以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る振動発生装置101について説明する。図1A及び図1Bは、振動発生装置101の外形図である。具体的には、図1Aは、振動発生装置101の斜視図であり、図1Bは、振動発生装置101の上面図である。図2は、振動発生装置101の分解斜視図である。
図1A、図1B、及び図2のそれぞれにおけるX1は三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2はX軸の他方向を表す。また、Y1は三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2は他方向を表す。同様に、Z1は三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2はZ軸の他方向を表す。本実施形態では、振動発生装置101のX1側は、振動発生装置101の前側(正面側)に相当し、振動発生装置101のX2側は、振動発生装置101の後側(背面側)に相当する。また、振動発生装置101のY1側は、振動発生装置101の左側に相当し、振動発生装置101のY2側は、振動発生装置101の右側に相当する。そして、振動発生装置101のZ1側は、振動発生装置101の上側に相当し、振動発生装置101のZ2側は、振動発生装置101の下側に相当する。他の図においても同様である。
振動装置VEは、制御部CTR及び振動発生装置101を有する。振動発生装置101は、固定体としての筐体HSと、筐体HS内に収容される可動体MBと、筐体HSに取り付けられるコイル4と、を有する。制御部CTRは、筐体HSに固定された絶縁基板BM上に設けられた入力端子ITに接続されている。なお、図1Aの破線は、制御部CTRと絶縁基板BM上に設けられた入力端子ITとが電気的に接続されていることを模式的に示している。
筐体HSは、図1Aに示すように、略直方体の外形を有し、XY平面に平行な面(上面及び下面)の面積が最も広くなるように構成されている。本実施形態では、筐体HSは、ケース1及びサイドケース2で構成されている。
ケース1は、図2に示すように、筐体HSの天面を形成する上側ケース1Uと、筐体HSの底面を形成する下側ケース1Dとを含む。上側ケース1U及び下側ケース1Dは何れも平板状の部材である。本実施形態では、上側ケース1U及び下側ケース1Dは同じ形状及び同じ大きさを有する。すなわち、上側ケース1U及び下側ケース1Dは同一部品として構成されている。
また、上側ケース1Uは、前後対称且つ左右対称となるように形成されている。下側ケース1Dについても同様である。そして、上側ケース1Uと下側ケース1Dとは、互いに上下対称となるように配置されている。
具体的には、上側ケース1Uは、上側磁性部材1UM及び上側枠体1UWを含む。同様に、下側ケース1Dは、下側磁性部材1DM及び下側枠体1DWを含む。なお、以下では、上側磁性部材1UM及び下側磁性部材1DMは磁性部材MGとも称され、上側枠体1UW及び下側枠体1DWは枠体FBとも称される。
磁性部材MGは、磁束源5から離れたところに磁束源5と磁気的に引き合うように配置される部材である。本実施形態では、磁性部材MGは、可動体MBを構成する磁束源5とは接触しないように、且つ、磁束源5を所定位置に磁気的に保持できるように、枠体FBに固定されている。磁束源5が所定位置から変位している場合、磁束源5が発生させる磁力に基づく磁束源5と磁性部材MGとの間の吸引力により、磁性部材MGは、磁束源5を所定位置に引き戻すように作用する。所定位置は、例えば、可動体MBが可動範囲の中心に位置するときの磁束源5の位置である。
枠体FBは、磁性部材MGを支持するための非磁性部材である。本実施形態では、枠体FBは、オーステナイト系ステンレス鋼で形成されている。但し、枠体FBは、合成樹脂で形成されていてもよい。磁性部材MGは、接着剤によって枠体FBに接合されている。
サイドケース2は、筐体HSの側面を構成するように形成されている。本実施形態では、サイドケース2は、非磁性部材であり、オーステナイト系ステンレス鋼で形成されている。但し、サイドケース2は、合成樹脂で形成されていてもよい。具体的には、サイドケース2は、平板状に形成された四つの側板部2Aを備えている。より具体的には、側板部2Aは、図2に示すように、互いに対向する第1側板部2A1及び第3側板部2A3と、第1側板部2A1及び第3側板部2A3のそれぞれに垂直で且つ互いに対向する第2側板部2A2及び第4側板部2A4とを有する。
ケース1は、締結部材3によりサイドケース2に締結される。具体的には、締結部材3は、上側締結部材3U及び下側締結部材3Dを含む。本実施形態では、締結部材3は、プラスドライバで操作できるように構成された雄ネジであり、サイドケース2の四隅に形成された雌ネジ孔2Tとかみ合うように構成されている。サイドケース2の四隅に形成された雌ネジ孔2Tは、Z軸方向に沿ってサイドケース2の角部を貫通するように形成されており、第1雌ネジ孔2T1~第4雌ネジ孔2T4を含む。そして、上側ケース1U(上側枠体1UW)は、四つの上側締結部材3U(第1上側雄ネジ3U1~第4上側雄ネジ3U4)により、サイドケース2に締結されている。具体的には、第1上側雄ネジ3U1は、サイドケース2の右前隅に形成された第1雌ネジ孔2T1の上側開口にねじ込まれ、第2上側雄ネジ3U2は、サイドケース2の左前隅に形成された第2雌ネジ孔2T2の上側開口にねじ込まれ、第3上側雄ネジ3U3は、サイドケース2の左後隅に形成された第3雌ネジ孔2T3の上側開口にねじ込まれ、第4上側雄ネジ3U4は、サイドケース2の右後隅に形成された第4雌ネジ孔2T4の上側開口にねじ込まれる。同様に、下側ケース1D(下側枠体1DW)は、四つの下側締結部材3D(第1下側雄ネジ3D1~第4下側雄ネジ3D4)により、サイドケース2に締結されている。具体的には、第1下側雄ネジ3D1は、サイドケース2の右前隅に形成された第1雌ネジ孔2T1の下側開口にねじ込まれ、第2下側雄ネジ3D2は、サイドケース2の左前隅に形成された第2雌ネジ孔2T2の下側開口にねじ込まれ、第3下側雄ネジ3D3は、サイドケース2の左後隅に形成された第3雌ネジ孔2T3の下側開口にねじ込まれ、第4下側雄ネジ3D4は、サイドケース2の右後隅に形成された第4雌ネジ孔2T4の下側開口にねじ込まれる。
コイル4は、駆動手段DMを構成する部材である。本実施形態では、コイル4は、絶縁材料で表面を被覆された導電線が巻回されて形成される巻き線コイルであり、ケース1に固定されるように構成されている。図2は、明瞭化のため、導電線の詳細な巻回状態の図示を省略している。コイル4を図示する他の図においても同様である。コイル4は、積層コイル又は薄膜コイル等であってもよい。具体的には、コイル4は、上側ケース1U(上側磁性部材1UM)の下側(Z2側)の面に固定される上側コイル4Uと、下側ケース1D(下側磁性部材1DM)の上側(Z1側)の面に固定される下側コイル4Dと、を含む。そして、上側コイル4Uは、Y軸方向に沿って並置され且つ直列接続される第1上側コイル4U1、第2上側コイル4U2、及び第3上側コイル4U3を含み、下側コイル4Dは、Y軸方向に沿って並置され且つ直列接続される第1下側コイル4D1、第2下側コイル4D2、及び第3下側コイル4D3を含む。なお、以下では、第1上側コイル4U1及び第1下側コイル4D1は左側コイル4Lとも称され、第2上側コイル4U2及び第2下側コイル4D2は中央コイル4Cとも称され、第3上側コイル4U3及び第3下側コイル4D3は右側コイル4Rとも称される。
制御部CTRは、可動体MBの動きを制御できるように構成されている。本実施形態では、制御部CTRは、電子回路及び不揮発性記憶装置等を含む装置であり、コイル4を流れる電流の向き及び大きさを制御できるように構成されている。制御部CTRは、コンピュータ等の外部装置からの制御指令に応じてコイル4を流れる電流の向き及び大きさを制御するように構成されていてもよく、外部装置からの制御指令を受けずにコイル4を流れる電流の向き及び大きさを制御するように構成されていてもよい。なお、本実施形態では、制御部CTRは、筐体HSの外部に設置されているが、筐体HSの内部に設置されていてもよい。
