JP7442873B2 - 営農システム、営農サーバ及び営農方法 - Google Patents

営農システム、営農サーバ及び営農方法 Download PDF

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Description

本発明は、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農システム、営農サーバ及び営農方法に関する。
特許文献1では、各圃場における水門の管理を省力化すること及び各圃場に最適となる水の管理をすることができる水位情報管理システムを提供すること等を目的にしている([0008]、要約)。当該目的を達するため、特許文献1(要約)では、圃場に給水用水門1a及び排水用水門1b並びに水位計測用指標を設置し、所定の空路を飛行する無人飛行体27から圃場又は水位計測指標を撮影する工程と、撮影された画像を無人飛行体から送信する工程と、送信された画像を解析して水位を算出する工程と、所定の基準水位と無人飛行体から送信され解析された水位情報とを比較し、無線モジュールを有した給水用水門又は排水用水門に対して開閉指示を送信する。
特許文献2では、従来よりも容易に圃場内の窒素施用量を決定することができる施肥設計方法を提供すること等を目的としている(要約、[0009])。当該目的を達成するため、特許文献2(要約)では、今期生育中の作物の葉色及び茎数を測定し(S31)、測定した葉色及び茎数から作物の吸収窒素量を求める段階(S32)と、吸収窒素量から今期投入済み窒素施用量(S33)を減算することで、現在の地力窒素量を求める段階(S34)と、地力窒素量と作物を生育させるための適正窒素量から次期の作物を生育させるために必要な次期生育用窒素施用量を求める段階(S35)とを有する。
特開2016-220681号公報 特開2018-082648号
上記のように、特許文献1(要約)では、無人飛行体27が撮影した画像に基づいて、圃場の水位を算出し、給水用水門1a及び排水用水門1bを開閉する。また、上記のように、特許文献2(要約)では、次期生育用窒素施用量を求める生育診断モデルを用いる。しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、圃場又は作物の状態を踏まえた水管理又は施肥の点で改善の余地がある。
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、圃場又は作物の状態に応じてより好適に水管理又は施肥を行うことが可能な営農システム、営農サーバ及び営農方法を提供することを目的とする。
本発明に係る営農システムは、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御するものであって、
前記営農システムは、
前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
前記作物の将来の生育フェーズにおける気象の予測情報を取得する予測情報取得手段と、
前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定手段と、
前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
を備え、
出穂前の幼穂の数が増加する生育フェーズを幼穂発育期と、
出穂後の籾にデンプンが蓄積される生育フェーズを登熟期と
定義するとき、
前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが前記幼穂発育期である場合、
前記予測情報取得手段は、将来の前記登熟期における予測日射量に関する情報を取得し、
前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量に関する情報に基づいて、前記幼穂発育期における前記目標水温を設定し、
前記出力手段は、前記目標水温設定手段が設定した前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
ことを特徴とする。
本発明によれば、将来の登熟期における予測日射量に関する情報に基づいて、現在の幼穂発育期における目標水温を設定する。そして、設定した目標水温に対応する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する。これにより、将来の登熟期における予測日射量を考慮して、現在の幼穂発育期における作物に対する水管理又は施肥を行うことが可能となる。従って、将来の圃場又は作物の状態を踏まえた水管理又は施肥を行うことで、作物をより好適に生育することができる。
前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量が、前記登熟期における基準日射量よりも多い場合、前記幼穂発育期における前記目標水温を基準水温よりも高くなるように前記目標水温を設定してもよい。
これにより、幼穂発育期における籾数の増加を促進することで収量を増加させることが可能となる。すなわち、幼穂発育期において、昼間水温が高くなると、ショ糖の生成速度が上がる。また、幼穂発育期において、夜間水温が高くなると、ショ糖を使った籾の生成速度が上がる。さらに、籾の生成速度を上げて籾数を増やしても、登熟期には基準日射量(デフォルト値)よりも多くの日射量が予測されているため、各籾に十分なデンプンが蓄えられることが期待される。そのため、幼穂発育期においてショ糖の生成及び籾数の増加を促進することで、登熟期における収量を増加させることが可能となる。
前記目標水温は、目標夜間水温を含んでもよい。前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量が、前記登熟期における前記基準日射量よりも多い場合、前記幼穂発育期における前記目標夜間水温を基準夜間水温よりも高くなるように前記目標夜間水温を設定してもよい。
前記目標水温は、目標昼間水温を含んでもよい。前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量が、前記登熟期における前記基準日射量よりも多い場合、前記幼穂発育期における前記目標昼間水温を基準昼間水温よりも高くなるように前記目標昼間水温を設定してもよい。
前記営農システムは、前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の土壌における目標窒素濃度を設定する目標窒素濃度設定手段をさらに備えてもよい。前記目標窒素濃度設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量が、前記登熟期における前記基準日射量よりも多い場合、前記幼穂発育期における前記目標窒素濃度を基準窒素濃度よりも高くなるように前記目標窒素濃度を設定してもよい。
これにより、幼穂発育期における籾数の増加を促進することで収量を増加させることが可能となる。すなわち、幼穂発育期において、土壌の窒素濃度が高くなると、グルタミンの生成が促進される結果、籾の生成速度が上がる。また、籾の生成速度を上げて籾数を増やしても、登熟期には基準日射量(デフォルト値)よりも多くの日射量が予測されているため、各籾に十分なデンプンが蓄えられることが期待される。そのため、幼穂発育期においてグルタミンの生成及び籾数の増加を促進することで、登熟期における収量を増加させることが可能となる。
前記目標窒素濃度設定手段が、前記幼穂発育期における前記目標窒素濃度を前記基準窒素濃度よりも高くなるように前記目標窒素濃度を設定した場合、前記出力手段は、窒素肥料の施肥又は水田としての前記圃場の土壌の露出制限に関する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御してもよい。これにより、籾数の増加を促進するために必要な窒素濃度の上昇を確保することが可能となる。
前記作物の茎数が増加する生育フェーズを分げつ期と定義するとき、前記目標水温設定手段は、将来の前記登熟期における前記予測日射量と、過去の前記分げつ期における過去日射量とに基づいて、前記幼穂発育期における前記目標水温を設定してもよい。これにより、将来の登熟期における予測日射量(将来のデンプン量に影響する)のみならず、過去の分げつ期における過去日射量(現在のデンプン量に影響する)に基づいて、幼穂発育期における目標水温を設定する。従って、より精度良く目標水温を設定することが可能となる。
また、前記目標窒素濃度設定手段は、将来の前記登熟期における前記予測日射量と、過去の前記分げつ期における前記過去日射量とに基づいて、前記幼穂発育期における前記目標窒素濃度を設定してもよい。さらに、前記出力手段は、前記目標水温設定手段が設定した前記目標水温及び前記目標窒素濃度設定手段が設定した前記目標窒素濃度に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御してもよい。
これにより、将来の登熟期における予測日射量のみならず、過去の分げつ期における過去日射量に基づいて、幼穂発育期における目標水温及び目標窒素濃度を設定する。従って、より精度良く目標水温及び目標窒素濃度を設定することが可能となる。
本発明に係る営農システムは、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御するものであって、
前記営農システムは、
前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定手段と、
前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水深を設定する目標水深設定手段と、
前記目標水深に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
を備え、
前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、出穂後の籾にデンプンが蓄積される登熟期である場合、
前記生育状態判定手段は、前記作物の粒重量を判定し、
前記目標水深設定手段は、前記粒重量が目標重量を超えた場合、水田としての前記圃場の土壌を露出させるように前記目標水深を設定する
ことを特徴とする。
本発明によれば、登熟期において、粒重量が目標重量を超えた場合、水田としての圃場の土壌を露出させる。これにより、空気中の酸素を土壌に触れさせることで土壌中の好気性細菌が活性化し、土壌中の窒素濃度を低下させ、作物によるタンパク質の生成を抑制させる。この際、作物の粒重量は既に目標重量を超えている。従って、籾が十分に大きくなった状態で、作物の食味を向上することが可能となる。
前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが前記登熟期であり且つ前記生育状態判定手段が判定した前記粒重量が前記目標重量を超えていない場合、前記目標水深設定手段は、水田としての前記圃場の土壌の露出を制限するように前記目標水深を設定してもよい。
これにより、登熟期における籾の成長を促進することが可能となる。すなわち、水田としての圃場の土壌を露出させると、空気中の酸素を土壌に触れさせることで土壌中の好気性細菌が活性化し、土壌中の窒素濃度を低下させ、クロロフィルの量を抑制させ、光合成が弱まってしまう。そのため、本発明では、登熟期における粒重量が目標重量を超えていない場合、土壌の露出を制限するように目標水深を設定する。従って、クロロフィルの量を抑制することなく、クロロフィルに伴う光合成を促進し、籾の成長(デンプンの蓄積)を促すことが可能となる。
前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが前記登熟期であり、且つ前記生育状態判定手段が判定した前記粒重量が前記目標重量を超えていない場合、前記出力手段は、窒素肥料の施肥に関する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御してもよい。これにより、窒素肥料の施肥によるクロロフィルの増加を促すことで、登熟期における籾の成長を促進することが可能となる。
本発明に係る営農システムは、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御するものであって、
前記営農システムは、
前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定手段と、
前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定手段と、
前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
を備え、
前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、前記作物の茎数が増加する分げつ期である場合、
前記生育状態判定手段は、前記作物の大きさを判定し、
前記目標水温設定手段は、前記作物の大きさが大きさ閾値を超えた後の目標夜間水温を、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超える前の前記目標夜間水温よりも低く設定する
ことを特徴とする。
