JP6753545B1 - 含窒素複素環化合物及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光効率が高く、且つ、発光ピークの半値幅が狭い含窒素複素環化合物、及びその利用の提供。【解決手段】下記の式(実施例1)に例示される含窒素複素環化合物。含窒素複素環化合物を含む、蛍光材料及び有機EL素子。【選択図】なし

Description

含窒素複素環化合物及びその利用に関する技術が開示される。
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode, OLED)などの有機発光素子用の発光材料の探索が行われている。発光材料としては、発光色(発光極大波長、半値幅、CIE)、発光効率など種々の特性が好ましいことが求められる。
特許文献1には、下記式I及びII:
(式中、Ar〜Arは、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、C1−6アルキル基、C1−6フルオロアルキル基、C6−30芳香環、C3−30ヘテロ芳香環で置換されている又は置換されていないC6−60芳香環又はヘテロ芳香環である)
で表される化合物をOLEDに使用することが記載されている。
中国特許出願公開公報第109456326号
本発明者らは、特許文献1に記載された化合物は発光効率が十分ではないことを見出した。また、本発明者らは、特許文献1に記載された化合物の発光効率を改善するため、化合物の構造を種々検討したところ、Arにフェノキサジン環等を置換させると、むしろ発光効率がより一層低減し、さらに発光ピークの半値幅が広くなることを見出した。
本発明は、発光効率が高く、且つ、発光ピークの半値幅が狭い含窒素複素環化合物、及びその利用に関する技術を提供することを主な課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、化合物の構造として下記式(1)で表される構造を採用することにより、発光効率を高くすることができ、且つ、発光ピークの半値幅を狭くすることができることを見出した:
D−A (1)
[式中、
Dは、下記式(2):
(式中、
Xは、単結合、−C(R19)−、−O−、−S−、又は−N(R20)−であり、R11〜R20は、それぞれ、水素原子、電子引性基、又は電子供与性基であり(但し、R11〜R20のうち、少なくとも1個は電子引性基である)、
波線は、Aとの結合部位を示す)
で表される基であり、Aは、下記式(3):
(式中、
Ar〜Arは、それぞれ、置換基を有していてもよい芳香環であり、
Arの置換基及びArの置換基は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成していてもよく、
21及びR22は、それぞれ、水素原子、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R21及びR22の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR21及びR22は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
23及びR24は、それぞれ、水素原子、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R23及びR24の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR23及びR24は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
波線は、Dとの結合部位を示す)
で表される基である]。
本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねて完成したものである。
本発明は、以下の態様を包含する。
項1.
下記式(1)で表される化合物:
D−A (1)
[式中、
Dは、下記式(2):
(式中、
Xは、単結合、−C(R19)−、−O−、−S−、又は−N(R20)−であり、R11〜R20は、それぞれ、水素原子、電子引性基、又は電子供与性基であり(但し、R11〜R20のうち、少なくとも1個は電子引性基である)、
波線は、Aとの結合部位を示す)
で表される基であり、Aは、下記式(3):
(式中、
Ar〜Arは、それぞれ、置換基を有していてもよい芳香環であり、
Arの置換基及びArの置換基は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成していてもよく、
21及びR22は、それぞれ、水素原子、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R21及びR22の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR21及びR22は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
23及びR24は、それぞれ、水素原子、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R23及びR24の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR23及びR24は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
波線は、Dとの結合部位を示す)
で表される基である]。
項2.
式(2)において、Xが単結合である、項1に記載の化合物。
項3.
式(2)において、R12及びR17が電子引性基である、項1又は2に記載の化合物。
項4.
式(2)において、R12及びR17が、それぞれ、パーフルオロアルキル基又はシアノ基である、項1又は2に記載の化合物。
項5.
式(2)において、R13及びR16が電子供与性基である、項1〜4のいずれかに記載の化合物。
項6.
式(2)において、R13及びR16が、それぞれ、アルキル基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である、項1〜4のいずれかに記載の化合物。
項7.
式(2)において、R11、R14、R15、及びR18が水素原子である、項1〜6のいずれかに記載の化合物。
項8.
式(3)において、Ar〜Arが、それぞれ、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオランテン環、テトラセン環、テトラフェン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、又はアセナフト[1,2−b]ピラジン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、項1〜7のいずれかに記載の化合物。
項9.
式(3)において、R21及びR22の一方がオキソ基であり、他方が存在しない、項1〜8のいずれかに記載の化合物。
項10.
式(3)において、R23及びR24の一方がオキソ基であり、他方が存在しない、項1〜9のいずれかに記載の化合物。
項11.
式(3)において、R21〜R24が、置換基を有していてもよい芳香環基である、項1〜8のいずれかに記載の化合物。
項12.
式(3)において、R21及びR22が互いに結合して、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環、フルオレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、又はアントラセン−9(10H)−オン環を形成している、項1〜8のいずれかに記載の化合物。
項13.
式(3)において、R23及びR24が互いに結合して、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環、フルオレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、又はアントラセン−9(10H)−オン環を形成している、項1〜8及び12のいずれかに記載の化合物。
項14.
式(3)が、下記式(3A):
(式中、
25及びR26は、それぞれ、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R25及びR26の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR25及びR26は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
Ar〜Ar及びR21〜R24は前記と同じである)。
で表される基である、項1〜13のいずれかに記載の化合物。
項15.
式(3A)において、R25及びR26の一方がオキソ基であり、他方が存在しない、項14に記載の化合物。
項16.
式(3A)において、R25及びR26が互いに結合して、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環、フルオレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、又はアントラセン−9(10H)−オン環を形成している、項14に記載の化合物。
項17.
