以下、本発明を画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ(以下、プリンタという)1に適用した実施形態について説明する。まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置であるプリンタ1の概略構成を示す模式図である。
プリンタ1は、筐体内の上部に、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つの現像剤収容容器としてのトナー容器32(Y,M,C,K)を着脱自在(交換自在)に設置できる。それらトナー容器32(Y,M,C,K)の下方に中間転写ユニット85を備えている。
中間転写ユニット85の中間転写ベルト48に下方から対向するように並設された、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)を備えている。トナー容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれ、トナー補給装置60(Y,M,C,K)を備えている。トナー容器32(Y,M,C,K)に収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、作像部46(Y,M,C,K)の現像手段としての現像装置50(Y,M,C,K)内に供給(補給)される。
各色に対応した四つのトナー容器32(Y,M,C,K)、作像部46(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)は、使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成である。以下の説明及び図面では、使用するトナーの色を示す「Y」、「M」、「C」、「K」という添字は適宜省略して説明する。
図2は、四つの作像部46のうちの一つ46Yの概略構成を示す模式図である。作像部46は、潜像担持体としての感光体41と、感光体41の周囲に配設された帯電部44、現像装置50、クリーニング部42、除電部等とを備える。そして、感光体41上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)を行って、感光体41上に各色の画像を形成する。
感光体41は、駆動モータによって図2中の時計方向に回転駆動する。帯電部44は、感光体41の表面を一様に帯電する(帯電工程)。その後、感光体41の表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達する。露光装置47は、この位置で露光走査により各色に対応した静電潜像を形成する(露光工程)。その後、感光体41の表面は、現像装置50との対向位置に達する。現像装置50はこの位置で静電潜像を現像し、各色のトナー像を形成する(現像工程)。その後、感光体41の表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写ローラ49と対向する一次転写部で、感光体41上のトナー像を中間転写ベルト48上に転写する(一次転写工程)。各色の感光体41上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト48上に重ねて転写することで、中間転写ベルト48上にカラー画像を形成する。
一次転写部を通過した感光体41の表面上には、僅かながら未転写トナーが残存する。その後、感光体41の表面は、クリーニング部42との対向位置に達する。この位置で、クリーニングブレード42aが感光体41上に残存した未転写トナーを機械的に回収する(クリーニング工程)。最後に、感光体41の表面は、除電部との対向位置に達する。ここで除電部が感光体41上の残留電位を除去する。
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト48、四つの一次転写ローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、中間転写クリーニング部等を備える。中間転写ベルト48は、複数の張架ローラによって張架、支持され、ローラ部材のうちの二次転写バックアップローラ82の回転駆動により図1中の反時計周り方向に無端移動する。四つの一次転写ローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。
そして、一次転写ローラ49(Y,M,C,K)には、トナーの極性とは逆の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト48は、矢印方向に走行して、それぞれの一次転写ローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像を、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写する。
各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89と対向する二次転写部に達する。二次転写部では、二次転写バックアップローラ82と二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成する。中間転写ベルト48上に形成された四色のトナー像は、この二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。その後、中間転写ベルト48は、中間転写クリーニング部の位置に達し、中間転写ベルト48上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
二次転写ニップの位置に搬送される記録媒体Pは、装置本体の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ26a、27aやレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙部26、27には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ26a、27aが図1中の反時計方向に回転駆動され、一番上の記録媒体Pをレジストローラ対28のローラ間に向けて給送する。回転駆動を停止したレジストローラ対28がレジストローラ対28に搬送されてきた記録媒体Pをローラニップで一旦停止させる。そして、レジストローラ対28は中間転写ベルト48上のカラー画像にタイミングを合わせて回転駆動され、記録媒体Pを二次転写ニップに向けて搬送する。こうして、記録媒体Pは、所望のカラー画像が転写される。
