JP7434773B2 - 赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法 - Google Patents

赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法 Download PDF

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本発明は、赤外光カットフィルター、赤外光カットフィルターを備える固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法に関する。
CMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの固体撮像素子は、光の強度を電気信号に変換する光電変換素子を備える。固体撮像素子の一例は、複数の色用の光を検出することが可能である。固体撮像素子は、各色用のカラーフィルターと光電変換素子とを備え、各色用の光電変換素子によって各色用の光を検出する(例えば、特許文献1を参照)。固体撮像素子の他の例は、有機光電変換素子と無機光電変換素子とを備え、カラーフィルターを用いずに、各光電変換素子で各色の光を検出する(例えば、特許文献2を参照)。
固体撮像素子は、光電変換素子上に赤外光カットフィルターを備えている。赤外光カットフィルターが赤外光を吸収することで、各光電変換素子が検出し得る赤外光を光電変換素子に対してカットする。それによって、各光電変換素子での可視光の検出精度が高められる。赤外光カットフィルターは、例えば、シアニン色素を含む(例えば、特許文献3を参照)。
特開2003-060176号公報 特開2018-060910号公報 特開2007-219114号公報
ところで、赤外光カットフィルターを備える固体撮像素子が実装基板に実装されるときには、リフロー方式によるはんだ付けによって、固体撮像素子が実装基板に実装される。この際に、固体撮像素子が備える赤外光カットフィルターがはんだを溶融させる温度にまで加熱される。赤外光カットフィルターの加熱は、シアニン色素を変性させ、結果として、加熱後の赤外光カットフィルターが有する赤外光の吸光度が、加熱前の赤外光カットフィルターが有する赤外光の吸光度よりも低下することがある。
本発明は、加熱に起因した赤外光の吸光度における低下を抑制可能にした赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための赤外光カットフィルターは、ポリメチン、および、前記ポリメチンの両末端に1つずつ位置し、窒素を含む2つの複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸とを含むシアニン色素と、下記式(1)によって表され、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体と、を含む。
ただし、式(1)において、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は単結合、炭素数1以上の直鎖状アルキレン基、または、炭素数3以上の分岐鎖状アルキレン基である。R3は、酸素原子および2つ以上の炭素原子を含む環状エーテル基である。
上記課題を解決するための固体撮像素子用フィルターの製造方法は、ポリメチン、および、前記ポリメチンの両末端に1つずつ位置し、窒素を含む2つの複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸とを含むシアニン色素と、上記式(1)によって表され、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体と、を含む赤外光カットフィルターを形成することと、前記赤外光カットフィルターをドライエッチングによってパターニングすることと、を含む。
上記各構成によれば、アクリル重合体が側鎖に環状エーテル基を含むため、加熱後の赤外光カットフィルターにおける赤外光の吸光度が、加熱前の赤外光カットフィルターにおける赤外光の吸光度よりも低下することが抑えられる。
上記赤外光カットフィルターにおいて、前記アクリル重合体のガラス転移温度は、75℃以上であってもよい。この構成によれば、アクリル重合体のガラス転移温度が75℃以上であることによって、赤外光カットフィルターにおいて、赤外光の吸光度における低下を抑えることが可能である。
上記赤外光カットフィルターにおいて、前記アクリル重合体の平均分子量は、3万以上15万以下であってもよい。この構成によれば、アクリル重合体の平均分子量が3万から15万以下であることによって、赤外光の吸光度における低下を抑えることが可能である。
上記赤外光カットフィルターにおいて、前記アクリル重合体の質量と、前記アクリル重合体を構成するモノマーの質量との和(MS)に対する前記モノマーの質量(MM)の百分率(MM/MS×100)が20%以下であってもよい。この構成によれば、残存モノマーが20%よりも多い場合に比べて、シアニン色素における赤外光の吸光度が低下しにくくなる。
上記課題を解決するための固体撮像素子用フィルターは、上記赤外光カットフィルターと、前記赤外光カットフィルターを覆い、前記赤外光カットフィルターを酸化する酸化源の透過を抑えるバリア層と、を備える。
上記各構成によれば、バリア層によって赤外光カットフィルターに酸化源が到達することが抑えられ、これによって、赤外光カットフィルターが酸化源によって酸化されにくくなる。
上記課題を解決するための固体撮像素子は、光電変換素子と、上記固体撮像素子用フィルターと、を備える。
本発明によれば、赤外光カットフィルターにおいて、加熱に起因した赤外光の吸光度における低下を抑制することができる。
固体撮像素子の一実施形態における層構造を示す分解斜視図。
図1を参照して、赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法における一実施形態を説明する。図1は、固体撮像素子の一部における各層を分離して示す概略構成図である。なお、本実施形態において、赤外光とは、0.7μm以上1mm以下の範囲に含まれる波長を有した光を意味し、近赤外光とは、赤外光のなかで特に700nm以上1100nm以下の範囲に含まれる波長を有した光を意味する。
[固体撮像素子]
図1が示すように、固体撮像素子10は、固体撮像素子用フィルター10F、および、複数の光電変換素子11を備える。固体撮像素子用フィルター10Fは、複数の可視光用のフィルター12R,12G,12B、赤外光パスフィルター12P、赤外光カットフィルター13、バリア層14、複数の可視光用のマイクロレンズ15R,15G,15B、および、赤外光用マイクロレンズ15Pを備える。
複数の光電変換素子11は、赤色用光電変換素子11R、緑色用光電変換素子11G、青色用光電変換素子11B、および、赤外光用光電変換素子11Pを備える。固体撮像素子10は、複数の赤色用光電変換素子11R、複数の緑色用光電変換素子11G、複数の青色用光電変換素子11B、および、複数の赤外光用光電変換素子11Pを備える。複数の赤外光用光電変換素子11Pは、赤外光の強度を測定する。なお、図1では、図示の便宜上、固体撮像素子10における光電変換素子11の繰り返し単位が示されている。
可視光用のカラーフィルターは、赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12Bから構成される。赤色用フィルター12Rは、赤色用光電変換素子11Rに対して光の入射側に位置する。緑色用フィルター12Gは、緑色用光電変換素子11Gに対して光の入射側に位置する。青色用フィルター12Bは、青色用光電変換素子11Bに対して光の入射側に位置する。
固体撮像素子用フィルター10Fは、赤外光用光電変換素子11Pに対して光の入射側に赤外光パスフィルター12Pを備える。赤外光パスフィルター12Pは、赤外光用光電変換素子11Pが検出し得る可視光を赤外光用光電変換素子11Pに対してカットする。それによって、赤外光用光電変換素子11Pによる赤外光の検出精度が高められる。赤外光用光電変換素子11Pが検出し得る赤外光は、例えば、700nm以上1100nm以下の波長を有した近赤外光である。赤外光パスフィルター12Pは、黒色感光性樹脂を含む塗膜の形成、および、フォトリソグラフィー法を用いた塗膜のパターニングによって形成される。
赤外光カットフィルター13は、各色用フィルター12R,12G,12Bに対して光の入射側に位置する。赤外光カットフィルター13は、貫通孔13Hを備え、これによって赤外光パスフィルター12Pに対する光の入射側に位置しない。赤外光カットフィルター13は、赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12Bに共通する。赤外光カットフィルター13は、固体撮像素子用フィルター10Fと光電変換素子11とが重なる方向から見て、各色用フィルター12R,12G,12Bに重なる。
バリア層14は、赤外光カットフィルター13の酸化源の透過を抑制する。酸化源は、酸素および水などである。バリア層14が有する酸素透過率は、例えば、5.0cc/m/day/atom以下であることが好ましい。酸素透過率は、JIS K7126:2006に準拠した値である。酸素透過率が5.0cc/m/day/atom以下に定められるから、バリア層14によって赤外光カットフィルター13に酸化源が到達することが抑制されるため、赤外光カットフィルター13が酸化源によって酸化されにくくなる。そのため、赤外光カットフィルター13の耐光性が向上可能である。
バリア層14を形成する材料は、無機化合物であって、珪素化合物であることが好ましい。バリア層14を形成する材料は、例えば、窒化珪素、酸化珪素、および、酸窒化珪素からなる群から選択される少なくとも一つである。
マイクロレンズは、赤色用マイクロレンズ15R、緑色用マイクロレンズ15G、青色用マイクロレンズ15B、および、赤外光用マイクロレンズ15Pから構成される。赤色用マイクロレンズ15Rは、赤色用フィルター12Rに対して光の入射側に位置する。緑色用マイクロレンズ15Gは、緑色用フィルター12Gに対して光の入射側に位置する。青色用マイクロレンズ15Bは、青色用フィルター12Bに対して光の入射側に位置する。赤外光用マイクロレンズ15Pは、赤外光パスフィルター12Pに対して光の入射側に位置する。
各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、外表面である入射面15Sを備える。各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、入射面15Sに入る光を各光電変換素子11R,11G,11B,11Pに向けて集めるための屈折率差を外気との間において有する。