Dが、下記の群:
(式中、Meはメチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはターシャリーブチル基、Phはフェニル基、波線はAとの結合部位を示す)
から選択される基であり、Aが、下記の群:
(式中、波線はDとの結合部位を示す)
から選択される基である、項1に記載の化合物。
項18.
項1〜17のいずれかに記載の化合物を含む蛍光材料。
項19.
項1〜17のいずれかに記載の化合物を含む有機発光素子。
項20. 有機EL素子である、項19に記載の有機発光素子。
本発明によれば、発光効率が高く、且つ、発光ピークの半値幅が狭い含窒素複素環化合物、及びその利用に関する技術が提供される。
図1は、中間体1のH NMRスペクトルを示す図である。 図2は、中間体2のH NMRスペクトルを示す図である。 図3は、比較例1のH NMRスペクトルを示す図である。 図4は、比較例2のH NMRスペクトルを示す図である。 図5は、実施例1のH NMRスペクトルを示す図である。 図6は、実施例1の19F NMRスペクトルを示す図である。 図7は、実施例2のH NMRスペクトルを示す図である。 図8は、実施例2の19F NMRスペクトルを示す図である。
<定義>
本明細書において、特に断りのない限り、「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などを含む意味で用いる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルキル基」は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基)、ペンチル基、ヘキシル基などのC1−20アルキル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「パーフルオロアルキル基」は、前記アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置換された基を意味し、具体的には、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基(ヘプタフルオロn−プロピル基又はヘプタフルオロi−プロピル基)などのパーフルオロC1−12アルキル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルコキシ基」は、前記アルキル基の末端に酸素原子が結合した基を意味し、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n−プロポキシ基、イソプロポキシ基)、ブトキシ基(n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基)などのC1−12アルコキシ基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルキルスルファニル基」は、前記アルキル基の末端に硫黄原子が結合した基を意味し、具体的には、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基(n−プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基)、ブチルスルファニル基などのC1−12アルキルスルファニル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルキルカルボニル基」は、前記アルキル基の末端にカルボニル基(−C(=O)−)が結合した基を意味し、具体的には、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基(n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基)、ブチルカルボニル基などの(C1−12アルキル)カルボニル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「アルキルスルホニル基」は、前記アルキル基の末端にスルホニル基(−S(=O)−)が結合した基を意味し、具体的には、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基(n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基)、ブチルスルホニル基などのC1−12アルキルスルホニル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「シクロアルキル基」は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロC5−20アルキル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「トリアルキルシリル基」は、3個の前記アルキル基が珪素原子に結合した基を意味し、具体的には、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などのトリC1−4アルキルシリル基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「芳香環」は、アレーン環及びヘテロアレーン環を含む意味で用いる。
アレーン環の炭素数は、特に制限されないが、例えば6〜40、好ましくは6〜30、より好ましくは6〜28、さらに好ましくは6〜26である。アレーン環は、ベンゼン環又は複数のベンゼン環が縮合した構造を有する縮合環であることが好ましい。アレーン環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオランテン環、テトラセン環、テトラフェン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ペリレン環、コロネン環、コラヌレン環、フェナレン環、トリアングレン環などが挙げられる。
ヘテロアレーン環は、環構成原子の数に特に制限はないが、例えば5員〜40員である。ヘテロアレーン環は、単環式であってもよく、多環式(例えば二乃至四環式)であってもよい。ヘテロアレーン環は、環構成原子として、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロアレーン環であることが好ましい。ヘテロアレーン環としては、例えば、酸素含有ヘテロアレーン環(例:フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾ[b,d]フラン環)、硫黄含有ヘテロアレーン環(例:チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾ[b,d]チオフェン環)、窒素含有ヘテロアレーン環(例:ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、1,3,5−トリアジン環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、アクリジン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、アセナフト[1,2−b]ピラジン環)、酸素及び窒素含有ヘテロアレーン環(例:オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、フェノキサジン環)、硫黄及び窒素含有ヘテロアレーン環(例:チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、フェノチアジン環)が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「芳香環基」は、前記芳香環から1個の水素原子を除いた基を意味する。芳香環基は、アレーン環から1個の水素原子を除いた基(アリール基)及びヘテロアレーン環から1個の水素原子を除いた基(ヘテロアリール基)を含む。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基などのC6−18アリール基が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えば、5員又は6員単環式ヘテロアリール基、二乃至四環式ヘテロアリール基が挙げられる。5員又は6員単環式ヘテロアリール基としては、例えば、フリル基などの酸素含有ヘテロアリール基;チエニル基などの硫黄含有ヘテロアリール基;ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアジル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジニル基などの窒素含有ヘテロアリール基が挙げられる。二乃至四環式ヘテロアリール基としては、例えば、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基などの酸素含有ヘテロアリール基;ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基などの硫黄含有ヘテロアリール基;インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基、アクリジル基などの窒素含有ヘテロアリール基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「電子供与性基(ドナー性基)」は、ハメットのσpが負の基を表す。ハメットのσpに関する説明と各基の数値については、Hansch,C.et.al.,Chem.Rev.,91,165-195(1991)を参照することができる。電子供与性基としては、例えば、メチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、フルオレニル基などのアリール基、メトキシ基などのアルコキシ基、メチオニル基などのアルキルスルファニル基、トリメチルシリル基などのアルキルシリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、インドリル基、ピロリル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基などのヘテロアリール基が挙げられる。
