JP7444511B1 - 酸化イリジウム及びその製造方法、それを用いたプロトン交換膜型水電解槽用膜電極接合体およびプロトン交換膜型水電解槽 - Google Patents

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【課題】プロトン交換膜型水電解に好適な、高い初期活性を有し、かつ、長期運転時の安定性に優れた酸化イリジウムの提供。【解決手段】ルチル構造の酸化イリジウムであって前記酸化イリジウムはX線回折によるルチル構造酸化イリジウムの(110)面のピークから算出した結晶子サイズが2.0nm以上4.0nm以下であり、且つ窒素吸着測定により測定されたBET比表面積が70m2/g以上120m2/g以下であることを特徴とする酸化イリジウム。【選択図】図2

Description

本発明はプロトン交換膜型の水電解槽、水電解槽等に用いる酸化イリジウムに関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、水電解による水素製造技術が注目されている。例えば、プロトン交換膜型水電解槽は、フィルム状のプロトン交換膜を含む電解質層を用いるのが特徴である。
プロトン交換膜型水電解槽の構成は、一般的には、膜電極接合体(以下、「MEA」と記載する。)を1対のセパレータで挟持した単電解セルを複数積層した構造となっている。MEAは、電極触媒を高分散した電極触媒層により電解質層が挟持された構造を有する。前記電極触媒層は、電極とも呼ばれている。
前記MEAでは、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、陽極(アノード)側に供給された水は、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子、ならびに酸素となる。次に、生成したプロトンは、電極触媒層に含まれるプロトン導電性電解質、さらに電極触媒層と接触しているプロトン交換膜を通り、陰極(カソード)側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、電極触媒層を、さらに電極触媒層のプロトン交換膜と異なる側に接触している多孔質移動層、セパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子が反応し、水素を生成する。水電解では、上述した電気化学的反応を通して、水素製造が可能となる。
従来の電極触媒では、アノードは酸化イリジウムなど貴金属酸化物を用い、カソードは、炭素を主成分とするカーボンを担体として、これに白金または白金合金等の触媒粒子を担持させた触媒担持カーボン等が用いられている。
プロトン交換膜型水電解槽は、イリジウムを多量に使用したアノードのコストが問題となっている。イリジウムは希少かつ高価なため、プロトン交換膜型水電解槽の普及拡大に向けて、アノード触媒のイリジウム量削減に資する高活性であり、且つ長期運転を見据えた安定性に優れた触媒が求められている。
それゆえに、従来から高い初期活性を有し、且つ安定性に優れた触媒や、長期間に亘り安定した電解性能を示すMEAに関して、様々な研究開発がなされている。
先行特許文献1には、非晶質な酸化イリジウムが記載されているが安定性の観点から結晶性の酸化イリジウムが求められる。
先行特許文献2には、イリジウムとルテニウムを含む触媒層が記載されているが長期運転における安定性の観点からルテニウムを含まない触媒層が求められる。
特許第7297962号 特開2021-045709号
特許文献1、2は、非晶質の酸化イリジウムやルテニウムを含んでおり、初期活性は高いが長期運転時の安定性が懸念される。長期運転時の安定性向上を達成するためには結晶子サイズの大きな酸化イリジウムのみで触媒を構成する必要がある。しかしながら、結晶子サイズの大きな酸化イリジウムは比表面積が小さく、電極触媒の活性が低下する。
本発明の目的は、高い初期活性を有し、かつ、長期運転時の安定性に優れた酸化イリジウムを提供することである。
