JP7434641B1 - クラッチ装置および自動二輪車 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力側回転板および出力側回転板にクラッチオイルをより効果的に供給すること。【解決手段】クラッチ装置210は、出力軸15と共に回転駆動するクラッチセンタ240と、クラッチセンタ240に対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられ、入力側回転板20および出力側回転板22を押圧可能なプレッシャプレート270とを備え、クラッチセンタ240は、本体242の外周縁から径方向外側に延びるフランジ268を備え、フランジ268は、入力側回転板20および出力側回転板22よりも第1の方向D1側に位置し、かつ、入力側回転板20および出力側回転板22に押圧力を加える押圧面268Aと、押圧面268Aよりも径方向内側に形成された貫通孔269と、を備えている。【選択図】図11A

Description

本発明は、クラッチ装置および自動二輪車に関する。より詳細には、エンジン等の原動機によって回転駆動する入力軸の回転駆動力を任意に出力軸に伝達または遮断するクラッチ装置およびそれを備えた自動二輪車に関する。
従来から、自動二輪車等の車両はクラッチ装置を備えている。クラッチ装置は、エンジンと駆動輪との間に配置され、エンジンの回転駆動力を駆動輪に伝達または遮断する。クラッチ装置は、通常、エンジンの回転駆動力によって回転する複数の入力側回転板と、駆動輪に回転駆動力を伝達する出力軸に接続された複数の出力側回転板と、を備えている。入力側回転板と出力側回転板とは積層方向に交互に配置され、入力側回転板と出力側回転板とを圧接および離隔させることにより回転駆動力の伝達または遮断が行われる。
例えば、特許文献1および特許文献2には、クラッチセンタと、クラッチセンタに対して接近および離隔可能に設けられたプレッシャプレートと、を備えたクラッチ装置が開示されている。プレッシャプレートは、入力側回転板および出力側回転板を押圧するフランジを備えている。フランジによって入力側回転板と出力側回転板とを押圧することにより回転駆動力の伝達が行われる。このように、クラッチ装置では、クラッチセンタとプレッシャプレートとが組み付けられて用いられている。
特許第6894792号公報 国際公開第2018/172176号
ところで、入力側回転板と出力側回転板との間では相対的な滑りが発生するため、入力側回転板および出力側回転板に焼き付きが発生する虞がある。かかる焼き付きを抑制するために、入力側回転板および出力側回転板にはクラッチオイルが供給される。クラッチオイルは、例えば特許文献2では、プレッシャプレートの内部から外部に排出されて、出力側回転板および入力側回転板に供給されている。ここで、クラッチセンタの外部においてクラッチオイルが流通しているため、かかるクラッチオイルを効果的に入力側回転板および出力側回転板に供給することができれば、入力側回転板および出力側回転板の焼き付きをより抑制することができる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力側回転板および出力側回転板にクラッチオイルをより効果的に供給することができるクラッチ装置およびそれを備えた自動二輪車を提供することである。
本発明に係るクラッチ装置は、入力軸の回転駆動力を出力軸に伝達または遮断するクラッチ装置であって、前記入力軸の回転駆動によって回転駆動する複数の入力側回転板を保持するクラッチハウジングに収容され、前記出力軸と共に回転駆動するクラッチセンタと、前記クラッチセンタに対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられ、かつ、前記入力側回転板と交互に配置された複数の出力側回転板を保持し、かつ、前記入力側回転板および前記出力側回転板を押圧可能なプレッシャプレートと、を備え、前記クラッチセンタは、本体と、前記本体の外周縁から径方向外側に延びるフランジと、を備え、前記フランジは、前記プレッシャプレートが前記クラッチセンタに接近する方向を第1の方向、前記プレッシャプレートが前記クラッチセンタから離隔する方向を第2の方向としたとき、前記入力側回転板および前記出力側回転板よりも前記第1の方向側に位置し、かつ、前記入力側回転板および前記出力側回転板に押圧力を加える押圧面と、前記押圧面よりも径方向内側に形成された貫通孔と、を備えている。
本発明に係るクラッチ装置によると、フランジは、押圧面よりも径方向内側に形成された貫通孔を備えている。このため、クラッチセンタの外部において流通するクラッチオイルは、貫通孔を介して押圧面に向かって流れる。ここで、押圧面よりも第2の方向側には、入力側回転板および出力側回転板が配置されているため、貫通孔を介して押圧面に向かって流れるクラッチオイルは、入力側回転板および出力側回転板に供給される。このように、クラッチセンタのフランジが押圧面よりも径方向内側に貫通孔を備えていることによって、クラッチセンタの外部において流通するクラッチオイルを効果的に入力側回転板および出力側回転板に供給することができる。
本発明によれば、入力側回転板および出力側回転板にクラッチオイルをより効果的に供給することができるクラッチ装置を提供することができる。
図1は、一実施形態に係るクラッチ装置の断面図である。 図2は、一実施形態に係るクラッチセンタの斜視図である。 図3は、一実施形態に係るクラッチセンタの平面図である。 図4は、一実施形態に係るプレッシャプレートの斜視図である。 図5Aは、一実施形態に係るプレッシャプレートの平面図である。 図5Bは、図5A中のVB-VB線に沿う断面図である。 図6は、一実施形態に係るプレッシャプレートの斜視図である。 図7は、一実施形態に係るプレッシャプレートの平面図である。 図8は、一実施形態に係るクラッチセンタとプレッシャプレートとが組み合わされた状態を示す平面図である。 図9Aは、センタ側アシストカム面およびプレッシャ側アシストカム面の作用について説明する模式図である。 図9Bは、センタ側スリッパーカム面およびプレッシャ側スリッパーカム面の作用について説明する模式図である。 図10は、他の一実施形態に係るクラッチセンタおよびプレッシャプレートの分解斜視図である。 図11Aは、他の一実施形態に係るクラッチセンタの平面図である。 図11Bは、図11A中のXIB-XIB線に沿う断面図である。 図12は、他の一実施形態に係るプレッシャプレートの斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係るクラッチ装置の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、本実施形態に係るクラッチ装置10の断面図である。クラッチ装置10は、例えば、自動二輪車等の車両に設けられている。クラッチ装置10は、例えば、自動二輪車のエンジンの入力軸(クランクシャフト)の回転駆動力を出力軸15に伝達または遮断する装置である。クラッチ装置10は、出力軸15を介して入力軸の回転駆動力を駆動輪(後輪)に伝達または遮断するための装置である。クラッチ装置10は、エンジンと変速機との間に配置される。
以下の説明では、クラッチ装置10のプレッシャプレート70とクラッチセンタ40とが並ぶ方向を方向Dとし、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40に接近する方向を第1の方向D1、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40から離隔する方向を第2の方向D2とする。また、クラッチセンタ40およびプレッシャプレート70の周方向を周方向Sとし、周方向Sに関して一方のプレッシャ側カム部90から他方のプレッシャ側カム部90に向かう方向を第1の周方向S1(図5A参照)、他方のプレッシャ側カム部90から一方のプレッシャ側カム部90に向かう方向を第2の周方向S2(図5A参照)とする。本実施形態では、出力軸15の軸線方向、クラッチハウジング30の軸線方向、クラッチセンタ40の軸線方向およびプレッシャプレート70の軸線方向は、方向Dと同じ方向である。また、プレッシャプレート70およびクラッチセンタ40は、第1の周方向S1に回転する。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、クラッチ装置10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
