JP2021187143A - 光照射方法、光吸収材を付着させる装置、飛翔体発生方法及び装置、画像形成方法、並びに立体造形物の製造方法 - Google Patents

光照射方法、光吸収材を付着させる装置、飛翔体発生方法及び装置、画像形成方法、並びに立体造形物の製造方法 Download PDF

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淳 青戸
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Abstract

【課題】着弾位置精度に優れる光照射方法及び飛翔体発生方法の提供。【解決手段】光を吸収する光吸収材と、前記光吸収材が吸収させる波長を有する光ビームを前記光吸収材に照射する方法であって、光軸を取り囲むように、透明体と光吸収材の界面に外気圧以上の気化領域を有し、その圧力で光吸収材に対して、飛翔可能なエネルギーを与える光照射方法である。また、光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程を含み、前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させる飛翔体発生方法である。【選択図】図1A

Description

本発明は、光照射方法、光吸収材を付着させる装置、飛翔体発生方法及び装置、画像形成方法、並びに立体造形物の製造方法に関する。
画像形成装置においては、インク滴を所望の位置に飛翔させることができることから、近年では、立体的な造形を行う3Dプリンタ分野、印刷技術により電子部品を形成するプリンテッドエレクトロニクス分野などにも応用が検討されている。
具体的には、従来の画像形成で用いられる低粘度のインクのみならず、様々な材料を所望の位置に正確に飛翔させる必要があり、種々の画像形成装置が提案されている。
例えば、インクにレーザを照射して気化したインクを飛翔させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、光渦レーザを用いたレーザ励起前方転写(Laser−Induced Forward Transfer:LIFT)法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。前記LIFT法は、(ドナー)基板上に配した転写対象材料(以下、飛翔対象物と称することがある)膜(層)を形成し、前記飛翔対象物膜(層)にレーザを照射し、前記飛翔対象物を飛翔させ、前記飛翔対象物の対面に配置したアクセプター基板の所望の位置に前記飛翔対象物を配する方法である。前記LIFT法は、三次元印刷、太陽電池のための印刷電子機器、生体材料の印刷、及び機能的印刷などの用途を提供する(例えば、非特許文献1参照)。
本発明は、着弾位置精度に優れる光照射方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の光照射方法は、光を吸収する光吸収材と、前記光吸収材が吸収させる波長を有する光ビームを前記光吸収材に照射する方法であって、光軸を取り囲むように、透明体と光吸収材の界面に外気圧以上の気化領域を有し、その圧力で光吸収材に対して、飛翔可能なエネルギーを与える。
本発明によれば、着弾位置精度に優れる光照射方法を提供することができる。
図1Aは、本発明の飛翔体発生方法について説明する一例を示す概念図である。 図1Bは、本発明の飛翔体発生方法について説明する他の一例を示す概念図である。 図1Cは、本発明の飛翔体発生方法について説明する他の一例を示す概念図である。 図1Dは、本発明の飛翔体発生方法について説明する他の一例を示す概念図である。 図2Aは、円環レーザビーム変換手段としてアキシコンレンズを用いた場合の一例を示す模式図である。 図2Bは、円環レーザビーム変換手段として図2Aにおける2枚目のアキシコンレンズと集光レンズを用いた一例を示す模式図である。 図2Cは、円環レーザビーム変換手段として、図2Bにおいてアキシコンレンズを、回折光学素子(Diffractive Optical Element;DOE)に変更した場合の一例を示す模式図である。 図2Dは、単レーザビームを図2CにおけるDOEに対して照射した場合の一例を示す斜視模式図である。 図2Eは、図2Dにおいて、複数のレーザビームを一つのDOEに対して照射した場合の一例を示す斜視模式図である。 図2Fは、図2Cにおいて、DOEを液晶位相変換素子(SLM)に変更した場合の一例を示す模式図である。 図2Gは、液晶位相変換素子(SLM)として反射型液晶位相変調素子とプリズムミラーを組み合わせた場合の一例を示す模式図である。 図3Aは、本発明におけるレーザ強度分布の一例を示す模式図である。 図3Bは、図3Aにおけるレーザ照射方向と直交方向における面内レーザ強度分布の測定結果の一例を示す図である。 図3Cは、本発明におけるレーザ強度分布の他の一例を示す模式図である。 図3Dは、図3Cにおけるレーザ照射方向と直交方向における面内レーザ強度分布の測定結果の一例を示す図である。 図4は、吸収率の違いによる光吸収材の薄膜内での上昇温度の一例を示した図である。 図5Aは、ラゲールガウシアンビームの指数Lと円錐波面の高さ指数Hとを重畳させたときの露光強度分布の一例を示す図である。 図5Bは、レーザビームの内径と飛翔体の大きさ(液滴径)の関係の一例を示す図である。 図5Cは、照射エネルギーと飛翔体の大きさ(液滴径)の関係の一例を示す図である。 図6Aは、レーザビーム変倍手段の一例を示す図である。 図6Bは、レーザビーム変倍手段の他の一例を示す図である。 図7Aは、位相分布変換手段の一例を示す図である。 図7Bは、位相分布変換手段の一例を示す図である。 図8は、光吸収材の温度と粘度の関係の一例を示す図である。 図9Aは、飛翔体の体積と光吸収材の平均厚みとの関係の一例を示す図である。 図9Bは、飛翔体の体積と光吸収材の平均厚みとの関係の他の一例を示す図である。 図9Cは、飛翔体の体積と光吸収材の平均厚みとの関係の一例を示す図である。 図9Dは、飛翔体の体積と光吸収材の平均厚みとの関係の一例を示す図である。 図10は、光吸収材の静的表面張力と飛翔体の体積との関係の一例を示す図である。 図11Aは、本発明の飛翔体発生装置の一例を示す模式図である。 図11Bは、本発明の飛翔体発生装置の他の一例を示す模式図である。 図11Cは、本発明の飛翔体発生装置の他の一例を示す模式図である。 図12Aは、本発明の飛翔体発生装置の他の一例を示す模式図である。 図12Bは、本発明の飛翔体発生装置の他の一例を示す模式図である。 図13は、光吸収材供給手段の一例を示す模式図である。 図14は、本発明の立体造形物の製造装置の一例を示す模式図である。 図15Aは、実施例1における結果の一例を示す写真である。 図15Bは、実施例1における結果の他の一例を示す写真である。 図15Cは、実施例1における結果の他の一例を示す図である。 図16は、比較例1における結果の一例を示す写真である。 図17は、比較例2における結果の一例を示す写真である。 図18Aは、実施例2における結果の一例を示す写真である。 図18Bは、実施例2における結果の一例を示す図である。 図19は、参考実施例における結果の一例を示す写真である。
(光照射方法及び光吸収材を付着させる装置)
本発明の光照射方法は、光を吸収する光吸収材と、前記光吸収材が吸収させる波長を有する光ビームを前記光吸収材に照射する方法であって、
光軸を取り囲むように、透明体と光吸収材の界面に外気圧以上の気化領域を有し、その圧力で光吸収材に対して、飛翔可能なエネルギーを与え、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の光吸収材を付着させる装置は、光を吸収する光吸収材と、前記光吸収材が吸収させる波長を有する光ビームを前記光吸収材に照射する手段と、
入射ビーム波面の位相分布を変換することにより、所望のビームプロファイルに変換する手段を有し、
光軸を取り囲むように、透明体と光吸収材の界面に外気圧以上の気化領域を有し、その圧力で光吸収材に対して、飛翔可能なエネルギーを与え、少なくとも0.5mm以上離れた被付着物に着弾させ、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の光照射方法は、本発明における飛翔体発生方法とほぼ同義であるため、本発明における飛翔体発生方法及び飛翔体発生装置の説明を通して、本発明の光照射方法について説明する。また、本発明の光吸収材を付着させる装置は、本発明の画像形成装置とほぼ同義であるため、本発明の画像形成装置の説明を通して、本発明の光吸収材を付着させる装置について説明する。
(飛翔体発生方法及び飛翔体発生装置)
本発明の飛翔体発生方法は、光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程を含み、
前記基材と前記光吸収材との界面において、照射する前記レーザビームの光軸を取り囲むように外気圧以上の気化領域を発生させ、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の飛翔体発生装置は、光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段を有し、
前記基材と前記光吸収材との界面において、照射する前記レーザビームの光軸を取り囲むように外気圧以上の気化領域を発生させ、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の飛翔体発生方法は、本発明の飛翔体発生装置により好適に実施することができ、前記光吸収材飛翔工程は前記光吸収材飛翔手段により工程に実施することができ、前記その他の工程は前記その他の手段により好適に実施することができる。
なお、「飛翔体」とは、前記レーザビームを前記光吸収材に照射することにより生じた飛翔する物体を意味する。なお、飛翔とは、前記基材上から離れて他の物質と接触するまでの状態を意味する。
前記飛翔体としては、前記光吸収材の材質によってその形状は異なる。例えば、前記光吸収材が液体である場合には前記飛翔体は略球状となることが好ましく、前記光吸収材が固体である場合には前記飛翔体は扁平形状、粒子形状など任意の形状となることが好ましい。なお、液体及び固体であるとは、前記飛翔体を発生させる環境(温度、圧力など)における前記光吸収材の状態を意味する。
本発明者らは、従来技術における以下の問題点について検討した。
デジタル印刷技術は、2Dプリンタの分野だけでなく、3Dプリンタやプリントエレクトロニクス(EP)の分野にも応用されています。インクジェットプリンタ(IJ)(例えば、非特許文献2)、サーマルプリンタ(TP)(例えば、非特許文献3)及び電子写真(EP)は、デジタル印刷技術として商業化されている。これらの製品は、すでに高い信頼性と顧客満足を獲得している。インクジェット印刷システムは、高画質で良好な性能を有している。しかし、ノズル内のインクの目詰まりのため、高粘度インクには適用できない。TP、EP系は高粘度材料に適用可能であるが、シート形状や耐熱材料などのレシーバ材料には多くの制約がある。
例えば、インクジェット方式を用いた従来技術では、インクの粘度が高くなるにつれて前記ノズル径を大きくしなければならず、前記ノズル径を大きくすると、吐出されるインク滴の径が相対的に大きくなるため、解像度が低下してしまうという問題があり、適用することが難しい場合があるという問題がある。
また、従来技術では、一般的なガウスレーザではレーザビームの光軸において一番強いエネルギーが分布するため、レーザビームを飛翔対象のインクに照射すると、インクが飛散し着弾位置を制御することが難しい場合があるという問題がある。
さらに、光渦レーザのようなラゲールガウスビームを用いた従来のLIFT法では、ガウシアンビームを用いた場合と比較して飛翔させる光吸収材の着弾位置の精度を向上させることができるが、より高精度に着弾位置を制御することは難しい場合があるという問題がある。
また、従来のLIFT法を用いた場合、LIFTシステムにおける印刷品質劣化を防止するためには、ドナー基板とレシーバ基板との間隙(ギャップ)を小さくする必要があることが知られている。例えば、数十マイクロメートル以下の短いギャップに関する多くの報告がある(例えば、非特許文献4参照)。前記ギャップは、工業用途のスループットを増加させるために500μm以上であることが望ましい。また、凹凸アクセプター、曲面形状に適用できるギャップは1,000μm以上が望ましい。一般に、ギャップが100μm以上の場合、サテライトやスプレーが発生することが報告されている(例えば、非特許文献5参照)。液滴の品質を改善するために、レーザ波長用高吸収膜を追加する必要があることが報告されている(例えば、非特許文献6参照)。
本発明の飛翔体発生方法は、LIFT法において、前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させるように飛翔対象の光吸収材にレーザビームを照射することによって着弾位置精度を向上させることができることを見出した。
上述の特許文献1では、レーザを照射し、インクを気化して飛翔させる点で同じだが、吐出口、内壁面(いわゆるノズル)という、飛翔方向を制限する部品が存在する点、インクを全て気化させ、飛翔させる点が本発明と異なる。
上述の特許文献2と本発明とは、特許文献2では光渦レーザを用い、光渦のエネルギーを放射圧の力に変換して光吸収材を飛翔させている点が本発明と異なる。
また、本発明の光照射方法及び飛翔体発生方法を用いることにより、ドナー基板とレシーバ基板との間隙(ギャップ)が500μm以上の長距離飛行であっても着弾位置精度に優れることを見出した。
<光吸収材飛翔工程及び光吸収材飛翔手段>
前記光吸収材飛翔工程は、光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる工程である。
前記光吸収材飛翔手段は、光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる手段である。
本発明の飛翔体発生方法及び装置では、前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させる。即ち、前記基材と前記光吸収材との界面において照射する前記レーザビームの光軸を取り囲むように外気圧以上の気化領域を発生させる。
なお、本発明において「レーザビームが照射された領域における外周部」とは、前記レーザビームが照射された領域における重心(中心)を含まない領域を意味する。
また、本発明において、「光軸」とは照射するレーザビーム軸を意味する。より詳細には、本発明において「光軸」とは照射するレーザビームの照射方向と直交する方向における断面において得られる図形の内接円の中心としてもよい。
「光軸を取り囲む」とは、「光軸」上ではなく、光軸を囲んだ周辺の領域に存在することを意味する。ここで、光軸を囲んだ周辺の領域は、前記レーザビームが照射された領域における重心(中心)を含まない領域を意味する。
次に、「外気圧以上の気化領域」について説明する。
例えば、室温環境から光吸収材が気化し始める上昇温度がTb(K)であるとき、光軸を取り囲む下式(1)を満たすように前記光吸収材に対して光(レーザビーム)を照射すると、光吸収材が外気圧以上となり気化した領域、即ち、外気圧以上の気化領域を発生させることができる。ここで、開放系である場合には、前記「外気圧」は大気圧を意味する。
Q≧Tb(v・c・ρ)・・・式(1)
ここで、vは体積(kg)、cは比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)である。
このとき、Q(J)は入熱量であり光の照射エネルギー量ではない。前記光吸収材の光エネルギーの吸収率又は吸収係数を考慮することで、外気圧以上の気化領域を発生させるのに必要な光の照射エネルギー量(エネルギー密度)を求めることができる。
次に、図面を用いて「前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させる」ことについて、図1Aから図1Dを参照して更に詳細に説明する。
図1Aから図1Dにおいて、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面に照射するレーザビームとして上記式(1)を満たすエネルギー量(エネルギー密度)の円環レーザビームを照射した場合の一例を示す。
