JP7434528B2 - 消音器付送風機 - Google Patents

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Description

本発明は、消音器付送風機に関する。
パーソナルコンピュータ(PC)、および、複写機等の情報機器などにおいて、機器内を冷却するために、軸流ファンを用いて機器内の加熱された空気を排気することが行われている。
このような冷却用の軸流ファンから発生する騒音のうち、羽根の枚数と回転速度で周波数が決まる騒音は、特定周波数で音圧が高く、純音(トーン)成分が非常に強く、耳障りとなり問題となっている。
このような騒音の低減のために、一般的に消音に用いられる多孔質吸音材を用いても広い周波数帯域で一様に音量を下げるため、上記のような特定周波数だけ音圧が高い場合に、その特定周波数の音圧を相対的に下げることは難しい。また、多孔質吸音材を用いる場合、十分な消音効果を得るためには体積を大きくするが必要であるが、ファンによる風量を確保する必要があるため、多孔質吸音材の大きさには限度があり、高い通風性と防音性能とを両立することが難しいという問題があった。
このような特定周波数で発生するファンの騒音を消音するために、共鳴型の消音器を用いることが提案されている。
例えば、特許文献1には、回転可能に設けられた羽根部材と、羽根部材の回転により内部に気体を流入させ、流入した気体を外部に流出させるための気体の流路と、流路を外部に向けて広げるための傾斜面と、傾斜面に設けられた凹部とを有するケーシングとを具備するファン装置が記載されている。特許文献1には、このファン装置において、音を凹部内の空気と共鳴させて音を共鳴吸収することが記載されている。
特開2005-248734号公報
ここで、本発明者らの検討によれば、軸流ファンの内部に共鳴器を配置した場合に、配置位置によっては、音が増幅されて適切に消音できない場合があることがわかった。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、軸流ファンの内部に共鳴器を配置した場合に、音が増幅されることを抑制し、好適に消音できる消音器付送風機を提供することを課題とする。
本発明は、以下の構成によって課題を解決する。
[1] 一方向に貫通する内部空間を有するケーシング、ケーシングの内部空間内に配置される回転翼を有する軸流ファンと、
軸流ファンの内部空間に接続される位置に配置される消音器と、を有し、
軸流ファンは、駆動時に内部空間内において、周方向に音圧が高い位置と音圧が低い位置とを有する音圧分布を有し、
消音器は、軸流ファンの周方向の音圧が高い位置に接続され、音圧が低い位置には接続されない消音器付送風機。
[2] 消音器が共鳴器である[1]に記載の消音器付送風機。
[3] 共鳴器が、軸流ファンの内部空間と連通する流路を有する[2]に記載の消音器付送風機。
[4] 共鳴器の共鳴周波数をf0とし、軸流ファンの回転翼に起因する離散周波数音の少なくとも1つの周波数をfnとすると、共鳴器の共鳴周波数f0は、0.8×fn~1.1×fnの範囲にある[2]または[3]に記載の消音器付送風機。
[5] 共鳴器の共鳴周波数をf0とし、軸流ファンの回転翼に起因する離散周波数音の少なくとも1つの周波数をfnとすると、共鳴器の共鳴周波数f0は、0.9×fn~0.95×fnの範囲にある[4]に記載の消音器付送風機。
[6] 2以上の離散周波数音それぞれに対して、共鳴周波数f0が、0.8×fn~1.1×fnの範囲にある共鳴器を有する[5]に記載の消音器付送風機。
[7] 消音器は、軸流ファンの軸方向から見た際に、回転翼が回転して形成する領域とは重複しない位置に配置される[1]~[6]のいずれかに記載の消音器付送風機。
[8] 軸流ファンの回転翼に起因する、少なくとも1つの離散周波数音の周方向における音圧分布に対して、2つ以上の音圧が高い位置それぞれに消音器が配置されている[1]~[7]のいずれかに記載の消音器付送風機。
[9] 軸流ファンが固定翼を有する[1]~[8]のいずれかに記載の消音器付送風機。
[10] 消音器は、固定翼の間の固定翼開口部内における周方向の音圧分布において、音圧が高い位置に配置され、音圧が低い位置には配置されない[9]に記載の消音器付送風機。
[11] 全ての固定翼開口部内に、消音器が配置されている[10]に記載の消音器付送風機。
[12] 少なくとも1つの消音器が、固定翼から、固定翼間の距離の25%以内の位置に配置されている[10]または[11]に記載の消音器付送風機。
[13] 回転翼の羽根枚数が、固定翼の羽根枚数よりも多い[10]~[12]のいずれかに記載の消音器付送風機。
本発明によれば、軸流ファンの内部に共鳴器を配置した場合に、音が増幅されることを抑制し、好適に消音できる消音器付送風機を提供することができる。
本発明の消音器付送風機の一例を模式的に示す斜視図である。 図1の消音器付送風機をA方向から見た正面図である。 図2のB-B線断面図である。 図2の部分拡大図である。 音圧分布の測定方法の一例を概念的に示す図である。 音圧分布の測定結果の一例を表すグラフである。 本発明の消音器付送風機の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の消音器付送風機の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の消音器付送風機の他の一例を模式的に示す断面図である。 周波数と音圧との関係を表すグラフである。 作製したケーシングの形状を表す斜視図である。 実施例における騒音量の測定方法を説明するための図である。 周波数と音圧との関係を表すグラフである。 周波数と音圧との関係を表すグラフである。 周波数と音圧との関係を表すグラフである。 作成した消音器付送風機の形状を表す斜視図である。 周波数と音圧との関係を表すグラフである。 シミュレーションにおける消音器付送風機の内部空間のモデルの図である。 音圧分布を表す図である。 位置と音圧との関係を表すグラフである。 音圧分布を表す図である。 音圧分布を表す図である。 音圧分布を表す図である。 共鳴周波数と消音周波数との関係を表すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[消音器付送風機]
本発明の消音器付送風機は、
一方向に貫通する内部空間を有するケーシング、ケーシングの内部空間内に配置される回転翼とを有する軸流ファンと、
軸流ファンの内部空間に接続される位置に配置される消音器と、を有し、
軸流ファンは、駆動時に内部空間内において、周方向に音圧が高い位置と音圧が低い位置とを有する音圧分布を有し、
消音器は、軸流ファンの周方向の音圧が高い位置に接続され、音圧が低い位置には接続されない消音器付送風機である。