図1に示すように、出力軸15は、中空状に形成された軸体である。出力軸15の一方側の端部は、ニードルベアリング15Aを介して後述する入力ギア35およびクラッチハウジング30を回転自在に支持する。出力軸15は、ナット15Bを介してクラッチセンタ40を固定的に支持する。即ち、出力軸15は、クラッチセンタ40と一体的に回転する。出力軸15の他方側の端部は、例えば、自動車二輪車の変速機(図示せず)に連結されている。
図1に示すように、出力軸15は、その中空部15Hにプッシュロッド16Aと、プッシュロッド16Aに隣接して設けられたプッシュ部材16Bと、を備えている。中空部15Hは、クラッチオイルの流通路としての機能を有する。クラッチオイルは、出力軸15内、即ち中空部15H内を流動する。プッシュロッド16Aおよびプッシュ部材16Bは、出力軸15の中空部15H内を摺動可能に設けられている。プッシュロッド16Aは、一方の端部(図示左側の端部)が自動二輪車のクラッチ操作レバー(図示せず)に連結されており、クラッチ操作レバーの操作によって中空部15H内を摺動してプッシュ部材16Bを第2の方向D2に押圧する。プッシュ部材16Bの一部は出力軸15の外方(ここでは第2の方向D2)に突出しており、プレッシャプレート70に設けられたレリーズベアリング18に連結している。プッシュロッド16Aおよびプッシュ部材16Bは、中空部15Hの内径よりも細く形成されており、中空部15H内においてクラッチオイルの流通性が確保されている。
クラッチハウジング30は、アルミニウム合金から形成されている。クラッチハウジング30は、有底円筒状に形成されている。図1に示すように、クラッチハウジング30は、略円形状に形成された底壁31と、底壁31の縁部から第2の方向D2に延びる側壁33と、を有する。クラッチハウジング30は、複数の入力側回転板20を保持する。
図1に示すように、クラッチハウジング30の底壁31には、入力ギア35が設けられている。入力ギア35は、トルクダンパ35Aを介してリベット35Bによって底壁31に固定されている。入力ギア35は、エンジンの入力軸の回転駆動によって回転する駆動ギア(図示せず)と噛み合っている。入力ギア35は、出力軸15から独立してクラッチハウジング30と一体的に回転駆動する。
入力側回転板20は、入力軸の回転駆動によって回転駆動する。図1に示すように、入力側回転板20は、クラッチハウジング30の側壁33の内周面に保持されている。入力側回転板20は、クラッチハウジング30にスプライン嵌合によって保持されている。入力側回転板20は、クラッチハウジング30の軸線方向に沿って変位可能に設けられている。入力側回転板20は、クラッチハウジング30と一体的に回転可能に設けられている。
入力側回転板20は、出力側回転板22に押し当てられる部材である。入力側回転板20は、環状に形成された平板である。入力側回転板20は、SPCC(冷間圧延鋼板)材からなる薄板を環状に打ち抜いて成形されている。入力側回転板20の表面および裏面には、複数の紙片からなる摩擦材(図示せず)が貼り付けられている。摩擦材の間にはクラッチオイルを保持するための深さ数μm~数十μmの溝が形成されている。
図1に示すように、クラッチセンタ40は、クラッチハウジング30に収容されている。クラッチセンタ40は、クラッチハウジング30と同心に配置されている。クラッチセンタ40は、円筒状の本体42と、本体42の外周縁から径方向外側に延びるフランジ68とを有する。クラッチセンタ40は、入力側回転板20と方向Dに交互に配置された複数の出力側回転板22を保持する。クラッチセンタ40は、出力軸15と共に回転駆動する。
図2に示すように、本体42は、環状のベース壁43と、ベース壁43の径方向外側に位置しかつ第2の方向D2に向けて延びる外周壁45と、ベース壁43の中央に設けられた出力軸保持部50と、ベース壁43および外周壁45に接続された複数のセンタ側カム部60と、センタ側嵌合部58と、を備えている。
出力軸保持部50は、円筒状に形成されている。出力軸保持部50には、出力軸15が挿入されてスプライン嵌合する挿入孔51が形成されている。挿入孔51は、ベース壁43を貫通して形成されている。出力軸保持部50のうち挿入孔51を形成する内周面50Aには、軸線方向に沿って複数のスプライン溝が形成されている。出力軸保持部50には、出力軸15が連結されている。
図2に示すように、クラッチセンタ40の外周壁45は、出力軸保持部50よりも径方向外側に配置されている。外周壁45の外周面45Aには、スプライン嵌合部46が設けられている。スプライン嵌合部46は、外周壁45の外周面45Aに沿ってクラッチセンタ40の軸線方向に延びる複数のセンタ側嵌合歯47と、隣り合うセンタ側嵌合歯47の間に形成されかつクラッチセンタ40の軸線方向に延びる複数のスプライン溝48と、オイル排出孔49とを有する。センタ側嵌合歯47は、入力側回転板20および出力側回転板22を保持する。複数のセンタ側嵌合歯47は、周方向Sに並ぶ。複数のセンタ側嵌合歯47は、周方向Sに等間隔に形成されている。複数のセンタ側嵌合歯47は、同じ形状に形成されている。センタ側嵌合歯47は、外周壁45の外周面45Aから径方向外側に突出する。センタ側嵌合歯47の数は、センタ側カム部60の数の倍数であるとよい。本実施形態では、後述するようにセンタ側カム部60の数は3であり、センタ側嵌合歯47の数は30である。なお、センタ側嵌合歯47の数は、センタ側カム部60の数の倍数でなくてもよい。オイル排出孔49は、外周壁45を径方向に貫通して形成されている。オイル排出孔49は、隣り合うセンタ側嵌合歯47の間に形成されている。即ち、オイル排出孔49は、スプライン溝48に形成されている。オイル排出孔49は、センタ側カム部60の側方に形成されている。オイル排出孔49は、センタ側カム部60のセンタ側スリッパーカム面60Sの側方に形成されている。オイル排出孔49は、センタ側スリッパーカム面60Sよりも第1の周方向S1側に形成されている。オイル排出孔49は、後述するボス部54よりも第2の周方向S2側に形成されている。本実施形態では、オイル排出孔49は、外周壁45の周方向Sの3か所に3つずつ形成されている。オイル排出孔49は、周方向Sに等間隔の位置に配置されている。オイル排出孔49は、クラッチセンタ40の内部と外部とを連通する。オイル排出孔49は、出力軸15からクラッチセンタ40内に流出したクラッチオイルを、クラッチセンタ40の外部に排出する孔である。ここでは、オイル排出孔49は、外周壁45の内周面45B側を流れるクラッチオイルをクラッチセンタ40の外部に排出する。オイル排出孔49の少なくとも一部は、後述するプレッシャ側嵌合部88と対向する位置に設けられている。
出力側回転板22は、クラッチセンタ40のスプライン嵌合部46およびプレッシャプレート70に保持されている。出力側回転板22の一部は、クラッチセンタ40のセンタ側嵌合歯47およびスプライン溝48にスプライン嵌合によって保持されている。出力側回転板22の他の一部は、プレッシャプレート70の後述するプレッシャ側嵌合歯77(図4参照)に保持されている。出力側回転板22は、クラッチセンタ40の軸線方向に沿って変位可能に設けられている。出力側回転板22は、クラッチセンタ40と一体的に回転可能に設けられている。
出力側回転板22は、入力側回転板20に押し当てられる部材である。出力側回転板22は、環状に形成された平板である。出力側回転板22は、SPCC材からなる薄板材を環状に打ち抜いて成形されている。出力側回転板22の表面および裏面には、クラッチオイルを保持するための深さ数μm~数十μmの溝が形成されている。出力側回転板22の表面および裏面には、耐摩耗性を向上させるために表面硬化処理がそれぞれ施されている。なお、入力側回転板20に設けられた摩擦材は、入力側回転板20に代えて出力側回転板22に設けられていてもよいし、入力側回転板20および出力側回転板22のそれぞれに設けてもよい。