可動体MBは、筐体HSを振動させることができるように構成されている。本実施形態では、可動体MBは、筐体HS内に取り付けられた状態で往復動することにより、筐体HSを振動させることができるように構成されている。
次に、図3A、図3B、及び図4を参照し、可動体MBの詳細について説明する。図3A、図3B、及び図4は、可動体MBの外形図である。具体的には、図3Aは、可動体MBの全体の斜視図であり、図3Bは、可動体MBの分解斜視図である。図4は、サイドケース2に取り付けられた可動体MBの上面図である。
可動体MBは、磁束源5及び磁束源保持部材6を含むように構成されている。具体的には、可動体MBは、所定方向に延びる振動軸VA(図3A参照。)に沿って筐体HS(サイドケース2)に対して往復動(振動)できるように構成されている。
磁束源5は、駆動手段DMを構成する部材であり、磁束を発生させることができるように構成されている。本実施形態では、磁束源5は、永久磁石であり、左側磁石5L、中央磁石5C、及び右側磁石5Rを含む。中央磁石5Cは、第1中央磁石5C1及び第2中央磁石5C2を含む。左側磁石5L、第1中央磁石5C1、第2中央磁石5C2、及び右側磁石5Rは何れも、二極に着磁された永久磁石であり、Y軸方向に沿って並置されている。
磁束源保持部材6は、磁束源5を保持できるように構成されている。本実施形態では、磁束源保持部材6は、合成樹脂で形成された矩形枠状の部材であり、左側磁石5L、第1中央磁石5C1、第2中央磁石5C2、及び右側磁石5RをY軸方向に沿って略等間隔で保持できるように構成されている。
駆動手段DMは、振動力発生部の一例であり、可動体MBを振動軸VAに沿って振動させることができるように構成されている。本実施形態では、駆動手段DMは、コイル4及び磁束源5で構成され、制御部CTRを通じてコイル4に供給される電流の向き及び大きさに応じた、コイル4と磁束源5との間に作用する電磁力を利用し、可動体MB(磁束源5)を振動軸VAに沿って振動させることができるように構成されている。
次に、図5A、図5B、図6A、図6B、図7A、及び図7Bを参照し、ガイド手段GMについて説明する。図5A及び図5Bは、ガイド手段GMを構成する部材の詳細図である。具体的には、図5Aは、分解された状態にある上側ケース1U、下側ケース1D、サイドケース2、及び磁束源保持部材6の左側面図である。図5Bは、組み合わされた状態にある上側ケース1U、下側ケース1D、及び磁束源保持部材6の左側面図である。図5A及び図5Bでは、明瞭化のため、ケース1及びサイドケース2には細かいドットパターンが付され、磁束源保持部材6には粗いドットパターンが付されている。また、図5Bでは、明瞭化のため、図5Aでは図示されているサイドケース2の図示が省略されている。図6A及び図6Bは、振動発生装置101の断面図である。具体的には、図6Aは、図1Bに示す一点鎖線L1を含むXZ平面に平行な平面における振動発生装置101の断面をY1側から見たときの図である。図6Bは、図6Aにおけるコイル4及び磁束源5の図示が省略された図である。図7A及び図7Bは、ガイド手段GMを構成する部材の斜視図である。具体的には、図7Aは、組み合わされた状態にある上側ケース1U、下側ケース1D、及び磁束源保持部材6の斜視図である。図7Bは、組み合わされた状態にある下側ケース1D及び磁束源保持部材6の斜視図である。図7A及び図7Bでは、明瞭化のため、磁束源保持部材6に粗いドットパターンが付されている。また、図7Bでは、磁束源保持部材6により磁束源5が保持された状態が示されている。
ガイド手段GMは、可動体MBを固定体としての筐体HS内で左右方向(Y軸方向)に沿って往復動可能にガイドできるように構成されている。本実施形態では、ガイド手段GMは、上側ケース1Uと一体的に形成されるとともに上側ケース1Uから下方(Z2方向)に延設された上側ガイド部1UGと、下側ケース1Dと一体的に形成されるとともに下側ケース1Dから上方(Z1方向)に延設された下側ガイド部1DGとを含む。そして、ガイド手段GMは、可動体MBを構成する磁束源保持部材6に形成された突出部である被ガイド部6Gが上側ガイド部1UG及び下側ガイド部1DGによって左右方向に沿って摺動自在にガイドされるように構成されている。
具体的には、上側ガイド部1UGは、サイドケース2の第1側板部2A1(図2参照。)に対向してY軸方向に延びる上前側ガイド部1UGFと、サイドケース2の第3側板部2A3(図2参照。)に対向してY軸方向に延びる上後側ガイド部1UGBと、を含む。同様に、下側ガイド部1DGは、サイドケース2の第1側板部2A1(図2参照。)に対向してY軸方向に延びる下前側ガイド部1DGFと、サイドケース2の第3側板部2A3(図2参照。)に対向してY軸方向に延びる下後側ガイド部1DGBと、を含む。
磁束源保持部材6に形成された被ガイド部6Gは、サイドケース2の第1側板部2A1(図2参照。)に対向してY軸方向に延びる前側被ガイド部6GFと、サイドケース2の第3側板部2A3(図2参照。)に対向してY軸方向に延びる後側被ガイド部6GBと、を含む。
そして、図5Bに示すように、上前側ガイド部1UGFの先端と下前側ガイド部1DGFの先端とは、前側被ガイド部6GFを挟んで互いに対向するように組み合わされ、且つ、上後側ガイド部1UGBの先端と下後側ガイド部1DGBの先端とは、後側被ガイド部6GBを挟んで互いに対向するように組み合わされる。
本実施形態では、上前側ガイド部1UGFの先端、及び、下前側ガイド部1DGFの先端は何れも、前側被ガイド部6GFと接触するように組み合わされる。すなわち、前側被ガイド部6GFは、上前側ガイド部1UGFの先端と下前側ガイド部1DGFの先端との間に形成される空間と略同じ形状を有するように構成されている。具体的には、前側被ガイド部6GFは、磁束源保持部材6の長手方向の全長の大部分にわたって連続的に延びる一つの略直方体形状の突出部として形成されている。しかしながら、前側被ガイド部6GFは、磁束源保持部材6の長手方向に沿って断続的に配置される複数の突出部の組み合わせであってもよい。後側被ガイド部6GBについても同様である。また、本実施形態では、磁束源保持部材6は、前後対称となるように形成されている。すなわち、前側被ガイド部6GFと後側被ガイド部6GBとは同じ形状及び同じ大きさを有するように形成されている。但し、前側被ガイド部6GFと後側被ガイド部6GBとは異なる形状を有していてもよい。
図5A及び図5Bに示す例では、磁束源保持部材6は、ケース1及びサイドケース2に組み合わされたときに、前側被ガイド部6GFの上面FS1が上前側ガイド部1UGFの先端面FS2と接触し、且つ、前側被ガイド部6GFの下面FS3が下前側ガイド部1DGFの先端面FS4と接触するように構成されている。また、磁束源保持部材6は、上側前面FS5(前面のうち前側被ガイド部6GFの上方に位置する部分)が上前側ガイド部1UGFの内面FS6と接触し、下側前面FS7(前面のうち前側被ガイド部6GFの下方に位置する部分)が下前側ガイド部1DGFの内面FS8と接触するように構成されている。一方で、磁束源保持部材6は、前側被ガイド部6GFの前面FS9がサイドケース2の第1側板部2A1の内面FS10(図6A参照。)と接触しないように構成されている。なお、ケース1は、上前側ガイド部1UGFの外面FS11とサイドケース2の第1側板部2A1の内面FS10とが接触し、且つ、下前側ガイド部1DGFの外面FS12とサイドケース2の第1側板部2A1の内面FS10とが接触するように構成されている。
