JP7447516B2 - 吊物旋回装置及び吊物旋回方法 - Google Patents

吊物旋回装置及び吊物旋回方法 Download PDF

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Description

本発明は、吊物を旋回させる吊物旋回装置及び吊物旋回方法に関する。
従来より、吊物を揚重するにあたり吊物の旋回作業は、中心軸線周りに高速回転するフライホイルを傾動させることにより生じるジャイロ効果(コントロール・モーメント・ジャイロ)を利用した吊物旋回装置により行われている場合が多い。
例えば、特許文献1では、吊物を吊り下げる吊治具に上記の吊物旋回装置を設置し、吊物の旋回作業を行っており、吊物旋回装置は、安全性を確保するべくフライホイルをフライホイルカバーに収納して高速回転させている。
特開平2014-131941号公報
フライホイルをフライホイルカバー内で高速回転させると、風損に起因して回転用モーターに負荷が生じることにより消費電力が過多になりやすいだけでなく、回転効率が低下することに伴って吊物を旋回させるためのトルクが低下しやすいことが知られている。
このため、特許文献1では、フライホイルカバーをフライホイルの外形に沿った形状に形成し、両者の隙間を狭めることにより風損の低減を図ってフライホイルの回転効率を上げ、吊物を旋回させるための必要なトルクを確保している。
しかし、フライホイルカバーをフライホイルの外形形状に沿うよう製作する作業は煩雑であるだけでなく、そのように製作してもフライホイルカバー内に空気は残存していることから風損を無視することはできず、効率性や経済性に課題を生じていた。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、効率よくかつ経済的に吊物を旋回させることの可能な、吊物旋回装置を提供することである。
かかる目的を達成するため、本発明の吊物旋回装置は、吊物を吊り下げる吊材に設けられ、フライホイルカバーに収納されたフライホイルと、該フライホイルを傾動させる傾動用駆動機構とを備え、前記フライホイルの回転と傾動により生じるジャイロ効果を利用して、前記吊物を旋回させる吊物旋回装置であって、前記フライホイルカバーは、前記収納部内の空気を排気する排気口を有するとともに、密閉機構により、前記フライホイルの収納部が密閉空間に形成され、前記密閉機構は、前記フライホイルカバーと前記フライホイルの回転軸を回転モーターに連結する連結機構との間に設けられた気密シールユニットを備え、前記気密シールユニットは、前記連結機構に接続され前記回転軸が挿通可能なシールハウジングと、該シールハウジングと前記回転軸の外周面との間に設ける磁性流体シール及びベアリングを含み、前記排気口は、排気管を装着して前記収納部内を排気したのち、前記排気管を撤去した状態で、前記収納部内の真空状態を一定期間にわたって維持可能な閉塞構造が設けられていることを特徴とする。
本発明の吊物旋回装置によれば、フライホイルカバーに設けた密閉機構にて密閉空間とされた収納部内の空気を排気口を介して排気し減圧することにより、収納部内を真空状態にできる。これにより、吊物旋回装置を用いて吊物を旋回させる際、フライホイルは真空状態の収納部内で高速回転することから、風損は無視できる程度に抑制される。したがって、フライホイルを高速回転させる際に用いる回転用モーターの負荷が低減され、これに伴い消費電力を大幅に削減することが可能となる。
また、風損が無視できる程度に抑制されることで、フライホイルの回転効率が大幅に向上する。これにより、フライホイルの直径を従来より小さくして吊物旋回装置の軽量化及びコンパクト化を図りつつ、吊物の旋回に必要なトルクを、収納部内を真空状態しない場合と同程度に維持することが可能となる。
その一方で、従来の収納部内を真空状態にしない場合と同程度の消費電力を使用してフライホイルの回転数を上昇させて、重量の大きい吊物を旋回させる、もしくは、強風等により吊物を旋回させる際の抵抗が大きい環境下において、効率よく安全に吊物を旋回させることも可能となる。
