JP7435433B2 - 固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法に関する。
固体電解コンデンサは、アルミニウム等の弁作用金属からなる基体の表面に誘電体層を有する弁作用金属基体と、該誘電体層上に設けられる固体電解質層を含む陰極層とを備えている。
特許文献1は、(A)表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体、及び、誘電体層に設けられた固体電解質層を備え、複数個の素子領域を有する第1のシートを準備する工程、(B)金属箔からなり、複数個の素子領域を有する第2のシートを準備する工程と、(C)第1のシートの各素子領域の第1の端部及び第2の端部と第1の側部及び第2の側部とを絶縁材料により被覆する工程、(D)第1のシートの固体電解質層上に導電体層を形成する工程、(E)第1のシートと第2のシートとを積層して積層シートを作製する工程、(F)積層シートの貫通穴に封止材を充填して積層ブロック体を作製する工程、(G)積層ブロック体を切断することにより、複数個の素子積層体を作製する工程、(H)第1の外部電極及び第2の外部電極を形成する工程、を備える固体電解コンデンサの製造方法を開示している。
特許文献1には、例えば、モノマーを含む処理液又はポリマーの分散液をスポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって誘電体層上に塗布することにより、所定の領域に固体電解質層を形成することができると記載されている。さらに、特許文献1には、絶縁性樹脂等の絶縁材料からなるマスク材を弁作用金属基体の表面に塗布し、加熱等によって固化又は硬化させることによって、第1のシートの各素子領域の端部及び側部を被覆するマスク層を形成すること、及び、マスク層によって囲まれた領域に固体電解質層を形成することが好ましいと記載されている。
特許文献2は、弁作用金属多孔体基板の切り口部及びマスキング部に形成される固体電解質の厚みが他の部分よりも大きい固体電解コンデンサを開示している。特許文献2には、固体電解質層の厚みの偏りが、弁作用金属基板上での有機高分子のモノマー含有液及び酸化剤含有液中に浸漬する操作の回数などの固体電解質の形成条件によって異なることが記載されている。
特許文献3は、陽極部と陰極部の絶縁を確実に行うことのできるマスキング構造を有する固体電解コンデンサとその製造方法を開示している。特許文献3の図2には、マスキング層が誘電体皮膜中に浸透しかつ浸透部の上に形成されており、誘電体皮膜中に浸透する固体電解質が、マスキング材の浸透した誘電体皮膜中には浸透できずかつ浸透部の上に形成されたマスキング層により完全にマスキングされた構造が示されている。
このように、特許文献2及び特許文献3には、固体電解コンデンサの陽極部と陰極部とを絶縁するためにマスキングを施すことが記載されている。特許文献2および特許文献3では、陽極部と陰極部とを区切るように、弁作用金属基板上にマスキング材を周状に塗布することでマスキング層が形成され、その後、陰極部となる領域に、浸漬法(ディップ法ともいう)により固体電解質層が形成されている。
特開2019-79866号公報 国際公開第01/75917号 国際公開第00/67267号
特許文献1に記載の方法によれば、大判の弁作用金属基体から複数の固体電解コンデンサ素子を効率良く製造することができる。この際、特許文献2及び特許文献3に記載されている浸漬法により固体電解質層を形成すれば、各素子領域の両面に同時に固体電解質層を形成することができるため、製造工程をさらに簡略化することが可能になる。
ここで、固体電解質を含有する処理液に大判の弁作用金属基体を浸漬するための浸漬処理装置を考えた場合、弁作用金属基体を寝かした状態で処理液に浸漬するよりも、弁作用金属基体を立てた状態で処理液に浸漬する方が、設置スペースを小さくすることができる。
しかしながら、所定の厚さの固体電解質層を形成するために処理液への浸漬と乾燥とが繰り返されると、重力によって、素子領域の下部に処理液が溜まりやすくなる。処理液が溜まった部分が乾燥すると、その部分には、再び処理液に浸漬しても処理液が含浸しにくくなる。その結果、素子領域全体の固体電解質層の含浸性が低下するため、得られる固体電解コンデンサ素子の静電容量特性の1つである容量出現率が低下してしまうことが判明した。
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、浸漬法により形成される固体電解質層の含浸性が高く、静電容量特性として容量出現率が高い固体電解コンデンサ素子を提供することを目的とする。本発明はまた、上記固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサ、上記固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、上記固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の固体電解コンデンサ素子は、誘電体層を少なくとも一方の主面に有し、厚さ方向から平面視した形状が四角形状である弁作用金属基体と、上記誘電体層上の、上記弁作用金属基体の上記主面の周囲4辺を覆うように設けられる絶縁マスク層と、上記誘電体層上に設けられる陰極層と、を含む。上記陰極層は、上記誘電体層上の、上記絶縁マスク層によって囲まれた領域に設けられる固体電解質層を含む。上記固体電解質層は、上記絶縁マスク層によって囲まれた領域の外周部のうちの少なくとも2辺において、上記誘電体層上の膜厚が他の部分よりも大きい厚膜部を有する。
本発明の固体電解コンデンサは、固体電解コンデンサ素子と、外装体と、第1外部電極と、第2外部電極と、を備える。上記固体電解コンデンサ素子は、誘電体層を少なくとも一方の主面に有し、厚さ方向から平面視した形状が四角形状である弁作用金属基体と、上記誘電体層上の、上記弁作用金属基体の上記主面の周囲4辺を覆うように設けられる絶縁マスク層と、上記誘電体層上に設けられる陰極層と、を含む。上記外装体は、上記固体電解コンデンサ素子を封止する。上記第1外部電極は、上記外装体から露出する上記固体電解コンデンサ素子の上記陰極層と電気的に接続される。上記第2外部電極は、上記外装体から露出する上記固体電解コンデンサ素子の上記弁作用金属基体と電気的に接続される。上記陰極層は、上記誘電体層上の、上記絶縁マスク層によって囲まれた領域に設けられる固体電解質層を含む。上記固体電解質層は、上記絶縁マスク層によって囲まれた領域の外周部のうちの少なくとも2辺において、上記誘電体層上の膜厚が他の部分よりも大きい厚膜部を有する。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体に対して、厚さ方向から平面視した形状が四角形状である複数の素子領域に区画するために、上記弁作用金属基体の上記誘電体層上に絶縁マスク層を形成する工程と、上記誘電体層上に陰極層を形成する工程と、を備える。上記陰極層を形成する工程は、上記誘電体層上の、上記絶縁マスク層によって囲まれた領域に固体電解質層を形成する工程を含む。上記固体電解質層を形成する工程は、固体電解質を含有する処理液に対して、上記素子領域の第1の辺が直交する方向に上記弁作用金属基体を浸漬した後、上記処理液から引き上げる工程と、上記処理液に対して、上記素子領域の第2の辺が直交する方向に上記弁作用金属基体を浸漬した後、上記処理液から引き上げる工程と、を含む。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体に対して、厚さ方向から平面視した形状が四角形状である複数の素子領域に区画するために、上記弁作用金属基体の上記誘電体層上に絶縁マスク層を形成する工程と、上記誘電体層上に陰極層を形成する工程と、上記絶縁マスク層及び上記陰極層が形成された少なくとも1つの上記弁作用金属基体を外装体により封止する工程と、上記素子領域を分断するように上記外装体を切断して、個々の固体電解コンデンサ素子に分離する工程と、上記外装体から露出する上記固体電解コンデンサ素子の上記陰極層と電気的に接続される第1外部電極を形成する工程と、上記外装体から露出する上記固体電解コンデンサ素子の上記弁作用金属基体と電気的に接続される第2外部電極を形成する工程と、を備える。上記陰極層を形成する工程は、上記誘電体層上の、上記絶縁マスク層によって囲まれた領域に固体電解質層を形成する工程を含む。上記固体電解質層を形成する工程は、固体電解質を含有する処理液に対して、上記素子領域の第1の辺が直交する方向に上記弁作用金属基体を浸漬した後、上記処理液から引き上げる工程と、上記処理液に対して、上記素子領域の第2の辺が直交する方向に上記弁作用金属基体を浸漬した後、上記処理液から引き上げる工程と、を含む。
本発明によれば、浸漬法により形成される固体電解質層の含浸性が高く、静電容量特性として容量出現率が高い固体電解コンデンサ素子を提供することができる。
