JP7439428B2 - カーボンナノチューブ分散液およびその利用 - Google Patents

カーボンナノチューブ分散液およびその利用 Download PDF

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Description

本発明は、酸性化合物を含むカーボンナノチューブの分散液に関する。さらに詳しくは、酸性化合物を含むカーボンナノチューブ分散液、酸性化合物を含むカーボンナノチューブ分散液と樹脂とを含む樹脂組成物、酸性化合物を含むカーボンナノチューブ分散液と樹脂と活物質とを含む合材スラリー、それを塗工した電極膜、電極膜とリチウムを含む電解質とを具備してなる非水電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの普及に伴って、非水電解質二次電池、特に、リチウムイオン二次電池が注目されている。リチウムイオン二次電池は、通常、炭素系材料からなる負極と、リチウムイオンを可逆的に出入りさせる活物質を含有する正極と、それらを浸漬する非水系電解質とを備えており、正極は、活物質、導電材およびバインダーからなる合材スラリーを、集電板に塗工することにより製造されている。
導電材としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、フラーレン、グラフェン、微細炭素材料等が使用されている。特に微細炭素繊維の一種であるカーボンナノチューブ(以下、CNTとも表記する。)は、直径1μm以下の太さのチューブ状のカーボンであり、その特異な構造に基づく高い導電性などからリチウムイオン二次電池用の導電材としての使用が検討されている。(例えば、特許文献1、2)中でも、外径数nm~数10nmの多層CNTは比較的安価であり、実用化が期待されている。
平均外径が小さいCNTを用いると、少量で効率的に導電ネットワークを形成することができ、リチウムイオン二次電池用の正極および負極中に含まれる導電材量を低減することができる。しかしながら、平均外径が小さいCNTは凝集力が強く分散が困難であるため、十分な分散性を有するCNT分散液を得ることが難しい。
また、リチウムイオン二次電池は高容量化が求められており、高容量化の為に塩基性が強いAl、NiやMn等を多く含有する電極活物質の使用が検討されている。しかしながら、これらの活物質を使用した場合、合材スラリー中に塩基が溶出するため、合材スラリーの貯蔵安定性が低く、塗膜の難易度や生産工程、塗膜の均質さに懸念が出る。
合材スラリーの作製環境・塗工環境を低温・低湿度雰囲気化で実施することでアルカリとの反応を小さくし合材スラリーの貯蔵安定性を高める検討も報告されている(特許文献3,4)が、大きな初期投資が必要となる課題がある。
また合材スラリーの貯蔵安定性改善は、導電助剤がカーボンブラックの場合では添加剤などを用いることで検討されているが(特許文献5)、導電助剤がCNTの場合には合材スラリーの増粘が見られ生産工程や塗膜の均質さに懸念が出る。また凝集力が強い導電助剤であるCNTが、分散された状態から合材スラリー中で再凝集することにより、導電ネットワークが形成できず電極の性能が低下する問題があげられている。
CNT分散液には、凝集力の高いCNTを十分に分散させることで、従来のカーボンブラックなどより低添加量でも電極膜内で効率的に導電ネットワークを形成する事に加え、そのCNTの分散状態を保つために合材スラリーでの貯蔵安定性が良好であることが求められている。
特開2011-70908号公報 特開2014-19619号公報 特開2013-37955号公報 特開2017-188203号公報 特開2016-46188号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記従来の問題を解決するためのものであり、合材スラリーの貯蔵安定性を高めると共に、導電性の高い電極膜を得るためのCNT分散液及び樹脂組成物を提供する事である。さらに詳しくは高い分散性を有し、合材スラリーの貯蔵安定性に優れたCNT分散液、樹脂組成物及び合材スラリーを提供する事である。さらに詳しくは、優れたレート特性を有し、生産性に優れた非水電解質二次電池を提供する事である。
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。発明者らは、酸性化合物を含んだCNT分散液を使用することにより、導電性の高い電極膜が得られ、かつ合材スラリーの貯蔵安定性に優れたCNT分散液が得られることを見出した。発明者らは、かかる発明を基に、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、カーボンナノチューブ(A)と、溶媒(B)と、分散剤(C)と分子量350以下の酸性化合物(D)を含むカーボンナノチューブ分散液であってカーボンナノチューブ(A)100質量部に対して、酸性化合物(D)が1~25質量部であることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、上記酸性化合物(D)が、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基およびチオール基からなる群より選ばれた1種以上の酸性官能基を有する有機酸または1,3-ジケトンであることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ(A)のラマンスペクトルにおいて1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際にG/D比が0.5~5.0であることを特徴とする上記CNT分散液に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ(A)のBET比表面積が、180~850m/gであることを特徴とする特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ(A)が粉末X線回折分析において、回折角2θ=25°±2°にピークが存在し、そのピークの半価幅が2°~6°であることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ(A)の外径が3~25nmであることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ(A)のラマンスペクトルにおいて1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際にG/D比が、1.8~4.5であることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
