従来技術では、光起電力モジュールを製造する時に、熱圧着ボンディングでバスバーとジャンクションボックス内のパッドとを固定する。パッドはジャンクションボックス内においてバスバーに固定位置を提供する部分である。つまり、光起電力モジュールのバスバーとジャンクションボックスとの接続構造において、バスバーとパッドの間に金属錫が充填されており、金属錫は熱圧着ボンディングにおける錫ペーストに由来する。バスバーとジャンクションボックス内のパッドとの間は金属錫で固定されている。バスバー及びパッドの金属材質は金属錫と大きく異なっているため、接続過程に形成された界面接続強度は外部条件の変化によって影響を受けやすい。例えば、光起電力モジュールが実際に作動する過程において、環境の冷熱条件の変化が激しいため、バスバーとパッドが金属錫を介して形成した接続界面は膨張程度によって剥離しやすく、アンソールダリングが発生する。同時に、ハンダ付けする過程において、錫ペーストが溶けた後の広がり方向はバスバーとパッドの表面平坦性の影響を受けるため、コールドはんだ接続の現象が起こりやすくなる。また、熱圧着ボンディングの錫層はバスバーとパッドの間に位置する金属錫のほか、バスバーとパッドの周辺にも金属錫が分布している。上記の現象は、ジャンクションボックスの光起電力モジュールにおける接続信頼性に影響を与えるため、光起電力積層体の光電流を導出する時の安定性が悪く、効率が低いことを招く。
これに対して、本願の発明者は、光起電力積層体と、ジャンクションボックスとを含む光起電力モジュールを設計している。前記光起電力積層体は、複数の電池セルと、少なくとも1つの溶接ストリップと、バックプレートと、バスバーと、を含み、複数の前記電池セルが前記溶接ストリップを介して接続されることで少なくとも1つのセルストリングを形成し、前記少なくとも1つのセルストリングが前記バックプレートに積層して設けられ、前記溶接ストリップが前記バスバーに接続される。前記ジャンクションボックスは、前記バックプレートの前記電池セルから離れる側に位置し、前記バックプレートに固定接続され、前記ジャンクションボックスにパッドが設けられている。ここで、前記バスバーは、前記バックプレートに設けられた開口を貫通して前記パッドに当接し、前記バスバーと前記パッドとの間がレーザー溶接によって互いに接続される。そのうち、溶接領域には複数本の溶接シームが形成されており、ここで、前記溶接領域とは、前記バスバーと前記パッドとの間にレーザー溶接が実施される領域を指し、前記バスバーと前記パッドとが前記複数本の溶接シームによって一体構造として形成され、ここで、各本の溶接シームが前記バスバーから前記パッドの内部に向かって延び、かつ各本の溶接シームの前記パッド内における延伸深さが前記パッドの厚さの80%以下である。
本願の光起電力モジュールは、使用時に光起電力積層体の受光面で太陽から照射された光を受光し、これによって、光起電力積層体のセルストリングが太陽から放出された光エネルギーを電気エネルギーに変換し、その後、溶接ストリップで電気エネルギーをバスバーに伝達し、そして、バスバーでその受光した電気エネルギーをジャンクションボックスに伝達する。バスバーの接続作用により、光起電力モジュールにおけるセルストリングがジャンクションボックスと一緒に外部回路に接続され、電気エネルギーを導出してユーザーの使用に供する。
本願の光起電力モジュールでは、光起電力モジュールにおけるバスバーとジャンクションボックス内のパッドとの間に、レーザー溶接によりバスバーを貫通してパッド内部まで延びる溶接シームが形成される。溶接シームに位置するバスバーとパッドとの金属材質は一体構造になる。これにより、バスバーとジャンクションボックス内のパッドとの間にレーザー溶接によって、強固な接続構造が形成される。バスバーの金属材質とパッドの金属材質はレーザー作用によって一体に溶融され、金属錫で接続する必要がない。これにより、バスバーとジャンクションボックス内のパッドに接続界面に接続強度の高い一体構造が形成される。特に、実際の状況においてバスバーとジャンクションボックス内のパッドとがいずれも銅を使用する場合、同じ種類の金属同士の融着によって両者間の接続信頼性をさらに確保することができる。また、レーザー溶接において、バスバーとパッドの周辺に厚さの薄い錫層を設けてもよく、このような錫層はバスバーの表面またはパッドの表面で銅金属の酸化を防止する役割を果たすことができる。これにより、バスバーとパッドとの間の電気的接続に、従来技術でハンダ付けを採用した場合に発生しやすいールドはんだ接続の現象が起こりやすくなることを避け、さらに従来技術でハンダ付けを採用した場合に発生しやすいオン・オフ現象と同じようなことを回避することができるため、光起電力積層体の光電流を導出する時の安定性と効率を高めることができる。
光起電力モジュールは、ジャンクションボックスを設置する過程において、まず光起電力積層体を形成し、光起電力積層体がセルストリンググループの正面と裏面にそれぞれ封止用接着フィルムと保護プレートを積み重ねて積層することで得られる。光起電力積層体を得た後、ジャンクションボックスを光起電力積層体の表面に固定し、セルストリングに接続されたバスバーの一部をジャンクションボックスに入れる。ジャンクションボックス内にはダイオードとケーブルで形成された回路構造とを備え、ダイオードが主にセルストリンググループを異常から保護する役割を果たし、ケーブルが外部電気制御機器との電気的接続を実現できる。
通常、ジャンクションボックスは光起電力積層体の裏面に設けられ、すなわち光起電力積層体におけるセルストリンググループの裏面の保護プレートの表面に位置する。また、光起電力積層体には1つまたは複数のジャンクションボックスが設けられてもよく、例えば、光起電力積層体に設けられるジャンクションボックスの数は2~6個であってもよく、好ましくは、3個である。また、ジャンクションボックスは光起電力積層体の裏面に位置し、光起電力積層体のエッジまたは光起電力積層体の中心に近い内側に位置してもよい。ジャンクションボックスは、光起電力積層体の中心に近い内側に設けられた場合、光起電力積層体の中心線上に設けられることが好ましく、より好ましくは、光起電力積層体の長辺の中心線上に設けられる。光起電力積層体に設けられた各ジャンクションボックスの内部には少なくとも1つのダイオードがあり、1つの光起電力モジュールにおける少なくとも1つのダイオードとバスバーの電気的接続が本発明の技術的手段で実現される。
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に本願の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。しかしながら、当業者にとっては、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施形態において多数の技術的細部が提案されているが、以下の各実施形態に基づく種々の変更や修正によっても、本願が保護を要求している技術方案を実現することができることが理解できる。
図1~7に示すように、本願のいくつかの実施形態によって提供される光起電力モジュールは、光起電力積層体100と、ジャンクションボックス200と、を含む。光起電力積層体100は、複数の電池セル110と、少なくとも1つの溶接ストリップ120と、バックプレート130と、バスバー140と、を備え、複数の電池セル110が溶接ストリップ120によって接続されて少なくとも1つのセルストリング150を形成し、セルストリング150はバックプレート130と積層設置され、溶接ストリップ120がバスバー140に接続される。ジャンクションボックス200は、バックプレート130の電池セル110から離れる側に位置し、かつバックプレート130に固定され、ジャンクションボックス200にはパッド210が設けられている。そのうち、バスバー140がバックプレート130の開口を貫通してパッド210に当接し、バスバー140とパッド210との間はレーザー溶接によって互いに接続され、溶接領域には複数本の溶接シーム310が形成されており、ここで、溶接領域とは、バスバー140とパッド210との間にレーザー溶接が実施される領域を指し、バスバー140とパッド210とが複数本の溶接シーム310によって一体構造として形成され、ここで、各本の溶接シーム310がバスバー140からパッド210の内部に向かって延び、かつ各本の溶接シーム310のパッド210内における延伸深さがパッド210の厚さの80%以下である。
