JP7442146B2 - 飛翔体発生方法及び飛翔体発生装置、並びに画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、飛翔体発生方法及び飛翔体発生装置、並びに画像形成方法に関する。
レーザー励起前方転写(Laser-Induced Forward Transfer:LIFT)法は、(ドナー)基板上に配した転写対象材料(以下、飛翔対象物と称することがある)層を形成し、前記飛翔対象物層にレーザーを照射し、前記飛翔対象物を飛翔させ、前記飛翔対象物の対面に配置したアクセプター基板の所望の位置に前記飛翔対象物を配する方法である。
前記LIFT法としては、様々な方法が研究されてきている。
例えば、前記ドナー基板と前記飛翔対象物の間にDynamic Release layer(DRL、吸収層とも称される)と呼ばれる中間層を設けた方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。前記レーザーを照射された前記DRLの一部は前記レーザーのエネルギーを吸収して蒸発(気化)し、前記レーザーが照射された前記DRLと同じ位置にある前記飛翔対象物を前記DRLが蒸発したエネルギーにより押し出して飛翔させる方法である。
また、例えば、レーザー吸収性材料と前記飛翔対象物とを混合し、前記ドナー基板上に配し、レーザー照射によってレーザー吸収性材料を蒸発させ、その蒸発エネルギーにより前記飛翔対象物を飛翔させるMAPLE-DW(Matrix-assisted pulsed laser evaporation-direct write)法などが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
近年では、前記LIFT法は、立体的な造形を行う3Dプリンタ分野、印刷技術により電子部品を形成するプリンテッドエレクトロニクス分野などにも応用が検討されている。
具体的には、従来の画像形成で用いられる低粘度のインクのみならず、様々な物性の材料を所望の位置に正確に飛翔させる方法が提案されている。例えば、レーザーを高粘度のインクの塗膜に照射して重力方向にインクの突出部を形成し、形成した突出部を媒体に接触させることで、高粘度材料をプリントする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、飛翔対象である光吸収材の飛散を抑制して飛翔させることができる飛翔体発生方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の飛翔体発生方法は、基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程を含む。
本発明によれば、飛翔対象である光吸収材の飛散を抑制して飛翔させることができる飛翔体発生方法を提供することができる。
図1Aは、一般的なレーザービームにおける波面(等位相面)の一例を示す概略図である。 図1Bは、一般的なレーザービームにおける光強度分布の一例を示す図である。 図1Cは、一般的なレーザービームにおける位相分布の一例を示す図である。 図2Aは、光渦レーザービームにおける波面(等位相面)の一例を示す概略図である。 図2Bは、光渦レーザービームにおける光強度分布の一例を示す図である。 図2Cは、光渦レーザービームにおける位相分布の一例を示す図である。 図3Aは、一般的なレーザービームを光吸収材に照射させたときの一例を示す写真である。 図3Bは、光渦レーザービームを光吸収材に照射させたときの一例を示す写真である。 図4Aは、光渦レーザービームにおける干渉計測の結果の一例を示す説明図である。 図4Bは、中心に光強度0の点を有するレーザービームにおける干渉計測の結果の一例を示す説明図である。 図5Aは、本発明の飛翔体発生装置の一例を示す説明図である。 図5Bは、本発明の飛翔体発生装置の他の一例を示す説明図である。 図5Cは、本発明の飛翔体発生装置の他の一例を示す説明図である。 図6Aは、本発明の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。 図6Bは、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略断面図である。 図7Aは、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略断面図である。 図7Bは、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略断面図である。 図7Cは、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略断面図である。 図8Aは、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略断面図である。 図8Bは、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略断面図である。 図9は、立体造形物の製造装置の一例を示す概略断面図である。 図10Aは、実施例1における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図10Bは、実施例1における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図10Cは、実施例1における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図10Dは、実施例1における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図10Eは、実施例1における光吸収材の付与状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図10Fは、実施例1における光吸収材の付与状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図11Aは、実施例4における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図11Bは、実施例4における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図11Cは、実施例4における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図11Dは、実施例4における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図11Eは、実施例4における光吸収材の付与状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図12Aは、比較例1における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図12Bは、比較例1における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図12Cは、比較例1における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図12Dは、比較例1における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図12Eは、比較例1における光吸収材の付与状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図13Aは、比較例2における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図13Bは、比較例2における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図13Cは、比較例2における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図13Dは、比較例2における光吸収材の飛翔状態の一例を示す顕微鏡写真である。 図13Eは、比較例2における光吸収材の付与状態の一例を示す顕微鏡写真である。
(飛翔体発生方法及び飛翔体発生装置)
本発明の飛翔体発生方法は、基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の飛翔体発生装置は、基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明者らは、従来の技術における以下の問題点について検討したところ、以下の知見を得た。
従来のLIFT法を用いた技術では、飛翔対象である飛翔対象物の粘度が高く(例えば、10Pa・s以上)、厚みが厚い(例えば、9μm以上)場合には、前記飛翔対象物の一部が前記ドナー基板から飛翔する際に、飛散してしまい、前記飛翔対象物を所望の位置へ配することが難しい場合があるという問題がある。
そこで、本発明では、基板上に設けた飛翔対象物である光吸収材を配した光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材層を設けたドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材層の一部を飛翔させることとした。本発明のように、前記光吸収材が飛翔する側の面の前記光吸収材上に前記飛散抑制材を配することによって、光を照射された前記光吸収材が飛翔する際に、前記飛散抑制材に捕集されるため飛散することを抑制され、捕集された前記光吸収材が前記飛散抑制材と共に飛翔できることを見出した。
<光吸収材飛翔工程及び光吸収材飛翔手段>
前記光吸収材飛翔工程は、前記ドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる工程である。
前記光吸収材飛翔手段は、前記ドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる手段である。
前記光吸収材飛翔工程は、前記光吸収材飛翔手段により好適に実施することができる。
-ドナー基板-
前記ドナー基板は、基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
本発明において、「飛翔」とは、空中を進むこと、又は空中を移動することを意味する。
本発明において、「飛散」とは、飛んで散乱することを意味する。
--基板--
前記基板としては、その形状、構造、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基板の形状としては、前記光吸収材を表面に担持し、前記光を前記基板上に配した前記光吸収材まで透過することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、真円又は楕円等の筒状、筒状の一部を切り出した面、無端ベルト状などが挙げられる。これらの中でも、前記基板が筒状であって、周方向に回転する前記基板の表面に前記光吸収材を供給する光吸収材供給手段を有することが好ましい。前記筒状の前記基板の表面に前記光吸収材を担持すると、前記外周方向における前記被付与物の寸法に依存せずに供給することができる。また、この場合、前記筒状の内部には前記光吸収材飛翔手段を配置し、前記内部から外周に向けて前記光を照射可能とし、前記基板が周方向に回転することで連続的に照射することができる。
また、平板状の前記基板としては、例えば、スライドガラスなどが挙げられる。
前記基板の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基板の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光吸収材が付与される被付与物の幅に合わせた寸法とすることが好ましい。
前記基板の材質としては、光を透過するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、酸化珪素を主成分とする各種ガラスなどの無機材料、透明性の耐熱プラスチック、エラストマーなどの有機材料が、透過率と耐熱性の点で、好ましい。
前記基板における前記光の透過率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、75%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。前記透過率が好ましい範囲内であると、前記基板に吸収された前記光のエネルギーが熱に変換されにくいため、前記光吸収材に乾燥や溶融などの変化を与えることが少なく、また、前記光吸収材に与えるエネルギーが低下しにくいため、飛翔させた前記光吸収材を付与する位置のバラつきが生じにくい点で有利である。
なお、前記透過率の測定方法としては、例えば、分光光度計(日本分光社製、V-660DS)などを用いて測定することができる。
前記基板の表面粗さRaとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光の屈折散乱を抑制し、前記光吸収材に付与するエネルギーを低下させないようにする点で、表面及び裏面のどちらも1μm以下であることが好ましい。また、前記表面粗さRaが好ましい範囲内であると、前記光吸収材が付与される被付与物に付与した前記光吸収材の平均厚みのバラつきを抑制することができ、所望の量の前記光吸収材を付与させることができる点で有利である。
前記表面粗さRaは、JIS B0601に従って測定することができ、例えば、触針式表面形状測定装置(Dektak150、ブルカー・エイエックスエス株式会社製)を用いて測定することができる。
--光吸収材層--
前記光吸収材層は、光吸収材を含む層である。
前記光吸収材層は、単層であっても複層であってもよく、目的に応じて適宜選択することができる。前記光吸収材層が単層である場合には、単に、光吸収材膜と称することがある。
前記光吸収材層は、基板上に一体的(連続的)に層(膜)を形成していてよく、断続的に層(膜)を形成していてもよい。
---光吸収材---
前記光吸収材は、光吸収物質を有し、更に必要に応じて適宜選択した、その他の物質を有する。
前記光吸収材としては、光の波長に対する吸光度が1よりも大きいことが好ましく、2よりも大きいことがより好ましい。光吸収材が光の波長に対する吸光度が2よりも大きいと、エネルギー効率を高めることができる点で有利である。
----光吸収物質----
前記光吸収物質としては、所定の波長の光を吸収するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料、染料などの着色剤が挙げられる。