カーボンナノチューブ(A)が粉末X線回折分析において、回折角2θ=25°±2°にピークが存在し、そのピークの半価幅が2°~3°であることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、上記カーボンナノチューブ分散液とバインダー(E)とを含むことを特徴とする樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記樹脂組成物と活物質(F)とを含むことを特徴とする合材スラリーに関する。
また、本発明は、上記合材スラリーを塗工した電極膜(G)に関する。
また、本発明は、正極と、負極と、電解質とを具備してなる非水電解質二次電池であって、正極または負極の少なくとも一方が、上記電極膜(G)を含むことを特徴とする非水電解質二次電池に関する。
本発明のCNT分散液を使用することにより、導電性および合材スラリーの貯蔵安定性に優れたCNT分散液、樹脂組成物、合材スラリー、電極膜が得られる。また、レート特性優れた非水電解質二次電池が得られる。よって高い導電性が求められる様々な用途分野において、本発明のCNT分散液を使用することが可能である。
以下、本発明のCNT分散液、酸性化合物、樹脂組成物、合材スラリーおよびそれを塗工した電極膜、非水電解質二次電池について詳しく説明する。
(1)カーボンナノチューブ(A)
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)(CNT(A))は、平面的なグラファイトを円筒状に巻いた形状を有している。CNT(A)は単層CNTが混在するものであってもよい。単層CNTは一層のグラファイトが巻かれた構造を有する。多層CNTは、二又は三以上の層のグラファイトが巻かれた構造を有する。また、CNT(A)の側壁はグラファイト構造でなくともよい。例えば、アモルファス構造を有する側壁を備えるCNTをCNT(A)として用いることもできる。
本実施形態のCNT(A)の形状は限定されない。かかる形状としては、針状、円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン又はカップ積層型)、トランプ状(プレートレット)及びコイル状を含む様々な形状が挙げられる。本実施形態においてCNT(A)の形状は、中でも、針状、又は、円筒チューブ状であることが好ましい。CNT(A)は、単独の形状、または2種以上の形状の組合せであってもよい。
本実施形態のCNT(A)の形態は、例えば、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ及びカーボンナノファイバーを挙げることができるが、これらに限定されない。CNT(A)は、これらの単独の形態又は二種以上を組み合わせられた形態を有していてもよい。
本実施形態のCNT(A)は、通常二次粒子として存在している。この二次粒子の形状は、例えば一般的な一次粒子であるCNT(A)が複雑に絡み合っている状態でもよい。CNT(A)を直線状にしたものの集合体であってもよい。直線状のCNT(A)の集合体である二次粒子は、絡み合っているものと比べるとほぐれ易い。また直線状のものは、絡み合っているものに比べると分散性が良いのでCNT(A)として好適に利用できる。
本実施形態のCNT(A)は、表面処理を行ったCNTでもよい。またCNT(A)は、カルボキシル基に代表される官能基を付与させたCNT誘導体であってもよい。また、有機化合物、金属原子、又はフラーレンに代表される物質を内包させたカーボンナノナノチューブ(A)も用いることができる。
本実施形態のCNT(A)の製造方法は、特に限定されず、どのような方法で製造したCNTでもよい。
本実施形態のCNT(A)のG/D比はラマン分光分析法により求められる。本実施形態のCNT(A)は、ラマンスペクトルにおいて1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際に、G/D比が、0.5~5.0であることが好ましい。1.0~4.5であることが好ましく、1.8~4.5であることがより好ましく、1.8~3.0であることがさらに好ましい。
ラマン分光分析法で使用するレーザー波長は種々あるが、ここでは532nmおよび632nmを利用する。ラマンスペクトルにおいて1590cm-1付近に見られるラマンシフトは、グラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm-1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。このG/D比が高いCNTほど、グラファイト化度が高い。
本実施形態のCNT(A)のBET比表面積は180~850m/gのものが好ましく、200~550m/gのものがより好ましい
CNT(A)の層構成は下記方法で粉末X線回折分析することにより解析することができる。
まず、CNT(A)を所定のサンプルホルダーに表面が平らになるように詰め、粉末X線回折分析装置にセットし、15°から35°までX線源の照射角度を変化させ測定する。X線源としては例えばCuKα線が用いられる。その時にピークが現れる回折角2θを読み取ることでCNT(A)の評価が可能である。グラファイトでは通常2θが26°付近にピークが検出され、これが層間回折によるピークであることが知られている。CNT(A)もグラファイト構造を有するため、この付近にグラファイト層間回折によるピークが検出される。ただし、CNTは円筒構造であるために、その値はグラファイトとは異なってくる。その値2θが25°±2°の位置にピークが出現することで単層ではなく、多層構造を有している組成物を含んでいることが判断できる。この位置に出現するピークは多層構造の層間回折によるピークであるため、CNT(A)の層数を判断することが可能となる。単層CNTは層数が1枚しかないため、単層CNTのみでは25°±2°の位置にピークは出現しない。しかしながら、単層CNTであっても、100%単層CNTということはなく、多層CNT等が混入している場合は2θが25°±2°の位置にピークが出現する場合がある。
すなわち、このピークの半価幅が小さいほど多層CNT(A)の層数が多いと考えられる。逆にこのピークの半価幅が大きいほど、CNTの層数が少ないと考えられる。
本実施形態のCNT(A)は、粉末X線回折分析を行った時に回折角2θ=25°±2°にピークが存在し、そのピークの半価幅2°~6°が好ましく、2°~5°であることがより好ましく、2°~3°であることがさらに好ましい。
本実施形態のCNT(A)の外径は3nm~25nmであることが好ましく、3nm~20nmであることがより好ましく、3nm~16nmであることがさらに好ましい。
本実施形態のCNT(A)の外径および平均外径は次のように求められる。まず透過型電子顕微鏡によって、CNT(A)を観測するとともに撮像する。次に観測写真において、任意の300本のCNT(A)を選び、それぞれの外径を計測する。次に外径の数平均としてCNT(A)の平均外径(nm)を算出する。
(2)溶媒(B)
