本発明の一態様に係る炊飯器は、
筐体と、
前記筐体に収容及び取り外し可能な鍋と、
前記筐体に収容された前記鍋内に米及び水を供給する供給部と、
前記筐体に収容された前記鍋を加熱する加熱部と、
前記鍋内の炊飯物が無くなったことを推定するための推定情報を出力する推定部と、
前記供給部を制御して米及び水を前記鍋内に供給させてから前記加熱部を制御して前記鍋を加熱させる炊飯工程を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
取得した前記推定情報に基づいて、前回の前記炊飯工程の終了以降で、前記鍋内の炊飯物が無くなったことが推定された場合、前記制御部が前記炊飯工程を開始する旨の指示を受け取ったときに実行するように予め定められている通常動作で次の前記炊飯工程を実行し、
取得した前記推定情報に基づいて、前回の前記炊飯工程の終了以降で、前記鍋内の炊飯物が無くなったことが推定されない場合、次の前記炊飯工程を実行しない、または、前記通常動作とは異なる動作で次の前記炊飯工程を実行する。
この構成によれば、推定情報に基づいて、鍋内の炊飯物が無くなったことを推定することができる。
鍋内の炊飯物が無くなったことが推定されない場合、制御部は次の炊飯工程を実行しない。これにより、鍋内に炊飯物が残っている状態で次の炊飯のために鍋内に米及び水が供給されて、炊飯が開始されてしまうことを防止できる。その結果、所望より低い食味の炊飯物が炊飯されることを抑えることができる。
また、鍋内の炊飯物が無くなったことが推定されない場合、制御部は通常動作とは異なる動作で次の炊飯工程を実行する。これにより、鍋内に炊飯物が残っている状態で次の炊飯のために鍋内に米及び水が供給された状態で、炊飯が開始されてしまった場合であっても、制御部が炊飯工程における動作を変える。これにより、所望より低い食味の炊飯物が炊飯されることを抑えることができる。
本発明の一態様に係る炊飯器は、記憶部を更に備えていてもよい。また、前記推定部は、前記鍋が前記筐体に収容されているか否かを検知する収容検知部を備えていてもよい。また、前記制御部は、前記鍋が前記筐体に収容されていないことが前記収容検知部によって検知され、その後に前記鍋が前記筐体に収容されていることが前記収容検知部によって検知された場合、前記記憶部に脱着情報を記憶してもよく、前記炊飯工程を開始する旨の指示を受け取った時に、前記記憶部に前記脱着情報が記憶されている場合は、前記炊飯工程を開始し、前記記憶部に前記脱着情報が記憶されていない場合は、前記炊飯工程を開始しなくてもよい。
この構成によれば、収容検知部の検知結果に基づいて、炊飯工程後に鍋が筐体から取り外され、その後に鍋が再び筐体に収容されたか否かを判別することができる。鍋が一時的に筐体から取り外された場合、鍋内の炊飯物が取り除かれたと判断することができる。一方、鍋が筐体から取り外されていない場合、鍋内の炊飯物が取り除かれていないと判断することができる。鍋内の炊飯物が取り除かれていないと判断された場合、炊飯工程が開始されないため、内部の炊飯物が取り除かれていない鍋で炊飯が実行される可能性を低くすることができる。
本発明の一態様に係る炊飯器は、前記鍋が前記筐体に収容されていない時間をカウントする非収容計時部を更に備えていてもよい。前記制御部は、前記非収容計時部によってカウントされた時間が予め設定された設定時間より長い場合、前記記憶部に前記脱着情報を記憶してもよく、前記非収容計時部によってカウントされた時間が前記設定時間より短い場合、前記記憶部に前記脱着情報を記憶しなくてもよい。
例えば、鍋が筐体から短時間だけ取り外された場合、鍋内の炊飯物が取り除かれた可能性は低い。この構成によれば、鍋が筐体から短時間だけ取り外された場合、鍋内の炊飯物が取り除かれていないと判断することができる。
前記推定部は、前記鍋内に予め設定された設定量より多い炊飯物があるか否かを検知する残量検知部を備えていてもよい。また、前記制御部は、前記炊飯工程を開始する旨の指示を受け取った時に、前記鍋内に前記設定量より多い炊飯物があることが前記残量検知部によって検知されない場合は、前記炊飯工程を開始してもよく、前記鍋内に前記設定量より多い炊飯物があることが前記残量検知部によって検知された場合は、前記炊飯工程を開始しなくてもよい。
この構成によれば、残量検知部の検知結果に基づいて、鍋内に設定量より多い炊飯物があるか否かを判別することができる。鍋内に設定量より多い炊飯物がある場合、炊飯工程が開始されないため、炊飯物がある鍋で炊飯が実行される可能性を低くすることができる。
前記残量検知部は、前記鍋内へ赤外線を照射して前記赤外線の反射光が入射される赤外線センサであってもよい。また、前記制御部は、前記赤外線センサに入射された反射光の強さに基づいて、前記鍋内に前記設定量より多い炊飯物があるか否かを判別してもよい。
前記残量検知部は、前記鍋内へ超音波を発信して前記超音波の反射波を受信する超音波センサであってもよい。また、前記制御部は、前記超音波センサが超音波を発信してから反射波を受信するまでの時間に基づいて、前記鍋内に前記設定量より多い炊飯物があるか否かを判別してもよい。
本発明の一態様に係る炊飯器は、報知部を更に備えていてもよい。また、前記制御部は、前記炊飯工程を開始しないと決定した場合、前記炊飯工程を開始しないことを示す情報を報知するように前記報知部を制御してもよい。
この構成によれば、炊飯後に鍋内に炊飯物が残っていることをユーザに知らせることができる。
前記炊飯工程は、前記加熱部によって前記鍋を加熱して前記鍋内の温度を上昇させる昇温工程を含んでいてもよい。また、本発明の一態様に係る炊飯器は、前記昇温工程の実行開始からの時間をカウントする昇温計時部を更に備えていてもよい。また、前記推定部は、前記鍋の底部の温度を検知する温度センサを備えていてもよい。また、前記制御部は、前記昇温工程において前記温度センサによって検知された温度が予め設定された設定温度に到達するまでに、前記昇温計時部によってカウントされた時間が、予め設定された昇温時間より長い場合、前記昇温工程より後の工程で前記加熱部の加熱強度を弱くしてもよい。
鍋内に炊飯物が残っている状態で米と水が鍋に新たに供給された場合、想定よりも多量の米及び水が鍋内に存在する。この状態で炊飯工程が実行された場合、鍋の底部の温度が設定温度に到達するまでに通常より長時間かかる。そのため、この構成によれば、昇温計時部によってカウントされた時間が昇温時間より長いか否かによって、想定よりも多量の米及び水が鍋内に存在するか否かを判別することができる。
また、想定よりも多量の米及び水が鍋内に存在する状態で炊飯工程が実行された場合、水の沸騰等によって鍋内の米及び水が鍋外に溢れ出すおそれがある。この構成によれば、前記状態で炊飯工程が実行された場合に、加熱部の加熱強度が弱くされるため、鍋内の米及び水の鍋外への溢れ出しを低減することができる。
前記炊飯工程は、前記加熱部によって前記鍋を加熱して前記鍋内の温度を上昇させる昇温工程を含んでいてもよい。また、本発明の一態様に係る炊飯器は、前記鍋の開口部を覆う蓋体と、前記鍋内と前記蓋体内とを連通する穴を開閉する圧力弁と、前記昇温工程の実行開始からの時間をカウントする昇温計時部と、を更に備えていてもよい。また、前記推定部は、前記鍋の底部の温度を検知する温度センサを備えていてもよい。前記制御部は、前記昇温工程において前記温度センサによって検知された温度が予め設定された設定温度に到達するまでに、前記昇温計時部によってカウントされた時間が、予め設定された昇温時間より長い場合、前記昇温工程より後の工程で前記圧力弁を制御して前記圧力弁を開いた状態に維持してもよい。
圧力弁を備えた圧力式炊飯器では、圧力弁を閉じることによって鍋内の圧力を大気圧より高い状態とすることができる。この状態で圧力弁を開くことによって鍋内の圧力は一気に大気圧まで減圧する。このとき、鍋内で爆発的な沸騰が発生する。ところで、鍋内の炊飯物が取り除かれない状態で米と水が鍋に新たに供給された場合、想定よりも多量の米及び水が鍋内に存在する。この状態で炊飯工程において圧力弁が閉じられた場合、上記の爆発的な沸騰によって鍋内の米及び水が鍋外に溢れ出すおそれがある。この構成によれば、前記状態で炊飯工程が実行された場合に、圧力弁が開いた状態に維持されるため、上記の爆発的な沸騰が発生しない。これにより、鍋内の米及び水の鍋外への溢れ出しを低減することができる。
前記制御部は、前記昇温工程において前記温度センサによって検知された温度が予め設定された設定温度に到達するまでの、前記昇温計時部によってカウントされた時間に基づいて、次回の前記昇温工程における前記加熱部の加熱強度を決定してもよい。
多数の炊飯器が製造された場合、昇温工程において鍋内の温度が設定温度に到達するまでの時間には、炊飯器毎にばらつきが生じるおそれがある。この構成によれば、前記の時間が長い場合、次回の昇温工程における加熱部の加熱強度を強くすることができる。また、前記の時間が短い場合、次回の昇温工程における加熱部の加熱強度を弱くすることができる。このように加熱部の加熱強度を変更することによって、前記の炊飯器毎の時間のばらつきを是正することができる。
本発明の一態様に係る炊飯器は、米を収容する米容器を更に備えていてもよい。また、前記供給部は、前記米容器に収容された米を前記鍋内に供給してもよい。
この構成によれば、炊飯器が備える米容器に米が収容される。そのため、米容器を炊飯器とは別に設ける必要がない。
本発明の一態様に係る炊飯器は、水を収容する水容器を更に備えていてもよい。前記供給部は、前記水容器に収容された米を前記鍋内に供給してもよい。
この構成によれば、炊飯器が備える水容器に水が収容される。そのため、炊飯器の設置にあたっての給排水のための工事が不要である。
以下、本発明の実施形態が説明される。本明細書では、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態が説明される。第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態の各実施形態は、本発明の一態様であり、本発明の一例にすぎない。最初に、各実施形態に共通の構成が説明される。次に、各実施形態が説明される。なお、各実施形態は、必ずしも共通の構成の全てを備えている必要はない。つまり、各実施形態は、共通の構成のうち、各実施形態における炊飯工程の実行に必要な構成を少なくとも備えていればよい。
<各実施形態に共通の構成>