図1Aに示すように、まず、光吸収材飛翔工程は、基材101の表面に光吸収材102を配したドナー基板に対して、前記光吸収材102が配された側とは反対側の前記基材101の表面にレーザビーム103を照射する。このとき、レーザビーム103を照射された光吸収材102は低粘度化した領域102Bを生じる。また、基材101と光吸収材102との界面において、光軸を取り囲むように光吸収材102が気化した気化領域102Aが発生する。発生した気化領域102Aは図1B及び図1Cに示すように膨張する。このように発生した気化領域102Aが膨張することによって、図1Aから図1C中の矢印に示すように光軸に向かう圧力が生じる。この内向きの圧力(光軸に向かう圧力)によって、低粘度化した光吸収材102Bに囲まれた光吸収材102Cをレーザビームの照射方向に押し出し、最終的に、図1Dに示すように、光吸収材からなる液滴102Dがレーザビームの照射方向に飛翔する。
以上、説明したように、「前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させる」ようにレーザビームを光吸収材に照射することによって、光軸近傍の光吸収材は光軸上の光吸収材を取り囲むような圧力を受けるため、飛散することなく飛翔体を発生させることができる。
なお、以下の説明において、前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域のことを「Bubble Ring」と称し、「Bubble Ring」により光吸収材に飛翔可能なエネルギーを与える方式をBubble Ring 方式(BR方式)と称する場合がある。また、レーザ用いたBR方式のことをBR−LIFTと称する場合がある。
ガウシアンビームを用いた、従来のLIFT法では、光軸上において気化領域が生じるため、光軸から発散するように力が働き、光吸収材が飛散してしまい、着弾位置を制御することが難しい。
また、ラゲールガウシアンビームである光渦レーザは、光渦レーザ自体が有する軌道角運動量や放射圧などの力を利用して光吸収材を飛翔させており、前記BR方式とは、原理が異なる。
ここで、本発明のBR−LIFT光学系の概要を、図面を用いて説明する。
BR−LIFTで使用される光源は、高品質のビームプロファイルと高出力を有することが好ましい。従って、主発振器電力増幅器(MOPA)レーザシステムに基づくナノ秒パルスファイバレーザが、1064nmの波長のレーザ光源ユニットとして使用されることが好ましい。プロトタイプのMOPAレーザは、2段前置増幅器と主増幅器から構成される。パルスレーザの出力エネルギーは50kHzの繰返し率で0.2mJに達する。パルスレーザは、空間アイソレータ、λ/4プレート、コリメータレンズ、および音響光学偏向器を通過する。AOMはパルスレーザの繰返し率を制御するように作用する。次いで、レーザは非線形光学結晶を通過し、第二高調波発生(SHG)を生じる。SHGは、1064nm波長を532nm波長に変換するように作用する。
図11Aは、波長532nmのパルスレーザがドナー層を照射する光学系を示している。レーザビームは、ビームサイズおよび波面変換器21によって成形され、次いで環状ビームに変換される。成形レーザビームは、変換可能な光学素子を通過することによってバブルリングを生成するために、所望のビームプロファイルに変換される。次に、それはミラー及び他の光学素子を通過し、ガルバノスキャナによって偏向される。最後に、fθレンズによってドナー層に焦点を合わせる。ドナー材料は、透明基板に適用される。レシーバは、ドナー層の裏側に並列に配置され、調節可能なステージ上に配置される。
環状ビームを生成するにはいくつかの方法がある。一般に,レンズを用いた幾何光学法による方法及び回折素子を用いた波長光学法による方法がある。ガウスビームを特定のビームに変換する手段として、アキシコンレンズ、回折光学素子、及び液晶などの空間光変調器を使用する方法が知られている。アキシコンレンズを用いた環状ビームの発生は、以下のように記述される。アキシコンレンズの頂角αの場合、環状ビームのリング半径R0は以下のように表される。
Figure 2021187143
ここで、nは屈折率、Fは焦点距離である。頂角αまたは焦点距離Fは、R0を決定するために変更することができる。また、R0は、アキシコンレンズとコンデンサレンズとの間の距離を変化させることによって決定することもできる。また、SLMを用いて、環状ビームに変換される波面を生成する方法もある(例えば、非特許文献7参照)。
また、位相板または円筒レンズを用いてラゲールガウスビームを生成する方法もある(例えば、非特許文献8参照)。図3は、ラゲールガウスビームのトポロジカル電荷Lに重畳された頂角αのアキシコン波面である場合のFraunhofer回折像の計算結果を示している(例えば、非特許文献9参照)。
トポロジー電荷Lは1波長のツイスト数を表す。トポロジー電荷Lは整数であるので、唯一の離散リング直径を作ることができる。L=1及びα=0で測定したリング直径(レーザビーム内径)は45μmであり、L=2及びα=0で測定したリング直径(レーザビーム内径)は55μmである。ラゲールガウスビームのみで他の直径の環を作ることは容易ではない。
一方、αは実数であるため、リング直径は自由に選択することができる。図5Aの行方向は、0、a、2a、4aのαの計算結果を示す。直径は、αが増加するにつれて増加することが分かる。α=4a及びL=1の場合、リング直径は125μmであった。α=4a及びL=2の場合、リング直径は135μmであった。円錐波面を重畳することにより、リング直径を任意に設定できる。また、Lとαを組み合わせることにより、外径に対する内径の比率を変えることができる。その結果,ドナー材料に最適なビームプロファイルを選択できるようになる。
次に、前記光吸収材飛翔手段について説明する。
前記光吸収材飛翔手段としては、例えば、レーザ光源と、レーザビーム変換手段と、を有するものを用いることができ、更に必要に応じて、レーザビーム整形手段、その他の手段を有する。
−レーザ光源−
前記レーザ光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザビームを発生させる固体レーザ、気体レーザ、半導体レーザなどが挙げられ、パルス発振可能なものが好ましい。
前記固体レーザとしては、例えば、YAGレーザ、チタンサファイアレーザなどが挙げられる。
前記気体レーザとしては、例えば、アルゴンレーザ、ヘリウムネオンレーザ、炭酸ガスレーザなどが挙げられる。
前記レーザビームの波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300nm以上11μm以下が好ましく、350nm以上1100nm以下がより好ましい。
前記レーザビームのビーム径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上10mm以下が好ましく、10μm以上1mm以下がより好ましい。
レーザビームのパルス幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2ナノ秒以上100ナノ秒以下が好ましく、2ナノ秒以上10ナノ秒以下がより好ましい。
前記レーザビームのパルス周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10Hz以上1MHz以下が好ましく、20Hz以上50kHz以下がより好ましい。
なお、前記レーザ光源としては、例えば、波長1064nmのNd:YAGレーザ光源などが挙げられる。
−−レーザビーム−−
前記レーザビームとしては、前記レーザビームの光軸におけるレーザ強度が前記外周部のレーザ強度よりも小さいレーザビームである、換言すると、光軸を取り囲む領域のレーザビームのレーザ強度が、光軸におけるレーザビームのレーザ強度よりも大きいレーザ強度分布を有するレーザビームであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記レーザビームとしては、例えば、円環レーザビームなどが挙げられる。
−レーザビーム変換手段−
前記レーザビームとしては、前記レーザビーム変換手段により所望のレーザビームを生成することができる。
前記レーザビーム変換手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円環レーザビーム変換手段などが挙げられる。
前記円環レーザビーム変換手段としては、例えば、アキシコンレンズ、Vortex素子、回折光学素子(Diffractive Optical Element;DOE)、空間光変調素子、液晶位相変換素子(SLM)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
図2Aは、前記円環レーザビーム変換手段としてアキシコンレンズを用いた場合の一例を示す模式図である。図2Aに示す例では、前記円環レーザビーム変換手段としてアキシコンレンズ201A及び201Bの2枚用いている。この例においては、1つ目のアキシコンレンズでレーザビームを分離し、2つ目のアキシコンレンズで、所望の円環ビームをつくる。2つのアキシコンレンズの距離を調整し、合成焦点距離を調節することで、ビームの直径(内径)を適宜変更することができる。
図2Bは、前記円環レーザビーム変換手段として図2Aにおける2枚目のアキシコンレンズ201Bと集光レンズ202を用いた一例を示す模式図である。この例においては、アキシコンレンズ201Bと集光レンズとの距離を調節することによってビームの直径(内径)を適宜変更することができる。
図2Cは、前記円環レーザビーム変換手段として、図2Bにおいてアキシコンレンズを、回折光学素子(Diffractive Optical Element;DOE)に変更した一例を示す模式図である。前記DOEを用いることによって、あらかじめ決められた波面を作ることができる。
図2Dは、図2CにおけるDOEを用いた単レーザビーム照射の場合における一例を示す斜視模式図である。
図2Eは、図2Dにおいて、複数のレーザビームを一つのDOEに対して照射した場合における一例を示す斜視模式図である。
図2D及び図2Eに示すように、前記DOEを用いることによって、一つのDOEに対して一つのレーザビームを照射して一つの円環レーザビームを得ることも、一つのDOEに対して複数のレーザビームを照射して複数の円環レーザビームを得ることもできる。
また、1枚の頂角の異なるアキシコンレンズや位相パターンの異なるDOEを複数用意しておき、光吸収材に応じて変更することにより、光吸収材に応じて最適なレーザ強度のレーザビームを照射させることができる。
図2Fは、図2Cにおいて、前記DOEを液晶位相変換素子(SLM)201Dに変更した場合の一例を示す模式図である。前記液晶位相変換素子(SLM)を用いることによって、時間変調可能であるため、円錐波面やVortex波面、又はそれらの複合波面を重畳させた波面を生成することができる。
図2Gは、前記液晶位相変換素子(SLM)として反射型液晶位相変調素子201Dとプリズムミラー201D’を組み合わせた場合の一例を示す模式図である。
前記レーザビームのレーザ強度としては、前記レーザビームの光軸におけるレーザ強度が前記外周部のレーザ強度よりも小さいことが好ましい。また、光軸中心には気化領域が存在せず、なおかつ、光軸中心は、気化を生じるエネルギー密度より小さいエネルギーで照射させることがより好ましい。
即ち、照射するレーザの強度分布としては、レーザの最大強度が、光軸から離れたところにあることが好ましい。
また、光軸のレーザ強度は、気化領域のレーザ強度よりは小さいが、光吸収材の温度を上昇させる程度のレーザ強度であることが好ましい。これにより、前記光吸収材を前記光吸収材自体の界面から分離して飛翔させるためのエネルギーを、前記光吸収材に与えることができ、前記光吸収材を飛翔させやすくなるため好ましい。
従来技術のガウシアンビームを用いる場合のように、光軸においてレーザ強度が最大となるレーザを用いると、光軸に気化領域が存在してしまい、光軸から分散するように外側に圧力が生じてしまうため、飛散しやすい状態になる。
ここで、本発明に用いるレーザビームのレーザ強度について、図面を参照して詳細に説明する。
図3Aから図3Dは、本発明におけるレーザ強度分布の一例を示す模式図と、レーザ照射方向と直交方向における面内レーザ強度分布の測定結果の一例を示す図である。
図3A及び図3Bに示すように、照射するレーザビームのレーザ強度としては、照射するレーザビームの外周部において強度が高く、外周部から光軸(中心)に向かって漸次強度が低下するような分布をとる。
また、図3C及び図3Dでは、図3A及び図3Bと同様に外周部においてレーザ強度が高い強度分布となるが、光軸(中心)では光軸近傍のレーザ強度よりも高いレーザ強度となる場合を示す。図3C及び図3Dに示すようなレーザ強度分布を有するレーザビーム(円環レーザビーム)を使用することによって、光軸(中心)においてレーザビーム照射された光吸収材が低粘度化し、前記光吸収材を押し出す動きが向上するため好ましい。
図3C及び図3Dに示すようなレーザ強度分布を作るためには、上述した図2Aから図2Gに示すレーザ変換手段を用いることができる。
なお、前記液晶位相変換素子(SLM)は、通常1次光のみを利用し、0次光を捨てるが、0次光を有効に使うことにより、ラゲールガウスビームであれば、特異点となる光軸中心にも光強度を与えることができる。これらをマトリックス的に可変できるデータベース化しておき、最適なものを選択してもよい。
円環レーザビームのレーザ強度分布としては、軸対称形が好ましい。前記レーザ強度分布のムラは±20%であることが好ましい。
また、前記基材と接する面と反対側の前記光吸収材の露出表面における前記レーザビームのフルエンス(J/cm)が前記気化領域を発生させるエネルギー密度より小さいエネルギー密度のレーザビームを照射することにより得られる、ことが好ましい。このようにすることによって、背面側(前記基材と接する面と反対側の前記光吸収材の露出表面側)の粘度を低下させることができるため、飛翔体の飛散を抑制し着弾位置精度を向上させることができる。
なお、フルエンスといえば、通常は、入射側のフルエンス(フロントサイドフルエンス)を指す。それと、材料の吸収係数で議論することが多い。しかしながら、光吸収材膜の光照射と反対側の膜表面のフルエンス(以後、バックサイドフルエンス)を制御することが飛翔品質に重要であることが本発明者らの検討によってわかった。
このことについて詳細に説明する。
まず、光吸収材に入射する前のレーザ強度をIとしたとき、入射後の光の強度Iはランベルト・ベールの法則から吸収係数αを用いて以下の式(3)で示される。
I= I exp(−αt)・・・式(3)
α:吸収係数、t:膜厚、I/I:膜厚tでの吸収率
これは深さ方向で入熱量Qが異なることであり、また、上昇温度が異なることを意味する。これにより、吸収係数と膜厚がわかれば、背面側のフルエンス(バックサイドフルエンス)を求めることができる。
図4は、吸収率の違いによる光吸収材の薄膜内での上昇温度の一例を示した図である。
ここで、Q:低粘度化に必要なエネルギー、Q:気化に必要なエネルギーとする。
上昇温度に応じて、光吸収材は、低粘度化あるいは、気化する。
図4中のAのように吸収率が低い材料だと、背面側の温度も高いため、気化圧力領域となる。光吸収材の背面側まで、気化領域が存在すると、光吸収材の膜をそのまま突き破って飛散してしまうことがわかった。そのため、過剰露光といえる。気化領域が光吸収材の膜厚の1/2以下であることが望ましいことがわかった。
また、図4中のCのように吸収率が高い材料だと、背面側への入熱量がほとんどなく、温度上昇が起きない。その結果、初期の高粘度状態を維持する。この場合、光吸収材が動きにくく綺麗に飛翔できないことがわかった。
さらに、図4中のBの吸収率の場合、フロントサイドフルエンスが気化温度に達し、バックサイドフルエンスが低粘度化の温度に達するため、好適な条件にあるといえることがわかった。
なお、図4中のCの材料の場合、膜厚Lが小さい条件で製作することで、バックサイドフルエンスが低粘度化の温度に達する。同様に、図4中のCの材料の場合、膜厚Lが大きい条件で製作することで好適な条件で飛翔させることができることがわかった。