図1は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す固体電解コンデンサのII-II線に沿った断面図である。 図3は、図2に示す固体電解コンデンサのIII部を拡大した断面図である。 図4は、本発明の第1実施形態に係る固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す平面図である。 図5は、図4に示す固体電解コンデンサ素子のV-V線に沿った断面図である。 図6は、図4に示す固体電解コンデンサ素子のVI-VI線に沿った断面図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係る固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す平面図である。 図8は、絶縁マスク層が形成された弁作用金属基体の一例を模式的に示す斜視図である。 図9は、図8に示す弁作用金属基体の一部を拡大した斜視図である。 図10は、本発明の第1実施形態において弁作用金属基体を第1の向きに浸漬処理装置に保持する工程の一例を示す模式図である。 図11は、本発明の第1実施形態において素子領域の第1の短辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬する工程の一例を示す模式図である。 図12は、図11に示す工程の後に弁作用金属基体を処理液から引き上げる工程の一例を示す模式図である。 図13は、本発明の第1実施形態において弁作用金属基体を第2の向きに浸漬処理装置に保持する工程の一例を示す模式図である。 図14は、本発明の第1実施形態において素子領域の第2の短辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬する工程の一例を示す模式図である。 図15は、図14に示す工程の後に弁作用金属基体を処理液から引き上げる工程の一例を示す模式図である。 図16は、本発明の第1実施形態において複数回の浸漬及び乾燥を行った後の素子領域の一例を示す模式図である。 図17は、本発明の第2実施形態において弁作用金属基体を第1の向きに浸漬処理装置に保持する工程の一例を示す模式図である。 図18は、本発明の第2実施形態において素子領域の第1の長辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬する工程の一例を示す模式図である。 図19は、図18に示す工程の後に弁作用金属基体を処理液から引き上げる工程の一例を示す模式図である。 図20は、本発明の第2実施形態において弁作用金属基体を第2の向きに浸漬処理装置に保持する工程の一例を示す模式図である。 図21は、本発明の第2実施形態において素子領域の第2の長辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬する工程の一例を示す模式図である。 図22は、図21に示す工程の後に弁作用金属基体を処理液から引き上げる工程の一例を示す模式図である。 図23は、本発明の第2実施形態において複数回の浸漬及び乾燥を行った後の素子領域の一例を示す模式図である。 図24は、金属箔の一例を模式的に示す斜視図である。 図25は、図24に示す金属箔の一部を拡大した斜視図である。 図26は、弁作用金属基体と金属箔とが積層される前の状態の一例を模式的に示す斜視図である。 図27は、弁作用金属基体と金属箔とが積層された状態の一例を模式的に示す斜視図である。 図28は、封止材が充填された弁作用金属基体の一例を模式的に示す平面図である。 図29は、封止材が充填された金属箔の一例を模式的に示す平面図である。 図30は、貫通穴に封止材が充填された積層シートの一例を模式的に示す斜視図である。 図31は、第1端面側から見た素子封止体の一例を模式的に示す斜視図である。 図32は、第2端面側から見た素子封止体の一例を模式的に示す斜視図である。 図33は、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2におけるコンデンサ素子の容量出現率を示すグラフである。
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ、固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
[固体電解コンデンサ素子及び固体電解コンデンサ]
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子の一例、及び、本発明の固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサの一例について説明する。なお、本発明の固体電解コンデンサ素子は、他の構成を有する固体電解コンデンサに含まれてもよい。例えば、リードフレームが外部電極として用いられてもよい。
図1は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す固体電解コンデンサのII-II線に沿った断面図である。図3は、図2に示す固体電解コンデンサのIII部を拡大した断面図である。
図1及び図2においては、固体電解コンデンサ1及び外装体10の長さ方向をL、幅方向をW、高さ方向をTで示している。ここで、長さ方向Lと幅方向Wと高さ方向Tとは互いに直交している。
図1及び図2に示すように、固体電解コンデンサ1は、略直方体状の外形を有している。固体電解コンデンサ1は、外装体10と、第1外部電極20と、第2外部電極30と、複数のコンデンサ素子70と、を備える。コンデンサ素子70は、本発明の固体電解コンデンサ素子の一例である。
外装体10は、複数のコンデンサ素子70を封止している。すなわち、外装体10には、複数のコンデンサ素子70が埋設されている。なお、外装体10は、1つのコンデンサ素子70を封止していてもよい。すなわち、外装体10の内部には、1つのコンデンサ素子70が埋設されていてもよい。
外装体10は、略直方体状の外形を有している。外装体10は、高さ方向Tにおいて相対する第1主面10a及び第2主面10b、幅方向Wにおいて相対する第1側面10c及び第2側面10d、並びに、長さ方向Lにおいて相対する第1端面10e及び第2端面10fを有している。
上記のように外装体10は、略直方体状の外形を有しているが、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。角部は、外装体10の3面が交わる部分であり、稜線部は、外装体10の2面が交わる部分である。
外装体10は、例えば、基板11と、基板11上に設けられたモールド部12とから構成される。外装体10は、モールド部12のみから構成されてもよい。
基板11は、例えば、ガラスエポキシ基板等の絶縁性樹脂基板である。基板11の底面が、外装体10の第2主面10bを構成している。基板11の厚さは、例えば、100μmである。
モールド部12は、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂で構成される。絶縁性樹脂には、フィラーとしてガラス又はSiの酸化物が分散混合されていることが好ましい。モールド部12は、複数のコンデンサ素子70を覆うように基板11上に設けられる。
複数のコンデンサ素子70の各々は、誘電体層50を表面に有する弁作用金属基体40と、絶縁マスク層51と、陰極層60とを含む。複数のコンデンサ素子70は、基板11上において高さ方向Tに積層されている。複数のコンデンサ素子70の各々の延在方向は、基板11の主面と略平行となっている。
弁作用金属基体40を厚さ方向から平面視した形状は四角形状であり、好ましくは、長辺及び短辺を有する矩形状である。弁作用金属基体40の主面には、図3に示すように、複数の凹部が設けられている。そのため、弁作用金属基体40の主面は、多孔質状になっている。弁作用金属基体40の主面が多孔質状になっていることにより、弁作用金属基体40の表面積が大きくなっている。なお、弁作用金属基体40の表面及び裏面の両方が多孔質状である場合に限られず、弁作用金属基体40の表面及び裏面の一方のみが多孔質状であってもよい。
弁作用金属基体40は、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム等の金属単体、又は、これらの金属を含む合金等の弁作用金属によって構成されている。弁作用金属の表面には、酸化被膜を形成することができる。
なお、弁作用金属基体40は、芯部と当該芯部の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質部とによって構成されていればよく、金属箔の表面をエッチングしたもの、金属箔の表面に多孔質状の微粉焼結体を形成したもの等を適宜採用することができる。
誘電体層50は、弁作用金属基体40の少なくとも一方の主面に設けられている。誘電体層50は、上記弁作用金属の表面に設けられた酸化被膜によって構成されていることが好ましい。例えば、誘電体層50は、アルミニウムの酸化物で構成されている。アルミニウムの酸化物は、後述するように、弁作用金属基体40の表面が陽極酸化処理されることにより形成される。
誘電体層50上には、外装体10とは組成が異なる絶縁マスク層51が設けられている。絶縁マスク層51は、弁作用金属基体40の主面の周囲4辺を覆うように設けられている。
図3に示すように、絶縁マスク層51は、弁作用金属基体40の複数の細孔(凹部)を充填するように設けられていることが好ましい。ただし、絶縁マスク層51によって誘電体層50の外表面の一部が覆われていればよく、絶縁マスク層51によって充填されていない弁作用金属基体40の細孔(凹部)が存在していてもよい。
絶縁マスク層51は、例えば、絶縁性樹脂を含む組成物などのマスク材を塗布して形成される。絶縁性樹脂としては、例えば、ポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体など)、可溶性ポリイミドシロキサンとエポキシ樹脂からなる組成物、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及び、それらの誘導体又は前駆体等が挙げられる。
陰極層60は、誘電体層50上に設けられている。図2に示すように、陰極層60は、固体電解質層61を含み、好ましくは、さらに、導電体層62と、陰極引き出し層63とを含む。
固体電解質層61は、誘電体層50上の、絶縁マスク層51によって囲まれた領域に設けられている。したがって、第2端面10f寄りに位置する弁作用金属基体40の主面に設けられた誘電体層50の外表面には、固体電解質層61は設けられていない。
図3に示すように、固体電解質層61は、弁作用金属基体40の複数の細孔(凹部)を充填するように設けられていることが好ましい。ただし、固体電解質層61によって誘電体層50の外表面の一部が覆われていればよく、固体電解質層61によって充填されていない弁作用金属基体40の細孔(凹部)が存在していてもよい。
固体電解質層61を構成する材料としては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等の導電性高分子等が用いられる。これらの中では、ポリチオフェン類が好ましく、PEDOTと呼ばれるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。また、上記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等のドーパントを含んでいてもよい。