二次転写ニップでカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置86に搬送する。定着装置86は、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とで、表面に転写されたカラー画像を記録媒体P上に定着する。その後、定着装置86は排紙ローラ対29のローラ間に記録媒体Pを送り込む。排紙ローラ対29は記録媒体Pを装置外に排出しスタック部30上に順次スタックする。こうして、プリンタ1は一連の画像形成プロセスを完了する。
次に、作像部における現像装置50の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置50は、図2に示すように、ドラム状の感光体41に対向する現像ローラ51、現像ローラ51に対向するドクターブレード52、第一現像剤収容部53及び第二現像剤収容部54内に配設された二つの搬送スクリュー55を備える。さらに、第一現像剤収容部53の現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ56を備える。現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等を備える。現像剤収容部(53,54)は、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gを収容する。第二現像剤収容部54は、その上方に形成されたトナー補給口57を備えている。
現像ローラ51のスリーブは、図2の矢印方向(反時計周り方向)に回転駆動する。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。現像装置50内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整されている。トナー補給装置60は、現像装置50内のトナー消費に応じ、トナー容器32に収容されているトナーを、トナー補給口57を介して第二現像剤収容部54内に補給する。トナー補給装置の構成、動作については、後で詳しく説明する。
第二現像剤収容部54内に補給されたトナーは、二つの搬送スクリュー55によって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、二つの現像剤収容部(53,54)を循環する。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。現像ローラ51上に担持された現像剤Gはドクターブレード52の位置に達する。
そして、現像ローラ51上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体41との対向位置(現像領域)まで搬送される。感光体41上に形成された潜像は現像領域に形成された電界によってトナーを吸着する。その後、現像ローラ51上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない第一現像剤収容部53の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱する。
図3は、Y用のものを例にして、トナー補給装置60と、これにセットされたトナー容器32とを示す模式図である。トナー補給装置60は、搬送路形成部材たる搬送ノズル611、搬送スクリュー614、トナー落下搬送管64、貯留部であるサブホッパ63、トナー供給機構としてのボトル側駆動機構部91、サブホッパ側駆動機構部92、補給管61、補給スクリュー62等を有している。
トナー容器32がトナー補給装置60のセットカバー608に対して図中矢印A方向へ差し込まれて装着されると、その装着動作に連動してトナー容器32の先端側に対してトナー補給装置60の搬送ノズル611が挿入され、トナー容器32内と搬送ノズル611内とが連通する。
トナー容器32は、円筒状の形状であり、セットカバー608に差し込まれる容器先端カバー34や、容器回転ギヤ301が一体形成されたトナーボトル33などから成る。容器先端カバー34は、トナーボトル33の回転軸線方向の先端部を受け入れた状態で、トナーボトル33を回転可能に保持する。容器先端カバー34は情報記憶部としてのIDチップ700備えている。このIDチップ700には、収容してトナーの色や組成含む特性、製造ロット番号、使用状況等のデータを記録される。セットカバー608にはIDチップ700と電気接続するためのIDチップコネクタ701が設けられている。IDチップ700に代えバーコードやQRコード(登録商標)等を設け、セットカバー608にこれらに対応した読み取り手段を設けてもよい。
トナー補給装置60のセットカバー608にトナー容器32の容器先端カバー34が差し込まれた状態で、駆動モータや駆動ギヤ等で構成されているボトル側駆動機構部91がトナー容器32の容器回転ギヤ301に回転駆動力を伝達する。これにより、トナー容器32のトナーボトル33が容器先端カバー34に保持された状態で図中矢印B方向に回転駆動する。この回転駆動に伴って、トナーボトル33の内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302も回転する。この回転で、トナーボトル33の内部に収容されたトナーを、ボトルの後端側から先端側(図3中の左側から右側)に向けて搬送する。そして、容器先端カバー34から搬送ノズル611内に供給する。
搬送ノズル611内には、粉体搬送部材としての搬送スクリュー614が配置されており、その長手方向の端部に固定された搬送スクリューギヤ605と一体的に回転する。ボトル側駆動機構部91は、回転駆動力を搬送スクリューギヤ605に出力することで、搬送スクリュー614を回転駆動して搬送ノズル611内のトナーを搬送する。
搬送ノズル611のトナー搬送方向下流端には、トナー落下搬送管64が重力方向下方から接続している。搬送スクリュー614によって搬送ノズル611内で搬送されるトナーは、搬送ノズル611からトナー落下搬送管64内に落とし込まれてサブホッパ63内に重力落下する。これにより、サブホッパ63内にトナーを補充する。サブホッパ63は、サブホッパ63内のトナー量を検知するトナー量検知センサ111を備えている。トナー量検知センサ111として圧電方式のセンサ、光反射方式など種々の方式のセンサを用いることができる。