従って、このように、光吸収材の吸収特性にあわせて膜厚を設定し、光軸を取り囲むように、透明体と光吸収材の界面に外気圧以上の気化領域を有し、その圧力で光吸収材に対して、飛翔可能なエネルギーを与えるBR方式により、光吸収材を高品質に飛翔させることができることを見出した。
前記レーザビームの断面形状、大きさ(内径、外径)としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記レーザビームの断面形状としては、例えば、円環状、多角形の環状、不定形の環状などが挙げられる。
前記レーザビームの内径(光ビームの波面における光軸を取り囲むビームプロファイルの内径)としては、20μm以上90μm以下が好ましく、30μm以上70μm以下がより好ましい。
ここで、前記レーザビームの大きさの調節方法について、図面を参照して説明する。
図5Aは、ラゲールガウシアンビームの指数Lと円錐波面の高さ指数Hとを重畳させたときの露光強度分布の一例を示す図である。
前記ラゲールガウスビームの指数は整数なので前記ラゲールガウスビームの指数を変更するだけでは、円環レーザビームの大きさが離散的になり、大きさを調節しにくい。例えば、ラゲールガウスビームL=1での実測値は、内径20μm/外径70μmであった。また、L=2での実測値は、内径30μm/外径80μmであった。したがって、ラゲールガウスビームの指数を変更するだけでは、この中間値(内径20μm/外径70μm〜内径30μm/外径80μm)のレーザビームの大きさを有するレーザビームを作ることができない。
これに対して、円錐波面の高さ指数Hは、実数の範囲であるため任意に値を選ぶことができるので、内径および外径を自在に選ぶことができる。
例えば、図5Aに、ラゲールガウスビームに円錐波面の高さ指数Hを0,a,b,c(ただし、a,b,cは実数であり、a<b<cを満たす)と変化させたときの強度分布の等高線図を示す。図5Aに示すように、円錐波面の高さ指数Hが大きくなるに従い、内径、外径が漸次大きくなっていることがわかる。
例えば、H=cかつL=1のとき、内径90μm/外径160μmとなり、また、H=cかつL=2のとき、内径100μm/外径170μmであった。
このように、照射するレーザビームに円錐波面の高さ指数Hを重畳することで、このレーザビームの大きさを任意に調節することができる。また、L=1、2と変えることで内径/外径の比率も変えることができる。これらにより、光吸収材に最適なプロファイルを選択することが可能となる。
前記円錐波面の高さ指数Hを重畳する手段としては、例えば、液晶位相変換素子(SLM)が挙げられる。
また、本発明者らは照射するレーザビームの内径によって、飛翔体の大きさを制御できることを見出した。
図5Bは、レーザビームの内径と飛翔体の大きさ(液滴径)の関係の一例を示す図である。レーザビームの内径が大きくなるにしたがって、飛翔体の大きさ(液滴径)大きくなることがわかる。即ち、本発明では、照射するレーザビームの内径によって、飛翔体の大きさを制御できることがわかった。
更に換言すると、リング直径が増加するにつれて、液滴直径は線形増加することが分かる。リング直径が決定される場合、液滴直径は、同一のドナー条件下で一意的に決定される。換言すれば、これは、液滴直径がリング直径を変化させることによって制御できることを示唆する。液滴サイズは、印刷品質に直接関係する重要なパラメータである。液滴直径はパルスエネルギーに依存するので、ガウスビームを有するLIFTシステムは液滴直径を制御することが容易ではない。一方、BR−LIFT法では、リング直径を変化させることにより液滴直径を制御することが可能である。小径リングで高精細印刷ができ、大径リングで高速印刷ができるため、システムの制御性を向上させることができる。
また、図5Cに、照射(パルス)エネルギーと飛翔体の大きさ(液滴直径)の関係について示す。
図5Cでは、粘度4Pa・s、膜厚20μmのマゼンタインクを500μmのギャップで飛翔させたときの結果を示している。横軸は照射エネルギー、縦軸は液滴径である。この結果、照射エネルギーに関わらず、液滴径が一定であることがわかった。
パルスエネルギーが34.6μJから45.8μJに32%増加した一方、液滴直径は僅か3.4%しか増加しなかった。これらの結果は、液滴直径が照射エネルギーに関係なく一定であることを意味する。LIFT法の場合、照射エネルギーが増加するにつれて、液滴サイズはそれに応じて増加するのが一般的である(例えば、非特許文献5参照)。BR−LIFTは、液滴直径が照射エネルギーに依存しないので、安定な印刷ができるという特徴を有することが分かった。
従来のLIFT方式の場合、照射エネルギーを増加させるとそれに伴い液滴径が大きくなることが一般的であるが、本発明のBR方式は、液滴径が照射エネルギーに依存しないため、安定して飛翔体を発生させることができることがわかった。
以上より、従来方式であれば、レーザ照射エネルギーで、印字品質に直結する液滴径が変わってしまったが、本BR方式を用いることで、照射エネルギーに依存せず、レーザビームの内径を制御することで、飛翔体の大きさ(液滴径)をある範囲で制御することができる(画像形成などにおいて安定した印刷を行うことができる)ことがわかった。
−レーザビーム整形手段−
前記レーザビーム整形手段としては、例えば、レーザビーム変倍手段、位相分布変換手段などが挙げられる。
前記レーザビーム整形手段は、集光レンズの光源側に配置されており、入射ビームが集光レンズの前面で所望の断面形状と透過波面を形成することができる。
−−レーザビーム変倍手段−−
前記レーザビーム変倍手段は、入射ビームの光軸に垂直な断面で、一方の軸の径と、それに直交するもう一方の軸の径の割合を変更する手段である。
前記レーザビーム変倍手段としては、例えば、プリズムなどが挙げられる。
ここで、図6A及び図6Bにレーザビーム変倍手段の一例を示す。図6Aに示すレーザビーム変倍手段は、ガラスなど透明体のプリズムが2枚ペア(ダブルプリズム)で構成されており、光の屈折を利用して光の方向を変えることで、一方向のみを変倍するものである。なお、ここでの変倍とは、ビーム断面の縦横比が変化させるような倍率変化を意味する。図6A中、左の円は入射ビームの断面形状を示す。説明の簡単化のため、入射ビームは円形とする。
入射ビームのx方向断面の半径をRx、y方向断面の半径をRyとするとRx/Ry=1である。
図6Aは、入射側プリズムを反時計回り、射出側プリズムを時計回りに回転させた例である。この場合、x方向の射出ビームは、入射ビームに比べて相対的に小さくなる。すなわち、Rx/Ry<1に縮小変倍させることができる。
また、図6Bは、入射側プリズムを時計回り、射出側プリズムを反時計回りに回転させた例である。この場合、x方向の射出ビームは、入射ビームに比べて相対的に大きくなる。すなわちRx/Ry>1に拡大変倍させることができる。
以上より、入射ビームの光軸に対して直交する断面において、一方の軸の径と、それに直交するもう一方の軸の径の割合Rx/Ryを自在に変更することができる。
−−位相分布(波面)変換手段−−
前記位相分布変換手段は、入射ビーム波面の位相分布を変換する手段である。
前記位相分布変換手段としては、例えば、凸シリンダレンズなどが挙げられる。
ここで、図7A及び図7Bに位相分布変換手段の一例を示す。
図7Aに二重円筒レンズを用いた波面変換装置を示す。この装置では、第1のレンズと第2のレンズの両方が凸円筒レンズである。円筒レンズは、焦点がX軸とY軸方向とで異なることを意味する。ここで、第1レンズの主点から第2レンズの主点までの距離を距離dとする。距離dがレンズの焦点距離fの2倍(=2fx)に等しい場合、x軸とy軸の焦点位置は一致する。距離dが2fxより大きい場合、X軸に沿った焦点位置はレーザ側にシフトする。一方、距離dが2fxより小さい場合には、x軸に沿った焦点位置はワークピース側にシフトする。任意の条件下で、y軸に沿った焦点位置は固定される。従って、この装置は、焦点位置をx軸のみに沿ってシフトすることを可能にする。
乱視補正の効果は波面センサで確認できる。従って、円筒レンズ法を採用することにより、n≦2のZernike多項式を全て除去することが可能である。従って、非点収差補正は、BR−LIFTに対して除去されるべき最も重要な因子の一つである。
図7Bに示す位相分布変換手段は、2枚の凸シリンダレンズ光学系を用いて、透過波面を補正する光学系である。2枚のシリンダレンズを対向させ、焦点位置が重なるように配置すれば、倍率1で波面はフラットのままであり、集光位置がx方向とy方向で変わらないが、シリンダレンズ間をわずかに変化されるとx方向に独立したシリンダ波面を作ることができる。集光レンズのデフォーカス効果と組み合わせると透過波面の0度アスティグマ成分を創り出すこともできる。
より具体的には、下記の構成のレーザビーム整形手段とすることができる。
・第1レンズ(CYL1):焦点距離50mmの平凸シリンダレンズ、硝材:合成石英
・第2レンズ(CYL2):焦点距離50mmの平凸シリンダレンズ、硝材:合成石英
・第3レンズ:焦点距離100mmの集光レンズ(軸対象レンズ)、硝材:合成石英
なお、焦点距離Sは、集光レンズ第1面から集光点までの距離である。CYLの間隔Lが100μm短くなると、焦点位置が0.5mm遠くなる関係にある。これにより、xyの焦点位置を独立に設定できる。なお、上記具体例においては、シリンダ1つに対して2枚の凸シリンダレンズを用いた構成を示したが、アクロマートレンズなどを張り合わせたレンズでもよい。
また、レンズの形状を非球面形状にすればさらに収差を補正することができる。
その他の基本的な特性は凹凸CYL光学系と同様である。凹凸CYL光学系よりも光路長は長くなるが、非常に良好な波面を作ることができる。
複数枚からなるシリンダレンズや液晶位相変調素子を用いることにより、入射ビーム波面の位相分布を理想状態に変換することが可能となる。
シリンダレンズ方式の場合、位相分布の変換パターンに制約はあるが、光学部品のアライメントでは解決できない非点収差補正を良好かつ高品質に補正することが可能である。
このようにして、飛翔の精度を向上させることができる。
−その他の手段−
前記その他の手段としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ビーム波長変更素子、出力調整部などが挙げられる。
−−ビーム波長変更素子−−
ビーム波長変更素子としては、レーザビームの波長を、光吸収材が吸収可能であり、かつ後述する基材を透過可能である波長に変更できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ビーム波長変更素子としては、例えば、KTP結晶、BBO結晶、LBO結晶、CLBO結晶などが挙げられる。
−−出力調整部−−
出力調整部としては、レーザビームを適正な出力値に調整することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラスなどが挙げられる。
光吸収材に照射するレーザビームの出力値としては、本発明における気化領域を生じさせることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、以下では「出力値」を「照射エネルギー」と称することもある。
レーザビームの照射エネルギーとしては、光吸収材の粘度や膜厚によっても適正値が変化するため、適宜調整されることが好ましいが、具体的には、100μJ/ドット以下がより好ましく、60μJ/ドット以下が更に好ましい。光渦レーザビームの照射エネルギーが60μJ/ドット以下であると、照射方向を軸とした照射径の中心軸に回転運動をしながら照射径よりも小さい径に収束する液柱を生じ得る状態、あるいは一部が切り離され液滴を生じ得る状態を実現しやすい点で有利である。
−基材−
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。基材の形状としては、光吸収材を表面に担持し、裏面からレーザビームを照射可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。基材の形状としては、例えば、平板状、真円又は楕円等の筒状、筒状の一部を切り出した面、無端ベルト状などが挙げられる。これらの中でも、基材が筒状であって、周方向に回転する基材の表面に光吸収材を供給する光吸収材供給手段を有するようにすることが好ましい。筒状の基材の表面に光吸収材を担持すると、外周方向における被付着物の寸法に依存せずに供給することができる。また、この場合、筒状の内部には光吸収材飛翔手段を配置し、内部から外周に向けて光渦レーザビームを照射可能とし、基材が周方向に回転することで連続的に照射することができる。また、平板状の基材の形状としては、例えば、スライドガラスなどが挙げられる。
基材の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基材の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、被付着物の幅に合わせた寸法とすることが好ましい。
基材の材質としては、光を透過するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。光を透過するもののうち、酸化珪素を主成分とする各種ガラスなどの無機材料、透明性の耐熱プラスチック、エラストマーなどの有機材料が、透過率と耐熱性の点で、好ましい。なお、前記基材を透明体と称することがある。
基材の表面粗さRaとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、レーザビームの屈折散乱を抑制し、光吸収材に付与するエネルギーを低下させない点で、表面及び裏面のどちらも1μm以下であることが好ましい。また、表面粗さRaが好ましい範囲内であると、被付着物に付着した光吸収材の平均厚みのばらつきを抑制することができ、所望の量の光吸収材を付着させることができる点で有利である。
表面粗さRaは、JIS B0601に従って測定することができ、例えば、共焦点式レーザ顕微鏡(株式会社キーエンス製)や触針式表面形状測定装置(Dektak150、ブルカー・エイエックスエス株式会社製)を用いて測定することができる。
−光吸収材−
前記光吸収材は、光吸収物質を含有し、更に必要に応じて適宜選択した、その他の物質を有する。
前記光吸収材としては、光(レーザビーム)の波長に対する吸光度が1よりも大きいことが好ましく、2よりも大きいことがより好ましい。光吸収材がレーザビームの波長に対する吸光度が2よりも大きいと、エネルギー効率を高めることができるため好ましい。
−−光吸収物質−−
前記光吸収物質としては、所定の波長の光を吸収するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料、染料などの着色剤が挙げられる。
光吸収性能を有する前記光吸収材により形成された塗膜における光の透過率(吸光度)としては、10%以下(1以上)が好ましく、1%以下(2以上)がより好ましく、0.1%以下(3以上)がさらに好ましく、0.01%以下(4以上)が特に好ましい。透過率が好ましい範囲内であると、基材に吸収された光渦レーザビームのエネルギーが熱に変換されにくいため、光吸収材に乾燥や溶融などの変化を与えることが少ない点でも有利である。さらに、透過率が好ましい範囲内であると、光吸収材に与えるエネルギーが低下しにくいため、付着位置のバラつきが生じにくい点で有利である。
なお、透過率(吸光度)は、例えば、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV3600)などを用いて測定することができる。
前記光吸収材としては、その形態、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光吸収材の形態としては、例えば、液体、固体、粉体などが挙げられる。特に、高粘性体又は固体を飛翔可能としたことは、従来のインクジェット記録方式には成し得ない長所となっている。
また、前記光吸収材が固体又は粉体であれば、光吸収材の形態としては、光渦レーザビームを照射する際に光吸収材が粘性を有する状態であることが好ましい。具体的には、固体又は粉体を飛翔させたい場合には、例えば、光渦レーザビームを照射する前に加熱して溶融状態にして粘性を有する形態にすることが好ましい。