さらに、フライホイルの収納部内は、閉塞自在に形成される排気口と密閉機構により密閉空間となることから、収納部内の空気を連続的に排気しなくとも一定期間にわたって真空状態を保持できる。したがって、吊物旋回装置を吊材に設置し、クレーンに吊り下げられた状態において、減圧装置を常設して連続的に稼働させる等の手間を省略でき、簡略な構成で経済的にフライホイルの回転効率を向上させることが可能となる。
本発明の吊物旋回装置によれば、密閉機構が磁性流体シールを備えることから、これをフライホイルの回転軸とフライホイルカバーとの隙間近傍に用いることにより、回転軸の回転を阻害することなく、フライホイルの収納部内の真空状態を確実に保持することが可能となる。
本発明の吊物旋回装置は、前記フライホイルカバーが、前記フライホイルに沿う形状に形成されていることを特徴とする。
本発明の吊物旋回装置は、前記フライホイルの回転軸の両端部各々に、回転用モーターが連結されていることを特徴とする。また、本発明の吊物旋回方法は、本発明の吊物旋回装置を用いた吊物旋回方法であって、フライホイルカバーに設けた排気口に排気管を装着し、減圧装置を稼働させてフライホイルの収納部内を排気する工程と、前記収納部内を所定の圧力まで減圧して真空状態としたのち、前記排気管及び前記減圧装置を撤去する工程と、前記フライホイルを高速回転させる工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の吊物旋回装置によれば、回転軸を挟んで複数の回転用モーターを並列連結するから、専用モーターを用いることなく一般的なモーターで重負荷に対応できるため、吊物旋回装置に従来より直径の大きいフライホイルを採用し、より重量の大きい吊物を効率よく旋回させることが可能となる。
本発明によれば、フライホイルカバーに、フライホイルの収納部内を密閉空間とするための密閉機構と、収納部内の空気を排気する排気口と、を設けることから、排気口を利用して収納部内を真空状態とすることで、フライホイルの回転効率を向上させつつ消費電力を低減させ、効率よくかつ経済的に吊物を旋回させることが可能となる。
本発明の実施の形態における吊物旋回装置の設置状況を示す図である。 本発明の実施の形態における吊物旋回装置の概略を示す図である。 本発明の実施の形態におけるフライホイルユニットの詳細を示す図である。 本発明の実施の形態におけるフライホイルカバー周辺部分の詳細を示す図である。 本発明の実施の形態における吊物旋回装置の動作を示す図である。 本発明の実施の形態における収納部を真空状態にしてフライホイルを高速回転させた場合の電流値推移を示すグラフある。 本発明の実施の形態における収納部を真空状態にしてフライホイルを高速回転させた場合の収納部内の圧力推移を示すグラフである。
本発明の吊物旋回装置は、様々な形状の吊物をいずれの装置にて揚重し旋回させる場合にも採用可能であるが、本実施の形態では、箱型の吊物をクレーンを介して揚重し旋回させる場合を事例に挙げ、吊物旋回装置の詳細を、図1~図7を参照しつつ説明する。
図1で示すように、クレーンフックHからワイヤーWを介して吊り下されている吊材200には、吊物Sが垂下されているとともに、吊物旋回装置100が設置されている。
吊物旋回装置100は、図2(a)の側面図、及び図2(b)の上方から見た平面図で示すように、箱形状の保護フレーム110と、保護フレーム110内に配置されたフライホイルユニット120と、フライホイルユニット120を傾動自在に支持する支持フレーム130と、支持フレーム130に設置されてフライホイルユニット120を傾動する傾動用駆動機構140とを備えている。
<フライホイルユニット120>
フライホイルユニット120は、図3及び図4で示すように、円盤状のフライホイル10とフライホイル10を収納するフライホイルカバー20と、フライホイル10の軸線上に配置され、フライホイル10及びフライホイルカバー20を貫通する回転軸30と、を備えている。さらに、回転軸30の両端には、連結機構40を介して連結される一対の回転用モーター50と、フライホイルカバー20と回転軸30との間に生じる隙間近傍を密閉する気密シールユニット60と、を備えている。
フライホイル10は、図4及び図5で示すように、表裏面に凹凸を有し、中央に貫通孔11を有する円盤状部材であり、外周部が内周部よりも厚肉に形成されている。このような形状のフライホイル10は、フライホイルカバー20に密閉状態で収納されている。
