JP7453002B2 - 銀の回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銀が溶解している硝酸鉄溶液から銀を回収する方法に関する。
スマートフォン、パーソナルコンピュータ、通信機器などの電子機器には、主として、鉄、ニッケル、及びコバルトからなる鉄-ニッケル-コバルト合金の表面に塗布等により銀ロウを被覆させた電子材料が用いられている。この電子材料は、金属とセラミックやガラスとの接合に適しており、圧電振動子などの気密封入用に利用されている。
上記の電子材料は、気密封入等に使用される際の接合面の形状に合わせて打ち抜き加工等により作製されるため、この作製時に多量の加工屑が発生する。この加工屑には有価金属である銀が含まれており、また、基材としての鉄-ニッケル-コバルト合金も高価なニッケル及びコバルトを含んでいるため、これら銀及び鉄-ニッケル-コバルト合金をそれぞれできるだけ高純度に回収することが望ましい。
従来、上記のような鉄系合金基材に銀ロウが被覆された電子材料の加工屑に対して、基材としての鉄系合金のロスをできるだけ抑えながら銀を回収する方法として、シアン化アルカリを用いる方法が知られている。この回収方法は、銀ロウで被覆された鉄系合金基材をシアン化アルカリ水溶液等のシアン系剥離液に浸漬することにより、鉄系合金基材の表面から銀ロウのみを剥離して回収するものである。しかしながら、当該回収方法は、毒物であるシアン化アルカリを使用するため、回収設備には特定の専用作業施設を設けると共に、該回収設備から発生する洗浄液中のシアンをほぼ完全に分解するための排水処理設備が必要になる。このため、回収処理に極めて多くの手間とコストがかかることが問題になっていた。
そこで、上記のシアン化アルカリを使わない回収方法として、特許文献1には硝酸鉄含有溶液を用いる技術が提案されている。この回収方法は、該硝酸鉄溶液に含まれるFe3+を酸化剤として用いることにより、銀ロウに含まれる金属銀及び金属銅を溶解するものである。具体的には、この特許文献1の回収方法は、鉄-ニッケル-コバルト合金等の鉄系合金の基材に銀又は銀系合金を被覆した電子材料の加工屑に対して、硝酸鉄含有溶液を添加することで該銀又は銀系合金を溶解させ、これにより該基板から該銀又は銀系合金を剥離する溶解剥離工程と、該銀又は銀系合金が溶解した硝酸鉄含有溶液に塩酸を添加することで塩化銀沈殿物を生成する塩化銀生成工程と、該溶解剥離工程後の硝酸鉄含有溶液に含まれる2価の鉄イオン(Fe2+)を3価の鉄イオン(Fe3+)に酸化することで該硝酸鉄含有溶液を再生する硝酸鉄再生工程と、該硝酸鉄再生工程で再生した硝酸鉄含有溶液の濃度を、該溶解剥離工程に使用する硝酸鉄含有溶液の濃度に調整する硝酸鉄含有溶液調整工程とを有している。
そして、上記溶解剥離工程では、上記電子材料の加工屑に添加した後の硝酸鉄含有溶液中のFe3+濃度がFe2+濃度の1.5倍当量以上となるように維持し、該溶解剥離工程では上記硝酸鉄再生工程で再生した硝酸鉄含有溶液を使用し、該硝酸鉄含有溶液調整工程では、該溶解剥離工程で溶解した銀合金成分のうち銀を除いたものと当量の硝酸イオンに相当する硝酸を補充することで、該硝酸鉄再生工程で再生した硝酸鉄含有溶液の硝酸イオン濃度を調整している。この回収方法を採用することで、毒物のシアン化アルカリを使用する必要がなくなるうえ、硝酸鉄溶液を複数回繰り返して利用することができるので、安全かつ低コストに銀及び鉄系合金基材を回収することが可能になる。
特開2015-221934号公報
