以下、本発明の一実施形態を説明する。
<屋根用下地部材>
まず、一実施形態に係る屋根用下地部材1を、図1~図3を参照して説明する。
屋根用下地部材1は、建物の屋根として機能する折板屋根材6の下地となって折板屋根材6を下方から支持する部材である。このため、屋根用下地部材1の上下方向Yは、建物の上下方向Y1により規定される。また、屋根用下地部材1の左右方向(一方向)Xは、建物の左右方向X1により規定される。建物の上下方向Y1及び左右方向X1は、互いに直交する。さらに、左右方向X1と直交し、建物の棟と軒との間で折板屋根材6が傾斜する方向を軒棟方向とする。
本明細書において、「直交する」とは、厳密に直交する態様だけでなく、実質的に直交(略直交)する態様も含む。
屋根用下地部材1は、図1のように、支持部材2と、複数の第1タイトフレーム3と、固定部21と、を備える。支持部材2は、一方向Xに沿って長尺のものである。複数の第1タイトフレーム3は、一方向Xに沿って支持部材2の天面22に固定される。複数の第1タイトフレーム3の各々は、凸部32と、一対の側片33と、少なくとも4つの貫通孔331と、を有する(図3参照)。凸部32は、天面22から上方に向かって凸となる。一対の側片33の各々は、凸部32の下端から一方向Xに沿って側方に突出する。貫通孔331は、上下方向Yに沿って、側片33を貫通する。複数の第1タイトフレーム3の各々は、屋根用下地部材1を上方から見た平面視において、少なくとも4つの貫通孔331のうち、少なくとも2つの貫通孔331が凸部32を間にして一方向Xと交差する位置で支持部材2にねじ留めされている。固定部21は、天面22にあり、かつ第1タイトフレーム3よりも後付けで第2タイトフレーム4を固定する部分である。固定部21は、支持部材2の両端のうち、一方の端部にある第1固定部21aと、他方の端部にある第2固定部21bとを有する。
このような屋根用下地部材1によれば、各第1タイトフレーム3を最低2つの貫通孔331の位置で支持部材2にねじ留めしても、この2つの貫通孔331が凸部32を間にして一方向Xと交差する位置にあることで、支持部材2に対する第1タイトフレーム3の固定強度を十分に確保できる。しかも、ねじ留めに利用されるねじ31の本数を必要最低限に減らすことで、屋根用下地部材1の作製に要するコストを削減できる。第1タイトフレーム3のねじ留めに利用される貫通孔331を少なくとも2つとすることで、仮に2つの貫通孔311のうち少なくとも一方でねじ31の打ち損じが生じても、残りの貫通孔331の位置でねじ留めできる。また、支持部材2が建物の梁となる前に第1タイトフレーム3が支持部材2に固定されているため、第1タイトフレーム3を設置する高所作業を軽減できる。
支持部材2は、一方向Xに沿って長尺で、かつ鋼等の金属製の部材であって、図1のように、複数の第1タイトフレーム3が一方向Xに沿って並んで天面22に千鳥状にねじ留めされた状態で、第1タイトフレーム3を支持する。天面22は、屋根用下地部材1の状態で、上下方向Yのうち上方に向く支持部材2の面である。
本明細書において「千鳥状」とは、複数の第1タイトフレーム3が支持部材2にねじ留めされた状態で、1つの第1タイトフレーム3に対して少なくとも2つのねじ31が凸部32を間にして一方向Xと交差する位置にある形状を意味する。
支持部材2の長さLは、支持部材2が梁となった状態で、支持部材2が互いに隣り合う部分の中央を通る中央線同士の間の距離が第1タイトフレーム3の長さL1の整数倍となるようにして、設定される。具体的には、中央線同士の間の距離は、梁働き長さであって、第1タイトフレーム3の長さL1の2以上の整数倍となる距離と1つの第2タイトフレーム4の長さL2との和である。このため、2以上の第1タイトフレーム3が支持部材2に固定されることとなり、第2タイトフレーム4を後付けで固定する部分(第1固定部21a及び第2固定部21b)を確実に確保することができる。第1タイトフレーム3と第2タイトフレーム4とが同じ構造である場合、梁働き長さは、第1タイトフレーム3の長さL1の3以上の整数倍である。
また、一方向Xに沿う、第1固定部21aの長さと、第2固定部21bの長さとは同じであることが好ましい(図2参照)。
本明細書において「同じ」とは、厳密に同じである態様だけでなく、実質的に同じ(略同じ)である態様も含む。支持部材2が互いに隣り合う部分の中央を通る中央線は、上下方向Yと平行である。
また、支持部材2の長さLは、第1タイトフレーム3の長さL1の2以上の整数倍となる距離と1つの第2タイトフレーム4の長さL2との和であってもよい。すなわち、支持部材2の長さLは、梁働き長さと同じであってもよい。この場合、一方向Xに沿う、第1固定部21a及び第2固定部21bの合計の長さは、第2タイトフレーム4の長さL2となり、第2タイトフレーム4を後付けで固定する部分(第1固定部21a及び第2固定部21b)を確実に確保することができる。しかも、支持部材2が梁となった状態で互いに隣り合う第1固定部21aと第2固定部21bとの間で段差が生じても、第2タイトフレーム4を固定する際に、この段差による不陸を調整する作業を軽減できる。梁働き長さと同じ長さLの支持部材2は、後述のように、一方の屋根用下地部材1と、他方の屋根用下地部材1とが継ぎ板により連結される態様に好適である。第1タイトフレーム3と第2タイトフレーム4とが同じ構造である場合、支持部材2の長さLは、第1タイトフレーム3の長さL1の3以上の整数倍であってもよい。
支持部材2は、例えば、軽量H形鋼である。この場合、工場等の低層作業において、支持部材2に後述の第1及び第2開口孔24、25を容易に形成できると共に、支持部材2に第1タイトフレーム3をねじ留め固定することができ、これにより、屋根用下地部材1の品質の安定と施工現場での安全性を確保しやすくなり、工期を短縮することができる。
屋根用下地部材1の作製は、第1タイトフレーム3を固定する前に、支持部材2の、第1タイトフレーム3が固定される部分に第1開口孔24が複数形成され、固定部21に第2開口孔25が複数形成される。
第1及び第2開口孔24、25は、上下方向Yに沿って、天面22に開口して支持部材2を貫通する孔である。
