JP2023122337A - 固体電解コンデンサの製造方法、コンデンサアレイの製造方法、固体電解コンデンサ及びコンデンサアレイ - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法、コンデンサアレイの製造方法、固体電解コンデンサ及びコンデンサアレイ Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境下での長期間の使用における等価直列抵抗の増大が抑制され、かつ、静電容量が高い固体電解コンデンサ及びコンデンサアレイ並びにそれらの製造方法を提供する。【解決手段】固体電解コンデンサの製造方法において、陽極板10上の誘電体層13の表面に陰極層20を形成する工程は、第1の導電性高分子を含有する液体を用いて、第1の導電性高分子を含有する第1の導電性高分子層21Aを形成する工程と、第1の導電性高分子に比べて粒度が大きい第2の導電性高分子が分散した液体と、固体電解質層21に含有される導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料を含有する液体とを用いて、第2の導電性高分子及び絶縁性材料が混在する第2の導電性高分子層21Bを形成する工程と、第3の導電性高分子及びバインダーを含有し、第2の導電性高分子層を覆う第3の導電性高分子層21Cを形成する工程と、を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法、コンデンサアレイの製造方法、固体電解コンデンサ及びコンデンサアレイに関する。
固体電解コンデンサは、例えば、芯部の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層の表面に誘電体層が設けられ、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極板と、上記誘電体層の表面に設けられた固体電解質層を含む陰極層と、を備えている。
特許文献1には、陽極体と、上記陽極体上に形成された誘電体層と、上記誘導体層上に形成された固体電解質層とを備え、上記固体電解質層は、導電性高分子を含み、上記導電性高分子は、自己ドープ型のポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)類を含む、電解コンデンサが開示されている。
国際公開第2018/221096号
特許文献1に記載の電解コンデンサによれば、自己ドープ型のポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)類を導電性高分子として用いることで、高温環境下における等価直列抵抗(ESR)の増大を抑制できるとされている。これは、上記導電性高分子の骨格が、ポリアニリン類と比べて熱に対する耐性が高く、高温環境下において導電性高分子が劣化しにくいためと考えられている。上記導電性高分子を用いることで、高温環境下でも、固体電解質層の劣化が抑制され、固体電解質層における亀裂又は破断の発生を抑制できる結果、固体電解質層における抵抗の増加が抑制され、高い電気伝導度を維持できるため、高温環境下におけるESRの増大が抑制されると考えられている。
このように、特許文献1においては、高容量が確保された上で、高温環境下でも低いESRが維持されて耐熱性が高い固体電解コンデンサが提案されている。しかしながら、例えば105℃又は125℃といった高温環境下での長期的な動作を想定した際には、ESRが増大するおそれがある。
本発明は、高温環境下での長期間の使用における等価直列抵抗の増大が抑制され、かつ、静電容量が高い固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記固体電解コンデンサをコンデンサ素子として備えるコンデンサアレイの製造方法、上記固体電解コンデンサ及び上記コンデンサアレイを提供することを目的とする。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、芯部と、上記芯部の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層と、上記多孔質層の表面に設けられた誘電体層とを有する陽極板を用意する工程と、上記誘電体層の表面に陰極層を形成する工程と、を備える。上記陰極層を形成する工程は、導電性高分子を含有する固体電解質層を上記誘電体層の表面に形成する工程を含む。上記固体電解質層を形成する工程は、上記誘電体層の細孔の内部に第1の導電性高分子層を形成する工程と、上記誘電体層の細孔の内部に、上記第1の導電性高分子層を覆う第2の導電性高分子層を形成する工程と、上記陽極板の表面に、少なくとも上記第2の導電性高分子層を覆う第3の導電性高分子層を形成する工程と、を含む。上記第1の導電性高分子層を形成する工程では、第1の導電性高分子を含有する液体を用いて、上記第1の導電性高分子を含有する層が形成される。上記第2の導電性高分子層を形成する工程では、上記第1の導電性高分子に比べて粒度が大きい第2の導電性高分子が分散した液体と、上記固体電解質層に含有される上記導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料を含有する液体とを用いて、上記第2の導電性高分子及び上記絶縁性材料が混在する層が形成される。
本発明のコンデンサアレイの製造方法は、芯部と、上記芯部の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層と、上記多孔質層の表面に設けられた誘電体層とを有する陽極板を用意する工程と、上記陽極板に対して、複数の素子領域に区分するために、マスク層を上記多孔質層の表面に形成する工程と、上記マスク層により区分された上記素子領域内の上記誘電体層の表面に陰極層を形成する工程と、上記陰極層が形成された上記陽極板を分断して上記素子領域を分けることにより、複数のコンデンサ素子に分離する工程と、上記複数のコンデンサ素子を覆うように封止層を形成する工程と、を備える。上記陰極層を形成する工程は、導電性高分子を含有する固体電解質層を上記誘電体層の表面に形成する工程を含む。上記固体電解質層を形成する工程は、上記誘電体層の細孔の内部に第1の導電性高分子層を形成する工程と、上記誘電体層の細孔の内部に、上記第1の導電性高分子層を覆う第2の導電性高分子層を形成する工程と、上記陽極板の表面に、少なくとも上記第2の導電性高分子層を覆う第3の導電性高分子層を形成する工程と、を含む。上記第1の導電性高分子層を形成する工程では、第1の導電性高分子を含有する液体を用いて、上記第1の導電性高分子を含有する層が形成される。上記第2の導電性高分子層を形成する工程では、上記第1の導電性高分子に比べて粒度が大きい第2の導電性高分子が分散した液体と、上記固体電解質層に含有される上記導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料を含有する液体とを用いて、上記第2の導電性高分子及び上記絶縁性材料が混在する層が形成される。
本発明の固体電解コンデンサは、芯部と、上記芯部の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層と、上記多孔質層の表面に設けられた誘電体層とを有する陽極板と、上記誘電体層の表面に設けられた陰極層と、を備える。上記陰極層は、上記誘電体層の表面に設けられ、導電性高分子を含有する固体電解質層を含む。上記固体電解質層は、上記誘電体層の細孔の内部に設けられた第1の導電性高分子層と、上記誘電体層の細孔の内部に設けられ、上記第1の導電性高分子層を覆う第2の導電性高分子層と、上記陽極板の表面に設けられ、少なくとも上記第2の導電性高分子層を覆う第3の導電性高分子層と、を含む。上記第1の導電性高分子層は、自己ドープ型の第1の導電性高分子を含有する層である。上記第2の導電性高分子層は、非自己ドープ型の第2の導電性高分子と、上記固体電解質層に含有される上記導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料とが混在する層である。
本発明のコンデンサアレイは、複数のコンデンサ素子と、上記複数のコンデンサ素子を覆うように設けられた封止層と、を備える。上記複数のコンデンサ素子は、各々、本発明の固体電解コンデンサである。
本発明によれば、高温環境下での長期間の使用における等価直列抵抗の増大が抑制され、かつ、静電容量が高い固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、上記固体電解コンデンサをコンデンサ素子として備えるコンデンサアレイの製造方法、上記固体電解コンデンサ及び上記コンデンサアレイを提供することができる。
図1は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す固体電解コンデンサの斜視図である。 図3は、図2に示す固体電解コンデンサにおいて破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。 図4は、本発明の固体電解コンデンサの別の一例を模式的に示す断面図である。 図5は、図4に示す固体電解コンデンサから第3の導電性高分子層、第1の導電体層及び第2の導電体層を除いた状態の斜視図である。 図6は、本発明の固体電解コンデンサのさらに別の一例を模式的に示す断面図である。 図7は、陽極板を用意する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図8は、図7に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。 図9は、第1の導電性高分子層を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。 図10は、第2の導電性高分子層を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。 図11は、第3の導電性高分子層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図12は、図11に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。 図13は、第1の導電体層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図14は、図13に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。 図15は、第2の導電体層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図16は、図15に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。 図17は、本発明のコンデンサアレイの一例を模式的に示す断面図である。 図18は、図17に示すコンデンサアレイの斜視図である。 図19は、図18に示すコンデンサアレイにおいて破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。 図20は、陽極板を用意する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図21は、固体電解質層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図22は、図21に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。 