JP7450037B2 - 脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者を治療するための組み合わせ医薬品 - Google Patents

脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者を治療するための組み合わせ医薬品 Download PDF

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Description

本発明は、末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者を治療するための、ともに低用量のウベニメクス及びアファチニブを有効成分として含む組み合わせ医薬品に関する。
末期(ステージIII~IV)の非小細胞肺がんの患者の脳転移率は約30%であり極めて高い(非特許文献1)。しかし、脳に転移したがんを外科手術で摘出できない場合には、ガンマナイフ(定位放射線治療用の放射線照射装置)治療やがん分子標的薬が使用されるが、満足できる治療法は見いだされていない。
アファチニブは、EGFR(上皮成長因子受容体)の遺伝子に変異のある非小細胞肺がんに効くがん分子標的薬であるが、その通常用量(40mg/日)では全身の皮疹や下痢等の副作用を伴い易いうえに脳転移を抑える効果も不十分である(非特許文献2)。
ウベニメクスは、プロテアーゼ阻害剤であり、がん患者の免疫能を高める作用を有している。30mg/日の用量での、「成人急性非リンパ性白血病に対する完全寛解導入後の維持・強化化学療法剤との併用による生存期間の延長」の適応に関して日本国で承認されている(非特許文献3)が、扁平上皮肺がんの術後補助化学療法への適応拡大等は成功に至っていない(非特許文献4)。
また、ウベニメクスの用量を30mg~60mg/日から10mg/日に変更し、低用量の抗がん剤やがん分子標的薬等と併用することにより、大腸がん、乳がん、肺がん、胆嚢胆管がん、腎臓がんなどの治療に有用であることが示されている(特許文献1)。
さらにまた、がん分子標的薬(EGFR阻害剤)のオシメルチニブの脳転移を有する非小細胞肺がんの患者に対する効果が報告されているが十分な効果とは言えないし(非特許文献5)、また、脳転移を有する非小細胞肺がんの患者の脳転移がんの治療にガンマナイフによる治療が有用である旨の報告(非特許文献6)があるが十分な治療効果ではない。
日本国特許第6023902号公報
S.Owen他、Front.Oncol.4巻、248頁(2014年) ジオトリフ添付文書(2020年3月改訂版)、日本 ベスタチン添付文書(2014年8月改定版16)、日本 Ichinose他,J.Natl.Cancer Inst.95巻,605頁(2003年) J.-C.Soria他,NEJM2017年11月18日 D-S.Kong他,J.Korean Med.Sci.21巻,527頁(2006年)
特許文献1は、高齢がん患者や末期がん患者に対する、上記の目的を達成するための、低用量のウベニメクス、或いは、低用量のウベニメクスと抗腫瘍剤又はがん分子標的薬との併用について開示しているが、低用量のウベニメクスと、低用量のアファチニブとを組み合わせて末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者の治療に有効に使用できることに関しては言及していない。
そこで本発明は、末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者に対し高い病勢コントロール率(DCR)及び平均奏効率(ORR)を達成し得る新たな治療手段を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来、成人急性非リンパ性白血病の寛解導入後の維持強化療法剤との併用による生存期間の延長の適応で臨床応用されているウベニメクスと、分子標的薬であるアファチニブをともに通常用量より遥かに低い用量で組み合わせて患者に投与することによって、末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者の治療効果が通常用量のアファチニブと同等以上であり、かつ、副作用が顕著に抑制されることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいている。
すなわち、本発明は、以下の特徴を有する。
[1]末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者を治療するための組み合わせ医薬品であって、有効成分として、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量のウベニメクス及び1投与単位あたり約20mg/日の用量のアファチニブを含む、組み合わせ医薬品。
[2]上記非小細胞肺がんが、上皮成長因子受容体(EGFR)にDel19型もしくはL858R型の遺伝子変異を有する、上記 [1]に記載の組み合わせ医薬品。
[3]上記用量のウベニメクス及び上記用量のアファチニブを含むキット製剤又は配合製剤である、上記[1]又は[2]に記載の組み合わせ医薬品。
[4]カプセル剤、錠剤又は顆粒剤などの経口投与形態である、上記[3]に記載の組み合わせ医薬品。