なお、本願における光起電力積層体100は、他の部品をさらに含んでもよいが、本願ではこれを限定しない。一例では、光起電力積層体100は、セルストリング150とバックプレート130の間に位置する接着フィルム(図示せず) をさらに含む。また、別の例では、光起電力積層体100は、セルストリング150のバックプレート130から離れる側に位置する前面板(図示せず)を含み、この場合、前面板とセルストリング150との間に接着フィルム(図示せず)が設けられてもよい。
図2と図3に示すように、溶接が発生するバスバー140とパッド210の間の領域には、複数本の溶接シーム310が形成されており、このように、バスバー140とパッド210の間の溶接固定用の溶接パターンがバスバー140とパッド210の互いに当接する一部の表面に分散して分布し、バスバー140とパッド210の溶接後の安定性を高めることができる。
図6と図7に示すように、各本の溶接シーム310はバスバー140のパッド210から離れる表面からパッド210の内部に向かって延び、バスバー140が溶接シーム310箇所にてレーザー溶接によってパッド210と一体構造として形成され、溶接シーム310のパッド210内における延伸深さはパッド210の厚さの80%以下である。
バスバー140上の溶接シーム310はレーザー照射によって形成され、溶接シーム310はバスバー140を貫通してパッド210の内部まで延びている。溶接シーム310のパッド210内における延伸深さは、パッド210の厚さの80%以下(0より大きくかつ80%以下)であり、例えば、実際の状況において、溶接シーム310のパッド210内における延伸深さは、パッド210の厚さの80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%または3%であってもよく、好ましくは15%~45%である。
なお、溶接シーム310のパッド210内における延伸深さは、レーザーパワーとレーザー照射時間と相関している。実際の状況において、レーザーパワーの増大および/またはレーザー照射時間の延長に伴い、溶接シーム310のパッド210内における延伸深さも大きくなる。溶接シーム310のパッド210内における延伸深さが大きすぎると、レーザーがパッド210をメルトスルーしてジャンクションボックス200の底部に触れる。溶接シーム310のパッド210内における延伸深さが小さすぎると、バスバー140とパッド210の間に接触不良が発生する。下記の表1は、光起電力モジュールにジャンクションボックスを設置した時に現れる製品不良率に基づいて、上記に挙げられた溶接シーム310のパッド210内における延伸深さがパッド210の厚さに占める割合について効果的説明を行なったものである。
表1、溶接シーム310の異なる延伸深さ割合下での光起電力モジュール10の製品不良率(表における延伸深さ割合は2種類に分けられ、比較例1と比較例2における延伸深さ割合は溶接シーム310のバスバー140における延伸深さがバスバー140の厚さに占める比率を示し、比較例3、比較例4及び実施例1~7における延伸深さ割合は溶接シーム310のパッド210における延伸深さがパッド210の厚さに占める比率を示し、製品不良率は光起電力モジュール10にジャンクションボックス200を設置した時に不良製品が生じる割合を示し、接触不良割合は光起電力モジュール10にジャンクションボックス200を設置した時にバスバー140とパッド160の接触不良現象が生じる製品割合を示し、パッドメルトスルー割合は光起電力モジュール10にジャンクションボックス200を設置した時にパッドメルトスルー現象が生じる製品割合を示す)。
表1からわかるように、溶接シーム310がバスバー140内にのみ形成された場合(比較例1と比較例2に示す)、光起電力モジュール10の製品歩留まりは低い。溶接シーム310のパッド210内における延伸深さがパッド210の厚さの80%を超えた場合(比較例3と比較例4に示す)、光起電力モジュール10の製品不良率が高い。溶接シーム310のパッド210内における延伸深さのパッド210の厚さに占める割合が15%~45%である場合(実施例3~6に示す)、光起電力モジュール10の製品歩留まりは高く、つまり、光起電力モジュール10にジャンクションボックス200を設置した時にバスバー140とパッド210との接触不良現象が生じる製品の割合が低いと同時に、パッド210のメルトスルー現象が生じる製品の割合が低い。
また、溶接シーム310は連続式レーザー照射またはパルス式レーザー照射により形成されることができ、バスバー140の表面はレーザーの照射経路に線状溶接シーム310が形成される。このうち、連続式レーザー照射で形成された溶接シーム310はレーザー照射経路に明らかに分断されず、パルス式レーザー照射で形成された溶接シーム310はレーザー照射経路に整然と並んだ点状を呈している。
本願のいくつかの実施例に係る光起電力モジュール10は、バスバー140とジャンクションボックス200内のパッド210との間にレーザー溶接によって溶接シーム310が形成され、これによって、溶接シーム310箇所に位置するバスバー140とパッド210が一体構造として形成され、溶接シーム310のパッド210内における延伸深さがパッド210の厚さの80%以下である。このように、バスバー140の金属材質とパッド210の金属材質がレーザー作用下で一体化され、金属錫で接続される必要がない。これによって、バスバー140とジャンクションボックス200内におけるパッド210の接続界面に接続強度の高い一体構造が形成され、バスバー140とパッド210の接続界面に金属錫が充填されて外部条件の影響を受けやすいという問題を避け、ジャンクションボックス200の光起電力モジュール10における接続信頼性を確保することができる。
図7は、本願のいくつかの実施例に係るジャンクションボックス200内におけるバスバー140とパッド210のレーザー溶接後の切断面構造を示す図である。図7からわかるように、本願のいくつかの実施例に係るパッド210には明らかな錫貯蔵溝構造が現れていない。
図6及び図7に示すように、本願のいくつかの実施例では、パッド210は、バスバー140と貼り合わせる溶接領域2101と、パッド210のバスバー140に向かう表面及び溶接領域2101内に位置する凹み領域2102と、を含み、凹み領域2102が溶接シーム310を取り囲み、パッド210の凹み領域2102に位置する表面とバスバー140のパッド210に向かう表面との間にギャップがある。
パッド210における溶接領域2101内に凹み領域2102を形成することで、バスバー140の溶融後の金属材料に充填空間を提供することができ、バスバー140とパッド210との間の一体化接続領域の範囲を拡大することができる。これによって、バスバー140とパッド210との間の接続強度をさらに強めることができる。同時に、溶接中に発生したスラグに収容空間を提供し、これらのスラグがバスバー140とパッド210の金属材質の接続界面に充填されて両者の溶接強度に影響を与えることを回避することができる。
図7に示すように、本願のいくつかの実施例では、溶接シーム310は、バスバー140の内部に位置する第1セグメント314と、パッド210の内部に位置する第2セグメント315と、を含み、第1セグメント314と第2セグメント315が、バスバー140とパッド210との貼り合わせる界面で接している。
溶接シーム310の第1セグメント314はバスバー140の内部に位置し、厚さ方向にバスバー140全体を貫通している。溶接シーム310の第2セグメント315は、パッド210のバスバー140に向かう表面からパッド210の内部へ延び、かつバスバー140とパッド210との貼り合わせる界面で溶接シーム310の第1セグメントと接合される。
本願のいくつかの実施例では、バスバー140からパッド210に向かう方向において第1セグメント314の幅は固定値であるか、または、バスバー140からパッド210に向かう方向において第1セグメント314の幅は徐々に小さくなる。
つまり、溶接シーム310の第1セグメント314の幅は、バスバー140の内部の任意の部位で一定に保たれてもよいし、バスバー140の内部ではパッド210に近い方向に沿って逓減傾向を示す。
理解できるように、溶接シーム310の幅は、レーザーパワー及びレーザー照射時間を調整することで制御できる。レーザーパワーが大きい、及び/またはレーザー照射時間が長い場合、レーザーはバスバー140をメルトスルーする過程において、明らかな減衰が現れない。これによって、バスバー140の中で幅が一定である溶接シーム310が形成され、溶接断面では長尺状の矩形を呈する溶接シーム310として現れる。レーザーパワーが小さい、及び/またはレーザー照射時間が短い場合、バスバー140をメルトスルーする過程において、レーザーはある程度減衰する。これによって、バスバー140では幅が逓減する溶接シーム310が形成され、溶接断面では長尺状の錐形を呈する溶接シーム310として現れる。
