JP7440685B1 - 熱硬化性樹脂、その硬化物及び熱硬化性組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂、その硬化物及び熱硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】低い溶融粘度を維持しつつ、誘電特性とガラス転移温度を両立することができる熱硬化性樹脂を提供する。【解決手段】実施形態に係る熱硬化性樹脂は、モノビニル単環芳香族化合物に対応する繰り返し単位、ジビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位、及びモノビニル多環芳香族化合物に対応する繰り返し単位を有する、直鎖状の共重合体である。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、熱硬化性樹脂、及びその硬化物に関し、また該熱硬化性樹脂を含む熱硬化性組成物に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化が進んでおり、これに伴って使用される各種材料の要求性能が向上している。例えば、高周波通信に対応できる低誘電正接のプリント基板材料が求められている。
例えば、特許文献1,2には、優れた誘電特性を持つ硬化物が得られる熱硬化性樹脂として、モノビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位及びジビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位を有する、直鎖状のビニル共重合体が開示されている。これらの文献にはモノビニル芳香族化合物としてスチレンとビニルナフタレンが列挙されている。しかしながら、構成モノマーとしてモノビニル単環芳香族化合物とジビニル芳香族化合物とモノビニル多環芳香族化合物の3成分を用いることにより、低溶融粘度を維持しつつ、誘電特性とガラス転移温度を両立できることは開示されていない。
一方、特許文献3には、光学材料用高屈折率の樹脂架橋体として、ビニルナフタレンとスチレンとジビニルビフェニルとの共重合体が開示されている。しかしながら、該共重合体は、これらモノマーの混合液を用いて重合するものであるため、得られる共重合体は分岐鎖を持つものである。
特開2022-052522号公報 特許第7017662号公報 特開平08-092322号公報
従来の熱硬化性樹脂は、誘電特性の点で必ずしも満足のいくものではなく、誘電特性に優れるものであってもガラス転移温度が低かったり、溶融粘度が高く加工性に劣ったりするという問題があった。
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、低い溶融粘度を維持しつつ、誘電特性とガラス転移温度を両立することができる熱硬化性樹脂を提供することを目的とする。
本発明は以下に示される実施形態を含む。
[1] モノビニル単環芳香族化合物に対応する繰り返し単位、ジビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位、及びモノビニル多環芳香族化合物に対応する繰り返し単位を有する、直鎖状の共重合体である、熱硬化性樹脂。
[2] 前記モノビニル多環芳香族化合物に対応する繰り返し単位の含有量が、全繰り返し単位100モル%中、20~80モル%である、[1]に記載の熱硬化性樹脂。
[3] 前記直鎖状の共重合体の末端に、一般式(1):R-N=N-Rで表される重合開始剤由来の構造を有し、前記一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立に一価の飽和炭化水素基又は一価の芳香族炭化水素基を表す、[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂。
[4] 前記モノビニル単環芳香族化合物に対応する繰り返し単位と前記ジビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位と前記モノビニル多環芳香族化合物に対応する繰り返し単位の含有量の合計が、全繰り返し単位100モル%中、80モル%以上である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
[5] 前記モノビニル多環芳香族化合物の環の数が3以下である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
[6] [1]~[5]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂を硬化してなる硬化物。
[7] [1]~[5]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂を含む、熱硬化性組成物。
[8] プリント基板材料である[7]に記載の熱硬化性組成物。
本発明の実施形態によれば、誘電特性とガラス転移温度を両立することができ、また溶融粘度が低い熱硬化性樹脂が得られる。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂は、(A)モノビニル単環芳香族化合物に対応する繰り返し単位、(B)ジビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位、及び(C)モノビニル多環芳香族化合物に対応する繰り返し単位を有する共重合体である。
上記(A)のモノビニル単環芳香族化合物に対応する繰り返し単位(以下、「モノビニル単環芳香族化合物単位」ともいう。)とは、上記共重合体の構成単位であって、モノビニル単環芳香族化合物をモノマーとして付加重合させることで形成される構造を持つ構成単位である。該繰り返し単位は、当該モノビニル単環芳香族化合物に対応する構造を持つものであれば、必ずしも当該モノビニル単環芳香族化合物を用いて重合してなるものには限定されず、重合後に更に反応させることでモノビニル単環芳香族化合物に対応する構造としたものでもよい。
モノビニル単環芳香族化合物は、ビニル基を1つ有しかつ芳香環を1つ有する化合物であり、好ましくはモノビニル単環芳香族炭化水素である。モノビニル単環芳香族化合物の具体例としては、スチレン、アルキルスチレン(例えばo-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレンン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン)、ジアルキルスチレン(例えば3,5-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、2,5-ジエチルスチレン)等のスチレン系化合物が好ましいものとして挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一実施形態において、モノビニル単環芳香族化合物単位は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。該式(2)の繰り返し単位は、スチレン系化合物のビニル基が付加重合により単結合となった構造を持つ。
Figure 0007440685000001
式(2)中、Rは、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基を表し、kは0~3の整数を表す。kが2以上の場合、一繰り返し単位中のRは同一でも異なってもよい。Rは、好ましくは炭素数1~3のアルキル基である。kは好ましくは0~2の整数を表す。
上記式(2)で表される繰り返し単位を含む場合、モノビニル単環芳香族化合物単位100モル%中の式(2)で表される繰り返し単位の量は、70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上であり、100モル%でもよい。
一実施形態において、モノビニル単環芳香族化合物は、スチレンを含むことが好ましい。この場合、モノビニル単環芳香族化合物単位100モル%中のスチレンに対応する繰り返し単位(以下、「スチレン単位」ともいう。)の量は、70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上であり、100モル%でもよい。
上記(B)のジビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位(以下、「ジビニル芳香族化合物単位」ともいう。)とは、上記共重合体の構成単位であって、ジビニル芳香族化合物をモノマーとして付加重合させることで形成される、1つのビニル基を有する構造を持つ構成単位である。該繰り返し単位は、ジビニル芳香族化合物に対応する構造を持つものであれば、必ずしも当該ジビニル芳香族化合物を用いて重合してなるものには限定されず、重合後に更に反応させることでジビニル芳香族化合物に対応する構造としたものでもよい。
