JP7455689B2 - Cfrpシート、frp-金属複合体及びその製造方法 - Google Patents

Cfrpシート、frp-金属複合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、CFRPシートの改良、詳しくは、金属接着性に優れたCFRPシート、及びそれを用いた接着一体性に優れたFRP-金属複合体、及びそのFRP-金属複合体の効率的な製造方法に関するものである。
近年、強化繊維材料である炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸させた繊維強化プラスチック(以下、「CFRP」と記載)が、その優れた機能性(曲げ強度や引張り強度、軽量性等)から工業分野や建築分野などの多くの分野で利用が進んでいる。特にCFRPシートは、他の材料に貼り合わせて使用できるため、様々な用途に利用できる。
また上記CFRPと他の材料を一体化した複合材料に関しては、従来、CFRPと金属材料を熱硬化性樹脂系(エポキシ樹脂等)の接着剤により一体化したものが公知となっているが(特許文献1参照)、熱硬化性樹脂系の接着剤を使用すると塗布してから硬化するまでに時間がかかるため、短時間で製造を行うことが難しいという欠点がある。
またCFRPと金属材料を積層一体化するための接着剤として、熱可塑性樹脂系のものを使用することも考えられるが、接着剤の硬化時間は短くて済むものの、どちらにせよCFRPまたは金属材料の表面に接着剤を塗布する工程と両者を貼り付ける工程が必要となるため、工程数が増えて効率的に製造を行えないという問題がある。
また従来においては、CFRPのマトリックス樹脂に様々な熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂等)や熱可塑性樹脂(ポリアミド系樹脂やポリプロピレン等)を使用する技術は知られていたものの、金属接着性と曲げ強度の観点からマトリックス樹脂の材料選択を行う技術については一般的に知られていなかった。
特開2009-191186号公報
本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、金属接着性と曲げ強度に優れたCFRPシート、及びそれを用いた機械的特性と接着一体性に優れたFRP-金属複合体、及びそのFRP-金属複合体の効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
即ち、本発明は、強化繊維材料である炭素繊維束11間に含浸させるマトリックス樹脂12として、ポリアミド系樹脂に金属接着性及び難燃性を有する融点170~260℃のフッ素系樹脂を混合した材料を使用した点に特徴がある。
また上記マトリックス樹脂12におけるフッ素系樹脂とポリアミド系樹脂の重量比については、CFRPシートの金属接着性と曲げ強度を両立させるために5:95~80:20の範囲内とするのが好ましい。また上記マトリックス樹脂12に用いるフッ素系樹脂としては、難燃性に優れたETFEまたはEFEPを使用するのが好ましい。
また上記マトリックス樹脂12にETFEを使用する場合には、ETFE中におけるTFEに基づく重合単位の割合が50~80mol%、かつ、エチレンに基づく重合単位の割合が50~80mol%のものを使用するのが好ましい。
また上記炭素繊維の繊維体積含有率については、炭素繊維束11の結合強度や難燃性、金属接着性を確保するために20~70%とするのが好ましい。
また上記炭素繊維束11については、マトリックス樹脂と炭素繊維束の結合強度を高めて曲げ強度や引張り強度を向上させるためにサイジング剤を塗布したものを使用するのが好ましい。
また本発明においては、上記CFRPシートから成るFRP層21と金属材料から成る金属層22とを接着剤層を介さず直接、積層一体化してFRP-金属複合体2を構成することができる。
また本発明においては、上記金属層22の材料として鉄またはステンレスを使用すると共に、FRP層21と金属層22の接着性試験におけるせん断強度が4500N以上となるようにするのが好ましい。
また本発明では、上記FRP-金属複合体の製造方法として、CFRPシートと金属材料とを、加熱温度180~320℃、加圧力1~5MPaの条件下で熱プレスしてCFRPシートを金属材料に熱溶着させることにより両者を積層一体化する方法を採用できる。
本発明では、CFRPシートの炭素繊維束間に含浸させるマトリックス樹脂として、フッ素系樹脂とポリアミド系樹脂を混合したポリマーアロイを使用したことにより、金属接着性と曲げ強度を両立させることができるため、金属材料にCFRPシートを重ねて熱プレスするだけで両者を簡単かつ強固に熱溶着させることができる。
また本発明のCFRPシートは、マトリックス樹脂にフッ素系樹脂のみを使用する場合と比較して曲げ強度にも優れているため、本発明のCFRPシートと金属材料を一体化した複合材料を、高いレベルの機械的特性が求められる建築材料や産業資材、工業部品等の用途に好適に利用できる。
