以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態)
本開示の第1態様によれば、
有底筒状の鍋と、
前記鍋を収容する筐体であって、前記鍋の外周面に対して隙間を空けて対向するように設けられた筐体と、
平面視において前記筐体の上方開口部と前記鍋の上方開口部との間を覆うように設けられた上枠と、
前記上枠の上方に配置されたヒンジ部と、
前記ヒンジ部に、前記ヒンジ部を中心として回動することができるように取り付けられ、前記鍋の上方開口部を開閉可能に覆う蓋体と、
前記筐体内に設けられ米を収容する米容器と、
前記米容器に収容された米を前記鍋に移動させる送米部と、を備え、
前記米容器は、頂部に設けられた米容器開口部を有し、
前記米容器開口部は、平面視において前記鍋を挟んで前記ヒンジ部と対向する前方に配置された、炊飯器が提供される。
本開示の第2態様によれば、前記米容器の少なくとも一部は、前記鍋の下方から前方に向かって延在するように構成された、第1態様に記載の炊飯器を提供する。
本開示の第3態様によれば、
前記米容器は、前記米容器開口部を開閉できるように構成された米容器蓋を更に備え、
前記炊飯器は、平面視において前記米容器開口部と前記鍋との間で、前記米容器開口部より上方に前記上枠の上部から突出し、前記米容器開口部に鍋からの水が侵入することを防止する防水壁を更に備える、第1態様又は第2態様に記載の炊飯器を提供する。
本開示の第4態様によれば、前記米容器蓋は、前記開口部の前方に左右に延びるように配置された回動軸を備え、前記回動軸を中心として回動し、前記開口部を開放する開放位置と前記開口部を閉じる閉塞位置との間で移動可能である、第3態様に記載の炊飯器を提供する。
本開示の第5態様によれば、前記米容器蓋は、前記開放位置において、前記米容器蓋の少なくとも一部が前記回動軸より前方かつ上方の静止位置に配置されるまで前記閉塞位置から回動可能であり、前記静止位置において静止できるように構成された、第4態様に記載の炊飯器を提供する。
本開示の第6態様によれば、
前記筐体内に設けられ水を収容する水容器と、
前記水容器に収容された水を前記鍋に移動させる送水部と、を更に備える、第1~第5態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
本開示の第7態様によれば、前記水容器の少なくとも一部は、前記鍋の下方から前方に向かって延在するように構成された、第6態様に記載の炊飯器を提供する。
本開示の第8態様によれば、
前記米容器は、前方から見て前記米容器の幅が下方に向かうに連れて漸次減少するように傾斜した側面を有し、
前記水容器の少なくとも一部は、前記傾斜した側面の下方に配置される、第6態様又は第7態様に記載の炊飯器を提供する。
本開示の第9態様によれば、前記水容器の中に収容された水を冷却するための冷却装置を更に備える、第6~8態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
本開示の第10態様によれば、前記冷却装置は、ペルチェ素子である、第9態様に記載の炊飯器を提供する。
本開示の第11態様によれば、
前記ペルチェ素子の発熱面に取り付けられた第1ヒートシンクと、
前記第1ヒートシンクの温度を検知する温度センサと、
前記第1ヒートシンクに向けて送風するファンと、
前記ファンの回転を制御する制御部とを更に備え、
前記制御部は、前記温度センサによって検知された前記第1ヒートシンクの温度が予め定められた温度範囲内となるように前記ファンの回転を制御する、第10態様に記載の炊飯器を提供する。
本開示の第12態様によれば、
前記鍋を加熱する加熱部に電源電力を供給するためのスイッチングトランジスタと、前記スイッチングトランジスタに取り付けられた第2ヒートシンクとを更に備え、
前記第2ヒートシンクは、前記ファンによって供給される風の風下に配置され、
前記第1ヒートシンクと前記第2ヒートシンクとは、前記ファンによって供給される風の流れ方向に並んだ、第11態様に記載の炊飯器を提供する。
以下、実施の形態に係る炊飯器について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
また、以下では、説明の便宜上、通常使用時の状態を想定して「上」、「下」、「前」、「後」等の方向を示す用語を用いている。しかしながら、これらの用語は、本発明の炊飯器の使用状態等を限定することを意味するものではない。
[1.構成]
[1-1.全体構成]
図1は、実施の形態に係る炊飯器1の外観を示す斜視図である。図2は、図1の炊飯器1の内部構造を示す斜視図である。図3は、図1の炊飯器1の要部を示す斜視図である。図2及び図3では、炊飯器1の内部構造を示すために、炊飯器1の構成部品の一部を取り除いている。図4は、図1の炊飯器1の平面図である。図5は、炊飯器1を図4のV-V方向に見た断面図である。
炊飯器1は、有底筒状の鍋2と、鍋2を収容する筐体3と、上枠4と、上枠4の上方に配置されたヒンジ部5と、蓋体6とを備える。鍋2は、筐体3から取り外すことができる。筐体3は、鍋2の外周面に対して隙間を空けて対向するように設けられている。上枠4は、平面視において筐体3の上方開口部と鍋2の上方開口部との間を覆うように設けられている。蓋体6は、ヒンジ部5に、ヒンジ部5を中心として回動することができるように取り付けられている。これにより、蓋体6は、鍋2の上方開口部を開閉可能に覆う。ヒンジ部5は炊飯器1の後方に配置される。これにより蓋体6の前側が開くため、ユーザは鍋2に容易にアクセスでき、米をよそうことができる。
図5に示すように、炊飯器1は、鍋2を加熱する加熱部8と、炊飯器1全体の動作を制御する制御部20とを更に備える。加熱部8は、例えば加熱コイルを含み、加熱コイルに高周波電流を流した際に発生する高周波磁場により金属製の鍋2内に渦電流を発生させて鍋2を加熱する誘導加熱(IH)式の加熱装置である。
本実施形態では、炊飯器1は、鍋2内を加圧状態にして炊飯を行う圧力式炊飯器である。蓋体6の内部には、制御部20の制御に応じて、鍋2内と外部空間とを連通する穴を開閉可能に動作する圧力弁15(図1~5には図示せず)が設けられている。また、炊飯器1は、鍋2内の水が沸騰したことを検知する沸騰検知部16(図5参照)と、鍋2内の圧力を検知する圧力センサ17(図2及び図3参照)とを更に備える。沸騰検知部16は、例えば蒸気センサである。
炊飯器1は、自動的に米及び水を鍋2に移動させて炊飯を行う自動投入式の炊飯器である。そのため、炊飯器1は、筐体3内に、米を収容する米容器100と、水を収容する水容器300とを備える。さらに、炊飯器1は、米容器100に収容された米を鍋2に移動させる送米部110と、水容器300に収容された水を鍋2に移動させる送水部310とを備える。送米部110及び送水部310の詳細は後述する。
米容器100の頂部には、米容器100に米を供給又は補充するための米容器開口部101が設けられている。米容器100は、炊飯器1の前方に配置され、米容器開口部101は、米容器100の上方に配置されている。使用時には、炊飯器1の後方及び側方には壁があることが想定され、また、炊飯器1の上方にも炊飯器1の収納スペースの天板があることが想定される。このような場合であっても、米容器開口部101が前方にあることにより、ユーザは、例えば米袋から米を米容器開口部101に容易に投入することができる。また、米容器100が前方にあることにより、炊飯器1の横幅が大きくなることを防止でき、側方に物や壁がある場合等における炊飯器1の設置性の悪化を防止することができる。
米容器100は、この米容器開口部101を開閉できるように構成された米容器蓋104を更に備える。図6は、米容器蓋104が開いた状態の炊飯器1を示す斜視図である。米容器蓋104は、閉塞位置から開放位置に移動する場合、蓋体6が閉じた状態から開いた状態に移動する場合に回動する方向と逆方向に回動するように構成されている。すなわち、米容器蓋104は、米容器開口部101の前方に左右に延びるように配置された第1の回動軸105を備える。これにより、米容器蓋104は、後ろから前に移動して開き、蓋体6と干渉することがない。そのため、蓋体6と干渉することなく米容器蓋104を開くことができるように、例えば米容器開口部101をより前方に設けるなどして、炊飯器1の奥行方向の寸法を増大させることがない。
図7A及び図7Bの部分側面図を参照して、米容器蓋104の開閉動作を詳細に説明する。図7Aは、閉塞位置にある米容器蓋104を示す図である。図7Bは、開放位置にある米容器蓋104を示す図である。図7Bに示すように、米容器蓋104は、第2の回動軸106を更に備える。
米容器蓋104が第2の回動軸106を有さず、第1の回動軸105しか有しない場合、図7Aの閉塞位置から米容器蓋104を開けようとしても、米容器蓋104の前端部104aと上枠4の前端部4aとが接触するため、米容器蓋104は開くことができない。そこで、米容器蓋104は、閉塞位置から開放位置に移動する場合に、第2の回動軸106によって、第1の回動軸105による回動方向と異なる方向に回動する。第2の回動軸106は、米容器蓋104が閉塞位置にある場合に第1の回動軸105よりも後方に配置され、米容器蓋104とともに第1の回動軸105を中心として回動する。この構成により、開動作の際に米容器蓋104の前端部104aと上枠4の前端部4aとが接触せず、米容器蓋104を開けることができる。また、このような2軸構成により、上下方向において米容器蓋104と蓋座104b(図5参照)との間に、操作基板、フラットケーブル、ディスプレイ等の部品を配置することができる。
米容器蓋104の蓋座104bの裏面は、蓋が閉塞位置にあるときは略水平である。蓋座104bは、閉塞位置から角度θだけ回動し、それ以上は回動しないように構成されている。角度θは、例えば90度より大きく、180度未満である。言い換えれば、米容器蓋104は、開放位置において、米容器蓋104の少なくとも一部が第1の回動軸105より前方かつ上方の静止位置に配置されるまで閉塞位置から回動可能であり、静止位置において静止できるように構成されている。このように角度θが鈍角であると、開放位置において、蓋座104bは、下方が米容器100に向かう斜面となり、蓋座104b上に乗った米を米容器100の中に案内することができる。したがって、ユーザは、米袋から米容器100に容易に米を入れることができる。また、米容器100への米の供給時における米のこぼれ落ちを防止することができる。
図示のように米容器100の米容器開口部101が上部にあると、炊飯中に鍋2や蓋体6の底部等に付着した露、及び炊飯中に発生した水蒸気等が、米容器100の米容器開口部101から侵入するおそれがある。米容器100の中に水分が入ると、米容器100内の米をふやかせたり、腐敗を引き起こすことがある。そこで、上枠4の上部には、米容器100の米容器開口部101と鍋2との間に、米容器開口部101より上方に突出した防水壁9が設けられている。防水壁9は、米容器100の米容器開口部101に水が入ることを防止することができる。
例えば図1に示すように、米容器100の前面にはヒンジにより開閉可能な扉103が取り付けられている。扉103は、前方に開く。図8は、扉103が開いた状態の炊飯器1を示す斜視図である。これにより、ユーザは、前方から米容器100内に手を入れるなどして米容器100にアクセスすることができる。したがって、米容器100の中を拭くなどしてお手入れをすることができる。米容器100は、扉103を開けただけでは米が米容器からこぼれないように、米容器100の前面開口部を塞ぐための中蓋107を備えてもよい。
米容器100は、前方から見て米容器100の幅が下方に向かうに連れて漸次減少するように傾斜した傾斜側面108を有する。本実施形態では、米容器100の一方の側面である傾斜側面108のみが傾斜し、傾斜側面108に対向する他方の側面109は傾斜していない。この構成により、傾斜側面108の下方に広いスペースを確保することができ、後述のようにこのスペースに水容器300を配置する場合に水容器300の容量を大きくすることができるため有利である。しかしながら、本開示はこれに限定されず、米容器の左右の側面の両方が傾斜していてもよい。米容器100内に供給された米は、傾斜側面108を滑って下方に集まる。