[5]末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者を治療するための上記[1]~[4]のいずれかに記載の組み合わせ医薬品の製造における、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量のウベニメクス及び1投与単位あたり約20mg/日の用量のアファチニブの使用。
[6]末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者に上記[1]~[4]のいずれかに記載の組み合わせ医薬品を1日あたり1回投与することを含む、上記患者において末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者を治療するための方法。
この図は、臨床試験に協力した、脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者の背景(すなわち、性別、年齢、喫煙歴、初発もしくは再発、TNM分類(初発)、脳転移、EGFR遺伝子検査結果)を示す。 この図は、脳転移を有していない末期非小細胞肺がん患者の背景(すなわち、性別、年齢、喫煙歴、初発もしくは再発、TNM分類(初発)、脳転移、EGFR遺伝子検査結果)を示す。 この図は、アファチニブ(40mg/日)投与の第III相臨床試験(P-III)を受けた229人の非小細胞肺がん患者(全グレード、グレード3以上)、並びに、ウベニメクス(10mg/日)及びアファチニブ(20mg/日)投与の第II相臨床試験(P-II)を受けた26人の非小細胞肺がん患者(全グレード、グレード3以上;図1A及び図1B参照)について発現率5%以上の副作用を比較した結果を示す。
本発明は、末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者を治療するための組み合わせ医薬品であって、有効成分として、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量のウベニメクス及び1投与単位あたり約20mg/日の用量のアファチニブを含む、組み合わせ医薬品に関する。本明細書中、有効成分であるウベニメクス及びアファチニブの上記の用量に関する用語「約」はいずれも「±2mg」の変動幅を有してもよいことを意味する。
<ウベニメクス>
本明細書中で使用する「ウベニメクス」(Ubenimex)は、(2S)-2-[(2S,3R)-3-アミノ-2-ヒドロキシ-4-フェニルブタノイルアミノ]-4-メチルペンタン酸(CAS登録番号58970-76-6)の一般名であり、場合によりアミノ基及び/又はカルボキシル基が医薬的に許容され得る塩を形成してもよい。
ウベニメクスが塩を形成する場合、そのアミノ基との塩は、例えば酢酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、塩酸などの有機酸もしくは無機酸との塩であり、一方、そのカルボキシル基との塩は、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(すなわち、カルボキシル基とアンモニアもしくはアミン類との塩)などの塩である。
ウベニメクスは従来公知の一般的な手法に基づいて製造されたものであってよく、例えば微生物(例えば、Streptomyces olivoreticuli)の培養発酵産物として産生されたものを利用することができる(H. Umezawa et al.,Journal of Antibiotics 1976;29(1):97-99)。あるいは「ベスタチン(登録商標)」(日本化薬(株))等の市販品を利用することができる。好ましいウベニメクスは、塩を形成しないフリー体である。
ウベニメクスは、アミノペプチダーゼ阻害剤であり、免疫担当細胞(マクロファージ、T細胞、骨髄細胞など)の表面に存在するアミノペプチダーゼと結合して免疫系のネットワークに連鎖的に作用すると考えられている(F.Abe et al.,Biotherapy 1990;4(11):1708-1718)。また、このような生物学的作用によりキラーT細胞の産生を誘導して患者の免疫機能を高めることによって抗腫瘍作用を発揮すると推定されている。
また、ウベニメクスの通常用量に関して、非特許文献3から、成人急性非リンパ性白血病に対する完全寛解導入後の維持・強化化学療法剤との併用の際のウベニメクスの投与量は、1日30mgを1日1回経口投与することが記載されている。ウベニメクスは比較的副作用が小さいことが知られているが、発疹・発赤、かゆみ、吐き気・嘔吐、食欲不振などの副作用が知られている。
これに対し、本発明の組み合わせ医薬品中のウベニメクスの含有量は、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量に相当する量であり、この用量ではウベニメクスの副作用はほとんど認められないことが確認されている(図2)。
<アファチニブ>
本明細書中で使用する「アファチニブ」(Afatinib)は、チロシンキナーゼ阻害剤であり、特定のEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんを治療するための第二世代の抗悪性腫瘍剤として知られている。