[赤外光カットフィルター]
以下、赤外光カットフィルター13についてより詳細に説明する。
赤外光カットフィルター13は、ポリメチン、および、ポリメチンの両末端に1つずつ位置し、窒素を含む2つの複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸(FAP)とを含むシアニン色素と、下記式(1)によって表され、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体とを含んでいる。
シアニン色素は、カチオンと、アニオンとを含む。本実施形態において、シアニン色素における窒素原子を含む化合物がカチオンであり、FAPがアニオンである。
上記式(1)において、R1は水素原子またはメチル基である。R2は、単結合、炭素数1以上の直鎖状アルキレン基、または、炭素数3以上の分岐鎖状アルキレン基である。R3は、酸素原子および2つ以上の炭素原子を含む環状エーテル基である。
シアニン色素は、下記式(2)に示される構造を有してもよい。
上記式(2)において、Xは、1つのメチン、または、ポリメチンである。メチンが含む炭素原子に結合された水素原子は、ハロゲン原子、または、有機基に置換されてもよい。ポリメチンは、ポリメチンを形成する炭素を含む環状構造を有してもよい。環状構造は、ポリメチンを形成する複数の炭素において、連続する3つの炭素を含むことができる。ポリメチンが環状構造を有する場合には、ポリメチンの炭素数は5以上であってよい。各窒素原子は、五員環または六員環の複素環に含まれている。複素環は、縮環されてもよい。
また、シアニン色素は、下記式(3)に示される構造を有してもよい。
上記式(3)において、nは1以上の整数である。nは、ポリメチン鎖に含まれる繰り返し構造の数を示している。R4、および、R5は水素原子、または、有機基である。R6およびR7は、水素原子または有機基である。R6およびR7は、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、または、分岐鎖状アルキル基であることが好ましい。各窒素原子は、五員環または六員環の複素環に含まれている。複素環は、縮環されてもよい。
なお、式(2)において、ポリメチンが環状構造を含む場合には、環状構造は、例えば、環状構造がエチレン性二重結合などの不飽和結合を少なくとも一つ有し、かつ、当該不飽和結合がポリメチン鎖の一部として電子共鳴する環状構造であってよい。こうした環状構造は、例えば、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロオクタジエン環、および、ベンゼン環などであってよい。これらの環状構造は、いずれも置換基を有してもよい。
また、式(3)において、nが1である化合物はシアニンであり、nが2である化合物はカルボシアニンであり、nが3である化合物はジカルボシアニンである。式(3)において、nが4である化合物はトリカルボシアニンである。
R4およびR5の有機基は、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、および、アルケニル基であってよい。アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、イソブチル基、tert‐ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、および、デシル基などであってよい。アリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、および、ナフチル基などであってよい。アラルキル基は、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などであってよい。アルケニル基は、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、および、オクテニル基などであってよい。
なお、各有機基が有する水素原子の少なくとも一部が、ハロゲン原子またはシアノ基によって置換されてもよい。ハロゲン原子は、フッ素、臭素、および、塩素などであってよい。置換後の有機基は、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、および、シアノエチル基などであってよい。
R6またはR7は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、イソブチル基、tert‐ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、および、デシル基などであってよい。
各窒素原子が含まれる複素環は、例えば、ピロール、イミダゾール、チアゾール、および、ピリジンなどであってよい。
こうしたシアニン色素が含むカチオンは、例えば、下記式(4)および下記式(5)によって表される構造であってよい。
なお、シアニン色素が含むカチオンは、例えば、下記式(6)から式(45)に示される構造を有してもよい。すなわち、シアニン色素が含む各窒素原子は、以下に示される構造中に含まれてもよい。
シアニン色素は、700nm以上1100nm以下に含まれるいずれかの波長において、赤外光の吸光度における最大値を有する。そのため、赤外光カットフィルター13によれば、赤外光カットフィルター13を通過する近赤外光を確実に吸収することが可能である。これにより、各色用の光電変換素子11で検出され得る近赤外光が、赤外光カットフィルター13によって十分にカットされる。
なお、波長λにおける吸光度Aλは、下記式によって算出される。
Aλ=-log10(%T/100)
透過率Tは、赤外光にシアニン色素を有する赤外光カットフィルター13を透過させたときの、入射光の強度(IL)に対する透過光の強度(TL)の比(TL/IL)によって表される。赤外光カットフィルター13において、入射光の強度を1としたときの透過光の強度が透過率Tであり、透過率Tに100を乗算した値が透過率パーセント%Tである。
トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸([(CPF)は、下記式(46)によって示される構造を有する。
固体撮像素子10の製造過程において、赤外光カットフィルター13は、200℃程度に加熱される。上述したシアニン色素は、200℃程度に加熱されることによって、シアニン色素が有する構造が変わることによって、シアニン色素における赤外光に対する吸光度が低下することがある。
この点で、FAPは、シアニン色素におけるポリメチン鎖の近傍に位置することが可能な分子量および分子構造を有することが可能である。これにより、シアニン色素のポリメチン鎖が、シアニン色素の加熱によって切断されることが抑えられる。そのため、シアニン色素の加熱に起因してシアニン色素が有する赤外光の吸光度が低下することが抑えられ、結果として、赤外光カットフィルター13における赤外光の吸光度が低下することが抑制される。
上述したように、アクリル重合体は、側鎖に環状エーテル基を含んでいる。アクリル重合体において、R3は、水素原子またはメチル基であり、R4は、単結合、炭素数1以上の直鎖状アルキレン基、または、炭素数3以上の分岐鎖状アルキレン基である。R4は、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、および、ブチレン基などであってよい。アクリル重合体において、R5は、酸素原子および2つ以上の炭素原子を含む環状エーテル基である。環状エーテル基は、複数の炭素原子を含んで形成される環状内にエーテル結合を有している。環状エーテル基は、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、および、テトラヒドロピラニル基などであってよい。
なお、アクリル重合体は、アクリル酸またはメタクリル酸を含むモノマーが重合した高分子化合物である。アクリル酸を含むモノマーがアクリレートであり、メタクリル酸を含むモノマーがメタクリレートである。
環状エーテル基を含むアクリル重合体のモノマーは、例えば、下記式(47)によって表されるメタクリル酸グリシジルなどであってよい。
さらに、環状エーテル基を含むアクリル重合体のモノマーは、例えば、グリシジルアクリレート、2‐メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2‐エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2‐オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2‐グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3‐グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、オキセタニル(メタ)アクリレート、3‐メチル‐3‐オキセタニル(メタ)アクリレート、3‐エチル‐3‐オキセタニル(メタ)アクリレート、(3‐メチル‐3‐オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3‐エチル‐3‐オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2‐(3‐メチル‐3‐オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2‐(3‐エチル‐3‐オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2‐[(3‐メチル‐3‐オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2‐[(3‐エチル‐3‐オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3‐[(3‐メチル‐3‐オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3‐[(3‐エチル‐3‐オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、および、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどであってよい。
本実施形態では、シアニン色素とともに赤外光カットフィルター13を形成するアクリル重合体が側鎖に環状エーテル基を含んでいる。そのため、加熱後の赤外光カットフィルター13における赤外光の吸光度が、加熱前の赤外光カットフィルター13における赤外光の吸光度よりも低下することが抑えられる。
