JP2021172629A - 含窒素複素環化合物及びその利用 - Google Patents

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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
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    • C09K11/06Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing organic luminescent materials

Abstract

【課題】発光効率及び耐久性に優れた含窒素複素環化合物及びその利用に関する技術を提供する。【解決手段】含窒素複素環化合物は、式:Cz−L−Ar(1)で表される化合物[式(1)中、Czは、下記式(2):(式(2)中、Zは、単結合等、R22及びR27は、そ電子求引性基、R23及びR26は、電子供与性基、R21、R24、R25、及びR28は、H、電子求引性基、又は電子供与性基、波線は、Lとの結合部位)で表される基であり、Lは、単結合又はフェニレン基、Arは、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択される基。]。【選択図】なし

Description

含窒素複素環化合物及びその利用に関する技術が開示される。
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode, OLED)などの有機発光素子用の発光材料の探索が行われている。発光材料としては、発光色(例えば、発光極大波長、半値幅)、発光効率、耐久性など種々の特性が好ましいことが求められる。OLED用の発光材料の中でも、熱活性化遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence, TADF)を示す化合物は、純有機物でありながら高い発光効率を示し、次世代の発光材料として期待されている。
TADF材料として、例えば、特許文献1には、下記式:
Figure 2021172629
(式中、Yは、シアノ基又はトリフルオロメチル基である。)
で表される化合物が記載されている。また、特許文献2には、下記式:
Figure 2021172629
で表される化合物が記載されている。
国際公開第2018/047948号 特開2017−103440号公報
特許文献1及び2に記載された化合物は、TADF材料として有用であるが、発光効率及び耐久性の点で改善の余地がある。本発明は、発光効率及び耐久性に優れた含窒素複素環化合物及びその利用に関する技術を提供することを主な課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、化合物の構造として下記式(1)で表される構造を採用することにより、発光効率及び耐久性を改善できることを見出した:
Cz−L−Ar (1)
[式中、
Czは、下記式(2):
Figure 2021172629
(式中、
Zは、不存在、単結合、−C(R29a)(R29b)−、−O−、−S−、又は−N(R29c)−であり、
22及びR27は、それぞれ、電子求引性基であり、
23及びR26は、それぞれ、電子供与性基であり、
21、R24、R25、R28、R29a、R29b、及びR29cは、それぞれ、水素原子、電子求引性基、又は電子供与性基であり、
波線は、Lとの結合部位を示す)
で表される基であり、
Lは、単結合、又は置換基を有していてもよいフェニレン基であり、
Arは、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、当該基は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよい(但し、Arは、式(2)で表される基ではない)]
本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねて完成したものである。
本発明は、以下の態様を包含する。
項1.
下記式(1)で表される化合物:
Cz−L−Ar (1)
[式中、
Czは、下記式(2):
Figure 2021172629
(式中、
Zは、不存在、単結合、−C(R29a)(R29b)−、−O−、−S−、又は−N(R29c)−であり、
22及びR27は、それぞれ、電子求引性基であり、
23及びR26は、それぞれ、電子供与性基であり、
21、R24、R25、R28、R29a、R29b、及びR29cは、それぞれ、水素原子、電子求引性基、又は電子供与性基であり、
波線は、Lとの結合部位を示す)
で表される基であり、
Lは、単結合、又は置換基を有していてもよいフェニレン基であり、
Arは、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、当該基は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよい(但し、Arは、式(2)で表される基ではない)]。
項2.
Arが、フェニル基、縮合二乃至六環式アリール基、及び窒素含有ヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、当該基は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよい(但し、Arは、式(2)で表される基ではない)、項1に記載の化合物。
項3.
Arが、下記式(3):
Figure 2021172629
(式中、
31〜X35は、それぞれ、−N=又は−C(R)=であり、
は、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
互いにオルトの位置関係で存在し得る2つのRは、互いに結合して芳香環を形成していてもよく、当該芳香環は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよく、
波線は、Lとの結合部位を示す)
で表される基である、項1又は2に記載の化合物。
項4.
式(3)で表される基が、下記式(3−1)〜(3−4):
Figure 2021172629
(式中、
311、R312、R321〜R323、R331〜R336、及びR341〜R346は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
波線は、Lとの結合部位を示す)
のいずれかで表される基である、項3に記載の化合物。
項5.
Lが、式(2)で表される基及び式(3)で表される基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよいフェニレン基である、項3又は4に記載の化合物。
項6.
Zが単結合である、項1〜5のいずれかに記載の化合物。
項7.
22及びR27が、それぞれ、パーフルオロアルキル基又はシアノ基である、項1〜6のいずれかに記載の化合物。
項8.
23及びR26が、それぞれ、アルキル基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基である、項1〜7のいずれかに記載の化合物。
項9.
21、R24、R25、及びR28が、水素原子である、又は
21及びR28が、それぞれ、電子供与性基であり、R24及びR25が、それぞれ、電子求引性基である、
項1〜8のいずれかに記載の化合物。
項10.
下記式(4)で表される化合物:
Figure 2021172629
[式中、
41〜X43は、それぞれ、−N=又は−C(R44)=であり、
41〜R44は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基(但し、R41〜R43のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である];
下記式(5)で表される化合物:
Figure 2021172629
[式中、
51〜X53は、それぞれ、−N=又は−C(R58)=であり、
51、R52、及びR58は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
53〜R57は、それぞれ、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R53〜R57のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である];
下記式(6)で表される化合物:
Figure 2021172629
[式中、
61〜X67は、それぞれ、−N=又は−C(R66)=であり、
61〜R65は、それぞれ、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R61〜R65のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)であり、
66は、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基である];
下記式(7)で表される化合物:
Figure 2021172629
[式中、
71〜X76は、それぞれ、−N=又は−C(R79)=であり、
71〜R74及びR79は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
75〜R78は、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R75〜R78のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である];及び
下記式(8)で表される化合物:
Figure 2021172629
[式中、
81〜X86は、それぞれ、−N=又は−C(R89)=であり、
81〜R84及びR89は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
85〜R88は、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R85〜R88のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である]
からなる群より選択される、項1に記載の化合物。
項11.
項1〜10のいずれかに記載の化合物を含む遅延蛍光材料。
項12.
項1〜10のいずれかに記載の化合物を含む有機発光素子。
項13.
有機EL素子である、項12に記載の有機発光素子。
項14.