サブホッパ63の下部には、補給管61が接続されている。サブホッパ63は回転駆動される二つのアジテータ66を備えている。二つのアジテータ66は回転駆動によって補給管61に向けてトナーを搬送する。この補給管61は内部に補給スクリュー62を備える。サブホッパ側駆動機構部92は、サブホッパ63内の二つのアジテータ66と、補給管61内の補給スクリュー62とに対して独立して回転駆動力を伝達することが可能になっている。二つのアジテータ66を回転駆動することで、サブホッパ63内のトナーを補給管61に向けて搬送し、補給スクリュー62を回転駆動することで、サブホッパ63内のトナーを現像装置50内に補給する。このサブホッパ側駆動機構部92は、ボトル側駆動機構部91とは独立して駆動できる。
図4は、実施形態に係るプリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。制御部100は、CPU101、RAM102、ROM103、不揮発性メモリーなどを有している。制御部100は、プリンタの各機器の駆動を制御したり、各種の演算処理をしたり、各種のセンサと通信したりする。RAM102は、トナー濃度センサ56からの出力電圧の目標値である目標電圧VTREFのデータや、帯電、露光、現像、転写、定着などのプロセス条件に対応する制御パラメータも格納している。
制御部100は、Y,M,C,K用のトナー補給装置60(Y,M,C,K)の各機器やセンサと電気接続している。詳しくは、Y,M,C,Kのボトル側駆動機構部91(Y,M,C,K)、サブホッパ側駆動機構部92(Y,M,C,K)、トナー量検知センサ111(Y,M,C,K)、IDチップコネクタ701などと電気接続している。また、制御部100は、Y,M,C,K用の現像装置50(Y,M,C,K)のトナー濃度センサ56(Y,M,C,K)とも電気接続している。更には、タッチパネルや各種のキーからなる操作表示部110とも電気接続している。
制御部100は、現像装置50(Y,M,C,K)のトナー濃度センサ56(Y,M,C,K)からの出力電圧の値と目標電圧VTREFを比較し、比較結果に応じた量のトナーをトナー補給口57から供給するように、トナー補給装置60のサブホッパ側駆動機構部92を制御する。具体的には、サブホッパ側駆動機構部92(Y,M,C,K)に制御信号を送信して、サブホッパ63内の二つのアジテータ66と、補給管61内の補給スクリュー62とを比較結果に応じた量のトナーを供給できる量だけ回転駆動させる。この回転駆動によってサブホッパ63からトナー補給口57を介して現像装置50内にトナーを補給する。
また、制御部100は、トナー補給装置60(Y,M,C,K)のサブホッパ63(Y,M,C,K)に設けられたトナー量検知センサ111(Y,M,C,K)によってトナー無しが検知されると、サブホッパ63(Y,M,C,K)にトナーを補充する処理を実施する。具体的には、ボトル側駆動機構部91(Y,M,C,K)に制御信号を送信して、トナーボトル33(Y,M,C,K)と、搬送スクリュー614(Y,M,C,K)とを回転駆動させる。この回転駆動によってサブホッパ63(Y,M,C,K)にトナーを補充する。トナー量検知センサ111(Y,M,C,K)がトナーありを検知すると、ボトル側駆動機構部91(Y,M,C,K)に制御信号を送信し、トナーボトル33(Y,M,C,K)及び搬送スクリュー614(Y,M,C,K)の回転駆動を停止させる。
図5はサブホッパ63内のトナー量の推移を示す説明図である。ハッチングを付してトナーDの存在領域を示している。図5(a)は満杯状態、図5(b)は推定トナーニアエンドの状態、図5(c)は確定トナーニアエンドの状態、図5(d)は確定トナーエンドの状態、図5(e)は全く空の状態を示す。
図5(a)の満杯状態は、プリンタの設置時や、いわゆるトナーエンド検知制御でトナー容器32の交換を促す報知がされている状態でトナー容器32が交換されたとき実行されるリカバリー動作(復帰動作)の直後の状態である。リカバリー動作とは、新たにセットされたトナー容器32からサブホッパ63を介して現像装置50にトナーを補給し現像装置50内のトナー濃度を所定の濃度範囲内のものにする。例えば、現像装置50内のトナー濃度を所定の基準A(トナーリカバリ終了後の、画像濃度を保証するために予め設定された基準濃度(A WT%))にする。これとともに、サブホッパ63を満杯状態にする動作である。
図5(b)の推定トナーニアエンドの状態は、トナー容器32内のトナー量が所定の閾値以下になったと推定される状態である。トナー容器32のトナー量は例えば次のようにして推定できる。上記リカバリー動作やその後のトナー補給装置60による現像装置50へのトナー補給動作に伴い、ボトル側駆動機構部91によるトナー容器32からの排出トナーの推定量からトナー容器32内に何[G]のトナーが残っているか計算によって推定する。トナー容器32からの排出トナー量の推定は、この排出をトナー消費に伴うトナー補給に連動させている場合には、ボトル側駆動機構部の駆動量から推定できる。さらに、ボトル側駆動機構部の駆動量を画像形成動作に伴うトナー消費量に連動させている場合には、形成画像の総画素数などから推定することもできる。推定トナーニアエンドの状態になると、新しいトナー容器32を準備するべきことを操作表示部110の表示などによってユーザーに通知する。
図5(c)の確定トナーニアエンドの状態は、トナー容器32内のトナーが無くなったと推定される状態である。トナー容器32内のトナー量が無くなったことは例えば次のようにして推定できる。推定トナーニアエンドになった以降も、トナー補給動作を継続してトナー容器32内のトナーが無くなると、トナー補給装置60による現像装置50へのトナー補給動作に伴ってボトル側駆動機構部91を駆動してもトナー容器32からトナーが排出されずにサブホッパ63内のトナー残量が減少していく。このような減少がはじまるトナー残量であるか否かを、サブホッパ63に受けたトナー量検知センサ111(図3参照)で検知する。このトナー量検知センサ111はサブホッパ63内の所定の高さまでトナーが存在しているか否かを検知するものである。