本明細書において、特に断りのない限り、「電子引性基(アクセプター性基)」は、電子供与性基以外の基を意味し、例えば、アルキルカルボニル基(アシル基)、アルキルスルホニル基、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。
<化合物>
一実施態様において、本発明の化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい:
D−A (1)
[式中、
Dは、下記式(2):
(式中、
Xは、単結合、−C(R19)−、−O−、−S−、又は−N(R20)−であり、R11〜R20は、それぞれ、水素原子、電子引性基、又は電子供与性基であり(但し、R11〜R20のうち、少なくとも1個は電子引性基である)、
波線は、Aとの結合部位を示す)
で表される基であり、Aは、下記式(3):
(式中、
Ar〜Arは、それぞれ、置換基を有していてもよい芳香環であり、
Arの置換基及びArの置換基は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成していてもよく、
21及びR22は、それぞれ、水素原子、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R21及びR22の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR21及びR22は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
23及びR24は、それぞれ、水素原子、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R23及びR24の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR23及びR24は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
波線は、Dとの結合部位を示す)
で表される基である]。
式(2)
Xは、単結合であることが好ましい。
11〜R20が電子引性基である場合、当該電子引性基は、好ましくはパーフルオロアルキル基又はシアノ基であり、より好ましくはパーフルオロC1−4アルキル基又はシアノ基であり、さらに好ましくはパーフルオロC1−3アルキル基又はシアノ基であり、さらにより好ましくはパーフルオロC1−2アルキル基又はシアノ基であり、特に好ましくはトリフルオロメチル基又はシアノ基である。
11〜R20が電子供与性基である場合、当該電子供与性基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香環基であり、より好ましくはC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、トリC1−6アルキルシリル基、置換基を有していてもよいC5−12シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−18アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい二乃至四環式ヘテロアリール基であり、さらに好ましくはC1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、トリC1−4アルキルシリル基、C5−7シクロアルキル基、C6−14アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式窒素含有ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基である。前記シクロアルキル基又は前記芳香環基に置換していてもよい置換基は、好ましくは芳香環基であり、より好ましくはアリール基であり、さらに好ましくはC6−12アリール基であり、特に好ましくはC6−10アリール基である。前記置換基の数は、例えば、1、2、3、又は4個である。
11、R14、R15、及びR18は水素原子であることが好ましい。
12、R13、R16、及びR17は電子引性基又は電子供与性基であることが好ましい。R12及びR17は電子供与性基であってもよいが、電子引性基であることが好ましい。R13及びR16は電子引性基であってもよいが、電子供与性基であることが好ましい。
11、R14、R15、及びR18が水素原子であり、R12及びR17が電子供与性基であり、かつR13及びR16が電子引性基であることも好ましいが、R11、R14、R15、及びR18が水素原子であり、R12及びR17が電子引性基であり、かつR13及びR16は電子供与性基であることがより好ましい。
2つのR19は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
19及びR20は、それぞれ、好ましくはアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香環基であり、より好ましくは置換基を有していてもよい芳香環基であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいC6−18アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい二乃至四環式ヘテロアリール基であり、特に好ましくはC6−14アリール基、置換基を有していてもよい5員又は6員単環式窒素含有ヘテロアリール基、又は置換基を有していてもよい二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基である。前記芳香環基に置換していてもよい置換基は、好ましくは芳香環基であり、より好ましくはアリール基であり、さらに好ましくはC6−12アリール基であり、特に好ましくはC6−10アリール基である。前記置換基の数は、例えば、1、2、3、又は4個である。
式(2)で表される基は、下記群から選択される基であることが好ましい:
(式中、Meはメチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはターシャリーブチル基、Phはフェニル基、波線はAとの結合部位を示す)。
式(3)
Ar〜Arは、それぞれ、置換基を有していてもよいC6−20アレーン環、又は置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式ヘテロアレーン環であることが好ましく、C6−18アレーン環、又は置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式窒素含有ヘテロアレーン環であることがより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオランテン環、テトラセン環、テトラフェン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、又はアセナフト[1,2−b]ピラジン環(これらの環は置換基を有していてもよい)であることがさらに好ましい。前記アレーン環又はヘテロアレーン環に置換していてもよい置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アリール基、又はヘテロアリール基であり、より好ましくはフッ素原子、C1−4アルキル基、シアノ基、C6−10アリール基、又は5員又は6員単環式ヘテロアリール基である。前記置換基の数は、例えば、1、2、3、又は4個である。
一実施態様において、Arの置換基及びArの置換基は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成することができる。当該実施態様において、式(3)は、例えば、下記式(3A)で表すことができる:
(式中、
25及びR26は、それぞれ、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R25及びR26の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR25及びR26は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
