JP7439084B2 - 吸入用乾燥粉末製剤のための新規担体粒子 - Google Patents

吸入用乾燥粉末製剤のための新規担体粒子 Download PDF

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Description

本発明は、吸入用の乾燥粉末製剤に使用する担体粒子及びその調製プロセスに関するものである。
乾燥粉末吸入(DPI)薬物療法は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、全身性疾患などの呼吸器疾患の治療に長年用いられてきた。
経口投与の場合と比較して、第一段階の代謝がバイパスされたり、著しく低下したりするため、比較的少量の投与で効果的な治療が可能となる。
このような少量投与により、体内での薬剤の曝露量を減らし、副作用を最小限に抑えることができる。また、肺への局所投与により、薬剤が直接作用部位に届くため、全身への副作用も軽減される。また、特に高価な治療薬が関係する場合には、投与量を減らすことでコストを大幅に削減することができる。
肺に効果的に送り込むためには、数マイクロメーター、一般的には1~5ミクロン(microns)の粒子径が必要とされる。
乾燥粉末製剤は、通常、薬物を粗い担体粒子と混合することによって処方され、微細化された活性粒子が吸入装置の中で担体粒子の表面に付着することで、秩序立った混合物が形成される。
担体は、微粉末の凝集力を弱めて流動性を向上させ、製造工程(注液(pouring)、充填(filling)、吐出(dosing)など)での取り扱いを容易にする。
さらに、薬物の治療用量がマイクログラムの範囲にあるとき、担体はバルク剤として作用する。
吸入中、薬剤粒子は担体粒子の表面から分離し、下肺に浸透するが、一方、より大きな担体粒子は大部分が中咽頭腔に沈着する。
薬剤粒子の担体表面からの剥離は、薬剤の肺への利用性を支配する最も重要な因子と見なされている。
これは、粉体混合物の機械的安定性、及びこれが、薬剤と担体との間の接着特性、及び付着粒子間に形成される非共有結合を壊すのに必要な外力に影響される方法に依存する。
付着粒子間の結合が強すぎると、実際に担体粒子の表面から微粉砕された薬剤粒子が分離するのを妨げる可能性がある。
薬剤粒子の担体粒子からの放出を促進し、結果、呼吸性画分(respirable fraction)を増加させるために、接着を調節することを目的とした様々なアプローチが当該技術分野で提案されている。
例えば、上記目的を満たすために、潤滑剤又は抗付着性を有する微細な賦形剤粒子及び/又は微細な添加剤(以下、微粒子と総称する)の添加が技術的課題の解決策として提案されている。
典型的には、前記微粒子は、50ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満のサイズを有する。
しかし、微粒子は流動性に乏しいため、微粒子の含有量が増加すると、関連する粉末製剤の流動性特性は悪化する傾向がある。
一方、吸入経路は、むしろ高い単回投与量で投与される活性成分にますます利用されている。
これは、用量、従って活性成分の濃度がより高くなるほど、粉末混合物中の薬剤の分布の良好な均一性を達成する可能性、従って、患者による吸入時の適切な脱凝集と同様に、用量の良好な精度を達成する可能性に有害である、不均等な凝集体(すなわち、強い凝集力によって結びついた微粉末化された薬剤粒子)を形成するリスクが高くなることがよく知られているため、困難な課題となりつつある。
さらに、用量、したがって有効成分の濃度が高いほど、十分な呼吸性画分を有するのに必要な微粒子数が多くなる可能性がある。
微粉化された活性成分及び/又は微細な賦形剤粒子が大量であると、関連する製剤の流動性に有害な影響を及ぼす可能性があり、その結果、吸入器の起動時に正しい用量を送達する装置の能力に影響を及ぼすであろう。
したがって、関連する粉末製剤の流動特性を損なうことなく、かなり多量の微粉化された薬剤を収容することができる担体粒子を提供することが有利であろう。
微細な賦形剤粒子及び/又は微細添加剤を使用せずに良好なエアロゾル性能を維持しながら、かなり多量の微粉化された薬物を収容できる担体粒子を提供することはさらに有利であろう。
本発明の担体粒子とそれを調製する方法により問題は解決される。
第1の態様では、本発明は、
吸入用乾燥粉末製剤の担体として使用されるマンニトールで作られた溶融噴霧固化(melt-spray solidified particles)(即ち、噴霧凝固(spray congealed))粒子であって、前記粒子は、10~300μmの範囲の質量直径を有し、前記粒子は0.80~1.00の間、好ましくは0.90~1.00の間、より好ましくは0.95~1.00の間に含まれる形状係数(shape factor)で表される規則的形状(regular shape)を特徴とする、噴霧凝固粒子、に向けられている。
第2の態様では、本発明は、
以下のステップを含む方法によって得ることができる(obtainable by)、上記担体粒子:
i)完全に融解するまでマンニトールを加熱するステップ、
ii)溶融マンニトールを適切な圧力ノズルにより噴霧凝固チャンバーに噴霧して液滴を得るステップ、
iii)液滴を冷却して凝固及び粒子形成を誘導するステップ、
iv)得られた粒子を分離するステップ、
v)粒子をコンディショニング(conditioning)ステップに付すステップ、
に向けられている。
第3の態様では、本発明は、
以下のステップを含む方法によって得られた(obtained by)、上記担体粒子:
i)完全に融解するまでマンニトールを加熱するステップ、