上記特許文献1の回収方法のように、硝酸鉄含有溶液を使用する場合は、被覆材である銀ロウを構成する銀系合金に主として含まれる銅も溶解する。そのため、硝酸鉄含有溶液を繰り返し使用しているうちに硝酸鉄含有溶液中に銅イオンが徐々に蓄積して硝酸鉄含有溶液の粘性が上昇するうえ、硝酸鉄含有溶液中の硝酸イオンの一部がこの銅の溶解に消費される。このように、硝酸鉄含有溶液を繰り返し使用する場合は、該硝酸鉄含有溶液の溶解能力が徐々に低下することが問題になっていた。
特許文献1では、かかる硝酸鉄含有溶液の溶解能力の低下の問題を抑えるため、硝酸水溶液を適宜添加して硝酸鉄含有溶液の硝酸イオン濃度を調整している。しかしながら、硝酸イオン濃度を維持するために硝酸水溶液の添加を行うと、上記回収設備の系内の硝酸鉄含有溶液の合計液量が増加するため、該回収設備を構成する各装置がその処理能力を超えて適切に処理できなくなることがあった。この場合は、例えば該系内の硝酸含有溶液を新たに調製した硝酸鉄含有溶液と入れ替えることになるため、コストの点から好ましくなかった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、銀又は銀系合金で被覆された鉄系合金基材に対して、硝酸鉄含有溶液の消費量を抑制しながら、効率よく銀を回収することが可能な方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る銀の回収方法は、銀及び銅を含む被覆基材を硝酸鉄溶液で浸漬処理することで銀を回収する方法であって、銀イオン及び銅イオンを含んだ該浸漬処理後の硝酸鉄溶液に塩酸を添加して銀イオンを塩化銀として析出させ、該析出した塩化銀を分離回収する銀回収工程と、該塩化銀が分離された後の硝酸鉄溶液に鉄粉を添加して銅イオンを銅メタルとして析出させ、該析出した銅メタルを分離除去する脱銅工程とを有し、前記銀回収工程では前記銀イオン及び銅イオンを含んだ浸漬処理後の硝酸鉄溶液中の該銀イオンの全量を塩化銀として析出させるために必要な当量の塩酸の全量を該浸漬処理後の硝酸鉄溶液の一部に添加し、前記脱銅工程の後工程に、前記銅メタルが除去された後の硝酸鉄溶液に、該浸漬処理後の硝酸鉄溶液の残部を混合することで該残部に含まれる銀イオンを塩化銀として析出させて回収する追加銀回収工程を更に有しており、該追加銀回収工程で該塩化銀が回収された後の硝酸鉄溶液を該浸漬処理に繰り返し利用することを特徴としている。
本発明によれば、銀又は銀系合金で被覆された鉄系合金基材に対して、硝酸鉄含有溶液の消費量を抑制しながら、効率よく銀を回収することが可能になる。
本発明に係る銀の回収方法の第1の実施形態のフローチャートである。 本発明に係る銀の回収方法の第2の実施形態のフローチャートである。
以下、本発明に係る銀の回収方法の第1の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の第1の実施形態の銀の回収方法は、図1に示すように、処理対象となる銀及び銅を含む被覆基材を硝酸鉄溶液に浸漬させて、その基材部は溶解させずにその被覆部だけを溶解させる浸漬処理工程S1と、該浸漬処理により得た銀イオン及び銅イオンを含有する含Ag硝酸鉄溶液に塩酸を添加して銀イオンを塩化銀として析出させた後、該析出した塩化銀を固液分離により回収する銀回収工程S2と、該銀回収工程S2で塩化銀が回収された後の脱Ag硝酸鉄溶液に鉄粉を添加することによって、該鉄粉と銅イオンとのセメンテーション反応により該鉄粉を鉄イオンとして溶解させると共に、銅イオンを銅メタルとして析出させた後、該析出した銅メタルを含む固形分を固液分離により除去する脱銅工程S3とを有している。