同様に、磁束源保持部材6は、ケース1及びサイドケース2に組み合わされたときに、後側被ガイド部6GBの上面BS1が上後側ガイド部1UGBの先端面BS2と接触し、且つ、後側被ガイド部6GBの下面BS3が下後側ガイド部1DGBの先端面BS4と接触するように構成されている。また、磁束源保持部材6は、上側後面BS5(後面のうち後側被ガイド部6GBの上方に位置する部分)が上後側ガイド部1UGBの内面BS6と接触し、下側後面BS7(後面のうち後側被ガイド部6GBの下方に位置する部分)が下後側ガイド部1DGBの内面BS8と接触するように構成されている。一方で、磁束源保持部材6は、後側被ガイド部6GBの後面BS9がサイドケース2の第3側板部2A3の内面BS10(図6A参照。)と接触しないように構成されている。なお、ケース1は、上後側ガイド部1UGBの外面BS11とサイドケース2の第3側板部2A3の内面BS10とが接触し、且つ、下後側ガイド部1DGBの外面BS12とサイドケース2の第3側板部2A3の内面BS10とが接触するように構成されている。
上述のように、被ガイド部6Gは、上側ガイド部1UGと下側ガイド部1DGとの間で、図7A及び図7Bのそれぞれにおける双方向矢印AR1で示す方向に摺動できるように構成されている。具体的には、被ガイド部6Gは、その上面を上側ガイド部1UGの先端面と接触させ、その下面を下側ガイド部1DGの先端面と接触させながら左右方向(Y軸方向)に往復動できるように構成されている。
この構成により、磁束源保持部材6は、前後方向及び上下方向のそれぞれにおける移動が制限される一方で、左右方向における円滑な移動が許容される。
次に、図8A、図8B、図9A~図9C、及び、図10A~図10Cを参照し、駆動手段DMの詳細について説明する。図8A及び図8Bは、固定体としての筐体HSに固定されたコイル4の詳細図である。具体的には、図8Aは、下側ケース1Dに固定された下側コイル4Dの斜視図である。図8Bは、下側ケース1Dに固定された下側コイル4Dの上面図である。図8A及び図8Bでは、明瞭化のため、下側コイル4Dにドットパターンが付されている。図9A~図9Cは、図7Aに示す一点鎖線L2を含むYZ平面に平行な仮想平面におけるケース1、コイル4、及び磁束源5の断面をX1側から見たときの図である。具体的には、図9Aは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の中心に位置するときのケース1、コイル4、及び磁束源5の断面図である。図9Bは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の右端に位置するときのケース1、コイル4、及び磁束源5の断面図である。図9Cは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の左端に位置するときのケース1、コイル4、及び磁束源5の断面図である。図9A~図9Cでは、明瞭化のため、磁束源5としての永久磁石には、断面を表すパターンの代わりに、N極部分に粗いクロスパターンが付され、S極部分に細かいクロスパターンが付されている。他の図においても同様である。図10A~図10Cは、下側ケース1Dに固定された下側コイル4Dの上を左右方向(Y軸方向)に移動可能な磁束源5の上面図である。具体的には、図10Aは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の中心に位置するときの下側ケース1D、下側コイル4D、及び磁束源5の上面図である。図10Bは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の右端に位置するときの下側ケース1D、下側コイル4D、及び磁束源5の上面図である。図10Cは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の左端に位置するときの下側ケース1D、下側コイル4D、及び磁束源5の上面図である。
駆動手段DMの構成要素の一つであるコイル4は、図2に示すように、上側ケース1Uの下側(Z2側)の面に固定される上側コイル4Uと、下側ケース1Dの上側(Z1側)の面に固定される下側コイル4Dと、を含む。
下側コイル4Dは、図8A及び図8Bに示すように、下側ケース1Dの上面(Z1側の面)に接着剤で固定される三つのコイル(第1下側コイル4D1、第2下側コイル4D2、及び第3下側コイル4D3)を含む。図8A及び図8Bを参照する以下の説明は、下側コイル4Dに関するが、上側コイル4Uにも同様に適用される。上側ケース1Uと下側ケース1Dとは同じ形状及び同じ大きさを有し、上側コイル4Uと下側コイル4Dとは同じ形状及び同じ大きさを有するためである。
下側コイル4Dを構成している三つのコイルのそれぞれは、下側内部空間1DPを囲むように巻回されている。具体的には、第1下側コイル4D1は、左下側内部空間1DPLを囲むように巻回され、第2下側コイル4D2は、中央下側内部空間1DPCを囲むように巻回され、第3下側コイル4D3は、右下側内部空間1DPRを囲むように巻回されている。
第1下側コイル4D1は、左下側内部空間1DPLの左側(Y1側)に位置し且つ左下側内部空間1DPLに沿って延びる左側束線部4D1Lと、左下側内部空間1DPLの右側(Y2側)に位置し且つ左下側内部空間1DPLに沿って延びる右側束線部4D1Rと、を含む。なお、束線部は、コイルを構成する導電線が前後方向(X軸方向)に沿って延びる部分を意味する。
図8Bでは、明瞭化のため、第1下側コイル4D1における左側束線部4D1L及び右側束線部4D1Rには、第1下側コイル4D1における他の部分に付されているドットパターンよりも細かいドットパターンが付されている。第2下側コイル4D2及び第3下側コイル4D3についても同様である。
第2下側コイル4D2は、中央下側内部空間1DPCの左側(Y1側)に位置し且つ中央下側内部空間1DPCに沿って延びる左側束線部4D2Lと、中央下側内部空間1DPCの右側(Y2側)に位置し且つ中央下側内部空間1DPCに沿って延びる右側束線部4D2Rと、を含む。
同様に、第3下側コイル4D3は、右下側内部空間1DPRの左側(Y1側)に位置し且つ右下側内部空間1DPRに沿って延びる左側束線部4D3Lと、右下側内部空間1DPRの右側(Y2側)に位置し且つ右下側内部空間1DPRに沿って延びる右側束線部4D3Rと、を含む。
第1下側コイル4D1の左側束線部4D1L及び右側束線部4D1Rは、磁束源5が発生させる磁束が通過する部分、すなわち、可動体MBを左右方向に移動させるためのローレンツ力に基づく駆動力を発生させる部分である。第2下側コイル4D2の左側束線部4D2L及び右側束線部4D2R、並びに、第3下側コイル4D3の左側束線部4D3L及び右側束線部4D3Rについても同様である。
駆動手段DMの構成要素の別の一つである磁束源5は、図9A~図9Cに示すように、上側コイル4Uと下側コイル4Dとの間の空間内において、左右方向(Y軸方向)に移動可能に配置されている。具体的には、磁束源5は、左側磁石5L、第1中央磁石5C1、第2中央磁石5C2、及び右側磁石5Rを含む。そして、左側磁石5L、第1中央磁石5C1、第2中央磁石5C2、及び右側磁石5Rのそれぞれは、図9A~図9Cでは不図示の磁束源保持部材6により、互いに所定の間隔を空けた状態で保持されている。
本実施形態では、図9Bに示すように、左側磁石5Lは、その幅W1が右側磁石5Rの幅W2と略同じになるように構成されている。また、第1中央磁石5C1は、その幅W3が第2中央磁石5C2の幅W4と略同じになるように構成されている。また、左側磁石5Lは、その幅W1が第1中央磁石5C1の幅W3の略2分の1となるように構成されている。