ジビニル芳香族化合物単位としては、下記一般式(3)で表されるようにジビニル芳香族化合物の1つのビニル基が付加重合により単結合となった構造を持つ繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0007440685000002
式(3)中、Rは、炭素数6~30の二価の芳香族炭化水素基を表す。より詳細には、Rは、置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいビフェニルジイル基、置換基を有してもよいナフチレン基、及び置換基を有してもよいターフェニルジイル基からなる群から選ばれる炭素数6~30(より好ましくは炭素数6~20)の二価の芳香族炭化水素基が挙げられる。ここで、Rの炭素数は、アルキル基等の置換基を有する場合、当該置換基に含まれる炭素原子の数を含めたR全体での炭素数である。
このような繰り返し単位を形成するジビニル芳香族化合物としては、ビニル基を2つ有する芳香族化合物であればよく、例えば、ジビニルベンゼン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、ジビニルナフタレン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、ジビニルビフェニル(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)が挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一実施形態において、ジビニル芳香族化合物は、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びジビニルビフェニルからなる群から選択される少なくとも1種(B1)を含むことが好ましい。この場合、ジビニル芳香族化合物単位100モル%中の当該少なくとも1種(B1)に対応する繰り返し単位の量は、70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上であり、100モル%でもよい。
一実施形態において、ジビニル芳香族化合物は、ジビニルベンゼン(m-体、p-体又はこれらの位置異性体混合物)を含むことが好ましい。この場合、ジビニル芳香族化合物単位100モル%中のジビニルベンゼンに対応する繰り返し単位(以下、「ジビニルベンゼン単位」ともいう。)の量は、70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上であり、100モル%でもよい。
上記(C)のモノビニル多環芳香族化合物に対応する繰り返し単位(以下、「モノビニル多環芳香族化合物単位」ともいう。)とは、上記共重合体の構成単位であって、モノビニル多環芳香族化合物をモノマーとして付加重合させることで形成される構造を持つ構成単位である。該繰り返し単位は、当該モノビニル多環芳香族化合物に対応する構造を持つものであれば、必ずしも当該モノビニル多環芳香族化合物を用いて重合してなるものには限定されず、重合後に更に反応させることでモノビニル多環芳香族化合物に対応する構造としたものでもよい。
モノビニル多環芳香族化合物は、ビニル基を1つ有しかつ芳香環を複数有する化合物であり、好ましくはモノビニル多環芳香族炭化水素である。モノビニル多環芳香族化合物は、縮合多環式でもよく、非縮合多環式でもよく、両者を併用してもよい。
モノビニル縮合多環芳香族化合物としては、例えば、ビニルナフタレン(例えば、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン)、ビニルアントラセン(例えば、1-ビニルアントラセン、2-ビニルアントラセン、9-ビニルアントラセン)、ビニルフェナントレン(例えば、9-ビニルフェナントレン、3-ビニルフェナントレン)、ビニルピレン(例えば、1-ビニルピレン、4-ビニルピレン)、及びこれらの核置換体(例えば、アルキルビニルナフタレンなどの核アルキル置換モノビニル縮合多環芳香族化合物)などが挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
モノビニル非縮合多環芳香族化合物としては、例えば、ビニルビフェニル(例えば、4-ビニルビフェニル、3-ビニルビフェニル)、ビニルターフェニル(例えば、4-ビニル-o-ターフェニル)、及びこれらの核置換体(例えば、アルキルビニルビフェニルなどの核アルキル置換モノビニル非縮合多環芳香族化合物)などが挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、モノビニル多環芳香族化合物としては、環の数が3以下であるものが好ましい。具体的には、モノビニル多環芳香族化合物は、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルフェナントレン、ビニルビフェニル、ビニルターフェニル、及びこれらの核アルキル置換体からなる群から選択される少なくとも1種(C1)を含むことが好ましい。この場合、モノビニル多環芳香族化合物単位100モル%中の当該少なくとも1種(C1)に対応する繰り返し単位の量は、70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上であり、100モル%でもよい。
一実施形態において、モノビニル多環芳香族化合物は、ビニルナフタレン及び/又はその核アルキル置換体を含むことが好ましく、より好ましくはビニルナフタレンを含むことである。詳細には、モノビニル多環芳香族化合物単位は、下記一般式(4)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、より好ましくはビニルナフタレンに対応する繰り返し単位(以下、「ビニルナフタレン単位」ともいう。)を含むことである。この場合、モノビニル多環芳香族化合物単位100モル%中の式(4)で表される繰り返し単位(好ましくはビニルナフタレン単位)の量は、70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上であり、100モル%でもよい。
Figure 0007440685000003
式(4)中、Rは、置換基として1又は複数のアルキル基を有してもよいナフチル基を表し、置換基を含めたRの炭素数は、10~20であることが好ましく、より好ましくは10~15であり、更に好ましくは10~13である。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂は、上記3つの繰り返し単位を有する直鎖状の共重合体である。直鎖状構造により分子鎖の絡み合いが生じて成形性が向上する。ここで、直鎖状とは、共重合体を構成する繰り返し単位が互いに一次元の鎖状に連なって結合した構造を持つことをいい、架橋構造を持たない構造を持つことをいう。
該熱硬化性樹脂において、モノビニル単環芳香族化合物単位とジビニル芳香族化合物単位とモノビニル多環芳香族化合物単位の配列順序は、規則的に配列されてもよく、ランダムに配列されてもよい。該熱硬化性樹脂は、好ましくは、モノビニル単環芳香族化合物単位とジビニル芳香族化合物単位とモノビニル多環芳香族化合物単位がランダムに配列されたランダム共重合体である。
該熱硬化性樹脂は、モノビニル単環芳香族化合物単位、ジビニル芳香族化合物単位、及びモノビニル多環芳香族化合物単位の他に、その効果が損なわれない範囲で、他のモノマーに対応する繰り返し単位を含んでもよい。そのような他のモノマーとしては、例えば、トリビニル芳香族化合物、トリビニル脂肪族化合物、ジビニル脂肪族化合物、モノビニル脂肪族化合物などが挙げられる。
該熱硬化性樹脂において、モノビニル単環芳香族化合物単位の含有量は、特に限定されないが、共重合体を構成する全繰り返し単位を100モル%として、当該100モル%中、10~75モル%であることが好ましい。10モル%以上であることにより、溶融粘度の低減効果に優れる。モノビニル単環芳香族化合物単位の含有量は、より好ましくは15~60モル%であり、更に好ましくは20~55モル%であり、更に好ましくは22~50モル%である。なお、本明細書において、全繰り返し単位100モル%には、共重合体の末端に存在する重合開始剤由来の構造は含まれない。
