JP7448126B2 - 軟骨疾患の治療薬 - Google Patents

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Description

本願は、High mobility group box 1(HMGB1)タンパク質の断片ペプチドを含む、軟骨疾患の予防および/または治療のための医薬組成物に関する。本願は、2018年10月25日出願の日本国特許出願第2018-200866号に対して優先権を主張するものであり、該日本国特許出願の全内容を、参照により本明細書に一体化させる。
軟骨組織、例えば関節軟骨は修復能が低く、一度損傷してしまうと自然再生することはほぼ不可能である。例えば外傷性関節軟骨欠損症の治療法は、鎮痛剤の内服やヒアルロン酸の関節内注射等の対症療法が中心であり、現在のところ外傷性関節軟骨欠損症に対する根治的療法は確立されていない。また、外傷性関節軟骨欠損症に対する自家骨軟骨柱移植等の外科的治療方法も存在するが、患者の正常組織を採取する必要があるため大きな欠損には対応できない等の問題がある。したがって、より効果的かつ侵襲性の低い軟骨疾患治療薬の開発が望まれている。
WO2012/147470 WO2014/065347 WO2014/065348 WO2018/139562 WO2018/186480
本願は、軟骨疾患の治療に有効な新規医薬を提供することを目的とする。
本発明者らは、軟骨疾患の治療に有効な物質を探索した結果、特定のアミノ酸配列を有するHMGB1断片ペプチドが、関節軟骨欠損症の動物モデルにおいて硝子軟骨を含む正常な軟骨組織を再生する効果を示すことを見出した。この知見に基づき、本願は、当該特定のHMGB1断片ペプチドを含有する、軟骨疾患の予防および/または治療のための医薬組成物を提供する。
すなわち、本願は、以下を提供する。
〔1〕
以下の(a)から(c)のいずれかに記載の物質(以下、物質Aと称する)を含有する、軟骨疾患の予防および/または治療のための医薬組成物:
(a)配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むHMGB1断片ペプチド;
(b)配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を含むペプチド; および
(c)配列番号:1に記載のアミノ酸配列と約80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド。
〔2〕
軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、〔1〕に記載の医薬組成物。
〔3〕
物質Aを含有する、軟骨疾患の患者において硝子軟骨を再生するための医薬組成物。
〔4〕
軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、〔3〕に記載の医薬組成物。
〔A1〕
物質Aの有効量を対象に投与する工程を含む、軟骨疾患を予防および/または治療する方法。
〔A2〕
軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、〔A1〕に記載の方法。
〔A3〕
物質Aの有効量を対象に投与する工程を含む、軟骨疾患の患者において硝子軟骨を再生する方法。
〔A4〕
軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、〔A3〕に記載の方法。
〔B1〕
軟骨疾患の予防および/または治療に用いるための、物質A。
〔B2〕
軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、〔B1〕に記載の物質A。
〔B3〕
軟骨疾患の患者において硝子軟骨の再生に用いるための、物質A。
〔B4〕
軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、〔B3〕に記載の物質A。
〔C1〕
軟骨疾患の予防および/または治療のための医薬の製造における、物質Aの使用。
〔C2〕
軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、〔C1〕に記載の使用。
〔C3〕
軟骨疾患の患者において硝子軟骨を再生するための医薬の製造における、物質Aの使用。
〔C4〕
軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、〔C3〕に記載の使用。
