換基としては、例えば、アルキル基、パーフルオロアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これらはさらに置換されていてもよい。置換基の数は、0個以上芳香環に置換可能な最大数以下の範囲から選択され、例えば、1個、2個、3個、又は4個であってもよい。
本明細書において、特に断りのない限り、「1価の芳香環基」は、前記芳香環から1個の水素原子を除いた基を意味する。1価の芳香環基は、芳香族炭化水素環から1個の水素原子を除いた基(アリール基)及び芳香族複素環から1個の水素原子を除いた基(ヘテロアリール基)を含む。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などのC6-18アリール基が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアジル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基などが挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「電子供与性基(ドナー性基)」は、ハメットのσpが負の基を表す。ハメットのσpに関する説明と各基の数値については、Hansch,C.et.al.,Chem.Rev.,91,165-195(1991)を参照することができる。
好ましい電子供与性基として、例えば、メチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、メトキシ基などのアルコキシル基、メチオニル基などのアルキルスルファニル基、N-フェニルカルバゾリル基などの環Xを有する基が挙げられる。
<化合物>
一実施形態において、本発明の化合物は、N個(Nは2以上の整数である)の環Xを有する化合物であって、隣り合う2個の環Xが、(A)直接連結、(B)π共役連結基を介した連結、及び(C)縮合連結のいずれかにより連結しており、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個以上2N個未満である、化合物であることが好ましい。1個以上の環Xは、カルバゾール環(Qが単結合)であることが好ましい。N個の環Xは、カルバゾール環のみであることも好ましく、カルバゾール環及びアクリジン環(Qが-CH2-)の組合せであることも好ましい。環Xは、1個以上の置換基(パーフルオロアルキル基、電子供与性基など)を有していてもよい。1個以上N個未満の環Xの各々に含まれる少なくとも1個(好ましくは2個)のベンゼン環が、当該ベンゼン環に結合する窒素原子に対してメタ位又はパラ位(好ましくはメタ位)にパーフルオロアルキル基を有することが好ましい。また、1個以上N個未満の環Xの各々に含まれる少なくとも1個(好ましくは2個)のベンゼン環が、当該ベンゼン環に結合する窒素原子に対してメタ位にパーフルオロアルキル基を有し、パラ位に電子供与性基を有することも好ましい。
(A)直接連結の場合、隣り合う2個の環Xのうち、一方の環Xの任意の原子と他方の環Xの任意の原子とが単結合により連結することができる。なかでも、一方の環Xの窒素原子と、他方の環Xに含まれるベンゼン環に結合する窒素原子に対してメタ位又はパラ位(好ましくはメタ位)にある炭素原子とが単結合により連結するのが好ましい。
環Xがカルバゾール環である場合、一方のカルバゾール環の9位の窒素原子と他方のカルバゾール環の任意の原子とが単結合により連結するのが好ましく、一方のカルバゾール環の9位の窒素原子と他方のカルバゾール環の2位、3位、6位、又は7位の炭素原子とが単結合により連結するのがさらに好ましく、一方のカルバゾール環の9位の窒素原子と他方のカルバゾール環の3位又は6位の炭素原子とが単結合により連結するのが特に好ましい。
(B)π共役連結基を介した連結の場合、隣り合う2個の環Xのうち、一方の環Xの任意の原子と他方の環Xの任意の原子とがπ共役連結基を介して連結することができる。なかでも、双方の環Xの窒素原子同士(環Xがカルバゾール環である場合、9位の窒素原子同士)がπ共役連結基を介して連結するのが好ましい。
π共役連結基としては、π電子共役系を形成し得るものであればその種類は特に制限されず、σ軌道の電子が空間的に近い位置にあるπ*軌道或いは空のp軌道と相互作用することによる、超共役を形成し得るものであってもよい。π共役連結基は、非芳香族π共役連結基であってもよく、芳香族π共役連結基であってもよい。
非芳香族π共役連結基としては、例えば、超共役性のメチレン(CH2)基、CF2基、C(CF3)2基などが挙げられる。
芳香族π共役連結基は、1個の芳香環で構成される連結基であってもよく、互いに直接結合した2個以上の芳香環で構成される連結基であってもよい。
1個の芳香環で構成される連結基において、当該芳香環は、ベンゼン環、ナフタレン環、5員もしくは6員の芳香族複素環、ジベンゾ[b,d]フラン環、又はジベンゾ[b,d]チオフェン環であることが好ましく、ベンゼン環、又は5員もしくは6員の含窒素芳香族複素環であることがより好ましく、ベンゼン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、又は1,3,5-トリアジン環であることがさらに好ましい。
互いに直接結合した2個以上の芳香環で構成される連結基は、例えば、下記式:
Figure 0007456125000010
(式中、Ar1~Ar6は、それぞれ独立して芳香環であり、a2、a3、a4、及びa6は、それぞれ独立して0以上の整数である。)
で表される構造に基づく。
Ar1~Ar6で表される芳香環は、ベンゼン環、又は5員もしくは6員の含窒素芳香族複素環であることが好ましく、ベンゼン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、又は1,3,5-トリアジン環であることがより好ましい。
a2及びa6は、好ましくは0、1、2、3、又は4であり、より好ましくは0、1、2、又は3であり、さらに好ましくは0、1、又は2である。
a3は、0又は1であることが好ましい。
a3が1以上であるとき、a4は、0、1、又は2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
一態様において、a3及びa4は、0であることが好ましい。当該態様では、Ar1、Ar2、及びAr6がベンゼン環であり、Ar5がベンゼン環又は1,3,5-トリアジン環であることが好ましい。
別の態様において、a3が1であり、a4が0であることが好ましい。当該態様では、a2及びa6が0であり、Ar1、Ar3、及びAr5がベンゼン環であることが好ましい。
互いに直接結合した2個以上の芳香環で構成される連結基は、好ましくは、下記式:
Figure 0007456125000011
(式中、
1~X5は、それぞれ独立して、CR6又はNであり、
1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基、シアノ基、又はアリール基であり、
破線は、芳香族性を示す。)
で表される構造、又は
Figure 0007456125000012
(式中、
1'、R2'、R4'、及びR5'は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基、シアノ基、又はアリール基であり、
1~X5、R1~R5、及び破線は、前記と同じである。)
で表される構造
に基づく。
1~X5の組合せとしては、
1~X5がCR6である組合せ、
1、X2、X4、及びX5がCR6であり、X3がNである組合せ、又は
1、X3、及びX5がNであり、X2及びX4がCR6である組合せ
が好ましい。
6としては、水素原子又はフェニル基が好ましい。
1~R5の組合せとしては、
1、R2、R4、及びR5が水素原子であり、R3が、アルキル基、パーフルオロアルキル基、シアノ基、又はアリール基である組合せ
が好ましい。
(C)縮合連結の場合、隣り合う2個の環Xの縮合形態は特に制限されない。双方の環Xが縮合して、式:
Figure 0007456125000013
(式中、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、単結合又は-CH2-である。)
で表される環を形成することにより連結することが好ましく、式:
Figure 0007456125000014
で表される環を形成することにより連結することがさらに好ましい。これらの縮合環は、さらに隣り合う環Xと連結してもよい。この場合は環Xの数を3個とカウントする。
環Xがカルバゾール環である場合、双方のカルバゾール環が縮合して、インドロ[3,2-a]カルバゾール環、インドロ[3,2-b]カルバゾール環、インドロ[2,3-a]カルバゾール環、インドロ[2,3-b]カルバゾール環、又はインドロ[2,3-c]カルバゾール環を形成することにより連結してもよい。なかでも、双方のカルバゾール環が縮合して、インドロ[3,2-a]カルバゾール環を形成することにより連結することが好ましい。これらの縮合環は、さらに隣り合うカルバゾール環と連結して、ジインドロ[2,3-a:2',3'-c]カルバゾール環又はジインドロ[3,2-a:3',2'-c]カルバゾール環を形成することにより連結してもよい。
Nは、2以上である限り特に制限されないが、好ましくは12以下、10以下、又は8以下である。
1個の環Xに置換し得るパーフルオロアルキル基の数は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下である。
N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数は、偶数であっても奇数であってもよい。奇数である場合、複数の立体異性体(コンフォマー)が存在し、それぞれの構造がTADFに寄与するため、逆項間交差速度が向上し、発光材料の耐久性が向上し得る。N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が1個以上2N個未満の場合、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が0個又は2N個の場合よりも発光波長が長くなり、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が大きくなるにつれて発光波長が長くなる傾向にある。
N個の環Xのうち、パーフルオロアルキル基が置換する環Xは、2個のパーフルオロアルキル基が置換していることが好ましく、2個の置換位置は、特に限定されないが、環Xに含まれるベンゼン環に結合する窒素原子に対してメタ位又はパラ位であることが好ましい。すなわち、環Xがアクリジン環又はカルバゾール環である場合、2個の置換位置は、2位及び7位、或いは、3位及び6位が好ましい。また、1個以上N個未満のカルバゾール環の2位及び7位、或いは、3位及び6位にパーフルオロアルキル基が置換していることが好ましく、1個以上N個未満のカルバゾール環の2位及び7位にパーフルオロアルキル基が置換していることがさらに好ましい。カルバゾール環の2位及び7位にパーフルオロアルキル基が置換した化合物は、カルバゾール環にパーフルオロアルキル基が置換していない化合物、並びに、カルバゾール環の3位及び6位にパーフルオロアルキル基が置換した化合物と比較して、励起三重項状態(T1)エネルギーが低い。そのため、これを部分構造とするTADF材料は、励起三重項CT状態とカルバゾール部の励起三重項状態のエネルギー差が小さく、軌道間の混和が起こりやすい。そのため励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差が促進され、遅延蛍光寿命が短くなる傾向にある。