より具体的に説明すると、上記本発明の第1の実施形態の銀の回収方法の処理対象となる銀及び銅を含む被覆基材は、例えば鉄-ニッケル-コバルト合金などの鉄系合金金属からなる基材の片面又は両面に銀及び銅を含む合金を被覆した被覆基材を挙げることができる。この被覆基材は、電子材料の製造段階の打ち抜き加工等の際に発生する加工屑やスペックアウト品が主に対象となるが、被覆材に少なくとも銀を含む被覆基材であればこれらに限定されるものではない。
上記被覆基材はそのまま上記浸漬処理工程S1で処理してもよいが、より効率よく浸漬処理を行うため、該浸漬処理前に切断、裁断、破砕などにより単位体積当たりの表面積を増やすのが好ましい。また、被覆基材に油脂等の不純物、夾雑物等が付着したり混在したりしている場合は、洗浄、分級などの前処理を行うのが好ましい。
上記の銀及び銅を含む合金は、例えば銀ロウを挙げることができる。この銀ロウは、JIS Z 3261 1998に規定されているように、銀及び銅を主成分とし、用途に応じて亜鉛、スズ、カドミウム、ニッケル、リチウムなどの元素が更に添加された合金であり、一般的に銅を15~45%含んでいる。次に、上記した本発明の第1の実施形態の銀の回収方法を構成する各工程について説明する。
(1)浸漬処理工程S1
浸漬処理工程S1においては、上記被覆基材を硝酸鉄溶液に浸漬させることで、下記反応式1及び2により被覆層に含まれる銀及び銅を酸化剤としての硝酸鉄により酸化し、それぞれ銀イオン及び銅イオンとして硝酸鉄溶液中に溶解させる。
[反応式1]
Fe(NO)+Ag→Fe(NO)+Ag(NO)
[反応式2]
2Fe(NO)+Cu→2Fe(NO)+Cu(NO)
上記の被覆基材の浸漬処理に使用する硝酸鉄溶液は、硝酸鉄(III)を好ましくは35~40質量%の濃度で含む硝酸鉄水溶液を使用する。また、浸漬処理時の該硝酸鉄溶液の温度は特に限定はないが30~35℃程度であれば反応率を高めることができるので好ましい。上記の浸漬処理後は、上記銀イオン及び銅イオンを含む含Ag硝酸鉄溶液を回収すると共に、溶解により被覆材がほぼ除去された基材を取り出す。この取り出した基材は、必要に応じて水洗等により硝酸鉄溶液を除去した後、基材の原材料として再利用される。一方、回収した硝酸鉄溶液は、次工程の銀回収工程S2で処理される。
(2)銀回収工程S2
銀回収工程S2においては、前工程の浸漬処理工程S1において回収した含Ag硝酸鉄溶液に対して、該溶液に含まれる銀イオンの全量を塩化銀として析出させるために必要な当量の0.9~1.0倍の塩酸を添加する。これにより、下記反応式3に示す銀イオンと塩化物イオンとの反応が生じて塩化銀が析出する。析出した塩化銀は濾過などの固液分離手段により回収され、該塩化銀が分離された後の脱Ag硝酸鉄溶液は、後工程の脱銅工程S3で処理される。
[反応式3]
Ag(NO)+HCl→AgCl↓+HNO
上記の回収した塩化銀は、別途、公知の方法で還元反応等を経ることで金属の銀を生成することができる。上記のように、塩酸の添加量を当量の0.9~1.0倍にする理由は、この塩酸の添加量が当量の1.0倍を超えると、塩酸が王水化して基材を溶かす可能性が高くなるからである。また、過剰な塩酸を含む硝酸鉄液を再利用のために上記浸漬処理工程S1に戻すと瞬時に塩化銀が生成されるので、この生成した塩化銀が基材と共に固形分として分離除去されてしまうからである。