本実施形態の溶媒(B)は、CNT(A)が分散可能な範囲であれば特に限定されないが、水、及びまたは、水溶性有機溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上からなる混合溶媒であることが好ましい。
水溶性有機溶媒としては、アルコール系(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ベンジルアルコールなど)、多価アルコール系(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコールなど)、多価アルコールエーテル系(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルなど)、アミン系(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミンなど)、アミド系(N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルカプロラクタムなど)、複素環系(シクロヘキシルピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、γ-ブチロラクトンなど)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシドなど)、スルホン系(ヘキサメチルホスホロトリアミド、スルホランなど)、低級ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、その他、テトラヒドロフラン、尿素、アセトニトリルなどを使用することができる。この中でも、水またはアミド系有機溶媒であることがより好ましく、アミド系有機溶媒の中でもN-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドンが特に好ましい。
本実施形態の溶媒(B)として、アミド系有機溶媒のみを使用する場合、溶媒(B)中の水分量が500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがさらに好ましく、100ppm以下であることが特に好ましい。
(3)分散剤(C)
本実施形態の分散剤(C)は、CNT(A)を分散安定化できる範囲で特に限定されず、トリアジン誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等を使用することができ、CNT(A)の分散に要求される特性に応じて適宜好適な種類の分散剤を、好適な配合量で使用することができる。ただし、分散剤(C)は下記酸性化合物(D)の条件を満たすものは含まない。
トリアジン誘導体としては、下記一般式(1)で表されるトリアジン誘導体が好ましい。
Figure 0007439428000001
一般式(1)中、R1は、-X1-Y1で表される基を表す。X1は置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Y1はスルホ基、カルボキシル基またはリン酸基を表す。
1の置換基を有してもよいアリーレン基の「置換基」は、同一でも異なっても良く、
その具体例としては、ヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、複数あっても良い。
置換基を有してもよいアリーレン基の「アリーレン基」は、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
1は-OHまたは-NH-R2を表す。Q2は-OHまたは-NH-R3を表す。R2およ
びR3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または-X1-Y1で表される基を表す。但し、R2およびR3は、同時に-X1-Y1になることはない。
2およびR3の置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基の「置換基」は、X1の置換基と同義である。
2およびR3の置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
2およびR3の置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」は、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環が挙げられ、具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3-b]チエニル基、ピロリル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H-ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H-インドリル基、インドリル基、1H-インダゾリル基、プリニル基、4H-キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH-カルバゾリル基、カルバゾリル基、β-カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、等が挙げられる。とりわけ、少なくとも窒素原子、酸素原子のいずれかを含む複素環基が分散性に優れるため好ましく、中でもカルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基がより好ましい。
トリアジン誘導体の構造を下記に例示する。トリアジン誘導体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、周知の方法を適用することができる。例えば、特開2004-217842号公報等に記載されている方法を適用することができる。上記公報による開示を参照することにより、本明細書の一部に組み込むものとする。
Figure 0007439428000002
Figure 0007439428000003
樹脂型分散剤として具体的には、セルロース誘導体(セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、シアノエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドンが挙げられる。特にメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性のものが挙げられる。選択される界面活性剤は単独の界面活性剤に限定されない。このため二種以上の界面活性剤を組み合わせて使用することも可能である。例えばアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組み合わせ、又はカチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組み合わせが利用できる。その際の配合量は、それぞれの界面活性剤成分に対して好適な配合量とすることが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類がある。具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4-アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)-ドデシルブロマイド及びドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。また両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びアルキルアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