パーフルオロアルキル基としては、パーフルオロC1-6アルキル基が好ましく、パーフルオロC1-4アルキル基がさらに好ましい。
一実施形態において、本発明の化合物は、下記式(1)~(3):
Figure 0007456125000015
[式中、
10は、1価の芳香環基であり、
11~R20は、それぞれ独立して、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり(但し、3個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個~5個である)、
11~Q13は、それぞれ独立して、単結合又は-CH2-であり、
21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又は1価の芳香環基であり、
23~R26は、それぞれ独立して、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり(但し、m個のLに置換する環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個以上2mn個未満である)、
21は、単結合又は-CH2-であり、
Lは、1個の芳香環で構成される連結基であり、
mは、1以上の整数であり、
nは、2以上Lに置換可能な最大数以下の整数であり、
p及びqは、それぞれ独立して、0(不存在)又はLに置換可能な最大数(存在)であり、
31、R35、及びR39は、それぞれ独立して、1価の芳香環基であり、
32~R34、R36~R38、及びR40~R48は、それぞれ独立して、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり(但し、6個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個~8個である)、
31~Q33及びQ41~Q43は、それぞれ独立して、単結合又は-CH2-である]
のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
式(1)において、R10としては、アリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。これらは、1個以上の置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、パーフルオロアルキル基、シアノ基が挙げられる。
11~R20の組合せとしては、
11及びR12が、パーフルオロアルキル基であり、
13、R14、R17、及びR18が、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり、
15、R16、R19、及びR20が、水素原子又は電子供与性基である
組合せが好ましく、
11及びR12が、パーフルオロアルキル基であり、
13~R20が、水素原子である
組合せ、又は
11、R12、R13、及びR14が、パーフルオロアルキル基であり、
15~R20が水素原子である
組合せがより好ましい。
3個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数は、2~4個が好ましい。
式(2)において、R21及びR22で表されるアルキル基としては、C1-4アルキル基が好ましく、C1-3アルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。
21及びR22で表される1価の芳香環基としては、例えば、R10と同様の基が挙げられ、アリール基、又は1個以上のフェニル基を有していてもよいヘテロアリール基が好ましく、フェニル基、或いは、1個以上のフェニル基を有していてもよいピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基がより好ましい。
21及びR22は、水素原子、メチル基、フェニル基、又は4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基であることが特に好ましい。
23及びR24の組合せとしては、
23及びR24が、水素原子又は電子供与性基であり、
25及びR26が、パーフルオロアルキル基である
組合せも好ましいが、
23及びR24が、パーフルオロアルキル基であり、
25及びR26が、水素原子又は電子供与性基である
組合せがより好ましい。
23~R26の全てがパーフルオロアルキル基ではないことが好ましい。
Lとしては、例えば、π共役系連結基の説明において、1個の芳香環で構成される連結基として例示した基が挙げられる。Lは、ベンゼン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、又は1,3,5-トリアジン環で構成される連結基であることが好ましい。
nは、Lの種類にもよるが、2、3、4、又は5であることが好ましい。
mは、好ましくは1、2、3、又は4であり、より好ましくは1、2、又は3であり、さらに好ましくは1又は2である。
p及びqは、L、n、及びmに応じて、0又はLに置換可能な最大数を選択することができる。
(例1)mが1であり、Lがピリジン環であり、nが5である場合、p及びqは0である。
(例2)mが1であり、Lがベンゼン環であり、nが5である場合、p及びqの合計は1である。
(例3)mが1であり、Lがベンゼン環であり、nが4である場合、p及びqの合計は2である。
(例4)mが1であり、Lがベンゼン環であり、nが3である場合、p及びqの合計は3である。
(例5)mが2であり、各Lがベンゼン環であり、R21が結合するLに置換する環Xの数nが4であり、R22が結合するLに置換する環Xの数nが2である場合、pは1であり、qは3である。
(例6)mが2であり、R21が結合するLがベンゼン環であり、R22が結合するLが1,3,5-トリアジン環であり、R21が結合するLに置換する環Xの数nが4であり、R22が結合するLに置換する環Xの数nが2である場合、pは1であり、qは0である。
式(3)において、R31、R35、及びR39で表される1価の芳香環基としては、例えば、R10と同様の基が挙げられ、アリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
32~R34、R36~R38、及びR40~R48の組合せとしては、
32及びR33がパーフルオロアルキル基であり、
34、R36~R38、及びR40~R48が水素原子である
組合せが好ましく、
32、R33、R36、及びR37がパーフルオロアルキル基であり、
34、R38、及びR40~R48が水素原子である
組合せも好ましいが、
32、R33、R36、R37、R40、及びR41がパーフルオロアルキル基であり、
34、R38、及びR42~R48が水素原子である
組合せがより好ましい。
一実施形態において、本発明の化合物は、下記表1に示される化合物群から選択される化合物であることが好ましい。
一実施形態において、本発明の化合物は、下記式(a)を満たすことが好ましい。
1>W0 (a)
[式(a)のW1は、下記式(b):
W=863.2-0.4440×SMR_VSA9[Å2]+2.109×fr_para_hydroxylation[-]-115.4×HOMO-LUMO Gap[eV] (b)
において、前記化合物の記述子SMR_VSA9、fr_para_hydroxylation、及びHOMO-LUMO Gapの値を代入して得られるWであり、
式(a)のW0は、式(b)において、前記化合物に含まれる環Xの合計の数をN個としたとき、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が2N個である以外、前記化合物と同じ構造を有する比較化合物の記述子SMR_VSA9、fr_para_hydroxylation、及びHOMO-LUMO Gapの値を代入して得られるWである]。
式(b)において、記述子「SMR_VSA9」は、三重結合をもつ炭素、並びに、酸素原子及び芳香環に結合する芳香族炭素の総表面積(単位:Å2)である。より詳細には、SMR_VSA9は、溶解自由エネルギー、沸点などの分子の物理化学的性質を予測するためにLABUTEによって作られたVSA型記述子の一つである(LABUTE, Paul. A widely applicable set of descriptors. Journal of Molecular Graphics and Modelling, 2000, 18.4-5: 464-477)。
VSA型記述子は、分子中の各原子が任意の性質(数値)Piをもつとすると、ある範囲内の性質Pをもつ表面積の合計として定義され、下記式(S1):
Figure 0007456125000018
で表される。ここで、Viは各原子のファンデルワールス表面積(van der Waals surface area; VSA)であり、原子のファンデルワールス半径と標準的な結合距離から近似的に計算された値である。δ(A)は条件式Aが真のとき1、偽のとき0を返す関数である。
VSA型記述子「P_VSAk」は、水素原子を除く全ての原子についてのViδ(A)の総和である。条件式AのPiがMR(後述)のとき、このVSA型記述子はSMR_VSAkと呼ばれる。SMR_VSAkは、主に分極率を記述する。SMR_VSAkに対する範囲の境界{ak}は、下記式(S2):
Figure 0007456125000019
で表される。MRとは、分子のモル屈折率(molar refractivity)を原子寄与法(下記式(S3)):
Figure 0007456125000020
により予測する際の原子毎の係数Piであり、Crippenらによって3412分子の実験データから決定されたものである。MRの値は68個の原子タイプ毎に定められている。そのうち、SMR_VSA9に対応する範囲[3.80, 4.00]にある原子タイプは、下表に示す3タイプのみである。
Figure 0007456125000021
例えば、アンピロンの場合、ピラゾール環に結合する芳香族炭素がC20に該当し、フェノールの場合、ヒドロキシ基に隣接する芳香族炭素がC23に該当する。
すなわち、SMR_VSA9は、それに対応する範囲[3.80, 4.00]にある原子タイプに属する原子のファンデルワールス表面積の総和ということができる。
式(b)において、記述子「fr_para_hydroxylation」は、パラ-ヒドロキシ化を受けうる芳香環上の反応点の数を示す。当該記述子におけるヒドロキシ化を受けうる芳香環上の反応点の定義は、以下の(b1)と(b2)の両方を満たすものである。
(b1)6個の炭素原子で構成される芳香環に酸素原子又は窒素原子が結合している。当該芳香環は、多環芳香族化合物の部分構造であってもよく、酸素原子及び窒素原子は、当該芳香環に縮合する他の環構造を構成する一部分であってもよい。なお、当該窒素原子は3個の任意の原子と共有結合しているか、2個の水素原子又は炭素原子と共有結合している必要がある。
(b2)酸素原子又は窒素原子が結合した炭素原子を基準として、パラ位及びメタ位の炭素原子に水素原子が結合している。
上記の定義をSMARTS表記で示す場合、以下の論理式で記述される。
