本開示に係る機器制御システムを実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
実施の形態1.
図1から図19を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1は機器制御システムの全体構成を模式的に示す図である。図2は機器制御システムの管理装置の構成を示すブロック図である。図3は機器制御システムの計測装置の構成を示すブロック図である。図4は機器制御システムの端末装置の構成を示すブロック図である。図5は機器制御システムの制御対象機器の構成を示すブロック図である。図6は機器制御システムの計測装置が備える人体センサの構成を示す斜視図である。図7は機器制御システムの端末装置に表示される個人情報入力画面の例を示す図である。図8は機器制御システムの端末装置に表示される端末情報入力画面の例を示す図である。図9は機器制御システムの端末装置に表示される人体情報修正画面の例を示す図である。図10は機器制御システムの端末装置に表示される人体情報修正画面の別例を示す図である。図11は機器制御システムの端末装置に表示される間取り情報入力画面の例を示す図である。図12は機器制御システムの端末装置に表示される位置対応関係入力画面の例を示す図である。図13は機器制御システムの季節に応じた制御内容の一例を説明する図である。図14は機器制御システムの端末装置におけるスケジュール制御内容及び制御変更理由の表示画面の例を示す図である。図15は機器制御システムの端末装置による各種情報の入力動作の一例を示すフロー図である。図16は機器制御システムの管理装置による制御内容の変更動作の一例を示すフロー図である。図17は機器制御システムの管理装置によるスケジュール制御内容作成動作の一例を示すフロー図である。図18は機器制御システムの管理装置による季節判定動作の一例を示すフロー図である。そして、図19は機器制御システムの管理装置による体感温度算出動作と端末装置による注意喚起動作の一例を示すフロー図である。
この実施の形態に係る機器制御システムは、図1に示すように、例えば、管理装置100、計測装置200、端末装置300及び制御対象機器400を備えている。管理装置100は、主に機器制御システム全体の管理機能を提供する装置である。制御対象機器400は、機器制御システムによる制御の対象となる機器である。計測装置200は、主に制御対象機器400の使用者の人体情報を計測する機能を提供する装置である。端末装置300は、主に制御対象機器400の使用者による各種の情報入力を受け付ける機能と、制御対象機器400の使用者に各種の情報を報知する機能を提供する装置である。
管理装置100と計測装置200とは、相互に通信可能に接続されている。管理装置100と端末装置300とは、相互に通信可能に接続されている。そして、管理装置100と制御対象機器400とは、相互に通信可能に接続されている。管理装置100と通信可能に接続される計測装置200は、1つに限られず複数であってもよい。同様に、管理装置100と通信可能に接続される端末装置300は、1つに限られず複数であってもよい。また、管理装置100と通信可能に接続される制御対象機器400は、1つに限られず複数であってもよい。なお、これらの装置及び機器における通信は、有線方式及び無線方式のいずれであってもよい。
制御対象機器400は、使用者のいる建物に設置されている。制御対象機器400は、例えば、空気調和装置、給湯機、浴室乾燥機、照明器具、冷蔵庫、電子レンジ、IHクッキングヒーター、テレビ、洗濯機等である。端末装置300は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はウェアラブル端末等の携帯端末、スマートスピーカ、パソコン(パーソナル・コンピュータ)、テレビ、制御対象機器400のリモコン等である。計測装置200及び端末装置300は、使用者のいる建物内に設置され、又は、使用者に所持、携帯もしくは装着されている。
管理装置100は、使用者のいる建物内に設置されるコンピュータ等である。管理装置100は、制御対象機器400等とインターネット等の通信ネットワークを介して通信可能に接続された使用者のいる建物の外部に設置されたサーバであってもよい。この場合、管理装置100は、複数のサーバ(サーバ群)からなるクラウドサーバであってもよい。
なお、機器制御システムを構成する装置及び機器は、システム全体として必要な機能が備わっていれば図1に示す例に限られない。例えば、制御対象機器400が使用者の人体情報を計測する計測装置200の機能を備えていれば、別途に計測装置200を備える必要はない。他に例えば、端末装置300が使用者の人体情報を計測する計測装置200の機能を備えていれば、別途に計測装置200を備える必要はない。また、複数の制御対象機器400がある場合に、そのうちの1つの制御対象機器400がシステム全体の管理機能を提供する管理装置100の機能を備えていれば、別途に管理装置100を備える必要はない。さらに言えば、管理装置100、計測装置200、端末装置300及び制御対象機器400の全ての装置及び機器の機能を備える1つの装置により機器制御システムが構成されていてもよい。
図2に示すように、管理装置100は、管理装置通信部150を備えている。管理装置通信部150は、管理装置100と計測装置200との間、管理装置100と端末装置300との間、及び、管理装置100と制御対象機器400との間のそれぞれで、データを双方向に通信するためのものである。図3に示すように、計測装置200は、計測装置通信部250を備えている。計測装置通信部250は、計測装置200と管理装置100との間で、データを双方向に通信するためのものである。図4に示すように、端末装置300は、端末装置通信部350を備えている。端末装置通信部350は、端末装置300と管理装置100との間で、データを双方向に通信するためのものである。そして、図5に示すように、制御対象機器400は、機器通信部450を備えている。機器通信部450は、制御対象機器400と管理装置100との間で、データを双方向に通信するためのものである。
まず、図3を参照しながら、計測装置200の構成について説明する。同図に示すように、計測装置200は、前述した計測装置通信部250の他に、一次人体情報検出部211、計測装置内部環境情報取得部212及び計測装置制御部220を備えている。一次人体情報検出部211は、制御対象機器400の使用者の人体情報を取得する人体情報取得手段である。人体情報取得手段である一次人体情報検出部211が取得する使用者の人体情報には、当該使用者の熱画像が少なくとも含まれる。使用者の熱画像を取得するため、一次人体情報検出部211は、例えば図6に示すような人体センサ230を備えている。