該熱硬化性樹脂において、ジビニル芳香族化合物単位の含有量は、特に限定されないが、共重合体を構成する全繰り返し単位100モル%中、3~40モル%であることが好ましい。3モル%以上であることにより、熱硬化性を高めて良好な硬化物を得ることができ、またガラス転移温度を向上することができる。ジビニル芳香族化合物単位の含有量は、より好ましくは5~30モル%であり、更に好ましくは10~25モル%であり、更に好ましくは12~22モル%である。
該熱硬化性樹脂において、モノビニル多環芳香族化合物単位の含有量は、特に限定されないが、共重合体を構成する全繰り返し単位100モル%中、20~80モル%であることが好ましい。20モル%以上であることにより、誘電特性とガラス転移温度の向上効果に優れる。80モル%以下であることにより、溶融粘度の低減効果に優れる。モノビニル多環芳香族化合物単位の含有量は、より好ましくは30~70モル%であり、更に好ましくは35~65モル%であり、更に好ましくは35~62モル%である。
上記モノビニル単環芳香族化合物単位とジビニル芳香族化合物単位とモノビニル多環芳香族化合物単位の含有量の合計は、共重合体を構成する全繰り返し単位100モル%中、80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上であり、100モル%でもよい。
一実施形態において、熱硬化性樹脂は、上記式(2)で表される繰り返し単位(好ましくはスチレン単位)、上記式(3)で表される繰り返し単位(好ましくはジビニルベンゼン単位)、及び、上記式(4)で表される繰り返し単位(好ましくはビニルナフタレン単位)を有する共重合体であることが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂は、共重合体を構成する全繰り返し単位を100モル%として、各繰り返し単位を次のように含むことが好ましい。なお、この場合、これらの繰り返し単位とともに、当該繰り返し単位以外の上記(A)、(B)又は(C)の繰り返し単位を含んでもよい。
・式(2)で表される繰り返し単位(好ましくはスチレン単位):10~75モル%、好ましくは15~60モル%、より好ましくは20~55モル%、更に好ましくは22~50モル%。
・式(3)で表される繰り返し単位(好ましくはジビニルベンゼン単位):3~40モル%、好ましくは5~30モル%、より好ましくは10~25モル%、更に好ましくは12~22モル%。
・式(4)で表される繰り返し単位(好ましくはビニルナフタレン単位):20~80モル%、好ましくは30~70モル%、より好ましくは35~65モル%、更に好ましくは35~62モル%。
該熱硬化性樹脂は、直鎖状の共重合体の末端に、下記一般式(1)で表される重合開始剤由来の構造、又は下記一般式(5)で表される重合開始剤由来の構造の少なくとも一方を有してもよい。式(1)で表される重合開始剤は、汎用のアゾ系開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)とは異なり、シアノ基を持たないアゾ系開始剤である。式(5)で表される重合開始剤は、ジアルキルパーオキサイドなどの有機過酸化物である。このうち、式(1)で表される重合開始剤を用いることにより、より優れた誘電特性を付与することができる。
-N=N-R (1)
-O-O-R (5)
式(1)及び式(5)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に一価の飽和炭化水素基又は一価の芳香族炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含まない。飽和炭化水素基の炭素数は、特に限定されないが、1~23であることが好ましく、より好ましくは4~13である。芳香族炭化水素基の炭素数は、特に限定されないが、6~23であることが好ましく、より好ましくは6~13である。
飽和炭化水素基としては、分岐又は直鎖の飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)でもよく、飽和脂環式炭化水素基でもよい。飽和炭化水素基の具体例としては、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基などのアルキル基、シクロへキシル基などの飽和脂環式炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基、クミル基、ベンジル基、フェネチルなどのアラルキル基が挙げられる。
一実施形態において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に下記一般式(6)で表される基でもよい。
Figure 0007440685000004
式(6)中、R、R及びR10は、それぞれ独立に一価の飽和炭化水素基又は一価の芳香族炭化水素基を表す。より好ましくは、Rは炭素数1~20(より好ましくは炭素数1~10)の一価の飽和炭化水素基又は炭素数6~20(より好ましくは炭素数6~10)の一価の芳香族炭化水素基を表し、R及びR10はメチル基を表す。R、R及びR10(好ましくはR)についての飽和炭化水素基としては、分岐でも直鎖でもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基などのアルキル基、シクロへキシル基などの飽和脂環式炭化水素基が挙げられる。R、R及びR10(好ましくはR)についての芳香族炭化水素としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの重合開始剤を用いてラジカル重合によりビニル共重合体を合成した場合、通常、得られたビニル共重合体の両末端が該重合開始剤由来の構造となる。上記式(1)の重合開始剤を用いて重合した場合、上記のR-及び/又はR-を両末端に持つ共重合体が得られる。すなわち、共重合体の両末端は、ともにR-でもよく、ともにR-でもよく、一端がR-で他端がR-でもよい。一方、上記式(5)の重合開始剤を用いて重合した場合、RO-及び/又はRO-を両末端に持つ共重合体が得られる。すなわち、共重合体の両末端は、ともにRO-でもよく、ともにRO-でもよく、一端がRO-で他端がRO-でもよい。
該熱硬化性樹脂の重量平均分子量Mwは特に限定されず、例えば1千~10万でもよく、2千~5万でもよく、3千~2万でもよい。重量平均分子量Mwが1千以上であることにより、重合開始剤由来の末端基の濃度を下げて誘電特性を向上することができ、またガラス転移温度を向上することができる。また、重量平均分子量Mwが10万以下であることにより、溶融粘度を低減することができる。ここで、重量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
該熱硬化性樹脂の製造方法は、特に限定されない。直鎖状の共重合体を合成するための方法として、好ましい一実施形態に係る製造方法では、上記式(1)で表される重合開始剤又は式(5)で表される重合開始剤の少なくとも一方を用いて、ビニルベンジルホスホニウム塩とモノビニル単環芳香族化合物とモノビニル多環芳香族化合物を共重合させ、得られた共重合体をホルムアルデヒドと反応させる。但し、この製造方法に限定されるものではない。
ビニルベンジルホスホニウム塩としては、ビニルベンジルホスホニウムハライドを用いることが好ましい。ビニルベンジルホスホニウム塩におけるホスホニウム基としては、例えば、トリアルキルホスホニウム、トリアリールホスホニウム、トリアラルキルホスホニウムなどの第四級ホスホニウム基が挙げられる。また、ホスホニウム基と塩を形成するハロゲンとしては、例えば塩素、臭素などが挙げられる。
ビニルベンジルホスホニウム塩をモノビニル単環芳香族化合物及びモノビニル多環芳香族化合物と共重合させる方法としては、公知のビニル重合法を用いることができる。重合開始剤として、上記式(1)及び/又は式(5)で表されるラジカル重合開始剤を用いることにより、ビニルベンジルホスホニウム塩に由来する繰り返し単位とモノビニル単環芳香族化合物に由来する繰り返し単位とモノビニル多環芳香族化合物に由来する繰り返し単位を有する共重合体が得られる。重合に際しては、連鎖移動剤を添加して、共重合体の分子量を調整してもよい。
そして、得られた共重合体をホルムアルデヒドと反応させる方法としては、公知のウィッティッヒ反応を用いることができ、該共重合体を塩基で処理してホルムアルデヒドと反応させることにより、ホスホニウム基が外れてビニル基が導入される。
この製造方法であると、共重合工程ではビニルベンジルホスホニウム塩がモノビニルであるため、分岐を持たない直鎖状の共重合体が得られ、共重合後にビニルベンジルホスホニウム塩に由来する繰り返し単位にビニル基を導入するため、ジビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位を有するものでありながら、分岐のない直鎖状の共重合体を得ることができる。