本発明によれば、分げつ期において、作物の大きさが大きさ閾値を超える前の目標夜間水温を相対的に高く設定する。これにより、夜間における作物の成長を促進し、大きさ閾値までの移行期間を短縮することが可能となる。また、分げつ期において、作物の大きさが大きさ閾値を超えた後の目標夜間水温を相対的に低く設定する。これにより、夜間における葉鞘へのショ糖の蓄積量を増加させ、将来の登熟期における籾の成長に備えることが可能となる。
前記営農システムは、前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標窒素濃度を設定する目標窒素濃度設定手段をさらに備えてもよい。前記出力手段は、前記目標窒素濃度に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御してもよい。前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、前記分げつ期である場合、前記目標窒素濃度設定手段は、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超えた後の前記目標窒素濃度を、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超える前の前記目標窒素濃度よりも高く設定してもよい。
本発明によれば、分げつ期において、作物の大きさが大きさ閾値を超える前の目標窒素濃度を相対的に低く設定する。これにより、夜間における作物の根の成長を促進し、大きさ閾値までの移行期間を短縮することが可能となる。また、分げつ期において、作物の大きさが大きさ閾値を超えた後の目標窒素濃度を相対的に高く設定する。これにより、作物による窒素同化量を増加させることで、タンパク質の生成を促進することが可能となる。
前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、前記分げつ期であり、且つ前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超えた場合、前記出力手段は、窒素肥料の施肥に関する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御してもよい。これにより、施肥を介することで、実際の窒素濃度が目標窒素濃度を実現し易くなる。
本発明に係る営農サーバは、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御するものであって、
前記営農サーバは、
前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
前記作物の将来の生育フェーズにおける気象の予測情報を取得する予測情報取得手段と、
前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定手段と、
前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
を備え、
出穂前の幼穂の数が増加する生育フェーズを幼穂発育期と、
出穂後の籾にデンプンが蓄積される生育フェーズを登熟期と
定義するとき、
前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが前記幼穂発育期である場合、
前記予測情報取得手段は、将来の前記登熟期における予測日射量に関する情報を取得し、
前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量に関する情報に基づいて、前記幼穂発育期における前記目標水温を設定し、
前記出力手段は、前記目標水温設定手段が設定した前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
ことを特徴とする。
本発明に係る営農サーバは、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御するものであって、
前記営農サーバは、
前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定手段と、
前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水深を設定する目標水深設定手段と、
前記目標水深に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
を備え、
前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、出穂後の籾にデンプンが蓄積される登熟期である場合、
前記生育状態判定手段は、前記作物の粒重量を判定し、
前記目標水深設定手段は、前記粒重量が目標重量を超えた場合、水田としての前記圃場の土壌を露出させるように前記目標水深を設定する
ことを特徴とする。
本発明に係る営農サーバは、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御するものであって、
前記営農サーバは、
前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定手段と、
前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定手段と、
前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
を備え、
前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、前記作物の茎数が増加する分げつ期である場合、
前記生育状態判定手段は、前記作物の大きさを判定し、
前記目標水温設定手段は、前記作物の大きさが大きさ閾値を超えた後の目標夜間水温を、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超える前の前記目標夜間水温よりも低く設定する
ことを特徴とする。
本発明に係る営農方法は、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する方法であって、
前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定ステップと、
前記作物の将来の生育フェーズにおける気象の予測情報を取得する予測情報取得ステップと、
前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定ステップと、
前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力ステップと
を備え、
出穂前の幼穂の数が増加する生育フェーズを幼穂発育期と、
出穂後の籾にデンプンが蓄積される生育フェーズを登熟期と
定義するとき、
前記フェーズ判定ステップが判定した前記現在の生育フェーズが前記幼穂発育期である場合、
前記予測情報取得ステップでは、将来の前記登熟期における予測日射量に関する情報を取得し、
前記目標水温設定ステップでは、前記登熟期における前記予測日射量に関する情報に基づいて、前記幼穂発育期における前記目標水温を設定し、
前記出力ステップでは、前記目標水温設定ステップにおいて設定した前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
ことを特徴とする。
本発明に係る営農方法は、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する方法であって、
前記営農方法は、
前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定ステップと、
前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定ステップと、
前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水深を設定する目標水深設定ステップと、
前記目標水深に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力ステップと
を備え、
前記フェーズ判定ステップで判定した前記現在の生育フェーズが、出穂後の籾にデンプンが蓄積される登熟期である場合、
前記生育状態判定ステップは、前記作物の粒重量を判定し、
前記目標水深設定ステップは、前記粒重量が目標重量を超えた場合、水田としての前記圃場の土壌を露出させるように前記目標水深を設定する
ことを特徴とする。
本発明に係る営農方法は、作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する方法であって、
前記営農方法は、
前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定ステップと、
前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定ステップと、
前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定ステップと、
前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力ステップと
を備え、
前記フェーズ判定ステップで判定した前記現在の生育フェーズが、前記作物の茎数が増加する分げつ期である場合、
前記生育状態判定ステップでは、前記作物の大きさを判定し、
前記目標水温設定ステップでは、前記作物の大きさが大きさ閾値を超えた後の目標夜間水温を、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超える前の前記目標夜間水温よりも低く設定する
ことを特徴とする。
本発明によれば、圃場又は作物の状態に応じてより好適に水管理又は施肥を行うことが可能となる。
本発明の一実施形態に係る営農システムの概要を示す全体構成図である。 前記実施形態の圃場センサ群及びドローンの構成を簡略的に示す構成図である。 前記実施形態の生育診断サーバの構成を簡略的に示す構成図である。 前記実施形態における生育診断管理部の構成の詳細を示す構成図である。 前記実施形態における現在生育状態推定部の構成の詳細を示す構成図である。 前記実施形態における将来生育状態推定部の構成の詳細を示す構成図である。 前記実施形態における目標値設定部の構成の詳細を示す構成図である。 前記実施形態の水・肥料管理制御のフローチャートである。 図9(A)は、前記実施形態の分げつ期制御における制御対象と制御内容を簡潔に示す図である。図9(B)は、前記実施形態の幼穂発育期制御における制御対象と制御内容を簡潔に示す図である。図9(C)は、前記実施形態の登熟期制御における制御対象と制御内容を簡潔に示す図である。 前記実施形態の分げつ期制御のフローチャートである。 前記実施形態の幼穂発育期制御のフローチャートである。 前記実施形態の登熟期制御のフローチャートである。 変形例に係る営農システムの概要を示す全体構成図である。
A.一実施形態
<A-1.構成>
[A-1-1.全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る営農システム10の概要を示す全体構成図である。営農システム10(以下「システム10」ともいう)は、圃場500に生育する作物502(水稲)の生育診断を行うと共に、作物502に薬剤を散布することができる。また、システム10は、圃場500の水管理及び施肥管理も行う。
図1に示すように、システム10は、圃場センサ群20と、生育診断サーバ22と、ドローン24と、第1ユーザ端末26と、第2ユーザ端末28と、第3ユーザ端末30と、上流側水門32と、下流側水門34とを有する。圃場センサ群20、ドローン24、第1ユーザ端末26及び第2ユーザ端末28は、通信ネットワーク36(無線基地局38を含む。)を介して互いに無線通信が可能であると共に、生育診断サーバ22と通信可能である。無線通信としては、無線基地局38を介さない通信(例えば、LTE(Long Term Evolution)、WiFi等)を用いることができる。生育診断サーバ22は、通信ネットワーク36を介して情報提供サーバ40と通信可能である。
[A-1-2.圃場センサ群20]
図2は、本実施形態の圃場センサ群20及びドローン24の構成を簡略的に示す構成図である。圃場センサ群20は、水田としての圃場500及びその周辺に設置されて圃場500及びその周辺における各種データを検出して生育診断サーバ22等に提供する。
図2に示すように、圃場センサ群20には、例えば、水源水温センサ50、圃場水温センサ52、気温センサ54、水深センサ56、土壌温度センサ58、土壌窒素濃度センサ60、上流側流量センサ62、下流側流量センサ64及び照度センサ66が含まれる。
水源水温センサ50は、圃場500に水を供給する水源504(図1)の水温(以下「水源水温Tsw」又は「水温Tsw」ともいう。)を検出する。水源504は、圃場500の周りを流れる用水やため池が想定されており、基本的には外気の影響を受けて水温Tswの値が一定しない。圃場水温センサ52は、水田である圃場500に貯められた水(以下「貯留水」ともいう。)の水温(以下「圃場水温Tfw」又は「水温Tfw」ともいう。)を検出する。気温センサ54は、圃場500の気温(以下「圃場気温Tfa」又は「気温Tfa」ともいう。)を検出する。
水深センサ56は、圃場500の貯留水の水深(以下「水深H」ともいう。)を検出する。水深Hは、圃場500における貯留水の深さ(底から表面までの距離)であるが、貯留水の水位(表面の高さ)を代わりに用いてもよい。換言すると、水位は、水深Hと実質的に同義のものとして用いることができる。