次に、図6を参照しながら、人体センサ230の構成について説明する。人体センサ230は、例えば、上下方向に並べた複数の赤外線センサ(受光素子)を備えている。ここでは、人体センサ230は例えば8個の赤外線センサ(受光素子)を備えているとする。これら8個の赤外線センサのそれぞれは、赤外線の受光及び温度の検出を個別に実行可能な検出素子である。これらの赤外線センサ(受光素子)は、例えば、同図に示すように、円筒状の金属缶231の内部に上下方向に直線状に並んで配置されている。これにより、人体センサ230は、室内の温度を互いに高さが異なる8個のエリアに区分して検出する機能を備えている。
これら8個の赤外線センサのそれぞれの検出範囲は、同図に示すように、互いに大きさが等しい四角形状のエリアとして設定されている。また、1個の赤外線センサの配光視野角は、例えば上下方向における縦配光視野角が7°に設定され、左右方向の横配光視野角が8°に設定されている。
それぞれの赤外線センサの配光視野角を合わせた人体センサ230全体の配光視野角232は、上下方向に細長いエリアとして設定されている。なお、それぞれの赤外線センサの配光視野角(検出範囲)は、同じ形状、同じ大きさでなくともよい。また、縦配光視野角及び横配光視野角の具体的な値についても、前述した例示に限定されるものではない。さらに、赤外線センサ(受光素子)の個数は8個に限定されるものではなく、人体センサ230は、7個以下または9個以上となる任意の個数の赤外線センサ(受光素子)を備えるようにしてもよい。
そして、人体センサ230は、図示しないセンサ用ステッピングモータにより上下に並んだ複数の赤外線センサを、予め設定された角度範囲内において左右に向きを変えることができる。このようにすることで、上下に並んだ複数の赤外線センサのそれぞれを左右方向に走査させて、予め設定された検出範囲(以下、「温度検出対象範囲」という)内について表面温度を検出することができる。
人体センサ230は、このような構成により、温度検出対象範囲内を走査して当該範囲内の表面温度分布(熱画像)を非接触で取得する。温度検出対象範囲は、計測装置200が設置された部屋の内部の全体が含まれるようにするとよい。
人体センサ230の検出結果、すなわち、人体センサ230により取得した表面温度分布(熱画像)データを、管理装置100等で処理することで、例えば背景との温度差から、室内における人を含む熱源の有無及びその位置、人体の表面温度、人の身体の部位(肌の露出部と非露出部、頭部等)、着衣状態等を検出することができる。
また、人体センサ230の検出結果に基づいて、使用者の体感温度も得ることができる。この場合、肌を露出している人体ほど体感温度を検出しやすい。なお、人体センサ230に用いる受光素子の画素数が多いほど、人体センサ230の検出精度は高くなる。具体的に例えば、30画素以上の画素数を有する受光素子を用いれば、使用者の位置及び人体センサ230から当該使用者までの距離を精度よく検出することができる。
人体センサ230は、温度検出対象範囲を左右に走査しながら温度検出対象の温度を検出する。この場合、人体センサ230の向きをセンサ用ステッピングモータにより左右方向に動かし、センサ用ステッピングモータの回転(すなわち、人体センサ230の向きの回転)を一定角度毎に一定時間だけ停止させる。この際の一定角度は例えば1~5°とする。また、この際の一定時間は例えば0.1~0.2秒とする。そして、人体センサ230の向きの変更を停止した後、前記の一定時間(0.1~0.2秒)よりも短い時間だけ待って、人体センサ230の8個の受光素子の検出結果(熱画像データ)を取り込む。
人体センサ230による検出結果の取り込み終了後、再びセンサ用ステッピングモータ172を前記一定角度だけ回転して再度停止し、同様の動作で人体センサ230の検出結果(熱画像データ)を取り込む。このような動作を繰り返し行って、検出範囲内における左右方向の例えば90~100箇所で人体センサ230の検出結果を取得する。そして、取得した人体センサ230の検出結果から、温度検出対象範囲の熱画像データ(温度分布データ)を得ることができる。
人体センサ230の左右方向における検出範囲は例えば、センサ用ステッピングモータにより人体センサ230を完全に1回転させることができるように構成し、検出範囲を360°に設定してもよい。また、人体センサ230を他のステッピングモータ等により上下方向にもスイングさせるようにしてもよい。人体センサ230の向きを上下方向にも変えることができるようにすることで、水平方向だけでなく上下方向についても詳細な熱画像データを取得することができる。
なお、人体情報取得手段である一次人体情報検出部211は、使用者の人体情報として、使用者の熱画像の他に、使用者の可視画像、心拍数、血圧、皮膚温度、発汗量、入浴時刻等を計測・取得してもよい。使用者の可視画像を人体情報として取得する場合、一次人体情報検出部211は、可視画像を撮影可能なカメラを備える。使用者の心拍数、血圧、皮膚温度、発汗量等の生体情報を人体情報として取得する場合、一次人体情報検出部211は、必要とする生体情報を計測可能な例えばウェアラブルセンサ等を備える。入浴時刻を人体情報として取得する場合、一次人体情報検出部211は、浴室にいる人を検知可能な人検知センサ等を備える。
計測装置内部環境情報取得部212は、計測装置200が設置されている室内の環境情報である内部環境情報を取得する。計測装置内部環境情報取得部212が取得する内部環境情報としては、具体的に例えば、建物の室内の気温(室温)、湿度、二酸化炭素濃度、照度、色温度、粉塵濃度、埃濃度等が挙げられる。また、計測装置200の設置箇所が浴室内の場合、内部環境情報として、さらに浴槽内の湯温、湯量等を取得してもよい。計測装置内部環境情報取得部212は、取得する内部環境情報の種類に応じたセンサ等を備えている。
計測装置制御部220は、以上のような構成を備えた計測装置200の動作全般を制御する。例えば、計測装置制御部220は、一次人体情報検出部211(例えば人体センサ230)の動作を制御して、使用者の人体情報(例えば使用者の熱画像)を取得させる。また、計測装置制御部220は、計測装置内部環境情報取得部212の内部環境情報を取得する動作を制御する。そして、計測装置制御部220は、計測装置通信部250を制御して、一次人体情報検出部211が取得した人体情報及び計測装置内部環境情報取得部212が取得した内部環境情報を、管理装置100に送信させる。
次に、図4を参照しながら、端末装置300の構成について説明する。前述したように、端末装置300は、主に制御対象機器400の使用者による各種の情報入力を受け付ける機能と、制御対象機器400の使用者に各種の情報を報知する機能を提供する装置である。まず、使用者による各種の情報入力を受け付ける機能に関連して、端末装置300は、個人情報入力部311、個人対応関係修正部312、間取り情報入力部313及び位置対応関係入力部314を備えている。
端末装置300は、各種内容の画面を表示可能な表示装置を備えている。表示装置は、例えば液晶ディスプレイ等である。また、端末装置300は、各種情報を入力可能な入力装置を備えている。入力装置は、キーボード、マウス、リモコン、スイッチ、ボタン等である。端末装置300は、表示装置と入力装置とを兼ねるタッチパネルを備えていてもよい。以降においては、端末装置300がスマートフォンであり、表示装置と入力装置とを兼ねるタッチパネルを備えている場合の例を挙げて説明する。