第1開口孔24は、1つの第1タイトフレーム3に対して4つ形成されている。これらの第1開口孔24は、貫通孔331に対応した位置にある。このため、第1開口孔24は、第1タイトフレーム3を支持部材2に配置する際に、第1開口孔24と貫通孔331を合せることで、第1タイトフレーム3を位置決めできる。そして、4つの第1開口孔24のうち、少なくとも2つの第1開口孔24に、後述のねじ31を螺合させることで、第1タイトフレーム3が支持部材2に固定される。このような態様において、1つの第1タイトフレーム3に対して、最低2つの第1開口孔24の位置でねじ留めできれば、全ての第1開口孔24の位置でねじ留めされていなくてもよい。このため、屋根用下地部材1は、ねじ留めされない第1開口孔24と貫通孔331とを有することができる。このように、第1タイトフレーム3が最低2つの位置でねじ留めされ、残りの位置でねじ留めされていなくても、第1タイトフレーム3を固定する際、ねじ留めされない位置において、第1開口孔24の周縁と貫通孔331の周縁とを合わせして第1タイトフレーム3を仮固定できるため、確実な位置決めができる。この位置決めにあたって、例えば、目視でねじ留めしない第1開口孔24の周縁と貫通孔331の周縁とを合わせしてからクランプ等で第1タイトフレームを支持部材2に仮固定できる。また、位置決めの他例では、任意の工具が有する軸部(例えば、しの)をねじ留めしない第1開口孔24と貫通孔331とに挿入することで第1開口孔24の周縁と貫通孔331の周縁とを合わせして第1タイトフレーム3を支持部材2に仮固定してもよい。
また、仮にねじ留めされる2つの位置のうち少なくとも一方でねじ31の打ち損じが生じても、位置決めに利用した残りの位置でねじ留めできるため、屋根用下地部材1を製造する際の歩留まりを高めることができる。
本明細書において、「ねじ留めしない」とは、設計上、第1タイトフレーム3のねじ留めに利用しないことを意味し、現場でねじ31の打ち損じが生じた場合には位置決めに利用した残りの位置でねじ留めすることを許容することを意味する。
第1開口孔24の数は、屋根用下地部材1の状態で、ねじ留めの位置(ねじ31の位置)よりも多い。言い換えると、ねじ留めの位置は、第1開口孔24の数よりも少ない(図2参照)。このため、第1タイトフレーム3が最低2つの位置でねじ留めされ、残りの位置でねじ留めされていなくても、第1タイトフレーム3を固定する際、ねじ留めされない位置にある、第1開口孔24の周縁と貫通孔331の周縁とを合わせると共に、ねじ留めされる位置で第1タイトフレーム3を仮固定できるため、確実な位置決めができる。これにより、屋根用下地部材1の品質が安定しやすくなる。
また、2つの第1開口孔24にねじ31を螺合させる場合、第1タイトフレーム3の両端部のうちの1つの端部に対し、1つの第1開口孔24にねじ31を螺合させる。すなわち、第1開口孔24に螺合した2つのねじ31の間に凸部32があり、この2つのねじ31は、一方向Xと交差する直線上にある。また、第2開口孔25は、第2タイトフレーム4を位置決めする孔でもあり、1つの第2タイトフレーム4に対して4つ形成されている。
支持部材2が軽量H形鋼である場合、第1及び第2開口孔24、25は、軽量H形鋼のうち、天面22を有するフランジを上下方向Yに沿って貫通する孔であり、このフランジにパンチング加工等の孔開け加工をすることで形成される。軽量H形鋼の、フランジの厚みは、例えば、3.2mm以上9.0mm以下であり、ウェブの厚みは、例えば、2.3mm以上6.0以下である。
本明細書において、「軽量」とは、長さが1mあたりの重さで、後述の大梁71よりも軽いことを意味する。軽量H形鋼の重さは、長さが1mあたり、例えば、10kg以上 50kg以下である。
また、支持部材2は、図1のように、横孔23を更に備える。横孔23は、第1固定部21aと、第2固定部21bとの各々の下方に複数(図1の例では、3つずつ)設けられており、後述の第1及び第2端T1、T2から離れた位置にある。横孔23は、例えば、軽量H形鋼のウェブを貫通する孔であり、パンチング加工等の孔開け加工をすることで形成される。
天面22は、固定部21を有する。このため、固定部21は、支持部材2の一部、具体的には天面22の一部である。また、固定部21は、天面22にあり、支持部材2が建物の梁となってから折板屋根材6が配置されるまでの間で、第1タイトフレーム3よりも後付けで第2タイトフレーム4を固定する部分である。
固定部21は、屋根用下地部材1を上下方向Yのうち上方から見た平面視(例えば、図2参照)において、第1タイトフレーム3と天面22とが重なる部分とは異なる位置にある。そして、固定部21は、複数の第1タイトフレーム3が並ぶ方向に沿って設けられている。また、固定部21には複数(例えば、4つ)の第2開口孔25が形成されているが、屋根用下地部材1の状態では、屋根用下地部材1の施工前に、第1タイトフレーム3が支持部材2に固定されていて、固定部21に第2タイトフレームが固定されていない(図2参照)。
固定部21は、第1固定部21aと、第2固定部21bとを有する。
第1固定部21aは、一方向Xにおいて、支持部材2の両端のうち、一方の端部にある。すなわち、支持部材2の両端のうち、一方の端に第1端T1があり、第1端T1と、第1端T1から一方向Xに沿って天面22の中央に向かって所定の間隔で離れた部分との間に第1固定部21aが介在する。
第1固定部21aは、支持部材2が梁となった状態で、第2タイトフレーム4を固定する部分であり、例えば2つの第2開口孔25を有する。これら第2開口孔25は、第2タイトフレーム4の配置時に、第2タイトフレーム4を位置決めする孔にもなる。
第2固定部21bは、一方向Xにおいて、支持部材2の両端のうち、他方の端部にある。すなわち、支持部材2の両端のうち、他方の端に第2端T2があり、第2端T2と、第2端T2から一方向Xに沿って天面22の中央に向かって所定の間隔で離れた部分との間に第2固定部21bが介在する。
第2固定部21bは、支持部材2が梁となった状態で、第2タイトフレーム4を固定する部分であり、例えば2つの第2開口孔25を有する。これらの第2開口孔25は、後述の貫通孔431に対応した位置にある。このため、第2開口孔25は、第2タイトフレーム4の配置時に、第2タイトフレーム4を位置決めする孔にもなる。