本実施形態に係る熱硬化性組成物は、上記熱硬化性樹脂を含むものである。熱硬化性組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、当該組成物が熱により硬化する性質を有する限り、特に限定されない。例えば、熱硬化性組成物の固形分(後述する有機溶媒を含む場合は当該有機溶媒を除いた量であり、有機溶媒を含まない場合は当該組成物全体の量)100質量%に対して、1~99質量%でもよく、10~95質量%でもよい。
熱硬化性組成物には、上記熱硬化性樹脂の他に、例えば、他の熱硬化性樹脂(熱硬化性架橋剤)、熱可塑性樹脂、充填剤、難燃剤、硬化促進剤、重合開始剤、消泡剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料や顔料等の着色剤、滑剤、分散剤などの種々の成分を含有してもよい。
また、熱硬化性組成物はその粘度を調整するために有機溶媒を含んでもよく、熱硬化性組成物は上記熱硬化性樹脂を含む溶液であってもよい。有機溶媒としては、上記熱硬化性樹脂を溶解できるものが用いられ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられ、これらをいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂又は熱硬化性組成物は、共重合体の分子鎖中にビニル基を有することから重合による架橋が可能であり、熱硬化により硬化物を得ることができる。該硬化物は誘電正接及び誘電率が低く誘電特性に優れるため、例えば、プリント基板材料、半導体封止材料などの電子材用途に用いることができる。すなわち、一実施形態に係る熱硬化性組成物は、電子材用熱硬化性組成物である。
プリント基板材料としては、片面基板、両面基板、多層基板、ビルドアップ基板などのリジッドプリント基板材料や、フィルム状ないしシート状のフレキシブルプリント基板材料などが挙げられる。また、誘電特性に優れることから高周波通信機器に用いられる高周波基板材料として好適に用いられる。
以下、実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<測定・評価方法>
[スチレン/ジビニルベンゼン/ビニルナフタレンのモル比率]
実施例1~9、11~13、比較例1、4、5及び8で得た生成物及び組成物について重水素化クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴装置(JEOL製)によりH-NMR測定を行って、スチレンに対応する繰り返し単位、ジビニルベンゼンに対応する繰り返し単位及びビニルナフタレンに対する繰り返し単位のモル比を求め、全繰り返し単位100モル%に対するスチレンに対応する繰り返し単位の含有量(スチレン比率)、ジビニルベンゼンに対応する繰り返し単位の含有量(ジビニルベンゼン比率)及びビニルナフタレンに対応する繰り返し単位の含有量(ビニルナフタレン比率)を算出した。
[スチレン/ジビニルベンゼン/ビニルナフタレン/ビニルシクロヘキサンのモル比率]
実施例10、比較例2及び6で得た生成物について重水素化クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴装置(JEOL製)によりH-NMR測定を行って、スチレンに対応する繰り返し単位、ジビニルベンゼンに対応する繰り返し単位、ビニルナフタレンに対する繰り返し単位及びビニルシクロヘキサンに対する繰り返し単位のモル比を求め、全繰り返し単位100モル%に対するスチレンに対応する繰り返し単位の含有量(スチレン比率)、ジビニルベンゼンに対応する繰り返し単位の含有量(ジビニルベンゼン比率)、ビニルナフタレンに対応する繰り返し単位の含有量(ビニルナフタレン比率)及びビニルシクロヘキサンに対応する繰り返し単位の含有量(ビニルシクロヘキサン比率)を算出した。
[スチレン/ジビニルベンゼン/イソボルニルアクリレートのモル比率]
比較例3及び7で得た生成物について重水素化クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴装置(JEOL製)によりH-NMR測定を行って、スチレンに対応する繰り返し単位、ジビニルベンゼンに対応する繰り返し単位及びイソボルニルアクリレートに対する繰り返し単位のモル比を求め、全繰り返し単位100モル%に対するスチレンに対応する繰り返し単位の含有量(スチレン比率)、ジビニルベンゼンに対応する繰り返し単位の含有量(ジビニルベンゼン比率)及びイソボルニルアクリレートに対応する繰り返し単位の含有量(イソボルニルアクリレート比率)を算出した。
[重量平均分子量]
実施例1~13及び比較例1~8で得た生成物及び組成物をテトラヒドロフランに溶解し、ポリスチレン系ゲルを充填剤とした4本のカラム(Shodex GPCカラム KF-601、KF-602、KF-603、KF-604、昭和電工製)を連結したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(Prominence、島津製作所製)によりポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを測定した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.6mL/min、試料濃度0.1質量%、試料注入量10μLとし、示差屈折率検出器(Shodex RI-504、昭和電工製)を用いた。
[誘電率、誘電正接]
実施例1~13及び比較例1~8で得た生成物及び組成物を試料として用いた。試験用単動圧縮成形機(安田精機製作所製)を用いて圧力10MPa、温度220℃で試料1.5gを15分間プレスし、30mm×30mm×厚さ1mmの平板を作製した。得られた平板を裁断して幅2mm、厚さ1mm、長さ30mmの試験片を作製した。該試験片について、空洞共振器法誘電率測定装置(KEYSIGHT製)を使用して、10GHzでの誘電率及び誘電正接を測定し、以下の基準により評価した。
誘電率が2.4未満のものを「A」(優秀)、2.4以上2.5未満のものを「B」(良好)、2.5以上2.6未満のものを「C」(普通)、2.6以上2.7未満のものを「D」(不良)、2.7以上のものを「E」(劣悪)とした。
誘電正接が0.001未満のものを「A」(優秀)、0.001以上0.002未満のものを「B」(良好)、0.002以上0.003未満のものを「C」(普通)、0.003以上0.004未満のものを「D」(不良)、0.004以上のものを「E」(劣悪)とした。
[ガラス転移温度Tg]
上記の[誘電率、誘電正接]で作製した平板を裁断して幅5mm、厚さ1mm、長さ25mmの試験片を作製した。この試験片を動的粘弾性測定装置:Rheogel-E4000(株式会社ユービーエム製)を使用して、ガラス転移温度を測定した。該試験片について、引っ張り正弦波、動的歪み5μm、周波数1Hz、昇温測度3℃/分の条件下で測定した損失正接(tanδ)の極大値をガラス転移温度として求めた。ガラス転移温度が170℃以上のものを「A」(優秀)、160℃以上170℃未満のものを「B」(良好)、150℃以上160℃未満のものを「C」(普通)、150℃未満のものを「D」(不良)とした。
[溶融粘度(最低溶融粘度)]
実施例1~13及び比較例1~8で得た生成物及び組成物を試料として用いた。手動油圧ポンプ:P-1B(リケン製)を用いて圧力10MPaで試料0.4gを1分間プレスし、直径20mm×厚さ1mmのペレットを作製した。得られたペレットを試料として、レオメータ:MCR 302(Anton Paar社製)を用い、昇温速度5℃/分で50℃から200℃まで昇温した。複素粘性率の極小値を最低溶融粘度とし、最低溶融粘度が50000poise未満のものを「○」(低粘度)、50000poise以上のものを「×」(高粘度)とした。
(合成例1)化合物1:ビニルベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドの合成
ビニルベンジルクロライド(商品名:CMS-14、AGCセイミケミカル社製)1.5モル(228.9g)、トリフェニルホスフィン1.8モル(472.1g)、及びジメチルホルムアミド622.4gを2.0Lの反応器内に投入し、窒素条件下70℃で3時間反応させることで白色の固体が析出した。固体をアセトンで十分洗浄した後、92℃で減圧乾燥して化合物1を490g回収した。
(合成例2)共重合体Aの合成