個人情報入力部311は、制御対象機器400の使用者となる個人を一意に特定可能な個人情報を入力する個人情報入力手段である。個人を一意に特定可能な個人情報として、具体的に例えば、使用者となる個人を一意に特定可能な名称、年齢、性別、身長、体重、体質等を挙げることができる。使用者となる個人を一意に特定可能な名称とは、例えば、個人の姓名、個人番号等である。使用者となる個人が家族である場合には、各個人を一意に特定可能な名称として、「父」、「母」、「兄」、「妹」等を用いることもできる。体質としては、例えば、暑がり、寒がり等の情報を挙げることができる。個人情報入力部311として端末装置300のタッチパネルに表示する個人情報入力画面501の一例を図7に示す。
また、個人情報入力部311として、使用者となる個人と、当該個人が使用する計測装置200及び端末装置300の一方又は両方との対応関係を予め入力できるようにしてもよい。このために端末装置300のタッチパネルに表示する端末情報入力画面502の一例を図8に示す。同図に示す例では、個人が使用する端末装置300を特定する情報としてスマートフォンの電話番号が入力可能である。また、個人が使用する計測装置200を特定する情報としてウェアラブルセンサのメーカ、型名、端末ID等が入力可能である。
個人情報入力部311に入力された個人情報は、端末装置通信部350を介して管理装置100に送信される。そして、後述するように、管理装置100の個人対応関係特定部113により、計測装置200等で検出された人体情報と個人情報とが対応付けられる。個人対応関係修正部312は、個人対応関係特定部113で特定された人体情報と個人情報との対応関係を、使用者が確認し、必要に応じて修正するためのものである。個人対応関係修正部312として端末装置300のタッチパネルに表示する人体情報修正画面503の例を図9及び図10に示す。図9に示すのは、人体情報である熱画像と個人との対応関係を使用者が修正するための人体情報修正画面503の例である。図10に示すのは、人体情報である入浴時間と個人との対応関係を使用者が修正するための人体情報修正画面503の例である。個人対応関係修正部312により修正された人体情報と個人情報との対応関係は、端末装置通信部350を介して管理装置100に送信される。そして、管理装置100の後述する個人特定情報記憶部114に記憶されている情報が修正後のものに更新される。
間取り情報入力部313は、制御対象機器400が設置される建物の部屋の間取り情報を入力する間取り情報入力手段である。建物の部屋の間取り情報として、具体的に例えば、建物の住宅形態、建物の構造、間取り等を挙げることができる。建物の住宅形態とは、例えば、マンション、一戸建て等の情報である。建物の構造とは、鉄筋コンクリート(RC造)、木造等の情報である。間取りとは、例えば、3LDK、1DK等の部屋の数及び部屋の名称(種類)が特定可能な情報である。間取り情報入力部313として端末装置300のタッチパネルに表示する間取り情報入力画面504の一例を図11に示す。
位置対応関係入力部314は、間取り情報入力部313に入力された間取り情報と、部屋にいる使用者の位置情報との対応関係を入力する位置対応関係入力手段である。後述するように、この実施の形態の機器制御システムでは、管理装置100の位置検出部122により、建物内にいる使用者の位置を、例えば、使用者が所持、携帯又は装着している端末装置300と無線通信ルータとの間での受信電波強度と無線通信ルータの設置箇所とから検出する。
ここで位置検出部122により検出される位置は、無線通信ルータの位置を基準とするものであり、このままでは、使用者の位置が建物のどの部屋であるのかまでは特定できない。そこで、位置対応関係入力部314により、間取り情報と部屋にいる使用者の位置情報との対応関係を入力することで、無線通信ルータの位置を基準とする位置情報から、当該位置の使用者のいる部屋を特定可能となる。位置対応関係入力部314に入力された間取り情報と部屋にいる使用者の位置情報との対応関係は、端末装置通信部350を介して管理装置100に送信される。位置対応関係入力部314として端末装置300のタッチパネルに表示する位置対応関係入力画面505の一例を図12に示す。
なお、間取り情報入力部313として図11に示した間取り情報入力画面504には、建物に設置された無線通信ルータの設置箇所を入力する欄がある。建物に設置された無線通信ルータの設置箇所を事前にシステムに入力しておくことで、端末装置300と無線通信ルータとの間での受信電波強度と、端末装置300がある建物の部屋との対応関係の特定精度を向上させることができる。
使用者に各種の情報を報知する機能に関連して、端末装置300は、スケジュール制御表示部321、人体情報表示部322、注意喚起情報表示部323、制御変更理由表示部324及び環境情報表示部325を備えている。これらの各部についての説明は後述する。
次に、図2を参照しながら、管理装置100の構成について説明する。管理装置100は、個人の人体情報に関連して、二次人体情報算出部121、位置検出部122、人体情報記憶部123及び間取り位置情報記憶部124を備えている。計測装置200の一次人体情報検出部211が検出した人体情報(これを、「一次人体情報」とも呼ぶ)は、計測装置通信部250を介して管理装置100に送信される。この一次人体情報には、少なくとも使用者の熱画像が含まれている。管理装置通信部150は、計測装置200から送信された一次人体情報を受信する。
二次人体情報算出部121は、管理装置通信部150が受信した一次人体情報から、二次人体情報を算出する。二次人体情報は、元となる一次人体情報には含まれない種類の人体情報である。例えば、二次人体情報算出部121は、一次人体情報である熱画像から、熱画像に写っている使用者の表面皮膚温度、肌の露出度、体感温度、体格、身長等を二次人体情報として算出する。使用者の表面皮膚温度から、当該使用者の深部温度をさらに算出することも可能である。また、他に例えば、二次人体情報算出部121は、一次人体情報である心拍数から、ストレス値(LF/HF)、疲労度等を二次人体情報として算出する。他に例えば、二次人体情報算出部121は、一次人体情報である使用者の可視画像から、当該使用者の顔、身長、服装等を二次人体情報として算出する。このような二次人体情報算出部121も、一次人体情報検出部211と同じく、制御対象機器400の使用者の人体情報を取得する人体情報取得手段である。
位置検出部122は、建物の内外における使用者の位置を検出する。使用者が建物外にいる場合、位置検出部122は、例えば、使用者が所持、携帯又は装着している計測装置200又は端末装置300にGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)機能が備わっていれば、このGPS機能を活用して使用者の位置を検出する。使用者が建物内にいる場合、位置検出部122は、例えば、使用者が所持、携帯又は装着している計測装置200又は端末装置300が建物内の無線通信ルータを介して通信していれば、無線通信ルータの設置箇所と無線通信ルータでの受信電波強度とから、使用者の位置を検出する。