液体の前記光吸収材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料及び溶剤を含むインク、導電体及び溶剤を含む導電性ペーストなどが挙げられる。なお、溶剤を含むインクにレーザビームが照射されると、溶剤が光を吸収しない場合には、溶剤以外の光を吸収する含有物に光渦レーザビームのエネルギーが付与され、その含有物とともに溶剤が飛翔する。
液体の光吸収材の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50,000mPa・s以下が好ましく、5,000mPa・s以下がより好ましい。粘度が高すぎると表面張力による効果が得られにくい。これらの点から、UV硬化系のインクが好適である。
なお、粘度は、例えば、回転粘度計(東機産業株式会社製、VISCOMATE VM−150III)、レオメーター(HAAKE RheoStress600、Thermo Fisher Scientific)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
前記光吸収材としては、レーザビームを照射されると粘度が低下する材料であることが好ましい。
図8は、光吸収材(具体例:マゼンタインク)の温度と粘度の関係である。例えば、室温25℃環境から25℃上げることで、光吸収材の粘度を1/5以下に下げることができた。
このことから、前記基材と前記光吸収材との界面において、レーザビームを照射することによって加熱された領域の外側に比べて、レーザビームを照射することによって加熱された領域(内側)の粘度が低くなると、前記発生させた気化領域における圧縮気体の圧力を、内側方向に働かせることができる。その結果、図1に示すように光吸収材に対して包み込むように圧力を与えることができ、光吸収材を飛散の無い液滴として飛翔させることができる。
なお、前記光吸収材の粘度と、レーザビームのエネルギーとの関係は下記式(2)で表されるアンドレードの式から得ることができる。
Figure 2021187143
式(2)中、η:粘度、E:活性化エネルギー、T:絶対温度、R:気体定数、B:比例定数を表す。
アンドレードの式に略従う材料を用いることで、気化に至らないエネルギーを与えることで、光吸収材の粘度を下げることができる。このようにすることにより、光軸中心側に気化圧力を誘導することができる。
前記導電性ペーストは、導電体を含むインクであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、回路基板の製造方法において公知乃至慣用の導電性ペーストなどが挙げられる。
前記導電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銀、金、銅、ニッケル、ITO、カーボン、カーボンナノチューブ等の導電性を有する無機粒子;ポリアニリン、ポリチオフェン(例えば、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)等)、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性の有機高分子からなる粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性ペーストの体積抵抗率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常の電極用途として使用できる点から10Ω・cm以下が好ましい。
粉体の前記光吸収材としては、例えば、顔料及び結着樹脂を含むトナーや半田ボールの様な金属微粒子などが挙げられる。
この場合、レーザビームが照射されると、顔料にレーザビームのエネルギーが付与され、顔料とともに結着樹脂がトナーとして飛翔する。なお、粉体の光吸収材としては、顔料のみとしてもよい。
固体の前記光吸収材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタや蒸着により製膜された金属薄膜、分散体などの粉体を押し固めたものなどが挙げられる。
前記金属薄膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。金属としては、例えば、銀、金、アルミ、白金、銅など蒸着やスパッタ加工が可能な一般的な金属が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属薄膜を飛翔させて画像パターンを形成する方法としては、例えば、予めガラスやフィルムなどの基材上に金属薄膜を作成し、金属薄膜に光渦レーザビームを照射して飛翔させることで画像パターンを形成させる方法が挙げられる。また、他の方法としては、非画像部を飛翔させることで画像パターンを形成させる方法などが挙げられる。
前記粉体を押し固めたものとしては、所定の平均厚みである膜(層)状であることが好ましく、基材の表面に膜(層)状の固体を担持されるようにしてもよい。
前記光吸収材の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光吸収材の平均厚み(膜厚)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、5μm以上35μm以下が更に好ましい。光吸収材の平均厚みを上記の好ましい範囲とすることにより、レーザビームを照射しときの光吸収材の飛散を抑制することができる。
また、前記光吸収材の平均厚みにより、発生させる飛翔体の体積、大きさを制御することができる。
このことについて、図面を用いてさらに説明する。図9Aから図9Dは後述する図12Aに示す飛翔体発生装置を用いて発生させた飛翔体と光吸収材の平均厚みについて検討した結果を示す図である。
飛翔体の発生は、532nmの波長を持つナノ秒レーザと、焦点距離100mmの集光レンズを用いた。また、走査光学系はガルバノスキャナを用い、走査速度100mm/s、200μm間隔で、1ショット露光を行ったものである。
光吸収材としてマゼンタインクを用いた。その特性は、粘度4Pa・s,密度1174 kg/m、比熱1680J/(kg・K)、Tb=200℃、1μm厚の透過率は0.85であった。
前記光吸収材の平均厚みのみを6μm、10μm、20μmとしたときの飛翔体から得られた液滴の大きさを測定し、プロットしたものを図9Dに示す。ビームプロファイルは、内径20μmから90μmの範囲で最適な条件のものを用いた。
図9Aから図9Dは、500μmのギャップで被付着物に付着した結果を示している。図9Aから図9Cに上記条件による実際の液滴の観察結果を示す。真円に近い形状の液滴が観測された。
図9Aに示すように、観察された液滴は、平均厚み20μmの光吸収材に対して、32uJで照射し、液滴直径124μm、液滴量30pl、平均(球)直径39μmであった。
図9Bに示すように、観察された液滴は、平均厚み10μmの光吸収材に対して、18uJで照射し、液滴直径81μm、液滴量8pl、平均(球)直径25μmであった。
図9Cに示すように、観察された液滴は、平均厚み6μmの光吸収材に対して、12uJで照射し、液滴直径68μm、液滴量5pl、平均(球)直径21μmであった。
図9Dに平均厚みと液滴直径の関係を示す。良好な品質で飛翔するときの液滴直径(ドット径)は膜厚に直線関係が成立することがわかった。
したがって、小径ドットを作るためには、薄膜にし、エネルギーを薄膜に相当する分だけエネルギーを小さくすればよいことがわかった。これにより、光吸収材の平均厚みを制御することによって、所望の解像度の画像を形成することができることがわかった。
なお、6μmより薄膜、あるいは20μm以上の厚い膜では、フルエンスを変更しても良好な飛翔を得ることが難しかった。フロントと及びバックサイドフルエンスを両立する条件が、無かったためであると推測される。
前記光吸収材の平均厚みが好ましい範囲内であると、光吸収材を膜(層)状にして供給した場合、連続して飛翔させたときであっても膜(層)の強度を確保することができるため、安定した供給が可能となる点で有利である。また、レーザビームのエネルギーが大きくなりすぎないため、特に光吸収材が有機物の場合、劣化や分解が発生しにくい点で有利である。
なお、塗布する方法によっては、一定のパターンを保持した膜(層)として供給することも可能となる。
平均厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光吸収材に対して任意の複数の点を選択し、複数の点の厚みの平均を算出することにより求める方法などが挙げられる。平均としては、5点の厚みの平均が好ましく、10点の厚みの平均がより好ましく、20点の厚みの平均が特に好ましい。
平均厚みの測定機器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザ変位計やマイクロメータなどの非接触または接触方式の方法が挙げられる。
前記光吸収材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、画像形成を行う場合にはトナーのような着色剤であってもよく、立体造形物を製造する場合には後述する立体造形剤であってもよい。
−−着色剤−−
前記着色剤としては、光吸収材と同様に、その形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。以下、光吸収材を着色剤とした際に異なる点を説明する。
液体の前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、溶剤としての水に、染料、顔料、着色粒子、着色油滴などの色材を分散させた水性インクが使用可能である。また、水性インクに限らず、溶剤として、例えば、炭化水素系の有機溶剤や各種アルコールなど、比較的低沸点の液体を含んだ着色剤も使用可能である。これらの中でも、揮発成分の安全性、爆発の危険性などの点から、水性インクが好ましい。
また、本発明の飛翔体発生装置を利用した画像形成装置では、版を用いるオフセット印刷用のプロセスインキ、JAPAN COLOR対応インキ、特色インキなどでも画像形成が可能であるため、オフセット印刷で用いる色に合わせたデジタル画像を無版で容易に再現することができる。
更に、UV硬化インキでも画像形成が可能であるため、定着工程において紫外線を照射して硬化することにより、重なった記録媒体が貼り付くブロッキングの防止、及び乾燥工程の簡略化ができる。
色材の材質としては、例えば、有機顔料、無機顔料、染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機顔料としては、例えば、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンバイオレット、銅フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、サップグリーン、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ポリアゾイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、イソインドリノンイエロー、ファーストイエロー、クロモフタルイエロー、ニッケルアゾイエロー、アゾメチンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、アリザリンレッド、キナクリドンレッド、ナフトールレッド、モノアゾレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッド、アンスラキノニルレッド、ジケトピロロピロールレッド、ジケトピロロピロールオレンジ、ベンズイミダゾロンブラウン、セピア、アニリンブラック、などが挙げられ、有機顔料のうち金属レーキ顔料としては、例えば、ローダミンレーキ、キノリンイエローレーキ、ブリリアントブルーレーキなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、ジンクホワイト、チタニウムホワイト、チタンイエロー、クロムチタンイエロー、ライトレッド、クロムオキサイドグリ−ン、マルスブラック、ビリジャン、イエローオーカー、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、バーミリオン、リトポン、ウルトラマリーン、タルク、ホワイトカーボン、クレー、ミネラルバイオレット、ローズコバルトバイオレット、シルバーホワイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウム、黄銅、金粉、ブロンズ粉、アルミニウム粉、真鍮顔料、アイボリーブラック、ピーチブラック、ランプブラック、カーボンブラック、プルシャンブルー、オーレオリン、雲母チタン、イエローオーカー、テールベルト、ローシェンナ、ローアンバー、カッセルアース、白亜、石膏、バーントシェンナ、バーントアンバー、ラピスラズリ、アズライト、マラカイト、オーピメント、辰砂、珊瑚末、胡粉、ベンガラ、群青、紺青、魚燐箔、酸化鉄処理パールなどが挙げられる。
これらの中でも、ブラック顔料としては、色相、画像保存性の点から、カーボンブラックが好ましい。
シアン顔料としては、色相、画像保存性の点から、銅フタロシアニンブルーであるC.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。
マゼンタ顔料としては、キナクリドンレッドであるC.I.ピグメントレッド122、ナフトールレッドであるC.I.ピグメントレッド269、及びローダミンレーキであるC.I.ピグメントレッド81:4が好ましく、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、色相、画像保存性の点から、C.I.ピグメントレッド122及びC.I.ピグメントレッド269の混合物がより好ましく、C.I.ピグメントレッド122(P.R.122)及びC.I.ピグメントレッド269(P.R.269)の混合物としては、P.R.122:P.R.269が5:95以上80:20以下の混合物が特に好ましい。P.R.122:P.R.269が特に好ましい範囲内であると、色相がマゼンタ色として外れない。
イエロー顔料としては、モノアゾイエローであるC.I.ピグメントイエロー74、ジスアゾイエローであるC.I.ピグメントイエロー155、ベンズイミダゾロンイエローであるC.I.ピグメントイエロー180、イソインドリンイエローであるC.I.ピグメントイエロー185が好ましい。これらの中でも、色相、画像保存性の点から、C.I.ピグメントイエロー185がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光吸収材を着色剤としてのプロセスカラーインクとして用いる場合、4色のインクセットで用いることが好ましい。
無機顔料は、体積平均粒径が10μmを超える粒子からなるものが多い。体積平均粒径が10μm以上の無機顔料を着色剤として用いる場合、着色剤としては、液体であることが好ましい。着色剤が液体であれば、静電気力など非静電付着力以外の力を用いることなく着色剤を安定した状態で維持できる点で有利である。また、この場合、ノズルつまりやインクの沈降などが顕著となりやすく、安定した連続印刷プロセスは望みにくいインクジェット記録方式と比較すると、本発明の画像形成方法は、非常に有効である。更に、着色剤の粒子の表面積が小さくなると十分な帯電量が得られず、安定した連続印刷プロセスとして成立しない電子写真方式と比較しても、本発明の画像形成方法は、非常に有効である。
染料としては、例えば、モノアゾ染料、ポリアゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染料、アントラキノン誘導体、アントロン誘導体、インジゴ誘導体、チオインジゴ誘導体、フタロシアニン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、ポリメチン染料、アゾメチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料などが挙げられる。
着色剤の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
