JP7444543B2 - エポキシ系硬化性組成物ならびに硬化物およびその製造方法 - Google Patents

エポキシ系硬化性組成物ならびに硬化物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ成分、硬化剤および窒化ホウ素粒子を含み、かつ前記エポキシ成分および/または前記硬化剤が9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する硬化性組成物ならびにこの組成物の硬化物およびこの硬化物の製造方法に関する。
各種電気機器に用いられるプリント配線板用の積層板においては、電子機器の進歩に伴い、信号伝達速度の向上を目的として、低誘電特性を有する材料が要求されている。また、はんだ付のリフロー処理などの高熱処理に耐え得る、より高い耐熱性も求められている。従来から、このような用途には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。さらに、前記電子機器には、電子回路を保護するためには、機器内で発生した熱を放熱することが必要とされるが、放熱するためのフィラーとしては、熱伝導性を有しながら絶縁性である窒化ホウ素粒子が広く利用されている。
窒化ホウ素粒子の凝集体が用いられているにも拘わらず、熱伝導性を高くし、かつボイドの発生を抑制できる熱硬化性材料として、エポキシ基を有する熱硬化性化合物と、熱硬化剤と、複数の窒化ホウ素粒子とを含み、前記窒化ホウ素粒子が凝集した凝集体を含む熱硬化性材料が開示されている(特許文献1)。
また、熱伝導性および耐電圧性の双方を高めることができる熱硬化性シートとして、エポキシ化合物などの熱硬化性化合物と、熱硬化剤と、複数の窒化ホウ素粒子を含む熱硬化性シートが開示されている(特許文献2)。
さらに、耐熱性、成形性および熱伝導性に優れる熱伝導シートとして、窒化ホウ素粒子と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有し、前記エポキシ樹脂が、結晶性ビスフェノール型エポキシ樹脂を含有し、前記硬化剤がフェノール樹脂を含有する熱伝導性シートが開示されている(特許文献3)。
特開2018-188628号公報 特開2018-188632号公報 特開2013-159759号公報
しかし、特許文献1~3の硬化性材料やシートでも熱伝導性は十分ではなかった。特に、熱伝導性を向上させるために、窒化ホウ素粒子の充填率を上げると、空隙が発生するためか、熱伝導性を十分に向上できない。
従って、本発明の目的は、高充填率で窒化ホウ素粒子を充填しても、熱伝導性を向上できる硬化性組成物ならびにこの組成物の硬化物およびこの硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、エポキシ成分(A)、硬化剤(B)および窒化ホウ素粒子(C)を含む硬化性組成物において、前記エポキシ成分(A)および/または硬化剤に9,9-ビスアリールフルオレン骨格を導入することにより、高充填率で窒化ホウ素粒子を充填しても、熱伝導性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、エポキシ成分(A)、硬化剤(B)および窒化ホウ素粒子(C)を含む硬化性組成物であって、前記エポキシ成分(A)および前記硬化剤(B)の少なくとも一方が、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する。前記エポキシ成分(A)は、下記式(1)で表される化合物またはその多量体であってもよい。
Figure 0007444543000001
(式中、環ZおよびZは同一のまたは互いに異なるアレーン環を示し、RおよびRは水素原子またはメチル基を示し、AおよびAは同一のまたは互いに異なるアルキレン基を示し、m1およびm2は同一のまたは互いに異なって0以上の整数を示し、n1およびn2は同一のまたは互いに異なって1以上の整数を示し、RおよびRは同一のまたは互いに異なるエポキシ基に対して非反応性の置換基を示し、p1およびp2は同一のまたは互いに異なって0以上の整数を示し、Rはエポキシ基に対して非反応性の置換基を示し、kは0~8の整数を示す)。
前記窒化ホウ素粒子(C)の中心粒径は20μm以上であってもよい。前記窒化ホウ素粒子(C)の形状は板状であってもよい。前記エポキシ化合物(A)の割合は、前記窒化ホウ素粒子(C)100質量部に対して1~50質量部程度である。前記窒化ホウ素粒子(C)の割合は組成物中50質量%以上であってもよい。前記硬化剤(B)はフェノール樹脂系硬化剤であってもよい。前記硬化性組成物は、リン系硬化促進剤をさらに含んでいてもよい。
本発明には、前記硬化性組成物が硬化した硬化物も含まれる。この硬化物において、前記窒化ホウ素粒子(C)の体積割合は50体積%以上であってもよい。
本発明には、前記硬化性組成物を加熱して硬化させ、前記硬化物を製造する方法も含まれる。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、置換基の炭素原子の数をC、C、C10などで示すことがある。例えば、「Cアルキル基」は炭素数が1のアルキル基を意味し、「C6-10アリール基」は炭素数が6~10のアリール基を意味する。
本発明では、エポキシ成分(A)、硬化剤(B)および窒化ホウ素粒子(C)を含む硬化性組成物において、前記エポキシ成分(A)および/または硬化剤が9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するため、高充填率で窒化ホウ素粒子を充填しても、熱伝導性を向上できる。特に、前記エポキシ成分(A)および/または前記硬化剤(B)が効果的に作用するためか、前記窒化ホウ素粒子(C)が板状であっても、熱伝導性を向上できる。さらに、前記エポキシ成分(A)および/または前記硬化剤(B)は9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有しているため、耐熱性も向上できる。