(3)脱銅工程S3
上記の浸漬処理工程S1では、銀と共に銅も硝酸鉄溶液に溶解するため、上記の銀回収工程S2で銀を回収した後の脱Ag硝酸鉄溶液をそのまま繰り返して使用した場合は、銅イオンが系内に蓄積していくことになる。その結果、前述したとおり、銀の溶解能力が低下して銀の回収効率が低下する。そこで、脱銅工程S3においては、鉄粉を添加することで脱Ag硝酸鉄溶液に含まれる銅イオンを除去する。
具体的には、銅イオンが含まれている脱Ag硝酸鉄溶液に所定量の鉄粉を添加することにより、鉄メタルと銅イオンとのセメンテーション反応が生じて該銅イオンが銅メタルとして析出する。すなわち、セメンテーション反応は、水溶液中に存在する酸化還元電位が貴な金属イオンを卑な金属メタルによって還元して析出させる反応であり、上記の場合では、銅は鉄よりもイオン化傾向が低い、すなわち銅は鉄よりも貴な金属であるので、銅イオンを含んだ脱Ag硝酸鉄溶液に鉄粉を添加することで鉄メタルを鉄イオンとして溶出させながら銅イオンを銅メタルとして析出することができる。この析出した銅メタルは、未反応の鉄粉と共に含Cu固形分として濾過などの固液分離手段よって除去することができる。なお、塩化物イオンは、この脱銅工程S3によっては消費されない。
上記の含Cu固形分が除去された処理済硝酸鉄溶液は、上記浸漬処理工程S1の浸漬処理用溶液として繰り返し使用される。上記の鉄粉の添加量は、脱銅工程S3で処理する脱Ag硝酸鉄溶液に含まれる銅イオンを全て銅メタルにするために必要な当量に余裕率をかけた量とし、この余裕率は1.1~1.3程度が好ましい。上記添加する鉄粉は、粒径が約20~200μm程度の鉄粒子を用いるのが好ましく、例えばパウダーテック株式会社製の鉄粉を好適に用いることができる。
ところで、上記の浸漬処理S1によって硝酸鉄溶液に溶解する銅の量は、処理対象となる被覆基材を定量分析したり、上記浸漬処理工程S1や銀回収工程S2によって得られる硝酸鉄溶液中の銅イオン濃度を定量分析したりすることで知ることができる。そして、この硝酸鉄溶液中の銅イオン濃度が前述した硝酸鉄溶液の溶解能力を低下させる濃度よりも低い場合は、浸漬処理工程S1によって得られる含Ag硝酸鉄溶液の全量を、上記の脱銅工程S3で処理する必要はない。
そこで、本発明の銀の回収方法の第2の実施形態においては、浸漬処理工程で得た含Ag硝酸鉄溶液を2つに分け、それらのうちの一方にのみ上記の脱銅工程で処理を行う。具体的には、図2に示すように、本発明の第2の実施形態の銀の回収方法は、上記の本発明の第1の実施形態の銀の回収方法と同様にして浸漬処理工程S11において被覆基材を浸漬処理した後、得られた含Ag硝酸鉄溶液を例えば上記の被覆基材の定量分析結果に基づいて2つに分ける。
そして、この2つに分けた内の一方に対して、浸漬処理工程S11で得られた該2つに分ける前の含Ag硝酸鉄溶液中の銀イオンの全量を塩化銀として析出させるために必要な当量の塩酸を添加し、該一方の含Ag硝酸鉄溶液中の銀イオンを過剰の塩酸と反応させて塩化銀を析出させた後、該析出した塩化銀を固液分離により回収する銀回収工程S12と、該銀回収工程S12で塩化銀が回収された後の余剰の塩化物イオンを有する含Cl脱Ag硝酸鉄溶液に鉄粉を添加することによって、該鉄粉と銅イオンとのセメンテーション反応により該鉄粉を鉄イオンに溶解させると共に、銅イオンを銅メタルとして析出させた後、該析出した銅メタルを含む固形分を固液分離により除去する脱銅工程S13と、該固形分が除去された含Cl脱Cu2+硝酸鉄溶液に、上記の2つに分けた含Ag硝酸鉄溶液のもう一方を混合することで該もう一方の含Ag硝酸鉄溶液に含まれる銀イオンを塩化銀として析出させた後、該析出した塩化銀を固液分離により回収する追加銀回収工程S14とを有している。