スチレン11.1g、12.4gの化合物1、2-ビニルナフタレン12.0g、連鎖移動剤としての2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.7g、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)(商品名:VR-110、富士フィルム和光純薬製)1.35g、及びジメチルホルムアミド82.7gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Aをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例3)共重合体Bの合成
スチレン8.2g、13.8gの化合物1、2-ビニルナフタレン10.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.3g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.21g、及びジメチルホルムアミド74.6gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Bをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例4)共重合体Cの合成
スチレン13.3g、8.9gの化合物1、2-ビニルナフタレン13.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.7g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.34g、及びジメチルホルムアミド82.3gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Cをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例5)共重合体Dの合成
スチレン13.5g、12.4gの化合物1、2-ビニルナフタレン9.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.6g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.33g、及びジメチルホルムアミド81.4gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Dをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例6)共重合体Eの合成
スチレン5.8g、11.7gの化合物1、2-ビニルナフタレン17.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.6g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.31g、及びジメチルホルムアミド80.5gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Eをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例7)共重合体Fの合成
スチレン11.9g、8.9gの化合物1、2-ビニルナフタレン14.5g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.7g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.34g、及びジメチルホルムアミド82.2gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Fをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例8)共重合体Gの合成
スチレン9.5g、14.2gの化合物1、2-ビニルナフタレン9.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.4g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.24g、及びジメチルホルムアミド76.1gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Gをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例9)共重合体Hの合成
スチレン4.1g、13.8gの化合物1、2-ビニルナフタレン15.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.4g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.25g、及びジメチルホルムアミド76.7gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Hをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例10)共重合体Iの合成
スチレン16.4g、9.2gの化合物1、2-ビニルナフタレン10.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.7g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.35g、及びジメチルホルムアミド83.0gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Iをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例11)共重合体Jの合成
スチレン5.6g、11.4gの化合物1、2-ビニルナフタレン5.0g、ビニルシクロヘキサン7.2g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.7g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.34g、及びジメチルホルムアミド82.0gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Jをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例12)共重合体Kの合成
スチレン10.1g、11.4gの化合物1、2-ビニルナフタレン11.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.4g、重合開始剤としてのジターシャリーブチルパーオキサイド(商品名:パーブチルD、日油製)0.71g、及びジメチルホルムアミド75.8gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下132℃で3時間反応させて、共重合体Kをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例13)共重合体Lの合成
スチレン11.1g、12.4gの化合物1、2-ビニルナフタレン12.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン2.5g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.35g、及びジメチルホルムアミド82.7gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Lをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(合成例14)共重合体Mの合成
スチレン10.1g、11.4gの化合物1、2-ビニルナフタレン11.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン6.8g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)2.47g、及びジメチルホルムアミド75.8gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で1.5時間反応させて、共重合体Mをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(比較合成例1)共重合体Nの合成
スチレン22.0g、15.5gの化合物1、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.9g、ジターシャリーブチルパーオキサイド0.82g、及びジメチルホルムアミド87.4gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下132℃で3時間反応させて、共重合体Nをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(比較合成例2)共重合体Oの合成