図1は、実施形態に係る炊飯器の外観を示す斜視図である。図2は、筐体の蓋体が開いた状態の炊飯器の外観を示す斜視図である。図3は、図1の炊飯器の内部構造を示す斜視図である。図4は、図1の炊飯器の要部を示す斜視図である。図3及び図4では、炊飯器の内部構造を示すために、炊飯器の構成部品の一部が取り除かれている。図5は、図1の炊飯器の平面図である。図6は、炊飯器を図5のVI-VI方向に見た断面図である。
図1~図6に示すように、炊飯器1は、有底筒状の鍋2と、鍋2を収容する筐体3と、上枠4と、下枠5と、上枠4の上方に配置されたヒンジ部6と、蓋体7と、加熱ユニット8と、炊飯器1全体の動作を制御する制御部20とを備える。
図4に示す鍋2は、筐体3から取り外すことができる。図6に示すように、筐体3は、鍋2の外周面に対して隙間を空けて対向するように設けられている。当該隙間に、上枠4及び制御部20等が配置されている。
図2及び図6に示すように、上枠4は、筐体3の上部を構成している。上枠4は、平面視において筐体3と鍋2との間を覆うように設けられている。言い換えると、上枠4は、平面視における中央部に鍋2が挿入される挿入口41を有している。鍋2は、上方から挿入口41へ挿入可能である。これにより、鍋2は、筐体3に収容される(図2参照)。筐体3に収容された鍋2は、挿入口41から上方へ脱抜可能である。これにより、鍋2は、筐体3から取り外される。
下枠5は、筐体3の下部を構成している。
図1及び図2に示すように、上枠4及び下枠5は、筐体3における上枠4及び下枠5以外の部分に対して幅方向に張り出している。幅方向は、炊飯器1を前方から見たときの左右方向である。上枠4の張り出した部分には、後述する米容器100が挿入される開口部が形成されている。下枠5が張り出した部分は、後述する米容器100を支持する。
図2及び図6に示すように、蓋体7は、ヒンジ部6に取り付けられている。蓋体7は、ヒンジ部6を中心として回動可能である。蓋体7は、筐体3によって回動可能に支持されている。
蓋体7は、図2に示す鍋開放位置と、図1及び図6に示す鍋閉塞位置とに回動可能である。
蓋体7が回動することによって、蓋体7の回動先端部7Aが、筐体3の上枠4に対して接離する。つまり、蓋体7は、鍋2の開口部2A(図2参照)を開閉可能に覆う。ヒンジ部6は、炊飯器1の後部に配置されている。よって、蓋体7の回動先端部7Aは、炊飯器1の前部に位置する。これにより、蓋体7が鍋開放位置に回動することによって、炊飯器1の前側が開く(図2参照)。そのため、ユーザは鍋2に容易にアクセスでき、米をよそうことができる。
図2に示すように、蓋体7が鍋開放位置のとき、蓋体7の回動先端部7Aは筐体3の上枠4から離れている。このとき、蓋体7は、鍋2を上方へ露出させる。
図1及び図6に示すように、蓋体7が鍋閉塞位置のとき、蓋体7の回動先端部7Aは筐体3の上枠4に支持される。このとき、蓋体7は、鍋2の開口部2A(図2参照)を上方から覆う。図2に示すように、蓋体7は嵌合部71を備えており、筐体3の上枠4は被嵌合部42を備えている。蓋体7が図1及び図6に示す鍋閉塞位置のとき、嵌合部71と被嵌合部42とは互いに嵌合する。これにより、蓋体7が意図せず筐体3の上枠4から離間することが防止される。
図6に示すように、炊飯器1は、加熱ユニット8を備える。加熱ユニット8は、筐体3に収容された鍋2を加熱する加熱部81と、加熱部81を保持する保持部82を備える。
加熱部81は、例えば誘導加熱(IH)式の加熱装置である。誘導加熱(IH)式の加熱装置は、加熱コイルを含む。誘導加熱(IH)式の加熱装置は、加熱コイルに高周波電流を流した際に発生する高周波磁場により金属製の鍋2内に渦電流を発生させる。これにより、鍋2が加熱される。加熱部81は、鍋2の下方に位置する。本実施形態において、加熱部81は、鍋2の下面と、鍋2の外側面の下部とを覆っている。
保持部82は、過熱保護枠821と、保護枠カバー822とを備える。過熱保護枠821は、下方から鍋2の下面を覆い且つ側方から鍋2の外側面を覆っている。過熱保護枠821の下部は、鍋2と加熱部81との間に位置している。保護枠カバー822は、下方から鍋2の下面を覆い且つ側方から鍋2の側面を覆っている。保護枠カバー822は、下方及び側方から加熱部81を覆っている。保護枠カバー822と過熱保護枠821とは、加熱部81を挟み込むようにして保持している。
本実施形態において、炊飯器1は、鍋2内を加圧状態にして炊飯を行う圧力式炊飯器である。図7は、炊飯器を図5のVII-VII方向に見た断面図である。図7に示すように、蓋体7の内部には、圧力弁15が設けられている。圧力弁15は、制御部20の制御に応じて、鍋2内と蓋体7内とを連通する穴14を開閉可能に動作する。蓋体7内は、炊飯器1の外部と連通している。つまり、圧力弁15によって穴14が開かれると、鍋2内は炊飯器1の外部と連通される。一方、圧力弁15によって穴14が閉じられると、鍋2内は炊飯器1の外部から遮断され、鍋2内が密閉される。この状態で、鍋2内の水が沸騰すると、鍋2内が加圧される。
本実施形態において、炊飯器1は、自動的に米及び水を鍋2に移動させて炊飯を行う自動投入式の炊飯器である。そのため、図3及び図4に示すように、炊飯器1は、筐体3内に、米を収容する米容器100と、水を収容する水容器300と、筐体3に収容された鍋2内に米及び水を供給する供給部500とを備える。供給部500は、米容器100に収容された米を鍋2内に供給する送米部200と、水容器300に収容された水を鍋2内に供給する送水部400とを備える。
本実施形態によれば、炊飯器1が備える米容器100に米が収容される。そのため、米容器100を炊飯器1とは別に設ける必要がない。
本実施形態によれば、炊飯器1が備える水容器300に水が収容される。そのため、炊飯器1の設置にあたっての給排水のための工事が不要である。
図1に示すように、米容器100は、筐体3の下枠5に支持されている。図1及び図3に示すように、米容器100は、容器本体110と、筒部120と、外カバー140と、蓋体150とを備える。
容器本体110は、上方に開放された箱形状である。容器本体110の内部空間111(図4参照)に、米が収容される。
図8は、図1の炊飯器の内部構造を示す斜視図である。図8に示すように、容器本体110は、後内側面112の下部に、傾斜側面112Aを有する。傾斜側面112Aは、炊飯器1を幅方向に見て、容器本体110の前後方向の長さが下方に向かうに連れて漸次減少するように傾斜している。前後方向は、筐体3の前面3A(図1及び図5参照)と直交する方向であり、図5の紙面の上下に延びる方向である。幅方向は、前後方向及び上下方向と直交する方向であり、図5の紙面の左右に延びる方向である。本実施形態では、米容器100の後内側面112の下部を構成する傾斜側面112Aが傾斜している一方で、後内側面112に対向する容器本体110の前内側面113(図4参照)は、傾斜していない。
なお、傾斜側面112Aは、後内側面112の下部のみでなく、下部から下部以外に亘って形成されていてもよい。例えば、傾斜側面112Aは、後内側面112の上端部から下端部に亘って形成されていてもよい。また、容器本体110の前内側面113が傾斜していてもよいし、容器本体110の後内側面112及び前内側面113の両方が傾斜していてもよい。容器本体110の内部空間111に供給された米は、傾斜側面112Aを滑って下方に集まる。
図8に示すように、筒部120は、米容器100の上部を構成している。筒部120は、容器本体110の上端部から上方へ延びている。つまり、筒部120は、上下方向に延びている。筒部120は下側及び上側に開口されている。筒部120の内部空間は、筒部120の下側の開口を介して、容器本体110の内部空間111と連通している。筒部120の内部空間は、筒部120の上側の開口である投入口121を介して、外部と連通している。米は、投入口121から筒部120の内部空間を介して容器本体110の内部空間111に供給される。
筒部120と容器本体110とは一体に形成されている。一体に形成された筒部120及び容器本体110は、上枠4の張り出した部分に形成された開口部に挿入されている。これにより、容器本体110が上枠4より下方に位置し、筒部120が上枠4より上方に位置する。よって、筒部120の投入口121は、筐体3の上枠4より上方に位置する。また、筒部120の投入口121は、上枠4の挿入口41に挿入された鍋2より上方に位置する。なお、筒部120及び容器本体110と上枠4とは一体に形成されていてもよい。
上記のように構成されていることにより、上枠4は、筒部120の側壁122の外面の下端部から、平面視における筒部120の外側へ張り出している。
図1に示す外カバー140は、容器本体110(図3参照)の側方を覆っている。これにより、容器本体110が外部に露出することが防止されている。一方、外カバー140は、筒部120より下方に位置しており、筒部120を覆っていない。
図9は、米容器の蓋体が開いた状態の炊飯器の外観を示す斜視図である。図1及び図9に示すように、蓋体150は、ヒンジ部160に取り付けられている。図3及び図9に示すように、ヒンジ部160は、筒部120の後方に配置されている。つまり、ヒンジ部160は、炊飯器1の後部に配置されている。ヒンジ部160は、容器本体110に支持されている。蓋体150は、ヒンジ部160を中心として回動可能である。
蓋体150は、図9に示す投入口開放位置と、図1に示す投入口閉塞位置とに回動可能である。
蓋体150は、下側に開放された箱形状である。蓋体150の内部空間は、筒部120より大きく、筒部120を収容可能である。
図1に示すように、蓋体150が投入口閉塞位置のとき、蓋体150は、上方から筒部120の投入口121及び側壁122を覆い、筒部120を収容する。このとき、蓋体150は、投入口121を閉塞している。また、このとき、蓋体150の内側面150A(図9参照)は、筒部120の側壁122と対向しており、蓋体150の内天面は、筒部120の投入口121と対向している。投入口閉塞位置の蓋体150の下端部150Bは、上方から上枠4の上面に接触している。これにより、投入口閉塞位置の蓋体150は、上枠4に支持されている。
図9に示すように、蓋体150が投入口開放位置のとき、蓋体150の下端部150Bは、ヒンジ部160に接続された後部を除いて、上枠4から離れている。このとき、蓋体150は、筒部120を外部に露出させ、投入口121を開放している。
図4に示すように、送米部200は、米計量部210と、送米路220とを備える。米計量部210は、米容器100から供給された米の量を計測し、指定された量の米を送米路220に供給する。送米路220は、米計量部210から供給された米を鍋2へ移送するための経路である。