術後2、4、8および12週における膝関節の軟骨欠損部位およびその周辺の顕微鏡観察結果を示す写真である(「Vehicle」が対照群、「1-44」がHMGB1ペプチド(1-44)投与群をそれぞれ示す)。 術後2、4、8および12週における、膝関節軟骨欠損部位のWayne scoring systemによる肉眼所見のスコアを示すグラフである(「Vehicle」が対照群、「1-44」がHMGB1ペプチド(1-44)投与群をそれぞれ示す)。縦軸はスコア、横軸は軟骨欠損作成後の週数を示す。* p<0.05(Two-tailed unpaired t-test)、† p<0.05(Two-way ANOVA with post-hoc Tukey’s test) 術後2、4、8および12週における膝関節軟骨組織切片のサフラニンO染色の結果を示す写真である(「Vehicle」が対照群、「1-44」がHMGB1ペプチド(1-44)投与群をそれぞれ示す)。 術後2、4、8および12週における膝関節軟骨組織のWakitani スコアを示すグラフである(「Vehicle」が対照群、「1-44」がHMGB1ペプチド(1-44)投与群をそれぞれ示す)。縦軸はスコア、横軸は軟骨欠損作成後の週数を示す。* p<0.05(Two-tailed unpaired t-test)、† p<0.05(Two-way ANOVA with post-hoc Tukey’s test) 術後12週における膝関節軟骨組織切片のサフラニンO染色の結果を個体ごとに示す写真である(「Vehicle」が対照群、「1-44」がHMGB1ペプチド(1-44)投与群をそれぞれ示す)。 術後12週における膝関節軟骨組織のWakitani スコアを項目ごとに示すグラフである(「Vehicle」が対照群、「1-44」がHMGB1ペプチド(1-44)投与群をそれぞれ示す)。縦軸はスコア、横軸はWakitani スコアを構成する各項目を示す。* p<0.05(Two-tailed unpaired t-test) 軟骨欠損モデルマウスの術後12週における膝関節軟骨組織切片の染色結果を示す写真である。左がサフラニンO染色、右がII型コラーゲンの免疫染色である。 正常マウスの膝関節軟骨組織切片の染色結果を示す写真である。左がサフラニンO染色、右がII型コラーゲンの免疫染色である。
本願は、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むHMGB1断片ペプチドを含有する、軟骨疾患の予防および/または治療のための医薬組成物を提供する。
軟骨疾患とは、軟骨組織の異常を伴う疾患をいう。軟骨組織の異常としては、軟骨の損傷、磨耗、欠損、変性等が挙げられる。
本願における軟骨疾患としては、外傷性軟骨欠損症、変形性関節症、離断性骨軟骨炎、半月板損傷、外傷性関節症、炎症性関節症(例えば関節リウマチ)、感染性関節症(例えば化膿性関節炎)等が挙げられるが、これらに限定されない。変形性関節症には、原因が明確でない原発性変形性関節症と、原因が明確である続発性変形性関節症がある。続発性変形性関節症としては、靭帯損傷、軟骨損傷、半月板損傷等が原因となって生じる変形性関節症が挙げられるが、これらに限定されない。
一つの好ましい態様において、本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患は、外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である。別の好ましい態様において、本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患は、外傷性軟骨欠損症または変形性関節症である。さらなる態様において、本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患は、外傷性軟骨欠損症である。別の態様において、本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患は、変形性関節症である。
本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨の種類(部位)としては、例えば関節の軟骨が挙げられるが、これに限定されない。関節としては、四肢関節(肩関節、肘関節、手関節、股関節、膝関節、足関節)、顎関節、椎間関節等が挙げられるが、これらに限定されない。
一つの態様において、本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患は、四肢関節の軟骨疾患である。別の態様において、本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患は、肘関節または膝関節の軟骨疾患である。さらなる態様において、本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患は、膝関節の軟骨疾患である。
本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患のさらなる例としては、関節の外傷性軟骨欠損症、肘関節の外傷性軟骨欠損症、膝関節の外傷性軟骨欠損症、変形性肘関節症、変形性膝関節症、関節の離断性骨軟骨炎、肘関節の離断性骨軟骨炎、膝関節の離断性骨軟骨炎を挙げることができる。一つの態様において、本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患は、膝関節の外傷性軟骨欠損症である。別の態様において、本願のHMGB1断片ペプチドを用いて治療される軟骨疾患は、変形性膝関節症である。
本願において、「医薬組成物」という用語は、「医薬」、「薬剤」または「薬学的組成物」と互換的に用いられる。
また本願は、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むHMGB1断片ペプチドを含有する、軟骨疾患の患者において硝子軟骨を再生するための医薬組成物を提供する。一つの態様において、本願の医薬組成物は、外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎の患者において硝子軟骨を再生するために用いられるものである。