なお、アクリル重合体は、上述したアクリルモノマーのいずれか1つのみの重合によって形成された重合体でもよいし、2種以上のアクリルモノマーが重合された共重合体でもよい。また、アクリル重合体は、上述したアクリルモノマー以外の他のアクリルモノマーを含んでもよい。
他のアクリルモノマーは、例えば、側鎖に芳香環を含むアクリルモノマーであってよい。芳香環を含むアクリルモノマーは、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2‐(メタ)アクリロイルオキシエチル‐2‐ヒドロキシプロピルフタレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2‐(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、エトキシ化オルト‐フェニルフェノール(メタ)アクリレート、o‐フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2‐ナフトール(メタ)アクリレート、4‐ビフェニル(メタ)アクリレート、9‐アントリルメチル(メタ)アクリレート、2‐[3‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐ヒドロキシフェニル]エチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキシド(EO)変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、フタル酸2‐(メタ)アクリロイルオキシエチル、および、ヘキサヒドロフタル酸2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルなどであってよい。
また、他のアクリルモノマーは、例えば、側鎖に脂環式構造を含むアクリルモノマーであってよい。脂環式構造は、単環、または、縮合環および橋架け環などの多環からなる芳香環を含まない構造を含んでいる。脂環式構造は、例えば、シクロヘキシル骨格、ジシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格、ノルボルナン骨格、イソボルナン骨格、シクロアルカン骨格、シクロアルケン骨格、ノルボルネン骨格、ノルボルナジエン骨格、トリシクロアルカン骨格、テトラシクロアルカン骨格、多環式骨格、および、スピロ骨格を含んでよい。
シクロアルカン骨格は、例えば、シクロプロパン骨格、シクロブタン骨格、シクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、シクロノナン骨格、シクロデカン骨格、シクロウンデカン骨格、および、シクロドデカン骨格などであってよい。シクロアルケン骨格は、例えば、シクロプロペン骨格、シクロブテン骨格、シクロペンテン骨格、シクロヘキセン骨格、シクロヘプテン骨格、および、シクロオクテン骨格などであってよい。トリシクロアルカン骨格は、例えば、トリシクロデカン骨格などであってよい。テトラシクロアルカン骨格は、例えば、テトラシクロドデカン骨格などであってよい。多環式骨格は、例えば、キュバン骨格、バスケタン骨格、および、ハウサン骨格などであってよい。
側鎖に脂環式構造を有するアクリルモノマーは、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4‐t‐シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、および、テトラシクロドデシル(メタ)アクリレートなどであってよい。
また、アクリル重合体は、アクリル重合体が有する環状エーテル基と反応する側鎖を有するアクリルモノマーを含んでもよい。アクリル重合体の環状エーテル基に、環状エーテル基と反応する側鎖を有したアクリルモノマーの側鎖を反応させることによって、架橋構造が形成される。これによって、シアニン色素を含む赤外光カットフィルターの耐熱性が向上する。環状エーテル基と反応する側鎖を含むアクリルモノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を側鎖に含むアクリルモノマー、4‐ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートなどのフェノール性側鎖を含むアクリルモノマー、および、アミン基を側鎖に含むアクリルモノマーなどであってよい。
また、アクリル重合体は、上述したアクリルモノマー以外のモノマーを含んでもよい。
上述したアクリルモノマー以外のモノマーは、例えば、スチレン系モノマー、(メタ)アクリルモノマー、ビニルエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、ハロゲン元素含有ビニル系モノマー、および、ジエン系モノマーなどであってよい。スチレン系モノマーは、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メトキシスチレン、p‐ヒドロキシスチレン、p‐アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、および、ベンジルスチレンなどであってよい。(メタ)アクリルモノマーは、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、および、2‐エチルヘキシルメタクリレートなどであってよい。ビニルエステル系モノマーは、例えば、酢酸ビニルなどであってよい。ビニルエーテル系モノマーは、例えば、ビニルメチルエーテルなどであってよい。ハロゲン元素含有ビニル系モノマーは、例えば、塩化ビニルなどであってよい。ジエン系モノマーは、例えば、ブタジエン、および、イソブチレンなどであってよい。アクリル重合体は、上述したアクリルモノマー以外のモノマーを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
また、アクリル重合体は、アクリル重合体が有する極性を調整するためのモノマーを含有してもよい。極性を調整するためのモノマーは、酸基または水酸基をアクリル重合体に付加する。こうしたモノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、アクリル酸-2ヒドロキシエチル、および、(メタ)アクリル酸-4‐ヒドロキシフェニルなどであってよい。
また、アクリル重合体が2種以上のアクリルモノマーが重合された共重合体である場合には、アクリル重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、および、グラフト共重合体のいずれの構造を有していてもよい。アクリル重合体の構造がランダム共重合体であれば、製造工程およびシアニン色素との調製が容易である。そのため、ランダム共重合体は、他の共重合体よりも好ましい。
アクリル重合体を得るための重合方法は、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、および、リビングアニオン重合などであってよい。アクリル重合体を得るための重合方法には、工業的に生産が容易なことから、ラジカル重合が選択されることが好ましい。ラジカル重合は、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、および、懸濁重合法などであってよい。ラジカル重合には、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いることによって、アクリル重合体における分子量の制御が容易である。さらに、アクリルモノマーの重合後にアクリル重合体を含む溶液を溶液の状態のまま固体撮像素子用フィルターの製造に使用することができる。
ラジカル重合では、上述したアクリルモノマーを重合溶剤によって希釈した後に、ラジカル重合開始剤を加えてアクリルモノマーの重合を行ってもよい。
重合溶剤は、エステル系溶剤、アルコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族系溶剤、アミド系溶剤、および、アルコール系溶剤などであってよい。エステル系溶剤は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t‐ブチル、乳酸メチル、および、乳酸エチルなどであってよい。アルコールエーテル系溶剤は、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3‐メトキシ‐1‐ブタノール、および、3‐メトキシ‐3-メチル‐1‐ブタノールなどであってよい。ケトン系溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、および、シクロヘキサノンなどであってよい。芳香族系溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、および、キシレンなどであってよい。アミド系溶剤は、例えば、ホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドなどであってよい。アルコール系溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n‐プロパノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、イソブタノール、s‐ブタノール、t‐ブタノール、ジアセトンアルコール、および、2‐メチル‐2‐ブタノールなどであってよい。このうち、ケトン系溶剤、および、エステル系溶剤は、固体撮像素子用フィルターの製造に用いることができるため好ましい。なお、上述した重合溶剤においては、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が混合して用いられてもよい。
ラジカル重合において、重合溶剤を使用する量は特に限定されないが、アクリルモノマーの合計を100重量部に設定する場合に、重合溶剤の使用量は、1重量部以上1000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上500重量部以下であることがより好ましい。