(4)酸性化合物(D)
本実施形態の酸性化合物(D)は分子量が350以下の化合物であり、使用する電極活物質に対して相対的に酸として振る舞う化合物を表す。市販品、合成品に関わらず、単独もしくは2種類以上併せて使用することができる。
酸性化合物の酸解離定数(pKa)は、-5以上、10以下のものが好ましく、-3以上、9以下のものがより好ましく、-3以上、7以下のものがさらに好ましく、-3以上、5以下のものがさらに好ましく、-3以上、3以下のものがさらに好ましく、1以上、3以下のものが特に好ましい。酸解離定数の値は、25℃の水溶液中での値等として、化学便覧等から得られる。酸解離定数の値が大きすぎる場合は期待する効果が得られない場合があり、一方、小さすぎる場合は生産ラインの腐食や取り扱い上の注意が必要になる場合がある。
本発明で用いる酸性化合物としては、具体的には、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、ソルビン酸などの不飽和カルボン酸、酒石酸、クエン酸、グリセリン酸などのヒドロキシ酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸等のジカルボン酸、無水酢酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸無水物、ベンゼンスルホン酸やトルエンスルホン酸などのスルホン酸、アセチルアセトンなどの1,3-ジケトン、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、その他オキソ酸化合物、チオール基を有する化合物、リン酸基を有する化合物、フェノール類、エノール類等や、これらの化合物の誘導体、高分子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いる酸性化合物は、分子量が350以下の有機酸または1,3-ジケトンであることが好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基およびチオール基からなる群より選ばれた1種以上の酸性官能基を有する有機酸または1,3-ジケトンであることがより好ましく、カルボキシル基およびスルホン酸基からなる群より選ばれた1種以上の酸性官能基を有する有機酸または1,3-ジケトンであることがより好ましく、カルボキシル基またはスルホン酸基を有する有機酸であることがさらに好ましく、カルボン酸基を有する有機酸であることが特に好ましい。また、芳香環を有することが好ましい。
酸性化合物の分子量は、350以下のものである。その中でも30~350のものが好ましく、100~350のものがより好ましく、100~200のものが特に好ましい。
酸性化合物は、1分子中に有する酸性基の数は、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。
酸性化合物は、CNT分散液中に可溶であることが好ましく、大気圧下、0℃~40℃において、N-メチル-2-ピロリドン100質量部に対して、0.1質量部以上溶解することがより好ましい。
(5)カーボンナノチューブ分散液
本実施形態のCNT分散液は、CNT(A)と溶媒(B)と分散剤(C)と酸性化合物(D)を含むものである。
本実施形態のCNT分散液を得るには、CNT(A)を溶媒(B)中に分散させる処理を行うことが好ましい。かかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されない。
分散装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用することができる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(BRANSON社製Advanced Digital Sonifer(登録商標)、MODEL 450DA、エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、コロイドミル(PUC社製「PUCコロイドミル」、IKA社製「コロイドミルMK」)類、コーンミル(IKA社製「コーンミルMKO」等)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態のCNT分散液の固形分の量は、CNT分散液100質量%に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.5~25質量%が好ましく、1~10質量%が好ましく、2~10質量%が特に好ましい。
本実施形態のCNT分散液中の分散剤(C)の量は、CNT(A)100質量%に対して、3~300質量%使用することが好ましい。また導電性の観点から5~100質量%使用することが好ましく、10~50質量%使用することが特に好ましい。
本実施形態のCNT分散液中の酸性化合物(D)の量は、CNT分散液中のCNT100質量%に対して1~25質量%であることが好ましく、5~20質量%使用することが特に好ましい。
(6)バインダー(E)
バインダー(E)とは、物質間を結合する樹脂を意味する。
本実施形態のバインダー(E)としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でも良い。特に、耐性面から分子内にフッ素原子を有する高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。
本実施形態のバインダー(E)としてのこれらの樹脂類の重量平均分子量は、10,000~2,000,000が好ましく、100,000~1,000,000がより好ましく、200,000~1,000,000が特に好ましい。分子量が小さいとバインダーの耐性や密着性が低下することがある。分子量が大きくなるとバインダーの耐性や密着性は向上するものの、バインダー自体の粘度が高くなり作業性が低下するとともに、凝集剤として働き、分散された粒子が著しく凝集してしまうことがある。