実際の状況では、異なる種類の溶接シーム310を形成することで、バスバー140とパッド210との間の接続強度を制御できる。バスバー140とパッド210の間に高い接続強度を持たせるために、バスバー140の内部に幅が一定である溶接シーム310を形成し、バスバー140とパッド210の接続界面での溶接シーム310に十分な幅を持たせることを確保することができる。
本願のいくつかの実施例では、パッド210の厚さ方向において第2セグメント315の幅は固定値であるか、または、パッド210の厚さ方向において第2セグメント315の幅は徐々に小さくなる。
溶接シーム310の第1セグメント314と同じように、溶接シーム310の第2セグメント315の幅はパッド210内の任意の部位で一定に保たれることができるか、または、パッド210内ではバスバー140から離れる方向に沿って逓減傾向にある。同じように、異なる種類の溶接シーム310を形成することで、バスバー140とパッド210の間の接続強度を制御できる。溶接シーム310の第2セグメント315の幅がパッド210内部の任意の部位で一致するように保たれると、パッド210内に形成される溶接シーム310が均一になり、溶接シーム310の各部位の応力変化が均一になり、溶接シーム310が外部条件の変化によって簡単に破壊されないようにすることができる。溶接シーム310の第2セグメント315の幅がパッド210内部でバスバー140から離れる方向に沿って逓減傾向にある場合、パッド210の内部構造の変化程度の範囲を低減することができ、パッド210内部の元の構造ができるだけ破壊されないようにし、パッド210の元の構造の構造強度を確保することができる。
本願のいくつかの実施例では、第1セグメント314と第2セグメント315の接合箇所の幅は、バスバー140のパッド210から離れる表面における第1セグメント314の幅の50%~120%である。
例えば、実際の状況では、第1セグメント314と第2セグメント315の接合箇所の幅は、バスバー140のパッド210から離れる表面における第1セグメント314の幅の50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%または120%であってもよい。好ましくは、65%~85%である。
なお、バスバー140とパッド210が密着している場合、バスバー140とパッド210の接続界面に明らかな溶融金属充填が現れなく、第1セグメント314と第2セグメント315の接合箇所の幅はバスバー140のパッド210から離れる表面における第1セグメント314の幅の範囲内に保たれる。また、パッド210に凹み領域2102がある場合、レーザー溶接時の溶融金属が凹み領域2102の部分に充填されるため、第1セグメント314と第2セグメント315の接合箇所の幅は、バスバー140のパッド210から離れる表面における第1セグメント314の幅と比べてある程度増えている。いくつかの実施例では、バスバー140のパッド210から離れる表面における第1セグメント314の幅が0.3mm~0.4mmである場合、第1セグメント314と第2セグメント315の接合箇所の幅は0.25mm~0.45mmであってもよい。
溶接シーム310の第1セグメント314と第2セグメント315との接合箇所の幅を制御することで、バスバー140とパッド210との接続界面に十分な接続強度を持たせ、バスバー140とパッド210との間の接続信頼性を確保することができる。
本願のいくつかの実施例では、溶接シーム310はバスバー140の表面に線状を呈し、かつ線状を呈する溶接シーム310の数は少なくとも1本である。
つまり、溶接する過程において、レーザーがバスバー140を通過する経路は直線または曲線である。また、レーザーがバスバー140を通過する経路は1本または複数本であってもよい。
レーザーがバスバー140を通過する経路の形状を制御することで、溶接シーム310はバスバー140の表面の大部分の領域に形成されることができ、バスバー140の大部分の領域とパッド210との間に固定接続が形成される。
実際の状況では、溶接シーム310のバスバー140の表面における形状は、直線、波線、S線または往復電話回線形状を呈している。溶接シーム310の始点位置は終点位置に近づき、または終点位置から離れ、または終点位置と重なることができる。例えば、バスバー140の表面において溶接シーム310が直線形状を呈した場合、溶接シーム310の始点位置は終点位置から離れている。バスバー140の表面において溶接シーム310が非閉鎖円形を呈した場合、溶接シーム310の始点位置は終点位置に近づいている。バスバー140の表面において溶接シーム310が方形、円形などの閉鎖形状を呈した場合、溶接シーム310の始点位置は終点位置と重なっている。
本願のいくつかの実施例では、溶接シーム310は複数本あり、かつ、複数本の溶接シーム310がバスバー140の幅方向に沿って順次分布しており、各溶接シーム310の長さが3mm以上かつ5mm以下であり、各溶接シーム310の幅が0.35mm以上かつ0.45mm以下である。
例えば、実際の状況では、溶接シーム310の長さは3mm、4mm、または5mmであってもよく、溶接シーム310の幅は0.35、0.40または0.45であってもよい。バスバー140の幅は4mm~7mmであってもよい。
複数本の溶接シーム310をバスバー140の幅方向に沿って順次分布させることで、溶接シーム310の延伸方向をバスバー140の長手方向と一致させることができる。これによって、バスバー140の長手方向に沿ってバスバー140とパッド210に対して良好な固定効果を発揮することができる。
実際の状況では、バスバー140の幅の大きさによって、溶接シーム310の数は2本、3本、4本または5本であってもよい。
本願のいくつかの実施例では、隣接する2本の溶接シーム310間の距離は0.4mm以上かつ0.6mm以下である。
例えば、実際の状況では、隣接する2本の溶接シーム310間の距離は、0.4mm、0.5mmまたは0.6mmであってもよい。
隣接する2本の溶接シーム310間の距離を制御することで、溶接シーム310間に干渉が生じることを回避することができるとともに、バスバー140の幅方向において良好な固定効果を発揮することができる。
本願のいくつかの実施例では、複数本の溶接シーム310の始点位置は1本の直線に沿ってバスバー140の表面に分布し、複数本の溶接シーム310の終点位置は1本の直線に沿ってバスバー140の表面に分布し、複数本の溶接シーム310の始点位置が位置する直線は終点位置が位置する直線と平行である。
つまり、複数本の溶接シーム310が平行状態を保ちながらバスバー140の表面に分布することで、バスバー140表面に形成される溶接シーム310を均一にすることができる。同時に、実際の溶接過程において、レーザーヘッドの溶接経路を制御することが簡単になり、溶接過程を順調に完成させるのに有利である。
いくつかの実施形態では、バスバー140とパッド210が当接する領域の面積を第1面積とし、バスバー140とパッド210との間に溶接が発生する領域の面積を第2面積とし、第2面積が第1面積の30%~60%である。
本願の光起電力モジュールでは、第2面積は第1面積の30%~60%であるため、バスバー140とパッド210の間に十分な溶接面積があることを確保できるとともに、バスバー140とパッド210の間の溶接面積が大きすぎないことを確保し、バスバー140を溶接する時にバスバー140が溶断しないことを確保することができる。これによって、レーザー溶接後のバスバー140とパッド210の間に高い引き抜き力があることを確保でき、バスバー140とパッド210の溶接後の安定性を高めることができる。
いくつかの実施形態では、第1面積は13mm2~15mm2である。なお、本願では、この実施形態における第2面積の値を限定せず、例えば、第2面積が4mm2-7mm2である。これによって、第2面積が第1面積の30%~60%であることを確保できる。
1つの例では、第1面積は13mm2であり、第2面積は4mm2である。別の例では、第1面積は14mm2であり、第2面積は6mm2である。
いくつかの実施形態では、第2面積は第1面積の40%~50%である。これによって、バスバー140とパッド210の間に十分な溶接面積があることを確保するとともに、バスバー140とパッド210の間の溶接面積が大きすぎないことを確保し、バスバー140を溶接する時にバスバー140が溶断しないことを確保し、さらにレーザー溶接後のバスバー140とパッド210の間に高い引き抜き力があることを確保し、バスバー140とパッド210の溶接後の安定性を高めることができる。