固体電解質層61は、例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン等の重合性モノマーの含有液を用いて、誘電体層50の表面にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子の重合膜を形成する方法や、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子の分散液を誘電体層50の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。なお、弁作用金属基体40の細孔(凹部)を充填する内層を形成した後、誘電体層50全体を被覆する外層を形成することが好ましい。
導電体層62は、固体電解質層61の外表面に設けられている。導電体層62は、例えば、カーボン層又は銀層を含む。また、導電体層62は、カーボン層の外表面に銀層が設けられた複合層や、カーボン及び銀を含む混合層であってもよい。
陰極引き出し層63は、導電体層62の外表面に設けられている。積層方向において互いに隣接しているコンデンサ素子70同士の導電体層62は、陰極引き出し層63によって互いに電気的に接続されている。幅方向Wにおける陰極引き出し層63の幅は、例えば、幅方向Wにおける弁作用金属基体40の幅と同等である。
陰極引き出し層63は、金属箔または印刷電極層により形成することができる。以上の構成により、本発明の固体電解コンデンサ素子の一例であるコンデンサ素子70が形成される。
金属箔の場合は、Al、Cu、Ag及びこれらの金属を主成分とする合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。また、金属箔として、表面にスパッタや蒸着等の成膜方法によりカーボンコートやチタンコートがされた金属箔を用いてもよい。中でも、カーボンコートされたアルミニウム箔を用いることが好ましい。
印刷電極層の場合は、電極ペーストをスポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって導電体層上に形成することにより、所定の領域に陰極引き出し層を形成することができる。電極ペーストとしては、Ag、Cu又はNiを主成分とする電極ペーストが好ましい。陰極引き出し層を印刷電極層とする場合には、金属箔を用いる場合よりも陰極引き出し層を薄くすることが可能である。
第1外部電極20は、外装体10の第1端面10eに設けられている。図1では、第1外部電極20は、外装体10の第1端面10eから、第1主面10a、第2主面10b、第1側面10c及び第2側面10dの各々に亘って設けられている。第1外部電極20は、外装体10から露出するコンデンサ素子70の陰極層60と電気的に接続されている。図1では、第1外部電極20は、外装体10の第1端面10eにおいて陰極引き出し層63と直接的または間接的に接続されている。
第1外部電極20は、例えば、外装体10の第1端面10e上に設けられた少なくとも1層のめっき層で構成されている。例えば、第1外部電極20は、外装体10の第1端面10e上に設けられたCuめっき層と、Cuめっき層上に設けられたNiめっき層と、Niめっき層上に設けられたSnめっき層とから構成される。
第2外部電極30は、外装体10の第2端面10fに設けられている。図1では、第2外部電極30は、外装体10の第2端面10fから、第1主面10a、第2主面10b、第1側面10c及び第2側面10dの各々に亘って設けられている。第2外部電極30は、外装体10から露出するコンデンサ素子70の弁作用金属基体40と電気的に接続されている。
第2外部電極30は、例えば、外装体10の第2端面10f上に設けられた少なくとも1層のめっき層で構成されている。例えば、第2外部電極30は、外装体10の第2端面10f上に設けられたCuめっき層と、Cuめっき層上に設けられたNiめっき層と、Niめっき層上に設けられたSnめっき層とから構成される。
本発明の固体電解コンデンサ素子及び本発明の固体電解コンデンサでは、固体電解質層は、絶縁マスク層によって囲まれた領域の外周部のうちの少なくとも2辺において、誘電体層上の膜厚が他の部分よりも大きい厚膜部を有する。
(第1実施形態)
図4は、本発明の第1実施形態に係る固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す平面図である。図5は、図4に示す固体電解コンデンサ素子のV-V線に沿った断面図である。図6は、図4に示す固体電解コンデンサ素子のVI-VI線に沿った断面図である。
図4では、弁作用金属基体40を厚さ方向から平面視した形状は、長辺及び短辺を有する矩形状である。図示しない誘電体層上には、弁作用金属基体40の主面の周囲4辺を覆うように絶縁マスク層51が設けられている。さらに、図示しない誘電体層上の、絶縁マスク層51によって囲まれた領域には、固体電解質層61が設けられている。
図4、図5及び図6に示すように、固体電解質層61は、絶縁マスク層51によって囲まれた領域の外周部のうちの対向する短辺において、誘電体層上の膜厚が他の部分よりも大きい厚膜部61a及び61bを有する。図4及び図5に示すように、一方の短辺に設けられた厚膜部61aは、対向する他方の短辺に設けられた厚膜部61bと繋がっていることが好ましい。厚膜部61aの最大厚さは、厚膜部61bの最大厚さと同じでもよく、異なっていてもよい。
図4、図5及び図6では、固体電解質層61は、絶縁マスク層51によって囲まれた領域の外周部のうちの対向する長辺に厚膜部を有していないが、対向する長辺のうち、少なくとも1辺に厚膜部を有してもよい。その場合、それぞれの厚膜部の最大厚さは、同じでもよく、異なっていてもよい。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す平面図である。図7に示す構造は、厚膜部の位置が異なることを除いて、図4に示す構造と同様である。
図7では、弁作用金属基体40を厚さ方向から平面視した形状は、長辺及び短辺を有する矩形状である。図示しない誘電体層上には、弁作用金属基体40の主面の周囲4辺を覆うように絶縁マスク層51が設けられている。さらに、図示しない誘電体層上の、絶縁マスク層51によって囲まれた領域には、固体電解質層61が設けられている。
図7に示すように、固体電解質層61は、絶縁マスク層51によって囲まれた領域の外周部のうちの対向する長辺において、誘電体層上の膜厚が他の部分よりも大きい厚膜部61c及び61dを有する。図7に示すように、一方の長辺に設けられた厚膜部61cは、対向する他方の長辺に設けられた厚膜部61dと繋がっていることが好ましい。厚膜部61cの最大厚さは、厚膜部61dの最大厚さと同じでもよく、異なっていてもよい。
図7では、固体電解質層61は、絶縁マスク層51によって囲まれた領域の外周部のうちの対向する短辺に厚膜部を有していないが、対向する短辺のうち、少なくとも1辺に厚膜部を有してもよい。その場合、それぞれの厚膜部の最大厚さは、同じでもよく、異なっていてもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子及び本発明の固体電解コンデンサにおいて、弁作用金属基体を厚さ方向から平面視した形状は、矩形状以外の四角形状であってもよい。固体電解質層は、絶縁マスク層によって囲まれた領域の外周部のうちの少なくとも2辺において厚膜部を有していればよいが、絶縁マスク層によって囲まれた領域の外周部のうちの対向する2辺において厚膜部を有することが好ましい。その場合、一方の辺に設けられた厚膜部は、対向する他方の辺に設けられた厚膜部と繋がっていなくてもよいが、繋がっていることが好ましい。それぞれの厚膜部の最大厚さは、同じでもよく、異なっていてもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子及び本発明の固体電解コンデンサにおいて、固体電解質層は、絶縁マスク層によって囲まれた領域の外周部のうちの3辺において厚膜部を有してもよく、4辺において厚膜部を有してもよい。その場合、一方の辺に設けられた厚膜部は、対向する他方の辺に設けられた厚膜部と繋がっていなくてもよいが、繋がっていることが好ましい。それぞれの厚膜部の最大厚さは、同じでもよく、異なっていてもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子及び本発明の固体電解コンデンサにおいて、固体電解質層の厚膜部は、弁作用金属基体の細孔(凹部)を充填する内層と同じ材料を含むことが好ましい。例えば、PEDOT/PSSが好ましい。なお、固体電解質層が内層に加えて、誘電体層全体を被覆する外層を有する場合、固体電解質層の厚膜部は、誘電体層から順に、内層と同じ材料を含む部分と、外層と同じ材料を含む部分とを含んでもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子及び本発明の固体電解コンデンサにおいて、固体電解質層は、絶縁マスク層によって囲まれた領域の外側にわたって、絶縁マスク層上にも設けられていてもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子及び本発明の固体電解コンデンサにおいて、絶縁マスク層は、誘電体層上の、弁作用金属基体の主面の周囲4辺の全体に設けられていることが好ましいが、周囲4辺の一部に絶縁マスク層が設けられていない部分が存在してもよい。
[固体電解コンデンサ素子の製造方法及び固体電解コンデンサの製造方法]
以下、本発明の固体電解コンデンサの製造方法の一例について、工程ごとに説明する。以下の例では、大判の弁作用金属基体を用いて、複数の固体電解コンデンサを同時に製造する方法について説明する。
また、本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、以下の工程ST1と工程ST2とを少なくとも備えていればよい。本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法においては、大判の弁作用金属基体を用いて、複数の固体電解コンデンサ素子を同時に製造してもよく、1枚の弁作用金属基体を用いて、1個の固体電解コンデンサ素子を製造してもよい。
(工程ST1)絶縁マスク層を形成する工程
工程ST1では、誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体に対して、複数の素子領域に区画するために、弁作用金属基体の誘電体層上に絶縁マスク層を形成する。