ラジカル重合開始剤は、例えば、過酸化物およびアゾ化合物などであってよい。過酸化物は、例えば、ベンゾイルペルオキシド、t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、および、ジ‐t‐ブチルパーオキシドなどであってよい。アゾ化合物は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、および、2,2’‐アゾビス[2‐メチル‐N‐(2‐ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などであってよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、アクリルモノマーの合計を100重量部に設定した場合に、0.0001重量部以上20重量部以下であることが好ましく、0.001重量部以上15重量部以下であることがより好ましく、0.005重量部以上10重量部以下であることがさらに好ましい。ラジカル重合開始剤は、アクリルモノマーおよび重合溶剤に対して、重合開始前に添加されてもよいし、重合反応系中に滴下されてもよい。ラジカル重合開始剤をアクリルモノマーおよび重合溶剤に対して重合反応系中に滴下することによって、重合による発熱を抑制することができるため好ましい。
ラジカル重合の反応温度は、ラジカル重合開始剤および重合溶剤の種類によって適宜選択される。反応温度は、製造上の容易性、および、反応制御性の観点から、60℃以上110℃以下であることが好ましい。
アクリル重合体のガラス転移温度は、75℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度が75℃以上であれば、赤外光カットフィルターにおいて、赤外光の吸光度における低下を抑えることが可能である。
アクリル重合体の分子量は、3万以上15万以下であることが好ましく、5万以上15万以下であることがより好ましい。アクリル重合体の分子量がこの範囲に含まれることによって、赤外光の吸光度における低下を抑えることが可能である。分子量が15万を超えるアクリル重合体は、重合時の粘度上昇によりシアニン色素とともに塗液化することが困難である。そのため、アクリル重合体の分子量が15万を超える場合には、赤外光カットフィルター13の形成が容易ではない。一方で、アクリル重合体の分子量が15万以下であれば、アクリル重合体とシアニン色素とを含む塗液を形成することが可能であることから、赤外光カットフィルター13の形成がより容易である。なお、アクリル重合体の平均分子量は、重量平均分子量である。アクリル重合体の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定することが可能である。例えば、ラジカル重合反応において、溶液中のアクリルモノマーおよびラジカル重合開始剤の濃度を変更することによって、アクリル重合体の分子量を制御することができる。
アクリル重合体の質量と、アクリル重合体を構成するアクリルモノマーの質量との和(MS)に対するアクリルモノマーの質量(MM)の百分率(MM/MS×100)は、20%以下であることが好ましい。残存モノマーが20%よりも多い場合に比べて、シアニン色素における赤外光の吸光度が低下しにくくなる。
なお、アクリル重合体の質量と、アクリル重合体を構成するアクリルモノマーの質量との和(MS)に対するアクリルモノマーの質量(MM)の百分率(MM/MS×100)は、10%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。アクリル重合体の質量、および、アクリルモノマーの質量は、アクリル重合体の分析結果に基づき定量することが可能である。アクリル重合体の分析方法は、例えば、ガスクロマトグラフィー量分析法(GC‐MS)、核磁気共鳴分光法(NMR)、および、赤外分光法(IR)などであってよい。
アクリル重合体の質量とアクリルモノマーの質量との和に対するアクリルモノマーの質量の割合を変更する方法は、例えば、重合時間を変更する方法、および、重合温度を変更する方法などであってよい。また、アクリル重合体の質量とアクリルモノマーの質量との和に対するアクリルモノマーの質量の割合を変更する方法は、重合反応の開始時におけるアクリルモノマーおよびラジカル重合開始剤の濃度を変更する方法などであってよい。アクリル重合体の質量とアクリルモノマーの質量との和に対するアクリルモノマーの質量の割合を変更する方法は、重合反応後の精製条件を変更する方法などであってよい。このうち、重合時間を変更する方法は、アクリルモノマーの質量の割合を変更する制御の精度が高いため好ましい。
赤外光カットフィルター13は、例えば、300nm以上3μm以下の厚さを有することが可能である。
[固体撮像素子用フィルターの製造方法]
固体撮像素子用フィルター10Fの製造方法は、赤外光カットフィルター13を形成することと、赤外光カットフィルター13をドライエッチングによってパターニングすることとを含む。赤外光カットフィルター13を形成することでは、シアニン色素と、上記式(1)によって表され、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体とを含む赤外光カットフィルター13が形成される。シアニン色素は、ポリメチン、および、前記ポリメチンの両末端に1つずつ位置し、窒素を含む2つの複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸とを含む。以下、固体撮像素子用フィルター10Fの製造方法をより詳細に説明する。
各色用フィルター12R,12G,12B,12Pは、着色感光性樹脂を含む塗膜の形成、および、フォトリソグラフィー法を用いた塗膜のパターニングによって形成される。例えば、赤色用感光性樹脂を含む塗膜は、赤色用感光性樹脂を含む塗布液の塗布、および、塗膜の乾燥によって形成される。赤色用フィルター12Rは、赤色用感光性樹脂を含む塗膜に対し、赤色用フィルター12Rの領域に相当する露光、および、現像を経て形成される。なお、緑色用フィルター12G、青色用フィルター12B、および、赤外光パスフィルター12Pも、赤色用フィルター12Rと同様の方法によって形成される。
赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12Bの着色組成物に含有される顔料には、有機または無機の顔料を単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料は、発色性が高く、かつ、耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料であることが好ましく、有機顔料であることが好ましい。有機顔料は、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、ペリレン系、チオインジゴ系、イソインドリン系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系などであってよい。また、赤外光パスフィルター12Pに含有される着色成分には、黒色色素、あるいは、黒色染料を用いることができる。黒色色素は、単一で黒色を有する色素、あるいは、2種以上の色素によって黒色を有する混合物であってよい。黒色染料は、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、アジン系染料、キノリン系染料、ペリノン系染料、ペリレン系染料、および、メチン系染料であってよい。各色の感光性着色組成物にはさらに、バインダー樹脂、光重合開始剤、重合性モノマー、有機溶剤、および、レベリング剤などが含まれる。
赤外光カットフィルター13を形成する際には、上述したシアニン色素、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体、および、有機溶剤を含む塗布液を各色用フィルター12R,12G,12B,12P上に塗布し、塗膜を乾燥させる。次いで、乾燥した塗膜をポストベークすることによって熱硬化させる。これにより、赤外光カットフィルター13が形成される。
赤外光カットフィルター13が備える貫通孔13Hを形成する際には、まず、赤外光カットフィルター13上にフォトレジスト層を形成する。このフォトレジスト層をパターン状に除去することによってレジストパターンを形成する。次に、このレジストパターンをエッチングマスクとして用いたドライエッチングによって赤外光カットフィルター13をエッチングする。そして、エッチング後の赤外光カットフィルター13に残存するレジストパターンを除去することによって貫通孔13Hが形成される。これにより、赤外光カットフィルターをパターニングすることができる。
バリア層14は、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法などの気相成膜法、あるいは、塗布法などの液相成膜法を用いた成膜によって形成される。例えば、酸化珪素から構成されるバリア層14は、赤外光カットフィルター13が形成された基板に対し、酸化珪素からなるターゲットを用いたスパッタリングによる成膜を経て形成される。例えば、酸化珪素から構成されるバリア層14は、赤外光カットフィルター13が形成された基板に対し、シランと酸素とを用いたCVDによる成膜を経て形成される。例えば、酸化珪素から構成されるバリア層14は、ポリシラザンを含む塗布液の塗布、改質、および、塗膜の乾燥によって形成される。バリア層14の層構造は、単一の化合物からなる単層構造でもよいし、単一の化合物からなる層の積層構造であってもよいし、相互に異なる化合物からなる層の積層構造であってもよい。
各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、透明樹脂を含む塗膜の形成、フォトリソグラフィー法を用いた塗膜のパターニング、および、熱処理によるリフローによって形成される。透明樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および、ノルボルネン系樹脂などである。
なお、上述した方法によって形成された固体撮像素子用フィルターが、複数の光電変換素子11、複数のフィルター12R,12G,12B,12P、および、バリア層14と組み合わせられることによって、固体撮像素子が製造される。
固体撮像素子10は、リフロー方式によるはんだ付けによって、実装基板に実装される。この際に、固体撮像素子10は、はんだを溶融可能な温度にまで加熱される。固体撮像素子10は、例えば250℃に加熱される。そのため、固体撮像素子10を形成する赤外光カットフィルター13には、はんだ付け時に赤外光カットフィルター13に与えられる熱によって赤外光に対する吸収特性が変化しないことが求められる。特に、赤外光カットフィルター13には、赤外光カットフィルター13の加熱によって、赤外光カットフィルター13が有する赤外光の吸光度が低下しないことが求められる。本実施形態の赤外光カットフィルター13は、上述したように、アクリル重合体が側鎖に環状エーテル基を含んでいるため、赤外光カットフィルター13がリフロー方式によるはんだ付け工程を経たとしても、赤外光カットフィルター13において、赤外光の吸光度における低下が抑えられる。