本発明の消音器付送風機の構成について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の消音器付送風機の好適な実施態様の一例を示す模式的な斜視図である。図2は、図1をA方向から見た正面図である。図3は、図2のB-B線断面図である。
図1~図3に示す消音器付送風機10は、ケーシング16と、モーター14と、回転翼18とを有する軸流ファン12、および、消音器30を有する。
軸流ファン12は、基本的に公知の軸流ファンであり、複数の羽根を有する回転翼を回転させて気体に運動エネルギーを与えて気体を軸方向に送風する。
具体的には、軸流ファン12は、ケーシング16、ケーシング16に取り付けられたモーター14、ならびに、モーター14に取り付けられ回転される軸部20および軸部20の径方向外側に突出して形成された羽根22を備える回転翼18を有する。
なお、以下の説明では、軸部20(回転翼18)の回転軸を単に「回転軸」といい、軸部20(回転翼18)の径方向を単に「径方向」という。また、回転翼18の回転方向を「周方向」ともいう。
モーター14は一般的な電動モーターであり、回転翼18を回転させるものである。
回転翼18の軸部20は、略円柱状で一方の底面側をモーター14の回転軸に取り付けられており、モーター14によって回転される。
羽根22は、軸部20の周面に、周面から径方向の外側に突出するように形成されている。また、回転翼18は、複数の羽根22を有しており、複数の羽根22は、軸部20の周面の周方向に配列されている。図1~図3に示す例では、回転翼18は、4枚の羽根22を有する構成としたがこれに限定はされず、複数枚の羽根22を有していればよい。
また、羽根22の形状は、従来公知の軸流ファンで用いられている形状とすることができる。
回転軸方向における羽根22の厚みは、5mm~200mm程度である。また、軸部20の厚みは、5mm~200mm程度である。また、回転軸方向における羽根22の厚みの最大値と、軸部20の厚みは略同じであるのが好ましい。
また、軸部20の直径は、10mm~1500mm程度である。また、回転翼18の外径、すなわち、羽根22の径方向最先端側を通る外径は、20mm~2000mm程度である。
羽根22を有する回転翼18がモーター14によって回転することで、回転軸方向に気流(風)を発生させる。気流の流れ方向には限定はなく、回転軸方向においてモーター14側からモーター14とは反対方向に流れるものであってもよく、モーター14とは反対側からモーター14側に流れるものであってもよい。
ケーシング16は、モーター14が固定され、また、回転可能な回転翼18(羽根22)の径方向の周囲を囲むものである。
回転軸方向におけるケーシング16の厚みは、回転翼18を外部から保護できるように、羽根22および軸部20の厚みよりも厚い。
ケーシング16は、回転軸方向の一方の面側でモーター14を支持する支持部16aと、回転翼18を径方向外側から囲む外枠部16bと、回転軸方向の他方の面側で軸部20の領域を覆うカバー部16cと、支持部16aおよび/またはカバー部16cから、径方向外側に向けて突出し、支持部16aおよび/またはカバー部16cと、外枠部16bとを連結する固定翼16dと、を有する。固定翼16dは、公知の羽根形状をしており、回転翼18が回転して発生した気流を整流する機能を有する。
外枠部16bは、一方向に貫通する開口部17を有する立方体形状を有している。外枠部16bの開口部17の一方の開口面側に支持部16aが配置され、他方の開口面側にカバー部16cが配置される。外枠部16bの開口部17は、本発明における軸流ファンの内部空間に相当する。以下の説明では、外枠部16bの開口部17を内部空間17ともいう。
支持部16aの直径は、モーター14を支持でき、回転翼18が回転して発生する気流の流れを阻害しない大きさであればよい。一例として、支持部16aの直径は、軸部20の直径と略同じである。
同様に、カバー部16cの直径は、軸部20を外部から保護でき、回転翼18が回転して発生する気流の流れを阻害しない大きさであればよい。一例として、カバー部16cの直径は、軸部20の直径と略同じである。
固定翼16dの幅、数等は、支持部16aと外枠部16b、および、カバー部16cと外枠部16bをそれぞれ確実に固定でき、かつ、回転翼18が回転して発生する気流の流れを阻害しない大きさ、数であればよい。
ケーシング16の回転軸方向の厚みは、回転翼18を外部から保護し、回転翼18の回転によって発生する空気の流れのうち、径方向への空気の流れを抑制して回転軸方向への風量を増やすことができればよく、羽根22および/または軸部20の厚みに対して、1.01倍~3.00倍程度の厚みであればよい。
なお、図示例においては、ケーシング16は、モーター14を支持する支持部16aと、軸部20の領域を覆うカバー部16cとを有する構成としたが、モーター14を支持する支持部16aのみを有し、軸部20の領域を覆うカバー部16cを有さない構成であってもよい。
また、ケーシング16において、支持部16aと外枠部16bとを連結する部材、および、カバー部16cと外枠部16bとを連結する部材の少なくとも一方が固定翼16dであればよく、他方は、単に部材同士を連結する連結部であってもよい。なお、回転翼18が回転して発生した気流が支持部16a側に流れる場合には、支持部16aと外枠部16bとを連結する部材を固定翼16dとすればよく、回転翼18が回転して発生した気流がカバー部16c側に流れる場合には、カバー部16cと外枠部16bとを連結する部材を固定翼16dとすればよい。あるいは、ケーシング16は、固定翼16dを有さない構成であってもよい。すなわち、支持部16aと外枠部16bとを連結する部材、および、カバー部16cと外枠部16bとを連結する部材が羽根形状を有さず、回転翼18が回転して発生した気流を整流する機能を有さないものであってもよい。
軸流ファン12は、さらに、公知の軸流ファンが有する各種の構成を有していてもよい。例えば、図1~図3に示す例では、軸流ファン12は、軸流ファン12を各種機器に固定する際にねじなどの締結部材を挿入する孔16eを有する。
消音器30は、軸流ファン12の内部空間17に接続される位置に配置される。ここで、消音器30が内部空間17に接続されるとは、消音器30において、消音機能を発揮するために音波を消音器30に侵入させるための部位が、内部空間17と連通していることをいう。例えば、ヘルムホルツ共鳴器および気柱共鳴器においては、開口部が音波を侵入させるための部位に相当する。また、膜型共鳴器においては、膜の表面が音波を侵入させるための部位に相当する。また、多孔質吸音材においては、その表面が音波を侵入させるための部位に相当する。