本願において、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むHMGB1断片ペプチドとは、HMGB1タンパク質の一部からなるペプチドであって、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むペプチドを意味する。このようなペプチドは、該ペプチドをコードするDNAを適当な発現系に組み込んで遺伝子組換え体(recombinant)として得ることができるし、または、人工的に合成することもできる。
本願において、HMGB1タンパク質としては、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、および、配列番号:3に記載の塩基配列を含むDNAによってコードされるタンパク質が例示できるが、これらに限定されるものではない。
本願における配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むHMGB1断片ペプチドとしては、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるHMGB1断片ペプチドを例示できるが、これに限定されるものではない。
本願の医薬組成物においては、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むHMGB1断片ペプチドに代えて、またはこれと共に、配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1つ以上のアミノ酸残基が改変(置換、欠失、挿入若しくは付加)されたアミノ酸配列を含むペプチドであって、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むHMGB1断片ペプチドと機能的に同等なペプチドを用いることもできる。かかるペプチドの例としては、以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない:
i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個(例えば1個~10個、1個~9個、1個~8個、1個~7個、1個~6個、1個~5個、1個~4個、1個~3個、または1個若しくは2個)のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を含むペプチド;
ii) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個(例えば1個~10個、1個~9個、1個~8個、1個~7個、1個~6個、1個~5個、1個~4個、1個~3個、または1個若しくは2個)のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチド;
iii) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列と約80%以上、例えば約85%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上または約98%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド;
iv) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列と約80%以上、例えば約85%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上または約98%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチド。
本願のペプチドやそれを含有する医薬組成物(以下、ペプチド等と称する)の有効量が、本明細書に記載の疾患や症状の治療や予防のために対象に投与される。
本願における有効量とは、本明細書に記載の疾患や症状の治療や予防に十分な量をいう。本願における治療には、軽減、遅延、阻止、改善、寛解、治癒、完治などが含まれるが、これらに限定されない。また本願における予防には、軽減、遅延、阻止などが含まれるが、これらに限定されない。
本願における対象としては、特に制限はなく、哺乳類、鳥類、魚類等が挙げられる。哺乳類としては、ヒト又は非ヒト動物が挙げられ、例えば、ヒト、マウス、ラット、サル、ブタ、イヌ、ウサギ、ハムスター、モルモット、ウマ、ヒツジ、クジラなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。本願において、「対象」という用語は、「患者」、「個体」および「動物」と互換的に用いられる。
本願のペプチド等の投与部位に制限はなく、軟骨疾患の症状が現れる部位もしくはその近傍、それらとは異なる部位(それら以外の部位)、軟骨疾患の症状が現れる部位から離れた部位、軟骨疾患の症状が現れる部位から遠位にある部位、または、軟骨疾患の症状が現れる部位に対して遠位かつ異所である部位など、いかなる部位に投与されても、本願のペプチド等は、その効果を発揮することができる。