本実施形態では、コイル4を構成している六つのコイルは、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。すなわち、第1上側コイル4U1の左側束線部4U1Lの幅W5、第1上側コイル4U1の右側束線部4U1Rの幅W6、第2上側コイル4U2の左側束線部4U2Lの幅W7、第2上側コイル4U2の右側束線部4U2Rの幅W8、第3上側コイル4U3の左側束線部4U3Lの幅W9、第3上側コイル4U3の右側束線部4U3Rの幅W10、第1下側コイル4D1の左側束線部4D1Lの幅W11、第1下側コイル4D1の右側束線部4D1Rの幅W12、第2下側コイル4D2の左側束線部4D2Lの幅W13、第2下側コイル4D2の右側束線部4D2Rの幅W14、第3下側コイル4D3の左側束線部4D3Lの幅W15、及び、第3下側コイル4D3の右側束線部4D3Rの幅W16は全て同じ大きさである。
そして、左側磁石5Lは、その幅W1が第1上側コイル4U1の左側束線部4U1Lの幅W5と略同じになるように構成されている。また、第1中央磁石5C1は、その幅W3が、第1上側コイル4U1の右側束線部4U1Rの幅W6と第2上側コイル4U2の左側束線部4U2Lの幅W7との合計と略同じになるように構成されている。
可動体MB(磁束源5)が可動範囲の中心に位置するときには、図9Aに示すように、左側磁石5Lは、N極部分(上側部分)が第1上側コイル4U1の左側束線部4U1Lと対向するように、且つ、S極部分(下側部分)が第1下側コイル4D1の左側束線部4D1Lと対向するように配置されている。また、第1中央磁石5C1は、S極部分(上側部分)が第1上側コイル4U1の右側束線部4U1R及び第2上側コイル4U2の左側束線部4U2Lのそれぞれと対向するように、且つ、N極部分(下側部分)が第1下側コイル4D1の右側束線部4D1R及び第2下側コイル4D2の左側束線部4D2Lのそれぞれと対向するように配置されている。また、第2中央磁石5C2は、N極部分(上側部分)が第2上側コイル4U2の右側束線部4U2R及び第3上側コイル4U3の左側束線部4U3Lのそれぞれと対向するように、且つ、S極部分(下側部分)が第2下側コイル4D2の右側束線部4D2R及び第3下側コイル4D3の左側束線部4D3Lのそれぞれと対向するように配置されている。また、右側磁石5Rは、S極部分(上側部分)が第3上側コイル4U3の右側束線部4U3Rと対向するように、且つ、N極部分(下側部分)が第3下側コイル4D3の右側束線部4D3Rと対向するように配置されている。
図10Bの破線矢印で示すように下側コイル4Dに電流が流れると、可動体MB(磁束源5)は、ガイド手段GMによってガイドされながら、右方向(Y2方向)に摺動する。具体的には、第1下側コイル4D1に上面視で反時計回りに電流が流れ、第2下側コイル4D2に上面視で時計回りに電流が流れ、且つ、第3下側コイル4D3に上面視で反時計回りに電流が流れると、可動体MB(磁束源5)は、右方向(Y2方向)に摺動する。
下側ケース1Dに固定された下側コイル4Dを構成している導電線内を移動する荷電粒子にローレンツ力が作用し、その反力によって磁束源5としての左側磁石5L、第1中央磁石5C1、第2中央磁石5C2、及び右側磁石5Rが右方向に移動させられるためである。
同様に、図10Cの破線矢印で示すように下側コイル4Dに電流が流れると、可動体MB(磁束源5)は、ガイド手段GMによってガイドされながら、左方向(Y1方向)に摺動する。具体的には、第1下側コイル4D1に上面視で時計回りに電流が流れ、第2下側コイル4D2に上面視で反時計回りに電流が流れ、且つ、第3下側コイル4D3に上面視で時計回りに電流が流れると、可動体MB(磁束源5)は、左方向(Y1方向)に摺動する。
可動体MB(磁束源5)が右方向(Y2方向)に移動すると、図9Bに示すように、右側磁石5Rの一部は、磁性部材MGの内側面(コイル4に対向する側の面)の右端REよりも右側に突出する。具体的には、右側磁石5Rの一部は、上側磁性部材1UMの内側面の右端UREよりも右側に突出し、且つ、下側磁性部材1DMの内側面の右端DREよりも右側に突出する。そして、右側磁石5Rと磁性部材MGとの間には吸引力が作用しているため、右側磁石5Rのうち、磁性部材MGの内側面の右端REよりも右側に突出した部分5Raは、磁性部材MGの内側面の右端REによって左方向に引き付けられる。この状態において、磁性部材MGの内側面の右端REは、部分5Raから最も近い位置にある、磁性部材MGの部位である。なお、図9Bでは、右側磁石5Rを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分5Raと右端REとの間に延びる磁力線)の一部が点線で表されている。また、図9Bでは、明瞭化のため、磁束源5によって生成される磁界の他の部分を表す磁力線の図示が省略されている。
また、可動体MB(磁束源5)が右方向(Y2方向)に移動すると、図9Bに示すように、磁性部材MGの左端部分は、左側磁石5Lの左端よりも左側に突出する。具体的には、上側磁性部材1UM及び下側磁性部材1DMのそれぞれの左端部分は、左側磁石5Lの左端よりも左側に突出する。そして、左側磁石5Lと磁性部材MGとの間には吸引力が作用しているため、磁性部材MGのうち、左側磁石5Lの左端よりも左側に突出した部分MGLaは、左側磁石5Lを左側に引き付ける。この状態において、左側磁石5Lの左端は、磁性部材MGの部分MGLaから最も近い位置にある、左側磁石5Lの部位である。なお、図9Bでは、左側磁石5Lを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分MGLaと左側磁石5Lの左端との間に延びる磁力線)の一部が点線で表されている。
このように、可動範囲の中心から右方向に変位した可動体MB(磁束源5)は、可動体MB(磁束源5)を可動範囲の中心に引き戻そうとする力(吸引力)を受ける。そして、可動範囲の中心から右方向に変位した可動体MB(磁束源5)は、可動体MBを右方向に移動させようとする力(電磁力)が消失したとき、すなわち、コイル4を流れる電流が消失したときに、その力(吸引力)によって左方向に移動し、可動範囲の中心に向かって戻る。
反対に、可動体MB(磁束源5)が左方向(Y1方向)に移動すると、図9Cに示すように、左側磁石5Lの一部は、磁性部材MGの内側面(コイル4に対向する側の面)の左端LEよりも左側に突出する。そして、左側磁石5Lと磁性部材MGとの間には吸引力が作用しているため、左側磁石5Lのうち、磁性部材MGの内側面の左端LEよりも左側に突出した部分5Laは、磁性部材MGの内側面の左端LEによって右方向に引き付けられる。この状態において、磁性部材MGの内側面の左端LEは、部分5Laから最も近い位置にある、磁性部材MGの部位である。なお、図9Cでは、左側磁石5Lを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分5Laと左端LEとの間に延びる磁力線)の一部が点線で表されている。また、図9Cでは、明瞭化のため、磁束源5によって生成される磁界の他の部分を表す磁力線の図示が省略されている。
また、可動体MB(磁束源5)が左方向(Y1方向)に移動すると、図9Cに示すように、磁性部材MGの右端部分は、右側磁石5Rの右端よりも右側に突出する。具体的には、上側磁性部材1UM及び下側磁性部材1DMのそれぞれの右端部分は、右側磁石5Rの右端よりも右側に突出する。そして、右側磁石5Rと磁性部材MGとの間には吸引力が作用しているため、磁性部材MGのうち、右側磁石5Rの右端よりも右側に突出した部分MGRaは、右側磁石5Rを右側に引き付ける。この状態において、右側磁石5Rの右端は、磁性部材MGの部分MGRaから最も近い位置にある、右側磁石5Rの部位である。なお、図9Cでは、右側磁石5Rを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分MGRaと右側磁石5Rの右端との間に延びる磁力線)の一部が点線で表されている。
このように、可動範囲の中心から左方向に変位した可動体MB(磁束源5)は、可動体MB(磁束源5)を可動範囲の中心に引き戻そうとする力(吸引力)を受ける。そして、可動範囲の中心から左方向に変位した可動体MB(磁束源5)は、可動体MBを左方向に移動させようとする力(電磁力)が消失したとき、すなわち、コイル4を流れる電流が消失したときに、その力(吸引力)によって右方向に移動し、可動範囲の中心に向かって戻る。