前記光吸収物質における所定の波長の光の吸収性能としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚が3μmにおける塗膜状態での透過率(吸光度)として、80%以下(0.1以上)が好ましく、50%以下(0.3以上)がより好ましく、30%以下(0.5以上)が特に好ましい。
また、光吸収性能を有する前記光吸収材により形成された塗膜において、前記光吸収材の膜厚における透過率(吸光度)としては、10%以下(1以上)が好ましく、1%以下(2以上)がより好ましく、0.1%以下(3以上)がさらに好ましく、0.01%以下(4以上)が特に好ましい。前記透過率が好ましい範囲内であると、基板に吸収された光のエネルギーが熱に変換されにくいため、前記光吸収材に乾燥や溶融などの変化を与えることが少ない点でも有利である。さらに、前記透過率が好ましい範囲内であると、前記光吸収材に与えるエネルギーが低下しにくいため、付与位置のバラつきが生じにくい点で有利である。
なお、前記透過率(吸光度)は、例えば、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV3600)などを用いて測定することができる。
前記光吸収材としては、その形態、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光吸収材の形態としては、例えば、液体、固体、粉体などが挙げられる。特に、高粘性体又は固体を飛翔可能としたことは、従来のインクジェット記録方式には成し得ない長所となっている。なお、前記固体とは、25℃において容器の形とは無関係にその形状を保持するものを意味する。
また、前記光吸収材が固体又は粉体であれば、前記光吸収材の形態としては、光を照射する際に前記光吸収材が粘性を有する状態であることが好ましい。具体的には、固体又は粉体を飛翔させたい場合には、例えば、光を照射する前に加熱して溶融状態にして粘性を有する形態にすることが好ましい。
液体の前記光吸収材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料及び溶剤を含むインク、導電体及び溶剤を含む導電性ペーストなどが挙げられる。なお、溶剤を含むインクに光を照射すると、溶剤が光を吸収しない場合には、溶剤以外の光を吸収する含有物に光のエネルギーが付与させ、その含有物とともにインクを飛翔させることができる。
液体の前記光吸収材の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1Pa・s以上が好ましく、1Pa・s以上20Pa・s以下がより好ましい。
なお、粘度は、例えば、回転粘度計(東機産業株式会社製、VISCOMATE VM-150III)、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
前記導電性ペーストは、導電体を含むインクであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、回路基板の製造方法において公知乃至慣用の導電性ペーストなどが挙げられる。
前記導電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銀、金、銅、ニッケル、ITO、カーボン、カーボンナノチューブ等の導電性を有する無機粒子;ポリアニリン、ポリチオフェン(例えば、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)等)、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性の有機高分子からなる粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性ペーストの体積抵抗率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常の電極用途として使用できる点から10Ω・cm以下が好ましい。
前記粉体の光吸収材としては、例えば、顔料及び結着樹脂を含むトナーや半田ボールの様な金属微粒子などが挙げられる。
この場合、光が照射されると、顔料に光のエネルギーが付与され、顔料とともに結着樹脂がトナーとして飛翔する。なお、前記粉体の光吸収材としては、顔料のみとしてもよい。
前記固体の光吸収材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタや蒸着により製膜された金属薄膜、分散体などの粉体を押し固めたものなどが挙げられる。
前記金属薄膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。金属としては、例えば、銀、金、アルミ、白金、銅など蒸着やスパッタ加工が可能な一般的な金属が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属薄膜を飛翔させて画像パターンを形成する方法としては、例えば、予めガラスやフィルムなどの基板上に金属薄膜を作成し、金属薄膜に光を照射して飛翔させることで画像パターンを形成させる方法が挙げられる。また、他の方法としては、非画像部を飛翔させることで画像パターンを形成させる方法などが挙げられる。
前記粉体を押し固めたものとしては、所定の平均厚みで層状であることが好ましく、基板の表面に層状の固体を担持されるようにしてもよい。
前記光吸収材の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光吸収材層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃における前記光吸収材層が液体の場合には、9μm以上が好ましく、10μm以上50μm以下がより好ましく、20μm以上50μm以下が更に好ましい。25℃における前記光吸収材層が液体の場合に、前記光吸収材の平均厚みが10μm以上であると、光を照射しときに光吸収材の飛散を抑制することができる。
また、25℃における前記光吸収材層が液体の場合に、前記光吸収材層の平均厚みが9μm以上であると、前記光吸収材を層状にして供給した場合、連続して飛翔させたときであっても基板上の層の強度を確保することができるため、連臆して前記光吸収材を飛翔させることができる点で好ましい。
また、25℃における前記光吸収材層が液体の場合に、前記光吸収材層の平均厚みが50μm以下であると、前記光吸収材を飛翔させるのに必要な光のエネルギーが大きくなりすぎないため、特に光吸収材が有機物の場合、劣化や分解が発生しにくい点で有利である。
なお、塗布する方法によっては、一定のパターンを保持した層として供給することも可能となる。
前記光吸収材層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃における前記光吸収材層が固体の場合には、40μm以下が好ましく、0.2μm以上20μm以下がより好ましく、5μm以上18μm以下が更に好ましい。25℃における前記光吸収材層が固体の場合に、前記光吸収材層の平均厚みが、40μm以下であると、比較的弱い光エネルギーで転写が可能なため、光吸収材へのダメージを抑制することができる。
前記光吸収材層の平均厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光吸収材層に対して任意の複数の点を選択し、複数の点の厚みの平均を算出することにより求める方法などが挙げられる。平均としては、5点の厚みの平均が好ましく、10点の厚みの平均がより好ましく、20点の厚みの平均が特に好ましい。
平均厚みの測定機器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザー変位計やマイクロメータなどの非接触または接触方式の方法が挙げられる。
前記光吸収材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述したものの他に、画像形成を行う場合にはトナーのような着色剤であってもよく、立体造形物を製造する場合には後述する立体造形剤であってもよい。
前記着色剤としては、光吸収材と同様に、その形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。以下、光吸収材を着色剤とした際に異なる点を説明する。
液体の着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、溶剤としての水に、染料、顔料、着色粒子、着色油滴などの色材を分散させた水性インクが使用可能である。また、水性インクに限らず、溶剤として、例えば、炭化水素系の有機溶剤や各種アルコールなど、比較的低沸点の液体を含んだ着色剤も使用可能である。これらの中でも、揮発成分の安全性、爆発の危険性などの点から、水性インクが好ましい。
また、画像形成装置では、版を用いるオフセット印刷用のプロセスインキ、JAPAN COLOR対応インキ、特色インキなどでも画像形成が可能であるため、オフセット印刷で用いる色に合わせたデジタル画像を無版で容易に再現することができる。
更に、UV硬化インキでも画像形成が可能であるため、定着工程において紫外線を照射して硬化することにより、重なった記録媒体が貼り付くブロッキングの防止、及び乾燥工程の簡略化ができる。
前記色材の材質としては、例えば、有機顔料、無機顔料、染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機顔料としては、例えば、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンバイオレット、銅フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、サップグリーン、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ポリアゾイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、イソインドリノンイエロー、ファーストイエロー、クロモフタルイエロー、ニッケルアゾイエロー、アゾメチンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、アリザリンレッド、キナクリドンレッド、ナフトールレッド、モノアゾレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッド、アンスラキノニルレッド、ジケトピロロピロールレッド、ジケトピロロピロールオレンジ、ベンズイミダゾロンブラウン、セピア、アニリンブラック、などが挙げられ、有機顔料のうち金属レーキ顔料としては、例えば、ローダミンレーキ、キノリンイエローレーキ、ブリリアントブルーレーキなどが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、ジンクホワイト、チタニウムホワイト、チタンイエロー、クロムチタンイエロー、ライトレッド、クロムオキサイドグリ-ン、マルスブラック、ビリジャン、イエローオーカー、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、バーミリオン、リトポン、ウルトラマリーン、タルク、ホワイトカーボン、クレー、ミネラルバイオレット、ローズコバルトバイオレット、シルバーホワイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウム、黄銅、金粉、ブロンズ粉、アルミニウム粉、真鍮顔料、アイボリーブラック、ピーチブラック、ランプブラック、カーボンブラック、プルシャンブルー、オーレオリン、雲母チタン、イエローオーカー、テールベルト、ローシェンナ、ローアンバー、カッセルアース、白亜、石膏、バーントシェンナ、バーントアンバー、ラピスラズリ、アズライト、マラカイト、オーピメント、辰砂、珊瑚末、胡粉、ベンガラ、群青、紺青、魚燐箔、酸化鉄処理パールなどが挙げられる。
これらの中でも、ブラック顔料としては、色相、画像保存性の点から、カーボンブラックが好ましい。
シアン顔料としては、色相、画像保存性の点から、銅フタロシアニンブルーであるC.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。
マゼンタ顔料としては、キナクリドンレッドであるC.I.ピグメントレッド122、ナフトールレッドであるC.I.ピグメントレッド269、及びローダミンレーキであるC.I.ピグメントレッド81:4が好ましく、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、色相、画像保存性の点から、C.I.ピグメントレッド122及びC.I.ピグメントレッド269の混合物がより好ましく、C.I.ピグメントレッド122(P.R.122)及びC.I.ピグメントレッド269(P.R.269)の混合物としては、P.R.122:P.R.269が5:95以上80:20以下の混合物が特に好ましい。P.R.122:P.R.269が特に好ましい範囲内であると、色相がマゼンタ色として外れない。
イエロー顔料としては、モノアゾイエローであるC.I.ピグメントイエロー74、ジスアゾイエローであるC.I.ピグメントイエロー155、ベンズイミダゾロンイエローであるC.I.ピグメントイエロー180、イソインドリンイエローであるC.I.ピグメントイエロー185が好ましい。これらの中でも、色相、画像保存性の点から、C.I.ピグメントイエロー185がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光吸収材を着色剤としてのプロセスカラーインクとして用いる場合、4色のインクセットで用いることが好ましい。
前記無機顔料は、体積平均粒径が10μmを超える粒子からなるものが多い。体積平均粒径が10μm以上の無機顔料を着色剤として用いる場合、着色剤としては、液体であることが好ましい。着色剤が液体であれば、静電気力など非静電付着力以外の力を用いることなく着色剤を安定した状態で維持できる点で有利である。また、この場合、ノズルつまりやインクの沈降などが顕著となりやすく、安定した連続印刷プロセスは望みにくいインクジェット記録方式と比較すると、本発明の画像形成方法は、非常に有効である。更に、着色剤の粒子の表面積が小さくなると十分な帯電量が得られず、安定した連続印刷プロセスとして成立しない電子写真方式と比較しても、本発明の画像形成方法は、非常に有効である。