図3に示す例においては、消音器30は、ヘルムホルツ共鳴器30aであり、ケーシング16の外枠部16bの外周面に4つ配置されている。
周知のとおり、ヘルムホルツ共鳴器30aは、内部空間36を有するケース32に、内部空間36と外部とを連通する開口部34が形成されたものである。ヘルムホルツ共鳴器30aは、内部空間36にある空気がバネとしての役割を果たし、開口部34内の空気が質量(マス)としての役割を果たし、マスバネの共鳴をし、開口部34の壁近傍部での熱粘性摩擦により吸音する構造である。
なお、以下の説明において、ヘルムホルツ共鳴器30a、後述する気柱共鳴器30bおよび膜型共鳴器30c等の消音器の種類を区別する必要がない場合には、まとめて消音器30ともいう。
図3に示すように、ヘルムホルツ共鳴器30aは、開口部34をケーシング16の内部空間17側に向けて配置されている。ケーシング16の外枠部16bの、ヘルムホルツ共鳴器30aの開口部34に対応する位置には、外枠部16bの外周面から内周面まで貫通する貫通孔15が形成されている。これにより、ヘルムホルツ共鳴器30aの開口部34は、貫通孔15を介してケーシング16の内部空間17に連通している。従って、ヘルムホルツ共鳴器30aが内部空間17に接続されている。
ここで、本発明の消音器付送風機10においては、軸流ファン12は、内部空間17内において、周方向に音圧が高い位置と音圧が低い位置とを有する音圧分布を有し、消音器30は、軸流ファン12の周方向の音圧が高い位置に接続され、音圧が低い位置には接続されない構成を有する。
前述のとおり、本発明者らの検討によれば、軸流ファンの内部に共鳴器を配置した場合に、配置位置によっては、音が増幅されて適切に消音できない場合があることがわかった。具体的には、軸流ファンの内部において、周方向に音圧分布が生じており、音圧が低い位置に共鳴器を接続した場合に、単に消音の効果が低くなるだけでなく、音が増幅されてしまう場合があることがわかった。
一般に、ダクト内に軸流ファンを配置した場合に、軸方向においてモードが形成されること、すなわち、音圧分布が生じることは知られている。しかしながら、軸流ファンの周方向にモードが形成されること、すなわち、音圧分布が生じることは知られていなかった。そのため、従来は、軸流ファンの周方向において、共鳴器をどのように配置するかは考慮されていなかった。
これに対して、本発明者らは、軸流ファンの内部空間において、周方向に音圧分布が生じることを見出した。本発明の消音器付送風機は、軸流ファンの周方向の音圧分布に対して、音圧が高い位置に消音器を接続する構成を有するため、消音器による消音効果を高くでき、かつ、音圧が低い位置には消音器を接続しない構成を有するため、音が増幅されてしまうことを防止することができる。
ここで、軸流ファンの内部空間において、周方向に音圧分布が生じる原因としては、軸流ファン12は、回転翼18およびモーター14を径方向の中央に配置するために、ケーシング16が支持部16aを有しており、支持部16aを外枠部16bと連結するために固定翼16d(あるいは、羽根の機能を有さない連結部)を有するためであると推定される。羽根22の一枚一枚がそれぞれ空力音源となり、その表面の圧力変動により音が放射される。放射された音はごく近傍(音の波長に比べて十分に小さい距離)に存在する固定翼16dに当たり、制約を受ける。すなわち、回転に伴い移動する複数の音源が存在し、そのごく近傍に固定翼16dを有するため、複雑な音響干渉が生じて、周方向において、音波の伝播に偏りが生じ、周方向に音圧分布が生じるものと考えられる。
周方向の音圧分布の偏りがより大きくなる点から、本願発明は、軸流ファン12が固定翼16dを有する場合により好適に適用される。同様に、固定翼16dが、回転翼18が回転して発生した気流の下流側に配置される場合により好適に適用される。
また、軸流ファン12が固定翼16dを有し、回転翼18の羽根の枚数が、固定翼16dの羽根枚数以上である場合に、周方向の音圧分布の偏りがより大きくなるため、本願発明がより好適に適用される。
回転翼18の羽根の枚数が、固定翼16dの羽根枚数以上である場合には、軸方向から見た際に、隣接する固定翼16dの羽根の間の空間(以下、固定翼開口部ともいう)において、回転翼18の羽根が複数枚存在するタイミングが生じる。回転翼18の羽根はそれぞれ音源とみなすことができるため、軸方向から見て1つの固定翼開口部内に2つの音源が存在することになる。その場合、それぞれの音源から発生した音波が固定翼開口部内で干渉等により相互作用することで、1つの固定翼開口部内での周方向の音圧分布の偏りがより大きくなると考えられる。
軸流ファンの内部空間における周方向の音圧分布(以下、軸流ファンの周方向の音圧分布ともいう)は、例えば、図4に示すように、隣接する固定翼16dの羽根の間の空間(固定翼開口部)において、軸流ファンを動作させた状態で、図5に示すように、音圧を測定するプローブマイクPBを固定翼開口部内にて、周方向(図5中左右方向)、および、軸方向(図5中上下方向)に走査して測定することができる。
このようにして軸流ファンの周方向の音圧分布を測定した例を、図6に示す。図6は後述する実施例で用いる軸流ファンの周方向の音圧分布を表す図である。図6に示すように、軸流ファンの周方向において音圧が高い位置と低い位置とを有する音圧分布が生じていることがわかる。
プローブマイクPBは、マイクの先端に、細い管状のプローブを取り付けたものである。例えば、プローブは、穴径1.5mm、外径2.5mm,筒長さ50mmの部材である。このプローブマイクPBを軸流ファンの内部空間に差し込んで音圧の測定を行う。細いプローブを用いることで風への影響を小さくし、局所的な位置の音圧を測定することができる。
ここで、軸流ファンの周方向において音圧分布を有するとは、周方向の音圧分布における音圧の最大値と最小値との差が、6(dB)以上の場合をいう。測定は5回以上行い、平均値から音圧の最大値と最小値との差を求めればよい。
また、軸流ファンの周方向において音圧が高い位置とは、周方向の音圧分布における音圧の最大値をPmaxとし、最小値をPminとすると、Pmax-0.4×(Pmax-Pmin)以上の音圧を有する位置とする。また、音圧が低い位置とは、Pmin+0.4×(Pmax-Pmin)以下の音圧を有する位置とする。
消音効果をより高くできる観点から、消音器は、周方向の音圧分布において、Pmax-0.3×(Pmax-Pmin)以上の音圧を有する位置に接続されるのが好ましく、Pmax-0.2×(Pmax-Pmin)以上の音圧を有する位置に接続されるのがより好ましく、Pmax-0.1×(Pmax-Pmin)以上の音圧を有する位置に接続されるのがさらに好ましい。
また、消音効果をより高くできる観点から、消音器は、軸方向において、固定翼16d(あるいは連結部)が存在する位置に配置されるのが好ましい。