本発明者らは、イリジウム含有酸性水溶液をアルカリ水溶液で中和し、得られた水酸化イリジウムを焼成することで、X線回折による結晶子サイズが2.0nm以上4.0nm以下であり、且つ、窒素吸着測定によるBET比表面積(SSA)が70m/g以上120m/g以下であるとの、結晶子サイズとBET比表面積(SSA)を高い次元で両立した酸化イリジウムの入手が実現でき、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。結晶子サイズとBET比表面積(SSA)を高い次元で両立した酸化イリジウムを現実に提供できる理由は、必ずしも明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。理論に拘束されるものでないが、前記酸化イリジウムは高い二次元異方性の針状又は柱状構造粒子の集合体であるため、結晶子サイズを向上させながらBET比表面積(SSA)を維持できる。酸化イリジウムの針状又は柱状構造は、前記の中和後に塩酸を添加した後、焼成することにより形成されるものと考えられる。
即ち、本発明は以下の(1)~(7)の各態様を有する酸化イリジウム、ならびに、当該酸化イリジウムが電極に含有されているプロトン交換膜型水電解用膜電極接合体、及びプロトン交換膜型水電解槽である。
(1)ルチル構造の酸化イリジウムであって、X線回折によるルチル構造酸化イリジウムの(110)面のピークから算出した結晶子サイズが2.0nm以上4.0nm以下であり、且つ、窒素吸着測定により測定されたBET比表面積が70m/g以上120m/g以下であることを特徴とする、前記酸化イリジウム。
(2)電子顕微鏡により観察した形態が長径200nm以下であり、短径10nm以下の針状又は柱状構造粒子の集合体であり、集合体の直径が1μm以下であることを特徴とする前記(1)記載の酸化イリジウム。
(3)加熱されたイリジウム含有酸性水溶液に酸化剤を添加して酸化剤含有水溶液を調製し、こうして得られた水溶液にアルカリ水溶液を加えて中和することにより水酸化イリジウムの沈澱を生じさせ、
前記沈澱を含む水溶液をろ過し、残存する沈澱を洗浄して、水酸化イリジウムのろ過ケーキを取得し、
前記ろ過ケーキに塩酸を添加処理して得られた水酸化イリジウム縣濁液を溶媒留去した後、溶媒を留去した乾固物を酸素含有雰囲気下で420~470℃で焼成することを特徴とする請求項1又は2記載の酸化イリジウムの製造方法。
(4)前記(1)又は(2)に記載の酸化イリジウムが電極に含有されていることを特徴とするプロトン交換膜型水電解用膜電極接合体。
(5)(1)又は(2)に記載の酸化イリジウムが膜電極接合体の電極に含有されていることを特徴とするプロトン交換膜型水電解槽。
本発明の酸化イリジウムは結晶子サイズと比表面積を両立することで、高い初期活性を有し、かつ、長期運転時の安定性に優れた酸化イリジウムを提供することができる。
実施例と比較例において得られた酸化イリジウムの結晶子サイズと比表面積の関係を表した図 実施例において得られた酸化イリジウムの形態を表した図
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明においては、酸化イリジウムのX線回折による結晶子サイズが2.0nm以上4.0nm以下であり、且つ窒素吸着測定によるBET比表面積(SSA)は70m/g以上120m/g以下である必要がある。図1に本発明と従来技術における酸化イリジウムの結晶子サイズとBET比表面積(SSA)との関係を示す。本発明における酸化イリジウムは、従来技術に対して、結晶子サイズとBET比表面積(SSA)を高い次元で両立させた酸化イリジウムである。
酸化イリジウムは、本発明の目的に沿う限り、例えば、白金、ロジウム等が含まれていてもよい。
上記(3)に記載される態様の酸化イリジウムの製造方法は、より具体的には次のように説明することができる。
イリジウム含有酸性水溶液としては例えば、塩化イリジウム(III)、塩化イリジウム(IV)、塩化イリジウム(IV)酸、塩化イリジウム(IV)酸アンモニウム、硝酸イリジウム(IV)、酢酸イリジウム(III)の塩酸水溶液又は硝酸水溶液などが挙げられる。
まず、加熱されたイリジウム含有酸性水溶液に酸化剤を添加した後、アルカリ水溶液を加えて中和し、水酸化イリジウムの沈澱を生じさせる。
その加熱温度は80℃~100℃とすることができる。酸化剤としては、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、塩素ガス、過酸化水素水を使用することができる。アルカリ水溶液は水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液を使用することができる。また、中和時のpHは、10~12とすることができる。
次に、水酸化イリジウムの沈澱を有する中和された水溶液をろ過・洗浄し、ろ過ケーキを得た。