前記染料としては、例えば、モノアゾ染料、ポリアゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染料、アントラキノン誘導体、アントロン誘導体、インジゴ誘導体、チオインジゴ誘導体、フタロシアニン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、ポリメチン染料、アゾメチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料などが挙げられる。
前記着色剤の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
記録媒体に浸透する液体の着色剤を用いた場合、記録媒体に付与した着色剤がフェザリングやブリーディングを発生することがあるが、本発明の飛翔体発生方法で取り扱いが可能である高粘度の着色剤にすると、記録媒体への浸透速度に対して乾きのほうが速いため、特にブリーディングの減少によって発色性の向上とエッジ部分の鮮鋭化が図れ、高画質の画像を形成することができる。また、着色剤を重ねて付与させる重ね打ちによる階調表現を行う場合にも、着色剤の量の増加による滲みも少なくすることができる。
更に、この飛翔体発生方法は、液体の着色剤を飛翔させて付与させるものであるため、例えば、フィルム状のドナー基板から熱により着色剤を溶融転写するいわゆる熱転写方式と比較すると、記録媒体に微小な凹凸が存在していても良好に記録を行うことができる。
前記光吸収材の25℃における粘度ηとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1Pa・s以上100Pa・s以下が好ましく、2Pa・s以上20Pa・s以下がより好ましい。
なお、前記光吸収材の25℃における粘度ηは、例えば、前記基板上に付与する前の前記光吸収材を回転粘度計(東機産業株式会社製、VISCOMATE VM-150III)、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
前記光吸収材の25℃における静的(プレート法)表面張力σとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10mN/m以上80mN/m以下が好ましく、30mN/m以上80mN/m以下がより好ましい。
前記光吸収材の25℃における静的(プレート法)表面張力σの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)などが挙げられる。
--飛散抑制材層--
前記飛散抑制材層は、飛散抑制材を含有する層である。
前記飛散抑制材層は、前記光吸収材層の上に形成されていれば特に制限はなく、単層であっても複層であってもよく、目的に応じて適宜選択することができる。前記飛散抑制材層が単層である場合には、単に、飛散抑制材膜と称することがある。
また、前記飛散抑制材層は、基板上に一体的に層(膜)を形成していてよく、断続的に層(膜)を形成していてもよい。
---飛散抑制材---
前記飛散抑制材としては、前記光吸収材層に対して特定の物性を満足するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記特定の物性としては、例えば、前記飛散抑制材の25℃における粘度ηと、前記光吸収材層の25℃における粘度ηとが、η>ηを満たすこと、前記飛散抑制材の25℃における静的表面張力σと、前記光吸収材層の25℃における静的表面張力σとが、σ<σを満たすこと、などが挙げられる。これらは全てを満たす必要はなく、少なくともいずれかを満たせばよい。
前記飛散抑制材の25℃における粘度η及び前記光吸収材の25℃における粘度η、前記飛散抑制材の25℃における静的表面張力σと、前記光吸収材の25℃における静的表面張力σの少なくともいずれかが、上記条件を満たすことにより、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる際に、前記光吸収材層の飛散を抑制することができる。
前記飛散抑制材の25℃における粘度ηは、0.002Pa・s以上145Pa・s以下が好ましく、0.002Pa・s以上80Pa・s以下がより好ましく、4Pa・s以上80Pa・s以下が更に好ましく、6Pa・s以上60Pa・s以下が最も好ましい。前記飛散抑制材の25℃における粘度ηが、80Pa・s以下であると、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる際に、前記光吸収材層の飛散を抑制する効果を向上させることができる。
前記飛散抑制材の25℃における粘度ηは、例えば、前記基板上に付与する前の前記飛散抑制材をレオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
前記飛散抑制材の25℃における静的表面張力σは、29mN/m以上75mN/m以下が好ましく、40mN/m以上75mN/m以下がより好ましい。前記飛散抑制材の25℃における静的表面張力σが、29mN/m以上75mN/m以下であると、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる際に、前記光吸収材層の飛散を抑制する効果を向上させることができる。
前記飛散抑制材の25℃における静的表面張力σの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)などが挙げられる。
前記飛散抑制材としては、上記の物性を満たしていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシメチルセルロース3%水溶液(25℃における静的表面張力σ:75.67mN/m)、カルボキシメチルセルロース4%水溶液(25℃における静的表面張力σ:72.75mN/m)、水(25℃における静的表面張力σ:71.17mN/m)などが挙げられる。
本発明においては、前記ドナー基板を用いて、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる。
本発明において、「飛翔させる」とは、光吸収材層の一部の光吸収材が前記ドナー基板から脱離することを意味する。
前記光としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザービームが挙げられる。
前記レーザービームとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般的なレーザービームであるガウスレーザービーム、螺旋状の等位相面を有する光渦レーザービームなどが挙げられる。これらの中でも光渦レーザービームが、飛翔させる前記光吸収材を飛散させにくい点で好ましい。
前記光渦レーザービームについてより説明する。
一般的なレーザービームは、位相が揃っているため、図1Aに示すように平面状の等位相面(波面)を有している。レーザービームのポインティングベクトルの方向が平面状の等位相面の直交方向であることにより、レーザービームの照射方向と同じ方向となるため、レーザービームが光吸収材に照射された場合には、光吸収材に対して照射方向に力が作用する。しかし、レーザービームの断面における光強度分布が、図1Bに示すようにビームの中心が最も強い正規分布(ガウシアン分布)であるため、光吸収材が飛散しやすい。また、位相分布の観察を行うと図1Cに示すように位相差がないことが確認される。
これに対し、光渦レーザービームは、図2Aに示すように螺旋状の等位相面を有している。光渦レーザービームのポインティングベクトルの方向が螺旋状の等位相面に対して直交方向であるため、光渦レーザービームが光吸収材に照射された場合には、直交方向に力が作用する。このため、図2Bに示すように光強度分布がビームの中央が零となる凹んだドーナツ状の分布となり、光渦レーザービームを照射された光吸収材は、ドーナツ状のエネルギーを放射圧として印加される。すると、光渦レーザービームを照射された光吸収材は、光渦レーザービームの照射方向に沿って飛翔し、被付与物に飛散しにくい状態で付与する。また、位相分布の観察を行うと図2Cに示すように位相差が発生していることが確認される。
図3Aは、一般的なレーザービームを光吸収材に照射させたときの一例を示す写真である。図3Bは、光渦レーザービームを光吸収材に照射させたときの一例を示す写真である。
図3Aと図3Bとを比較すると、図3Aのほうが図3Bよりも光吸収材が飛散していることが確認できる。このことから、光渦レーザービームを照射された光吸収材は、ドーナツ状のエネルギーを放射圧として印加され、光渦レーザービームの照射方向に沿って飛翔し、被付与物に飛散しにくい状態で付与することがわかる。
光渦レーザービームか否かを判別する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述の位相分布の観察、干渉計測などが挙げられ、干渉計測が一般的である。
干渉計測は、レーザービームプロファイラ(Spiricon社製レーザービームプロファイラ、浜松ホトニクス株式会社製レーザービームプロファイラなど)を用いて観察でき、干渉計測した結果の一例を図4A、図4Bに示す。
図4Aは、光渦レーザービームにおける干渉計測の結果の一例を示す説明図であり、図4Bは、中心に光強度0の点を有するレーザービームにおける干渉計測の結果の一例を示す説明図である。
光渦レーザービームを干渉計測すると、図4Aに示すように、エネルギー分布がドーナツ状であって、図1Cと同様に中心に光強度0の点を持つレーザービームであることが確認できる。
一方、中心に光強度0の点を有する一般的なレーザービームを干渉計測すると、図4Bに示すように、図4Aで示した光渦レーザービームの干渉計測と類似しているが、ドーナツ状部のエネルギー分布が一様ではないことから、光渦レーザービームとの差異が確認できる。
-光吸収材飛翔手段-
前記光吸収材飛翔手段は、 前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射する、換言すると、前記光吸収材を表面に配した基板における、前記光吸収材が配された側とは反対側の基板の表面に光を照射することにより、光の照射方向に前記光吸収材を飛翔させる。
また、光吸収材飛翔手段としては、例えば、レーザー光源と、光渦変換部と、波長変換部とを有するものを用いることができ、光吸収材飛翔手段は、更に必要に応じて、その他の部材を有することが好ましい。
--レーザー光源--
前記レーザー光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザービームを発生させる固体レーザー、気体レーザー、半導体レーザーなどが挙げられ、パルス発振可能なものが好ましい。
前記固体レーザーとしては、例えば、YAGレーザー、チタンサファイアレーザーなどが挙げられる。
前記気体レーザーとしては、例えば、アルゴンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、炭酸ガスレーザーなどが挙げられる。
これらの中でも、出力が30mW程度の半導体レーザーが、装置の小型化及び低コスト化の点で、好ましい。ただし、本実施例では、実験的にチタンサファイアレーザーを使用した。
前記レーザービームの波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300nm以上11μm以下が好ましく、350nm以上1100nm以下がより好ましい。
前記レーザービームのビーム径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上10mm以下が好ましく、10μm以上1mm以下がより好ましい。
前記レーザービームのパルス幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2ナノ秒以上100ナノ秒以下が好ましく、2ナノ秒以上10ナノ秒以下がより好ましい。
前記レーザービームのパルス周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10Hz以上200Hz以下が好ましく、20Hz以上100Hz以下がより好ましい。
なお、前記レーザー光源としては、光渦レーザービームを出力可能なレーザー光源でもよい。
--光渦変換部--
前記光渦変換部としては、レーザービームを光渦レーザービームに変換できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、回折光学素子、マルチモードファイバ、液晶位相変調器などが挙げられる。
前記回折光学素子としては、例えば、螺旋位相板、ホログラム素子などが挙げられる。これらの中でも、螺旋位相板(Spiral Phase Plate)が好ましい。
なお、前記光渦レーザービームを発生させる方法としては、前記光渦変換部を用いる方法に限らず、例えば、レーザー共振器から光渦を固有モードとして発振させる方法、ホログラム素子を共振器に挿入する方法などが挙げられる。他の前記光渦レーザービームを発生させる方法としては、例えば、ドーナツビームに変換した励起光を用いる方法、暗点を有する共振器ミラーを用いる方法、側面励起固体レーザーで発生する熱レンズ効果を空間フィルタとして用いて光渦モード発振する方法などが挙げられる。
--波長変換部--
前記波長変換部としては、前記光渦レーザービームに円偏光を付与することにより、以下の式(1)で表されるトータルの回転モーメントJL,Sが、|JL,S|≧0となる条件を満たすことができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記波長変換部としては、例えば、1/4波長板などが挙げられる。1/4波長板の場合には、光学軸を+45°又は-45°以外に設置して光渦レーザービームに楕円状の円偏光(楕円偏光)を付与してもよいが、光学軸を+45°又は-45°に設置して前記光渦レーザービームに真円状の円偏光を付与し、上記の条件を満たすことが好ましい。これにより、飛翔体発生装置は、前記光吸収材を安定的に飛翔させ、飛散を抑制した形状で被付与物に付与させる効果を大きくすることができる。
ただし、式(1)において、εは真空中の誘電率であり、ωは光の角周波数であり、Lはトポロジカルチャージであり、Iは下記数式(2)で表される光渦レーザービームの渦次数に対応する軌道角運動量であり、Sは円偏光に対するスピン角運動量であり、rは円筒座標系の動径である。
ただし、式(2)において、ωは光のビームウエストサイズである。
なお、トポロジカルチャージとは、光渦レーザービームの円筒座標系における方位方向の周期的境界条件から現れる量子数を意味する。また、ビームウエストサイズとは、光渦レーザービームにおけるビーム径の最小値を意味する。