本発明の想定する産業上の利用可能性から、バインダー(E)は、フッ素原子を有する高分子化合物を含むことが好ましく、フッ素原子を有する高分子化合物であることが好ましく、フッ化ビニリデン系共重合体であることがさらに好ましく、ポリフッ化ビニリデンであることが特に好ましい。
(7)樹脂組成物
本実施形態の樹脂組成物は、CNT(A)と溶媒(B)と分散剤(C)と酸性化合物(D)とバインダー(E)とを含むものである。
本実施形態の樹脂組成物を得るには、CNT分散液とバインダー(E)を混合し、均一化することが好ましい。混合方法としては、従来公知の様々な方法を行うことができる。樹脂組成物は前記CNT分散液で説明した分散装置を用いて作製することができる。
(8)活物質(F)
本実施形態の活物質(F)とは、電池反応の基となる材料のことである。活物質は起電力から正極活物質と負極活物質に分けられる。
正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V、V13、TiO等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を使用することもできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能なものであれば特に限定されない。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、LiXFe、LiXFe、LiXWO(xは0<x<1の数である。)、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ-p-フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
正極活物質は、Al、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属を含むリチウムとの複合酸化物であることが好ましく、Al、Co、Ni、Mnのうちいずれかを含むリチウムとの複合酸化物であることがより好ましく、Ni、および/または、Mnを含むリチウムとの複合酸化物であることが特に好ましい。これらの活物質を用いたとき、特に良好な効果を得ることができる。
活物質のBET比表面積は0.1~10m/gのものが好ましく、0.2~5m/gのものがより好ましく、0.3~3m/gのものがさらに好ましい。
活物質の平均粒子径は0.05~100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1~50μmの範囲内である。本明細書でいう活物質の平均粒子径とは、活物質を電子顕微鏡で測定した粒子径の平均値である。
(9)合材スラリー
本実施形態の合材スラリーとは、CNT(A)と溶媒(B)と分散剤(C)と酸性化合物(D)とバインダー(E)と活物質(F)を含むものである。
本実施形態の合材スラリーを得るには、CNT樹脂組成物に活物質を加えた後、分散させる処理を行うことが好ましい。かかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されない。合材スラリーは前記CNT分散液で説明した分散装置を用いて、合材スラリーを得ることができる。
合材スラリー中の活物質(F)の量は合材スラリー100質量%に対して、20~85質量%であることが好ましく、40~85質量%であることが特に好ましい。
合材スラリー中のCNT(A)の量は活物質100質量%に対して、0.05~10質量%であることが好ましく、0.1~5質量%であることが好ましく0.1~3質量%であることが好ましい。
合材スラリー中のバインダー(E)の量は活物質100質量%に対して、0.5~20質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがさらに好ましく、1~5質量%であることが特に好ましい。
合材スラリーの固形分の量は、合材スラリー100質量%に対して、30~90質量%であることが好ましく、40~85質量%であることが好ましい。
合材スラリー中の水分量は500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがさらに好ましく、100ppm以下であることが特に好ましい。
(10)電極膜
本実施形態の電極膜とは、集電体上に合材スラリーを塗工乾燥することで、電極合材層を形成した塗膜である。
本実施形態の電極膜に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種二次電池にあったものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
集電体上に合材スラリーを塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。電極合材層の厚みは、一般的には1~500μmであり、好ましくは10~300μmである。
(11)非水電解質二次電池
本実施形態の非水電解質二次電池とは正極と、負極と、電解質とを含むものであり、電解質を非水系の溶媒に溶解させた電解液を使用したものである。本実施形態の非水電解質二次電池は特に限定されず、例えば、リチウムイオン二次電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池等が挙げられる。
正極としては、正極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して作製した電極膜を使用することができる。
負極としては、負極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して作製した電極膜を使用することができる。
電解質としては、従来公知の様々なものを使用することができる。例えば、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(CFSOC、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN、又はLiBPh(ただし、Phはフェニル基である)等が挙げられるが、これらに限定されない。
非水系の溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、及びγ-オクタノイックラクトン等のラクトン類;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、1,2-メトキシエタン、1,2-エトキシエタン、及び1,2-ジブトキシエタン等のグライム類;メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
本実施形態の非水電解質二次電池は、セパレーターを含むことが好ましい。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びこれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本実施形態の非水電解質二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<物性の測定方法>