上記の追加銀回収工程S14で得られる処理済硝酸鉄溶液は、上記浸漬処理工程S11の浸漬処理用溶液として繰り返し使用される。このように、本発明の第2の実施形態の銀の回収方法では、銀回収工程S12で得られる硝酸鉄溶液中には、余剰の塩化物イオンが存在するので、鉄粉の溶解を促進することができ、よって、より効率的に銅メタルを析出させることができる。また、脱銅工程S13では塩化物イオンが消費されることはないから、該脱銅工程S13で得た含Cl脱Cu2+硝酸鉄溶液を該脱銅工程S13を経ていないもう一方の含Ag硝酸鉄溶液と混合することにより、該もう一方の含Ag硝酸鉄溶液に含まれる銀イオンを塩化銀として析出させることができる。すなわち、本発明の第2の実施形態の銀の回収方法は、被覆基材の浸漬処理に用いた硝酸鉄溶液のうちの一部に対してその当量分の鉄粉を添加するので、鉄粉の消費量を抑制することができるうえ、脱銅設備の規模を小さく抑えることができる。
以上説明したように、本発明に係る銀の回収方法の実施形態により、硝酸鉄溶液から容易に銅を除去すると共に銀を回収することができるので、該硝酸鉄溶液を繰り返し使用しているうちに該硝酸鉄溶液中に銅イオンの濃度が増加して溶解能力が低下する問題を抑制することができる。これにより、硝酸イオン濃度の調整のために多量の硝酸を補充する必要がなくなる。次に、本発明の銀の回収方法について実施例を挙げて説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例]
銀イオン及び銅イオンを含む硝酸鉄水溶液に対して図2の銀回収工程S12、脱銅工程S13、及び追加銀回収工程S14のフローに沿って処理して銀イオンを塩化銀として回収した。具体的には、銅イオン濃度が42.0g/L、鉄イオン濃度が58.0g/L、銀イオン濃度が12.0g/Lとなるように調製した硝酸鉄水溶液1000Lを100Lと900Lの2つに分け、前者の100Lの硝酸鉄溶液を撹拌機付きの反応槽へ入れた。この反応槽に更に35%塩酸10Lを添加して、撹拌により混合した。その結果、硝酸鉄溶液中に1回目の析出物の沈降が生じたので、該反応槽内の内容物を全て濾過器に導入して1回目の濾過を行ない、該1回目濾過の固形分を回収した。
次に、この1回目濾過により得た濾液を撹拌機付きの反応槽に入れ、更にこの反応槽にパウダーテック株式会社製の鉄粉(汎用タイプDE-50、25kg/袋)を2.8kg添加して攪拌により混合した。その結果、硝酸鉄溶液中に析出物が生じたので、該反応槽内の内容物を全て濾過機に導入して2回目の濾過を行ない、該2回目濾過の固形分を回収した。この2回目濾過により得た濾液を撹拌機付き反応槽に入れ、更にこの反応槽に前述した2つに分けた後者の900Lの硝酸鉄溶液を入れて攪拌により混合した。その結果、硝酸溶液中に3回目の析出物が生じたので、該反応槽内の内容物を全て濾過機に導入して3回目の濾過を行ない、該3回目濾過の固形分を回収した。
[比較例]
上記1回目の濾過前の100Lの硝酸鉄溶液に塩酸を添加することに代えて、上記2回目の濾過により得た濾液に900Lの硝酸鉄溶液を混合した混合液に塩酸を添加したこと以外は、上記実施例と同様にして硝酸鉄水溶液から銀を回収した。この場合、1回目の濾過前の硝酸鉄水溶液には塩酸を添加しなかったため、該1回目の濾過では固形分は全く回収されなかった。