1つの例では、第2面積は第1面積の40%である。これによって、バスバー140とパッド210の溶接後の安定性を最適にすることができる。また、別の例では、第2面積は第1面積の45%である。
なお、本願では、バスバー140とパッド210とを溶接固定する具体的な溶接パターンの形状について限定せず、第2面積が第1面積の30%~60%になるようにすることができればよい。
いくつかの実施形態では、バスバーとパッドが当接する表面はいずれも平坦な表面である。
いくつかの実施例では、いずれかの溶接シーム310も、第1方向(すなわち、図2、3に示すX方向)に沿って順次設置される両端を有し、複数本の溶接シーム310は、第2方向(すなわち、図2、3に示すY方向)に沿って順次設置され、第1方向は第2方向に対して垂直である。これによって、バスバー140とパッド210の間における溶接固定用の溶接パターンはバスバー140とパッド210が互いに当接する一部の表面に分散して分布し、バスバー140とパッド210の溶接後の安定性をさらに高めることができる。
1つの例では、溶接シーム310がバスバーの複数の電池セル110から離れる表面に呈する形状は、直線、折れ線または曲線である。溶接シーム310の形状が直線である場合、溶接シーム310の数は3本以上である。これによって、第2面積が第1面積の30%~60%であることを確保できる場合、溶接シーム310の幅が広すぎないようにし、レーザー溶接の使用を容易にすることができる。
図4と図5に示すように、別のいくつかの実施形態では、複数本の溶接シーム310は、第1溶接シーム311と、第2溶接シーム312と、を含み、第1溶接シーム311が閉鎖パターンを取り囲んで形成し、第2溶接シーム312が第1溶接シーム311によって取り囲まれた閉鎖パターン内に位置する。これによって、バスバー140とパッド210の間における溶接固定用の溶接パターンがバスバー140とパッド210の互いに当接する一部の表面に分散して分布し、バスバー140とパッド210の溶接後の安定性を高めることができる。
なお、本願では、第1溶接シーム311によって取り囲まれた閉鎖パターンの形状について限定しない。1つの例では、第1溶接シーム311によって取り囲まれた閉鎖パターンの形状は円形である。代替的には、第1溶接シーム311によって取り囲まれた閉鎖パターンの形状は矩形である。
いくつかの実施例では、第2溶接シーム312の形状は、第1溶接シーム311のバスバーの表面に呈する形状と同じである。これによって、バスバー140とパッド210の間における溶接固定用の溶接パターンをバスバー140とパッド210の互いに当接する一部の表面に分散して分布させることができ、バスバー140とパッド210との溶接後の安定性をさらに高めることができる。同時に、レーザーを利用して上記の溶接パターンを容易に形成することができる。
なお、他の実施例では、第2溶接シーム312の形状は、第1溶接シーム311の形状と同一でなくてもよく、この場合、第2溶接シーム312の形状は、直線、折れ線または曲線であってもよい。
図5に示すように、1つの例では、複数本の溶接シーム310は、第3溶接シーム313をさらに含み、第2溶接シーム312が閉鎖パターンを取り囲んで形成し、第3溶接シーム313が第2溶接シーム312によって取り囲まれた閉鎖パターン内に位置する。これによって、第2面積が第1面積の30%~60%であることを確保できる場合、溶接シーム310の幅が広すぎないようにし、レーザー溶接の使用を容易にすることができる。
なお、この例では、第3溶接シーム313がバスバーの表面に呈する形状は、第2溶接シーム312及び/または第1溶接シーム311の形状と同じであってもよい。代替的には、第3溶接シーム313の形状は、第2溶接シーム312及び/又は第1溶接シーム311の形状と同じでなくてもよく、この場合、第3溶接シーム313の形状は直線、折れ線又は曲線であってもよい。
図1~5に示すように、いくつかの実施形態では、バスバー140の数は2つであり、パッド210の数も2つであり、バスバー140とパッド210とが1対1で対応して設けられている。この実施形態では、ジャンクションボックス200にはダイオード220が設けられることもでき、ダイオード220は、一端が1つのパッド210に接続され、他端が別のパッド210に接続される。このように、ダイオード220は、光起電力積層体100の受光面が影で遮蔽された時に保護作用を果たすことができる。
いくつかの実施形態では、バスバー140とパッド210との材質は同じである。これによって、バスバー140とパッド210とがレーザー溶接で固定された後、バスバー140の熱による膨張体積/冷間による収縮体積は、パッド210の熱による膨張体積/冷冷による収縮体積と同じである。これによって、バスバー140とパッド210の間に生じる層分割現象を回避することができる。1つの例では、バスバー140とパッド210との材質はいずれも銅である。
いくつかの実施形態では、パッドは位置決め領域を有し、バスバーとパッドが当接する領域は正対領域であり、位置決め領域の面積が正対領域の面積よりも大きく、かつ正対領域が位置決め領域内に位置する。
これによって、レーザーを利用してバスバー140とパッド210を溶接する前に、バスバー140の一部の表面を正対領域112に位置合わせる過程において、誤差が生じてバスバー140の一部の表面を正対領域112に完全に位置合わせなくても、バスバー140の一部の表面が位置決め領域111に正対して設置されることをできる限り確保することができ、バスバー140がパッド210とレーザー溶接で固定できることを確保する。
なお、1つの例では、位置決め領域111はパッド210のバスバー140に向かう表面の一部を占める。別の例では、位置決め領域111はパッド210のバスバー140に向かう表面の一部を占める。
いくつかの実施例では、位置決め領域111は、第1方向(すなわち図8、10に示すX方向)に対向して設置された2つの第1エッジ113を備え、正対領域112は、2つの第1エッジ113の間に位置し、かつ、2つの第1エッジ113のいずれか一方との間に間隔を有している。
これによって、バスバー140の一部の表面を正対領域112に位置合わせる過程において、バスバー140が第1方向に沿ってずれても、第1方向と反対する方向に沿ってずれても、バスバー140の一部の表面が位置決め領域111と正対して設置されることを確保し、バスバー140とパッド210とがレーザー溶接で固定されることを確保することができる。
なお、本願では、正対領域112の第1方向における寸法については限定せず、かつ、正対領域112と2つの第1エッジ113のいずれか一方との間隔についても限定しない。
いくつかの実施例では、正対領域112の第1方向における寸法は3mm~5mmであり、正対領域112と2つの第1エッジ113のいずれか一方との間には2mm以上の間隔がある。1つの例では、正対領域112の第1方向における寸法は4mmであり、正対領域112と2つの第1エッジ113のいずれか一方との間にはいずれも2mmの間隔を有している。
なお、この実施形態では、正対領域112の第1方向における寸法は、バスバー140の第1方向における寸法と同じであってもよく、ここで、第1方向はバスバー140の幅方向であってもよい。
いくつかの実施形態では、正対領域112の一部の領域は溶接領域2101であり、溶接領域2101がバスバー140のうち、第2方向(すなわち、図8、10に示すY方向)に沿って延びる部分と貼り合わせて溶接固定されることに用いられ、第1方向は第2方向に対して垂直であり、位置決め領域111は、第2方向に対向して設置された2つの第2エッジ115を備え、溶接領域2101は、2つの第2エッジ115の間に位置し、かつ2つの第2エッジ115のいずれか一方との間に間隔を有している。
これによって、バスバー140の一部の表面とパッド210の溶接領域2101とをレーザー溶接で固定する過程において、バスバー140が第2方向に沿ってずれても、第2方向と反対する方向に沿ってずれても、バスバー140の一部の表面が位置決め領域111と正対して設置されることを確保でき、バスバー140とパッド210の位置決め領域111とがレーザー熔接で固定されることを確保できる。
なお、本願では、溶接領域2101の第2方向における寸法について限定せず、かつ溶接領域2101と2つの第2エッジ115のいずれか一方との間隔についても限定されない。