そのため、可動範囲の中心からずれた位置にある可動体MBは、コイル4に対する電流の供給が停止されると、磁束源5と磁性部材MGとの間の吸引力によって可動範囲の中心に戻される。このようにして、駆動手段DMは、可動体MBを左右方向に振動させることができる。
次に、図11及び図12A~図12Cを参照し、本発明の実施形態に係る振動発生装置101の別の構成例である振動発生装置101Aについて説明する。図11は、振動発生装置101Aの分解斜視図であり、図2に対応している。図12A~図12Cは、ケース1、コイル4、及び磁束源5の断面図であり、図9A~図9Cに対応している。具体的には、図12Aは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の中心に位置するときのケース1、コイル4、及び磁束源5の断面図である。図12Bは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の右端に位置するときのケース1、コイル4、及び磁束源5の断面図である。図12Cは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の左端に位置するときのケース1、コイル4、及び磁束源5の断面図である。
振動発生装置101Aは、図12Bに示すように、中央磁石5Cの高さH11が左側磁石5L及び右側磁石5Rのそれぞれの高さH12より小さい点、すなわち、コイル4と中央磁石5Cとの間の隙間(距離)がコイル4と左側磁石5L及び右側磁石5Rのそれぞれとの間の隙間(距離)より大きい点で、振動発生装置101と異なる。すなわち、振動発生装置101は、図9Aに示すように、中央磁石5Cの高さH1が左側磁石5L及び右側磁石5Rのそれぞれの高さH2と同じである点で、振動発生装置101Aと異なる。この構成により、振動発生装置101Aは、コイル4の束線部を通過する磁界の強さが不均一になるのを抑制することができる。その結果、コイル4及び磁束源5で構成される駆動手段DMは、可動体MBが左右方向に変位したときに、コイル4の束線部を通過する磁界の強さの不均一性に起因して駆動力(電磁力)が小さくなってしまうのを抑制できる。図12A~図12Cに示す例では、駆動手段DMは、左右方向における可動体MBの変位量とは無関係に、略一定の駆動力(電磁力)を出力することができる。可動体MB(磁束源5)が左右方向に移動しても、コイル4の束線部を通過する磁界の強度が急激に変化することがなく、磁界強度(磁束密度)の変化に起因する過度の誘導起電力が生成されることもなく、可動体MBの移動が過度に妨げられてしまうこともないためである。
また、振動発生装置101Aは、主に、上側コイル4U及び下側コイル4Dのそれぞれが左側コイル4Lと右側コイル4Rとで構成され、且つ、中央磁石5Cが二極に着磁された一つの永久磁石で構成されている点で、振動発生装置101と異なる。すなわち、振動発生装置101は、主に、上側コイル4U及び下側コイル4Dのそれぞれが左側コイル4L及び右側コイル4Rに加えて中央コイル4Cを有し、且つ、中央磁石5Cが二極に着磁された二つの永久磁石(第1中央磁石5C1及び第2中央磁石5C2)で構成されている点で、振動発生装置101Aと異なる。
また、振動発生装置101Aは、図12Aに示すように、磁束源5の幅WD11が磁性部材MGの幅WD12より大きい点で、振動発生装置101と異なる。すなわち、振動発生装置101は、図9Aに示すように、磁束源5の幅WD1が磁性部材MGの幅WD2より小さい点で、振動発生装置101Aと異なる。
この構成により、振動発生装置101Aでは、磁性部材MGは、可動体MB(磁束源5)が可動範囲の中心に位置するときであっても、磁束源5と磁性部材MGとの間の吸引力により、磁束源5が可動範囲の中心から移動しないように磁束源5を磁気的に非接触に保持できる。この効果は、磁束源5の幅WD11と磁性部材MGの幅WD12とが同じである場合も実現される。
具体的には、左側磁石5Lと磁性部材MGとの間には吸引力が作用しているため、左側磁石5Lのうち、磁性部材MGの内側面の左端LEよりも左側に突出した部分5Laは、磁性部材MGの内側面の左端LEによって右方向に引き付けられる。この状態において、磁性部材MGの内側面の左端LEは、部分5Laから最も近い位置にある、磁性部材MGの部位である。また、右側磁石5Rと磁性部材MGとの間にも吸引力が作用しているため、右側磁石5Rのうち、磁性部材MGの内側面の右端REよりも右側に突出した部分5Raは、磁性部材MGの内側面の右端REによって左方向に引き付けられる。この状態において、磁性部材MGの内側面の右端REは、部分5Raから最も近い位置にある、磁性部材MGの部位である。なお、図12Aでは、左側磁石5Lを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分5Laと左端LEとの間に延びる磁力線)の一部、及び、右側磁石5Rを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分5Raと右端REとの間に延びる磁力線)の一部が点線で表されている。また、図12Aでは、明瞭化のため、磁束源5によって生成される磁界の他の部分を表す磁力線の図示が省略されている。
なお、図12A~図12Cに示す例では、振動発生装置101Aは、磁束源5が可動範囲の中心に位置するときに、左側磁石5Lを磁性部材MGに引き付ける吸引力の大きさと右側磁石5Rを磁性部材MGに引き付ける吸引力の大きさとが等しくなるように構成されている。具体的には、磁束源5は、可動範囲の中心に位置するときに、磁性部材MGの左端LEよりも左側に突出した部分5Laの突出量と、磁性部材MGの右端REよりも右側に突出した部分5Raの突出量とが等しくなるように構成されている。
可動体MB(磁束源5)が右方向(Y2方向)に移動すると、図12Bに示すように、右側磁石5Rの一部は、磁性部材MGの内側面の右端REよりも右側に更に突出する。具体的には、右側磁石5Rの一部は、上側磁性部材1UMの内側面の右端UREよりも右側に更に突出し、且つ、下側磁性部材1DMの内側面の右端DREよりも右側に更に突出する。そして、右側磁石5Rと磁性部材MGとの間には吸引力が作用しているため、右側磁石5Rのうち、磁性部材MGの内側面の右端REよりも右側に突出した部分5Raは、磁性部材MGの内側面の右端REによって左方向に引き付けられる。この状態において、磁性部材MGの内側面の右端REは、部分5Raから最も近い位置にある、磁性部材MGの部位である。なお、図12Bでは、右側磁石5Rを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分5Raと右端REとの間に延びる磁力線)の一部が点線で表されている。また、図12Bでは、明瞭化のため、磁束源5によって生成される磁界の他の部分を表す磁力線の図示が省略されている。
また、可動体MB(磁束源5)が右方向(Y2方向)に移動すると、図12Bに示すように、磁性部材MGの左端部分は、左側磁石5Lの左端よりも左側に突出する。具体的には、上側磁性部材1UM及び下側磁性部材1DMのそれぞれの左端部分は、左側磁石5Lの左端よりも左側に突出する。そして、左側磁石5Lと磁性部材MGとの間には吸引力が作用しているため、磁性部材MGのうち、左側磁石5Lの左端よりも左側に突出した部分MGLaは、左側磁石5Lを左側に引き付ける。この状態において、左側磁石5Lの左端は、磁性部材MGの部分MGLaから最も近い位置にある、左側磁石5Lの部位である。なお、図12Bは、左側磁石5Lを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分MGLaと左側磁石5Lの左端との間に延びる磁力線)の一部が点線で表されている。また、図12Bでは、明瞭化のため、磁束源5によって生成される磁界の他の部分を表す磁力線の図示が省略されている。