[$([cH]1[cH]cc(c[cH]1)~[$([#8,$([#8]~[H,c,C])])]),$([cH]1[cH]cc(c[cH]1)~[$([#7X3,$([#7](~[H,c,C])~[H,c,C])])]),$([cH]1[cH]cc(c[cH]1)-!:[$([NX3H,$(NC(=O)[H,c,C])])])]
式(b)において、記述子「HOMO-LUMO Gap」は、量子化学計算により化合物のHOMO及びLUMOのエネルギー準位を算出し、算出したLUMO準位からHOMO準位を減算した値である。なお、量子化学計算は密度汎関数法によって実施し、汎関数にはB3LYP、基底関数には6-31g(d,p)を使用した。エネルギー準位は、当該汎関数及び基底関数で構造最適化した際に算出された値を代表値として使用した。量子化学計算のソフトウェアに特に限定はなく、いずれを用いても同様に求めることができるが、本発明においてはGaussian 09 Rev.Dを使用した。
式(b)は、機械学習により作成された、発光極大波長の予測式(又は回帰式)であることが好ましく、具体的には、
(i)学習用化合物の構造から発光極大波長に関連する記述子を抽出するステップ、及び
(ii)ステップ(i)により抽出された記述子の関数として表される、発光極大波長の予測式を作成するステップ
を含む方法により作成された、発光極大波長の予測式であることが好ましい。
ステップ(i)
学習用化合物は、発光極大波長が既知である又は次の方法により測定された化合物である限り、特に制限されない。
(発光極大波長の測定方法)
学習用化合物がホスト材料(2,8-Bis(diphenylphosphoryl)dibenzo[b,d]thiophene (PPT))に対して10質量%となるように調整した薄膜(膜厚50nm)に280nmの励起光を照射した際の発光スペクトルのピークトップを測定する。
学習用化合物には、予測範囲を拡大するという観点から、発光極大波長の実測値が400nm以下の化合物と、500nm以上の化合物の両方が含まれることが好ましい。
学習用化合物には、環Xに置換したパーフルオロアルキル基の数の影響を考慮する観点から、全ての環Xに2個ずつパーフルオロアルキル基が置換した化合物と、全ての環Xにパーフルオロアルキル基が全く置換されていない化合物の両方が含まれることが好ましい。
一実施形態において、学習用化合物は、下記表3に示される化合物群から選択される化合物を含むことが好ましい。
Figure 0007456125000022
学習用化合物の数の下限は、特に制限されないが、予測精度を高める点から、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上がさらに好ましく、20以上が特に好ましい。また、学習用化合物の上限は、特に制限されないが、データの収集性の点から、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。
発光極大波長に関連する記述子の種類は特に制限されない。発光極大波長に関連する記述子は、0~4次元記述子から選択された少なくとも一種であることが好ましい。0次元記述子としては、例えば、C, H, O, N, ハロゲン等の原子の数、結合数、分子量等が挙げられる。1次元記述子としては、例えば、アルキル基, アリール基, アリールアルキル基, ヒドロキシ基, エステル基, アミノ基等の官能基の数、芳香環の数、パラ-ヒドロキシ化を受けうる芳香環上の反応点の数等が挙げられる。2次元記述子としては、例えば、SMR_VSA1~10, PEOE_VSA1~14, SlogP_VSA1~12, Estate_VSA1~11等の構造式で特徴付けられるもの等が挙げられる。3次元記述子としては、例えば、3D-MoRSE, WHIM, GETAWAY等の幾何学的に特徴付けられるもの、HOMO-LUMO Gap等が挙げられる。4次元記述子としては、例えば、GRID, CoMFA, Volsurf等によって算出され、相互作用エネルギーで特徴付けられるもの等が挙げられる。
発光極大波長に関連する記述子には、学習用化合物の合計数に対して、例えば80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは100%の数の学習用化合物が共通して同じ値をもつ記述子を含まないことが好ましい。
発光極大波長に関連する記述子の数は特に制限されない。発光極大波長に関連する記述子の数は、過学習の観点から、学習用化合物の数よりも少ないことが好ましい。また、発光極大波長に関連する記述子の数は、記述子の係数をコントロールする正則化を用いて調整してもよい。
学習用化合物の構造から発光極大波長に関連する記述子を抽出する方法は、特に限定されないが、(i-1)学習用化合物の構造から一群の記述子の値を生成するステップ、及び(i-2)その群から発光極大波長に関連する記述子を抽出するステップを含む方法であることが好ましい。当該方法は、さらに、ステップ(i-1)で生成した一群の記述子の値を正規化変換するステップを含むことが好ましい。正規化変換の方法としては、例えば、標準化変換、Yeo-Johnson変換などが挙げられる。一実施形態において、機械学習用PythonライブラリであるScikit-learnを用いて正規化変換を実行することがより好ましい。
ステップ(i-2)の抽出方法としては、スパースモデリングにより抽出する方法、予測対象との相関係数で選択する方法、予測精度を基に再帰的に記述子を追加又は削除する方法などが挙げられる。なかでも、スパースモデリングにより抽出する方法が好ましい。
スパースモデリングとしては、例えば、貪欲法、凸緩和法、確率推論などが挙げられる。貪欲法としては、例えば、直交マッチング追跡(OMP)、マッチング追跡(MP)、弱マッチング追跡(Weak MP)、閾値アルゴリズムなどが挙げられる。凸緩和法としては、例えば、基底追跡法、反復再重み付け最小二乗法(IRLS)、ホモトピー法などが挙げられる。確率推論としては、近似メッセージ伝搬法(AMP)などが挙げられる。一実施形態において、スパースモデリングは、直交マッチング追跡であることが好ましい。
ステップ(ii)
ステップ(ii)は、機械学習により予測式を作成することが好ましい。機械学習としては、例えば、重回帰、Ridge回帰、LASSO回帰、Elastic Net、サポートベクター回帰、ランダムフォレスト回帰、ニューラルネットワークなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。データ数が少ない場合は、線形モデルを採用する方法を採用することが、過学習の防止及び解釈可能性の高さの観点から好ましい。一実施形態において、機械学習は、Ridge回帰、LASSO回帰、Elastic Netが好ましい。また、一実施形態において、機械学習は、LibSVM、TensorFlowTM、Chainer(商標)、Jubatus(商標)、Caffe、Theano、Torch、neonTM、MXNet、The Microsoft Cognitive Toolkit、R(C)、MATLAB(商標)、Mathematica(商標)、SAS(商標)、RapidMiner(商標)、KNIME(商標)、WeKa、shogun-toolbox/shogun、Orange、Apache MahoutTM、scikit-learn、mlpy、XGBoost、Deeplearning4jなどのコンピュータソフトウェアを利用して実行することが好ましい。
一実施形態において、本発明の化合物は、下記式(c)を満たすことが好ましい:
1>W2 (c)
[式(c)のW1は、式(a)のW1と同じであり、
式(c)のW2は、式(b)において、前記化合物に含まれる環Xの合計の数をN個としたとき、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が0個である以外、前記化合物と同じ構造を有する比較化合物の記述子SMR_VSA9、fr_para_hydroxylation、及びHOMO-LUMO Gapの値を代入して得られるWである]。
本発明の化合物は、遅延蛍光材料として有用である。また、本発明の化合物は、有機発光素子の発光材料として有用であり、有機発光素子の発光層の材料として好適に利用することができる。
本発明の化合物の発光極大波長(λmax)は、好ましくは、450nm以上又は455nm以上であってもよく、520nm以下又は510nm以下であってもよい。発光極大波長は、本発明の化合物がホスト材料(PPT)に対して10質量%となるように調整した薄膜(膜厚50nm)に280nmの励起光を照射した際の発光スペクトルのピークトップを測定することにより求められる。
本発明の化合物のHOMO準位は、好ましくは、-5.0eV以下又は-5.5eV以下であってもよく、-7.0eV以上、-6.5eV以上、又は-6.4eV以上であってもよい。N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が大きくなるにつれ、HOMO準位が小さくなる傾向にある。このようなHOMO準位により、ホスト材料などの周辺材料との適合性に優れる。HOMO準位は、大気中光電子分光装置(例えば、理研計器株式会社製AC―3)を用いて測定することができる。
本発明の化合物の最低励起一重項エネルギー(S1)と最低励起三重項エネルギー(T1)の差(ΔEST)の絶対値は、好ましくは、0.3eV以下又は0.2eV以下であり、通常、0.001eV以上である。ΔESTがこのような範囲にあると、効率的に三重項励起子を一重項励起子にアップコンバージョン可能であり、デバイスの効率や耐久性の向上に繋がる。ΔESTは、λmaxの測定方法と同様の手法により測定することができ、蛍光スペクトル(室温)と燐光スペクトル(77K)を測定し、それぞれの立ち上がりの波長の差から算出することができる。
本発明の化合物は、N個のカルバゾール環に置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が0個又は2N個(特に各々のカルバゾール環にパーフルオロアルキル基が2個ずつ置換する)である点を除き、本発明の化合物と同じ構造を有する化合物(比較化合物)よりも発光強度が高いことが好ましい。本発明の化合物の発光強度は、比較化合物の発光強度を100としたとき、110以上又は120以上であることが好ましい。発光強度がこのような範囲にあると、発光効率が高くなり、デバイスの消費電力を低減することができる。なお、発光強度は発光材料がホスト材料(PPT)に対して10質量%となるように調整した薄膜(膜厚50nm)に280nmの励起光を照射した際、ピーク発光強度の比率から下記式により求めた。
発光強度 = (発明化合物のピーク発光強度)/(パーフルオロアルキル基の置換していないカルバゾール環を有する化合物のピーク発光強度) × 100
ピーク発光強度は慣用の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製「PMA12」)により測定することができる。
本発明の化合物の遅延蛍光寿命は、好ましくは、10μs以下又は5μs以下であり、通常、10ns以上である。蛍光寿命がこのような範囲にあると、三重項励起子濃度が低下し、デバイスの耐久性を向上させることができる。遅延蛍光寿命は、慣用の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製「Quantaurus-Tau」)により測定することができる。