[エポキシ成分(A)]
エポキシ成分(A)は、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン含有エポキシ成分であってもよく、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有さないフルオレン非含有エポキシ成分であってもよいが、熱伝導性や耐熱性などの点から、フルオレン含有エポキシ成分を含むのが好ましい。
フルオレン含有エポキシ成分は、9,9-ビスアリールフルオレン骨格とエポキシ基(またはオキシラン骨格)とを有していればよく、1つのエポキシ基を有する単官能エポキシ成分であってもよいが、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ成分であるのが好ましい。フルオレン含有エポキシ成分として代表的には、例えば、前記式(1)で表されるエポキシ成分またはその多量体などが挙げられる。
前記式(1)において、環ZおよびZで表される芳香族炭化水素環(またはアレーン環)としては、ベンゼン環などの単環式芳香族炭化水素環(単環式アレーン環)、多環式芳香族炭化水素環(多環式アレーン環)に大別される。多環式芳香族炭化水素環としては、縮合多環式芳香族炭化水素環(縮合多環式アレーン環)、環集合芳香族炭化水素環(環集合アレーン環)などが挙げられる。
縮合多環式アレーン環としては、縮合二環式アレーン環、縮合三環式アレーン環などの縮合二ないし四環式アレーン環などが挙げられる。縮合二環式アレーン環としては、ナフタレン環などの縮合二環式C10-16アレーン環などが挙げられる。縮合三環式アレーン環としては、アントラセン環、フェナントレン環などが挙げられる。
環集合アレーン環としては、ビC6-12アレーン環などのビアレーン環、テルC6-12アレーン環などのテルアレーン環などが挙げられる。ビC6-12アレーン環としては、ビフェニル環;ビナフチル環;1-フェニルナフタレン環、2-フェニルナフタレン環などのフェニルナフタレン環などが挙げられる。テルC6-12アレーン環としては、テルフェニレン環などが挙げられる。
これらの芳香族炭化水素環のうち、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環などのC6-12アレーン環が好ましく、窒化ホウ素粒子(C)との相溶性に優れる点から、ベンゼン環などのC6-10アレーン環が特に好ましい。環Zと環Zとは、異なる環であってもよいが、通常、同一の環である。
基RおよびRは、水素原子およびメチル基のいずれであってもよいが、反応性の観点から水素原子が好ましい。基Rと基Rとは、互いに異なっていてもよいが、通常、同一である。
前記式(1)において、アルキレン基AおよびAとしては、エチレン基、プロピレン基(1,2-プロパンジイル基)、トリメチレン基、1,2-ブタンジイル基、テトラメチレン基などの直鎖状または分岐鎖状C2-6アルキレン基などが挙げられる。これらのうち、直鎖状または分岐鎖状C2-4アルキレン基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状C2-3アルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好ましい。
オキシアルキレン基(OA)およびオキシアルキレン基(OA)の繰り返し数(付加モル数)m1およびm2は、それぞれ0以上の整数であればよく、例えば0~15であってもよく、好ましい繰り返し数m1およびm2は、以下段階的に、0~10、0~8、0~6、0~4、0~2、0~1の整数であり、最も好ましくは0である。なお、本明細書および特許請求の範囲において、「繰り返し数(付加モル数)」は、平均値(算術平均値、相加平均値)または平均付加モル数であってもよく、好ましい態様は、好ましい整数の範囲と同様である。繰り返し数m1およびm2が大きすぎると、樹脂の屈折率が低下する虞がある。m1またはm2が2以上の場合、2以上のオキシアルキレン基(OA)またはオキシアルキレン基(OA)は、それぞれ同一または異なっていてもよい。また、オキシアルキレン基(OA)とオキシアルキレン基(OA)とは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
エポキシ含有基の置換数n1およびn2は、1以上の整数であればよく、環ZおよびZの種類に応じて適宜選択でき、それぞれ、例えば1~4程度の範囲から選択してもよい。好ましいn1およびn2としては、以下、段階的に、それぞれ1~3、1~2であって、特に1が好ましい。置換数n1とn2とは、異なる置換数であってもよいが、通常、同一の置換数である。
エポキシ含有基の置換位置は特に制限されず、環ZおよびZの適当な位置に置換できる。例えば、n1およびn2が1、環ZおよびZがベンゼン環であるとき、2~6位のいずれであってもよく、2位、3位、4位などが挙げられ、好ましくは3位、4位、特に4位である。また、n1およびn2が1、環ZおよびZがナフタレン環である場合には、ナフチル基の5~8位である場合が多く、例えば、フルオレンの9位に対してナフタレン環の1位または2位が置換し(1-ナフチルまたは2-ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、好ましくは1,5位、2,6位などの関係、特に2,6位の関係で置換している場合が多い。また、n1およびn2が1、環ZおよびZがビフェニル環である場合、フルオレンの9位に結合したアレーン環またはこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環の3位または4位がフルオレンの9位に結合していてもよく、ビフェニル環の3位がフルオレンの9位に結合しているとき、エポキシ含有基の置換位置は、2位、4~6位、および2’~6’位のいずれであってもよく、通常、4位、5位、6位、3’位、4’位、好ましくは4位、6位、4’位、特に、6位に置換していてもよい。