また、図1に示すように、本発明の消音器付送風機は、複数の消音器を有していてもよい。各消音器30はそれぞれ、軸流ファン12の周方向において音圧が高い位置に接続されていればよい。また、軸流ファン12が複数の固定翼16dを有する場合には、隣接する固定翼16dの間の固定翼開口部の少なくとも2つに消音器が接続されるのが好ましく、全ての固定翼開口部に消音器が接続されるのがより好ましい。
軸流ファン12が固定翼16dを有する場合には、固定翼16d近傍で周方向における音圧が高くなる傾向にある。従って、消音器30は、周方向において、固定翼16dの近傍に配置されるのが好ましい。具体的には、固定翼16dから、隣接する固定翼16dの間の距離の25%以内の位置に配置されるのが好ましい。
ここで、図1~3に示す例では、消音器30は、ケーシング16の外側に配置され、ケーシング16の外枠部16bに形成された貫通孔15を介して、軸流ファン12の内部空間17に接続される構成としたが、これに限定されない。
例えば、図7に示すように、消音器30(ヘルムホルツ共鳴器30a)が、軸流ファン12の内部空間17内に配置されてもよい。図7に示す例では、内部空間17内に配置されたヘルムホルツ共鳴器30aは、開口部34が、軸流ファン12の周方向において音圧が高い位置に接続されている。
なお、通気性の観点から、消音器30は、軸流ファン12の軸方向から見た際に、回転翼18が回転して形成する領域とは重複しない位置に配置されるのが好ましい。
また、図2~図3に示す例では、消音器としてヘルムホルツ共鳴器30aを用いる構成としたが、これに限定はされない。
例えば、図8に示す例のように、消音器として気柱共鳴器30bを用いる構成であってもよい。周知のとおり、気柱共鳴器は、開口を有する共鳴管内に定在波が生じることで共鳴が起こる。図8に示す消音器付送風機10において、軸流ファン12のケーシング16の外枠部16bの4つの外周面それぞれに気柱共鳴器30bが配置されている。4つの気柱共鳴器30bは、それぞれ開口が、固定翼開口部(内部空間17)に接続されている(図示せず)。
なお、図8に示す例では、気柱共鳴器30bは、軸流ファン12から径方向の外側に延在する共鳴管を有する構成としたがこれに限定はされない。気柱共鳴器30bは、開口が、内部空間17に接続されていれば、共鳴管が軸方向に延在する構成であっても、共鳴管が周方向に延在する構成であってもよい。また、途中で管路が曲がる共鳴管でもよい。
また、図9に示す例のように、消音器として膜型共鳴器30cを用いる構成であってもよい。枠体40と、膜42とを有し、枠体40に振動可能に支持された膜42が膜振動することで共鳴する。図9に示す消音器付送風機10において、軸流ファン12のケーシング16の外枠部16bの外周面に膜型共鳴器30cが配置されている。膜型共鳴器30cは、膜42をケーシング16に向けて配置されており、ケーシング16に形成された貫通部を介して、固定翼開口部(内部空間17)に接続されている。
枠体40は、直方体形状で一面に底面を有する開口部が形成された形状である。すなわち、枠体40は一面が開放された有底の箱型である。
膜42は膜状の部材であり、枠体40の、開口部が形成された開口面を覆って周縁部を枠体40に固定されて振動可能に支持されている。
また、膜42の背面側(枠体40側)には、枠体40と膜42とに囲まれた背面空間44が形成されている。図9に示す例では、背面空間は、閉じられた閉空間である。
また、上述した例では、いずれも消音器として共鳴器を用いる構成としたがこれに限定はされない。消音器としては、多孔質吸音材等の種々の公知の消音器を用いることができる。
多孔質吸音材としては特に限定はなく、公知の多孔質吸音材を適宜利用することが可能である。例えば、発泡ウレタン、軟質ウレタンフォーム、木材、セラミックス粒子焼結材、フェノールフォーム等の発泡材料及び微小な空気を含む材料;グラスウール、ロックウール、マイクロファイバー(3M社製シンサレートなど)、フロアマット、絨毯、メルトブローン不織布、金属不織布、ポリエステル不織布、金属ウール、フェルト、インシュレーションボード並びにガラス不織布等のファイバー及び不織布類材料、木毛セメント板、シリカナノファイバーなどのナノファイバー系材料、石膏ボードなど、種々の公知の多孔質吸音材が利用可能である。
また、多孔質吸音材の流れ抵抗には特に限定はないが、1000~100000(Pa・s/m2)が好ましく、3000~80000(Pa・s/m2)がより好ましく、5000~50000(Pa・s/m2)がさらに好ましい。
多孔質吸音材の流れ抵抗は、1cm厚の多孔質吸音材の垂直入射吸音率を測定し、Mikiモデル(J. Acoust. Soc. Jpn., 11(1) pp.19-24 (1990))でフィッティングすることで評価することができる。または「ISO 9053」に従って評価してもよい。
また、異なる流れ抵抗の多孔質吸音材が複数積層されていてもよい。
また、本発明の消音器付送風機は、異なる種類の消音器を有していてもよい。
ここで、軸流ファン12は複数の羽根を有する回転翼を回転させて気体に運動エネルギーを与えて気体を軸方向に送風する。従って、軸流ファン12は、回転数および羽根の数等に起因して決まる特定の周波数で音圧が極大値となる音を発生する。以下の説明において、軸流ファン12の、回転数および羽根の数等に起因して決まる特定の周波数で音圧が極大値となる音を離散周波数音という。
具体的には、離散周波数音とは、欧州規格 ECMA-74におけるProminent discrete toneの定義のTNR(tone-to-noise ratio)、または、PR(Prominence ratio)で3dB以上の音である。
このように軸流ファン12は特定の周波数で音圧が極大値となる音を発生するため、この離散周波数音を選択的に消音する観点から、消音器としては、共鳴器を用いることが好ましい。すなわち、軸流ファン12の回転翼18に起因する、少なくとも1つの離散周波数音の周波数での周方向における音圧分布において音圧が高い位置に共鳴器を配置すればよい。また、少なくとも1つの離散周波数音の周方向における音圧分布に対して、2つ以上の音圧が高い位置それぞれに共鳴器が配置されていることが好ましい。
共鳴器は、共鳴周波数を、離散周波数音の周波数と略同じに設定することで、共鳴現象を利用して、その周波数の音(離散周波数音)を消音する。具体的には、共鳴器の共鳴周波数をf0とし、軸流ファン12の回転翼18に起因する離散周波数音の少なくとも1つの周波数をfnとすると、共鳴器の共鳴周波数f0は、0.8×fn~1.1×fnの範囲とすることが好ましく、0.85×fn~1.05×fnの範囲とすることがより好ましく、0.90×fn~0.99×fnの範囲とすることがさらに好ましく、0.90×fn~0.95×fnの範囲とすることが最も好ましい。共鳴器の共鳴周波数f0を離散周波数音の周波数よりも若干低周波側にすることで、消音効率が高くなる。また、風速によっては共鳴周波数f0と離散周波数音fnが一致していると、共鳴器による風切り音の増幅が問題となるため、その点でも若干fnとずらしたほうが望ましい。