Lは、波長板における螺旋波面の巻数で決まるパラメータである。Sは、波長板における円偏光の向きで決まるパラメータである。なお、L及びSはいずれも整数である。また、L及びSの符号は、それぞれ螺旋の向き(時計回り、反時計回り)を表す。
なお、光渦レーザービームにおけるトータルの回転モーメントをJとすると、J=L+Sと表すことができる。
本発明の飛翔体発生装置は、例えば、レーザービームを光渦レーザービームに変換する光渦変換部、及び光渦レーザービームに円偏光を付与する波長変換部を備え、|JL,S|≧0と設定することにより、高粘度又は固体の光吸収材の飛翔物の直線指向性を発現させ、光吸収材の飛散を抑制する効果を向上させることができる。
--その他の部材--
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビーム径変更部材、ビーム波長変更素子、出力調整部などが挙げられる。
---ビーム径変更部材---
ビーム径変更部材としては、レーザービーム又は光渦レーザービームのビーム径を変更できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、集光レンズなどが挙げられる。
光渦レーザービームのビーム径(照射径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm以下が好ましい。光渦レーザービームの照射径が100μm以下であると、高解像度の画像を形成しやすい点で好ましい。
なお、ビーム径は、例えば、レーザースポット径及び集光レンズにより変更することが可能である。
また、光吸収材が分散体の場合、ビーム径としては、光吸収材の体積平均粒径の最大値以上が好ましく、分散体の最大値の3倍がより好ましい。ビーム径がより好ましい範囲内であると、光吸収材を安定して飛翔させることが可能となる点で有利である。
---ビーム波長変更素子---
ビーム波長変更素子としては、レーザービーム又は光渦レーザービームの波長を、光吸収材が吸収可能であり、かつ後述する基板を透過可能である波長に変更できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ビーム波長変更素子としては、例えば、KTP結晶、BBO結晶、LBO結晶、CLBO結晶などが挙げられる。
---出力調整部---
出力調整部としては、レーザービーム又は光渦レーザービームを適正な出力値に調整することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラスなどが挙げられる。
光吸収材に照射する光渦レーザービームの出力値としては、照射方向を軸とした照射径の中心軸に回転運動をしながら照射径よりも小さい径に収束する液柱を生じ得る状態、あるいは一部が切り離され液滴を生じ得る状態を実現可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、以下では「出力値」を「照射エネルギー」と称することもある。
光渦レーザービームの照射エネルギーとしては、光吸収材の粘度や膜厚によっても適正値が変化するため、適宜調整されることが好ましいが、具体的には、100μJ/ドット以下がより好ましく、60μJ/ドット以下が更に好ましい。光渦レーザービームの照射エネルギーが60μJ/ドット以下であると、照射方向を軸とした照射径の中心軸に回転運動をしながら照射径よりも小さい径に収束する液柱を生じ得る状態、あるいは一部が切り離され液滴を生じ得る状態を実現しやすい点で有利である。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、光吸収材供給工程、光走査工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、光吸収材供給手段、光走査手段、制御手段などが挙げられる。
また、光吸収材飛翔手段、光吸収材供給手段、及び光走査手段を一体として光吸収材飛翔ユニットとして扱ってもよい。
<<光吸収材供給工程及び光吸収材供給手段>>
前記光吸収材供給工程としては、前記光吸収材飛翔手段と前記被付与物との間の光路に、前記光吸収材を供給する工程であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光吸収材供給手段を用いて好適に行うことができる。
前記光吸収材供給手段としては、前記光吸収材飛翔手段と前記被付与物との間の光路に、前記光吸収材を供給する手段であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光吸収材供給手段としては、例えば、円筒状の基板などが挙げられる。前記円筒状の基板を用いる場合には、光路上に前記円筒状の基板を配置し、前記円筒状の基板を介して、前記ドナー基板に前記光吸収材を供給するようにしてもよい。
より具体的には、前記光吸収材が液体であって、前記ドナー基板に光吸収材を供給する場合には、前記光吸収材供給手段として供給ローラ及び規制ブレードを設けることが、非常に簡単な構成で光吸収材を基板の表面に一定の平均厚みで供給することができるため好ましい。
この場合、前記供給ローラは、前記光吸収材を貯蔵する貯蔵槽に表面が一部浸漬し、前記光吸収材を表面に担持しながら回転して、前記ドナー基板に当接することにより前記光吸収材を供給する。前記規制ブレードは、前記供給ローラの回転方向における前記貯蔵槽の下流側に配置され、前記供給ローラが担持した前記光吸収材を規制して平均厚みを均一にし、飛翔させる前記光吸収材の量を安定させる。供給する前記光吸収材の平均厚みを非常に薄くすることにより、飛翔させる前記光吸収材の量を低減できるため、前記光吸収材を飛散が抑制された微小なドットとして前記被付与物に付与可能とし、網点が太るドットゲインを抑制することができる。なお、前記規制ブレードは、前記供給ローラの回転方向における前記供給ローラの下流側に配置されていてもよい。
また、前記光吸収材が高粘度である場合には、前記供給ローラの材質は、前記ドナー基板と確実に接触させるようにする点で、少なくとも表面が弾性を有するものが好ましい。前記光吸収材が比較的低粘度である場合における、前記供給ローラとしては、例えば、精密ウェットコーティングで用いられるような、グラビアロール、マイクログラビアロール、フォーワードロールなどが挙げられる。
更に、前記供給ローラを設けない前記光吸収材供給手段としては、前記貯蔵槽内の前記光吸収材に前記ドナー基板を直接接触させた後にワイヤーバーなどで余分な前記光吸収材を掻き取ることにより前記ドナー基板の表面に前記光吸収材の層を形成するようにしてもよい。
なお、前記貯蔵槽は、前記光吸収材供給手段とは別に設け、ホース等で前記光吸収材を前記光吸収材供給手段に供給するようにしてもよい。
<<光走査工程及び光走査手段>>
前記光走査工程としては、前記光を前記光吸収材に走査させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光走査手段を用いて好適に行うことができる。
前記光走査手段としては、前記光を前記光吸収材に対して走査可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記光走査手段は、光吸収材飛翔手段から照射された前記光を前記光吸収材に向けて反射させる反射鏡と、反射鏡の角度及び位置を変化させて前記光を前記光吸収材に対して走査させる反射鏡駆動部とを有するようにしてもよい。
<<制御工程及び制御手段>>
前記制御工程は、各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シーケンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
次に、本発明における飛翔体発生装置の一例について図面を参照して説明する。
なお、本発明の飛翔体発生装置の部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図5Aは、本発明の飛翔体発生装置の一例を示す説明図である。
図5Aにおいて、飛翔体発生装置300は、光吸収材飛翔手段1と、光を吸収する光吸収材20と、被付与物30と、ドナー基板40とを有する。前記ドナー基板40は、図示しない飛散抑制材層を光吸収材20のドナー基板40とは反対側の上面に有している。
前記飛翔体発生装置300は、前記ドナー基板40に担持されている前記光吸収材20に、前記光吸収材飛翔手段1によりレーザービーム112を照射し、前記レーザービーム12のエネルギーにより前記光吸収材20を照射方向に飛翔させる。図5中、被付与物30は飛翔させた前記光吸収材20を付与させる対象である。被付与物30を前記光吸収材20の対面に配置しておくことで、前記被付与物30に前記光吸収材20を付与することができる。
前記光吸収材飛翔手段1は、レーザー光源2と、ビーム径変更部材3及び7と、ビーム波長変更部材4と、光渦変換部5と、波長変換部6と、を有している。
前記レーザー光源2は、例えば、チタンサファイアレーザーであり、パルス発振させたレーザービーム11を発生させ、前記ビーム径変更部材3に照射する。
前記ビーム径変更部材3は、例えば、集光レンズであり、前記レーザー光源2が発生させた前記レーザービーム11の光路におけるレーザー光源2の下流に配置され、レーザービーム11の径を変更する。
前記ビーム波長変更部材4は、例えば、KTP結晶であり、前記レーザービーム11の光路における前記ビーム径変更部材3の下流に配置され、前記レーザービーム11の波長を前記光吸収材20が吸収可能な波長に変更する。
前記光渦変換部5は、例えば、螺旋位相板であり、前記レーザービーム11の光路における前記ビーム波長変更部材4の下流に配置され、前記レーザービーム11を光渦レーザービーム12に変換する。
前記波長変換部6は、例えば、1/4波長板であり、前記光渦レーザービーム12に円偏光を付与する。
前記光吸収材20は、前記光吸収材飛翔手段1から前記光渦レーザービーム12を照射され、前記光渦レーザービーム12の径の範囲におけるエネルギーを受けて飛翔する。被付与物30を前記光吸収材20の対面に配置しておくことで、前記被付与物30に前記光吸収材20を付与することができる。
なお、飛翔した前記光吸収材20は、前記光渦レーザービーム12により付与された、適度なエネルギーによる前方推進とジャイロ効果により、ビーム径の中心軸近傍に収束しながら捩じ切られることにより、周辺への飛散を抑制されつつ前記被付与物30に付与する。
このとき、飛翔する前記光吸収材20の飛翔量は、前記光渦レーザービーム12が照射された前記光吸収材20の面積のうち一部であり、前記波長変換部6などにより調整することができる。
図5Bは、本発明の飛翔体発生装置の他の一例を示す説明図である。
図5Bにおいて、飛翔体発生装置301は、図5Aに示した飛翔体発生装置300の各手段などに加え、光走査手段60とを有している。図5Bにおいては、前記ドナー基板40は、前記ドナー基板40の長軸方向がレーザービーム12の照射方向と直交する方向に配されている。この飛翔体発生装置301は、前記光吸収材飛翔手段1が発生させたレーザービーム12を、光走査手段60により前記ドナー基板40に走査する。これにより、飛翔体発生装置301は、前記ドナー基板40の任意の位置に照射し、光吸収材20を飛翔させることができる。これにより、前記被付与物30を前記光吸収材20の対面に配置し多場合に、前記被付与物30の任意の位置に前記光吸収材20を付与することができる。
前記光走査手段60は、レーザービーム12の光路における光吸収材飛翔手段1の下流に配置され、反射鏡61を有している。
前記反射鏡61は、反射鏡駆動手段により図5B中矢印Sで示す走査方向に可動し、レーザービーム12を前記光吸収材20の任意の位置に反射する。
なお、前記光走査手段60は、例えば、前記光吸収材飛翔手段1自体を移動させるか、前記光吸収材飛翔手段1を回動させて前記レーザービーム12の照射方向を変化させるようにしてもよい。あるいは、前記光走査手段60は、前記反射鏡61として前記ポリゴンミラーを用いることにより、任意の位置にレーザービーム12を走査させるようにしてもよい。
前記ドナー基板40は、前記レーザービーム12の光路における前記光走査手段60の下流に配置され、例えば、前記光吸収材20が高粘度の液体である場合、前記光吸収材20が塗布されて固定する目的で用いられる。この前記ドナー基板40は、前記光を透過可能であって、前記光吸収材20を前記レーザービーム12が照射される面とは反対側の面に担持している。
また、前記光吸収材20が前記ドナー基板40に担持される段階で、層を形成した光吸収材20の平均厚みが一定となるように制御することにより、光吸収材20の飛翔量を安定させることができる。
なお、光吸収材飛翔手段1と、前記光走査手段60とを合わせたものをレーザービーム照射ユニット100と称する。
図5Cは、本発明の飛翔体発生装置の他の一例を示す説明図である。
図5Cにおいて、飛翔体発生装置301aは、図5Bに示した前記飛翔体発生装置301における前記光走査手段60として、ガルバノスキャナ(ガルバノミラー)62a及び62bを有する。前記ガルバノスキャナ62a及び62bは、それぞれが独立した走査方向(2次元)に可動し、前記レーザービーム12を前記光吸収材20の任意の位置に反射することができる。前記光走査手段60として前記ガルバノスキャナ62a及び62bを用いることにより、前記レーザービーム12の走査スピード及び走査精度をより向上させることができる。
また、前記飛翔体発生装置301aにおいては、例えば、ガルバノスキャナ62bと基板40の間に、fθレンズを配置することも好ましい。
本発明の飛翔体発生方法及び飛翔体発生装置の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、画像形成、立体造形物の製造、プリンタブル回路形成などが挙げられる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる付与工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の画像形成方法に係る画像形成装置は、基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段と、飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる付与手段とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
<光吸収材飛翔工程及び光吸収材飛翔手段>
前記光吸収材飛翔工程は、本発明の飛翔体発生方法における光吸収材飛翔工程と同様である。
前記光吸収材飛翔手段は、本発明の飛翔体発生装置における光吸収材飛翔手段と同様である。
<付与工程及び付与手段>