ボトル側駆動機構部91を駆動してからトナー落下搬送管64を通ってトナー容器32内に至るまでのタイムラグや、サブホッパ63内のアジテータ66の回転によるサブホッパ内でのトナーの分布変動などの影響で、トナー容器32にトナーがまだ残っているにもかかわらず、誤ってトナー容器32内のトナーが無くなったと推定してしまうのを避けるため、ボトル側駆動機構部91の駆動と、トナー量検知センサ111の出力の読み込みとを、時間をおいて繰り返してトナーの有無の検知を行い、例えば、所定回数連続してトナー量検知センサ111がトナーを検知しなかった場合に、確定トナーニアエンドと判定する。できるだけトナー容器32にトナーを残さないように、最終的に確定トナーニアエンドと判定する前に、連続して所定時間だけボトル側駆動機構部91を駆動してもよい。
確定トナーニアエンドの状態は、トナー容器32のトナーは使い切ったが、サブホッパ63内には例えば4[G]~5[G]程度のトナーが残っており、印刷可能状態である。そのため、ここではトナーエンド(完全停止)ではなく、確定トナーニアエンドというステータスにする。確定トナーニアエンドと判定したら、トナー容器32にトナーが無いことを操作表示部110の表示などによってユーザーに通知する。この確定トナーニアエンドでは、サブホッパ63内にトナーが残っているため印刷可能ではあるが、新しいトナー容器32に交換することも可能である。
図5(d)の確定トナーエンドの状態は、サブホッパ63内にほとんどトナー残っていないと推定される状態である。この推定は、確定トナーニアエンドになった以降のサブホッパ63内のトナーの消費量(現像装置50へのトナー補給量)から行うことができる。たとえば、ボトル側駆動機構部の駆動量から推定できる。さらに、ボトル側駆動機構部の駆動量を画像形成動作に伴うトナー消費量に連動させている場合には、形成画像の総画素数などから推定することもできる。確定トナーエンドになったと判定した場合は、印刷動作を禁止するとともに、ユーザーにトナー容器32を交換すべきであることを操作表示部110の表示などによって通知する。
本実施形態のプリンタ1は、トナー容器32が異種のトナー(たとえば、トナーの組成や成分が異なるもの)を収容するものに交換された場合、サブホッパ63のトナー量が所定の量未満であるという条件を満たすときにボトル側駆動機構部91による補充を開始する。サブホッパ63のトナー量が所定の量以上あるときにはボトル側駆動機構部による補充を行わないことにより、サブホッパ63内で異種のトナーが混ざることによる不具合の発生を防止する。
図6はプリンタ1の電源が投入されたときに実行される装置の立ち上げ準備動作(S1)を実行した後に、トナー容器32の交換の際に開閉するドアのドア開閉時の処理(S3)、印刷処理の実行開始指示(S8)のタイミングを示すフローチャートである。立ち上げ準備動作(S1)が終了すると、ドアの開閉の有無(S2)、電源オフの有無(S4)、並びに、トナーエンド状態でないこと及びリカバリー中でないことを条件(S5及びS6でN)として印刷指示を受付けたか否か(S7)を判断する。ドア開閉を検知したら(S2でY)ドア開閉時処理をスタートさせ(S3)、また、印刷指示を受けと判断したら(S7でY)印刷処理をスタートさせる(S8)。電源がオフされたと判断した場合に(S4でY)、このフローを終了する。
S2で開閉を判断するトナー容器32の交換の際に開閉するドアを開いたときに印刷中であったとしても印刷動作を停止しない制御を行う。このため、図5(c)の確定トナーニアエンドの状態になってトナー容器32にトナーが無いことを操作表示部110の表示などしているのに応じ、連続印刷中に、印刷を中断することなくトナー容器32を交換できる。また、図5(b)の推定トナーニアエンドの状態にもなっていない段階でも、印刷動作を停止あるいは中断させることなく、トナー容器32を交換できる。
S5のトナーエンド状態か否かの判断にはトナーエンドフラグBを用いる。このトナーエンドフラグB(セット状態を「1」、リセット状態を「0」とする。)は、確定トナーエンド状態になったと判定された場合にセットされるフラグである(図8のS11)。S6のリカバリー中か否かの判断にはリカバリー中フラグCを用いる。このリカバリー中フラグC(セット状態を「1」、リセット状態を「0」とする)は、リカバリー処理の開始を指示したときにセットされるフラグである(図7のS7、図8のS10)。なお、他のフラグも含め、フローチャートにおいては、フラグをセットすることを左向きの矢印の右側に1を添えて表記し、リセットすることを左向きの矢印の右側に0を添えて表記する。
図7はトナー容器32の交換に関するドア開閉時処理を示すフローチャートである。図6のS3でドア開閉時処理の開始の指示があったときに実行される。まず、トナー容器32が別のトナー容器32に交換されたか否かを判断する(S1)。ドアが開閉されてもユーザーがトナー容器32を操作しなかったり、同じものを脱着したにすぎなかったりすることもある。よって、この判断を行う。この判断はトナー容器32の脱着検知用に設けたセンサによる検知、トナー容器32のIDチップ700の電気遮断及び再接続の検知、必要に応じて記憶部から読み取った情報を用いた判断などによって行うことができる。交換がされていなければ、このフローを終了する。
トナー容器32が別のトナー容器32に交換されたと判断した場合(S1でY)は、IDチップ700の情報を読み出し(S2)、異種トナーを収容しているトナー容器32に交換されたか否かを判断する(S3)。異種トナーを収容しているトナー容器32に交換されたと判断した場合(S3でY)、トナーエンドフラグBがセットされているか否かを判断する(S4)。
トナーエンドフラグBがセットされていると判断した場合(S4でY)、エンド表示を停止させ(S5)、リカバリー動作の開始の指示を行い(S6)、リカバリー中フラグCをセットし(S7)、処理を終了する。リカバリー動作はその一貫としてボトル側駆動機構部91による補充を行うので、リカバリー開始の指示(S6)は、ボトル側駆動機構部91による補充の開始の指示になる。確定トナーエンド状態におけるサブホッパ63のトナー残量になっているということが、トナー容器32が異種のトナーを収容するものに交換された場合のサブホッパ63のトナー量が所定の量未満であるという条件に相当することになる。
トナーエンドフラグBがセットされていないと判断した場合(S4でN)は、補充停止フラグAをセットし(S8)、処理を終了する。補充停止フラグAは、その後の画像形成動作にあたってボトル側駆動機構部91の駆動を停止すべきときにセットするものである。この補充停止フラグAを用い、トナー容器32が異種のトナーを収容するものに交換された場合に、トナーエンドフラグBがセットされていない、つまり、サブホッパ63のトナー量が所定の量以上であるときは、ボトル側駆動機構部91による補充を停止した状態でのその後の印刷動作を実行する。これにより、サブホッパ63内での新旧ナトーの混合を抑制する。