ii)溶融マンニトールを適切な圧力ノズルにより噴霧凝固チャンバーに噴霧して液滴を得るステップ、
iii)液滴を冷却して凝固及び粒子形成を誘導するステップ、
iv)得られた粒子を分離するステップ、
v)粒子をコンディショニングステップに付すステップ、
に向けられている。
第4の態様では、本発明は、クレームされた噴霧凝固粒子を調製する方法であって、以下のステップを含む、方法:
i)完全に融解するまでマンニトールを加熱するステップ、
ii)溶融マンニトールを適切な圧力ノズルにより噴霧凝固チャンバーに噴霧して液滴を得るステップ、
iii)液滴を冷却して凝固及び粒子形成を誘導するステップ、
iv)得られた粒子を分離するステップ、及び
v)粒子をコンディショニングステップに付すステップ、
に向けられている。
第5の態様では、本発明は、
本発明の担体粒子及び1つ以上の活性成分を含む、吸入用乾燥粉末形態の医薬組成物に関する。
第6の態様では、本発明は、前述した乾燥粉末医薬組成物を充填した乾燥粉末吸入器に関する。
第7の態様では、本発明は、前述した医薬組成物を製造する方法であって、前記方法は、高剪断ミキサーにおいて、本発明の担体粒子を、1つ以上の活性成分と混合するステップを含む、方法に関する。
更なる態様では、本発明はまた、本発明に係る乾燥粉末製剤及び乾燥粉末吸入器を含むパッケージに向けられている。
定義
特に記載のない限り、「活性薬剤(active drug)」、「活性成分(active ingredien)」、「活性(active)」及び 「活性物質(active substance)」、「活性化合物(active compound)」及び「治療薬(therapeutic agent)」の用語は同義語として使用する。
「ミクロン」という用語は、「マイクロメーター」の同義語として使用される。
一般に、粒子のサイズは、容積直径として知られる特徴的な等価球の直径をレーザー回折によって測定することによって定量化される。
粒子サイズはまた、ふるい分けなど、当業者に知られている適切な機器や技術を用いて質量直径を測定することでも、定量化することができる。
容積直径(VD)は粒子の密度によって質量直径(MD)と関係づけられる(サイズが粒子の密度から独立であると仮定)。
あるいは、粒子サイズを容積直径で表すこともできる。特に、粒子径分布は、i)粒子の50%重量パーセントの直径に相当する容積中央径(VMD)、例えばd(v0.5)、ii)粒子の10%及び90%マイクロン単位の容積直径(VD)、例えば、d(v0.1)及びd(v0.9)で表すことができる。
「微粒子」という用語は、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン未満のメジアン容積直径を有する粒子であって、生理学的に許容される賦形剤から作製され、及び/又は潤滑剤もしくは抗付着特性を有する添加剤から作製された粒子、又はそれらの混合物を指す。
「良好な流動性(good flow properties)」という用語は、製造工程での取り扱いが容易で、治療上有効な用量を正確かつ再現性よく投与することができる製剤を指す。
流量特性(flow characteristics)はCarr指数を測定することにより評価できる;良好な流量特性を示すためには通常、Carr指数が25未満となる。
あるいは、流量特性は、流量関数係数(flow function coefficient)(ffc)を粉末レオメータの剪断セルモジュールで測定することによって評価することができる。
ffc値により、粉末は硬化、(ffc≦1)、大きく凝集(ffc 1~2)、凝集(ffc 2~4)、容易に流れる(ffc 4~10)、及び自由に流れる(ffc≧10)に分類できる。
10を上回る値をとると、通常、自由に流れる粉末であり、良好な流動特性を示すと考えられる。
「良好な均一性」という表現は、混合すると、相対標準偏差(RSD)で表される活性成分の含量均一性(content uniformity)が5%未満である製剤を意味する。
「使用前に装置内で物理的に安定である」という表現は、使用前に乾燥粉末の製造中及びデリバリー装置内の両方において、活性粒子が担体粒子の表面から実質的に分離及び/又は剥離しない製剤を意味する。
「呼吸性画分」という表現は、患者の深部肺に到達するであろう活性成分粒子のパーセンテージの指標を意味する。
微粒子画分(FPF)とも呼ばれる呼吸性画分は、一般的に、適切なin vitro装置、典型的には、多段階カスケードインパクター(Multistage Cascade Impactor)又は多段階液体インピンジャー(Multi Stage Liquid Impinger)(MLSI)、高速スクリーニングインパクター(Fast Screening Impactor)(FSI)又は次世代インパクター(Next Generation Impactor)(NGI)を用いて、共通の薬局方で報告されている手順に従って、評価される。これは、呼吸可能線量と照射(放出)線量との比によって計算される。
照射線量は装置段階での薬剤の累積沈着から計算されるが、呼吸可能線量(微粒子線量)は直径<5.0ミクロンを有する粒子に相当する段階での沈着から計算される。
当業者は、一般薬局方に報告されているガイドラインに従って、吸気流量などの他のパラメータを調整しなければならない。
30%を超える呼吸性画分は、良好な吸入性能の指標である。
「治療量(therapeutically amount)」という用語は、本明細書に記載される乾燥粉末製剤を介して肺に送達されたときに所望の生物学的効果を提供する活性成分の量を意味する。
「単回投与(Single dose)」とは、吸入器の作動に際して、一度に吸入により投与される活性成分の量を意味する。