フライホイルカバー20は、図3及び図4で示すように、内方にフライホイル10が収まる収納部211を有する容器部21と、収納部211を覆うようにして、容器部21に対して着脱自在に固定される蓋部22とを備え、蓋部22と容器部21との間にはリング状シール材23が介装されている。
また、容器部21の外周面には、フライホイル10の中心点を径方向に通過する同一直線上に設けられた、一対の支軸24が設けられ、該支軸24を介してフライホイルユニット120は、図2(b)で示すように、後述する支持フレーム130に支持されている。
さらに、容器部21には図4で示すように、排気管301を装着することが可能で、かつ閉塞自在な排気口212が設けられている。排気口212の閉塞構造としては、例えば収納部211内の空気を排気できるものの、外気を収納部211内に取り込むことのできない逆止弁等、収納部211内の空気を排気したのち、収納部211内の真空状態を一定期間にわたって維持できる程度に閉塞可能な構造であれば、いずれを採用してもよい。
また、容器部21と蓋部22にはそれぞれ、フライホイル10を収納した際にフライホイル10の中央に設けられた貫通孔11と連通する孔部213、221がそれぞれ形成されている。そして、これらフライホイル10の貫通孔11及びフライホイルカバー20の孔部213、221には、回転軸30が挿通されている。
回転軸30は、図3で示すように、フライホイル10に固定されているものの、フライホイルカバー20には固定されない態様で、フライホイル10の軸線上で、フライホイル10及びフライホイルカバー20を貫通して配置される。したがって、回転軸30を回転させると、フライホイル10は回転軸30周りに高速回転するものの、フライホイルカバー20が回転することはない。
また、回転軸30の両方の端部31には各々、連結機構40を介して回転用モーター50が連結されており、これら2基の回転用モーター50を同期させて駆動することにより回転軸30が高速回転し、これに伴ってフライホイル10も回転軸30周りに高速回転することとなる。
なお、回転用モーター50は、本実施の形態において、回転軸30を挟んで対をなすように2個設けているが、必ずしもこれに限定するものではなく、回転軸30のいずれか一方に1個のみ設ける構成としてもよい。
また、連結機構40は、回転軸30の端部31と回転用モーター50のモーター軸51とを連結するカップリング41と、このカップリング41を覆うハウジング42とを備えている。
カップリング41は、モーター軸51の連結に一般に用いられているいずれの形状のものを採用してもよいが、本実施の形態では、振動や衝撃に強いことで知られている、樹脂スペーサーを2個のハブで挟み込んだいわゆるジョー形を採用している。これらカップリング41を覆うハウジング42は筒型形状をなし、その一端に前述した回転用モーター50が設置され、他端には、回転軸30が貫通される気密シールユニット60が設置されている。
気密シールユニット60は、図3で示すように、フライホイルカバー20の両面各々と連結機構40との間に対をなして設けられており、シールハウジング61と、磁性流体シール62と、ベアリング63とを備えている。
シールハウジング61は、回転軸30が挿通可能な筒型形状をなし、一端が連結機構40のハウジング42に接続され、他端がフライホイルカバー20の容器部21もしくは蓋部22に接続される。そして、回転軸30の外周面と対向する内周面にベアリング63が設けられており、回転用モーター50を駆動させると回転軸30は、このベアリング63を介してシールハウジング61内で、スムーズに回転する。
また、磁性流体シール62も、シールハウジング61における回転軸30の外周面と対向する内周面に設けられている。磁性流体シール62は、強磁性体を液体中に均一に分散させた複合材料として一般に知られている磁性流体を、Oリングのごとく機能させるものである。
本実施の形態では、回転軸30の外周面と、フライホイルカバー20の容器部21に設けた孔部213もしくは蓋部22に設けた孔部221との隙間を介して、フライホイル10の収納部211に外気が流入することのないよう、フライホイルカバー20に設けたシールハウジング61の内周面と回転軸30の外周面との隙間に、磁力を利用して磁性流体を保持させている。