土壌温度センサ58は、圃場500の土壌の温度(以下「土壌温度Te」ともいう。)を検出するものであり、例えばその検出素子を土壌中に埋没させて値を検出する。土壌窒素濃度センサ60は、圃場500の土壌の窒素濃度(以下「土壌窒素濃度Rn」ともいう。)を検出するものであり、例えばその検出素子を土壌中に埋没させて値を検出する。上流側流量センサ62は、水源504からの水が圃場500に流入する給水路506(図1)に配設され、給水路506における流量(以下「流量Q1」ともいう。)検出する。下流側流量センサ64は、圃場500から水を排出する排水路508(図1)に配設され、排水路508における流量(以下[流量Q2]ともいう。)を検出する。照度センサ66は、圃場500の日射量(以下「日射量X」ともいう。)を検出する。
さらに、圃場センサ群20には、降水量センサ、風速計、気圧計又は湿度計が含まれてもよい。降水量センサは、圃場500の降水量を検出する。風速計は、圃場500の風速を検出する。気圧計は、圃場500の気圧を検出する。湿度計は、圃場500の湿度を検出する。
[A-1-3.生育診断サーバ22]
(A-1-3-1.概要)
図3は、本実施形態の生育診断サーバ22の構成を簡略的に示す構成図である。生育診断サーバ22(以下「診断サーバ22」ともいう。)は、生育診断モデルを用いた生育診断を行い、診断結果に基づいてユーザ600、602(図1)等に作業指示を行う生育診断装置である。作業指示には、施肥のタイミング、肥料の種類・量、農薬の散布タイミング、農薬の種類・量、圃場500の水管理等が含まれる。
図3に示すように、診断サーバ22は、入出力部70と、通信部72と、演算部74と、記憶部76とを有する。入出力部70は、圃場センサ群20、ドローン24等との信号の入出力を行う。通信部72は、図示しないモデム等を有する。通信部72は、通信ネットワーク36を介することで、圃場センサ群20、ドローン24、第1ユーザ端末26、第2ユーザ端末28、第3ユーザ端末30、情報提供サーバ40等との通信が可能である。
演算部74は、中央演算装置(CPU)を含み、記憶部76に記憶されているプログラムを実行することにより動作する。演算部74が実行する機能の一部は、ロジックIC(Integrated Circuit)を用いて実現することもできる。演算部74は、前記プログラムの一部をハードウェア(回路部品)で構成することもできる。後述するドローン24の演算部等も同様である。
記憶部76は、演算部74が用いるプログラム及びデータを記憶するものであり、ランダム・アクセス・メモリ(以下「RAM」という。)を備える。RAMとしては、レジスタ等の揮発性メモリと、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを用いることができる。また、記憶部76は、RAMに加え、リード・オンリー・メモリ(ROM)を有してもよい。後述するドローン24の記憶部等も同様である。
(A-1-3-2.演算部74)
(A-1-3-2-1.概要)
図3に示すように、演算部74は、生育診断管理部80と、ドローン飛行管理部82と、画像処理部84とを有する。生育診断管理部80は、生育診断モデルを用いた生育診断を行うと共に、生育診断の結果に基づく作業指示を行う。ドローン飛行管理部82は、ドローン24の飛行(経路等)を管理する。画像処理部84は、ドローン24が撮影した画像を処理して作物502の生育状態値V(検出生育状態値Vd)を算出する。
生育診断管理部80は、生育診断部90と、目標値設定部92と、作業指示部94とを有する。生育診断部90は、生育診断モデルを用いた生育診断を実行する。目標値設定部92は、生育診断部90が実行した生育診断の結果に基づいて、ユーザ600等が実現すべき目標値を設定する。作業指示部94は、目標値設定部92が設定した目標値に基づいて、ユーザ600等への作業指示を生成し、第1ユーザ端末26等に表示させる。
(A-1-3-2-2.生育診断部90)
(A-1-3-2-2-1.概要)
図4は、本実施形態における生育診断管理部80の構成の詳細を示す構成図である。上記のように、生育診断管理部80は、生育診断部90と、目標値設定部92と、作業指示部94とを有する。図4に示すように、生育診断部90は、フェーズ判定部110と、現在生育状態推定部112と、将来生育状態推定部114とを有する。フェーズ判定部110は、作物502の現在の生育フェーズを判定する。例えば、フェーズ判定部110は、現在生育状態値推定部112が推定した現在生育状態Sgcur(後述)に基づいて現在の生育フェーズを判定する。或いは、フェーズ判定部110は、田植えからの日数をカウントして現在の生育フェーズを判定してもよい。いずれの場合も、ユーザ600等の入力により、現在の生育フェーズを修正してもよい。
(A-1-3-2-2-2.現在生育状態推定部112)
図5は、本実施形態における現在生育状態推定部112の構成の詳細を示す構成図である。現在生育状態推定部112は、診断モデルを用いて作物502の現在生育状態Sgcurを判定する。図4及び図5に示すように、現在生育状態推定部112は、光合成推定部120と、窒素同化推定部122と、現在生育状態値推定部124とを有する。
光合成推定部120は、前回の演算周期からの光合成に伴う変化(換言すると、太陽エネルギーの取込量)を算出する。具体的には、直前の生育状態(前回の現在生育状態Sgcur)及び前回の演算周期から今回の演算周期までの気象の変化に基づいて、光合成に伴うショ糖及びデンプンの生成量を算出する。前回の演算周期から今回の演算周期までの気象の変化は、例えば、圃場センサ群20からの検出値、情報提供サーバ40からの気象情報(過去及び現在の気象に関するもの)を用いて判定してもよい。
その際、前回の演算周期で現在生育状態値推定部124が算出した推定生育状態値Ve(葉の面積、数、赤色光吸収率、有効受光面積率等)を前提とする。或いは、ドローン24の画像に基づいて画像処理部84が算出した検出生育状態値Vd(赤色光吸収率、有効受光面積率等)が入力された場合、当該検出生育状態値Vdを前提として、ショ糖及びデンプンの生成量を算出してもよい。
窒素同化推定部122は、前回の演算周期からの窒素同化に伴う変化(換言すると、根からの養分吸収量)を算出する。具体的には、直前の生育状態(前回の現在生育状態Sgcur)及び前回の演算周期から今回の演算周期までの気象の変化に基づいて、窒素同化量を算出する。
前回の演算周期から今回の演算周期までの気象の変化は、例えば、圃場センサ群20からの検出値、情報提供サーバ40からの気象情報(過去及び現在の気象に関するもの)を用いて判定してもよい。ここで、窒素同化量は現在の推定窒素濃度Rneを考慮して算出することができる。この推定窒素濃度Rneは、圃場500の有機物量と水管理の履歴情報から演算により推定することができるが、圃場センサ群20に含まれる土壌窒素濃度センサ60を用いて直接計測することも可能である。
窒素同化量を算出する際、前回の演算周期で現在生育状態値推定部124が算出した推定生育状態値Ve(根の重量等)を前提とする。ここで、根の重量は、図示しない土壌窒素濃度判定部で推定又は計測される土壌窒素濃度Rnに基づいて推定される。土壌窒素濃度判定部は、例えば、土壌の有機物量と水管理履歴(水深H、水温Tfw等)の情報に基づき土壌中の窒素濃度Rnを判定してもよい。或いは、土壌窒素濃度センサ60により直接土壌窒素濃度Rnを計測してもよい。
現在生育状態値推定部124は、光合成推定部120及び窒素同化推定部122の演算結果並びに前回の演算周期から今回の演算周期までの気象の変化に基づいて、作物502の生育状態値V(推定生育状態値Ve)を算出する。具体的には、直前の生育状態(前回の現在生育状態Sgcur)並びにショ糖及びデンプンの生成量及び窒素同化量に基づいて、根の重量、葉の重量、籾数Nc(現在籾数Nccur)等を算出する。また、既に作物502が蓄えていたショ糖やデンプンが作物502において消費された量(消費エネルギー量)や、葉鞘に蓄積されたデンプン量、及び蓄積されたデンプンが籾に転流される量(転流量)等を算出する。上記のように、現在生育状態値推定部124が算出する推定生育状態値Veの一部は、ドローン24の画像に基づく検出生育状態値Vdで置換又は補正してもよい。
図5に示すように、現在生育状態値推定部124は、根重量推定部300と、葉鞘デンプン量推定部302と、葉身重量推定部304と、胚乳ショ糖転流量推定部306と、籾数推定部308とを有する。根重量推定部300は、作物502の根の重量を推定する。葉鞘デンプン量推定部302は、作物502の葉鞘のデンプン量を推定する。葉身重量推定部304は、作物502の葉身重量を推定する。胚乳ショ糖転流量推定部306は、作物502の胚乳におけるショ糖(デンプン)の転流量を推定する。籾数推定部308は、作物502の現在籾数Nccurを推定する。
(A-1-3-2-2-3.将来生育状態推定部114)
図6は、本実施形態における将来生育状態推定部114の構成の詳細を示す構成図である。将来生育状態推定部114は、生育診断モデルを用いて作物502の将来生育状態Sgftrを判定する。図4及び図6に示すように、将来生育状態推定部114は、将来籾数推定部130と、収量推定部132と、食味推定部134とを有する。
将来籾数推定部130は、診断モデルにおいて、現在生育状態値推定部124が推定した現在籾数Nccur、情報提供サーバ40から取得した気象予報情報Ice等に基づいて将来籾数Ncftrを算出する。作物502の籾数Ncは、幼穂発育期に決定するものであり、圃場500の水温Tfw等に応じて変化する。将来籾数推定部130は、この点をモデル化して将来籾数Ncftrを算出する。
収量推定部132は、現在生育状態値推定部124が推定した推定生育状態値Ve、情報提供サーバ40から取得した気象予報情報Ice等に基づいて作物502の推定収量を算出する。推定収量として、例えば粗玄米重、精玄米重、クズ米率等が算出される。くず米率は、単位量当たりの作物502に含まれる未熟米(例えば、網目幅1.7mmの篩いを通過する米)の割合である。くず米率は、例えば、推定生育状態値Veとして生成される葉鞘に蓄積されたデンプンが籾に転流される量の情報と、気象予報情報Iceに基づいて推定される。推定収量は、籾数Nc、将来的な光合成の状態等に応じて変化する。図6に示すように、収量推定部132は、現在のくず米率を推定するくず米率推定部320を有する。
食味推定部134は、収穫後の作物502の食味を推定する。食味は、収穫時における作物502における背白米比率、アミロースとアミロペクチンの含有比率、胚乳タンパク質含有量等に応じて変化する。例えば、背白米比率(背白米の発生比率)は、登熟期の胚乳へのショ糖転流量の時系列変化から推定することができる。なお、背白米は、デンプンの蓄積不良のため、白色不透明で止まり外観上玄米の背側稜線に沿って白色の筋があるものをいう。
また、胚乳のアミロースとアミロペクチンの含有比率(アミロース/アミロペクチン比率)は、登熟期における温度変化と胚乳へのショ糖転流量から推定することができる。さらに、胚乳のタンパク質含有量は、赤色光吸収率の時系列変化の情報から推定することができる。
図6に示すように、食味推定部134は、背白米比率推定部330と、アミロース/アミノペクチン比率推定部332と、胚乳タンパク質含有率推定部334とを有する。背白米比率推定部330は、背白米の比率を推定する。アミロース/アミノペクチン比率推定部332は、アミロースとアミロペクチンの含有比率を推定する。胚乳タンパク質含有率推定部334は、胚乳におけるタンパク質含有率を推定する。
(A-1-3-2-3.目標値設定部92)
図7は、本実施形態における目標値設定部92の構成の詳細を示す構成図である。目標値設定部92は、ユーザ600等に対する作業指示のための各種の目標値を設定する。図4及び図7に示すように、目標値設定部92は、目標将来生育状態設定部150と、目標水温設定部152と、目標窒素濃度設定部154と、目標水深設定部156とを有する。
目標将来生育状態設定部150は、将来(収穫時)の生育状態値Vの目標値(目標生育状態値Vtar)を設定する。図7に示すように、目標将来生育状態設定部150は、目標背白米比率設定部350と、目標アミロース/アミノペクチン比率決定部352と、目標くず米率設定部354と、目標籾数設定部356と、目標胚乳タンパク質含有率設定部358とを有する。
目標背白米比率設定部350は、背白米比率の目標値(目標背白米比率)を設定する。目標アミロース/アミノペクチン比率設定部352は、アミロース/アミノペクチン比率の目標値(目標アミロース/アミノペクチン比率)を設定する。目標くず米率設定部354は、くず米率の目標値(目標くず米率)を設定する。目標籾数設定部356は、籾数の目標値(目標籾数)を設定する。目標胚乳タンパク質含有率設定部358は、胚乳タンパク質含有率の目標値(目標胚乳タンパク質含有率)を設定する。
将来生育状態目標設定部156の各部で設定される各目標値は、作物502の作付け前に予め設定された固定の目標値としてもよいし、作物502の生育状態に応じて生育途中に変更してもよい。
目標水温設定部152、目標窒素濃度設定部154及び目標水深設定部156は、目標将来生育状態設定部150で設定された目標将来生育状態(各種パラメータの目標値)に基づいて各種の目標値を設定する。具体的には、目標水温設定部152は、圃場500の目標水温Tfwtar(圃場水温Tfwの目標値)を設定する。目標水温Tfwtarには、目標昼間水温Tfwdtar及び目標夜間水温Tfwntarが含まれる。目標窒素濃度設定部154は、圃場500における土壌の目標窒素濃度Rntar(窒素濃度Rnの目標値)を設定する。ここにいう窒素濃度Rnは、土壌に含まれて作物502(水稲)が吸収可能な窒化物(アンモニウムイオン等)の濃度を意味する。目標水深設定部156は、圃場500の目標水深Htar(水深Hの目標値)を設定する。