前記付与工程は、飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる工程である。
前記付与手段は、飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる手段である。
前記付与工程は前記付与手段により好適に行われる。
なお、本発明において、「付与」は「付着」とほぼ同義の意味である。
前記付与手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光吸収材層から生じさせた前記光吸収材の液柱乃至液滴を被付与物に接触させる機構を備える手段などが挙げられる。具体的には、前記付与手段としては、例えば、被付与物と光吸収材との間隙を調整する機構や、被付与物を搬送する機構などが挙げられる。
-被付与物-
前記被付与物としては、光吸収材から生じさせた液柱乃至液滴が接触できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来、画像形成装置で用いられている記録媒体や中間転写ベルト、立体造形物を形成するための造形物支持基板などが挙げられる。なお、本明細書においては、前記被付与物を被転写媒体と称することもある。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コート紙、上質紙、フィルム、布、繊維などが挙げられる。
前記被付与物と前記光吸収材との間隙(ギャップ、距離)としては、前記被付与物と前記光吸収材とを接触させなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mm以上5mm以下が好ましく、0.10mm以上1mm以下がより好ましく、0.10mm以上0.50mm以下が特に好ましい。前記被付与物と前記光吸収材との間隙が好ましい範囲内であると、前記被付与物に対する前記光吸収材の付与位置の精度が低下しにくくなる点で有利である。また、前記被付与物と前記光吸収材とを接触させないことにより、前記光吸収材、前記被付与物の組成を選ばず前記光吸収材を前記被付与物に付与させることが可能となる。
更に、間隙は、例えば、被付与物の位置を一定に維持する位置制御手段などにより一定に保たれることが好ましい。この場合、光吸収材及び被付与物の位置変動、平均厚みのバラつきを考慮して各部位を配置することが重要となる。
また、前記被付与物に付与された前記光吸収材の平均直径(平均ドット径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100μm以下とすることが、形成する画像や立体造形物の解像度をより向上させることができる点で好ましい。
また、前記平均ドット径は、例えば、マイクロスコープ等で前記光吸収材のドット画像を取得して画像輝度情報からドット領域を検出し、検出したドット領域のピクセル数から各ドットの面積を算出、円形に換算した時の直径をドット径とし、これを平均することにより求めることができる。
さらに、前記被付与物に付与された前記光吸収材の平均直径(ドット径)のばらつきの値としては、10%以下とすることが好ましく、6%以下とすることがより好ましい。前記被付与物に付与された前記光吸収材の平均直径のばらつきの値を、上記の好ましい範囲とすることにより、画像や立体造形物を形成する際の精度をより向上させることができる。
また、前記被付与物に付与された前記光吸収材の平均直径のばらつきの値は、例えば、マイクロスコープ等で光吸収材のドット画像を取得して画像輝度情報からドット領域を検出し、検出したドット領域のピクセル数から各ドットの面積を算出、円形に換算した時の直径をドット径とし、各ドットの粒径分布の平均粒径と標準偏差から算出することにより求めることができる。
加えて、前記被付与物に付与された前記光吸収材の位置(ドット位置)のばらつきの値としては、10μm以下とすることが好ましく、5μm以下とすることがより好ましい。前記被付与物に付与された前記光吸収材の位置のばらつきの値を、上記の好ましい範囲とすることにより、画像や立体造形物を形成する際の精度をより向上させることができる。なお、前記被付与物に付与された前記光吸収材の位置のばらつきの値としては、例えば、前記光吸収材のドットを一列に付与させる場合には、そのドットの列と直行する方向における、各前記光吸収材の位置のばらつきの値とすることができる。
例えば、マイクロスコープ等で前記光吸収材のドット画像を取得して画像輝度情報からドット領域を検出し、検出した各ドット領域の重心座標を算出、各重心の最小二乗法による近似直線からのずれを算出することにより求めることができる。
前記被付与物に付与された前記光吸収材の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm以下が好ましい。前記被付与物に付与された前記光吸収材の平均厚みが100μm以下であると、前記光吸収材を飛翔させるためのエネルギーを小さくできるため、前記光吸収材の耐久性、前記光吸収材が有機物である場合の組成の分解などが発生しにくくなる点で有利である。なお、前記被付与物に付与された前記光吸収材の平均厚みとしては、記録媒体、目的などにより適宜選択することができる。
例えば、一般的なオフセット印刷で用いられるコート紙や平滑なフィルムを記録媒体として用い、色材を含有する前記光吸収材(以下、着色剤と称する)の場合には、前記被付与物に付与された前記光吸収材の平均厚みとしては、0.5μm以上5μm以下が好ましい。前記被付与物に付与された前記光吸収材の平均厚みが好ましい範囲内であると、記録媒体の微小な平均厚みの違いによる色差が人間の目でも判別しにくくなるためコート紙でも彩度の高い画像になりやすくなるとともに、網点のドットゲインが顕著とならず鮮鋭な画像が表現しやすくなる点で有利である。
また、例えば、オフィスなどで用いられる上質紙など、表面粗さがコート紙やフィルムよりも大きな記録媒体を用いる場合には、着色剤の平均厚みとしては、3μm以上10μm以下が好ましい。平均厚みが好ましい範囲内であると、記録媒体の表面粗さに影響されにくく良好な画質を得やすくなるとともに、特にプロセスカラーの着色剤でフルカラー画像を表現する場合、複数の着色剤の層を重ね合わせても段差感が顕著となりにくい。
更に、例えば、布、繊維などを染色する捺染に用いる場合、記録媒体となる綿、絹、化学繊維などに着色剤を付与させるには、着色剤の平均厚みとしては、5μm以上の平均厚みが必要となる場合が多い。これは、繊維の太さが紙に比べ大きくなるため、多くの着色剤が必要となる場合が多い。
<その他の手工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、本発明の飛翔体発生方法におけるその他の工程の他に、例えば、被付与物搬送工程、定着工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、本発明の飛翔体発生装置におけるその他の手段の他に、例えば、被付与物搬送手段、定着手段などが挙げられる。
前記被付与物搬送工程としては、前記被付与物を搬送する工程であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、被付与物搬送手段を用いて好適に行うことができる。
前記被付与物搬送手段としては、前記被付与物を搬送することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ローラ対などが挙げられる。
前記定着手段としては、前記被付与物に付与させた前記光吸収材を定着させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱加圧部材を用いた熱圧着方式のものなどが挙げられる。
前記加熱加圧部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱ローラ、加圧ローラ、加熱ローラ及び加圧ローラを組み合わせたものなどが挙げられる。他の加熱加圧部材としては、例えば、これらに定着ベルトを組合せたもの、これらのうち加熱ローラを加熱ブロックに代えたものなどが挙げられる。
前記加圧ローラとしては、前記被付与物搬送手段により搬送される前記被付与物と等速度で加圧面が移動するものが、擦れによる画像劣化を抑制する点で、好ましい。この中でも、表面近傍に弾性層を形成したものが、前記被付与物に対して接触加圧しやすい点で、より好ましい。更に、最表面にシリコーン系の撥水性材料やフッ素化合物などの低表面エネルギーの素材で撥水性表面層を形成した前記加圧ローラが、表面に前記光吸収材が付与することによる画像の乱れを抑制する点で、特に好ましい。
前記シリコーン系の撥水性材料からなる前記撥水性表面層としては、例えば、シリコーン系離型剤の皮膜、シリコーンオイル又は各種変性シリコーンオイルの焼付皮膜、シリコーンワニスの皮膜、シリコーンゴムの皮膜、シリコーンゴムと各種金属、ゴム、プラスチック、セラミック等の複合物からなる皮膜などが挙げられる。
前記フッ素化合物からなる前記撥水性表面層としては、フッ素樹脂の皮膜、有機フッ素化合物の皮膜、フッ素オイルの焼付皮膜又は吸着膜、フッ素ゴムの皮膜、若しくはフッ素ゴムと各種金属、ゴム、プラスチック、セラミック等の複合物からなる皮膜などが挙げられる。
前記加熱ローラにおける加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃以上200℃以下が好ましい。
前記定着ベルトとしては、耐熱性があり、機械的強度が高ければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリイミド、PET、PEN等のフィルムなどが挙げられる。また、前記定着ベルトとしては、表面に前記光吸収材が付与することによる画像の乱れを抑制する点で、前記加圧ローラの最表面を形成する材料と同じものを用いることが好ましい。前記定着ベルトは、肉厚を薄くすることができることにより、ベルト自体を加熱するエネルギーを小さくできるため、電源を入れてすぐに使用することができる。このときの温度及び圧力は定着させる光吸収材の組成により変化するが、温度としては200℃以下が省エネの観点から好ましく、圧力としては1kg/cm以下が装置の剛性の点で好ましい。
なお、異なる色材を有する2種以上の前記光吸収材を用いる場合は、各色の前記光吸収材が前記被付与物に付与する毎に定着させてもよく、全種の前記光吸収材が前記被付与物に付与して積層された状態で定着させてもよい。
また、前記光吸収材が非常に高粘度であって、乾燥が遅くなり前記被付与物に対する付与速度の向上が困難な場合には、前記被付与物を追加で加熱し、乾燥を促進させてもよい。
更に、前記光吸収材の前記被付与物への浸透及び濡れが遅く、付与させた前記光吸収材が十分に平滑化していない状態で乾燥させた場合、前記光吸収材が付与した前記被付与物の表面が粗くなるため、前記被付与物の表面の光沢が得られない場合がある。前記被付与物の表面の光沢を得るためには、加圧して定着させる定着手段とすることにより、前記被付与物に付与した前記光吸収材をつぶしながら前記被付与物に押し込むよう定着させて、前記被付与物の表面粗さを小さくするようにしてもよい。
前記定着手段は、特に粉体を押し固めて形成した固体の前記光吸収材を用いた場合などに、前記被付与物に定着させるために必要となる。なお、必要に応じて、前記定着手段とともに公知の光定着器を用いてもよい。
前記定着工程としては、前記被付与物に付与させた前記光吸収材を、前記被付与物に定着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、定着手段を用いて好適に行うことができる。
本発明の画像形成方法及び画像形成装置においては、光吸収材飛翔手段、光吸収材供給手段、及び光走査手段を一体として光吸収材飛翔ユニットとして扱ってもよい。
例えば、前記光吸収材として色材を含有する着色剤を用いる場合における例を説明する。前記光吸収材飛翔ユニットを画像形成装置に4つ設け、プロセスカラーであるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの前記着色剤を飛翔させるようにしてもよい。前記着色剤の色数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、必要に応じて光吸収材飛翔ユニット(以下、着色剤飛翔ユニット)の数を増減させてもよい。また、記録媒体の搬送方向における、プロセスカラーの前記着色剤を有する前記着色剤飛翔ユニットの上流側に、白色の着色剤を有する前記着色剤飛翔ユニットを配置することで、白色隠蔽層を設けることが可能となるため、透明な記録媒体に色再現性に優れた画像を形成できる。ただし、特にイエロー、白色、透明の着色剤においては、レーザービームの波長の光の透過率(吸光度)が適正となるように、レーザー光源を、例えば、ブルーレーザービーム、紫外線レーザービームなどに適宜選択してしなければならない場合がある。
更に、本発明の画像形成方法に係る画像形成装置では、高粘度の着色剤を用いることができるので、記録媒体上に順次異なる色の着色剤を重ねて画像を形成しても、着色剤が滲み出して交じり合うブリーディングの発生を抑制できるため、高画質のカラー画像を得ることができる。
本発明の画像形成方法に係る画像形成装置の小型化などを目的として、着色剤飛翔ユニットを1つだけ設け、供給ローラ及びドナー基板に供給する着色剤自体を切り替えて複数色の画像を形成するようにしてもよい。
次に、本発明の画像形成方法に係る画像形成装置の一例について図面を参照して説明する。
なお、本発明の画像形成方法に係る画像形成装置の部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図6Aは、図5Bに示す飛翔体発生装置において、光吸収材供給手段及び被付与物搬送手段を付加した画像形成装置の一例を示す説明図である。
図6Aにおいて、画像形成装置302は、図5Bに示した画像形成装置301の各手段などに加え、光吸収材供給手段50と、被付与物搬送手段70とを有しており、平板状の基板40を円筒状の光吸収材担持ローラ41に変更したものである。また、光吸収材担持ローラ41の内側には、レーザービーム照射ユニット100が配置されており、光吸収材担持ローラ41が外周に担持する光吸収材20にレーザービーム12を照射する。
光吸収材供給手段50は、貯蔵槽51と、供給ローラ52と、規制ブレード53とを有している。
貯蔵槽51は、供給ローラ52の下方の近傍に配置され、光吸収材20を貯蔵する。