位置検出部122により検出された使用者の位置情報も、当該使用者の人体の位置に関する情報であるという意味で、使用者の人体情報の一種である。すなわち、位置検出部122も、制御対象機器400の使用者の人体情報を取得する人体情報取得手段である。そして、この場合、位置検出部122を含む人体情報取得手段は、制御対象機器400の使用者の位置情報を取得可能である。
人体情報記憶部123は、使用者の人体情報を記憶している。人体情報記憶部123が記憶する人体情報には、二次人体情報算出部121が算出した二次人体情報、及び、位置検出部122が検出した位置情報が含まれている。また、人体情報記憶部123が記憶する人体情報には、管理装置通信部150が受信した計測装置200からの人体情報、すなわち、一次人体情報検出部211が検出した一次人体情報も含まれている。
前述したように、端末装置300からは、位置対応関係入力部314に入力された間取り情報と部屋にいる使用者の位置情報との対応関係が、端末装置通信部350を介して管理装置100に送信される。間取り情報と位置情報との対応関係は、管理装置100の管理装置通信部150により受信される。間取り位置情報記憶部124は、管理装置通信部150により受信された、間取り情報と位置情報との対応関係を記憶する。間取り位置情報記憶部124は、位置対応関係入力手段に入力された、間取り情報と位置情報との対応関係を位置特定用データとして記憶する記憶手段である。
管理装置100は、人体情報からの個人の特定に関連して、個人特定部111、特徴量抽出部112、個人対応関係特定部113及び個人特定情報記憶部114を備えている。特徴量抽出部112は、人体情報取得手段である一次人体情報検出部211及び二次人体情報算出部121が取得した人体情報から、制御対象機器400の使用者に係る特徴量を抽出する特徴量抽出手段である。特徴量抽出部112は、人体情報記憶部123に記憶されている使用者の人体情報から、当該使用者の特徴量を抽出する。
特に、特徴量抽出部112は、一次人体情報検出部211により取得された熱画像から使用者に係る特徴量を抽出する。熱画像から使用者に係る特徴量を抽出する場合、まず、特徴量抽出部112は、人体センサ230の検出結果である熱画像に基づいて、人体センサ230の温度検出対象範囲内に存在する人体を検出する。人体の検出は、例えば、人体センサ230により検出された表面温度が予め設定された基準温度以上の各領域の形状、分布(相対位置関係)、面積等を用いて行うことができる。この際の基準温度は、人の体温を考慮して例えば30℃等に設定される。
そして、特徴量抽出部112は、検出した人体について、熱画像から特徴量を抽出する。特徴量とは、制御対象機器400の使用者となる個人のそれぞれについて、当該個人を他の個人と区別することができる特徴的な属性に関する量である。特徴量抽出部112が熱画像から抽出する特徴量としては、例えば、身長、体格、平常時の表面皮膚温度等を挙げることができる。
個人対応関係特定部113は、端末装置300の個人情報入力部311に入力された個人情報と、特徴量抽出部112により抽出された特徴量との対応関係を特定する個人対応関係特定手段である。前述したように、端末装置300の個人情報入力部311に入力された個人情報には、使用者となる個人を一意に特定可能な名称、年齢、性別、身長、体重、体質等が含まれている。個人対応関係特定部113は、これらの個人情報と人体情報から抽出された特徴量とを照合し、これらの合致度等に基づいて、特徴量及び当該特徴量が抽出された人体情報に対し、個人情報を対応付ける。
個人特定情報記憶部114は、個人対応関係特定手段である個人対応関係特定部113により特定された、個人情報と特徴量との対応関係を個人特定用データとして記憶する記憶手段である。そして、個人特定部111は、記憶手段である個人特定情報記憶部114に記憶された個人特定用データを参照して、人体情報取得手段が取得した人体情報の個人を特定する個人特定手段である。すなわち、個人特定部111は、個人対応関係特定部113により特定された対応関係に基づく個人特定用データが既に個人特定情報記憶部114に記憶されていれば、この個人特定用データを参照して、新たに取得された人体情報の個人を特定する。
個人特定部111は、新たに取得された人体情報から抽出された特徴量について、個人特定用データにおける、どの個人の特徴量と合致するかを照合する。そして、個人特定用データにおける特徴量との合致度が最大となる個人を特定結果とする。この際、合致度の最大値が一定の基準値以上でない場合、換言すれば、特徴量の合致度が基準値以上となる個人が個人特定用データ中に存在しない場合、当該特徴量の画像については個人特定不能としてもよい。
また、管理装置100は、建物の内外の環境情報に関連して、管理装置内部環境情報取得部131、外部環境情報取得部132及び環境情報記憶部133を備えている。管理装置内部環境情報取得部131は、管理装置100が設置されている室内の環境情報である内部環境情報を取得する。また、制御対象機器400が当該制御対象機器400の制御に必要な室内の環境情報を取得するためのセンサ等を備えている場合、管理装置内部環境情報取得部131は、当該制御対象機器400が設置されている室内の内部環境情報を当該制御対象機器400から取得する。管理装置内部環境情報取得部131が取得する内部環境情報としては、計測装置内部環境情報取得部212の場合と同様に、例えば、建物の室内の気温(室温)、湿度、二酸化炭素濃度、照度、色温度、粉塵濃度、埃濃度等が挙げられる。管理装置内部環境情報取得部131は、取得する内部環境情報の種類に応じたセンサ等を備えている。
外部環境情報取得部132は、制御対象機器400が設置されている建物の外部の環境情報である外部環境情報を取得する。外部環境情報取得部132が取得する外部環境情報としては、具体的に例えば、建物の外部の気温(外気温)、湿度、花粉飛散量、PM2.5等の屋外粉塵濃度等の実況値、並びに、気象予報情報、インフルエンザの流行情報等が挙げられる。外部環境情報取得部132が外部環境情報として取得する気象予報情報としては、今日・明日の天気、予想最高・最低気温、予想風速、予想降水量等が挙げられる。外部環境情報取得部132は、取得する外部環境情報のうちの実況値については、取得する情報の種類に応じたセンサ等を備えて、このセンサから取得してもよい。また、外部環境情報取得部132は、インターネット等の通信ネットワークを介して、機器制御システムの外部から外部環境情報、特に気象予報情報、インフルエンザの流行情報等を取得してもよい。
環境情報記憶部133は、環境情報を記憶している。環境情報記憶部133が記憶する環境情報には、管理装置内部環境情報取得部131が取得した内部環境情報、及び、外部環境情報取得部132が取得した外部環境情報が含まれている。また、環境情報記憶部133が記憶する環境情報には、管理装置通信部150が受信した計測装置200からの内部環境情報、すなわち、計測装置内部環境情報取得部212が取得した内部環境情報も含まれている。