アファチニブは、化合物名N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[[(3S)-テトラヒドロ-3-フラニル]オキシ]-6-キナゾリニル]-4(ジメチルアミノ)-2-ブテナミドであり、CAS登録番号が850140-72-6であり、必要に応じて酢酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、塩酸などの有機酸もしくは無機酸との医薬的に許容されうる塩であってもよいし、塩形態でなくてもよい。好ましいアファチニブは、二マレイン酸塩である。
アファチニブの合成法は、例えばWO2007085638A1、WO2014183560A1などに記載されている。
アファチニブは、EGFR/HER1/erbB1、HER2/erbB2、HER4/erbB4に対してATPの結合を競合阻害することによって抗腫瘍作用することが知られている。
アファチニブは、商品名「ジオトリフ(Giotrif)」(二マレイン酸塩;ベーリンガーインゲルハイム(株))として20mg錠、30mg錠、40mg錠、50mg錠が市販されており、通常用量は、1日1回40mgである(非特許文献2)。しかし、アファチニブについては、重度の下痢、重度の皮膚障害の他、間質性肺炎、肝不全などの副作用が知られている。
これに対し、本発明の組み合わせ医薬品中のアファチニブの含有量は、成人に対し1投与単位あたり約20mg/日の用量に相当する量であり、この用量ではアファチニブの下痢や発疹等の副作用はほとんど認められないことが確認されている(図2)。
<末期非小細胞肺がん患者>
本明細書中の「末期非小細胞肺がん患者」とは、末期非小細胞肺がんを有する患者であって、本発明の組み合わせ医薬品で治療する前に脳転移のない患者を意味する。
一方、脳転移のある患者は、本明細書中では「脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者」と称する。
また、本明細書中[末期]とは、がんの病期がステージIII~IV、好ましくはステージIVであり、医師より手術が不可能と判断された症状を意味する。
図1A及び1Bに示されるように、悪性腫瘍の進行度の指標としてTNM分類が使用される(UICC・TNM分類、第8版)。Tは原発腫瘍の大きさを、Nはリンパ節転移を、Mは遠隔転移をそれぞれ表す。また、M0は遠隔転移なし(例えば、ステージIVb以下)を、M1は遠隔転移あり(例えば、ステージIVc)をそれぞれ表す。
たとえ非小細胞肺がん患者が末期の状態であったとしても、脳への転移が認められない患者(図1B)と、脳への転移が認められる患者(図1A)があり、通常、脳転移率は約30%と高い(非特許文献1)。脳に転移したがんは、満足できる治療法がないのが現状である。例えば図1Aに示した患者では、本発明による治療前、いずれもガンマナイフ(定位放射線照射装置)治療が施行されたが治療効果は得られていなかった。
<組み合わせ医薬品>
本発明の組み合わせ医薬品は、有効成分として、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量のウベニメクス及び1投与単位あたり約20mg/日の用量のアファチニブを含む。
ウベニメクスによる成人急性非リンパ性白血病患者の治療では、通常、成人に対し1日あたり30mg(例えば10mg×3)の用量のウベニメクス(すなわち、ベスタチン(登録商標))が投与されており、また、アファチニブによる非小細胞肺がん患者の治療では、通常、成人に対し1日あたり40mg又は50mgの用量のアファチニブ(すなわち、ジオトリフ(登録商標))が投与されている。
これに対し、上記のとおり、本発明の組み合わせ医薬品では、ウベニメクスの用量は通常用量の約三分の一であり、かつ、アファチニブの用量は通常用量の約二分の一である。本発明の組み合わせ医薬品は、このように低用量でありながら、脳転移を有する、又は脳転移を有していない、末期非小細胞肺がん患者(26人、図1A及び1B)の末期非小細胞肺がん及び脳転移がんに対する治療効果は、病勢コントロール率(DCR)100%(26例/26例)で既存治療の効果と同等以上であり、並びに、平均奏効率(ORR)65%以上(17例/26例)で既存治療の効果と同等以上であり、優れた薬効を提供することができる。これに関連して、後述の実施例では、脳転移を有していない末期非小細胞肺がん患者の治療期間では、脳への転移は確認できなかったことから脳転移が抑制されたと推定されるし、また、脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者の治療期間では、脳腫瘍サイズの増大は確認されなかった。
これに加えて、図2に示すように、末期(ステージIII~IV)の非小細胞肺がんの患者に対するアファチニブ(40mg/日)の治療においては下痢や発疹などの副作用が出易いのに対し、本発明では、脳転移例(38.5%)を含む末期(ステージIII~IV)の非小細胞肺がん患者に対するアファチニブ(約20mg/日)とウベニメクス(約10mg/日)の併用治療においては下痢や発疹などの副作用は殆んどみられない
非小細胞肺がんの上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異に関して、臨床試験に協力した患者における遺伝子検査結果(図1A及び1B)において、EGFRにDel19型もしくはL858R型の遺伝子変異を有することから、本発明の組み合わせ医薬品は、少なくとも上記遺伝子変異を有する(脳転移のある、又は脳転移のない)末期非小細胞肺がん患者の治療に有効である。