本発明の第一実施形態のCFRPシートを表す説明断面図である。 本発明のCFRPシートの変更例を表す説明断面図である。 本発明の第二実施形態の金属-FRP複合体を表す説明断面図である。 接着性の試験方法を表す説明図である。
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態について図1に基づいて説明する。なお図中、符号1で指示するものは、CFRPシートである。
「CFRPシートの構成」
[1]CFRPシートの基本構成について
まずCFRPシート1の基本構成について説明すると、本実施形態では、強化繊維材料として炭素繊維束11を使用すると共に、この炭素繊維束11間に含浸させるマトリックス樹脂12として、ポリアミド系樹脂に金属接着性及び難燃性を有する融点170~260℃のフッ素系樹脂を混合した材料を使用して図1に示すCFRPシート1のシート本体を構成している。
[2]炭素繊維束について
次にCFRPシート1の各構成要素について説明する。まず上記炭素繊維束11については、本実施形態では、フィラメント径が3~12μm(好ましくは5~7μm)の炭素繊維を5000~50000本(好ましくは12000~15000本)束ねて糸状にした際の厚みが0.1~2.0mm(好ましくは0.3~0.4mm)程度の炭素繊維束11を使用しているが、炭素繊維の本数は炭素繊維束11の太さに応じて適宜変更することができる。また本実施形態では、PAN系の炭素繊維を使用しているが、ピッチ系の炭素繊維を使用することもできる。
また本実施形態では、炭素繊維束11の向きを同じ方向に揃えたUDシートを使用しているが、UDシートを短冊状に刻んだ多数のUDシート片を向きがランダムになるように並べてシート化したもの(ランダム配列シート)を使用することもできる。また炭素繊維束11を二方向以上の異なる向きに配列したシートから選択して使用することもでき、具体的には炭素繊維束を平織りや多軸織りしてシート化したものを使用することもできる。また本実施形態では、連続繊維状の炭素繊維束を使用しているが、短繊維状に細かく刻んだ炭素繊維束を使用することもできる。
また本実施形態では、上記炭素繊維束11にサイジング剤を塗布したものを使用している。なおサイジング剤としては、ポリアミド系樹脂やエポキシ樹脂系、ビニルエステル樹脂系などのものを使用することができる。またサイジング剤に関しては、炭素繊維束11とマトリックス樹脂12の結合強度を調節する役割や加工時に炭素繊維束11の損傷を抑制する役割があり、好ましくはポリアミド系樹脂を使用することでCFRPシート1の曲げ強度や引張り強度を向上させることができる。
[3]炭素繊維の繊維体積含有率について
また上記CFRPシートにおける炭素繊維の繊維体積含有率(Vf)に関しては、炭素繊維の含有率が低過ぎると充分な難燃性が得られず、また炭素繊維の含有率が高過ぎると樹脂の割合が少なくなって炭素繊維束11同士の結合強度や金属接着性が低下するため、Vf20%~70%の範囲内で調整するのが好ましい。
[4]マトリックス樹脂について
[4-1]フッ素系樹脂とポリアミド系樹脂の割合
一方、上記マトリックス樹脂12については、本実施形態では、フッ素系樹脂とポリアミド系樹脂の重量比を10:90~30:70の範囲内から選択しているが、CFRPシート1の金属接着性と曲げ強度を確保するために5:95~80:20(好ましくは、10:90~30:70、より好ましくは15:85~25:75)の範囲内で適宜調整することができる。
[4-2]フッ素系樹脂
また上記マトリックス樹脂12に用いるフッ素系樹脂としては、本実施形態ではTFEに基づく重合単位の割合が50~80mol%、かつ、エチレンに基づく重合単位の割合が50~80mol%のETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)を使用しているが、ETFE以外のフッ素系樹脂を使用することもできる。また上記フッ素系樹脂に関しては、難燃性に優れたものを選択するのが好ましく、特にこのようなフッ素系樹脂としては、ETFEやEFEPの使用が好ましい。
[5]マトリックス樹脂の含浸方法について
また炭素繊維束11に対するマトリックス樹脂12の含浸方法に関しては、本実施形態では、炭素繊維束を一方向に配列した面状の開繊糸群を上下に配置し、更にその間にフィルム状のマトリックス樹脂を挿入して、この樹脂フィルムと上下の開繊糸群とをロールにより熱圧着することによって、図1に示すようにマトリックス樹脂12を炭素繊維束11間に半含浸させている。なお含浸方法としては、粒状または短繊維状のマトリックス樹脂を積層して含浸させることもできる。またマトリックス樹脂12の含浸率に関しては、炭素繊維束11同士が結合一体化される程度に含浸させればよく、図2に示すように全ての炭素繊維束11がマトリックス樹脂中に埋もれるように完全含浸させてもよい。
『第二実施形態』
「FRP-金属複合体の構成」
[1]FRP-金属複合体の基本構成について