図23は、第1の導電体層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図24は、第2の導電体層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図25は、陰極層が形成された陽極板を分断する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図26は、第2貫通孔を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図27は、封止層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図28は、第1貫通孔を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図29は、スルーホール導体を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図30は、ビア導体を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。 図31は、実施例1の固体電解コンデンサを構成する固体電解質層の一部を模式的に示す断面図である。 図32は、比較例1の固体電解コンデンサを構成する固体電解質層の一部を模式的に示す断面図である。 図33は、比較例2の固体電解コンデンサを構成する固体電解質層の一部を模式的に示す断面図である。 図34は、実施例1及び比較例1における固体電解コンデンサのESRを示すグラフである。 図35は、実施例1及び比較例2における固体電解コンデンサのESR変化率を示すグラフである。 図36は、実施例1及び比較例2における固体電解コンデンサの静電容量を示すグラフである。
以下、本発明の固体電解コンデンサの製造方法、コンデンサアレイの製造方法、固体電解コンデンサ及びコンデンサアレイについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。
[固体電解コンデンサ]
図1は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す固体電解コンデンサの斜視図である。なお、図1は、図2に示す固体電解コンデンサのA-A線に沿った断面図である。図3は、図2に示す固体電解コンデンサにおいて破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。
図1及び図2に示す固体電解コンデンサ1は、陽極板10と、陰極層20とを備える。図1及び図2に示すように、固体電解コンデンサ1は、陰極層20を囲む領域に設けられたマスク層30をさらに備えてもよい。
陽極板10は、芯部11と、芯部11の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層12と、多孔質層12の表面に設けられた誘電体層13(図3参照)とを有する。図1においては、陽極板10の多孔質層12が単独で示されているが、実際には、後述するように、陰極層20を構成する固体電解質層21の一部が誘電体層13の細孔(凹部)の内部に設けられている。図4、図6及び図17においても同様である。
陽極板10は、いわゆる弁作用を示す弁作用金属からなる。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム等の金属単体、又は、これらの金属の少なくとも1種を含む合金等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
陽極板10の形状は、平板状であることが好ましく、箔状であることがより好ましい。陽極板10では、芯部11の少なくとも一方の主面に多孔質層12が設けられていればよく、芯部11の両方の主面に多孔質層12が設けられていてもよい。多孔質層12は、陽極板10の表面に形成されたエッチング層であることが好ましい。
エッチング処理前の陽極板10の厚さは、60μm以上、200μm以下であることが好ましい。エッチング処理後にエッチングされていない芯部11の厚さは、15μm以上、70μm以下であることが好ましい。多孔質層12の厚さは要求される耐電圧、静電容量に合わせて設計されるが、芯部11の両側の多孔質層12を合わせて10μm以上、180μm以下であることが好ましい。
多孔質層12の孔径は、10nm以上、600nm以下であることが好ましい。なお、多孔質層12の孔径とは、水銀ポロシメータにより測定されるメジアン径D50を意味する。多孔質層12の孔径は、例えばエッチングにおける各種条件を調整することにより制御することができる。
誘電体層13は、多孔質層12の表面状態を反映して多孔質になっており、微細な凹凸状の表面形状を有している(図3参照)。誘電体層13は、上記弁作用金属の酸化皮膜からなることが好ましい。例えば、陽極板10としてアルミニウム箔が用いられる場合、アジピン酸アンモニウム等を含む水溶液中でアルミニウム箔の表面に対して陽極酸化処理(化成処理ともいう)を行うことにより、酸化皮膜からなる誘電体層13を形成することができる。
誘電体層13の厚さは要求される耐電圧、静電容量に合わせて設計されるが、10nm以上、100nm以下であることが好ましい。
陰極層20は、誘電体層13の表面に設けられている。陽極板10にマスク層30が設けられている場合、マスク層30に囲まれた領域(以下、素子領域ともいう)内の誘電体層13の表面に陰極層20が設けられていることが好ましい。なお、陰極層20は、マスク層30の表面にまで延びるように設けられていてもよい。
陰極層20は、誘電体層13の表面に設けられた固体電解質層21を含む。陰極層20は、固体電解質層21の表面に設けられた導電体層22をさらに含むことが好ましい。図1においては、固体電解質層21が陽極板10の多孔質層12と完全に分離した状態で示されているが、実際には、図3に示すように、固体電解質層21を構成する第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bが誘電体層13の細孔(凹部)の内部に設けられているとともに、固体電解質層21を構成する第3の導電性高分子層21Cが陽極板10の表面に設けられている。
固体電解質層21は、導電性高分子を含有する。
固体電解質層21を構成する材料としては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等の導電性高分子等が挙げられる。これらの中では、ポリチオフェン類が好ましく、PEDOTと呼ばれるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。また、上記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等のドーパントを含んでいてもよい。
陽極板10の表面からの固体電解質層21の厚さは、2μm以上、20μm以下であることが好ましい。
固体電解質層21の厚さは、図3に示すような陽極板10の厚さ方向の断面における電子顕微鏡写真により測定することができる。後述する固体電解質層21を構成する各層の厚さを測定する方法も同様である。
固体電解質層21は、図3に示すように、第1の導電性高分子層21Aと、第2の導電性高分子層21Bと、第3の導電性高分子層21Cとを含む。
第1の導電性高分子層21Aは、誘電体層13の細孔(凹部)の内部に設けられている。第1の導電性高分子層21Aは、誘電体層13の細孔の全体を覆ってもよく、誘電体層13の細孔の一部を覆ってもよい。
第1の導電性高分子層21Aは、自己ドープ型の第1の導電性高分子を含有する層である。自己ドープ型の第1の導電性高分子は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。第1の導電性高分子層21Aは、1層でもよく、2層以上でもよい。
自己ドープ型の導電性高分子とは、導電性高分子の骨格(例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)骨格等)に共有結合により直接的に又は間接的に結合したアニオン性基を有する導電性高分子を意味する。この導電性高分子自体が有するアニオン性基が導電性高分子のドーパントとして機能することから、自己ドープ型と称される。アニオン性基には、例えば、酸性基(酸型)もしくはその共役アニオン基(塩型)が含まれる。
アニオン性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基又はこれらの塩(無機塩基との塩、有機塩基との塩)等が挙げられる。アニオン性基は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。アニオン性基としては、スルホン酸基又はその塩が好ましく、スルホン酸基又はその塩とスルホン酸基又はその塩以外のアニオン性基との組み合わせでもよい。
第1の導電性高分子層21Aは、第1の導電性高分子以外の導電性高分子(例えば、後述の非自己ドープ型の第2の導電性高分子等)を含んでもよいが、第1の導電性高分子層21Aに含有される導電性高分子全体に占める第1の導電性高分子の比率は、例えば、90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
第1の導電性高分子は、必要に応じて、ドーパントを含んでいてもよい。
第1の導電性高分子層21Aは、例えば、第1の導電性高分子を含有する液体、好ましくは第1の導電性高分子が溶解した液体を陽極板10の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。具体的には、上記の液体を浸漬法(ディップ法)、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって陽極板10の表面に塗布することにより、所定の領域に第1の導電性高分子層21Aを形成することができる。
第2の導電性高分子層21Bは、誘電体層13の細孔(凹部)の内部に設けられ、第1の導電性高分子層21Aを覆っている。第2の導電性高分子層21Bは、第1の導電性高分子層21Aの全体を覆ってもよく、第1の導電性高分子層21Aの一部を覆ってもよい。第2の導電性高分子層21Bは、誘電体層13の細孔(凹部)を充填してもよい。
第2の導電性高分子層21Bは、非自己ドープ型の第2の導電性高分子と、固体電解質層21に含有される導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料とが混在する層である。非自己ドープ型の第2の導電性高分子は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。同様に、絶縁性材料は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。第2の導電性高分子層21Bは、1層でもよく、2層以上でもよい。