例えば、ヘルムホルツ共鳴器30aの共鳴周波数は、ケース32に囲まれる内部空間36の容積および開口部34の面積、長さ等によって決まる。従って、ヘルムホルツ共鳴器30aのケース32の内部空間の容積および開口部34の面積、長さ等を調整することで、共鳴する音の周波数を適宜設定することができる。
また、気柱共鳴器30bの共鳴周波数は、共鳴管の長さ等によって決まる。従って、共鳴管の深さ、開口の大きさ等を調整することで、共鳴する音の周波数を適宜設定することができる。
また、膜型共鳴器30cの共鳴周波数は、膜42の大きさ(振動面の大きさ、すなわち、枠体40の開口部の大きさ)、厚み、硬さ等によって決まる。従って、膜42の大きさ、厚み、硬さ等を調整することで、共鳴する音の周波数を適宜設定することができる。
なお、共鳴器を、内部空間と、内部空間と外部とを連通する貫通孔(開口部)を有する構成とした場合に、気柱共鳴が生じる共鳴構造となるか、ヘルムホルツ共鳴が生じる共鳴構造となるかは、貫通孔の大きさ、位置、内部空間の大きさ等によって決まる。従って、これらを適宜調整することで、気柱共鳴とヘルムホルツ共鳴のいずれの共鳴構造とするかを選択できる。
気柱共鳴の場合は、開口部が狭いと音波が開口部で反射して内部空間内に音波が侵入し難くなるため、開口部がある程度広いことが好ましい。具体的には、開口部が長方形状の場合には、短辺の長さが1mm以上であるのが好ましく、3mm以上であるのがより好ましく、5mm以上であるのがさらに好ましい。開口部が円形状の場合には、直径が上記範囲であるのが好ましい。
一方、ヘルムホルツ共鳴の場合は、貫通孔において熱粘性摩擦を生じる必要があるため、ある程度狭いことが好ましい。具体的には、貫通孔が長方形状の場合には、短辺の長さが0.5mm以上20mmが好ましく、1mm以上15mm以下がより好ましく、2mm以上10mm以下がさらに好ましい。貫通孔が円形状の場合には、直径が上記範囲であるのが好ましい。
また、軸流ファン12が複数の離散周波数音を発生する場合には、消音器30は、少なくとも1つの離散周波数音を消音すればよいが、複数の離散周波数音それぞれに対して、略同じ共鳴周波数を有する共鳴器を複数有する構成としてもよい。例えば、軸流ファン12の回転翼18に起因する離散周波数音の1つの周波数をfn1とし、他の離散周波数音の周波数をfn2とすると、共鳴周波数が0.8×fn1~1.1×fn1の範囲にある共鳴器と、共鳴周波数が0.8×fn2~1.1×fn2の範囲にある共鳴器とを有する構成としてもよい。
なお、共鳴器としては、軸流ファン12の内部空間17と連通する流路を有する共鳴器を用いることが好ましい。すなわち、共鳴器としては、ヘルムホルツ共鳴器30aまたは気柱共鳴器30bを用いるのが好ましい。前述のとおり、膜型共鳴器30cの共鳴周波数は、膜42(振動面)の大きさに依存する。具体的には、膜型共鳴器30cの共鳴周波数を低い周波数に調整するためには、膜42(振動面)を大きくする必要がある。しかしながら、軸流ファン12に配置(接続)可能な大きさの範囲では共鳴周波数の難しい。一方、ヘルムホルツ共鳴器30aおよび気柱共鳴器30bの場合は、内部空間17と連通する流路(開口部)を有していればよく、その開口部自体を大きくすることなく共鳴周波数を調整できるため、例えば、共鳴周波数を低い周波数に調整した場合でも、軸流ファン12の内部空間17へ容易に接続することができる。
膜型共鳴器、ヘルムホルツ共鳴器および気柱共鳴器の枠体およびケースの材料(以下、まとめて「枠材料」という)としては、金属材料、樹脂材料、強化プラスチック材料、および、カーボンファイバ等を挙げることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、銅および、これらの合金等の金属材料を挙げることができる。また、樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、ABS樹脂(アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂)、ポリプロピレン、および、トリアセチルセルロース等の樹脂材料を挙げることができる。また、強化プラスチック材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、および、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)を挙げることができる。また、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、シリコーンゴム等ならびにこれらの架橋構造体を含むゴム類を挙げることができる。
また、枠材料として各種ハニカムコア材料を用いることもできる。ハニカムコア材料は軽量で高剛性材料として用いられているため、既製品の入手が容易である。アルミハニカムコア、FRPハニカムコア、ペーパーハニカムコア(新日本フエザーコア株式会社製、昭和飛行機工業株式会社製など)、熱可塑性樹脂(PP,PET,PE,PCなど)ハニカムコア(岐阜プラスチック工業株式会社製TECCELLなど)など様々な素材で形成されたハニカムコア材料を枠体として使用することが可能である。
また、枠材料として、空気を含む構造体、すなわち、発泡材料、中空材料、多孔質材料等を用いることもできる。多数の共鳴器を用いる場合に各セル間で通気しないためにはたとえば独立気泡の発泡材料などを用いて枠体を形成することができる。例えば、独立気泡ポリウレタン、独立気泡ポリスチレン、独立気泡ポリプロピレン、独立気泡ポリエチレン、独立気泡ゴムスポンジなど様々な素材を選ぶことができる。独立気泡体を用いることで、連続気泡体と比較すると音、水、気体等を通さず、また構造強度が大きいため、枠材料として用いるには適している。また、上述した多孔質吸音体が十分な支持性を有する場合は、枠体を多孔質吸音体のみで形成しても良く、多孔質吸音体と枠体の材料として挙げたものを、例えば混合、混錬等により組み合わせて用いても良い。このように、内部に空気を含む材料系を用いることでデバイスを軽量化することができる。また、断熱性を付与することができる。
ここで、枠材料は、高温となる位置に配置可能な点から、難燃材料より耐熱性の高い材料からなることが好ましい。耐熱性は、例えば、建築基準法施行令の第百八条の二各号を満たす時間で定義することができる。建築基準法施行令の第百八条の二各号を満たす時間が5分間以上10分間未満の場合が難燃材料であり、10分間以上20分間未満の場合が準不燃材料であり、20分間以上の場合が不燃材料である。ただし耐熱性は各分野ごとで定義されることが多い。そのため、消音器付送風機を利用する分野に合わせて、枠材料を、その分野で定義される難燃性相当以上の耐熱性を有する材料からなるものとすればよい。