いくつかの実施例では、溶接領域2101の第2方向における寸法は3mm~5mmであり、溶接領域2101と2つの第2エッジ115のいずれか一方との間に2mm以上の間隔を有している。1つの例では、溶接領域2101の第1方向における寸法は4mmであり、溶接領域2101と2つの第2エッジ115のいずれか一方との間に2mmの間隔を有している。
なお、この実施形態において、バスバー140が溶接領域2101と貼り合わせて溶接固定された部分の長手方向は第2方向であってもよい。
いくつかの実施例では、2つのパッド210はダイオード220の両側に対向して設置されている。この場合、2つのパッド210の形状とサイズは同じであってもよいし(図8、9に示す)、2つのパッド210の形状とサイズは異なってもよい。本願では、これについて限定しない。
別のいくつかの例では、ダイオード220は2つのパッド210の間に位置し、2つのパッド210とダイオード220とは「U」字状に分布している(図10に示す)。
本願のいくつかの実施形態はさらに、光起電力モジュールの製造方法を提供し、前記製造方法は、
光起電力積層体を提供し、光起電力積層体は、複数の電池セル、溶接ストリップ、バックプレート及びバスバーを含み、そのうち、複数の電池セルが溶接ストリップを介して接続されることで少なくとも1つのセルストリングを形成し、少なくとも1つのセルストリングがバックプレートに積層して設けられ、溶接ストリップがバスバーに接続され、複数のセルストリングがバスバーを介して接続されることでセルストリンググループを形成し、セルストリングの直列接続は自動シリアル溶接機で自動的に行われることができるステップ1と、
ジャンクションボックスを提供し、ジャンクションボックスがバックプレートの電池セルから離れる側に設置しかつバックプレートに固定接続し、ジャンクションボックス内にパッドが設けられており、ジャンクションボックスが接着剤でバックプレートに固定されることができるステップ2と、
バスバーをバックプレートに設けられた開口から貫通させ、バスバーの一部を光起電力積層体のバックプレートの表面に露出させ、バスバーのバックプレートから貫通した部分をジャンクションボックスに導入し、バスバーの一部が折り曲げられた状態にあり、バスバーをジャンクションボックスに導入した後、バスバーにおける折り曲げ部分がジャンクションボックス内のパッドに当接し、圧子でバスバーをパッドに自動的に押し付けることができるステップ3と、
レーザーヘッドを用いて、バスバーとパッドを互いに接続させるように、バスバーとパッドの当接箇所をレーザー溶接し、レーザー溶接によって、バスバーとパッドの間に溶接が発生した領域に、バスバーのパッドから離れる表面からパッド内部に向かって延びる複数本の溶接シームが形成され、溶接シーム箇所に位置するバスバーとパッドとがレーザー溶接によって一体構造として形成され、各本の溶接シームのパッド内における延伸深さがパッドの厚さの80%以下であるステップ4と、を含む。
本願のいくつかの実施形態では、レーザーヘッドから出射されるレーザーのパワーは550W(ワット)~750Wである。
例えば、実際の状況では、レーザーヘッドから出射されるレーザーのパワーは、550W、580W、600W、620W、640W、660W、680W、700W、720Wまたは750Wであってもよい。
レーザーヘッドの出射パワーが大きくなるにつれて、バスバーとパッドの接続構造で形成された溶接シームの深さも大きくなり、パッド内部まで延びた溶接シームはジャンクションボックスの底部により近くなる。レーザーヘッドから出射されるレーザーのパワーを550W~750Wの範囲内に維持することで、溶接シームのパッド内における延伸深さが適切になり、バスバーとパッドの間に優れた固定効果と優れた電流伝達効果があることを確保することができる。
本願のいくつかの実施形態では、レーザーヘッドの溶接速度は60mm/s(ミリメートル/秒)以上かつ100mm/s以下である。
例えば、実際の状況では、レーザーヘッドの溶接速度は60mm/s、70mm/s、80mm/s、90mm/sまたは100mm/sであってもよい。
レーザーヘッドの溶接速度が大きくなるにつれて、バスバーに形成された溶接シームの幅は小さくなる。溶接速度が速すぎると、バスバーとパッドとの貼り合わせ部分に接続強度が足りないという問題が現れる可能性がある。溶接速度が遅すぎると、パッドの一部の領域にメルトスルーが発生する可能性がある。したがって、レーザーヘッドの溶接速度を制御することで、レーザーヘッドの溶接速度が速すぎることに起因して溶接シームの成形品質が悪くなることを回避するとともに、レーザーヘッドの溶接速度が遅すぎることに起因してジャンクションボックス内のパッドにメルトスルーが発生することを回避することができる。
また、レーザーヘッドから出射されたレーザーのバスバー表面における照射領域の幅が大きくなるにつれて、バスバーに形成された溶接シームの幅も大きくなる。溶接シームの幅は溶接品質をある程度で反映させることができるため、光起電力モジュールにおけるバスバーとパッドの接続構造箇所の溶接品質が要求を満たすことができるように、実際の状況において、レーザーヘッドから出射されたレーザー光のバスバーの表面における照射領域の幅を制御することで、バスバーとパッドの溶接品質を確保することができる。例えば、いくつかの実施例では、バスバー上の溶接シームの幅が0.3mm以上かつ0.4mm以下である場合、溶接品質は要求を満たしていると考えられる。したがって、レーザーヘッドから出射されたレーザー光のバスバー表面における照射領域の幅を0.3mm~0.4mmの範囲内に維持するように制御することができる。
従来の検査方法が光起電力モジュールの生産需要を満たすことができないという問題に対して、本願のいくつかの実施例には、別の光起電力モジュール製造方法がさらに提供される。
従来技術では、バスバーとパッドとを溶接する過程において、人間の目でバスバーとジャンクションボックスの位置を確認して、バスバーとジャンクションボックス内におけるパッドとの間の溶接精度を確保する必要がある。同時に、溶接が完了した後、人間の目で溶接結果が期待された要求に適合するか否かを検知する必要がある。人間の目による検出精度が低いため、溶接中に溶接ズレ、溶接ミスなどの不良品が発生しやすくなり、そして、溶接が完了した後、人間の目で検知すると抜け目を引き起こしやすい弊害があり、溶接不良の製品が次の工程に入ることを招く可能性がある。
これに対して、本願のいくつかの実施例によって提供される別の光起電力モジュールの製造方法は、溶接前の位置と溶接後の溶接シームを目視で検出するステップをさらに含む。視覚検出システムによってバスバーとジャンクションボックスの位置を位置決めして、実際の溶接過程におけるバスバーの溶接位置を決定する。さらに、溶接後に形成された溶接シームを視覚検出システムで検出し、検出結果に基づいて溶接シームが期待される要求を満たしているか否かを判断する。
この光起電力モジュールの製造工程は、以下のステップを含む。
ステップS100、光起電力積層体を提供する。
光起電力積層体はセルストリンググループを備え、セルストリンググループは、複数のセルストリングを備え、複数のセルストリングがバスバーによって接続される。各セルストリングは、複数の電池セルを溶接ストリップで直列接続することで形成される。複数の電池セルを直列接続してセルストリングを形成し、複数のセルストリングを直列接続または並列接続の形で接続してセルストリンググループを形成することで、光起電力モジュールの電圧と電力を高め、光起電力モジュールの発電効果が期待される要求を満たすことができることを確保する。
ステップS200、ジャンクションボックスを光起電力積層体に設置し、光起電力積層体のバスバーをジャンクションボックスに導入させる。
光起電力モジュールがジャンクションボックスによって外部電子制御装置と電気的に接続され、ジャンクションボックス内にダイオードとケーブルを介して形成された回路とを備える。ダイオードは光起電力モジュールのセルストリンググループに対して防護作用を果たし、光起電力モジュールのセルストリンググループを外部電子制御装置に接続するように、ダイオードの導電性端子部分がバスバーに接続されている。
ステップS300、バスバーをジャンクションボックス内のパッドに押し付ける。
ジャンクションボックス内のパッドはバスバーに対して固定位置を提供できる。パッドがダイオードの導電性端子部分で形成されることができ、即ち、バスバーとの接続を実現するために、ダイオードの導電性端子部分を一定の面積を持つ平面状に延びて形成する。また、パッドが独立したパッド部品を用いることもでき、つまり、独立したパッド部材をリベットなどの締結具でジャンクションボックス内に固定し、独立したパッド部材をダイオードの導電性端子に接続し、バスバーをジャンクションボックス内のパッドに押し付けると、その後のレーザー溶接に有利になる。