本発明の化合物の励起状態安定性は、0.5時間以上又は1時間以上であることが好ましい。励起状態安定性がこのような範囲にあると、デバイスの耐久性を向上させることができる。励起状態安定性は、本発明の化合物のトルエン溶液(濃度1.0x10-5M)を使用し、アルゴンバブリングにより脱気後、撹拌しながら励起光(朝日分光株式会社製キセノン光源MAX-303、波長300~400nm、5mW/cm2)を照射し、初期発光から発光強度が半分に低下するまでの時間を測定することにより求められる。
<化合物の製造方法>
一実施形態において、本発明の化合物は、例えば2個の環Xを、(A)直接連結、(B)π共役連結基を介した連結、及び(C)縮合連結のいずれかにより連結する反応を繰り返して製造することができる。
(A)直接連結により連結する反応は、一方の環Xの任意の原子と他方の環Xの任意の原子との直接結合が形成される反応である限り、特に制限されない。例えば、一方の環Xに置換するハロゲン原子と、他方の環XのNH部位との反応(以下、反応Aという。)であってもよい。
反応Aの一方の反応成分は、1個以上のハロゲン原子が置換された環Xを有する化合物A1であることが好ましく、他方の反応成分は、ハロゲン原子が置換されていない環Xを有する化合物A2であることが好ましい。
化合物A1において、環Xに置換するハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましい。また、環Xに置換するハロゲン原子の数は、例えば1個又は2個であり、好ましくは2個である。さらに、ハロゲン原子の置換位置は、アクリジン環又はカルバゾール環の2位、3位、6位、7位などであってもよい。
化合物A1及び化合物A2のいずれか一方の環Xに、1個以上(好ましくは2個)のパーフルオロアルキル基が置換されていることが好ましく、化合物A1の環Xに、1個以上(好ましくは2個)のパーフルオロアルキル基が置換されていることがより好ましい。パーフルオロアルキル基の置換位置は、アクリジン環又はカルバゾール環の2位、3位、6位、7位などであってもよい。
化合物A1としては、下記式(4):
Figure 0007456125000023
[式中、
1aは、1価の芳香環基であり、
1c及びR1hが、パーフルオロアルキル基であり、R1b、R1d、R1e、R1f、R1g、及びR1iのうち、1又は2個が臭素原子であり、残りが水素原子又は電子供与性基であるか、又は
1d及びR1gが、パーフルオロアルキル基であり、R1b、R1c、R1e、R1f、R1h、及びR1iのうち、1又は2個が臭素原子であり、残りが水素原子又は電子供与性基であり、
1aは、単結合又は-CH2-である]
で表される化合物が好ましい。
化合物A1は、当該化合物の環Xに置換するハロゲン原子の総モル数が、化合物A2の環XのNH部位1モルに対して、0.5モル以上、0.6モル以上、0.7モル以上、又は0.8モル以上となるように使用することが好ましく、2.5モル以下、2モル以下、1.5モル以下、又は1.2モル以下となるように使用することも好ましい。
反応Aは、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、反応成分を溶解可能である限り、特に制限されず、例えば、アミン(例:トリエチルアミンなどの鎖状アミン、N-メチルピロリドンなどの環状アミン)、アミド(例:ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例:ジメチルスルホキシド)などが挙げられる。溶媒は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
反応Aは、塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基としては、例えば、n-ブチルリチウム、NaH、K2CO3、Cs2CO3、t-ブトキシナトリウム、t-ブトキシカリウム、これら2種以上の組合せなどが挙げられる。n-ブチルリチウムを使用する場合、国際公開第2008/117826号、Chemistry of Materials, 2010, 22(7), 2403~2410などを参照でき、NaHを使用する場合、韓国特許出願公開公報2018-063708号公報などを参照できる。
反応Aは、触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としては、例えば、パラジウム触媒などが挙げられる。パラジウム触媒を使用する場合、国際公開第2011/08902号、国際公開第2015/137472号などを参照できる。
(B)π共役連結基を介した連結の場合、一方の環Xの任意の原子と他方の環Xの任意の原子とのπ共役連結基を介した結合が形成される反応である限り、特に制限されない。例えば、2個以上のハロゲン原子を有するπ共役系化合物の各ハロゲン原子と、環XのNH部位との反応(以下、反応Bという。)であってもよい。
反応Bの一方の反応成分は、2個以上のハロゲン原子を有するπ共役系化合物B1であることが好ましい。π共役系化合物B1は、2個以上の環Xと反応してπ共役連結基を形成する化合物である限り、特に制限されない。π共役系化合物において、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子であることが好ましく、ハロゲン原子の数は、2個、3個、4個、5個、又は6個であることが好ましい。
π共役系化合物B1は、2個以上のハロゲン原子を有する芳香族化合物であることが好ましい。芳香族化合物を構成する芳香環としては、例えば、π共役連結基の説明において、1個の芳香環で構成される連結基、又は互いに直接結合した2個以上の芳香環で構成される連結基において、芳香環として例示した環が挙げられる。
π共役系化合物B1としては、下記式(5):
Figure 0007456125000024
[式中、
Xは、ハロゲン原子であり、
aは、1以上n未満の整数であり、
21~R26、Q21、L、m、n、p、及びqは、前記と同じである]
で表される化合物が好ましい。
式(5)において、Xとしては、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましい。
m個のLに置換する環Xのうち、少なくとも1個の環Xにおいて、R23~R26の少なくとも1個がパーフルオロアルキル基であることが好ましく、R23及びR24、或いは、R25及びR26がパーフルオロアルキル基であることがより好ましく、R23及びR24がパーフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。
反応Bの他方の反応成分は、ハロゲン原子が置換されていない環Xを有する化合物B2であることが好ましい。
π共役系化合物B1は、当該化合物のハロゲン原子の総モル数が、化合物B2の環XのNH部位1モルに対して、0.5モル以上、0.6モル以上、0.7モル以上、又は0.8モル以上となるように使用することが好ましく、2.5モル以下、2モル以下、1.5モル以下、又は1.2モル以下となるように使用することも好ましい。
反応Bは、反応Aと同様、溶媒、塩基、触媒などの存在下で行うことが好ましく、各成分は、反応Aで例示したものと同じものを使用することができる。
(C)縮合連結の場合、2個以上の環Xの縮合物を利用することができ、例えば、インドロ[3,2-a]カルバゾール環、インドロ[3,2-b]カルバゾール環、インドロ[2,3-a]カルバゾール環、インドロ[2,3-b]カルバゾール環、インドロ[2,3-c]カルバゾール環、ジインドロ[2,3-a:2',3'-c]カルバゾール環、ジインドロ[3,2-a:3',2'-c]カルバゾール環を利用することができる。
[有機発光素子]
一実施形態において、本発明の有機発光素子は、本発明の化合物を含むことが好ましく、本発明の化合物を発光材料もしくはアシストドーパント化合物として含むことがより好ましい。
有機発光素子としては、例えば、有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。有機発光素子は、有機EL素子であることが好ましい。
有機EL素子は、陽極、陰極、及び陽極と陰極との間に形成された有機層とを有することが好ましい。
有機層は、少なくとも発光層を含むことが好ましく、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層に加えて、1層以上の他の有機層を含んでいてもよい。他の有機層としては、例えば、注入層(例:正孔注入層、電子注入層)、阻止層(例:電子阻止層、正孔阻止層、励起子阻止層)、正孔輸送層、電子輸送層などが挙げられる。正孔輸送層は、正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。
有機EL素子は、発光層で発生した光を基板側から取り出すボトムエミッション型であってもよいし、発光層で発生した光を基板の反対側から取り出すトップエミッション型であってもよい。いずれの型であっても、基板側に形成する電極は陽極であってもよいし、陰極であってもよい。光を取り出す側の電極は透明であることが好ましく、その反対側の電極は透明であっても透明でなくてもよい。
有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。基板については、特に制限はなく、従来から有機EL素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(例えば4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としては、Auなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの透明導電性材料が挙げられる。また、IDIXO(In23-ZnO)などの非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、電極材料を蒸着、スパッタリングなどの方法により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、電極材料の蒸着、スパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。或いは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式成膜法を用いることもできる。陽極から発光を取り出す場合には、透過率を10%よりも大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、通常、10~1000nm、好ましくは10~200nmの範囲で選ばれる。
陰極としては、仕事関数の小さい(例えば4eV以下)金属(電子注入性金属)、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウムなどが好適である。陰極は、電極材料を蒸着、スパッタリングなどの方法により薄膜を形成することにより作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。陰極の膜厚は通常10nm~5μm、好ましくは50~200nmの範囲で選ばれる。なお、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上するため好ましい。また、陽極の説明で挙げた透明導電性材料を陰極に用いることで透明又は半透明の陰極を作製することができ、陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