このように、可動範囲の中心から右方向に変位した可動体MB(磁束源5)は、可動体MB(磁束源5)を可動範囲の中心に引き戻そうとする力(吸引力)を受ける。そして、可動範囲の中心から右方向に変位した可動体MB(磁束源5)は、可動体MBを右方向に移動させようとする力(電磁力)が消失したとき、すなわち、コイル4を流れる電流が消失したときに、その力(吸引力)によって左方向に移動し、可動範囲の中心に向かって戻る。
反対に、可動体MB(磁束源5)が左方向(Y1方向)に移動すると、図12Cに示すように、左側磁石5Lの一部は、磁性部材MGの内側面の左端LEよりも左側に突出する。そして、左側磁石5Lと磁性部材MGとの間には吸引力が作用しているため、左側磁石5Lのうち、磁性部材MGの内側面の左端LEよりも左側に突出した部分5Laは、磁性部材MGの内側面の左端LEによって右方向に引き付けられる。この状態において、磁性部材MGの内側面の左端LEは、部分5Laから最も近い位置にある、磁性部材MGの部位である。なお、図12Cは、左側磁石5Lを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分5Laと左端LEとの間に延びる磁力線)の一部が点線で表されている。また、図12Cでは、明瞭化のため、磁束源5によって生成される磁界の他の部分を表す磁力線の図示が省略されている。
また、可動体MB(磁束源5)が左方向(Y1方向)に移動すると、図12Cに示すように、磁性部材MGの右端部分は、右側磁石5Rの右端よりも右側に突出する。具体的には、上側磁性部材1UM及び下側磁性部材1DMのそれぞれの右端部分は、右側磁石5Rの右端よりも右側に突出する。そして、右側磁石5Rと磁性部材MGとの間には吸引力が作用しているため、磁性部材MGのうち、右側磁石5Rの右端よりも右側に突出した部分MGRaは、右側磁石5Rを右側に引き付ける。この状態において、右側磁石5Rの右端は、磁性部材MGの部分MGRaから最も近い位置にある、右側磁石5Rの部位である。なお、図12Cは、右側磁石5Rを磁性部材MGに引き付ける吸引力を発生させる磁界を表す磁力線(部分MGRaと右側磁石5Rの右端との間に延びる磁力線)の一部が点線で表されている。また、図12Cでは、明瞭化のため、磁束源5によって生成される磁界の他の部分を表す磁力線の図示が省略されている。
このように、可動範囲の中心から左方向に変位した可動体MB(磁束源5)は、可動体MB(磁束源5)を可動範囲の中心に引き戻そうとする力(吸引力)を受ける。そして、可動範囲の中心から左方向に変位した可動体MB(磁束源5)は、可動体MBを左方向に移動させようとする力(電磁力)が消失したとき、すなわち、コイル4を流れる電流が消失したときに、その力(吸引力)によって右方向に移動し、可動範囲の中心に向かって戻る。
そのため、可動範囲の中心からずれた位置にある可動体MBは、コイル4に対する電流の供給が停止されると、磁束源5と磁性部材MGとの間の吸引力によって可動範囲の中心に戻される。このようにして、駆動手段DMは、可動体MBを左右方向に振動させることができる。
上述のように、本発明の実施形態に係る振動発生装置101は、例えば図2に示すように、固定体としての筐体HSと、筐体HS内に収容される可動体MBと、可動体MBを筐体HS内で左右方向に沿って往復動可能にガイドするガイド手段GMと、可動体MBに対して固定されるとともに上下方向に沿う磁束を発生させる磁束発生部材としての磁束源5と、前後方向に沿って延在し左右方向に沿って並設される導電線からなり磁束源5が発生させる磁束と交差するように筐体HSに対して固定されるコイル4と、筐体HSに対して固定されるとともにコイル4の外側に配置される磁性部材MGと、を備えている。そして、磁性部材MGは、可動体MBの可動範囲の中心からずれた位置にある可動体MBを可動範囲の中心に引き付ける吸引力が発生するように配置されている。なお、コイル4の内側は、可動体MBがある側(可動体MBと対向する側)であり、コイル4の外側は、可動体MBがある側の反対側である。
この構成により、振動発生装置101は、磁束源5と磁性部材MGとの間の吸引力を利用し、電磁力によって動かされた可動体MBを可動範囲の中心に向けて戻すことができる。そのため、振動発生装置101は、バネ部材が用いられることなしに、且つ、磁気バネのための別の磁石が筐体HSに取り付けられることなしに、電磁力によって動かされた可動体MBを可動範囲の中心に向けて戻すことができる。
振動発生装置101は、図9Cに示すように可動体MBが可動範囲の左端に位置するときには磁性部材MGの左端が磁束源5の左端(左側磁石5Lの左端)よりも右側に位置し、且つ、図9Bに示すように可動体MBが可動範囲の右端に位置するときには磁性部材MGの右端が磁束源5の右端(右側磁石5Rの右端)よりも左側に位置するように構成されていてもよい。
但し、振動発生装置101は、図9Cに示すように可動体MBが可動範囲の左端に位置するときには磁性部材MGの左端が磁束源5の左端(左側磁石5Lの左端)よりも右側に位置するが、可動体MBが可動範囲の右端に位置するときには磁性部材MGの右端が磁束源5の右端(右側磁石5Rの右端)と同じか磁束源5の右端(右側磁石5Rの右端)よりも右側に位置するように構成されていてもよい。
或いは、振動発生装置101は、図9Bに示すように可動体MBが可動範囲の右端に位置するときには磁性部材MGの右端が磁束源5の右端(右側磁石5Rの右端)よりも左側に位置するが、可動体MBが可動範囲の左端に位置するときには磁性部材MGの左端が磁束源5の左端(左側磁石5Lの左端)と同じか磁束源5の左端(左側磁石5Lの左端)よりも左側に位置するように構成されていてもよい。
この構成により、振動発生装置101は、可動体MBが可動範囲の中心から左右方向に移動しているときには、磁束源5と磁性部材MGとの間の吸引力により、可動体MBを可動範囲の中心に向けて付勢することができる。
ガイド手段GMは、可動体MBに中心復帰力を付与しないように構成されていてもよい。中心復帰力は、可動範囲の中心に位置していない可動体MBを可動範囲の中心に復帰させようとする、バネ部材等の機械要素による機械的な弾性力である。具体的には、可動体MB(磁束源保持部材6)は、図7Aに示すように、ガイド手段GMを構成している上側ガイド部1UG及び下側ガイド部1DGのみによって左右方向に摺動可能に支持されており、バネ部材等の機械要素が接続されていない。バネ部材等の機械要素によって可動体MBに中心復帰力が付与されなくとも、可動体MBが可動範囲の中心から左右方向に移動すると、可動体MBは、磁束源5と磁性部材MGとの間の吸引力により、可動範囲の中心に引き戻されるためである。すなわち、可動体MBは、バネ部材等の機械要素による中心復帰力が付与されなくとも、可動範囲の中心に戻ることができるためである。
この構成により、振動発生装置101は、中心復帰力を発生させるためのバネ部材等の機械要素を省略できる。
振動発生装置101Aは、図12Aに示すように可動体MBが可動範囲の中心に位置するときには、磁束源5の左端よりも磁性部材MGの左端が右側に位置し、且つ、磁束源5の右端よりも磁性部材MGの右端が左側に位置するように構成されていてもよい。
そして、振動発生装置101Aは、図12Cに示すように可動体MBが可動範囲の左端に位置するときには磁性部材MGの左端が磁束源5の左端(左側磁石5Lの左端)よりも右側に位置し、且つ、図12Bに示すように可動体MBが可動範囲の右端に位置するときには磁性部材MGの右端が磁束源5の右端(右側磁石5Rの右端)よりも左側に位置するように構成されていてもよい。
但し、振動発生装置101Aは、可動体MBが可動範囲の中心に位置するときには磁性部材MGの左端が磁束源5の左端(左側磁石5Lの左端)よりも右側に位置するが、磁性部材MGの右端が磁束源5の右端(右側磁石5Rの右端)と同じか磁束源5の右端(右側磁石5Rの右端)よりも右側に位置するように構成されていてもよい。