水容器300の少なくとも一部は、米容器100の傾斜側面108の下方に配置される。図5に示すように、炊飯器1の下方に水容器300を収納するための水容器収納部301が設けられている。このように、水容器300を米容器100の傾斜側面108の下方に配置することにより、炊飯器1をコンパクトにすることができる。
水容器300は、水容器収納部301の中に着脱自在に収納される。ユーザは、水を補給するために、水容器収納部301から水容器300を前方に引き抜いて取り出すことができる。図9は、水容器300を取り出した状態の炊飯器1を示す斜視図であり、水容器300の全体構成を示している。水容器300は、給水口を開閉自在に塞ぐ蓋302と、取り付けられた際に鍋2への送水路311に接続される出口303とを備える。出口303は、本開示の「開口部」の一例である。ユーザは、水容器300を取り出した後、蓋302を開けて、水道等から給水口を介して水を水容器300の中に補充する。使用時には、炊飯器1の後方及び側方には壁があることが想定されるところ、水容器300を前方に引き抜いて取り出す構成により、ユーザは、容易に水容器300に給水することができる。
図5に示されているように、炊飯器1は、水容器収納部301の後方に、水容器300の中に収容された水を冷却するためのペルチェユニット400を備える。図10は、ペルチェユニット400の構成を示す分解斜視図である。ペルチェユニット400は、ペルチェ素子401と、ヒートシンク403と、ヒートシンク403の温度を検知する温度センサ405と、冷却ファン407と、放熱板409と、放熱板409の温度を検知する温度センサ410と、パッキン411と、フロントカバー413と、リアカバー414とを含む。
ペルチェ素子401は、本開示の「冷却装置」の一例である。ペルチェ素子401は小型であるため、冷却装置としてペルチェ素子401を使用することにより、炊飯器1全体の小型化を図ることができる。水を冷却することにより、雑菌の増殖及び水の腐敗を防止することができる。また、冷却された水で炊飯を行うことにより、炊飯後の米の食味が向上する。
ペルチェ素子401は、ZX平面に平行に広がった平らな形状を有し、前方(+Y方向)に冷却面401aを、後方に発熱面を有する。ヒートシンク403は、ペルチェ素子401の発熱面に取り付けられている。温度センサ405は、ヒートシンク403の側面に取り付けられている。冷却ファン407は、ヒートシンク403に向けて送風を行い、ヒートシンク403を冷却し、ひいてはペルチェ素子401の冷却面401aの温度を下げることができる。図示の例では、冷却ファン407は、ヒートシンク403の下方に設置されている。
放熱板409は、ペルチェ素子401の冷却面401aに取り付けられ、冷却面401aの温度を水容器300に伝える。したがって、通電されたペルチェ素子401の冷却面401aは、放熱板409を介して水容器300内の水を冷却する。水容器300の周囲には、導冷板304が配置されてもよい(図26参照)。導冷板304は、例えば熱伝導率の高い金属で構成される。導冷板304は、放熱板409に接触し、冷気を効率よく水容器300内の水に伝えることができる。
ペルチェ素子401は、2枚のセラミック板の間にPN半導体が挟まれ、セラミック板に設けられた電極とPN半導体がはんだ付けされた構成を有する。ペルチェ素子401に電力が供給されると、一方の面(前述の冷却面401a)は冷却され他方の面(前述の発熱面)は加熱される。冷却されたセラミック面は熱収縮を起こし、加熱されたセラミック面は熱膨張を起こす。その結果、PN半導体の接合面に応力が発生する。したがって、通電と非通電とを変更し、又は通電の極性を変更すると、ペルチェ素子401を構成するセラミックの膨張、収縮が変化しPN半導体の接合部に繰り返し応力が加わり、はんだクラックが生じる。これにより、ペルチェ素子401が破損したり、冷却能力が劣化したりする課題があった。
そこで、本実施形態では、冷却ファン407の回転数は、例えば制御部20により、温度センサ405によって検知されたヒートシンク403の温度、及び/又は温度センサ410よって検知された放熱板409の温度が予め定められた温度範囲内となるように制御される。これにより、ペルチェ素子401を構成するセラミックの温度変化を小さくすることができる。このように、簡単な制御でセラミック温度を安定化できるため、ペルチェ素子401の寿命を延ばすことができる。
図5に示すように、炊飯器1は、加熱部8に電源電力を供給するためのスイッチングトランジスタを搭載した基板10と、スイッチングトランジスタを冷却するためのヒートシンク11とを更に備える。ヒートシンク11は、ヒートシンク403の上方に配置されている。すなわち、ヒートシンク11は、冷却ファン407によって供給される風の風下に配置され、ヒートシンク11とヒートシンク403とは、冷却ファン407によって供給される風の流れ方向に直列に並んでいる。したがって、冷却ファン407は、ヒートシンク403のみならずヒートシンク11をも冷却することができる。そのため、炊飯器1内に、スイッチングトランジスタ又はこれを搭載した基板10を冷却するためのファンを更に設ける必要がなく、冷却機能を確保しつつ小型化を達成できる。
図5に示すように、炊飯器1は、断熱材12を更に備える。断熱材12は、鍋2及び加熱部8と、水容器収納部301との間、並びに、鍋2及び加熱部8と、米容器100との間に配置されている。これにより、断熱材12は、水容器収納部301及び米容器100を、炊飯時及び保温時に高温になる鍋2及び加熱部8から熱的に分離し、水容器収納部301内に収容される水容器300の中の水及び米容器100内の米が高温になることを防止することができる。水及び米が高温になると腐敗、雑菌の増殖、及び食味の低下等のおそれがあるところ、断熱材12はこれらの事態を防止することができる。
図5に示すように、水容器収納部301と米容器100との間には断熱材12は配置されていない。また、放熱板409と水容器収納部301とは接触し(図10参照)、水容器収納部301と米容器100とは隣接している。したがって、ペルチェ素子401の冷却面401aに取り付けられた放熱板409の熱は、水容器収納部301を介して、米容器100にも伝わる。これにより、ペルチェ素子401によって冷却された放熱板409は、水容器300の中の水を冷却するだけでなく、余冷により米容器100内の米をも冷却する。したがって、炊飯器1は、米容器100内の米を冷却することができ、米の腐敗、雑菌の増殖、及び食味の低下等を防止することができる。
[1-2.送米部]
[1-2-1.計量羽根及び米移送羽根]
送米部110は、米容器100から鍋2へ米を移送するための送米路111と、米の量を計測し、指定された量の米を送米路111に供給する米計量部120と、を備える(図2及び図3参照)。
図11は、米計量部120の構成を示す分解斜視図である。米計量部120は、Y軸に平行な軸の周りに螺旋状に形成された計量羽根121と、計量羽根121の外周を覆うガイド部122とを備える。ガイド部122は、Y軸方向に延びる軸を有する筒状の形状を有する。すなわち、ガイド部122は、計量羽根121と同軸に形成された筒状形状を有し、計量羽根121の外周を覆っている。
米計量部120は、制御部20の制御に従って計量羽根121をY軸周りに回転させる駆動モータ123を更に備える。計量羽根121と駆動モータ123との間には、入力シャフト124と、出力シャフト126とが設けられている。入力シャフト124は、駆動モータ123によって回転し、駆動モータ123の動力を出力シャフト126に伝達することができる。出力シャフト126は、計量羽根121に、計量羽根121に対してY方向にスライド可能に挿入される。出力シャフト126は、入力シャフト124によって回転し、駆動モータ123の動力を計量羽根121に伝達することができる。
入力シャフト124は、Y方向から見て平歯車状の形状を有する噛合部125を有し、出力シャフト126は、Y方向から見て内歯車状の形状を有する噛合部127を有する。入力シャフト124は、出力シャフト126に対して相対的にY方向にスライド可能に取り付けられる。入力シャフト124が出力シャフト126に対してY方向に押し込まれることにより、入力シャフト124の噛合部125は、出力シャフト126の噛合部127と噛み合う。噛合部125と噛合部127とが噛み合った場合、入力シャフト124は、駆動モータ123の動力を出力シャフト126に伝達することができる。噛合部125と噛合部127とが噛み合っていない場合は、入力シャフト124は、駆動モータ123の動力を出力シャフト126に伝達することができない。このように、入力シャフト124の噛合部125と出力シャフト126の噛合部127とは、クラッチ機構128を構成する。
米計量部120は、送米路111に接続される送米路入口129と、計量羽根121から送米路入口129への米の経路を開閉可能に構成された送米路蓋130と、パッキン131とを更に備える。送米路蓋130及びパッキン131は、計量羽根121の周りに計量羽根121と同軸に取り付けられる。
米計量部120は、ガイド部122に蓋をするとともに、駆動モータ123を固定する固定台132と、出力シャフト126を+Y方向に付勢するばね133と、送米路蓋130を+Y方向に付勢するばね134とを更に備える。ばね133,134は、例えば圧縮コイルばねである。
図12は、送米時における米計量部120の状態を示す断面図である。図13は、図12の断面図の一部の拡大図である。炊飯器1は、軸の周りに螺旋状に形成され、軸を中心に供給方向に回転することによって米を計量羽根121に移送する米移送羽根148を更に備える。米移送羽根148は、本開示の「米移送部」の一例である。米移送羽根148は、計量羽根121と同心であり、計量羽根121に直列に接続されている。すなわち、米移送羽根148は、その軸方向が計量羽根121の軸方向に一致するように計量羽根121に接続される。また、出力シャフト126の先端部126aは、米移送羽根148の一端に設けられた凹部148aの中に嵌め込まれている。出力シャフト126の先端部126aは、軸に垂直な方向における軸と先端部126aの表面との距離が大きい部分と小さい部分とを有する。例えば、出力シャフト126の先端部126aの軸に垂直な方向の断面は、多角形形状を有する。これにより、米移送羽根148は、計量羽根121が供給方向に回転することによって回転することができる。
このように米移送羽根148と計量羽根121とが同心で直列に接続されることにより、1つの駆動モータ123によって米移送羽根148と計量羽根121とを駆動することができる。したがって、駆動モータ123が共用され構成が簡単になるとともに、炊飯器1の小型化に貢献できる。
米移送羽根148の他端には、軸受け149が取り付けられ、軸受け149は、米容器100の前方の内壁100a上に設けられた軸受け部100bに接触して配置される(図26参照)。米移送羽根148は、計量羽根121が駆動モータ123によって供給方向に回転することによって回転し、米容器100内の米を計量羽根121に(-Y方向に)移送する。米移送羽根148により、米容器100の底面に、後方の計量羽根121に米が滑り落ちるような斜面を設けなくても、米容器100の前方にある米を計量羽根121まで移送することができる。そのため、米容器100の容量を増やすとともに、米容器100に米が残ることを防止することができる。
米移送羽根148は、例えば、ゴム等の弾性材料で形成され、これにより、米移送羽根148と米容器100の内壁との間に米を噛み込む事態を回避することができる。そのため、米の噛み込みを原因とする米移送動作の不良、及び駆動モータ123の故障等を防止することができる。
計量羽根121は、軸を中心に供給方向に回転することによって、米を軸方向(+Y方向)に移送することができる。図13に示した送米時においては、送米路蓋130は最後方に変位しており、-Y方向の面が計量羽根121の座面121aに接触している。これに伴い、パッキン131も最後方に変位している。これにより、図13に矢印で示しているように、計量羽根121から送米路入口129への米の経路が開いている。したがって、計量羽根121によって移送された米は、送米路入口129を介して送米路111に供給される。