前記式(1)において、RおよびRで表される置換基としては、エポキシ基に対する非反応性の置換基であれば特に限定されないが、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-10アルキル基、好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5-10シクロアルキル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、アルキルフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基などのC6-12アリール基などが挙げられる。アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基(キシリル基)などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などのC6-10アリール-C1-4アルキル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-10アルコキシ基などが挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、シクロヘキシルオキシ基などのC5-10シクロアルキルオキシ基などが挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基などのC6-10アリールオキシ基などが挙げられる。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基などのC6-10アリール-C1-4アルキルオキシ基などが挙げられる。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などのC1-10アルキルチオ基などが挙げられる。シクロアルキルチオ基としては、シクロヘキシルチオ基などのC5-10シクロアルキルチオ基などが挙げられる。アリールチオ基としては、チオフェノキシ基などのC6-10アリールチオ基などが挙げられる。アラルキルチオ基としては、ベンジルチオ基などのC6-10アリール-C1-4アルキルチオ基などが例示できる。アシル基としては、アセチル基などのC1-6アシル基などが挙げられる。
これらの置換基のうち、代表的には、ハロゲン原子;アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基などの炭化水素基;アルコキシ基;アシル基;ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基などが挙げられる。好ましいRおよびRとしては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基などが挙げられ、アルキル基としては、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基などが挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基などのC6-14アリール基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルコキシ基などが挙げられる。特に、アルキル基として、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基が挙げられる。置換基Rと置換基Rとは、異なる置換基であってもよいが、通常、同一の置換基である。
およびRの置換数p1およびp2は、0以上の整数であればよく、ZおよびZの種類に応じて適宜選択でき、それぞれ、例えば0~8の整数であってもよく、好ましい置換数p1およびp2は、以下段階的に、0~4の整数、0~3の整数、0~2の整数、0または1であり、0が最も好ましい。置換数p1とp2とは、異なる置換数であってもよいが、通常、同一の置換数である。また、置換数p1およびp2が2以上である場合、2以上のRまたはRの種類は、同一または異なっていてもよい。特に、p1およびp2が1である場合、ZおよびZがベンゼン環、ナフタレン環またはビフェニル環、RおよびRがメチル基であるのが好ましい。また、RおよびRの置換位置は特に制限されず、ZおよびZと、エーテル結合(-O-)およびフルオレン環の9位との結合位置以外の位置に置換していればよい。
前記式(1)において、Rで表される置換基としては、エポキシ基に対する非反応性の置換基であれば特に限定されないが、アルキル基やアリール基などの炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基などのC6-10アリール基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。これらの置換基のうち、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子が好ましく、直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基が特に好ましい。さらに、直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基の中でも、C1-3アルキル基が好ましく、メチル基などのC1-2アルキル基が特に好ましい。