「作動(actuation)」とは、単一の作動(single activation)(例えば、機械的又は呼気)によるデバイスからの活性成分の放出を意味する。
「かなり高い単一の治療有効量」という定義は、公称線量が800マイクログラム(μg)と等しいかそれ以上であることを意味する。
「高剪断ミキサ」という用語は、回転子又はインペラが固定子として知られる静止成分とともに、混合される粉末を含む槽のいずれかに使用され、剪断を作り出すミキサを意味する。
「マンニトール」という用語は、マンニトールの3つの多形性形態:α、β及びδを意味する。β型は20℃以上の熱力学的安定型である。
δ型はマンニトールの最も低い融解型である。δ型は熱力学的に不安定で、より熱力学的に安定なβ型に自発的に変換する。δからβへの多形性転移は、たとえば水分によって引き起こされる。
噴霧凝固装置の概略図である。 マンニトール粒子のSEM写真である。 6か月間にわたる噴霧凝固マンニトールのWAXSパターン(安定性試験)である。 噴霧凝固マンニトールの調製後及びコンディショニング後のWAXSパターンである。 噴霧凝固マンニトールの調製後及びコンディショニング後のWAXSパターンである(拡大図)。 光学顕微鏡写真である。
発明の詳細な説明
本発明は、吸入用の乾燥粉末製剤のための担体として使用されるマンニトールで作られた噴霧凝固粒子に向けられている。
噴霧凝固は、噴霧冷却としても知られ、溶融物を明確な球状粒子に変換する無溶剤方法である。
噴霧-凝固装置の代表的な模式図を図1に報告する:
融解試料は、加熱された液体容器(1)から、加熱されたノズル(2)に供給され、試料は凝固チャンバー(3)に噴霧される。
加熱されたノズルと加熱された容器は、圧縮ガス供給ライン(4)及び(5)に接続されている。
空気は、熱交換器(7)とチラーユニット(8)に接続された入口HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルター(6)を介して凝固チャンバー(3)の上部に送られる。
チャンバ(3)からの空気は、出口HEPAフィルタ(9)及びファン(10)を介して排気出口(11)に排出される。
乾燥粒子は、ガス供給ライン(13)及び(14)から供給される圧縮ガスが供給される出口導管(12)を介して、凝固チャンバー(3)の底部から回収される。
同じ原理で働く他の類似した装置を用いることも可能である。
マンニトールは、ラクトースのような他の糖とは反対に、融解中に分解が起こらないという事実を考慮して利用される。
全ての粒子は、質量又は容積直径で表される粒子サイズが、10~300マイクロメーター、望ましくは20~280マイクロメーター、更に望ましくは30~250マイクロメーターの範囲にあるべきである。
本発明の好ましい実施態様において、容積直径として表される場合、担体粒子の粒子径分布は、以下のパラメータを満たす:
d(v,0.1)が25~45ミクロンの間に含まれ、d(v,0.5)が70~110ミクロンの間に含まれ、及びd(v,0.9)が150~220ミクロンの間に含まれる。
前記担体粒子の粒子径分布の幅は、スパン(span)で表すと、有利には1.3~2.2、好ましくは1.6~2.0の間に含まれ得る。
Chew et al J Pharm Pharmaceut Sci 2002, 5, 162-168によれば、前記スパンはd(v,0.9)-d(v,0.1)/d(v,0.5)に相当する。
形状因子は、本発明の担体粒子の形状を特徴付けるために使用される。
したがって、本発明の担体粒子は、0.80~1.00の間、好ましくは0.90~1.00の間、より好ましくは0.95~1.00の間に含まれる形状因子によって特徴付けられる。
形状因子は、Kumar S et al Curr Appl. Phys. Influence of metal powder shape on drag coefficient in a spray jet, 2009, 9, 678-682に報告されている以下の方程式により決定される。
SF=1/RN
ここで、RNは粒子の真円度を示し、次の式を適用して算出される。
RN=p/4πA
ここで、p及びAは、それぞれ、走査型電子顕微鏡(SEM)画像から測定された10個の球状粒子の平均周囲及び面積の値である。
あるいは、平均周囲及び面積は、光学顕微鏡によって測定されてもよい。
Kumar S et alでは、円の形状因子(SF)が1.00であることを報告している。
また、1からの偏りは粒子の不規則性につながることが報告されているが、SF値が0.8を超える粒子は球形を有していると考えることができる。
典型的な実施形態において、生成された担体粒子は、Malvern Morphology G3 Ver 8.12 (Malvern Instruments Inc, Pennsylvania, USA)により測定された0.986の形状因子を示した。
走査型電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡を用いて、粒子の形状及びその表面形態などの本発明の粉末微粒子の特性を定性的に評価することもできる。
本発明の担体粒子は、例えば、FT4粉末レオメーター(Freeman Technology, Tewkesbury, United Kingdom)で測定できる改善された流動性を示す。したがって、本発明の担体粒子は、10を超える、典型的には14~16の間のffc値によって特徴付けられる。
本発明の担体粒子の特性、例えば、真密度、見掛密度及びタップ密度、ならびに比表面積を決定するために、いくつかの他の方法を使用してもよい。
本発明の粒子の真密度は、以下の手順に従って、ヘリウム比重測定法(比重計: AccuPyc II 1340、Micromeritics、Norcross、GA、USA)によって測定することができる:
19.5psiで20回のパージを行い、0.0050psi/minの平衡化速度で19.5psiで5回の分析を行う。粒子の体積が測定され、粒子密度の算出が可能となる。
典型的には、真密度は、1.3~1.6g/cm、好ましくは1.4~1.5g/cmの間に含まれる。
見掛け密度とタップ密度は、既知の方法に従って決定することができる。
例えば、10mLのシリンダーにサンプルを70~90%の体積になるように挿入する(シリンダー内の正確な重量と高さを記録する)。
見掛けの嵩密度(ABD)は、以下の式で求めた。
ABD=M/V0(単位:g/mL)
ここで,Mは試料の重量,V0はシリンダー内の試料の初期体積である。
典型的には、見掛けの嵩密度は、0.55~0.75g/ml、好ましくは0.6~0.7g/mlである。
10、40、50、100、300、250、500という段階的なタップ数を適用し、対応するタップ数の嵩体積を登録した。250回から500回までのタップ数で高さに変化がなければ、合計1250回のタップで分析を終了した。変化が観測された場合は、平衡に達するまで1250回のタップを追加する。
タップ嵩密度(TBD)は、以下の式を用いて測定した。
TBD=M/Vt(単位:g/mL)
ここで、Mはサンプルの重量、Vtはシリンダー内のサンプルの最終容量です。
典型的には、タップ嵩密度は0.7~0.9g/ml、好ましくは0.75~0.85g/mlの間に含まれる。
IBDとTBDから、以下の式を用いてCarr指数を算出することができる。
Carr指数=100×(TBD-IBD)/TBD(単位:%)
典型的には、値は25よりもはるかに低いことが判明し、本発明の担体粒子には良好な流動特性が付与されていることが示された。
比表面積は、既知の手順に従って、Brunauer-Emmett-Teller(BET)窒素吸着法によって決定することができる。
本発明の担体粒子の比表面積は、0.09~0.26m/g、好ましくは0.10~0.20m/gの間に含まれる。
驚くべきことに、本発明の担体粒子を含む医薬製剤は、微細な賦形剤粒子や微細な添加剤を使用しなくても、良好なエアロゾル性能を発揮することができる。さらに、高剪断ミキサーで短い混合時間(20分と同等かそれ以下)で混合を行う場合、前述の製剤は、有効成分の均一性が高く、例えば、吸入器の1回の噴射で800マイクログラムというような、かなりの高用量を投与することができる。
しかし、従来のミキサーを用いてより長い混合時間に粉末をさらすことにより、良好な均一性が達成できた。
前記最適特性は、担体粒子を調製するために使用される方法の結果である。
したがって、本発明は、本発明の担体粒子を調製する方法であって、以下のステップを含む方法に向けられる:
i)完全に融解するまでマンニトールを加熱するステップ、
ii)溶融マンニトールを圧力ノズル(2)により噴霧凝固チャンバー(3)に噴霧して液滴を得るステップ、
iii)液滴を冷却して凝固及び粒子形成を誘導するステップ、
iv)得られた粒子を分離するステップ、及び
v)粒子をコンディショニングステップに付すステップ。
マンニトールは市販されており、その結晶多形(α形、β形、δ形)のそれぞれ、及びそれらの混合物、ならびに非晶質及び/又は結晶形、及びそれらの混合物を使用することができる。
噴霧凝固装置は、例えばProCepT(Zelzate, ベルギー)から市販されている。
有利には、ステップi)で、マンニトールは、真空下で最低185℃、好ましくは190~200℃の温度に加熱される。
ステップii)では、適切なノズルとして、二流体ノズル(bi-fluid nozzle)を使用することができる。
あるいは、超音波噴霧器や回転式噴霧器のような他のタイプのノーズを有利に利用することができる。
また、ノズルの種類,内径,圧力,噴霧速度に関するパラメータは,バッチの大きさに応じて当業者が調整する。
典型的には、請求項に記載のような粒径を有する担体粒子を得るためには、二流体ノズルの内径は1.2mmであり、噴霧速度は18.3~21.5g/分の範囲に調節される。
ノズルエアは、0.44barの圧力に対応して5 l/minに調整される。
ステップ3)の液滴の冷却は、-10~-20℃以上の温度で噴霧中、周囲温度又は冷却空気を加えることにより達成できた。
いくつかの装置では、液滴を液体窒素中に注入することにより粒子の噴霧‐溶融凝固が達成できた。
ステップiv)では、粒子を、例えばサイクロン及び/又はフィルターバッグで、ガス流から分離する。
固化中に、マンニトールの準安定なδ型の形成が起こるため、ステップv)の粒子は、準安定型を安定なβ型に変換するためのコンディショニングステップに付される。
好ましくは、コンディショニングステップは、密閉されたチャンバー内の室温で粉末を90~97%の相対湿度、好ましくは93%に12~48時間、好ましくは24時間曝露することによって行われる。
所望の湿度環境は、硫酸カリウム又は硝酸カリウム、好ましくは硝酸カリウムの飽和塩溶液で得ることができる。
δ型からβ型への移行は、当業者に知られている手順に従って、DSCやWAXS分析によってモニターすることができる。
すべてのδ型がより安定な多型に変化すると、それ以上の変化は観察できない。
広角X線(WAXS)散乱法を用いて,粉末試料の結晶性と多形性形態を測定することができる。測定は,点集光カメラシステムS3-MICROカメラ(Bruker AXS GmbH, ドイツ)を用いて,室温で行う。試料は直径2mmのガラスキャピラリーに充填し,一定の回転(9rpm/min)で600秒間,30カウント/sで分析する。
試料を直径2mmのガラス毛細血管に充填し、30カウント/秒で600秒間一定回転(9rpm/分)下で分析する。