固体電解コンデンサ1では、自己ドープ型の第1の導電性高分子を含有する第1の導電性高分子層21Aによって誘電体層13の細孔の内部の大部分を被覆することによって、誘電体層13の細孔の深部にまで導電性高分子が浸透するため、静電容量を高くすることができる。一方、非自己ドープ型の第2の導電性高分子は、自己ドープ型の第1の導電性高分子に比べて浸透性は低いが、耐熱性が高い。ただし、この状態では耐熱性が不充分であるため、高温環境下での使用中にESRが増大してしまう。このESRの増大を抑制するために、固体電解質層21に含有される導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料が用いられている。しかし、固体電解質層21に絶縁性材料が添加されることで、初期のESRとの間でトレードオフとなってしまう。そこで、第2の導電性高分子と絶縁性材料とが混在した状態で第2の導電性高分子層21Bを形成することによって、初期のESRの低下とESRの増大抑制とを両立させることができる。
以上により、高温環境下での長期間の使用におけるESRの増大が抑制され、かつ、静電容量が高い固体電解コンデンサ1を得ることができる。
非自己ドープ型の導電性高分子とは、導電性高分子の骨格に共有結合で直接的に又は間接的に結合したアニオン性基(具体的には、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基及びこれらの塩)を有さない導電性高分子を意味する。
第2の導電性高分子は、必要に応じて、ドーパントを含んでいてもよい。
絶縁性材料は、導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する機能を有するものであれば特に限定されない。このような絶縁性材料としては、例えば、導電性高分子の分子鎖中で熱を起点として発生したラジカル(R・)、及び、上記ラジカル(R・)が酸素と反応して生成したパーオキシラジカル(ROO・)に対して、水素ラジカル(H・)を供給して安定化させる機能を有する材料、例えばフェノール系材料又はリン系材料等が挙げられる。あるいは、絶縁性材料は、導電性高分子と酸素との反応における活性化エネルギーよりも低い活性化エネルギーで酸素と反応する材料(例えば、分子内に不飽和基を有する炭化水素材料)、活性炭又はゼオライトなどのガス吸着性に優れた材料などであってもよい。
ESRを低くする観点から、第2の導電性高分子層21Bの内部に絶縁性材料が偏在していないことが好ましく、第2の導電性高分子層21Bの内部に絶縁性材料が均一に分散していることがより好ましい。例えば、絶縁性材料が存在する5μm以内の領域には、固体電解質層21に含有される導電性高分子の少なくとも1種が存在することが好ましく、絶縁性材料が存在する2μm以内の領域には、固体電解質層21に含有される導電性高分子の少なくとも1種が存在することがより好ましい。
第2の導電性高分子層21Bの厚さは、第1の導電性高分子層21Aの厚さと同じでもよく、第1の導電性高分子層21Aの厚さより大きくてもよく、第1の導電性高分子層21Aの厚さより小さくてもよい。
第2の導電性高分子層21Bは、例えば、第2の導電性高分子が分散した液体と、絶縁性材料を含有する液体、好ましくは絶縁性材料が溶解した液体とを、第1の導電性高分子層21Aが形成された陽極板10の表面に同時に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。具体的には、これらの液体を浸漬法(ディップ法)、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって第1の導電性高分子層21Aが形成された陽極板10の表面に同時に塗布することにより、所定の領域に第2の導電性高分子層21Bを形成することができる。
第3の導電性高分子層21Cは、陽極板10の表面に設けられ、少なくとも第2の導電性高分子層21Bを覆っている。第3の導電性高分子層21Cは、第2の導電性高分子層21Bだけでなく第1の導電性高分子層21Aを覆っていてもよい。
第3の導電性高分子層21Cは、第3の導電性高分子を含有する層である。第3の導電性高分子層21Cは、バインダーをさらに含有することが好ましい。第3の導電性高分子層21Cは、1層でもよく、2層以上でもよい。
第3の導電性高分子は、自己ドープ型でもよく、非自己ドープ型でもよい。第3の導電性高分子は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。第3の導電性高分子は、必要に応じて、ドーパントを含んでいてもよい。
第3の導電性高分子層21Cの厚さは、第1の導電性高分子層21Aの厚さより大きいことが好ましく、第2の導電性高分子層21Bの厚さより大きいことが好ましい。
第3の導電性高分子層21Cは、例えば、第3の導電性高分子を含有する液体を、第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bが形成された陽極板10の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。具体的には、上記の液体を浸漬法(ディップ法)、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって、第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bが形成された陽極板10の表面に塗布することにより、所定の領域に第3の導電性高分子層21Cを形成することができる。
あるいは、3,4-エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを含有する液体を用いて、第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bが形成された陽極板10の表面に第3の導電性高分子の重合膜を形成する等によって第3の導電性高分子層21Cが形成されてもよい。この場合も、上記の液体を浸漬法(ディップ法)、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって、第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bが形成された陽極板10の表面に塗布することにより、所定の領域に第3の導電性高分子層21Cを形成することができる。
導電体層22は、導電性樹脂層及び金属層のうち、少なくとも1層を含む。導電体層22は、導電性樹脂層のみでもよく、金属層のみでもよい。導電体層22は、固体電解質層21の全体を覆ってもよく、固体電解質層21の一部を覆ってもよい。
導電性樹脂層としては、例えば、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラー及びカーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種の導電性フィラーを含む導電性接着剤層等が挙げられる。
金属層としては、例えば、金属めっき膜、金属箔等が挙げられる。金属層は、ニッケル、銅、銀及びこれらの金属を主成分とする合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。なお、「主成分」とは、重量割合が最も大きい元素成分をいう。
導電体層22は、例えば、固体電解質層21の表面に設けられた第1の導電体層22Aと、第1の導電体層22Aの表面に設けられた第2の導電体層22Bとを含む。このように、導電体層22は、複数種類の導電体層を含むことが好ましい。
第1の導電体層22Aは、例えば、導電性フィラーを含有する導電性樹脂層である。導電性フィラーは、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラー及びカーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
第2の導電体層22Bは、例えば、金属フィラーを含有する導電性樹脂層である。金属フィラーは、銀フィラー、銅フィラー及びニッケルフィラーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一例として、導電体層22は、第1の導電体層22Aとしてのカーボン層と、第2の導電体層22Bとしての銅層とを含む。
カーボン層は、固体電解質層21と銅層とを電気的に及び機械的に接続させるために設けられている。カーボン層は、カーボンペーストを浸漬法(ディップ法)、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって固体電解質層21上に塗布することにより、所定の領域に形成することができる。なお、カーボン層は、乾燥前の粘性のある状態で、次工程の銅層を積層することが好ましい。カーボン層の厚さは、2μm以上、20μm以下であることが好ましい。
銅層は、銅ペーストを浸漬法(ディップ法)、スポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等によってカーボン層上に印刷することにより形成することができる。銅層の厚さは、2μm以上、20μm以下であることが好ましい。
マスク層30は、多孔質層12の表面に設けられている。マスク層30は、多孔質層12上の誘電体層13の表面に設けられていてもよい。マスク層30は、多孔質層12又は誘電体層13の細孔(凹部)を充填するように設けられていることが好ましい。
マスク層30は、絶縁材料を含有する。
マスク層30は、樹脂からなることが好ましい。マスク層30を構成する樹脂としては、例えば、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、及び、それらの誘導体又は前駆体等の絶縁性樹脂が挙げられる。
マスク層30に無機フィラーが含まれると固体電解コンデンサ1の有効部に悪影響を及ぼすおそれがあるため、マスク層30は樹脂単独の系からなることが好ましい。
マスク層30は、例えば、絶縁性樹脂を含む組成物等のマスク材を、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等の方法によって多孔質層12上に塗布することにより形成することができる。
陽極板10の表面からのマスク層30の厚さは、20μm以下であることが好ましい。陽極板10の表面からのマスク層30の厚さは、0μmでもよいが、2μm以上であることが好ましい。
マスク層30の厚さは、陽極板10の厚さ方向の断面における電子顕微鏡写真により測定することができる。
図4は、本発明の固体電解コンデンサの別の一例を模式的に示す断面図である。図5は、図4に示す固体電解コンデンサから第3の導電性高分子層、第1の導電体層及び第2の導電体層を除いた状態の斜視図である。
図4に示す固体電解コンデンサ1Aにおいて、陽極板10の表面には、第1の導電性高分子層21Aの一部及び/又は第2の導電性高分子層21Bの一部が露出している。図5に示すように、陽極板10の表面に第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bが存在する領域の面積に比べて、陽極板10の表面に第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bが存在しない領域の面積が大きい。なお、陽極板10の表面には、第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bのうち、第1の導電性高分子層21Aの一部のみが露出してもよく、第2の導電性高分子層21Bの一部のみが露出してもよく、第1の導電性高分子層21Aの一部及び第2の導電性高分子層21Bの一部の両方が露出してもよい。