ステップS400、バスバーとジャンクションボックスの相対的な位置に対して、溶接前の視覚検出を行う。
視覚検出がCCDマシン視覚システムで実現でき、CCDマシン視覚システムは、CCDカメラとコントロールセンターを含み、CCDカメラがコントロールセンターの制御の下で移動して検出対象を撮影し、撮影結果がコントロールセンターに伝送されてから認識されることができ、CCDマシン視覚システムには、位置決め機能、測定機能、認識機能が含まれ、つまり、CCDマシン視覚システムが、検出対象の外観上の位置特徴を自動的に位置決めし、検出対象の外観寸法を自動的に測定し、検出対象の色、図形または文字符号などを認識できる。同時に、CCDマシン視覚システムがデータベースモデルを構築し、検出対象の画像とデータベース内の画像を比較することで、検出対象が合格しているかどうかを判断できる。
バスバーとジャンクションボックスの相対的な位置を検出することで、溶接前にバスバーの溶接領域及び溶接の開始位置と終了位置を決定することができる。
ステップS500、レーザーヘッドを利用して、バスバーとパッドをレーザー溶接する。
レーザーヘッドは特定パワーのレーザー光を出射することで溶接を実現することができる。レーザーヘッドから出射されたレーザー光がバスバー表面に到着した後、バスバーとパッドを溶融させる。レーザー光の移動に伴い、レーザー光が通過する経路に溶接シームが形成され、溶接シーム箇所に位置するバスバーがパッドと一体に溶融される。
ステップS600、レーザー溶接後の溶接シームに対して、溶接後視覚検出を行う。レーザー溶接後の溶接シームに対して、溶接後視覚検出を行うことによって、溶接後に形成された溶接シームが要求を満たしているか否かを判断できる。
本願のいくつかの実施例によって提供される光起電力モジュールの製造工程は、従来の熱圧着ボンディングの代わりにレーザー溶接を採用している。レーザー溶接の過程において、バスバーとパッドとの界面に直接接触する部分を形成することができ、従来の熱圧着ボンディングにおいてバスバーとパッドとの界面に融合される金属錫を取り替えることができる。錫ペーストによりバスバーとパッドとの固定を実現する必要がないため、バスバーとパッドの接続信頼性は錫ペーストの不足によるコールドはんだ接続の影響を受けない。同時に、バスバーとパッドを固定した後、バスバーの金属材質とパッドの金属材質が一体に溶融され、両者間の接続強度を確保できる。これによって、光起電力モジュールを製造する過程においてジャンクションボックスにダイオードの接続不良が発生することを回避することができる。
また、溶接前にバスバーとパッドの相対的な位置に対して視覚検出を行うことで、検出結果に基づいてパッドにおけるバスバーの溶接位置を決定し、バスバーとパッドとの溶接時の精確な制御を達成できる。これによって、溶接が予め設定された範囲内で行われ、溶接ズレや溶接ミスなどの不具合が発生しないようにする。同時に、溶接完了後の溶接シームに対して視覚検出を行うことで、検出結果に基づいて溶接シームが要求を満たしているか否かを判断し、要求を満たしていない溶接製品を適時に選別できる。
本願のいくつかの実施形態では、図12に示すように、光起電力積層体を提供するステップS100は、以下のステップを含む。
S110、電池セルに対してシリアル溶接を行い、セルストリンググループを形成する。
電池セルは、通常、基板と、基板に形成されたPN接合及びパッシベーション構造と、電池セルの表面に位置するグリッド線電極とを含む。基板は通常シリコン基板を採用し、シリコン基板に形成されたPN接合は光の照射によって電流を生じさせる。グリッド線電極は、細いグリッド線を含み、細いグリッド線がPN接合によって発生した電流を取り出すことに用いられる。電池セルは自動シリアル溶接機によって自動シリアル溶接を行うことができる。シリアル溶接の過程において、まず複数の電池セルを溶接ストリップで接続することでセルストリングを形成し、そして、複数のセルストリングをバスバーによって接続することでセルストリンググループを形成する。
S120、カバープレートに第1封止用接着フィルムを敷設する。
カバープレートは、セルストリンググループの正面に位置する保護プレートであり、セルストリンググループを保護する役割を果たす。同時に、カバープレートは、ガラスを採用して、セルストリンググループの正面で光を透過させる機能を果たすことができる。第1封止用接着フィルムはEVA接着フィルム、POE接着フィルムまたはPVB接着フィルムを用いてもよく、セルストリンググループの正面で接着作用を果たすことに用いられる。
S130、セルストリンググループを第1封止用接着フィルムに敷設する。
S140、セルストリンググループにバスバーを溶接する。
バスバーとセルストリング上の溶接ストリップが交差した状態を維持しながら溶接され、実際の状況では、バスバーとセルストリング上の溶接ストリップが垂直状態を保つことができ、セルストリングから発生した光電流の輸送経路を減らし、電流損失を低下させることができる。
S150、第2封止用接着フィルムをセルストリンググループに敷設する。
第2封止用接着フィルムがセルストリンググループの裏面に位置し、第2封止用接着フィルムがEVAフィルム、POEフィルムまたはPVBフィルムであってもよく、セルストリンググループの背面で接着作用を果たすことに用いられる。
S160、バックプレートを第2封止用接着フィルムに敷設する。
バックプレートがセルストリンググループの裏面で保護作用を果たし、バックプレートも、同様にガラスを採用して、セルストリンググループの背面で光を透過させる役割を果たすことができる。同時に、バックプレートに引出線穴があり、バスバーがバックプレートの引出線穴から貫通し、一部をバックプレートの表面に露出させることができる。通常、バックプレートには、1~3組の引出線穴が設けられており、それぞれの引出線穴には一対のバスバーが対応している。
S170、カバープレート、第1封止用接着フィルム、セルストリンググループ、第2封止用接着フィルム及びバックプレートを積層固定して、光起電力積層体を得る。
積層過程はラミネーターのラミネートキャビティで行われることができ、積層過程に封止用接着フィルムがはみ出すのを防ぐように、積層する前にカバープレートとバックプレートの表面に高温の布を覆うことができる。同時に、バックプレートを貫通したバスバーが積層時にバックプレートと貼り合わせた状態を維持し、すなわち、積層時にバスバーのバックプレートを貫通した部分を折り曲げ、バスバーのバックプレートを貫通した部分とバックプレートとに貼り合わせた状態を維持させ、ラミネーターのラミネートキャビティの閉鎖に影響を与えることを回避する。積層が完了して光起電力積層体を形成した後に、バックプレートに貼り合わせたバスバーを再び元の位置に戻し、バスバーのバックプレートを貫通した部分にバックプレートと垂直な状態を維持させ、ジャンクションボックスを設置する時にバスバーをジャンクションボックス内に導入することができる、また、積層が完了して光起電力積層体を形成した後、光起電力積層体に隠れクラック、断片、コールドはんだ接続などの不具合があるか否かを検出できる。
光起電力積層体の製造が完了した後、ジャンクションボックスを光起電力積層体に設ける。ジャンクションボックスは接着剤で光起電力積層体に固定されることができ、ジャンクションボックスは、バスバーの位置に対応して、光起電力積層体のバックプレートの表面に設けられる。同時に、ジャンクションボックス内に導入されたバスバーは圧子でジャンクションボックス内のパッドに押し付けられることができる。さらに、溶接を開始する前にバスバーとジャンクションボックスの位置を検出する。
通常、光起電力積層体に1個または複数個のジャンクションボックスが設けられることができ、例えば、光起電力積層体に設けられるジャンクションボックスの数は2~6個であってもよく、好ましくは3個である。また、ジャンクションボックスの光起電力積層体の裏面における位置は、光起電力積層体のエッジまたは光起電力積層体の中心に近い内側であってもよい。ジャンクションボックスが光起電力積層体の中心に近い内側に設けられた場合、光起電力積層体の中心線に設けられることが好ましく、さらに、光起電力積層体の長辺の中心線に設けられることが好ましい。光起電力積層体に設けられた各ジャンクションボックスの内部には少なくとも1つのダイオードがあり、1つの光起電力モジュールにおける少なくとも1つのダイオードとバスバーとの電気的接続は本発明の技術的手段を用いて実現される。