センタ側カム部60は、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を増加させる力であるアシストトルクまたは入力側回転板20と出力側回転板22とを早期に離隔させて半クラッチ状態に移行させる力であるスリッパートルクを生じさせるアシスト&スリッパー(登録商標)機構を構成する傾斜面からなるカム面を有した台状に形成されている。センタ側カム部60は、ベース壁43から第2の方向D2に突出するように形成されている。図3に示すように、センタ側カム部60は、クラッチセンタ40の周方向Sに等間隔に配置されている。本実施形態では、クラッチセンタ40は、3つのセンタ側カム部60を有しているが、センタ側カム部60の数は3に限定されない。
図3に示すように、センタ側カム部60は、出力軸保持部50の径方向外側に位置する。センタ側カム部60は、センタ側アシストカム面60Aと、センタ側スリッパーカム面60Sとを有する。センタ側アシストカム面60Aは、プレッシャプレート70に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を増加させるためにプレッシャプレート70をクラッチセンタ40に接近させる方向の力を発生させるように構成されている。本実施形態では、上記力が発生するときにはクラッチセンタ40に対するプレッシャプレート70の位置は変化せず、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40に対して物理的に接近する必要はない。なお、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40に対して物理的に変位してもよい。センタ側スリッパーカム面60Sは、プレッシャプレート70に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を減少させるためにプレッシャプレート70をクラッチセンタ40から離隔させるように構成されている。周方向Sに関して隣り合うセンタ側カム部60において、一方のセンタ側カム部60Lのセンタ側アシストカム面60Aと他方のセンタ側カム部60Mのセンタ側スリッパーカム面60Sとは周方向Sに対向して配置されている。
図2に示すように、クラッチセンタ40は、複数(本実施形態では3つ)のボス部54を備えている。ボス部54は、プレッシャプレート70を支持する部材である。複数のボス部54は、周方向Sに等間隔に配置されている。ボス部54は、円筒状に形成されている。ボス部54は、出力軸保持部50より径方向外側に位置する。ボス部54は、プレッシャプレート70に向けて(即ち第2の方向D2に向けて)延びる。ボス部54は、ベース壁43に設けられている。ボス部54には、ボルト28(図1参照)が挿入されるねじ穴54Hが形成されている。ねじ穴54Hは、クラッチセンタ40の軸線方向に延びる。
図2および図3に示すように、クラッチセンタ40は、ベース壁43の一部を貫通するセンタ側カム孔43Hを有する。センタ側カム孔43Hは、ベース壁43を方向Dに貫通する。センタ側カム孔43Hは、出力軸保持部50の側方から外周壁45まで延びる。センタ側カム孔43Hは、センタ側カム部60のセンタ側アシストカム面60Aとボス部54との間に形成されている。クラッチセンタ40の軸線方向から見て、センタ側アシストカム面60Aとセンタ側カム孔43Hの一部とは重なる。
図2に示すように、センタ側嵌合部58は、出力軸保持部50より径方向外側に位置する。センタ側嵌合部58は、センタ側カム部60より径方向外側に位置する。センタ側嵌合部58は、センタ側カム部60よりも第2の方向D2側に位置する。センタ側嵌合部58は、外周壁45の内周面45Bに形成されている。センタ側嵌合部58は、後述するプレッシャ側嵌合部88(図4参照)に摺動可能に外嵌するように構成されている。センタ側嵌合部58の内径は、プレッシャ側嵌合部88に対して出力軸15の先端部15T(図1参照)から流出するクラッチオイルの流通を許容する嵌め合い公差を有して形成されている。即ち、センタ側嵌合部58と後述するプレッシャ側嵌合部88との間には隙間が形成されている。本実施形態では、例えば、センタ側嵌合部58は、プレッシャ側嵌合部88の外径に対して0.1mmだけ大きな内径に形成されている。このセンタ側嵌合部58の内径とプレッシャ側嵌合部88の外径との寸法公差は、流通させたいクラッチオイル量に応じて適宜設定されるが、例えば、0.1mm以上かつ0.5mm以下である。
図1に示すように、プレッシャプレート70は、クラッチセンタ40に対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられている。プレッシャプレート70は、入力側回転板20および出力側回転板22を押圧可能に構成されている。プレッシャプレート70は、クラッチセンタ40およびクラッチハウジング30と同心に配置されている。プレッシャプレート70は、本体72と、本体72の第2の方向D2側の外周縁に接続しかつ径方向外側に延びるフランジ98とを有する。本体72は、フランジ98よりも第1の方向D1に突出している。プレッシャプレート70は、入力側回転板20と交互に配置された複数の出力側回転板22を保持する。
図4に示すように、本体72は、筒状部80と、複数のプレッシャ側カム部90と、プレッシャ側嵌合部88と、スプリング収容部84(図6も参照)とを備えている。
図4に示すように、フランジ98は、本体72の外周縁から径方向外側に延びる。ここでは、フランジ98は、プレッシャ側嵌合部88の外周縁から径方向外側に延びる。フランジ98は、表面98Fと裏面98R(図6参照)とを有する。表面98Fは、第1の方向側の面の一例である。裏面98Rは、第2の方向側の面の一例である。フランジ98は、入力側回転板20および出力側回転板22に押圧力を加える押圧面98Aと、押圧面98Aよりも径方向内側に位置する嵌合歯形成面98Bと、嵌合歯形成面98Bよりも径方向内側に位置する接続面98Cとを備えている。押圧面98A、嵌合歯形成面98Bおよび接続面98Cは、表面98Fに設けられている。押圧面98Aは、入力側回転板20および出力側回転板22と直接的または間接的に接触する面である。押圧面98Aは、入力側回転板20および出力側回転板22よりも第2の方向D2側に位置する。押圧面98Aは、クラッチセンタ40のフランジ68との間に入力側回転板20および出力側回転板22を挟み込む。嵌合歯形成面98Bは、押圧面98Aの径方向内側に隣接している。嵌合歯形成面98Bには、後述するプレッシャ側嵌合歯77が形成されている。接続面98Cは、本体72に接続されている。ここでは、接続面98Cは、プレッシャ側嵌合部88に接続されている。接続面98Cは、径方向に関して本体72とプレッシャ側嵌合歯77との間に位置する。接続面98Cは、嵌合歯形成面98Bの径方向内側に隣接している。嵌合歯形成面98Bと接続面98Cとは略面一に形成されている。ここで、略面一とは、互いの面が完全に面一で段差が全くない状態と、互いの面に0mm~0.3mm程度の段差があるがほぼ面一である状態とを含む。本実施形態では、嵌合歯形成面98Bと接続面98Cとは完全に面一に形成されている。
図4および図5Aに示すように、フランジ98は、貫通孔99を有している。貫通孔99は、フランジ98を方向Dに貫通している。本実施形態では、貫通孔99は、フランジ98の周方向Sの3か所に貫通形成されている。3つの貫通孔99は、周方向Sに等間隔に配置されている。なお、貫通孔99の数は、3つに限定されない。また、複数の貫通孔99は、等間隔に配置されていなくてもよい。貫通孔99は、押圧面98Aよりも径方向内側に形成されている。貫通孔99は、嵌合歯形成面98Bに形成されている。本実施形態では、貫通孔99は、嵌合歯形成面98Bから接続面98Cに亘って形成されている。貫通孔99は、周方向Sに関して、隣り合うプレッシャ側嵌合歯77の間に位置する。貫通孔99は、後述するフランジ98の第2の部分98Tに形成されている。貫通孔99は、プレッシャ側カム部90の径方向外側に位置する。貫通孔99は、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの径方向外側に位置する。図5Bに示すように、貫通孔99において、フランジ98の第1の方向D1側の開口端99Aの内径をH1、フランジ98の第2の方向D2側の第1の開口端99Bの内径をH2、フランジ98の第2の方向D2側の第2の開口端99Cの内径をH3としたとき、H1<H2<H3の関係が成り立つ。