Ar〜Ar及びR21〜R24は前記と同じである)。
好適な一実施態様において、R25及びR26の一方はオキソ基であり、他方は存在しない。
好適な別の実施態様において、R25及びR26は、それぞれ、置換基を有していてもよい芳香環基である。当該実施態様において、R25及びR26は、それぞれ、置換基を有していてもよいC6−18アリール基、又は置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式ヘテロアリール基であることが好ましく、置換基を有していてもよいC6−14アリール基、又は置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基であることがより好ましい。また、当該実施態様において、R25及びR26が置換基を有していてもよいC6−14アリール基であることも好ましく、R25が置換基を有していてもよいC6−14アリール基、R26が置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基であることも好ましい。前記アリール基又は前記ヘテロアリール基に置換していてもよい置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、又はアリール基である。前記置換基の数は、例えば、1、2、3、又は4個である。
好適なさらに別の実施態様において、R25及びR26は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成している。当該環は、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環、フルオレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、又はアントラセン−9(10H)−オン環であることが好ましい。前記環に置換していてもよい置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、又はアリール基である。好ましくは、前記置換基の数は、例えば、1、2、3、又は4個である。
好適な一実施態様において、R21及びR22の一方はオキソ基であり、他方は存在しない。
好適な別の実施態様において、R21及びR22は、それぞれ、置換基を有していてもよい芳香環基である。当該実施態様において、R21及びR22は、それぞれ、置換基を有していてもよいC6−18アリール基、又は置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式ヘテロアリール基であることが好ましく、置換基を有していてもよいC6−14アリール基、又は置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基であることがより好ましい。また、当該実施態様において、R21及びR22が置換基を有していてもよいC6−14アリール基であることも好ましく、R21が置換基を有していてもよいC6−14アリール基、R22が置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基であることも好ましい。前記アリール基又は前記ヘテロアリール基に置換していてもよい置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、又はアリール基である。前記置換基の数は、例えば、1、2、3、又は4個である。
好適なさらに別の実施態様において、R21及びR22は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成している。当該環は、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環、フルオレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、又はアントラセン−9(10H)−オン環であることが好ましい。前記環に置換していてもよい置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、又はアリール基である。好ましくは、前記置換基の数は、例えば、1、2、3、又は4個である。
好適な一実施態様において、R23及びR24の一方はオキソ基であり、他方は存在しない。
好適な別の実施態様において、R23及びR24は、それぞれ、置換基を有していてもよい芳香環基である。当該実施態様において、R23及びR24は、それぞれ、置換基を有していてもよいC6−18アリール基、又は置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式ヘテロアリール基であることが好ましく、置換基を有していてもよいC6−14アリール基、又は置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基であることがより好ましい。また、当該実施態様において、R23及びR24が置換基を有していてもよいC6−14アリール基であることも好ましく、R23が置換基を有していてもよいC6−14アリール基、R24が置換基を有していてもよい単環式又は二乃至四環式窒素含有ヘテロアリール基であることも好ましい。前記アリール基又は前記ヘテロアリール基に置換していてもよい置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、又はシアノ基である。
好適なさらに別の実施態様において、R23及びR24は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成している。当該環は、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環、フルオレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、又はアントラセン−9(10H)−オン環であることが好ましい。前記環に置換していてもよい置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、又はアリール基である。好ましくは、前記置換基の数は、例えば、1、2、3、又は4個である。
21及びR22の組合せは、R23及びR24の組合せと異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。また、R21及びR22の組合せは、R25及びR26の組合せと異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
式(3)で表される基は、下記群から選択される基であることが好ましい:
(式中、波線はDとの結合部位を示す)。
本発明の化合物の発光ピークの半値幅は、好ましくは50nm以下、より好ましくは45nm以下、さらに好ましくは40nm以下であってもよく、10nm以上であってもよい。半値幅は、本発明の化合物を溶解した溶液(濃度:1×10−5M)に室温下340nmの励起光を照射した場合の発光スペクトル測定により決定することができる。なお、発光スペクトルにおいて、ピークトップ強度の半分の値のスペクトル幅を半値幅(FWHM, Full Width Half Maximum)と定義する。
本発明の化合物の発光効率(PLQY)は、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上である。発光効率(PLQY)は、本発明の化合物を溶解した溶液(濃度:1×10−5M)に室温下340nmの励起光を照射した場合の値であり、絶対PL量子収率測定装置(例えば、浜松ホトニクス社製 Quantaurus-QY C11347-01)を用いて測定することができる。
本発明の化合物のHOMO準位は、好ましくは、−5.0eV以下又は−5.5eV以下であってもよく、−7.0eV以上、−6.5eV以上、又は−6.4eV以上であってもよい。このようなHOMO準位により、ホスト材料などの周辺材料との適合性に優れる。HOMO準位は、大気中光電子分光装置(例えば、理研計器株式会社製AC―3)を用いて測定することができる。
式(1)で表される化合物の製造方法
式(1)で表される化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(4):
(式中、X及びR11〜R18は前記と同じである)
で表される化合物を、下記式(5):
(式中、Zは、ハロゲン原子であり、Ar〜Ar及びR21〜R24は前記と同じである)
で表される化合物と反応させる工程を含む方法により製造することができる。
式(5)
Zは、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子であることが好ましい。
式(5)で表される化合物は、公知の反応の組合せにより製造することができる。
例えば、式(5)において、R21及びR22の一方がオキソ基であり、他方が存在せず、R23及びR24の一方がオキソ基であり、他方が存在しない化合物(すなわち、下記式(12)で表される化合物)は、例えば、次の反応スキーム:
(式中、
及びRは、それぞれ、アルコキシ基であり、
及びZは、それぞれ、ハロゲン原子であり、
Z及びAr〜Arは前記と同じである)
により製造することができる。
[工程(I)]
工程(I)は、式(6)〜(8)で表される化合物を反応させて、式(9)で表される化合物を得る工程である。
式(7)及び(8)において、R及びRは、それぞれ、C1−6アルコキシ基であることが好ましく、C1−4アルコキシ基であることがさらに好ましい。
及びZは、Zと同じであってもよいが、Zと異なることが好ましい。Z、Z、及びZの組合せとしては、
Zがフッ素原子であり、Z及びZが塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である組合せ;
Zが塩素原子、Z及びZが臭素原子又はヨウ素原子である組合せ;又は
Zが臭素原子、Z及びZがヨウ素原子である組合せ
が好ましい。
式(7)及び(8)で表される化合物の使用量の合計は、式(6)で表される化合物1モルに対して、1モル以上、1.5モル以上、又は2モル以上であることが好ましく、5モル以下、4.5モル以下、又は4モル以下であることが好ましい。
工程(I)の反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、反応成分を溶解可能である限り、特に制限されず、例えば、エーテル(例:ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル)、芳香族炭化水素(例:トルエン、キシレン)、アミド(例:ジメチルホルムアミド)などが挙げられる。溶媒は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
工程(I)の反応は、塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基としては、例えば、n−ブチルリチウム、NaH、KCO、CsCO、t−ブトキシナトリウム、t−ブトキシカリウム、これら2種以上の組合せなどが挙げられる。n−ブチルリチウムを使用する場合、国際公開第2008/117826号、Chemistry of Materials, 2010, 22(7), 2403〜2410などを参照でき、NaHを使用する場合、韓国特許出願公開公報第2018-063708号などを参照できる。
工程(I)の反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としては、例えば、銅触媒、パラジウム触媒などの遷移金属触媒が挙げられる。パラジウム触媒を使用する場合、国際公開第2011/08902号、国際公開第2015/137472号などを参照できる。
[工程(II)]
工程(II)は、式(9)で表される化合物を加水分解して式(10)で表される化合物を得る工程である。加水分解は、慣用の方法(例えば、水酸化ナトリウムによる加水分解)により行うことができる。
[工程(III)]
工程(III)は、式(10)で表される化合物をハロゲン化剤と反応させ(工程(IIIa))、引き続きルイス酸と反応させて(工程(IIIb))、式(12)で表される化合物を得る工程である。
ハロゲン化剤としては、特に限定はなく、例えば、塩化チオニル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、これら2種以上の組合せなどが挙げられる。
ハロゲン化剤は、式(9)で表される化合物1モルに対して、例えば、1.0モル以上又は2.0モル以上となるように使用することが好ましく、100モル以下又は50モル以下となるように使用することが好ましい。
工程(IIIa)の反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。工程(IIIa)の反応温度は、例えば25℃以上、30℃以上、35℃以上、又は40℃以上であってもよく、100℃以下であってもよい。工程(IIIa)の反応時間は、例えば0.5時間以上、又は1時間以上であってもよく、24時間以下であってもよい。
ルイス酸としては、特に限定はなく、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化スズ(IV)、フッ化アンチモン(V)、フッ化ホウ素、塩化亜鉛、これら2種以上の組合せなどが挙げられる。
ルイス酸は、式(9)で表される化合物1モルに対して、例えば、2.0モル以上又は4.0モル以上となるように使用することが好ましく、40モル以下又は20モル以下となるように使用することが好ましい。
工程(IIIb)の反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。工程(IIIb)の反応温度は、例えば−40℃以上、−35℃以上、又は−30℃以上であってもよく、30℃以下、25℃以下、20℃以下、15℃以下、10℃以下、5℃以下、又は1℃以下であってもよい。工程(IIIb)の反応時間は、例えば1時間以上、3時間以上、又は6時間以上であってもよく、48時間以下、42時間以下、36時間以下、又は30時間以下であってもよい。
工程(III)の反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、反応成分を溶解可能である限り、特に制限されないが、非プロトン性の溶媒であることが好ましい。溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例:ジクロロメタン、ジクロロエタン)や電子求引性基が置換した芳香族炭化水素(例:ニトロベンゼン)などが挙げられる。溶媒は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
式(5)において、R21及びR22の一方がチオキソ基であり、他方が存在せず、R23及びR24の一方がチオキソ基であり、他方が存在しない化合物は、式(12)で表される化合物と同様の方法により製造することができる。
式(5)において、R21〜R24が置換基を有していてもよい芳香環基である化合物は、例えば、Synthetic Metals 2015, 205, 70-77、Tetrahedron Letters 2015, 56(10), 1233-1238などに記載の方法により製造することができる。
式(5)において、R21及びR22が互いに結合して1,3−ジオキソラン環を形成し、R23及びR24が互いに結合して1,3−ジオキソラン環を形成している化合物、すなわち、下記式(13):
(式中、Z及びAr〜Arは前記と同じである)
で表される化合物は、例えば、式(12)で表される化合物をアセタール化することにより製造することができる。アセタール化の方法は、Org. Synth. 1973, 5, 303、J. Am. Chem. Soc. 1977, 99, 2818、Tetrahedron 1981, 37, 3899などを参照できる。
式(5)において、R21及びR22が互いに結合して1,3−ジチオラン環を形成し、R23及びR24が互いに結合して1,3−ジチオラン環を形成している化合物は、式(13)で表される化合物と同様の方法により製造することができる。
式(5)において、R21及びR22が互いに結合してフルオレン環を形成し、R23及びR24が互いに結合してフルオレン環を形成している化合物は、例えば、中国特許出願公開公報第108191865号などに記載の方法により製造することができる。
式(5)において、R21及びR22が互いに結合して9,10−ジヒドロアントラセン環又はアントラセン−9(10H)−オン環を形成し、R23及びR24が互いに結合して9,10−ジヒドロアントラセン環又はアントラセン−9(10H)−オン環を形成している化合物は、例えば、中国特許出願公開公報第108383847号などに記載の方法により製造することができる。
式(4)で表される化合物と式(5)で表される化合物の反応条件
式(5)で表される化合物は、式(4)で表される化合物1モルに対して、0.5モル以上、0.6モル以上、0.7モル以上、又は0.8モル以上となるように使用することが好ましく、2.5モル以下、2モル以下、1.5モル以下、又は1.2モル以下となるように使用することが好ましい。
一実施態様において、反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、反応成分を溶解可能である限り、特に制限されず、例えば、エーテル(例:ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル)、アミン(例:トリエチルアミンなどの鎖状アミン、N−メチルピロリドンなどの環状アミン)、アミド(例:ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例:ジメチルスルホキシド)などが挙げられる。溶媒は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