異種トナーを収容しているトナー容器32に交換されたものでないと判断した場合(S3でN)は、トナーエンドフラグBがセットされているか否かを判断し(S9)、トナーエンドフラグBがセットされていると判断した場合(S9でY)、エンド表示を停止させ(S5)、リカバリー動作の開始の指示を行い(S6)、リカバリー中フラグCをセットし(S7)、処理を終了する。
図8は印刷処理を示すフローチャートである。図6のS8で印刷処理開始の指示があったときに実行される。まず、トナーエンドフラグBやリカバリー中フラグCの何れもリセットされているかを判断する(S1、S2)。何れかがセットされている場合(S1でYまたはS2でY)は、受付済の印刷が終了しているか判断し(S7)、終了していなかったら再度両フラグが何れもリセットされたか否かの判断を、何れもリセットされるまで繰り返す。
連続印刷の途中でトナーエンドになって、トナーエンドフラグBがセットされたり(S6でY-S8でN-S11)、リカバリー動作の開始が指示されてリカバリー中フラグCがセットされたり(S6でY-S8でY-S9-図9のS2)し、連続印刷が中断した後に、残りの印刷を再開するための処理である。
何れのフラグB、Cもリセットされていると判断した場合(S1でNかつS2でN)には、補充停止フラグAがセットされているか否かを判断し(S3)、セットされていれば(S3でY)、その後の画像形成動作中にボトル側駆動機構部91の駆動を停止するよう印刷動作条件をセット(S4)して印刷動作を実行する(S5)。
補充停止フラグAがセットされていなければ(S3でN)、そのまま印刷動作を実行する(S5)。そして、確定トナーエンド状態になったと判断する(S6でY)か、指示された印刷を終了したと判断するか(S7でY)するまで、印刷動作を実行し、指示された印刷が終了したと判断したら(S7でY)、このフローを終了する。確定トナーエンド状態になった否かの判定(S6)は図5(d)について述べた確定トナーエンドの判定手法によって判定する。
確定トナーエンド状態になったと判定した場合(S6でY)には、補充停止フラグAがセットされているか否かを判断する(S8)。補充停止フラグAがセットされていれば(S8でY)、リカバリー動作の開始を指示する(S9)。つまり、サブホッパ63のトナー量が所定の量未満であるという条件としての、確定トナーエンドの状態になったという条件を満たすものとして、リカバリー動作の一貫としてボトル側駆動機構部による補充の開始を指示する。そして、リカバリー中フラグCをセットし(S10)、フローを終了する。
補充停止フラグAがセットされていないと判断すれば(S8でN)、トナーエンドフラグBをセットする(S11)とともに、トナーエンド表示をONし(S12)、フローを終了する。トナーエンドフラグBがセットされている状態は図6の制御から印刷指示が受け付けられず(S5でYのためS7に進めない)、また、図8の制御から連続印刷は中断された(S1でYのためS5に進めない)ままである。つまり印刷動作を禁止した状態である。
図9はリカバリー動作の処理を示すフローチャートである。図7のS6や図8のS9でリカバリー動作の開始の指示をうけたら実行する。まず、リカバリー動作を実行する(S1)。動作が終了したら、補充停止フラグAがセットされているか否か判断する(S2)。補充停止フラグAがセットされていたら(S2でY)、IDチップ700の情報を読み出し(S3)、画像形成条件である制御パラメータの変更を行い(S4)、S5に進む。この制御パラメータの変更については後に詳述する。補充停止フラグAがセットされていなかったら(S2でN)、そのままS5に進む。
S5~S7で補充停止フラグA、トナーエンドフラグB及びリカバリー中フラグCをリセットし、処理を終了する。各フラグのうち補充停止フラグAは処理前からリセット状態(0)のこともあるがセットされていたらリセット状態(0)にされる。
以上の制御によれば、トナー容器32が異種のトナーを収容するものに交換された場合に、サブホッパ63のトナー量が所定の量以上であったとしても、ボトル側駆動機構部91による補充を停止した状態での印刷動作を実行し、その間のトナー補給によってサブホッパ63のトナー量を減少させる。そして、サブホッパ63のトナーが所定の量未満であるという条件としてのトナーエンドの状態になったという条件を満たすときに、ボトル側駆動機構部91による補充を開始する。つまり、サブホッパ63内が特定箇所に相当し、供給開始制御にあたっての供給条件が、トナーエンドの状態に対応したトナー量になったことに相当する。そして、トナーエンドになったか否か判定手段が、トナー量判定手段に相当する。また、特定箇所へのトナー供給の目標量である所定量は、後述するように現像装置50内のトナー濃度が所定の基準Aになる時点でのサブホッパ63のトナー量である。
よって、トナー容器32が異種のトナーを収容するものに交換された場合に、サブホッパ63のトナー量が所定の量以上であったとしても、ボトル側駆動機構部91による補充を介してサブホッパ63で異種のトナーが混ざってしまうのを抑制できる。従って、このような異種のトナーが混ざったトナーが現像装置50に補給されることによる次の不具合を抑制できる。すなわち、トナーの特性(帯電性や流動性等)が不均一となることによる異常画像(トナー落ち,地汚れ)やトナー飛散の発生を抑制できる。
また、図9のS2~S4に示すように、リカバリー動作の実行によって、サブホッパ63内のトナー量が所定の量に復帰した後に、現像剤収容容器が異種の現像剤を収容するものに交換された場合の制御パラメータ(画像形成条件)の変更を行う。つまり、サブホッパ63内のトナー量が所定の量に復帰することを制御パラメータの変更を行う変更条件としている。そして、このリカバリー動作が交換前のトナーがサブホッパ63内かほぼなくなってから行われたものであるため、変更条件を満たした段階ではサブホッパ63内は交換前のトナーはほぼ存在しない。よって、サブホッパ63内に交換前後のトナーが混ざりあっている状態で、制御パラメータを変更する場合に比して、トナーの特性にあわない制御パラメータを用いて画像形成をする期間を短くできる。