米計量部210は、計量羽根が内蔵された筐体211と、モータ212と、を備える。
計量羽根は、筐体211の内部空間に設けられ、水平方向に延びた軸の周りに螺旋状に形成されている。本実施形態では、計量羽根は、前後方向に延びている。計量羽根の外周は、筐体211に覆われている。
モータ212は、制御部20(図6参照)の制御に従って計量羽根を軸の周りに回転させる。モータ212の駆動力は、不図示のシャフトを介して計量羽根に伝達される。
筐体211は、米容器出口を有する。米容器出口は、筐体211に形成された前方を向く開口である。筐体211の内部空間は、米容器出口を介して、米容器100の容器本体110の内部空間111と連通している。計量羽根の軸は、米容器出口と交差している。
米容器100は、米移送羽根を備える。米移送羽根は、容器本体110の内部空間111の下部に配置されている。米移送羽根は、軸の周りに螺旋状に形成されている。米移送羽根の軸は、米容器出口と交差している。米移送羽根は、モータから駆動力を伝達されることによって回転する。これにより、容器本体110の内部空間111に収容された米が、米容器出口を介して筐体211の内部空間に供給される。つまり、米が米容器100から米計量部210へ供給される。なお、米移送羽根の軸は、計量羽根と同軸であってもよいし、同軸でなくてもよい。また、米移送羽根は、計量羽根と同様にモータ212から駆動力を伝達されてもよいし、モータ212とは異なるモータから駆動力を伝達されてもよい。
筐体211は送米路入口を有する。送米路入口は、筐体211に形成された下方を向く開口である。筐体211の内部空間は、送米路入口を介して、送米路220と連通している。
米計量部210は、送米路入口を開閉する開閉蓋を備える。開閉蓋は、公知の手段によって開閉可能である。例えば、開閉蓋は、制御部20(図6参照)の制御に従ったモータからの駆動力の伝達によって開閉されてもよい。また、例えば、開閉蓋は、計量羽根の回転に応じたカム機構による変位によって開閉されてもよい。
計量羽根は、軸を中心に回転することによって、筐体211の内部空間に収容されている米を軸方向に沿って送米路入口へ向けて移送する。このとき、開閉蓋は開かれ、送米路入口は開放される。したがって、計量羽根によって移送された米は、送米路入口を介して送米路220に供給される。
このように、計量羽根は、米を軸方向(水平方向)に移動させながら計量を行うことができる。送米路220に供給される米の計量は、例えば、計量羽根の回転量または回転時間に基づいて行われる。なお、本実施形態では、米は水平方向に移送されるが、米の移動方向は水平方向に限定されない。例えば、計量羽根の軸方向が水平方向に対して傾斜していることによって、計量羽根が、米を水平方向に対して傾斜した方向に移送させることも可能である。
送米路220は、米計量部210の下方から、炊飯器1の後部を上方に向けて筐体3の上枠4の上方まで配管され、上枠4の上方を略水平方向に沿って鍋2の上方まで配管されている。送米路220の一端部は、米計量部210の筐体211の送米路入口と連通している。送米路220の他端部は、米分離装置170と連通している。
米分離装置170は、鍋2の上方に配置されている。米分離装置170は、側方において送米路220及び排気路180と連通している。また、米分離装置170は、下方において鍋2の内部と連通している。米分離装置170は、送米ファンを備えている。送米ファンは、送米路220の空気を吸い込むことによって、送米路220の中の米及び空気を米分離装置170へ移送させる吸気ファンである。送米路220から米分離装置170へ吸い込まれた空気は、排気路180へ進む。送米路220から米分離装置170へ吸い込まれた米は、自重によって鍋2の内部へ落下し、排気路180へ進まない。これにより、送米路220から米分離装置170へ吸い込まれた米と空気とは米分離装置170におい9分離される。米分離装置170において分離された空気は、排気路180を介して炊飯器1の外部へ排出される。米分離装置170において分離された米は、鍋2の内部へ排出される。米分離装置170が米と空気とを分離する構成は公知であるため、ここでは、米分離装置170の内部構成のこれ以上の詳細な説明は省略される。
図3に示すように、水容器300は、筐体3の内部に設けられている。水容器300は、内部空間を有している。水容器300の内部空間に水が収容される。
水容器300は、筐体3の前下部に位置している。水容器300は、筐体3の下枠5に支持されている。つまり、水容器300は、下枠5の上方に位置している。
図4及び図6に示すように、水容器300は、鍋2及び加熱ユニット8の下方に位置している。平面視において、水容器300は、鍋2及び加熱ユニット8と重複している。本実施形態では、平面視において、水容器300の一部が鍋2及び加熱ユニット8と重複しているが、水容器300の全部が鍋2及び加熱ユニット8と重複していてもよい。
水容器300は、米容器100の横に位置している。言い換えると、平面視において、米容器100は、水容器300から外れた位置にある。
図1に示すように、筐体3は、開閉扉31を備える。開閉扉31は、筐体3の前面3Aの下部に設けられている。開閉扉31が開かれることによって、筐体3の内部に配置された水容器300(図3参照)が外部に露出される。水容器300は、筐体3の内部に着脱自在に収納されている。ユーザは、水を補給するために、外部に露出された水容器300を前方に引き抜いて取り出すことができる。
図4に示すように、送水部400は、水容器300から鍋2へ水を移送するための送水路410と、水を移動させる送水ポンプ420とを備える。
送水路410は、水容器300の下部から、炊飯器1の後部を上方に向けて筐体3の上枠4の上方まで配管され、上枠4の上方を略水平方向に沿って鍋2の上方まで配管されている。送水路410の一端部は、送水路入口310と連通している。送水路入口310は、水容器300の側壁の下部に形成されている。水容器300の内部空間は、送水路入口310を介して、送水路410と連通している。送水路410の他端部は、鍋2の内部と連通している。
送水ポンプ420は、例えば、送水の向きを制御できるギヤポンプ、チュービングポンプ等のポンプである。送水ポンプ420が駆動されることによって、水容器300に収容された水が送水路410を経由して鍋2の内部へ供給される。鍋2の内部へ供給される水の計量は、例えば、送水ポンプ420の駆動時間に基づいて行われる。
図10は、図1の炊飯器の内部構造を示す斜視図である。図10に示すように、炊飯器1は、補強部材9を備える。
補強部材9は、加熱ユニット8より下方に位置し、下枠5より上方に位置する。言い換えると、補強部材9は、上下方向において、加熱ユニット8と下枠5との間に位置する。
図11は、補強部材の外観を示す斜視図である。図11に示すように、補強部材9は、一対の縦延設部91と、横延設部92とを備える。本実施形態において、一対の縦延設部91と横延設部92とは、一体に形成されている。
図10に示すように、一対の縦延設部91の一方である縦延設部91Aは、炊飯器1を前方から見たときに水容器300の右方に位置している。一対の縦延設部91の他方である縦延設部91Bは、炊飯器1を前方から見たときに水容器300の左方に位置している。つまり、一対の縦延設部91は、平面視において水容器300を挟むように配置されている。
図10及び図11に示すように、横延設部92は、幅方向に延びている。横延設部92の幅方向の一端部は、縦延設部91Aの上端部と繋がっている。横延設部92の幅方向の他端部は、縦延設部91Bの上端部と繋がっている。言い換えると、一対の縦延設部91は、横延設部92から下方へ延びている。
図10に示すように、一対の縦延設部91の各々の下部に、板状部材18がネジ19によって連結されている。板状部材18の下端部は、屈曲している。この屈曲した板状部材18の下端部は、筐体3の下枠5に支持されている。つまり、本実施形態において、一対の縦延設部91は、板状部材18を介して下枠5に支持されている。なお、一対の縦延設部91は、下枠5に直接支持されていてもよい。
上下方向において、横延設部92は、加熱ユニット8と水容器300との間に位置する。言い換えると、横延設部92は、加熱ユニット8の真下に位置し且つ水容器300の真上に位置している。更に言い換えると、横延設部92は、平面視において加熱ユニット8及び水容器300と重複している。
本実施形態において、横延設部92は、図11に示すように、曲がっている。横延設部92は、一対の傾斜部921と、中央部922とを備える。一対の傾斜部921は、横延設部92の幅方向の両端側を構成している。中央部922は、一対の傾斜部921の間に位置している。
一対の傾斜部921の一方における幅方向の外側の端部は、縦延設部91Aと繋がっている。一対の傾斜部921の他方における幅方向の外側の端部は、縦延設部91Bと繋がっている。一対の傾斜部921の各々における幅方向の内側の端部は、中央部922と繋がっている。一対の傾斜部921の各々は、幅方向の中央部に近づくにしたがって前方に位置するように、幅方向に対して傾斜している。中央部922は、幅方向に沿って延びている。
以上のように構成されていることにより、平面視において、横延設部92は、図10に示すように、縦延設部91から離れるにしたがって前方に位置するように曲がっている。平面視において前方へ曲がった横延設部92は、鍋2の中心部から前方に外れている。なお、横延設部92は、縦延設部91から離れるにしたがって後方に位置するように曲がっていてもよい。
図11に示すように、横延設部92における中央部922と傾斜部921との境界部に、貫通穴93が形成されている。一方、図10に示すように、加熱ユニット8の保持部82は、被支持部823を備えている。被支持部823は、保護枠カバー822の外側面に形成されており、下方へ延設されている。被支持部823の下端部は、横延設部92の貫通穴93に挿入されている。被支持部823は、被支持部823の下端部より上の部分に、被支持部823の他の部分より大きな直径の大直径部823Aを備える。大直径部823Aは、横延設部92の上面に支持されている。つまり、横延設部92は、加熱ユニット8の保持部82を支持している。なお、貫通穴93が形成される位置は前記の位置に限らず、貫通穴93は横延設部92の任意の位置に形成可能である。また、被支持部823は、貫通穴93の真上となる位置に設けられる。