また、管理装置100は、当該管理装置100及び制御対象機器400の制御に関連して、管理装置制御部141、機器接続部148、機器機能取得部147、機器制御アシスト部142、個人制御内容記憶部146、季節判定部145、スケジュール制御作成部144及び機器制御履歴記憶部143を備えている。管理装置制御部141は、管理装置100の動作全般を制御するとともに、機器制御システムの制御対象機器400の動作についても制御する。機器接続部148は、機器制御システムの制御対象機器400と管理装置100との間での制御通信接続を行う。この際には、既知の機器制御用通信プロコトルが利用される。機器機能取得部147は、それぞれの制御対象機器400が有する機能に関する情報を取得する。制御対象機器400が有する機能とは、例えば、制御対象機器400が空気調和装置であれば、部屋の室温を制御する機能等である。
管理装置制御部141は、機器機能取得部147が取得した、制御対象機器400が有する機能に関する情報に基づいて、当該制御対象機器400の制御内容を決定する。例えば、制御対象機器400が給湯機であれば、管理装置制御部141は、給湯機が供給する湯温、湯量、泡生成(お湯の中に細かい泡を発生させる)等を制御する。この際、管理装置制御部141は、環境情報記憶部133に記憶されている環境情報を参照して制御対象機器400の制御内容を決定してもよい。この場合には、管理装置制御部141は、計測装置内部環境情報取得部212が取得した内部環境情報、管理装置内部環境情報取得部131が取得した内部環境情報、及び、外部環境情報取得部132が取得した外部環境情報に基づいて、制御対象機器400の制御内容を決定できる。例えば、空気調和装置である制御対象機器400と管理装置100とが同じ室内の異なる箇所に設置されている場合、室内の複数個所における室温検出結果を用いて制御対象機器400を制御できる。また、計測装置200のウェアラブルセンサにより当使用者の周囲の室温等を検出し、制御対象機器400の制御内容に反映することも可能である。
機器制御アシスト部142は、予め設定されたアシスト実行条件が成立した場合に、管理装置制御部141が決定した制御対象機器400の制御内容を修正・変更する。アシスト実行条件は、例えば、以下のようなものである。
・予め設定された時刻が経過する
・予め設定された環境情報について、予め設定された基準値を超過する
・使用者により制御対象機器400に予め設定された操作がなされる
・建物の特定の部屋内で使用者が検知される
・使用者の位置が建物外の特定領域である
この際の使用者の位置は、位置検出部122により検出された位置情報が利用される。また、使用者が特定の部屋内にいるか否かは、位置検出部122により検出された位置情報と、間取り位置情報記憶部124に記憶されている間取り情報と位置情報との対応関係とから判定できる。すなわち、この場合の機器制御アシスト部142は、記憶手段である間取り位置情報記憶部124に記憶された位置特定用データを参照して、人体情報取得手段の位置検出部122が取得した位置情報の使用者がいる建物の部屋を特定する部屋特定手段として機能している。なお、管理装置100は、間取り位置情報記憶部124に記憶された位置特定用データを参照して、位置検出部122が取得した位置情報の使用者がいる建物の部屋を特定する部屋特定部を、機器制御アシスト部142とは別に備えてもよい。このような部屋特定部を備えることで、例えば、管理装置制御部141が制御内容を決定する際に、使用者がいる部屋の特定結果を容易に活用できる。
個人制御内容記憶部146は、使用者の個人ごとの特性に応じた、制御対象機器400の制御内容を予め記憶している。使用者の個人ごとの特性とは、例えば、暑がり/寒がり、年齢、性別、血圧傾向、嗜好等である。個人制御内容記憶部146に記憶されている制御内容は、例えば、使用者の個人特性が暑がりの場合、制御対象機器400である空気調和装置の設定温度を低めにする等の制御内容である。
機器制御アシスト部142は、前述のアシスト実行条件が満たされた場合に、個人特定部111により特定された個人に対応する個人情報を取得する。次に、機器制御アシスト部142は、取得した個人情報に係る個人特性に応じた制御内容を個人制御内容記憶部146から取得する。そして、機器制御アシスト部142は、個人制御内容記憶部146から取得した制御内容に従って、管理装置制御部141が決定した制御対象機器400の制御内容を修正・変更する。
制御対象機器400が給湯機である場合の機器制御アシスト部142による制御内容の例は、以下の通りである。
・使用者が入浴前でリビング等にいるとき、当該使用者の心拍数、血圧が安静時の値より高い又は基準値以上であれば、湯温を下げ、待機をアドバイスさせる
・使用者が入浴前でリビング等にいるとき、当該使用者の皮膚温度、深部温度が高熱であれば、短い入浴時間とすること、又は、入浴を控えることをアドバイスさせる
・使用者が入浴前でリビング等にいるとき、当該使用者の疲労度が高い場合、湯温を下げて、泡発生を行わせるとともに、長い入浴時間をレコメンドさせる
・使用者が入浴中であるとき、当該使用者の心拍数、血圧値が急上昇した場合には、さし水等により湯温を下げるとともに、退浴をアナウンスさせる
・使用者が入浴中であるとき、当該使用者の深部温度が急上昇した場合には、浴室乾燥機から冷風を当該使用者の頭に向けて送るとともに、退浴をアナウンスさせる
・使用者が入浴後、当該使用者の皮膚温度に応じて、湯温と入浴時間と皮膚温度から推奨される睡眠時刻を知らせる。また、入浴後は、寝室等の照明装置の照度を抑え、色温度を暖色系にさせる
以上のようにして管理装置制御部141が決定した制御対象機器400の制御内容と、機器制御アシスト部142により修正・変更された制御対象機器400の制御内容は、機器接続部148及び管理装置通信部150を介して、当該制御対象機器400に制御信号として送信される。図5に示すように、制御対象機器400は、前述した機器通信部450の他に、機器制御部410を備えている。機器制御部410は、当該制御対象機器400の動作を制御する。この際、機器通信部450が管理装置100から送信された制御信号を受信している場合、機器制御部410は、受信した制御信号の内容に従って、当該制御対象機器400の動作を制御する。一方、機器通信部450が管理装置100から送信された制御信号を受信していない場合には、機器制御部410は、当該制御対象機器400に予め設定されている通常の制御内容に従って、当該制御対象機器400を制御する。
このように、この実施の形態の機器制御システムの制御対象機器400の動作は、当該制御対象機器400の機器制御部410のみならず、管理装置100の管理装置制御部141及び機器制御アシスト部142によっても制御されている。すなわち、この実施の形態の機器制御部410、管理装置制御部141及び機器制御アシスト部142は、制御対象機器400の動作を制御する制御手段を構成している。そして、機器制御アシスト部142より修正・変更された制御内容は、前述したように、個人特定部111により特定された個人に応じたものである。したがって、この実施の形態に係る機器制御システムの制御手段は、個人特定手段の特定結果に応じて制御対象機器400を制御する。