第1固定部21a及び第2固定部21bの各々に複数(図2の例では、2つずつ)の第2開口孔25が設けられている。また、第1固定部21aと第2固定部21bとの間で複数の第1開口孔24が一方向Xに沿って間隔をあけて設けられている。そして、第1固定部21aと第2固定部21bとの間で複数の第1タイトフレーム3が一方向に沿って支持部材2に千鳥状にねじ留めされている。第1タイトフレーム3を固定する際、ねじ31の軸を貫通孔331に通してから第1開口孔24に螺合させることで、第1タイトフレーム3は支持部材2にねじ留めされる。
本実施形態では、ねじ31の代わりに溶接加工で、第1タイトフレーム3を支持部材2に固定してもよいが、ねじ留めを採用することで、溶接加工よりも、第1タイトフレーム3と支持部材2との固定強度の精度が安定しやすくなる。具体的には、ねじ留めする際のトルク強度で第1タイトフレーム3と支持部材2との固定強度が管理されるため、この固定強度の精度が安定しやすくなる。これにより、屋根用下地部材1の品質が向上しやすくなると共に、屋根用下地部材1の作製期間を短縮することができる。そして、この作製期間を短縮することで、屋根用下地部材1を作製する際のコストを削減でき、しかも屋根用下地部材1の作製から折板屋根材6が配置されるまでの期間を短縮することができる。
また、支持部材2に複数の第1タイトフレーム3が固定された状態で、隣り合う第1タイトフレーム3同士は、本実施形態では、別体であるが、繋がっていてもよい。
第1タイトフレーム3は、矩形状(帯状)の鋼板などの金属板を折り曲げ加工して形成される部材であって、屋根用下地部材1の状態で、天面22から上方に向かって凸となる構造を有する(図1参照)。具体的には、第1タイトフレーム3は、凸部32と、一対の側片33と、貫通孔331とを備える(図3参照)。各第1タイトフレーム3において、貫通孔331の数は、例えば4つである。
凸部32は、天面22から上方に向かって凸となり、下方の部分ほど一方向Xに沿って広がる構造を有する部位である。凸部32は、複数の爪321を有することにより、係止部となって、折板屋根材6の配置後、折板屋根材6を係止めする。具体的には、凸部32は複数の爪321を有し、この爪321により折板屋根材6を係止めする。爪321は、下方へ傾斜すると共に、凸部32の脚部322から側方へ突出する(図3参照)。
側片33の各々は、凸部32の下端から一方向Xに沿って側方に突出する部位であって、第1タイトフレーム3が支持部材2に配置された状態で、天面22と平行となる。そして、側片33の貫通孔331は、第1タイトフレーム3が支持部材2に配置された状態で、第1開口孔24に対応する位置にある。貫通孔331は、上下方向Yに沿って側片33を貫通する孔である。また、一対の側片33は、第1タイトフレーム3の両端部を構成する。各側片33に貫通孔331が、例えば2つずつ形成されている。
本実施形態の一例では、屋根用下地部材1を上方から見た平面視において、各第1タイトフレーム3は、4つの貫通孔331のうち、2つの貫通孔331が凸部32を間にして一方向Xと交差する位置で支持部材2にねじ留めされている(図2参照)。この場合、2つの貫通孔331の位置で支持部材2にねじ留めしても、ねじ留めに利用される2つの貫通孔331が凸部32を間にして一方向Xと交差する位置にあることで、支持部材2に対する第1タイトフレーム3の固定強度を十分に確保できる。しかも、ねじ留めに利用されるねじ31の本数を1つの第1タイトフレーム3に対して2つにすることで、屋根用下地部材1の作製に要するコストを削減できる。
第1タイトフレーム3は、長さL1を有する。長さL1の方向は、一方向Xと平行な方向である。長さL1は、特に限定されないが、例えば、200mm以上600mm以下である。長さL1は、一対の側片33のうち、一方の側片33の先端と、他方の側片33の先端との間の距離である。
側片33の先端は、一方向Xに沿って凸部32とは反対側にある第1タイトフレーム3の端、すなわち、凸部32の下端と繋がっていない第1タイトフレーム3の端である。
ねじ31として、例えば、セルフタッピングネジ、ナットとボルトとを備える固定具、及びワンサイドボルト類が挙げられる。セルフタッピングネジは、第1開口孔24にねじ込むだけで、第1開口孔24の内面に雌ねじを転造しながら第1開口孔24と螺合する。このため、セルフタッピングネジと螺合させる前の第1開口孔24は、セルフタッピングネジの軸の直径よりも小さい。セルフタッピングネジとして、例えば、株式会社ロブテックスファスニングシステム製シュアツイストが挙げられる。また、ねじ31として利用可能な固定具のうち、ボルトは軸と頭部とを有し、ナットはボルトの軸と螺合する。
<屋根下地構造>
次に、本実施形態に係る屋根下地構造10を、図4を参照して説明する。屋根下地構造10の作製時に屋根用下地部材1が用いられる。このため、屋根下地構造10は、屋根用下地部材1の具体的な説明を参照できる。
屋根下地構造10は、図4のように、複数の屋根用下地部材1aと、第2タイトフレーム4とを備える。
複数の屋根用下地部材1aは、建物の屋根として機能する折板屋根材6の下地となる部材であって、複数の屋根用下地部材1を有する。この屋根用下地部材1の支持部材2は、屋根下地構造10において、建物の梁となる。すなわち、複数の屋根用下地部材1が軒棟方向に沿って並ぶことで、各支持部材2は建物の梁となる。このため、屋根用下地部材1は、梁用屋根下地部材ともいう。また、屋根用下地部材1は、後述の屋根用下地部材1bよりも軒側にある。
複数の屋根用下地部材1のうち、建物の左右方向X1において、一方の屋根用下地部材1と、他方の屋根用下地部材1とが離間して隣り合う。そして、屋根用下地部材1同士が隣り合う部分を第2タイトフレーム4が跨っている。第2タイトフレーム4は、凸部42と、一対の側片43と、複数(例えば、4つ)の貫通孔431と、を有する(図3参照)。凸部42は、天面22から上方に向かって凸となる。一対の側片43の各々は、凸部42の下端から一方向Xに沿って側方に突出する。貫通孔431は、上下方向Yに沿って、側片43を貫通する。第2タイトフレーム4の両端部は、それぞれ、一方の屋根用下地部材1の第1固定部21aと、他方の屋根用下地部材1の第2固定部21bとにねじ留めされている。第2タイトフレーム4は、屋根用下地部材1を上方から見た平面視において、例えば、4つの貫通孔431のうち、2つの貫通孔431が凸部42を間にした位置で支持部材2にねじ留めされている。