本実施形態において、被支持部823は、図6に示すように、鍋閉塞位置の蓋体7の回動先端部7Aの真下に位置している。言い換えると、蓋体7が鍋閉塞位置に位置するとき、横延設部92の保持部82に対する支持位置に形成された貫通穴93は、回動先端部7Aの真下に位置している。なお、被支持部823は、蓋体7の嵌合部71と筐体3の上枠4の被嵌合部42との嵌合位置の真下に位置していてもよい。
制御部20は、炊飯器1の全体の動作を制御する。例えば、制御部20は、記憶部25(図12参照)に記憶されたプログラムと、当該プログラムを読み込んで実行するプロセッサ22(図6参照)とを備えている。本実施形態において、制御部20は、図6に示すように、プリント基板21と、プリント基板21に実装された電子部品とを備えている。電子部品は、例えば、プロセッサ22、記憶部25(図12参照)、ヒートシンク23、及び他の種々の電子部品24である。
プリント基板21は、水容器300及び鍋2の後方に配置されている。プリント基板21の表面は後方を向いている。プリント基板21の裏面は前方を向いている。プロセッサ22、記憶部、ヒートシンク23、及び他の種々の電子部品24は、プリント基板21の表面に実装されている。
図12は、炊飯器1のハードウェア構成を例示するブロック図である。図12に示すように、炊飯器1は、制御部20と、記憶部25と、信号出力部26と、信号入力部27と、通信インタフェース(I/F)28とを備える。
制御部20は、炊飯器1の全体の動作を制御する。制御部20の制御によって、後述する炊飯工程等の工程が実行される。
記憶部25は、炊飯器1の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを含む種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部25は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)などの半導体メモリ装置、ハードディスク等の磁気記憶装置、その他の記憶デバイス単独で又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部25は、種々の情報を一時的に記憶する高速動作可能なSRAM、DRAMなどの揮発性メモリを含んでもよい。
制御部20は様々な態様で実現可能である。例えば、制御部20として、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現するプロセッサを用いてもよい。制御部20としてプロセッサを用いれば、制御部20は、プログラムを格納している記憶部25からプログラムを読み込んでこれを実行することで、各種処理を実行することができる。記憶部25に格納されたプログラムを変更することで処理内容を変更できるので、制御内容の変更の自由度を高めることができる。プロセッサ22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、及び、MPU(Micro-Processing Unit)を含む。また、制御部20としてプログラムの書き換えが不可能なワイヤードロジックを用いてもよい。制御部20としてワイヤードロジックを用いれば、処理速度の向上に有効である。ワイヤードロジックとしては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等がある。また、制御部20は、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現されてもよい。制御部20を、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現すれば、ソフトウェア設計の自由度を高めつつ、処理速度を向上することができる。また、制御部20と、制御部20と別の機能を有する回路とを、1つの半導体素子で構成してもよい。別の機能を有する回路としては、例えば、A/D・D/A変換回路などがある。また、制御部20は、1つの半導体素子で構成されてもよいし、複数の半導体素子で構成されてもよい。複数の半導体素子で構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を、互いに異なる半導体素子で実現してもよい。さらに、半導体素子と抵抗又はコンデンサなどの受動部品とを含む構成によって制御部20を構成してもよい。
通信インタフェース28は、炊飯器1と外部機器との通信を可能にするものであればよい。通信インタフェース28は、様々な態様で実現可能である。例えば、通信インタフェース28は、外部機器と有線で接続する態様であってもよいし、外部機器と無線で通信接続する態様であってもよい。本開示の装置と外部機器とを有線で接続する通信インタフェース28であれば、通信のセキュリティ性、及び、通信の安定性において有効である。有線接続の通信インタフェース28としては、例えば、Ethernet(イーサネット:登録商標)規格に基づく有線LAN、又は、光ファイバーケーブルを用いた有線接続などがある。無線接続の通信インタフェース28としては、基地局等を介しての外部機器との無線接続、又は、外部機器との直接無線接続などがある。基地局等を介しての外部機器との無線接続としては、例えば、WiFi(ワイファイ:登録商標)ルータと無線通信するIEEE802.11対応の無線LAN、第3世代移動通信システム(通称3G)、第4世代移動通信システム(通称4G)、第5世代移動通信システム(通称5G)、IEEE802.16対応のWiMax(ワイマックス:登録商標)、又は、LPWA(Low Power Wide Area)などがある。本開示の装置と外部機器とを直接無線接続する通信インタフェース28を用いれば、通信のセキュリティ性の向上に有効である。また、本開示の装置と外部機器とを直接無線接続する通信インタフェース28を用いれば、WiFi(ワイファイ:登録商標)ルータなどの中継機器が存在しない場所でも、本開示の装置は外部機器と通信できる。本開示の装置と外部機器とを直接無線接続する通信インタフェース28としては、例えば、Bluetooth(ブルートゥース:登録商標)による通信、ループアンテナを介したNFC(Near Field Communication)による通信、又は、赤外線通信などがある。
信号出力部26は、制御部20へ信号を出力する。信号出力部26は、例えば、カウンタ51と、超音波センサ52と、収容検知部53と、温度センサ54と、ユーザインタフェース(UI)55と、を含む。
カウンタ51は、時間をカウントする。カウンタ51は、制御部20からの指示によってカウントのスタート及びストップと、カウントされた値のリセットとを実行する。本実施形態では、カウンタ51は制御部20とは別に設けられているが、カウンタ51は制御部20に含まれていてもよい。
超音波センサ52は、蓋体7の下面に設けられている。図7に示すように、超音波センサ52は、発信部52Aと受信部52Bとを備える。蓋体7が鍋閉塞位置のとき、発信部52A及び受信部52Bは、鍋2の内部を向いている。発信部52Aは、制御部20の指示によって、鍋2の内部へ向けて超音波を発信する。受信部52Bは、発信部52Aによって発信されて反射した超音波を受信する。カウンタ51は、制御部20の指示によって、発信部52Aが超音波を発信してから受信部52Bが超音波を受信するまでの時間をカウントする。制御部20は、カウンタ51から取得した当該時間に応じて、鍋2内に予め設定された設定量より多い炊飯部があるか否かを検知する。設定量は、鍋2内に残される可能性がある任意の量に設定可能である。鍋2内に炊飯物が無いか否かを判定する場合、設定量をゼロに設定することも可能である。
本実施形態において、前記の設定量に応じて決定された時間閾値が、記憶部25に予め記憶される。カウンタ51から取得した前記の時間が時間閾値より短い場合、制御部20は、鍋2内に前記の設定量より多い炊飯物があると判断する。鍋2内に残存した炊飯物によって、超音波センサ52と超音波の反射位置との距離が短くなり、前記の時間が短くなるためである。一方、カウンタ51から取得した前記の時間が時間閾値より長い場合、制御部20は、鍋2内に前記の設定量より多い炊飯物が無いと判断する。なお、本実施形態では、カウンタ51から取得した前記の時間が時間閾値と同じ場合、制御部20は、鍋2内に前記の設定量より多い炊飯物があると判断する。
以上より、本実施形態では、超音波センサ52が、鍋2内に予め設定された設定量より多い炊飯物があるか否かを検知する残量検知部として機能する。
なお、残量検知部として機能するのは、超音波センサ52に限らない。
例えば、図12に破線で示す赤外線センサ56が残量検知部として機能してもよい。赤外線センサ56は、発光部と受光部と蓋とを備える。蓋体7が鍋閉塞位置のとき、発光部及び受光部は、鍋2の内部を向いている。蓋は、発光部及び受光部を下方から覆っている。これにより、発光部及び受光部は、蓋によって鍋2内から遮断されている。なお、蓋は、赤外線を通す透光性を有する材料で構成されている。受光部は、筐体3に収容された鍋2が空のときに、発光部から照射されて鍋2の内面で反射した赤外線の進路上に配置されている。発光部は、制御部20の指示によって、鍋2の内部へ向けて赤外線を照射する。受光部には、発光部によって照射されて反射した赤外線が入射される。受光部は、入射した赤外線の光量に応じた信号を出力する。制御部20は、受光部から取得した信号に対応する赤外線の光量に応じて、鍋2内に設定量より多い炊飯部があるか否かを検知する。
例えば、前記の設定量に応じて決定された光閾値が、記憶部25に予め記憶される。前記の赤外線の光量が光閾値より小さい場合、制御部20は、鍋2内に前記の設定量より多い炊飯物があると判断する。鍋2内に残存した炊飯物によって、反射した赤外線の向きが変わり、受光部に到達する赤外線の光量が少なくなるためである。一方、前記の赤外線の光量が光閾値より大きい場合、制御部20は、鍋2内に前記の設定量より多い炊飯物が無いと判断する。
また、例えば、重量センサが、残量検知部として機能してもよい。重量センサは、筐体3に収容された鍋2の荷重が上方から作用可能な位置に配置されている。重量センサは、筐体3に収容された鍋2の重量に応じた信号を出力する。重量センサから信号を取得した制御部20は、当該信号に応じた鍋2の重量に応じて、鍋2内に予め設定された設定量より多い炊飯部があるか否かを検知する。例えば、空の鍋2の重量に前記の設定量が加算された閾値量が、記憶部25に予め記憶される。重量センサから信号を取得した制御部20は、当該信号に応じた鍋2の重量を閾値量と比較する。鍋2の重量が閾値量より小さい場合、制御部20は、鍋2内に前記の設定量より多い炊飯物がないと判断する。一方、鍋2の重量が閾値量より大きい場合、制御部20は、鍋2内に前記の設定量より多い炊飯物があると判断する。