一実施態様において、反応は、塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基としては、例えば、n−ブチルリチウム、NaH、KCO、CsCO、t−ブトキシナトリウム、t−ブトキシカリウム、これら2種以上の組合せなどが挙げられる。n−ブチルリチウムを使用する場合、国際公開第2008/117826号、Chemistry of Materials, 2010, 22(7), 2403〜2410などを参照でき、NaHを使用する場合、韓国特許出願公開公報第2018-063708号などを参照できる。
一実施態様において、反応は、触媒の存在下で行うことができる。触媒としては、例えば、銅触媒、パラジウム触媒などの遷移金属触媒が挙げられる。パラジウム触媒を使用する場合、国際公開第2011/08902号、国際公開第2015/137472号などを参照できる。
式(4)で表される化合物と式(5)で表される化合物の反応条件は、例えば、RSC advances 2015, 5(77), 63130-63134、Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 6722-6737、J. Phys. Chem. C. 2012, 116(15), 8699-8706、Inorganica Chimica Acta 357 (2004) 4335-4340、Adv.Mater. 15 (2014) 034202、J.Org.Chem. 62(2) (2003) 452、Chem.Eur.J.,2008,14,2443、J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 8742-8743などに記載の条件を採用することができる。
<蛍光材料>
一実施態様において、本発明の蛍光材料は、本発明の化合物を含むことが好ましい。蛍光材料は、例えば、後述の有機発光素子の発光材料として好適に使用することができる。
<有機発光素子>
一実施形態において、本発明の有機発光素子は、本発明の化合物を含むことが好ましい。
有機発光素子としては、例えば、有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。有機発光素子は、有機EL素子であることが好ましい。
有機EL素子は、陽極、陰極、及び陽極と陰極との間に形成された有機層とを有することが好ましい。
有機層は、少なくとも発光層を含むことが好ましく、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層に加えて、1層以上の他の有機層を含んでいてもよい。他の有機層としては、例えば、注入層(例:正孔注入層、電子注入層)、阻止層(例:電子阻止層、正孔阻止層、励起子阻止層)、輸送層(例:正孔輸送層、電子輸送層)などが挙げられる。正孔輸送層は、正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。
有機EL素子は、発光層で発生した光を基板側から取り出すボトムエミッション型であってもよいし、発光層で発生した光を基板の反対側から取り出すトップエミッション型であってもよい。いずれの型であっても、基板側に形成する電極は陽極であってもよいし、陰極であってもよい。光を取り出す側の電極は透明であることが好ましく、その反対側の電極は透明であっても透明でなくてもよい。
有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。基板については、特に制限はなく、従来から有機EL素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(例えば4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としては、Auなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnOなどの透明導電性材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)などの非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、電極材料を蒸着、スパッタリングなどの方法により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、電極材料の蒸着、スパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。或いは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式成膜法を用いることもできる。陽極から発光を取り出す場合には、透過率を10%よりも大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、通常、10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
陰極としては、仕事関数の小さい(例えば4eV以下)金属(電子注入性金属)、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウムなどが好適である。陰極は、電極材料を蒸着、スパッタリングなどの方法により薄膜を形成することにより作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。陰極の膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上するため好ましい。また、陽極の説明で挙げた透明導電性材料を陰極に用いることで透明又は半透明の陰極を作製することができ、陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
発光層は、陽極及び陰極のそれぞれから注入された正孔及び電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光(例:蛍光発光、遅延蛍光発光、及びその両方)する層であることが好ましい。発光層は、発光材料を単独で含む層であってもよいが、発光材料及びホスト材料を含む層であることが好ましい。発光材料として、本発明の化合物(1種又は2種以上)を用いることができる。ホスト材料としては、特に制限されないが、励起一重項エネルギー及び励起三重項エネルギーの少なくとも一方が、本発明の化合物よりも高い値を有する有機化合物を用いることが好ましい。また、ホスト材料は、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
さらに、ホスト材料及び発光材料を含む発光層に、TADF性を示す化合物を第三成分(アシストドーパント化合物)として発光層に含めると、高発光効率発現に有効である(H.Nakanоtani,et al.,Nature Communicaion,2014,5,4016−4022)。アシストドーパント化合物上に25%の一重項励起子と75%の三重項励起子を電界励起により発生させることによって、三重項励起子は逆項間交差(RISC)を伴って一重項励起子を生成することができる。一重項励起子のエネルギーは、発光材料へエネルギー移動し、発光材料が発光することが可能となる。従って、理論上100%の励起子エネルギーを利用して、発光材料を発光させることが可能となり、高発光効率が発現する。
発光層中の本発明の化合物の含有量は0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
注入層は、駆動電圧低下又は発光輝度向上のため、電極と有機層との間に設けられる層であることが好ましい。注入層は、正孔注入層及び電子注入層を包含する。注入層は、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、及び、陰極と発光層又は電子輸送層との間に設けてもよい。
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)及び/又は励起子の発光層外への拡散を阻止できる層であることが好ましい。電子阻止層は、発光層と正孔輸送層との間に配置することができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止できる。同様に、正孔阻止層は、発光層と電子輸送層との間に配置することができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止できる。電子阻止層及び正孔阻止層は、それぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層又は励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層及び励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であることが好ましい。励起子阻止層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層、電子阻止層などを有することができる。陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギー及び励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギー及び励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