このように、計量羽根121は、米を水平方向に移動させながら(押し込みながら)計量を行うことができる。米を計量する手法には、重力の作用で米容器から米を落としながら、例えば時間によって計量する手法が考えられる。しかしながら、この手法では、高さ(鉛直)方向に計量のためのスペースが必要となり、炊飯器全体が大きくなる問題がある。例えば、鍋の上方にある蓋体の中にこのような計量のためのスペースを設けた場合、蓋体が大型となってその重量が増し、蓋体の開閉機構を複雑なものにせざるを得ず、炊飯器の更なる大型化を招く。本実施形態に係る炊飯器1は、計量羽根121により米を水平方向に移動させながら計量を行うことができるため、鍋の上方に計量のためのスペースを設ける必要がない。そのため、米容器100を筐体3内に設けることができ、炊飯器1の小型化を実現することができる。なお、本実施の形態では、米を水平方向に移動させたが、本開示はこれに限定されない。例えば、計量羽根121により、米を斜めに移動させることも可能である。
米移送羽根148が出力シャフト126に取り付けられた取付状態(図12~14に示した状態)においては、米移送羽根148が軸受け149を介して米容器100の軸受け部100bに接触している。米移送羽根148、軸受け149、及び出力シャフト126の軸方向の寸法は、取付状態において米移送羽根148が出力シャフト126を入力シャフト124に対して押し込むように構成される。これにより、接続状態において、入力シャフト124の噛合部125は、出力シャフト126の噛合部127と噛み合い、駆動モータ123の動力が出力シャフト126を介して入力シャフト124に伝達される。このように米移送羽根148を出力シャフト126に取り付けた取付状態では、クラッチ機構128は動力を伝達できる接続状態となる。
米移送羽根148が出力シャフト126に取り付けられた取付状態では、ばね133は弾性変形しており、固定台132を基準として、出力シャフト126を米移送羽根148に対して+Y方向に付勢している。出力シャフト126は、+Y方向に付勢されているが、出力シャフト126に接続された米移送羽根148の先端が軸受け149を介して米容器100の軸受け部100bに固定されているため、+Y方向にスライドしない。したがって、クラッチ機構128の接続状態が維持される。
米計量部120は、計量羽根121の回転数を検出する回転数センサ141を有する。回転数センサ141は、本開示の「回転数検出部」の一例である。計量羽根121から送米路入口129を介して送米路111に供給される米の量は、計量羽根121の回転数が検出できれば算出できる。例えば、計量羽根121が一回転した場合に送米路111に供給される米の量は決まっている。したがって、回転数センサ141により計量羽根121の回転数を検出することにより、所望の量の米を精度良く米容器100から鍋2に移送することができる。また、前述のようにガイド部122によって計量羽根121の外周を覆うことにより、計量羽根121の回転に伴って移送される米の量が安定し、計量精度が向上する。
図13~14に示した例では、回転数検出部の一例である回転数センサ141は計量羽根121に取り付けられているが、本開示はこれに限定されない。例えば、回転数センサ141は、出力シャフト126、入力シャフト124、又は駆動モータ123に取り付けられてもよい。あるいは、駆動モータ123としてステッピングモータを使用し、制御部20が、ステッピングモータの回転パルスの数を計測することによって、駆動モータ123の回転数、すなわち計量羽根121の回転数を計測してもよい。また、例えば制御部20は、回転数でなく回転時間を計測することによって、計量羽根121の回転に伴って移送される米の量を算出してもよい。
図14は、非送米時における米計量部120の状態を示す断面図である。図13の状態での送米が完了した後、駆動モータ123は、供給方向と逆向きの排米方向に回転し、これに伴い計量羽根121も排米方向に回転する。これにより、計量羽根121は、送米が完了した後、計量羽根121上の米を米容器100の中に排出する。これと異なり、送米が完了した後にも計量羽根121上に米が残っている場合、次回の送米時に残った米による計量誤差が生じる問題があるが、本開示の実施形態に係る炊飯器1はこの問題を解消し、精度良く米を計量することができる。
上記のように駆動モータ123が計量羽根121を排米方向に回転させると、送米路蓋130が計量羽根121に対して相対的に回転し、前方(+Y方向)に変位する。これにより、送米路蓋130及びパッキン131が、計量羽根121から送米路入口129への米の経路を閉鎖する。これにより、異物や害虫が送米路入口129を通過することを防止することができる。例えば、米容器100の中の害虫が送米路入口129及び送米路111を通って鍋2の中に到達することを防止することができる。また、鍋2の熱気が米容器100の中に入ること、及び米容器100の冷気が送米路入口129及び送米路111を通って逃げることも防止することができる。
図15は、米移送羽根148を出力シャフト126から取り外した非取付状態における米計量部120を示す断面図である。米移送羽根148は、計量羽根121に対して、着脱自在に接続されている。具体的には、米移送羽根148は、出力シャフト126に対して着脱自在に接続されている。これにより、取り外した米移送羽根148を洗うことができる。また、米移送羽根148を取り外した状態で、米容器100の中の掃除を行うことができる。このように米移送羽根148が着脱自在であることにより、お手入れのしやすさが向上し、炊飯器1を衛生的に保つことができる。
図14と比較すると、図15では、出力シャフト126が入力シャフト124に対して前方に移動し、それにより入力シャフト124の噛合部125と出力シャフト126の噛合部127との噛み合いが解除されている。このように、出力シャフト126から米移送羽根148を取り外した状態では、クラッチ機構128は動力を伝達しない切断状態となる。
図14の取付状態から米移送羽根148を前方に引くと、米移送羽根148とともに出力シャフト126も前方に移動する。さらに米移送羽根148を前方に引くと、Y方向において出力シャフト126が計量羽根121に接触し、出力シャフト126はそれ以上は前方に移動できなくなる。さらに米移送羽根148を前方に引くと、米移送羽根148の凹部148aと出力シャフト126の先端部126aとの嵌合が解除され、米移送羽根148を出力シャフト126から取り外すことができる。このようにして、米移送羽根148は、図15の出力シャフト126から取り外された非取付状態になり、クラッチ機構128は、図15の切断状態になる。
図15の米移送羽根148を出力シャフト126から取り外した非取付状態において、米移送羽根148を出力シャフト126に取り付けるために米移送羽根148の凹部148aを出力シャフト126の先端部126aに押し込むと、出力シャフト126が後方に移動する。これにより、米移送羽根148は、出力シャフト126に取り付けられた取付状態になり、クラッチ機構128は、図14の接続状態になる。
仮に、米移送羽根148が出力シャフト126から取り外された非取付状態であるにもかかわらずクラッチ機構128が接続状態であるとすると、計量羽根121上に米がないのにあるものとして計量が行われ、精度の低い計量が行われる事態が生じ得る。本実施形態では、計量羽根121を出力シャフト126から取り外した非取付状態においてクラッチ機構128を切断状態とするため、計量羽根121は回転せず、したがって回転に応じて行われる米の計量は実行されない。そのため、非取付状態では米の計量と鍋2への米の移送とは実行されず、上記のような事態を防止することができる。
米計量部120は、米移送羽根148が出力シャフト126に取り付けられた取付状態であるか否かを検知する米移送羽根検知部を更に備えてもよい。米移送羽根検知部は、例えば、駆動モータ123に流れる電流量を検知する電流検知装置である。米移送羽根148が出力シャフト126に取り付けられた取付状態でない場合、駆動モータ123によって駆動されるのは入力シャフト124のみであるため、駆動モータ123に加わる負荷は少ない。したがって、駆動モータ123に流れる電流量も少ない。そこで、例えば、制御部20は、電流検知装置によって検知された電流量が予め定められた閾値より少ない場合、米移送羽根148が出力シャフト126に取り付けられた取付状態でないと判断する。取付状態でないと判断した場合、制御部20は、出力部23を介してユーザに報知を行う。これにより、ユーザは、取付状態でないことを知ることができ、米移送羽根148を取り付けて再度炊飯の実行を指示することができる。出力部23は、例えば炊飯器1のディスプレイ等の表示部31、音声出力を行うスピーカ32等の報知装置を含む。制御部20は、出力部23ではなく、通信インタフェース25を介してスマートフォン等のユーザの端末に対して報知を行ってもよい。
[1-2-2.米分離装置]
図2及び図3に示すように、送米路111は、送米路入口129から鍋2の上部まで延びている。送米部110は、送米路111の最下流に、米分離装置150を更に備える。また、送米部110は、米分離装置150を介して送米路111と流体的に接続された排気管113と、送米路111の中の空気を流動させ、それにより米を送米路入口129から鍋2へ移動させる送米ファン112とを更に備える。
米分離装置150は、蓋体6の中に配置されている。本開示はこれに限定されないが、米分離装置150を蓋体6の中に配置すると、炊飯器1の横幅が大きくなることを防止でき、側方に物や壁がある場合等における炊飯器1の設置性の悪化を防止することができる。
送米ファン112は、例えば、排気管113の鍋2側と異なる端部に取り付けられ、排気管113、米分離装置150、及び送米路111の空気を吸い込むことによって送米路111の中の空気を流動させる吸気ファンである。これにより、送米ファン112の動作等により発生した熱が送米路111に入らないため、送米中の米に対する熱によるダメージを軽減することができる。また、吸気ファンを用いて負圧を利用して米を移動させる構成により、米容器100に米が逆流することを防止することができる。
図16は、米分離装置150の平面図である。米分離装置150は、Y軸に平行な軸を中心軸とする円筒形状の本体153と、送米ファン112によって移動した米及び空気を取り込む吸気口151と、空気を排出する排気口152と、米を排出する排米口154とを備える。吸気口151は、送米路111に接続されている。排気口152は、排気管113に接続されている。図16では、送米路111、排気管113等の米分離装置150以外の部分を省略している。図16には、送米時に空気が進む方向を二重矢印で示している。
図17は、米分離装置150を図16のXVII-XVII方向に見た断面図である。図18は、米分離装置150を図16のXVIII-XVIII方向に見た断面図である。図17には、送米時に空気及び米が進む方向を二重矢印で示している。米分離装置150は、吸気口151から取り込んだ空気の流動力を利用して吸気口151から取り込んだ米及び空気を分離し、米を排米口154のみから排出し、排気口152からは空気のみを排出する。排気口152からは米は排出されない。排米口154から排出された米は、鍋2に供給される。
具体的には、米分離装置150は、サイクロン構成により米と空気とを分離する。すなわち、図17に示すように、吸気口151は、米及び空気の進路が本体153の中心軸に垂直であり、かつ米及び空気が中心軸付近ではなく本体153の円筒形の壁面に流入するように構成されている。言い換えれば、吸気口151は、米及び空気が本体153の円筒形の壁面の内側表面の接線に沿って流入するように構成されている。排気口152は、図17の断面視において本体153の中央部に設けられている。排米口154は、本体153の底部に設けられている。
この構成により、吸気口から流入した米及び空気は、本体153の内側表面に渦を巻くように流入する。これにより空気に比べて比重の大きい米には比較的大きな遠心力が加わるため、米は本体153の内側表面に押し付けられる。したがって、米は本体153の壁面に沿って進んで排米口154に到達し、排米口154から排出されて鍋2の中に入る。空気は、排気口152から排出される。米は、排気口152を通らない。