供給ローラ52は、光吸収材担持ローラ41と当接するように配置され、貯蔵槽51の光吸収材20に一部が浸漬されている。供給ローラ52は、回転駆動手段により、又は光吸収材担持ローラ41の回転に従動して図6A中矢印R2で示す回転方向に回転しながら光吸収材20を表面に付与させる。付与した光吸収材20は、規制ブレード53により平均厚みを均一にされ、光吸収材担持ローラ41に転移することにより層として供給される。光吸収材担持ローラ41の表面に供給された光吸収材20は、光吸収材担持ローラ41が回転することにより、レーザービーム12が照射される位置に連続的に供給される。
規制ブレード53は、図中矢印R2で示す回転方向における光吸収材担持ローラ41の上流側に配置され、供給ローラ52が表面に付与させた光吸収材20を規制し、光吸収材担持ローラ41に供給する光吸収材20の平均厚みを均一にする。
被付与物搬送手段70は、光吸収材担持ローラ41と搬送する被付与物30が接触しないように光吸収材担持ローラ41の近傍に配置され、被付与物搬送ローラ71と、被付与物搬送ローラ71に張架された被付与物搬送ベルト72とを有している。この被付与物搬送手段70は、回転駆動手段により被付与物搬送ローラ71を回転させ、被付与物搬送ベルト72により被付与物30を図6A中矢印Cで示す搬送方向に搬送する。
このとき、レーザービーム照射ユニット100は、画像情報に従って光吸収材担持ローラ41の内側よりレーザービーム12を照射し、被付与物30に光吸収材20を付与させる。被付与物30を被付与物搬送ベルト72により移動させながら、このような光吸収材20を被付与物30に付与させる付与動作を行うことにより、被付与物30に2次元の画像を形成することができる。
なお、光吸収材担持ローラ41の表面に担持されたが飛翔させなかった光吸収材20は、光吸収材担持ローラ41が回転し、供給ローラ52との当接により溜まっていき、やがて貯蔵槽51に落下して回収される。また、光吸収材20の回収方法としては、それに限られることなく、光吸収材担持ローラ41の表面の光吸収材20を掻き取るスクレーパなどを設けてもよい。
図6Bは、図5Bに示す飛翔体発生装置において、光吸収材供給手段及び被付与物搬送手段を付加した画像形成装置の他の一例を示す説明図である。
図6Bにおいて、画像形成装置303は、図6Aで示した画像形成装置302における円筒状の光吸収材担持ローラ41を、軸方向に沿って2分割した光吸収材担持部42とし、画像形成装置302の配置を変更したものである。
光吸収材担持部42は、円筒状の一部の面となっており、かつ円筒中心線の対向側には面が無い形状である。このように対向面がない担持体とすることにより、レーザービーム照射ユニット100を円筒状の光吸収材担持ローラ41に設けることなく、レーザービーム12の光路が確保しやすくなるため、装置を単純化することができる。
図7Aは、定着手段を付加した図6Aに示す画像形成装置の一例を示す説明図である。
図7Aにおいて、画像形成装置305は、図6Aに示した画像形成装置302の各手段などに加え、定着手段80を有しており、被付与物30に付与させた光吸収材20を定着させて平滑にするようにしている。なお、被付与物搬送手段70の位置は、図6Aでは光吸収材担持ローラ41の側面としたが、図7Aでは説明の便宜上、光吸収材担持ローラ41の上方とした。
定着手段80は、加圧方式の定着手段であって、被付与物30の図7A中矢印Cで示す搬送方向において光吸収材担持ローラ41の下流側に配置され、加圧ローラ83と、対向ローラ84とを有している。この定着手段80は、光吸収材20が付与した被付与物30を、挟持しながら搬送することにより加圧して定着させる。
加圧ローラ83は、対向ローラ84に向かって付勢されており、表面が被付与物30と接触し、対向ローラ84とにより被付与物30を挟持しながら加圧する。
対向ローラ84は、加圧ローラ83と当接する位置に配置され、被付与物30を加圧ローラ83とにより被付与物搬送ベルト72を介して挟持する。
例えば、画像形成装置305を画像形成装置とし、1,000mPa・s以上である非常に高粘度の光吸収材20を用いると、光吸収材20の被付与物30への浸透又は濡れが遅くなりやすい。そして、光吸収材20がそのままの状態で乾燥してしまうと、画像の表面粗さが粗くなり、画像の光沢が低下してしまう場合がある。このような場合、定着手段80は、光吸収材20が付与した被付与物30を加圧ローラ83で加圧し、光吸収材20を被付与物30に押し込む、あるいは光吸収材20を潰すことができるため、光吸収材20が付与した被付与物30の表面粗さを小さくできる。
図7Bは、定着手段を付加した図6Aに示す画像形成装置の他の一例を示す説明図である。
図7Bにおいて、画像形成装置306は、図7Aで示した画像形成装置305における加圧方式の定着手段80を加熱加圧方式の定着手段81に変更したものである。
定着手段81は、被付与物30の図7B中矢印Cで示す搬送方向において光吸収材担持ローラ41の下流側に配置され、加熱加圧ローラ85と、定着ベルト86と、従動ローラ87と、ハロゲンランプ88と、対向ローラ84とを有している。この定着手段81は、溶融が必要な材料を分散した分散液の光吸収材20として用いた場合で、加圧のみでは狙いの画像を得られないときに用いられる。
加熱加圧ローラ85は、対向ローラ84に向かって付勢されており、定着ベルト86を介して、被付与物30を対向ローラ84と挟持しながら加熱及び加圧する。
定着ベルト86は、無端のベルト状であり、加熱加圧ローラ85及び従動ローラ87に張架され、表面が被付与物30と接触する。
従動ローラ87は、加熱加圧ローラ85の下方に配置され、加熱加圧ローラ85の回転に従って従動する。
ハロゲンランプ88は、加熱加圧ローラ85の内部に配置され、被付与物30に光吸収材20を定着させるための熱を発生させる。
対向ローラ84は、定着ベルト86と当接する位置に配置され、被付与物30を加圧ローラ83とにより被付与物搬送ベルト72を介して挟持する。
図7Cは、定着手段を付加した図6Aに示す画像形成装置の他の一例を示す説明図である。
図7Cにおいて、画像形成装置307は、図7Aで示した画像形成装置305における加圧方式の定着手段80をUV照射方式の定着手段82に変更したものである。
定着手段82は、被付与物30の図7C中矢印Cで示す搬送方向において光吸収材担持ローラ41の下流側に配置され、UVランプ89を有している。この定着手段81は、光吸収材20として紫外線硬化性材料を用いた場合に使用され、UVランプ89によりUVを照射して被付与物30に定着させる。
図8Aは、本発明の画像形成装置の他の一例を示す説明図である。
図8Aにおいて、画像形成装置400は、図7Bに示した画像形成装置306の各手段などに加え、光吸収材飛翔ユニット120を4つ有しており、光吸収材20として色材を含有する着色剤21を用いた場合に変更したものである。
また、光吸収材飛翔ユニット120は、光吸収材供給手段50と、光吸収材飛翔手段100と、図示しないビーム走査手段60と、光吸収材担持ローラ41と、光吸収材20(着色剤21)とにより構成される。
光吸収材飛翔ユニット120Y、M、C、Kは、それぞれプロセスカラーであるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを着色剤21として貯蔵している。
これにより、被付与物30としての記録媒体31上に各色の画像を順次形成し、カラー画像を得るカラープロセスに適用することができる。
図8Bは、本発明の画像形成装置の他の一例を示す説明図である。
図8Bにおいて、画像形成装置401は、図8Aに示した画像形成装置400の各手段などに加え、被付与物としての中間転写手段90を有している。
中間転写手段90は、中間転写体91と、中間転写体駆動ローラ92と、中間転写体従動ローラ93とを有している。
中間転写体91は、例えば、無端状のベルトであり、4つの光吸収材飛翔ユニット120の上方に配置され、中間転写体駆動ローラ92と、中間転写体従動ローラ93とにより張架されている。
中間転写体駆動ローラ92は、回転駆動手段により図8B中矢印R2で示す回転方向に回転し、中間転写体91を回転させる。
中間転写体従動ローラ93は、中間転写体駆動ローラ92の回転に従って従動する。
このように、まず中間転写体91に画像を形成し、これを所望の記録媒体31に転写するようにしてもよい。この画像形成装置201においても、画像形成装置400と同様に高画質のカラー画像を得ることができる。また、中間転写体91に形成した画像を記録媒体31に転写する際に中間転写体駆動ローラ92により押圧するので、画像形成装置200と同様に、着色剤21を付与させた記録媒体31の表面粗さを小さくすることができる。
また、図5Bでは、レーザービームを照射する方向を重力方向としたが、図5A及び図6A~図8Bでは、レーザービームを照射する方向を重力方向とは逆の方向にすることや、水平方向にすることを示した。
このように、本発明の画像形成方法では、基板の表面へのレーザービームの照射方向が非重力方向であり、液柱乃至液滴が非重力方向に生ずるようにしてもよい。これにより、装置の設計において自由度を高めることができる。
また、本発明の画像形成方法及び画像形成装置を、以下のように、立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置に応用することもできる。
(立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置)
立体造形物の製造方法は、基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる付与工程と、前記光吸収材を硬化する硬化工程とを含み、前記光吸収材が、立体造形剤であり、更に必要に応じてその他の工程を含む。
立体造形物の製造装置は、基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段と、飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる付与手段と、前記光吸収材を硬化する硬化手段とを有し、前記光吸収材が、立体造形剤であり、更に必要に応じてその他の手段を有する。
前記立体造形物の製造方法は前記立体造形物の製造装置により好適に実施することができる。
前記立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置において、本発明の飛翔体発生方法及び飛翔体発生装置、並びに画像形成方法及び画像形成装置と同じ文言については、本発明の飛翔体発生方法及び飛翔体発生装置、並びに画像形成方法及び画像形成装置で説明したものと同様である。
<光吸収材飛翔工程及び光吸収材飛翔手段>
前記光吸収材飛翔工程は、本発明の飛翔体発生方法及び画像形成方法における光吸収材飛翔工程と同様である。
前記光吸収材飛翔手段は、本発明の飛翔体発生装置及び画像形成装置における光吸収材飛翔手段と同様である。
なお、前記立体造形物の製造方法における光吸収材飛翔工程は、被付与物に対して立体造形剤としての光吸収材を層として積み重ね、立体的に付与する。
-立体造形剤-
前記立体造形剤としては、光吸収材と同様に、その形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。以下、前記立体造形物の製造方法における光吸収材としての立体造形剤とした際に異なる点を説明する。
前記被付与物上に付与した立体造形剤の一層当たりの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、求められる精密さなどにより変化するが、5μm以上500μm以下が好ましい。前記被付与物上に付与した立体造形剤の一層当たりの平均厚みが5μm以上500μm以下であると、立体造形物の精度、質感、滑らかさ、製造時間などの点で有利である。また、前記被付与物上に付与した立体造形剤の一層当たりの平均厚みとしては、5μm以上100μm以下がより好ましい。前記被付与物上に付与した立体造形剤の一層当たりの平均厚みがより好ましい範囲内であると、レーザービームのエネルギーを低く抑えられ、立体造形剤の劣化などを抑制する点で有利である。
前記立体造形剤としては、硬化性材料を少なくとも含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
--硬化性材料--
前記硬化性材料としては、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)照射、加熱等により重合反応を生起し硬化する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物、熱硬化性化合物などが挙げられる。これらの中でも、常温で液体の材料が好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性化合物は、分子構造中にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する比較的低粘度のモノマーであり、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。
--その他の成分--
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶剤、光重合開始剤、界面活性剤、着色剤、安定化剤、水溶性樹脂、低沸点アルコール、表面処理剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
<付与工程及び付与手段>
前記付与工程は、本発明の画像形成方法における付与工程と同様である。
前記付与手段は、本発明の画像形成装置における付与手段と同様である。
<硬化工程及び硬化手段>
前記硬化工程は、前記光吸収材としての立体造形剤を硬化する工程である。
前記硬化手段は、前記光吸収材としての立体造形剤を硬化する手段である。
前記硬化手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、立体造形剤が紫外線硬化性材料であれば、紫外線照射器などが挙げられる。
前記硬化工程としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、立体造形剤が紫外線硬化性材料であれば、紫外線照射工程などが挙げられ、紫外線照射手段を用いて好適に行うことができる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光吸収材供給工程、立体造形ヘッドユニット走査工程、被付与物位置調整工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光吸収材供給手段、立体造形ヘッドユニット走査手段、被付与物位置調整手段、制御手段などが挙げられる。
<<立体造形剤供給工程及び立体造形剤供給手段>>