スチレン9.9g、11.1gの化合物1、ビニルシクロヘキサン14.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.7g、ジターシャリーブチルパーオキサイド0.53g、及びジメチルホルムアミド81.4gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下132℃で3時間反応させて、共重合体Oをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(比較合成例3)共重合体Pの合成
スチレン9.2g、10.7gの化合物1、イソボルニルアクリレート15.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.7g、ジターシャリーブチルパーオキサイド0.77g、及びジメチルホルムアミド81.4gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下132℃で3時間反応させて、共重合体Pをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(比較合成例4)共重合体Qの合成
10.7gの化合物1、2-ビニルナフタレン22.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.4g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.24g、及びジメチルホルムアミド76.3gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Qをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(比較合成例5)共重合体Rの合成
スチレン9.9g、11.1gの化合物1、ビニルシクロヘキサン14.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.6g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.33g、及びジメチルホルムアミド81.7gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Rをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(比較合成例6)共重合体Sの合成
スチレン9.2g、10.7gの化合物1、イソボルニルアクリレート15.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.6g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.33g、及びジメチルホルムアミド81.4gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させて、共重合体Sをジメチルホルムアミド溶液として得た。
(比較合成例7)共重合体Tの合成
スチレン17.0g、16.9gの化合物1、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.5g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.29g、及びジメチルホルムアミド79.2gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で2時間反応させ、ジメチルホルムアミド溶液を得た。このジメチルホルムアミド溶液117.9g、トルエン117.9g、37質量%ホルマリン32.9g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液40.6gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを23.3g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで共重合体Tを13.0g回収した。共重合体TのMwは6400、スチレン比率は79.5モル%、ジビニルベンゼン比率は20.5モル%であった。
(比較合成例8)重合体Uの合成
2-ビニルナフタレン35.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン3.6g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)1.33g、及びジメチルホルムアミド81.7gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で4時間反応させた。この反応溶液を大過剰のメタノール中に再沈殿した後、上澄みをデカンテーションした。残った固体を92℃で減圧乾燥することで重合体Uを33.2g回収した。
(実施例1)
合成例2で得られた共重合体Aのジメチルホルムアミド溶液123.2g、トルエン123.2g、37質量%ホルマリン29.1g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液35.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを17.0g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物1を15.6g回収した。生成物1のMwは7200、スチレン比率は43.7モル%、ジビニルベンゼン比率は15.7モル%、2-ビニルナフタレン比率は40.6モル%であった。
(実施例2)
合成例3で得られた共重合体Bのジメチルホルムアミド溶液111.0g、トルエン111.0g、37質量%ホルマリン32.3g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液39.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを18.9g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物2を13.1g回収した。生成物2のMwは7100、スチレン比率は38.9モル%、ジビニルベンゼン比率は20.8モル%、2-ビニルナフタレン比率は40.3モル%であった。
(実施例3)
合成例4で得られた共重合体Cのジメチルホルムアミド溶液122.5g、トルエン122.5g、37質量%ホルマリン21.0g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液25.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを12.3g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物3を17.2g回収した。生成物3のMwは7500、スチレン比率は48.1モル%、ジビニルベンゼン比率は11.0モル%、2-ビニルナフタレン比率は40.9モル%であった。
(実施例4)
合成例5で得られた共重合体Dのジメチルホルムアミド溶液121.3g、トルエン121.3g、37質量%ホルマリン29.1g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液35.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを17.0g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物4を15.5g回収した。生成物4のMwは7000、スチレン比率は54.2モル%、ジビニルベンゼン比率は15.5モル%、2-ビニルナフタレン比率は30.3モル%であった。
(実施例5)
合成例6で得られた共重合体Eのジメチルホルムアミド溶液119.9g、トルエン119.9g、37質量%ホルマリン27.4g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液33.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを16.1g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物5を15.4g回収した。生成物5のMwは7300、スチレン比率は22.7モル%、ジビニルベンゼン比率は15.8モル%、2-ビニルナフタレン比率は61.5モル%であった。