図5に示すように、陽極板10の表面に露出している部分の第1の導電性高分子層21A及び/又は第2の導電性高分子層21Bは、マスク層30に接することが好ましい。特に、マスク層30の内縁に沿って第1の導電性高分子層21Aの一部及び/又は第2の導電性高分子層21Bの一部が露出していることが好ましい。その場合、第1の導電性高分子層21Aの一部及び/又は第2の導電性高分子層21Bの一部は、マスク層30の内縁の全体に沿って露出していてもよく、マスク層30の内縁の一部に沿って露出していてもよい。
図4に示す固体電解コンデンサ1Aでは、さらに、第3の導電性高分子層21Cの一部が、誘電体層13(図3参照)の細孔の内部に入り込んでいる。第3の導電性高分子層21Cが、誘電体層13の細孔を覆いつつ、誘電体層13の細孔の内部に入り込んでいる場合、第3の導電性高分子層21Cのアンカー効果により、多孔質層12と固体電解質層21との間でのデラミネーションの発生が抑制されやすくなる。
第3の導電性高分子層21Cが入り込む深さは特に限定されず、図3に示すような陽極板10の厚さ方向の断面を観察した際、誘電体層13の細孔の内部に第3の導電性高分子層21Cの一部が入り込んでいればよい。
図4に示す固体電解コンデンサ1Aにおいて、陰極層20が導電体層22を含む場合、導電体層22は、金属フィラーを含有する導電性樹脂層を含んでもよい。例えば、第2の導電体層22Bが金属フィラーを含有する導電性樹脂層である場合、固体電解質層21と導電体層22との間で線膨張係数等の熱特性の違いが大きくなるため、固体電解質層21と導電体層22との間でデラミネーションが発生しやすくなる。このような場合であっても、第3の導電性高分子層21Cの一部が誘電体層13の細孔の内部に入り込むことにより、固体電解質層21と導電体層22との間でのデラミネーションの発生を抑制することができる。
図6は、本発明の固体電解コンデンサのさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
図6に示す固体電解コンデンサ1Bでは、陰極層20を覆うように封止層40が設けられている。封止層40は、陰極層20だけでなくマスク層30も覆っている。封止層40は、陽極板10の両方の主面を覆うように設けられていてもよく、陽極板10のいずれか一方の主面を覆うように設けられていてもよい。
図6に示す例では、図1及び図2に示す固体電解コンデンサ1と同じ構成を有するコンデンサ素子を覆うように封止層40が設けられているが、封止層40に覆われるコンデンサ素子は、図4に示す固体電解コンデンサ1A等の固体電解コンデンサでもよい。また、2種以上のコンデンサ素子が封止層40に覆われてもよい。
封止層40は、絶縁材料を含有する。
封止層40は、樹脂からなることが好ましい。封止層40を構成する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。封止層40は、マスク層30と同じ樹脂で構成されてもよい。
封止層40は、フィラーをさらに含むことが好ましい。封止層40に含まれるフィラーとしては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、金属粒子等の無機フィラーが挙げられる。
封止層40は、1層のみから構成されてもよいし、2層以上から構成されてもよい。封止層40が2層以上から構成される場合、各封止層を構成する材料は、それぞれ同じでもよく、異なっていてもよい。
封止層40と陰極層20との間又は封止層40とマスク層30との間には、例えば、応力緩和層、防湿膜等の層が設けられていてもよい。
応力緩和層は、絶縁性樹脂から構成されることが好ましい。応力緩和層を構成する絶縁性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。さらに、応力緩和層は、フィラーを含むことが好ましい。応力緩和層に含まれるフィラーとしては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、金属粒子等の無機フィラーが挙げられる。応力緩和層を構成する絶縁性樹脂は、封止層40を構成する樹脂と異なることが好ましい。
封止層40には、外装体として外部電極との密着性などの特性が要求されるため、一概に固体電解コンデンサ1等のコンデンサ素子と線膨張係数を合わせることや任意の弾性率の樹脂を選択することは難しい。これに対し、応力緩和層を設けることにより、コンデンサ素子及び封止層40のそれぞれの機能を失うことなく熱応力設計の調整を行うことができる。
応力緩和層は、封止層40よりも透湿性が低いことが好ましい。この場合、応力の調整に加えて、コンデンサ素子への水分の浸入を低減することができる。応力緩和層の透湿性は、応力緩和層を構成する絶縁性樹脂の種類、応力緩和層に含まれるフィラーの量などによって調整することができる。
図6に示すように、封止層40には、ビア導体50が設けられていてもよい。
ビア導体50は、厚さ方向において、封止層40の表面から陰極層20(図6に示す例では第2の導電体層22B)に達するように設けられている。これにより、陰極層20が、ビア導体50を介して封止層40の外部に電気的に導出されるため、封止層40の外部に電気的に接続可能となる。
ビア導体50を構成する材料としては、例えば、銀、金、銅等の低抵抗の金属が挙げられる。
ビア導体50は、例えば、以下のようにして形成される。まず、封止層40に対して、ドリル加工、レーザー加工等を行うことにより、厚さ方向において、封止層40の表面から陰極層20(例えば第2の導電体層22B)に達する孔を形成する。そして、封止層40に形成された孔に対して、内壁面にめっき処理を行ったり、導電性ペーストを充填した後に熱処理を行ったりすることにより、ビア導体50を形成する。
図6には示されていないが、固体電解コンデンサ1Bには、後述する第1スルーホール導体61及び第2スルーホール導体62等のスルーホール導体60が設けられていてもよい。
[固体電解コンデンサの製造方法]
以下、本発明の固体電解コンデンサの製造方法の一例として、図1及び図2に示す固体電解コンデンサ1を製造する方法の一例について、図面を参照しながら工程ごとに説明する。
図7は、陽極板を用意する工程の一例を模式的に示す斜視図である。図8は、図7に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。
例えば、弁作用金属からなる陽極板10を用意する。陽極板10は、芯部11(図1参照)と、芯部11の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層12(図1及び図8参照)と、多孔質層12の表面に設けられた誘電体層13(図8参照)とを有する。
例えば、芯部11の少なくとも一方の主面に多孔質層12が設けられた陽極板10に対して陽極酸化処理を行うことにより、多孔質層12の表面に誘電体層13を形成することができる。
あるいは、多孔質層12の表面に誘電体層13が設けられた陽極板10として、化成箔を用意してもよい。
図7に示すように、陽極板10に対して、陰極層20が形成されるべき領域を囲むように、マスク層30を多孔質層12の表面に形成してもよい。マスク層30は、多孔質層12上の誘電体層13の表面に形成されてもよい。マスク層30は、多孔質層12又は誘電体層13の細孔(凹部)を充填するように形成されることが好ましい。
次に、誘電体層13の表面に陰極層20を形成する。陽極板10にマスク層30が形成される場合、マスク層30に囲まれた素子領域内の誘電体層13の表面に陰極層20を形成することが好ましい。なお、マスク層30の表面にまで延びるように陰極層20を形成してもよい。
陰極層20を形成する工程は、導電性高分子を含有する固体電解質層21を誘電体層13の表面に形成する工程を含む。
固体電解質層21を形成する工程は、第1の導電性高分子層21Aを形成する工程と、第2の導電性高分子層21Bを形成する工程と、第3の導電性高分子層21Cを形成する工程とを含む。
図9は、第1の導電性高分子層を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
図9に示すように、誘電体層13の細孔(凹部)の内部に第1の導電性高分子層21Aを形成する。誘電体層13の細孔の全体を覆うように第1の導電性高分子層21Aを形成してもよく、誘電体層13の細孔の一部を覆うように第1の導電性高分子層21Aを形成してもよい。
第1の導電性高分子層21Aを形成する工程では、第1の導電性高分子を含有する液体を用いて、第1の導電性高分子を含有する層が形成される。第1の導電性高分子層21Aは、第1の導電性高分子が溶解した液体を用いて形成されることが好ましい。
第1の導電性高分子は、例えば、自己ドープ型の導電性高分子である。第1の導電性高分子は、必要に応じて、ドーパントを含んでいてもよい。
第1の導電性高分子層21Aは、第1の導電性高分子を含有する液体を塗布することによって形成されることが好ましい。具体的には、第1の導電性高分子層21Aは、第1の導電性高分子を含有する液体、好ましくは第1の導電性高分子が溶解した液体を陽極板10の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。塗布及び乾燥は、要求される特性によって任意の回数を繰り返せばよいが、デラミネーションに対する耐性、コストの最小化等を考慮すると、1回以上、3回以下であることが好ましい。
図10は、第2の導電性高分子層を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
図10に示すように、誘電体層13の細孔(凹部)の内部に、第1の導電性高分子層21Aを覆う第2の導電性高分子層21Bを形成する。第1の導電性高分子層21Aの全体を覆うように第2の導電性高分子層21Bを形成してもよく、第1の導電性高分子層21Aの一部を覆うように第2の導電性高分子層21Bを形成してもよい。誘電体層13の細孔(凹部)を充填するように第2の導電性高分子層21Bを形成してもよい。
第2の導電性高分子層21Bを形成する工程では、第1の導電性高分子に比べて粒度が大きい第2の導電性高分子が分散した液体と、固体電解質層21に含有される導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料を含有する液体とを用いて、第2の導電性高分子及び絶縁性材料が混在する層が形成される。第2の導電性高分子層21Bは、第2の導電性高分子が分散した液体と、絶縁性材料が溶解した液体とを用いて形成されることが好ましい。
相対的に粒度が小さい第1の導電性高分子を含有する第1の導電性高分子層21Aによって誘電体層13の細孔の内部の大部分を被覆することによって、誘電体層13の細孔の深部にまで導電性高分子が浸透するため、静電容量を高くすることができる。一方、相対的に粒度が大きい第2の導電性高分子は、第1の導電性高分子に比べて浸透性は低いが、耐熱性が高い。ただし、この状態では耐熱性が不充分であるため、高温環境下での使用中にESRが増大してしまう。このESRの増大を抑制するために、固体電解質層21に含有される導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料が用いられている。しかし、固体電解質層21に絶縁性材料が添加されることで、初期のESRとの間でトレードオフとなってしまう。そこで、第2の導電性高分子と絶縁性材料とが混在した状態で第2の導電性高分子層21Bを形成することによって、初期のESRの低下とESRの増大抑制とを両立させることができる。