米と空気を分離する手段には、フィルタを用いたフィルタ方式がある。しかしながら、フィルタ方式では炊飯器1の蓋体6の中等にフィルタを設置することになり、フィルタの交換及び掃除等を行うことが困難である。したがって、長期間使用してフィルタが目詰まりした場合に送米できなくなる課題があった。これに対して、フィルタを用いずに米と空気とを分離する本実施形態の米分離装置150によると、フィルタの目詰まりが発生することはなく、長期間にわたり安定して送米を行うことができる。
[1-2-3.送米蓋開閉装置]
鍋2への送米が完了した後、米分離装置150の排米口154は、送米蓋201(図18参照)により閉鎖される。送米蓋201は、送米蓋開閉装置200によって駆動される。送米蓋開閉装置200の動作は、例えば制御部20によって制御される。
図19は、送米蓋開閉装置200の構成を示す斜視図である。図20は、送米蓋開閉装置200の分解斜視図である。送米蓋開閉装置200は、蓋体6に取り付けられる固定台202と、固定台202に取り付けられるパッキン203と、米分離装置150の排米口154を開閉する送米蓋201とを備える。送米蓋開閉装置200は、送米蓋201を駆動させるためのモータ210と、平歯車211と、ギヤ212aを有する回動体212と、鉛直方向に延びたラックギヤ213aを有する回動体座213と、ギヤ214aを有する回動軸214とを更に備える。送米蓋開閉装置200は、モータ210を固定するためのモータ固定台204と、回動体212を指示する回動体座205とを更に備える。モータ固定台204は、蓋体6内に配置される。
平歯車211は、モータ210に取り付けられる。平歯車211は、ラックギヤ213aと噛み合い、回動体座213を上下に移動させる。回動体座213が上下に移動すると、これに伴い回動体212も上下に移動する。送米蓋開閉装置200は、回動体212の上下運動を回動体212の鉛直軸周りの回転運動に変換するリンク機構を有する。
図21は、回動体212の平面図である。回動体212は、無底円筒形状であるリング様の形状を有する。回動体212は、外周の一部に平歯車様のギヤ212aを有し、内周表面に円筒軸の方向に内向きに突出したリンクピン212bを有する。
図20に示すように、モータ固定台204は、リンク220を有し、固定台202は、リンク221を有する。図19に示すように、組立時に、リンク220とリンク221との間には、鉛直軸を中心に螺旋状に進行する隙間222が形成される。回動体212のリンクピン212bは、組立時に、この隙間222に嵌め込まれる。回動体212のリンクピン212bは、螺旋状に延びる隙間222の延在方向に沿って、隙間222をスライドすることができる。
図19に示すように、回動体212のギヤ212aは、回動軸214のギヤ214aと噛み合う。送米蓋201は、回動軸214の先端に取り付けられる。
次に、送米蓋開閉装置200の動作について説明する。図22は、米分離装置150の排米口154を送米蓋201によって閉じた閉状態における送米蓋開閉装置200を示す断面図である。図23は、排米口154を開放した開状態における送米蓋開閉装置200を示す断面図である。
図22の閉状態においてモータ210を開方向に動作させると、平歯車211が開方向に回転する。これにより平歯車211と噛み合ったラックギヤ213aが下方に移動し、回動体座213が下方に移動する。回動体座213の移動に伴って回動体212が下方に移動し、回動体212のリンクピン212bが、リンク220とリンク221との間の螺旋状の隙間222をスライド移動し、回動体212が回転する。回動体212のギヤ212aと回動軸214のギヤ214aとが噛み合っているため、回動体212が回転すると、回動軸214が回転する。回動軸214が回転すると、回動軸214の先端に取り付けられた送米蓋201も回動軸214を中心として回転する。
このように、送米蓋201は、回動体座213の下方への移動に伴って下方に移動するとともに、回動軸214の回転に伴って回転する。これにより、排米口154が開放されて図23に示した開状態となる。図23の開状態から図22の閉状態への移動は、モータ210を開方向とは逆向きの閉方向に回転させることにより実現できる。
送米蓋開閉装置200は、送米が完了した後、例えば炊飯時には、米分離装置150の排米口154を送米蓋201によって閉じ、閉状態となる。これにより、蒸気が排米口154から漏れることを防止することができる。そのため、蒸気が送米路111を介して米容器100の中に入り、米の腐敗の原因となることや、炊飯時の鍋2内の圧力の低下を防止することができる。
また、鍋2への送米時には、送米蓋開閉装置200は、図23に示したように送米蓋201を移動させて米分離装置150の排米口154を開放する。これにより、米が排米口154を通って鍋2の中に入ることができる。送米時に、送米蓋201を下方に移動させただけでは、送米蓋201の上面に米が乗るおそれがある。送米蓋201の上面に米が乗っていると、送米蓋201とパッキン203との間に米が入り、送米蓋201を閉じることができず、蒸気漏れが発生する。そこで、本実施形態の送米蓋開閉装置200は、閉状態から開状態に移動する際に送米蓋201を下方に移動させるだけではなく、上記のように回動軸214を中心として回転させて米の経路から送米蓋201を外す。これにより、送米蓋201の上面に米が乗ることを防止することができる。そのため、送米蓋201を閉じる際に送米蓋201とパッキン203との間に米が入って蒸気漏れが発生する事態を防止することができる。
[1-2-4.貯米量センサ]
図2に示すように、炊飯器1は、米容器100内の貯米量を検知する貯米量センサ230を更に備える。例えば、貯米量センサ230は、米容器100内に、予め定められた高さまで米があるか否かを検知する。図2に示した例では、貯米量センサ230は、米容器100の外側表面に取り付けられた静電タッチセンサ等の静電容量式センサである。貯米量センサ230は、鉛直方向に並んだ複数のセンサを含んでもよい。この場合、複数のセンサのそれぞれが自身の水平方向に米が有るか否かを検知する。この場合、センサが1つしかない場合に比べて米容器100内の米の量を正確に計測することができる。
貯米量センサ230は、前述の静電容量式センサに限定されず、例えば重量センサ、米容器100内に設けられたメカスイッチ式のセンサ、及び赤外線センサ等であってもよい。もっとも、静電容量式センサは米容器100の外側表面に貼ることができ、米容器100内にセンサが脱落することがない。また、赤外線センサを用いた場合、米粉等による検知精度の悪化が生じるが、静電容量式センサを用いると米粉等による検知精度の悪化は生じない。したがって、静電容量式センサを用いることにより、安定して精度良く貯米量を検知することができる。
[1-3.送水部]
図3に示すように、送水部310は、水容器300から鍋2へ水を移送するための送水路311と、水を移動させる送水ポンプ312と、水容器300内の水位を検知する水位センサ313とを備える。送水ポンプ312は、本開示の「送水装置」の一例である。送水ポンプ312は、例えば、送水の向きを制御できるギヤポンプ、チュービングポンプ等のポンプである。送水ポンプ312を用いることにより、簡易な構成で送水を行うことができる。また、送水ポンプ312を用いることにより、送水路311の設計の自由度が増す。
図24は、水容器300の出口303(図9参照)を通りYZ平面に平行な断面を示す断面図である。図24の断面図では、水容器300の出口303の周囲以外の部分は省略されている。図25は、水位センサ313の構成を示す分解斜視図である。
送水路311の上流は、送水路入口315に接続されている。送水路入口315には、前方に突出した弁プランジャ307が設けられている。水容器300の出口303には、ボール弁305が設けられている。ボール弁305は、水容器300が水容器収納部301から取り外されている状態では、ばね306によって付勢されて水容器300の出口303を塞ぐ。これにより、水容器300から水が漏れない。これに対して、水容器300が水容器収納部301にセットされると、弁プランジャ307がボール弁305を前方に押して移動させるため、水容器300の出口303が開放される。これにより、水容器300の出口303と送水路入口315とが流体的に連通され、水容器300内の水は送水路311に流入できる。ボール弁305は、本開示の「開閉弁」の一例である。
本実施形態では、水位センサ313は、パッキン314を介して送水路入口315の上方に取り付けられている。水位センサ313は、例えば送水路311の中の圧力を測定する圧力センサである。このような水位センサ313は、例えば、送水路311内の水位と水容器300内の水位との差に対応する圧力を検知する。
本開示の水位センサは、前述の圧力センサに限定されず、例えば静電容量式センサ、超音波式センサ、電波式センサ等であってもよい。
図26は、水容器収納部301の周囲の構成を示す分解斜視図である。図26には、前述のペルチェユニット400、米計量部120、米移送羽根148等の構成も示されている。
[1-4.制御部]
炊飯器1は、制御部20の制御に応じて自動的に米及び水を鍋2に移動させて炊飯を行う自動投入式の炊飯器である。図27は、このような炊飯器1のハードウェア構成を例示するブロック図である。炊飯器1は、制御部20と、記憶部21と、入力部22と、出力部23と、通信インタフェース(I/F)25とを備える。
制御部20は、炊飯器1の全体の動作を制御する。記憶部21は、炊飯器1の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを含む種々の情報を記録する記録媒体である。
制御部20は様々な態様で実現可能である。例えば、制御部20として、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現するプロセッサを用いてもよい。制御部20としてプロセッサを用いれば、制御部20は、プログラムを格納している記憶部21からプログラムを読み込んでこれを実行することで、各種処理を実行することができる。記憶部21に格納されたプログラムを変更することで処理内容を変更できるので、制御内容の変更の自由度を高めることができる。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、及び、MPU(Micro-Processing Unit)を含む。また、制御部20としてプログラムの書き換えが不可能なワイヤードロジックを用いてもよい。制御部20としてワイヤードロジックを用いれば、処理速度の向上に有効である。ワイヤードロジックとしては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などがある。また、制御部20は、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現されてもよい。制御部20を、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現すれば、ソフトウェア設計の自由度を高めつつ、処理速度を向上することができる。また、制御部20と、制御部20と別の機能を有する回路とを、1つの半導体素子で構成してもよい。別の機能を有する回路としては、例えば、A/D・D/A変換回路などがある。また、制御部20は、1つの半導体素子で構成されてもよいし、複数の半導体素子で構成されてもよい。複数の半導体素子で構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を、互いに異なる半導体素子で実現してもよい。さらに、半導体素子と抵抗又はコンデンサなどの受動部品とを含む構成によって制御部20を構成してもよい。
記憶部21は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)などの半導体メモリ装置、ハードディスク等の磁気記憶装置、その他の記憶デバイス単独で又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部21は、種々の情報を一時的に記憶する高速動作可能なSRAM、DRAMなどの揮発性メモリを含んでもよい。