ここで、第2の開口端99Cは第1の開口端99Bよりも第2の方向D2側に位置する。貫通孔99は、フランジ98の第1の方向D1側の開口端99Aの開口面積よりも、フランジ98の第2の方向D2側の第1の開口端99Bの開口面積および第2の開口端99Cの開口面積が大きくなるように形成されている。なお、H1=H2<H3であってもよい。この場合、貫通孔99は、フランジ98の第1の方向D1側の開口端99Aの開口面積よりも、フランジ98の第2の方向D2側の第2の開口端99Cの開口面積が大きくなるように形成されている。本実施形態では、貫通孔99は、フランジ98の表面98Fから裏面98Rに向かうほど開口面積が大きくなるように形成されている。貫通孔99は、フランジ98の表面98Fから裏面98Rに向かうほど内径が大きくなるように形成されている。貫通孔99は、フランジ98の表面98Fから裏面98Rに向かうほど断面積が大きくなるように形成されている。プレッシャプレート70の外部において流通するクラッチオイルがより貫通孔99に流れ込みやすくするために、貫通孔99に対してフランジ98の裏面98Rからザグリ加工が施されており、貫通孔99の第2の方向D2側の開口端(即ち第2の開口端99C)の内径H3が最大となっている。貫通孔99には、クラッチ装置10の組立時に、専用の治具が挿入される。この治具は、プレッシャプレート70の外側(裏面98R側)から第1の方向D1に挿入される。治具を用いることによって、入力側回転板20および出力側回転板22の位置が調整される。クラッチ装置10の組立が完了すると、治具は取り外されるため貫通孔99は開放される。このため、クラッチ装置10の使用時、即ちプレッシャプレート70の回転時には、遠心力によってプレッシャプレート70の裏面98Rを伝って縁部に向かって流れるクラッチオイルが貫通孔99から流入しやすくなる。これにより、プレッシャ側嵌合歯77に保持された入力側回転板20および出力側回転板22にクラッチオイルを効率よく供給することができる。
筒状部80は、円筒状に形成されている。筒状部80は、プレッシャ側カム部90と一体に形成されている。筒状部80は、出力軸15の先端部15T(図1参照)を収容する。筒状部80には、レリーズベアリング18(図1参照)が収容される。筒状部80は、プッシュ部材16Bからの押圧力を受ける部位である。筒状部80は、出力軸15の先端部15Tから流出したクラッチオイルを受け止める部位である。
プレッシャ側カム部90は、センタ側カム部60に摺動してアシストトルクまたはスリッパートルクを発生させるアシスト&スリッパー(登録商標)機構を構成する傾斜面からなるカム面を有した台状に形成されている。プレッシャ側カム部90は、フランジ98よりも第1の方向D1に突出するように形成されている。図5Aに示すように、プレッシャ側カム部90は、プレッシャプレート70の周方向Sに等間隔に配置されている。本実施形態では、プレッシャプレート70は、3つのプレッシャ側カム部90を有しているが、プレッシャ側カム部90の数は3に限定されない。
図5Aに示すように、プレッシャ側カム部90は、筒状部80の径方向外側に位置する。プレッシャ側カム部90は、プレッシャ側アシストカム面90A(図7も参照)と、プレッシャ側スリッパーカム面90Sとを有する。プレッシャ側アシストカム面90Aは、センタ側アシストカム面60Aと接触可能に構成されている。プレッシャ側アシストカム面90Aは、クラッチセンタ40に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を増加させるためにプレッシャプレート70をクラッチセンタ40に接近させる方向の力を発生させるように構成されている。プレッシャ側スリッパーカム面90Sは、センタ側スリッパーカム面60Sと接触可能に構成されている。プレッシャ側スリッパーカム面90Sは、クラッチセンタ40に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を減少させるためにプレッシャプレート70をクラッチセンタ40から離隔させるように構成されている。周方向Sに関して隣り合うプレッシャ側カム部90において、一方のプレッシャ側カム部90Lのプレッシャ側アシストカム面90Aと他方のプレッシャ側カム部90Mのプレッシャ側スリッパーカム面90Sとは周方向Sに対向して配置されている。
ここで、センタ側カム部60およびプレッシャ側カム部90の作用について説明する。エンジンの回転数が上がり、入力ギア35およびクラッチハウジング30に入力された回転駆動力がクラッチセンタ40介して出力軸15に伝達され得る状態となったときには、図9Aに示すように、プレッシャプレート70には第1の周方向S1の回転力が付与される。このため、センタ側アシストカム面60Aおよびプレッシャ側アシストカム面90Aの作用により、プレッシャプレート70には第1の方向D1への力が発生する。これにより、入力側回転板20と出力側回転板22との圧接力を増加させるようになっている。
一方、出力軸15の回転数が入力ギア35およびクラッチハウジング30の回転数を上回ってバックトルクが生じた際には、図9Bに示すように、クラッチセンタ40には第1の周方向S1の回転力が付与される。このため、センタ側スリッパーカム面60Sおよびプレッシャ側スリッパーカム面90Sの作用により、プレッシャプレート70を第2の方向D2へ移動させて入力側回転板20と出力側回転板22との圧接力を解放させるようになっている。これにより、バックトルクによるエンジンや変速機に対する不具合を回避することができる。
図4および図5Aに示すように、プレッシャプレート70は、本体72およびフランジ98の一部を貫通するプレッシャ側カム孔73Hを有する。プレッシャ側カム孔73Hは、筒状部80よりも径方向外側に位置する。プレッシャ側カム孔73Hは、筒状部80の側方からプレッシャ側嵌合部88よりも径方向外側まで延びる。プレッシャ側カム孔73Hは、隣り合うプレッシャ側カム部90の間に貫通形成されている。プレッシャ側カム孔73Hは、隣り合うプレッシャ側カム部90のプレッシャ側アシストカム面90Aとプレッシャ側スリッパーカム面90Sとの間に貫通形成されている。図5Aおよび図7に示すように、プレッシャプレート70の軸線方向から見て、プレッシャ側アシストカム面90Aとプレッシャ側カム孔73Hの一部とは重なる。
図6および図7に示すように、スプリング収容部84は、プレッシャ側カム部90に形成されている。スプリング収容部84は、第2の方向D2から第1の方向D1に凹むように形成されている。スプリング収容部84は、楕円形状に形成されている。スプリング収容部84は、プレッシャスプリング25(図1参照)を収容する。スプリング収容部84には、ボス部54(図2参照)が挿入される挿入孔84Hが貫通形成されている。即ち、挿入孔84Hは、プレッシャ側カム部90に貫通形成されている。挿入孔84Hは、楕円形状に形成されている。
図1に示すように、プレッシャスプリング25は、スプリング収容部84に収容されている。プレッシャスプリング25は、スプリング収容部84の挿入孔84Hに挿入されたボス部54に保持されている。プレッシャスプリング25は、プレッシャプレート70をクラッチセンタ40に向けて(即ち第1の方向D1に向けて)付勢する。プレッシャスプリング25は、例えば、ばね鋼を螺旋状に巻いたコイルスプリングである。
図4に示すように、プレッシャ側嵌合部88は、本体72に設けられている。プレッシャ側嵌合部88は、プレッシャ側カム部90より径方向外側に位置する。プレッシャ側嵌合部88は、プレッシャ側カム部90よりも第2の方向D2側に位置する。プレッシャ側嵌合部88は、センタ側嵌合部58(図2参照)に摺動可能に内嵌するように構成されている。