(A-1-3-2-4.作業指示部94)
作業指示部94は、目標値設定部92で設定された各種の目標値に基づいて、ユーザ600等に対する作業指示を行う(詳細は後述する。)。
(A-1-3-3.記憶部76)
記憶部76(図3)は、生育診断管理部80、ドローン飛行管理部82等を実現するために演算部74が用いるプログラム及びデータを記憶すると共に、圃場データベース160(以下「圃場DB160」という。)と、生育診断データベース162(以下「生育診断DB162」という。)とを有する。圃場DB160は、ドローン24の飛行管理に必要な圃場500毎の情報(飛行用圃場情報)を蓄積する。飛行用圃場情報には、例えば、圃場500の位置情報が含まれる。
生育診断DB162は、生育診断に関する各種情報(生育診断情報)を蓄積する。生育診断情報には、例えば、生育診断のスケジュール、過去の診断結果(過去に栽培された作物502の種類、収量、くず米率を含む。)、生育診断モデル(係数、初期値を含むパラメータ等)、施肥状態、撮影データ(圃場500の画像)が含まれる。施肥状態には、既に散布した肥料の種類、量及び散布タイミングが含まれる。施肥状態には、これから散布する肥料の種類、量及び散布タイミングが含まれてもよい。
[A-1-4.ドローン24]
本実施形態において、ドローン24(図1、図2)は、圃場500(作物502)の画像を取得する手段として機能すると共に、作物502に対する薬剤(液体肥料を含む。)を散布する手段としても機能する。ドローン24は、発着地点510(図1)において離着陸する。
図2に示すように、ドローン24は、ドローンセンサ群180と、通信部182と、飛行機構184と、撮影機構186と、散布機構188と、ドローン制御部190とを有する。
ドローンセンサ群180は、準天頂衛星システムセンサ又はグローバル・ポジショニング・システム・センサ(以下「GPSセンサ」という。)、速度計、高度計、ジャイロセンサ、液量センサ(いずれも図示せず)等を有する。準天頂衛星システムセンサ又はGPSセンサは、ドローン24の現在位置情報を出力する。速度計は、ドローン24の飛行速度を検出する。高度計は、ドローン24下方の地面に対する距離としての対地高度を検出する。ジャイロセンサは、ドローン24の角速度を検出する。液量センサは、散布機構188のタンク内の液量を検出する。
通信部182は、通信ネットワーク36を介しての電波通信が可能であり、例えば、電波通信モジュールを含む。通信部182は、通信ネットワーク36(無線基地局38を含む。)を介することで、生育診断サーバ22、第1ユーザ端末26、第2ユーザ端末28等との通信が可能である。
飛行機構184は、ドローン24を飛行させる機構であり、複数のプロペラと、複数のプロペラアクチュエータとを有する。プロペラアクチュエータは、例えば電動モータを有する。
撮影機構186は、圃場500又は作物502の画像を撮影する機構であり、カメラ200を有する。本実施形態のカメラ200は、マルチスペクトルカメラであり、特に作物502の生育状況を分析できる画像を取得する。撮影機構186は、圃場500に対して特定の波長の光線を照射する照射部をさらに備え、当該光線に対する圃場500からの反射光を受光可能になっていてもよい。特定の波長の光線は、例えば赤色光(波長約650nm)と近赤外光(波長約774nm)であってもよい。当該光線の反射光を分析することで、作物502の窒素吸収量を推定し、推定した窒素吸収量に基づいて作物502の生育状況を分析することができる。
カメラ200は、ドローン24の本体の下部に配置され、ドローン24の周辺を撮影した周辺画像に関する画像データを出力する。カメラ200は、動画を撮影するビデオカメラである。或いは、カメラ200は、動画及び静止画の両方又は静止画のみを撮影可能としてもよい。
カメラ200は、図示しないカメラアクチュエータにより向き(ドローン24の本体に対するカメラ200の姿勢)を調整可能である。或いは、カメラ200は、ドローン24の本体に対する位置が固定されてもよい。
散布機構188は、薬剤(液体肥料を含む。)を散布する機構であり、例えば、薬剤タンク、ポンプ、流量調整弁及び薬剤ノズルを有する。
ドローン制御部190は、ドローン24の飛行、撮影、薬剤の散布等、ドローン24全体を制御する。ドローン制御部190は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を含む。ドローン制御部190は、飛行制御部210、撮影制御部212及び散布制御部214を有する。飛行制御部210は、飛行機構184を介してドローン24の飛行を制御する。撮影制御部212は、撮影機構186を介してドローン24による撮影を制御する。散布制御部214は、散布機構188を介してドローン24による薬剤散布を制御する。
[A-1-5.第1ユーザ端末26]
第1ユーザ端末26(図1)は、圃場500において、操作者としてのユーザ600(図1)の操作によりドローン24を制御すると共に、ドローン24から受信した情報(例えば、位置、薬剤量、電池残量、カメラ映像等)を表示する携帯情報端末である。なお、本実施形態では、ドローン24の飛行状態(高度、姿勢等)は、第1ユーザ端末26が遠隔制御するのではなく、ドローン24が自律的に制御する。従って、第1ユーザ端末26を介してユーザ600からドローン24に飛行指令が送信されると、ドローン24は自律飛行を行う。但し、離陸や帰還等の基本操作時、及び緊急時にはマニュアル操作が行なえるようになっていてもよい。第1ユーザ端末26は、図示しない入出力部(タッチパネル等を含む。)、通信部、演算部及び記憶部を備え、例えば、一般的なタブレット端末により構成される。
また、本実施形態の第1ユーザ端末26は、生育診断サーバ22からの作業指示等を受信して表示する。
[A-1-6.第2ユーザ端末28]
第2ユーザ端末28(図1)は、圃場500において、操作者以外のユーザ602(図1)が用いる携帯情報端末であり、ドローン24の飛行情報(現在の飛行状況、飛行終了予定時刻等)、ユーザ602に対する作業指示、生育診断の情報等を、診断サーバ22又はドローン24から受信して表示する。第2ユーザ端末28は、図示しない入出力部(タッチパネル等を含む。)、通信部、演算部及び記憶部を備え、例えば、一般的なスマートホンにより構成される。
[A-1-7.第3ユーザ端末30]
第3ユーザ端末30は、圃場500以外の場所(例えば、ユーザ600、602が所属する会社)において、生育診断サーバ22による生育診断を利用するためにユーザ600、602等が用いる端末である。第3ユーザ端末30は、図示しない入出力部(例えばキーボード及び表示部を含む。)、通信部、演算部及び記憶部を備え、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピュータ(PC)又はノート型PCにより構成される。
[A-1-8.上流側水門32及び下流側水門34]
図1に示すように、上流側水門32(以下「水門32」ともいう。)は、圃場500への給水路506に設けられる。下流側水門34(以下「水門34」ともいう。)は、圃場500からの排水路508に設けられる。水門32、34の開閉は、図示しない第1・第2開閉機構を介してユーザ600、602等が行う。第1・第2開閉機構は、ユーザ600等が手動で操作するハンドル、バルブ等により構成される。或いは、第1・第2開閉機構は、ユーザ600等の操作によりオンオフされて水門32、34を開閉する電動アクチュエータ(電動モータ等)を有してもよい。
[A-1-9.情報提供サーバ40]
情報提供サーバ40は、気象衛星等により得られた圃場500に関する情報(圃場情報)を生育診断サーバ22に提供する。ここにいう圃場情報には、例えば、圃場500の気温Tfa、降水量、天気予報等(過去、現在、未来の気象情報)が含まれる。
<A-2.本実施形態の制御>
[A-2-1.概要]
本実施形態の営農システム10では、生育診断制御、ドローン飛行管理制御、生育状態検出制御及び薬剤散布制御が行われる。生育診断制御は、圃場センサ群20からの各種検出値及び情報提供サーバ40からの気象情報Ic(気象予報情報Iceを含む。)に基づいて、作物502の生育診断を行う制御である。生育診断制御では、ユーザ600等に対する作業指示も行われる。ドローン飛行管理制御は、生育診断制御等のため圃場500においてドローン24の飛行を管理する制御である。生育状態検出制御は、ドローン24のカメラ200により圃場500(又は作物502)の画像を取得し、この画像を処理して作物502の生育状態を検出する制御である。薬剤散布制御は、ドローン24を用いて薬剤(液体肥料を含む。)を散布する制御である。
ドローン飛行管理制御、生育状態検出制御及び薬剤散布制御は、いずれも生育診断制御における作業指示に基づいて行われる。以下では、まず生育診断制御、ドローン飛行管理制御、生育状態検出制御及び薬剤散布制御の概要について先に説明する。その後、生育診断制御の一部としての生育状態判定制御及び水・施肥管理制御について説明する。
[A-2-2.生育診断制御]
上記のように、生育診断制御は、生育診断モデルを用いて、作物502の生育診断を行う制御であり、主として生育診断サーバ22(特に生育診断管理部80の生育診断部90)が実行する。ここに言う生育診断には、例えば、圃場500毎の収量の推定値(推定収量)が含まれる。また、生育診断制御では、水田としての圃場500の水管理、施肥、薬剤散布等に関する作業指示も行われる。作業指示は、例えば、第1ユーザ端末26、第2ユーザ端末28又は第3ユーザ端末30の表示部に表示される。
生育診断モデルでは、作物502(水稲)の収量、赤色光吸収率、籾数Nc、有効受光面積率、籾内の蓄積デンプン量及び籾内のタンパク質含有率を算出することができる。生育診断モデルとしては、例えば、特開2015-000049号又は特許文献2に記載のものを用いることができる。
本実施形態の生育診断制御は、圃場500の水管理を行う水・肥料管理制御を含む。水・肥料管理制御については、図8~図12を参照して後述する。
[A-2-3.ドローン飛行管理制御]
上記のように、ドローン飛行管理制御は、生育診断制御等のため圃場500においてドローン24の飛行を管理する制御であり、主として生育診断サーバ22(特にドローン飛行管理部82)が実行する。具体的には、ドローン飛行管理制御では、圃場500を撮影する際の飛行経路、目標速度、目標高度等が指令される。
[A-2-4.生育状態値検出制御]
生育状態値検出制御は、ドローン24のカメラ200の画像に基づいて、圃場500に生育する作物502の生育状態値Vを検出する制御である。生育状態値検出制御では、ドローン24のカメラ200により圃場500(作物502)の画像を取得して診断サーバ22に送信し、診断サーバ22(画像処理部84)において、画像を処理して作物502の生育状態値V(検出生育状態値Vd)を算出する。
例えば、作物502としての水稲の近赤外光(NIR)及び赤外光(IR)を撮影した場合、カメラ200で受光した近赤外光と赤外光の光量の差が全体光量に占める割合である赤色光吸収率(つまり、作物502に吸収されている赤色光の割合)に基づいて、水稲の成長度合いを判定可能である。ここで算出する検出生育状態値Vdは、作物502の生育フェーズに合わせて選択することができる。
生育フェーズは、分げつ期と、幼穂発育期と、登熟期とを含む。分げつ期は、作物の茎数が増加する期間である。幼穂発育期は、出穂前の幼穂の数が増加する期間である。登熟期は、出穂・開花から成熟までの期間であり、出穂後の籾にデンプンが蓄積される。
分げつ期では、例えば、作物502の高さ、葉の数、赤色光吸収率、有効受光面積率(圃場面積において光合成を行うことができる葉の面積率)、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)、分けつ数、葉身長、作物502の密度(土と作物502の面積割合)を用いることができる。幼穂発育期では、例えば、作物502の高さ、葉の数、有効受光面積率、NDVIを用いることができる。登熟期では、例えば、籾数、NDVIを用いることができる。
[A-2-5.薬剤散布管理制御]
薬剤散布制御は、生育診断制御により提示された作業指示に基づいて、圃場500におけるドローン24の薬剤散布(液体肥料の散布を含む。)を管理する制御であり、主として生育診断サーバ22が実行する。
[A-2-6.生育状態判定制御]
生育状態判定制御は、生育診断部90において作物502の現在及び将来の生育状態を判定する制御である。上記のように、生育状態判定制御では、フェーズ判定部110が、現在の生育フェーズを判定する。また、現在生育状態推定部112が、光合成推定部120、窒素同化推定部122及び現在生育状態値推定部124を用いて現在生育状態Sgcur(現在生育状態値Vcur)を算出する。さらに、生育状態判定制御では、将来生育状態推定部114が、将来籾数推定部130、収量推定部132及び食味推定部134を用いて将来生育状態Sgftr(将来生育状態値Vftr)を算出する。
[A-2-7.水・肥料管理制御]
(A-2-7-1.概要)