コンディショニング後のWAXSの結果は、約22°でのδ型の特徴的なブラッグピークの消失と、約23°でのβ型の最も顕著なブラッグピークの出現を明らかにすることができる。
この場合、選択したコンディショニング手順が、希望するδからβへの多形性転移を生じるのに成功したと結論できる。
別の方法として、固体状態判定に以下の設定の微分スキャニングカロリメータ(DSC 204F1 Phoenix(R)、Netzsch GmbH, Selb, ドイツ)を用いることができる。
-10~12mgの試料質量(n=3)
-蓋に穴の開いた密閉アルミニウム製パン
-純窒素を流量20mL/分でパージングガスとして用い、加熱速度10℃/分で25℃から200℃まで、加熱する。
マンニトール粒子は実質的に結晶形で存在する。
粒子の総重量に対する結晶粒子の重量%で表される結晶性の程度は90%よりも高く、好ましくは95%よりも高い。
結晶性及びその程度は、X線粉末回折、又は差分走査熱量測定(DSC)、広角X線散乱(WAXS)又は微小熱量測定のような当業者に知られている他の技術を用いて決定され得る。
コンディショニング後の担体粒子は室温で少なくとも6か月間は物理的に安定であり、安定した製剤を提供できることが判明した。
したがって、本発明はまた、1つ以上の活性成分との物理的混合物中に本発明の担体粒子を含む、吸入用の乾燥粉末の形態の医薬組成物に向けられる。
活性成分は、乾燥した粉末の状態で吸入して投与することが可能な薬学的に活性のある化合物であれば、実質的に何でもよい。
すなわち、活性物質が吸入可能である、すなわち、終末及び呼吸気管支、肺胞の管及び嚢のような深部肺に通すことができるためには、平均粒子径(質量平均直径として測定される)が最大で約10ミクロン、例えば1~10ミクロン、好ましくは1~6ミクロンでなければならない。
このような微粉化粒子は、それ自体公知の様式で、例えば、微粉化、選択された溶媒からの制御された沈殿、噴霧乾燥、超臨界流体によって、又はWO2004/073827、WO2008/155570、WO2008/114052及びWO2010/007447に記載された方法に従って得ることができる。
活性物質の治療量は、活性物質の性質、治療対象の状態の種類及び重症度、並びに治療を必要とする患者の状態に応じて、広い範囲内で変動し得る。
典型的には、活性物質粒子は、公知の手順に従って、好ましくは高剪断ミキサー中で混合することによって、本発明の担体粒子に添加される。
代表的な高剪断ミキサーは、P100及びP300(Diosna GmbH, ドイツ)、Roto Mix(IMA, イタリア)及びCyclomixTM(Hosokawa Micron Group Ltd, 日本)である。
特に、ミキサーの回転速度及び混合時間は、製剤中の有効成分の分布の良好な均一性を得るために当業者が調整すべきである。
典型的には、少なくとも5分の混合時間と100~500r.p.mの速度、好ましくは100~250r.p.mの速度で20分間の混合時間を適用すると、活性成分の分布の優れた均一性が、高剪断ミキサーにおいて達成される。
一例として、活性成分は、テルブタリン、レプロテロール、サルブタモール、サルメテロール、ホルモテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、オロダテロール、フェノテロール、クレンブテロール、バンブテロール、ブロキサテロール、エピネフリン、イソプレナリン又はヘキソプレナリン又はその塩及び/又は溶媒和物のような短時間作用型及び長時間作用型β2受容体拮抗薬;チオトロピウム、イプラトロピウム、オキシトロピウム、オキシブチニン、アクリジニウム、トロスピウム、グリコピロニウム、又はGSK 573719及びGSK 1160274のコードで知られる化合物、それらの塩及び/又は溶媒和物などの短時間作用型及び長時間作用型抗コリン剤;GSK 961081などの吸入用の二官能性ムスカリン性アンタゴニスト-β2アゴニスト(MABA)化合物;ONO-6818及びMK339などの好中球エラスターゼ阻害薬;VX-702、SB-681323及びGW-856553などのp38マップキナーゼ阻害薬;ブチキソカルト、ロフレポニド、フルニソリドブデソニド、シクレソニド、モメタゾン及びそのエステル、すなわちフロエート、フルチカゾン及びそのエステル、すなわちプロピオン酸及びフロエート、ベクロメタゾン及びそのエステル、すなわちプロピオン酸、ロテプレドノール又はトリアムシノロンアセトニド並びにその溶媒和物のような短時間作用型及び長時間作用型コルチコステロイド;アンドロラスト、イルラスカスト、プランルカスト、イミトロダスト、セラトロダスト、ジロートン、ザフィルルカスト、モンテルカストなどのロイコトリエン拮抗薬、フィラミナスト、ピクラミラスト、ロフルミラストなどのホスホジエステラーゼ阻害薬;アパファント、ロラパファント又はイスラパファントなどのPAF-阻害薬;鎮痛剤、モルヒネ、フェンタニル、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、ペチジン、チリジン、又はメサドンなどの鎮痛剤;シルデナフィル、アルプロスタジル又はフェントラミンなどの効力剤;又は前記化合物又は化合物のクラスのいずれかの薬学的に許容される誘導体もしくは塩;から選択されてもよい。
これらの化合物のいずれかがキラル中心を有する限り、化合物は光学的に純粋な形態で使用することができ、又はジアステレオマー混合物又はラセミ混合物として提供することができる。