正孔輸送層は正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなることが好ましく、正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものが好ましく、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる正孔輸送材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔輸送材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物、及びスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。また、酸化モリブデンなどの無機半導体を正孔輸送材料として用いることもできる。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなることが好ましく、電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有することが好ましい。使用できる電子輸送層としては、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子求引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、酸化亜鉛などの無機半導体を電子輸送材料として用いることもできる。
有機EL素子を作製する際には、本発明の化合物を発光層に用いるだけでなく、発光層以外の層にも用いてもよい。その際、発光層に用いる本発明の化合物と、発光層以外の層に用いる本発明の化合物は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、上記の注入層、阻止層(例:正孔阻止層、電子阻止層、励起子阻止層)、正孔輸送層、電子輸送層などにも本発明の化合物を用いてもよい。
これらの層の製膜方法は、特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示する。ただし、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。なお、以下の例示化合物の構造式におけるR、R’、R〜R10は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Xは環骨格を形成する炭素原子または複素原子を表し、nは3〜5の整数を表し、Yは置換基を表し、mは0以上の整数を表す。
発光層のホスト材料としても用いることができる好ましい化合物を挙げる。使用する発光材料のHOMO/LUMO準位に適合させるために、下記の例示化合物の基本骨格に適宜置換基を導入することによりホスト材料のHOMO/LUMO準位を調整することができる。例えば、下記の例示化合物の基本骨格にシアノ基やパーフルオロアルキル基を導入することによりHOMO/LUMO準位を深くした化合物とし、これをホスト材料や周辺化合物に用いることができる。ホスト材料としては、バイポーラー性(正孔と電子を両方よく流す)であっても、ユニポーラー性であってもよく、発光材料よりも励起三重項エネルギー準位ET1が高いものであることが好ましい。より好ましいホスト材料はバイポーラー性を有し、発光材料よりも励起三重項エネルギー準位ET1が高いものである。
次に、正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
さらに添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加することができる。
本発明の有機EL素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明の有機EL素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機EL素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機EL素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。さらに、本発明の有機発光素子は、有機発光ダイオードに応用することが可能である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(中間体1の合成)
窒素雰囲気下、200mLナスフラスコに、4−フルオロアニリン(6.3g)、2−ヨード安息香酸メチル(44.6g)、炭酸カリウム(23.5g)、銅粉末(1.1g)、ヨウ化銅(810mg)を入れ、ジノルマルブチルエーテル(75mL)に溶解させた。140℃で54時間撹拌後、反応溶液を熱時ろ過した。ろ取物を酢酸エチル(50mL)で洗浄し、ろ液を真空下濃縮した。得られた黒色オイル状物にイソプロパノール(20mL)を加え、5℃で静置した。析出物をろ取後、ショートカラム(酢酸エチル)に供することで、中間体1(9.9g、収率46%)を得た。中間体1のH NMRスペクトルを図1に示す。
(中間体2の合成)
窒素雰囲気下、300mLナスフラスコに、中間体1(8.9g)を入れ、エタノール(90mL)、2.5M 水酸化ナトリウム水溶液(90mL)を加えた。反応液を2時間加熱還流後、放冷し、クロロホルム(180mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(90mL)を加えて分液した。水層をクロロホルム(15mLx2)で洗浄後、塩酸水溶液を加え、pH1とした。析出固体をクロロホルム(50mL)で抽出し、有機層を真空下濃縮した。得られた緑色粉末をイソプロパノール(30mL)に懸濁後、水(10mL)を加え、不溶物をろ取した。ろ取物を乾燥させることで、中間体2(7.5g、収率91%)を得た。中間体2のH NMRスペクトルを図2に示す。
(比較例1の合成)
窒素雰囲気下、100mLナスフラスコに、中間体2(2.4g)を入れ、塩化オキサリル(22mL)を加えた。1時間加熱還流後、放冷し、真空下、過剰量の塩化オキサリルを留去した。残渣に塩化メチレン(20mL)を加え撹拌後、再度溶媒を留去した。残渣に塩化メチレン(100mL)を加えて溶解後、反応液を−30℃に冷却した。塩化アルミニウム(9.1g)を添加し、室温で28時間撹拌した。反応液を1M水酸化ナトリウム水溶液(300mL)中に注ぎ、塩化メチレン(200mL)で抽出した。有機層を1M水酸化ナトリウム水溶液(50mLx2)で洗浄後、硫酸ナトリウム上乾燥し、真空下濃縮した。得られた黄色粉末をアセトン(40mL)に懸濁させ、不溶物をろ取することで比較例1(1.66g、収率77%)を得た。比較例1のH NMRスペクトルを図3に示す。
(比較例2の合成)
窒素雰囲気下、300mLナスフラスコに、水素化ナトリウム(60wt%オイルディスパ―ジョン、241mg)を入れ、ヘキサンで懸濁洗浄した。ヘキサンを除去後、DMF(200mL)に懸濁させた。氷冷下で撹拌した後、フェノキサジン(1.11g)を加え室温で1時間撹拌した。比較例1(2g)を加え、130℃で21時間撹拌した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)に供することで比較例2(928mg、32%)を得た。比較例2のH NMRスペクトルを図4に示す。
(実施例1の合成)
窒素雰囲気下、100mLナスフラスコに、2,7−ビス(トリフルオロメチル)カルバゾール(182mg)、比較例1(96mg)、炭酸セシウム(294mg)を入れ、NMP(4mL)に溶解させた。140℃下、7時間撹拌後、放冷した。反応液に飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取物を水、イソプロパノールで洗浄することで実施例1(233mg、収率94%)を得た。実施例1のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルを、それぞれ、図5及び図6に示す。
(実施例2の合成)
窒素雰囲気下、100mLナスフラスコに、2,7−ビス(トリフルオロメチル)−3,6−ジフェニルカルバゾール(150mg)、比較例1(96mg)、炭酸セシウム(294mg)を入れ、NMP(4mL)に溶解させた。140℃下、7時間撹拌後、放冷した。反応液に飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取物を水、イソプロパノールで洗浄することで実施例2(161mg、収率71%)を得た。実施例2のH NMRスペクトル及び19F NMRスペクトルを、それぞれ、図7及び図8に示す。
(発光極大波長(λmax)、半値幅、CIE)
比較例及び実施例のλmax、半値幅、及びCIEは、発光材料のトルエン溶液(発光材料濃度:1×10−5M)に室温下340nmの励起光を照射した場合の発光スペクトルを、HORIBA社製Fluoromax 4 を用いて測定し、当該発光スペクトルを基に次のように測定した。
λmaxは、ピークトップの波長により測定した。