このような屋根下地構造10によれば、第2タイトフレーム4を最低2つの貫通孔431の位置で支持部材2にねじ留めしても、ねじ留めに利用される2つの貫通孔431が凸部42を間にして交差した位置にあることで、支持部材2に対する第2タイトフレーム4の固定強度を十分に確保できる。また、隣り合う屋根用下地部材1の間に段差が生じても、この段差を跨って第2タイトフレーム4がねじ留めされるため、段差による不陸を調整する作業を軽減できる。第2タイトフレーム4は、貫通孔431の全ての位置でねじ留めされてもよい。
屋根下地構造10において、左右方向X1に隣り合う一対の屋根用下地部材1に対して1つの第2タイトフレーム4が、複数の第1タイトフレーム3が並ぶ方向に沿って固定される。また、屋根用下地部材1同士が隣り合う部分は、下方にある柱72により支持されている。
本実施形態の一例では、複数の屋根用下地部材1のうち、建物の左右方向X1に隣り合う、一方の屋根用下地部材1と、他方の屋根用下地部材1とが継ぎ板により連結されていてもよい。この継ぎ板は、第1固定部21a及び第2固定部21bの下方にある。そして、継ぎ板と、一方の屋根用下地部材1の支持部材2と、他方の屋根用下地部材1の支持部材2とが、横孔23の位置で固定具73により固定される。左右方向X1に隣り合う支持部材2同士が、下方から柱72により支持される。継ぎ板は、板状の部材であり、複数の貫通孔を有する。この貫通孔は、継ぎ板を貫通するものであり、支持部材2が梁となった状態で、一方の屋根用下地部材1が有する横孔23と、他方の屋根用下地部材1が有する横孔23とに対応する位置にある。
本実施形態の他例では、複数の屋根用下地部材1のうち、建物の左右方向X1に隣り合う、一方の屋根用下地部材1と、他方の屋根用下地部材1とが離間していてもよい。すなわち、一方の屋根用下地部材1の第1固定部21a、及び他方の屋根用下地部材1の第2固定部21bが離間していてもよい。この場合、天面22よりも低い位置で、一方の屋根用下地部材1と、他方の屋根用下地部材1とが、大梁71に連結されている。
大梁71は、支持部材2の長さ方向と直交するようにして配置され、下方にある柱72により支持されている。大梁71に、一対の羽部74が設けられている。羽部74はスチフナーとも呼ばれる。
羽部74は、鋼板などの金属板を切断加工して形成される部位であって、羽部74の少なくとも一部は、左右方向X1において、大梁71の左右両端よりも側方にある。そして、羽部74のうち、左右方向X1において大梁71側にある部分は溶接加工等により大梁71と繋がっている。
また羽部74のうち、大梁71の左右両端よりも側方にある部分と、支持部材2とが横孔23の位置で固定具73により固定される。大梁71として、例えば、H形鋼が挙げられる。このH形鋼は、長さが1mあたりの重さで、軽量H形鋼よりも重く、フランジの厚みは、例えば、9mm以上40mm以下であり、ウェブの厚みは、例えば、6mm以上19mm以下である。また、H形鋼の重さは、長さが1mあたり、例えば、25kg以上380kg以下である。
大梁71がH形鋼である場合、羽部74のうち、H形鋼の両フランジの間に介在する部分は、溶接加工等により、両フランジ及びウェブと繋がっている。
大梁71の上方で、かつ左右方向X1に隣り合う、一方の屋根用下地部材1の第1固定部21aと、他方の屋根用下地部材1の第2固定部21bとの間に、隙間Gが介在している。この隙間Gを跨ぐようにして第2タイトフレーム4が配置され、第2タイトフレーム4の両端部は、それぞれ、一方の屋根用下地部材1の第1固定部21aと、他方の屋根用下地部材1の第2固定部21bとに固定される。この場合、複数繋がった第2タイトフレーム4を配置するのではなく、左右方向X1に隣り合う、一対の屋根用下地部材1(一対の支持部材2)に対して1つの第2タイトフレーム4が配置される。
第1固定部21aと第2固定部21bとの間に隙間Gが介在している場合、支持部材2の長さLは、第1タイトフレーム3の長さL1の2以上の整数倍となる距離と1つの第2タイトフレーム4の長さL2との和(梁働き長さ)から、左右方向X1における1か所の隙間Gの幅を引いた長さである。この場合、第2タイトフレーム4を設置する際に第2タイトフレーム4の固定に利用される第1固定部21aと第2固定部21bとを確実に確保することができる。しかも、第2タイトフレーム4は隙間Gを跨ぐため、この隙間Gによる不陸を調整する作業を軽減できる。第1タイトフレーム3と第2タイトフレーム4とが同じ構造を有する場合、梁働き長さは、第1タイトフレーム3の長さL1の3以上の整数倍である。
第2タイトフレーム4を固定する際、ねじ41の軸を貫通孔431に通してから第2開口孔25に螺合させることで、第2タイトフレーム4は支持部材2にねじ留めされる。このため、第2タイトフレーム4と支持部材2との固定強度の精度が安定しやすくなる。具体的には、ねじ留めする際のトルク強度で第2タイトフレーム4と支持部材2との固定強度が管理されるため、この固定強度の精度が安定しやすくなる。これにより、屋根下地構造10の品質が向上しやすくなると共に、屋根下地構造10の作製期間を短縮することができる。
第2開口孔25は、上記の通り、固定部21に4つ形成されている。4つの第2開口孔25のうち、少なくとも2つの第2開口孔25に、ねじ41を螺合させることで、第2タイトフレーム4が支持部材2に固定される。2つの第2開口孔25にねじ41を螺合させる場合、第2タイトフレーム4の両端部のうちの1つの端部に対し、1つの第2開口孔25にねじ41を螺合させる。すなわち、第2開口孔25に螺合した2つのねじ41の間に後述の凸部42がある。
また、隙間Gを跨ぐようにして第2タイトフレーム4が固定されることで、大梁71を介して左右方向X1に隣り合う固定部21同士を掛け渡す部材等を更に設けて隙間Gによる段差を小さくする不陸調整をしなくてもよくなる。すなわち、屋根下地構造10は、大梁71を介して左右方向X1に隣り合う固定部21同士を掛け渡す部材等を備えない。固定部21同士を掛け渡す部材として、例えば、C型チャンネル、帯状の鋼板が挙げられる。