以上の例ではサブホッパ63内で異種のトナーが混ざる事態を抑制できるが、現像装置50内には交換前トナーが残っている。この現像装置50内に、リカバリー動作後のサブホッパ63からから交換後のトナーが補給されると、現像装置50内では新旧のトナーが混ざることによる不具合が生じる可能性が残る。この不具合を抑制できる変形例について説明する。
図10は変形例に係る図7相当の制御のフローチャートである。図11は同変形例に係る図8相当の制御のフローチャートである。図10のS4でYの場合、図7の制御と異なりリカバリー動作の開始を指示せずに、補充停止フラグAのセット(AS1)、エンド表示の停止(AS2)、及び、トナーエンドフラグBのリセット(AS3)を行って処理を終了する。S4でNの場合も補充停止フラグAをセットし(AS1)、処理を終了する。つまり、サブホッパ63のトナー量が所定の量以上ある状態と、トナーエンドになった状態の何れの状態であっても、補充停止フラグAをセットして以降の印刷動作での補充動作を停止する。
そして、図11の印刷処理の制御で、補充停止フラグAがセットされている(S6でY)間は、S7で現像装置50内のトナー量が正常な画像が作像できる最小限の限界に達したと判断するまで、トナー補充を停止した状態でトナー補給動作のみは行いながら、印刷を継続する。この限界に対応したトナー濃度の閾値(基準値)とトナー濃度センサ56の出力と比較することによってトナー量の限界に達したか否かを判断できる。トナー濃度の閾値に代え、画像品質のための調整動作(プロセスコントロール制御)で決めている作像条件に関するパラメータの閾値を用いて現像装置内のトナー量が限界(基準値)に達したかを判定してもよい。閾値は正常な画像が作像できなくなる値である。プロセスコントロール制御のパラメータの閾値については後に詳述する。
そして、印刷の継続で現像装置50内のトナー量が限界に達したと判断したら(S7でY)、リカバリー動作の開始を指示し(S8)、リカバリー中フラグCをセットし(S9)、ステップ10に進む。つまり、サブホッパ63のトナー量が所定の量以上ある状態と、トナーエンドになった状態の何れの状態であっても、トナー容器32が異種のトナーを収容するものに交換されて補充停止フラグAがセットされている間は、トナー補充を停止した状態で印刷を継続して現像装置50内のトナー量が限界になってはじめてリカバリー動作に移行するようにしている。
他の点は、図6~図8を用いて説明した制御と同じである。
この変形例は、異種トナーのトナー容器32に交換した後の、リカバリー動作によるボトル側駆動機構部91の駆動によるトナー補充の開始を、現像装置50内のトナー量が限界になった時点で行っている。よって、現像装置50内が特定箇所に相当し、供給開始制御にあたっての供給条件が、現像装置50内のトナー量が限界に達したことに相当する。そして、この限界に達したか否かは判定するトナー濃度センサや閾値との比較手段がトナー量判定手段に相当する。また、特定箇所へのトナー供給の目標量である所定量は、後述するように現像装置50内のトナー濃度が所定の基準Aになるトナー量である。
この変形例によれば、トナーエンドのタイミングと、トナーエンドでは無いタイミング(通常使用時)の何れのタイミングにおいても、現状使用しているトナーとは異なる種類のトナーが収容されているトナー容器32に交換された場合(トナーが切り替わった)は、ボトル側駆動機構部91(トナーボトル駆動含む)を動作させずに、印刷動作を継続する。
これにより現像装置50内のトナー濃度や画像品質のための調整動作(プロセスコントロール制御)で決めている作像条件に関するパラメータがある閾値(正常な画像が作像できなくなる閾値)になったタイミングからボトル側駆動機構部91の駆動を開始することでトナーリカバリ動作を行う。上記動作により、どのようなタイミングでトナー種類の異なるトナーボトルに交換されたとしても、現像装置50内で変更前のトナーと変更後のトナーが混合するのを抑制し、異常画像(トナー落ち,地汚れ)やトナー飛散が発生する不具合を解消することができる。
以上の変形例では、トナーエンドでは無いタイミング(通常使用時)とトナーエンドのタイミングの何れのタイミングで異種のトナーのトナー容器32に交換された場合にも、ボトル側駆動機構部91の駆動を停止(補充動作を停止)し、サブホッパ側駆動機構部92の駆動(トナー補給動作)は許し、現像装置50内のトナー量が限界に達してはじめてリカバリー動作を行うようにした。これに代え、異種のトナー容器32への交換タイミングが、トナーエンドではないタイミングの場合には、図11のように現像装置50内のトナー量が限界に達してはじめてリカバリー動作を行い、トナーエンドのタイミングの場合には、図8のように直ちにリカバリー動作を行うようにしてもよい。これとは逆の関係で動作するようにしたりしてもよい。これらにおいても、両方の交換のタイミングいずれにおいても、トナーエンドの段階で現像装置40内のトナー量が限界に達していない段階でリカバリー動作を行う場合より、現像装置50内での異種トナーの混合を抑制できる。
また、以上の変形例では、現像剤を減少させる動作して、ボトル側駆動機構部91の駆動を停止(補充動作を停止)した状態での画像形成動作の実行をおこなったら、通常の形成画像とは別に、トナー強制消費動作をおこなって、現像装置50内の旧トナーを速やかに減少させてもよい。トナー強制消費動作の例については後に説明する。
図12はプロセスコントロールの説明図である。プロセスコントロールは画像品質制御、画像条件調整制御、作像条件算出制御など呼ばれるよく知られた制御である。検出用のパターン潜像を形成し、それを現像した測定用トナー像のトナー付着量を光センサの受光量が求め、各種の画像形成条件を調整するものである。例えば、帯電量、露光量、現像バイアスなどの画像形成条件を調整する。また、現像装置に設けたトナー濃度センサ56を用いたトナー補給制御の目標値を、測定用トナー像のトナー付着量が所望量になるように補正する制御も含まれる。
図12の横軸に現像ポテンシャルを取り、縦軸に光学センサ(Pセンサ)で検出した測定用のトナー像のトナー付着量を取り、互いに異なる現像装置50内のトナー状態a、bのときの、両者の関係を示すグラフである。トナー状態aでは目標のトナー付着量(トナー現像量)T0を得られる現像ポテンシャルが、使用可能な現像ポテンシャルの範囲の上限以下で存在する。よって、目標のトナー付着量T0を得ることができる現像ポテンシャルに対応する帯電電位、露光量及び現像バイアスを使用可能範囲(可変範囲)で調整により得ることができる。これに対し、トナー状態bでは、使用可能な範囲では目標のトナー付着量を得ることができない。