図4に示すように、プレッシャプレート70は、フランジ98に形成された複数のプレッシャ側嵌合歯77を備えている。プレッシャ側嵌合歯77は、入力側回転板20および出力側回転板22を保持する。プレッシャ側嵌合歯77は、筒状部80よりも径方向外側に位置する。プレッシャ側嵌合歯77は、プレッシャ側カム部90より径方向外側に位置する。プレッシャ側嵌合歯77は、プレッシャ側嵌合部88より径方向外側に位置する。プレッシャ側嵌合歯77は、フランジ98の嵌合歯形成面98Bに形成されている。プレッシャ側嵌合歯77は、嵌合歯形成面98Bから第1の方向D1に向けて突出する。複数のプレッシャ側嵌合歯77は、周方向Sに並ぶ。複数のプレッシャ側嵌合歯77は、周方向Sに等間隔に配置されている。なお、本実施形態では、一部のプレッシャ側嵌合歯77が取り除かれているため、該部分の間隔は広がっているが、その他の隣り合うプレッシャ側嵌合歯77は等間隔に配置されている。即ち、図5Aに示すように、フランジ98は、隣り合うプレッシャ側嵌合歯77の周方向Sの間隔が第1の長さA1である第1の部分98Sと、第1の長さA1よりも長い第2の長さA2である第2の部分98Tとを有する。第2の部分98Tは、プレッシャ側カム部90の径方向外側に位置する。本実施形態では、第2の部分98Tは、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの径方向外側に位置する。第2の部分98Tは、プレッシャ側カム孔73Hよりも第1の周方向S1側に位置する。第2の部分98Tは、スプリング収容部84よりも第2の周方向S2側に位置する。
図8は、クラッチセンタ40とプレッシャプレート70とが組み合わされた状態を示す平面図である。図8に示す状態では、プレッシャ側アシストカム面90Aとセンタ側アシストカム面60Aとは接触せず、かつ、プレッシャ側スリッパーカム面90Sとセンタ側スリッパーカム面60Sとは接触していない。このとき、プレッシャプレート70はクラッチセンタ40に最も接近している。図8に示す状態(組み付け時の状態)では、ボス部54と挿入孔84Hのプレッシャ側アシストカム面90A側(即ち第1の周方向S1側)の端部84HAとの周方向Sの距離L1は、通常時のボス部54と挿入孔84Hのプレッシャ側スリッパーカム面90S側(即ち第2の周方向S2側)の端部84HBとの周方向Sの距離L2よりも短い。
図1に示すように、ストッパプレート100は、プレッシャプレート70と接触可能に設けられている。ストッパプレート100は、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40から第2の方向D2に所定の距離以上離隔することを抑制する部材である。ストッパプレート100は、クラッチセンタ40のボス部54にボルト28によって固定されている。プレッシャプレート70は、スプリング収容部84にクラッチセンタ40のボス部54およびプレッシャスプリング25が配置された状態でストッパプレート100を介してボルト28がボス部54に締め付けられて固定されている。ストッパプレート100は、平面視で略三角形状に形成されている。
ここで、プレッシャプレート70がストッパプレート100と接触するとき、プレッシャ側スリッパーカム面90Sとセンタ側スリッパーカム面60Sとは、それぞれ、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの面積の50%以上90%以下、かつ、センタ側スリッパーカム面60Sの面積の50%以上90%以下で互いに接触している。また、プレッシャプレート70がストッパプレート100に接触するとき、プレッシャスプリング25は、スプリング収容部84の側壁から離隔している。即ち、プレッシャスプリング25は、ボス部54とスプリング収容部84とによって挟み込まれておらず、ボス部54に過度な応力が加わることが抑制されている。
クラッチ装置10内には、所定量のクラッチオイルが充填されている。クラッチオイルは、出力軸15の中空部15Hを介してクラッチセンタ40およびプレッシャプレート70内に流通し、その後センタ側嵌合部58とプレッシャ側嵌合部88との隙間やオイル排出孔49を介して入力側回転板20および出力側回転板22に供給される。また、クラッチオイルは、プレッシャプレート70の外部において流通している。このクラッチオイルは、図1の矢印FSに示すように、フランジ98に形成された貫通孔99を介してフランジ98の裏面98R側から表面98F側に流れ、入力側回転板20および出力側回転板22に供給される。クラッチオイルは、熱の吸収や摩擦材の摩耗を抑止する。本実施形態のクラッチ装置10は、いわゆる湿式多板摩擦クラッチ装置である。
次に、本実施形態のクラッチ装置10の作動について説明する。クラッチ装置10は、上述のように、自動二輪車のエンジンと変速機との間に配置されるものであり、運転者がクラッチ操作レバーを操作することによって、エンジンの回転駆動力を変速機へ伝達および遮断する。
クラッチ装置10は、自動二輪車の運転者がクラッチ操作レバーを操作しない場合には、クラッチレリーズ機構(図示せず)がプッシュロッド16Aを押圧しないため、プレッシャプレート70がプレッシャスプリング25の付勢力(弾性力)によって入力側回転板20を押圧する。これにより、クラッチセンタ40は、入力側回転板20と出力側回転板22とが互いに押し当てられて摩擦連結されたクラッチONの状態となって回転駆動する。即ち、エンジンの回転駆動力がクラッチセンタ40に伝達されて出力軸15が回転駆動する。
クラッチON状態において、出力軸15の中空部15H内を流動しかつ出力軸15の先端部15Tから流出したクラッチオイルは、筒状部80内に落下または飛翔して付着する(図1の矢印F参照)。筒状部80内に付着したクラッチオイルは、クラッチセンタ40内に導かれる。これにより、クラッチオイルは、オイル排出孔49を介してクラッチセンタ40の外部に流出する。また、クラッチオイルは、センタ側嵌合部58とプレッシャ側嵌合部88との隙間を介してクラッチセンタ40の外部に流出する。そして、クラッチセンタ40の外部に流出したクラッチオイルは、入力側回転板20および出力側回転板22に供給される。さらに、プレッシャプレート70の外部において流通しているクラッチオイルが、貫通孔99を介してフランジ98の表面98F側に流れ込み(図1の矢印FS参照)、入力側回転板20および出力側回転板22に供給される。
一方、クラッチ装置10は、クラッチON状態において自動二輪車の運転者がクラッチ操作レバーを操作した場合には、クラッチレリーズ機構(図示せず)がプッシュロッド16Aを押圧するため、プレッシャプレート70がプレッシャスプリング25の付勢力に抗してクラッチセンタ40から離隔する方向(第2の方向D2)に変位する。これにより、クラッチセンタ40は、入力側回転板20と出力側回転板22との摩擦連結が解消されたクラッチOFFの状態となるため、回転駆動が減衰または回転駆動が停止する状態となる。即ち、エンジンの回転駆動力がクラッチセンタ40に対して遮断される。
クラッチOFF状態において、出力軸15の中空部15H内を流動しかつ出力軸15の先端部15Tから流出したクラッチオイルは、クラッチON状態と同様に、クラッチセンタ40内に導かれる。このとき、プレッシャプレート70は、クラッチセンタ40に対して離隔するため、センタ側嵌合部58およびプレッシャ側嵌合部88との嵌合量が少なくなる。この結果、筒状部80内のクラッチオイルは、より積極的にクラッチセンタ40の外部に流出してクラッチ装置10の内部の各所に流動する。特に、互いに離隔する入力側回転板20と出力側回転板22との間にクラッチオイルを積極的に導くことができる。
そして、クラッチOFF状態において運転者がクラッチ操作レバーを解除した場合には、クラッチレリーズ機構(図示せず)によるプッシュ部材16Bを介したプレッシャプレート70の押圧が解除されるため、プレッシャプレート70はプレッシャスプリング25の付勢力によってクラッチセンタ40に接近する方向(第1の方向D1)に変位する。
以上のように、本実施形態のクラッチ装置10によると、フランジ98は、押圧面98Aよりも径方向内側に形成された貫通孔99を備えている。このため、プレッシャプレート70の外部において流通するクラッチオイルは、貫通孔99を介して例えば遠心力によって押圧面98Aに向かって流れる。ここで、押圧面98Aよりも第1の方向D1側には、入力側回転板20および出力側回転板22が配置されているため、貫通孔99を介して押圧面98Aに向かって流れるクラッチオイルは、入力側回転板20および出力側回転板22に供給される。このように、プレッシャプレート70のフランジ98が押圧面98Aよりも径方向内側に貫通孔99を備えていることによって、プレッシャプレート70の外部において流通するクラッチオイルを効果的に入力側回転板20および出力側回転板22に供給することができる。