このように、フライホイル10の収納部211は、磁性流体シール62を備えた気密シールユニット60により、回転軸30周りとフライホイルカバー20との隙間近傍を密閉され、また、前述したリング状シール材23により、容器部21と蓋部22との間を隙間を封止されて、密閉空間が形成される。つまり、収納部211に密閉空間を形成する密閉機構は、磁性流体シール62を備えた気密シールユニット60と、リング状シール材23とを備えている。
<支持フレーム130>
上述するフライホイルユニット120を支持する支持フレーム130は、図2(a)(b)で示すように、上記のフライホイルユニット120を囲繞する大きさの長方形状の上枠部131及び下枠部132と、これらを連結する複数の柱部133とを備えている。また、上枠部131の上面には軸受134が設けられて、この軸受134にフライホイルカバー20に設けた一対の支軸24が回転可能に支持されている。
<傾動用駆動機構140>
また、上述するフライホイルユニット120を傾動する傾動用駆動機構140は、図2(a)で示すように、支持フレーム130の外側面に設けられており、フライホイルカバー20に設けた一対の支軸24の一方が挿入されるギアボックス141と、ギアボックス141の下部に設けられた傾動用モーター142とを備えている。
ギアボックス141には、傾動用モーター142の出力軸(図示せず)が挿入されているとともに、この出力軸とフライホイルカバー20の支軸24とを連結するギア(図示せず)が内蔵されている。これにより、傾動用モーター142を駆動すると、ギア及び支軸24を介してフライホイルカバー20に支軸24周りの回動力が付与され、フライホイルカバー20とその中に収納されているフライホイル10がともに、容器部21側もしくは蓋部22側に傾動する。
<吊物旋回装置を用いた吊物旋回方法>
このような構成の吊物旋回装置100を用いて吊物Sを旋回させる際の、手順の一例を以下に示す。
まず、図3及び図4で示すように、フライホイル10をフライホイルカバー20に収納してフライホイルユニット120を組み立てるとともに、フライホイル10が収納される収納部211を、リング状シール材23及び気密シールユニット60を備える密閉機構により密閉し、密封空間を形成する。
次に、図2で示すように、フライホイルユニット120を支持フレーム130に支持させるとともに、傾動用駆動機構140を装着して吊物旋回装置100を組み立て、吊材200の所定位置に設置する。
そして、図4で示すように、フライホイルカバー20に設けた排気口212に排気管301の一端を装着し、また、排気管301の他端に減圧装置302を接続し、減圧装置302を稼働させて収納部211内の空気を排気し減圧する。こうして、収納部211内を所定の圧力まで減圧して真空状態としたのち、排気口212を閉塞するとともに、排気管301及び減圧装置302を撤去する。
こののち、並列連結された2個の回転用モーター50を同期させて駆動し、連結機構40のカップリング41及び回転軸30を介してフライホイル10を高速回転させる。これらの作業が終了したのち、図1で示すように吊材200を介して垂下させた吊物Sの旋回作業を行う。
このように、排気口212が逆止弁等の閉塞構造を有していることから、密閉機構と相まって収納部211内の真空状態を保持できるため、排気管301及び減圧装置302を撤去した状態で吊材200を介してクレーンに吊り下げ、吊物Sの旋回作業を行うことができる。なお、減圧装置302を稼働させて収納部211内の空気を排気し減圧する減圧作業は、フライホイル10を高速回転させる前後のいずれのタイミングで実施してもよい。
<吊物旋回装置100の動作>
上述する構成の吊物旋回装置100は、図5で示すように、回転用モーター50を駆動しフライホイル10を回転軸30回りに高速回転させた状態で、傾動用駆動機構140の傾動用モーター142を駆動させてフライホイルユニット120を支軸24回りに所定角度だけ傾動させると、吊物旋回装置100がモーメント軸101回りに旋回し、これに伴って吊物Sを旋回することができる。
一方、吊物旋回装置100及び吊物Sがモーメント軸101回りに回転している状態において、傾動用モーター142の電磁ブレーキを開いて、フライホイルユニット120(フライホイル10は高速回転を維持)を支軸24回りに慣性力で傾転させる。すると、吊物Sの旋回方向とは逆方向のジャイロモーメントがモーメント軸101回りに発生し、吊物旋回装置100及び吊物Sの旋回は停止する。