通信インタフェース25は、炊飯器1と外部機器との通信を可能にするものであればよい。通信インタフェース25は、様々な態様で実現可能である。例えば、通信インタフェース25は、外部機器と有線で接続する態様であってもよいし、外部機器と無線で通信接続する態様であってもよい。本開示の装置と外部機器とを有線で接続する通信インタフェース25であれば、通信のセキュリティ性、及び、通信の安定性において有効である。有線接続の通信インタフェース25としては、例えば、Ethernet(イーサネット:登録商標)規格に基づく有線LAN、又は、光ファイバーケーブルを用いた有線接続などがある。無線接続の通信インタフェース25としては、基地局等を介しての外部機器との無線接続、又は、外部機器との直接無線接続などがある。基地局等を介しての外部機器との無線接続としては、例えば、WiFi(ワイファイ:登録商標)ルータと無線通信するIEEE802.11対応の無線LAN、第3世代移動通信システム(通称3G)、第4世代移動通信システム(通称4G)、第5世代移動通信システム(通称5G)、IEEE 802.16対応のWiMax(ワイマックス:登録商標)、又は、LPWA(Low Power Wide Area)などがある。本開示の装置と外部機器とを直接無線接続する通信インタフェース25を用いれば、通信のセキュリティ性の向上に有効であるとともに、WiFi(ワイファイ:登録商標)ルータなどの中継機器が存在しない場所でも、本開示の装置は外部機器と通信できる。本開示の装置と外部機器とを直接無線接続する通信インタフェース25としては、例えば、Bluetooth(ブルートゥース:登録商標)による通信、ループアンテナを介したNFC(Near Field Communication)による通信、又は、赤外線通信などがある。
入力部22は、炊飯器1又は外部機器からの信号を受信する入力インタフェースである。入力部22は、例えば、前述の沸騰検知部16と、鍋2内の圧力を検知する圧力センサ17と、計量羽根121の回転数を検出する回転数センサ141と、貯米量センサ230と、水位センサ313と、ヒートシンク403の温度を検知する温度センサ405と、放熱板409の温度を検知する温度センサ410とを含む。入力部22は、ユーザからの入力を受け付けるボタン、及びタッチパネル等のユーザインタフェース(UI)40を含んでもよい。ユーザは、例えば、ユーザインタフェース40を操作して、炊飯量、調理方法、炊き上がり時刻等を設定する。
ユーザインタフェース40は、ユーザが炊飯器1に対して情報を入力するために用いられる。ユーザインタフェース40としては様々な実施の形態が考えられる。例えば、機械式の操作部材類でユーザインタフェース40を構成してもよい。また、ディスプレイの上方に設置された透明板状の操作部材でユーザインタフェース40を構成してもよい。このような透明板状の操作部材は、接触式のものを用いることもできるし、非接触式のものを用いることもできる。また、カメラを用いてユーザの動作を撮影し、その動作を炊飯器1が認識することで、ユーザインタフェース40としてもよい。また、ユーザの発する音を炊飯器1が受信することで、ユーザインタフェース40としてもよい。このような構成としてはスマートスピーカなどが該当する。
ユーザインタフェース40をいずれの場所に設けるかに関しても様々な実施の形態が考えられる。ユーザインタフェース40は、炊飯器1に設けてもよいし、炊飯器1とは別体として設けてもよい。ユーザインタフェース40を炊飯器1と別体として設ける場合は、ユーザインタフェース40と炊飯器1との間を、有線または無線により通信可能とする。この場合、ユーザインタフェース40と炊飯器1とを直接的に通信可能してもよいし、インターネットまたはアクセスポイントなどを介在させて間接的に通信可能としてもよい。また、無線で通信する場合、移動体通信方式で通信可能としてもよいし、その他の規格に準拠して通信可能としてもよい。さらに、無線で通信する場合、遠隔無線を用いてもよいし、近接無線を用いてもよい。
制御部20は、出力部23の動作を制御する。出力部23は、例えば、前述の加熱部8と、加熱部8電源電力を供給するためのスイッチングトランジスタと、圧力弁15と、表示部31と、スピーカ32と、送米ファン112と、送水ポンプ312と、ペルチェ素子401と、冷却ファン407とを含む。
[2.動作]
図28は、本開示の実施形態に係る炊飯器1による動作の一例を示すフローチャートである。炊飯器1は、自動投入式の炊飯器であり、ユーザインタフェース40又は通信インタフェース25を介して受け付けたユーザからの炊飯指示の入力に応じて、米容器100内の米と水容器300内の水とを鍋2に移動させ、加熱部8を稼働させて炊飯を行う。具体的には、炊飯器1による動作は、上記のような炊飯指示を受け付けるステップS1と、送米工程S2と、送水工程S3と、前炊き工程S4と、炊き上げ工程S5と、攪拌工程S6と、沸騰維持工程S7と、蒸らし工程S8とを含む。また、これらの工程と並行して、炊飯器1は、貯米量センサ230の検知結果に応じた貯米量検知工程S9を実行する。以下、炊飯器1の動作の各工程について詳細に説明する。
[2-1.貯米量検知工程]
図29は、図28の貯米量検知工程S9の流れを示すフローチャートである。貯米量検知工程S9は、制御部20によって定期的に実行される。あるいは、貯米量検知工程S9は、貯米量センサ230が、米容器100内の貯米量Mが予め定められた量M0以下であることを検知した場合に実行されてもよい。
まず、制御部20は、貯米量センサ230から、米容器100内の貯米量Mが予め定められた量M0より多いか否かの検知結果を取得する(S91)。貯米量Mが予め定められた量M0以下であると判定した場合(ステップS92でNo)において、後述のステップS24で貯米量Mが再セットされていないとき(ステップS93でNo)は、制御部20は、貯米量MをM0にセットし、記憶部21に格納する(S94)。
貯米量Mが予め定められた量M0より多い場合(ステップS92でYes)、制御部20は、貯米量検知工程S9を終える。ステップS93において貯米量Mが再セットされていると判定された場合も、貯米量検知工程S9は終了する。なお、ステップS92とステップS93の順序は逆であってもよい。
[2-2.送米工程]
図30は、図28の送米工程S2の流れを示すフローチャートである。制御部20は、炊飯指示(図28のステップS1)に応じて、炊飯に必要な米の量mを決定する(S21)。炊飯量は、例えば、ユーザが、米の体積(合、ml、cm3等)、米の重量(g)、何人分等を指定することによって特定される。例えば、ユーザは、蓋体6又は米容器蓋104の頂部に設けられたボタン等のUI40によって炊飯量を入力する。あるいは、ユーザは、スマートフォン等の端末を操作し、通信インタフェース25を介して炊飯器1の制御部20に炊飯量を伝達してもよい。
次に、制御部20は、貯米量Mが、予め定められた量M0より多いか否かを判定する(S22)。このステップS22は、図29のステップS92と実質的に同一であるから、実際には、制御部20は、ステップS22においてステップS92の結果を用いてもよい。
ステップS22において、貯米量Mが予め定められた量M0以下であると判定した場合(ステップS22でNo)、制御部20は、貯米量Mが、ステップS21で決定された米の必要量mより少ないか否かを判定する(S23)。
貯米量Mが米の必要量m以上であると判定した場合(ステップS23でNo)、制御部20は、貯米量Mを再セットする(S24)。具体的には、制御部20は、貯米量MをM-mに更新し、更新結果を記憶部21に格納する。これにより、制御部20は、貯米量Mを常に把握することができる。
また、貯米量センサ230が鉛直方向に並んだ複数のセンサを含む場合、制御部20は、各センサの検知結果を用いて貯米量Mを再セットしてもよい。例えば、貯米量センサ230が鉛直方向に並んだk個のセンサを含み、各センサが、米容器100内の貯米量Mが予め定められた量(M1,M2,…,Mk)より多いか否かを検知する。ここで、M1>M2>…>Mkとする。制御部20は、貯米量MがM1以下であると判定した場合において、貯米量Mが米の必要量m以上であると判定した場合、貯米量MをM1-mに更新する。ただし、貯米量MがM2以下であることが検知された場合には、制御部20は、この結果を優先し、貯米量MをM2-mに更新する。米容器100内の貯米量Mが予め定められた量(M3,M4,…,Mk)より多いか否かを検知する他のセンサの検知結果についても同様である。なお、制御部20は、より高精度に貯米量Mを算出できてもよい。例えば、図30のステップS26で米を計量している工程において、制御部20は、貯米量センサ230がMkとなった時点で送米した米の量m1を検知してもよい。これにより制御部20は、貯米量センサ230がMkとなった時点からさらに送米される米の量を、m-m1と算出できる。そして制御部20は、米容器100内の貯米量が、Mk-(m-m1)になることを算出できる。制御部20は、貯米量Mを、Mk-(m-m1)と記憶し、次回に炊飯指示が入力されたときにこの値を利用することができる。
次に、制御部20は、送米ファン112を起動し(S25)、米計量部120による送米量計測処理を実行する(S26)。ステップS26の詳細については後述する。送米が完了すると、制御部20は、送米ファン112を停止させる(S27)。
ステップS23において、貯米量Mが米の必要量mより少ないと判定した場合(ステップS23でYes)、制御部20は、出力部23を介してユーザに報知を行う(ステップS28)。例えば、制御部20は、表示部31に米の量が不足している旨を表示させ、又は、スピーカ32に米の量が不足している旨若しくは警告音を出力させる。あるいは、制御部20は、通信インタフェース25を介してスマートフォン等のユーザの端末に対して報知を行ってもよい。報知を行った場合、炊飯器1による炊飯は実行されない。ユーザは、報知によって米の量が不足していることを知ることができ、米を補充して再度炊飯の実行を指示することができる。
ステップS22において、貯米量Mが予め定められた量M0より多いと判定した場合(ステップS22でYes)、ステップS25に進む。
図31は、図30の送米量計測処理ステップS26の流れを示すフローチャートである。まず、制御部20は、炊飯指示(図28のS1)において指定された量の米を移送するために必要な計量羽根121の必要回転数Nを決定する(S261)。
次に、制御部20は、駆動モータ123を駆動し、計量羽根121を供給方向に回転させる(S262)。回転が開始すると、制御部20は、回転数センサ141によって検出された計量羽根121の回転数nを取得する(S263)。回転数nは、回転開始時からの計量羽根121の回転数である。次に、制御部20は、回転数nがステップS261で決定された必要回転数Nより大きいか否かを判定する(S264)。回転数nがステップS261で決定された必要回転数N以下である場合(ステップS264でNo)、制御部20は、ステップS262及びステップS263を再度実行する。回転数nがステップS261で決定された必要回転数Nより大きい場合(ステップS264でYes)、ステップS265に進む。このようにして、制御部20は、計量羽根121の回転数nが必要回転数Nに達するまで駆動モータ123を駆動する。
ステップS265では、制御部20は、駆動モータ123を供給方向と逆向きの排米方向に回転させ、計量羽根121を排米方向に回転させる。これにより、計量羽根121は、送米が完了した後、計量羽根121上の米を米容器100の中に排出する。
[2-3.送水工程]
図32は、図28の送水工程S3の流れを示すフローチャートである。まず、制御部20は、ユーザからの炊飯指示(ステップS4)に含まれる炊飯量に基づいて、炊飯に必要な水の量wを決定する(S31)。
次に、制御部20は、水位センサ313による水容器300内の水位の検知結果を取得し(S32)、検知結果に基づいて、水容器300の水の量W0を決定する(S33)。次に、制御部20は、水容器300の水の量W0がステップS31で決定された必要量wより少ないか否かを判定する(S34)。