導電性高分子の粒度は、動的光散乱法(DLS)により測定することができる。
第2の導電性高分子は、例えば、非自己ドープ型の導電性高分子である。第2の導電性高分子は、必要に応じて、ドーパントを含んでいてもよい。
第2の導電性高分子層21Bは、第2の導電性高分子が分散した液体と、絶縁性材料を含有する液体とを同時に塗布することによって形成されることが好ましい。具体的には、第2の導電性高分子層21Bは、第2の導電性高分子が分散した液体と、絶縁性材料を含有する液体、好ましくは絶縁性材料が溶解した液体とを、第1の導電性高分子層21Aが形成された陽極板10の表面に同時に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。塗布及び乾燥は、要求される特性によって任意の回数を繰り返せばよいが、例えば金属を含有する陰極層を形成する場合又は封止層を形成する場合には、デラミネーションに対する耐性を向上させる観点から、1回以上、5回以下であることが好ましい。
なお、第2の導電性高分子が分散した液体と、絶縁性材料を含有する液体とを同時に塗布するとは、一方の液体を乾燥させる前に他方の液体を塗布することを意味し、その方法については特に限定されない。
第2の導電性高分子が分散した液体と、絶縁性材料を含有する液体とを同時に塗布する方法では、例えば絶縁性材料の影響で第2の導電性高分子の分散安定性が悪化するような材料の組み合わせにおいても、予め材料を混合しておく方法に比べて、材料が凝集する前に乾燥定着を進めることができる。
ESRの増大を抑制する観点からは、第2の導電性高分子に対する絶縁性材料の固形分重量比が、1/10以上、10/1以下であることが好ましい。
図11は、第3の導電性高分子層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。図12は、図11に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。
図11及び図12に示すように、陽極板10の表面に、少なくとも第2の導電性高分子層21Bを覆う第3の導電性高分子層21Cを形成する。第2の導電性高分子層21Bだけでなく第1の導電性高分子層21Aを覆うように第3の導電性高分子層21Cを形成してもよい。第3の導電性高分子層21Cを形成することにより、固体電解質層21が形成される。
第3の導電性高分子層21Cを形成する工程では、第3の導電性高分子を含有する液体を用いて、第3の導電性高分子を含有する層が形成される。第3の導電性高分子に加えてバインダーを含有する液体を用いることが好ましい。
第3の導電性高分子は、自己ドープ型でもよく、非自己ドープ型でもよい。第3の導電性高分子は、必要に応じて、ドーパントを含んでいてもよい。
第3の導電性高分子層21Cは、例えば、第3の導電性高分子を含有する液体を、第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bが形成された陽極板10の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。あるいは、3,4-エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを含有する液体を用いて、第1の導電性高分子層21A及び第2の導電性高分子層21Bが形成された陽極板10の表面に第3の導電性高分子の重合膜を形成する等によって第3の導電性高分子層21Cが形成されてもよい。
陰極層20を形成する工程は、固体電解質層21の表面に導電体層22を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
導電体層22を形成する工程は、例えば、固体電解質層21の表面に第1の導電体層22Aを形成する工程と、第1の導電体層22Aの表面に第2の導電体層22Bを形成する工程とを含む。
図13は、第1の導電体層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。図14は、図13に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。
図13及び図14に示すように、固体電解質層21の表面に第1の導電体層22Aを形成する。第1の導電体層22Aは、例えば、導電性フィラーを含有する導電性樹脂層である。
図15は、第2の導電体層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。図16は、図15に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。
図15及び図16に示すように、第1の導電体層22Aの表面に第2の導電体層22Bを形成する。これにより、導電体層22が形成される。第2の導電体層22Bは、例えば、金属フィラーを含有する導電性樹脂層である。このように、導電体層22を形成する工程は、金属フィラーを含有する導電性樹脂層を形成する工程を含んでもよい。
一例として、導電体層22は、第1の導電体層22Aとしてのカーボン層と、第2の導電体層22Bとしての銅層とを含む。
以上の工程を経て、図1及び図2に示す固体電解コンデンサ1を製造することができる。
[コンデンサアレイ]
図17は、本発明のコンデンサアレイの一例を模式的に示す断面図である。図18は、図17に示すコンデンサアレイの斜視図である。なお、図17は、図18に示すコンデンサアレイのB-B線に沿った断面図である。図19は、図18に示すコンデンサアレイにおいて破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。
図17及び図18に示すコンデンサアレイ100は、複数のコンデンサ素子110と、複数のコンデンサ素子110を覆うように設けられた封止層40と、を備える。封止層40には、ビア導体50が設けられていてもよい。封止層40及びビア導体50については図6に示す固体電解コンデンサ1Bで説明したため、詳細な説明は省略する。
複数のコンデンサ素子110は、各々、本発明の固体電解コンデンサである。そのため、コンデンサ素子110の詳細については省略する。図17、図18及び図19に示す例では、コンデンサ素子110として、図1及び図2に示す固体電解コンデンサ1が用いられているが、例えば、図4に示す固体電解コンデンサ1A等の固体電解コンデンサが用いられてもよい。
コンデンサ素子110は、陽極板10と、陰極層20とを備える。
陽極板10は、芯部11と、芯部11の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層12と、多孔質層12の表面に設けられた誘電体層13(図19参照)とを有する。
陰極層20は、誘電体層13の表面に設けられた固体電解質層21を含む。陰極層20は、固体電解質層21の表面に設けられた導電体層22をさらに含むことが好ましい。
固体電解質層21は、図19に示すように、第1の導電性高分子層21Aと、第2の導電性高分子層21Bと、第3の導電性高分子層21Cとを含む。
導電体層22は、例えば、固体電解質層21の表面に設けられた第1の導電体層22Aと、第1の導電体層22Aの表面に設けられた第2の導電体層22Bとを含む。
コンデンサ素子110の数は、2つ以上であれば特に限定されない。コンデンサ素子110は、直線状に配置されていてもよく、平面状に配置されていてもよい。また、コンデンサ素子110は、規則的に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。厚さ方向から見たコンデンサ素子110の大きさ及び平面形状等は、それぞれ同じでもよく、一部又は全部が異なっていてもよい。厚さ方向から見た面積が異なる2種以上のコンデンサ素子110が含まれていてもよい。
厚さ方向から見た平面形状が矩形ではないコンデンサ素子110が含まれていてもよい。本明細書において、「矩形」とは、正方形又は長方形を意味する。したがって、例えば、平面形状が、矩形以外の四角形、三角形、五角形、六角形等の多角形や、曲線部を含む形状、円形、楕円形等のコンデンサ素子110が含まれていてもよい。この場合、平面形状が異なる2種以上のコンデンサ素子110が含まれていてもよい。また、平面形状が矩形ではないコンデンサ素子110に加えて、平面形状が矩形であるコンデンサ素子110が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
コンデンサアレイ100においては、マスク層30によって、複数のコンデンサ素子110に対応する素子領域に区分されていることが好ましい。
複数のコンデンサ素子110のうち、全てのコンデンサ素子110がマスク層30で囲まれていてもよく、マスク層30で囲まれていないコンデンサ素子110が存在してもよい。マスク層30で囲まれているコンデンサ素子110においては、コンデンサ素子110の全体がマスク層30で囲まれていてもよく、コンデンサ素子110の一部がマスク層30で囲まれていてもよい。
図17及び図18に示すように、複数のコンデンサ素子110のうち、少なくとも1組の隣り合うコンデンサ素子110の間で、スリットによって陽極板10が電気的に分断されていることが好ましい。すなわち、少なくとも1組の隣り合うコンデンサ素子110の間のスリットは、陽極板10を厚さ方向に貫通することが好ましい。
隣り合うコンデンサ素子110の間のスリットの幅は特に限定されないが、15μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。一方、隣り合うコンデンサ素子110の間のスリットの幅は、500μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
隣り合うコンデンサ素子110の間のスリットは、厚さ方向に幅が小さくなるテーパーを有してもよい。その場合、隣り合うコンデンサ素子110の間のスリットのテーパーは、陽極板10に達していてもよく、陽極板10に達していなくてもよい。
図17及び図18に示すように、少なくとも1つの素子領域内に少なくとも1つの絶縁層35が設けられていてもよい。その場合、絶縁層35は、マスク層30から離れて設けられていることが好ましい。図18に示す例では、各々の素子領域内に2つの絶縁層35が設けられている。
絶縁層35は、多孔質層12の表面に設けられる。絶縁層35は、多孔質層12上の誘電体層13の表面に設けられてもよい。絶縁層35は、多孔質層12又は誘電体層13の細孔(凹部)を充填するように設けられることが好ましい。
絶縁層35は、絶縁材料を含有する。
絶縁層35は、樹脂からなることが好ましい。マスク層30を構成する樹脂としては、例えば、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、及び、それらの誘導体又は前駆体等の絶縁性樹脂が挙げられる。絶縁層35は、マスク層30と同じ樹脂で構成されてもよく、異なる樹脂で構成されてもよい。
絶縁層35は、封止層40と同じ樹脂で構成されてもよい。封止層40と異なり、絶縁層35に無機フィラーが含まれるとコンデンサ素子110の有効部に悪影響を及ぼすおそれがあるため、絶縁層35は樹脂単独の系からなることが好ましい。