また、例えば、カメラが、残量検知部として機能してもよい。カメラは、例えば、蓋体7の下面に設けられる。蓋体7が鍋閉塞位置のとき、カメラは、鍋2の内部を撮像可能である。カメラは、撮像により得られた画像を出力する。制御部20は、取得した画像に基づいて、鍋2内に炊飯物が残存しているか否かを判断する。例えば、制御部20は、取得した画像において米の色である白色部分の割合が予め設定された割合より大きい場合に、鍋2内に前記の設定量より多い炊飯物があると判断する。一方、制御部20は、取得した画像において白色部分の前記の割合より小さい場合に、鍋2内に前記の設定量より多い炊飯物がないと判断する。
図12に示す収容検知部53は、鍋2が筐体3に収容されているか否かを検知する。本実施形態において、収容検知部53は、リミットスイッチである。リミットスイッチは、筐体3の内部における鍋2と接触可能な位置に設けられている。鍋2が筐体3に収容されていないとき、リミットスイッチは、鍋2と接触していない。このとき、リミットスイッチは、鍋2が筐体3に収容されていないことを示す信号(例えばローレベルの信号)を出力する。鍋2が筐体3に収容されているとき、リミットスイッチは、鍋2と接触する。このとき、リミットスイッチは、鍋2が筐体3に収容されていることを示す信号(例えばハイレベルの信号)を出力する。
収容検知部53は、鍋2が筐体3に収容されているか否かを検知可能なものであればよく、リミットスイッチに限らない。
例えば、収容検知部53は、鍋2が近接しているときと近接していないときで異なる信号を出力する近接センサであってもよい。
また、例えば、前述した重量センサが収容検知部53として用いられてもよい。この場合、制御部20は、重量センサから取得した信号に応じた重量がゼロである場合に、鍋2が筐体3に収容されていないことを検知する。一方、制御部20は、重量センサから取得した信号に応じた重量がゼロでない場合に、鍋2が筐体3に収容されていることを検知する。
図12に示す温度センサ54は、鍋2の下方における鍋2に近接する位置に配置されている。温度センサ54は、平面視において鍋2の中央部の下方に配置されている。温度センサ54は、鍋2の底部の温度を検知することによって、鍋2内の温度を検知する。温度センサ54は、検知した温度に関する情報を出力する。
図12に示すユーザインタフェース55は、例えば、ユーザからの入力を受け付けるボタン、及びタッチパネル等で構成される。ユーザインタフェース55は、例えば、蓋体7の上面7B(図1参照)に設けられる。ユーザは、例えば、ユーザインタフェース55を操作して、炊飯量、調理方法、炊き上がり時刻等を設定する。
ユーザインタフェース55は、ユーザが炊飯器1に対して情報を入力するために用いられる。ユーザインタフェース55としては様々な実施の形態が考えられる。例えば、機械式の操作部材類でユーザインタフェース55を構成してもよい。また、ディスプレイの上方に設置された透明板状の操作部材でユーザインタフェース55を構成してもよい。このような透明板状の操作部材は、接触式のものを用いることもできるし、非接触式のものを用いることもできる。また、カメラを用いてユーザの動作を撮影し、その動作を炊飯器1が認識することで、ユーザインタフェース55としてもよい。また、ユーザの発する音を炊飯器1が受信することで、ユーザインタフェース55としてもよい。このような構成としてはスマートスピーカなどが該当する。
ユーザインタフェース55をいずれの場所に設けるかに関しても様々な実施の形態が考えられる。ユーザインタフェース55は、炊飯器1に設けてもよいし、炊飯器1とは別体として設けてもよい。ユーザインタフェース55を炊飯器1と別体として設ける場合は、ユーザインタフェース55と炊飯器1との間を、有線または無線により通信可能とする。この場合、ユーザインタフェース55と炊飯器1とを直接的に通信可能してもよいし、インターネットまたはアクセスポイントなどを介在させて間接的に通信可能としてもよい。また、無線で通信する場合、移動体通信方式で通信可能としてもよいし、その他の規格に準拠して通信可能としてもよい。さらに、無線で通信する場合、遠隔無線を用いてもよいし、近接無線を用いてもよい。
図12に示す信号入力部27には、制御部20からの信号が入力される。制御部20は、信号入力部27に信号を出力することによって、信号入力部27の動作を制御する。信号入力部27は、例えば、図12に示すように、前述の加熱部81と、圧力弁15と、モータ212とを含む。また、信号入力部27は、更に、表示部61と、スピーカ62とを含む。また、図12に示されていないが、信号入力部27は、送水ポンプ420(図4参照)及び送米ファン(不図示)を含む。
表示部61は、炊飯器1のディスプレイ等で構成される。表示部61は、例えば、蓋体7の上面7B(図1参照)に設けられる。スピーカ62は、音声出力を行う。スピーカ62は、例えば、筐体3の外側面に設けられる。表示部61及びスピーカ62は、報知部の一例である。例えば、前述のユーザインタフェース55がタッチパネルで構成されている場合、表示部61はタッチパネルの画面であってもよい。
本実施形態では、炊飯器1は、米容器100を備えているが、米容器100を備えていなくてもよい。この場合、送米部200は、炊飯器1とは別に設けられた米容器と接続されており、当該米容器に収容された米を鍋2内に供給する。
本実施形態では、炊飯器1は、水容器300を備えているが、水容器300を備えていなくてもよい。この場合、送水部400は、水道等の外部水源と接続されており、当該外部水源から鍋2内に水を供給する。
本実施形態では、平面視において、米容器100は水容器300から外れた位置にある。しかし、平面視において、米容器100及び水容器300は重複していてもよい。
本実施形態では、筒部120の投入口121は、筐体3の上枠4、及び上枠4の挿入口41に挿入された鍋2より上方に位置している。しかし、投入口121の高さは、上枠4の高さ以下であってもよいし、鍋2の高さ以下であってもよい。
本実施形態では、蓋体150は、回動することによって米容器100の投入口121を開閉し、蓋体7は、回動することによって鍋2を露出及び閉塞している。しかし、蓋体150及び蓋体7の移動手段は、回動に限らない。例えば、蓋体150及び蓋体7は、回動ではなく、スライドすることによって移動してもよい。また、例えば、蓋体150及び蓋体7は、着脱されることによって移動してもよい。
補強部材9の形状及び配置位置は、図10及び図11に示すような形状及び配置位置に限らない。補強部材9は、上下方向において加熱ユニット8と水容器300との間に位置し、加熱ユニットを支持し且つ下枠5に支持されていればよい。
本実施形態では、炊飯器1は、圧力式炊飯器であったが、圧力式以外の炊飯器であってもよい。
<第1実施形態>
以下、本実施形態において、制御部20の制御によって実行される炊飯器1の炊飯工程が説明される。炊飯工程において、制御部20は、供給部500を制御して米及び水を鍋2内に供給させてから加熱部81を制御して鍋2を加熱させる。制御部20は、炊飯指示の情報を外部から取得した後に、炊飯工程を開始する。例えば、炊飯指示の情報は、ユーザインタフェース55を通じたユーザによる炊飯指示の入力に応じて、ユーザインタフェース55から制御部20へ送られる。
図13は、炊飯工程の一例を示すフローチャートである。炊飯工程は、送米工程S20と、送水工程S30と、前炊き工程S40と、昇温工程S50と、沸騰工程S60と、蒸らし工程S70とを含む。本実施形態では、図13に示すように、鍋検知工程S200が、ステップS10と送米工程S20との間に実行される。つまり、制御部20は、炊飯指示を受け付けると(S10)、鍋検知工程S200を実行する。
また、本実施形態において、制御部20は、炊飯工程とは別に、鍋脱着検知工程を実行する。鍋脱着検知工程は、鍋2が筐体3から取り外されてその後に筐体3に収容されたこと、つまり鍋2が筐体3に対して脱着されたことを検知する工程である。
図14は、鍋脱着検知工程の一例を示すフローチャートである。鍋脱着検知工程は、一定時間間隔で実行される。一定時間は、100(μs)等の任意の時間に設定される。以下、図14が参照されつつ、鍋脱着検知工程が説明される。次に、図13が参照されつつ、鍋検知工程及び炊飯工程が説明される。
図14に示すように、ステップS110において、制御部20は、鍋2が筐体3に収容された鍋有の状態から、鍋2が筐体3から取り外された鍋無の状態へ状態遷移したか否かを判定する。当該判定は、収容検知部53から取得した信号に基づいて行われる。例えば、収容検知部53であるリミットスイッチから制御部20が取得した信号がハイレベルからローレベルに切り替わった場合、制御部20は、鍋有の状態から鍋無の状態へ状態遷移したと判定する。
鍋有の状態から鍋無の状態へ状態遷移していない場合(S110:No)、鍋脱着検知工程は終了する。
鍋有の状態から鍋無の状態へ状態遷移した場合(S110:Yes)、制御部20は、鍋無であることを示す鍋無エラーを報知する(S120)。当該報知は、例えば、制御部20によって制御された表示部61におけるメッセージの表示、及び制御部20によって制御されたスピーカ62における音声出力等によって行われる。
ステップS120の後のステップS130において、制御部20は、鍋無の状態から鍋有の状態へ状態遷移したか否かを判定する。当該判定は、ステップS120と同様に、収容検知部53から取得した信号に基づいて行われる。例えば、収容検知部53であるリミットスイッチから制御部20が取得した信号がローレベルからハイレベルに切り替わった場合、制御部20は、鍋無の状態から鍋有の状態へ状態遷移したと判定する。
鍋無の状態から鍋有の状態へ状態遷移していない場合(S130:No)、鍋無エラーの報知が続行される(S120)。
鍋無の状態から鍋有の状態へ状態遷移した場合(S130:Yes)、制御部20は、鍋無の状態であった時間が設定時間より長いか否かを判定する。