上記のように、水・肥料管理制御は、圃場500の水管理及び肥料管理(施肥管理)を行う制御であり、生育診断制御の一部である。本実施形態の水・肥料管理制御において、診断サーバ22は、圃場500の水管理及び肥料管理(施肥)に関する作業指示をユーザ600等に提示する。具体的には、水管理に関し、圃場500に配置された水門32、34に関する作業指示を第1ユーザ端末26等に提示する。ユーザ600等は、この作業指示に従って水門32、34を操作することで、圃場500の水管理を行う。
ユーザ600等(農家)が、1日中水門32、34を操作し続けることは現実的でない。また、稲作は比較的暑い時期に行われ、日中の暑い時間帯に水門32、34を操作することもユーザ600等にとって作業負荷が大きい。そこで、本実施形態では、水門32、34を朝及び夕方に操作することを前提として作業指示を行う。
また、肥料管理(施肥管理)に関し、診断サーバ22は、施肥のタイミング、肥料の種類・量に関する作業指示を第1ユーザ端末26等に提示する。ユーザ600等は、この作業指示に従ってドローン24を操作して圃場500に薬剤を散布することで、圃場500の肥料管理を行う。
(A-2-7-2.具体的な流れ)
(A-2-7-2-1.全体的な流れ)
図8は、本実施形態の水・肥料管理制御のフローチャートである。本実施形態の水・肥料管理制御は、基本的に、診断サーバ22(特に生育診断管理部80の目標値設定部92及び作業指示部94)が実行する。図8に示す水・肥料管理制御の一部は、生育診断制御における他の制御と重複し得ることに留意されたい。
図8のステップS11において、診断サーバ22(目標値設定部92)は、作物502の生育フェーズを判定する。具体的には、フェーズ判定部110から現在の生育フェーズの情報を取得する。
ステップS12において、診断サーバ22(目標値設定部92)は、現在の生育フェーズに応じて目標水温Tfwtar及び目標窒素濃度Rntarを設定する。現在の生育フェーズが分げつ期である場合、分げつ期制御(図8のS21、図9(A)、図10)を実行する。現在の生育フェーズが幼穂発育期である場合、幼穂発育期制御(図8のS22、図9(B)、図11)を実行する。現在の生育フェーズが登熟期である場合、登熟期制御(図8のS23、図9(C)、図12)を実行する。登熟期制御(図8のS23)の場合、目標水温Tfwtar及び目標窒素濃度Rntarのみならず、目標水深Htarを設定する場合がある。
図9(A)は、本実施形態の分げつ期制御における制御対象と制御内容を簡潔に示す図である。図9(B)は、本実施形態の幼穂発育期制御における制御対象と制御内容を簡潔に示す図である。図9(C)は、本実施形態の登熟期制御における制御対象と制御内容を簡潔に示す図である。分げつ期制御、幼穂発育期制御及び登熟期制御の詳細は、図10~図12を参照して後述する。
図8に戻り、ステップS13において、診断サーバ22は、情報提供サーバ40から圃場500に関する気象予報情報Iceを取得する。気象予報情報Iceには、圃場500の気温Tfaの推定値(以下「推定気温Tfae」ともいう。)が含まれる。なお、気象予報情報Iceの一部は、ステップS12でも用いられるため、ステップS13は、ステップS12の前に行ってもよい。
ステップS14において、診断サーバ22は、目標水温Tfwtar、現在水温Tfw、現在気温Tfa及び推定気温Tfaeに基づいて圃場500の目標水深Htarを算出する。目標水深Htarには、入水時刻又は目標水深Htarを維持する期間の情報が含まれてもよい。上記のように、本実施形態では、ユーザ600等(農家)の利便性を考慮して、水門32、34の操作を朝と夕方に行うことを前提としている。そこで、例えば、朝に水門32、34を操作することにより、例えば日中最も暑い時間帯(例えば14時頃)の推定水温Tfweが目標昼間水温Tfwdtarに近付くように、目標水深Htarを設定する。
例えば、昼間の推定気温Tfaeが比較的高く、現在の水深H及び現在の水温Tfwでは推定水温Tfweが目標昼間水温Tfwdtarを上回ることが想定される場合、目標昼間水深Hdtarを深くして、水温Tfwの上昇を抑制する(但し、現在の水温Tfwが目標昼間水温Tfwdtarを上回っている場合はこの限りでない。)。反対に、昼間の推定気温Tfaeが比較的低く、現在の水深H及び現在の水温Tfwでは推定水温Tfweが目標昼間水温Tfwdtarを下回ることが想定される場合、目標水深Htarを浅くして、水温Tfwの上昇を促進する(但し、現在の水温Tfwが目標昼間水温Tfwdtarを上回っている場合はこの限りでない。)。
同様に、夕方に水門32、34を操作することにより、例えば夜間最も寒い時間帯(例えば翌日の4時頃)の推定水温Tfwneが目標夜間水温Tfwntarに近付くように、目標夜間水深Hntarを設定する。
例えば、夜間の推定気温Tfaeが比較的高く、現在の水深H及び現在の水温Tfwでは推定水温Tfweが目標夜間水温Tfwntarを上回ることが想定される場合、目標水深Htarを浅くして、水温Tfwの下降を促進する(但し、現在の水温Tfwが目標夜間水温Tfwntarを下回っている場合はこの限りでない。)。反対に、夜間の推定気温Tfaeが比較的低く、現在の水深H及び現在の水温Tfwでは推定水温Tfweが目標夜間水温Tfwntarを下回ることが想定される場合、目標水深Htarを深くして、水温Tfwの下降を促進する(但し、現在の水温Tfwが目標夜間水温Tfwntarを大幅に上回っている場合はこの限りでない。)。
ステップS15において、診断サーバ22は、施肥の必要性を判定する。具体的には、目標窒素濃度Rntarと現在の推定窒素濃度Rneとを比較し、目標窒素濃度Rntarの方が高い場合、施肥が必要であると判定する。上記のようにで、現在の推定窒素濃度Rneは、土壌窒素濃度センサ60により直接計測するか、又は土壌の有機物量と水管理履歴の情報から推定することにより得ることができる。
ステップS16において、診断サーバ22は、目標水深Htar及び必要な施肥を実現するためのユーザへの作業指示を算出する。具体的には、診断サーバ22は、ユーザ600等が水門32、34を操作する想定時刻における水門32、34の操作方法(開度、開時間等)を特定する。換言すると、診断サーバ22は、上流側水門32による給水タイミング及び給水量、下流側水門34による排水タイミング及び排水量、並びに圃場500の水深Hを目標値として算出する。
上記の処理を経ることで、例えば、将来における(例えば当日から翌日にかけての)推定夜間水温Tfwneが目標夜間水温Tfwntarよりも高い場合、その前(例えば当日)における圃場500の昼間水深Hdを目標昼間水深Hdtarよりも浅くするように給水量及び排水量を設定する。また、将来における推定夜間水温Tfwneが目標夜間水温Tfwntarよりも低い場合、その前における圃場500の水深Hを目標昼間水深Hdtarよりも深くするように給水量及び排水量を設定する。さらに、将来(例えば当日)における推定昼間水温Tfwdeが目標昼間水温Tfwdtarよりも低い場合、その前(例えば当日)における圃場500の昼間水深Hdを目標昼間水深Hdtarよりも浅くするように給水量及び排水量を設定してもよい。さらにまた、将来における推定昼間水温Tfwdeが目標昼間水温Tfwdtarよりも高い場合、その前における圃場500の昼間水深Hdを目標昼間水深Hdtarよりも深くするように給水量及び排水量を設定してもよい。
また、ステップS15において施肥が必要であると判定した場合、ステップS16において、診断サーバ22は、目標窒素濃度Rntarと現在の推定窒素濃度Rneの差分に応じた肥料の種類、量及びタイミング等を設定する。
ステップS17において、診断サーバ22は、ステップS16で特定した水門32、34の操作方法を、第1ユーザ端末26等を介してユーザ600等に提示する。また、診断サーバ22は、必要な肥料の種類、量及びタイミング等を第1ユーザ端末26等を介してユーザ600等に提示する。
(A-2-7-2-2.分げつ期制御)
図10は、本実施形態の分げつ期制御のフローチャートである。分げつ期制御では、現在の作物502の大きさZに応じて、圃場500の水温Tfw及び窒素濃度Rnを制御する。ステップS31において、診断サーバ22(目標値設定部92)は、生育診断部90から現在生育状態Sgcurを取得する。ここでの現在生育状態Sgcurには、作物502の大きさZが含まれる。ここでの大きさZは、分げつ期における作物502の成長度合いを計る指標であり、例えば、根重量、葉重量、作物502全体の重量又は葉面積を用いることができる。
ステップS32において、診断サーバ22は、作物502が分げつ期目標生育状態に未達であるか否かを判定する。具体的には、診断サーバ22は、作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超えていないか否かを判定する。大きさ閾値THzは、作物502の生育状態を判定する閾値である。作物502が分げつ期目標生育状態に未達である場合(S32:真)、ステップS33に進む。
ステップS33において、診断サーバ22(目標値設定部92)は、目標昼間水温Tfwdtarを高く設定し、目標夜間水温Tfwntarを高く設定し、目標窒素濃度Rntarを低く設定する。より具体的には、目標昼間水温Tfwdtarに、相対的に高い基準昼間水温Tfwdref1を代入し、目標夜間水温Tfwntarに、相対的に高い基準夜間水温Tfwnref1を代入し、目標窒素濃度Rntarに、相対的に低い基準窒素濃度Rnref1を代入する。
作物502が分げつ期目標生育状態に到達済である場合(S32:偽)、ステップS34に進む。ステップS34において、診断サーバ22(目標値設定部92)は、目標昼間水温Tfwdtarを高く設定し、目標夜間水温Tfwntarを低く設定し、目標窒素濃度Rntarを高く設定する。より具体的には、目標昼間水温Tfwdtarに、相対的に高い基準昼間水温Tfwdref2を代入し、目標夜間水温Tfwntarに、相対的に低い基準夜間水温Tfwnref2を代入し、目標窒素濃度Rntarに、相対的に高い基準窒素濃度Rnref2を代入する。なお、基準昼間水温Tfwdref1、Tfwdref2は同一の値としてもよい。
なお、分げつ期制御においては、目標窒素濃度Rntarが土壌窒素濃度推定部による推定値窒素濃度又は土壌窒素濃度センサ60で計測された計測窒素濃度を超えた場合、作業指示部94(出力手段)は、窒素肥料の施肥に関する作業指示を出力してもよい(図8のS17)。
(A-2-7-2-3.幼穂発育期制御)
図11は、本実施形態の幼穂発育期制御のフローチャートである。幼穂発育期制御では、登熟期の将来生育状態Sgftr(換言すると、将来籾数Ncftr)に応じて、圃場500の水温Tfw及び窒素濃度Rnを制御する。ステップS51において、診断サーバ22(目標値設定部92)は、生育診断部90から将来生育状態Sgftr(登熟期の将来生育状態Sgftr)を取得する。ここでの将来生育状態Sgftrには、登熟期の将来籾数Ncftrが含まれる。
ステップS52において、診断サーバ22は、登熟期の将来籾数Ncftrと気象予報情報Iceに基づいて将来籾数Ncftrに増加余地があるか否かを判定する。例えば、気象予報情報Iceに含まれる予測日射量Xftrが基準日射量Xrefよりも多い場合、基準よりも活発に光合成が行われる。そのため、将来籾数Ncftrが増加しても、各籾は、十分に成長できる(くず米とならない)ことが期待される。
なお、ここでの予測日射量Xftrは、上記のように、登熟期における籾の成長度合いの推定に用いられるものである。そのため、予測日射量Xftrは、登熟期における日射量Xを用いることができる。或いは、予測日射量Xftrは、現在(幼穂発育期)から登熟期にかけての日射量Xであってもよい。後述するステップS54についても同様である。
そこで、将来籾数Ncftrに増加余地がある場合(S52:真)、ステップS53において、将来籾数Ncftrの増加を促進させるように目標値を設定する。具体的には、診断サーバ22(目標値設定部92)は、目標昼間水温Tfwdtarを高く設定し、目標夜間水温Tfwntarを高く設定し、目標窒素濃度Rntarを高く設定する。より具体的には、目標昼間水温Tfwdtarに、相対的に高い基準昼間水温Tfwdref3を代入し、目標夜間水温Tfwntarに、相対的に高い基準夜間水温Tfwnref3を代入し、目標窒素濃度Rntarに、相対的に高い基準窒素濃度Rnref3を代入する。
将来籾数Ncftrに増加余地がない場合(S52:偽)、ステップS54に進む。ステップS54において、診断サーバ22は、登熟期の将来籾数Ncftrと気象予報情報Iceに基づいて将来籾数Ncftrを減少させる必要があるか否かを判定する。例えば、気象予報情報Iceに含まれる予測日射量Xftrが基準日射量Xrefよりも少ない場合、基準よりも光合成が弱くなる。そのため、将来籾数Ncftrを維持すると、くず米率が増加するおそれがある。
そこで、将来籾数Ncftrを減少させる必要がある場合(S54:真)、ステップS55において、将来籾数Ncftrの増加を抑制させるように目標値を設定する。具体的には、診断サーバ22(目標値設定部92)は、目標昼間水温Tfwdtarを低く設定し、目標夜間水温Tfwntarを低く設定し、目標窒素濃度Rntarを低く設定する。より具体的には、目標昼間水温Tfwdtarに、相対的に低い基準昼間水温Tfwdref4を代入し、目標夜間水温Tfwntarに、相対的に低い基準夜間水温Tfwnref4を代入し、目標窒素濃度Rntarに、相対的に低い基準窒素濃度Rnref4を代入する。