下記式(9):
Figure 2021172629
(式中、
91及びR94は、それぞれ、パーフルオロアルキル基又はシアノ基であり、
92及びR93は、それぞれ、アルキル基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
は、不存在、単結合、−C(R95)(R96)−、−O−、−S−、又は−N(R97)−であり、
95〜R97は、それぞれ、水素原子、電子求引性基、又は電子供与性基である)
で表される化合物(但し、Zが不存在であり、R91及びR94がトリフルオロメチル基であり、R92及びR93がメトキシ基である化合物、並びに、Zが不存在であり、R91及びR94がシアノ基であり、R92及びR93がフェニル基である化合物を除く)。
本発明によれば、発光効率及び耐久性に優れた含窒素複素環化合物及びその利用に関する技術が提供される。
図1は、3,6-ジブロモ-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾールのH NMRスペクトルを示す図である。 図2は、3,6-ジブロモ-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾールの19F NMRスペクトルを示す図である。 図3は、中間体D1のH NMRスペクトルを示す図である。 図4は、中間体D1の19F NMRスペクトルを示す図である。 図5は、中間体D2のH NMRスペクトルを示す図である。 図6は、中間体D2の19F NMRスペクトルを示す図である。 図7は、中間体D3のH NMRスペクトルを示す図である。 図8は、中間体D3の19F NMRスペクトルを示す図である。 図9は、中間体D5のH NMRスペクトルを示す図である。 図10は、中間体D5の19F NMRスペクトルを示す図である。 図11は、中間体A2のH NMRスペクトルを示す図である。 図12は、中間体A3のH NMRスペクトルを示す図である。 図13は、中間体A3の19F NMRスペクトルを示す図である。 図14は、中間体A4のH NMRスペクトルを示す図である。 図15は、中間体A4の19F NMRスペクトルを示す図である。 図16は、中間体A5のH NMRスペクトルを示す図である。 図17は、中間体A5の19F NMRスペクトルを示す図である。 図18は、中間体A6のH NMRスペクトルを示す図である。 図19は、中間体A6の19F NMRスペクトルを示す図である。 図20は、中間体A7のH NMRスペクトルを示す図である。 図21は、中間体A7の19F NMRスペクトルを示す図である。 図22は、中間体A8のH NMRスペクトルを示す図である。 図23は、中間体A9のH NMRスペクトルを示す図である。 図24は、中間体A9の19F NMRスペクトルを示す図である。 図25は、実施例1のH NMRスペクトルを示す図である。 図26は、実施例1の19F NMRスペクトルを示す図である。 図27は、実施例2のH NMRスペクトルを示す図である。 図28は、実施例2の19F NMRスペクトルを示す図である。 図29は、実施例3のH NMRスペクトルを示す図である。 図30は、実施例3の19F NMRスペクトルを示す図である。 図31は、実施例4のH NMRスペクトルを示す図である。 図32は、実施例4の19F NMRスペクトルを示す図である。 図33は、比較例5のH NMRスペクトルを示す図である。 図34は、比較例6のH NMRスペクトルを示す図である。 図35は、比較例6の19F NMRスペクトルを示す図である。 図36は、比較例10のH NMRスペクトルを示す図である。 図37は、比較例10の13C NMRスペクトルを示す図である。 図38は、比較例11のH NMRスペクトルを示す図である。 図39は、比較例11の19F NMRスペクトルを示す図である。 図40は、比較例13のH NMRスペクトルを示す図である。 図41は、比較例13の19F NMRスペクトルを示す図である。
<定義>
本明細書において、特に断りのない限り、「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などを含む意味で用いる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルキル基」は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基)、ペンチル基、ヘキシル基などのC1−20アルキル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「パーフルオロアルキル基」は、前記アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置換された基を意味し、具体的には、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基(ヘプタフルオロn−プロピル基又はヘプタフルオロi−プロピル基)などのパーフルオロC1−12アルキル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルコキシ基」は、前記アルキル基の末端に酸素原子が結合した基を意味し、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n−プロポキシ基、イソプロポキシ基)、ブトキシ基(n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基)などのC1−12アルコキシ基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルキルスルファニル基」は、前記アルキル基の末端に硫黄原子が結合した基を意味し、具体的には、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基(n−プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基)、ブチルスルファニル基などのC1−12アルキルスルファニル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルキルカルボニル基」は、前記アルキル基の末端にカルボニル基(−C(=O)−)が結合した基を意味し、具体的には、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基(n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基)、ブチルカルボニル基などの(C1−12アルキル)カルボニル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルキルスルホニル基」は、前記アルキル基の末端にスルホニル基(−S(=O)−)が結合した基を意味し、具体的には、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基(n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基)、ブチルスルホニル基などのC1−12アルキルスルホニル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「シクロアルキル基」は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロC5−20アルキル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「トリアルキルシリル基」は、3個の前記アルキル基が珪素原子に結合した基を意味し、具体的には、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などのトリC1−4アルキルシリル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「芳香環」は、アレーン環及びヘテロアレーン環を含む意味で用いる。
アレーン環の炭素数は、特に制限されないが、例えば6〜40、好ましくは6〜30、より好ましくは6〜28、さらに好ましくは6〜26である。アレーン環は、ベンゼン環又は複数のベンゼン環が縮合した構造を有する縮合環であることが好ましい。アレーン環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオランテン環、テトラセン環、テトラフェン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ペリレン環、コロネン環、コラヌレン環、フェナレン環、トリアングレン環などが挙げられる。
ヘテロアレーン環は、環構成原子の数に特に制限はないが、例えば5員〜40員である。ヘテロアレーン環は、単環式であってもよく、多環式(例えば二乃至四環式)であってもよい。ヘテロアレーン環は、環構成原子として、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロアレーン環であることが好ましい。ヘテロアレーン環としては、例えば、酸素含有ヘテロアレーン環(例:フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾ[b,d]フラン環)、硫黄含有ヘテロアレーン環(例:チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾ[b,d]チオフェン環)、窒素含有ヘテロアレーン環(例:ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、1,3,5−トリアジン環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、アクリジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環、フェナジン環、5,10−ジヒドロフェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、アセナフト[1,2−b]ピラジン環)、酸素及び窒素含有ヘテロアレーン環(例:オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、フェノキサジン環)、硫黄及び窒素含有ヘテロアレーン環(例:チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、フェノチアジン環)が挙げられる。
アリール基は、前記芳香環のうち芳香族炭化水素環(アレーン環)から1個の水素原子を除いた基である。アリール基は、単環式アリール基であってもよく、縮合環式アリール基(例えば、縮合二乃至六環式アリール基)であってもよい。単環式アリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。縮合環式アリール基としては、例えば、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基が挙げられる。アリール基としては、C6−18アリール基が好ましい。
ヘテロアリール基は、前記芳香環のうち芳香族複素環(ヘテロアレーン環)から1個の水素原子を除いた基である。ヘテロアリール基は、単環式ヘテロアリール基(例えば、5員又は6員単環式ヘテロアリール基)であってもよく、縮合環式ヘテロアリール基(例えば、縮合二乃至六環式アリール基)であってもよい。単環式ヘテロアリール基としては、フリル基などの単環式酸素含有ヘテロアリール基;チエニル基などの単環式硫黄含有ヘテロアリール基;ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアジル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジニル基などの単環式窒素含有ヘテロアリール基が挙げられる。縮合環式ヘテロアリール基としては、例えば、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基などの縮合環式酸素含有ヘテロアリール基;ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基などの縮合環式硫黄含有ヘテロアリール基;インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基、アクリジル基、9,10−ジヒドロアクリジル基、フェナジル基、5,10−ジヒドロフェナジル基などの縮合環式窒素含有ヘテロアリール基;フェノキサジル基などの縮合環式酸素及び窒素含有ヘテロアリール基;フェノチアジル基などの縮合環式硫黄及び窒素含有ヘテロアリール基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「電子供与性基(ドナー性基)」は、ハメットのσpが負の基を表す。ハメットのσpに関する説明と各基の数値については、Hansch,C.et.al.,Chem.Rev.,91,165-195(1991)を参照することができる。電子供与性基としては、例えば、メチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、フルオレニル基などのアリール基、メトキシ基などのアルコキシ基、メチオニル基などのアルキルスルファニル基、トリメチルシリル基などのトリアルキルシリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、インドリル基、ピロリル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、9,10−ジヒドロアクリジル基、5,10−ジヒドロフェナジル基、フェノキサジル基、フェノチアジル基などのヘテロアリール基、N,N−ジフェニルアミノ基などのN,N−ジアリールアミノ基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「電子求引性基(アクセプター性基)」は、電子供与性基以外の基を意味し、例えば、アルキルカルボニル基(アシル基)、アルキルスルホニル基、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。