前記光吸収材供給工程は、前記光吸収材が立体造形剤であること以外は、本発明の画像形成方法における光吸収材供給工程と同様であるため、その説明を省略する。
前記光吸収材供給手段は、前記光吸収材が立体造形剤であること以外は、本発明の画像形成装置における光吸収材供給手段と同様であるため、その説明を省略する。
<<立体造形ヘッドユニット走査工程及び立体造形ヘッドユニット走査手段>>
前記立体造形ヘッドユニット走査工程は、光吸収材飛翔ユニットと前記硬化手段とを一体とした立体造形ヘッドユニットを被付与物上の装置の幅(X軸)方向で走査させる工程である。
前記立体造形ヘッドユニット走査手段は、光吸収材飛翔ユニットと前記硬化手段とを一体とした立体造形ヘッドユニットを被付与物上の装置の幅(X軸)方向で走査させる手段である。
また、前記立体造形ヘッドユニットは複数設けるようにしてもよい。
<<被付与物位置調整工程及び被付与物位置調整手段>>
前記被付与物位置調整工程は、装置の奥行き方向(Y軸)及び高さ方向(Z軸)に被付与物の位置を調整する工程である。
前記被付与物位置調整手段は、装置の奥行き方向(Y軸)及び高さ方向(Z軸)に被付与物の位置を調整する手段である。
前記被付与物位置調整手段としては、例えば、装置の奥行き方向(Y軸)及び高さ方向(Z軸)に被付与物の位置を調整可能な基体(ステージ)などが挙げられる。
<<制御工程及び制御手段>>
制御工程は、前述した画像形成装置の制御工程と同様である。
制御手段は、前述した画像形成装置の制御手段と同様である。
次に、前記立体造形物の製造装置の一例について図面を参照して説明する。
なお、前記立体造形物の製造装置の部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図9は、立体造形物の製造装置の一例を示す説明図である。
図9において、立体造形物の製造装置500は、被付与物としての造形物支持基板122と、ステージ123と、立体造形ヘッドユニット130とを有している。この立体造形物の製造装置500は、付与した立体造形剤22を硬化しながら積層して立体造形物124を製造する。
立体造形ヘッドユニット130は、立体造形物の製造装置500の上部に配置され、駆動手段により図中矢印Lで示す方向に走査することができる。この立体造形ヘッドユニット130は、光吸収材飛翔ユニット120と、硬化手段として紫外線照射器121とを有している。
光吸収材飛翔ユニット120は、立体造形ヘッドユニット130の中央に配置され、下方に光吸収材20を飛翔させ、造形物支持基板122又はすでに硬化させた光吸収材20に付与する。
紫外線照射器121は、光吸収材飛翔ユニット120の両側面に配置され、光吸収材飛翔ユニット120が飛翔させた光吸収材20に紫外線を照射して、光吸収材20を硬化する。
造形物支持基板122は、立体造形物の製造装置500の下部に配置され、立体造形ヘッドユニット130が立体造形剤22の層を形成する際の基板となる。
ステージ123は、造形物支持基板122の下方に配置され、駆動手段により造形物支持基板122を図中垂直方向に移動させることができる。また、このステージ123は、図中矢印Hで示す方向に移動させることができ、立体造形ヘッドユニット130と立体造形物124との間隙を調整することができる。
なお、画像形成装置及び立体造形物の製造装置においては、被付与物(記録媒体)を搬送又は移動させる例を示したが、これに限らず、被付与物などを静止させて光吸収材飛翔ユニットなどを移動させてもよい。あるいは、被付与物などと光吸収材飛翔ユニットなどの両者を移動させてもよい。
また、被付与物の全面の画像を同時に形成する場合などでは、少なくとも記録時には両者が静止しレーザーのみ動作してもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下、図5Bに示した飛翔体発生装置を備える画像形成装置を用いて、パルス発振させた光渦レーザービームを光吸収材としてのUVインクに照射して、被付与物にドットを形成するように付与させた実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
<ドナー基板の製造例>
基板としてのスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製、マイクロスライドガラスS7213;532nm波長光の透過率が99%)の片面上に、光吸収材として、以下の組成のUVインクを、バーコーターを用いて一様に塗布して、平均厚み20μmの光吸収材層(膜)を形成した。
このとき、膜状の光吸収材の532nm波長光の透過率は0.01%以下(吸光度は4以上)であった。
また、回転粘度計(VISCOMATE VM-150III、東機産業株式会社製)を用いて測定した前記UVインクの25℃における粘度ηは4Pa・sであった。
また、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)を用いて測定した前記UVインクの25℃における静的表面張力σは、29.32mN/mであった。
上記UVインクで20μmの光吸収材料層を形成した後、UVランプを1~2時間程度照射し、表面を指でなぞってもインクが付着しない状態にまで硬化した。
-UVインク-
・UV Core TYPE-A紅(株式会社T&K TOKA製) 100質量部
・UVフレキソ500紅 (株式会社T&K TOKA製) 50質量部
次に、形成した光吸収材層の上に、飛散抑制材として、以下の組成のカルボキシメチルセルロース(3質量%)水溶液(以下、3%CMC溶液と称する)を、バーコーターを用いて一様に塗布して、平均厚み50μmの飛散抑制材層(膜)を形成し、ドナー基板を製造した。
このとき、膜状の飛散抑制材の532nm波長光の透過率は90%以上であった。
また、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した前記3%CMC溶液の25℃、剪断応力1.0Paにおける粘度ηは、14Pa・sであった。
また、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)を用いて測定した前記3%CMC溶液の25℃における静的表面張力σは、75.67mN/mであった。
-カルボキシメチルセルロース(3質量%)水溶液-
・カルボキシメチルセルロース(株式会社第一工業製薬製) 3質量部
・純水 100質量部
次に、光吸収材及び飛散抑制材を塗布したドナー基板の面を、被付与物であるPODグロスコート紙(三菱製紙株式会社製)と対向させ、光吸収材の裏面側から後述する光渦レーザービームを垂直に照射できるようにドナー基板を設置した。
なお、被付与物と光吸収材との間隙(ギャップ)を1.5mmとした。
<光吸収材飛翔手段>
飛翔体発生装置における光吸収材飛翔手段は、レーザー光源と、ビーム径変更部材と、ビーム波長変更素子と、光渦変換部としての螺旋位相板と、波長変換部としての1/4波長板とを有する。
レーザー光源としては、レーザー光源(YAG)を用いた。このレーザー光源を用いて、発生させたレーザービームにおける波長を532nm、ビーム径を1.25mm×1.23mm、パルス幅を2ナノ秒、パルス周波数を50Hzとした1パルスのレーザービームを発生させた。発生させた1パルスのレーザービームを、ビーム径変更部材としての集光レンズ(シグマ光機株式会社製、YAGレーザー集光レンズ)に照射して、光吸収材に照射させたときのビーム径をΦ80μmとなるようにした。
次に、ビーム径変更部材を経たレーザービームを、螺旋位相板(株式会社ルミネックス製、Vortexフェイズプレート)に通過させて光渦レーザービームに変換させた。
次に、螺旋位相板により変換させた光渦レーザービームを、螺旋位相板の下流に配置されている1/4波長板(QWP;株式会社光学技研製)に通過させた。このとき、上記の式(1)で表されるトータルの回転モーメントJが2となるように、螺旋位相板と1/4波長板の光学軸を+45°に設定した。
変換させた光渦レーザービームを、エネルギー調整フィルタ(シグマ光機株式会社製、NDフィルタ)に通過させることにより、光吸収材に照射したときのレーザー出力を調整し、219μJ/ドットとした。
次に、以下のようにして「飛翔状態の評価」及び「付与状態の評価」を行った。結果を表2に示す。
<飛翔状態の評価>
光渦レーザービームを光吸収材としてのUVインクに照射したときの飛翔状態を、高速度ビデオカメラ(HyperVision HPV-X、株式会社島津製作所製)を用いて、光吸収材の飛翔方向に直交する方向から1フレーム100nsで撮影し、以下の基準で評価した。撮影画像を図10A~図10Dに示す。
[評価基準]
○: レーザービームの光路軸に収束し直進
△: レーザービームの光路軸に収束するが、直進性がやや乱れる
×: レーザービーム径以上に拡散して飛翔
<付与状態の評価>
飛翔させた光吸収材が付与した被付与物の付与状態について、被付与物を上方から観察し、レーザービームの光路と被付与物との交点を中心Aとし、中心Aから付与(着弾)した光吸収材の中心Bの最大距離をXとし、レーザービームの半径40μmを用いて、距離Xとレーザービーム半径(40μm)との比(X/40)を算出し、以下の評価基準で評価した。光吸収材の付与状態を、光学顕微鏡 ZEISS Imager A2m AXIO(カールツァイスマイクロスコピー株式会社製)で撮影し、撮影画像を図10E~図10Fに示す。なお、本評価が○又は△であれば、実使用上問題ないレベルである。
[評価基準]
○:(X/40)の値が1.25以下
△:(X/40)の値が1.25超2.00以下
×:(X/40)の値が2.00超
(実施例2)
実施例1において、レーザービームを螺旋位相板に通過させずにガウスレーザーを用いた以外は、実施例1と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。
(実施例3)
基板としてのスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製、マイクロスライドガラスS7213;532nm波長光の透過率が99%)の片面上に、光吸収材として、以下の組成の結晶性ポリオレフィン樹脂を、ホットプレート上で90℃に加熱した状態で、バーコーターを用いて一様に塗布し、平均厚み9μmの光吸収材層(膜)を形成した。
・HSクリスタ-4100(豊国製油株式会社) 99質量部
・真球状ナノフェライト粉(パウダーテック株式会社) 1質量部
次に、形成した光吸収材層の上に、飛散抑制材として、グリセリン(グリセリンPケンエー、健栄製薬株式会社)を、バーコーターを用いて一様に塗布して、平均厚み36μmの飛散抑制材層(膜)を形成し、ドナー基板を製造した。
このとき、膜状の飛散抑制材の532nm波長光の透過率は90%以上であった。
また、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定したグリセリン(グリセリンPケンエー、健栄製薬株式会社)の25℃、剪断応力1.0Paにおける粘度ηは、0.09Pa・sであった。
また、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)を用いて測定したグリセリン(グリセリンPケンエー、健栄製薬株式会社)の25℃における静的表面張力σは、62.16mN/mであった。
次に実施例1と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。なお、飛翔状態を図11A~図11Dに示し、付与状態を図11Eに示した。
(実施例4)
実施例3と同様にして、平均厚み9μmの光吸収材層(膜)を形成した。
次に、形成した光吸収材層の上に、飛散抑制材として純水を、バーコーターを用いて一様に塗布して、平均厚み30μmの飛散抑制材層(膜)を形成し、ドナー基板を製造した。
このとき、膜状の飛散抑制材の532nm波長光の透過率は90%以上であった。
また、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した純水の25℃、剪断応力1.0Paにおける粘度ηは、0.002Pa・sであった。
また、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)を用いて測定した前記純水の25℃における静的表面張力σは、71.17mN/mであった。
次に実施例1と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。
(実施例5)
基板としてのスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製、マイクロスライドガラスS7213;532nm波長光の透過率が99%)の片面上に、光吸収材として、以下の組成の結晶性ポリオレフィン樹脂を、ホットプレート上で90℃に加熱した状態で、バーコーターを用いて一様に塗布して、平均厚み16μmの光吸収材層(膜)を形成した。
-結晶性ポリオレフィン樹脂-
・HSクリスタ-4100(豊国製油株式会社) 90質量部
・SYMULER FAST RED 1022(東京色材工業株式会社)10質量部
次に、形成した光吸収材層の上に、飛散抑制材として、以下の組成のカルボキシメチルセルロース(6質量%)水溶液(以下、6%CMC溶液と称する)を、バーコーターを用いて一様に塗布して、平均厚み28μmの飛散抑制材層(膜)を形成し、ドナー基板を製造した。
このとき、膜状の飛散抑制材の532nm波長光の透過率は90%以上であった。
また、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した前記6%CMC溶液の25℃、剪断応力1.0Paにおける粘度ηは、145Pa・sであった。
また、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)を用いて測定した前記6%CMC溶液の25℃における静的表面張力σは、測定時プレートを測定対象に浸すことができず、測定できなかった。
-カルボキシメチルセルロース(6質量%)水溶液-
・カルボキシメチルセルロース(株式会社第一工業製薬製) 6質量部
・純水 100質量部
次に実施例1と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。
(実施例6)
実施例5と同様にして、平均厚み16μmの光吸収材層(膜)を形成した。
次に、形成した光吸収材層の上に、飛散抑制材として、以下の組成のカルボキシメチルセルロース(5質量%)水溶液(以下、5%CMC溶液と称する)を、バーコーターを用いて一様に塗布して、平均厚み29μmの飛散抑制材層(膜)を形成し、ドナー基板を製造した。