以上のように構成された機器制御システムにおいては、機器の使用者の熱画像を少なくとも含む人体情報から、使用者に係る特徴量を抽出し、使用者の個人情報と人体情報から抽出された特徴量との対応関係を特定する。そして、特定された個人情報と特徴量との対応関係を個人特定用データとして記憶しておき、この個人特定用データを参照して人体情報の個人を特定し、特定した個人に応じた制御内容で制御対象機器400を制御する。このため、制御対象機器400の使用者の個人情報と当該個人の人体情報との対応関係を予め設定しておく必要がなく、個人を特定し、特定した個人に応じた機器制御が可能である。
また、機器制御アシスト部142より修正・変更された制御内容は、前述したように、部屋特定手段により特定された使用者がいる建物の部屋にも応じたものである。したがって、この実施の形態に係る機器制御システムの制御手段は、部屋特定手段の特定結果にも応じて制御対象機器400を制御する。このため、使用者が建物のどの部屋にいるのかに応じて、制御対象機器400を制御できる。
再び図2を参照しながら、管理装置100の構成について説明を続ける。管理装置100の機器制御履歴記憶部143は、以上のようにして実行された、制御対象機器400の制御履歴を記憶する。また、スケジュール制御作成部144は、機器制御履歴記憶部143に記憶されている制御対象機器400の制御履歴に基づいて、当日のスケジュール制御内容を作成する。管理装置制御部141は、このようにしてスケジュール制御作成部144により作成された当日のスケジュール制御内容に基づいて、当該制御対象機器400の制御内容を決定する。
スケジュール制御作成部144は、例えば、制御対象機器400の過去における一定期間内の制御タイミングの中央値を、当日の当該制御対象機器400の制御タイミングとして、スケジュール制御内容を作成する。この際、より現在に近い日の制御タイミングほど、重みづけが重くなるような加重平均をとってもよい。さらにこの際、後述する季節判定部145による季節判定結果が前後の日と異なる日は、いわゆる「季節外れ」の天気の日であると考えられる。そこで、季節判定結果が前後の日と異なる日については、制御タイミングの加重平均を算出する際の重みづけ係数を小さくしてもよい。
季節判定部145は、気象情報に基づいて現在の季節を判定する季節判定手段である。この際の気象情報は、主に、環境情報記憶部133に記憶されている外部環境情報が用いられる。季節判定部145は、例えば、気象情報として当日の予想最高・最低気温と、各季節の最高・最低気温の平年値とを照らし合わせることで、現在の季節を判定する。そして、管理装置制御部141は、季節判定部145が判定した現在の季節に応じて、制御対象機器400を制御する際の基準値を設定する。管理装置制御部141は、例えば、現在の季節の判定結果が夏季であれば、温度に基づく制御を行う制御対象機器400についての制御基準値を28℃に設定する。また、例えば、現在の季節の判定結果が冬季であれば、温度に基づく制御を行う制御対象機器400についての制御基準値を22℃に設定する。そして、管理装置制御部141は、このように設定した制御基準値を用いて、制御対象機器400の制御内容を決定する。例えば、管理装置制御部141は、冬季であれば、ヒートショックを考慮して建物の中の温度変化を抑制する制御内容とする。また、例えば、夏季であれば、熱中症を予防するために室温又は湯温の設定温度を低くする。したがって、前述の制御手段は、季節判定部145の判定結果に応じて制御対象機器400を制御する。
この場合、図13に示すように、機器制御アシスト部142は、管理装置制御部141より決定された設定温度を、個人特定部111の特定結果等に応じて変更する。すなわち、機器制御アシスト部142による制御の変更内容は絶対的なものではなく、管理装置制御部141の決定内容に対して相対的なものである。
次に、再び図4を参照しながら、使用者に各種の情報を報知する機能に関連する端末装置300の構成について説明する。端末装置300のスケジュール制御表示部321は、管理装置100のスケジュール制御作成部144により作成された当日のスケジュール制御内容を、例えば端末装置300の表示部に表示する。また、スケジュール制御表示部321は、機器制御履歴記憶部143に記憶されている制御対象機器400の制御履歴を表示可能としてもよい。
制御対象機器400の制御履歴及びスケジュール制御作成部144により作成されたスケジュール制御内容は、前述したように、個人特定部111の特定結果に応じた機器制御アシスト部142による変更が反映されたものである。したがって、この実施の形態のスケジュール制御表示部321は、制御手段による個人特定部111の特定結果に応じた制御対象機器400の制御内容を使用者に報知する報知手段である。
また、制御変更理由表示部324は、個人特定部111の特定結果に応じて機器制御アシスト部142による制御内容の変更が行われた場合に、当該変更の理由を例えば端末装置300の表示部に表示する。例えば、前述した、制御対象機器400が給湯機である場合の機器制御アシスト部142による制御内容の例において、機器制御アシスト部142が、入浴前の使用者の心拍数が安静時の値より高いために湯温を下げるよう制御内容を変更した場合、制御変更理由表示部324は、心拍数が安静時の値より高いために湯温を下げた旨を端末装置300の表示部に表示する。
他に例えば、機器制御アシスト部142が、外が寒く外気温が低い中で帰宅したため、ヒートショックを抑制するように湯温を低くするよう制御内容を変更した場合、制御変更理由表示部324は、その旨を端末装置300の表示部に表示する。このような制御変更理由表示部324は、制御手段により個人特定部111の特定結果に応じて制御対象機器400の制御内容を変更した場合に、当該変更の理由を報知する報知手段である。
なお、スケジュール制御表示部321による当日のスケジュール制御内容の表示と、制御変更理由表示部324による制御変更内容の表示とは、異なる画面で別々に行ってもよいし、図14に示す画面例のように、1つの表示画面で同時に行ってもよい。図14に示す例では、それぞれの制御対象機器400のスケジュール制御内容がタイムチャートで表示されている。そして、機器制御アシスト部142により、スケジュール制御表示部321により作成されたスケジュール制御内容から変更された理由が、タイムチャート上にポップアップして表示されている。また、同図の例では、制御内容の詳細についても、タイムチャート上にポップアップして表示されている。
人体情報表示部322は、使用者の人体情報を例えば端末装置300の表示部に表示させる。この表示の際には、管理装置100の人体情報記憶部123に記憶されている人体情報を、管理装置通信部150を介して端末装置300に送信する。そして、人体情報表示部322は、端末装置通信部350が受信した人体情報を端末装置300の表示部に表示させる。なお、プライベート性を考慮して、人体情報表示部322は、当該端末装置300に対応する使用者として個人情報入力部311等から登録された個人の人体情報のみを表示可能としてもよい。換言すれば、人体情報表示部322は、当該端末装置300に対応する使用者として登録された個人以外の他人には、当該個人の人体情報を表示しないようにしてもよい。