本願のいくつかの実施形態では、図13に示すように、バスバーとジャンクションボックスの相対的な位置に対して溶接前視覚検出を行うステップS400は、以下のステップを含む。
ステップS410、ジャンクションボックスを位置決めして撮影する。
視覚検出システムによる検出過程において、まず検出対象を位置決めする必要があり、検出対象の位置を取得した後、ジャンクションボックス内の構造特徴によってジャンクションボックスの位置を精確に認識するように、ジャンクションボックスを精確に撮影する。いくつかの実施例では、ジャンクションボックスの周辺輪郭特徴または内部部材特徴によってジャンクションボックスの精確な位置を検出することができる。
ステップS420、バスバーを位置決めして撮影する。
ジャンクションボックスと類似しているように、バスバーの位置を検出する時、まずバスバーの位置を取得し、そして、バスバーを精確に撮影し、バスバーの構造特徴によってバスバーの位置を検出する。
ステップS430、ジャンクションボックスの撮影結果とバスバーの撮影結果に基づいてバスバーとジャンクションボックスの相対的な位置を取得する。
それぞれジャンクションボックスの精確な位置とバスバーの精確な位置を得た後、バスバーとジャンクションボックスの相対的な位置を得ることができ、すなわちジャンクションボックス内のパッドに対するバスバーの実際位置を得ることができ、これによって、ジャンクションボックス内のパッドに対するバスバーの実際の溶接位置を容易に制御することができる。
本願のいくつかの実施形態では、図14に示すように、ジャンクションボックスを位置決めして撮影するステップS410は、以下のステップを含む。
S411、光起電力積層体を撮影し、光起電力積層体の撮影結果に基づいてジャンクションボックス内のダイオードを認識する。
ジャンクションボックスが光起電力積層体のバックプレートの表面に設けられ、溶接の過程において、光起電力積層体のバックプレートの表面が上向きであり、光起電力積層体を撮影し、光起電力積層体のバックプレートの表面画像を取得することができる。光起電力積層体の画像にはジャンクションボックスのピクセル特徴が含まれている。ダイオードがジャンクションボックス内に固定され、位置が変化しないため、ダイオードの位置を取得すると、ジャンクションボックスの位置を取得することができる。したがって、光起電力積層体の撮影結果における特定のピクセル特徴、すなわちジャンクションボックス内のダイオードを認識することで、ジャンクションボックスの位置を取得することができる。なお、ダイオードの認識は色を認識することで実現でき、ダイオードのジャンクションボックス内のパッケージング色がブラックであり、周りのパッドの金属色と明らかに異なっているため、認識されやすい。同時に、ダイオードのパッケージング材料には、ダイオードのパラメーター特徴を示すための文字ラベルがさらに設けられている。ダイオードのパッケージにある文字ラベルを組み合わせることで、光起電力積層体の画像におけるダイオードの特徴を容易に認識できる。光起電力積層体の撮影結果画像が図16に示され、図からわかるように、周辺がブライトホワイトを呈するパッドに比べて、ジャンクションボックス内のダイオードがより顕著なダークブラックの特徴を備えている。
S412、ダイオードの位置を撮影し、撮影結果に基づいてジャンクションボックスの位置を取得する。
光起電力積層体画像におけるダイオードの特徴を認識することでジャンクションボックスの位置を取得した後、ジャンクションボックス内のダイオードを撮影し、ダイオード画像におけるダイオードの外部輪郭または文字ラベルと撮影中心点との相互位置関係から、ダイオードの精確な位置を検出することで、ジャンクションボックスの精確な位置を取得する。ダイオードの位置の撮影結果の画像が図17を参照でき、図からわかるように、ジャンクションボックスが明らかに画像の中心位置に存在し、ダイオードの外部輪郭を利用してジャンクションボックスの位置を精確に取得できる。
ジャンクションボックスの精確な位置を取得した後、引き続きバスバーの精確な位置を検出する。
本願のいくつかの実施形態では、図15に示すように、バスバーを位置決めして撮影するステップS420は、以下のステップを含むことができる。
S421、光起電力積層体を撮影し、光起電力積層体の撮影結果に基づいてバスバーの幅方向における対向する2つのエッジを認識する。
取得されたジャンクションボックスの位置と一致して、バスバーに対して位置検出を行う場合、まず光起電力積層体を撮影することができ、取得された光起電力積層体の画像には、バスバーのピクセル特徴が含まれる。バスバーがジャンクションボックス内のパッドに押し付けられた時に、バスバーの幅方向における対向する2つのエッジがパッドの溶接可能な領域内に位置する。したがって、取得された光起電力積層体の画像において、バスバーの幅方向における対向する2つのエッジによって形成される境界線によってバスバーを認識し、バスバーの位置を取得することができる。
S422、バスバーの幅方向における対向する2つのエッジを撮影し、撮影結果に基づいてバスバーの位置を取得する。
光起電力積層体の画像におけるバスバーのエッジ特徴を認識することでバスバーの位置を取得した後、ジャンクションボックス内のバスバーを撮影し、バスバー画像におけるバスバーの外部輪郭と撮影中心点との相互位置関係からバスバーの精確な位置を検出かつ取得する。バスバーの所在する位置の撮影結果画像が図18を参照でき、図からわかるように、バスバーの幅方向における対向する2つのエッジに明らかなブライトホワイトの色特徴(図18における画像の左側矩形点線枠の上下の2つの長辺が示すエッジ)があり、バスバーの幅方向における対向する2つのエッジから精確にバスバーの位置を取得できる。
それぞれジャンクションボックスとバスバーの精確な位置を取得した後、両者の位置を比較して、バスバーとジャンクションボックスの相対的な位置を得ることができる。つまり、ジャンクションボックスとバスバーの精確な位置に基づいて、バスバーがジャンクションボックス内に位置する実際の位置を検出できる。ジャンクションボックスの精確な位置を決定した後に、ジャンクションボックス内のパッドの位置を決定することができる。これによって、バスバーがジャンクションボックス内のパッドに押し付けられる実際の位置を得ることができ、ジャンクションボックス内のパッドにあるバスバーの位置にずれが生じているか否かを判断できる。
本願のいくつかの実施形態では、バスバーとパッドの相対的な位置に対して位置検出を行なってから、レーザーヘッドを用いてバスバーとパッドをレーザー溶接する前に、さらに、バスバーとジャンクションボックスの相対的な位置に基づいてレーザーヘッドの溶接位置を調整することを含む。
理解できるように、バスバーが圧子でジャンクションボックス内のパッドに押し付けられた過程において、バスバーの表面の平坦性、パッドの表面の平坦性または圧子の圧力重心に起因して、押し付けられる実際の位置からずれてしまう可能性がある。視覚検出システムによってバスバーとジャンクションボックスの相対的な位置を取得した後、溶接過程がバスバーの表面での所定経路で行えるように、この相対的な位置に基づいてレーザーヘッドの溶接位置を調整できる。これによって、溶接ズレ、溶接ミスが生じることを回避し、溶接ズレによるパッドのメルトスルー問題も回避することができる。
実際の溶接過程において、レーザーヘッドは直線経路または曲線経路に従ってバスバー表面で溶接を行うことができる。同時に、レーザーヘッドは閉鎖経路または非閉鎖経路に従ってバスバーとパッドを溶接することができる。つまり、バスバーの表面でレーザー光の通る経路が形成した溶接シームは直線を呈してもよいし、曲線を呈してもよい。さらに、バスバーの表面でレーザーの通る経路が形成した溶接シームは、方形、円形などの閉鎖パターンを呈してもよいし、波状、S型などの非閉鎖パターンを呈してもよい。
また、溶接後に形成された溶接シームは、最終的に形成された溶接製品が要求を満たしているか否かを判断するために、検査される必要がある。通常、事前試験を通じて、要求に適合する溶接シームのパラメーター特徴を得ることができる。例えば、溶接シームの長さ特徴、幅特徴または深さ特徴がそれぞれどのような範囲内にあると要求を満たす溶接製品を得ることができる。レーザー溶接後のバスバーの溶接品質を判断しやすくするために、実際の状況では、溶接品質に合格した製品を選んで試験し、バスバー表面の溶接シームがどのような状況で溶接品質の要求を満たすことができるかを確認する。