将来籾数Ncftrの減少が必要でない場合(S54:偽)、ステップS56に進む。ステップS56において、診断サーバ22は、目標昼間水温Tfwdtar、目標夜間水温Tfwntar及び目標窒素濃度Rntarをデフォルト値(中間値)に設定する。具体的には、診断サーバ22(目標値設定部92)は、目標昼間水温Tfwdtarに、デフォルト値の基準昼間水温Tfwdref5を代入し、目標夜間水温Tfwntarに、デフォルト値の基準夜間水温Tfwnref5を代入し、目標窒素濃度Rntarに、デフォルト値の基準窒素濃度Rnref5を代入する。
なお、幼穂発育期制御においては、目標窒素濃度設定部152が設定した目標窒素濃度Rntarが現在の推定窒素濃度Rneよりも高い場合、施肥が必要であると判定してもよい。上記のように、現在の推定窒素濃度Rneは、土壌窒素濃度センサ60により直接計測するか、又は土壌の有機物量と水管理履歴の情報から推定することにより得ることができる。
(A-2-7-2-4.登熟期制御)
図12は、本実施形態の登熟期制御のフローチャートである。登熟期制御では、籾の粒重量W(又は籾容積)に応じて、圃場500の水温Tfw、水深H及び窒素濃度Rnを制御する。ステップS61において、診断サーバ22(目標値設定部92)は、生育診断部90から現在生育状態Sgcurを取得する。ここでの現在生育状態Sgcurには、籾の粒重量W(又は籾容積)が含まれる。また、現在生育状態Sgcurには、ドローン24により撮影された籾の画像に基づいて計測された籾の粒容積が含まれてもよい。
ステップS62において、診断サーバ22は、籾が十分成長したか否かを判定する。具体的には、診断サーバ22は、籾の粒重量Wが粒重量閾値THw以上であるか否かを判定する。粒重量閾値THwは、籾の生育状態を判定する閾値である。籾が十分成長している場合(S62:真)、ステップS63に進む。
ステップS63において、診断サーバ22(目標値設定部92)は、目標水深Htarをゼロとし、水田としての圃場500の土壌を露出させる。また、診断サーバ22は、目標窒素濃度Rntarを低く設定する。より具体的には、目標窒素濃度Rntarに、相対的に低い基準窒素濃度Rnref6を代入する。なお、ここでは、目標水深Htarをゼロにするため、目標水温Tfwtarの設定は行わない。
籾が十分成長していない場合(S62:偽)、ステップS64に進む。ステップS64において、診断サーバ22(目標値設定部92)は、目標水温Tfwtarを高く設定し、目標水深Htarをゼロより大きくして土壌の露出を禁止し、目標窒素濃度Rntarを高く設定する。より具体的には、目標水温Tfwtarに、相対的に高い基準昼間水温Tfwdref6を代入し、目標窒素濃度Rntarに、相対的に高い基準窒素濃度Rnref7を代入する。
以上のように、図12のフローチャートでは、籾の大きさに応じて目標値を2段階に分けた。しかしながら、これに限らず、例えば、図9(C)に示すように、現在の日射量及び籾容積(又は籾の粒重量W)に応じて目標値を4段階に設定してもよい。
<A-3.本実施形態の効果>
本実施形態によれば、将来の登熟期における予測日射量Xftrに基づいて、現在の幼穂発育期における目標水温Tfwtarを設定する(図11)。そして、設定した目標水温Tfwtarに対応する作業指示を出力する(図8のS17)。これにより、将来の登熟期における将来生育状態Sgftrを考慮して、現在の幼穂発育期における作物502に対する水管理又は施肥を行うことが可能となる。従って、将来の圃場500又は作物502の状態を踏まえた水管理又は施肥を行うことで、作物502をより好適に生育することができる。
本実施形態において、目標水温設定部152(目標水温設定手段)は、登熟期における予測日射量Xftrが、登熟期における基準日射量Xrefよりも多い場合(図11のS52:真)、幼穂発育期における目標水温Tfwtarを基準水温Tfwrefよりも高くなるように目標水温Tfwtarを設定する(S53)。
これにより、幼穂発育期における籾数Ncの増加を促進することで収量を増加させることが可能となる。すなわち、幼穂発育期において、昼間水温Tfwdが高くなると、ショ糖の生成速度が上がる。また、幼穂発育期において、夜間水温Tfwnが高くなると、ショ糖を使った籾の生成速度が上がる。さらに、籾の生成速度を上げて籾数Ncを増やしても、登熟期には基準日射量Xrefよりも多くの日射量Xが予測されているため、各籾に十分なデンプンが蓄えられることが期待される。そのため、幼穂発育期においてショ糖の生成及び籾数Ncの増加を促進することで、登熟期に生成されるデンプンを漏れなく籾に蓄えることができ、収量を増加させることが可能となる。
本実施形態において、営農システム10は、現在の生育フェーズに応じた圃場500の土壌における目標窒素濃度Rntarを設定する目標窒素濃度設定部154(目標窒素濃度設定手段)を備える(図4)。目標窒素濃度設定部154は、登熟期における予測日射量Xftrが、登熟期における基準日射量Xrefよりも多い場合(図11のS52:真)、幼穂発育期における目標窒素濃度Rntarを基準窒素濃度Rnrefよりも高くなるように目標窒素濃度Rntarを設定する(S53)。
これにより、幼穂発育期における籾数Ncの増加を促進することで収量を増加させることが可能となる。すなわち、幼穂発育期において、土壌の窒素濃度Rnが高くなると、グルタミンの生成が促進される結果、籾の生成速度が上がる。また、籾の生成速度を上げて籾数Ncを増やしても、登熟期には基準日射量Xrefよりも多くの日射量Xが予測されているため、各籾に十分なデンプンが蓄えられることが期待される。そのため、幼穂発育期においてグルタミンの生成及び籾数Ncの増加を促進することで、登熟期における収量を増加させることが可能となる。
本実施形態において、目標窒素濃度設定部154(目標窒素濃度設定手段)が、幼穂発育期における目標窒素濃度Rntarを基準窒素濃度Rnrefよりも高くなるように目標窒素濃度Rntarを設定した場合(図11のS53)、作業指示部94(出力手段)は、窒素肥料の施肥に関する作業指示を出力する(図8のS17)。これにより、籾数Ncの増加を促進するために必要な窒素濃度Rnの上昇を確保することが可能となる。
本実施形態において、目標窒素濃度設定部152(目標窒素濃度設定手段)が設定した幼穂発育期における目標窒素濃度Rntarが現在の推定窒素濃度Rneよりも高い場合、施肥が必要であると判定してもよい(図8のS16)。これにより、籾数Ncの増加を促進するために必要な窒素濃度Rnの上昇を確保することが可能となる。
本実施形態において、将来籾数Ncftrは、予測日射量Xftrのみならず、現在生育状態Sgcur(過去日射量Xpを反映する)を用いる。換言すると、目標水温設定部152(目標水温設定手段)は、将来の登熟期における予測日射量Xftrと、過去の分げつ期における過去日射量Xpとに基づいて、幼穂発育期における目標水温Tfwtar及び目標窒素濃度Rntarを設定する(図4)。これにより、将来の登熟期における予測日射量Xftr(将来生成されるデンプン量に影響する)のみならず、過去の分げつ期における過去日射量Xp(現在の作物502の体内に蓄積されたデンプン量に影響する)に基づいて、幼穂発育期における目標水温Tfwtar及び目標窒素濃度Rntarを設定する。従って、より精度良く目標水温Tfwtar及び目標窒素濃度Rntarを設定することが可能となる。
本実施形態では、登熟期において粒重量Wが粒重量閾値THw(目標重量)を超えた場合(図12のS62:真)、水田としての圃場500の土壌を露出させる(S63)。これにより、空気中の酸素を土壌に触れさせることで土壌中の好気性細菌が活性化し、土壌中の窒素濃度Rnを低下させ、作物502によるタンパク質の生成を抑制させる。この際、作物502の粒重量Wは既に粒重量閾値THwを超えている。従って、籾が十分に大きくなった状態で、作物502の食味を向上することが可能となる。
本実施形態において、現在の生育フェーズが登熟期であり且つ現在生育状態推定部112(生育状態判定手段)が判定した粒重量Wが粒重量閾値THw(目標重量)を超えていない場合(図12のS62:偽)、目標水深設定部156(目標水深設定手段)は、水田としての圃場500の土壌の露出を制限するように目標水深Htarを設定する(S64)。これにより、登熟期における籾の成長を促進することが可能となる。すなわち、水田としての圃場500の土壌を露出させると、空気中の酸素を土壌に触れさせることで土壌中の好気性細菌が活性化し、土壌中の窒素濃度Rnを低下させ、クロロフィルの量を抑制させ、光合成の活動が弱まってしまう。そのため、本実施形態では、登熟期における粒重量Wが粒重量閾値THwを超えていない場合、土壌の露出を制限するように目標水深Htarを設定する。従って、クロロフィルの量を抑制することなく、クロロフィルに伴う光合成を促進し、籾の成長(デンプンの蓄積)を促すことが可能となる。
現在の生育フェーズが登熟期であり、且つ現在生育状態値推定部112(生育状態判定手段)が判定した粒重量Wが粒重量閾値THw(目標重量)を超えていない場合(図12のS62:偽)、作業指示部94(出力手段)は、窒素肥料の施肥に関する作業指示を出力する(図8のS17)。これにより、窒素肥料の施肥によるクロロフィルの増加を促すことで、登熟期における籾の成長を促進することが可能となる。
本実施形態において、現在の生育フェーズが分げつ期である場合、現在生育状態値推定部112(生育状態判定手段)は、作物502の大きさZを判定する(図4)。また、目標水温設定部152(目標水温設定手段)は、作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超えた(図10のS32:偽)後の目標夜間水温Tfwntarを、作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超える前(図10のS32:真)の目標夜間水温Tfwntarよりも低く設定する(S33、S34)。
本実施形態によれば、分げつ期において、作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超える前の目標夜間水温Tfwntarを相対的に高く設定する。これにより、夜間における作物502の成長を促進し、大きさ閾値THzまでの移行期間を短縮することが可能となる。また、分げつ期において、作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超えた後の目標夜間水温Tfwntarを相対的に低く設定する。これにより、夜間における葉鞘へのショ糖の蓄積量を増加させ、将来の登熟期における籾の成長に備えることが可能となる。
本実施形態において、現在の生育フェーズが分げつ期である場合、目標窒素濃度設定部154(目標窒素濃度設定手段)は、作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超えた後の目標窒素濃度Rntarを、作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超える前の目標窒素濃度Rntarよりも高く設定する(図10のS33、S34)。本実施形態によれば、分げつ期において、作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超える前の目標窒素濃度Rntarを相対的に低く設定する。これにより、夜間における作物502の根の成長を促進し、大きさ閾値THzまでの移行期間を短縮することが可能となる。また、分げつ期において、作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超えた後の目標窒素濃度Rntarを相対的に高く設定する。これにより、作物502による窒素同化量を増加させることで、タンパク質の生成を促進することが可能となる。
本実施形態において、現在の生育フェーズが分げつ期であり、且つ作物502の大きさZが大きさ閾値THzを超えた場合(図10のS32:偽)、作業指示部94(出力手段)は、窒素肥料の施肥に関する作業指示を出力する(図8のS17)。これにより、施肥を介することで、実際の窒素濃度Rnが目標窒素濃度Rntarを実現し易くなる。
本実施形態において、現在の生育フェーズが分げつ期であり、且つ目標窒素濃度Rntarが土壌窒素濃度推定部による推定値窒素濃度又は土壌窒素濃度センサ60で計測された計測窒素濃度を超えた場合、作業指示部94(出力手段)は、窒素肥料の施肥に関する作業指示を出力してもよい(図8のS17)。これにより、施肥を介することで、実際の窒素濃度Rnが目標窒素濃度Rntarを実現し易くなる。
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
<B-1.構成>
上記実施形態の営農システム10は、図1に示すような構成要素を有していた。しかしながら、例えば、将来生育情報Sgftrを用いて現在の目標値(目標水温Tfwtar等)を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、営農システム10は、ドローン24、第1ユーザ端末26、第2ユーザ端末28、第3ユーザ端末30、水門32、34及び情報提供サーバ40の1つ又は複数を省略することも可能である。
上記実施形態では、生育診断の機能(生育診断管理部80)を生育診断サーバ22に設けた(図3)。しかしながら、例えば、将来生育情報Sgftrを用いて現在の目標値(目標水温Tfwtar等)を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、生育診断の機能をドローン24に持たせることも可能である。