環境情報表示部325は、環境情報を例えば端末装置300の表示部に表示させる。この表示の際には、管理装置100の環境情報記憶部133に記憶されている環境情報を、管理装置通信部150を介して端末装置300に送信する。そして、環境情報表示部325は、端末装置通信部350が受信した環境情報を端末装置300の表示部に表示させる。例えば、環境情報表示部325は、現在の室温、湿度等を表示したり、グラフで室温、湿度等の時系列変化を表示したりしてもよい。また、環境情報表示部325は、環境情報を日単位・月単位・年単位等で比較表示してもよい。
注意喚起情報表示部323は、前日の体感温度と今日の体感温度との差が予め設定された基準値以上の場合に使用者に対して気温の変化への注意を喚起する表示を、例えば端末装置300の表示部に表示させる。この際の体感温度は、主に、二次人体情報算出部121により算出されて人体情報記憶部123に記憶されているものが用いられる。このような注意喚起情報表示部323は、前日の体感温度と今日の体感温度との差が予め設定された基準値以上の場合に報知する報知手段である。
なお、注意喚起情報表示部323は、前日の気温と今日の気温との差が基準値以上の場合に使用者に対して気温の変化への注意を喚起する表示を行ってもよい。この際の気象情報は、主に、環境情報記憶部133に記憶されている外部環境情報が用いられる。注意喚起情報表示部323は、例えば、気象情報として当日の予想最高・最低気温と、前日の予想最高・最低気温との差に基づいて、気温変化への注意喚起を行ってもよい。
次に、以上のように構成された機器制御システムの各種の動作例について、図15から図19のフロー図を参照しながら説明する。図15に示すのは、端末装置300における各種情報の入力動作の一例である。まず、ステップS11において、端末装置300は、図7に示す個人情報入力画面501を表示し、個人情報入力部311に個人情報である家族情報を入力させる。続くステップS12において、端末装置300は、図8に示す個人情報入力画面501を表示し、個人情報入力部311に家族の各個人が使用する端末装置300との対応関係を入力させる。ステップS11及びステップS12で入力された情報は、管理装置100に送信される。そして、管理装置100の個人対応関係特定部113により、計測装置200等で検出された人体情報と個人情報とが対応付けられる。
続くステップS13において、端末装置300は、図9又は図10に示す人体情報修正画面503を表示し、個人対応関係修正部312は、個人対応関係特定部113で特定された人体情報と個人情報との対応関係を、使用者に確認させるとともに、必要に応じて修正させる。続くステップS14において、端末装置300は、図11に示す間取り情報入力画面504を表示し、間取り情報入力部313に制御対象機器400が設置される建物の部屋の間取り情報を入力させる。続くステップS15において、端末装置300は、図12に示す位置対応関係入力画面505を表示し、位置対応関係入力部314に間取り情報と、部屋にいる使用者の位置情報との対応関係を入力させる。ステップS15の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
図16に示すのは、管理装置100の機器制御アシスト部142による制御内容の変更動作の一例である。まず、ステップS21において機器制御アシスト部142は、前述のアシスト実行条件が成立したか否かを判定する。アシスト実行条件が成立していなければ、一連の動作は終了となる。一方、アシスト実行条件が成立すれば、処理は次のステップS22に進む。
ステップS22においては、機器制御アシスト部142は、制御対象機器400の動作対象範囲内にいる、個人特定部111により個人が特定された使用者の人数を判定する。ここで、制御対象機器400の動作対象範囲とは、例えば、制御対象機器400が空気調和装置であれば、当該空気調和装置が設置された部屋である。制御対象機器400の動作対象範囲内にいる、個人特定部111により個人が特定された使用者の人数が0である場合、処理はステップS23に進む。ステップS23においては、機器制御アシスト部142による制御内容の変更は行われない。したがって、制御対象機器400は、管理装置制御部141により決定された制御内容か、又は、当該制御対象機器400に予め設定されている通常の制御内容に従って動作する。ステップS23の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
一方、ステップS22において、制御対象機器400の動作対象範囲内にいる、個人特定部111により個人が特定された使用者の人数が1人である場合、処理はステップS24に進む。ステップS24においては、機器制御アシスト部142は、まず、個人特定部111により特定された個人に対応する個人情報を取得する。次に、機器制御アシスト部142は、取得した個人情報に係る個人特性に応じた制御内容を個人制御内容記憶部146から取得する。そして、機器制御アシスト部142は、個人制御内容記憶部146から取得した制御内容に従って、制御対象機器400の制御内容を変更する。ステップS24の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
また、ステップS22において、制御対象機器400の動作対象範囲内にいる、個人特定部111により個人が特定された使用者の人数が2人以上である場合、処理はステップS25に進む。ステップS25においては、機器制御アシスト部142は、まず、個人特定部111により特定された2人以上の個人のそれぞれに対応する個人情報を取得する。次に、機器制御アシスト部142は、取得した個人情報のそれぞれに係る個人特性に応じた制御内容を個人制御内容記憶部146から取得する。そして、機器制御アシスト部142は、個人制御内容記憶部146から取得したそれぞれの制御内容に従った場合の、制御対象機器400の制御変更内容を特定する。
そして、続くステップS26において、機器制御アシスト部142は、ステップS25で特定したそれぞれの制御変更内容を勘案して、制御対象機器400の制御変更内容を決定する。この際の決定手法としては、複数の制御値の平均、複数の制御値の最大、複数の制御値の最小、あるいは、個人が特定された複数の使用者のうちで最後に動作対象範囲内に入ってきた個人に対応した制御内容とする等が挙げられる。そして、機器制御アシスト部142は、決定した制御変更内容に従って、制御対象機器400の制御内容を変更する。ステップS26の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