次に、前記ろ過ケーキに対し、塩酸を添加しpH0~2に調整して水酸化イリジウム縣濁液を得て、その懸濁液をエバポレーターを使用して40~60℃で溶媒留去した後、処理後の乾固物を解砕して粉末を得た。
次に、上記粉末を酸素含有雰囲気例えば大気中420~470℃で3~7時間焼成することで、針状又は柱状構造の酸化イリジウム粉末を得る。焼成は、例えば、電気炉を用いることができる。
得られた酸化イリジウムは高い二次元異方性の針状又は柱状構造粒子の集合体であるため、結晶子サイズを向上させながらBET比表面積(SSA)を維持できる。酸化イリジウムの針状又は柱状構造は、前記の中和後に塩酸を添加した後、焼成することにより形成されると考えられる。
酸化イリジウムの結晶子サイズを2.0nm以上と大きくすることで、酸化イリジウムの劣化を抑制でき、高い安定性を示すことが可能となる。
電極触媒における酸化イリジウムの腐食消失などは、酸化イリジウム表面の欠陥部位を起点として生じ易く、そのため、酸化イリジウムの結晶性を高めることで酸化イリジウム表面の欠陥を減らすことが好ましい。
一方、前記結晶子サイズが4.0nmを超えると、後述のBET比表面積(SSA)が低下し、BET比表面積(SSA)と結晶子サイズを高い次元で両立することができない。
結晶子サイズは好ましくは2.1nm以上3.9nm以下、より好ましくは2.3nm以上3.8nm以下である。
前記BET比表面積(SSA)を70m/g以上と高くすることで、高い初期活性を示すことが可能となる。前記BET比表面積(SSA)は、酸素発生反応の活性点となる面積を表し、BET比表面積(SSA)が高い程、高い初期活性を示すことを意味する。
一般にプロトン交換膜型水電解用酸化イリジウムでは、BET比表面積(SSA)を高くすることで、酸素発生反応に十分な活性点を確保でき、高い初期活性を示すことが可能となる。
電極触媒における腐食消失などはステップやキンクなどの欠陥部位で特に生じ易く、そのため比表面積の大きな結晶子サイズの小さい酸化イリジウムは安定性に劣る恐れがある。そこで、初期活性と安定性を両立するためにBET比表面積(SSA)を適切な値に制限することが望ましい。即ち、BET比表面積(SSA)を120m/g以下とすることにより、酸化イリジウムの安定性低下を抑制できる。また、BET比表面積(SSA)を120m/gより高くすると前述の結晶子サイズが低下し、結晶子サイズとBET比表面積(SSA)が両立できない。
BET比表面積(SSA)は好ましくは75m/g以上、より好ましくは80m/g以上115m/g以下である。
大きな結晶子サイズとBET比表面積(SSA)を両立するため、電子顕微鏡により観察した形態が長径200nm以下であり短径10nm以下の針状又は柱状構造粒子の集合体であることが好ましい。
前記集合体は触媒層内の物質輸送抵抗および電子移動抵抗の低減、電解質膜の穿孔抑制のために直径1μm以下であることが好ましい。
本発明の酸化イリジウムは結晶子サイズが2.0nm以上4.0nm以下であり、長径200nm以下であり短径10nm以下の針状又は柱状構造粒子を有している必要がある。酸化イリジウムの結晶子サイズを前記範囲とし、前記構造を有していることで、結晶性を高めながらBET比表面積(SSA)を向上させ、高い初期活性を示すことが可能となる。
本発明の酸化イリジウムのBET比表面積(SSA)は、窒素ガスの吸着等温線測定を採用し、BJH法による解析から算出される。本発明においては、70m/g以上120m/g以下のBET比表面積(SSA)が重要となる。
BET比表面積(SSA)が70m/g未満では酸素発生反応の活性点が不足し、初期活性の低下につながる一方、BET比表面積(SSA)が120m/gより大きいとステップやキンクなどの欠陥部位が増加し、安定性の低下につながる。
本発明の酸化イリジウムの結晶子サイズはルチル構造酸化イリジウム(IrO)の(110)面で算出する。酸化イリジウムの(110)面の結晶子サイズは2.0nm以上4.0nm以下の範囲とすることができる。
酸化イリジウムの(110)面の結晶子サイズが前記範囲であり初期活性と安定性の両立が図れる。酸化イリジウムの(110)面の結晶子サイズが2.0nm未満の場合は酸化イリジウムのBET比表面積(SSA)が高いことに起因して初期活性の向上が見込めるが、腐蝕消失の起点となる欠陥部位の増加によって、安定性が低下する。酸化イリジウムの(110)面の結晶サイズが4.0nmより大きい場合は、欠陥部位の減少による安定性の向上は見込めるが、酸化イリジウムのBET比表面積(SSA)が低いことに起因して、酸素発生反応に必要な活性点が不足し、初期活性の低下につながる。