<化合物>
一実施態様において、本発明の化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい:
Cz−L−Ar (1)
[式中、
Czは、下記式(2):
Figure 2021172629
(式中、
Zは、不存在、単結合、−C(R29a)(R29b)−、−O−、−S−、又は−N(R29c)−であり、
22及びR27は、それぞれ、電子求引性基であり、
23及びR26は、それぞれ、電子供与性基であり、
21、R24、R25、R28、R29a、R29b、及びR29cは、それぞれ、水素原子、電子求引性基、又は電子供与性基であり、
波線は、Lとの結合部位を示す)
で表される基であり、
Lは、単結合、又は置換基を有していてもよいフェニレン基であり、
Arは、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、当該基は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよい(但し、Arは、式(2)で表される基ではない)]。
Cz(式(2))
Zは、単結合、−C(R29a)(R29b)−、−O−、−S−、又は−N(R29c)−であることが好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
本発明者らは、式(2)において、R22及びR27が電子求引性基であり、R23及びR26が電子供与性基である場合には、R22及びR27が電子求引性基であり、R23及びR26が水素原子である場合、並びに、R22及びR27が水素原子であり、R23及びR26が電子供与性基である場合と比較して、発光ピークの半値幅をより一層狭くすることができることを見出した。
22、R27、並びに、R21、R24、R25、R28、及びR29a〜R29cが電子求引性基である場合、当該電子求引性基は、それぞれ、
好ましくはパーフルオロアルキル基又はシアノ基であり、
より好ましくはパーフルオロC1−4アルキル基又はシアノ基であり、
さらに好ましくはパーフルオロC1−3アルキル基又はシアノ基であり、
さらにより好ましくはパーフルオロC1−2アルキル基又はシアノ基であり、
特に好ましくはトリフルオロメチル基又はシアノ基である。
23、R26、並びに、R21、R24、R25、R28、及びR29a〜R29cが電子供与性基である場合、当該電子供与性基は、それぞれ、
好ましくはアルキル基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
より好ましくはC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリC1−6アルキルシリル基、置換基を有していてもよいN,N−ジC6−18アリールアミノ基、置換基を有していてもよいC5−12シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−18アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式ヘテロアリール基であり、
さらに好ましくはC1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、トリC1−4アルキルシリル基、置換基を有していてもよいN,N−ジC6−14アリールアミノ基、C5−7シクロアルキル基、C6−14アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式窒素含有ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基である。
前記N,N−ジアリールアミノ基が任意に有する置換基は、好ましくは電子求引性基及び電子供与性基である。前記シクロアルキル基、前記アリール基、及び前記ヘテロアリール基が任意に有する置換基は、好ましくはアリール基又はヘテロアリール基であり、より好ましくはアリール基であり、さらに好ましくはC6−12アリール基であり、特に好ましくはC6−10アリール基である。前記ヘテロアリール基が任意に有する置換基は、電子求引性基及び電子供与性基であることも好ましい。前記置換基の数は、例えば、0、1、2、3、又は4個である。
当該電子供与性基は、式(2)で表される基であることも好ましい。
21、R24、R25、及びR28の組合せとしては、
21、R24、R25、及びR28は、水素原子である組合せ;又は
21及びR28が、それぞれ、電子供与性基であり、R24及びR25が、それぞれ、電子求引性基である組合せ
が好ましい。
式(2)で表される基は、下記群から選択される基であることが好ましい:
Figure 2021172629
(式中、Meはメチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはターシャリーブチル基、Phはフェニル基、波線はLとの結合部位を示す)。
Ar
Arは、
好ましくはアリール基及びヘテロアリール基から選択される基であり(但し、式(2)で表される基ではない)、
より好ましくはC6−18アリール基、5員又は6員単環式ヘテロアリール基、及び縮合二乃至四環式ヘテロアリール基から選択される基であり(但し、式(2)で表される基ではない)、
さらに好ましくはC6−16アリール基、5員又は6員単環式窒素含有ヘテロアリール基、及び縮合二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基から選択される基である(但し、式(2)で表される基ではない)。
これらの基は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基(例えばZが不存在である式(2)で表される基)、置換基を有していてもよいシクロアルキル基(好ましくはC5−12シクロアルキル基)、置換基を有していてもよいアリール基(好ましくはC6−12アリール基)、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基(好ましくは5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は縮合二乃至四環式ヘテロアリール基)(例えばZが不存在以外である式(2)で表される基)から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよい。
前記シクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が任意に有する置換基は、特に限定されるものではないが、例えば、アリール基(例えばC6−12アリール基)又はヘテロアリール基(例えば5員又は6員単環式ヘテロアリール基、縮合二乃至四環式ヘテロアリール基)であってもよく、式(2)で表される基であってもよい。
Arは、下記式(3)で表される基であることが好ましい:
Figure 2021172629
(式中、
31〜X35は、それぞれ、−N=又は−C(R)=であり、
は、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
互いにオルトの位置関係で存在し得る2つのRは、互いに結合して芳香環を形成していてもよく、当該芳香環は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよく、
波線は、Lとの結合部位を示す)。
式(3)において、X31〜X35の組合せとしては、
31、X33、及びX35が−N=であり、X32及びX34が−C(R)=である組合せ;
31及びX35が−N=であり、X32〜X34が−C(R)=である組合せ;又は
31〜X35が−C(R)=である組合せ
が好ましい。
は、好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジC6−12アリールアミノ基(例えばZが不存在である式(2)で表される基)、置換基を有していてもよいC5−12シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式ヘテロアリール基(例えばZが不存在以外である式(2)で表される基)である。前記置換基としては、例えば、アリール基(例えばC6−12アリール基)又はヘテロアリール基(例えば5員又は6員単環式ヘテロアリール基、縮合二乃至四環式ヘテロアリール基)であってもよく、式(2)で表される基であってもよい。
式(3)で表される基は、互いにオルトの位置関係で存在し得る2つのRが互いに結合して芳香環を形成する場合、例えば、下記式(3a)又は(3b)で表される基であってもよい:
Figure 2021172629
(式中、X36〜X39は、それぞれ、−N=又は−C(R)=であり、X31〜X33、X35、及びRは前記と同じである)。
式(3a)において、X31〜X33及びX36〜X39の組合せとしては、
31〜X33が−C(R)=であり、X36〜X39が−N=又は−C(R)=である組合せが好ましく、
31〜X33及びX36〜X38が−C(R)=であり、X39が−N=である組合せ;又は
31〜X33及びX36〜X39が−C(R)=である組合せがより好ましい。
式(3b)において、X31、X32、及びX35〜X39の組合せとしては、
31、X32、及びX35が−C(R)=であり、X36〜X39が−N=又は−C(R)=である組合せが好ましく、
31、X32及びX35〜X38が−C(R)=であり、X39は−N=である組合せ;又は
31、X32及びX35〜X39が−C(R)=である組合せがより好ましい。
式(3)で表される基は、下記式(3−1)〜(3−4)のいずれかで表される基であることが好ましい:
Figure 2021172629
(式中、R311、R312、R321〜R323、R331〜R336、及びR341〜R346は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
波線は、Lとの結合部位を示す)。
311、R312、R321〜R323、R331〜R336、及びR341〜R346は、それぞれ、好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジC6−12アリールアミノ基(例えばZが不存在である式(2)で表される基)、置換基を有していてもよいC5−12シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式ヘテロアリール基(例えばZが不存在以外である式(2)で表される基)である。前記置換基としては、例えば、アリール基(例えばC6−12アリール基)又はヘテロアリール基(例えば5員又は6員単環式ヘテロアリール基、縮合二乃至四環式ヘテロアリール基)であってもよく、式(2)で表される基であってもよい。

Lが置換基を有していてもよいフェニレン基である場合、フェニレン基は、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、及び1,4−フェニレン基のいずれであってもよい。
前記置換基は、
好ましくは置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
より好ましくは置換基を有していてもよいN,N−ジC6−18アリールアミノ基、置換基を有していてもよいC6−18アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式ヘテロアリール基であり、
さらに好ましくは式(2)で表される基又は式(3)で表される基である。
前記置換基の数は、例えば、0、1、2、3、又は4個である。
一実施態様において、式(1)で表される化合物は、Lが単結合である化合物が好ましく、Arに、1個以上置換可能な最大数以下の式(2)で表される基が置換した化合物がより好ましく、下記式(4)で表される化合物であることがさらに好ましい:
Figure 2021172629
[式中、
41〜X43は、それぞれ、−N=又は−C(R44)=であり、
41〜R44は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基(但し、R41〜R43のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である]。
41〜X43の組合せとしては、
41〜X43が−N=である組合せ;又は
41〜X43のうち、いずれか2つが−N=であり、残りの1つが−C(R44)=である組合せ
が好ましい。
41〜R44は、それぞれ、好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジC6−12アリールアミノ基(例えばZが不存在である式(2)で表される基)、置換基を有していてもよいC5−12シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式ヘテロアリール基(例えばZが不存在以外である式(2)で表される基)である。前記置換基としては、例えば、アリール基(例えばC6−12アリール基)又はヘテロアリール基(例えば5員又は6員単環式ヘテロアリール基、縮合二乃至四環式ヘテロアリール基)であってもよく、式(2)で表される基であってもよい。
式(4)で表される化合物は、下記式(4−1)又は(4−2)で表される化合物であることが好ましい:
Figure 2021172629
(式中、各々のCzは、互いに同一又は異なって、式(2)で表される基であり、X41〜X43及びR41は前記と同じである)。
一実施態様において、式(1)で表される化合物は、Lが置換基を有していてもよいフェニレン基である化合物が好ましく、ベンゼン環に1個以上のAr及び1個以上の式(2)で表される基が置換した化合物(Ar及び式(2)で表される基の置換数の合計は2個以上6個以下である)がより好ましく、ベンゼン環に1個のAr及び1個以上5個以下の式(2)で表される基が置換した化合物がさらに好ましく、下記式(5)で表される化合物であることが特に好ましい:
Figure 2021172629
[式中、
51〜X53は、それぞれ、−N=又は−C(R58)=であり、
51、R52、及びR58は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
53〜R57は、それぞれ、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R53〜R57のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である]。
51〜X53の組合せとしては、
51〜X53が−N=である組合せ;又は
51が−C(R58)=であり、X52及びX53が−N=である組合せ
が好ましい。
51、R52、及びR58は、それぞれ、好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジC6−12アリールアミノ基(例えばZが不存在である式(2)で表される基)、置換基を有していてもよいC5−12シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式ヘテロアリール基(例えばZが不存在以外である式(2)で表される基)である。前記置換基としては、例えば、アリール基(例えばC6−12アリール基)又はヘテロアリール基(例えば5員又は6員単環式ヘテロアリール基、縮合二乃至四環式ヘテロアリール基)であってもよく、式(2)で表される基であってもよい。
式(5)で表される化合物は、下記式(5−1)〜(5−14)のいずれかで表される化合物であることが好ましい:
Figure 2021172629
(式中、Czは式(2)で表される基であり、複数のCzが存在する場合、複数のCzは互いに同一であっても異なっていてもよく、X51〜X53、R51、及びR52は前記と同じである)。
一実施態様において、式(1)で表される化合物は、下記式(6)で表される化合物であることが好ましい:
Figure 2021172629
[式中、
61〜X67は、それぞれ、−N=又は−C(R66)=であり、
61〜R65は、それぞれ、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R61〜R65のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)であり、
66は、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基である]。
61〜X67の組合せとしては、
61〜X65、及びX67が−C(R66)=であり、X66が−N=である組合せ;又は
61〜X67が−C(R58)=である組合せ
が好ましい。
66は、好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジC6−12アリールアミノ基(例えばZが不存在である式(2)で表される基)、置換基を有していてもよいC5−12シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式ヘテロアリール基(例えばZが不存在以外である式(2)で表される基)である。前記置換基としては、例えば、アリール基(例えばC6−12アリール基)又はヘテロアリール基(例えば5員又は6員単環式ヘテロアリール基、縮合二乃至四環式ヘテロアリール基)であってもよく、式(2)で表される基であってもよい。
式(6)で表される化合物は、下記式(6−1)で表される化合物であることが好ましい:
Figure 2021172629
(式中、Czは式(2)で表される基であり、2個のCzは互いに同一であっても異なっていてもよく、X61〜X67は前記と同じである)。
一実施態様において、式(1)で表される化合物は、Lが置換基を有していてもよいフェニレン基である化合物が好ましく、ベンゼン環に2個のAr及び1個以上4個以下の式(2)で表される基が置換した化合物がより好ましく、下記式(7)で表される化合物であることがさらに好ましい:
Figure 2021172629
[式中、
71〜X76は、それぞれ、−N=又は−C(R79)=であり、
71〜R74及びR79は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
75〜R78は、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R75〜R78のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である]。
71〜X76の組合せとしては、
71〜X76が−N=である組合せ;又は
71、X73、X74、及びX76が−N=であり、X72及びX75が−C(R79)=である組合せ
が好ましい。
71〜R74及びR79は、それぞれ、好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジC6−12アリールアミノ基(例えばZが不存在である式(2)で表される基)、置換基を有していてもよいC5−12シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式ヘテロアリール基(例えばZが不存在以外である式(2)で表される基)である。前記置換基としては、例えば、アリール基(例えばC6−12アリール基)又はヘテロアリール基(例えば5員又は6員単環式ヘテロアリール基、縮合二乃至四環式ヘテロアリール基)であってもよく、式(2)で表される基であってもよい。
式(7)で表される化合物は、下記式(7−1)〜(7−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい:
Figure 2021172629
(式中、Czは式(2)で表される基であり、複数のCzが存在する場合、複数のCzは互いに同一であっても異なっていてもよく、X71〜X76及びR71〜R74は前記と同じである)。
一実施態様において、式(1)で表される化合物は、下記式(8)で表される化合物であることが好ましい:
Figure 2021172629
[式中、
81〜X86は、それぞれ、−N=又は−C(R89)=であり、
81〜R84及びR89は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
85〜R88は、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R85〜R88のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である]。
81〜X86の組合せとしては、
81〜X86が−N=である組合せ;又は
81、X83、X84、及びX86が−N=であり、X82及びX85が−C(R89)=である組合せ
が好ましい。
81〜R84及びR89は、それぞれ、好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジC6−12アリールアミノ基(例えばZが不存在である式(2)で表される基)、置換基を有していてもよいC5−12シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい縮合二乃至四環式ヘテロアリール基(例えばZが不存在以外である式(2)で表される基)である。前記置換基としては、例えば、アリール基(例えばC6−12アリール基)又はヘテロアリール基(例えば5員又は6員単環式ヘテロアリール基、縮合二乃至四環式ヘテロアリール基)であってもよく、式(2)で表される基であってもよい。
式(8)で表される化合物は、下記式(8−1)〜(8−6)のいずれかで表される化合物であることが好ましい:
Figure 2021172629
(式中、Czは式(2)で表される基であり、複数のCzが存在する場合、複数のCzは互いに同一であっても異なっていてもよく、X81〜X86及びR81〜R84は前記と同じである)。
本発明の化合物の発光ピークの半値幅は、好ましくは90nm以下、より好ましくは85nm以下、さらに好ましくは80nm以下であってもよく、10nm以上であってもよい。半値幅は、本発明の化合物を溶解した溶液(濃度:1×10−5M)に室温下340nmの励起光を照射した場合の発光スペクトル測定により決定することができる。なお、発光スペクトルにおいて、ピークトップ強度の半分の値のスペクトル幅を半値幅(FWHM, Full Width Half Maximum)と定義する。
本発明の化合物の発光効率(PLQY)は、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上である。発光効率(PLQY)は、本発明の化合物を溶解した溶液(濃度:1×10−5M)に室温下340nmの励起光を照射した場合の値であり、絶対PL量子収率測定装置(例えば、浜松ホトニクス社製 Quantaurus-QY C11347-01)を用いて測定することができる。
本発明の化合物のHOMO準位は、好ましくは−5.0eV以下又は−5.5eV以下であってもよく、−7.0eV以上、−6.5eV以上、又は−6.4eV以上であってもよい。このようなHOMO準位により、ホスト材料などの周辺材料との適合性に優れる。HOMO準位は、大気中光電子分光装置(例えば、理研計器株式会社製AC―3)を用いて測定することができる。
本発明の化合物の配向度パラメータSは、発光効率の点から、好ましくは0.002以上、0.003以上、0.004以上、又は0.005以上であってもよく、0.05以下であってもよい。配向度パラメータSは、発光材料の単膜(膜厚 約 30nm)をベアシリコン基板上に作製し、分光エリプソメータ(J.A. Woollam Japan製品)を使用して45〜75度(5度刻み)の範囲でスペクトル測定を行い、得られたスペクトルのフィッティング解析により算出することができる。
本発明の化合物の酸化還元特性ΔEは、耐久性の点から、好ましくは0.1eV以下、0.08eV以下、0.06eV以下、又は0.05eV以下であってもよく、0.01eV以上であってもよい。ΔEは、以下の測定条件でサイクリックボルタンメトリー測定を行うことにより算出することができる。
<測定条件>
作用極:グラッシーカーボン
対極:白金ワイヤ
参照極:Ag/AgNOアセトニトリル溶液
溶媒:THF
電解質:BuNPF
走引速度:50meV/s
発光材料濃度:1mM
電解質濃度:100mM
式(1)で表される化合物の製造方法
式(1)で表される化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(11):
Figure 2021172629
(式中、Z及びR21〜R28は前記と同じである)
で表される化合物を、下記式(12):
Ar−L−(Q) (12)
(式中、
はハロゲン原子であり、
Ar及びLは前記と同じであり、
Lが単結合である場合、nはArの価数に応じて選択される1以上の整数であり、
Lが置換基を有していてもよいフェニレン基である場合、nはLの価数に応じて選択される1以上の整数である)
で表される化合物と反応させる工程を含む方法により製造することができる。
式(11)で表される化合物
式(11)で表される化合物は、公知の反応の組合せにより製造することができる。例えば、式(11)で表される化合物は、下記式(13):
Figure 2021172629
(式中、Q及びQは、それぞれ、ハロゲン原子であり、R21、R22、R24、R25、R27、及びR28は前記と同じである)
で表される化合物を、下記式(14):
Figure 2021172629
(式中、R23は前記と同じである)
で表される化合物、及び下記式(15):
Figure 2021172629
(式中、R26は前記と同じである)
で表される化合物と反応させる工程を含む方法により製造することができる。
式(13)において、Q及びQは、互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子であることが好ましい。
式(14)及び(15)において、−B(OH)は、下記式:
Figure 2021172629
で表される基であってもよい。
式(14)及び(15)で表される化合物の使用量の合計は、式(13)で表される化合物1モルに対して、2モル以上、2.5モル以上、又は3モル以上であることが好ましく、6モル以下、5モル以下、又は4モル以下であることが好ましい。
当該反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としては、例えば、遷移金属触媒が挙げられ、その具体例としては、パラジウム触媒、銅触媒、ニッケル触媒、コバルト触媒などが挙げられる。これらの触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、これらの触媒を使用する場合、国際公開第2011/08902号、国際公開第2015/137472号などを参照できる。
当該反応は、塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基としては、例えば、n−ブチルリチウム、NaH、t−ブトキシナトリウム、KOH、KCO、KPO、t−ブトキシカリウム、酢酸カリウム、CsCOなどが挙げられる。これらの塩基は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、これらの塩基を使用する場合、国際公開第2008/117826号、Chemistry of Materials, 2010, 22(7), 2403〜2410、韓国特許出願公開公報第2018-063708号などを参照できる。