の置換数kは、0~8の整数であり、好ましい範囲としては、以下段階的に、0~6の整数、0~4の整数、0~2の整数であり、0が最も好ましい。なお、kが2以上の場合、それぞれのRの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、kが2以上である場合、同一のまたは異なるベンゼン環に置換する2以上のRの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、Rの置換位置は特に制限されず、例えば、フルオレン環の2位ないし7位のいずれであってもよく、通常、2位、3位および7位のいずれかである。
代表的な式(1)で表されるエポキシ化合物としては、m1およびm2が0である化合物と、m1およびm2が1以上である化合物とに大別できる。
前記式(1)において、m1およびm2が0である化合物としては、9,9-ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン類、9,9-ビス(ポリグリシジルオキシフェニル)フルオレン類、9,9-ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン類などが挙げられる。
9,9-ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン類としては、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン;9,9-ビス(3-メチル-4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(3,5-ジメチル-4-グリシジルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(モノまたはジC1-4アルキル-グリシジルオキシフェニル)フルオレン;9,9-ビス(3-フェニル-4-グリシジルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(モノ又はジC6-10アリール-グリシジルオキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(ポリグリシジルオキシフェニル)フルオレン類としては、9,9-ビス(3,4-ジグリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(3,5-ジグリシジルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(ジまたはトリグリシジルオキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン類としては、9,9-ビス(6-グリシジルオキシ-2-ナフチル)フルオレン、9,9-ビス(5-グリシジルオキシ-1-ナフチル)フルオレンなどの9,9-ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレンなどが挙げられる。
前記式(1)において、m1およびm2が0である化合物は、これらの化合物のグリシジルオキシ基を2-メチルグリシジルオキシ基に置換した化合物であってもよい。
前記式(1)において、m1およびm2が1以上である化合物として具体的には、前記m1およびm2が0である化合物として例示した化合物に対応してm1およびm2が1以上である化合物などが挙げられる。このような化合物としては、9,9-ビス(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類、9,9-ビス(ポリグリシジルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類、9,9-ビス(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類などが挙げられる。
9,9-ビス(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類としては、9,9-ビス[4-(2-グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9-ビス(グリシジルオキシ(ポリ)C2-4アルコキシ-フェニル)フルオレン;9,9-ビス[4-(2-グリシジルオキシエトキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-グリシジルオキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス(モノまたはジC1-4アルキル-グリシジルオキシ(ポリ)C2-4アルコキシ-フェニル)フルオレン;9,9-ビス[4-(2-グリシジルオキシエトキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス(モノまたはジC6-10アリール-グリシジルオキシ(ポリ)C2-4アルコキシ-フェニル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(ポリグリシジルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類としては、9,9-ビス(3,4-ジ(2-グリシジルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(3,5-ジ(2-グリシジルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(ジまたはトリグリシジルオキシ(ポリ)C2-4アルコキシ-フェニル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類としては、9,9-ビス[6-(2-グリシジルオキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-グリシジルオキシエトキシ)-1-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレンなどが挙げられる。