発光層は、陽極及び陰極のそれぞれから注入された正孔及び電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光(例:蛍光発光、遅延蛍光発光、及びその両方)する層であることが好ましい。発光層は、発光材料を単独で含む層であってもよいが、発光材料及びホスト材料を含む層であることが好ましい。発光材料として、本発明の化合物(1種又は2種以上)を用いることができる。ホスト材料としては、特に制限されないが、励起一重項エネルギー及び励起三重項エネルギーの少なくとも一方が、本発明の化合物よりも高い値を有する有機化合物を用いることが好ましい。また、ホスト材料は、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
さらに、ホスト化合物及び発光性化合物を含む発光層に、TADF性を示す化合物を第三成分(アシストドーパント化合物)として発光層に含めると、高発光効率発現に有効である(H.Nakanоtani,et al.,Nature Communicaion,2014,5,4016-4022)。アシストドーパント化合物上に25%の一重項励起子と75%の三重項励起子を電界励起により発生させることによって、三重項励起子は逆項間交差(RISC)を伴って一重項励起子を生成することができる。一重項励起子のエネルギーは、発光性化合物へエネルギー移動し、発光性化合物が発光することが可能となる。従って、理論上100%の励起子エネルギーを利用して、発光性化合物を発光させることが可能となり、高発光効率が発現する。
発光層中の本発明の化合物の含有量は0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
注入層は、駆動電圧低下又は発光輝度向上のため、電極と有機層との間に設けられる層であることが好ましい。注入層は、正孔注入層及び電子注入層を包含する。注入層は、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、及び、陰極と発光層又は電子輸送層との間に設けてもよい。
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)及び/又は励起子の発光層外への拡散を阻止できる層であることが好ましい。電子阻止層は、発光層と正孔輸送層との間に配置することができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止できる。同様に、正孔阻止層は、発光層と電子輸送層との間に配置することができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止できる。電子阻止層及び正孔阻止層は、それぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層又は励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層及び励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であることが好ましい。励起子阻止層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層、電子阻止層などを有することができる。陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギー及び励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギー及び励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
正孔輸送層は正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなることが好ましく、正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものが好ましく、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる正孔輸送材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔輸送材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物、及びスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。また、酸化モリブデンなどの無機半導体を正孔輸送材料として用いることもできる。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなることが好ましく、電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有することが好ましい。使用できる電子輸送層としては、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子求引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、酸化亜鉛などの無機半導体を電子輸送材料として用いることもできる。
有機EL素子を作製する際には、本発明の化合物を発光層に用いるだけでなく、発光層以外の層にも用いてもよい。その際、発光層に用いる本発明の化合物と、発光層以外の層に用いる本発明の化合物は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、上記の注入層、阻止層(例:正孔阻止層、電子阻止層、励起子阻止層)、正孔輸送層、電子輸送層などにも本発明の化合物を用いてもよい。
これらの層の製膜方法は、特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示する。ただし、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。なお、以下の例示化合物の構造式におけるR、R'、R1~R10は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Xは環骨格を形成する炭素原子または複素原子を表し、nは3~5の整数を表し、Yは置換基を表し、mは0以上の整数を表す。
発光層のホスト材料としても用いることができる好ましい化合物を挙げる。使用する発光材料のHOMO/LUMO準位に適合させるために、下記の例示化合物の基本骨格に適宜置換基を導入することによりホスト材料のHOMO/LUMO準位を調整することができる。例えば、下記の例示化合物の基本骨格にシアノ基やパーフルオロアルキル基を導入することによりHOMO/LUMO準位を深くした化合物とし、これをホスト材料や周辺化合物に用いることができる。ホスト材料としては、バイポーラー性(正孔と電子を両方よく流す)であっても、ユニポーラー性であってもよく、発光材料よりも励起三重項エネルギー準位ET1が高いものであることが好ましい。より好ましいホスト材料はバイポーラー性を有し、発光材料よりも励起三重項エネルギー準位ET1が高いものである。
Figure 0007456125000025
Figure 0007456125000026
Figure 0007456125000027
次に、正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0007456125000028
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0007456125000029
次に、正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0007456125000030
Figure 0007456125000031
次に、電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0007456125000032
次に、正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0007456125000033
Figure 0007456125000034
Figure 0007456125000035
Figure 0007456125000036
次に、電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0007456125000037
Figure 0007456125000038
さらに添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加することができる。
Figure 0007456125000039
本発明の有機EL素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX-Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明の有機EL素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機EL素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機EL素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。さらに、本発明の有機発光素子は、有機発光ダイオードに応用することが可能である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<学習用データ>
学習用化合物として、下記表4に示される化合物S1~S7を含む25個の化合物を使用した。
Figure 0007456125000040
なお、学習用化合物S1~S4は下記文献に従って合成した。
S1:Nature, 2012, 482, 234
S2: Materials Horizons, 2016, 3(2), 145
S3: Nature, 2012, 492, 234
S4: 国際公開第2018/047948号
また、学習用化合物S5~S7は、以下のとおり合成した。S1~S7それぞれについて、ホスト材料(PPT)に対して10質量%となるように調整した薄膜(膜厚50nm)に280nmの励起光を照射した際の発光スペクトルのピークトップにより、発光極大波長(λmax)を測定した。
(学習用化合物S5の合成)
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、4-ブロモ2,3,5,6-テトラフルオロベンゾニトリル(500mg)、ジベンゾフランー4-ボロン酸(626mg)、SPos(81mg)、リン酸カリウム(836mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)ジパラジウム(0)(102mg)を入れ、トルエン(20mL)に溶解させた。脱気後、110℃で16時間撹拌し、室温まで放冷した。反応溶液をセライト濾過した。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=8:1)に供して精製し、中間体(463mg、収率69%)を得た。
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、NaH(60wt%オイルディスパージョン、106mg)、カルバゾール(368mg)を入れ、THF(15mL)に溶解させた。室温で1時間撹拌後、中間体(135mg)を加え、60℃で14時間撹拌した。反応溶液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)に供して精製し、学習用化合物S5(135mg、収率37%)を得た。学習用化合物S5の1H NMRスペクトルを図1A及び図1Bに示す。