鍋無の状態であった時間は、カウンタ51によってカウントされる。制御部20は、ステップS110において鍋有の状態から鍋無の状態へ状態遷移したと判定すると、カウンタ51を制御して時間のカウントをスタートさせる。また、制御部20は、ステップS130において鍋無の状態から鍋有の状態へ状態遷移したと判定すると、カウンタ51を制御して時間のカウントをストップさせる。このときのカウンタ51によるカウント値によって、鍋無の状態であった時間が求められる。この場合、カウンタ51は、鍋2が筐体3に収容されていない時間をカウントする非収容計時部として機能する。
設定時間は、予め記憶部25に記憶される。設定時間は、様々な値に設定される。例えば、鍋2が一瞬だけ持ち上げられたことを、鍋2の脱着とは見なさないようにする場合、設定時間は、2秒等の短い時間に設定される。また、例えば、筐体3から取り外された鍋2が洗浄された上で筐体3へ収容されたことが、鍋2の脱着とみなすための必須要件とする場合、設定時間は、鍋2を洗浄するために十分な時間、例えば1分等に設定される。
鍋無の状態であった時間が設定時間より長い場合(S140:Yes)、制御部20は、脱着情報を記憶部25に記憶する(S150)。脱着情報は、鍋2が脱着されたか否かを識別するための情報である。脱着情報は、例えば、記憶部25の特定のアドレスに設定されたフラグである。この場合、脱着情報を記憶部25に記憶するとは、フラグをセットすること、例えば前記の特定のアドレスに「1」の情報を記憶することである。また、この場合、脱着情報を記憶部25から削除するとは、フラグをリセットすること、例えば前記の特定のアドレスに「0」の情報を記憶することである。
鍋無の状態であった時間が設定時間より短い場合(S140:No)、鍋脱着検知工程は終了する。この場合、制御部20は、脱着情報を記憶部25に記憶しない。なお、本実施形態では、鍋無の状態であった時間が設定時間と同じ場合も、脱着情報が記憶部25に記憶されることなく、鍋脱着検知工程は終了する。
次に、鍋検知工程が説明される。図13に示すように、制御部20は、炊飯指示を受け付けると(S10)、鍋検知工程S200を実行する。図15は、鍋検知工程の一例を示すフローチャートである。以下、図15が参照されつつ、鍋検知工程が説明される。
図15に示すように、ステップS210において、制御部20は、鍋有の状態であるか否かを判定する。当該判定は、収容検知部53から取得した信号に基づいて行われる。例えば、収容検知部53であるリミットスイッチから制御部20が取得した信号がハイレベルである場合、制御部20は鍋有の状態であると判定する。一方、リミットスイッチから制御部20が取得した信号がローレベルである場合、制御部20は鍋無の状態であると判定する。
鍋無の状態である場合(S210:No)、制御部20は、ステップS120と同様の鍋無エラーを報知する(S220)。この場合、制御部20は、送米工程S20以降の炊飯工程を開始しない。つまり、制御部20は、炊飯工程を開始しないと決定した場合、ステップS220において炊飯工程を開始しないことを示す情報として鍋無エラーを報知する。
鍋有の状態である場合(S210:Yes)、制御部20は、記憶部25に脱着情報が記憶されているか否か判定する(S230)。
脱着情報が記憶部25に記憶されている場合(S230:Yes)、制御部20は、送米工程S20以降の炊飯工程を開始する。
脱着情報が記憶部25に記憶されていない場合(S230:No)、制御部20は、前回実行された炊飯工程の後から現在までに鍋2が清掃されていないことを示す鍋清掃エラーを報知する(S240)。当該報知は、ステップS120と同様に、表示部61におけるメッセージの表示、及びスピーカ62における音声出力等によって行われる。この場合、制御部20は、送米工程S20以降の炊飯工程を開始しない。つまり、制御部20は、炊飯工程を開始しないと決定した場合、ステップS240において炊飯工程を開始しないことを示す情報として鍋清掃エラーを報知する。
なお、脱着情報は、例えば、ステップS230の実行後から炊飯工程の実行終了までの任意のタイミングで記憶部25から削除される。
次に、図13が参照されつつ、通常動作の炊飯工程が説明される。通常動作とは、制御部が炊飯指示を受け取ったときに実行するように予め定められている動作である。例えば、通常動作とは、炊飯工程において、制御部20が外部から取得した炊飯指示に含まれている情報に応じて定められる動作である。例えば、炊飯する米の量に関する情報が炊飯指示に含まれている場合、通常動作は、炊飯指示に含まれている情報に応じた量の米を炊飯するために予め設定された加熱時間、炊飯手順等で実行される動作である。
送米工程S20において、制御部20は、炊飯指示に応じて、炊飯に必要な米の量を決定する。制御部20は、送米部200を制御して、決定した量の米を米容器100から鍋2内へ送る。
送水工程S30において、制御部20は、炊飯指示に応じて、炊飯に必要な水の量を決定する。制御部20は、送水部400を制御して、決定した量の水を水容器300から鍋2内へ送る。
送米工程S20及び送水工程S30は、並行して実行されてもよい。送水工程S3は、送米工程S2より先に実行されてもよい。
図16は、前炊き工程と、昇温工程と、沸騰工程と、蒸らし工程とにおける、時刻(分)と鍋2内の温度(℃)との関係を模式的に示すグラフである。
図16に示すように、前炊き工程S40において、制御部20は、加熱部81を制御して鍋2を加熱する。このとき、制御部20は、鍋2内の温度を糊化温度以下(例えば55度)に保ち、米に吸水させる。制御部20は、鍋2内の温度を、温度センサ54から入力された情報に基づいて認識する。
昇温工程S50において、制御部20は、加熱部81を制御して前炊き工程S40のときより強く鍋2を加熱し、鍋2内の温度を上昇させ、鍋2内を沸騰状態に移行させる。
沸騰工程S60において、制御部20は、加熱部81を制御して、昇温工程S50のときより弱く鍋2を加熱する。但し、加熱部81による加熱強度は、鍋2内の水の沸騰が維持される程度に保たれる。
沸騰工程S60において、制御部20は、圧力弁15を開閉させる。圧力弁15が閉じられることにより、鍋2内の圧力が上昇する。なお、図16では、圧力弁15が3回閉じられることによって、鍋2内の圧力が3回上昇しているが、圧力弁15が閉じられる回数は3回に限らない。圧力弁15が開かれると、鍋2内の圧力が一気に大気圧近傍まで低下し、突沸が発生する。突沸によって生じた泡によって、米粒が攪拌される。
鍋2内の水が米に吸収されること及び沸騰することによって、鍋2内の水が無くなると、加熱によって鍋2内の温度は上昇して水の沸点(100℃)より高くなる。制御部20は、鍋2内の温度が水の沸点より高い温度(例えば120℃)に達すると、加熱部81を制御して、鍋2の加熱を停止する。この鍋2の加熱が停止されている期間が蒸らし工程S70である。
蒸らし工程S70において、制御部20は、圧力弁15を短時間閉じると共に、加熱部81を制御して鍋2を短時間加熱する。これにより、鍋2を上方から覆う蓋体7の下面に付着している水滴が気化する。
本実施形態において、制御部20は、収容検知部53から取得した信号に基づいて、脱着情報を記憶部25に記憶するか否かを決定する。また、制御部20は、脱着情報が記憶部25に記憶されている場合、前回の炊飯工程の終了以降に鍋2内が清掃等されることによって、鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定する。この場合、制御部20は、炊飯工程を開始する。一方、制御部20は、脱着情報が記憶部25に記憶されていない場合、前回の炊飯工程の終了以降に鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定しない。この場合、制御部20は、炊飯工程を開始しない。以上より、本実施形態において、収容検知部53は、鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定するための推定情報として、鍋2が筐体3に収容されているか否かを検知するための信号を出力する。つまり、本実施形態において、収容検知部53は、推定部に含まれる。なお、前記の「炊飯物が無くなった」とは、鍋2内に残存する炊飯物が全く無い状態、例えば鍋2内に米粒が1粒も存在しない状態の他、鍋2内に残存する炊飯物が設定量以下である状態も含む。
本実施形態によれば、推定情報に基づいて、鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定することができる。鍋内の炊飯物が無くなったことが推定されない場合、制御部20は次の炊飯工程を実行しない。これにより、鍋2内に炊飯物が残っている状態で次の炊飯のために鍋2内に米及び水が供給されて、炊飯が開始されてしまうことを防止できる。その結果、所望より低い食味の炊飯物が炊飯されることを抑えることができる。
本実施形態によれば、収容検知部53の検知結果に基づいて、炊飯工程後に鍋2が筐体3から取り外され、その後に鍋2が再び筐体3に収容されたか否かを判別することができる。鍋2が一時的に筐体3から取り外された場合、鍋2内の炊飯物が取り除かれたと判断することができる。一方、鍋2が筐体3から取り外されていない場合、鍋2内の炊飯物が取り除かれていないと判断することができる。鍋2内の炊飯物が取り除かれていないと判断された場合、炊飯工程が開始されないため、内部の炊飯物が取り除かれていない鍋2で炊飯が実行される可能性を低くすることができる。
例えば、鍋2が筐体3から短時間だけ取り外された場合、鍋2内の炊飯物が取り除かれた可能性は低い。本実施形態によれば、制御部20は、カウンタ51によってカウントされた時間が設定時間より短い場合には、記憶部25に脱着情報を記憶しない。これにより、鍋2が筐体3から短時間だけ取り外された場合、鍋2内の炊飯物が取り除かれていないと判断することができる。
本実施形態によれば、表示部61及びスピーカ62によって、炊飯後に鍋2内の炊飯物が取り除かれていないことをユーザに知らせることができる。
<第2実施形態>
以下、本実施形態において、制御部20の制御によって実行される炊飯器1の炊飯工程が説明される。炊飯工程において、制御部20は、供給部500を制御して米及び水を鍋2内に供給させてから加熱部81を制御して鍋2を加熱させる。制御部20は、炊飯指示の情報を外部から取得した後に、炊飯工程を開始する。例えば、炊飯指示の情報は、ユーザインタフェース55を通じたユーザによる炊飯指示の入力に応じて、ユーザインタフェース55から制御部20へ送られる。