また、傾動させたフライホイルユニット120を、フライホイル10を回転軸30が水平になる位置(中立位置)まで復帰させる際には、傾動用モーター142を駆動してフライホイルユニット120を立て起こし、回転軸30が水平になったところで、傾動用モーター142の電磁ブレーキを閉じればよい。
上記の吊物旋回装置100によれば、フライホイル10は、真空状態となっている収納部211内で高速回転するから、風損が無視できる程度まで抑制されている。このため、収納部211内を真空状態としない場合と比較して、回転用モーター50の負荷を低減でき、消費電力を大幅に削減することが可能となる。
フライホイル10の収納部211内は、リング状シール材23及び気密シールユニット60を備える密閉機構により密閉空間となっていることから、収納部211内の空気を連続的に排気しなくとも、一定期間にわたって真空状態を保持できる。したがって、吊物旋回装置100に減圧装置302を常設して連続的に稼働させる等の手間を省略できる。
ここで、真空状態でフライホイル10を高速回転させることにより得られる風損低減効果と、密閉機構による収納部211の密閉性能効果とを確認するべく、以下のような試験を行った。
具体的には、真空状態にした収納部211内でフライホイル10を、回転用モーター50を駆動して高速回転させる試験を3回(以下、「真空1回目」「真空2回目」「真空3回目」という)と、減圧作業を行わない通常状態(大気圧状態)の収納部211内でフライホイル10を高速回転させる試験を1回(以下、「真空無し」という。)行った。
これら合計4回の試験を行うごとに、回転用モーター50の電流値及び周波数を、1秒間隔で測定した。また、真空1回目~真空3回目の試験ではさらに、収納部211内の圧力を、1秒間隔で測定した。
なお、真空1回目では、フライホイル10を高速回転させたのちに、目標真空圧を-0.05Mpaに設定して減圧作業を行った。一方、真空2回目及び真空3回目では、フライホイル10を高速回転させる前に、目標真空圧を-0.07Mpaに設定して減圧作業を行った。
図6に、回転用モーター50の電流値の時間推移を現したグラフを示す。これを見ると、真空1回目~真空3回目のいずれの場合にも、最大電流及び定常電流がともに、真空無しより低い様子がわかる。特に、フライホイル10を高速回転させたのちに減圧作業を行った真空1回目では、真空無しと比較して最大電流及び定常電流が大きく低下しており、消費電力を大幅に削減できる様子がわかる。
次に、図7(a)~(c)に、収納部211内の圧力の時間推移を現したグラフを示す。これを見ると、フライホイル10を高速回転させる前後のいずれの段階で、収納部211内の減圧作業を行った場合にも、30分程度の間で収納部211内の圧力に大きな変動は見られず、一定期間にわたって真空状態が維持されている様子がわかる。
本発明の吊物旋回装置100によれば、真空状態にした収納部211内でフライホイル10を高速回転させることから、風損を無視できる程度に抑制しフライホイル10の回転効率を向上することができるため、モーメント軸101回りに作用するジャイロモーメントを増大させることができる。
これにより、フライホイル10の直径を従来より小さくして吊物旋回装置100の軽量化及びコンパクト化を図りつつ、吊物Sの旋回に必要なトルクを、収納部211内を真空状態しない場合と同程度に維持することが可能となる。
その一方で、収納部211内を真空状態にしない場合と同程度の消費電力を使用してフライホイル10の回転数を上昇させて、重量の大きい吊物Sを旋回させる、もしくは、強風等により吊物Sを旋回させる際の抵抗が大きい環境下において、効率よく安全に吊物Sを旋回させることの可能なトルクを発生させることも可能となる。
また、本実施の形態では、2個の回転用モーター50を並列配置していることから、回転用モーター50各々の負荷を低減し、より小さく軽量のモーターを使用することができ、フライホイルユニット120全体のコンパクト化及び軽量化に、さらに貢献することが可能となる。
さらに、2個の回転用モーター50が回転軸30を挟んで並列連結されているから、専用のモータを用いなくても重負荷に対応できるため、従来より直径の大きいフライホイル10を高速回転させて、より重量の大きい吊物Sを効率よく安全に旋回することも可能となる。