次に本発明の第二実施形態について図3に基づいて説明する。本実施形態では、上記第一実施形態のCFRPシートから成るFRP層21と、金属材料から成る金属層22とを積層一体化してFRP-金属複合体2を構成している。またFRP-金属複合体2のFRP層21と金属層22とは、接着剤層を介さず熱溶着により直接一体化している。これにより接着一体性及び難燃性に優れたFRP-金属複合体2が得られる。
[2]金属層について
また上記金属層22に用いる金属材料としては、本実施形態では、鉄を使用しているが、金属材料としてはこれに限らず他の金属材料(例えば、ステンレスやアルミニウム等)を使用することもでき、特に金属接着性の観点からは鉄またはステンレスを使用して、FRP層21と金属層22の接着性試験におけるせん断強度が4500N以上となるようにするのが好ましい。また金属層22の厚みや形状についてもFRP-金属複合体2の用途に応じて適宜変更することができる。
「FRP-金属複合体の製造方法」
次に上記FRP-金属複合体2の製造方法について説明すると、本実施形態では、CFRPシートと金属材料とを、加熱温度180~320℃、加圧力1~5MPaの条件下で熱プレスしてCFRPシートを金属材料に熱溶着させることにより両者を積層一体化している。これにより熱プレスだけで簡単にFRP-金属複合体を製造できる。なお熱プレスの加熱温度や加圧力に関しては、炭素繊維の繊維体積含有率やCFRPシートに使用されているマトリックス樹脂の材料に応じて適宜調整できる。
[効果の実証試験(1)]
次に本発明の効果の実証試験(1)について説明する。本試験では、金属層にアルミニウム、鉄、ステンレス(SUS)を用いたFRP-金属複合体から成るサンプルを、CFRPシートのマトリックス樹脂の材料を変えて複数作製し、これら各サンプル(下記の実施例1~6及び比較例1~3)のFRP層と金属層の接着性を、FRP層と金属層の剥離が生じるせん断荷重の大きさによって評価した。また金属層に鉄を用いたサンプルについて、JIS K 7074(B法)に準拠した4点曲げ試験を行って曲げ強度を測定した。
<接着性試験の方法>
本試験では、図4に示すようにFRP層(寸法:幅25mm×長さ100mm×厚さ0.5mm)の上下両側に金属層(寸法:幅25mm×長さ250mm×厚さ2mm)を形成すると共に、上下の金属層に左右に突出する部位を形成して、この金属層の突出部位を試験装置(島津製作所製:万能試験機I-0108)によって温度25℃、湿度50%の環境下で1mm/minの速度で外側に引っ張ることにより、FRP層と金属層がどの程度のせん断荷重で剥離するかを測定した。
「実施例1」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEとポリアミド系樹脂であるPA6とを20:80の重量比で混合したポリマーアロイをマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートと鉄の薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は4741Nであり、また曲げ試験により測定した曲げ強度は716MPaであった。
「実施例2」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEとポリアミド系樹脂であるPA6とを20:80の重量比で混合したポリマーアロイをマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートとステンレス(SUS)の薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は16412Nであった。
「実施例3」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEとポリアミド系樹脂であるPA6とを20:80の重量比で混合したポリマーアロイをマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートとアルミニウムの薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は538Nであった。
「実施例4」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEとポリアミド系樹脂であるPA6とを10:90の重量比で混合したポリマーアロイをマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートと鉄の薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は5764Nであり、また曲げ試験により測定した曲げ強度は645MPaであった。
「実施例5」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEとポリアミド系樹脂であるPA6とを10:90の重量比で混合したポリマーアロイをマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートとステンレス(SUS)の薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は9686Nであった。