図17は、炊飯工程の一例を示すフローチャートである。炊飯工程は、送米工程S20と、送水工程S30と、前炊き工程S40と、昇温工程S50と、沸騰工程S60と、蒸らし工程S70とを含む。本実施形態では、図17に示すように、残量検知工程S300が、ステップS10と送米工程S20との間に実行される。
制御部20は、炊飯指示を受け付けると(S10)、残量検知工程S300を実行する。図18は、残量検知工程の一例を示すフローチャートである。以下、図18が参照されつつ、残量検知工程が説明される。
図18に示すように、ステップS310において、制御部20は、鍋2内に残存している炊飯物が設定量以下であるか否かを判定する。本実施形態において、当該判定は、カウンタ51から取得した時間に基づいて行われる。カウンタ51は、上述したように、超音波センサ52の発信部52Aが超音波を発信してから、超音波センサ52の受信部52Bが超音波を受信するまでの時間をカウントする。当該時間が時間閾値以上である場合、制御部20は、鍋2内に残存している炊飯物が設定量より多いと判定する。一方、当該時間が時間閾値未満である場合、制御部20は、鍋2内に残存している炊飯物が設定量以下であると判定する。なお、カウンタ51は、例えば、ステップS310の実行後にリセットされる。
鍋2内に残存している炊飯物が設定量より多い場合(S310:No)、制御部20は、鍋2内に設定量より多い炊飯物が残存していることを示す鍋内残量エラーを報知する(S320)。当該報知は、例えば、制御部20によって制御された表示部61におけるメッセージの表示、及び制御部20によって制御されたスピーカ62における音声出力等によって行われる。この場合、制御部20は、送米工程S20以降の炊飯工程を開始しない。つまり、制御部20は、炊飯工程を開始しないと決定した場合、ステップS320において炊飯工程を開始しないことを示す情報として鍋内残量エラーを報知する。
鍋2内に残存している炊飯物が設定量以下の場合(S310:No)、制御部20は、送米工程S20以降の炊飯工程を開始する。
次に、図17が参照されつつ、通常動作の炊飯工程が説明される。
送米工程S20において、制御部20は、炊飯指示に応じて、炊飯に必要な米の量を決定する。制御部20は、送米部200を制御して、決定した量の米を米容器100から鍋2内へ送る。
送水工程S30において、制御部20は、炊飯指示に応じて、炊飯に必要な水の量を決定する。制御部20は、送水部400を制御して、決定した量の水を水容器300から鍋2内へ送る。
送米工程S20及び送水工程S30は、並行して実行されてもよい。送水工程S3は、送米工程S2より先に実行されてもよい。
図19は、前炊き工程と、昇温工程と、沸騰工程と、蒸らし工程とにおける、時刻(分)と鍋2内の温度(℃)との関係を模式的に示すグラフである。
図19に示すように、前炊き工程S40において、制御部20は、加熱部81を制御して鍋2を加熱する。このとき、制御部20は、鍋2内の温度を糊化温度以下(例えば55度)に保ち、米に吸水させる。制御部20は、鍋2内の温度を、温度センサ54から入力された情報に基づいて認識する。
昇温工程S50において、制御部20は、加熱部81を制御して前炊き工程S40のときより強く鍋2を加熱し、鍋2内の温度を上昇させ、鍋2内を沸騰状態に移行させる。
沸騰工程S60において、制御部20は、加熱部81を制御して、昇温工程S50のときより弱く鍋2を加熱する。但し、加熱部81による加熱強度は、鍋2内の水の沸騰が維持される程度に保たれる。
沸騰工程S60において、制御部20は、圧力弁15を開閉させる。圧力弁15が閉じられることにより、鍋2内の圧力が上昇する。なお、図19では、圧力弁15が3回閉じられることによって、鍋2内の圧力が3回上昇しているが、圧力弁15が閉じられる回数は3回に限らない。圧力弁15が開かれると、鍋2内の圧力が一気に大気圧近傍まで低下し、突沸が発生する。突沸によって生じた泡によって、米粒が攪拌される。
鍋2内の水が米に吸収されること及び沸騰することによって、鍋2内の水が無くなると、加熱によって鍋2内の温度は上昇して水の沸点(100℃)より高くなる。制御部20は、鍋2内の温度が水の沸点より高い温度(例えば120℃)に達すると、加熱部81を制御して、鍋2の加熱を停止する。この鍋2の加熱が停止されている期間が蒸らし工程S70である。
蒸らし工程S70において、制御部20は、圧力弁15を短時間閉じると共に、加熱部81を制御して鍋2を短時間加熱する。これにより、鍋2を上方から覆う蓋体7の下面に付着している水滴が気化する。
本実施形態において、制御部20は、カウンタ51によってカウントされた時間に基づいて、鍋2内に残存している炊飯物が設定量以下であるか否かを決定する。前記の時間は、残量検知部として機能するものの一例である超音波センサ52が発信する超音波に基づいて決定される。つまり、残量検知部は、鍋2内に設定量より多い炊飯物があるか否かを検知する。制御部20は、鍋2内に設定量より多い炊飯物があることが残量検知部によって検知されない場合、前回の炊飯工程の終了以降に鍋2内が清掃等されることによって、鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定する。この場合、制御部20は、炊飯工程を開始する。一方、制御部20は、鍋2内に設定量より多い炊飯物があることが残量検知部によって検知された場合、前回の炊飯工程の終了以降に鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定しない。この場合、制御部20は、炊飯工程を開始しない。以上より、本実施形態において、残量検知部は、鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定するための推定情報として、鍋2内に設定量より多い炊飯物があるか否かを検知するための信号に相当する超音波を出力する。つまり、本実施形態において、残量検知部は、推定部に含まれる。なお、前記の「炊飯物が無くなった」とは、鍋2内に残存する炊飯物が全く無い状態、例えば鍋2内に米粒が1粒も存在しない状態の他、鍋2内に残存する炊飯物が設定量以下である状態も含む。
本実施形態によれば、推定情報に基づいて、鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定することができる。鍋2内の炊飯物が無くなったことが推定されない場合、制御部20は次の炊飯工程を実行しない。これにより、鍋2内に炊飯物が残っている状態で次の炊飯のために鍋2内に米及び水が供給されて、炊飯が開始されてしまうことを防止できる。その結果、所望より低い食味の炊飯物が炊飯されることを抑えることができる。
本実施形態によれば、残量検知部の検知結果に基づいて、鍋2内に設定量より多い炊飯物があるか否かを判別することができる。鍋2内に設定量より多い炊飯物がある場合、炊飯工程が開始されないため、炊飯物がある鍋で炊飯が実行される可能性を低くすることができる。
<第3実施形態>
以下、本実施形態において、制御部20の制御によって実行される炊飯器1の炊飯工程が説明される。炊飯工程において、制御部20は、供給部500を制御して米及び水を鍋2内に供給させてから加熱部81を制御して鍋2を加熱させる。制御部20は、炊飯指示の情報を外部から取得した後に、炊飯工程を開始する。例えば、炊飯指示の情報は、ユーザインタフェース55を通じたユーザによる炊飯指示の入力に応じて、ユーザインタフェース55から制御部20へ送られる。
図20は、炊飯工程の一例を示すフローチャートである。図21は、沸騰工程の一例を示すフローチャートである。炊飯工程は、送米工程S20と、送水工程S30と、前炊き工程S40と、昇温工程S50と、沸騰工程S61と、蒸らし工程S70とを含む。本実施形態では、沸騰工程S61が、図21のフローチャートに従って実行される。
図20に示すように、制御部20は、炊飯指示を受け付けると(S10)、炊飯工程を開始する。
送米工程S20において、制御部20は、炊飯指示に応じて、炊飯に必要な米の量を決定する。制御部20は、送米部200を制御して、決定した量の米を米容器100から鍋2内へ送る。
送水工程S30において、制御部20は、炊飯指示に応じて、炊飯に必要な水の量を決定する。制御部20は、送水部400を制御して、決定した量の水を水容器300から鍋2内へ送る。
送米工程S20及び送水工程S30は、並行して実行されてもよい。送水工程S3は、送米工程S2より先に実行されてもよい。
図22は、前炊き工程と、昇温工程と、沸騰工程と、蒸らし工程とにおける、時刻(分)と鍋2内の温度(℃)との関係を模式的に示すグラフである。
図22に示すように、前炊き工程S40において、制御部20は、加熱部81を制御して鍋2を加熱する。このとき、制御部20は、鍋2内の温度を糊化温度以下(例えば55度)に保ち、米に吸水させる。制御部20は、鍋2内の温度を、温度センサ54から入力された情報に基づいて認識する。
昇温工程S50において、制御部20は、加熱部81を制御して前炊き工程S40のときより強く鍋2を加熱し、鍋2内の温度を上昇させ、鍋2内を沸騰状態に移行させる。
昇温工程S50の後に、沸騰工程S61が実行される。以下、図21及び図22が参照されつつ、沸騰工程S61が説明される。
ステップS410において、制御部20は、昇温工程S50において鍋2内の温度が予め設定された設定温度Temに到達するまでの時間tが予め設定された昇温時間Tより長いか否かを判定する。
本実施形態において、設定温度Temは、水の沸点である100℃より少し低い温度に設定されている。また、本実施形態において、昇温時間Tは、通常動作の炊飯工程において炊飯指示に応じた量の水を沸騰させるために必要且つ十分な時間に設定されている。例えば、昇温時間Tは、通常動作の炊飯工程において炊飯指示に応じた量の水を沸騰させるために必要な時間に少しの時間をプラスした時間に設定されている。
鍋2内の温度は、温度センサ54によって検知される。昇温工程S50において鍋2内の温度が設定温度Temに到達するまでの時間tは、カウンタ51によってカウントされる。制御部20は、昇温工程S50が開始されると、カウンタ51を制御して時間のカウントをスタートさせる。また、制御部20は、鍋2内の温度が設定温度Temに到達すると、カウンタ51を制御して時間のカウントをストップさせる。このときのカウンタ51によるカウント値によって、昇温工程S50において鍋2内の温度が設定温度Temに到達するまでの時間tが求められる。つまり、この場合、カウンタ51は、昇温工程の実行開始からの時間をカウントする昇温計時部として機能する。