(学習用化合物S6の合成)
窒素雰囲気下、300mL 四つ口ナスフラスコに、2,7-ビストリフルオロメチルカルバゾール(3.87g)、NaH(60wt%オイルディスパージョン、0.625g)を入れ、THF(75mL)に溶解させた。1時間氷冷下で撹拌した後、パーフルオロトルエン(3.04g)のTHF溶液(75mL)を添加した。室温で3時間撹拌後、反応溶液に水(90mL)、クロロホルム(100mL)を加えた。析出した白色固体をろ取することで中間体(2.84g、収率42%)を得た。
窒素雰囲気下、100mL 四つ口ナスフラスコに、反応中間体(1.50g)、カルバゾール(1.96g)、炭酸セシウム(4.51g)を入れ、DMSO(30mL)に溶解させた。120℃で16時間撹拌した後、反応溶液に水(30mL)、クロロホルム(10mL)を加え、氷冷した。析出した薄黄色結晶をろ取し、さらにクロロホルムで洗浄することで学習用化合物S6(2.56g、収率80%)を得た。学習用化合物S6の1H NMRスペクトルを図2に示す。
(学習用化合物S7の合成)
窒素雰囲気下、300mL 四つ口ナスフラスコに、3,6-ビストリフルオロメチルカルバゾール(3.87g)、NaH(60wt%オイルディスパージョン、0.625g)を入れ、THF(75mL)に溶解させた。1時間氷冷下で撹拌した後、パーフルオロトルエン(3.05g)のTHF溶液(75mL)を添加した。室温で5時間撹拌後、反応溶液に水(90mL)、クロロホルム(100mL)を加えた。有機層を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=9:1)に供して精製し、中間体(3.36g、収率50%)を得た。
窒素雰囲気下、100mL 四つ口ナスフラスコに、反応中間体(1.51g)、カルバゾール(1.95g)、炭酸セシウム(4.51g)を入れ、DMSO(30mL)に溶解させた。100℃で6時間撹拌した後、反応溶液に水(30mL)、クロロホルム(10mL)を加え、氷冷した。析出した黄白色結晶をろ取し、さらにクロロホルムで洗浄することで学習用化合物S7(3.23g、収率99%)を得た。学習用化合物S7の1H NMRスペクトル、及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図3A及び図3Cに示す。
<予測モデルの作成>
発光極大波長の予測モデルの作成は、学習用データを用いて、(1)発光極大波長に関連する記述子の抽出と、(2)回帰式の作成の2段階により行った。
(1) 記述子の作成
Rdkit(Open-source cheminformatics;http://www.rdkit.org)を用いて、学習用データの各化合物を、化学構造式に基づいて、200種類の記述子の値を計算し、200次元ベクトルに変換した。200種類の記述子には、官能基数、トポロジー、分極性などを表す記述子が含まれる。また記述子にはHOMO-LUMO Gapが含まれる。HOMO-LUMO Gapは、Gaussian 09 Rev.Dを用いた量子化学計算により、学習用データの化合物のHOMO及びLUMOのエネルギー準位を算出し、算出したLUMO準位からHOMO準位を減算した値である。量子化学計算は密度汎関数法によって実施し、汎関数にはB3LYP、基底関数には6-31g(d,p)を使用し、エネルギー準位の算出には、当該汎関数及び基底関数で構造の最適化を実施した分子構造を使用した。なお、基本的で汎用性の高い記述子を優先的に用いるため、3次元記述子は除外した。また、学習用データの8割以上の化合物で同じ値をもつ記述子は正規化および回帰式の作成には適さないため除外した。
回帰式作成の前に、学習用データの一群の記述子の値を機械学習用PythonライブラリであるScikit-learnを用いて下記式に示す標準化変換を行った。ここで、xijは化合物iの変換前の記述子j、x'ijは化合物iの変換後の記述子j、μjは記述子j全体の平均、σjは記述子j全体の標準偏差を表す。
Figure 0007456125000041
(2) 回帰式の作成
25種類の学習用データの化合物の発光極大波長を予測するために必要な記述子はごく少数である。そこで、少数の記述子を選択的に使用するという特徴を持つ、LASSO回帰によって回帰式を作成した。この処理は、機械学習用PythonライブラリであるScikit-learn(Machine Learning in Python, Pedregosa et al., JMLR 12, pp. 2825-2830, 2011)を用いて実行した。なお、記述子の数及び係数に影響するハイパーパラメータである正則化係数については、記述子数の観点からalpha = 0.15とした。
以上の手順により、発光極大波長に関する下記の回帰式を作成した。
W=863.2-0.4440×SMR_VSA9[Å2]+2.109×fr_para_hydroxylation[-]-115.4×HOMO-LUMO Gap[eV]
<検証用データ>
検証用化合物として、下記表5に示される化合物V1~V7を含む25個の学習に用いた化合物と、V8およびV9を含む6個の学習に用いていない化合物を使用した。
Figure 0007456125000042
なお、検証用化合物V8及びV9は下記文献に従って合成した。
V8:Materials, Horizons, 2016, 3(2), 145
V9:Nature, 2012, 492, 234
<予測モデルの検証>
検証用データを用いて予測モデルの精度を評価した。検証用化合物の発光極大波長の予測精度は、RMSEで評価すると14.3 nmであった。また検証用化合物V8及びV9の予測精度は、RMSEで評価すると15.4 nmであった。ここで、RMSEは下記式で定義される。なお、nはサンプル数、yobsは観測値、ypredは予測値である。
Figure 0007456125000043
<供試用データ>
供試用化合物として、下記表6に示される化合物T1~T36を使用した。
なお、供試用化合物T1、T4、T10、T13、T19、T19-2、T21、T22、T25、T28、T31、及びT34は、以下のとおり合成した。
(供試用化合物T1の合成)
Figure 0007456125000047
窒素雰囲気下、10mLナスフラスコに、2,7-ビストリフルオロメチルカルバゾール(303mg)を入れ、THF(5mL)に溶解させた。0℃に冷却後、n-BuLi (1.6M ヘキサン溶液、0.66mL) を滴下した。また、別の10mLナスフラスコにシアヌル酸クロライド(92.2mg)を入れ、THF(1mL)に溶解させ、0℃に冷却した。シアヌル酸クロライド溶液中に先に調製したカルバゾール溶液を滴下し、0℃で30分撹拌した。反応液に水(5mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取物を昇華精製し、中間体(150mg、収率42%)を得た。中間体の1H-NMRスペクトル,19F-NMR Rスペクトル、及びIRスペクトルをそれぞれ図4A、図4C、及び図4Dに示す。なお、IRスペクトルにおける主なピークの位置及び強度は、次のとおりである。
Figure 0007456125000048
反応の2段階目として、次の文献に基づいて、得られたアリールクロライドとアリールボロン酸の鈴木カップリング反応を行う。
Journal of Organometalic Chemistry, 1999, 576, 147-168.
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 6722-6737.
Chemical Reviews, 1995, 95(7), 2457.
反応の3段階目として、次の文献に基づいて、塩基存在下、得られたフルオロアリールとカルバゾールの芳香族求核置換反応を行う。
Science Advances, 2018, 4(6), eaao6910.
Advanced Functional Materials 2018, 28, 1706023.
Chem. Mater. 2018, 30, 6389-6399.
Nature 2012, 492, 234.
Organic letters, 2014, 16 (11), 3130.
Tetrahedron letters, 2013, 54 (35), 4649.
(供試用化合物T4の合成)
Figure 0007456125000049
反応の第1段階目として、窒素雰囲気下、100mL 四つ口フラスコに、ジフェニルトリアジンブロミド(1.01g)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(834mg)、リン酸カリウム(1.64g)、酸化銀(1.06g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(263mg)を入れ、DMF(27mL)に溶解させた。70℃で21時間撹拌した後、室温まで放冷した。反応溶液を濾過し、ろ液に水(100mL)を加え、90分間静置した。分液後、有機層を硫酸ナトリウムで脱湿した。濾過、濃縮を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して精製し、中間体(85mg、収率5%)を得た。中間体の1H-NMRスペクトル及びIRスペクトルをそれぞれ図5A及び図5Cに示す。なお、IRスペクトルにおける主なピークの位置及び強度は、次のとおりである。
Figure 0007456125000050
反応の2、3段階目として、次の文献に基づいて、塩基存在下、得られたフルオロアリールとカルバゾール類縁体の芳香族求核置換反応を行う。
Science Advances, 2018, 4(6), eaao6910.
Advanced Functional Materials 2018, 28, 1706023.
Chem. Mater. 2018, 30, 6389-6399.
Nature 2012, 492, 234.
Organic letters, 2014, 16 (11), 3130.
Tetrahedron letters, 2013, 54 (35), 4649.
(供試用化合物T10の合成)
Figure 0007456125000051
反応の1、2段階目として、次の文献に基づいて、塩基存在下、得られたフルオロアリールとカルバゾール類縁体の芳香族求核置換反応を行う。
Science Advances, 2018, 4(6), eaao6910.
Advanced Functional Materials 2018, 28, 1706023.
Chem. Mater. 2018, 30, 6389-6399.
Nature 2012, 492, 234. Organic letters, 2014, 16 (11), 3130.
Tetrahedron letters, 2013, 54 (35), 4649.
(供試用化合物T13の合成)
Figure 0007456125000052
反応の1段階目として、次の文献に基づいて、塩基存在下、フルオロアリールとカルバゾール類縁体の芳香族求核置換反応を行う。
CN108101898
ACS Applied Materials & Interfaces, 2017, 9 (38), 32946.