「実施例6」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEとポリアミド系樹脂であるPA6とを10:90の重量比で混合したポリマーアロイをマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートとアルミニウムの薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は611Nであった。
「比較例1」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEをマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートと鉄の薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は11530Nであり、また曲げ試験により測定した曲げ強度は576MPaであった。
「比較例2」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEをマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートとステンレス(SUS)の薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は15400Nであった。
「比較例3」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEをマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートとアルミニウムの薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は5066Nであった。
「比較例4」
本実施例では、ポリアミド系樹脂であるPA6をマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートと鉄の薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は3410Nであり、また曲げ試験により測定した曲げ強度は538MPaであった。
「比較例5」
本実施例では、ポリアミド系樹脂であるPA6をマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートとステンレス(SUS)の薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は6073Nであった。
「比較例6」
本実施例では、ポリアミド系樹脂であるPA6をマトリックス樹脂として、これを炭素繊維材料であるUDシートに繊維体積含有率が48%となるように含浸させたCFRPシートを使用した。そして、このCFRPシートとアルミニウムの薄板を、加熱温度250℃、加圧力5MPaの条件下で3分間熱プレスすることによりCFRPシートを金属材料に熱溶着させてFRP層と金属層を積層一体化した。そして、このサンプルについて接着性試験を行ったところ、剥離時のせん断荷重は240Nであった。
<試験結果のまとめ>
上記接着性試験により、FRP層のマトリックス樹脂にポリマーアロイを用いた実施例1~6のサンプルの方が、ポリアミド系樹脂を用いた比較例4~6のサンプルよりも金属接着性に優れていることが確認できた。特に金属層にステンレスを用いた実施例2及び実施例5のサンプルについては、ポリマーアロイによる金属接着性の改善効果が他の金属よりも高いことが確認できた。また上記曲げ試験により、FRP層のマトリックス樹脂にポリマーアロイを用いた実施例1及び実施例4のサンプルの方が、フッ素系樹脂やポリアミド系樹脂を用いた比較例1及び比較例4よりも曲げ強度に優れていることが確認できた。各サンプルの金属層とFRP層の材質と寸法、及び各サンプルの試験結果をまとめた表を以下に示す。
Figure 0007455689000001
次に上記曲げ試験の結果について考察する。フッ素系樹脂(ETFE)については、金属接着性が高いものの樹脂自体の強度が低いため曲げ強度が低くなると考えられる。またポリアミド系樹脂(PA6)については、樹脂自体の強度が高いものの金属接着性が低いため曲げ強度が低くなると考えられる。一方、フッ素系樹脂とポリアミド系樹脂のポリマーアロイについては、単体樹脂よりも材料自体の強度と金属接着性のバランスがとれているため、単体樹脂よりも曲げ強度が向上すると考えられる。
[効果の実証試験(2)]
次に本発明の効果の実証試験(2)について説明する。本試験では、CFRPシートのマトリックス樹脂の材料が異なるサンプルを複数作製し、これら各サンプル(下記の実施例1~3及び比較例1~2)の曲げ破壊強さ、及び曲げ弾性率を測定した。なお曲げ強度の試験は、JIS K 7074に準拠して行った。