後述の各実施例及び比較例において使用されたCNTの物性は以下の方法により測定した。
<CNTのラマン分光分析>
ラマン顕微鏡(XploRA、株式会社堀場製作所社製)にCNTを設置し、532nmのレーザー波長を用いて測定を行った。測定条件は取り込み時間60秒、積算回数3回、減光フィルタ10%、対物レンズの倍率20倍、コンフォーカスホール500、スリット幅100μm、測定波長は100~3000cm-1とした。測定用のCNTはスライドガラス上に分取し、スパチュラを用いて平坦化した。得られたピークの内、スペクトルで1560~1600cm-1の範囲内で最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内で最大ピーク強度をDとし、G/Dの比をCNTのG/D比とした。
<CNTの比表面積>
CNTを電子天秤(sartorius社製、MSA225S100DI)を用いて、0.03g計量した後、110℃で20分間、脱気しながら乾燥させた。その後、全自動比表面積測定装置(MOUNTECH社製、HM-model1208)を用いて、CNTの比表面積を測定した。
<CNTの粉末X線回折分析>
アルミ試料板(外径φ46mm、厚さ3mm、試料部φ26.5mm、厚さ2mm)の中央凹部にCNTをのせ、スライドガラスを用いて、平坦化した。その後、試料を載せた面に薬包紙をのせ、さらにアルミハイシートパッキンをのせた面に対して、1トンの荷重をかけて平坦化した。その後、薬包紙とアルミハイシートパッキンを除去して、CNTの粉末X線回折分析用サンプルを得た。その後、X線回折装置(Ultima2100、株式会社リガク社製)にCNTの粉末X線回折分析用サンプルを設置し、15°から35°まで操作し、分析を行った。サンプリングは0.02°毎に行い、スキャンスピードは2°/min.とした。電圧は40kV、電流は40mA、X線源はCuKα線とした。この時得られる回折角2θ=25°±2°に出現するプロットをそれぞれ11点単純移動平均し、そのピークの半価幅をCNTの半価幅とした。ベースラインは2θ=15°および2θ=34°のプロットを結んだ線とした。
<CNTの外径>
透過型電子顕微鏡によって、CNTを観測するとともに撮像した。次に観測写真において、任意の300本のCNTを選び、それぞれの外径を計測する。次に外径の数平均としてCNTの平均外径(nm)を算出した。
<CNT分散液の粘度測定>
CNT分散液を25℃の恒温槽に1時間以上静置した後、CNT分散液を十分に撹拌してから、粘度計(TOKISANGYO CO.LTD、VISCOMETER、MODEL BL)を用いて、撹拌速度60rpm時の粘度を測定した。
<CNT分散液の貯蔵安定性>
CNT分散液の貯蔵安定性の評価は、CNT分散液を50℃にて7日間静置して保存した後の、粘度の変化から評価した。粘度の測定はCNT分散液を25℃の恒温槽に1時間以上静置した後、CNT分散液を十分に撹拌してから、粘度計(TOKISANGYO CO.LTD、VISCOMETER、MODEL BL)を用いて、撹拌速度60rpm時の粘度を測定した。
貯蔵安定性試験にかける前の粘度に対する変化の程度から、+++:~120%(優良)、++:~150%(良)、+:~200%(可)、‐:200%(不可)とした。
<CNT樹脂組成物の粘度測定、貯蔵安定性>
CNT樹脂組成物について、CNT分散液と同様の方法で測定した。
<合材スラリーの粘度測定、貯蔵安定性>
合材スラリーについて、CNT分散液と同様の方法で測定した。
<電極膜の体積抵抗率>
合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が20mg/cmとなるようにアルミ箔上に塗工した後、電気オーブン中で140℃±5℃で25分間、塗膜を乾燥させた。その後、(株)三菱化学アナリテック社製:ロレスターGP、MCP-T610を用いて乾燥後の塗膜の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定後、アルミ箔上に形成した電極合材層の厚みを掛けて、電極膜の体積抵抗率(Ω・cm)とした。電極合材層の厚みは、膜厚計(NIKON社製、DIGIMICRO MH-15M)を用いて、電極膜中の3点を測定した平均値から、アルミ箔の膜厚を引き算し、電極膜の厚みとした。
<リチウムイオン二次電池のレート特性>
ラミネート型リチウム二次電池を25℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電電流12mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.6mA)を行った後、放電電流12mAにて、放電終止電圧3Vで定電流放電を行った。この操作を3回繰り返した後、充電電流12mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.6mA)を行い、放電電流12mA(0.2C)および120mA(2C)で放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行って、それぞれ放電容量を求めた。レート特性は0.2C放電容量と2C放電容量の比、以下の式1で表すことができる。
(式2) レート特性 = 2C放電容量/0.2C放電容量 ×100 (%)
<CNT合成用触媒及びCNTの製造例>
後述の各実施例において使用されたCNTは以下の方法により作製した。
<CNT-Aの合成>
多層CNT(JEIO社製、JENOTUBE 8S)を120Lの耐熱性容器に10kgを計量し、CNTが入った耐熱性容器を炉内に設置した。その後、炉内に窒素ガスを導入して、陽圧を保持しながら、炉内中の空気を排出した。炉内の酸素濃度が0.1%以下になった後、30時間かけて、1600℃まで加熱した。炉内温度を1600℃に保持しながら、塩素ガスを50L/分の速度で50時間導入した。その後、窒素ガスを50L/分で導入して陽圧を維持したまま冷却し、CNT-Aを得た。
<CNT合成用触媒B>
水酸化コバルト60質量部、酢酸マグネシウム・四水和物138質量部、酢酸マンガン16.2質量部をそれぞれ耐熱性容器に秤取り、電気オーブンを用いて、170±5℃の温度で1時間乾燥させて水分を蒸発させた後、粉砕機(ワンダークラッシャーWC-3、大阪ケミカル株式会社製)を用いて、SPEEDのダイヤルを3に調整し、1分間粉砕した。その後、粉砕したそれぞれの粉末を粉砕機(ワンダークラッシャーWC-3、大阪ケミカル株式会社製)を用いて、SPPEDのダイヤルを2に調整し、30秒間混合してCNT合成用触媒前駆体Bを作製した。そして、CNT合成用触媒前駆体Bを耐熱性容器に移し替え、マッフル炉(FO510、ヤマト科学株式会社製)を使用し、空気雰囲気、450±5℃の条件で30分間焼成した後、乳鉢で粉砕してCNT合成用触媒Bを得た。