反応の2段階目として、次の文献に基づいて、得られたアリールブロマイドとアリールボロン酸の鈴木カップリング反応を行う。
Journal of Organometalic Chemistry, 1999, 576, 147-168.
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 6722-6737.
Chemical Reviews, 1995, 95(7), 2457.
反応の3段階目として、次の文献に基づいて、塩基存在下、得られたフルオロアリールとカルバゾール類縁体の芳香族求核置換反応を行う。
Science Advances, 2018, 4(6), eaao6910.
Advanced Functional Materials 2018, 28, 1706023.
Chem. Mater. 2018, 30, 6389-6399.
Nature 2012, 492, 234.
Organic letters, 2014, 16 (11), 3130.
Tetrahedron letters, 2013, 54 (35), 4649.
(供試用化合物T19の合成)
Figure 0007456125000053
反応の1段階目として、ジフェニルクロロトリアジンとアリールボロン酸の鈴木カップリング反応を行う。反応は次の文献を参考に実施する。
Journal of Materials Chemistry C, 2018, 6, 5536-5541.
Advanced Materials, 2015, 27(39), 5861-5867。
反応の2段階目として、窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、中間体(500mg)、2,7ービストリフルオロメチルカルバゾール(444mg)、炭酸セシウム(961mg)を入れ、DMSO(20mL)に溶解させた。85℃で3時間撹拌した後、室温まで放冷した。反応溶液に水(12mL)、クロロホルム(10mL)を加え、10分間静置した。析出した灰色の結晶をろ取し、水(2mL)、クロロホルム(3mL)で洗浄することで、中間体(766mg、収率86%)を得た。中間体の1H-NMRスペクトル及びIRスペクトルをそれぞれ図6A及び図6Cに示す。なお、IRスペクトルにおける主なピークの位置及び強度は、次のとおりである。
Figure 0007456125000054
反応の3段階目として、窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、中間体(499mg)、カルバゾール(274mg)、炭酸セシウム(1.158g)を入れ、DMSO(20mL)に溶解させた。120℃で18時間撹拌した後、室温まで放冷した。次に、反応溶液に水(15mL)を加え、40分間静置した。析出した灰色の結晶をろ取し、冷クロロホルム(2mL)で洗浄することでT19(515mg、収率71%)を得た。供試用化合物T19の1H-NMRスペクトル及びIRスペクトルをそれぞれ図7A及び図7Cに示す。なお、IRスペクトルにおける主なピークの位置及び強度は、次のとおりである。
Figure 0007456125000055
(供試用化合物T19-2の合成)
Figure 0007456125000056
窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、中間体(65mg)、3,6ジフェニルカルバゾール(80mg)、炭酸セシウム(82mg)を入れ、DMSO(3mL)に溶解させた。100℃で18時間撹拌した後、室温まで放冷した。次に、反応溶液に水(15mL)を加え、40分間静置した。析出した灰色の結晶をろ取し、IPA(2mL)で洗浄後、昇華することでT19-2(85mg、収率68%)を得た。供試用化合物T19-2の1H-NMRスペクトル,19F-NMRスペクトル、及びIRスペクトルをそれぞれ図8A、図8C、及び図8Dに示す。なお、IRスペクトルにおける主なピークの位置及び強度は、次のとおりである。
Figure 0007456125000057
(供試用化合物T21の合成)
Figure 0007456125000058
窒素雰囲気下、100mLナスフラスコに、2、7-ビストリフルオロメチルカルバゾール(1.5g)をNMP(60mL)に溶解させ、水素化ナトリウム(60wt%オイルディスパージョン、240mg)を加えた。室温で1時間撹拌後、中間体(510mg)を加え100℃で16時間撹拌した後、室温まで放冷した。次に、反応溶液に水(15mL)を加え、40分間静置した。析出した灰色の結晶をろ取し、IPA(2mL)で洗浄後、昇華することでT21(1.18g、収率69%)を得た。供試用化合物T21の1H-NMRスペクトルを図9に示す。
(供試用化合物T22の合成)
Figure 0007456125000059
反応の1段階目として、2、7-ビストリフルオロメチルカルバゾールの臭素化を行った。窒素雰囲気下、10mLナスフラスコに、2、7-ビストリフルオロメチルカルバゾール(151mg)をDMF(3mL)に溶解させた。室温下、N-ブロモスクシンイミド(89mg)を加え、16時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加え分液後、有機層を濃縮した。得られた粗生成物をGPCカラム(溶媒:クロロホルム)により精製し、中間体(190mg、収率50%)を得た。中間体の1H-NMRスペクトル及び19F-NMRスペクトルをそれぞれ図10A及び図10Cに示す。
なお、反応の1段階目は、次の文献に記載の方法を用いてもよい。
Chem. Rev. 2016, 116, 6837. Org. Lett. 2015, 17, 1042.
反応の2段階目として、次の文献に基づいて、カルバゾールのNH部のフェニル化を行う。
RSC advances 2015, 5(77), 63130-63134.
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 6722-6737.
J. Phys. Chem. C. 2012, 116(15), 8699-8706.
Inorganica Chimica Acta 357 (2004) 4335-4340.
Adv.Mater. 15 (2014) 034202.
J.Org.Chem. 62(2) (2003) 452.
Chem.Eur.J.,2008,14,2443.
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 8742-8743.
反応の3段階目として、次の文献に基づいて、得られた中間体と10,15-ジヒドロ-5H-ジインドロカルバゾールのカップリング反応を行う。
RSC advances 2015, 5(77), 63130-63134.
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 6722-6737.
J. Phys. Chem. C. 2012, 116(15), 8699-8706.
Inorganica Chimica Acta 357 (2004) 4335-4340.
Adv.Mater. 15 (2014) 034202.
J.Org.Chem. 62(2) (2003) 452.
Chem.Eur.J.,2008,14,2443.
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 8742-8743.
(供試用化合物T25の合成)
Figure 0007456125000060
反応の1段階目として、2、7-ビストリフルオロメチルカルバゾールの臭素化を行った。窒素雰囲気下、10mLナスフラスコに、2、7-ビストリフルオロメチルカルバゾール(151mg)をDMF(3mL)に溶解させた。室温下、N-ブロモスクシンイミド(178mg)を加え、16時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加え分液後、有機層を濃縮した。得られた粗生成物をGPCカラム(溶媒:クロロホルム)により精製し、中間体(69mg、収率30%)を得た。中間体の1H-NMRスペクトル及び19F-NMRスペクトルをそれぞれ図11A及び図11Cに示す。
なお、反応の1段階目は、次の文献に記載の方法を用いてもよい。
Chem. Rev. 2016, 116, 6837. Org. Lett. 2015, 17, 1042.
反応の2段階目として、次の文献に基づいて、カルバゾールのNH部のフェニル化を行う。
RSC advances 2015, 5(77), 63130-63134.
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 6722-6737.
J. Phys. Chem. C. 2012, 116(15), 8699-8706.
Inorganica Chimica Acta 357 (2004) 4335-4340.
Adv.Mater. 15 (2014) 034202.
J.Org.Chem. 62(2) (2003) 452.
Chem.Eur.J.,2008,14,2443.
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 8742-8743.
反応の3段階目として、次の文献に基づいて、得られた中間体とカルバゾールのカップリング反応を行う。
RSC advances 2015, 5(77), 63130-63134.
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 6722-6737.
J. Phys. Chem. C. 2012, 116(15), 8699-8706.
Inorganica Chimica Acta 357 (2004) 4335-4340.
Adv.Mater. 15 (2014) 034202.
J.Org.Chem. 62(2) (2003) 452.
Chem.Eur.J.,2008,14,2443.
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 8742-8743.
(供試用化合物T28の合成)
Figure 0007456125000061
反応の1段階目として、文献(Polymer, 2015, 70, 52-58.)を参考に合成を行い、中間体を得た。中間体の1H-NMRスペクトル及び19F-NMRスペクトルをそれぞれ図12A及び図12Cに示す。
反応の2段階目として、窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、中間体(100mg)、2、7-ビストリフルオロメチルカルバゾール(98mg)、炭酸セシウム(127mg)を入れ、NMP(2.5mL)に溶解させた。150℃で18時間撹拌した後、室温まで放冷した。次に、反応溶液に水(15mL)を加え、40分間静置した。析出した白色の結晶をろ取し、クロロホルム(2mL)、アセトン(2mL)で洗浄後、昇華することで供試用化合物T28(93mg、収率53%)を得た。供試用化合物T28の1H-NMRスペクトル,19F-NMRスペクトル、及びIRスペクトルをそれぞれ図13A、図13B、及び図13Cに示す。なお、IRスペクトルにおける主なピークの位置及び強度は、次のとおりである。
Figure 0007456125000062
(供試用化合物T31の合成)
Figure 0007456125000063
反応の1段階目として、窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、ペンタフルオロヨードベンゼン(0.8mL)、2、7-ビストリフルオロメチルカルバゾール(909mg)、炭酸セシウム(1.17g)を入れ、DMSO(30mL)に溶解させた。室温で15時間撹拌した後、反応溶液に水(15mL)を加え、40分間静置した。析出した白色の結晶をろ取後、昇華することで中間体(1.19g、収率69%)を得た。中間体の1H-NMRスペクトル,19F-NMRスペクトル、及びIRスペクトルをそれぞれ図14A、図14C、及び図14Dに示す。なお、IRスペクトルにおける主なピークの位置及び強度は、次のとおりである。
Figure 0007456125000064
反応の2段階目として、窒素雰囲気下、10mLナスフラスコに、中間体(29mg)、カルバゾール(50mg)、炭酸セシウム(390mg)を入れ、DMSO(2mL)に溶解させた。85℃で15時間撹拌した後、反応溶液に水(15mL)を加え、40分間静置した。析出した白色の結晶をろ取後、クロロホルム(5mL)で洗浄し、昇華することで中間体(33mg、収率60%)を得た。
反応の3段階目として、次の文献に基づいて、ハロゲン化アリールとアリールボロン酸のカップリング反応を行う。
Journal of Organometalic Chemistry, 1999, 576, 147-168.