隙間Gは、第2タイトフレーム4が配置されて屋根下地構造10となった状態で、一方の屋根用下地部材1と、他方の他方の屋根用下地部材1と、大梁71の上端と、第2タイトフレーム4とで囲まれた空間である。
第2タイトフレーム4は、矩形状(帯状)の鋼板などの金属板を折り曲げ加工して形成される部材であって、支持部材2が建物の梁となった状態で、天面22から上方に向かって凸となる構造を有する(図4参照)。具体的には、第2タイトフレーム4は、凸部42と、一対の側片43とを備える(図3参照)。
凸部42は、天面22から上方に向かって凸となり、下方の部分ほど一方向Xに沿って広がる構造を有する部位である。凸部42は、複数の爪421を有することにより、係止部となって、折板屋根材6の配置後、折板屋根材6を係止めする。具体的には、凸部42は複数の爪421を有し、この爪421により折板屋根材6を係止めする。爪421は、下方へ傾斜すると共に、凸部42の脚部422から側方へ突出する。
側片43の各々は、凸部42の下端から一方向Xに沿って側方に突出する部位であって、第2タイトフレーム4が支持部材2に配置された状態で、天面22と平行となる。そして、側片43の貫通孔431は、第2タイトフレーム4が支持部材2に配置された状態で、第2開口孔25に対応する位置にある。貫通孔431は、上下方向Y1に沿て側片43を貫通する孔である。また、一対の側片43は、第2タイトフレーム4の両端部を構成する。
第2タイトフレーム4は、長さL2を有する。長さL2の方向は、一方向Xと平行な方向である。長さL2は、特に限定されないが、例えば、200mm以上600mm以下である。
長さL2は、一対の側片43のうち、一方の側片43の先端と、他方の側片43の先端との間の距離である。側片43の先端は、一方向Xに沿って凸部42とは反対側にある第2タイトフレーム4の端、すなわち、凸部42の下端と繋がっていない第2タイトフレーム4の端である。第2タイトフレーム4としては、第1タイトフレーム3と同じものを用いることができる。
また、ねじ41として、例えば、セルフタッピングネジ、ナットとボルトとを備える固定具、及びワンサイドボルト類が挙げられる。セルフタッピングネジは、第2開口孔25にねじ込むだけで、第2開口孔25の内面に雌ねじを転造しながら第2開口孔25と螺合する。このため、セルフタッピングネジと螺合させる前の第2開口孔25は、セルフタッピングネジの軸の直径よりも小さい。セルフタッピングネジとして、例えば、株式会社ロブテックスファスニングシステム製シュアツイストが挙げられる。また、ねじ41として利用可能な固定具のうち、ボルトは軸と頭部とを有し、ナットはボルトの軸と螺合する。本実施形態において、ねじ41としては、ねじ31と同じものを用いることができる。
固定具73としては、特に限定されないが、ナットとボルトとを備える固定具、及びリベットが挙げられる。この固定具のうち、ボルトは軸と頭部とを有し、ナットはボルトの軸と螺合する。
柱72は、建物の上下方向Y1に沿って長尺の部材であって、上端で大梁71を支え、下端が土台等に固定される。柱72として、例えば、角形鋼管が挙げられる。
建物の梁となった支持部材2に固定された第1タイトフレーム3及び第2タイトフレーム4の上に折板屋根材6を左右方向X1に沿って複数配置して固定することで、屋根構造が形成される(図5参照)。折板屋根材6が建物の屋根となった状態で、折板屋根材6は、凸部32、42によって係止めされる。
折板屋根材6は、屋根下地構造10の上に配置された状態で、山部が凸部32、42によって係止めされる構造を有する。そして、屋根構造の上端において、左右方向X1に隣り合う折板屋根材6同士の端部を重ねてからハゼ締めすることで、この折板屋根材6同士が結合される。
屋根下地構造10に配置させる前の折板屋根材6は、矩形状(帯状)の鋼板などの金属板を折り曲げ加工して形成される。折板屋根材6の一例はハゼ式折板屋根材である。
また、屋根用下地部材1aは、屋根用下地部材1以外の屋根用下地部材1bを更に有することができる(図6参照)。この屋根用下地部材1bは、図7のように建物の棟部分で折板屋根材6の下地となる部材である。このため、屋根用下地部材1bは、棟用屋根下地部材である。以下、屋根用下地部材1bを棟用屋根下地部材1bとして説明する。棟用屋根下地部材1bの下記説明において、屋根用下地部材1と共通する構成は、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
棟用屋根下地部材1bは、図6のように、支持部材2と、受け金物81と、複数の第3タイトフレーム8とを備える。
受け金物81は支持部材2の天面22に固定されている。また、複数の第3タイトフレーム8は桁行方向に沿って2列に並んで受け金物81の天面に固定されている。第3タイトフレーム8が固定される位置は、受け金物81の幅方向の両端部にある。
支持部材2は、建物の軒方向に沿って設けられている。このような支持部材2は、柱72に突付けて接続されている(図6参照)。また、屋根下地構造10のうち、柱72がない部分では、支持部材2を大梁71に接続してもよい。支持部材2の接続方法として、溶接等が挙げられる。
受け金物81は、鋼板等の金属板からなり、平面形状が矩形状である板状の金物であり、第3タイトフレーム8を天面で受ける。受け金物81は幅を有する。受け金物81の幅方向は、桁行方向と直交し、支持部材2のフランジの幅方向と平行である。このような受け金物81の幅は、図6のように支持部材2のフランジの幅よりも大きい。受け金物81の幅方向の両端部は、受け金物81の幅方向における両端と、支持部材2の幅方向におけるフランジの両端との間にある部分である。また、受け金物81を固定する際、受け金物81の幅を二等分する中央が支持部材2のウェブの上にある状態で、受け金物81を支持部材2の天面22に溶接固定する。受け金物81を支持部材2の天面22にねじ留めしてもよい。