水容器300の水の量W0がステップS31で決定された必要量w以上であると判定した場合(S34でNo)、制御部20は、必要量wの水を供給するために必要な送水ポンプ312の駆動時間Tを算出する(S35)。次に、制御部20は、ステップS35で算出された駆動時間Tだけ送水ポンプ312を動作させる(S36)。これにより、指定された量の水が、水容器300から鍋2に移動する。
水容器300から鍋2に移動させる水の量を検知する手段として、上記の手段以外にも、水容器300から流出した水の流量を測定する手段が考えられる。この場合、例えば水の流量を測定する流量センサが用いられる。しかしながら、流量センサの測定結果にはばらつきが多く、鍋2に投入される水の量を精度良く測定できないという課題がある。これに対し、本開示に係る炊飯器1は、水位センサ313を用いて水容器300内の水位を検知する。動的な水の流量を測定する流量センサに比べて、静的な水位を検知する水位センサ313を利用することにより、指定された量の水を精度良く検知し、鍋2に投入することができる。また、水位センサ313として高精度で廉価な圧力センサを利用することにより、炊飯器1の製造コストを低減することができる。
次に、制御部20は、送水路311の中の水を水容器300の中に移動させるように送水部310を制御する(S37)。例えば、制御部20は、送水ポンプ312を駆動して、ステップS26の送水方向とは逆方向に送水路311の中の水を流動させる。これにより、送水路311の中に残存した水が腐敗すること、送水路311の中で雑菌が増殖すること等を防止することができる。
ステップS34において、水容器300の水の量W0がステップS31で決定された必要量wより少ないと判定した場合(S34でYes)、制御部20は、出力部23を介してユーザに報知を行う(ステップS38)。例えば、制御部20は、表示部31に水量不足である旨を表示させ、又は、スピーカ32に水量不足である旨若しくは警告音を出力させる。あるいは、制御部20は、通信インタフェース25を介してスマートフォン等のユーザの端末に対して報知を行ってもよい。報知を行った場合、炊飯器1による炊飯は実行されない。ユーザは、報知によって水の量が不足していることを知ることができ、水を補充して再度炊飯の実行を指示することができる。
[2-4.炊飯動作]
前述の送水工程S3を終えると、鍋2内に米及び水がセットされた状態となる。この後、前炊き工程S4と、炊き上げ工程S5と、攪拌工程S6と、沸騰維持工程S7と、蒸らし工程S8とを含む炊飯動作が行われる。
前炊き工程S4は、加熱部8による加熱を行うものの、鍋2内の温度を糊化温度以下(例えば55度)に保ち、米に吸水させる工程である。炊き上げ工程S5は、更に鍋2を加熱し、沸騰状態に移行させる工程である。
炊飯器1は、自動投入式の炊飯器であり、自動的に米容器100内の米と水容器300内の水とを鍋2に移動させる。炊飯前に米を平らにしたりかき混ぜたりする人の作業が介入しないため、米が投入された後に鍋2内に山なりになり、米の全部が水に浸されない場合がある。このため、水に浸された米と浸されていない米との間に炊きムラが生じ、炊飯後の米の食味が損なわれる課題がある。すなわち、米高さの高い部位の水は先になくなるため米が固くなり、米高さの低い部位は水に長時間浸されることになるため柔らかくなることが課題である。
また、無洗米を炊く場合、無洗米に付着したでんぷん質が沈殿して鍋底内に付着し、鍋2からごはん等の調理物への熱移動が妨げられる。無洗米を一度軽く洗米すればこの問題は解決するが、自動投入式の炊飯器1では洗米動作ができない。
これらの課題を解決するために、炊飯の早い段階に鍋内の米と水とを攪拌する動作を行うことが望ましい。これらの課題を解決する1つの手段は、前炊き工程S4又は鍋内の調理物が沸騰する直後までに鍋内を羽根等の攪拌部材によって攪拌することである。しかしながら、この場合には攪拌部材を鍋内にセットする必要があり、炊飯器の構造が複雑になるとともに攪拌部材のお手入れが必要となり、取り扱いが煩雑になる。
そこで、本開示の実施形態に係る炊飯器1は、攪拌工程S6において鍋2内の圧力を制御して突沸を発生させることにより攪拌を行うことにより、上記の課題を解決する。
図33は、図28の攪拌工程S6の流れを示すフローチャートである。まず、制御部20は、沸騰検知部16が沸騰を検知したか否かの検知結果を取得する(S61)。例えば、沸騰検知部16は、蒸気の温度が予め定められた閾値以上となった場合に沸騰を検知する。あるいは、沸騰検知部16は鍋2から発生した蒸気の温度を測定し、制御部20が、鍋2内の加熱物が沸騰したか否かを判定してもよい。
沸騰を検知すると(ステップS61でYes)、制御部20は、圧力弁15を閉じ、鍋2内を外部空間から遮断する(S62)。これにより、鍋2内の圧力が上昇する。次に、制御部20は、圧力センサ17から鍋2内の圧力Pの検出結果を取得し、検出された圧力Pが予め定められた閾値Pth以上である場合(ステップS63でYes)、圧力弁15を開く(S64)。これにより、鍋2内の圧力が一気に大気圧近傍まで低下し、突沸が発生し、生じた泡によって米粒が攪拌される。
閾値Pthは、例えば5kPa~30kPaである。鍋2内のゲージ圧力が20kPaのとき、鍋2内の温度が約105℃に相当することが知られている。鍋2内の圧力が5kPa以上あれば、鍋2内の調理物の攪拌は可能となることが知られている。また、鍋2内の圧力が30kPaを超えると、吹きこぼれを防止することが困難になること、ご飯の表面がベタつくこと等の問題があることが知られている。閾値Pthを5kPa~30kPaに設定することにより、これらの問題を回避することができる。
図34は、前炊き工程S4と、炊き上げ工程S5と、攪拌工程S6と、沸騰維持工程S7と、蒸らし工程S8とを含む炊飯動作時における、時刻(分)と鍋2内の温度(℃)との関係を模式的に示すグラフである。図35は、図34の領域Rの模式的な拡大図であり、炊飯量による温度(圧力)変化の差を示すグラフである。
本実施形態では、上記のように検出された圧力又は温度が閾値以上となった場合に圧力弁15を開くため、炊飯量にかかわらず、鍋2内の温度が105℃になった(又は圧力が20kPaになった)直後に圧力が低下して突沸が発生する。図35に示した例では、沸騰検知(S61)から圧力弁15を開く(S64)までの時間は、米が少量である場合にはT1(分)、米が最大量である場合にはT3(分)、米がこれらの中間量である場合にはT2(分)である。ここで、T1<T2<T3である。
なお、従来技術にも、沸騰維持工程中における圧力弁の開放によって突沸現象を発生させ、これにより鍋内の炊飯物をかき混ぜるものがある(例えば、特開2004-344568号公報参照)。しかしながら、従来技術においては、図36の比較例に示すように、沸騰検知から圧力弁を開くまでの時間は、炊飯量にかかわらず一定値(T0)である。この一定値T0は、最大量の米が鍋内に投入されても突沸を発生させることができるように設定される。そのため、例えば少量の米を炊飯する場合は、沸騰してから長い時間が経過しているにもかかわらず、時間T0が経過するまでは圧力弁が開放されないことがあった。従来技術においては、本開示の実施形態のような自動投入式の炊飯器1における米が山なりとなる問題、及び無洗米に付着したでんぷん質が沈殿して鍋底内に付着する問題が生じにくいため、長い時間T0が経過するまで圧力弁が開放されず突沸が発生しないことは問題とならなかった。しかしながら、本開示の実施形態のような自動投入式の炊飯器1では、炊飯の早い段階に鍋内の米と水とを攪拌する動作を行うことが望ましい。そこで、本実施形態では、特に米が少量である場合に、山なりになった米を炊飯の早い段階に攪拌して崩し、米の全部が水に浸されていない状態を早期に解消する上記のような構成が採用される。
図28に示した炊飯器1の動作は、図33の攪拌工程S6に代えて、図37に示した攪拌工程S6aを含んでもよい。図37の攪拌工程S6aは、図33の攪拌工程S6と比較して、検出された圧力Pが予め定められた閾値Pth以上であるかを判断するステップS63に代えて、ステップS63aを含む。すなわち、制御部20は、圧力弁15を閉じてから予め定められた時間が経過した場合(ステップS63aでYes)、圧力弁15を開く(S64)。これにより、鍋2内の圧力が一気に大気圧近傍まで低下し、突沸が発生し、生じた泡によって米粒が攪拌される。
予め定められた時間は、炊飯量に応じて設定され、例えば米が少量である場合にはT1a(分)、米が最大量である場合にはT3a(分)、米がこれらの中間量である場合にはT2a(分)である。ここで、T1a<T2a<T3aである。このように、圧力弁15を閉じてから開くまでの時間は、炊飯量が少ない程短く設定される。
図38は、攪拌工程S6aにおける、炊飯量による温度(圧力)変化の差を示すグラフである。図38は、図34の領域Rに相当する部分の模式的な拡大図である。図35と比較してわかるように、制御部20は、圧力弁15を閉じてから予め定められた時間が経過した場合、圧力弁15を開く。前述のように、予め定められた時間は、炊飯量に応じて設定され、例えば米が少量である場合にはT1a(分)、米が最大量である場合にはT3a(分)、米がこれらの中間量である場合にはT2a(分)である。
[3.効果等]
[3-1.全体構成に関する効果等]
以上のように、本開示の実施形態に係る炊飯器1は、有底筒状の鍋2と、鍋2を収容する筐体3と、上枠4と、ヒンジ部5と、蓋体6と、米を収容する米容器100と、送米部110とを備える。筐体3は、鍋2の外周面に対して隙間を空けて対向するように設けられている。上枠4は、平面視において筐体3の上方開口部と鍋2の上方開口部との間を覆うように設けられている。ヒンジ部5は、上枠4の上方に配置されている。蓋体6は、ヒンジ部5に、ヒンジ部5を中心として回動することができるように取り付けられ、鍋2の上方開口部を開閉可能に覆う。米容器100は、筐体3内に設けられている。送米部110は、米容器100に収容された米を鍋2に移動させる。米容器100は、その頂部に設けられた米容器開口部101を有する。米容器開口部101は、平面視において鍋2を挟んでヒンジ部5と対向する前方に配置されている。
これにより、ユーザは、米袋から米容器100に、頂部に設けられた米容器開口部101から、容易に米を投入することができる。
米容器100の少なくとも一部は、鍋2の下方から、平面視において鍋2を挟んでヒンジ部5と対向する前方に向かって延在するように構成されている。
これにより、鍋2の下方にあるスペースを利用して米容器100の容積を確保することができる。また、米容器100が前方に向かって延在するため、炊飯器1の横幅が大きくなることを防止することができる。そのため、炊飯器1の小型化を実現できるとともに、側方に物がある場合等における炊飯器1の設置性の悪化を防止することができる。また、使用時には、炊飯器1の後方及び側方には壁があることが想定され、炊飯器1の上方にも炊飯器1の収納スペースの天板があることも想定される。このような場合であっても、米容器100が前方にあることにより、ユーザは、米袋から米容器100に、容易に米を投入することができる。
米容器100は、頂部に設けられた米容器開口部101と、米容器開口部101を開閉できるように構成された米容器蓋104とを備えてもよい。この場合、米容器開口部101は、鍋2より前方に配置されてもよい。炊飯器1は、上枠4の上部であって、米容器開口部101と鍋2との間に、米容器開口部101より上方に突出し、米容器開口部101に水が入ることを防止する防水壁9を更に備えてもよい。
防水壁9を設けることにより、炊飯中に鍋2や蓋体6の底部等に付着した露、及び炊飯中に発生した水蒸気等が、頂部に設けられた米容器開口部101から米容器100内に侵入することを防止することができる。そのため、米容器100内の米をふやかせたり、腐敗を引き起こすことを防止することができる。
米容器蓋104は、米容器開口部101の前方に左右に延びるように配置された第1の回動軸105を備え、第1の回動軸105を中心として回動し、米容器開口部101を開放する開放位置と米容器開口部101を閉じる閉塞位置との間で移動可能であってもよい。