(実施例6)
合成例7で得られた共重合体Fのジメチルホルムアミド溶液122.5g、トルエン122.5g、37質量%ホルマリン20.8g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液25.7gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを12.2g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物6を17.1g回収した。生成物6のMwは7400、スチレン比率は44.6モル%、ジビニルベンゼン比率は10.1モル%、2-ビニルナフタレン比率は45.3モル%であった。
(実施例7)
合成例8で得られた共重合体Gのジメチルホルムアミド溶液113.4g、トルエン113.4g、37質量%ホルマリン33.2g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液41.0gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを19.5g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物7を13.2g回収した。生成物7のMwは6800、スチレン比率は44.5モル%、ジビニルベンゼン比率は20.0モル%、2-ビニルナフタレン比率は35.5モル%であった。
(実施例8)
合成例9で得られた共重合体Hのジメチルホルムアミド溶液114.2g、トルエン114.2g、37質量%ホルマリン32.3g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液39.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを18.9g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物8を13.6g回収した。生成物8のMwは7200、スチレン比率は18.7モル%、ジビニルベンゼン比率は20.3モル%、2-ビニルナフタレン比率は61.0モル%であった。
(実施例9)
合成例10で得られた共重合体Iのジメチルホルムアミド溶液123.6g、トルエン123.6g、37質量%ホルマリン21.5g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液26.6gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを12.6g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物9を17.0g回収した。生成物9のMwは7400、スチレン比率は58.7モル%、ジビニルベンゼン比率は10.7モル%、2-ビニルナフタレン比率は30.6モル%であった。
(実施例10)
合成例11で得られた共重合体Jのジメチルホルムアミド溶液122.1g、トルエン122.1g、37質量%ホルマリン26.6g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液32.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを15.6g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物10を11.5g回収した。生成物10のMwは7600、スチレン比率は25.0モル%、ジビニルベンゼン比率は16.1モル%、2-ビニルナフタレン比率は40.8モル%、ビニルシクロヘキサン比率は18.1モル%であった。
(実施例11)
合成例12で得られた共重合体Kのジメチルホルムアミド溶液114.9g、トルエン114.9g、37質量%ホルマリン26.6g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液32.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを15.6g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物11を14.5g回収した。生成物11のMwは7000、スチレン比率は44.1モル%、ジビニルベンゼン比率は15.5モル%、2-ビニルナフタレン比率は40.4モル%であった。
(実施例12)
合成例13で得られた共重合体Lのジメチルホルムアミド溶液122.0g、トルエン122.0g、37質量%ホルマリン29.1g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液35.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを17.0g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物12を15.5g回収した。生成物12のMwは9900、スチレン比率は43.2モル%、ジビニルベンゼン比率は16.0モル%、2-ビニルナフタレン比率は40.8モル%であった。
(実施例13)
合成例14で得られた共重合体Mのジメチルホルムアミド溶液117.5g、トルエン117.5g、37質量%ホルマリン26.6g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液32.9gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを15.6g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物13を14.0g回収した。生成物13のMwは2800、スチレン比率は44.4モル%、ジビニルベンゼン比率は15.4モル%、2-ビニルナフタレン比率は40.2モル%であった。
(比較例1)
比較合成例1で得られた共重合体Nのジメチルホルムアミド溶液129.7g、トルエン129.7g、37質量%ホルマリン36.2g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液44.7gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを21.3g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物14を15.6g回収した。生成物14のMwは5600、スチレン比率は83.2モル%、ジビニルベンゼン比率は16.8モル%であった。
(比較例2)
比較合成例2で得られた共重合体Oのジメチルホルムアミド溶液121.0g、トルエン121.0g、37質量%ホルマリン26.1g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液32.2gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを15.3g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物15を15.8g回収した。生成物15のMwは7100、スチレン比率は45.2モル%、ジビニルベンゼン比率は16.4モル%、ビニルシクロヘキサン比率は38.4モル%であった。
(比較例3)
比較合成例3で得られた共重合体Pのジメチルホルムアミド溶液120.7g、トルエン120.7g、37質量%ホルマリン25.2g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液31.1gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを14.8g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物16を16.0g回収した。生成物16のMwは7000、スチレン比率は43.4モル%、ジビニルベンゼン比率は15.6モル%、イソボルニルアクリレート比率は41.0モル%であった。
(比較例4)