トナー補充停止状態での画像形成動作中、あるいは、非画像形成動作中でも所定のタイミングでプロセスコントロールがされている。よって、ナー補充停止状態のプロセスコントロールで調整対象の画像形成条件の調整可能範囲では目標のトナー付着量を得ることができないと判明した場合に、リカバリー動作を行わなければ目標のトナー付着量を得るためのトナー量にならないと判断することができ、現像装置50内のトナー濃度の検出に代えて利用できる。よって、トナー不足による画像濃度低下を防止できる。なお、測定用トナー像の光学センサによる検出は中間転写ベルト上で行っても良いし、感光体上で行ってもよい。
図13は図11の制御の変形に係る制御のフローチャートである。この変形例は本実施形態のプリンタ1のように現像装置50及びトナー補給装置60を複数組備えた画像形成装置でダウンタイムを少なくできる制御である。図11の制御からの変更点は、S7で現像装置のトナーが限界に達したと判断した場合(S7でY)に、リカバリー動作の開始を指示する(S8)に先だって、トナー補充を停止して現像装置50内のトナー量を画像形成動作により限界まで減少させる動作中の他の現像装置50の有無を確認し(AS1)、有るときは(AS1でY)、当該他の現像装置について限界になるまでトナーを強制消費させる動作を実行させる点である。このような他の現像装置50がないと判断したとき(AS1でN)は直ちにS8に進んでリカバリー動作の開始を指示する。他の点は図6、図10及び図11を用いて説明した制御例と同じである。
この制御によれば、複数色のトナー容器32が変更された場合には1色の現像装置内のトナー濃度などが閾値を下回った場合に、トナー濃度などが閾値に達していない他色についても、トナー強制動作を行って強制的にトナー濃度を下げることでリカバリー動作を複数の現像装置で同時に行わせることができる。よってリカバリー動作によるユーザーのお待ち時間を低減できる。また色ごとに「旧トナー」「新トナー」で分かれないようにすることで不具合が発生するリスクをより低減できる。
図14が一例に係るトナー強制消費動作の処理制御のフローチャートである。マシン本体は消費リカバリー回数を記憶する消費リカバリー回数カウンタを保持している。まず、消費リカバリー回数カウンタが基準回数αよりも小さいか否かを判断する。このカウンタはS2~S5という一連の消費リカバリー動作の実行回数をカウントするもので、αよりも小さくない、すなわち、α回実行したと判断した場合(S1でN)にはこのフローを終了する。
消費リカバリー動作は、トナー濃度センサ56で検出した現像装置50内のトナー濃度TCが、比較基準のトナー濃度B(WT%)以下になるまで、強制消費パターン潜像(強制消費用の潜像)を作成して現像する(現像動作)ことにより現像装置50からトナーを消費させる動作(トナー消費動作)(S2をS3でNと判断するまで繰り返し動作)である。比較基準のトナー濃度B(WT%)は、実験などで求めて設定しておいたトナー濃度である。S5での所定の量の交換後トナーの補給(その前提として補充を伴う)を伴う強制消費パターンの作成をα回繰り返すことで、異種トナーが現像装置50で混ざることによる不具合が生じないようにできるトナー濃度である。S4は繰り返し回数カウントアップ処理である。
S5での所定の量の交換後トナーの補給(その前提として補充を伴う)は、サブホッパ内を含むトナー容器32から現像装置50までトナーの供給経路を構成する部材表面に付着している交換前トナーをいわば洗い流すために行う。図14で実行する比較基準のトナー濃度B(WT%)以下になるまでの強制消費パターンの作成の繰り返しを、トナー充填停止状態のままトナー補給動作のみ実行しながら行えば、サブホッパ63内から旧トナーをより完全に空にした状態(図5(e))にすることもできる。
基準回数αはシミュレーション等を用いて予め決定された値である。基準回数αが大きいほど、現像装置50内のトナー割合はより変更後のトナーに入れ替わる。具体的には、基準回数αが1回だと旧トナー残存量が10%程度であるが、3回なら残存量を2%程度にでき、異種トナーの混合に起因した不具合を確実に回避できる。ただし、基準回数αを大きくするとリカバリー処理時間が長くなり、マシンのダウンタイムとなるため注意が必要である。
このようなトナー強制消費動作を行うことにより、現像装置50内で異なる種類のトナーがより混ざらず、トナーの特性(帯電性や流動性等)が不均一となることがないため、リカバリー直後の印刷時の異常画像(トナー落ち,地汚れ)やトナー飛散が発生する不具合をさらに改善できる。
図15は、横軸のトナー濃度でベタ画像部潜像を現像したときに発生するキャリア付着(キャリアがトナーとともに感光体に付着する現象)の個数を縦軸にとって両者の関係を示したグラフである。このグラフからもわかるように、ベタ画像部に発生するキャリア付着の個数はトナー濃度が低くなるほど程度が悪化する。よって、強制消費パターンを印字する際にキャリア付着したキャリアで感光体や感光体クリーニングブレード等の部品を傷つけない程度のキャリア付着個数(図15のN個)以下になるように比較基準のトナー濃度Bを決定することが好ましい。
図16は、図14に示すトナー濃度とキャリア付着個数のとの関係をベタ画像とデジタルハーフトーン画像のそれぞれについて示したグラフである。このグラフからもわかるように、キャリア付着個数は画像パターンによって程度が異なる。ベタ部キャリア付着とは、ベタ部にキャリアが付着する現象で、ベタ部が白く抜ける画像となる。ベタ部キャリア付着は、ベタ部の電界の静電誘導によってキャリアがトナーと同じ極性の電荷を持ち、そのままベタ部にキャリア現像するため発生する。トナー濃度を上げて現像剤の抵抗を上げることで改善することができる。
一方、エッジ部キャリア付着とは、画像エッジ部の地肌にカウンターチャージをもったキャリアが付着する現象である。画像エッジ部は、エッジ効果により強い電界ができ、多くのトナーが現像され、カウンターチャージ量が多く、かつキャリアを吸引する電界も大きいため、付着しやすい領域となる。エッジ部キャリア付着は、地肌ポテンシャルを狭め、キャリア現像しにくくし、またエッジ効果を低減することで、改善することができる。