当該反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、反応成分を溶解可能である限り、特に制限されず、例えば、エーテル(例:ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン)、芳香族炭化水素(例:トルエン、キシレン)、アミン(例:トリエチルアミンなどの鎖状アミン、N−メチルピロリドンなどの環状アミン)、アミド(例:ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例:ジメチルスルホキシド)などが挙げられる。溶媒は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
当該反応の反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。反応温度は、例えば0℃以上、15℃以上、又は25℃以上であってもよく、200℃以下、150℃以下、又は100℃以下であってもよい。反応時間は、例えば1時間以上、2時間以上、又は5時間以上であってもよく、50時間以下、30時間以下、又は10時間以下であってもよい。
式(12)で表される化合物
は、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子であることが好ましい。
式(12)で表される化合物は、公知の反応の組合せにより製造することができる。例えば、式(12)で表される化合物のうち、Lが単結合である化合物は、市販品をそのまま使用することができ、Lが置換基を有していてもよいフェニレン基である化合物は、下記式(16):
Ar−Q (16)
(式中、Qはハロゲン原子である)
で表される化合物を、下記式(17):
(Q)−L−B(OH) (17)
(式中、L及びQは前記と同じである)
で表される化合物と反応させる工程を含む方法により製造することができる。
式(17)において、−B(OH)は、下記式:
Figure 2021172629
で表される基であってもよい。
当該反応は、式(13)〜(15)で表される化合物の反応と同様の反応条件を採用することができる。
式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物の反応
当該反応は、式(13)〜(15)で表される化合物の反応と同様の反応条件を採用することができる。
式(11)及び(12)で表される化合物の反応は、式(13)〜(15)で表される化合物を反応させた後、引き続き(式(11)で表される化合物を精製することなく)、式(12)で表される化合物と反応させる反応(ワンポット反応)であってもよく、式(16)及び(17)で表される化合物を反応させた後、引き続き(式(12)で表される化合物を精製することなく)、式(13)〜(15)で表される化合物と反応させる反応(ワンポット反応)であってもよい。
<遅延蛍光材料>
一実施態様において、本発明の遅延蛍光材料は、本発明の化合物を含むことが好ましい。遅延蛍光材料は、例えば、後述の有機発光素子の発光材料として好適に使用することができる。
<有機発光素子>
一実施形態において、本発明の有機発光素子は、本発明の化合物を含むことが好ましい。
有機発光素子としては、例えば、有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。有機発光素子は、有機EL素子であることが好ましい。
有機EL素子は、陽極、陰極、及び陽極と陰極との間に形成された有機層とを有することが好ましい。
有機層は、少なくとも発光層を含むことが好ましく、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層に加えて、1層以上の他の有機層を含んでいてもよい。他の有機層としては、例えば、注入層(例:正孔注入層、電子注入層)、阻止層(例:電子阻止層、正孔阻止層、励起子阻止層)、輸送層(例:正孔輸送層、電子輸送層)などが挙げられる。正孔輸送層は、正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。
有機EL素子は、発光層で発生した光を基板側から取り出すボトムエミッション型であってもよいし、発光層で発生した光を基板の反対側から取り出すトップエミッション型であってもよい。いずれの型であっても、基板側に形成する電極は陽極であってもよいし、陰極であってもよい。光を取り出す側の電極は透明であることが好ましく、その反対側の電極は透明であっても透明でなくてもよい。
有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。基板については、特に制限はなく、従来から有機EL素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(例えば4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としては、Auなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnOなどの透明導電性材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)などの非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、電極材料を蒸着、スパッタリングなどの方法により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、電極材料の蒸着、スパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。或いは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式成膜法を用いることもできる。陽極から発光を取り出す場合には、透過率を10%よりも大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、通常、10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
陰極としては、仕事関数の小さい(例えば4eV以下)金属(電子注入性金属)、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウムなどが好適である。陰極は、電極材料を蒸着、スパッタリングなどの方法により薄膜を形成することにより作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。陰極の膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上するため好ましい。また、陽極の説明で挙げた透明導電性材料を陰極に用いることで透明又は半透明の陰極を作製することができ、陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
発光層は、陽極及び陰極のそれぞれから注入された正孔及び電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光(例:蛍光発光、遅延蛍光発光、及びその両方)する層であることが好ましい。発光層は、発光材料を単独で含む層であってもよいが、発光材料及びホスト材料を含む層であることが好ましい。発光材料として、本発明の化合物(1種又は2種以上)を用いることができる。ホスト材料としては、特に制限されないが、励起一重項エネルギー及び励起三重項エネルギーの少なくとも一方が、本発明の化合物よりも高い値を有する有機化合物を用いることが好ましい。また、ホスト材料は、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
さらに、ホスト材料及び発光材料を含む発光層に、TADF性を示す化合物を第三成分(アシストドーパント化合物)として発光層に含めると、高発光効率発現に有効である(H.Nakanоtani,et al.,Nature Communicaion,2014,5,4016−4022)。アシストドーパント化合物上に25%の一重項励起子と75%の三重項励起子を電界励起により発生させることによって、三重項励起子は逆項間交差(RISC)を伴って一重項励起子を生成することができる。一重項励起子のエネルギーは、発光材料へエネルギー移動し、発光材料が発光することが可能となる。従って、理論上100%の励起子エネルギーを利用して、発光材料を発光させることが可能となり、高発光効率が発現する。
発光層中の本発明の化合物の含有量は0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
注入層は、駆動電圧低下又は発光輝度向上のため、電極と有機層との間に設けられる層であることが好ましい。注入層は、正孔注入層及び電子注入層を包含する。注入層は、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、及び、陰極と発光層又は電子輸送層との間に設けてもよい。
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)及び/又は励起子の発光層外への拡散を阻止できる層であることが好ましい。電子阻止層は、発光層と正孔輸送層との間に配置することができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止できる。同様に、正孔阻止層は、発光層と電子輸送層との間に配置することができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止できる。電子阻止層及び正孔阻止層は、それぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層又は励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層及び励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であることが好ましい。励起子阻止層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層、電子阻止層などを有することができる。陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギー及び励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギー及び励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
正孔輸送層は正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなることが好ましく、正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものが好ましく、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる正孔輸送材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔輸送材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物、及びスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。また、酸化モリブデンなどの無機半導体を正孔輸送材料として用いることもできる。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなることが好ましく、電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有することが好ましい。使用できる電子輸送層としては、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子求引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、酸化亜鉛などの無機半導体を電子輸送材料として用いることもできる。
有機EL素子を作製する際には、本発明の化合物を発光層に用いるだけでなく、発光層以外の層にも用いてもよい。その際、発光層に用いる本発明の化合物と、発光層以外の層に用いる本発明の化合物は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、上記の注入層、阻止層(例:正孔阻止層、電子阻止層、励起子阻止層)、正孔輸送層、電子輸送層などにも本発明の化合物を用いてもよい。
これらの層の製膜方法は、特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示する。ただし、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。なお、以下の例示化合物の構造式におけるR、R’、R〜R10は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Xは環骨格を形成する炭素原子または複素原子を表し、nは3〜5の整数を表し、Yは置換基を表し、mは0以上の整数を表す。
発光層のホスト材料としても用いることができる好ましい化合物を挙げる。使用する発光材料のHOMO/LUMO準位に適合させるために、下記の例示化合物の基本骨格に適宜置換基を導入することによりホスト材料のHOMO/LUMO準位を調整することができる。例えば、下記の例示化合物の基本骨格にシアノ基やパーフルオロアルキル基を導入することによりHOMO/LUMO準位を深くした化合物とし、これをホスト材料や周辺化合物に用いることができる。ホスト材料としては、バイポーラー性(正孔と電子を両方よく流す)であっても、ユニポーラー性であってもよく、発光材料よりも励起三重項エネルギー準位ET1が高いものであることが好ましい。より好ましいホスト材料はバイポーラー性を有し、発光材料よりも励起三重項エネルギー準位ET1が高いものである。
Figure 2021172629
Figure 2021172629
Figure 2021172629
次に、正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2021172629