上記実施形態では、作物502として水稲を用いた。しかしながら、例えば、将来生育情報Sgftrを用いて現在の目標値(目標水温Tfwtar等)を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、作物502は、小麦、大麦、大豆等であってもよい。
上記実施形態では、水源504から圃場500に水を供給する給水装置として、上流側水門32を用いた(図1)。しかしながら、例えば、水源504から圃場500に水を供給する観点からすれば、これに限らない。例えば、水門32に加えて又はこれに替えて、バルブ又はポンプを用いてもよい。また、例えば、圃場500の水深Hを制御する観点からすれば、下流側水門34等の排水装置が存在すれば、上流側の給水装置は省略することも可能である。
上記実施形態では、圃場500から水を排出する排水装置として、下流側水門34を用いた(図1)。しかしながら、例えば、圃場500から水を排出する観点からすれば、これに限らない。例えば、水門34に加えて又はこれに替えて、バルブ又はポンプを用いてもよい。また、例えば、圃場500の水深Hを制御する観点からすれば、上流側水門32等の給水装置が存在すれば、下流側の排水装置は省略することも可能である。
上記実施形態では、診断サーバ22からの作業指示に基づいて、ユーザ600等が水門32、34を操作した(図8のS17)。しかしながら、例えば、将来生育情報Sgftrを用いて現在の目標値(目標水温Tfwtar等)を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、診断サーバ22が水門32、34の動作を制御してもよい。
図13は、変形例に係る営農システム10Aの概要を示す全体構成図である。図13に示すように、営農システム10Aは、水門32、34の開閉を行う水門アクチュエータ400、402を有する。水門アクチュエータ400、402は、通信ネットワーク36(無線基地局38を含む。)を介して診断サーバ22と通信可能であり、診断サーバ22からの制御信号に基づいて水門32、34の開度を制御する。水門32、34の開度は、全閉及び全開に加えて、半開等を調節することができる。或いは、水門32、34の開度は、全閉及び全開のみ調整可能としてもよい。
上記実施形態の水・肥料管理制御(図8~図12)では、診断サーバ22からの作業指示に基づいて、ユーザ600等が水門32、34を操作するものであった。そのため、ユーザ600等の利便性を考慮して、水門32、34の操作は、朝及び夕方に行うものとして作業指示が行われた。これに対し、図13の変形例に係る営農システム10Aでは、診断サーバ22が水門32、34の動作を制御する。そのため、上記実施形態と比較して、水門32、34の制御は、時間的制約が少ないため、リアルタイムに行うことができる。但し、騒音等を考慮して、水門32、34の開閉を制限する時間帯を設けてもよい。
図13の例では、診断サーバ22は、目標水深Htarに基づいて水門アクチュエータ400、402それぞれの目標開度Otarを算出する。そして、診断サーバ22は、目標開度Otarに基づいて水門アクチュエータ400、402を遠隔制御する。
<B-2.制御>
上記実施形態では、水・肥料管理制御は生育診断モデルの利用を前提としていた(図4等)。しかしながら、例えば、将来生育情報Sgftrを用いて現在の目標水温Tfwtar等を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、生育診断モデルを用いずに、気象状態又は施肥状態を入力として、これらの状態に対応する出力を記憶したテーブルを設けておくことで、水管理を行うことも可能である。
上記実施形態では、図9(A)に示す考え方及び図10のフローチャートで分げつ期制御を行った。しかしながら、例えば、分げつ期における作物502の成長状態に応じて目標値(目標昼間水温Tfwdtar、目標夜間水温Tfwntar等)を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、分げつ期制御では、目標昼間水温Tfwdtar、目標夜間水温Tfwntar及び目標窒素濃度Rntarのいずれかのみを目標値として用いてもよい。また、図9(A)に示す考え方並びに図10のフローチャートでは、目標値を2段階としたが、これに限らず、3段階以上としてもよい。さらに、例えば、幼穂発育期制御又は登熟期制御に焦点を当てれば、分げつ期制御は、分げつ期における作物502の成長状態に応じて目標値(目標昼間水温Tfwdtar、目標夜間水温Tfwntar等)を設定しなくてもよい。
上記実施形態では、図9(B)に示す考え方及び図11のフローチャートで幼穂発育期制御を行った。しかしながら、例えば、登熟期に予想される気象条件に応じて幼穂発育期の目標値(目標昼間水温Tfwdtar、目標夜間水温Tfwntar等)を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、幼穂発育期制御では、目標昼間水温Tfwdtar、目標夜間水温Tfwntar及び目標窒素濃度Rntarのいずれかのみを目標値として用いてもよい。また、図9(B)に示す考え方並びに図11のフローチャートでは、目標値を3段階としたが、これに限らず、2段階又は4段階以上としてもよい。例えば、2段階の場合、予測日射量Xftrが多い場合と少ない場合とに分けて各目標値を制御してもよい。さらに、例えば、分げつ期制御又は登熟期制御に焦点を当てれば、幼穂発育期制御は、登熟期に予想される気象条件に応じて幼穂発育期の目標値を設定しなくてもよい。
上記実施形態の幼穂発育期制御(図11)では、予測日射量Xftr自体を用いて目標値を制御した。しかしながら、例えば、予測日射量Xftrに関する情報を用いて幼穂発育期制御の目標値を制御する観点からすれば、これに限らない。例えば、登熟期に予想される晴れ間の時間又は天気の傾向(晴れの日が多い等)を用いて幼穂発育期制御の目標値を制御してもよい。
上記実施形態では、図9(C)に示す考え方及び図12のフローチャートで登熟期制御を行った。しかしながら、例えば、籾の大きさ(籾の粒重量W、容積等)に応じて登熟期の目標値(目標昼間水温Tfwdtar、目標夜間水温Tfwntar等)を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、登熟期制御では、目標昼間水温Tfwdtar、目標夜間水温Tfwntar及び目標窒素濃度Rntarのいずれかのみを目標値として用いてもよい。また、図12のフローチャートでは、目標値を2段階としたが、これに限らず、3段階以上としてもよい。その場合、図9(C)に示すように、現在の日射量及び籾容積に応じて4段階に分けてもよい。さらに、例えば、分げつ期制御又は幼穂発育期制御に焦点を当てれば、登熟期制御は、籾の大きさに応じて幼穂発育期の目標値を設定しなくてもよい。
<B-3.その他>
上記実施形態では、図8、図10~図12に示すフローを用いた。しかしながら、例えば、本発明の効果を得られる場合、フローの内容(各ステップの順番)は、これに限らない。例えば、図8のステップS14とS15との順番を入れ替えることが可能である。
10、10A…営農システム
22…生育診断サーバ(営農サーバ)
32…上流側水門(被制御対象)
34…下流側水門(被制御対象)
72…通信部(予測情報取得手段) 94…作業指示部(出力手段)
110…フェーズ判定部(フェーズ判定手段)
112…現在生育状態推定部(生育状態判定手段)
152…目標水温設定部(目標水温設定手段)
154…目標窒素濃度設定部(目標窒素濃度設定手段)
156…目標水深設定部(目標水深設定手段)
500…圃場 502…作物
H…圃場の水深 Htar…目標水深
Nc…籾数 Ncftr…将来籾数
Rn…窒素濃度 Rntar…目標窒素濃度
Sgcur…現在生育状態 Sgftr…将来生育状態
Tfwdtar…圃場の目標昼間水温
Tfwntar…圃場の目標夜間水温 Tfwtar…圃場の目標水温
Tfwref…圃場の基準水温 THw…粒重量閾値(目標重量)
THz…大きさ閾値 W…粒重量
X…日射量 Xftr…予測日射量
Xp…過去日射量 Xref…基準日射量
Z…作物の大きさ

Claims (20)

  1. 作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農システムであって、
    前記営農システムは、
    前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
    前記作物の将来の生育フェーズにおける気象の予測情報を取得する予測情報取得手段と、
    前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定手段と、
    前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
    を備え、
    出穂前の幼穂の数が増加する生育フェーズを幼穂発育期と、
    出穂後の籾にデンプンが蓄積される生育フェーズを登熟期と
    定義するとき、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが前記幼穂発育期である場合、
    前記予測情報取得手段は、将来の前記登熟期における予測日射量に関する情報を取得し、
    前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量に関する情報に基づいて、前記幼穂発育期における前記目標水温を設定し、
    前記出力手段は、前記目標水温設定手段が設定した前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
    ことを特徴とする営農システム。
  2. 請求項に記載の営農システムにおいて、
    前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量が、前記登熟期における基準日射量よりも多い場合、前記幼穂発育期における前記目標水温を基準水温よりも高くなるように前記目標水温を設定する
    ことを特徴とする営農システム。
  3. 請求項に記載の営農システムにおいて、
    前記目標水温は、目標夜間水温を含み、
    前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量が、前記登熟期における基準日射量よりも多い場合、前記幼穂発育期における前記目標夜間水温を基準夜間水温よりも高くなるように前記目標夜間水温を設定する
    ことを特徴とする営農システム。
  4. 請求項に記載の営農システムにおいて、
    前記目標水温は、目標昼間水温を含み、
    前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量が、前記登熟期における基準日射量よりも多い場合、前記幼穂発育期における前記目標昼間水温を基準昼間水温よりも高くなるように前記目標昼間水温を設定する
    ことを特徴とする営農システム。
  5. 請求項1に記載の営農システムにおいて、
    前記営農システムは、前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の土壌における目標窒素濃度を設定する目標窒素濃度設定手段をさらに備え、
    前記目標窒素濃度設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量が、前記登熟期における基準日射量よりも多い場合、前記幼穂発育期における前記目標窒素濃度を基準窒素濃度よりも高くなるように前記目標窒素濃度を設定する
    ことを特徴とする営農システム。
  6. 請求項に記載の営農システムにおいて、
    前記目標窒素濃度設定手段が、前記幼穂発育期における前記目標窒素濃度を前記基準窒素濃度よりも高くなるように前記目標窒素濃度を設定した場合、前記出力手段は、窒素肥料の施肥又は水田としての前記圃場の土壌の露出制限に関する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
    ことを特徴とする営農システム。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の営農システムにおいて、
    前記作物の茎数が増加する生育フェーズを分げつ期と定義するとき、
    前記目標水温設定手段は、将来の前記登熟期における予測日射量と、過去の前記分げつ期における過去日射量とに基づいて、前記幼穂発育期における前記目標水温を設定する
    ことを特徴とする営農システム。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載の営農システムにおいて、
    前記営農システムは、前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の土壌における目標窒素濃度を設定する目標窒素濃度設定手段をさらに備え、
    前記作物の茎数が増加する生育フェーズを分げつ期と定義するとき、
    前記目標水温設定手段は、将来の前記登熟期における前記予測日射量と、過去の前記分げつ期における過去日射量とに基づいて、前記幼穂発育期における前記目標水温を設定し、