以上のように、ベタ画像におけるベタ部キャリア付着は、静電誘導によるためトナー濃度が下がるとベタ部キャリア付着が増えることになるのみであるのに対し、デジタルハーフトーン潜像を現像した画像におけるエッジ部キャリア付着は、トナー濃度によらず地肌ポテンシャルの設定によって軽減できる。よって、ベタ画像ではなくエッジ部分の多いデジタルハーフトーン画像で強制消費パターンを作像することで、強制消費中のキャリア付着が減らしながら、トナー濃度Bを下げることができる。図16の場合、キャリア付着したキャリアで感光体や感光体クリーニングブレード等の部品を傷つけない程度のキャリア付着個数(図15、図16のN個)に対応したトナー濃度をBからB´に下げることができる。
このようにトナー濃度BをB´に下げることができるため、現像装置50内の交換前のトナー残存量が減ることで、異なる種類のトナーがより混ざらず、トナーの特性(帯電性や流動性等)が不均一となることがないため、リカバリー直後の印刷時の異常画像(トナー落ち,地汚れ)やトナー飛散が発生する不具合をさらに改善することができる。
図17に示すように、エッジ部キャリア付着個数は地肌ポテンシャル(感光体帯電バイアスと現像ローラ印加バイアスの差分)(画像形成条件)が低くなるほど程度が改善する。例えば、現像バイアスは同じで、帯電電位を下げて、ポテンシャルを小さくなるほど程度が改善する。よって、強制消費パターン作像時は印刷時よりも低い地肌ポテンシャルに設定することで、トナー濃度Bをさらに下げることができる。
上記より、トナー濃度Bをより下げることができるため、現像機内の交換前のトナー残存量が減ることで、異なる種類のトナーがより混ざらず、トナーの特性(帯電性や流動性等)が不均一となることがないため、リカバリー直後の印刷時の異常画像(トナー落ち,地汚れ)やトナー飛散が発生する不具合をさらに改善することができる。
図18はデジタルハーフトーン画像の一例を示すものである。このようなトナー消費用の画像を感光体の画像形成可能域の全幅に亘る幅方向の大きさで形成することが好ましい。
図19は複数の現像装置50について異種のトナーを収容するトナー容器32への交換が順次行われた場合の画像形成条件として一次転写バイアスや二次転写バイアスの変更のタイミングを示したものである。異種トナーへの交換が、まずマゼンタ(M)の現像装置50で行われ、次にイエロー(Y)の現像装置50で行われた場合である。横軸に、時間経過にともなっての状態変化をしめしている。現像装置50、トナー容器32(ボトル)ともに旧トナー状態、トナー容器32のみ新トナーになった状態、リカバリー動作の完了で何れも新トナーになった状態と推移する。実線がMについての一次転写バイアス、破線が二次転写バイアスそれぞれを示している。何れのバイアスもリカバリー動作の完了で現像装置50内も新トナーになった時点で変更する。Yについての一次転写バイアスもYのリカバリー動作の完了に伴って変更する。
図の例は、MとYにおいて、M、Yの順で1色ずつ帯電性の高い新トナーへ交換された場合である。図1の概略構成図に示すようにYはMの上流に位置している(中間転写ベルト上にY、その上にMの順に転写される)ため、Mの転写電流はYの逆転写を抑えるために最適な転写電流に対して低めに設定されることがある。M、Yの順で1色ずつ帯電性の高い新トナーへ交換される場合はYが新トナーとなったときにMの1次転写電流を上げることでMの転写率をさらに上げることができる。帯電性の高いトナーは逆極性反転して逆転写が置きにくいためYの逆転写を抑える観点からMを低めに抑える必要が少なくなるからである。
図20は一次転写バイアス変更の制御の一例を示すものである。各現像装置についてこの制御を行う。Mについての制御フローとすると、図19の変更に対応する。S1でMについて帯電性の高い新トナーへのリカバリー動作が完了したと判断したら(S1でY)、Mについての一次転写バイアスを上げる(S2)。このとき別の制御である二次転写バイアス変更の制御で二次転写バイアスも上げる。そして、上流側である例えばYについて、帯電性の高い新トナーへのリカバリー動作が完了したか否かを判断する(S3)。リカバリー動作が完了したと判断したら(S3でY)、Mについても一次転写バイアスを上げる(S4)。このとき二次転写バイアス変更の制御で二次転写バイアスも上げる。Yについての一次転写バイアスはYについての一次転写バイアス変更の制御で上げる。実際の制御では、帯電性が低い新トナーへの交換も含めた制御になる。すなわち、新トナーの帯電量が旧トナーより上がる場合は、転写電流を上げる。新トナーの帯電量が旧トナーより下がる場合は、転写電流を下げるという制御である。
トナーの帯電機能が上がる場合にはトナーを移動させるための電界を強くすることで転写性が向上し、印刷に使われない転写残(廃トナー)を低減できる。トナーの帯電機能が下がる場合にはトナーを移動させるための電界を弱くすることで過転写を防止して、転写性が向上し、印刷に使われない転写残(廃トナー)を低減できる。
図21は異種トナーとして定着に適した温度が異なるトナーに交換されたときの定着温度の変更の説明図である。図21(a)は適した定着温度がより高温のトナーに順次交換される場合、図21(b)は逆に低温のトナーに順次交換される場合を示す。方向性としては、新トナーの定着温度が旧トナーより高い場合は、定着温度を上げ、新トナーの定着温度が旧トナーより低い場合は、定着温度を下げる。新トナーで定着温度を下げることができる場合には、マシンの定着温度を下げ、環境負荷を低減できる。新トナーで定着温度を上げる必要がある場合には、マシンの定着温度を上げて、定着不良を防止する。
具体的なタイミングがリカバリー動作で現像装置50内がほぼ新トナーのみになった段階である。そして、複数の現像装置を備える場合には次のタイミングで変更することが好ましい。一つでも現状の定着装置の設定よりも高温のトナーに交換された場合には、その現像装置のリカバリー後速やかに高温に変更する。これに対し、現状の定着装置の設定よりも低温のトナーに交換された場合は、他の現像装置のトナーが全て低温に交換されてリカバリーが完了してはじめて低温に切り替える。図22は以上の定着温度の変更の制御の一例を示すフローチャートである。現状の定着装置の設定よりも低温のトナーに交換された場合(S3でY)、この低温よりも高温のままの現像装置(定着効果不可トナーの他の現像装置)が無くなる(S4でN)、つまり、他の現像装置で低温のトナーに切り替えられたときには、そのリカバリーが完了してはじめて、定着の設定を低温に切り替える(S5)。
以上、実施形態は、現像装置としてトナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いたものについて説明したが、トナーのみの一成分現像剤を用いる現像装置にも適用できる。この場合にも貯留部や現像装置内での異種のトナーの混合による不具合を抑制できる。