図8は、絶縁マスク層が形成された弁作用金属基体の一例を模式的に示す斜視図である。図9は、図8に示す弁作用金属基体の一部を拡大した斜視図である。
まず、多孔質部を表面に有する弁作用金属基体140を用意し、多孔質部の表面に誘電体層50を形成する。例えば、弁作用金属基体140としてのアルミニウム箔をアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬して陽極酸化処理を行うことにより、誘電体層50となるアルミニウムの酸化物を形成する。なお、すでにアルミニウムの酸化物が形成されている化成箔を切断して弁作用金属基体140として用いる場合には、切断面にアルミニウムの酸化物を形成するために、切断後の弁作用金属基体140をアジピン酸アンモニウム水溶液に再度浸漬して陽極酸化処理を行う。
次に、複数の素子領域R11(以下、第1の素子領域R11という)と複数の素子領域R12(以下、第2の素子領域R12という)に区画するために、弁作用金属基体140の誘電体層50上に絶縁マスク層51を形成する。
絶縁マスク層51は、例えば、上述したマスク材を弁作用金属基体140の表面に塗布し、加熱等によって固化又は硬化させることによって形成される。マスク材の塗布は、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等により行うことが好ましい。
第1の素子領域R11を厚さ方向から平面視した形状は四角形状であり、好ましくは、長辺及び短辺を有する矩形状である。第1の素子領域R11は、長さ方向Lにおいて相対する第1の端部E11及び第2の端部E12と、幅方向Wにおいて相対する第1の側部S11及び第2の側部S12とによって区画されている。第1の素子領域R11は、長さ方向Lの寸法が幅方向Wの寸法よりも大きい。そして、第1の素子領域R11の第1の端部E11を長さ方向Lに跨ぐように、第1の貫通穴H1が1個形成されているとともに、第1の素子領域R11の第2の端部E12を長さ方向Lに跨ぐように、第2の貫通穴H2が複数個(図9では3個)形成されている。第1の貫通穴H1は、第1の素子領域R11の幅以上の幅を有する1個の長穴からなることが好ましく、第2の貫通穴H2は、第1の素子領域R11の幅よりも小さい幅を有する複数個の略丸穴からなることが好ましい。
第2の素子領域R12を厚さ方向から平面視した形状は四角形状であり、好ましくは、長辺及び短辺を有する矩形状である。第2の素子領域R12は、第1の素子領域R11と同じ形状を有しているが、第1の素子領域R11とは第1の端部E11及び第2の端部E12の向きが反対である。
図8に示すように、弁作用金属基体140においては、第1の素子領域R11と第2の素子領域R12とが長さ方向Lに交互に配置されていることが好ましい。すなわち、図9に示すように、第1の素子領域R11は、隣接する第2の素子領域R12と第1の端部E11を共有するとともに、隣接する他の第2の素子領域R12と第2の端部E12を共有することが好ましい。
さらに、図8に示すように、弁作用金属基体140においては、第1の素子領域R11と第2の素子領域R12とが幅方向Wに交互に配置されていることが好ましい。すなわち、図9に示すように、第1の素子領域R11は、隣接する第2の素子領域R12と第1の側部S11を共有するとともに、隣接する他の第2の素子領域R12と第2の側部S12を共有することが好ましい。
第1の素子領域R11と第2の素子領域R12とが交互に配置される場合、第1の貫通穴H1が弁作用金属基体140の幅方向Wに偏在しないため、弁作用金属基体140の強度が低下しにくくなる。
第1の素子領域R11と第2の素子領域R12とが長さ方向Lに交互に配置されている場合、図9に示すように、第1の素子領域R11は、隣接する第2の素子領域R12と第1の端部E11及び第1の貫通穴H1を共有するとともに、隣接する他の第2の素子領域R12と第2の端部E12及び第2の貫通穴H2を共有することが好ましい。この場合、素子領域を分割するための切断回数、及び、廃棄すべき部分を減らすことができる。
第1の貫通穴H1及び第2の貫通穴H2は、例えば、レーザー加工、エッチング加工、パンチング加工等によって形成される。なお、第1の貫通穴H1及び第2の貫通穴H2は、絶縁マスク層51を形成する前に形成してもよいし、後述する固体電解質層61を形成した後に形成してもよい。
第1の貫通穴H1は、素子領域の幅以上の幅を有する限り、その形状は特に限定されない。
第2の貫通穴H2は、素子領域の幅よりも小さい幅を有する限り、その形状、個数及び配置等は特に限定されないが、それぞれの素子領域において、幅方向Wに2個以上形成されていることが好ましい。第2の貫通穴H2が2個以上形成されている場合、これらの貫通穴は等間隔に形成されていることが好ましい。
なお、第2の貫通穴H2の1個あたりの幅が小さすぎると、後述する工程において封止材を充填することが困難となる。一方、素子領域の幅に対する第2の貫通穴H2の幅の合計の割合が大きすぎると、外装体10から露出する弁作用金属基体40の割合が小さくなるため等価直列抵抗(ESR)が増大しやすくなる。
弁作用金属基体140の厚みは特に限定されないが、多孔質部を除く部分の厚みは、5μm以上、100μm以下であることが好ましい。多孔質部の厚み(片面の厚み)は、5μm以上、200μm以下であることが好ましい。
弁作用金属基体140全体のサイズは、第1の素子領域R11及び第2の素子領域R12のサイズ、形状、数、配置、生産能力等によって決定されるものであり、特に限定されない。
(工程ST2)陰極層を形成する工程
工程ST2では、誘電体層上に陰極層を形成する。
陰極層を形成する工程ST2は、誘電体層上の、絶縁マスク層によって囲まれた領域に固体電解質層を形成する工程ST21を含む。例えば、図8及び図9に示す誘電体層50上の第1の素子領域R11の内部及び第2の素子領域R12の内部のそれぞれに固体電解質層61(図2参照)を形成する。
この際、固体電解質を含有する処理液を浸漬法(ディップ法)によって誘電体層50上に塗布することにより、所定の領域に固体電解質層61を形成することが好ましい。
固体電解質を含有する処理液として、例えば、導電性高分子の粒子が溶媒に分散した液が用いられる。導電性高分子の分散液を誘電体層50の外表面に付着し乾燥させることで、導電性高分子膜を形成することができる。あるいは、固体電解質を含有する処理液として、重合性モノマー、例えば3,4-エチレンジオキシチオフェンと酸化剤との含有液が用いられてもよい。重合性モノマーの含有液を誘電体層50の外表面に付着させて、化学重合により導電性高分子膜を形成することができる。この導電性高分子膜が、固体電解質層61となる。
固体電解質層61の最大厚さは、絶縁マスク層51の最大厚さと同じでもよく、絶縁マスク層51の最大厚さより大きくてもよく、絶縁マスク層51の最大厚さより小さくてもよい。
固体電解質層を形成する工程ST21は、固体電解質を含有する処理液に対して、素子領域の第1の辺が直交する方向に弁作用金属基体を浸漬した後、上記処理液から引き上げる工程ST21Aと、上記処理液に対して、素子領域の第2の辺が直交する方向に弁作用金属基体を浸漬した後、上記処理液から引き上げる工程ST21Bと、を含む。
固体電解質層を形成する工程ST21では、所定の厚さの固体電解質層を形成するために、上記工程ST21Aと上記工程ST21Bとを繰り返し行うことが好ましい。
(第1実施形態)
第1実施形態では、素子領域を厚さ方向から平面視した形状は、長辺及び短辺を有する矩形状であり、素子領域の第1の辺及び第2の辺は、対向する短辺である。
図10は、本発明の第1実施形態において弁作用金属基体を第1の向きに浸漬処理装置に保持する工程の一例を示す模式図である。
図10に示す浸漬処理装置200は、テンポラリーバーとも呼ばれる支持板210と、処理槽220と、を備える。支持板210は、シート保持部211を有し、図10の矢印に示すように上下方向に移動可能である。処理槽220には、供給弁221及び排出弁222が接続されている。
図10に示すように、絶縁マスク層51が格子状に形成された弁作用金属基体140(図8及び図9参照)を、支持板210のシート保持部211で保持する。図10では、素子領域の長さ方向Lが上下方向に平行となるように、弁作用金属基体140が保持される。固体電解質を含有する処理液230として、例えば、導電性高分子の分散液を処理槽220に供給する。
図11は、本発明の第1実施形態において素子領域の第1の短辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬する工程の一例を示す模式図である。
図11に示すように、素子領域の第1の短辺が直交する方向に弁作用金属基体140を処理液230に浸漬する。すなわち、素子領域の長さ方向Lに沿って弁作用金属基体140を処理液230に浸漬する。これにより、導電性高分子の分散液が弁作用金属基体140の多孔質部に含浸される。
浸漬速度は任意の速度でよいが、0.5mm/s以上5mm/s以下が好ましい。図10及び図11では、シート保持部211は弁作用金属基体140の端部を保持しているが、弁作用金属基体140の四方を囲むようなフレームを設けて保持してもよい。
図12は、図11に示す工程の後に弁作用金属基体を処理液から引き上げる工程の一例を示す模式図である。
図12に示すように、所定時間の浸漬後、弁作用金属基体140を処理液230から引き上げる。浸漬後の素子領域には、下部に半円状の液溜まりA1が生じている。液溜まりA1は、含浸できずに下部に垂れ下がってきた導電性高分子の分散液の余剰分である。
浸漬時間は1秒間以上10秒間以下が好ましい。引き上げ速度は任意の速度でよいが、0.01mm/s以上5mm/s以下が好ましい。液溜まり量の安定性、リードタイムによる生産性からさらに好ましくは0.1mm/s以上3mm/s以下である。
そして、所定温度及び所定時間で乾燥させる。例えば、常温での自然乾燥、オーブンでの125℃以上150℃以下の乾燥などを行う。なお、絶縁マスク層51上には、処理液230はほとんど残っていない。
図13は、本発明の第1実施形態において弁作用金属基体を第2の向きに浸漬処理装置に保持する工程の一例を示す模式図である。
図13に示すように、弁作用金属基体140を180度反転させて、支持板210のシート保持部211で保持する。
図14は、本発明の第1実施形態において素子領域の第2の短辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬する工程の一例を示す模式図である。