[アクリル重合体の製造例]
<製造例1>
60重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)を重合溶剤として準備し、28重量部のメタクリル酸フェニル(C1010)、6重量部のメタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル(C1010)、および、6重量部のメタクリル酸グリシジル(C10)をアクリルモノマーとして準備した。また、0.60重量部のベンゾイルペルオキシド(BPO)をラジカル重合開始剤として準備した。これらを攪拌装置と還流管とが設置された反応容器に入れ、反応容器に窒素ガスを導入しつつ、80℃に加熱しながら8時間にわたって攪拌および還流した。これにより、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。形成された共重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって測定したところ、補外ガラス転移開始温度は101℃であることが認められた。
<製造例2>
60重量部のPGMAcを重合溶剤として準備し、40重量部のメタクリル酸フェニルをアクリルモノマーとして準備し、0.60重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した以外は、製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニルのホモポリマー溶液を得た。形成された重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって測定したところ、補外ガラス転移開始温度は113℃であることが認められた。
<製造例3>
製造例1において、アクリルモノマー、重合溶剤、および、ラジカル重合開始剤を以下の表1および表2に記載のように変更し、製造例3‐1から製造例3‐10のアクリル重合体を得た。また、アクリル重合体の補外ガラス転移開始温度を測定した。
<製造例3‐1>
製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。
<製造例3‐2>
28重量部のメタクリル酸フェニル、8重量部のメタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、4重量部のメタクリル酸グリシジルをアクリルモノマーとして準備した。それ以外は、製造例3‐1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。形成された共重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって算出したところ、補外ガラス転移開始温度は104℃であることが認められた。
<製造例3‐3>
28重量部のメタクリル酸フェニル、6重量部のメタクリル酸(C)、および、6重量部のメタクリル酸グリシジルをアクリルモノマーとして準備し、0.69重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した。それ以外は、製造例3‐1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。形成された共重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって算出したところ、補外ガラス転移開始温度は106℃であることが認められた。
<製造例3‐4>
40重量部のメタクリル酸フェニルのみをアクリルモノマーとして準備した以外は、製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニルのホモポリマー溶液を得た。形成された重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって算出したところ、補外ガラス転移開始温度は113℃であることが認められた。
<製造例3‐5>
80重量部のPGMAcを重合溶剤として準備し、10重量部のメタクリル酸フェニル、および、10重量部のメタクリル酸メチル(C)をアクリルモノマーとして準備し、0.39重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、および、メタクリル酸メチルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。形成された共重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって算出したところ、補外ガラス転移開始温度は109℃であることが認められた。
<製造例3‐6>
80重量部のPGMAcを重合溶剤として準備し、10重量部のメタクリル酸‐2‐[3‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐ヒドロキシフェニル]エチル(C1817)、および、10重量部のメタクリル酸メチルをアクリルモノマーとして準備し、0.32重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸‐2‐[3‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐ヒドロキシフェニル]エチル、および、メタクリル酸メチルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。形成された共重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって算出したところ、補外ガラス転移開始温度は85℃であることが認められた。
<製造例3‐7>
40重量部のメタクリル酸ジシクロペンタニル(C1420)のみをアクリルモノマーとして準備し、0.44重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した以外は、製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸ジシクロペンタニルのホモポリマー溶液を得た。形成された重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって算出したところ、補外ガラス転移開始温度は175℃であることが認められた。
<製造例3‐8>
80重量部のPGMAcを重合溶剤として準備し、14重量部のメタクリル酸ベンジル(C1112)、2.4重量部のメタクリル酸、および、3.6重量部のメタクリル酸グリシジルをアクリルモノマーとして準備し、0.32重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。形成された共重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって算出したところ、補外ガラス転移開始温度は64℃であることが認められた。
<製造例3‐9>
80重量部のPGMAcを重合溶剤として準備し、14重量部のメタクリル酸シクロヘキシル(C1016)、2.4重量部のメタクリル酸、および、3.6重量部のメタクリル酸グリシジルをアクリルモノマーとして準備し、0.33重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。形成された共重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって算出したところ、補外ガラス転移開始温度は73℃であることが認められた。
<製造例3‐10>
80重量部のPGMAcを重合溶剤として準備し、14重量部のアクリル酸2‐フェノキシエチル(C1112)、2.4重量部のメタクリル酸、および、3.6重量部のメタクリル酸グリシジルをアクリルモノマーとして準備し、0.31重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、アクリル酸2‐フェノキシエチル、メタクリル酸、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。形成された共重合体の補外ガラス転移開始温度をJIS K7121に準拠した方法によって算出したところ、補外ガラス転移開始温度は4℃であることが認められた。
<製造例4>
製造例1において、アクリルモノマー、ラジカル重合開始剤、重合溶剤の使用量、および、重合時間を以下の表3に記載のように変更し、製造例4‐1から製造例4‐6のアクリル重合体を得た。また、アクリル重合体を1H-NMR(400MHz)を用いて分析することによって、以下の式で示されるアクリルモノマーの残存量(RM)を算出した。
RM = MM/MS × 100
上記式において、MMは、アクリル重合体のNMRスペクトルにおけるアクリルモノマーのピークの面積比であり、MSは、アクリル重合体のNMRスペクトルにおけるアクリル重合体のピークの面積比とアクリルモノマーのピークの面積比との和である。
<製造例4‐1>
製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。ポリマー溶液のモノマー残存量を1H-NMR(400MHz)を用いた分析によって算出したところ、モノマー残存量(RM)は3%であることが認められた。
<製造例4‐2>
重合時間を6時間に変更した以外は、製造例4‐1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。ポリマー溶液のモノマー残存量を1H-NMR(400MHz)を用いた分析によって算出したところ、モノマー残存量(RM)は10%であることが認められた。
<製造例4‐3>
重合時間を4時間に変更した以外は、製造例4‐1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。ポリマー溶液のモノマー残存量を1H-NMR(400MHz)を用いた分析によって算出したところ、モノマー残存量(RM)は20%であることが認められた。
<製造例4‐4>
80重量部のPGMAcを重合溶剤として準備し、14重量部のメタクリル酸フェニル、3重量部のメタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、3重量部のメタクリル酸グリシジルをアクリルモノマーとして準備し、0.30重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した。それ以外は、製造例4‐1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。ポリマー溶液のモノマー残存量を1H-NMR(400MHz)を用いた分析によって算出したところ、モノマー残存量(RM)は25%であることが認められた。