また本願のペプチド等は、軟骨疾患の症状が現れる組織(例えば関節)とは異なる組織、軟骨疾患の症状が現れる組織から離れた組織、軟骨疾患の症状が現れる組織から遠位にある組織、または、軟骨疾患の症状が現れる組織に対して遠位かつ異所にある組織など、いかなる組織に投与されても、その効果を発揮することができる。
本願のペプチド等の投与方法としては、経口投与または非経口投与が挙げられ、非経口投与方法としては、血管内投与(動脈内投与、静脈内投与等)、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与、経鼻投与、経肺投与、経皮投与などが挙げられるが、これらに限定されない。また、本願のペプチド等を、注射投与、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などによって全身または局部的(例えば、皮下、皮内、皮膚表面、眼球あるいは眼瞼結膜、鼻腔粘膜、口腔内および消化管粘膜、膣・子宮内粘膜、または損傷部位など)に投与できる。
また、本願のペプチド等に代えて、本願のペプチドを分泌する細胞、該ペプチドをコードするDNA、該DNAが挿入されたベクター、該ベクターを含む細胞、およびこれらを含有する医薬組成物を用いることもできる。
また、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。本願のペプチドを投与する場合、例えば、一回の投与につき、体重1 kgあたり約0.0000001mgから約1000mgの範囲で投与量が選択できる。あるいは、例えば、患者あたり約0.00001から約100000mg/bodyの範囲で投与量が選択できる。本願のペプチドを分泌する細胞や該ペプチドをコードするDNAが挿入された遺伝子治療用ベクターを投与する場合も、該ペプチドの量が上記範囲内となるように投与することができる。しかしながら、本願における医薬組成物はこれらの投与量に制限されるものではない。
本願の医薬組成物は、常法に従って製剤化することができ(例えば、Remington's Pharmaceutical Science, latest edition, Mark Publishing Company, Easton, U.S.A)、医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。例えば界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等が挙げられるが、これらに制限されず、その他常用の担体や添加剤が適宜使用できる。具体的には、軽質無水ケイ酸、乳糖、結晶セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類、精製水、生理食塩水、グリセリン等を挙げることができる。
なお、本明細書において引用されたすべての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
本発明は、下記の実施例によってさらに例示されるが、それらに限定されるものではない。
実施例1
関節軟骨欠損症に対するHMGB1断片ペプチドの有効性の評価
(1)材料および方法
i)薬剤調製
ヒト由来のHMGB1タンパク質のアミノ酸残基1-44(配列番号:1)からなるペプチドを固相法により化学合成した。以下、当該HMGB1断片ペプチドをHMGB1ペプチド(1-44)と称し、実施例に対応する図面においては「1-44」と省略して表記する。
ii)軟骨欠損モデルマウスの作成
C57BL/6Jマウス(6-7週齢、雄、野生型)を日本クレアより購入後、8週齢になるまで動物施設内に順化させた(8週齢時で体重約25g)。1.5-2.0%(v/v)のイソフルレン吸入麻酔下で、軟骨欠損を作成する側の下肢の剃毛を行い、膝関節中央に剪刀で約1cmの縦皮切を加えた。顕微鏡下に傍膝蓋内側アプローチで尖刃(#11)を用いて約1cmの関節切開を行い、膝蓋骨を外側に脱臼させた。大腿骨滑車を確認し、0.5mm径の手回しドリル(MEISINGER社製)を用いて滑車の中心に0.5x0.5x0.5mmの軟骨欠損を作成した。生理食塩水で関節内の洗浄を行った後、膝蓋骨脱臼が起きないように関節包を8-0バイクリルで連続縫合し、皮膚を5-0ナイロン糸で縫合した。
iii)ペプチドの投与
上記の通り作成した軟骨欠損モデルマウスを、HMGB1ペプチド(1-44)投与群(n=16)および対照群(n=16)に分けた。HMGB1ペプチド(1-44)投与群には、軟骨欠損を作成した直後に、生理食塩水を溶媒として1μg/μLの濃度に調整したHMGB1ペプチド(1-44)溶液を100μL/匹の量(ペプチドの投与量としては4mg/kg)で尾静脈より投与し、その後も同じ用量で軟骨欠損作成後(以下、単に「術後」とも称する)4週まで2回/週の頻度で投与した。対照群には、HMGB1ペプチド(1-44)投与群と同じスケジュールで、生理食塩水を100μL/匹の量で尾静脈より投与した。
iv)ペプチドの投与による効果の評価