本発明の組み合わせ医薬品の形態は、上記用量のウベニメクスと上記用量のアファチニブを含む限り限定されないが、例えばキット製剤又は配合製剤である。
キット製剤は、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量のウベニメクスを含む医薬組成物、並びに、1投与単位あたり約20mg/日の用量のアファチニブを含む医薬組成物の各々の複数単位(例えば10~30単位)を単一パッケージに包装した医薬品である。
配合製剤は、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量のウベニメクスと、1投与単位あたり約20mg/日の用量のアファチニブとを含む医薬組成物(すなわち、ウベニメクス:アファチニブの重量比、約1:2)である。
上記の医薬組成物は、有効成分であるウベニメクス又はその医薬的に許容されうる塩、並びに/或いは有効成分であるアファチニブ又はその医薬的に許容されうる塩、と共に、医薬の製造において通常用いられている、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を含んでも良く、経口投与又は非経口投与(例えば、静脈内投与、動脈内投与、注射による局所投与、腹腔または胸腔内投与、経肺投与、皮下投与、筋肉内投与、舌下投与、経皮吸収または直腸内投与等)、好ましくは経口投与、に適した剤型とすることができる。例えば、本発明における上記医薬組成物は、溶液剤、乳剤、リポソーム製剤、注射剤、懸濁剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤等、好ましくはカプセル剤、錠剤又は顆粒剤(経口投与形態が好ましい。)、とすることができるがこれらに限定されない。これらはそれぞれ当分野において慣用される方法に従い、調合、成形もしくは調製することができる。
本発明の組み合わせ医薬品の効果は、当該医薬品を投与していない又は投与前の患者と比べて当該医薬品を投与した患者において、以下の(i)~(iv)の一又は複数を指標にして評価することができる。
(i)非小細胞肺がん及び、場合により、脳転移癌が縮小又は消滅している、あるいは増大しないこと。
(ii)生存期間の延長(延命効果)が認められること。
(iii)有効成分による副作用がほとんどないか、又は全く認められないこと。
(iv)脳への転移が認められない、又は転移が抑制されること。
本発明のパッケージ製剤に含まれる各医薬組成物を患者に併用投与するときには、ウベニメクスを含む医薬組成物とアファチニブを含む医薬組成物を、各有効成分が同時に作用し得る範囲において連続的に、又は間隔をあけて投与することができる。また、この場合の各医薬組成物の投与形態、投与経路及び投与手段は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の組み合わせ医薬品の患者への投与に際しては、必要であれば患者の年齢、体重、疾患の重篤度、副作用などの要因によって、上記有効成分の1日あたりの上記用量を厳守する限りにおいて1日あたりの投与回数を例えば1~3回、或いは、投与間隔を毎日又は2~10日毎とすることができる。このような場合には、投与回数、投与間隔、投与日数等の投与条件に関して、医師の判断により変更可能である。
ここで、副作用については、図2に例示したような下痢、発疹、口内炎、爪の異常、皮膚乾燥、食欲減退など含む。
<組み合わせ医薬品の製造>
本発明はさらに、末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者を治療するための上記の組み合わせ医薬品の製造における、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量のウベニメクス及び1投与単位あたり約20mg/日の用量のアファチニブの使用に関する。
上記医薬品の製造に関しては、ウベニメクスやアファチニブの各有効成分の所定量を医薬的に許容されうる上記賦形剤及び添加剤とともに配合して所定の剤型に調製することができる。医薬品の製剤化については、例えばRemington:The Science And Practice Of Pharmacy23rd Edition(2012)(Academic Press、米国)の開示を参照することができる。
<治療方法>
本発明はさらに、(脳転移を有していない)末期非小細胞肺がん患者又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者に上記の組み合わせ医薬品を1日あたり1回投与することを含む、前記患者において末期非小細胞肺がん又は脳転移を有する末期非小細胞肺がんを治療するための方法に関する。
上記方法において、本発明の組み合わせ医薬品、その用法、用量等の投与条件などは上記したとおりである。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[実施例1] 共に低用量のウベニメクス及びアファチニブの併用投与による非小細胞肺がん患者の治療