或いは、振動発生装置101Aは、可動体MBが可動範囲の中心に位置するときには磁性部材MGの右端が磁束源5の右端(右側磁石5Rの右端)よりも左側に位置するが、磁性部材MGの左端が磁束源5の左端(左側磁石5Lの左端)と同じか磁束源5の左端(左側磁石5Lの左端)よりも左側に位置するように構成されていてもよい。
この構成により、振動発生装置101は、可動体MBが可動範囲の中心から左右方向に移動しているときには、磁束源5と磁性部材MGとの間の吸引力により、可動体MBを可動範囲の中心に向けて付勢することができる。具体的には、図12A~図12Cに示す振動発生装置101Aは、図9A~図9Cに示す振動発生装置101における磁束源5と磁性部材MGとの間の吸引力よりも強い吸引力により、可動体MBを可動範囲の中心に向けて付勢することができる。磁性部材MGの左端LEよりも左側に突出した部分5Laの突出量、及び、磁性部材MGの右端REよりも右側に突出した部分5Raの突出量が大きいためである。
コイル4は、図2に示すように、可動体MBの上方に配置される上側コイル4Uと、可動体MBの下方に配置される下側コイル4Dと、を含んでいてもよい。また、磁性部材MGは、可動体MBの上方に配置される上側磁性部材1UMと、可動体MBの下方に配置される下側磁性部材1DMと、を含んでいてもよい。
この構成により、振動発生装置101は、筐体HS内のスペースを有効活用しながら、駆動手段DMによる駆動力を大きくすることができる。但し、上側コイル4U及び下側コイル4Dのうちの何れか一方は省略されてもよい。また、上側磁性部材1UM及び下側磁性部材1DMのうちの何れか一方は省略されてもよい。
ガイド手段GMは、筐体HSに設けられ左右方向に沿って延在するガイド面を有するとともに被ガイド部6Gを摺動可能にガイドするガイド部を含んでいてもよい。この場合、被ガイド部6Gは、可動体MBに設けられ左右方向に沿って延在する被ガイド面を有していてもよい。
具体的には、振動発生装置101では、ガイド手段GMは、図5Aに示すように、上側ケース1Uに設けられた上前側ガイド部1UGF及び上後側ガイド部1UGBと、下側ケース1Dに設けられた下前側ガイド部1DGF及び下後側ガイド部1DGBと、を含む。被ガイド部6Gは、可動体MBを構成している磁束源保持部材6に設けられた前側被ガイド部6GF及び後側被ガイド部6GBを含む。そして、前側被ガイド部6GFは、図5Bに示すように、被ガイド面としての上面FS1を、ガイド面としての上前側ガイド部1UGFの先端面FS2に接触させ、且つ、被ガイド面としての下面FS3を、ガイド面としての下前側ガイド部1DGFの先端面FS4に接触させるようにケース1に組み付けられる。後側被ガイド部6GBについても同様である。
この構成により、振動発生装置101は、少ない部品点数で、被ガイド部6Gの左右方向の移動をガイド可能なガイド手段GMを実現できる。具体的には、振動発生装置101は、上側ケース1U及び下側ケース1Dによってガイド手段GMを実現できる。
また、本発明の実施形態に係る振動発生装置101は、例えば図2に示すように、上側ケース1Uと下側ケース1Dとを有する固定体としての筐体HS(図1A参照。)と、上側ケース1Uと下側ケース1Dとの間の空間に収容される可動体MBと、可動体MBを筐体HS内で左右方向に沿って往復動可能にガイドするガイド手段GMと、可動体MB及び筐体HSのうちの一方(図2に示す例では可動体MB)に固定された磁束源5、並びに、可動体MB及び筐体HSのうちの他方(図2に示す例では筐体HS)に固定されたコイル4からなり、左右方向の駆動力を可動体MBに付与する駆動手段DMと、を備えている。
そして、ガイド手段GMは、例えば図5Aに示すように、上側ケース1Uと一体的に形成されるとともに上側ケース1Uから下方に延設された上側ガイド部1UGと、下側ケース1Dと一体的に形成されるとともに下側ケース1Dから上方に延設された下側ガイド部1DGとを含む。また、ガイド手段GMは、可動体MB(磁束源保持部材6)に形成された被ガイド部6Gが上側ガイド部1UG及び下側ガイド部1DGによって左右方向に沿って摺動自在にガイドされるように構成されている。
この振動発生装置101は、上側ケース1Uの一部と下側ケース1Dの一部とを利用してガイド手段GMを構成するため、可動体MBを筐体HS内で左右方向に往復動可能にガイドするガイド手段GMを備えながらも部品点数の増加を抑制できる。また、この構成は、振動発生装置101が大型化してしまうのを抑制できる。
ガイド手段GMは、図5Bに示すように、被ガイド部6Gが上側ガイド部1UGと下側ガイド部1DGとの間の空間で左右方向に沿って摺動自在にガイドされるように構成されていてもよい。
具体的には、例えば図5Aに示すように、上側ガイド部1UGは、上側ケース1Uの前側にある上前側ガイド部1UGFと上側ケース1Uの後側にある上後側ガイド部1UGBとを含んでいてもよい。また、下側ガイド部1DGは、下側ケース1Dの前側にある下前側ガイド部1DGFと下側ケース1Dの後側にある下後側ガイド部1DGBとを含んでいてもよい。そして、被ガイド部6Gは、可動体MBを構成する磁束源保持部材6の前側にある前側被ガイド部6GFと、可動体MBを構成する磁束源保持部材6の後側にある後側被ガイド部6GBとを含んでいてもよい。
より具体的には、磁束源保持部材6は、上前側ガイド部1UGFの先端部と下前側ガイド部1DGFの先端部との間に形成された略直方体形状の空間である凹状空間内に嵌め込まれるように、その前面から前方に突出するように形成された凸状の前側被ガイド部6GFを有していてもよい。また、磁束源保持部材6は、上後側ガイド部1UGBの先端部と下後側ガイド部1DGBの先端部との間に形成された略直方体形状の空間である凹状空間内に嵌め込まれるように、その後面から後方に突出するように形成された凸状の後側被ガイド部6GBを有していてもよい。
この構成では、ガイド手段GMは、被ガイド部6Gが左右方向(Y軸方向)以外の方向に移動するのを抑制できる。すなわち、ガイド手段GMは、可動体MBが前後方向(X軸方向)及び上下方向(Z軸方向)に移動するのを抑制できる。
筐体HSは、上部及び下部が開放された筒状のサイドケース2を備えていてもよい。この場合、筐体HSは、図5A及び図6Aに示すように、上側ケース1Uがサイドケース2の上端部に上から当接して位置決めされるとともに、下側ケース1Dがサイドケース2の下端部に下から当接して位置決めされるように構成されていてもよい。
この構成は、上後側ガイド部1UGBの先端部と下後側ガイド部1DGBの先端部との間に形成される凹状空間の所望のサイズが高精度に実現されるのを可能にする。そのため、この構成は、左右方向における可動体MBの滑らかな摺動を実現できる。
上側ケース1Uと下側ケース1Dとは、望ましくは、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。この構成は、振動発生装置101を構成する部品の点数を更に削減できる。
また、本発明の実施形態に係る振動発生装置101は、例えば図2に示すように、固定体としての筐体HS(図1A参照。)と、筐体HS内に収容される可動体MBと、可動体MBを筐体HS内で左右方向に沿って往復動可能にガイドするガイド手段GMと、可動体MB及び筐体HSの一方(図2に示す例では可動体MB)に固定され上下方向に沿った磁束を発生する磁束源5と、磁束源5が発生させる磁束と交差するように可動体MB及び筐体HSの他方(図2に示す例では筐体HS)に固定され、前後方向に沿って延在し左右方向に沿って並設される導電線からなるコイル4と、を備えている。
磁束源5は、例えば図3A及び図3Bに示すように、左側磁石5L、少なくとも一つの中央磁石5C、及び右側磁石5Rを含む。左側磁石5L、少なくとも一つの中央磁石5C、及び右側磁石5Rは、左右方向に沿って併設されている。