前記式(1)において、m1およびm2が1以上である化合物は、これらの化合物のグリシジルオキシ基を2-メチルグリシジルオキシ基に置換した化合物であってもよい。
なお、本明細書および特許請求の範囲において「(ポリ)アルコキシ」とは、アルコキシおよびポリアルコキシの双方を含む意味で用いる。
これらの前記式(1)で表されるエポキシ化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの前記式(1)で表されるエポキシ化合物うち、m1およびm2が0である化合物が好ましく、なかでもn1およびn2が1である9,9-ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン類、9,9-ビス(グリシジルオキナフチル)フルオレン類が好ましく、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレンが好ましい。
前記式(1)で表されるエポキシ化合物の多量体としては、複数の9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有していればよく、例えば、2つの9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する二量体、3つの前記骨格を有する三量体、4つの前記骨格を有する四量体などの二乃至十量体であってもよい。なお、複数の9,9-ビスアリールフルオレン骨格は、通常、2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル基などを介して連結されている。このような多量体は、慣用の方法で調製してもよく、例えば、前記式(1)において基RおよびRを有するグリシジル基(エポキシ含有基)を水素原子に置き換えたポリヒドロキシ化合物と、エピクロロヒドリンなどのエピハロヒドリンとを、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ存在下で反応させる一段法(タフィー法又は直接法)や;前記式(1)で表されるエポキシ成分と、前記ポリヒドロキシ化合物とを、アルカリ金属塩(水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウムなど)などの付加触媒の存在下で反応させる二段法(Advanced法、溶融法又は間接法)などが挙げられる。前記式(1)で表されるエポキシ化合物の多量体は、単独で用いてもよく、前記式(1)で表されるエポキシ化合物(または単量体)と組み合わせて用いてもよい。通常、前記式(1)で表されるエポキシ化合物が汎用される。
エポキシ成分(A)中のフルオレン含有エポキシ成分の割合は50質量%以上であってもよく、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%(フルオレン含有エポキシ成分のみ)が最も好ましい。
フルオレン非含有エポキシ成分としては、慣用のエポキシ成分を使用できる。慣用のエポキシ成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;キサンテン単位を含むエポキシ樹脂などの複素環型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレンなどの縮合環芳香族炭化水素変性エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの他のエポキシ成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂が汎用される。
フルオレン非含有エポキシ成分の割合は、フルオレン含有エポキシ成分(A)100質量部に対して100質量部以下であってもよく、好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、最も好ましくは10質量部以下である。
前記エポキシ成分(A)の割合は、前記窒化ホウ素粒子(C)100質量部に対して1~50質量部程度の範囲から選択でき、例えば3~40質量部、好ましくは5~30質量部、さらに好ましくは6~20質量部、最も好ましくは8~15質量部である。この割合は、フルオレン含有エポキシ成分の割合であってもよい。前記エポキシ成分(A)の割合が少なすぎると、硬化物の機械的特性が低下する虞があり、逆に多すぎると、熱伝導性が低下する虞がある。
[硬化剤(B)]
硬化剤(B)は、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン含有硬化剤であってもよく、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有さないフルオレン非含有硬化剤であってもよいが、エポキシ成分(A)が9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する場合、取り扱い性などの点から、フルオレン非含有硬化剤を含むのが好ましい。
フルオレン非含有硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として利用される慣用の硬化剤を使用できる。慣用の硬化剤としては、アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤などが挙げられる。
アミン系硬化剤としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの鎖状脂肪族ポリアミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどの単環式脂肪族ポリアミン;ノルボルナンジアミンなどの架橋環式ポリアミン;キシリレンジアミンなどの芳香脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族アミンなどが挙げられる。
ポリアミノアミド系硬化剤としては、不飽和高級脂肪酸の二量体~四量体などのダイマー酸と、アルキレンジアミン、ポリエチレンポリアミンなどのポリアミンとの縮合により得られるポリアミドなどが挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物などの脂肪族系酸無水物;テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などの脂環族系酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などの芳香族系酸無水物などが挙げられる。
フェノール樹脂系硬化剤としては、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などのアラルキル型フェノ-ル樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂;これらの変性樹脂などが挙げられる。変性樹脂としては、エポキシ化又はブチル化したノボラック型フェノール樹脂などのフェノ-ル樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂などの変性フェノール樹脂などが挙げられる。
これらのフルオレン非含有硬化剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのフルオレン非含有硬化剤のうち、耐熱性および強度に優れる点から、フェノール樹脂系硬化剤が好ましく、ノボラック型フェノール樹脂が特に好ましい。
硬化剤(B)中のフルオレン非含有硬化剤の割合は50質量%以上であってもよく、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%(フルオレン非含有硬化剤のみ)が最も好ましい。
フルオレン含有硬化剤としては、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するアミン系硬化剤、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するポリアミノアミド系硬化剤、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する酸無水物系硬化剤、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフェノール樹脂系硬化剤などが挙げられる。これらのうち、耐熱性や強度などの点から、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフェノール樹脂系硬化剤が好ましく、9,9-ビスC6-10アリールフルオレンとホルムアルデヒドとの反応生成物などの9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するノボラック型フェノール樹脂が特に好ましい。
フルオレン含有硬化剤の割合は、フルオレン非含有硬化剤(B)100質量部に対して100質量部以下であってもよく、好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、最も好ましくは10質量部以下である。
硬化剤(B)の割合は、エポキシ成分(A)100質量部に対して1~100質量部程度の範囲から選択でき、例えば10~80質量部、好ましくは20~60質量部、さらに好ましくは30~50質量部、最も好ましくは35~45質量部である。また、硬化剤(B)の官能基の割合は、エポキシ成分(A)のエポキシ基1当量に対して、0.1~4.0当量、好ましくは0.3~2.0当量、さらに好ましくは0.5~1.5当量であってもよい。この割合は、フルオレン非含有硬化剤の割合であってもよい。硬化剤(B)の割合が少なすぎると、硬化物の機械的特性が低下する虞があり、逆に多すぎると、熱伝導性が低下する虞がある。
[窒化ホウ素粒子(C)]
窒化ホウ素粒子(C)を構成する窒化ホウ素は、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素のいずれであってもよいが、生産性などの点から、六方晶窒化ホウ素が好ましい。
窒化ホウ素粒子(C)は、凝集していてもよいが、熱伝導性の点から、凝集していないのが好ましい。熱伝導性フィラーは、通常、粒径が大きい方が熱伝導性を向上できるが、本発明では、粒径の小さい非凝集体であっても、熱伝導性を向上できる。
窒化ホウ素粒子(C)の一次粒子の形状としては、真球状または略球状などの球状;楕円体(楕円球)状;円錐状、多角錘状などの錘状;立方体状や直方体状などの多角方体状;扁平状、鱗片状、薄片状などの板状;ロッド状または棒状;繊維状、樹針状などの線状;不定形状などが挙げられる。これらのうち、鱗片状などの板状が好ましい。板状の形状は、通常、熱伝導性を向上するのが困難であるが、本発明では、板状であっても、熱伝導性を向上できるため、窒化ホウ素粒子を凝集させなくても、熱伝導性を向上できる。
窒化ホウ素粒子(C)の中心粒径(D50)は1μm以上であってもよいが、20μm以上が好ましく、好ましい範囲としては、以下段階的に、20~100μm、22~50μm、23~40μm、25~35μmである。中心粒径が小さすぎると、熱伝導性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、硬化物の機械的特性が低下する虞がある。