本実施形態のクラッチ装置10では、貫通孔99は、フランジ98の表面98Fからフランジ98の裏面98Rに向かうほど開口面積が大きくなるように形成されている。上記態様によれば、プレッシャプレート70の外部において流通するクラッチオイルがより貫通孔99に流れ込みやすくなる。
本実施形態のクラッチ装置10では、貫通孔99は、フランジ98の第1の方向D1側の開口端99Aよりも、フランジ98の第2の方向D2側の第1の開口端99Bの開口面積が大きくなるように形成されている。上記態様によれば、プレッシャプレート70の外部において流通するクラッチオイルがより貫通孔99に流れ込みやすくなる。
本実施形態のクラッチ装置10では、プレッシャプレート70は、フランジ98に形成され、かつ、入力側回転板20および出力側回転板22を保持し、かつ、周方向Sに並ぶ複数のプレッシャ側嵌合歯77を備え、フランジ98は、押圧面98Aの径方向内側に隣接し、かつ、プレッシャ側嵌合歯77が形成された嵌合歯形成面98Bを備え、貫通孔99は、嵌合歯形成面98Bに形成されている。上記態様によれば、貫通孔99が押圧面98Aに隣接する嵌合歯形成面98Bに形成されているため、貫通孔99に流れ込んだクラッチオイルは、押圧面98Aに向かってより多く流れる。
本実施形態のクラッチ装置10では、フランジ98は、径方向に関して本体72とプレッシャ側嵌合歯77との間に位置し、かつ、嵌合歯形成面98Bの径方向内側に隣接する接続面98Cを備え、貫通孔99は、嵌合歯形成面98Bから接続面98Cに亘って形成されている。上記態様によれば、貫通孔99が比較的大きくなるため、プレッシャプレート70の外部において流通するクラッチオイルがより貫通孔99に流れ込みやすくなる。
本実施形態のクラッチ装置10では、フランジ98は、隣り合うプレッシャ側嵌合歯77の周方向Sの間隔が第1の長さA1である第1の部分98Sと、第1の長さA1よりも長い第2の長さS2である第2の部分98Tとを有し、貫通孔99は、第2の部分98Tに形成されている。上記態様によれば、貫通孔99に流れ込んだクラッチオイルは、プレッシャ側嵌合歯77に妨げられることなくよりスムーズに押圧面98Aに向かって流れる。
本実施形態のクラッチ装置10では、プレッシャプレート70は、本体72に設けられ、クラッチセンタ40に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力を増加させるためにプレッシャプレート70をクラッチセンタ40に接近させる方向の力を発生させるプレッシャ側アシストカム面90A、および、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力を減少させるためにプレッシャプレート70をクラッチセンタ40から離隔させるプレッシャ側スリッパーカム面90Sの少なくとも一方を有するプレッシャ側カム部90を備え、貫通孔99は、プレッシャ側カム部90の径方向外側に位置する。上記態様によれば、貫通孔99に流れ込んだクラッチオイルの一部はプレッシャ側カム部90に向けて流れ、プレッシャ側アシストカム面90Aやプレッシャ側スリッパーカム面90Sにクラッチオイルを供給することができる。
本実施形態のクラッチ装置10では、嵌合歯形成面98Bと接続面98Cとは略面一に形成されている。上記態様によれば、貫通孔99に流れ込んだクラッチオイルの一部はプレッシャ側カム部90に向けてよりスムーズに流れ、プレッシャ側アシストカム面90Aやプレッシャ側スリッパーカム面90Sにクラッチオイルを供給することができる。
本実施形態のクラッチ装置10では、プレッシャ側カム部90は、プレッシャ側スリッパーカム面90Sを有し、貫通孔99は、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの径方向外側に位置する。上記態様によれば、プレッシャ側スリッパーカム面90Sに貫通孔99に流れ込んだクラッチオイルの一部をより確実に供給することができる。
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態に係るクラッチ装置210のクラッチセンタ240およびプレッシャプレート270の分解斜視図である。
クラッチセンタ240は、クラッチハウジング30(図1参照)に収容されている。クラッチセンタ240は、クラッチハウジング30と同心に配置されている。図10に示すように、クラッチセンタ240は、本体242と、本体242の第1の方向D1側の外周縁に接続しかつ径方向外側に延びるフランジ268とを有する。本体242は、フランジ268よりも第2の方向D2に突出している。クラッチセンタ240は、出力側回転板22を保持しない。クラッチセンタ240は、出力軸15(図1参照)と共に回転駆動する。
図10に示すように、本体242は、出力軸保持部250と、複数のセンタ側カム部60と、センタ側嵌合部258と、を備えている。センタ側カム部60は、フランジ268よりも第2の方向D2に突出するように形成されている。センタ側カム部60は、出力軸保持部250の径方向外側に位置する。
出力軸保持部250は、円筒状に形成されている。出力軸保持部250には、出力軸15(図1参照)が挿入されてスプライン嵌合する挿入孔251が形成されている。挿入孔251は、本体242を貫通して形成されている。出力軸保持部250のうち挿入孔251を形成する内周面250Aには、軸線方向に沿って複数のスプライン溝が形成されている。出力軸保持部250には、出力軸15が連結されている。
図10に示すように、クラッチセンタ240は、複数(本実施形態では3つ)のボス部54を備えている。ボス部54は、出力軸保持部250より径方向外側に位置する。ボス部54は、本体242に設けられている。
図10に示すように、クラッチセンタ240は、本体242およびフランジ268の一部を貫通するセンタ側カム孔243Hを有する。センタ側カム孔243Hは、本体242およびフランジ268を方向Dに貫通する。センタ側カム孔243Hは、出力軸保持部250の側方からフランジ268まで延びる。センタ側カム孔243Hは、センタ側カム部60のセンタ側アシストカム面60Aとボス部54との間に形成されている。クラッチセンタ240の軸線方向から見て、センタ側アシストカム面60Aとセンタ側カム孔243Hの一部とは重なる。
図10に示すように、センタ側嵌合部258は、本体242に設けられている。センタ側嵌合部258は、センタ側カム部60より径方向外側に位置する。センタ側嵌合部258は、センタ側カム部60よりも第1の方向D1側に位置する。センタ側嵌合部258は、プレッシャ側嵌合部288(図12参照)に摺動可能に内嵌するように構成されている。
図10に示すように、フランジ268は、本体242の外周縁から径方向外側に延びる。ここでは、フランジ268は、センタ側嵌合部258の外周縁から径方向外側に延びる。フランジ268は、表面268Fと裏面268R(図11B参照)とを有する。表面268Fは、第2の方向側の面の一例である。裏面268Rは、第1の方向側の面の一例である。フランジ268は、入力側回転板20および出力側回転板22に押圧力を加える押圧面268Aと、押圧面268Aよりも径方向内側に位置する接続面268Cとを備えている。押圧面268Aおよび接続面268Cは、表面268Fに設けられている。押圧面268Aは、入力側回転板20および出力側回転板22と直接的または間接的に接触する面である。押圧面268Aは、入力側回転板20および出力側回転板22よりも第1の方向D1側に位置する。押圧面268Aは、プレッシャプレート270のフランジ298との間に入力側回転板20および出力側回転板22を挟み込む。接続面268Cは、本体24に接続されている。接続面268Cは、押圧面268Aよりも第1の方向D1側に位置する。