本発明の酸化イリジウムは、単相のルチル構造酸化イリジウムからなる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
850gのイリジウムを含有するpH1.0以下の塩化イリジウム酸塩酸水溶液16Lを95℃に加熱し、臭素酸ナトリウムを10.7g添加して、直ちに40%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH11.0まで中和することで水酸化イリジウムの沈殿が得られた。室温まで放冷した水酸化イリジウムの沈殿をろ過・洗浄し、ろ過ケーキを得た。得られたろ過ケーキに塩酸を添加してpH1.0に調整した。これを、エバポレーターを使用して減圧下50℃で溶媒留去した後、解砕して粉末としてから、電気炉を用いて大気中430℃で5時間焼成することで、針状又は柱状構造の酸化イリジウム粉末を得た。
(実施例2)
エバポレーターを用いた溶媒留去の際の温度を60℃にすること以外、実施例1と同様にして製造し、実施例2の針状又は柱状構造の酸化イリジウム粉末を得た。
(実施例3)
遠心分離機を使用して上澄みを除いてから、溶媒留去すること以外、実施例1と同様にして製造し、実施例3の針状又は柱状構造の酸化イリジウム粉末を得た。
比較例
(比較例1)
針状又は柱状構造を持たない市販の酸化イリジウム(Alfa Aesar製Premion(登録商標))を用いた。
(比較例2)
550℃5時間で焼成を行うこと以外、実施例1と同様にして製造し、比較例2の酸化イリジウム粉末を得た。
(比較例3)
22gのイリジウムを含有するpH1.0以下の塩化イリジウム酸塩酸溶液0.4Lを95℃に加熱し、臭素酸カリウムを0.33g添加し、水酸化カリウム溶液を加えてpHは11.1まで中和することで水酸化イリジウムの沈殿が得られた。中和後に1時間加熱撹拌を続け、ろ過・洗浄し、乾燥させ、解砕して粉末としてから、電気炉を用いて大気中500℃で5時間焼成することで、比較例3の酸化イリジウム粉末を得た。
実施例及び比較例の各酸化イリジウムについて、以下の物性評価を行った。結果を表1に示す。
[酸化イリジウムのBET比表面積の測定]
酸化イリジウムの比表面積については、全自動比表面積測定装置(マウンテック製Macsorb(登録商標) HM model-1220)を使用してBET流動法にて測定した。前処理条件は、脱気温度100℃、脱気時間20分とした。
[酸化イリジウムの結晶子サイズの測定]
酸化イリジウムの結晶子サイズについては、CuKα線を線源として用い、X線回折装置(リガク製SmartLab)を使用し、下記測定条件で測定して、触媒担持カーボンのXRDパターンを得た。得られたXRD パターンについて、統合粉末X線解析ソフトウェア(リガク製PDXL)を用いて、XRD パターンを解析し、28°付近のルチル構造酸化イリジウム(110)面のピークより結晶子サイズを決定した。
XRD 測定条件
線源:CuKα(線焦点)、波長:1.541836Å
操作軸:2θ/θ、測定方法:連続、計数単位:cps
開始角度:10.0°、終了角度:90.0°、積算回数:1回
サンプリング幅:0.01°、スキャンスピード:4°/分
電圧:40kV、電流:30mA
入射平行スリット:ソーラー 5.0°、長手制限スリット:10mm
受光平行スリット:ソーラー 5.0°、受光スリット:20mm
オフセット角度:0°
ゴニオメーター半径:300mm、光学系:集中法スリット:D/teX Ultra用スリット
検出器:D/teX Ultra 250
Ni-Kβフィルター:無
[酸化イリジウムの形態観察]
酸化イリジウムの形態は原子分解能分析電子顕微鏡(日本電子製JEM-ARM200F,加速電圧200kV)を用いて観察した。
Figure 0007444511000002
実施例1~実施例3では、何れの酸化イリジウムでも、BET比表面積が70m/g以上120m/g以下であり、且つ結晶子サイズが2.0nm以上4.0nm以下で、高い比表面積と結晶性を両立した酸化イリジウムが得られた。また、形態は、針状又は柱状構造粒子の集合体であった。
比較例1では、酸化イリジウムのBET比表面積は70m/g以下と低かった。ルチル構造酸化イリジウムの(110)面のピークが見られず結晶子サイズは算出できなかったため、非晶質の酸化イリジウムが得られた。