図14に示すように、弁作用金属基体140を図11と同様の方向に沿って処理液230に浸漬する。
図15は、図14に示す工程の後に弁作用金属基体を処理液から引き上げる工程の一例を示す模式図である。
図15に示すように、所定時間の浸漬後、弁作用金属基体140を処理液230から引き上げる。浸漬後の素子領域には、図12と同様に、下部に半円状の液溜まりA2が生じている。液溜まりA2は、反転前の液溜まりA1とは概ね上下に対称な形状を有している。
そして、所定温度及び所定時間で乾燥させる。図13~図15で説明した反転、浸漬及び引き上げを所定回数繰り返す。以上の工程を経て、固体電解質層61が形成される。
図16は、本発明の第1実施形態において複数回の浸漬及び乾燥を行った後の素子領域の一例を示す模式図である。
図16では、上下の半円状の液溜まりA1及びA2が繋がる結果、固体電解質層61は、絶縁マスク層51によって囲まれた領域の外周部のうちの対向する短辺において、誘電体層上の膜厚が他の部分よりも大きい厚膜部61a及び61bを有する。液溜まりA1及びA2については、浸漬回数が少ないときは乾燥後になくなるか、又は小さくなる。浸漬回数が多くなるにつれて含浸される量が少なくなり、液溜まり量が増えるため、繋がった状態になる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、素子領域を厚さ方向から平面視した形状は、長辺及び短辺を有する矩形状であり、素子領域の第1の辺及び第2の辺は、対向する長辺である。第2実施形態では、弁作用金属基体を処理液に浸漬する方向が第1実施形態と異なる。
図17は、本発明の第2実施形態において弁作用金属基体を第1の向きに浸漬処理装置に保持する工程の一例を示す模式図である。
図17に示すように、絶縁マスク層51が格子状に形成された弁作用金属基体140(図8及び図9参照)を、支持板210のシート保持部211で保持する。図17では、素子領域の幅方向Wが上下方向に平行となるように、弁作用金属基体140が保持される。固体電解質を含有する処理液230として、例えば、導電性高分子の分散液を処理槽220に供給する。
図18は、本発明の第2実施形態において素子領域の第1の長辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬する工程の一例を示す模式図である。
図18に示すように、素子領域の第1の長辺が直交する方向に弁作用金属基体140を処理液230に浸漬する。すなわち、素子領域の幅方向Wに沿って弁作用金属基体140を処理液230に浸漬する。これにより、導電性高分子の分散液が弁作用金属基体140の多孔質部に含浸される。
浸漬速度は任意の速度でよいが、0.5mm/s以上5mm/s以下が好ましい。図17及び図18では、シート保持部211は弁作用金属基体140の端部を保持しているが、弁作用金属基体140の四方を囲むようなフレームを設けて保持してもよい。
図19は、図18に示す工程の後に弁作用金属基体を処理液から引き上げる工程の一例を示す模式図である。
図19に示すように、所定時間の浸漬後、弁作用金属基体140を処理液230から引き上げる。浸漬後の素子領域には、下部に半円状の液溜まりA3が生じている。第2実施形態では、幅方向Wよりも長い長さ方向Lが横向きになっているため、液溜まりA3が横に拡がって分散される。よって、第1実施形態の液溜まりA1に比べて液溜まりA3の高さは小さい。
浸漬時間は1秒間以上10秒間以下が好ましい。引き上げ速度は任意の速度でよいが、0.01mm/s以上5mm/s以下が好ましい。液溜まり量の安定性、リードタイムによる生産性からさらに好ましくは0.1mm/s以上3mm/s以下である。
そして、所定温度及び所定時間で乾燥させる。例えば、常温での自然乾燥、オーブンでの乾燥などを行う。なお、絶縁マスク層51上には、処理液230はほとんど残っていない。
図20は、本発明の第2実施形態において弁作用金属基体を第2の向きに浸漬処理装置に保持する工程の一例を示す模式図である。
図20に示すように、弁作用金属基体140を180度反転させて、支持板210のシート保持部211で保持する。
図21は、本発明の第2実施形態において素子領域の第2の長辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬する工程の一例を示す模式図である。
図21に示すように、弁作用金属基体140を図18と同様の方向に沿って処理液230に浸漬する。
図22は、図21に示す工程の後に弁作用金属基体を処理液から引き上げる工程の一例を示す模式図である。
図22に示すように、所定時間の浸漬後、弁作用金属基体140を処理液230から引き上げる。浸漬後の素子領域には、図19と同様に、下部に半円状の液溜まりA4が生じている。液溜まりA4は、反転前の液溜まりA3とは概ね上下に対称な形状を有している。
そして、所定温度及び所定時間で乾燥させる。図20~図22で説明した反転、浸漬及び引き上げを所定回数繰り返す。以上の工程を経て、固体電解質層61が形成される。
図23は、本発明の第2実施形態において複数回の浸漬及び乾燥を行った後の素子領域の一例を示す模式図である。
図23では、上下の半円状の液溜まりA3及びA4が繋がる結果、固体電解質層61は、絶縁マスク層51によって囲まれた領域の外周部のうちの対向する長辺において、誘電体層上の膜厚が他の部分よりも大きい厚膜部61c及び61dを有する。第1実施形態の厚膜部61a及び61bに比べて、第2実施形態の厚膜部61c及び61dの面積は小さくなっている。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法及び本発明の固体電解コンデンサの製造方法において、素子領域を厚さ方向から平面視した形状は、矩形状以外の四角形状であってもよい。素子領域の第2の辺は、第1の辺と異なる辺であればよいが、第1の辺と対向する辺であることが好ましい。その場合、一方の辺に設けられた厚膜部は、対向する他方の辺に設けられた厚膜部と繋がっていなくてもよいが、繋がっていることが好ましい。
固体電解質層を形成する工程ST21は、さらに、固体電解質を含有する処理液に対して、素子領域の第3の辺が直交する方向に弁作用金属基体を浸漬した後、上記処理液から引き上げる工程ST21Cを含んでもよい。この場合、固体電解質層を形成する工程ST21では、所定の厚さの固体電解質層を形成するために、上記工程ST21Aと上記工程ST21Bと上記工程ST21Cとを繰り返し行うことが好ましい。
あるいは、固体電解質層を形成する工程ST21は、さらに、固体電解質を含有する処理液に対して、素子領域の第3の辺が直交する方向に弁作用金属基体を浸漬した後、上記処理液から引き上げる工程ST21Cと、上記処理液に対して、素子領域の第4の辺が直交する方向に弁作用金属基体を浸漬した後、上記処理液から引き上げる工程ST21Dと、を含んでもよい。この場合、固体電解質層を形成する工程ST21では、所定の厚さの固体電解質層を形成するために、上記工程ST21Aと上記工程ST21Bと上記工程ST21Cと上記工程ST21Dとを繰り返し行うことが好ましい。
固体電解質層を形成する工程ST21は、浸漬法を用いた工程ST21A及び工程ST21B等を行って内層を形成した後、外層を形成するための工程をさらに行ってもよい。外層の形成は、例えば、浸漬法、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等により行うことができる。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法及び本発明の固体電解コンデンサの製造方法において、固体電解質層は、絶縁マスク層によって囲まれた領域の外側にわたって、絶縁マスク層上にも形成されてもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法及び本発明の固体電解コンデンサの製造方法において、絶縁マスク層は、誘電体層上の、素子領域の周囲4辺の全体に形成されることが好ましいが、周囲4辺の一部に絶縁マスク層が設けられていない部分が存在してもよい。
陰極層を形成する工程ST2は、固体電解質層の外表面に導電体層を形成する工程ST22を含むことが好ましい。例えば、固体電解質層61の外表面にカーボンペーストを塗布してカーボン層を形成した後、カーボン層の外表面に銀ペーストを塗布して銀層を形成することにより、導電体層62を形成することができる。
さらに、陰極層を形成する工程ST2は、導電体層の外表面に陰極引き出し層を形成する工程ST23を含むことが好ましい。工程ST21、工程ST22及び工程ST23により、図2に示すように、固体電解質層61と、導電体層62と、陰極引き出し層63とを含む陰極層60が形成される。
以下、切断後に陰極引き出し層63となる金属箔163を用いる例について説明する。
図24は、金属箔の一例を模式的に示す斜視図である。図25は、図24に示す金属箔の一部を拡大した斜視図である。
図24及び図25に示す金属箔163は、複数の素子領域R21(以下、第1の素子領域という)と、複数の素子領域R22(以下、第2の素子領域という)と、を有している。
第1の素子領域R21を厚さ方向から平面視した形状は四角形状であり、好ましくは、長辺及び短辺を有する矩形状である。第1の素子領域R21は、長さ方向Lにおいて相対する第1の端部E21及び第2の端部E22と、幅方向Wにおいて相対する第1の側部S21及び第2の側部S22とによって区画されている。第1の素子領域R21は、長さ方向Lの寸法が幅方向Wの寸法よりも大きい。そして、第1の素子領域R21の第1の端部E21を長さ方向Lに跨ぐように、第3の貫通穴H3が複数個(図25では3個)形成されているとともに、第1の素子領域R21の第2の端部E22を長さ方向Lに跨ぐように、第4の貫通穴H4が1個形成されている。第3の貫通穴H3は、第1の素子領域R21の幅よりも小さい幅を有する複数個の略丸穴からなることが好ましく、第4の貫通穴H4は、第1の素子領域R21の幅以上の幅を有する1個の長穴からなることが好ましい。
第2の素子領域R22を厚さ方向から平面視した形状は四角形状であり、好ましくは、長辺及び短辺を有する矩形状である。第2の素子領域R22は、第1の素子領域R21と同じ形状を有しているが、第1の素子領域R21とは第1の端部E21及び第2の端部E22の向きが反対である。