このとき、膜状の飛散抑制材の532nm波長光の透過率は90%以上であった。
また、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した前記5%CMC溶液の25℃、剪断応力1.0Paにおける粘度ηは、74Pa・sであった。
また、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)を用いて測定した前記5%CMC溶液の25℃における静的表面張力σは、測定時プレートを測定対象に浸すことができず、測定できなかった。
-カルボキシメチルセルロース(5質量%)水溶液-
・カルボキシメチルセルロース(株式会社第一工業製薬製) 5質量部
・純水 100質量部
次に実施例1と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。
(実施例7)
実施例5と同様にして、平均厚み16μmの光吸収材層(膜)を形成した。
次に、形成した光吸収材層の上に、飛散抑制材として、以下の組成のカルボキシメチルセルロース(3質量%)水溶液(以下、3%CMC溶液と称する)を、バーコーターを用いて一様に塗布して、平均厚み29μmの飛散抑制材層(膜)を形成し、ドナー基板を製造した。
このとき、膜状の飛散抑制材の532nm波長光の透過率は90%以上であった。
また、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した前記3%CMC溶液の25℃、剪断応力1.0Paにおける粘度ηは、14Pa・sであった。
また、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)を用いて測定した前記3%CMC溶液の25℃における静的表面張力σは、75.67mN/mであった。
-カルボキシメチルセルロース(3質量%)水溶液-
・カルボキシメチルセルロース(株式会社第一工業製薬製) 3質量部
・純水 100質量部
次に実施例1と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。
(実施例8)
実施例5と同様にして、平均厚み16μmの光吸収材層(膜)を形成した。
次に、形成した光吸収材層の上に、飛散抑制材として、以下の組成のカルボキシメチルセルロース(2質量%)水溶液にドライウェル(富士フィルム株式会社)を添加し、静的表面張力を28.8mN/mに調整したもの(以下2%CMC溶液)を、バーコーターを用いて一様に塗布し、平均厚み17μmの飛散抑制材層(膜)を形成し、ドナー基板を製造した。
このとき、膜状の飛散抑制材の532nm波長光の透過率は90%以上であった。
また、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した前記2%CMC溶液の25℃、剪断応力1.0Paにおける粘度ηは、2.0Pa・sであった。
また、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)を用いて測定した前記2%CMC溶液の25℃における静的表面張力σは、28.8mN/mであった。
-カルボキシメチルセルロース(2質量%)水溶液(+ドライウェル)-
・カルボキシメチルセルロース(株式会社第一工業製薬製) 2質量部
・純水 100質量部
・ドライウェル(富士フィルム株式会社) 37質量部
次に実施例1と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。
(実施例9)
実施例5と同様にして、平均厚み16μmの光吸収材層(膜)を形成した。
次に、形成した光吸収材層の上に、飛散抑制材として、以下の組成のカルボキシメチルセルロース(2質量%)水溶液(以下、2%CMC溶液と称する)を、バーコーターを用いて一様に塗布して、平均厚み45μmの飛散抑制材層(膜)を形成し、ドナー基板を製造した。
このとき、膜状の飛散抑制材の532nm波長光の透過率は90%以上であった。
また、レオメータ:HAAKE RheoStress 600(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した前記2%CMC溶液の25℃、剪断応力1.0Paにおける粘度ηは、3.4Pa・sであった。
また、自動表面張力計DY-300(協和界面科学)を用いて測定した前記2%CMC溶液の25℃における静的表面張力σは、74.17mN/mであった。
-カルボキシメチルセルロース(2質量%)水溶液-
・カルボキシメチルセルロース(株式会社第一工業製薬製) 2質量部
・純水 100質量部
レーザービームを螺旋位相板に通過させずにガウスレーザーを用いた以外は、実施例1と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。
(比較例1)
実施例1において、飛散抑制材層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。なお、飛翔状態を図12A~図12Dに示し、付与状態を図12Eに示した。
(比較例2)
実施例3において、飛散抑制材層を設けなかった以外は、実施例3と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。なお、飛翔状態を図13A~図13Dに示し、付与状態を図13Eに示した。
(比較例3)
実施例5において、飛散抑制材層を設けなかった以外は、実施例5と同様にして、飛翔状態及び付与状態を評価した。
Figure 0007442146000003
Figure 0007442146000004
表2の結果から、実施例1~9において、高粘度のUVインク及び固形膜の飛翔状態及び付与状態が良好であった。特に、光渦レーザービームを用いた場合に優れた飛翔状態及び付与状態とすることができた。
一方、比較例1~3では、飛散抑制材層を設けなかったため、高粘度又は固形の光吸収材が飛散し、飛翔状態及び付与状態を安定させることが難しかった。
また、従来のDynamic Release laser(DRL)においても、飛散抑制材層を設けなかったため、高粘度の光吸収材が飛散し、飛翔状態及び付与状態を安定させることが難しかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、
前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程を含む、ことを特徴とする飛翔体発生方法である。
<2> 前記飛散抑制材の25℃における粘度ηが、0.002Pa・s以上145Pa・s以下である、前記<1>に記載の飛翔体発生方法である。
<3> 前記光吸収材の25℃における粘度ηが、20Pa・s以上である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<4> 前記飛散抑制材の25℃における粘度ηと、前記光吸収材の25℃における粘度ηとが、η>ηを満たす、前記<2>から<3>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<5> 前記飛散抑制材の25℃における静的表面張力σが、29mN/m以上75mN/m以下である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<6> 前記飛散抑制材の25℃における静的表面張力σと、前記光吸収材の25℃における静的表面張力σとが、σ<σを満たす、前記<5>に記載の飛翔体発生方法である。
<7> 前記光吸収材層の平均厚みが、9μm以上である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<8> 前記光吸収層が、固体である、前記<1>に記載の飛翔体発生方法である。
<9> 前記光吸収材層の平均厚みが、40μm以下である、前記<8>に記載の飛翔体発生方法である。
<10> 前記光が、光渦レーザーである、前記<1>から<9>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<11> 基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、
前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段を有する、ことを特徴とする飛翔体発生装置である。
<12> 基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、
前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、
飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる付与工程とを含む、ことを特徴とする画像形成方法である。
<13> 基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、
前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段と、
飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる付与手段とを有する、ことを特徴とする画像形成装置である。
<14> 基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、
前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、
飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる付与工程と、
前記光吸収材を硬化する硬化工程とを含み、
前記光吸収材が、立体造形剤であることを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<15> 基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、
前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層に光を照射して前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段と、
飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる付与手段と、
前記光吸収材を硬化する硬化手段とを有し、
前記光吸収材が、立体造形剤であることを特徴とする立体造形物の製造装置である。
前記<1>から<10>のいずれかに記載の飛翔体発生方法、前記<11>に記載の飛翔体発生装置、前記<12>に記載の画像形成方法、前記<13>に記載の画像形成装置、前記<14>に記載の立体造形物の製造方法、及び前記<15>に記載の立体造形物の製造装置によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 光吸収材飛翔手段
11 レーザービーム
20 光吸収材
30 被付与物
31 記録媒体
32 基板
40 ドナー基板
300~307、400、401 画像形成装置
特開2018-56565号公報
Laser-Induced Forward Transfer: Fundamentals and Applications.Pere Serra and Alberto Pique.Adv. Mater. Technol. 2019, 4, 1800099

Claims (11)

  1. 基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、
    前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層にレーザー光を照射して、前記レーザー光のエネルギーにより前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程を含み、
    前記飛散抑制材の25℃における粘度η が、0.002Pa・s以上145Pa・s以下であることを特徴とする飛翔体発生方法。
  2. 前記光吸収材の25℃における粘度η が、20Pa・s以下である、請求項1に記載の飛翔体発生方法。
  3. 前記飛散抑制材の25℃における粘度η と、前記光吸収材の25℃における粘度η とが、η >η を満たす、請求項2に記載の飛翔体発生方法。
  4. 前記飛散抑制材の25℃における静的表面張力σ が、29mN/m以上75mN/m以下である、請求項1から3のいずれかに記載の飛翔体発生方法。
  5. 前記飛散抑制材の25℃における静的表面張力σ と、前記光吸収材の25℃における静的表面張力σ とが、σ <σ を満たす、請求項4に記載の飛翔体発生方法。
  6. 前記光吸収材層の平均厚みが、9μm以上である、請求項1から5のいずれかに記載の飛翔体発生方法。
  7. 前記光吸収材層が、固体である、請求項1に記載の飛翔体発生方法。
  8. 前記光吸収材層の平均厚みが、40μm以下である、請求項7に記載の飛翔体発生方法。
  9. 前記レーザー光が、光渦レーザーである、請求項1から8のいずれかに記載の飛翔体発生方法。
  10. 基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、
    前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層にレーザー光を照射して、前記レーザー光のエネルギーにより前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段を有し、
    前記飛散抑制材の25℃における粘度η が、0.002Pa・s以上145Pa・s以下であることを特徴とする飛翔体発生装置。
  11. 基板と、前記基板上に光吸収材を配した光吸収材層と、前記光吸収材層の上に前記光吸収材の飛翔時の飛散を抑制する飛散抑制材を配した飛散抑制材層とをこの順で有するドナー基板に対して、
    前記ドナー基板の前記基板側から前記光吸収材層にレーザー光を照射して、前記レーザー光のエネルギーにより前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、
    飛翔させた前記光吸収材を被付与物に付与させる付与工程と、を含み、
    前記飛散抑制材の25℃における粘度η が、0.002Pa・s以上145Pa・s以下であることを特徴とする画像形成方法。
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