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2021172629
次に、正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2021172629
次に、電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2021172629
次に、正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2021172629
Figure 2021172629
Figure 2021172629
次に、電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2021172629
Figure 2021172629
さらに添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加することができる。
Figure 2021172629
本発明の有機EL素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明の有機EL素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機EL素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機EL素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。さらに、本発明の有機発光素子は、有機発光ダイオードに応用することが可能である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(中間体D1の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、200mLナスフラスコに、2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾール(4.55g)、トリフェニルホスフィンスルフィド(220mg)を入れ、DMF(100mL)に溶解させた。室温下撹拌しながら、N-ブロモスクシンイミド(10.8g)を2回に分割して添加した。室温下で23時間撹拌後、反応溶液に飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(40mL)、1N水酸化ナトリウム水溶液(50mL)を加えた。析出物をろ取し、昇華精製することで、3,6-ジブロモ-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾール(5.8g、収率84%)を得た。当該化合物のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図1及び図2に示す。
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、3,6-ジブロモ-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾール(1.38g)、フェニルボロン酸(1.46g)、リン酸カリウム(5.12g)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(87mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム・クロロホルム錯体(155mg)を入れ、キシレン(25mL)に溶解させた。反応溶媒を脱気後、110℃で17時間撹拌した。反応液を放冷し水を加えて分液した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて減圧濃縮した、得られた粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン:クロロホルム=1:1)に供することで中間体D1(1.05g、収率77%)を得た。中間体D1のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図3及び図4に示す。
(中間体D2の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、3,6-ジブロモ-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾール(461mg)、メチルボロン酸(239mg)、リン酸カリウム(10.6g)、ジクロロ(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(73mg)を入れ、1,4-ジオキサン(10mL)、水(3mL)を加えて溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流しながら13時間撹拌した。反応液を放冷し酢酸エチル、飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて分液した。水層を酢酸エチルで抽出し有機層を合わせて減圧濃縮した、得られた粗生成物をシリカゲルろ過カラム(酢酸エチル)に供した後、ヘキサンで洗浄することで中間体D2(125mg、収率38%)を得た。中間体D2のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図5及び図6に示す。
(中間体D3の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、3,6-ジブロモ-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾール(1.73g)、ジベンゾフラン-4-ボロン酸(1.79g)、炭酸カリウム(1.99g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(266mg)を入れ、トルエン(26.5mL)、水(10mL)を加えて溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流しながら16時間撹拌した。反応液を放冷し酢酸エチル、水を加えて分液した。水層を酢酸エチルで抽出し有機層を合わせて減圧濃縮した、得られた粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)に供し、中間体D3(1.84g、収率77%)を得た。中間体D3のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図7及び図8に示す。
(中間体D4の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、3,6-ジブロモ-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾール(461mg)、9-フェニルカルバゾール-3-ボロン酸(860mg)、リン酸カリウム(1.06g)、ジクロロ(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(70mg)を入れ、1,4-ジオキサン(9mL)、水(3mL)を加えて溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流しながら17時間撹拌した。反応液を放冷し酢酸エチル、水を加えて分液した。水層を酢酸エチルで抽出し有機層を合わせて減圧濃縮した、得られた粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン:クロロホルム=1:1)に供し、中間体D4(650mg、収率75%)を得た。質量分析(ASAP, positive) により目的物のm/zを観測した。
(中間体D5の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、10mLシュレンク管に、4-メチル-3-トリフルオロメチルアニリン(96mg)、4-ブロモ-2-トリフルオロメチルトルエン(120mg)、tert-ブトキシナトリム(96mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム・クロロホルム錯体(51mg)、Xphos(48mg)を入れ、1,4-ジオキサン(2mL)を加えて懸濁させた。反応溶媒を脱気後、80℃下15時間撹拌した。反応液を放冷し酢酸エチル、飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて分液した。水層を酢酸エチルで抽出し有機層を合わせて減圧濃縮した、得られた粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン:クロロホルム=1:1)に供することで中間体D5(218mg、収率65%)を得た。中間体D5のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図9及び図10に示す。
(中間体A1の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(803mg)、3,4,5-トリフルオロフェニルボロン酸(528mg)、炭酸カリウム(1.24g)、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(174mg)を入れ、THF(22mL)、水(7mL)を加えて溶解させた。反応液を脱気し、24時間加熱還流した。反応液を放冷し、酢酸エチル(15mL)、水(15mL)を加えた。不溶物をろ取し、酢酸エチル、アセトンで洗浄することで、中間体A1(902mg、収率83%)を得た。
(中間体A2の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、1,4-ジブロモ-2,5-ジフルオロベンゼン(1.00g)、ビスピナコラートジボロン(2.02g)、酢酸カリウム(1.81g)、ジクロロ(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(150mg)を入れ、1,4-ジオキサン(25mL)に懸濁させた。反応溶媒を脱気後、100℃下20時間撹拌した。反応液を濃縮後、シリカゲルろ過カラム(酢酸エチル)に供した。ろ液を濃縮し、ヘキサンで洗浄することで2,2’-(2,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン)ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン)(806mg、収率60%)を得た。
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、2,2’-(2,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン)ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン)(366mg)、2−クロロー4,6−ジフェニルー1,3,5−トリアジン(615mg)、炭酸カリウム(690mg)、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(57mg)を入れ、THF(20mL)、水(6mL)に溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流下14時間撹拌した。反応液を放冷し水を加えた。析出物をろ取し、酢酸エチルで洗浄することで中間体A2(495mg、収率86%)を得た。中間体A2のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルを図11に示す。
(中間体A3の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、1,5-ジブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(1.00g)、ビスピナコラートジボロン(2.02g)、酢酸カリウム(1.81g)、ジクロロ(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(150mg)を入れ、1,4-ジオキサン(25mL)に懸濁させた。反応溶媒を脱気後、100℃下23時間撹拌した。反応液を濃縮後、シリカゲルろ過カラム(酢酸エチル)に供した。ろ液を濃縮することで2,2’-(4,6-ジフルオロ-1,3-フェニレン)ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン)の粗品(1.93g、粗収率143%)を得た。精製は次の反応後に行った。
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、2,2’-(4,6-ジフルオロ-1,3-フェニレン)ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン)の粗品(523mg)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(615mg)、炭酸カリウム(690mg)、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(57mg)を入れ、THF(20mL)、水(6mL)に溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流下14時間撹拌した。反応液を放冷し水を加えた。析出物をろ取し、酢酸エチル、クロロホルムで洗浄することで中間体A3(297mg、2段階収率52%)を得た。中間体A3のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図12及び図13に示す。