半値幅は、ピークトップ強度の半分の値のスペクトル幅により測定した。
CIEは、CIE1931に基づく色度座標により測定した。
(発光効率(PLQY))
比較例及び実施例のPLQYは、発光材料のトルエン溶液(発光材料濃度:1×10−5M)に室温下340nmの励起光を照射した場合の値であり、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製 Quantaurus-QY C11347-01)を用いて測定した。
(HOMO準位)
比較例及び実施例のHOMO準位は、大気中光電子分光装置(理研計器株式会社製AC―3)を用いて測定した。測定サンプルは、発光材料をITO基板上に膜厚50nmとなるよう真空蒸着したものを用いた。測定は、紫外光強度10nW、測定範囲−4.00eVから−7.00eV(0.05eV刻み)で行い、紫外線照射時の光電子放出のエネルギーしきい値をHOMO準位とした。
(発光効率(デバイス))
比較例及び実施例の発光効率(デバイス)は、有機EL素子の発光効率により決定した。有機EL素子の発光効率は、浜松ホトニクス社の外部量子効率測定装置(C9920-12)を用いて、輝度10cd/m以上における外部量子効率(EQE)の最大値を求めることにより測定した。なお、有機EL素子は次のように真空蒸着法により作製した。10−4Paオーダーの真空度にて、パターンITO基板上にHAT-CN蒸着膜60nm、TrisPCz蒸着膜20nm、mCBP蒸着膜5nm、発光材料とmCBPの共蒸着膜(発光材料濃度 1 wt%)30nm、T2T蒸着膜10nm、BPyTP2蒸着膜20nm、Liq蒸着膜2nm、及びアルミニウム蒸着膜100nmを順に積層し、封止し、発光面積が4mmである有機EL素子を作製した。なお、HAT-CN、TrisPCz、mCBP、T2T、BpyTP2、及びLiqの構造は次のとおりである。
結果を表1に示す。

Claims (20)

  1. 下記式(1)で表される化合物:
    D−A (1)
    [式中、
    Dは、下記式(2):
    (式中、
    Xは、単結合、−C(R19)−、−O−、−S−、又は−N(R20)−であり、R11〜R20は、それぞれ、水素原子、電子引性基、又は電子供与性基であり(但し、R11〜R20のうち、少なくとも1個は電子引性基であり、電子求引性基は、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、パーフルオロアルキル基、シアノ基、及びニトロ基から選択される)、
    波線は、Aとの結合部位を示す)
    で表される基であり、Aは、下記式(3):
    (式中、
    Ar〜Arは、それぞれ、置換基を有していてもよい芳香環であり、
    Arの置換基及びArの置換基は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成していてもよく、
    21及びR22は、それぞれ、水素原子、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R21及びR22の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR21及びR22は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
    23及びR24は、それぞれ、水素原子、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R23及びR24の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR23及びR24は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
    波線は、Dとの結合部位を示す)
    で表される基である]。
  2. 式(2)において、Xが単結合である、請求項1に記載の化合物。
  3. 式(2)において、R12及びR17、それぞれ、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、パーフルオロアルキル基、シアノ基、又はニトロ基である、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 式(2)において、R12及びR17が、それぞれ、パーフルオロアルキル基又はシアノ基である、請求項1又は2に記載の化合物。
  5. 式(2)において、R13及びR16が電子供与性基である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
  6. 式(2)において、R13及びR16が、それぞれ、アルキル基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
  7. 式(2)において、R11、R14、R15、及びR18が水素原子である、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
  8. 式(3)において、Ar〜Arが、それぞれ、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオランテン環、テトラセン環、テトラフェン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、又はアセナフト[1,2−b]ピラジン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
  9. 式(3)において、R21及びR22の一方がオキソ基であり、他方が存在しない、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
  10. 式(3)において、R23及びR24の一方がオキソ基であり、他方が存在しない、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
  11. 式(3)において、R21〜R24が、置換基を有していてもよい芳香環基である、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
  12. 式(3)において、R21及びR22が互いに結合して、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環、フルオレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、又はアントラセン−9(10H)−オン環を形成している、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
  13. 式(3)において、R23及びR24が互いに結合して、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環、フルオレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、又はアントラセン−9(10H)−オン環を形成している、請求項1〜8及び12のいずれかに記載の化合物。
  14. 式(3)が、下記式(3A):
    (式中、
    25及びR26は、それぞれ、オキソ基、チオキソ基、又は置換基を有していてもよい芳香環基である(但し、R25及びR26の一方がオキソ基又はチオキソ基である場合、他方は存在しない)、又はR25及びR26は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、
    Ar〜Ar及びR21〜R24は前記と同じである)。
    で表される基である、請求項1〜13のいずれかに記載の化合物。
  15. 式(3A)において、R25及びR26の一方がオキソ基であり、他方が存在しない、請求項14に記載の化合物。
  16. 式(3A)において、R25及びR26が互いに結合して、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環、フルオレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、又はアントラセン−9(10H)−オン環を形成している、請求項14に記載の化合物。
  17. Dが、下記の群:
    (式中、Meはメチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはターシャリーブチル基、Phはフェニル基、波線はAとの結合部位を示す)
    から選択される基であり、Aが、下記の群:
    (式中、波線はDとの結合部位を示す)
    から選択される基である、請求項1に記載の化合物。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の化合物を含む蛍光材料。
  19. 請求項1〜17のいずれかに記載の化合物を含む有機発光素子。
  20. 有機EL素子である、請求項19に記載の有機発光素子。
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