「実施例7」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEとポリアミド系樹脂であるPA6とを10:90の重量比で混合したポリマーアロイをマトリックス樹脂とし、かつ、一方向に揃えた炭素繊維材料にマトリックス樹脂を繊維体積含有率が48%となるように含浸させたUDシートの積層体(炭素繊維の繊維方向を揃えた状態でUDシートを50枚重ねて熱プレスにより一体化したもの)をCFRPシートとして使用した。そして、このCFRPシートについて曲げ強度の試験を行ったところ、曲げ破壊強さは477.2MPa、曲げ弾性率は26.2GPaであった。
「実施例8」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEとポリアミド系樹脂であるPA6とを20:80の重量比で混合したポリマーアロイをマトリックス樹脂とし、かつ、一方向に揃えた炭素繊維材料にマトリックス樹脂を繊維体積含有率が48%となるように含浸させたUDシートの積層体(炭素繊維の繊維方向を揃えた状態でUDシートを50枚重ねて熱プレスにより一体化したもの)をCFRPシートとして使用した。そして、このCFRPシートについて曲げ強度の試験を行ったところ、曲げ破壊強さは526.3MPa、曲げ弾性率は36.4GPaであった。
「実施例9」
本実施例では、フッ素系樹脂であるETFEとポリアミド系樹脂であるPA6とを30:70の重量比で混合したポリマーアロイをマトリックス樹脂とし、かつ、一方向に揃えた炭素繊維材料にマトリックス樹脂を繊維体積含有率が48%となるように含浸させたUDシートの積層体(炭素繊維の繊維方向を揃えた状態でUDシートを50枚重ねて熱プレスにより一体化したもの)をCFRPシートとして使用した。そして、このCFRPシートについて曲げ強度の試験を行ったところ、曲げ破壊強さは544MPa、曲げ弾性率は36.7GPaであった。
「比較例7」
本比較例では、フッ素系樹脂であるETFEをマトリックス樹脂とし、かつ、一方向に揃えた炭素繊維材料にマトリックス樹脂を繊維体積含有率が48%となるように含浸させたUDシートの積層体(炭素繊維の繊維方向を揃えた状態でUDシートを50枚重ねて熱プレスにより一体化したもの)をCFRPシートとして使用した。そして、このCFRPシートについて曲げ強度の試験を行ったところ、曲げ破壊強さは76.7MPa、曲げ弾性率は10.5GPaであった。
「比較例8」
本比較例では、ポリアミド系樹脂であるPA6をマトリックス樹脂とし、かつ、一方向に揃えた炭素繊維材料にマトリックス樹脂を繊維体積含有率が48%となるように含浸させたUDシートの積層体(炭素繊維の繊維方向を揃えた状態でUDシートを50枚重ねて熱プレスにより一体化したもの)をCFRPシートとして使用した。そして、このCFRPシートについて曲げ強度の試験を行ったところ、曲げ破壊強さは634.2MPa、曲げ弾性率は36.6GPaであった。
<試験結果>
以上の曲げ強度試験からポリマーアロイを使用した実施例7~9のサンプルは、フッ素系樹脂単体の比較例7のサンプルよりも曲げ破壊強さ及び曲げ弾性率が格段に優れていることが確認できた。また実施例7~9のサンプルは、ポリアミド系樹脂単体の比較例8のサンプルよりも曲げ破壊強さが若干劣るものの曲げ弾性率(特に実施例8・9)については同等の性能を有していることが確認できた。各サンプルの試験結果をまとめた表を以下に示す。
Figure 0007455689000002
1 CFRPシート
11 炭素繊維
12 マトリックス樹脂
2 金属-FRP複合体
21 FRP層
22 金属層

Claims (3)

  1. 強化繊維材料である炭素繊維束(11)間に含浸させるマトリックス樹脂(12)として、ポリアミド系樹脂に金属接着性及び難燃性を有する融点170~260℃のフッ素系樹脂を、フッ素系樹脂とポリアミド系樹脂の重量比が10:90~30:70となるように混合したものを使用してCFRPシートを形成すると共に、
    前記CFRPシートから成るFRP層(21)と鉄から成る金属層(22)とを接着剤層を介さず直接、積層一体化し
    更に前記積層一体化を、加熱温度180~320℃、加圧力1~5MPaの条件下で熱プレスしてCFRPシートを金属材料に熱溶着させて行うことにより、FRP層(21)と金属層(22)の接着性試験におけるせん断荷重が4500N以上となっている、金属-FRP複合体の製造方法
  2. マトリックス樹脂(12)におけるフッ素系樹脂とポリアミド系樹脂の重量比が、15:85~25:75であることを特徴とする請求項1記載の金属-FRP複合体の製造方法
  3. マトリックス樹脂(12)に用いられるフッ素系樹脂がETFEであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属-FRP複合体の製造方法
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