乾燥粉末製剤はまた、活性成分として、シプロフロキサシン、レボフロキサシン及びコリスチン、トブラマイシン、アミカシン及びゲンタマイシンのような抗生物質;インシュリン及びα1-アンチトリプシンのような蛋白質;ザナミビル及びリバビリンのような抗ウイルス薬;イトラコナゾールのような抗真菌薬、及びシルデナフィル及びタダラフィルのようなホスホジエステラーゼ(PDE)-5阻害剤を含有していてもよい。
好ましくは、本発明の担体粒子、及び二官能性ムスカリン性アンタゴニスト-β2アゴニスト(MABA)化合物、好中球エラスターゼ阻害剤、p38マップキナーゼ阻害剤、短時間作用型及び長時間作用型コルチコステロイド、及びホスホジエステラーゼ阻害剤のクラスから選択される1つ以上の活性成分を含む吸入用の乾燥粉末製剤である。
粉末製剤中の活性成分の濃度は、吸入器の作動時に送達される製剤のショット重量に依存するであろう。
例えば、800マイクログラムの予想される単一用量を考慮すると、吸入器の作動時に送達される製剤のショット重量が10mgであれば、これは8%w/wの活性成分の濃度に相当するであろう。
同様に、ショット重量20mgの場合、活性成分の濃度は4%w/vであろう。
好ましい実施形態において、本発明の担体粒子を含む乾燥粉末製剤は、800マイクログラム~1mgの範囲の、吸入器の作動当たりの単回用量で送達される活性成分の投与に特に有用である。
良好なエアロゾル性能を達成することは必須ではないが、粉末製剤は、さらに、容積直径の中央値が20ミクロンよりも小さい、より有利には15ミクロンよりも低く、好ましくは10ミクロンよりも低い微細粒子の画分を含むことができる。
前記微粒子は、上記で定義した生理学的に許容される賦形剤で作られていてもよく、また、アミノ酸、例えば、ロイシンやイソロイシンなどの付着防止剤のクラスから、あるいはステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリルアルコール、ステアリン酸、モノパルミチン酸スクロースなどの潤滑剤のクラスから選択された添加物で作られていてもよい。
特定の実施形態では、微粒子は、生理学的に許容される賦形剤の粒子及び任意の比率の添加剤の粒子から構成されてもよく、それらは、WO01/78695の教示に従って調製される。
別の実施形態では、微粒子は、α-ラクトース一水和物の粒子の90~99.5重量%及びステアリン酸マグネシウムの0.5~10重量%の混合物から構成されてもよく、ここで、少なくとも90%の粒子は12ミクロンより低い容積直径を有し、前記粒子の容積中央径は4~6ミクロンに間に含まれる。
前記微粒子は、公知の方法に従って製剤に添加し、混合することができる。
本発明の担体粒子を含む吸入用乾燥粉末製剤は、任意の乾燥粉末吸入器で利用することができる。
乾燥粉末吸入器は、主に、i)活性化合物の単回分割投与のための単回投与(single-dose)(単位投与) (unit-dose)吸入器、ii)より長い治療サイクルに十分な量の活性原理をあらかじめ負荷した前計量複数回投与吸入器(pre-metered multi-dose inhalers) 又はリザーバー吸入器(reservoir inhalers)、に分けることができる。
乾燥粉末製剤は、単位投与量の形態で提供されてもよい。吸入による肺への局所的な送達のための乾燥粉末組成物は、例えば、吸入器又は気腹器で使用するために、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジ、又は例えばラミネートされたアルミニウム箔のブリスターで提供されてもよい。
本発明に係る吸入用の乾燥粉末製剤は、特に、リザーバーを含む多用量乾燥粉末吸入器に適しており、そこから、機器の作動を介して個々の治療用量を需要に応じて引き抜くことができる。
好ましい多用量機器は、WO2004/012801に記載されている吸入器であり、特に1頁の1行目から39頁の最終行までである。
使用されてもよい他の複数回投入機器は、例えば、GlaxoSmithKlineのELLIPTATM 又は DISKUSTM、AstraZenecaのTURBOHALERTM、ScheringのTWISTHALERTMTM及びInnovataのCLICKHALERTMTMである。
単回投与装置の市販例として、GlaxoSmithKlineのROTOHALERTM
とBoehringer IngelheimのHANDIHALERTMが挙げられる。
以下の実施例により詳細に発明を説明する。
実施例1 本発明のマンニトール担体粒子の調製
Mannitol Pearlitol 300DCをRoquette (フランス)から購入した。
ProCepT(ベルギー)から入手可能な噴霧凝固装置を用いた。
3つの異なる試料を調製した(60g、2x500g、4回の125g) (60 g, 2 x 500 g comprising of 4 times 125g)。
マンニトールを真空下200℃で完全に融解するまで加熱し、内径1.2mmの二流体ノズルから、-7℃~-10℃のチャンバー内の冷却空気(温度設定チラー-20℃)(temperature set point chiller -20°C)を吹き付けて固化チャンバーに入れた。得られた粒子(収率:約45%)をサイクロン中でガス流から分離した。
噴霧凝固中のδマンニトールの生成により、最終粒子の安定性が懸念された。
事実、δ型は2種類の安定な多型(αとβ)をもつマンニトールの準安定な多形態である。
選択した噴霧凝固バッチの1ヵ月間安定性試験の結果、WAXS後に検出されたδ型は経時的に安定なβ型又はα型に変換していることが示された(図3)。
しかし、δ型は、噴霧凝固後のコンディショニングステップ(密閉チャンバー内で硝酸カリウムの飽和塩溶液で設定した93%RHで24時間)により安定なβマンニトールにうまく変換できた(図4及び5)。
コンディション後の材料は6カ月まで安定している(図3)。