<製造例4‐5>
重合時間を6時間に変更した以外は、製造例4‐4と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。ポリマー溶液のモノマー残存量を1H-NMR(400MHz)を用いた分析によって算出したところ、モノマー残存量(RM)は30%であることが認められた。
<製造例4‐6>
重合時間を4時間に変更した以外は、製造例4‐4と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。ポリマー溶液のモノマー残存量を1H-NMR(400MHz)を用いた分析によって算出したところ、モノマー残存量(RM)は45%であることが認められた。
<製造例5>
製造例1において、アクリルモノマー、重合溶剤、および、ラジカル重合開始剤の使用量を以下の表4に記載のように変更し、製造例5‐1から製造例5‐5のアクリル共重合体を得た。また、ゲル浸透クロマトグラフィー法を用いた分析によって、アクリル共重合体の重量平均分子量を算出した。
<製造例5‐1>
80重量部のPGMAcを重合溶剤として準備し、14重量部のメタクリル酸フェニル、3重量部のメタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、3重量部のメタクリル酸グリシジルをアクリルモノマーとして準備し、1.50重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。アクリル共重合体の重量平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー法を用いた分析によって算出したところ、アクリル共重合体の重量平均分子量は5000であることが認められた。
<製造例5‐2>
1.00重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した以外は、製造例5‐1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。アクリル共重合体の重量平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー法を用いた分析によって算出したところ、アクリル共重合体の重量平均分子量は10000であることが認められた。
<製造例5‐3>
60重量部のPGMAcを重合溶剤として準備し、28重量部のメタクリル酸フェニル、6重量部のメタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、6重量部のメタクリル酸グリシジルをアクリルモノマーとして準備し、1.00重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した。それ以外は、製造例5‐1と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。アクリル共重合体の重量平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー法を用いた分析によって算出したところ、アクリル共重合体の重量平均分子量は30000であることが認められた。
<製造例5‐4>
0.60重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した以外は、製造例5‐3と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。アクリル共重合体の重量平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー法を用いた分析によって算出したところ、アクリル共重合体の重量平均分子量は50000であることが認められた。
<製造例5‐5>
0.20重量部のBPOをラジカル重合開始剤として準備した以外は、製造例5‐3と同様の方法によって、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニル、および、メタクリル酸グリシジルの共重合体を含むポリマー溶液を得た。アクリル共重合体の重量平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー法を用いた分析によって算出したところ、アクリル共重合体の重量平均分子量は100000であることが認められた。
[試験例]
[アクリル重合体の側鎖]
[試験例1]
0.3gのシアニン色素、12.0gの25%ポリマー溶液、および、10gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む塗液を作製した。この際に、シアニン色素として、上記式(4)によって表される色素を用い、上述した製造例1に記載の共重合体を含むポリマー溶液を用いた。塗液を透明基板上に塗布し、塗膜を乾燥させた。次いで、230℃でポストベークすることによって塗膜を熱硬化させることによって、1μmの厚さを有する試験例1の赤外光カットフィルターを得た。
[試験例2]
試験例1において、共重合体を含むポリマー溶液に代えて上記製造例2に記載のメタクリル酸フェニルを含むホモポリマー溶液を用いた以外は、試験例1と同様の方法によって試験例2の赤外光カットフィルターを得た。
[評価方法]
分光光度計(U-4100、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて350nmから1150nmの各波長を有した光に対する各試験例の赤外光カットフィルターにおける透過率を測定した。そして、透過率の測定結果から、吸光度を算出した。これにより、各赤外光カットフィルターについて、吸光度のスペクトルを得た。なお、上記式(4)によって表されるシアニン色素における吸光度のスペクトルは、950nmにおいてピークを有する。そのため、各赤外光カットフィルターにおける950nmでの吸光度が、0.8以上であるか否かを評価した。なお、950nmでの吸光度が0.8以上である赤外光カットフィルターは、固体撮像素子に適用された場合に適した赤外光の吸収能を有する。
各試験例の赤外光カットフィルターにおける透過率の測定後、各試験例の赤外光カットフィルターを250℃に加熱した。加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターについて、加熱前の各試験例の赤外光カットフィルターに対する方法と同様の方法によって透過率を測定した。そして、透過率の測定結果から、吸光度を算出した。これにより、加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターについて、吸光度のスペクトルを得た。そして、加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターにおいて、950nmでの吸光度が0.7以上であるか否かを評価した。なお、250℃で加熱した後の赤外光カットフィルターでは、950nmでの吸光度が0.7以上である赤外光カットフィルターが、固体撮像素子に適用された場合に適した赤外光の吸収能を有する。
[評価結果]
加熱前の試験例1の赤外光カットフィルターにおいて、950nmにおける吸光度は0.96であり、加熱前の試験例2の赤外光カットフィルターにおいて、950nmにおける吸光度は0.92であることが認められた。すなわち、いずれの試験例においても、加熱前の赤外光カットフィルターにおいて、950nmにおける吸光度が0.8以上であることが認められた。
これに対して、加熱後の試験例1の赤外光カットフィルターにおいて、950nmにおける吸光度は0.8であり、0.7を超えることが認められた。一方で、加熱後の試験例2の赤外光カットフィルターにおいて、950nmにおける吸光度は0.52であり、0.7に満たないことが認められた。このように、赤外光カットフィルターが環状エーテル基を側鎖に有するアクリル重合体を含むことによって、加熱後の赤外光カットフィルターにおける吸光度の低下が抑えられることが認められた。
[アクリル重合体のガラス転移温度]
[試験例3]
環状エーテル基を有し、重合体におけるガラス転移温度が互いに異なる製造例3‐1から製造例3‐10のアクリル共重合体を含むポリマー溶液を準備した。そして、0.3gのシアニン色素、12gの25%ポリマー溶液、および、10gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む塗液を作製した。この際に、シアニン色素として、上記式(4)によって表される色素を用いた。試験例1と同様の方法によって赤外光カットフィルターを形成することによって、試験例3‐1から試験例3‐10の赤外光カットフィルターを得た。各試験例の赤外光カットフィルターとして、1μmの厚さを有するフィルターを得た。
[評価方法]
試験例1の赤外光カットフィルターおよび試験例2の赤外光カットフィルターと同一の評価方法によって、試験例3‐1から試験例3‐10の赤外光カットフィルターにおける赤外光の吸光度を評価した。
赤外光カットフィルターにおける透過率の測定後、各試験例の赤外光カットフィルターのなかで、加熱前の吸光度が0.8以上である試験例3‐1から試験例3‐7の赤外光カットフィルターを250℃に加熱した。加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターについて、加熱前の各試験例の赤外光カットフィルターに対する方法と同様の方法によって透過率を測定した。そして、透過率の測定結果から、吸光度を算出した。これにより、加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターについて、吸光度のスペクトルを得た。そして、加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターにおいて、950nmでの吸光度が0.7以上であるか否かを評価した。
[評価結果]
試験例3‐1から試験例3‐10の赤外光カットフィルターにおいて、950nmでの吸光度は、以下の表5に示す通りであることが認められた。
表5が示すように、試験例3‐1における加熱前の吸光度が0.96であり、試験例3‐2における加熱前の吸光度が0.97であり、試験例3‐3における加熱前の吸光度が0.95であることが認められた。また、試験例3‐4における加熱前の吸光度が0.92であり、試験例3‐5における加熱前の吸光度が0.92であり、試験例3‐6における加熱前の吸光度が1.00であることが認められた。また、試験例3‐7における加熱前の吸光度が0.90であり、試験例3‐8における加熱前の吸光度が0.65であり、試験例3‐9における加熱前の吸光度が0.60であることが認められた。また、試験例3‐10における加熱前の吸光度が0.49であることが認められた。