スチレン49.2g、ビニルナフタレン20.0g、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン9.3g、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)3.39g、及びジメチルホルムアミド208.1gを、500mLの反応器内に投入し、窒素条件下120℃で3時間反応させた。この反応溶液を大過剰のメタノール中に再沈殿した後、上澄みをデカンテーションした。残った固体を80℃で減圧乾燥することで生成物17を51.9g回収した。生成物17のMwは6500、スチレン比率は58.9モル%、2-ビニルナフタレン比率は41.1モル%であった。
(比較例5)
比較合成例4で得られた共重合体Qのジメチルホルムアミド溶液113.6g、トルエン113.6g、37質量%ホルマリン25.1g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液31.0gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを14.7g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物18を14.9g回収した。生成物18のMwは7500、ジビニルベンゼン比率は15.2モル%、2-ビニルナフタレン比率は84.8モル%であった。
(比較例6)
比較合成例5で得られた共重合体Rのジメチルホルムアミド溶液121.7g、トルエン121.7g、37質量%ホルマリン26.1g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液32.2gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを15.3g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物19を15.8g回収した。生成物19のMwは7200、スチレン比率は46.4モル%、ジビニルベンゼン比率は16.6モル%、ビニルシクロヘキサン比率は37.0モル%であった。
(比較例7)
比較合成例6で得られた共重合体Sのジメチルホルムアミド溶液121.2g、トルエン121.2g、37質量%ホルマリン25.2g、及び28質量%水酸化カリウム水溶液31.1gを500mLの反応器内に投入し、室温で4時間反応させた。反応溶液をトルエンで希釈し、蒸留水とイソプロピルアルコールで有機層を洗浄した。有機層を脱水、濃縮した後、無水塩化マグネシウムを14.8g投入し、65℃で2時間攪拌した。ろ過により固形物を除去し、トルエンで希釈したろ液をメタノールに再沈殿した。次いでろ過にて固体を取り出した後、60℃で減圧乾燥することで生成物20を16.0g回収した。生成物20のMwは7300、スチレン比率は44.5モル%、ジビニルベンゼン比率は15.3モル%、イソボルニルアクリレート比率は40.2モル%であった。
(比較例8)
比較合成例7で得られた共重合体T4.3gと比較合成例8で得られた重合体U4.0gを混合し、トルエンに溶解させ均一な溶液とした。この溶液を60℃で減圧乾燥させることで組成物1を8.0g回収した。組成物1のMwは7700、スチレン比率は47.7モル%、ジビニルベンゼン比率は12.3モル%、2-ビニルナフタレン比率は40.0モル%であった。
実施例1~13及び比較例1~8で得られた生成物及び組成物について、誘電率、誘電正接、ガラス転移温度及び溶融粘度を評価した。結果を下記表1~5に示す。
Figure 0007440685000005
Figure 0007440685000006
Figure 0007440685000007
Figure 0007440685000008
Figure 0007440685000009
実施例11及び比較例1~3は、過酸化物型の重合開始剤を用いた例である。比較例1ではビニルナフタレン単位が存在しないため、誘電率及び誘電正接に劣っていた。比較例2では、比較例1に対してビニルシクロヘキサンをモノマーとして追加して共重合したが、誘電率及び誘電正接は向上せず、ガラス転移温度が低下した。比較例3では、比較例1に対してイソボルニルアクリレートをモノマーとして追加して共重合しており、ガラス転移温度は改善されたが、エステル基の存在により誘電率及び誘電正接ともに悪化した。
これに対し、実施例11では、比較例1に対してビニルナフタレン単位を組み込んだことにより、誘電率及び誘電正接を改善し、かつガラス転移温度が向上しており、誘電特性とガラス転移温度を両立することができた。実施例11では、また最低溶融粘度も低いものであった。
実施例1~10,12~13及び比較例4~8は、上記式(1)のアゾ系開始剤を用いた例である。比較例4ではジビニルベンゼン単位が存在せず、熱硬化が進行しなかった。そのため誘電率、誘電正接及びガラス転移温度評価用の試験片を作製できず、これらの項目については評価できなかった。また、熱硬化が進行しないことにより、溶融粘度は単調に低下し続けたため最低溶融粘度については観測できなかった。
比較例5では、誘電特性とガラス転移温度には優れていたものの、スチレン単位が存在しないため、最低溶融粘度が高く、加工性に劣るものであった。スチレンとジビニルベンゼンとビニルシクロヘキサンを共重合した比較例6では、重合開始剤の違いにより比較例2に対して誘電率及び誘電正接が改善したが、ビニルナフタレン単位を含まないため、ガラス転移温度に劣っていた。スチレン及びジビニルベンゼンとともにイソボルニルアクリレートを共重合した比較例7では、ガラス転移温度には優れていたが、エステル基の存在により誘電率及び誘電正接に劣っていた。
比較例8は、共重合体Tと重合体Uとを混合しており、組成としてはスチレン単位、ジビニルベンゼン単位及びビニルナフタレン単位を含むものであったが、ガラス転移温度に劣るとともに、最低溶融粘度が高く、加工性に劣るものであった。
これに対し、実施例1~10,12~13であると、スチレンとジビニルベンゼンとビニルナフタレンを共重合したことにより、誘電率及び誘電正接に優れるとともに、比較例1に対してガラス転移温度が維持ないし向上しており、誘電特性とガラス転移温度を両立することができた。また、最低溶融粘度も低いものであった。また、実施例1~10,12~13であると、重合開始剤の違いにより、実施例11よりも誘電率及び誘電正接に優れていた。
また、実施例1~13の生成物では、熱可塑性樹脂や架橋剤を併用せずとも自立するほどの十分なシートを成形することができ、成形性に優れていた。
なお、明細書に記載の種々の数値範囲は、それぞれそれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができ、それら全ての組み合わせが好ましい数値範囲として本明細書に記載されているものとする。また、「X~Y」との数値範囲の記載は、X以上Y以下を意味する。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (8)

  1. モノビニル単環芳香族化合物に対応する繰り返し単位、ジビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位、及びモノビニル多環芳香族化合物に対応する繰り返し単位を有する、直鎖状の共重合体であって
    前記モノビニル単環芳香族化合物に対応する繰り返し単位の含有量が、全繰り返し単位100モル%中、15~60モル%である、熱硬化性樹脂。
  2. 前記モノビニル多環芳香族化合物に対応する繰り返し単位の含有量が、全繰り返し単位100モル%中、20~80モル%である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂。
  3. 前記直鎖状の共重合体の末端に、一般式(1):R-N=N-Rで表される重合開始剤由来の構造を有し、前記一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立に一価の飽和炭化水素基又は一価の芳香族炭化水素基を表す、請求項1に記載の熱硬化性樹脂。
  4. 前記モノビニル単環芳香族化合物に対応する繰り返し単位と前記ジビニル芳香族化合物に対応する繰り返し単位と前記モノビニル多環芳香族化合物に対応する繰り返し単位の含有量の合計が、全繰り返し単位100モル%中、80モル%以上である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂。
  5. 前記モノビニル多環芳香族化合物の環の数が3以下である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂を硬化してなる硬化物。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂を含む、熱硬化性組成物。
  8. プリント基板材料である請求項7に記載の熱硬化性組成物。
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