5 kVで作動する走査電子顕微鏡(SEM) (Zeiss Ultra 55, Zeiss,Oberkochen, ドイツ)を用いて粒子の形態を調べた。
分析前に試料をカーボンテープに載せ、金-パラジウムをスパッターした(図2)。
形状因子分析は以下のように行った。
噴霧凝固粉末の試料を段階的なスパチュラ(試料19mm)により単離し、アリコートをMorphology G3試料ホルダー(光学顕微鏡画像解析システム、Malvern Morphology G3 Ver. 8.12)に装填し、専用分散チャンバーを用いて制御圧(1bar)付き専用スライドガラス上に分散させた。
画像解析は、測定された少なくとも20000個の粒子を保証するために、選択された領域(半径25mmの円形領域)上の5×対物レンズを用いて行った。
測定パラメータは、形状分析のために個々の粒子を取得するように設定し、任意のサンプリング異常、すなわち、ソフトウェアフィルターによって複数の粒子を除去した。
丸み因子(RN)はRN=p2/4πAの式を用いて決定した。ここでpは前記周囲(the perimeter)、Aは面積である。
粒子形状因子(PSF)は、Morphologyソフトウェアにより、方程式1/RNを用いて計算した(この因子はMalvern Morphologyの用語ではHS Circularityと呼ばれる)。
粉末は光学顕微鏡とSEM写真で示されたように均一な球形形態を示した(図2及び6)。
~40000個の個々の粒子の画像解析により決定した粒子形状因子(PSF)は0.986の平均値を与え、粒子の球形形態を確認した。
物理的状態を、点集束カメラシステムS3‐MICROカメラ(Bruker AXS GmbH、ドイツ)を用いて、室温でWAXSにより調べた。
試料を直径2mmのガラス毛細血管に充填し、30カウント/秒で600秒間の一定回転(9rpm/分)下で分析した。
WAXS結果は、コンディショニング後の試料のピークパターンが、αとβの多形の混合物(δマンニトールからβマンニトールが生じる)、主にα(Burger at al., Journal of Pharmaceutical Science, 2000, Energy/temperature diagram and compression behavior of the polymorphs of D-mannitol)に該当することがわかった。
それらのミクロメリティクス(micromeritics)特性を以下の方法に従って報告した。
R1レンズ(Sympatec HELOS)を用いたレーザ回折により粒子サイズを決定した。
粉末の試料を、空気圧をそれぞれ0.5及び3bar(Sympatec RODOS)を用いて2つの測定条件で分散させ、温度及び湿度が制御された投与ユニット(Sympatec ASPIROS)から5m/sの速度でサンプリングした。
3回の測定からd[v,10]、d[v,50]、d[v,90]の平均値を算出した。
スパン(Span)は以下の式を用いて算出した:
スパン=[d(v,0.9)-d(v,0.1)]/d(v,0.5)
マンニトール粒子の比表面積をMicromeritics Tristar II 3020(Norcross, 米国)を用いて調べた。
全サンプルをMicromeritics VacPrep 061 degas unit (Norcross社、米国)を用いて、25℃で2日間減圧乾燥した。
測定は液体N(-196℃)の温度での窒素吸着及び脱離等温線を用いて行った。Brunauer、Emmett、and Teller (BET) (Emmett、1936)吸着理論を比表面積の計算に用いた。その際、吸着物の飽和圧に正規化した圧力範囲0.05~0.30を用いた。
粉末1.5gを使用した結果、BET相関係数が0.999以上となり、本法の適用性が示された。各測定は3回実施した。
真密度はヘリウム比重測定法(AccuPyc II 1340、AccuPyc II 1340, Micromeritics,米国)により測定した。
粉末試料は正確に重量を測定し、19.5psiで20ガスパージを用い、平衡率は0.005psi/minで、連続5回でその容積を測定した。
粒子密度は試料質量と容積の比として計算した。
ツリーバッチ(tree batches)の特徴を表1に報告する。
Figure 0007439084000001
実施例2-本発明の担体粒子の調製
3-シクロプロピルメトキシ-4-[(メタンスルホニル)-アミノ]-安息香酸の1-[(S)-1-[(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシ)フェニル]-2-[(3,5-ジクロロ-1-オキシ)-4-ピリジニル]エチルエステル化合物、以下、CHF6001として引用する、をWO2010/089107に開示された方法に従って調製した。
実施例1で報告したようにマンニトール粒子を調製した。
4%w/w薬剤を含むCHF6001製剤(サイズバッチ25g)を、100rpmまたは250rpmで20分間、高剪断ミキサー(Hosokawa Lab Cyclomix, 日本)中で混合して調製した。
調製した混合物の均一性は、混合手順の終了時に確認した。
各製剤について、粉末床の異なるスポットから10個の試料(各20~60mg)を採取した。
各試料を適切な溶媒(CHCN/水 60:40 v/v溶液)50mLに溶解し、HPLC-UVにより薬剤の定量を実施した。
均質性は、変動係数(10回の測定の標準偏差と平均値の比のパーセンテージとして計算)が5%未満であると仮定した。
アッセイ(Assay)は、理論的含量の表示量に対する%で示される。
その結果を表2に報告する。
Figure 0007439084000002