コイル4は、図9Aに示すように、左側磁石5Lからの磁束と交差する左側束線部、及び、中央磁石5Cからの磁束と交差する右側束線部からなる左側コイル4Lと、中央磁石5Cからの磁束と交差する左側束線部、及び、右側磁石5Rからの磁束と交差する右側束線部からなる右側コイル4Rと、を含むように構成されている。
そして、振動発生装置101の別の構成例である振動発生装置101Aは、図12A~図12Cに示すように、左側コイル4Lの右側束線部と中央磁石5Cとの間の空間を上下方向に貫通する中央磁石5Cによる磁束の数が、左側コイル4Lの左側束線部と左側磁石5Lとの間の空間を上下方向に貫通する左側磁石5Lによる磁束の数よりも小さくなるように、且つ、右側コイル4Rの左側束線部と中央磁石5Cとの間の空間を上下方向に貫通する中央磁石5Cによる磁束の数が、右側コイル4Rの右側束線部と右側磁石5Rとの間の空間を上下方向に貫通する右側磁石5Rによる磁束の数よりも小さくなるように構成されている。
そして、振動発生装置101Aは、望ましくは、中央磁石5Cの幅、高さ(中央磁石5Cとコイル4との間の距離)、奥行き、及び磁力等の少なくとも一つが適切に設定されることにより、コイル4を構成する各束線部を通る磁束の数が束線部間で略均一になるように構成される。
この構成は、コイル4と磁束源5との相対的な位置関係にかかわらず、コイル4を通過する磁界の強度が位置的に不均一になってしまうのを抑制できる。具体的には、この構成は、コイル4の束線部を通過する磁束の数が束線部間で不均一になってしまうのを抑制できる。そのため、この構成は、可動体MBが左右方向に移動したときに、コイル4における特定の束線部を通過する磁界の強度が変化してしまい、電磁誘導によって誘導起電力が生成されて所望の方向への移動が妨げられてしまうのを抑制できる。これは、コイル4を通過する磁界の強度が位置的に不均一になっている構成に比べ、振動発生装置101Aが、同じ消費電力で大きな駆動力を実現できること、或いは、同じ駆動力を実現するための消費電力を抑制できることを意味する。
例えば、磁束源5は、図12A~図12Cに示すように、中央磁石5Cの上下方向の厚さが、左側磁石5Lの上下方向の厚さよりも小さく、且つ、右側磁石5Rの上下方向の厚さよりも小さくなるように構成されていてもよい。すなわち、磁束源5は、コイル4と中央磁石5Cとの間の隙間が、コイル4と左側磁石5L及び右側磁石5Rのそれぞれとの間の隙間よりも大きくなるように構成されていてもよい。コイル4の束線部を通過する磁束のうちの、中央磁石5Cが発生させる磁束の数を小さくすることによって、コイル4の束線部を通過する磁界の強度が位置的に不均一になってしまうのを抑制するためである。
この構成は、中央磁石5Cの上下方向の厚さが左側磁石5L及び右側磁石5Rのそれぞれの上下方向の厚さと同じである場合、コイル4の束線部を通過する磁束のうちの、中央磁石5Cが発生させる磁束の数が、左側磁石5L及び右側磁石5Rのそれぞれが発生させる磁束の数よりも大きいという知見に基づく。なお、同様の効果を実現するために、磁束源5は、中央磁石5Cの左右方向の幅寸法が、左側コイル4Lの左右方向の幅寸法よりも小さくなるように構成されてもよく、中央磁石5Cの前後方向の奥行き寸法が、コイル4の束線部の奥行き寸法よりも小さくなるように構成されてもよい。或いは、磁束源5は、中央磁石5Cの磁力が、左側磁石5L及び右側磁石5Rのそれぞれの磁力よりも小さくなるように構成されてもよい。
また、この構成は、中央磁石5Cの左右方向の幅が左側磁石5L及び右側磁石5Rのそれぞれの左右方向における幅よりも小さくなるように磁束源5が構成される場合に比べ、コイル4を通過する磁界の強度が位置的に不均一になってしまうのをより確実に抑制できる。この構成は、左側磁石5L、中央磁石5C、及び右側磁石5Rのそれぞれの左右方向における幅を、コイル4の束線部の左右方向における幅に適合させることができるためである。
また、磁束源5は、図12Aに示すように中央磁石5Cが、左右方向において左側磁石5Lの略2倍の幅寸法を有し、左側コイル4Lの右側束線部及び左側コイル4Lの右側に隣接するコイル(右側コイル4R)の左側束線部に向かって磁束を発生させるように構成されていてもよい。
この構成は、中央磁石5Cが、左側コイル4Lと同じ左右幅を有する磁石を二つ並べることで構成される場合に比べ、振動発生装置101を構成する部品の点数を削減できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、上述の実施形態では、下側ケース1D、上側ケース1U、及びサイドケース2は互いに独立した別個の部材として形成されている。しかしながら、サイドケース2は、下側ケース1D又は上側ケース1Uに一体化されていてもよい。例えば、上側ケース1Uとサイドケース2とは、統合されて一部品として形成されていてもよい。
また、上側ガイド部1UG及び下側ガイド部1DGは、第2側板部2A2及び第4側板部2A4のそれぞれと対向するように形成されていてもよい。この場合、被ガイド部6Gは、可動体MBの左端部及び右端部に形成されていてもよい。例えば、被ガイド部6Gは、磁束源保持部材6の左端部から左方に突出する棒状部材と、磁束源保持部材6の右端部から右方に突出する棒状部材との組み合わせであってもよい。この場合、ガイド手段GMは、上側ガイド部1UGが上右側ガイド部及び上左側ガイド部を有し、下側ガイド部1DGが下右側ガイド部及び下左側ガイド部を有するように構成されていてもよい。そして、磁束源保持部材6の左端部から左方に突出する棒状部材は、上左側ガイド部の先端部と下左側ガイド部の先端部との間で摺動可能に支持されるように構成され、磁束源保持部材6の右端部から右方に突出する棒状部材は、上右側ガイド部の先端部と下右側ガイド部の先端部との間で摺動可能に支持されるように構成されていてもよい。或いは、磁束源保持部材6の左端部から左方に突出する棒状部材は、上左側ガイド部及び下左側ガイド部の少なくとも一方に形成されたガイド孔に差し込まれるように構成され、磁束源保持部材6の右端部から右方に突出する棒状部材は、上右側ガイド部及び下右側ガイド部の少なくとも一方に形成されたガイド孔に差し込まれるように構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、磁束源保持部材6は、上前側ガイド部1UGFの先端部と下前側ガイド部1DGFの先端部との間に形成された略直方体形状の空間である凹状空間内に嵌め込まれるように、その前面から前方に突出するように形成された凸状の前側被ガイド部6GFを有する。また、磁束源保持部材6は、上後側ガイド部1UGBの先端部と下後側ガイド部1DGBの先端部との間に形成された略直方体形状の空間である凹状空間内に嵌め込まれるように、その後面から後方に突出するように形成された凸状の後側被ガイド部6GBを有する。しかしながら、磁束源保持部材6は、凸状の被ガイド部6Gの代わりに、凹状の被ガイド部を有していてもよい。例えば、磁束源保持部材6は、凸状の前側被ガイド部6GFの代わりに、凹状の前側被ガイド部を有していてもよい。この場合、上前側ガイド部1UGF及び下前側ガイド部1DGFのそれぞれの先端部は、内側に折り曲げられ、凹状の前側被ガイド部とかみ合うように形成されていてもよい。後側被ガイド部6GBについても同様である。
また、上述の実施形態では、振動発生装置101は、コイル4のコイル軸と磁束源5の移動方向とが垂直になるように構成されている。しかしながら、振動発生装置101は、コイル4のコイル軸と磁束源5の移動方向とが平行になるように構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、コイル4は、上側ケース1Uの下面に固定される上側コイル4Uと、下側ケース1Dの上面に固定される下側コイル4Dと、を含むように構成されている。しかしながら、上側コイル4U及び下側コイル4Dの何れか一方は省略されてもよい。
本願は、2020年12月25日に出願した日本国特許出願2020-217439号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。