(中間体A4の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、50mLナスフラスコに、2-ブロモ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(623mg)、2,4,6-トリフルオロフェニルボロン酸(387mg)、炭酸カリウム(982mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) クロロホルム付加体(109mg)、トリフェニルホスフィン(63mg)を入れ、THF(15mL)、水(5mL)を加えて溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流しながら20時間撹拌した。反応液を放冷し、シリカゲルろ過カラム(酢酸エチル)に供した。ろ液に析出した固体をろ取し、中間体A4(308mg、収率42%)を得た。中間体A4のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図14及び図15に示す。
(中間体A5の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、20mLナスフラスコに、2-ブロモ-4,6-ジフェニルピリミジン(611mg)、2,4,6-トリフルオロフェニルボロン酸(482mg)、炭酸カリウム(1.33g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) クロロホルム付加体(124mg)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(156mg)を入れ、DMF(10mL)を加えて溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流しながら20時間撹拌した。反応液を放冷し、トルエン、水を加えて分液した。水層をトルエンで抽出し有機層を合わせて減圧濃縮した、得られた粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=95/5)に供しすることで中間体A5(522mg、収率73%)を得た。中間体A5のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図16及び図17に示す。
(中間体A6の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、20mLナスフラスコに、6-ヨードキノリン(509mg)、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸(471mg)、炭酸カリウム(1.08g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(132mg)を入れ、トルエン(8mL)、水(3mL)を加えて溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流しながら21時間撹拌した。反応液を放冷し酢酸エチル、水を加えて分液した。水層を酢酸エチルで抽出し有機層を合わせて減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=3/2)に供し、中間体A6(463mg、収率87%)を得た。中間体A6のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図18及び図19に示す。
(中間体A7の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、6-ヨードキノリン(613mg)、3-ブロモ-5-フルオロフェニルボロン酸(796mg)、炭酸カリウム(1.28g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(150mg)を入れ、トルエン(10mL)、水(4mL)を加えて溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流しながら17時間撹拌した。反応液を放冷し酢酸エチル、水を加えて分液した。水層を酢酸エチルで抽出し有機層を合わせて減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=3/2)に供し、中間体A7(461mg、収率63%)を得た。中間体A7のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図20及び図21に示す。
(中間体A8の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、20mLシュレンク管に、2,2’-(2,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン)ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン)(183mg)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-ピリミジン(307mg)、炭酸カリウム(207mg)、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(29mg)を入れ、THF(10mL)、水(3mL)に溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流下23時間撹拌した。反応液を放冷し水を加えた。析出物をろ取し、水、アセトンで洗浄することで中間体A8(216mg、収率75%)を得た。中間体A8のH NMRスペクトルを図22に示す。
(中間体A9の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、100mL四つ口フラスコに、1,4-ジブロモ-2-フルオロベンゼン(1.80g)、ビスピナコラートジボロン(3.88g)、酢酸カリウム(3.53g)、[1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(291mg)を入れ、1,4-ジオキサン(36mL)を加えて溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流しながら17時間撹拌した。反応液を放冷し、シリカゲルろ過カラム(酢酸エチル)に供した後、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物にヘキサンを加え、析出物をろ取することで、2,2’-(2-フルオロ-1,4-フェニレン)ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン)(1.79g、収率72%)を得た。
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、10mLシュレンク管に、2,2’-(2-フルオロ-1,4-フェニレン)ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン)(200mg)、2-ブロモ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(565mg)、炭酸カリウム(557mg)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(45mg)を入れ、THF(4mL)、水(1.3mL)を加えて溶解させた。反応溶媒を脱気後、加熱還流しながら17時間撹拌した。反応液の放冷後、水を加えたところ白色固体が析出した。析出物をろ取後、酢酸エチルで洗浄し、中間体A9(321mg、収率100%)を得た。中間体A9のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図23及び図24に示す。
(実施例1の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、10mLシュレンク管に中間体D1(170mg)、中間体A1(38mg)、炭酸セシウム(182mg)を入れ、DMSO(2mL)に溶解させた。80℃下2時間反応後に放冷した。反応液に水(5mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取物をシリカゲルカラム(ヘキサン:クロロホルム=1:1)に供することで実施例1(120mg、収率69%)を得た。実施例1のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをぞれぞれ図25及び図26に示す。
(実施例2の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、10mLシュレンク管に中間体D1(285mg)、中間体A2(144mg)、炭酸セシウム(305mg)を入れ、NMP(15mL)に懸濁させた。130℃下21時間反応後に放冷した。反応液に水(5mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取物を昇華精製することで実施例2(346mg、収率96%)を得た。実施例2のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図27及び図28に示す。
(実施例3及び4の合成)
Figure 2021172629
(実施例3:R=Ph、実施例4:R=Me)
窒素雰囲気下、10mLシュレンク管に中間体D1(285mg)、中間体A3(144mg)、炭酸セシウム(305mg)を入れ、NMP(15mL)に懸濁させた。130℃下21時間反応後に放冷した。反応液に水(5mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取物を昇華精製することで実施例3(355mg、収率98%)を得た。実施例3のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図29及び図30に示す。
窒素雰囲気下、10mLシュレンク管に中間体D2(125mg)、中間体A3(87mg)、炭酸セシウム(184mg)を入れ、NMP(5mL)に懸濁させた。130℃下2時間反応後に放冷した。反応液に水(5mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取物を昇華精製することで実施例4(58mg、収率27%)を得た。実施例4のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図31及び図32に示す。
(実施例5の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、10mLシュレンク管に中間体D2(125mg)、中間体A8(86mg)、炭酸セシウム(184mg)を入れ、NMP(5mL)に溶解させた。150℃下22時間反応させた。反応液を放冷し水を加えたところ、肌色固体が析出した。析出物をろ取後、昇華精製することで実施例5(89mg、収率50%)を得た。質量分析(ASAP, positive)により同定した。
(実施例6の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、10mLシュレンク管に中間体A9(287mg)、中間体D3(360mg)、炭酸セシウム(591mg)を入れ、NMP(5.8mL)に溶解させた。130℃下22時間反応させた。反応液を放冷し水を加えたところ、肌色固体が析出した。析出物をろ取後、昇華精製することで実施例6(417mg、収率70%)を得た。質量分析(ASAP, positive)により同定した。
(比較例1)
比較例1は、下記式:
Figure 2021172629
で表される化合物であり、Lumtec社製品(http://www.lumtec.com.tw/portal_c1_cnt_page.php?owner_num=c1_290785&button_num=c1&folder_id=36067&cnt_id=396136&search_field=&search_word=&search_field2=&search_word2=&search_field3=&search_word3=&bool1=&bool2=&search_type=1&up_page=3)
を使用した。
(比較例2〜4)
比較例2〜4は、それぞれ、下記式:
Figure 2021172629
で表される化合物であり、国際公開第2018047948号に記載の方法で合成した。
(比較例5の合成)
Figure 2021172629
反応の1段階目として、窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、中間体A1(500mg)、2,7-ビストリフルオロメチルカルバゾール(444mg)、炭酸セシウム(961mg)を入れ、DMSO(20mL)に溶解させた。85℃で3時間撹拌した後、室温まで放冷した。反応溶液に水(12mL)、クロロホルム(10mL)を加え、10分間静置した。析出した灰色の結晶をろ取し、水(2mL)、クロロホルム(3mL)で洗浄することで、9-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2,6-ジフルオロフェニル)-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾール(766mg、収率86%)を得た。
反応の2段階目として、窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、9-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2,6-ジフルオロフェニル)-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾール(499mg)、カルバゾール(274mg)、炭酸セシウム(1.158g)を入れ、DMSO(20mL)に溶解させた。120℃で18時間撹拌した後、室温まで放冷した。次に、反応溶液に水(15mL)を加え、40分間静置した。析出した灰色の結晶をろ取し、冷クロロホルム(2mL)で洗浄することで比較例5(515mg、収率71%)を得た。比較例5のH NMRスペクトルを図33に示す。