図24に示すように、金属箔163においては、第1の素子領域R21と第2の素子領域R22とが長さ方向Lに交互に配置されていることが好ましい。すなわち、図25に示すように、第1の素子領域R21は、隣接する第2の素子領域R22と第1の端部E21を共有するとともに、隣接する他の第2の素子領域R22と第2の端部E22を共有することが好ましい。
さらに、図24に示すように、金属箔163においては、第1の素子領域R21と第2の素子領域R22とが幅方向Wに交互に配置されていることが好ましい。すなわち、図25に示すように、第1の素子領域R21は、隣接する第2の素子領域R22と第1の側部S21を共有するとともに、隣接する他の第2の素子領域R22と第2の側部S22を共有することが好ましい。
第1の素子領域R21と第2の素子領域R22とが交互に配置される場合、第4の貫通穴H4が金属箔163の幅方向Wに偏在しないため、金属箔163の強度が低下しにくくなる。
第1の素子領域R21と第2の素子領域R22とが長さ方向Lに交互に配置されている場合、図25に示すように、第1の素子領域R21は、隣接する第2の素子領域R22と第1の端部E21及び第3の貫通穴H3を共有するとともに、隣接する他の第2の素子領域R22と第2の端部E22及び第4の貫通穴H4を共有することが好ましい。この場合、素子領域を分割するための切断回数、及び、廃棄すべき部分を減らすことができる。
第3の貫通穴H3及び第4の貫通穴H4は、例えば、レーザー加工、エッチング加工、パンチング加工等によって形成される。
第3の貫通穴H3は、素子領域の幅よりも小さい幅を有する限り、その形状、個数及び配置等は特に限定されないが、それぞれの素子領域において、幅方向Wに2個以上形成されていることが好ましい。第3の貫通穴H3が2個以上形成されている場合、これらの貫通穴は等間隔に形成されていることが好ましい。
なお、第3の貫通穴H3の1個あたりの幅が小さすぎると、後述する工程において封止材を充填することが困難となる。一方、素子領域の幅に対する第3の貫通穴H3の幅の合計の割合が大きすぎると、外装体10から露出する陰極層60の割合が小さくなるためESRが増大しやすくなる。
第4の貫通穴H4は、素子領域の幅以上の幅を有する限り、その形状は特に限定されない。
金属箔163の厚みは特に限定されないが、ESRを低減させる観点からは、5μm以上、100μm以下であることが好ましい。
金属箔163全体のサイズは特に限定されないが、弁作用金属基体140全体のサイズと同じであることが好ましい。第1の素子領域R21及び第2の素子領域R22の形状、数及び配置は、第1の素子領域R11及び第2の素子領域R12の形状、数及び配置と同じであることが好ましい。
(工程ST3)絶縁マスク層及び陰極層が形成された弁作用金属基体を封止する工程
工程ST3では、絶縁マスク層及び陰極層が形成された少なくとも1つの弁作用金属基体を外装体により封止する。
弁作用金属基体140及び金属箔163を用いる例では、まず、導電体層62まで形成された弁作用金属基体140と金属箔163とを積層する。
図26は、弁作用金属基体と金属箔とが積層される前の状態の一例を模式的に示す斜視図である。図27は、弁作用金属基体と金属箔とが積層された状態の一例を模式的に示す斜視図である。
図26に示すように、絶縁マスク層51及び導電体層62が表面に形成された弁作用金属基体140と金属箔163とを交互に積層する。この際、各素子領域の第1の端部同士及び第2の端部同士がそれぞれ対向するように、弁作用金属基体140と金属箔163とを積層する。
これにより、図27に示す積層シート170が得られる。積層シート170は、切断後にコンデンサ素子70となる。積層シート170は、高さ方向Tにおいて相対する第1主面170a及び第2主面170bを有する。なお、図27では、弁作用金属基体140の表面に形成された絶縁マスク層51及び導電体層62等を省略している(以下も同様)。
図26及び図27では、弁作用金属基体140及び金属箔163が5枚ずつ積層され、かつ、積層シート170の第1主面170aに金属箔163、第2主面170bに弁作用金属基体140が配置された例を示しているが、弁作用金属基体140及び金属箔163が積層される枚数は特に限定されない。弁作用金属基体140及び金属箔163が積層される枚数は、1枚ずつであってもよい。また、弁作用金属基体140及び金属箔163の枚数は同じでもよいし、異なっていてもよい。したがって、積層シート170の第1主面170a及び第2主面170bには、弁作用金属基体140及び金属箔163のどちらが配置されてもよい。また、積層シート170を作製する際、ガラスエポキシ基板等の基板の上に弁作用金属基体140及び金属箔163を積層してもよい。このような基板は、図2で説明した外装体10の基板11を構成する。
得られる積層シート170においては、弁作用金属基体140の第1の貫通穴H1(図9参照)と金属箔163の第3の貫通穴H3(図25参照)、及び、弁作用金属基体140の第2の貫通穴H2(図9参照)と金属箔163の第4の貫通穴H4(図25参照)がそれぞれ高さ方向Tに連通されている。
第2の貫通穴H2及び第3の貫通穴H3は、それぞれ、積層シート170の第1主面170aから第2主面170bに向かって直線状に連通されていることが好ましい。
このように、積層シート170においては、第1の貫通穴H1と第3の貫通穴H3、及び、第2の貫通穴H2と第4の貫通穴H4がそれぞれ高さ方向Tに連通されているため、積層シート170の第1主面170a及び第2主面170bのうち、少なくとも一方の主面側から、第1の貫通穴H1と第3の貫通穴H3、及び、第2の貫通穴H2と第4の貫通穴H4にそれぞれ封止材を充填することができる。
図28は、封止材が充填された弁作用金属基体の一例を模式的に示す平面図である。
図28に示すように、弁作用金属基体140には、第1の貫通穴H1に封止材を充填することで第1の封止部111が形成されるとともに、第2の貫通穴H2に封止材を充填することで第2の封止部112が形成される。
図29は、封止材が充填された金属箔の一例を模式的に示す平面図である。
図29に示すように、金属箔163には、第3の貫通穴H3に封止材を充填することで第1の封止部111が形成されるとともに、第4の貫通穴H4に封止材を充填することで第2の封止部112が形成される。
図30は、貫通穴に封止材が充填された積層シートの一例を模式的に示す斜視図である。
図27に示す積層シート170の第1主面170a及び第2主面170bのうち、少なくとも一方の主面側から、第1の貫通穴H1(図28参照)と第3の貫通穴H3(図29参照)、第2の貫通穴H2(図28参照)と第4の貫通穴H4(図29参照)にそれぞれ封止材を充填することにより、図30に示す積層ブロック体180が得られる。
図30に示すように、積層ブロック体180には、積層シート170の第1主面170a及び第2主面170bを被覆する第3の封止部113が形成されることが好ましい。図30では、第3の封止部113は、積層シート170の第1主面170a及び第2主面170bの両方を被覆するように設けられているが、積層シート170の第1主面170a及び第2主面170bのいずれか一方を被覆するように設けられていてもよい。
第1の封止部111、第2の封止部112及び第3の封止部113は、図2で説明した外装体10のモールド部12を構成する。したがって、封止材としては、モールド部12を構成する材料が用いられる。
封止材がフィラーを含む場合、封止材の充填性を確保する観点から、フィラーの最大径は、第2の貫通穴H2及び第3の貫通穴H3の最小径よりも小さいことが好ましい。なお、貫通穴の径とは、断面形状が円形の場合には直径、円形以外の場合には断面の中心を通る最大長さをいう。
また、封止材がフィラーを含む場合、封止材の充填性を確保する観点から、フィラーの最大径は、弁作用金属基体140の最小厚みよりも小さいことが好ましく、金属箔163の最小厚みよりも小さいことが好ましい。
封止材の充填は、例えば、モールド樹脂成形法等の方法により行うことができる。この方法では、第1の封止部111及び第2の封止部112に加えて、積層シート170の第1主面170a及び第2主面170bのうち、少なくとも一方の主面を被覆する第3の封止部113を同時に形成することができる。
(工程ST4)外装体を切断して、個々の固体電解コンデンサ素子に分離する工程
工程ST4では、素子領域を分断するように外装体を切断して、個々の固体電解コンデンサ素子に分離する。例えば、素子領域を分断するように積層ブロック体180を切断することで、積層シート170が個々のコンデンサ素子70に分離される。切断後、弁作用金属基体140は弁作用金属基体40となり、金属箔163は陰極引き出し層63となる。
既に説明した図28に示すように、積層ブロック体180に含まれる弁作用金属基体140には、各素子領域の第1の端部E11を跨ぐ第1の貫通穴H1を充填する第1の封止部111、及び、各素子領域の第2の端部E12を跨ぐ第2の貫通穴H2を充填する第2の封止部112が形成されている。
したがって、各素子領域の第1の端部E11及び第2の端部E12の位置で、第1の封止部111及び第2の封止部112を両側に分離するように弁作用金属基体140をダイシング等で切断すると、第1の端部E11側の切断面には、第1の封止部111が露出し、弁作用金属基体140が露出しない。一方、第2の端部E12側の切断面には、弁作用金属基体140及び第2の封止部112が露出する。
また、各素子領域の第1の側部S11及び第2の側部S12の位置で弁作用金属基体140をダイシング等で切断すると、どちらの切断面にも弁作用金属基体140が露出する。
一方、既に説明した図29に示すように、積層ブロック体180に含まれる金属箔163には、各素子領域の第1の端部E21を跨ぐ第3の貫通穴H3を充填する第1の封止部111、及び、各素子領域の第2の端部E22を跨ぐ第4の貫通穴H4を充填する第2の封止部112が形成されている。
したがって、各素子領域の第1の端部E21及び第2の端部E22の位置で、第1の封止部111及び第2の封止部112を両側に分離するように金属箔163をダイシング等で切断すると、第1の端部E21側の切断面には、金属箔163及び第1の封止部111が露出する。一方、第2の端部E22側の切断面には、第2の封止部112が露出し、金属箔163が露出しない。
また、各素子領域の第1の側部S21及び第2の側部S22の位置で金属箔163を切断すると、どちらの切断面にも金属箔163が露出する。