本願のいくつかの実施形態では、レーザー溶接後の溶接シームに対して溶接後の視覚検出を行うことは、溶接シームを撮影し、溶接シームの幅が0.3mm~0.4mmの範囲内にあるか否かを検出することを含む。
つまり、バスバーとジャンクションボックス内のパッドとの溶接が完了した後、バスバーの表面における溶接シームの幅を検出することで溶接品質が要求を満たしているか否かを判断することができる。溶接シームの幅が0.3mm以上かつ0.4mm以下である場合、溶接品質は要求を満たしていると考えられる。一方、溶接シームの幅が0.3mmより小さいか、、または0.4mmより大きい場合、溶接品質が要求を満たしていないと考えられる。溶接後にバスバーの位置を撮影した結果は図19を参照することができる。ここで、画像の左側に位置する複数本の平行な溶接シームのうちの一部が広すぎるという現象が存在し、このため、隣接する2本の溶接シームの間に干渉現象が存在し、即ち、隣接する2本の溶接シームの溶接領域の一部が重なっていること(図19の左円内における、2本の平行なブラックラインが接着して形成された黒いブロック領域)が存在し、溶接品質が悪い。画像の右側に位置する複数本の平行な溶接シームの分布は比較的に均一であり、隣接する2本の溶接シームの間に明らかな間隔(図19の右円内における、2本の平行なブラックライン間のブライトホワイト領域)があり、溶接品質が良好である。
また、本願のいくつかの実施形態では、レーザーヘッドを用いてバスバーとパッドをレーザー溶接すると同時に、さらに、光電センサーを用いてレーザーヘッドの溶接過程中の光放射信号を検出することを含む。
バスバーとジャンクションボックス内のパッドの溶接過程を検出することで、溶接過程に問題があるか否かをリアルタイムに判断することができる。これによって、溶接に問題が発生した場合、直ちに溶接を中止できるために、視覚検出システムの溶接前の位置検出と組み合わせて、最終的な溶接品質を良好に確保することができる。
光放射信号は、可視光信号、レーザー反射信号及び赤外光信号のうちのいずれか及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
なお、レーザー溶接過程に伴う光放射現象には、可視光、レーザー反射及び赤外光が含まれる。これらの放射された光信号は溶接の状態と溶接過程における欠陥の発生の有無を反映させることができる。可視光は金属蒸気に由来し、レーザー反射はレーザーヘッドから出射されたレーザー信号に由来し、赤外光はレーザー照射によって形成された金属溶融池からの熱放射に由来する。光電センサーは溶接過程に発生した光放射信号を電気信号に変換し、さらに電気信号を検出システムに伝送することができ、検査システムによって当該放射光信号を分析し、バスバーの溶接品質の良し悪しを確認し、欠陥検出と品質モニタリングの目的を達成する。異なる光放射信号は異なる光電センサーで検出されることができる。
可視光の検出結果において、可視光信号が低下するのは、溶接過程において金属蒸気量が減少したことを示し、可視光信号が向上するのは、溶接過程において金属量が増加したことを示す。レーザー反射信号の検出結果において、レーザー反射信号が低下するのは、レーザーパワーが減衰して、レーザーの照射によって形成されるキーホールの深さが減少し、キーホールで反射されるレーザー光が減少することを示し、レーザー反射信号が向上するのは、金属のレーザーエネルギーに対する吸収が減少し、レーザー反射が向上することを示す。赤外光信号の検出結果において、赤外光信号が低下するのは、溶融池に到着するエネルギーが減少し、溶融池の熱放射が減少することを示し、赤外光信号が向上するのは、溶融池に到着するエネルギーが増加し、溶融池の熱放射が増加することを示す。
実際の状況では、各光放射信号に対してしきい値を設定することにより、溶接過程に欠陥が発生するか否かを判断することができる。しきい値は同様にテストで得ることができる。バスバーとジャンクションボックス内のパッドとの溶接品質が要求を満たした時の各光放射信号のパラメーター範囲に基づいて、溶接過程に各光放射信号の制御する必要がある範囲を得る。各光放射信号が対応するしきい値を超えた場合、溶接過程に溶接欠陥が発生する可能性が高いことを示し、各光放射信号の検出結果がしきい値を超えたか否かによって溶接過程の進行を制御することができる。
本願のいくつかの実施形態では、レーザーヘッドを用いてバスバーとパッドをレーザー溶接する場合、レーザーヘッドから出射されたレーザーのパワーは550W(ワット)以上かつ750W以下であり、溶接速度は60mm/s以上かつ100mm/s以下である。
例えば、実際の状況では、レーザーヘッドから出射されたレーザーパワーは、550W、580W、600W、620W、640W、660W、680W、700W、720W又は750Wであってもよく、レーザーヘッドの溶接速度は、60mm/s、70mm/s、80mm/s、90mm/sまたは100mm/sであってもよい。
レーザーヘッドの溶接パワーを制御することで、レーザーヘッドから出射されたレーザー光がバスバー表面に到着する時のエネルギー強度を制御することができ、溶接過程にバスバー表面に到着するレーザー光のエネルギー強度が合理的な範囲内にあるように制御することができる。レーザーのエネルギー強度が低いため期待される溶接深さが得られないことを回避するとともに、レーザーのエネルギーが高いためパッドがメルトスルーしてしまうという問題が発生することを回避する。
同時に、レーザーヘッドの溶接速度を制御することで、最終的に品質要求を満たす溶接完成品を形成する。溶接速度が低すぎてレーザーの溶接領域での滞在時間が長くて溶接シームが広すぎることを回避するとともに、溶接速度が大きすぎて最終的に形成される溶接シームが狭すぎることを回避する。
また、溶接シームの幅は溶接品質をある程度反映することができるため、光起電力モジュールにおけるバスバーとパッドの接続構造部での溶接品質が要求を満たすために、実際の状況では、レーザーヘッドから出射されたレーザー光のバスバー表面での照射領域の幅を制御することで、バスバーとパッドの溶接品質を確保することができる。例えば、いくつかの実施例では、バスバーにおける溶接シームの幅が0.3mm以上かつ0.4mm以下である場合、溶接品質は要求を満たすことができると考えられる。したがって、レーザーヘッドから出射されたレーザー光のバスバー表面における照射領域の幅が0.3mm~0.4mmの範囲内にあることを制御することができる。
本願のいくつかの実施形態では、光起電力積層体のバスバーをジャンクションボックスに導入させることは、バスバーを折り曲げ、折り曲げられた部分をジャンクションボックス内に貫通させることを含む。
折り曲げの角度は90度であってもよく、折り曲げられた部分は光起電力積層体のバックプレートが位置する表面と垂直になり、折り曲げられた部分はジャンクションボックス内に貫通し、ジャンクションボックス内のパッドと平行になり、ジャンクションボックス内のパッドに貼り合わせることができる。
図20に示すように、本願のいくつかの実施形態は、搭載機構20と、押付機構30と、レーザーヘッド40と、視覚検出システムとを備えた光起電力モジュールの製造装置をさらに提供し、搭載機構20が光起電力積層体100を搭載することに用いられ、押付機構30がバスバーを光起電力積層体100上のジャンクションボックス200内におけるパッドに押し付けることに用いられ、レーザーヘッド40がバスバーとパッドをレーザー溶接することに用いられ、視覚検出システムが、バスバーとジャンクションボックス200との相対的な位置に対して溶接前の視覚検出を行うための第1視覚検出器50と、レーザー溶接後の溶接シームに対して溶接後の視覚検出を行うための第2視覚検出器60と、を含む。
ここで、搭載機構20は、光起電力積層体100に対して搭載作用を果たしているだけでなく、光起電力積層体100を輸送する役割も果たしている。押付機構30は、伸縮及び伝動構造を利用して圧子の移動を実現することができる。第1視覚検出器50と第2視覚検出器60は、CCDカメラを利用することができ、かつ、同じコントロールセンターに電気的に接続され、第1視覚検出器50と第2視覚検出器60で撮影された画像は、同じコントロールセンターに送信されることができ、これによって、同じモニタースクリーンで光起電力モジュールの製造過程中にバスバーとジャンクションボックス200の相対的な位置とレーザー溶接後の溶接シームに対して順次に視覚検出を行うことができる。
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。