枠体およびケースの肉厚(フレーム厚み)も、特に制限的ではなく、例えば、枠体の開口断面の大きさ等に応じて設定することができる。
膜42の材料としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、パーマロイ、42アロイ、コバール、ニクロム、銅、ベリリウム、リン青銅、黄銅、洋白、錫、亜鉛、鉄、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、パラジウム、鋼鉄、タングステン、鉛、および、イリジウム等の各種金属;PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PMP(ポリメチルペンテン)、COP(シクロオレフィンポリマー)、ゼオノア、ポリカーボネート、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PAR(ポリアリレート)、アラミド、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルフォン)、ナイロン、PEs(ポリエステル)、COC(環状オレフィン・コポリマー)、ジアセチルセルロース、ニトロセルロース、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリアミドイミド、POM(ポリオキシメチレン)、PEI(ポリエーテルイミド)、ポリロタキサン(スライドリングマテリアルなど)および、ポリイミド等の樹脂材料等が利用可能である。さらに、薄膜ガラスなどのガラス材料、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)およびGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)のような繊維強化プラスチック材料を用いることもできる。また、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、EPDM、シリコーンゴム等ならびにこれらの架橋構造体を含むゴム類を用いることができる。または、それらを組合せたものでもよい。
また、金属材料を用いる場合には、錆びの抑制等の観点から、表面に金属めっきを施してもよい。
熱、紫外線、外部振動等に対する耐久性が優れている観点から、耐久性を要求される用途においては膜42の材料として金属材料を用いることが好ましい。
また、枠体への膜の固定方法は特に制限的ではなく、両面テープまたは接着剤を用いる方法、ネジ止め等の機械的固定方法、圧着等が適宜利用可能である。固定方法についても、枠材料および膜と同様に耐熱、耐久性、耐水性の観点から選択することができる。例えば、接着剤としては、セメダイン社「スーパーX」シリーズ、スリーボンド社「3700シリーズ(耐熱)」、太陽金網株式会社製耐熱エポキシ系接着剤「Duralcoシリーズ」などを選択することができる。また、両面テープとしては、スリーエム製高耐熱両面粘着テープ9077などを選択することができる。このように、要求する特性に対して様々な固定方法を選択することができる。
膜42の厚みは、100μm未満が好ましく、70μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。なお、膜42の厚みが一様でない場合には、平均値が上記範囲であればよい。一方で、膜の厚みが薄すぎると取り扱いが難しくなる。膜厚は1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。
膜42のヤング率は、1000Pa~1000GPaであることが好ましく、10000Pa~500GPaであることがより好ましく、1MPa~300GPaであることが最も好ましい。
膜42の密度は、10kg/m3~30000kg/m3であることが好ましく、100kg/m3~20000kg/m3であることがより好ましく、500kg/m3~10000kg/m3であることが最も好ましい。
また、膜型共鳴器において、背面空間44の厚みは、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。なお、背面空間の厚みが一様でない場合には、平均値が上記範囲であればよい。
なお、消音器(共鳴器)を軸流ファンのケーシングに取り付ける方法には特に限定はなく、接着剤、粘着剤、両面テープ等を用いる方法、ネジ止め等の機械的方法など公知の固定方法が適宜利用可能である。
また、各共鳴器は、さらに共鳴器の空間内に多孔質吸音材を有する構成としてもよい。例えば、膜型共鳴器30cの背面空間44内に多孔質吸音材を有する構成としてもよい。また、ヘルムホルツ共鳴器30aの内部空間36内に多孔質吸音材を有する構成としてもよい。共鳴器が多孔質吸音材を有する構成とすることで、共鳴器が選択的に消音する卓越音以外の周波数の音を広帯域に消音することができる。
また、図9に示す例では、膜型共鳴器30cの背面空間44は、枠体40と膜42とに完全に囲まれた閉空間としたが、これに限定はされず、空気の流れが阻害されるように空間がほぼ仕切られていればよく、完全な閉空間の他に、膜42、あるいは、枠体40に一部開口を有していても良い。このような一部に開口を有する形態は、温度変化により背面空間内の気体が膨張あるいは収縮して膜42に張力が付加されて膜42の硬さが変化することで吸音特性が変化することを防ぐことができる点で好ましい。
膜42に貫通孔を形成することで、空気伝搬音による伝搬が生じる。これによって膜42の音響インピーダンスが変化する。また、貫通孔によって膜42の質量が減少する。これらによって、膜型共鳴器30cの共鳴周波数をコントロールすることができる。貫通孔が形成される位置については特に限定はない。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[軸流ファン]
軸流ファンとしてSan Ace 60(山洋電気株式会社製 Model:9GA0624P1G03)を準備した。この軸流ファンはケーシングの外形が60mm×60mm、厚さ38mmであり、固定翼の羽根枚数が5枚、回転翼の羽根枚数は7枚である。この軸流ファンに、定格電流を与えると1.8kH付近にファンピーク音(離散周波数音)の基本モードが現れる。
[軸流ファンの周方向の音圧分布]
上記軸流ファンの内部空間における周方向の音圧分布を以下のようにして測定した。