図10および図11Aに示すように、フランジ268は、貫通孔269を有している。貫通孔269は、フランジ268を方向Dに貫通している。本実施形態では、貫通孔269は、フランジ268の周方向Sの3か所に貫通形成されている。3つの貫通孔269は、周方向Sに等間隔に配置されている。なお、貫通孔269の数は、3つに限定されない。また、複数の貫通孔269は、等間隔に配置されていなくてもよい。貫通孔269は、押圧面268Aよりも径方向内側に形成されている。貫通孔269は、接続面268Cに形成されている。貫通孔269は、センタ側カム部60よりも径方向外側に位置する。貫通孔269は、センタ側カム部60の径方向外側に位置する。貫通孔269は、センタ側スリッパーカム面60Sの径方向外側に位置する。なお、貫通孔269は、周方向Sに関してセンタ側カム部60とずれた位置に配置されていてもよい。例えば、貫通孔269は、センタ側カム部60よりも径方向外側かつ周方向Sに関して隣り合うセンタ側カム部60の間に設けられていてもよい。図11Bに示すように、貫通孔269において、フランジ268の第2の方向D2側の開口端269Aの内径をH4、フランジ268の第1の方向D1側の第1の開口端269Bの内径をH5、フランジ268の第1の方向D1側の第2の開口端269Cの内径をH6としたとき、H4<H5<H6の関係が成り立つ。ここで、第2の開口端269Cは第1の開口端269Bよりも第1の方向D1側に位置する。貫通孔269は、フランジ268の第2の方向D2側の開口端269Aの開口面積よりも、フランジ268の第1の方向D1側の第1の開口端269Bの開口面積および第2の開口端269Cの開口面積が大きくなるように形成されている。なお、H4=H5<H6であってもよい。この場合、貫通孔269は、フランジ268の第2の方向D2側の開口端269Aの開口面積よりも、フランジ268の第1の方向D1側の第2の開口端269Cの開口面積が大きくなるように形成されている。本実施形態では、貫通孔269は、フランジ268の表面268Fから裏面268Rに向かうほど開口面積が大きくなるように形成されている。貫通孔269は、フランジ268の表面268Fから裏面268Rに向かうほど内径が大きくなるように形成されている。貫通孔269は、フランジ268の表面268Fから裏面268Rに向かうほど断面積が大きくなるように形成されている。クラッチセンタ240の外部において流通するクラッチオイルがより貫通孔269に流れ込みやすくするために、貫通孔269に対してフランジ268の裏面268Rからザグリ加工が施されており、貫通孔269の第1の方向D1側の開口端(即ち第2の開口端269C)の内径H6が最大となっている。貫通孔269には、クラッチ装置210の組立時に、専用の治具が挿入される。この治具は、クラッチセンタ240の外側(裏面268R側)から第2の方向D2に挿入される。治具を用いることによって、入力側回転板20および出力側回転板22の位置が調整される。クラッチ装置210の組立が完了すると、治具は取り外されるため貫通孔269は開放される。このため、クラッチ装置210の使用時、即ちクラッチセンタ240の回転時には、遠心力によってクラッチセンタ240の裏面268Rを伝って縁部に向かって流れるクラッチオイルが貫通孔269から流入しやすくなる。これにより、入力側回転板20および出力側回転板22にクラッチオイルを効率よく供給することができる。
プレッシャプレート270は、クラッチセンタ240に対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられている。プレッシャプレート270は、入力側回転板20および出力側回転板22を押圧可能に構成されている。プレッシャプレート270は、クラッチセンタ240およびクラッチハウジング30と同心に配置されている。プレッシャプレート270は、円筒状の本体272と、本体272の外周縁から径方向外側に延びるフランジ298とを有する。プレッシャプレート270は、入力側回転板20と方向Dに交互に配置された複数の出力側回転板22を保持する。
図12に示すように、本体272は、環状のベース壁273と、ベース壁273の径方向外側に位置しかつ第1の方向D1に向けて延びる外周壁275と、ベース壁273の中央に設けられた筒状部280と、ベース壁273および外周壁275に接続された複数のプレッシャ側カム部90と、プレッシャ側嵌合部288と、スプリング収容部84(図10参照)とを備えている。プレッシャ側カム部90は、本体272から第1の方向D1に突出するように形成されている。プレッシャ側カム部90は、筒状部280の径方向外側に位置する。プレッシャ側カム部90は、外周壁275よりも径方向内側に位置する。
筒状部280は、円筒状に形成されている。筒状部280は、プレッシャ側カム部90と一体に形成されている。筒状部280は、出力軸15の先端部15T(図1参照)を収容する。筒状部280には、レリーズベアリング18(図1参照)が収容される。筒状部280は、プッシュ部材16Bからの押圧力を受ける部位である。筒状部280は、出力軸15の先端部15Tから流出したクラッチオイルを受け止める部位である。
図12に示すように、プレッシャプレート270の外周壁275は、筒状部280よりも径方向外側に配置されている。外周壁275は、方向Dに延びる円環状に形成されている。外周壁275の外周面275Aには、スプライン嵌合部276が設けられている。スプライン嵌合部276は、外周壁275の外周面275Aに沿ってプレッシャプレート270の軸線方向に延びる複数のプレッシャ側嵌合歯277と、隣り合うプレッシャ側嵌合歯277の間に形成されかつプレッシャプレート270の軸線方向に延びる複数のスプライン溝278と、オイル排出孔279とを有する。プレッシャ側嵌合歯277は、出力側回転板22を保持する。複数のプレッシャ側嵌合歯277は、周方向Sに並ぶ。複数のプレッシャ側嵌合歯277は、周方向Sに等間隔に形成されている。複数のプレッシャ側嵌合歯277は、同じ形状に形成されている。プレッシャ側嵌合歯277は、外周壁275の外周面275Aから径方向外側に突出する。オイル排出孔279は、外周壁275を径方向に貫通して形成されている。オイル排出孔279は、隣り合うプレッシャ側嵌合歯277の間に形成されている。即ち、オイル排出孔279は、スプライン溝278に形成されている。オイル排出孔279は、プレッシャ側カム部90の側方に形成されている。オイル排出孔279は、プレッシャ側カム部90のプレッシャ側アシストカム面90Aの側方に形成されている。オイル排出孔279は、プレッシャ側アシストカム面90Aよりも第1の周方向S1側に形成されている。オイル排出孔279は、プレッシャ側スリッパーカム面90Sよりも第2の周方向S2側に形成されている。本実施形態では、オイル排出孔279は、外周壁275の周方向Sの3か所に3つずつ形成されている。オイル排出孔279は、周方向Sに等間隔の位置に配置されている。オイル排出孔279は、プレッシャプレート270の内部と外部とを連通する。オイル排出孔279は、出力軸15からプレッシャプレート270内に流出したクラッチオイルを、プレッシャプレート270の外部に排出する孔である。ここでは、オイル排出孔279は、外周壁275の内周面275B側を流れるクラッチオイルをプレッシャプレート270の外部に排出する。オイル排出孔279の少なくとも一部は、センタ側嵌合部258(図10参照)と対向する位置に設けられている。
出力側回転板22は、プレッシャプレート270のスプライン嵌合部276に保持されている。出力側回転板22は、プレッシャ側嵌合歯277およびスプライン溝278にスプライン嵌合によって保持されている。出力側回転板22は、プレッシャプレート270の軸線方向に沿って変位可能に設けられている。出力側回転板22は、プレッシャプレート270と一体的に回転可能に設けられている。
図10および図12に示すように、プレッシャプレート270は、ベース壁273の一部を貫通するプレッシャ側カム孔273Hを有する。プレッシャ側カム孔273Hは、貫通孔の一例である。プレッシャ側カム孔273Hは、ベース壁273を方向Dに貫通する。プレッシャ側カム孔273Hは、筒状部80よりも径方向外側に位置する。プレッシャ側カム孔273Hは、筒状部80の側方から外周壁275まで延びる。プレッシャ側カム孔273Hは、隣り合うプレッシャ側カム部90の間に貫通形成されている。プレッシャ側カム孔273Hは、隣り合うプレッシャ側カム部90のプレッシャ側アシストカム面90Aとプレッシャ側スリッパーカム面90Sとの間に貫通形成されている。プレッシャプレート270の軸線方向から見て、プレッシャ側アシストカム面90Aとプレッシャ側カム孔273Hの一部とは重なる。プレッシャ側カム孔273Hにはプレッシャプレート270の外部からクラッチオイルが流れ込む。