窒化ホウ素粒子(C)の最大粒径は、1000μm以下であってもよく、例えば800μm以下、好ましくは500μm以下、さらに好ましくは400μm以下、最も好ましくは300μm以下である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、窒化ホウ素粒子(C)の中心粒径は、一次粒子の中心粒径を意味し、窒化ホウ素粒子(C)の形状が板状である場合、各粒子の粒径は、板面の長径と厚みとの平均値を意味する。また、窒化ホウ素粒子(C)の中心粒径および最大粒径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製LA―950V2)を用いて測定できる。
窒化ホウ素粒子(C)の形状が板状である場合、厚みに対する板面の長径の比率(アスペクト比)は2以上であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、2~1000、3~500、5~300、8~100、10~50、12~30である。
本発明では、窒化ホウ素粒子(C)の割合が多くても硬化物の熱伝導性を向上できる。そのため、窒化ホウ素粒子(C)の割合は、組成物中50質量%以上であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、50~98質量%、60~95質量%、70~93質量%、80~92質量%、85~90質量%である。窒化ホウ素粒子(C)の割合が少なすぎると、熱伝導性が低下する虞がある。
[硬化促進剤(D)]
本発明の硬化性組成物は、前記エポキシ成分(A)、前記硬化剤(B)および前記窒化ホウ素粒子(C)に加えて、硬化促進剤をさらに含んでいてもよい。
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の硬化促進剤として利用される慣用の硬化促進剤を使用できる。慣用の硬化促進剤としては、エステル系化合物、アルコール系化合物、チオール系化合物、エーテル系化合物、チオエーテル系化合物、尿素系化合物、チオ尿素系化合物、ルイス酸系化合物、リン系化合物、オニウム塩系化合物(またはカチオン重合開始剤)、活性珪素化合物-アルミニウム錯体などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの硬化促進剤のうち、リン系化合物が好ましい。
リン系化合物(リン系硬化促進剤)としては、エチルホスフィン、ブチルホスフィンなどのアルキルホスフィン、フェニルホスフィンなどのアリールホスフィンなどの第1ホスフィン類;ジメチルホスフィン、ジプロピルホスフィン、メチルエチルホスフィンなどのジアルキルホスフィン、ジフェニルホスフィンなどのジアリールホスフィンなどの第2ホスフィン類;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィンなどの第3ホスフィン類などが挙げられる。これらのリン系化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィンが好ましい。
硬化促進剤(D)の割合は、エポキシ成分(A)100質量部に対して0.05~30質量部程度の範囲から選択でき、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.3~8質量部、さらに好ましくは0.5~5質量部、最も好ましくは1~3質量部である。硬化促進剤(D)の割合が少なすぎると、硬化物の機械的特性が低下する虞があり、逆に多すぎると、熱伝導性が低下する虞がある。
[他の成分]
本発明の硬化性組成物は、反応性希釈剤や溶媒をさらに含んでいてもよい。反応性希釈剤や溶媒の割合は、前記エポキシ成分(A)100質量部に対して500質量部以下であってもよく、例えば400質量部以下、好ましくは300質量部以下である。
本発明の硬化性組成物は、さらに慣用の添加剤を含んでいてもよい。他の成分としては、反応性希釈剤、シランカップリング剤、可塑剤、有機溶剤、反応性希釈剤、充填剤、補強剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増量剤、増粘剤などが挙げられる。これらの他の成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
慣用の添加剤の割合は、前記エポキシ成分(A)100質量部に対して50質量部以下であってもよく、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、最も好ましくは10質量部以下である。
本発明の硬化性組成物は、前記エポキシ成分(A)、硬化剤(B)、窒化ホウ素粒子(C)および硬化促進剤(D)の合計割合は、組成物50質量%以上であってもよく、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%であり、これらの成分のみからなる100質量%が最も好ましい。
(硬化性組成物の調製方法)
本発明の硬化性組成物は、前記成分をホモジナイザー、ミキサーまたは混合機、混練機(ニーダーやロール、押出機など)、らいかい機(擂潰機)などを使用して、硬化反応(またはゲル化)が生じない温度、時間で混合または混練することにより調製してもよい。これらのうち、ロールを用いた溶融混練が好ましい。
混合または混練は加熱下で行ってもよい。加熱温度は、例えば50~150℃、好ましくは80~130℃、さらに好ましくは100~120℃である。加熱時間は、例えば1~30分、好ましくは2~20分、さらに好ましくは3~10分である。
[硬化物およびその製造方法]