HMGB1ペプチド(1-44)投与群および対照群ともに、術後2、4、8および12週の各時点で4匹ずつマウスをsacrificeし、膝関節の軟骨欠損作成部位を取り出して顕微鏡観察および組織染色を行った。顕微鏡観察では、Wayne scoring systemを用い、下記の表1に示す基準に従って肉眼所見をスコア化して軟骨組織の状態を評価した。また、組織学的評価のために軟骨組織の切片を作成してサフラニンO染色を行い、下記の表2に示す基準に従って組織像からWakitani スコアを算出して軟骨組織の状態を評価した。
Figure 0007448126000001
Figure 0007448126000002
(2)結果
i)顕微鏡観察(肉眼所見)
術後2、4、8および12週における膝関節軟骨欠損部位およびその周辺の顕微鏡観察結果を図1に示す。HMGB1ペプチド(1-44)投与群の軟骨欠損部位は、対照群と比較してより正常に近い状態まで回復していることが観察された。Wayneスコアについても、HMGB1ペプチド(1-44)投与群の方が対照群より高かった(図2)。
ii)組織学的評価
軟骨組織切片のサフラニンO染色の結果、HMGB1ペプチド(1-44)投与群では赤色に強く染まる領域(硝子軟骨と考えられる)が軟骨欠損作成部位の全体にわたって観察され、欠損した軟骨組織が完全に再生していることが確認された(図3および5)。また、Wakitani スコアによる評価でも、HMGB1ペプチド(1-44)投与群の値は対照群と比較して有意に低く、関節の軟骨欠損に対するHMGB1ペプチドの治療効果が示された(図4および6)。
実施例2
関節軟骨の組織染色
方法
実施例1と同じ方法で軟骨欠損モデルマウスを作成し、そのまま飼育を続けた。術後12週の時点で当該マウスから膝関節の軟骨欠損作成部位を含む組織を取り出してパラフィン切片を作成し、抗II型コラーゲン抗体を用いた免疫染色とサフラニンO染色を行った。また、同系統の正常マウスからも膝関節の軟骨組織を取り出してパラフィン切片を作成し、同様にII型コラーゲンの免疫染色とサフラニンO染色を行った。
結果
軟骨欠損モデルマウスの術後12週における膝関節の軟骨欠損作成部位の組織(即ち、軟骨欠損の作成後、自然修復に任せた場合の組織)は、サフラニンO染色およびII型コラーゲンの免疫染色のいずれにおいても殆ど陽性反応を示さなかったことから、硝子軟骨ではないことが確認できた(図7)。
一方、正常マウスの膝関節の軟骨組織(硝子軟骨であることが知られている)は、サフラニンO染色およびII型コラーゲンの免疫染色のいずれにおいても、上記軟骨欠損モデルマウスの術後12週における軟骨欠損作成部位と比較して明らかに強い陽性反応を示した(図8)。また、サフラニンO染色の陽性領域とII型コラーゲン免疫染色の陽性領域が良く対応していることも確認できた。
考察
実施例1に記載のHMGB1ペプチド(1-44)投与群の術後12週における膝関節の軟骨組織(図3および図5)は、サフラニンO染色において、正常マウスの膝関節の軟骨組織(図8左)と同様の強い陽性反応を示している。したがって、HMGB1ペプチド(1-44)の投与によって再生された軟骨組織は、硝子軟骨からなる正常な関節軟骨組織と同等の組織であると考えられる。
本願のペプチドを含む医薬組成物は、自然には再生し得ない関節軟骨を完全な形で再生することができるため、既存の治療薬では十分な効果が得られない軟骨疾患の患者に対して多大な恩恵をもたらすものと期待される。

Claims (2)

  1. 以下の(a)から(c)のいずれかに記載の物質を含有する、軟骨疾患の予防および/または治療のための医薬組成物であって、該軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、医薬組成物
    (a)配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド;
    (b)配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1から4個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、軟骨組織を再生する効果を有するペプチド; および
    (c)配列番号:1に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ、軟骨組織を再生する効果を有するペプチド。
  2. 以下の(a)から(c)のいずれかに記載の物質を含有する、軟骨疾患の患者において硝子軟骨を再生するための医薬組成物であって、該軟骨疾患が外傷性軟骨欠損症、変形性関節症または離断性骨軟骨炎である、医薬組成物
    (a)配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド;
    (b)配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1から4個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、硝子軟骨を再生する効果を有するペプチド; および
    (c)配列番号:1に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ、硝子軟骨を再生する効果を有するペプチド。
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