記録媒体に浸透する液体の着色剤を用いた場合、記録媒体に付着した着色剤がフェザリングやブリーディングを発生することがあるが、本発明の画像形成装置で取り扱いが可能である高粘度の着色剤にすると、記録媒体への浸透速度に対して乾きのほうが速いため、特にブリーディングの減少によって発色性の向上とエッジ部分の鮮鋭化が図れ、高画質の画像を形成することができる。また、着色剤を重ねて付着させる重ね打ちによる階調表現を行う場合にも、着色剤の量の増加による滲みも少なくすることができる。
更に、この画像形成方法は、液体の着色剤を飛翔させて付着させるものであるため、例えば、フィルム状の着色剤担持体から熱により着色剤を溶融転写するいわゆる熱転写方式と比較すると、記録媒体に微小な凹凸が存在していても良好に記録を行うことができる。
着色剤の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm以下が好ましい。着色剤の平均厚みが100μm以下であると、着色剤を飛翔させるためのエネルギーを小さくできるため、着色剤担持体の耐久性、着色剤が有機物である場合の組成の分解などが発生しにくくなる点で有利である。なお、平均厚みの好ましい範囲は、記録媒体、目的などにより変化する。
例えば、一般的なオフセット印刷で用いられるコート紙や平滑なフィルムを記録媒体として用いる場合には、着色剤の平均厚みとしては、0.5μm以上5μm以下が好ましい。平均厚みが好ましい範囲内であると、記録媒体の微小な平均厚みの違いによる色差が人間の目でも判別しにくくなるためコート紙でも彩度の高い画像になりやすくなるとともに、網点のドットゲインが顕著とならず鮮鋭な画像が表現しやすくなる点で有利である。
また、例えば、オフィスなどで用いられる上質紙など、表面粗さがコート紙やフィルムよりも大きな記録媒体を用いる場合には、着色剤の平均厚みとしては、3μm以上10μm以下が好ましい。平均厚みが好ましい範囲内であると、記録媒体の表面粗さに影響されにくく良好な画質を得やすくなるとともに、特にプロセスカラーの着色剤でフルカラー画像を表現する場合、複数の着色剤の膜(層)を重ね合わせても段差感が顕著となりにくい。
更に、例えば、布、繊維などを染色する捺染に用いる場合、記録媒体となる綿、絹、化学繊維などに着色剤を付着させるには、着色剤の平均厚みとしては、5μm以上の平均厚みが必要となる場合が多い。これは、繊維の太さが紙に比べ大きくなるため、多くの着色剤が必要となる場合が多い。
前記光吸収材が液体である場合においては、表面張力調整剤を含有することが好ましい。
前記光吸収材の表面張力を好ましい範囲にすることによって、所望の大きさの飛翔体を形成することができることを見出した。即ち、本発明の飛翔体発生方法を画像形成方法及び立体造形物の製造方法に適用した場合に、被付着物に所望の量の液滴(光吸収材)を着弾させることができる。
ここで、本発明者らは前記光吸収材の静的表面張力と、形成する飛翔体の体積との関係について調べるために以下の実験を行った。
<検証実験>
光吸収材として下記組成のインクを調製した。
・UVインキ(ベストキュアUV CORE TYPE−A紅;T&K TOKA社製) 75重量部
・粘度調整剤(ベストキュアUV DG レジウサー;T&K TOKA社製) 25重量部
このインクに対して、表面張力調整剤(BYK−UV3500;BYK社製)をインク全量に対して0質量%(添加なし)、1質量%、2質量%を添加した試料1〜3を調製した。
各試料1〜3の表面張力を協和界面科学社製の自動表面張力計CBVP−Zにて測定した。結果を下記表1に示す。
ドナー被覆を8μmの膜厚で適用した。表面エネルギーの小さいテフロン(登録商標)シートをアクセプターに使用した。これは、表面エネルギーが低い固体は濡れにくく、液滴付着時の接触角が大きくなるためである。その結果、液滴体積を計算するための高さの測定値を正確に測定することができる。図15Cに示す断面プロファイルから容積を算出する場合、以下のように表される。
Figure 2021187143
ここで、zは液滴の高さ方向であり、r(z)は高さzにおける中心からの距離である。ここで、液滴プロファイルは軸対称であると仮定される。
図12Aに示す本発明の飛翔体発生装置を用いて、飛翔体を発生させ、発生した飛翔体の体積を3Dプロファイル計測によって算出した。結果を表1及び図10に示す。
表1及び図10に示すように、光吸収材の静的表面張力と形成する飛翔体の液滴の体積とが相関関係があることがわかった。即ち、光吸収材の静的表面張力を制御することによって、飛翔体の体積を制御することができることがわかった。
Figure 2021187143
図10は、表面張力と液滴体積との関係を示す。液滴の体積は表面張力が小さくなるにつれて小さくなることが確認された。結果は文献シミュレーションを支持する(非特許文献10参照)。表面張力が減少するにつれて液滴体積が減少する理由を述べる。ウィルヘルミープレート法(非特許文献11参照)によれば、濡れ力F(インク膜を収縮させる方向に作用する)は、次式で与えられる。
Figure 2021187143
ここでνは液体の表面張力、Lは周辺長、θは接触角である。LIFTが同様の動力学を有すると仮定すると、式(4)における、インク膜を収縮させる方向に作用する力Fは次のようになる。
F=2πr×ν
r:接触面の液滴半径
飛散のない高品質な飛翔を行うためには、Bubble Ringの気化圧力を飛翔可能な範囲で極力下げることが望ましい。
表面張力νにより、飛翔と反対方向(透明体側)への力Fが働く。
なお、本発明における表面張力とは、一般的に言われる静的表面張力を示す。
従って、表面張力が大きいと圧力がある程度大きくならないと前記力Fに打ち勝てず、飛翔しない。すなわち、表面張力が大きいと体積が大きな液滴、小さいと体積が小さな液滴を形成することができる。
液滴が小さいと画像を形成する場合には解像度を高くすることができるが、スループットが悪くなるので、用途に応じて最適な表面張力を設定するとよい。なお、重力の影響は、圧力に比べて小さいので無視してよい。
前記光吸収材の静的表面張力としては、15mN/m以上73mN/m以下が好ましく、20mN/m以上40mN/m以下がより好ましい。
表面張力を調整するには、使用するインクへ表面張力調整機能を有する添加剤(以後、表面張力調整剤)を適宜添加することにより調整する。
前記表面調整剤としては、前記光吸収材の表面張力を低下させるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記表面張力調整剤としては、例えば、一般的には市販の界面活性剤が適用可能である。前記表面張力調整剤としては、例えば、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、シリコーン系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、アクリル系表面調整剤などが挙げられる。これらは、適用する光吸収材の性質(水性、油性、UV硬化性など)に応じて適宜選択することができる。
これらの中でも、揮発性溶媒を多く含まず、固形分として50%以上100%以下のものが好ましい。
前記表面張力調整剤の具体例としては、例えば、BYK社の市販品として、アクリルシロキサン系のBYK−UV3500、BYK−UV3530、ポリエーテルシロキサン系のBYK−UV3510、ポリエーテル系のBYK−UV3535などが、また、楠木化成社製の市販品として、アクリル系のUVX―35、UVX−36、アクリルシロキサン系のUVX−272などが挙げられる。
前記表面張力調整剤の含有量としては、前記光吸収材の全量に対して0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がより好ましい。
前記静的表面張力の測定方法としては、例えば、ウィルヘルミ法による白金プレートの接液で計測できる。
標準的な測定機として、例えば、協和界面科学社製の自動表面張力計DY−300などが挙げられる。
次に、本発明の飛翔体発生装置の実施形態を、図面を用いて説明する。
図11Aは本発明の飛翔体発生装置の一例を示す模式図である。図は便宜上、軸対称モデルとしている。図11Aに示すように、飛翔体発生装置は、光源、ビーム変換光学系、走査光学系であるガルバノスキャナ、集光光学系である集光レンズを有しており、試料台上に光吸収材を表面に配した基材を設置することができるようになっている。また、基材とアクセプター基板との間隙を設けるためのGap保持部材を有している。
図11Bは、図11Aの構成をより簡潔に示した概略図である。
本発明の飛翔体発生装置の他の実施形態の一例を図12Aに示す。
システム構成はレーザ光源と、走査光学系と、試料を置くための試料テーブル、試料を移動させるための移動ステージおよび図示しないホストコンピュータを有する。
光源から出力されたレーザビームはビームエキスパンダ(BEX)により適切なビームに広げられる。
ビームエキスパンダ以降には、試料面上での高品質なビームプロファイルを形成するために、入射ビームの断面形状を変倍する手段と、入射ビーム波面の位相分布を変換する手段を有する。
入射ビームは、ビーム整形光学系を通過し、レーザビームをxyzの3次元走査に必要な多数の折り返しミラーを経由する。図12A中においては、折り返しミラーはM2〜M6と6枚であるが、10枚以上のミラーや光学素子が配置することもできる。
複数ミラーや光学素子及びビーム変換光学系を通過後、ガルバノミラーやポリゴンミラーなどの光偏向器で反射され、集光レンズを介して試料面あるいは試料内部にビームが照射される。
光吸収材の膜(層)と被付着材とのGapは、試料ステージにより、所望の距離になるように、試料台を制御する。
本発明の飛翔体発生装置の他の実施形態の一例を図12Bに示す。
図12Bに示す飛翔体発生装置は、ガルバノスキャナを搭載した走査光学系を有する。
波長1064nmのNd:YAGレーザ光源ユニットから射出したレーザは、空間アイソレータ、λ/4板、コリメートレンズを通過する。
音響光学偏向素子(AOM)は、PC及びコントローラからのON/OFF信号をもとに、0次光と1次光に時間的に分離することで、レーザ光源の周波数を制御することができる。
ミラーとレンズを通過する際に0次光はカットされ、1次光のみが非線形光学結晶(SHG素子)を通過し、非線形光学効果により、2次高調波(SHG)が発生し、波長532nmのGreen光を発生させる。
ハーモニックセパレータHSは、基本波と2次高調波を分離させることで、Green単色のビームを得る。
Green光は、収差補正や縦横変倍素子により、位相分布と強度分布を補正され、ズームレンズを通過して、円環ビームに変換するビーム変換素子に入射される。
その後、ミラー、ND、そのほかの光学素子を通過して、ガルバノミラーなどの光偏向器で反射され、集光レンズを介して試料面あるいは試料内部にビームが照射される。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、
飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写工程と、を含み、
前記基材と前記光吸収材との界面において照射する前記レーザビームの光軸を取り囲むように外気圧以上の気化領域を発生させ、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の画像形成装置は、光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段と、
飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写手段と、を有し、
前記基材と前記光吸収材との界面において照射する前記レーザビームの光軸を取り囲むように外気圧以上の気化領域を発生させ、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記光吸収材飛翔工程は前記光吸収材飛翔手段により工程に実施することができ、前記転写工程は前記転写手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は前記その他の手段により好適に実施することができる。
本発明の画像形成方法及び画像形成装置において、前記転写工程及び前記転写手段以外については、本発明の飛翔体発生方法及び飛翔体発生装置と同じであるため、説明を省略する。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する工程である。
前記転写手段は、飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する手段である。
前記転写手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光吸収材から生じさせた飛翔体を被転写媒体に接触させる機構を備える手段などが挙げられる。具体的には、転写手段としては、例えば、被付着物と光吸収材との間隙を調整する機構や、被付着物を搬送する機構を有するようにしてもよい。
−被転写媒体−
前記被転写媒体(被付着物)としては、光吸収材から生じさせた液柱乃至液滴が接触できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、画像形成装置で用いられる記録媒体や中間転写ベルトなどが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
その他の工程としては、例えば、光吸収材供給工程、膜厚制御工程、ビーム走査工程、被付着物搬送工程、定着工程、制御工程などが挙げられる。
その他の手段としては、例えば、光吸収材供給手段、膜厚制御手段、ビーム走査手段、被付着物搬送手段、定着手段、制御手段などが挙げられる。
また、光吸収材飛翔手段、基材、光吸収材供給手段、及びビーム走査手段を一体として光吸収材飛翔ユニットとして扱ってもよい。
前記光吸収材供給手段としては、光吸収材飛翔手段と被付着物との間のレーザビームの光路上に、光吸収材を供給できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。光吸収材供給手段としては、例えば、光路上に配置された円筒状の基材を介して光吸収材を供給するようにしてもよい。
具体的には、光吸収材が液体であって、基材に光吸収材を供給する場合には、光吸収材供給手段として供給ローラ及び規制ブレードを設けることが、非常に簡単な構成で光吸収材を基材の表面に一定の平均厚みで供給することができるため好ましい。
この場合、供給ローラは、光吸収材を貯蔵する貯蔵槽に表面が一部浸漬し、光吸収材を表面に担持しながら回転して、基材に当接することにより光吸収材を供給する。規制ブレードは、供給ローラの回転方向における貯蔵槽の下流側に配置され、供給ローラが担持した光吸収材を規制して平均厚みを均一にし、飛翔させる光吸収材の量を安定させる。平均厚みを非常に薄くすることにより、飛翔させる光吸収材の量を低減できるため、光吸収材を飛散が抑制された微小なドットとして被付着物に付着可能とし、網点が太るドットゲインを抑制することができる。なお、規制ブレードは、基材の回転方向における供給ローラの下流側に配置されていてもよい。
また、光吸収材が高粘度である場合には、供給ローラの材質は、基材と確実に接触させるようにする点で、少なくとも表面が弾性を有するものが好ましい。光吸収材が比較的低粘度である場合には、供給ローラとしては、例えば、精密ウェットコーティングで用いられるような、グラビアロール、マイクログラビアロール、フォーワードロールなどが挙げられる。
更に、供給ローラを設けない光吸収材供給手段としては、貯蔵槽内の光吸収材に基材を直接接触させた後にワイヤーバーなどで余分な光吸収材を掻き取ることにより基材の表面に光吸収材の膜(層)を形成するようにしてもよい。なお、貯蔵槽は、光吸収材供給手段とは別に設け、ホース等で光吸収材を光吸収材供給手段に供給するようにしてもよい。
光吸収材供給工程としては、光吸収材飛翔手段と被付着物との間のレーザビームの光路上に、光吸収材を供給する工程であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光吸収材供給手段を用いて好適に行うことができる。
膜厚制御手段としては、基材表面と所定の間隙を設けて接触するように設置することによって、基材表面に付与した光吸収材の厚みを制御する手段である。これについては図面を参照して説明する。