第3タイトフレーム8は、矩形状(帯状)の鋼板などの金属板を折り曲げ加工して形成される部材であって、棟用屋根下地部材1bの状態で、受け金物81の天面から上方に向かって凸となる構造を有する。このような第3タイトフレーム8として、例えば、第1タイトフレーム3と同様のものを用いることができる。また、第3タイトフレーム8を固定する際、第1タイトフレーム3と同様にして第3タイトフレーム8を受け金物81の天面にねじ留めすることができる。
<屋根構造>
次に、本実施形態に係る屋根構造100を、図5及び図7を参照して説明する。
本実施形態に係る屋根構造100は、図5のように、屋根下地構造10と、複数の折板屋根材6とを備える。また、屋根構造100は、建物の棟部分において、図7のように、止水面戸61と、棟包み62と、エプロン面戸63と、複数の棟用金具64とを更に備える。
このような屋根構造100において、屋根下地構造10は折板屋根材6の下地となる構造である。また、屋根構造100の棟部分では、桁行方向と直交する方向で隣り合う折板屋根材6同士が離間している(図7参照)。
止水面戸61は、鋼板などの金属板を折り曲げ加工して形成される部材であって、折板屋根材6の棟側端部に取り付けられ、雨水等による水の流れを止水する。止水面戸61は、折板屋根材6の一部である谷部の断面形状と同様の平面形状を有する。
また、止水面戸61は、前記平面形状の周縁から棟側に突出した突出片を有することができる。止水面戸61を折板屋根材6に取り付ける際、突出片を谷部の棟側端部にねじ留め等で取り付けると共に、屋根構造100の軒側から止水面戸61と谷部との境界部分にシーリング材を充填してシーリングをしてもよい。
棟包み62は、鋼板などの金属板を折り曲げ加工して形成される部材であって、屋根構造100の棟を包み、屋根構造100の桁行方向に沿って設けられている。このような棟包み62は、折板屋根材6の上端に設けられた棟用金具64にねじ留め等により取り付けられており、棟包み62の屋内側に、桁行方向と直交する方向で隣り合う折板屋根材6同士が離間している部分と、止水面戸61と、折板屋根材6と、棟用屋根下地部材1bと、棟用金具64と、エプロン面戸63とがある(図7参照)。
エプロン面戸63は、鋼板などの金属板を折り曲げ加工して形成される部材であって、、棟包み62の軒側端部からエプロン状に屋内側に垂れ下がるようにして、折板屋根材6の谷部に設けられる。エプロン面戸63は、折板屋根材6の谷部の断面形状と同様の平面形状を有し、止水面戸61よりも軒側にある。エプロン面戸63を設ける際、折板屋根材6の谷部にエプロン面戸63を設置し、エプロン面戸63の上端と棟包み62の軒側端部とを接続する。そして、エプロン面戸63と棟包み62との接続部分を耐水リベット等で固定する。
棟用金具64は、鋼板などの金属板を折り曲げ加工して形成される金具であって、棟包み62と折板屋根材6との間にあり、かつ桁行方向に沿って隣り合う折板屋根材6同士が接続する部分に取り付けられる。このような棟用金具64は、棟包み62と折板屋根材6とを連結して、棟包み62を強固に固定する。折板屋根材6がハゼ式折板屋根材である場合、桁行方向に沿って隣り合う折板屋根材6同士がハゼ締めされて結合する部分に取り付けられる。
<屋根用下地部材の輸送構造>
次に、本実施形態に係る屋根用下地部材1の輸送構造11(以下、単に輸送構造11という場合がある)を、図8~図11を参照して説明する。輸送構造11は、屋根用下地部材1を輸送する際に利用できる構造である。このため、輸送構造11は、屋根用下地部材1の具体的な説明を参照できる。
輸送構造11は、図8のように、屋根用下地部材1と、一対の保持治具5とを備える。この保持治具5は、支持部材2の下端が保持治具5の下端よりも上方にある状態で、一方向Xにおいて支持部材2の両側端部を保持する。このため、輸送時等で、支持部材2の下端は接地しないため破損しにくくなり、しかも支持部材2にロープ等を掛け回しやすくなるため、輸送構造11を有する輸送物の荷上げ、荷下ろしが容易になる。保持治具5は、天面22の下方にある。
輸送構造11では、図9A及び図10のように、一対の保持治具5の間に、複数の屋根用下地部材1を平行にして配置している。このため、一度に複数の屋根用下地部材1を輸送できるため、良好な輸送効率が得られやすい。
また、保持治具5により保持される支持部材2の両側端部は、第1固定部21aの下方に位置する部分と、第2固定部21bの下方に位置する部分とにより構成される。支持部材2が軽量H形鋼である場合、この両側端部は、ウェブのうち、第1固定部21aの下方に位置する部分と、第2固定部21bの下方に位置する部分とにより構成される。
保持治具5は、支持部材52と、連結部材51aと、固定片51bとを備える。
支持部材52は、複数の屋根用下地部材1が隣り合う方向に沿って長尺の部材であって(図9A、図10参照)、連結部材51aの下端を支持し、支持部材2の下端が保持治具5の下端よりも上方にある状態にする。支持部材52としては、例えば、H形鋼が挙げられる。この場合、支持部材52は輸送時等で破損しにくくなる。支持部材52としては、大梁71と同じH形鋼を用いることができる。支持部材52の長さL3は、特に限定されないが、例えば、2040mmである。
本実施形態では、支持部材2の下端と保持治具5の下端との間の距離は、好ましくは、天面22と第1タイトフレーム3の上端との間の距離よりも大きい。この場合、図11のように、上下方向Yのうち上方に、輸送構造11を有する輸送物を複数積み重ねることができるため、輸送構造11の輸送効率を向上することができる。輸送構造11を有する輸送物を複数積み重ねる際、下段の屋根用下地部材1を保持する保持治具5の上端(具体的には、連結部材51aの上端)の上に、上段の屋根用下地部材1を保持する保持治具5の下端(具体的には、支持部材52の下端)を配置する。
連結部材51aは、複数の屋根用下地部材1が隣り合う方向に沿って長尺の部材であって(図9A、図10参照)、支持部材52と固定片51bとを連結する。連結部材51aの下端が支持部材52の上端に配置された状態で、連結部材51aと支持部材52とは複数(図9Aの例では、2つずつ)の固定具54により固定される。連結部材51aは、断面コ字状で、鋼等の金属からなる。連結部材51aとして、例えば、溝形鋼が挙げられる。複数の屋根用下地部材1が隣り合う方向は、一方向Xと直交し、上下方向Yとも直交する。