比較例2、比較例3では、酸化イリジウムのBET比表面積が70m2/g以下と低く、結晶子サイズが4.0nm以上と高かったため、結晶化が進んだ酸化イリジウムが得られた。なお、比較例2の形態は、針状又は柱状構造粒子の集合体であった。
プロトン交換膜型水電解用触媒としての性能を評価するために、実施例及び比較例の酸化イリジウムについて、以下の方法によって評価した。
1.電極の調製
各実施例及び比較例の酸化イリジウム6.3mg(Irとして)、純水8.0mL、アイオノマー(ケマーズ社製Nafion DE520CS)17.4μL、エタノール(富士フィルム和光純薬製)8.0mLを超音波分散機により30時間混合分散し、触媒インクを調製した。前記触媒インクを金ディスク(直径5mm)に、イリジウム量が30μg/cm2になるように塗布し、測定用電極を作製した。
2.電気化学測定
前記測定用電極を窒素ガスで飽和した23℃、0.1mol/L過塩素酸に浸漬し、参照電極に可逆水素電極(RHE)、対極に白金線を使用し、ポテンショガルバノスタット(北斗電工製HZ-7000)を用いて電位走査範囲を0.05~1.20V(vs.RHE)、電位走査速度50mV/secでサイクリックボルタンメトリーを100サイクル行った。その後、回転電極装置(北斗電工製HR-500)を用いて、測定用電極を2500rpmで回転させながら、電位を1.00V~1.55V(vs.RHE)、電位走査速度1mV/secで分極曲線を測定した。得られた分極曲線から1.50V(vs.RHE)の電流値を電極上のイリジウム量で除して質量活性を算出した。分極曲線の測定を4度繰り返し、4度目の分極曲線から得られた質量活性(電解試験後質量活性)を1度目の分極曲線(初期活性)で除して活性維持率を算出した。
Figure 0007444511000003
実施例1~実施例3では、結晶子サイズが2.0nm以上4.0nm以下、且つ窒素吸着測定によるBET比表面積(SSA)は70m/g以上120m/g以下であり、結晶子サイズとBET比表面積を高い次元で両立している為、質量活性が20A/g以上と高い初期活性を有しながら、活性維持率が従来技術の5%以上向上し、安定性にも優れた酸化イリジウムを得ることができた。
比較例1では、窒素吸着測定によるBET比表面積(SSA)は70m/g以下であり、結晶子サイズが2.0nm以下と小さい為、質量活性が20A/g以下と低く、活性維持率が91.5%と初期活性と安定性が低い酸化イリジウムが得られた。
比較例2~比較例3では、結2晶子サイズが2.0nm以上と大きい一方で、窒素吸着測定によるBET比表面積(SSA)は70m/g以下と低く、質量活性が20A/g以下と初期活性が低い酸化イリジウムが得られた。
本開示にかかる酸化イリジウムは、高い初期活性を有し、且つ安定性に優れる。よって本開示にかかる酸化イリジウムはプロトン交換膜型水電解用膜電極接合体の電極触媒として利用することができる。

Claims (5)

  1. ルチル構造の酸化イリジウムであって、X線回折によるルチル構造酸化イリジウムの(110)面のピークから算出した結晶子サイズが2.0nm以上4.0nm以下であり、且つ窒素吸着測定により測定されたBET比表面積が70m/g以上120m/g以下であることを特徴とする前記酸化イリジウム。
  2. 電子顕微鏡により観察した形態が長径200nm以下、短径10nm以下の針状又は柱状構造粒子の集合体であり、前記集合体の直径が1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化イリジウム。
  3. 加熱されたイリジウム含有酸性水溶液に酸化剤を添加して酸化剤含有水溶液を調製し、こうして得られた水溶液にアルカリ水溶液を加えて中和することにより水酸化イリジウムの沈澱を生じさせ、
    前記沈澱を含む水溶液をろ過し、残存する沈澱を洗浄して、水酸化イリジウムのろ過ケーキを取得し、
    前記ろ過ケーキに塩酸を添加処理して得られた水酸化イリジウム縣濁液を溶媒留去した後、溶媒を留去した乾固物を酸素含有雰囲気下で420~470℃で焼成することを特徴とする請求項1又は2記載の酸化イリジウムの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の酸化イリジウムが電極に含有されていることを特徴とするプロトン交換膜型水電解用膜電極接合体。
  5. 請求項1又は2に記載の酸化イリジウムが膜電極接合体の電極に含有されていることを特徴とするプロトン交換膜型水電解槽。
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