これにより、米容器蓋104は、閉塞位置から開放位置に移動する際に、蓋体6と干渉することがない。
米容器蓋104は、開放位置において、米容器蓋104の少なくとも一部が第1の回動軸105より前方かつ上方の静止位置に配置されるまで閉塞位置から回動可能であり、静止位置において静止できるように構成されてもよい。
これにより、開放位置において、米容器蓋104の裏面は、下方が米容器100に向かう斜面となり、斜面上に乗った米を米容器100の中に案内することができる。したがって、ユーザは、米袋から米容器100に容易に米を入れることができる。また、米容器100への米の供給時における米のこぼれ落ちを防止することができる。
炊飯器1は、筐体3内に設けられ水を収容する水容器300と、水容器300に収容された水を鍋2に移動させる送水部310と、を更に備えてもよい。
これにより、水道等の外部水源から給水を行う必要がなく、給水設備のために炊飯器が大型となることを防止することができる。
水容器300の少なくとも一部は、鍋2の下方から前方に向かって延在するように構成されてもよい。
これにより、米容器100と水容器300とを前方位置に集約でき、炊飯器1の小型化を実現することができる。
米容器100は、前方から見て米容器100の幅が下方に向かうに連れて漸次減少するように傾斜した傾斜側面108を有し、水容器300の少なくとも一部は、傾斜側面108の下方に配置されてもよい。
これにより、傾斜側面108の下方に広いスペースを確保することができ、このスペースに水容器300を配置する場合に水容器300の容量を大きくすることができる。
炊飯器1は、水容器300の中に収容された水を冷却するための冷却装置を更に備えてもよい。冷却装置は、ペルチェ素子401であってもよい。
これにより、水容器300の中に収容された水を冷却することができる。そのため、水容器300内の雑菌の増殖及び水の腐敗を防止することができる。また、冷却された水で炊飯を行うことにより、炊飯後の米の食味が向上する。
炊飯器1は、ペルチェ素子401の発熱面に取り付けられたヒートシンク403と、ヒートシンク403の温度を検知する温度センサ410と、ヒートシンク403に向けて送風する冷却ファン407と、冷却ファン407の回転を制御する制御部20とを更に備えてもよい。制御部20は、温度センサ410によって検知されたヒートシンク403の温度が予め定められた温度範囲内となるように冷却ファン407の回転を制御する。
これにより、ペルチェ素子401の温度変化を小さくすることができる。そのため、ペルチェ素子401の寿命を延ばすことができ、長期間冷却能力を発揮することができる。
炊飯器1は、鍋2を加熱する加熱部8に電源電力を供給するためのスイッチングトランジスタと、スイッチングトランジスタに取り付けられたヒートシンク11とを更に備えてもよい。ヒートシンク11は、冷却ファン407によって供給される風の風下に配置される。ヒートシンク403とヒートシンク11とは、冷却ファン407によって供給される風の流れ方向に並んでいる。
これにより、冷却ファン407は、ヒートシンク403のみならずヒートシンク11をも冷却することができる。そのため、炊飯器1内に、スイッチングトランジスタ又はこれを搭載した基板10を冷却するためのファンを更に設ける必要がなく、冷却機能を確保しつつ小型化を達成できる。
[3-2.送米部の構成に関する効果等]
本開示の実施形態に係る炊飯器1は、鍋2と、鍋2を収容する筐体3と、筐体3の上方に取り付けられ、鍋2の上方開口部を開閉可能に覆う蓋体6と、筐体3内に設けられ米を収容する米容器100と、米容器100に収容された米を鍋2に移動させる送米部110と、を備える。送米部110は、米容器から鍋へ米を移送するための送米路111と、米を押し込み、押し込み量に基づいて押し込んだ米の量を計測し、指定された量の米を送米路111に供給する米計量部120と、を有する。
これにより、米を水平方向に移動させながら計量を行うことができるため、高さ(鉛直)方向に計量のためのスペースを設ける必要がない。鍋の上方にある蓋体の中にこのような計量のためのスペースを設ける場合、蓋体が大型となる。炊飯器の蓋体が大型となり重量が増すと、蓋体の開閉機構を複雑なものにせざるを得ず、炊飯器の更なる大型化を招く。これに対し、鍋の上方に計量のためのスペースを設ける必要がない本実施形態では、米容器100を筐体3内に設けることができ、炊飯器1の小型化を実現することができる。
米計量部120は、米を、水平又は斜めに送米路111へ押し込んでもよい。
これにより、米を計量する手法は、米を重力によって下方に落とすものに限定されない。そのため、米計量部120をさまざまなスペースに配置できる。
米計量部120は、第1の軸の周りに螺旋状に形成された計量羽根121と、筒状形状を有し、計量羽根121の外周を覆うガイド部122と、第1の軸を軸周りに回転させる駆動モータ123とを備えてもよい。計量羽根121は、第1の軸を中心に供給方向に回転することによって、ガイド部122の内周面に沿って米を軸方向に送って指定された量の米を送米路111に供給する。
これにより、ガイド部122によって計量羽根121の外周が覆われる。そのため、計量羽根121の回転に伴って移送される米の量が安定し、計量精度が向上する。
米計量部120は、計量羽根121の回転数を検出する回転数センサ141を有してもよい。
これにより、回転数センサ141が計量羽根121の回転数を検出する。そのため、指定された量の米を精度良く計量することができる。
計量羽根121の一端は、送米路111に接続され、他端は、米容器100の内部に配置された米移送部に接続されてもよい。米移送部は、米容器100から計量羽根121に米を移送する。米移送部は、第2の軸の周りに螺旋状に形成され、第2の軸を中心に回転することによって米を計量羽根121に移送する米移送羽根148を含んでもよい。
これにより、米容器100の底面に、後方の計量羽根121に米が滑り落ちるような斜面を設けなくても、米容器100の前方にある米を計量羽根121まで移送することができる。そのため、米容器100の容量を増やすとともに、米容器100に米が残ることを防止することができる。
米移送羽根148は、第2の軸と第1の軸とが一直線上に位置するように計量羽根121に接続され、計量羽根121が第1の軸を中心に回転することによって、第2の軸を中心に回転するように構成されてもよい。
これにより、米移送羽根148と計量羽根121とが同心で直列に接続され、1つの駆動モータ123によって米移送羽根148と計量羽根121とを駆動することができる。そのため、米移送羽根148と計量羽根121とに駆動モータ123が共用され構成が簡単になるとともに、炊飯器1の小型化に貢献できる。
米移送羽根148は、計量羽根121に対して着脱自在に接続されるように構成されてもよい。
これにより、取り外した米移送羽根148を洗うことができる。また、米移送羽根148を取り外した状態で、米容器100の中の掃除を行うことができる。そのため、米移送羽根148及び米容器100お手入れのしやすさが向上し、炊飯器1を衛生的に保つことができる。
炊飯器1は、米移送羽根148と計量羽根121とが接続されている場合には駆動モータ123の回転駆動力を計量羽根121に伝達する一方で、米移送羽根148と計量羽根121とが接続されていない場合には駆動モータ123の回転駆動力を計量羽根121に伝達しないように構成されたクラッチ機構128を更に備えてもよい。
これにより、米移送羽根148と計量羽根121とが接続されていない場合には、駆動モータ123の回転駆動力が計量羽根121に伝達されない。そのため、計量羽根121上に米がないのにあるものとして計量が行われて精度の低い計量が行われる事態を防止することができる。
送米部110が米計量部120によって計量された米を鍋に移動させた後、駆動モータ123は、第1の軸を供給方向と逆向きに回転させて計量羽根121上の米を米容器100の中に排出するように構成されてもよい。
これにより、送米が完了した後にも計量羽根121上に米が残っている事態を防止することができる。そのため、次回の送米時に残った米による計量誤差が生じる問題を解消し、精度良く米を計量することができる。
炊飯器1は、米容器100の中に収容された米の量を検知する貯米量センサ230と、送米部110による米の移動を制御する制御部20とを更に備えてもよい。制御部20は、貯米量センサ230によって検知された貯米量が指定された量より少ない場合、送米部110による鍋への米の移動を中止し、及び/又は報知装置によってその旨を報知する。
これにより、米の量が不足している場合に米の移動等は行われず、ユーザは、米の量が不足していることを知ることができ、米を補充して再度炊飯の実行を指示することができる。
貯米量センサ230は、米容器100の中に収容された米の量が予め定められた量以上であるか否かを検知するセンサであってもよい。制御部20は、貯米量センサ230が、米容器100の中に収容された米の量が予め定められた量M0以下になったことを検知した場合、予め定められた量M0と、指定された量mとを用いて、現在の米容器100の中の米の量を算出する。
これにより、炊飯器1は、米容器100の貯米量を常に把握することができる。
貯米量センサ230は、静電タッチセンサであり、米容器100の外部に配置されてもよい。
これにより、貯米量センサ230は、米容器100の内部に設けられたセンサのように米容器100内にセンサが脱落することがない。また、赤外線センサを用いた場合、米粉等による検知精度の悪化が生じるが、静電タッチセンサを用いると米粉等による検知精度の悪化は生じない。そのため、安定して精度良く貯米量を検知することができる。
炊飯器1は、送米ファン112と、米分離装置150とを更に備えてもよい。送米ファン112は、送米路111の中の空気を流動させ、それにより米を米容器100から鍋へ移動させる。米分離装置150は、送米路111の中に配置され、送米ファン112によって移動した米及び空気を取り込む吸気口151と、空気を排出する排気口152と、米を排出する排米口154と、を備える。米分離装置150は、吸気口151から取り込んだ空気の流動力を利用して吸気口151から取り込んだ米及び空気を分離し、米を排米口154のみから排出し、排気口152からは空気のみを排出し、米を排出しない。排米口154から排出された米は、鍋2に供給される。
これにより、送米路111の中の空気を流動させる送米ファン112を用いた送米機構において、米を確実に鍋2内に入れることができる。また、炊飯器1は、米の分離にフィルタを用いないため、フィルタの目詰まりが発生することはなく、長期間にわたり安定して送米を行うことができる。
米分離装置150は、蓋体6の中に設けられてもよい。
これにより、炊飯器1の横幅又は奥行が大きくなることを防止することができる。そのため、側方に物や壁がある場合等における炊飯器1の設置性の悪化を防止することができる。
[3-3.送水部の構成に関する効果等]
本開示の実施形態に係る炊飯器1は、鍋2と、鍋2を収容する筐体3と、水を収容する水容器300と、送水部310と、水容器300内の水位を検知する水位センサ313と、入力部22と、制御部20とを備える。水容器300は、筐体3内に設けられる。送水部310は、炊飯前に、水容器300の中に収容された水を鍋2に移動させる。入力部22は、ユーザによる操作指示を受け付ける。制御部20は、水位センサ313の検知結果に基づいて、操作指示に応じた指定量の水を鍋2に移動させるように送水部310を制御する。
これにより、炊飯器1は、炊飯前に、指定量の水を精度良く水容器300から鍋2に移動させることができる。特に、動的な水の流量を測定する流量センサに比べて、静的な水位を検知する水位センサ313を利用することにより、指定された量の水を精度良く検知し、鍋2に投入することができる。
制御部20は、送水部310による水の移動の前後に水位センサ313によって検知された水位の差に基づいて、水容器300から鍋2に移動した水の量を算出してもよい。
これにより、炊飯器1は、水容器300から鍋2に移動した水の量を精度良く検知し、操作指示に応じた指定量の水を正確に測定して鍋2に投入することができる。