図12に示すように、プレッシャ側嵌合部288は、筒状部280より径方向外側に位置する。プレッシャ側嵌合部288は、プレッシャ側カム部90より径方向外側に位置する。プレッシャ側嵌合部288は、プレッシャ側カム部90よりも第1の方向D1側に位置する。プレッシャ側嵌合部288は、外周壁275の内周面275Bに形成されている。プレッシャ側嵌合部288は、センタ側嵌合部258(図10参照)に摺動可能に外嵌するように構成されている。プレッシャ側嵌合部288とセンタ側嵌合部258との間には隙間が形成されている。
以上のように、本実施形態のクラッチ装置210によると、フランジ268は、押圧面268Aよりも径方向内側に形成された貫通孔269を備えている。このため、クラッチセンタ240の外部において流通するクラッチオイルは、貫通孔269を介して例えば遠心力によって押圧面268Aに向かって流れる。ここで、押圧面268Aよりも第2の方向D2側には、入力側回転板20および出力側回転板22が配置されているため、貫通孔269を介して押圧面268Aに向かって流れるクラッチオイルは、入力側回転板20および出力側回転板22に供給される。このように、クラッチセンタ240のフランジ268が押圧面268Aよりも径方向内側に貫通孔269を備えていることによって、クラッチセンタ240の外部において流通するクラッチオイルを効果的に入力側回転板20および出力側回転板22に供給することができる。
本実施形態のクラッチ装置210では、貫通孔269は、フランジ268の表面268Fからフランジ268の裏面268Rに向かうほど開口面積が大きくなるように形成されている。上記態様によれば、クラッチセンタ240の外部において流通するクラッチオイルがより貫通孔269に流れ込みやすくなる。
本実施形態のクラッチ装置210では、貫通孔269は、フランジ268の第2の方向D2側の開口端269Aよりも、フランジ268の第1の方向D1側の第1の開口端269Bの開口面積が大きくなるように形成されている。上記態様によれば、クラッチセンタ240の外部において流通するクラッチオイルがより貫通孔269に流れ込みやすくなる。
本実施形態のクラッチ装置210では、クラッチセンタ240は、本体242に設けられ、プレッシャプレート270に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力を増加させるためにプレッシャプレート270をクラッチセンタ240に接近させる方向の力を発生させるセンタ側アシストカム面60A、および、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力を減少させるためにプレッシャプレート270をクラッチセンタ240から離隔させるセンタ側スリッパーカム面60Sの少なくとも一方を有するセンタ側カム部60を備え、貫通孔269は、センタ側カム部60の径方向外側に位置する。上記態様によれば、貫通孔269に流れ込んだクラッチオイルの一部はセンタ側カム部60に向けて流れ、センタ側アシストカム面60Aやセンタ側スリッパーカム面60Sにクラッチオイルを供給することができる。
本実施形態のクラッチ装置210では、センタ側カム部60は、センタ側スリッパーカム面60Sを有し、貫通孔269は、センタ側スリッパーカム面60Sの径方向外側に位置する。上記態様によれば、貫通孔269に流れ込んだクラッチオイルの一部をセンタ側スリッパーカム面60Sにより確実に供給することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
上述した各実施形態では、センタ側カム部60は、センタ側アシストカム面60Aと、センタ側スリッパーカム面60Sとを有していたが、少なくともいずれか一方を有していればよい。
上述した各実施形態では、プレッシャ側カム部90は、プレッシャ側アシストカム面90Aと、プレッシャ側スリッパーカム面90Sとを有していたが、少なくともいずれか一方を有していればよい。
上述した第1実施形態では、貫通孔99は、嵌合歯形成面98Bから接続面98Cに亘って形成されているが、これに限定されない。貫通孔99は、接続面98Cにのみ形成されていてもよい。
上述した第1実施形態では、クラッチセンタ40の出力軸保持部50および外周壁45に形成されたスプライン嵌合部46は一体に形成されていたが、これらは別体に形成されていてもよい。即ち、クラッチセンタ40は、出力軸保持部50を備える第1クラッチ部材と、第1クラッチ部材とは別体に形成されかつスプライン嵌合部46を備える第2クラッチ部材とを含み、第1クラッチ部材と第2クラッチ部材とを組み合わせて使用する形態であってもよい。
上述した第2実施形態では、クラッチセンタ240は、出力側回転板22を保持しないように構成されていたが、これに限定されない。クラッチセンタ240は、出力側回転板22を保持可能な第1実施形態のプレッシャ側嵌合歯77と類似の構成を有するセンタ側嵌合歯を有していてもよい。
20 入力側回転板
22 出力側回転板
30 クラッチハウジング
60 センタ側カム部
60A センタ側アシストカム面
60S センタ側スリッパーカム面
210 クラッチ装置
240 クラッチセンタ
242 本体
268 フランジ
268A 押圧面
268C 接続面
268F 表面(第2の方向側の面)
268R 裏面(第1の方向側の面)
269 貫通孔
270 プレッシャプレート

Claims (7)

  1. 入力軸の回転駆動力を出力軸に伝達または遮断するクラッチ装置であって、
    前記入力軸の回転駆動によって回転駆動する複数の入力側回転板を保持するクラッチハウジングに収容され、前記出力軸と共に回転駆動するクラッチセンタと、
    前記クラッチセンタに対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられ、かつ、前記入力側回転板と交互に配置された複数の出力側回転板を保持し、かつ、前記入力側回転板および前記出力側回転板を押圧可能なプレッシャプレートと、を備え、
    前記クラッチセンタは、
    本体と、
    前記本体の外周縁から径方向外側に延びるフランジと、
    前記本体に設けられ、前記プレッシャプレートに対して相対回転した際に、前記入力側回転板と前記出力側回転板との押圧力を増加させるために前記プレッシャプレートを前記クラッチセンタに接近させる方向の力を発生させるセンタ側アシストカム面、および、前記入力側回転板と前記出力側回転板との押圧力を減少させるために前記プレッシャプレートを前記クラッチセンタから離隔させるセンタ側スリッパーカム面の少なくとも一方を有する複数のセンタ側カム部と、
    隣り合う前記センタ側カム部の間に貫通形成されたセンタ側カム孔と、を備え、
    前記フランジは、
    前記プレッシャプレートが前記クラッチセンタに接近する方向を第1の方向、前記プレッシャプレートが前記クラッチセンタから離隔する方向を第2の方向としたとき、前記入力側回転板および前記出力側回転板よりも前記第1の方向側に位置し、かつ、前記入力側回転板および前記出力側回転板に押圧力を加える押圧面と、
    前記押圧面よりも径方向内側に形成された貫通孔と、を備えている、クラッチ装置。
  2. 前記貫通孔は、前記フランジの前記第2の方向側の面から前記フランジの前記第1の方向側の面に向かうほど開口面積が大きくなるように形成されている、請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 前記貫通孔は、前記フランジの前記第2の方向側の開口端の開口面積よりも、前記フランジの前記第1の方向側の開口端の開口面積が大きくなるように形成されている、請求項1に記載のクラッチ装置。
  4. 記貫通孔は、前記センタ側カム部よりも径方向外側に位置する、請求項1または2に記載のクラッチ装置。
  5. 前記貫通孔は、前記センタ側カム部の径方向外側に位置する、請求項4に記載のクラッチ装置。
  6. 前記センタ側カム部は、前記センタ側スリッパーカム面を有し、
    前記貫通孔は、前記センタ側スリッパーカム面の径方向外側に位置する、請求項5に記載のクラッチ装置。
  7. 請求項1または2に記載のクラッチ装置を備えた自動二輪車。
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