実施例3-in vitroの空気力学(Aerodynamic)性能
実施例3の粉末製剤は、WO2004/012801に記載され、NEXThaler(R)として知られている多用量乾燥粉末吸入器に装填した後のエアロゾル性能の点で特徴付けられた。
平均製剤ショット重量は粉末の密度に依存し、この製剤については20mg前後である。
試験製剤の公称強度(4%w/w薬物負荷)は800μg/20mg/ショットに相当する。
In vitroの空気力学的評価は、USP誘導ポート、予備分離器、7つの埋伏段階および最終的なマイクロオリフィス収集器を装備した次世代インパクター(NGI, Copley Scientific, 英国)を用いて実施した。
組立完了後、NGIを真空ポンプに接続し、インパクターを通る流量を質量流量計で測定した。
試料採取流量60mL/minで臨界流量(P/P比)≦0.5であった。
気密ゴム口を通して装置をインパクターに接続した後、Ph.Eur.8.0,2.9.18に従い、4Lの空気が装置を通して吸引されるよう、60L/分の流量で4秒間真空ポンプを作動させた。
インパクターの各ステージに沈着した薬剤CHF6001を、導入ポート(マウスピース-50mLを含む)、プレセパレータ(100mL)、および各ステージ(10mL)に分注した溶媒CHCN:HO(60:40 %v/v)を用いてNGIから回収した。すべての試料をHPLC-UVにより分析した。
空気力学的粒子径分布は、WO2004/012801に記載されている多用量装置であるNEXThaler(R)からの2作動に基づいており、特に1頁の1行目から39頁の最終行まで、それぞれ4リットルの空気(吸入時間4秒に相当)にサンプリングされた。
空力性能は計算により評価した:
-放出用量(ED):μgで表されたインパクタのすべての部分で回収された薬物の量の合計として得られ、公称用量に対するその割合を示す。
-微粒子質量(FPM):欧州薬局方(Ph.Eur.8.0, 2.9.18.)に従って内挿法で計算された、カットオフ直径が5μmより小さい薬剤の量であり、単位はμgである。
-EDに対するFPMの比率として計算され、パーセントで表される微粒子率(FPF)。
-空気力学的直径に対する空気中の粒子質量の分布の中央値として計算される平均質量空気力学直径(MMAD)。
エアロゾルの性能の結果は、表3に報告されている。
Figure 0007439084000003
認識できるように、すべての調製物で良好なエアロゾル性能が得られ、FPFは40%よりも有意に高かった。
放出線量のパーセンテージに関する優れた値が得られた。
CHF6001を、同じショットの公称用量(800g/20mg)のベクロメタゾンジプロピオン酸エステルに置き換えても、放出線量の割合について同様の結果が得られた。

Claims (11)

  1. 1つ以上の活性成分と物理的に混合されたマンニトールからなる噴霧凝固担体粒子を含む医薬組成物であって、
    前記医薬組成物は、吸入用乾燥粉末形態であり、
    前記医薬組成物は、1つ以上の活性成分が、使用中の吸入器の作動1回当たり800マイクログラム~1mgの範囲の単回用量で送達されるように処方され、
    前記粒子は、30~300マイクロメーターの範囲の質量直径を有し、
    前記粒子は0.80~1.15の間に含まれる形状係数を有し、
    前記粒子は、以下のステップを含む方法によって得ることができる、医薬組成物:
    i)完全に融解するまでマンニトールを加熱するステップ、
    ii)溶融マンニトールを圧力ノズルにより噴霧凝固チャンバーに噴霧して液滴を得るステップ、
    iii)液滴を冷却して凝固及び粒子形成を誘導するステップ、
    iv)得られた粒子を分離するステップ、及び
    v)粒子をコンディショニングステップに付すステップ。
  2. 前記粒子は、形状係数が0.90~1.10の間に含まれる、請求項1記載の医薬組成物
  3. 前記粒子は、形状係数が0.95~1.05の間に含まれる、請求項1又は2に記載の医薬組成物
  4. 前記粒子は、質量直径が30~280マイクロメーターの間に含まれる、請求項1~3のいずれか一項記載の医薬組成物
  5. 前記粒子は、質量直径が30~250マイクロメーターの間に含まれる、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物
  6. 前記粒子は、0.09~0.26m/gの間に含まれる比表面積を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物
  7. 前記粒子は、1.3~1.6g/cmの間に含まれる真密度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
  8. 前記コンディショニングステップは、密閉されたチャンバー内で粉末を、室温で、90~97%の相対湿度に12~48時間曝露することによって実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物を調製する方法であって、前記方法は、高剪断ミキサーにおいて、噴霧凝固粒子を、1つ以上の活性成分と混合するステップを含む、方法。
  10. 請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物を充填した乾燥粉末吸入器。
  11. 請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物及び乾燥粉末吸入器を含むパッケージ。
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