固定片51bは、支持部材2を固定する部位であって、連結部材51aと一体になっている。固定片51bと連結部材51aとは、例えば、溶接加工で繋がって一体となる。また、固定片51bは、一方向Xにおいて、連結部材51aから固定具54とは反対側に向かって凸となっており、支持部材2が保持治具5に固定された状態で、支持部材2の両側端部と重なっている。そして、固定片51bと支持部材2とが、横孔23の位置で固定具53により固定される。このため、横孔23は、屋根用下地部材1の輸送時だけでなく、屋根下地構造10にも用いられるため、施工現場で孔を設ける作業が減るため、施工現場での作業効率を高めることができる。また、固定片51bは、連結部材51aの長さ方向に沿って、複数設けられており、各屋根用下地部材1の固定位置を規定する(図9A)。
輸送構造11において、複数の屋根用下地部材1は、図10のように、間隔W2で等間隔に固定されている。間隔W2は、支持部材2のウェブを通る中央線同士の間の距離である。間隔W2は、特に限定されないが、例えば、400mmである。
また、複数の屋根用下地部材1のうち、長さL3方向の支持部材52の両端側にある屋根用下地部材1は、長さL3方向の支持部材52の端から間隔W1を空けて固定されている。間隔W1は、支持部材2のウェブを通る中央線と、長さL3方向の支持部材52の端との距離である。間隔W1は、特に限定されないが、例えば、220mmである。
複数の支持部材2が保持治具5に保持された状態の輸送物(輸送構造11)を、上記のようにして、上下に複数積み重ねる際、輸送物を上下方向Yのうち上方から見た平面視において、上段の屋根用下地部材1と、下段の屋根用下地部材1とが同じ位置に配置されていてもよく、上段の屋根用下地部材1と、下段の屋根用下地部材1とがずれた位置に配置されていてもよい。
上段の屋根用下地部材1と、下段の屋根用下地部材1とが同じ位置に配置配置されている場合、上段の支持部材2の下端は、下段の第1タイトフレーム3の上端よりも高い位置にあることが好ましい。また、上段の屋根用下地部材1と、下段の屋根用下地部材1とがずれた位置に配置されている場合、上段の支持部材2の下端は、下段の第1タイトフレーム3の上端よりも高い位置にあってもよく、低い位置にあってもよい。
固定具53としては、特に限定されないが、例えば、ボルトとナットとを備える固定具、及びねじが挙げられる。この固定具のうち、ボルトは軸と頭部とを有し、ナットはボルトの軸を螺合する。また、ねじは、横孔23にねじ込むだけで、横孔23の内面に雌ねじを転造しながら横孔23と螺合する。このため、ねじと螺合させる前の横孔23は、ねじの軸の直径よりも小さい。
固定具54としては、特に限定されないが、ナットとボルトとを備える固定具、ねじ、及びリベットが挙げられる。この固定具のうち、ボルトは軸と頭部とを有し、ナットはボルトの軸を螺合する。
<変形例>
上記実施形態では、支持部材2として軽量H形鋼を例示したが、支持部材2は、軽量の部材であれば、溝形鋼であってもよく、リップ付溝形鋼(C型チャンネル)であってもよい。
上記実施形態では、折板屋根材6としてハゼ式折板屋根材を例示したが、折板屋根材6は、重ね式折板屋根材であってもよく、嵌合式折板屋根材であってもよい。
上記実施形態では、第1及び第2タイトフレーム3、4としてハゼ式折板屋根材用タイトフレームを例示したが、第1及び第2タイトフレーム3、4は、重ね式折板屋根材用タイトフレームであってもよく、嵌合式折板屋根材用タイトフレームであってもよい。
上記実施形態では、複数の第1タイトフレーム3が千鳥状となって支持部材2に固定されているが、複数の第1タイトフレーム3のうちの一部の代わりに第2タイトフレーム4が固定されていてもよい。すなわち、天面22において、第1タイトフレーム3同士の間にも固定部21が設けられ、支持部材2が梁となった状態で、この固定部21にも第2タイトフレーム4を後付けで支持部材2に固定してもよい。
上記実施形態では、支持部材2は、1つの第1タイトフレーム3に対して4つの第1開口孔24を備えているが、支持部材2は1つの第1タイトフレーム3に対して5つ以上の第1開口孔24を備えてもよい。すなわち、支持部材2は1つの第1タイトフレーム3に対して少なくとも4つの第1開口孔24を備える。
上記実施形態では、第1固定部21a及び第2固定部21bの各々は、2つの第2開口孔25を有しているが、3つ以上の第2開口孔25を有してもよい。すなわち、第1固定部21a及び第2固定部21bの各々は、少なくとも2つの第2開口孔25を有する。
上記実施形態では、各第1タイトフレーム3は、4つの貫通孔331を有しているが、5つ以上の貫通孔331を有してもよい。すなわち、各第1タイトフレーム3は、少なくとも4つの貫通孔331を有する。
上記実施形態では、各第1タイトフレーム3は、2つの貫通孔331の位置で支持部材2にねじ留めされているが、3つ以上の貫通孔331の位置で支持部材2にねじ留めされてもよい。1つの第1タイトフレーム3に対して3つ目以降のねじ31は、打ち損じた場合の補助ねじとなる。この場合、仮に2つの貫通孔331のうち少なくとも一方でねじ31の打ち損じが生じても、残りの貫通孔331の位置でねじ留めできる。
上記実施形態では、第2タイトフレーム4は、4つの貫通孔431を有しているが、5つ以上の貫通孔431を有してもよい。すなわち、第2タイトフレーム4は、少なくとも4つの貫通孔431を有する。
上記実施形態では、第1タイトフレーム3の凸部32と、支持部材2の天面22との間に空間が介在しているが、凸部32と天面22との間に任意の補強部材を設けてもよい。この補強部材は、鋼板などの金属板を折り曲げ加工して形成される部材であって、凸部32を下方から支持して凸部32を補強する。また、第2及び第3タイトフレーム4、8にも、第1タイトフレーム3と同様にして補強部材を設けることができる。補強部材を設けることにより、積雪等による荷重が屋根構造100にかかっても、この荷重がかかる方向に第1~第3タイトフレーム3、4、8を変形させにくくできる。
(まとめ)