昇温工程S50において鍋2内の温度が設定温度Temに到達するまでの時間tが昇温時間T以下の場合(S410:Yes)、例えば図22において時間t=t1の場合、制御部20は、加熱部81を制御して、通常動作の炊飯工程における加熱強度で、鍋2を加熱する(S420)。このときの、加熱部81による加熱強度は、鍋2内の水の沸騰が維持される程度に保たれる。図22では、ステップS420が実行されるときの昇温工程S50における温度と、沸騰工程S60における電力とは、実線で示されている。
また、昇温工程S50において鍋2内の温度が設定温度Temに到達するまでの時間tが昇温時間T以下の場合(S410:Yes)、例えば図22において時間t=t1の場合、制御部20は、圧力弁15を開閉させる(S420)。圧力弁15が閉じられることにより、鍋2内の圧力が上昇する。なお、図22では、圧力弁15が3回閉じられることによって、鍋2内の圧力が3回上昇しているが、圧力弁15が閉じられる回数は3回に限らない。圧力弁15が開かれると、鍋2内の圧力が一気に大気圧近傍まで低下し、突沸が発生する。突沸によって生じた泡によって、米粒が攪拌される。図22では、ステップS420が実行されるときの沸騰工程S60における圧力は、実線で示されている。
昇温工程S50において鍋2内の温度が設定温度Temに到達するまでの時間tが昇温時間Tより長い場合(S410:No)、例えば図22において時間t=t2の場合、制御部20は、加熱部81を制御して、通常動作の炊飯工程における加熱強度より弱い加熱強度で、鍋2を加熱する(S430)。つまり、この場合、炊飯工程は、通常動作とは異なる動作で実行される。図22では、ステップS430が実行されるときの昇温工程S50における温度と、沸騰工程S60における電力とは、一点鎖線で示されている。
また、昇温工程S50において鍋2内の温度が設定温度Temに到達するまでの時間tが昇温時間Tより長い場合(S410:No)、例えば図22において時間t=t2の場合、制御部20は、圧力弁15を開いた状態に維持する(S430)。つまり、この場合、炊飯工程は、通常動作とは異なる動作で実行される。これにより、前述したような突沸の発生が低減される。図22では、ステップS430が実行されるときの沸騰工程S60における圧力は、一点鎖線で示されている。
なお、ステップS430において、通常動作の炊飯工程における加熱強度より弱い加熱強度で鍋2を加熱することと、圧力弁15を開いた状態に維持することとは、いずれか一方のみ実行されてもよい。
鍋2内の水が米に吸収されること及び沸騰することによって、鍋2内の水が無くなると、加熱によって鍋2内の温度は上昇して水の沸点(100℃)より高くなる。制御部20は、鍋2内の温度が水の沸点より高い温度(例えば120℃)に達すると、加熱部81を制御して、鍋2の加熱を停止する。この鍋2の加熱が停止されている期間が蒸らし工程S70である。
蒸らし工程S70において、制御部20は、圧力弁15を短時間閉じると共に、加熱部81を制御して鍋2を短時間加熱する。これにより、鍋2を上方から覆う蓋体7の下面に付着している水滴が気化する。
本実施形態において、制御部20は、カウンタ51によってカウントされた時間tに基づいて、炊飯工程の沸騰工程S61を通常動作とは異なる動作で実行するか否かを決定する。時間tは、温度センサ54によって検知された温度に基づいて決定される。制御部20は、時間tが昇温時間T以下の場合(S410:Yes)、前回の炊飯工程の終了以降に鍋2内が清掃等されることによって、鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定する。この場合、制御部20は、炊飯工程を通常動作で実行する(S420)。一方、制御部20は、時間tが昇温時間Tより長い場合、前回の炊飯工程の終了以降に鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定しない。この場合、制御部20は、炊飯工程を通常動作とは異なる動作で実行する(S430)。以上より、本実施形態において、温度センサ54は、鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定するための推定情報として、鍋2の底部の温度に関する情報を制御部20へ出力する。つまり、本実施形態において、温度センサ54は、推定部に含まれる。なお、前記の「炊飯物が無くなった」とは、鍋2内に残存する炊飯物が全く無い状態、例えば鍋2内に米粒が1粒も存在しない状態の他、鍋2内に残存する炊飯物が設定量以下である状態も含む。
本実施形態によれば、推定情報に基づいて、鍋2内の炊飯物が無くなったことを推定することができる。また、鍋2内の炊飯物が無くなったことが推定されない場合、制御部20は通常動作とは異なる動作で次の炊飯工程を実行する。これにより、鍋2内に炊飯物が残っている状態で次の炊飯のために鍋内に米及び水が供給された状態で、炊飯が開始されてしまった場合であっても、制御部20が炊飯工程における動作を変える。これにより、所望より低い食味の炊飯物が炊飯されることを抑えることができる。
鍋2内に炊飯物が残っている状態で米と水が鍋2に新たに供給された場合、想定よりも多量の米及び水が鍋内に存在する。この状態で炊飯工程が実行された場合、鍋2の底部の温度が設定温度Temに到達するまでに通常より長時間かかる。そのため、本実施形態によれば、カウンタ51によってカウントされた時間tが昇温時間Tより長いか否かによって、想定よりも多量の米及び水が鍋2内に存在するか否かを判別することができる。
また、想定よりも多量の米及び水が鍋2内に存在する状態で炊飯工程が実行された場合、水の沸騰等によって鍋2内の米及び水が鍋2外に溢れ出すおそれがある。本実施形態によれば、前記状態で炊飯工程が実行された場合に、加熱部81の加熱強度が弱くされるため、鍋2内の米及び水の鍋外への溢れ出しを低減することができる。
圧力弁15を備えた圧力式炊飯器では、圧力弁15を閉じることによって鍋2内の圧力を大気圧より高い状態とすることができる。この状態で圧力弁15を開くことによって鍋2内の圧力は一気に大気圧まで減圧する。このとき、鍋2内で爆発的な沸騰が発生する。ところで、鍋2内の炊飯物が取り除かれない状態で米と水が鍋2に新たに供給された場合、想定よりも多量の米及び水が鍋2内に存在する。この状態で炊飯工程において圧力弁15が閉じられた場合、上記の爆発的な沸騰によって鍋2内の米及び水が鍋2外に溢れ出すおそれがある。本実施形態によれば、前記状態で炊飯工程が実行された場合に、圧力弁15が開いた状態に維持されるため、上記の爆発的な沸騰が発生しない。これにより、鍋2内の米及び水の鍋外への溢れ出しを低減することができる。
本実施形態において、設定温度Temは、水の沸点より少し低い温度に設定されている。しかし、設定温度Temは前記のような温度に限らない。例えば、設定温度Temは、前炊き工程S40のときの鍋2内の温度Tem1より少し高い温度に設定されてもよい。この場合、制御部20は、時間tに対する温度Tem1と設定温度Temとの差によって、つまり図22の昇温工程S50における温度特性の傾きによって、昇温工程S50において水が沸騰するまでの時間を予想することができる。
本実施形態に係る炊飯器1の制御部20は、昇温工程S50において鍋2内の温度が予め設定された設定温度に到達するまでの時間tに基づいて、次回に炊飯工程が実行されるときの昇温工程S50における加熱部81の加熱強度を決定してもよい。なお、当該設定温度は、前述した設定温度Temと同じであってもよいし異なっていてもよい。
例えば、時間tが昇温時間Tより短い場合、制御部20は、次回の炊飯工程において昇温工程S50が実行されるときの加熱部81の加熱強度を、今回の炊飯工程において昇温工程S50が実行されるときの加熱部81の加熱強度より弱くしてもよい。時間tが昇温時間Tより短い場合、鍋2内の水が想定よりも短い時間で沸騰したと予想される。そのため、制御部20は、次回の炊飯工程において昇温工程S50が実行されるときの加熱部81の加熱強度を弱くする。これにより、時間tが長くなるため、時間tを昇温時間Tに近づけることができる。また、制御部20は、時間tと昇温時間Tとの差が大きい程、次回の炊飯工程において昇温工程S50が実行されるときの加熱部81の加熱強度をより弱くしてもよい。
また、例えば、時間tが昇温時間Tより長い場合、制御部20は、次回の炊飯工程において昇温工程S50が実行されるときの加熱部81の加熱強度を、今回の炊飯工程において昇温工程S50が実行されるときの加熱部81の加熱強度より強くしてもよい。時間tが昇温時間Tより長い場合、鍋2内の水が想定よりも長い時間で沸騰したと予想される。そのため、制御部20は、次回の炊飯工程において昇温工程S50が実行されるときの加熱部81の加熱強度を強くする。これにより、時間tが短くなるため、時間tを昇温時間Tに近づけることができる。また、制御部20は、時間tと昇温時間Tとの差が大きい程、次回の炊飯工程において昇温工程S50が実行されるときの加熱部81の加熱強度をより強くしてもよい。
多数の炊飯器1が製造された場合、昇温工程において鍋2内の温度が設定温度に到達するまでの時間には、炊飯器1毎にばらつきが生じるおそれがある。本実施形態によれば、前記の時間が長い場合、次回の昇温工程における加熱部81の加熱強度を強くすることができる。また、前記の時間が短い場合、次回の昇温工程における加熱部81の加熱強度を弱くすることができる。このように加熱部81の加熱強度を変更することによって、前記の炊飯器1毎の時間のばらつきを是正することができる。
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
例えば、第1実施形態に第2実施形態が組み合わされてもよい。この場合、ステップS10及び送米工程S20の間において、鍋検知工程S200(図13参照)の後に残量検知工程S300(図17参照)が実行される。なお、残量検知工程S300は、鍋検知工程S200の前に実行されてもよいし、鍋検知工程S200と並行して実行されてもよい。
また、例えば、第1実施形態に第3実施形態が組み合わされてもよい。この場合、図13に記載の沸騰工程S60の代わりに、図20に記載の沸騰工程S61が実行される。もちろん、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態が組み合わされてもよい。
本発明は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。