図13は光吸収材供給手段10の構成の一例を説明する図である。
光吸収材供給手段10は、光吸収材11を貯留する貯留槽101と、供給ローラ102と、規制ブレード103と、搬送ローラ104と、シート回収ローラ105を有している。
供給ローラ102は、搬送ローラ104と当接するように配置され、貯留槽101の光吸収材11に一部が浸漬されている。供給ローラ102は、図示を省略する回転駆動部によって、又は搬送ローラ104の回転に従動して、矢印方向(時計回り方向)に回転しながら光吸収材11を周面に付着させる。
供給ローラ102の周面に付着した光吸収材11は、規制ブレード103により平均厚みを均一にされる。その後、基材表面に付与した光吸収材が膜厚制御手段106を通過することで、基材表面に付与した光吸収材の膜厚が、膜厚制御手段106と基材表面との間隙の距離と等しくなるようにそぎ落とされる。このようにして、膜厚制御手段106と基材表面との間隙を制御することで所望の膜厚の光吸収材を基材表面に付与することができる。
その後、搬送ローラ104から送出される透明シート12上に光吸収材11を転移することにより膜(層)として供給される。透明シート12は、供給された光吸収材11を、被付着物3に対向する側の面に分子間力によって担持する。なお、エア吸着や静電吸着によって、透明シート12による光吸収材11の担持力を補強してもよい。
搬送ローラ104には透明シート12が予め巻き付けられており、巻き付けられた透明シート12の一端は、搬送ローラ104から+y方向に離間して配置されたシート回収ローラ105に接続されている。
モータ等の駆動部による回転によって、シート回収ローラ105は透明シート12を巻き取り、この巻き取り動作により透明シート12は+y方向に走行する。搬送ローラ104は、透明シート12の走行に従動回転するとともに、巻き付けられている透明シート12を、シート回収ローラ105に向けて送り出す。
透明シート12は、光吸収材11を担持して走行し、搬送ローラ104とシート回収ローラ105の間に配置された光照射部2に対向する位置で、光照射部2により飛翔用レーザビーム211が照射される。そして、光吸収材11を透明シート12から飛翔させる処理と、被付着物3に固定する処理が行われる。
透明シート12に供給された光吸収材11は、搬送ローラ104が回転することにより、飛翔用レーザビーム211が照射される位置に連続的に供給される。処理後に、光吸収材11は、透明シート12ごとシート回収ローラ105によって回収される。
このように、光吸収材の膜厚を膜厚制御手段で制御することができる。上述したように、本発明においては、基材表面に配した光吸収材の膜厚を制御することにより、光吸収材の液滴径を制御することが可能となる。これにより、所望の解像度を得ることができ、スループットを制御することができる。光吸収材を供給する手段の一つとして、膜厚制御手段を用いることにより解像度を制御することができる。
ビーム走査手段としては、レーザビームを光吸収材に対して走査可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ビーム走査手段は、光吸収材飛翔手段から照射されたレーザビームを光吸収材に向けて反射させる反射鏡と、反射鏡の角度及び位置を変化させてレーザビームを光吸収材に対して走査させる反射鏡駆動部とを有するようにしてもよい。
ビーム走査工程としては、レーザビームを光吸収材に走査させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビーム走査手段を用いて好適に行うことができる。
被付着物搬送手段としては、被付着物を搬送することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ローラ対などが挙げられる。
被付着物搬送工程としては、被付着物を搬送する工程であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、被付着物搬送手段を用いて好適に行うことができる。
定着手段としては、被付着物に付着させた光吸収材を定着させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱加圧部材を用いた熱圧着方式のものなどが挙げられる。
加熱加圧部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱ローラ、加圧ローラ、加熱ローラ及び加圧ローラを組み合わせたものなどが挙げられる。他の加熱加圧部材としては、例えば、これらに定着ベルトを組合せたもの、これらのうち加熱ローラを加熱ブロックに代えたものなどが挙げられる。
加圧ローラとしては、被付着物搬送手段により搬送される被付着物と等速度で加圧面が移動するものが、擦れによる画像劣化を抑制する点で、好ましい。この中でも、表面近傍に弾性層を形成したものが、被付着物に対して接触加圧しやすい点で、より好ましい。更に、最表面にシリコーン系の撥水性材料やフッ素化合物などの低表面エネルギーの素材で撥水性表面層を形成した加圧ローラが、表面に光吸収材が付着することによる画像の乱れを抑制する点で、特に好ましい。
シリコーン系の撥水性材料からなる撥水性表面層としては、例えば、シリコーン系離型剤の皮膜、シリコーンオイル又は各種変性シリコーンオイルの焼付皮膜、シリコーンワニスの皮膜、シリコーンゴムの皮膜、シリコーンゴムと各種金属、ゴム、プラスチック、セラミック等の複合物からなる皮膜などが挙げられる。
フッ素化合物からなる撥水性表面層としては、フッ素樹脂の皮膜、有機フッ素化合物の皮膜、フッ素オイルの焼付皮膜又は吸着膜、フッ素ゴムの皮膜、若しくはフッ素ゴムと各種金属、ゴム、プラスチック、セラミック等の複合物からなる皮膜などが挙げられる。
加熱ローラにおける加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃以上200℃以下が好ましい。
定着ベルトとしては、耐熱性があり、機械的強度が高ければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリイミド、PET、PEN等のフィルムなどが挙げられる。また、定着ベルトとしては、表面に光吸収材が付着することによる画像の乱れを抑制する点で、加圧ローラの最表面を形成する材料と同じものを用いることが好ましい。定着ベルトは、肉厚を薄くすることができることにより、ベルト自体を加熱するエネルギーを小さくできるため、電源を入れてすぐに使用することができる。このときの温度及び圧力は定着させる光吸収材の組成により変化するが、温度としては200℃以下が省エネの観点から好ましく、圧力としては1kg/cm以下が装置の剛性の点で好ましい。
なお、2種以上の光吸収材を用いる場合は、各色の光吸収材が被付着物に付着する毎に定着させてもよく、全種の光吸収材が被付着物に付着して積層された状態で定着させてもよい。
また、光吸収材が非常に高粘度であって、乾燥が遅くなり被付着物に対する付着速度の向上が困難な場合には、被付着物を追加で加熱し、乾燥を促進させてもよい。
更に、光吸収材の被付着物への浸透及び濡れが遅く、付着させた光吸収材が十分に平滑化していない状態で乾燥させた場合、光吸収材が付着した被付着物の表面が粗くなるため、被付着物の表面の光沢が得られない場合がある。被付着物の表面の光沢を得るためには、加圧して定着させる定着手段とすることにより、被付着物に付着した光吸収材をつぶしながら被付着物に押し込むよう定着させて、被付着物の表面粗さを小さくするようにしてもよい。
定着手段は、特に粉体を押し固めて形成した固体の光吸収材を用いた場合などに、被付着物に定着させるために必要となる。なお、必要に応じて、定着手段とともに公知の光定着器を用いてもよい。
定着工程としては、被付着物に付着させた光吸収材を、被付着物に定着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、定着手段を用いて好適に行うことができる。
制御手段としては、各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シーケンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
制御工程は、各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
−被付着物−
被付着物(被転写媒体)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、画像を形成するための記録媒体、立体造形物を形成するための造形物支持基板などが挙げられる。
−−記録媒体−−
記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コート紙、上質紙、フィルム、布、繊維などが挙げられる。
被付着物と光吸収材との間隙(ギャップ)としては、被付着物と光吸収材とを接触させなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mm以上5mm以下が好ましく、0.10mm以上2.0mm以下がより好ましく、0.2mm以上1.0mm以下が特に好ましく、0.10mm以上0.50mm以下が最も好ましい。被付着物と光吸収材との間隙が好ましい範囲内であると、被付着物に対する光吸収材の付着位置の精度が低下しにくくなる点で有利である。また、被付着物と光吸収材とを接触させないことにより、光吸収材、被付着物の組成を選ばず光吸収材を被付着物に付着させることが可能となる。本発明においては、特に、少なくとも0.5mm以上離れた被付着物に着弾させる場合の着弾位置精度に優れる。
更に、間隙は、例えば、被付着物の位置を一定に維持する位置制御手段などにより一定に保たれることが好ましい。この場合、光吸収材及び被付着物の位置変動、平均厚みのバラつきを考慮して各部位を配置することが重要となる。
また、被転写媒体(被付着物)における、転写(付着)後の光吸収材の平均直径(平均ドット径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm以下とすることが、形成する画像や立体造形物の解像度をより向上させることができる点で好ましい。本発明においては、飛翔する液滴の径は照射されるレーザビーム径よりも小さい径で飛翔するが、被転写媒体上では着滴時の衝撃及び被転写媒体表面との表面張力の関係によって形成されるドット径は変化する。
また、平均ドット径は、例えば、マイクロスコープ等で光吸収材のドット画像を取得して画像輝度情報からドット領域を検出し、検出したドット領域のピクセル数から各ドットの面積を算出、円形に換算した時の直径をドット径とし、これを平均することにより求めることができる。
さらに、被転写媒体(被付着物)における、転写(付着)後の光吸収材の直径(ドット径)のばらつきの値としては、10%以下とすることが好ましく、6%以下とすることがより好ましい。被転写媒体における、転写後の光吸収材の直径のばらつきの値を、上記の好ましい範囲とすることにより、画像や立体造形物を形成する際の精度をより向上させることができる。
また、被転写媒体における、転写後の光吸収材の直径のばらつきの値は、例えば、マイクロスコープ等で光吸収材のドット画像を取得して画像輝度情報からドット領域を検出し、検出したドット領域のピクセル数から各ドットの面積を算出、円形に換算した時の直径をドット径とし、各ドットの粒径分布の平均粒径と標準偏差から算出することにより求めることができる。
加えて、被転写媒体(被付着物)における、転写(付着)後の光吸収材の位置(ドット位置)のばらつきの値としては、10μm以下とすることが好ましく、5μm以下とすることがより好ましい。被転写媒体における、転写後の光吸収材の位置のばらつきの値を、上記の好ましい範囲とすることにより、画像や立体造形物を形成する際の精度をより向上させることができる。なお、被転写媒体における、転写後の光吸収材の位置のばらつきの値としては、例えば、光吸収材のドットを一列に付着させる場合には、そのドットの列と直行する方向における、光吸収材の位置のばらつきの値とすることができる。
例えば、マイクロスコープ等で光吸収材のドット画像を取得して画像輝度情報からドット領域を検出し、検出した各ドット領域の重心座標を算出、各重心の最小二乗法による近似直線からのずれを算出することにより求めることができる。
なお、光吸収材飛翔手段、光吸収材供給手段、及びビーム走査手段を一体として着色剤飛翔ユニットとして扱ってもよい。
例えば、着色剤飛翔ユニットを画像形成装置に4つ設け、プロセスカラーであるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの着色剤を飛翔させるようにしてもよい。着色剤の色数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、必要に応じて着色剤飛翔ユニットの数を増減させてもよい。また、記録媒体の搬送方向における、プロセスカラーの着色剤を有する着色剤飛翔ユニットの上流側に、白色の着色剤を有する着色剤飛翔ユニットを配置することで、白色隠蔽層を設けることが可能となるため、透明な記録媒体に色再現性に優れた画像を形成できる。ただし、特にイエロー、白色、透明の着色剤においては、レーザビームの波長の光の透過率(吸光度)が適正となるように、レーザ光源を、例えば、ブルーレーザビーム、紫外線レーザビームなどに適宜選択してしなければならない場合がある。
更に、画像形成装置では、高粘度の着色剤を用いることができるので、記録媒体上に順次異なる色の着色剤を重ねて画像を形成しても、着色剤が滲み出して交じり合うブリーディングの発生を抑制できるため、高画質のカラー画像を得ることができる。
画像形成装置の小型化などを目的として、着色剤飛翔ユニットを1つだけ設け、供給ローラ及び着色剤担持体に供給する着色剤自体を切り替えて複数色の画像を形成するようにしてもよい。
また、本発明の画像形成装置を、以下のように、立体造形物の製造装置に応用することもできる。
(立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、
飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写工程と、
転写した前記光吸収材を硬化する硬化工程と、を含み、
硬化した前記光吸収材上に前記光吸収材を転写させ、硬化することを繰り返し、
前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させ、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の立体造形物の製造装置は、光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段と、
飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写手段と、
転写した前記光吸収材を硬化する硬化手段と、を有し、
硬化した前記光吸収材上に前記光吸収材を転写させ、硬化することを繰り返し、
前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させ、更に必要に応じてその他手段を有する。
本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置は、本発明の画像形成方法及び画像形成装置において、前記硬化工程及び前記硬化手段を有すること、硬化した前記光吸収材上に前記光吸収材を転写させ硬化することを繰り返すこと、以外は本発明の画像形成方法及び画像形成装置と同じであるため、説明を省略する。
<硬化工程及び硬化手段>
前記硬化工程は、転写した前記光吸収材を硬化する工程である。
前記硬化手段は、転写した前記光吸収材を硬化する手段である。
前記硬化手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光吸収材が紫外線硬化性材料であれば、紫外線照射器などが挙げられる。
本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置においては、硬化した前記光吸収材上に前記光吸収材を転写させ硬化することを繰り返すことにより、立体造形物を製造することができる。