<CNT-Bの合成>
加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10Lの横型反応管の中央部に、前記CNT合成用触媒B2gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。窒素ガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気を窒素ガスで置換し、横型反応管中の雰囲気を酸素濃度1体積%以下とした。次いで、外部ヒーターにて加熱し、横型反応管内の中心温度が680℃になるまで加熱した。680℃に到達した後、炭素源としてプロパンガスを毎分2Lの流速で反応管内に導入し、1時間接触反応させた。反応終了後、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管の温度を100℃以下になるまで冷却し取り出すことで、CNT-Bを得た。
<CNT合成用触媒C>
水酸化コバルト40質量部、酢酸マグネシウム・四水和物138質量部、酢酸マンガン26.2質量部をそれぞれ耐熱性容器に秤取り、電気オーブンを用いて、170±5℃の温度で1時間乾燥させて水分を蒸発させた後、粉砕機(ワンダークラッシャーWC-3、大阪ケミカル株式会社製)を用いて、SPEEDのダイヤルを3に調整し、5分間粉砕した。その後、粉砕したそれぞれの粉末を粉砕機(ワンダークラッシャーWC-3、大阪ケミカル株式会社製)を用いて、SPPEDのダイヤルを3に調整し、5分間混合してCNT合成用触媒前駆体Cを作製した。そして、CNT合成用触媒前駆体Cを耐熱性容器に移し替え、マッフル炉(FO510、ヤマト科学株式会社製)を使用し、空気雰囲気、800±5℃の条件で30分間焼成した後、乳鉢で粉砕してCNT合成用触媒Cを得た。
<CNT-Cの合成>
加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10Lの横型反応管の中央部に、前記CNT合成用触媒C2gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。窒素ガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気を窒素ガスで置換し、横型反応管中の雰囲気を酸素濃度0.5体積%以下とした。次いで、外部ヒーターにて加熱し、横型反応管内の中心温度が800℃になるまで加熱した。800℃に到達した後、炭素源としてアセチレンガスを毎分3Lの流速で反応管内に導入し、2時間接触反応させた。反応終了後、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管の温度を100℃以下になるまで冷却し取り出すことで、CNT-Cを得た。
<CNT-Dの合成>
CNT(KUMHO PETROCHEMICAL社製、100T)を120Lの耐熱性容器に10kgを計量し、CNTが入った耐熱性容器を炉内に設置した。その後、炉内に窒素ガスを導入して、陽圧を保持しながら、炉内中の空気を排出した。炉内の酸素濃度が0.1%以下になった後、30時間かけて、1600℃まで加熱した。炉内温度を1600℃に保持しながら、塩素ガスを50L/分の速度で50時間導入した。その後、窒素ガスを50L/分で導入して陽圧を維持したまま冷却し、CNT-Dを得た。
<標準負極用合材スラリー及び標準負極の作製>
後述の各実施例及び比較例において使用された負極用合材スラリーおよび負極は以下の方法により作製した。
<標準負極用合材スラリーの作製>
負極活物質として人造黒鉛(日本黒鉛社製、CGB-20)49質量部、2質量%のカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業社製、#1190)を溶解した水溶組成物25質量部(固形分として0.5質量部)をプラネタリーミキサーに入れて混練した後、イオン交換水22質量部、スチレンブタジエンエマルション(JSR株式会社製、TRD2001)1質量部(固形分として0.5質量部)を混合して、負極用合材スラリーを得た。
<標準負極の作製>
上述の負極用合材スラリーを集電体となる厚さ20μmの銅箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間乾燥して電極の単位面積当たりの目付量が12mg/cmとなるように調整した。さらにロールプレス(株式会社サンクメタル社製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が1.5g/cmとなる負極を作製した。
<分散剤>
後述の各実施例において使用された分散剤A、E,Gであるトリアジン誘導体A、B、Cの構造を(化4)に示す。トリアジン誘導体Aの製造方法としては、特に限定されるものではなく、周知の方法を適用することができる。例えば、特開2004-217842号公報等に記載されている方法を適用することができる。上記公報による開示を参照することにより、本明細書の一部に組み込むものとする。
Figure 0007439428000004
表1に実施例および比較例で使用したCNTのG/D比、比表面積(m/g)、半価幅(°)、外径(nm)およびカーボンブラックの比表面積を示す。
Figure 0007439428000005
表2に実施例および比較例で使用した分散剤を示す。
Figure 0007439428000006
表3に実施例および比較例で使用した酸性化合物を示す。
Figure 0007439428000007
(実施例1)
ガラス瓶(M-225、柏洋硝子株式会社製)に、CNT―Dを2.400部、分散剤A(トリアジン誘導体A)0.720部、酸性化合物A(安息香酸)を0.024部、NMPを76.856部およびジルコニアビーズ(ビーズ径0.5mmφ)80.000を仕込み、レッドデビル社製ペイントコンディショナーを用いて8時間分散処理を行った後、ジルコニアビーズを分離して、CNT分散液(A1)を得た。
(実施例2~32)、(比較例1~5)
表に掲載したCNT、CNT濃度、分散剤種、酸性化合物種、酸性化合物量、を変更した以外は実施例1と同様の方法により、CNT分散液を得た。CNTの代わりにデンカブラックを使用した場合は、2時間の分散処理を行った。
Figure 0007439428000008
表5に実施例1~32、比較例1~5で作製したCNT分散液の評価結果を示す。
Figure 0007439428000009
(実施例33)