上記の通り、第1態様は、屋根用下地部材(1)であって、支持部材(2)と、複数の第1タイトフレーム(3)と、固定部(21)と、を備える。支持部材(2)は、一方向(X)に沿って長尺のものである。複数の第1タイトフレーム(3)は、一方向(X)に沿って支持部材(2)の天面(22)に固定される。固定部(21)は、天面(22)にあり、かつ複数の第1タイトフレーム(3)よりも後付けで第2タイトフレーム(4)を固定する部分である。複数の第1タイトフレーム(3)の各々は、凸部(32)と、一対の側片(33)と、少なくとも4つの貫通孔(331)とを有する。凸部(32)は、天面(22)から上方に向かって凸となる。側片(33)は、凸部(32)の下端から一方向(X)に沿って側方に突出する。貫通孔(331)は、側片(33)を貫通する。複数の第1タイトフレーム(3)の各々は、屋根用下地部材(1)を上方からの平面視において、少なくとも4つの貫通孔(331)のうち、少なくとも2つの貫通孔(331)が凸部(32)を間にして一方向(X)と交差する位置で支持部材(2)にねじ留めされている。固定部(21)は、支持部材(2)の両端のうち、一方の端部にある第1固定部(21a)と、他方の端部にある第2固定部(21b)とを有する。
第1態様によれば、各第1タイトフレーム(3)を最低2つの貫通孔(331)の位置で支持部材(2)にねじ留めされる。ねじ留めに利用される2つの貫通孔(331)が凸部(32)を間にして一方向(X)と交差する位置にあることで、支持部材(2)に対する第1タイトフレーム(3)の固定強度を十分に確保できる。しかも、ねじ留めに利用されるねじ(31)の本数を必要最低限に減らすことで、屋根用下地部材(1)の作製に要するコストを削減できる。さらに、第1タイトフレーム(3)のねじ留めに利用される貫通孔(331)を少なくとも2つとすることで、仮に2つの貫通孔(311)のうち少なくとも一方でねじ(31)の打ち損じが生じても、残りの貫通孔(331)の位置でねじ留めできる。また支持部材(2)が建物の梁となる前に第1タイトフレーム(3)が支持部材(2)に固定されているため、第1タイトフレーム(3)を設置する高所作業を軽減できる。
第2態様は、第1態様の屋根用下地部材(1)であって、支持部材(2)は、第1タイトフレーム(3)の貫通孔(331)に対応する位置にあり、天面(22)に開口する第1開口孔(24)を更に備える。第1固定部(21a)及び第2固定部(21b)の各々は、天面(22)に開口する少なくとも2つの第2開口孔(25)を有する。
第2態様によれば、第1タイトフレーム(3)と第2タイトフレーム(4)とを配置する際に、第1開口孔(24)で第1タイトフレーム(3)を位置決めすることができ、第2開口孔(25)で第2タイトフレーム(4)を位置決めすることができる。
第3態様は、第1又は第2態様の屋根用下地部材(1)であって、第1タイトフレーム(3)は、支持部材(2)の天面(22)に複数固定される。支持部材(2)の長さ(L)は、第1タイトフレーム(3)の長さ(L1)の2以上の整数倍となる距離と1つの第2タイトフレーム(4)の長さ(L2)との和である。
第3態様によれば、一方向(X)に沿う、第1固定部(21a)及び第2固定部(21b)の合計の長さは、第1タイトフレーム(3)の長さ(L1)となり、第2タイトフレーム(4)を後付けで固定するための第1固定部(21a)及び第2固定部(21b)を確実に確保することができる。しかも、支持部材(2)が梁となった状態で互いに隣り合う第1固定部(21a)と第2固定部(21b)との間で段差が生じても、この段差による不陸を調整する作業を軽減できる。
第4態様は、屋根下地構造(10)であって、複数の屋根用下地部材(1a)と、第2タイトフレーム(4)と、を備える。複数の屋根用下地部材(1a)は、第1~第3のいずれか1つの屋根用下地部材(1)を複数有する。複数の屋根用下地部材(1)のうち、一方の屋根用下地部材(1)の第1固定部(21a)と、他方の屋根用下地部材(1)の第2固定部(21b)とが、一方向(X、X1)に沿って離間して隣り合っている。第2タイトフレーム(4)は、一方の屋根用下地部材(1)と、他方の屋根用下地部材(1)との間を跨いでいる。第2タイトフレーム(4)は、凸部(42)と、一対の側片(43)と、少なくとも4つの貫通孔(431)とを有する。凸部(42)は、天面(22)から上方に向かって凸となる。側片(43)は、凸部(42)の下端から一方向(X、X1)に沿って側方に突出する。貫通孔(431)は、側片(43)を貫通する。第2タイトフレーム(4)は、前記平面視において、少なくとも4つの貫通孔(431)のうち、少なくとも2つの貫通孔(431)が凸部(42)を間にした位置で、第1固定部(21a)及び第2固定部(21b)にねじ留めされている。
第4態様によれば、第2タイトフレーム(4)を最低2つの貫通孔(431)の位置で支持部材(2)にねじ留めしても、ねじ留めに利用される2つの貫通孔(431)が凸部(42)を間にして交差した位置にあることで、支持部材(2)に対する第2タイトフレーム(4)の固定強度を十分に確保できる。しかも、支持部材(2)が梁となった状態で支持部材(2)同士の固定部(21)間に段差があっても、この段差を第2タイトフレーム(4)が跨ってねじ留めされるため、段差による不陸を調整する作業を軽減できる。
第5態様は、第4態様の屋根下地構造(10)であって、第1固定部(21a)及び第2固定部(21b)の間に隙間(G)が介在している。
第5態様によれば、第2タイトフレーム(4)が隙間(G)を跨って設置されるため、この隙間(G)による不陸を調整する作業を軽減でき、これにより屋根下地構造(10)の作製期間を短縮することができる。
第6態様は、第5態様の屋根下地構造(10)であって、第1タイトフレーム(3)は、支持部材(2)の天面(22)に複数固定される。支持部材(2)の長さ(L)は、第1タイトフレーム(3)の長さ(L1)の2以上の整数倍となる距離と1つの第2タイトフレーム(4)の長さ(L2)との和から、一方向(X、X1)における1か所の隙間(G)の幅を引いた長さである。
第6態様によれば、第2タイトフレーム(4)を設置する際に第2タイトフレーム(4)のねじ留めに利用される第1固定部(21a)と第2固定部(21b)とを確実に確保することができる。しかも、第2タイトフレーム(4)は隙間(G)を跨ぐため、この隙間(G)による不陸を調整する作業を軽減できる。