本発明の硬化物は、硬化性組成物を加熱して硬化させることにより製造してもよい。具体的な製造方法としては、前記硬化性組成物を、基材へ塗布して硬化させる方法、所定部に注入または封止して硬化させる方法、注型して硬化させる方法、繊維基材などの基材に含浸してプリプレグを調製し、このプリプレグを、重ね合わせや巻回などの方法で積層して所定形状に成形加工して硬化させる方法などが挙げられる。
硬化における加熱温度は、例えば100~250℃、好ましくは120~230℃、さらに好ましくは130~220℃、最も好ましくは150~200℃である。
硬化処理は、硬化物の形状に応じて、硬化性組成物を成形しつつまたは成形(または予備成形)した後、硬化処理してもよい。例えば、前記硬化性組成物を、必要に応じて、加熱溶融し、所定の型に注入して加熱することにより硬化し、所望の形状の成形体を得た後、加熱して硬化を完結してもよい。成形方法および硬化条件は特に限定されないが、例えば、所定の金型を用いて成形する場合には、加熱加圧による成形法やコールドプレスと呼ばれる低温成形法などが用いられる。成形または予備成形時では、加圧してもよく、例えば1~30MPa、好ましくは3~25MPa、さらに好ましくは5~20MPaで加圧してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下に、用いた原料および評価方法は以下の通りである。
[原料]
BPFG:9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン
硬化剤:フェノールノボラック樹脂、東都化成(株)製「PSM-4261」
硬化促進剤:トリフェニルホスフィン、関東化学(株)製「トリフェニルホスフィン」
鱗片状窒化ホウ素(BN)粒子a:デンカ(株)製「MGP」、中心粒径15.31μm
鱗片状窒化ホウ素粒子b:デンカ(株)製「XGP」、中心粒径29.52μm
顆粒状窒化ホウ素粒子:昭和電工(株)製「UHP-G1H」。
[窒化ホウ素粒子の中心粒径]
原料の窒化ホウ素粒子の中心粒径をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製LA―950V2)を用いて測定した。
[熱伝導率]
実施例および比較例で得られた硬化性組成物を、直径φ50mm×厚み4~5mmの円盤状試験片に成形し、ASTM E1530(円板熱流計法)に準拠し、熱分析装置(ティー・エイ・インスツルメント社製「DTC-300型」)を用いて、温度23℃の条件で厚み方向の熱伝導率を測定した。
実施例1~5
表1に示す組成比で、各成分を6インチミキシングロール((株)ダイハン製「DY6-15」)を用いて、110℃で5分間混練して調製した。
得られた硬化性組成物を26トン油圧式成形機((株)東邦プレス製作所製)を用いて、圧力10~15MPa、温度180℃の条件で15分かけて成形した後、得られた予備成形体をさらに180℃で4時間加熱し、試験片を成形した。得られた試験片中の窒化ホウ素(BN)の体積比率(計算値)および熱伝導率を測定した結果を表1に示す。
Figure 0007444543000002
表1の結果から明らかなように、実施例では、窒化ホウ素粒子が高い充填率であっても、熱伝導率が向上した。
表1の結果から明らかなように、窒化ホウ素粒子の中でも、特に、鱗片状窒化ホウ素粒子bを使用した実施例4の硬化物は、空隙も小さく、緻密な硬化物が形成され、熱伝導率も高い。
本発明の硬化性組成物は、熱伝導性および耐熱性に優れるため、電気用積層板、絶縁ワニスなどの電気・電子分野の成形体、層間絶縁膜、異方性導電膜などの絶縁膜、透明プラスチック基板、光導波路などの光学材料、樹脂改質剤、封止剤、接着剤、フィルム、基地局アンテナ用材料などに利用でき、次世代通信である5G通信用途のプリント配線板用材料として特に有用である。

Claims (8)

  1. エポキシ成分(A)、硬化剤(B)、窒化ホウ素粒子(C)およびリン系硬化促進剤を含む硬化性組成物であって、
    前記エポキシ成分(A)が、下記式(1A)で表される化合物またはその多量体を含み、かつ
    前記化合物またはその多量体の割合が、前記エポキシ成分(A)中70質量%以上であるとともに、
    前記硬化剤(B)が、ノボラック型フェノール樹脂でり、かつ
    前記硬化剤(B)の割合が前記エポキシ成分(A)100質量部に対して10~80質量部である硬化性組成物。
    Figure 0007444543000003
    (式中、環ZおよびZは同一のまたは互いに異なるアレーン環を示し、RおよびRは水素原子またはメチル基を示し、RおよびRは同一のまたは互いに異なるエポキシ基に対して非反応性の置換基を示し、p1およびp2は同一のまたは互いに異なって0以上の整数を示し、Rはエポキシ基に対して非反応性の置換基を示し、kは0~8の整数を示す)
  2. 前記窒化ホウ素粒子(C)の中心粒径が20μm以上である請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記窒化ホウ素粒子(C)の形状が板状である請求項1または2記載の硬化性組成物。
  4. 前記エポキシ成分(A)の割合が、前記窒化ホウ素粒子(C)100質量部に対して1~50質量部である請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記窒化ホウ素粒子(C)の割合が組成物中50質量%以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性組成物が硬化した硬化物。
  7. 前記窒化ホウ素粒子(C)の体積割合が50体積%以上である請求項6記載の硬化物。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性組成物を加熱して硬化させ、請求項6または7記載の硬化物を製造する方法。
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