容量150cmのプラスチック容器にPVDF(Solvey社製、Solef#5130)を8質量%溶解したNMPを10.6質量部計量した。その後、CNT分散液(A1)を0.5質量部添加し、自転・公転ミキサー(シンキー社製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。さらに、CNT分散液(A1)を6.5質量部添加し、前記ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌して、CNT樹脂組成物(A1)を得た。さらにその後、正極活物質(戸田工業製 NAC7150)を55.1質量部添加し、前記ミキサーを用いて、2000rpmで2.5分間撹拌した。最後に、NMP2.3質量部を添加し、前記ミキサーを用いて、2000rpmで2.5分間撹拌し、合材スラリー(A1)を得た。
(実施例34~64)、(比較例6~10)
表6に掲載したCNT分散液に変更した以外は実施例33と同様の方法により、合材スラリーを得た。
表6に実施例34~64、比較例6~10で作製したCNT樹脂組成物及び合材スラリーの評価結果を示す。
Figure 0007439428000010
(実施例65)
合材スラリー(A1)を、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が20mg/cmとなるようにアルミ箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間、塗膜を乾燥させ電極膜(A1)を得た。
(実施例66~96)、(比較例11~15)
表6に掲載した合材スラリーに変更した以外は実施例65と同様の方法により、電極膜を得た。
表7に、作製した電極膜の評価結果を示す。導電性の評価は電極膜の体積抵抗率(Ω・cm)が5未満:++++(優良)、5以上10未満:+++(優)、10以上20未満:++(良)、20以上100未満:+(可)、100以上:-(不可)とした。
Figure 0007439428000011
(実施例97)
電極膜(A1)をロールプレス(株式会社サンクメタル社製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が3.2g/cmとなる正極を作製した。
(実施例98~128)、(比較例16~20)
表8に掲載した電極膜に変更した以外は実施例97と同様の方法にて、正極を作製した。
Figure 0007439428000012
(実施例129)
正極(A1)と負極を各々45mm×40mm、50mm×45mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロプレンフィルム)とをアルミ製ラミネート袋に挿入し、電気オーブン中、60℃で1時間乾燥した。その後、アルゴンガスで満たされたグローブボックス内で、電解組成物(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを1:1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒に、LiPFを1Mの濃度で溶解させた非水電解組成物)を2mL注入した後、アルミ製ラミネートを封口してラミネート型リチウムイオン二次電池(A1)を作製した。
(実施例130~160)、(比較例21~25)
表8に掲載された正極に変更した以外は同様の方法により、ラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
表9に、作製したラミネート型リチウム二次電池の評価結果を示す。レート特性は、レート特性が90%以上:++++(優良)、80%以上90%未満:+++(優)、70%以上80%未満:++(良)、60%以上70%未満:+(可)、60%未満:-(不可)とした。
Figure 0007439428000013
上記実施例では、CNTと分散剤と酸性化合物とを含むCNT分散液を用いた。実施例では、比較例に比べて合材の貯蔵安定性に優れ、レート特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られた。よって、本発明は従来のCNT分散液では実現しがたい生産性と導電性を有するリチウム二次電池を提供できることが明らかとなった。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

Claims (9)

  1. カーボンナノチューブ(A)と、溶媒(B)と、分散剤(C)と、分子量350以下の酸性化合物(D)と、バインダー(E)と、正極活物質とを含む合材スラリーであって、
    溶媒(B)は、N-メチル-2-ピロリドンを含み、
    酸性化合物(D)は、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ソルビン酸、酒石酸、クエン酸、グリセリン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、無水酢酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、アセチルアセトン、塩酸、硫酸、硝酸、およびリン酸からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含み、
    バインダー(E)は、フッ素原子を有する高分子化合物を含み、
    カーボンナノチューブ(A)100質量部に対して、前記酸性化合物(D)が1~25質量部であることを特徴とする合材スラリー
  2. カーボンナノチューブ(A)のラマンスペクトルにおいて1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際にG/D比が0.5~5.0であることを特徴とする請求項1記載の合材スラリー
  3. カーボンナノチューブ(A)のBET比表面積が、180~850m/gであることを特徴とする請求項1または2記載の合材スラリー
  4. カーボンナノチューブ(A)が粉末X線回折分析において、回折角2θ=25°±2°にピークが存在し、そのピークの半価幅が2°~6°であることを特徴とする請求項1~いずれか記載の合材スラリー
  5. カーボンナノチューブ(A)の外径が3~25nmであることを特徴とする請求項1~いずれか記載の合材スラリー
  6. カーボンナノチューブ(A)のラマンスペクトルにおいて1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際にG/D比が、1.8~4.5であることを特徴とする請求項1~いずれか記載の合材スラリー
  7. カーボンナノチューブ(A)が粉末X線回折分析において、回折角2θ=25°±2°にピークが存在し、そのピークの半価幅が2°~3°であることを特徴とする請求項1~いずれか記載の合材スラリー
  8. 請求項1~7いずれか記載の合材スラリーを膜状に形成してなる電極膜(G)。
  9. 正極と、負極と、電解質とを具備してなる非水電解質二次電池であって、正極が、請求項記載の電極膜(G)を含むことを特徴とする非水電解質二次電池。
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