図17に示すのは、管理装置100のスケジュール制御作成部144のスケジュール制御内容作成動作の一例である。まず、ステップS31において、スケジュール制御作成部144は、予め設定されたスケジュール制御内容作成時刻になったか否かを判定する。スケジュール制御内容作成時刻になっていなければ、一連の動作は終了となる。一方、スケジュール制御内容作成時刻になっていれば、処理は次のステップS32に進む。
ステップS32においては、スケジュール制御作成部144は、機器制御履歴記憶部143に記憶されている制御対象機器400の制御履歴から、制御対象機器400の過去における一定期間内の制御タイミングと、各制御タイミング間の制御モードとを取得する。制御モードとは、制御対象機器400のON/OFF、運転モード等である。運転モードとしては、例えば、制御対象機器400が空気調和装置であれば、冷房運転、暖房運転、送風運転、除湿運転等のモードが挙げられる。
続くステップS33において、スケジュール制御作成部144は、より現在に近い日の制御タイミングほど、重みづけが重くなるような加重平均を計算することにより、制御対象機器400の動作時刻を算出する。
続くステップS34において、スケジュール制御作成部144は、ステップS33で算出した制御対象機器400の動作時刻に基づいて、制御対象機器400のスケジュール制御内容を作成する。作成したスケジュール制御内容は、端末装置300のスケジュール制御表示部321に表示され、使用者に報知される。ステップS34の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
図18に示すのは、管理装置100の季節判定部145による季節判定動作の一例である。まず、ステップS41において、季節判定部145は、予め設定された季節判定開始時刻になったか否かを判定する。季節判定開始時刻になっていなければ、一連の動作は終了となる。一方、季節判定開始時刻になっていれば、処理は次のステップS42に進む。ステップS42においては、季節判定部145は、外部環境情報のうちの当日の予想最高気温を環境情報記憶部133から取得する。
続くステップS43において、季節判定部145は、取得した当日の予想最高気温Ttと、夏季判定基準値及び冬季判定基準値とを比較する。夏季判定基準値は、当該地域の夏季の最高気温の平年値から予め設定される。また、冬季判定基準値は、当該地域の冬季の最高気温の平年値から予め設定される。夏季判定基準値は、冬季判定基準値よりも大きい値である。
予想最高気温Ttが、夏季判定基準値以上の場合、処理はステップS44に進む。ステップS44においては、季節判定部145は、現在の季節は夏季であると判定する。そして、続くステップS45で、管理装置制御部141は、ステップS44での季節判定結果に応じて、制御対象機器400の制御内容を夏季に応じた制御モード(例えば、熱帯夜抑制モード)に決定する。ステップS45の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
一方、ステップS43において、予想最高気温Ttが、夏季判定基準値未満かつ冬季判定基準値以上の場合、処理はステップS46に進む。ステップS46においては、季節判定部145は、現在の季節は夏季から冬季への中間期、又は、冬季から夏季への中間期であると判定する。そして、続くステップS47で、管理装置制御部141は、ステップS46での季節判定結果に応じて、制御対象機器400の制御内容を中間期に応じた制御モード(例えば、花粉症抑制モード)に決定する。ステップS47の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
また、ステップS43において、予想最高気温Ttが、冬季判定基準値未満の場合、処理はステップS48に進む。ステップS48においては、季節判定部145は、現在の季節は冬季であると判定する。そして、続くステップS49で、管理装置制御部141は、ステップS48での季節判定結果に応じて、制御対象機器400の制御内容を冬季に応じた制御モード(例えば、ヒートショック抑制モード)に決定する。ステップS49の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
図19に示すのは、管理装置100の二次人体情報算出部121による体感温度算出動作と、端末装置300の注意喚起情報表示部323による注意喚起動作の一例である。まず、ステップS51において、二次人体情報算出部121は、予め設定された注意喚起判定開始時刻になったか否かを判定する。注意喚起判定開始時刻になっていなければ、一連の動作は終了となる。一方、注意喚起判定開始時刻になっていれば、処理は次のステップS52に進む。
ステップS52においては、二次人体情報算出部121は、外部環境情報のうちの前日の外気温、湿度、風速を環境情報記憶部133から取得する。そして、続くステップS53において、二次人体情報算出部121は、外部環境情報のうちの今日の予想外気温(予想最高気温又は予想最低気温等)、湿度、風速を環境情報記憶部133から取得する。ステップS53の後、処理はステップS54へと進む。
ステップS54においては、二次人体情報算出部121は、使用者の前日の服装のclo値(クロー値)を算出する。clo値とは、着衣の熱抵抗値(保温力)を数値化したものである。使用者の前日の服装は、人体情報記憶部123に記憶されている当該使用者の熱画像、可視画像等から推定する。または、端末装置300等から、使用者が前日の服装(着衣量)を入力できるようにしてもよい。ステップS54の後、処理はステップS55へと進む。
ステップS55においては、二次人体情報算出部121は、ステップS52で取得した前日の外気温、湿度、風速と、ステップS53で取得した今日の予想外気温、湿度、風速と、ステップS54で算出したclo値とから、使用者の前日の体感温度及び今日の体感温度のそれぞれを算出する。算出した体感温度は、二次人体情報として人体情報記憶部123に記憶される。
続くステップS56において、端末装置300の注意喚起情報表示部323は、ステップS55で算出された使用者の前日の体感温度及び今日の体感温度を、管理装置100から取得する。そして、注意喚起情報表示部323は、前日の体感温度と今日の体感温度との差が予め設定された基準値以上であるか否かを判定する。前日の体感温度と今日の体感温度との差が基準値未満の場合には、一連の動作は終了となる。
一方、前日の体感温度と今日の体感温度との差が基準値以上の場合には、処理はステップS57へと進む。ステップS57においては、注意喚起情報表示部323は、使用者に対して気温の変化への注意を喚起する表示を、例えば端末装置300の表示部に表示させる。また、制御対象機器400に空気調和装置が含まれていれば、続くステップS58において、機器制御アシスト部142は、空気調和装置による空調を強めるように制御内容を変更する。ここで、空調を強めるとは、冷房運転であれば、例えば、設定温度を低くしたり、風量を大きくしたりすることである。また、暖房運転であれば、例えば、設定温度を高くしたり、風量を大きくしたりすることである。ステップS58の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。