<その他の工程及びその他の手段>
その他の工程としては、例えば、光吸収材供給工程、立体造形ヘッドユニット走査工程、基板位置調整工程、制御工程などが挙げられる。
その他の手段としては、例えば、光吸収材供給手段、立体造形ヘッドユニット走査手段、基板位置調整手段、制御手段などが挙げられる。
<<光吸収材供給手段>>
前記光吸収材供給手段は、光吸収材が立体造形剤であり、被付着物が造形物支持基板であること以外は前述の光吸収材供給手段と同様であるため、その説明を省略する。
<<立体造形ヘッドユニット走査手段>>
立体造形ヘッドユニット走査手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光吸収材飛翔ユニットと硬化手段とを一体とした立体造形ヘッドユニットを造形物支持基板上で装置の幅方向(X軸)に走査させてもよい。なお、立体造形ヘッドユニットは、例えば、光吸収材飛翔ユニットが付与した紫外線硬化性の光吸収材を硬化手段により硬化させるものとすることができる。また、立体造形ヘッドユニットは複数設けるようにしてもよい。
<<基板位置調整手段>>
基板位置調整手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、装置の奥行き方向(Y軸)及び高さ方向(Z軸)に造形物支持基板の位置を調整可能な基体(ステージ)としてもよい。
<<制御手段>>
制御手段は、前述した画像形成装置の制御手段と同様であるため、その説明を省略する。
立体造形剤としては、硬化性材料を少なくとも含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
<<硬化性材料>>
硬化性材料としては、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)照射、加熱等により重合反応を生起し硬化する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物、熱硬化性化合物などが挙げられる。これらの中でも、常温で液体の材料が好ましい。
活性エネルギー線硬化性化合物は、分子構造中にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する比較的低粘度のモノマーであり、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。
<<その他の成分>>
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶剤、光重合開始剤、界面活性剤、着色剤、安定化剤、水溶性樹脂、低沸点アルコール、表面処理剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
−造形物支持基板−
造形物支持基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基板位置調整手段によりY軸及びZ軸の位置が調整されるようにしてもよい。
造形物支持基板と基材との間隙としては、被付着物と基材との間隙と同じであるので、その説明を省略する。
次に、本発明における立体造形物の製造装置の一例について図面を参照して説明する。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
立体造形物の製造装置100について、図14を参照して説明する。図14は、立体造形物の製造装置100の構成の一例を説明する図である。
立体造形物の製造装置100は、造形する造形物(造形過程にある造形物)200を支持する支持部材であるステージ131を備えている。ステージ131は、矢印Y方向に往復移動可能であり、矢印Z方向に例えば造形厚み0.05mmピッチで上下動可能である。
ステージ131の下側にはステージ加熱ヒータ132が配置され、ステージ131は造形材としての光吸収材11に合わせた温度に制御される。
ステージ131の上方には、粒子状の光吸収材11を担持する回転部材からなる担持体111が配置されている。担持体111は、光吸収材11を担持して矢印方向(移送方向)に回転する回転ドラムで構成され、ステージ131上の造形物200の上方まで光吸収材11を移送する。担持体111は、透明な部材であり、円筒形のガラス部材で構成しているが、これに限るものではない。
光吸収材11は、目的とする造形物200に応じて適宜選択されるべきものであるが、樹脂の場合、例えば、PA12(ポリアミド12)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PSU(ポリスルホン)、PA66(ポリアミド66)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリアセタール)、PSF(ポリサルホン)、PA6(ポリアミド6)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等である。また、本実施形態の光吸収材11は、結晶性樹脂のみに限らず、非晶性樹脂であるPC(ポリカーボネート)やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PEI(ポリエーテルイミド)、あるいは結晶性と非晶性の混合樹脂であってもよい。
また、光吸収材11は、樹脂の他、金属、セラミック、液体などの種々の材料を用いることができる。また、光吸収材11は、1pa・s以上の粘度を有する材料であってもよい。
担持体111の周面による光吸収材11の担持は、本実施形態では、分子間力(ファンデルワールス力)によって行っている。また、光吸収材11の抵抗値が高い場合、静電的な付着力だけでも担持できる。
担持体111の周囲には、担持体111の周面(表面)に光吸収材11を供給する光吸収材供給部112が配置されている。
光吸収材供給部112は、内部に光吸収材11が供給されて矢印方向に回転するメッシュローラ121と、メッシュローラ121内で光吸収材11を摺って擦るブレード122とを備えている。この光吸収材供給部112は、ブレード122で光吸収材11を摺って擦りながら凝集を解くことで、メッシュローラ121を通過させ、担持体111の周面に光吸収材11の薄膜(層)を形成する。
メッシュローラ121のメッシュの開目は光吸収材11の平均粒径より20〜30%大きいものが好ましい。金属線を編んだものを使用できるが、電鋳などで作製されるフラットなメッシュがより好ましい。
光吸収材供給部112による供給は、メッシュローラに限定されるものではない。例えば、回転体による接触供給、非接触供給、非接触のメッシュ上からの散布、粉体気流撹拌による流動浸漬なども可能である。
担持体111の内側には、担持体111の周面から光吸収材11を飛翔させる手段としての光照射部2が配置されている。
光照射部2は、上述した各実施形態の何れかと同様の構成であり、担持体111の内側から光吸収材11に対してパルス状の飛翔用レーザビーム211,固定用レーザビーム221を照射する。ここで、固定用レーザビーム221の照射位置が造形位置に対応する。
光吸収材11は、飛翔用レーザビーム211を照射されることで、担持体111の周面から飛翔用レーザビーム211の照射方向に飛翔する。
また、固定用レーザビーム221の照射により造形物200に着弾した光吸収材11を加熱し、溶融させ、その後、光吸収材11が冷却することで造形物200と一体になり、造形物200が少なくとも1光吸収材分成長する。
このように、担持体111の連続回転によって光吸収材11を移送しながら、飛翔用レーザビーム211により光吸収材11を飛翔させる処理と、固定用レーザビーム221により着弾した光吸収材11を加熱して溶融させ、造形物200の表面に固定する処理を、造形が完了するまで繰り返す。
これによって、造形物200を所要の形状まで成長させて立体造形物を造形することができる。
なお、本実施形態では、造形物200上に着弾させた光吸収材11に、固定用レーザビーム221を照射して溶融させる固定方式の例を示したが、これに限定されるものではない。固定用レーザビーム221を予め造形物200表面に照射することで溶融させた造形物200の表面に、飛翔用レーザビーム211の照射で飛翔させた光吸収材11を着弾させ、その後の造形物200表面の冷却により光吸収材11を固定する方式においても本実施形態を適用できる。固定用レーザビーム221の照射タイミングに対して飛翔用レーザビーム211の照射タイミングを遅延させることで、このような方式を実行可能である。
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下では、図12Bに示した光吸収材飛翔手段を有する画像形成装置を用いて、パルス発振させたレーザビームを光吸収材としてのマゼンタインクに照射して、被付着物にドットを形成するように付着させた実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
<基材、光吸収材及び被付着物>
基材としてのスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製、マイクロスライドガラスS7213;532nm波長光の透過率が99%)上に、光吸収材として、以下の配合のUVインクを表面に塗布して、平均厚み20μmとした膜を形成した。このとき、膜状の光吸収材における532nm波長光の透過率が0.01%以下(吸光度が4以上)であった。また、UVインクの粘度は、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)などを用いて25℃の環境下で測定したところ、4Pa・sであった。
・UV Core TYPE−A紅(株式会社T&K TOKA社製) 100質量部
・UVフレキソ500紅 (株式会社T&K TOKA社製) 50質量部
次に、光吸収材を塗布した基材の表面を被付着物(被転写媒体)と対向させ、光吸収材の裏面からレーザビームを垂直に照射できるように基材を設置した。
被付着物(被転写媒体)としては、PODグロスコート紙(三菱製紙株式会社製)を用い、被付着物(被転写媒体)と光吸収材との間隙(ギャップ)を0.5mmとした。
なお使用した、図12Bに示した光吸収材飛翔手段を用いて照射したレーザは以下のとおりである。
光吸収材飛翔手段は、レーザ光源、ビーム整形手段、ビーム変換手段などを有する。
図12Bに示す飛翔体発生装置における光吸収材飛翔手段は、ガルバノスキャナを搭載した走査光学系を有する。
まず、波長1064nmのNd:YAGレーザ光源ユニットから射出したレーザを、空間アイソレータ、λ/4板、コリメートレンズを通過させた。音響光学偏向素子(AOM)は、PC及びコントローラからのON/OFF信号をもとに、0次光と1次光に時間的に分離することで、レーザ光源の周波数を制御した。ミラーとレンズを通過する際に0次光はカットされ、1次光のみが非線形光学結晶(SHG素子)を通過し、非線形光学効果により、2次高調波(SHG)が発生し、波長532nmのGreen光を発生させた。ハーモニックセパレータHSにより、基本波と2次高調波を分離させ、Green単色のビームを得た。得られたGreen光は、収差補正や縦横変倍素子により、位相分布と強度分布を補正され、ズームレンズを通過して、円環ビームに変換するビーム変換素子に入射されるようにした。
その後、ミラー、ND、そのほかの光学素子を通過して、ガルバノミラーなどの光偏向器で反射され、集光レンズを介して試料(光吸収材、マゼンタインク)面あるいは試料内部にビームを照射した。
<付着状態の評価>
飛翔させた光吸収材が付着した被付着物の付着状態を、図15Aに示す。
実施例1は、本発明の円錐波面を重畳させて、内径を最適化させたものです。
また、図15Bに図15Aに示す着弾液滴の拡大図を示し、図15Cに着弾液滴の断面プロファイルを示す。
図15Aに示すように、着弾液滴はほぼ完全な円を形成していることがわかりました。また、図15B及び図15Cに示すように、着弾液滴はほぼ真円であり、断面プロファイルからも対称性がよいことがわかった。
本発明を用いることによって、形状の再現性が高い液滴が形成されることがわかった。液滴径については、3%以下の精度で良好な結果が得られました。この精度は、電子写真のドットの再現性精度に匹敵します。すなわち、電子写真に匹敵する高品質で印刷できる可能性があることを示唆している。
また、飛散が見られず、着弾位置精度が非常に高いことが示された。
(比較例1)
実施例1において、ビーム整形手段及びビーム変換手段を用いずに、ビーム径33μmのガウシアンレーザビームを用いた以外は、実施例1と同様にして、光吸収材を飛翔させた。
<付着状態の評価>
飛翔させた光吸収材が付着した被付着物の付着状態を、図16に示す。
図16に示すように、付着した光吸収材は被付着物上に散在しており、まとまった形状を確認することができなかった。
(比較例2)
実施例1において、以下の光吸収材飛翔手段に変更した以外は、実施例1と同様にして、光吸収材を飛翔させた。
<光吸収材飛翔手段>
光吸収材飛翔手段は、レーザ光源(実施例1と同じ)と、ビーム径変更部材と、ビーム波長変更素子と、光渦変換部としての螺旋位相板と、を用いて、ラゲールガウシアンビームである光渦レーザを調整し、試料に照射した。
<付着状態の評価>
飛翔させた光吸収材が付着した被付着物の付着状態を、図17に示す。
比較例2は、指数L=1のラゲールガウシアンビームである光渦レーザを用いた結果を表す。比較例2において、ガウシアンビームと比較すると、液滴の存在がはっきりしていることから着弾位置精度が改善されてはいるが、飛散が確認でき、実施例1と比較すると着弾位置精度が低い。これはリングの径の大きさと、光吸収材の条件がマッチしておらず、液滴をつぶして飛翔したことによるものです。ラゲールガウシアンビームの指数Lを変更することで、径の大きさを変えることはできますが、整数値しかとれないので、最適値と合致させることが難しい。
(実施例2)
実施例1において、被付着物と光吸収材との間隙(ギャップ)を0.2mm、0.5mm、0.7mm、1.0mm、2.0mmとした。
<付着状態の評価>
飛翔させた光吸収材が付着した被付着物の付着状態を、図18Aに示す。
実験は、ドナーとレシーバとの間のギャップを2.0mmに拡大して行った。図18Aは、0.2mm〜2.0mmのギャップと平均液滴径との関係の測定結果を示す。平均液滴直径は0.2mm〜2.0mmのギャップに依存しないことが分かった。また、図18Aに示すように、本発明の画像形成方法では、被付着物と光吸収材との間隙(ギャップ)を大きくした場合(1.0mm)においても外観上差異がほとんど見られなかった。
また、液滴径のバラツキと、被付着物と光吸収材との間隙(ギャップ)と、の関係を図18Bに示す。図18Bに示すように、外観上だけでなく、被付着物と光吸収材との間隙(ギャップ)を2.0mmまで大きくした場合においても、即ち、ギャップが0.2mmから2.0mmへ10倍増加すると、バラツキ(変動)は1.2%から2.4%へとわずかに増加する傾向があるが、液滴径のバラツキは最大でも2.5%とかなり小さいことがわかった。
(参考実施例)
適用例としてQRコード(登録商標)を印刷した実験結果について述べる。ドナー条件は粘度3Pa・s、膜厚9μmであった。実験条件は、走査速度V=200mm/秒、ギャップ0.5mm、およびオーバーラップ速度(=1−間隔/直径)は0.09であった。
実施例1の光吸収材飛翔条件を用いて、図19に示すQRコード(登録商標)(縦:10mm、横:10mm)を作製した。
本発明の画像形成方法を用いることによって、ドットだけでなく、線及びパターン画像を作製することができる。
以上の結果より、飛翔体(ランディング液滴)は0.5mmのギャップの下でほぼ完全な円を形成することを顕微鏡観察した。液滴直径は照射エネルギーに依存せず,リング直径に依存した。再現性の高い液滴が形成されることも分かった。解析の結果,ドットサイズ精度3%以下の良好な結果が得られた。この精度は、電子写真におけるドット精度に匹敵する。さらに、平均液滴サイズと液滴サイズ精度は0.2mm〜2.0mmの範囲のギャップに依存しないことが分かった。市販のスマートフォンで印刷されたQRコード(登録商標)が読み取れることを確認した。この結果は、BR−LIFTが種々の応用を提供できることを示す強力な証拠を示した。