(比較例6の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、30mLナスフラスコに、9-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2,6-ジフルオロフェニル)-2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9H-カルバゾール(65mg)、3,6-ジフェニルカルバゾール(80mg)、炭酸セシウム(82mg)を入れ、DMSO(3mL)に溶解させた。100℃で18時間撹拌した後、室温まで放冷した。次に、反応溶液に水(15mL)を加え、40分間静置した。析出した灰色の結晶をろ取し、IPA(2mL)で洗浄後、昇華することで比較例6(85mg、収率68%)を得た。比較例6のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図34及び図35に示す。
(比較例7〜9の合成)
比較例7〜9は、それぞれ、下記式:
Figure 2021172629
で表される化合物であり、Nature 2012, 492 (13), 234-238.に記載の方法で合成した。
(比較例10の合成)
比較例10は、下記式:
Figure 2021172629
で表される化合物であり、中国特許出願公開公報107384364号に記載の方法で合成した。比較例10のH NMRスペクトル及び13C NMRスペクトルをそれぞれ図36及び図37に示す。
(比較例11の合成)
比較例11は、下記式:
Figure 2021172629
で表される化合物であり、国際公開第2019087936号に記載の方法で合成した。比較例11のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図38及び図39に示す。
(比較例12の合成)
比較例12は、下記式:
Figure 2021172629
で表される化合物であり、比較例11の合成において、原料の3,6-ビス(トリフルオロメチル)カルバゾールの代わりに2,7-ビス(トリフルオロメチル)カルバゾールを用いて合成した。質量分析(ASAP, positive)により目的物のm/zを確認した。
(比較例13の合成)
Figure 2021172629
窒素雰囲気下、10mLシュレンク管に中間体D1(170mg)、4,5−ジフルオロフタロニトリル(24mg)、炭酸セシウム(182mg)を入れ、DMSO(2mL)に溶解させた。80℃下2時間反応後に放冷した。反応液に水(5mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取物をシリカゲルカラム(ヘキサン:クロロホルム=1:1)に供することで比較例13(20mg、収率13%)を得た。比較例13のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルをそれぞれ図40及び図41に示す。
(発光極大波長(λmax)、半値幅)
比較例及び実施例のλmax、半値幅、及びCIEは、発光材料のトルエン溶液(発光材料濃度:1×10−5M)に室温下340nmの励起光を照射した場合の発光スペクトルを、HORIBA社製Fluoromax 4 を用いて測定し、当該発光スペクトルを基に次のように測定した。
λmaxは、ピークトップの波長により測定した。
半値幅は、ピークトップ強度の半分の値のスペクトル幅により測定した。
(発光効率(PLQY))
比較例及び実施例のPLQYは、発光材料のトルエン溶液(発光材料濃度:1×10−5M)に室温下340nmの励起光を照射した場合の値であり、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製 Quantaurus-QY C11347-01)を用いて測定した。
(HOMO準位)
比較例及び実施例のHOMO準位は、大気中光電子分光装置(理研計器株式会社製AC―3)を用いて測定した。測定サンプルは、発光材料をITO基板上に膜厚50nmとなるよう真空蒸着したものを用いた。測定は、紫外光強度10nW、測定範囲−4.00eVから−7.00eV(0.05eV刻み)で行い、紫外線照射時の光電子放出のエネルギーしきい値をHOMO準位とした。
(配向度パラメータS)
比較例及び実施例の配向度パラメータSは、発光材料の単膜 (膜厚 約 30nm) をベアシリコン基板上に作製し、分光エリプソメータ(J.A. Woollam Japan製品) を使用して45〜75度(5度刻み)の範囲でスペクトル測定を行い、得られたスペクトルのフィッティング解析により算出した。
(酸化還元特性ΔE)
比較例及び実施例の酸化還元特性は、以下の測定条件でサイクリックボルタンメトリー測定を行うことにより算出した。
<測定条件>
作用極:グラッシーカーボン
対極:白金ワイヤ
参照極:Ag/AgNOアセトニトリル溶液
溶媒:THF
電解質:BuNPF
走引速度:50meV/s
発光材料濃度:1mM
電解質濃度:100mM
結果を表1に示す。
Figure 2021172629

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表される化合物:
    Cz−L−Ar (1)
    [式中、
    Czは、下記式(2):
    Figure 2021172629
    (式中、
    Zは、不存在、単結合、−C(R29a)(R29b)−、−O−、−S−、又は−N(R29c)−であり、
    22及びR27は、それぞれ、電子求引性基であり、
    23及びR26は、それぞれ、電子供与性基であり、
    21、R24、R25、R28、R29a、R29b、及びR29cは、それぞれ、水素原子、電子求引性基、又は電子供与性基であり、
    波線は、Lとの結合部位を示す)
    で表される基であり、
    Lは、単結合、又は置換基を有していてもよいフェニレン基であり、
    Arは、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、当該基は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよい(但し、Arは、式(2)で表される基ではない)]。
  2. Arが、フェニル基、縮合二乃至六環式アリール基、及び窒素含有ヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、当該基は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよい(但し、Arは、式(2)で表される基ではない)、請求項1に記載の化合物。
  3. Arが、下記式(3):
    Figure 2021172629
    (式中、
    31〜X35は、それぞれ、−N=又は−C(R)=であり、
    は、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
    互いにオルトの位置関係で存在し得る2つのRは、互いに結合して芳香環を形成していてもよく、当該芳香環は、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよく、
    波線は、Lとの結合部位を示す)
    で表される基である、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 式(3)で表される基が、下記式(3−1)〜(3−4):
    Figure 2021172629
    (式中、
    311、R312、R321〜R323、R331〜R336、及びR341〜R346は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
    波線は、Lとの結合部位を示す)
    のいずれかで表される基である、請求項3に記載の化合物。
  5. Lが、式(2)で表される基及び式(3)で表される基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基を有していてもよいフェニレン基である、請求項3又は4に記載の化合物。
  6. Zが単結合である、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
  7. 22及びR27が、それぞれ、パーフルオロアルキル基又はシアノ基である、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
  8. 23及びR26が、それぞれ、アルキル基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基である、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
  9. 21、R24、R25、及びR28が、水素原子である、又は
    21及びR28が、それぞれ、電子供与性基であり、R24及びR25が、それぞれ、電子求引性基である、
    請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
  10. 下記式(4)で表される化合物:
    Figure 2021172629
    [式中、
    41〜X43は、それぞれ、−N=又は−C(R44)=であり、
    41〜R44は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基(但し、R41〜R43のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である];
    下記式(5)で表される化合物:
    Figure 2021172629
    [式中、
    51〜X53は、それぞれ、−N=又は−C(R58)=であり、
    51、R52、及びR58は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
    53〜R57は、それぞれ、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R53〜R57のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である];
    下記式(6)で表される化合物:
    Figure 2021172629
    [式中、
    61〜X67は、それぞれ、−N=又は−C(R66)=であり、
    61〜R65は、それぞれ、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R61〜R65のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)であり、
    66は、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基である];
    下記式(7)で表される化合物:
    Figure 2021172629
    [式中、
    71〜X76は、それぞれ、−N=又は−C(R79)=であり、
    71〜R74及びR79は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
    75〜R78は、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R75〜R78のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である];及び
    下記式(8)で表される化合物:
    Figure 2021172629
    [式中、
    81〜X86は、それぞれ、−N=又は−C(R89)=であり、
    81〜R84及びR89は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
    85〜R88は、水素原子又は式(2)で表される基(但し、R85〜R88のうち、少なくとも1つは、式(2)で表される基)である]
    からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を含む遅延蛍光材料。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を含む有機発光素子。
  13. 有機EL素子である、請求項12に記載の有機発光素子。
  14. 下記式(9):
    Figure 2021172629
    (式中、
    91及びR94は、それぞれ、パーフルオロアルキル基又はシアノ基であり、
    92及びR93は、それぞれ、アルキル基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、置換基を有していてもよいN,N−ジアリールアミノ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
    は、不存在、単結合、−C(R95)(R96)−、−O−、−S−、又は−N(R97)−であり、
    95〜R97は、それぞれ、水素原子、電子求引性基、又は電子供与性基である)
    で表される化合物(但し、Zが不存在であり、R91及びR94がトリフルオロメチル基であり、R92及びR93がメトキシ基である化合物、並びに、Zが不存在であり、R91及びR94がシアノ基であり、R92及びR93がフェニル基である化合物を除く)。
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