このように、各赤外光カットフィルターについて、950nmにおける吸光度を算出したところ、試験例3‐1から試験例3‐7の赤外光カットフィルターにおける吸光度が、0.8以上であることが認められた。これに対して、試験例3‐8から試験例3‐10の赤外光カットフィルターにおける吸光度が、0.8未満であることが認められた。こうした結果から、加熱前の赤外光カットフィルターに関して、赤外光カットフィルターが含むアクリル重合体のガラス転移温度は、75℃以上であることが好ましいといえる。
また、表5が示すように、試験例3‐1における加熱後の吸光度が0.80であり、試験例3‐2における加熱後の吸光度が0.82であり、試験例3‐3における加熱後の吸光度が0.80であることが認められた。また、試験例3‐4における加熱後の吸光度が0.52であり、試験例3‐5における加熱後の吸光度が0.52であり、試験例3‐6における加熱後の吸光度が0.60であることが認められた。また、試験例3‐7における加熱後の吸光度が0.22であることが認められた。
このように、試験例3‐1から試験例3‐3における加熱後の赤外光カットフィルターにおいて、950nmにおける吸光度は0.7以上であることが認められた。一方で、試験例3‐4から試験例3‐7における加熱後の赤外光カットフィルターにおいて、950nmにおける吸光度は0.7に満たないことが認められた。
[アクリルモノマーの残存量]
[試験例4]
環状エーテル基を有し、重合体におけるモノマー残存量が互いに異なる製造例4‐1から製造例4‐6のアクリル共重合体を含むポリマー溶液を準備した。そして、0.3gのシアニン色素、12gの25%ポリマー溶液、および、10gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む塗液を作製した。この際に、シアニン色素として、上記式(4)によって表される色素を用いた。塗液を透明基板上に塗布し、塗膜を乾燥させた。次いで、塗膜を230℃でポストベークすることによって熱硬化させることによって、試験例4‐1から試験例4‐6の赤外光カットフィルターを得た。各試験例の赤外光カットフィルターとして、1μmの厚さを有するフィルターを得た。
[評価方法]
試験例1の赤外光カットフィルターおよび試験例2の赤外光カットフィルターと同一の評価方法によって、試験例4‐1から試験例4‐6の赤外光カットフィルターにおける赤外光の吸光度を評価した。
赤外光カットフィルターにおける透過率の測定後、各試験例の赤外光カットフィルターのなかで、加熱前の吸光度が0.8以上である試験例4‐1から試験例4‐3の赤外光カットフィルターを250℃に加熱した。加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターについて、加熱前の各試験例の赤外光カットフィルターに対する方法と同様の方法によって透過率を測定した。そして、透過率の測定結果から、吸光度を算出した。これにより、加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターについて、吸光度のスペクトルを得た。そして、加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターにおいて、950nmでの吸光度が0.7以上であるか否かを評価した。
[評価結果]
試験例4‐1から試験例4‐6の赤外光カットフィルターにおいて、950nmでの吸光度は、以下の表6に示す通りであることが認められた。
表6が示すように、試験例4‐1における加熱前の吸光度が0.96であり、試験例4‐2における加熱前の吸光度が0.96であり、試験例4‐3における加熱前の吸光度が0.95であることが認められた。また、試験例4‐4における加熱前の吸光度が0.79であり、試験例4‐5における加熱前の吸光度が0.78であり、試験例4‐6における加熱前の吸光度が0.78であることが認められた。
このように、試験例4‐1から試験例4‐3の赤外光カットフィルターでは、加熱前において950nmでの吸光度が0.8以上であることが認められた。これに対して、試験例4‐4から試験例4‐6の赤外光カットフィルターでは、加熱前において950nmでの吸光度が0.8未満であることが認められた。こうした結果から、赤外光カットフィルターにおけるアクリルモノマーの残存量は、加熱前の赤外光カットフィルターに関して、20%以下であることが好ましいといえる。
また、表6が示すように、試験例4‐1における加熱後の吸光度が0.80であり、試験例4‐2における加熱後の吸光度が0.80であり、試験例4‐3における加熱後の吸光度が0.79であることが認められた。このように、試験例4‐1から試験例4‐3の赤外光カットフィルターにおいて、加熱後において950nmでの吸光度は0.7以上であることが認められた。
[アクリルモノマーの平均分子量]
[試験例5]
環状エーテル基を有し、共重合体における重量平均分子量が互いに異なる製造例5‐1から製造例5‐5のアクリル共重合体を含むポリマー溶液を準備した。そして、0.3gのシアニン色素、および、12gの25%ポリマー溶液、および、10gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む塗液を作製した。この際に、シアニン色素として、上記式(4)によって表される色素を用いた。塗液を透明基板上に塗布し、塗膜を乾燥させた。次いで、230℃でポストベークすることによって塗膜を熱硬化させることによって、試験例5‐1から試験例5‐5の赤外光カットフィルターを得た。各試験例の赤外光カットフィルターとして、1μmの厚さを有するフィルターを得た。
[評価方法]
試験例1の赤外光カットフィルターおよび試験例2の赤外光カットフィルターと同一の評価方法によって、試験例5‐1から試験例5‐5の赤外光カットフィルターにおける赤外光の吸光度を評価した。
赤外光カットフィルターにおける透過率の測定後、各試験例の赤外光カットフィルターのなかで、加熱前の吸光度が0.8以上である試験例5‐3から試験例5‐5の赤外光カットフィルターを250℃に加熱した。加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターについて、加熱前の各試験例の赤外光カットフィルターに対する方法と同様の方法によって透過率を測定した。そして、透過率の測定結果から、吸光度を算出した。これにより、加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターについて、吸光度のスペクトルを得た。そして、加熱後の各試験例の赤外光カットフィルターにおいて、950nmでの吸光度が0.7以上であるか否かを評価した。
[評価結果]
試験例5‐1から試験例5‐5の赤外光カットフィルターにおいて、950nmでの吸光度は、以下の表7に示す通りであることが認められた。
表7が示すように、試験例5‐1における加熱前の吸光度が0.79であり、試験例5‐2における加熱前の吸光度が0.78であり、試験例5‐3における加熱前の吸光度が0.96であることが認められた。また、試験例5‐4における加熱前の吸光度が0.96であり、試験例5‐5における加熱前の吸光度が0.99であることが認められた。
このように、試験例5‐1および試験例5‐2の赤外光カットフィルターでは、加熱前における950nmでの吸光度が0.8未満であることが認められた。これに対して、試験例5‐3から試験例5‐5の赤外光カットフィルターでは、加熱前における950nmでの吸光度が0.8以上であることが認められた。こうした結果から、赤外光カットフィルターにおけるアクリル重合体の平均分子量は、加熱前の赤外光カットフィルターに関して、3万以上であることが好ましいといえる。
また、表7が示すように、試験例5‐3における加熱後の吸光度が0.80であり、試験例5‐4における加熱後の吸光度が0.80であり、試験例5‐5における加熱後の吸光度が0.82であることが認められた。このように、加熱後の試験例5‐3から試験例5‐5の赤外光カットフィルターにおいて、950nmにおける吸光度は0.7以上であることが認められた。
以上説明したように、赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)アクリル重合体が側鎖に環状エーテル基を含むことによって、加熱後の赤外光カットフィルター13における赤外光の吸光度が、加熱前の赤外光カットフィルター13における赤外光の吸光度よりも低下することが抑えられる。
(2)アクリル重合体のガラス転移温度が75℃以上であることによって、赤外光カットフィルター13において、赤外光の吸光度における低下を抑えることが可能である。
(3)アクリル重合体の分子量が3万以上15万以下であることによって、赤外光カットフィルター13において、赤外光の吸光度における低下を抑えることが可能である。
(4)残存モノマーが20%以下であることによって、残存モノマーが20%よりも多い場合に比べて、赤外光カットフィルター13における赤外光の吸光度が低下しにくくなる。
(5)バリア層14によって赤外光カットフィルター13に酸化源が到達することが抑制され、赤外光カットフィルター13が酸化源によって酸化されにくくなる。そのため、赤外光カットフィルター13の耐光性が向上可能である。
[変更例]
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[アクリル重合体]
・アクリル重合体のガラス転移温度は、75℃よりも低くてもよい。この場合であっても、赤外光カットフィルター13が、シアニン色素、および、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体を含んでいれば、上述した(1)に準じた効果を少なからず得ることは可能である。
・アクリル重合体の分子量は、3万以下であってもよいし、15万以上であってもよい。この場合であっても、赤外光カットフィルター13が、シアニン色素、および、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体を含んでいれば、上述した(1)に準じた効果を少なからず得ることは可能である。
・アクリル重合体に含まれる残存モノマーが20%よりも多くてもよい。この場合であっても、赤外光カットフィルター13が、シアニン色素、および、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体を含んでいれば、上述した(1)に準じた効果を少なからず得ることは可能である。