[評価]
上記の実施例及び比較例でそれぞれ回収した固形分を乾燥した後、それら乾燥物の質量の測定、及び誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置による組成分析を行った。また、脱銅工程S13における脱銅率を算出すると共に、銀回収工程S12及び追加銀回収工程S14の合計の銀回収率を算出した。その結果を下記表1に示す。
Figure 0007453002000001
上記表1の結果より、実施例の銀の回収方法は、硝酸鉄溶液中に含まれる銀イオンの大部分を塩化銀として回収することができるうえ、一部の銅イオンを容易に除去できることが分かった。一方、比較例の銀の回収方法は、銀イオンについては実施例とほぼ同程度に回収できるものの、脱銅処理の前に塩酸による銀の回収を行わないことにより、銅イオンをセメンテーション反応でほとんど除去できないことが分かった。
なお、本実施例で調製した硝酸鉄水溶液は、銀ロウで被覆された鉄-ニッケル-コバルト合金の基材の加工屑に対して、バッチ処理により工業的規模で銀の回収を行う場合に得られる含Ag硝酸鉄水溶液の1バッチ分にほぼ相当している。この工業的規模での加工屑からの銀の回収では、上記1バッチあたり銅イオンの濃度が約2g/L増加することが確認されている。これに対して、上記実施例の銀の回収方法では脱銅工程S13において硝酸鉄溶液中の銅の濃度が約2g/L減少することができる。
すなわち、上記の工業的規模での加工屑からの硝酸鉄水溶液による銀の回収処理のバッチ毎に該銀の回収時に得られる含Ag硝酸鉄水溶液の1/10の量に対して脱銅処理を行うだけで、該硝酸鉄水溶液に銀と共に溶解する銅のほとんどを除去することができる。よって、該硝酸鉄水溶液を繰り返し使用しても、その溶解能力が低下する問題を抑えることができる。このように、加工屑等から硝酸鉄溶液を用いて銀を回収したときの条件に応じて、該硝酸鉄水溶液の一部に対して脱銅処理するだけで該硝酸鉄水溶液を使い続けることができるので、コストを抑えた銀の回収が可能になる。
S1、S11 浸漬処理工程
S2、S12 銀回収工程
S3、S13 脱銅工程
S14 追加銀回収工程

Claims (2)

  1. 銀及び銅を含む被覆基材を硝酸鉄溶液で浸漬処理することで銀を回収する方法であって、銀イオン及び銅イオンを含んだ該浸漬処理後の硝酸鉄溶液に塩酸を添加して銀イオンを塩化銀として析出させ、該析出した塩化銀を分離回収する銀回収工程と、該塩化銀が分離された後の硝酸鉄溶液に鉄粉を添加して銅イオンを銅メタルとして析出させ、該析出した銅メタルを分離除去する脱銅工程とを有し、
    前記銀回収工程では前記銀イオン及び銅イオンを含んだ浸漬処理後の硝酸鉄溶液中の該銀イオンの全量を塩化銀として析出させるために必要な当量の塩酸の全量を該浸漬処理後の硝酸鉄溶液の一部に添加し、前記脱銅工程の後工程に、前記銅メタルが除去された後の硝酸鉄溶液に、該浸漬処理後の硝酸鉄溶液の残部を混合することで該残部に含まれる銀イオンを塩化銀として析出させて回収する追加銀回収工程を更に有しており、該追加銀回収工程で該塩化銀が回収された後の硝酸鉄溶液を該浸漬処理に繰り返し利用することを特徴とする銀の回収方法。
  2. 前記銀及び銅を含む被覆基材が、鉄系合金基材の表面に銀及び銅を含む合金が被覆されたものであることを特徴とする、請求項に記載の銀の回収方法。
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