    前記目標窒素濃度設定手段は、将来の前記登熟期における前記予測日射量と、過去の前記分げつ期における前記過去日射量とに基づいて、前記幼穂発育期における前記目標窒素濃度を設定し、
    前記出力手段は、前記目標水温設定手段が設定した前記目標水温及び前記目標窒素濃度設定手段が設定した前記目標窒素濃度に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
    ことを特徴とする営農システム。
  9. 作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農システムであって、
    前記営農システムは、
    前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
    前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定手段と、
    前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水深を設定する目標水深設定手段と、
    前記目標水深に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
    を備え、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、出穂後の籾にデンプンが蓄積される登熟期である場合、
    前記生育状態判定手段は、前記作物の粒重量を判定し、
    前記目標水深設定手段は、前記粒重量が目標重量を超えた場合、水田としての前記圃場の土壌を露出させるように前記目標水深を設定する
    ことを特徴とする営農システム。
  10. 請求項に記載の営農システムにおいて、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが前記登熟期であり且つ前記生育状態判定手段が判定した前記粒重量が前記目標重量を超えていない場合、前記目標水深設定手段は、水田としての前記圃場の土壌の露出を制限するように前記目標水深を設定する
    ことを特徴とする営農システム。
  11. 請求項9又は10に記載の営農システムにおいて、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが前記登熟期であり、且つ前記生育状態判定手段が判定した前記粒重量が前記目標重量を超えていない場合、前記出力手段は、窒素肥料の施肥に関する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
    ことを特徴とする営農システム。
  12. 作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農システムであって、
    前記営農システムは、
    前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
    前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定手段と、
    前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定手段と、
    前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
    を備え、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、前記作物の茎数が増加する分げつ期である場合、
    前記生育状態判定手段は、前記作物の大きさを判定し、
    前記目標水温設定手段は、前記作物の大きさが大きさ閾値を超えた後の目標夜間水温を、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超える前の前記目標夜間水温よりも低く設定する
    ことを特徴とする営農システム。
  13. 請求項12に記載の営農システムにおいて、
    前記営農システムは、前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標窒素濃度を設定する目標窒素濃度設定手段をさらに備え、
    前記出力手段は、前記目標窒素濃度に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御し、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、前記分げつ期である場合、
    前記目標窒素濃度設定手段は、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超えた後の前記目標窒素濃度を、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超える前の前記目標窒素濃度よりも高く設定する
    ことを特徴とする営農システム。
  14. 請求項13に記載の営農システムにおいて、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、前記分げつ期であり、且つ前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超えた場合、前記出力手段は、窒素肥料の施肥に関する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
    ことを特徴とする営農システム。
  15. 作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農サーバであって、
    前記営農サーバは、
    前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
    前記作物の将来の生育フェーズにおける気象の予測情報を取得する予測情報取得手段と、
    前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定手段と、
    前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
    を備え、
    出穂前の幼穂の数が増加する生育フェーズを幼穂発育期と、
    出穂後の籾にデンプンが蓄積される生育フェーズを登熟期と
    定義するとき、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが前記幼穂発育期である場合、
    前記予測情報取得手段は、将来の前記登熟期における予測日射量に関する情報を取得し、
    前記目標水温設定手段は、前記登熟期における前記予測日射量に関する情報に基づいて、前記幼穂発育期における前記目標水温を設定し、
    前記出力手段は、前記目標水温設定手段が設定した前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
    ことを特徴とする営農サーバ。
  16. 作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農サーバであって、
    前記営農サーバは、
    前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
    前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定手段と、
    前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水深を設定する目標水深設定手段と、
    前記目標水深に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
    を備え、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、出穂後の籾にデンプンが蓄積される登熟期である場合、
    前記生育状態判定手段は、前記作物の粒重量を判定し、
    前記目標水深設定手段は、前記粒重量が目標重量を超えた場合、水田としての前記圃場の土壌を露出させるように前記目標水深を設定する
    ことを特徴とする営農サーバ。
  17. 作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農サーバであって、
    前記営農サーバは、
    前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定手段と、
    前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定手段と、
    前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定手段と、
    前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力手段と
    を備え、
    前記フェーズ判定手段が判定した前記現在の生育フェーズが、前記作物の茎数が増加する分げつ期である場合、
    前記生育状態判定手段は、前記作物の大きさを判定し、
    前記目標水温設定手段は、前記作物の大きさが大きさ閾値を超えた後の目標夜間水温を、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超える前の前記目標夜間水温よりも低く設定する
    ことを特徴とする営農サーバ。
  18. 作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農方法であって、
    前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定ステップと、
    前記作物の将来の生育フェーズにおける気象の予測情報を取得する予測情報取得ステップと、
    前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定ステップと、
    前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力ステップと
    を備え、
    出穂前の幼穂の数が増加する生育フェーズを幼穂発育期と、
    出穂後の籾にデンプンが蓄積される生育フェーズを登熟期と
    定義するとき、
    前記フェーズ判定ステップが判定した前記現在の生育フェーズが前記幼穂発育期である場合、
    前記予測情報取得ステップでは、将来の前記登熟期における予測日射量に関する情報を取得し、
    前記目標水温設定ステップでは、前記登熟期における前記予測日射量に関する情報に基づいて、前記幼穂発育期における前記目標水温を設定し、
    前記出力ステップでは、前記目標水温設定ステップにおいて設定した前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する
    ことを特徴とする営農方法。
  19. 作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農方法であって、
    前記営農方法は、
    前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定ステップと、
    前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定ステップと、
    前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水深を設定する目標水深設定ステップと、
    前記目標水深に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力ステップと
    を備え、
    前記フェーズ判定ステップで判定した前記現在の生育フェーズが、出穂後の籾にデンプンが蓄積される登熟期である場合、
    前記生育状態判定ステップは、前記作物の粒重量を判定し、
    前記目標水深設定ステップは、前記粒重量が目標重量を超えた場合、水田としての前記圃場の土壌を露出させるように前記目標水深を設定する
    ことを特徴とする営農方法。
  20. 作物を生育する圃場の水管理又は施肥に関する作業指示を出力する又は被制御対象の動作を制御する営農方法であって、
    前記営農方法は、
    前記作物の現在の生育フェーズを判定するフェーズ判定ステップと、
    前記作物の現在の生育状態を判定する生育状態判定ステップと、
    前記現在の生育フェーズに応じた前記圃場の目標水温を設定する目標水温設定ステップと、
    前記目標水温に対応する前記作業指示を出力する又は前記被制御対象の動作を制御する出力ステップと
    を備え、
    前記フェーズ判定ステップで判定した前記現在の生育フェーズが、前記作物の茎数が増加する分げつ期である場合、
    前記生育状態判定ステップでは、前記作物の大きさを判定し、
    前記目標水温設定ステップでは、前記作物の大きさが大きさ閾値を超えた後の目標夜間水温を、前記作物の大きさが前記大きさ閾値を超える前の前記目標夜間水温よりも低く設定する
    ことを特徴とする営農方法。
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