以上より、供与体と受容体の間のギャップを0.2mm〜2.0mmの範囲で実験を行い、ランディング液滴を顕微鏡観察し、ほぼ完全な円を形成したことを確認した。提案したシステムは、柔軟なQRコード(登録商標)印刷を開発するための扉を開く。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<A1> 光を吸収する光吸収材と、前記光吸収材が吸収させる波長を有する光ビームを前記光吸収材に照射する方法であって、
光軸を取り囲むように、透明体と光吸収材の界面に外気圧以上の気化領域を有し、その圧力で光吸収材に対して、飛翔可能なエネルギーを与えることを特徴とする光照射方法である。
<A2> 光吸収材を飛翔させ、被付着物に適切な量の液滴を着弾させるように、表面張力を下げるために光吸収材に表面調整剤を添加することで、液滴量を小さくする前記<A1>に記載の光照射方法である。
<A3> 光軸中心には気化領域が存在せず、なおかつ、光軸中心は、気化を生じるエネルギー密度より小さいエネルギーで照射させる前記<A1>から<A2>のいずれかに記載の光照射方法である。
<A4> 光ビームの波面に、光軸を取り囲むビームプロファイルの内径は、20μm以上90μm以下である前記<A1>から<A3>のいずれかに記載の光照射方法である。
<A5> 光照射により低粘度化する光吸収材を用いることで、光軸中心側に気化圧力を誘導する前記<A1>から<A4>のいずれかに記載の光照射方法である。
<A6> 光照射したときの背面側のフルエンスが、気化を生じるエネルギー密度より小さいエネルギーで照射させる前記<A1>から<A5>のいずれかに記載の光照射方法である。
<A7> 光を吸収する光吸収材と、前記光吸収材が吸収させる波長を有する光ビームを前記光吸収材に照射する手段と、
入射ビーム波面の位相分布を変換することにより、所望のビームプロファイルに変換する手段を有し、
光軸を取り囲むように、透明体と光吸収材の界面に外気圧以上の気化領域を有し、その圧力で光吸収材に対して、飛翔可能なエネルギーを与え、少なくとも0.5mm以上離れた被付着物に着弾させることを特徴とする光吸収材を付着させる装置である。
<A8> 光吸収材を供給する手段として、解像度を制御するための膜厚制御手段を有する前記<A7>に記載の光吸収材を付着させる装置である。
<A9> 光ビームの波面に、光軸を取り囲む円環状のビーム内径を変換させるために円錐波面を重畳させる手段を有する前記<A8>から<A9>のいずれかに記載の光吸収材を付着させる装置である。
<B1> 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程を含み、
前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする飛翔体発生方法である。
<B2> 前記レーザビームの光軸におけるレーザ強度が前記外周部のレーザ強度よりも小さい、前記<B1>に記載の飛翔体発生方法である。
<B3> 前記外周部のレーザ強度が前記光軸のレーザ強度よりも大きい、前記<B1>から<B2>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<B4> 前記レーザビームが円環レーザビームである、前記<B1>から<B3>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<B5> 前記円環レーザビームの内径が20μm以上90μm以下である、前記<B4>に記載の飛翔体発生方法である。
<B6> 前記基材と接する面と反対側の前記光吸収材の露出表面における前記レーザビームのフルエンス(J/cm)が前記気化領域を発生させるエネルギー密度より小さいエネルギー密度のレーザビームを照射することにより得られる、前記<B1>から<B5>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<B7> 前記光吸収材が表面張力調整剤を含有する、前記<B1>から<B6>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<B8> 前記光吸収材が前記レーザビームを照射すると粘度が低下する材料である、前記<B1>から<B7>のいずれかに記載の飛翔体発生方法である。
<B9> 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段を有し、
前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする飛翔体発生装置である。
<B10> 前記レーザビームの位相分布を変換する位相変換手段を有する、前記<B9>に記載の飛翔体発生装置である。
<B11> 前記レーザビームを円環レーザビームに変換する円環レーザビーム変換手段を有する、前記<B9>から<B10>のいずれかに記載の飛翔体発生装置である。
<B12> 前記基材表面に配した前記光吸収材の膜厚を制御する膜厚制御手段を有する、前記<B9>から<B11>のいずれかに記載の飛翔体発生装置である。
<B13> 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、
飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写工程と、を含み、
前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする画像形成方法である。
<B14> 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段と、
飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写手段と、を有し、
前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする画像形成装置である。
<B15> 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、
飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写工程と、
転写した前記光吸収材を硬化する硬化工程と、を含み、
硬化した前記光吸収材上に前記光吸収材を転写させ、硬化することを繰り返し、
前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<B16> 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段と、
飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写手段と、
転写した前記光吸収材を硬化する硬化手段と、を有し、
硬化した前記光吸収材上に前記光吸収材を転写させ、硬化することを繰り返し、
前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする立体造形物の製造装置である。
前記<A1>から<A9>のいずれかに記載の光照射方法、前記<B1>から<B8>のいずれかに記載の飛翔体発生方法、前記<B9>から<B12>のいずれかに記載の飛翔体発生装置、前記<B13>に記載の画像形成方法、前記<B14>に記載の画像形成装置、前記<B15>に記載の立体造形物の製造方法、及び前記<B16>に記載の立体造形物の製造装置によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
101 基材
102 光吸収材
102A 気化領域
103 レーザビーム
103A 光軸
特開平8−072252号公報 国際公開番号WO2016/136722
P. Serra and A. Pique, "Laser−induced forward transfer: Fundamentals and applications," Adv. Mater. Technol. 4, (2019) 1800099. H. J. J. Staat, A. Bos, M. Berg, H. Reinten, H. Wijshoff, M. Versluis and D. Lohse, "Ultrafast imaging method to measure surface tension and viscosity of inkjet−printed droplets in flight," Exp Fluids (2017) 58:2. D. G. Foster, "Thermal Printing for Digital Output," Society for Imaging Science and Technology (2009) p68. J Miksys, G Arutinov, G Roemer, "Pico−to nanosecond pulsed laser−induced forward transfer (LIFT) of silver nanoparticle inks: a comparative study," Applied Physics A, (2019) 125:814. L. Rapp, J. Ailuno, A. P. Alloncle and P. Delaporte, "Pulsed−laser printing of silver nanoparticles ink: control of morphological properties," Opt. Express 19 (2011) 21563−74 E. Turkoz, L. Deike and C. B. Arnold, "Comparison of jets from Newtonian and non−Newtonian fluids induced by blister−actuated laser−induced forward transfer (BA−LIFT)," Appl. Phys. A (2017) 123:652. K. Otomo, T. Hibi, Y. Kozawa, M. Kurihara, N. Hashimoto, H. Yokoyama, S. Sato, and T. Nemoto, "Two−photon excitation STED microscopy by utilizing transmissive liquid crystal devices," Opt. Express 22(23), (2014) 28215−28221. K. Sueda, G. Miyaji, N. Miyanaga, and M. Nakatsuka, "Laguerre−Gaussian beam generated with a multilevel spiral phase plate for high intensity laser pulses," Opt. Express 12, (2004), 3548−3553. R. Nakamura, H. Kawaguchi, M. Iwata, A. Kaneko, R. Nagura, S. Kawano, K. Toyoda, K. Miyamoto and T. Omatsu, "Optical vortex−induced forward mass transfer: manifestation of helical trajectory of optical vortex," Opt. Express 27 (2019) 38019. M. S. Brown, C. F. Brasz, Y. Ventikos and C. B. Arnold, "Impulsively actuated jets from thin liquid films for high resolution printing applications," J Fluid Mech 709, (2012), 341−370. K. Yum and M. Yu, "Measurement of wetting properties of individual boron nitride nanotubes with the Wilhelmy method using a nanotube−based force sensor," Nanoletters, 6 (2) (2006), pp. 329−333.

Claims (13)

  1. 光を吸収する光吸収材と、前記光吸収材が吸収させる波長を有する光ビームを前記光吸収材に照射する方法であって、
    光軸を取り囲むように、透明体と光吸収材の界面に外気圧以上の気化領域を有し、その圧力で光吸収材に対して、飛翔可能なエネルギーを与えることを特徴とする光照射方法。
  2. 光吸収材を飛翔させ、被付着物に適切な量の液滴を着弾させるように、表面張力を下げるために光吸収材に表面調整剤を添加することで、液滴量を小さくする請求項1に記載の光照射方法。
  3. 光軸中心には気化領域が存在せず、なおかつ、光軸中心は、気化を生じるエネルギー密度より小さいエネルギーで照射させる請求項1から2のいずれかに記載の光照射方法。
  4. 光ビームの波面に、光軸を取り囲むビームプロファイルの内径は、20μm以上90μm以下である請求項1から3のいずれかに記載の光照射方法。
  5. 光照射により低粘度化する光吸収材を用いることで、光軸中心側に気化圧力を誘導する請求項1から4のいずれかに記載の光照射方法。
  6. 光照射したときの背面側のフルエンスが、気化を生じるエネルギー密度より小さいエネルギーで照射させる請求項1から5のいずれかに記載の光照射方法。
  7. 光を吸収する光吸収材と、前記光吸収材が吸収させる波長を有する光ビームを前記光吸収材に照射する手段と、
    入射ビーム波面の位相分布を変換することにより、所望のビームプロファイルに変換する手段を有し、
    光軸を取り囲むように、透明体と光吸収材の界面に外気圧以上の気化領域を有し、その圧力で光吸収材に対して、飛翔可能なエネルギーを与え、少なくとも0.5mm以上離れた被付着物に着弾させることを特徴とする光吸収材を付着させる装置。
  8. 光吸収材を供給する手段として、解像度を制御するための膜厚制御手段を有する請求項7に記載の光吸収材を付着させる装置。
  9. 光ビームの波面に、光軸を取り囲む円環状のビーム内径を変換させるために円錐波面を重畳させる手段を有する請求項8から9のいずれかに記載の光吸収材を付着させる装置。
  10. 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程を含み、
    前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする飛翔体発生方法。
  11. 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔手段を有し、
    前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする飛翔体発生装置。
  12. 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、
    飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写工程と、を含み、
    前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする画像形成方法。
  13. 光吸収材を表面に配した基材における、前記光吸収材が配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記レーザビームの照射方向に前記光吸収材を飛翔させる光吸収材飛翔工程と、
    飛翔させた前記光吸収材を被転写媒体に転写する転写工程と、
    転写した前記光吸収材を硬化する硬化工程と、を含み、
    硬化した前記光吸収材上に前記光吸収材を転写させ、硬化することを繰り返し、
    前記基材と前記光吸収材との界面において、前記レーザビームが照射された領域における外周部に外気圧以上の気化領域を発生させることを特徴とする立体造形物の製造方法。

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