マイクロフォン(4152N,株式会社アコー製)の先端に、特注のプローブ(穴径1.5mm,外径2.5mm,筒長さ50mm)を取り付けてプローブマイクPBを作製した。軸流ファンを動作させた状態で、作製したプローブマイクPBを、図5に示すように軸流ファンの固定翼開口部内差し込んで、周方向、および、軸方向に走査して音圧を測定した。初期位置は、周方向を固定翼近傍とし、軸方向を回転翼から1mm離れた位置として、周方向に1mm間隔で動かし、周方向にスキャンし、周方向のスキャンが完了したら、軸方向手前側(回転翼とは反対側)に1mm動かし、再度、周方向のスキャンを行って、各測定点での音圧を測定した。このように周方向および軸方向の移動を繰り返して固定翼開口部内の音圧を測定した。各点の測定においてノイズを低減するため、計測を5回連続で行いその平均値を音圧として採用した。測定される音圧の周波数依存性の例を図10に示す。
図10から、軸流ファンの内部空間であっても、軸流ファンの離散周波数音である1.8kHzとその2倍波を明確に測定することができることがわかる。このようにして、強風下での音圧分布を測定した。
各測定点での基本離散周波数音の音圧を抜き出し、音圧を各測定位置にプロットすることで、離散周波数(1.8kHz)における音圧の空間分布を示した(図6)。なお、離散周波数音の音圧は、周辺の音圧をバックグラウンドとなる風切り音による音圧とみなして除去して、離散周波数音の音圧を求めた。
図6中ファン内部と示したエリアが固定翼開口部内であり、周方向の両端に固定翼の羽根が存在していた。図6から、軸流ファンの周方向に、30dBにわたる音圧の疎密分布があることが分かった。固定翼の近傍で音圧が大きく、固定翼開口部の中央付近で音圧が小さくなっていた。このようにして、軸流ファンの内部空間の周方向の音圧分布を実測で決定した。
[実施例1]
上記測定結果に従って、軸流ファンの周方向の音圧の高い位置(固定翼近傍(周方向、軸方向)=(3mm,13mm))に気柱共鳴器を接続した。なお、この位置は、周方向の音圧分布における音圧の最大値Pmaxと、最小値Pminに対して、Pmax-0.4×(Pmax-Pmin)以上となる位置である。軸流ファンは、固定翼の羽根枚数が5枚であるため、固定翼開口部も5か所ある。従って、5か所の固定翼開口部それぞれに気柱共鳴器を1つずつ接続した。
ケーシングには、図11のCADモデルで示したように、気柱共鳴を差し込む部位に、直径10mmの開口(貫通孔)をあけた。
消音器として、塩ビ製の片側閉管の気柱共鳴管器(外径10mm,内径6mm,内側長さ(共鳴管長さ)48mm)を用いた。この気柱共鳴器の共鳴周波数は、1670Hzである。この気柱共鳴器をケーシングの各貫通孔に差し込むことで、5本の気柱共鳴器を有する消音器付送風機を作製した。気柱共鳴器の端部は軸流ファンの内部空間にはみ出さないよう調整した。ファン内部にはみ出した状態では、気柱共鳴器の角部に風が当たって風切り音が発生しやすいため、風路を遮らないことが望ましい。
[比較例1]
比較例1は、上記軸流ファン単体とした。すなわち、消音器を有さない構成とした。
[比較例2]
上記測定結果に従って、軸流ファンの周方向の音圧の低い位置(固定翼近傍(周方向、軸方向)=(12mm,13mm))に実施例1で用いた気柱共鳴器と同一の気柱共鳴器を接続し消音器付送風機を作製した。なお、この位置は、周方向の音圧分布における音圧の最大値Pmaxと、最小値Pminに対して、Pmax+0.4×(Pmax-Pmin)以上となる位置である。実施例1と同様に、5か所の固定翼開口部それぞれに気柱共鳴器を1つずつ接続した。
[評価]
作製した実施例および比較例の消音器付送風機(比較例1は軸流ファン単体)の騒音量を測定した。
図12に示すように、前後2面の空いた1m角の箱を厚み10mmアクリル板で作製し、内側面全面に厚み10cmの吸音ウレタン(図示省略)を貼り付けて、測定用箱100を作製した。この測定用箱100の中心に、台座102を用いて消音器付送風機10を配置した。軸流ファンにより発生する気流の向きを測定用箱100の開放面に合わせて配置した。軸流ファンから軸方向の排気側に1m、鉛直方向上側に0.5m離れた位置にマイクロフォンMP1(4152N、株式会社アコー製)を配置し、軸方向の排気側に1m、水平方向に0.5m離れた位置にマイクロフォンMP2(4152N、株式会社アコー製)を配置した。
ファンを動作させて、2本のマイクロフォンで測定した音圧の平均値を用いて騒音量を評価した。結果を図13および図14に示す。
図13の実施例1と比較例1との対比から、共鳴周波数付近である約1.80kHzの離散周波数音に対して大きな消音効果(約20dB)を得られることがわかる。さらにより高次の2次離散周波数音も消音する効果を得られることがわかる。すなわち、共鳴器の共鳴周波数付近の周波数だけでなく、さらに高次の周波数においても消音効果が得られることがわかり、軸流ファンの消音に有利な特異な効果を示すことがわかった。よって、軸流ファンの周方向おいて音圧の高い位置に共鳴器を接続することで、高風量ファンに対して高い消音効果を得ることができた。
また、実施例1の消音器付送風機は、元の軸流ファン(比較例1)と比較して、風速、風量に変化がないことを確かめた。
図14の比較例1と比較例2との対比から、比較例2は、実施例1と同一の消音器を用いたにもかかわらず、離散周波数音は消音せず、むしろ約1dB増幅していることがわかる。すなわち、軸流ファンの周方向おいて音圧の低い位置に共鳴器を接続した場合には、消音効果が得られないだけでなく、音を増幅してしまうことがわかる。また、比較例2の構成の場合には、高次の離散周波数音の消音効果もないことがわかる。また、気柱共鳴器の共鳴周波数近傍の周波数で増幅される音(主に風切り音成分)の増幅量が、実施例1と比較して大きくなっていることがわかる。
以上、同一の共鳴器を用いても、軸流ファンの周方向の接続位置によって、消音効果が異なり、共鳴器を周方向の音圧が高い位置に接続することで高い消音効果を得られ、共鳴器を音圧が低い位置に接続すると消音効果を得ることができないことがわかる。従って、軸流ファンの周方向のすべての位置に消音器を配置すると音が増幅する位置も含むため、高い消音効果を得ることができないことがわかる。
[実施例2]
実施例1で用いた気柱共鳴器に代えて、開口部が共鳴管に対して90°折り曲がった位置にある、L字状の気柱共鳴器(ABS樹脂製,片側閉管構造、流路長さ(共鳴管長さ)48mm)を用いた。この気柱共鳴器の共鳴周波数は、1790Hzである。共鳴管の延在方向が軸方向となるようにして気柱共鳴器を軸流ファンのケーシングの貫通孔に取り付けた。ケーシングは、実施例1と同様のため、気柱共鳴器は、軸流ファンの周方向の音圧の高い位置(固定翼近傍(周方向、軸方向)=(3mm,13mm))に接続される。