[バリア層]
・バリア層14は、赤外光カットフィルター13と、各マイクロレンズとの間に限らず、各マイクロレンズの外表面に配置することも可能である。この際、バリア層14の外表面は、固体撮像素子10に光を入射させる入射面として機能する。要は、バリア層14の位置は、赤外光カットフィルター13に対して光の入射側であればよい。この構成によれば、バリア層14は、各マイクロレンズの光学面上に位置する。
・固体撮像素子10は、バリア層14が割愛された構成であって、赤外光カットフィルター13に対して入射面15Sの側に位置する積層構造での酸素透過率が、5.0cc/m/day/atom以下である構成に変更可能である。例えば、積層構造は、平坦化層や密着層などの他の機能層であって、各マイクロレンズと共に、その酸素透過率が5.0cc/m/day/atom以下であってもよい。
[アンカー層]
・固体撮像素子10は、バリア層14とバリア層14の下層との間にアンカー層を備え、バリア層14とバリア層14の下層との密着性をアンカー層が高める構成に変更することも可能である。また、固体撮像素子10は、バリア層14とバリア層14の上層との間にアンカー層を備え、バリア層14とバリア層14の上層との密着性をアンカー層が高める構成に変更することも可能である。
アンカー層を形成する材料は、例えば、多官能アクリル樹脂、あるいは、シランカップリング剤などである。アンカー層の厚さは、例えば、50nm以上1μm以下であり、50nm以上であれば、層間に密着性を得ることが容易であり、1μm以下であれば、アンカー層での光の吸収が容易に抑制可能である。
[カラーフィルター]
・カラーフィルターは、シアン用フィルター、イエロー用フィルター、マゼンタ用フィルターから構成された三色用フィルターに変更することが可能である。また、カラーフィルターは、シアン用フィルター、イエロー用フィルター、マゼンタ用フィルター、ブラック用フィルターから構成された四色用フィルターに変更することも可能である。また、カラーフィルターは、透明用フィルター、イエロー用フィルター、赤色用フィルター、ブラック用フィルターから構成された四色用フィルターに変更することも可能である。
[その他]
・赤外光カットフィルターがマイクロレンズであってもよい。この場合には、光電変換素子に向けて光を取り込む機能を有したマイクロレンズが、赤外光のカット機能を兼ね備えるため、固体撮像素子用フィルターが備える層構造の簡素化が可能である。
・赤外光パスフィルター12P、および、赤外光カットフィルター13を形成する材料は、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、および、帯電防止剤などの他の機能を兼ね備えるための添加物を含むことが可能である。
・固体撮像素子10は、複数のマイクロレンズに対して光の入射面側にバンドパスフィルターを備えてもよい。バンドパスフィルターは可視光と近赤外光の特定の波長を有する光のみを透過するフィルターであり、赤外光カットフィルター13と類似の機能を備える。すなわち、バンドパスフィルターにより各色用光電変換素子11R,11G,11Bが検出し得る不要な赤外光をカットすることができる。それによって、各色用光電変換素子11R,11G,11Bによる可視光の検出精度、および、赤外光用光電変換素子11Pの検出対象である850nmあるいは940nm帯域の波長を有した近赤外光の検出精度を高めることができる。
10…固体撮像素子、10F…固体撮像素子用フィルター、11…光電変換素子、11R…赤色用光電変換素子、11G…緑色用光電変換素子、11B…青色用光電変換素子、11P…赤外光用光電変換素子、12R…赤色用フィルター、12G…緑色用フィルター、12B…青色用フィルター、12P…赤外光パスフィルター、13…赤外光カットフィルター、13H…貫通孔、14…バリア層、15R…赤色用マイクロレンズ、15G…緑色用マイクロレンズ、15B…青色用マイクロレンズ、15P…赤外光用マイクロレンズ、15S…入射面。

Claims (8)

  1. ポリメチン、および、前記ポリメチンの両末端に1つずつ位置し、窒素を含む2つの複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸とを含むシアニン色素と、
    下記式(1)によって表され、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体と、を含み、
    前記カチオンは、下記式(4)によって表され、
    前記アクリル重合体のガラス転移温度は、75℃以上であり、
    前記アクリル重合体における重量平均分子量は、3万以上15万以下であり、
    前記アクリル重合体の質量と前記アクリル重合体を構成するアクリルモノマーである残存モノマーの質量との和(MS)に対する前記アクリルモノマーの質量(MM)の百分率((MM/MS)×100)であるモノマーの残存量が20%以下である
    赤外光カットフィルター。
    ただし、式(1)において、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は単結合、炭素数1以上の直鎖状アルキレン基、または、炭素数3以上の分岐鎖状アルキレン基である。R3は、酸素原子および2つ以上の炭素原子を含む環状エーテル基である。
  2. ポリメチン、および、前記ポリメチンの両末端に1つずつ位置し、窒素を含む2つの複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸とを含むシアニン色素と、
    下記式(1)によって表され、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体と、を含み、
    前記カチオンは、下記式(4)から式(11)、および、式(13)から式(45)のいずれかによって表され、
    前記アクリル重合体のガラス転移温度は、75℃以上であり、
    前記アクリル重合体における重量平均分子量は、3万以上15万以下であり、
    前記アクリル重合体の質量と前記アクリル重合体を構成するアクリルモノマーである残存モノマーの質量との和(MS)に対する前記アクリルモノマーの質量(MM)の百分率((MM/MS)×100)であるモノマーの残存量が20%以下である
    赤外光カットフィルター。
    ただし、式(1)において、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は単結合、炭素数1以上の直鎖状アルキレン基、または、炭素数3以上の分岐鎖状アルキレン基である。R3は、酸素原子および2つ以上の炭素原子を含む環状エーテル基である。
  3. 前記アクリル重合体は、メタクリル酸グリシジルに由来する単位構造を含む
    請求項1または2に記載の赤外光カットフィルター。
  4. 前記単位構造は、第1単位構造であり、
    前記アクリル重合体は、前記第1単位構造と、メタクリル酸フェニルに由来する第2単位構造と、メタクリル酸4‐ヒドロキシフェニルまたはメタクリル酸に由来する第3単位構造とから構成される
    請求項3に記載の赤外光カットフィルター。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の赤外光カットフィルターと、
    前記赤外光カットフィルターを覆い、前記赤外光カットフィルターを酸化する酸化源の透過を抑えるバリア層と、を備える
    固体撮像素子用フィルター。
  6. 光電変換素子と、
    請求項5に記載の固体撮像素子用フィルターと、を備える
    固体撮像素子。
  7. ポリメチン、および、前記ポリメチンの両末端に1つずつ位置し、窒素を含む2つの複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸とを含むシアニン色素と、下記式(1)によって表され、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体と、を含む赤外光カットフィルターを形成することと、
    前記赤外光カットフィルターをドライエッチングによってパターニングすることと、を含み、
    前記カチオンは、下記式(4)によって表され、
    前記アクリル重合体のガラス転移温度は、75℃以上であり、
    前記アクリル重合体における重量平均分子量は、3万以上15万以下であり、
    前記アクリル重合体の質量と前記アクリル重合体を構成するアクリルモノマーである残存モノマーの質量との和(MS)に対する前記アクリルモノマーの重量(MM)の百分率(MM/MS×100)であるアクリルモノマーの残存量が、20%以下である
    固体撮像素子用フィルターの製造方法。
    ただし、式(1)において、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は単結合、炭素数1以上の直鎖状アルキレン基、または、炭素数3以上の分岐鎖状アルキレン基である。R3は、酸素原子および2つ以上の炭素原子を含む環状エーテル基である。
  8. ポリメチン、および、前記ポリメチンの両末端に1つずつ位置し、窒素を含む2つの複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸とを含むシアニン色素と、下記式(1)によって表され、側鎖に環状エーテル基を含むアクリル重合体と、を含む赤外光カットフィルターを形成することと、
    前記赤外光カットフィルターをドライエッチングによってパターニングすることと、を含み、
    前記カチオンは、下記式(4)から式(11)、および、式(13)から式(45)のいずれかによって表され、
    前記アクリル重合体のガラス転移温度は、75℃以上であり、
    前記アクリル重合体における重量平均分子量は、3万以上15万以下であり、
    前記アクリル重合体の質量と前記アクリル重合体を構成するアクリルモノマーである残存モノマーの質量との和(MS)に対する前記アクリルモノマーの重量(MM)の百分率(MM/MS×100)であるアクリルモノマーの残存量が、20%以下である
    固体撮像素子用フィルターの製造方法。
    ただし、式(1)において、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は単結合、炭素数1以上の直鎖状アルキレン基、または、炭素数3以上の分岐鎖状アルキレン基である。R3は、酸素原子および2つ以上の炭素原子を含む環状エーテル基である。
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