以上のように、積層ブロック体180を、各素子領域の第1の端部及び第2の端部の位置で切断することにより、第1の端部側の切断面には金属箔163及び第1の封止部111を露出させることができ、第2の端部側の切断面には弁作用金属基体140及び第2の封止部112を露出させることができる。
また、積層ブロック体180を、各素子領域の第1の側部及び第2の側部の位置で切断することにより得られる切断面には、金属箔163及び弁作用金属基体140の両方が露出する。そのため、これらの切断面を封止材で被覆することが好ましい。以上により、コンデンサ素子70が外装体10で封止された素子封止体が作製される。
図31は、第1端面側から見た素子封止体の一例を模式的に示す斜視図である。図32は、第2端面側から見た素子封止体の一例を模式的に示す斜視図である。
図31及び図32に示す素子封止体110においては、複数のコンデンサ素子70が外装体10で封止されている。図2と同様、複数のコンデンサ素子70は、高さ方向Tに沿って積層されている。耐湿や耐熱などの耐候性を考慮すると、高さ方向Tの相対する最外層(第3の封止部113を除く)には、切断後の金属箔163である陰極引き出し層63がそれぞれ位置していることが好ましい。
図31に示すように、外装体10の第1端面10eには、陰極引き出し層63及び第1の封止部111が露出している。一方、図32に示すように、外装体10の第2端面10fには、弁作用金属基体40及び第2の封止部112が露出している。
また、素子封止体110は、外装体10の第1主面10a及び第2主面10bを被覆する第3の封止部113、及び、外装体10の第1側面10c及び第2側面10dを被覆する第4の封止部114をさらに備えている。第1の封止部111、第2の封止部112、第3の封止部113及び第4の封止部114により、外装体10が構成される。
素子封止体110では、幅方向Wにおいて、陰極引き出し層63が外装体10の第1端面10eに露出する1層あたりの距離の和α1は、陰極引き出し層63の最大幅β1よりも小さく、かつ、弁作用金属基体40が外装体10の第2端面10fに露出する1層あたりの距離の和α2は、弁作用金属基体40の最大幅β2よりも小さい。
封止材の充填性を考慮すると、第2の貫通穴H2及び第3の貫通穴H3の幅は大きいほどよいが、その分、外装体10の第1端面10eに露出する陰極引き出し層63の割合、及び、外装体10の第2端面10fに露出する弁作用金属基体40の割合が小さくなるためESRが増大してしまう。
そのため、α1/β1の値は、0.1以上、0.9以下であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。また、α2/β2の値は、0.1以上、0.9以下であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。
なお、α1の値は、α2の値と同じでもよいし、異なっていてもよい。同様に、β1の値は、β2の値と同じでもよいし、異なっていてもよい。したがって、α1/β1の値は、α2/β2の値と同じでもよいし、異なっていてもよい。
素子封止体110は、特開2019-79866号公報に記載されている素子積層体を作製する方法と同様の方法により作製されることが好ましい。以下、簡潔に説明する。
まず、積層ブロック体180を、各素子領域の第1の側部及び第2の側部に沿って切断する。積層ブロック体180の切断には、例えば、ダイサーを用いたダイシング等の方法が適用される。
例えば、積層ブロック体180を、各素子領域の第1の側部及び第2の側部に沿って切断することによって、第1の側部及び第2の側部に沿った隙間が形成された積層ブロック体を作製する。切断によって現れた切断側面には、金属箔163及び弁作用金属基体140が露出する。なお、金属箔163及び弁作用金属基体140の露出部の厚み(高さ方向Tの厚み)は、露出していない内部の金属箔163及び弁作用金属基体140の厚みに比べて大きく、厚み方向の上下にテーパー状に拡がっている。
次に、積層ブロック体180に形成された隙間に封止材を充填する。これにより、上記隙間を充填する第4の封止部114が形成される。封止材としては、例えば、第1の封止部111、第2の封止部112及び第3の封止部113を形成するための封止材を用いることができる。
その後、積層ブロック体180を、各素子領域の第1の端部及び第2の端部の位置で、第1の封止部111及び第2の封止部112を両側に分離するように切断するとともに、各素子領域の第1の側部及び第2の側部の位置で、第4の封止部114を両側に分離するように切断する。これにより、第1の側部及び第2の側部が封止部により絶縁化された素子封止体に個片化することができる。積層ブロック体180の切断には、例えば、ダイサーを用いたダイシングやカット刃、レーザー加工、スクライブ等の方法が適用される。なお、ガラスエポキシ基板等の基板上に弁作用金属基体140及び金属箔163を積層する場合には、金属箔163を確実に切断するために、基板をハーフカットする位置まで切断することが好ましい。なお、ハーフカットすることによって、各素子領域の第1の側部及び第2の側部から基板にかけて段差形状が生まれ、この段差形状が第4の封止部114の一部で埋められた状態となる。
(工程ST5)第1外部電極を形成する工程
工程ST5では、外装体から露出する固体電解コンデンサ素子の陰極層と電気的に接続される第1外部電極を形成する。例えば、図1及び図2に示すように、外装体10の第1端面10e上に第1外部電極20を形成し、外装体10の第1端面10eに露出する陰極引き出し層63と接続させる。第1外部電極20は、例えば、めっきやスパッタ、浸漬塗布、印刷等により形成することができる。
(工程ST6)第2外部電極を形成する工程
工程ST6では、外装体から露出する固体電解コンデンサ素子の弁作用金属基体と電気的に接続される第2外部電極を形成する。例えば、図1及び図2に示すように、外装体10の第2端面10f上に第2外部電極30を形成し、外装体10の第2端面10fに露出する弁作用金属基体40と接続させる。第2外部電極30は、例えば、めっきやスパッタ、浸漬塗布、印刷等により形成することができる。
以上により、本発明の固体電解コンデンサ素子及び固体電解コンデンサを製造することができる。上述の製造方法においては、積層ブロック体180を切断して素子封止体110に個片化する際に、陽極部となる弁作用金属基体140と、陰極部となる金属箔163とを、素子封止体110のそれぞれの端面に露出させることができる。そのため、弁作用金属基体140及び金属箔163を露出させるために端面を研磨する工程が不要となる。したがって、固体電解コンデンサを効率良く製造することができる。
(その他の実施形態)
本発明の固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ、固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、固体電解コンデンサ素子及び固体電解コンデンサの構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
陰極引き出し層63が金属箔である場合、弁作用金属基体40と陰極引き出し層63とは、例えば、固体電解質層61上に設けられた導電体層62を介して接続される。この場合、導電体層62上に設けられた導電性接着剤層を介して弁作用金属基体40と陰極引き出し層63とが接続されてもよい。また、固体電解質層61上に導電体層62が設けられていなくてもよい。この場合、固体電解質層61を介して弁作用金属基体40と陰極引き出し層63とが接続されてもよいし、固体電解質層61上に設けられた導電性接着剤層を介して弁作用金属基体40と陰極引き出し層63とが接続されてもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子及び固体電解コンデンサの構成が得られる限り、製造方法は特に限定されない。例えば、第1の貫通穴H1及び第2の貫通穴H2を有する弁作用金属基体140と、第3の貫通穴H3及び第4の貫通穴H4を有する金属箔163とを積層することにより積層シート170を作製する代わりに、金属箔163を用いず、第1の貫通穴H1を有する弁作用金属基体140を積層することにより積層シート170を作製してもよい。
積層シート170を作製する方法は特に限定されない。例えば、第1の貫通穴H1を有する弁作用金属基体140と、第4の貫通穴H4を有する金属箔163とを積層することにより積層シート170を作製してもよいし、金属箔163を用いず、第1の貫通穴H1及び第2の貫通穴H2を有する弁作用金属基体140を積層することにより積層シート170を作製してもよい。
貫通穴に封止材が充填された積層ブロック体180は、必要に応じて作製される。積層ブロック体180を作製しない場合には積層シート170を切断することにより、一方、積層ブロック体180を作製する場合には積層ブロック体180を切断することにより、複数の素子封止体110を作製する。積層シート170を切断する場合には、切断後、素子封止体110の端面の必要な箇所に封止材を設ければよい。
積層シート170又は積層ブロック体180を切断する方法、及び、第1外部電極20及び第2外部電極30を形成する方法は、特に限定されるものではない。
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ、固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、絶縁マスク層によって矩形状の素子領域に区画された弁作用金属基体を用意した。1つの素子領域における容量部の寸法が、長さ方向Lの寸法:2.8mm以上3.4mm以下、幅方向Wの寸法:2.0mm以上2.6mmの間で所定の寸法になるように絶縁マスク層を形成した。
また、固体電解質を含有する処理液として、導電性高分子であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)の分散液を使用した。
[コンデンサ素子の作製]
(実施例1)