本発明の吊物旋回装置100は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、フライホイルカバー20と回転軸30との間の隙間近傍を密閉する手段として、気密シールユニット60に磁性流体シール62を採用したが、回転軸30の回転を阻害することなくこの隙間近傍を密閉可能な手段であれば、いずれのシール材を採用してもよい。
また、本実施の形態では、フライホイルカバー20の容器部21と蓋部22との間に介装されるリング状シール材23、及び磁性流体シール62を備える気密シールユニット60で、フライホイルカバー20に設けた収納部211を密閉する密閉機構を構成したが、必ずしもこれに限定するものではない。
例えば、容器部21と蓋部22との間に介装されるリング状シール材23が不要な場合には、磁性流体シール62を備える気密シールユニット60のみで密閉機構を構成してもよい。また、収納部211の密閉性を高めるうえで、フライホイルカバー20の他の部位に種々のシール材を設ける必要がある場合には、適宜必要なシール材を採用し、これらを含めて密閉機構を構成してもよい。
さらに、本実施の形態では、回転用モーター50を回転軸30の両端各々に1個ずつ合計2個設けたが、これに限定されるものではなく、並列連結した複数個の回転用モーター50を、回転軸30の両端各々に設けてもよい。
100 吊物旋回装置
110 保護フレーム
120 フライホイルユニット
130 支持フレーム
131 上枠部
132 下枠部
133 柱部
140 傾動用駆動機構
141 ギアボックス
142 傾動用モーター
10 フライホイル
11 貫通孔
20 フライホイルカバー
21 容器部
211 収納部
212 排気口
213 孔部
22 蓋部
221 孔部
23 リング状シール材(密閉機構)
24 支軸
30 回転軸
31 端部
40 連結機構
41 カップリング
42 ハウジング
50 回転用モーター
51 モーター軸
60 気密シールユニット
61 シールハウジング
62 磁性流体シール(密閉機構)
63 ベアリング
200 吊材
301 排気管
302 減圧装置
H クレーンフック
W ワイヤー
S 吊物

Claims (4)

  1. 吊物を吊り下げる吊材に設けられ、
    フライホイルカバーに収納されたフライホイルと、該フライホイルを傾動させる傾動用駆動機構とを備え、
    前記フライホイルの回転と傾動により生じるジャイロ効果を利用して、前記吊物を旋回させる吊物旋回装置であって、
    前記フライホイルカバーは、
    前記収納部内の空気を排気する排気口を有するとともに、
    密閉機構により、前記フライホイルの収納部が密閉空間に形成され、
    前記密閉機構は、前記フライホイルカバーと前記フライホイルの回転軸を回転モーターに連結する連結機構との間に設けられた気密シールユニットを備え、
    前記気密シールユニットは、前記連結機構に接続され前記回転軸が挿通可能なシールハウジングと、該シールハウジングと前記回転軸の外周面との間に設ける磁性流体シール及びベアリングを含み、
    前記排気口は、排気管を装着して前記収納部内を排気したのち、前記排気管を撤去した状態で、前記収納部内の真空状態を一定期間にわたって維持可能な閉塞構造が設けられていることを特徴とする吊物旋回装置。
  2. 請求項1に記載の吊物旋回装置において、
    前記フライホイルカバーが、前記フライホイルに沿う形状に形成されていることを特徴とする吊物旋回装置。
  3. 請求項1または2に記載の吊物旋回装置において、
    前記フライホイルの回転軸の両端部各々に、回転用モーターが連結されていることを特徴とする吊物旋回装置。
  4. 請求項1に記載の吊物旋回装置を用いた吊物旋回方法であって、
    フライホイルカバーに設けた排気口に排気管を装着し、減圧装置を稼働させてフライホイルの収納部内を排気する工程と、
    前記収納部内を所定の圧力まで減圧して真空状態としたのち、前記排気管及び前記減圧装置を撤去する工程と、
    前記フライホイルを高速回転させる工程と、
    を備えることを特徴とする吊物旋回方法。
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