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 6722-6737.
Chemical Reviews, 1995, 95(7), 2457.
(供試用化合物T34の合成)
Figure 0007456125000065
窒素雰囲気下、10mLナスフラスコに、カルバゾール(260mg)をNMP(5mL)に溶解させ、水素化ナトリウム(60wt%オイルディスパージョン、75mg)を加えた。室温で1時間撹拌後、中間体(260mg)を加え130℃で16時間撹拌した後、室温まで放冷した。次に、反応溶液に水(15mL)を加え、40分間静置した。析出した灰色の結晶をろ取し、クロロホルム(5mL)で洗浄後、昇華することで供試用化合物T34(200mg、収率56%)を得た。供試用化合物T34の1H-NMRスペクトル,19F-NMRスペクトル、及びIRスペクトルをそれぞれ図15A、図15C、及び図15Dに示す。なお、IRスペクトルにおける主なピークの位置及び強度は、次のとおりである。
Figure 0007456125000066
(λmax(予測))
供試用化合物T1~T36の構造から、SMR_VSA9[Å2]、fr_para_hydroxylation、及びHOMO-LUMO Gap[eV]を算出し、算出した値を予測モデルに代入することにより発光極大波長の予測値を得た。なお、一部化合物においては、HOMO-LUMO Gapの計算において、50ステップの最適化計算のうち、最も総エネルギーが小さい構造のエネルギー準位を代表値として採用した。
(λmax(実測))
供試用化合物T19、T19-2、T20、T21、T37、及びT38は、ホスト材料(PPT)に対して10質量%となるように調整した薄膜(膜厚50nm)に280nmの励起光を照射した際の発光スペクトルのピークトップにより、発光極大波長(λmax)を測定した。
(HOMO)
供試用化合物T19、T19-2、T21、及びT37~T39のHOMO準位は、光電子収量分光装置を用いて測定した。
(ΔEST
供試用化合物T19、T19-2、T21、及びT37~T39のΔESTは、λmax(実測)の測定方法と同様の手法により測定することができ、蛍光スペクトル(室温)と燐光スペクトル(77K)を測定し、それぞれの立ち上がりの波長の差から算出した。
(相対発光強度)
供試用化合物T37~T39の相対発光強度は、慣用の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製「PMA12」)により測定した。
(遅延蛍光寿命)
供試用化合物T19、T19-2、T21、及びT37~T39の遅延蛍光寿命は、慣用の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製「PMA12」)により測定した。
(励起状態安定性)
供試用化合物T37及びT38の励起状態安定性は、化合物のトルエン溶液(濃度1.0×10-5M)を使用し、アルゴンバブリングにより脱気後、撹拌しながら励起光(波長300~400nm、5mW/cm2)を照射し、初期発光から発光強度が半分に低下するまでの時間を測定することにより評価した。
結果を表15に示す。
全てのカルバゾール環に2個ずつCF3基が修飾した化合物よりも、部分修飾化合物の発光極大波長が大きく、好ましいことが判明した。供試用化合物T19~T21では、発光極大波長を実際に測定しており、実測値が、予測値と同じような傾向を示した。また、供試用化合物T19は、T20又はT21に比べて、HOMOが低く、ΔESTが小さく、遅延蛍光寿命が短いため、周辺材料との適合性及び耐久性の点で優れる。さらに、供試用化合物T37及びT38は、T39に比べて、HOMOが低く、ΔESTが小さく、発光強度が大きく、遅延蛍光寿命が短いため、周辺材料との適合性及び耐久性の点で優れる。

Claims (10)

  1. N個(Nは2以上の整数である)の式(X):
    Figure 0007456125000072
    (式中、Qは、単結合又は-CH2-である。)
    で表される環Xを有する化合物であって、隣り合う2個の環Xが、(A)直接連結、(B)π共役連結基を介した連結、及び(C)縮合連結のいずれかにより連結しており、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個以上2N個未満である、化合物であって、下記式(1)~(3):
    Figure 0007456125000073
    [式中、
    10 は1価の芳香環基であり、
    11 ~R 14 、R 17 、及びR 18 は、それぞれ独立して、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり(但し、3個の環に置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個~5個である)、
    15 、R 16 、R 19 、及びR 20 は、それぞれ独立して、水素原子又は電子供与性基であり、
    11 ~Q 13 は、それぞれ独立して、単結合又は-CH 2 -であり、
    21 及びR 22 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又は1価の芳香環基であり、
    23 ~R 26 は、それぞれ独立して、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり(但し、m個のLに置換する環に置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が、1個以上2mn個未満である)、
    m個のLに置換する環の少なくとも1つにおいて、R 23 及びR 24 が、それぞれ独立して、パーフルオロアルキル基、R 25 及びR 26 が、それぞれ独立して、水素原子又は電子供与性基であるか、又は、R 25 及びR 26 が、それぞれ独立して、パーフルオロアルキル基、R 23 及びR 24 が、それぞれ独立して、水素原子又は電子供与性基であり、
    21 は単結合であり、
    Lはベンゼン環、ピリジン環、又は1,3,5-トリアジン環で構成される連結基であり、
    mが1の場合、nは3以上Lに置換可能な最大数以下の整数であり、
    mが2の場合、nは2以上Lに置換可能な最大数以下の整数であり、
    p及びqは、それぞれ独立して、0又はLに置換可能な最大数であり、
    31 、R 35 、及びR 39 は、それぞれ独立して、1価の芳香環基であり、
    32 ~R 34 、R 36 ~R 38 、及びR 40 ~R 48 は、それぞれ独立して、水素原子、パーフルオロアルキル基、又は電子供与性基であり(但し、パーフルオロアルキル基の合計の数が、1個~8個である)、
    31 ~Q 33 及びQ 41 ~Q 43 は、それぞれ独立して、単結合又は-CH 2 -であり、
    前記電子供与性基はアルキル基、アリール基、アルコキシル基、アルキルスルファニル基である]
    のいずれかで表される化合物[但し、下記の化合物:
    Figure 0007456125000074
    を除く]。
  2. 1個以上N個未満の環Xに含まれるベンゼン環に結合する窒素原子に対してメタ位にパーフルオロアルキル基が置換している、請求項に記載の化合物。
  3. 1個以上N個未満の環Xに含まれるベンゼン環に結合する窒素原子に対してパラ位にパーフルオロアルキル基が置換している、請求項に記載の化合物。
  4. パーフルオロアルキル基が、パーフルオロC1-4アルキル基である、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
  5. 1個以上の環Xに電子供与性基が置換している、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 、Q 11 ~Q 13 、Q 31 ~Q 33 、及びQ 41 ~Q 43 が、単結合である、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
  7. 下記式(a)を満たす、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物:
    1>W0 (a)
    [式(a)のW1は、下記式(b):
    W=863.2-0.4440×SMR_VSA9[Å2]+2.109×fr_para_hydroxylation[-]-115.4×HOMO-LUMO Gap[eV] (b)
    において、前記化合物の記述子SMR_VSA9、fr_para_hydroxylation、及びHOMO-LUMO Gapの値を代入して得られるWであり、
    式(a)のW0は、式(b)において、前記化合物に含まれる環Xの合計の数をN個としたとき、N個の環Xに置換するパーフルオロアルキル基の合計の数が2N個である以外、前記化合物と同じ構造を有する比較化合物の記述子SMR_VSA9、fr_para_hydroxylation、及びHOMO-LUMO Gapの値を代入して得られるWである]。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の化合物を含む遅延蛍光材料。
  9. 請求項1~のいずれか一項に記載の化合物を含む有機発光素子。
  10. 有機EL素子である、請求項に記載の有機発光素子。
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