絶縁層35は、例えば、絶縁性樹脂を含む組成物等のマスク材を、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等の方法によって多孔質層12上に塗布することにより形成することができる。
陽極板10の表面からの絶縁層35の厚さは、20μm以下であることが好ましい。陽極板10の表面からの絶縁層35の厚さは、0μmでもよいが、2μm以上であることが好ましい。
絶縁層35の厚さは、陽極板10の厚さ方向の断面における電子顕微鏡写真により測定することができる。
厚さ方向から見た絶縁層35の平面形状は特に限定されず、例えば、四角形等の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。素子領域内に2つ以上の絶縁層35が設けられる場合、厚さ方向から見た絶縁層35の大きさ及び平面形状等は、それぞれ同じでもよく、一部又は全部が異なっていてもよい。
素子領域内に絶縁層35が設けられる位置は特に限定されない。素子領域内に2つ以上の絶縁層35が設けられる場合、絶縁層35が設けられる位置は、それぞれ同じでもよく、一部又は全部が異なっていてもよい。
コンデンサ素子110の素子領域内に絶縁層35が設けられている場合、図17及び図18に示すように、絶縁層35を厚さ方向に貫通するスルーホール導体60が設けられていてもよい。図17及び図18に示す例では、スルーホール導体60として、第1スルーホール導体61及び第2スルーホール導体62が設けられているが、いずれか一方のみが設けられていてもよい。
第1スルーホール導体61は、絶縁層35を厚さ方向に貫通する第1貫通孔71の内部に設けられている。図17及び図18に示す例では、第1スルーホール導体61は、コンデンサ素子110及び封止層40を厚さ方向に貫通するように設けられている。図17に示すように、第1スルーホール導体61は、第1貫通孔71の内壁で陽極板10と電気的に接続されていることが好ましい。図17及び図18に示す例では、第1スルーホール導体61は、第1貫通孔71を充填するように設けられているが、第1スルーホール導体61は、第1貫通孔71の少なくとも内壁面に設けられていればよい。
第2スルーホール導体62は、絶縁層35を厚さ方向に貫通する第2貫通孔72の内部に設けられている。第2貫通孔72の孔径は、第1貫通孔71の孔径より大きいことが好ましい。図17及び図18に示す例では、第2スルーホール導体62は、コンデンサ素子110及び封止層40を厚さ方向に貫通するように設けられている。図17に示すように、第2スルーホール導体62は、第2貫通孔72の内壁で陽極板10と電気的に絶縁されていることが好ましい。図17及び図18に示す例では、第2スルーホール導体62は、第2貫通孔72より孔径が小さい第3貫通孔73を充填するように設けられているが、第2スルーホール導体62は、第3貫通孔73の少なくとも内壁面に設けられていればよい。第3貫通孔73の孔径は、第1貫通孔71の孔径と同じでもよく、第1貫通孔71の孔径より大きくてもよく、第1貫通孔71の孔径より小さくてもよい。
厚さ方向から見た第1貫通孔71、第2貫通孔72及び第3貫通孔73の断面形状は特に限定されず、例えば、四角形等の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。なお、孔径とは、断面形状が円形の場合には直径、円形以外の場合には断面の中心を通る最大長さをいう。これらの貫通孔は、厚さ方向に孔径が小さくなるテーパーを有してもよい。
第1スルーホール導体61、第2スルーホール導体62等のスルーホール導体60は、絶縁層35を厚さ方向に貫通するように設けられている。スルーホール導体60は、貫通孔の少なくとも内壁面に形成されていればよい。貫通孔の内壁面は、銅、金又は銀等の低抵抗の金属によってメタライズされる。加工の容易さから、例えば、無電解銅めっき、電解銅めっきによりメタライズすることができる。なお、スルーホール導体60のメタライズについては、貫通孔の内壁面のみをメタライズする場合に限られず、金属あるいは金属と樹脂との複合材料等を貫通孔に充填してもよい。
スルーホール導体60は、A.コンデンサの陽極用、B.コンデンサの陰極及びグランド用、C.I/Oライン用、に分類される。A.コンデンサの陽極用のスルーホール導体60はコンデンサ素子110の陽極板10に電気的に接続されており、B.コンデンサの陰極及びグランド用のスルーホール導体60はコンデンサ素子110の陰極層20に電気的に接続されており、C.I/Oライン用のスルーホール導体60はコンデンサ素子110の陽極板10及び陰極層20のいずれにも電気的に接続されていない。
A.コンデンサの陽極用のスルーホール導体60は、コンデンサ素子110を貫通する貫通孔とスルーホール導体60との間に絶縁材料が充填されてもよく、充填されなくてもよい。後者の場合、陽極板10とスルーホール導体60とが直接接続される構造となる。B.コンデンサの陰極及びグランド用のスルーホール導体60、及び、C.I/Oライン用のスルーホール導体60は、コンデンサ素子110を貫通する貫通孔とスルーホール導体60との間に絶縁材料が充填される。
例えば、第1スルーホール導体61は、A.コンデンサの陽極用のスルーホール導体60として使用でき、第2スルーホール導体62は、B.コンデンサの陰極及びグランド用のスルーホール導体60として使用できる。
[コンデンサアレイの製造方法]
以下、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例として、図17及び図18に示すコンデンサアレイ100を製造する方法の一例について、図面を参照しながら工程ごとに説明する。
図20は、陽極板を用意する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
例えば、弁作用金属からなる陽極板10を用意する。陽極板10は、芯部11(図17参照)と、芯部11の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層12(図17及び図19参照)と、多孔質層12の表面に設けられた誘電体層13(図19参照)とを有する。
例えば、芯部11の少なくとも一方の主面に多孔質層12が設けられた陽極板10に対して陽極酸化処理を行うことにより、多孔質層12の表面に誘電体層13を形成することができる。
あるいは、多孔質層12の表面に誘電体層13が設けられた陽極板10として、化成箔を用意してもよい。
図20に示すように、陽極板10に対して、複数の素子領域に区分するために、マスク層30を多孔質層12の表面に形成する。マスク層30は、多孔質層12上の誘電体層13の表面に形成されてもよい。マスク層30は、多孔質層12又は誘電体層13の細孔(凹部)を充填するように形成されることが好ましい。
さらに、少なくとも1つの素子領域内の多孔質層12の表面に絶縁層35を形成してもよい。その場合、絶縁層35は、マスク層30から離れて形成されることが好ましい。絶縁層35は、多孔質層12上の誘電体層13の表面に形成されてもよい。絶縁層35は、多孔質層12又は誘電体層13の細孔(凹部)を充填するように形成されることが好ましい。
次に、マスク層30により区分された素子領域内の誘電体層13の表面に陰極層20を形成する。なお、マスク層30の表面にまで延びるように陰極層20を形成してもよい。
陰極層20を形成する工程は、導電性高分子を含有する固体電解質層21を誘電体層13の表面に形成する工程を含む。
図21は、固体電解質層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。図22は、図21に示す陽極板において破線で囲まれた部分を拡大した断面図である。
図21に示すように、マスク層30により区分された素子領域内の誘電体層13の表面に固体電解質層21を形成する。
固体電解質層21を形成する工程は、第1の導電性高分子層21Aを形成する工程(図9参照)と、第2の導電性高分子層21Bを形成する工程(図10参照)と、第3の導電性高分子層21Cを形成する工程(図11及び図12参照)とを含む。固体電解質層21を形成する工程は、本発明の固体電解コンデンサの製造方法と共通するため、詳細については省略する。
異種材料の界面が多く、かつ、面方向の寸法に対して厚さ方向の寸法が小さいシート状のコンデンサアレイにおいては、応力によるデラミネーションが発生しやすい。そこで、細孔部分でのアンカー効果を高めるために、固体電解質層21に含有される導電性高分子の塗布量をできる限り少なくすることが好ましい。
陰極層20を形成する工程は、固体電解質層21の表面に導電体層22を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
導電体層22を形成する工程は、例えば、固体電解質層21の表面に第1の導電体層22Aを形成する工程と、第1の導電体層22Aの表面に第2の導電体層22Bを形成する工程とを含む。
図23は、第1の導電体層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図23に示すように、固体電解質層21の表面に第1の導電体層22Aを形成する。第1の導電体層22Aは、例えば、導電性フィラーを含有する導電性樹脂層である。
図24は、第2の導電体層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図24に示すように、第1の導電体層22Aの表面に第2の導電体層22Bを形成する。これにより、導電体層22が形成される。第2の導電体層22Bは、例えば、金属フィラーを含有する導電性樹脂層である。このように、導電体層22を形成する工程は、金属フィラーを含有する導電性樹脂層を形成する工程を含んでもよい。
一例として、導電体層22は、第1の導電体層22Aとしてのカーボン層と、第2の導電体層22Bとしての銅層とを含む。
図25は、陰極層が形成された陽極板を分断する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図25に示すように、陰極層20が形成された陽極板10を分断して素子領域を分けることにより、複数のコンデンサ素子110に分離する。
陰極層20が形成された陽極板10を分断する方法としては、例えば、レーザー加工、ダイシング加工等が挙げられる。
図25に示すように、複数のコンデンサ素子110のうち、少なくとも1組の隣り合うコンデンサ素子110の間で、陽極板10を電気的に分断することが好ましい。すなわち、少なくとも1組の隣り合うコンデンサ素子110の間で、陽極板10を厚さ方向に貫通するように分断することが好ましい。
絶縁層35を形成する場合、絶縁層35を厚さ方向に貫通するスルーホール導体60を形成してもよい。スルーホール導体60として、例えば、第1貫通孔71の内部に第1スルーホール導体61を形成してもよく、第2貫通孔72の内部に第2スルーホール導体62を形成してもよい。
図26は、第2貫通孔を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図26に示すように、必要に応じて、絶縁層35を厚さ方向に貫通する第2貫通孔72を形成する。
第2貫通孔72を形成する方法としては、例えば、レーザー加工、ドリル加工等が挙げられる。