送水部310は、水容器300と鍋2との間の送水路311を備えてもよい。水容器300は、筐体3に着脱自在に取り付けられてもよい。水容器300は、筐体3に取り付けられた場合に送水路311に接続される出口303を備える。水容器300は、筐体3から取り外された場合に出口303を塞いで水を通さず、筐体3に取り付けられた場合に出口303を開放し、出口303を介して送水路311に水を通すように構成されたボール弁305を更に備える。
水容器300が筐体3に着脱自在に取り付けられているため、ユーザは、水容器300を取り外して簡単に水を補給することができる。水容器300が筐体3から取り外された場合に、ボール弁305が出口303を塞いで水を通さないため、水が漏れることはない。
送水部310は、送水路311内の水を移動させる送水ポンプ312を備えてもよい。
これにより、水容器300が鍋2の上方に配置されていない場合であっても、送水ポンプ312により、水容器300から鍋2への送水を行うことができる。そのため、水容器300を鍋2の上方以外のスペースに配置することができ、炊飯器1の小型化を実現できる。
水位センサ313は、送水路311の中の圧力を測定することによって水容器300の中の水位を検知するものであってもよい。水位センサ313は、送水路311内の水位と水容器300内の水位との差に対応する圧力を検知するように構成されてもよい。
これにより、ばらつきの少ない検知結果が得られ、指定量の水を精度良く測定することができる。また、高精度で廉価な圧力センサを利用することにより、炊飯器1の製造コストを低減することができる。
制御部20は、指定量の水を水容器300から鍋2に移動させた後、送水路311の中に残った水を水容器300の中に戻すように送水部310を制御してもよい。
これにより、指定量の水を鍋2に移動させた後に送水路311の中に残存した水が腐敗すること、送水路311の中で雑菌が増殖すること等を防止することができる。
炊飯器1は、使用者に報知を行う出力部23を更に備えてもよい。制御部20は、水位センサ313によって検知された水位に対応する水量が指定量より少ない場合、送水部310による鍋2への水の移動を中止し、及び/又は出力部23によってその旨を報知する。
これにより、米の量が不足している場合に米の移動等は行われず、ユーザは、米の量が不足していることを知ることができ、米を補充して再度炊飯の実行を指示することができる。
[3-4.炊飯動作に関する効果等]
本開示の実施形態に係る炊飯器1は、ユーザによる操作指示に基づいて決定された指定量の米及び水を鍋2に移動させて炊飯を行う自動投入式の炊飯器である。炊飯器1は、鍋2と、鍋2を収容する筐体3と、鍋2の開口部を塞ぐ蓋体6と、鍋2内と外部空間とを連通する穴を開閉可能に動作する圧力弁15と、筐体3内に設けられ米を収容する米容器100とを更に備える。炊飯器1は、米を米容器100から鍋2に移動させる送米部110と、鍋2を加熱する加熱部8と、鍋2内の水が沸騰したことを検知する沸騰検知部16とを更に備える。炊飯器1は、ユーザによる操作指示を受け付ける入力部22と、制御部20とを更に備える。制御部20は、送米部110による米の移動と、送水部310による水の移動と、加熱部8による加熱と、圧力弁15の開閉と、を制御する。制御部20は、指定量が第1の量のときに、圧力弁15を閉じてから開くまでの時間を第1の時間に設定し、指定量が第2の量のときに、圧力弁15を閉じてから開くまでの時間を第2の時間に設定する。制御部20は、第1の量が第2の量よりも多く、第1の時間が第2の時間よりも長くなるように設定する。
自動投入式の炊飯器においては、炊飯前に米を平らにしたりかき混ぜたりする人の作業が介入しないため、米が投入された後に鍋内に山なりになり、米の全部が水に浸されない場合がある。また、無洗米を炊く場合、無洗米に付着したでんぷん質が沈殿して鍋底内に付着し、鍋からごはん等の調理物への熱移動が妨げられる。無洗米を一度軽く洗米すればこの問題は解決するが、自動投入式の炊飯器では洗米動作ができない。炊飯器1は、上記のような構成により、沸騰を検知した後に突沸を発生させて鍋2内の米を攪拌させることができる。そのため、山なりになった米を崩して平らにすることができ、水に浸された米と浸されていない米との間に炊きムラが生じることを防止することができる。また、攪拌により、でんぷん質が沈殿して鍋底内に付着して鍋からごはん等の調理物への熱移動が妨げられる事態を解消することができる。
制御部20は、沸騰検知部16が沸騰を検知した後に圧力弁15を閉じて鍋2内の圧力を上昇させ、その後に圧力弁15を開いて鍋2内の圧力を一気に低下させることにより突沸を発生させて鍋2内の米を攪拌するように制御する。
これにより、上記のように、沸騰を検知した後に突沸を発生させて鍋2内の米を攪拌させることができる。そのため、山なりになった米を崩して平らにすることができ、水に浸された米と浸されていない米との間に炊きムラが生じることを防止することができる。また、攪拌により、でんぷん質が沈殿して鍋底内に付着して鍋からごはん等の調理物への熱移動が妨げられる事態を解消することができる。
制御部20は、圧力弁15を閉じてから開くまでの時間を指定量が少ない程短くするものであってもよい。
これにより、炊飯量が多い場合には、圧力弁15を閉じてから開くまでの時間を長くし、圧力弁15を開いた場合に突沸が生じるように調整をすることができる。また、炊飯量が少ない場合には、圧力弁15を閉じてから開くまでの時間を短くし、圧力弁15を開いた場合に突沸が生じるように調整をするとともに、沸騰してから長い時間が経過しているにもかかわらず圧力弁が開放されない事態を防止することができる。そのため、炊飯量の多寡にかかわらず、炊飯の早い段階に米を攪拌し、炊きムラが生じる問題及びでんぷん質が沈殿して鍋底内に付着する問題を解消することができる。
炊飯器1は、鍋2内の圧力を検知する圧力センサ17を更に備えてもよい。制御部20は、圧力センサ17によって検知された圧力が予め定められた閾値Pth以上になった場合に圧力弁15を開く。
これにより、炊飯量の多寡にかかわらず、炊飯の早い段階に米を攪拌することができる。そのため、炊きムラが生じる問題及びでんぷん質が沈殿して鍋底内に付着する問題を解消することができる。
予め定められた閾値Pthは、5kPa~30kPaであってもよい。
鍋2内のゲージ圧力が20kPaのとき、鍋2内の温度が約105℃に相当することが知られている。鍋2内の圧力が5kPa以上あれば、鍋2内の調理物の攪拌は可能となることが知られている。また、鍋2内の圧力が30kPaを超えると、吹きこぼれを防止することが困難になること、ご飯の表面がベタつくこと等の問題があることが知られている。閾値Pthを5kPa~30kPaに設定することにより、これらの問題を回避することができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
上記の実施の形態では、図31に示すように、制御部20が回転数センサ141によって検出された計量羽根121の回転数nを取得し(S263)、計量羽根121の回転数nが必要回転数Nに達するまで駆動モータ123を駆動する動作例を説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されず、炊飯器1は、計量羽根121の回転によって送米量を計測できるものであればよい。
例えば、図30に示した送米工程S2は、送米量計測処理S26(図31)に代えて、図39に示した送米量計測処理S26aを含んでもよい。送米量計測処理S26aでは、制御部20は、炊飯指示(図28のS1)において指定された量の米を移送するために必要な計量羽根121の必要回転時間tを決定する(S261a)。次に、制御部20は、計量羽根121を必要回転時間tだけ供給方向に回転させる(S262a)。次に、制御部20は、駆動モータ123を供給方向と逆向きの排米方向に回転させ、計量羽根121を排米方向に回転させる(S265)。
上記の実施の形態では、図32に示すように、制御部20が必要量wの水を供給するために必要な送水ポンプ312の駆動時間Tを算出し(S35)、駆動時間Tだけ送水ポンプ312を動作させる(S36)動作例を説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されず、炊飯器1は、必要量wの水を鍋2に供給できるものであればよい。
例えば、制御部20は、図28に示した炊飯器1による動作において、送水工程S3(図32)に代えて、図40に示した送水工程S3aを含んでもよい。図40に示したステップS31~S34,S37,S38は、図32と同様であるため説明を省略する。
ステップS34において、水容器300の水の量W0がステップS31で決定された必要量w以上であると判定した場合(S34でNo)、制御部20は、変数w1に必要量wを設定し(S301)、S302~S309のループ処理を開始する。ステップS301の後、制御部20は、変数w1のP%の水を供給するために必要な送水ポンプの駆動時間Tpを算出する(S302)。次に、制御部20は、ステップS302で算出された駆動時間Tpだけ送水ポンプ312を動作させる(S303)。Pの値は、例えば50,60,70,80,90,95等であるが、これに限定されず、任意の値であってよい。
次に、制御部20は、水位センサ313による水容器300内の水位の検知結果を取得し(S304)、検知結果に基づいて、水容器300の水の量W1を決定する(S305)。制御部20は、ステップS303において実際に供給された水の量w2を算出する(S306)。ここで、w2=W0-W1である。次に、制御部20は、ステップS303において実際に供給された水の量w2と、変数w1との誤差eを算出する(S307)。ここで、e=(w1-w2)/w1である。ステップS307で算出された誤差eが予め定められた基準誤差eK以上である場合(ステップS308でNo)、制御部20は、変数w1に(w1-w2)を設定し(S309)、ステップS302に戻る。ステップS307で算出された誤差eが予め定められた基準誤差eK未満である場合(ステップS308でYes)、ステップS37に進む。基準誤差eKの値は、例えば0.05であるが、これに限定されず、任意の値であってよい。
送水工程S3(図32)に代えて、図40に示した送水工程S3aを含むことにより、鍋2に供給される水の量をより正確に計測することができる。
上記の実施の形態では、水容器300の中の水を冷却ためのペルチェ素子401を備える炊飯器1について説明した。ペルチェ素子401は、水を冷却することにより、雑菌の増殖及び水の腐敗を防止するものであればよく、常時動作する必要はない。例えば、制御部20は、炊飯時、例えば加熱部8による加熱動作時には、ペルチェ素子401の動作を停止させてもよい。これにより、加熱に対抗してペルチェ素子401に大電流が流れることを防止することができる。そのため、ペルチェ素子401の寿命を延ばすことができ、又は大電流を必要とせず省エネ化を図ることができる。あるいは、ペルチェ素子401を炊飯時にも十分に冷却できるような大型のものにする必要がない。これにより、ペルチェ素子401を小型化し、ひいては炊飯器1の小型化を実現することができる。
上記の実施の形態では、米容器100と水容器300とを備え、ユーザによる操作指示に基づいて決定された指定量の米及び水を鍋2に移動させて炊飯を行う自動投入式の炊飯器1について説明した。しかしながら、本開示における技術は、必ずしも米容器100及び水容器300の両方を備える炊飯器に適用されるものに限定されない。例えば、送米部110の構成及びこれによって実現される図30に示した送米工程S2は、米容器を備えるものの、水容器を備えない炊飯器に適用されてもよい。このような炊飯器は、例えば、筐体内に備えられた米容器と、米容器内の米を鍋2に移動させる送米機構と、水道又は外部の水タンクに接続され、水道又は外部の水タンクからの水を鍋2に供給する給水機構とを備えるものである。
同様に、図29に示した貯米量検知工程S9、及び図33,37に示した攪拌工程S6,S6aも、上記のような水容器を備えない炊飯器に適用されてもよい。
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。