[固体電解コンデンサ素子の製造方法及び固体電解コンデンサの製造方法]の第1実施形態で説明した方法に基づき、素子領域の第1の短辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬した後、処理液から引き上げる工程と、素子領域の第2の短辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬した後、処理液から引き上げる工程を繰り返して固体電解質層を形成した。第1の短辺側からの浸漬を合計4回、第2の短辺側からの浸漬を合計4回行った。なお、処理液から引き上げる度に乾燥処理を行った。
上記のように固体電解質層を形成した後、浸漬法によりカーボン層及び銀層を形成した。以上の工程を経て、実施例1のコンデンサ素子を作製した。実施例1の条件で5水準のコンデンサ素子を作製した。
(実施例2)
[固体電解コンデンサ素子の製造方法及び固体電解コンデンサの製造方法]の第2実施形態で説明した方法に基づき、素子領域の第1の長辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬した後、処理液から引き上げる工程と、素子領域の第2の長辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬した後、処理液から引き上げる工程を繰り返して固体電解質層を形成した。第1の長辺側からの浸漬を合計4回、第2の長辺側からの浸漬を合計4回行った。なお、処理液から引き上げる度に乾燥処理を行った。
上記のように固体電解質層を形成した後、浸漬法によりカーボン層及び銀層を形成した。以上の工程を経て、実施例2のコンデンサ素子を作製した。実施例2の条件で5水準のコンデンサ素子を作製した。
(比較例1)
素子領域の第1の短辺が直交する方向に弁作用金属基体を処理液に浸漬した後、処理液から引き上げる工程を繰り返して固体電解質層を形成した。第1の短辺側からの浸漬を合計8回行った。なお、処理液から引き上げる度に乾燥処理を行った。
上記のように固体電解質層を形成した後、浸漬法によりカーボン層及び銀層を形成した。以上の工程を経て、比較例1のコンデンサ素子を作製した。比較例1の条件で5水準のコンデンサ素子を作製した。
(比較例2)
ディスペンサによって処理液を素子領域に塗布して固体電解質層を形成した後、浸漬法によりカーボン層及び銀層を形成した。以上の工程を経て、比較例2のコンデンサ素子を作製した。比較例2の条件で5水準のコンデンサ素子を作製した。
[コンデンサ素子の評価]
(容量出現率)
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2におけるコンデンサ素子の静電容量特性として容量出現率を評価した。
LCRメーターを用いて、120Hzでのコンデンサ素子の静電容量を測定した。得られたコンデンサ素子の静電容量を、陽極に誘電体層のみを形成したコンデンサ素子を用いた電解コンデンサをアジピン酸水溶液中に浸漬して測定した静電容量(水中容量)で除して、容量出現率(=静電容量/水中容量)を求めた。実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2におけるコンデンサ素子の容量出現率を表1に示す。図33は、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2におけるコンデンサ素子の容量出現率を示すグラフである。
Figure 0007435433000001
表1及び図33に示すように、浸漬法により固体電解質層を形成した実施例1、実施例2及び比較例1においては、ディスペンサにより固体電解質層を形成した比較例2に比べて、容量出現率が高い。
さらに、処理液への浸漬方向を反転させている実施例1及び実施例2では、処理液への浸漬方向を反転させていない比較例1に比べて、容量出現率が高い。これは、処理液への浸漬方向を反転させることで、素子領域全体の固体電解質層の含浸性が向上したためと考えられる。
特に、素子領域の長辺側を処理液に浸漬している実施例2では、素子領域の短辺側を処理液に浸漬している実施例1に比べて、容量出現率が高い。これは、実施例2では、実施例1に比べて、液溜まりが長辺に沿って分散されることにより、液溜まりの面積が小さくなり、結果として含浸性が向上するためと考えられる。
1 固体電解コンデンサ
10 外装体
10a 外装体の第1主面
10b 外装体の第2主面
10c 外装体の第1側面
10d 外装体の第2側面
10e 外装体の第1端面
10f 外装体の第2端面
11 基板
12 モールド部
20 第1外部電極
30 第2外部電極
40、140 弁作用金属基体
50 誘電体層
51 絶縁マスク層
60 陰極層
61 固体電解質層
61a、61b、61c、61d 厚膜部
62 導電体層
63 陰極引き出し層
70 コンデンサ素子
110 素子封止体
111 第1の封止部
112 第2の封止部
113 第3の封止部
114 第4の封止部
163 金属箔
170 積層シート
170a 積層シートの第1主面
170b 積層シートの第2主面
180 積層ブロック体
200 浸漬処理装置
210 支持板
211 シート保持部
220 処理槽
221 供給弁
222 排出弁
230 処理液
A1、A2、A3、A4 液溜まり
R11 弁作用金属基体の第1の素子領域
R12 弁作用金属基体の第2の素子領域
R21 金属箔の第1の素子領域
R22 金属箔の第2の素子領域
E11 弁作用金属基体の素子領域の第1の端部
E12 弁作用金属基体の素子領域の第2の端部
E21 金属箔の素子領域の第1の端部
E22 金属箔の素子領域の第2の端部
S11 弁作用金属基体の素子領域の第1の側部
S12 弁作用金属基体の素子領域の第2の側部
S21 金属箔の素子領域の第1の側部
S22 金属箔の素子領域の第2の側部
H1 第1の貫通穴
H2 第2の貫通穴
H3 第3の貫通穴
H4 第4の貫通穴

Claims (10)

  1. 誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体に対して、厚さ方向から平面視した形状が四角形状である複数の素子領域に区画するために、前記弁作用金属基体の前記誘電体層上に絶縁マスク層を形成する工程と、
    前記誘電体層上に陰極層を形成する工程と、を備え、
    前記陰極層を形成する工程は、前記誘電体層上の、前記絶縁マスク層によって囲まれた領域に固体電解質層を形成する工程を含み、
    前記固体電解質層を形成する工程は、固体電解質を含有する処理液に対して、前記素子領域の第1の辺が直交する方向に前記弁作用金属基体を浸漬した後、前記処理液から引き上げる工程と、前記処理液に対して、前記素子領域の第2の辺が直交する方向に前記弁作用金属基体を浸漬した後、前記処理液から引き上げる工程と、を含む、固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  2. 前記素子領域の前記第2の辺は、前記第1の辺と対向する辺である、請求項に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  3. 前記素子領域を厚さ方向から平面視した形状は、長辺及び短辺を有する矩形状であり、
    前記素子領域の前記第1の辺及び前記第2の辺は、対向する短辺である、請求項に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  4. 前記素子領域を厚さ方向から平面視した形状は、長辺及び短辺を有する矩形状であり、
    前記素子領域の前記第1の辺及び前記第2の辺は、対向する長辺である、請求項に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  5. 前記処理液は、導電性高分子の粒子が溶媒に分散した液である、請求項のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  6. 誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体に対して、厚さ方向から平面視した形状が四角形状である複数の素子領域に区画するために、前記弁作用金属基体の前記誘電体層上に絶縁マスク層を形成する工程と、
    前記誘電体層上に陰極層を形成する工程と、
    前記絶縁マスク層及び前記陰極層が形成された少なくとも1つの前記弁作用金属基体を外装体により封止する工程と、
    前記素子領域を分断するように前記外装体を切断して、個々の固体電解コンデンサ素子に分離する工程と、
    前記外装体から露出する前記固体電解コンデンサ素子の前記陰極層と電気的に接続される第1外部電極を形成する工程と、
    前記外装体から露出する前記固体電解コンデンサ素子の前記弁作用金属基体と電気的に接続される第2外部電極を形成する工程と、を備え、
    前記陰極層を形成する工程は、前記誘電体層上の、前記絶縁マスク層によって囲まれた領域に固体電解質層を形成する工程を含み、
    前記固体電解質層を形成する工程は、固体電解質を含有する処理液に対して、前記素子領域の第1の辺が直交する方向に前記弁作用金属基体を浸漬した後、前記処理液から引き上げる工程と、前記処理液に対して、前記素子領域の第2の辺が直交する方向に前記弁作用金属基体を浸漬した後、前記処理液から引き上げる工程と、を含む、固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記素子領域の前記第2の辺は、前記第1の辺と対向する辺である、請求項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記素子領域を厚さ方向から平面視した形状は、長辺及び短辺を有する矩形状であり、
    前記素子領域の前記第1の辺及び前記第2の辺は、対向する短辺である、請求項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記素子領域を厚さ方向から平面視した形状は、長辺及び短辺を有する矩形状であり、
    前記素子領域の前記第1の辺及び前記第2の辺は、対向する長辺である、請求項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 前記処理液は、導電性高分子の粒子が溶媒に分散した液である、請求項のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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