図27は、封止層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図27に示すように、例えば、絶縁材料をプレス加工等で設けることにより、複数のコンデンサ素子110を覆うように封止層40を形成する。封止層40は、陰極層20、マスク層30及び絶縁層35を覆うように形成される。封止層40は、陽極板10の両方の主面を覆うように形成されてもよく、陽極板10のいずれか一方の主面を覆うように形成されてもよい。
封止層40を形成することにより、隣り合うコンデンサ素子110の間に封止層40が充填されてもよい。封止層40により、陽極板10同士が確実に分断される。
また、第2貫通孔72が形成される場合、第2貫通孔72に封止層40が充填されてもよい。
図28は、第1貫通孔を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図28に示すように、必要に応じて、絶縁層35を厚さ方向に貫通する第1貫通孔71を形成する。第1貫通孔71の孔径は、第2貫通孔72の孔径より小さい。
第1貫通孔71を形成する方法としては、例えば、レーザー加工、ドリル加工等が挙げられる。
図28に示すように、さらに、第2貫通孔72より孔径が小さい第3貫通孔73を形成してもよい。第3貫通孔73の孔径は、第1貫通孔71の孔径と同じでもよく、第1貫通孔71の孔径より大きくてもよく、第1貫通孔71の孔径より小さくてもよい。
第3貫通孔73を形成する方法としては、例えば、レーザー加工、ドリル加工等が挙げられる。
図29は、スルーホール導体を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図29に示すように、第1貫通孔71の内部に第1スルーホール導体61を形成し、第2貫通孔72の内部に第2スルーホール導体62を形成する。
第1スルーホール導体61は、コンデンサ素子110及び封止層40を厚さ方向に貫通するように形成される。第1スルーホール導体61は、第1貫通孔71の内壁で陽極板10と電気的に接続されていることが好ましい。図29に示す例では、第1スルーホール導体61は、第1貫通孔71を充填するように形成されているが、第1スルーホール導体61は、第1貫通孔71の少なくとも内壁面に形成されていればよい。
第2スルーホール導体62は、コンデンサ素子110及び封止層40を厚さ方向に貫通するように形成される。第2スルーホール導体62は、第2貫通孔72の内壁で陽極板10と電気的に絶縁されていることが好ましい。図29に示す例では、第2スルーホール導体62は、第3貫通孔73を充填するように形成されているが、第2スルーホール導体62は、第3貫通孔73の少なくとも内壁面に形成されていればよい。
図29に示すように、第2スルーホール導体62と陽極板10との間に封止層40が充填されてもよい。封止層40により、第2スルーホール導体62は、第2貫通孔72の内壁で陽極板10と確実に絶縁される。
図30は、ビア導体を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図30に示すように、封止層40にビア導体50を形成してもよい。
以上の工程を経て、図17及び図18に示すコンデンサアレイ100を製造することができる。
上述したように、本発明のコンデンサアレイを製造する際、陰極層20が形成された陽極板10を分断する方法としては、レーザー加工、ダイシング加工等が挙げられる。中でも、レーザー加工を用いることにより、素子領域を自由な形状に形成することができる。そのため、1つのコンデンサアレイの中に素子領域の面積が異なる2種以上のコンデンサ素子を配置すること、コンデンサアレイ全体に掛からないようにスリットを配置すること、陰極層の平面形状が矩形ではないコンデンサ素子を配置すること、等が可能になる。
[複合電子部品]
本発明のコンデンサアレイは、複合電子部品の構成材料として好適に使用することができる。このような複合電子部品は、例えば、本発明のコンデンサアレイと、上記コンデンサアレイの外側に設けられ、コンデンサ素子の陽極板及び陰極層のそれぞれに接続された外部電極と、上記外部電極に接続された電子部品とを備える。
複合電子部品において、外部電極に接続される電子部品としては、受動素子でもよく、能動素子でもよい。受動素子及び能動素子の両方が外部電極に接続されてもよく、受動素子及び能動素子のいずれか一方が外部電極に接続されてもよい。また、受動素子及び能動素子の複合体が外部電極に接続されてもよい。
受動素子としては、例えば、インダクタ等が挙げられる。能動素子としては、メモリ、GPU(Graphical Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、PMIC(Power Manegement IC)等が挙げられる。
本発明のコンデンサアレイは、全体としてシート状の形状を有している。したがって、複合電子部品においては、コンデンサアレイを実装基板のように扱うことができ、コンデンサアレイ上に電子部品を実装することができる。さらに、コンデンサアレイに実装する電子部品の形状をシート状にすることにより、各電子部品を厚さ方向に貫通するスルーホール導体を介して、コンデンサアレイと電子部品とを厚さ方向に接続することも可能である。その結果、能動素子及び受動素子を一括のモジュールのように構成することができる。
例えば、半導体アクティブ素子を含むボルテージレギュレータと、変換された直流電圧が供給される負荷との間に本発明のコンデンサアレイを電気的に接続し、スイッチングレギュレータを形成することができる。
複合電子部品においては、本発明のコンデンサアレイがさらに複数個レイアウトされたコンデンサマトリクスシートのいずれかの一方の面に回路層を形成した上で、受動素子又は能動素子に接続されていてもよい。
また、予め基板に設けたキャビティ部に本発明のコンデンサアレイを配置し、樹脂で埋め込んだ後、その樹脂上に回路層を形成してもよい。同基板の別のキャビティ部には、別の電子部品(受動素子又は能動素子)が搭載されていてもよい。
あるいは、本発明のコンデンサアレイをウエハ又はガラス等の平滑なキャリアの上に実装し、樹脂による外層部を形成した後、回路層を形成した上で、受動素子又は能動素子に接続されていてもよい。
以下、本発明の固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
両面に多孔質層及び酸化皮膜を有するアルミニウムシートを用意し、絶縁性樹脂を用いて、コンデンサ素子の容量部となる有効部(素子領域)を囲むマスク層、及び、有効部内にスルーホール導体を形成するための絶縁層を塗布によって形成した。形成した有効部に、自己ドープ型の第1の導電性高分子として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)で表され、溶媒に可溶である導電性高分子が溶解した導電性高分子インクを塗布した後に乾燥するプロセスを複数回実施して、誘電体層の表面に第1の導電性高分子層を形成した。
次に、非自己ドープ型の第2の導電性高分子が分散した分散液と、導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料が溶解した溶液とを同時に塗布した後に乾燥するプロセスを複数回実施して、導電領域が連続する中に絶縁性材料が混在する第2の導電性高分子層を形成した。第2の導電性高分子として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)で表され、第1の導電性高分子に比べて粒度が大きく、溶媒に不溶であるが耐熱性が高い導電性高分子を用いた。絶縁性材料として、導電性高分子の分子鎖中で熱を起点として発生したラジカル(R・)、及び、上記ラジカル(R・)が酸素と反応して生成したパーオキシラジカル(ROO・)に対して、水素ラジカル(H・)を供給して安定化させる機能を有するフェノール系材料を用いた。
続いて、有効部に第3の導電性高分子を塗布することにより第3の導電性高分子層を形成して、固体電解質層を形成した。その後、導電体層として、第1の導電体層及び第2の導電体層をそれぞれ塗布により形成した。第1の導電体層としてカーボン層を形成し、第2の導電体層として銅層を形成した。以上により、固体電解コンデンサシートを得た。
得られた固体電解コンデンサシートの上下面に樹脂シートを貼り、圧着することで、表面が平滑なコンデンサアレイシートを得た。
コンデンサアレイシートに対して、それぞれのコンデンサ素子が独立するように切断した後、形成した溝(スリット)を、再び樹脂シートを圧着することで充填した。
樹脂シートから構成される封止層から第2の導電体層に向けて孔を形成し、形成した孔の内部を導電材料で充填してビア導体を形成した。
以上により得られたコンデンサアレイシートを切断して個片化することにより、実施例1の固体電解コンデンサを得た。
図31は、実施例1の固体電解コンデンサを構成する固体電解質層の一部を模式的に示す断面図である。
図31に示すように、実施例1の固体電解コンデンサでは、誘電体層13の細孔の内部に第1の導電性高分子層21Aが設けられているとともに、誘電体層13の細孔の内部に、第1の導電性高分子層21Aを覆う第2の導電性高分子層21Bが設けられている。第1の導電性高分子層21Aは、自己ドープ型の第1の導電性高分子を含有する層であり、第2の導電性高分子層21Bは、非自己ドープ型の第2の導電性高分子と絶縁性材料とが混在する層である。
(比較例1)
両面に多孔質層及び酸化皮膜を有するアルミニウムシートを用意し、絶縁性樹脂を用いて、コンデンサ素子の容量部となる有効部(素子領域)を囲むマスク層を塗布によって形成した。形成した有効部に、自己ドープ型の第1の導電性高分子が溶解した導電性高分子インクを塗布した後に乾燥するプロセスを複数回実施して、誘電体層の表面に第1の導電性高分子層を形成した。
次に、非自己ドープ型の第2の導電性高分子が分散した分散液を塗布した後に乾燥するプロセスを複数回実施して、誘電体層の表面に第2の導電性高分子層を形成した。続いて、導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料が溶解した溶液を塗布した後に乾燥するプロセスを複数回実施して、導電領域が連続する第2の導電性高分子層の表面に絶縁性材料層を形成した。
その後は実施例1と同様の方法により第3の導電性高分子層、第1の導電体層及び第2の導電体層を形成して固体電解コンデンサシートを作製し、固体電解コンデンサシートを用いてコンデンサアレイを作製した。得られたコンデンサアレイシートを切断して個片化することにより、比較例1の固体電解コンデンサを得た。
図32は、比較例1の固体電解コンデンサを構成する固体電解質層の一部を模式的に示す断面図である。
図32に示すように、比較例1の固体電解コンデンサでは、誘電体層13の細孔の内部に第1の導電性高分子層21Aが設けられているとともに、誘電体層13の細孔の内部に、第1の導電性高分子層21Aを覆う第2の導電性高分子層21Bが設けられている。第1の導電性高分子層21Aは、自己ドープ型の第1の導電性高分子を含有する層であり、第2の導電性高分子層21Bは、非自己ドープ型の第2の導電性高分子を含有する層である。比較例1の固体電解コンデンサでは、さらに、第2の導電性高分子層21Bを覆うように絶縁性材料層25が設けられている。絶縁性材料層25は、絶縁性材料を含有する層である。
(比較例2)
両面に多孔質層及び酸化皮膜を有するアルミニウムシートを用意し、絶縁性樹脂を用いて、コンデンサ素子の容量部となる有効部(素子領域)を囲むマスク層を塗布によって形成した。形成した有効部に、非自己ドープ型の第2の導電性高分子が分散した分散液を塗布した後に乾燥するプロセスを複数回実施して、誘電体層の表面に第2の導電性高分子層を形成した。