上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異のある非小細胞肺がん患者に、1投与単位あたり10mg/日のウベニメクス(フリー体)と1投与単位あたり20mg/日のアファチニブ(ジオトリフ(登録商標);二マレイン酸塩)を1日1回、抗腫瘍効果が認められなくなるまでの間併用投与し、治療効果、及び副作用の低減を調べた。
<被験者の背景>
上記臨床試験(第II相)に協力した被験者(26人)の背景は以下のとおりである(図1A及び1B)。
(1)ガンマナイフ(定位放射線照射装置)による治療が効かなかった脳転移を有する非小細胞肺がん患者:10人
(2)脳転移のない非小細胞肺がん患者:16人
(3)性別:女性21人、男性5人
(4)年齢:53~82歳(平均71.7歳)
(5)喫煙歴:有り0人、過去有り10人、無し16人
(6)発症時期:初発18人、再発8人
(7)脳転移:有り10人(図1A)、無し16人(図1B)(脳転移率38.5%)
(8)遺伝子の変異型:Del19型13人、L858R型13人
<評価方法>
1.病勢コントロール率(DCR)
DCRは、がん患者の病態コントロールに係る指標であり、がんの縮小効果だけでなく、がんの大きさの不変も含む。
具体的には、RECIST評価(Journal of the National Cancer Institute, 2000, Vol 92, No. 3, 205-216)におけるCR(complete response:完全奏効)+PR(partial response:部分奏効)+SD(stable disease:安定)の比率である。CR、PR、SD及びPDは次のような基準に基づいて評価する。
完全奏効(CR):がんの消失が4週間続いた状態
部分奏効(PR):がんの大きさが30%以上縮小し、それが4週間続いた状態
安定(SD):PRとPDの間の状態
進行(PD):がんの大きさが20%以上増加
2.平均奏効率(ORR)
奏効率(ORR)は、腫瘍縮小効果があった割合である。具体的には、RECIST評価における、CT(コンピュータ断層撮影)検査で病巣が完全に消失した完全奏効(CR)と、腫瘍径にして70%に縮小した部分奏効(PR)の合計で効果を判定する。末期非小細胞肺がんの他の臓器への転移の有無、他の臓器へ転移したがんの大きさ、脳への転移の有無、脳転移がんの大きさの変化についても判定した。
3.副作用
図2に示した副作用(下痢、発疹、口内炎、爪の異常など)の各項目について発現率5%以上の副作用の症例数を決定する。
<結果>
本発明の組み合わせ医薬品の投与による効能は、(脳転移を有していない)末期非小細胞肺がん患者と脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者に対する総合的な評価として示す。
病勢コントロール率(DCR)は、100%(26例/26例)であった。
平均奏効率(ORR)は、65%以上(17例/26例)であった。ここで、図1Bに示した、脳転移を有していなかった末期非小細胞肺がん患者について、脳への転移は確認されなかった。また、図1Aに示した、脳転移を有していた末期非小細胞肺がん患者について、少なくとも腫瘍サイズの増大はなかった。
副作用について、脳転移例(38.5%)を含む末期(ステージIII~IV)の非小細胞肺がん患者に対するアファチニブ(20mg/日)とウベニメクス(10mg/日)の併用治療においては下痢や発疹などの副作用は殆んどみられなかった(図2)
本発明の低用量の組み合わせ医薬品の投与による、末期非小細胞肺がん患者、並びに脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者に対する治療は、優れた効能及び顕著な副作用低減を可能とすることから、産業上有用である。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (5)

  1. 末期非小細胞肺がん患者における脳転移を抑制するための、又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者における脳腫瘍サイズを増大させないための組み合わせ医薬品であって、有効成分として、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量のウベニメクス及び1投与単位あたり約20mg/日の用量のアファチニブを含む、組み合わせ医薬品。
  2. 前記非小細胞肺がんが、上皮成長因子受容体(EGFR)にDel19型もしくはL858R型の遺伝子変異を有する、請求項1に記載の組み合わせ医薬品。
  3. 前記用量のウベニメクス及び前記用量のアファチニブを含むキット製剤又は配合製剤である、請求項1又は2に記載の組み合わせ医薬品。
  4. カプセル剤、錠剤又は顆粒剤などの経口投与形態である、請求項3に記載の組み合わせ医薬品。
  5. 末期非小細胞肺がん患者における脳転移を抑制するための、又は脳転移を有する末期非小細胞肺がん患者における脳腫瘍サイズを増大させないための請求項1~4のいずれか1項に記載の組み合わせ医薬品の製造における、成人に対し1投与単位あたり約10mg/日の用量のウベニメクス及び1投与単位あたり約20mg/日の用量のアファチニブの使用。
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