その後は実施例1と同様の方法により第3の導電性高分子層、第1の導電体層及び第2の導電体層を形成して固体電解コンデンサシートを作製し、固体電解コンデンサシートを用いてコンデンサアレイを作製した。得られたコンデンサアレイシートを切断して個片化することにより、比較例2の固体電解コンデンサを得た。
図33は、比較例2の固体電解コンデンサを構成する固体電解質層の一部を模式的に示す断面図である。
図33に示すように、比較例2の固体電解コンデンサでは、誘電体層13の細孔の内部に第2の導電性高分子層21Bが設けられている。第2の導電性高分子層21Bは、非自己ドープ型の第2の導電性高分子を含有する層である。
実施例1、比較例1及び比較例2の固体電解コンデンサについて、LCRメーターを用いて、室温、100kHzでのESRを測定した。
図34は、実施例1及び比較例1における固体電解コンデンサのESRを示すグラフである。
図34より、実施例1の固体電解コンデンサでは、比較例1の固体電解コンデンサよりもESRが低い。
実施例1、比較例1及び比較例2の固体電解コンデンサについて、大気中、150℃で放置したときの100kHzでのESR変化率を測定した。
図35は、実施例1及び比較例2における固体電解コンデンサのESR変化率を示すグラフである。
図35より、実施例1の固体電解コンデンサでは、比較例2の固体電解コンデンサよりもESR変化率が小さい。
実施例1、比較例1及び比較例2の固体電解コンデンサについて、LCRメーターを用いて、室温、120Hzでの静電容量を測定した。
図36は、実施例1及び比較例2における固体電解コンデンサの静電容量を示すグラフである。
図36より、実施例1の固体電解コンデンサでは、比較例2の固体電解コンデンサよりも静電容量が高い。
1、1A、1B 固体電解コンデンサ
10 陽極板
11 芯部
12 多孔質層
13 誘電体層
20 陰極層
21 固体電解質層
21A 第1の導電性高分子層
21B 第2の導電性高分子層
21C 第3の導電性高分子層
22 導電体層
22A 第1の導電体層
22B 第2の導電体層
25 絶縁性材料層
30 マスク層
35 絶縁層
40 封止層
50 ビア導体
60 スルーホール導体
61 第1スルーホール導体
62 第2スルーホール導体
71 第1貫通孔
72 第2貫通孔
73 第3貫通孔
100 コンデンサアレイ
110 コンデンサ素子

Claims (20)

  1. 芯部と、前記芯部の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層と、前記多孔質層の表面に設けられた誘電体層とを有する陽極板を用意する工程と、
    前記誘電体層の表面に陰極層を形成する工程と、を備え、
    前記陰極層を形成する工程は、導電性高分子を含有する固体電解質層を前記誘電体層の表面に形成する工程を含み、
    前記固体電解質層を形成する工程は、前記誘電体層の細孔の内部に第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記誘電体層の細孔の内部に、前記第1の導電性高分子層を覆う第2の導電性高分子層を形成する工程と、前記陽極板の表面に、少なくとも前記第2の導電性高分子層を覆う第3の導電性高分子層を形成する工程と、を含み、
    前記第1の導電性高分子層を形成する工程では、第1の導電性高分子を含有する液体を用いて、前記第1の導電性高分子を含有する層が形成され、
    前記第2の導電性高分子層を形成する工程では、前記第1の導電性高分子に比べて粒度が大きい第2の導電性高分子が分散した液体と、前記固体電解質層に含有される前記導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料を含有する液体とを用いて、前記第2の導電性高分子及び前記絶縁性材料が混在する層が形成される、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記第2の導電性高分子層は、前記第2の導電性高分子が分散した液体と、前記絶縁性材料を含有する液体とを同時に塗布することによって形成される、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記第1の導電性高分子層は、前記第1の導電性高分子を含有する液体を塗布することによって形成される、請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記第1の導電性高分子層は、前記第1の導電性高分子が溶解した液体を用いて形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記第1の導電性高分子が自己ドープ型であり、前記第2の導電性高分子が非自己ドープ型である、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記第2の導電性高分子に対する前記絶縁性材料の固形分重量比が、1/10以上、10/1以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記陰極層を形成する工程は、前記固体電解質層の表面に導電体層を形成する工程をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記導電体層を形成する工程は、金属フィラーを含有する導電性樹脂層を形成する工程を含む、請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記陽極板に対して、前記陰極層が形成されるべき領域を囲むように、マスク層を前記多孔質層の表面に形成する工程をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 芯部と、前記芯部の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層と、前記多孔質層の表面に設けられた誘電体層とを有する陽極板を用意する工程と、
    前記陽極板に対して、複数の素子領域に区分するために、マスク層を前記多孔質層の表面に形成する工程と、
    前記マスク層により区分された前記素子領域内の前記誘電体層の表面に陰極層を形成する工程と、
    前記陰極層が形成された前記陽極板を分断して前記素子領域を分けることにより、複数のコンデンサ素子に分離する工程と、
    前記複数のコンデンサ素子を覆うように封止層を形成する工程と、を備え、
    前記陰極層を形成する工程は、導電性高分子を含有する固体電解質層を前記誘電体層の表面に形成する工程を含み、
    前記固体電解質層を形成する工程は、前記誘電体層の細孔の内部に第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記誘電体層の細孔の内部に、前記第1の導電性高分子層を覆う第2の導電性高分子層を形成する工程と、前記陽極板の表面に、少なくとも前記第2の導電性高分子層を覆う第3の導電性高分子層を形成する工程と、を含み、
    前記第1の導電性高分子層を形成する工程では、第1の導電性高分子を含有する液体を用いて、前記第1の導電性高分子を含有する層が形成され、
    前記第2の導電性高分子層を形成する工程では、前記第1の導電性高分子に比べて粒度が大きい第2の導電性高分子が分散した液体と、前記固体電解質層に含有される前記導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料を含有する液体とを用いて、前記第2の導電性高分子及び前記絶縁性材料が混在する層が形成される、コンデンサアレイの製造方法。
  11. 前記素子領域内の前記多孔質層の表面に絶縁層を形成する工程と、
    前記絶縁層を厚さ方向に貫通するスルーホール導体を形成する工程と、をさらに備える、請求項10に記載のコンデンサアレイの製造方法。
  12. 前記スルーホール導体を形成する工程は、前記絶縁層を前記厚さ方向に貫通する第1貫通孔を形成する工程と、前記第1貫通孔の内部に第1スルーホール導体を形成する工程と、を含み、
    前記第1スルーホール導体は、前記第1貫通孔の内壁で前記陽極板と電気的に接続されている、請求項11に記載のコンデンサアレイの製造方法。
  13. 前記スルーホール導体を形成する工程は、前記絶縁層を前記厚さ方向に貫通する第2貫通孔を形成する工程と、前記第2貫通孔の内部に第2スルーホール導体を形成する工程と、を含み、
    前記第2スルーホール導体は、前記第2貫通孔の内壁で前記陽極板と電気的に絶縁されている、請求項11又は12に記載のコンデンサアレイの製造方法。
  14. 芯部と、前記芯部の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層と、前記多孔質層の表面に設けられた誘電体層とを有する陽極板と、
    前記誘電体層の表面に設けられた陰極層と、を備え、
    前記陰極層は、前記誘電体層の表面に設けられ、導電性高分子を含有する固体電解質層を含み、
    前記固体電解質層は、前記誘電体層の細孔の内部に設けられた第1の導電性高分子層と、前記誘電体層の細孔の内部に設けられ、前記第1の導電性高分子層を覆う第2の導電性高分子層と、前記陽極板の表面に設けられ、少なくとも前記第2の導電性高分子層を覆う第3の導電性高分子層と、を含み、
    前記第1の導電性高分子層は、自己ドープ型の第1の導電性高分子を含有する層であり、
    前記第2の導電性高分子層は、非自己ドープ型の第2の導電性高分子と、前記固体電解質層に含有される前記導電性高分子の熱及び酸化による劣化を抑制する絶縁性材料とが混在する層である、固体電解コンデンサ。
  15. 前記絶縁性材料が存在する5μm以内の領域には、前記固体電解質層に含有される前記導電性高分子の少なくとも1種が存在する、請求項14に記載の固体電解コンデンサ。
  16. 前記陽極板の表面には、前記第1の導電性高分子層の一部及び/又は前記第2の導電性高分子層の一部が露出し、
    前記陽極板の表面に前記第1の導電性高分子層及び前記第2の導電性高分子層が存在する領域の面積に比べて、前記陽極板の表面に前記第1の導電性高分子層及び前記第2の導電性高分子層が存在しない領域の面積が大きい、請求項14又は15に記載の固体電解コンデンサ。
  17. 前記第3の導電性高分子層の一部が、前記誘電体層の細孔の内部に入り込んでいる、請求項14~16のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  18. 前記陰極層は、前記固体電解質層の表面に設けられた導電体層をさらに含む、請求項14~17のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  19. 前記導電体層は、金属フィラーを含有する導電性樹脂層を含む、請求項18に記載の固体電解コンデンサ。
  20. 複数のコンデンサ素子と、
    前記複数のコンデンサ素子を覆うように設けられた封止層と、を備え、
    前記複数のコンデンサ素子は、各々、請求項14~19のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサである、コンデンサアレイ。
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