気柱共鳴器をL字状の気柱共鳴器として共鳴管の延在方向が軸方向となるようにして軸流ファンに取り付けることで、軸方向から見た消音器付送風機全体の面積を実施例1より小さくコンパクトにすることができる。
[評価]
上記と同様の方法で騒音量を測定した。結果を図15に示す。実施例1よりファンに投入する電流値を大きくし、より高速高風量で行った。
図15の実施例1と比較例1との対比から、共鳴周波数付近である約1.9kHzの離散周波数音に対して大きな消音効果を得られることがわかる。さらにより高次の2次および3次の離散周波数音も消音する効果を得られることがわかる。よって、サイズをコンパクトにしたL字状の気柱共鳴器でも消音効果を示すことがわかる。
また、実施例2の消音器付送風機は、元の軸流ファン(比較例1)と比較して、風速、風量に変化がないことを確かめた。
[実施例3]
消音器として膜型共鳴器を有する消音器付送風機を以下のようにして作製した。
枠体として直径15mmの開口を有し高さ8mmの円形の枠体(材質:アクリル、フレーム厚2.5mm)を作製した。厚み50μmのPETフィルムの膜として、枠体の開口に両面テープで固定して膜型共鳴器を作製した。
元の軸流ファンのケーシングの内壁は湾曲しているため、膜型共鳴器を取り付けるケーシングとして、フラットな面を有するケーシングを作製した。図16にケーシング16および取り付ける膜型共鳴器30cの3Dモデルの図を示す。膜型共鳴器の接続位置は実施例1に対応する固定翼近傍とした。
元の軸流ファンからケーシングを取り外して作製したケーシングを取り付け、このケーシングに膜型共鳴器を取り付けて消音器付送風機を作製した。
[比較例3]
実施例3のケーシングと同じ構造で膜型共鳴器を接続する開口を有さないケーシングを作製して、元の軸流ファンからケーシングを取り外して作製したケーシングを取り付けて軸流ファンを作製した。
比較例3は、ケーシングの形状を変更したため、元の軸流ファン(比較例1)と同じ回転数で、比較例1に対して風速が10%落ちていた。
[評価]
実施例3および比較例3について、上記と同様の方法で騒音量を測定した。結果を図17に示す。
図17の実施例3と比較例3との対比から、離散周波数音に対して大きな消音効果を得られることがわかる。さらにより高次の2次の離散周波数音も消音する効果を得られることがわかる。
[シミュレーション1]
以下、シミュレーションによって、固定翼と回転翼の羽根枚数の差と、軸流ファンの周方向の音圧分布との関係について検討を行った。シミュレーションには、有限要素法計算ソフトCOMSOL MultiPhysics(ver.5.3, COMSOL Inc.)を用いた。
図18に示すような、軸流ファンの内部空間のモデルを作成し、音源をファンの位相を再現するように設定した。上述の実施例で用いた軸流ファンに合わせて、固定翼5枚、回転翼7枚とした。
このモデルを用いて、軸流ファンの内部空間における音圧分布をシミュレーションによって算出した。図19に軸方向が固定翼の位置での音圧分布の計算結果を示す。固定翼(図19中白抜け部)の周辺は音圧が大きく、固定翼開口部の中央付近は音圧が低いことがわかる。この結果は、図6の測定結果の傾向とよく一致している。また、図19の黒点線部の音圧分布を実測値と比較したグラフを図20に示す。図20から、このシミュレーションは実測値と定量的にもよく一致することがわかる。
このシミュレーションにおいて、固定翼の枚数と形状を同一にして、回転翼の羽根枚数が3枚、5枚、9枚の場合のモデルを作成して、それぞれ軸流ファンの内部空間の音圧分布を計算した。回転翼の羽根枚数が3枚の場合の結果を図21に示し、5枚の場合の結果を図22に示し、9枚の場合の結果を図23に示す。いずれの図も表示のレンジは20dBとした。
図19および図21~図23の対比から、固定翼開口部において音圧が高い位置と低い位置との差が大きくなるのは、回転翼の羽根枚数が固定翼の羽根枚数と同じ5枚以上の場合であり、回転翼の羽根枚数が増えるほど、音圧の差が大きくなることがわかる。音圧が高い位置にのみに消音器を接続して効果が現れやすいのは音圧の差が大きい場合であると考えられるため、回転翼の羽根枚数が固定翼の羽根枚数以上であることが望ましいことがわかる。ただし、回転翼の羽根枚数が3枚の場合でも固定翼の近傍で音圧が高くなっているため、回転翼の羽根枚数が固定翼の羽根枚数より少ない場合でも、適切に位置を選択すれば消音効果を得ることはできる。
COMSOLを用いたシミュレーションモデルにおいて、実施例1と同じ位置に気柱共鳴器を取り付けたモデルを作成した。気柱共鳴器の長さを44mmから48mmまで1mmずつ変えて、とりつけた共鳴器の共鳴周波数と、システム(消音器付送風機)における消音周波数の計算を行った。結果を図24に四角印で示した。この二つの周波数の関係は直線で近似可能で、消音周波数=共鳴周波数×1.08、すなわち、共鳴周波数=消音周波数×0.926という関係が成立することが分かった。
実施例1を含み、長さが異なる3水準の気柱共鳴器をそれぞれ用いて、実施例1と同様にファンの消音効果の実測を行った。結果を図24に丸印で示した。図24から実測結果は、計算結果と最大でも誤差1.2%であった。
よって、実測においても計算においても、消音条件において共鳴器の共鳴周波数は、消音周波数より低周波側に存在し、周波数比率が約0.93である場合が最も望ましいとわかった。
ここで、共鳴器の共鳴周波数の決め方について、計算においては消音周波数付近で放射音量が極大となる周波数として決定することができる。
実測においては、例えばファンへの投入電流量を変化させて回転数と風量を変化させて音響測定を行う。いずれかの電流量水準において、共鳴器による風切り音の増幅をメカニズムとして、音が増幅されて音圧極大値となる同じ周波数帯域が消音周波数付近に存在する。この音圧極大値となる周波数を、共鳴器の共鳴周波数として決定できる。
以上の結果より本発明の効果は明らかである。
10 消音器付送風機
12 軸流ファン
14 モータ
15 貫通孔
16 ケーシング
16a 支持部
16b 外枠部
16c カバー部
16d 固定翼
16e 孔
17 内部空間
18 回転翼
20 軸部
22 羽根
30 消音器
30a ヘルムホルツ共鳴器
30b 気柱共鳴器
30c 膜型共鳴器
32 ケース
34 開口部
36 内部空間
40 枠体
42 膜
44 背面空間
100 測定用箱
102 台座
PB プローブ
MP1 マイクロフォン
MP2 マイクロフォン

Claims (8)

  1. 一方向に貫通する内部空間を有するケーシング、前記ケーシングの内部空間内に配置される回転翼を有する軸流ファンと、
    前記軸流ファンの前記内部空間に接続される位置に配置される消音器と、を有し、
    前記消音器が共鳴器であり、
    前記軸流ファンが固定翼を有し、
    前記回転翼の羽根枚数が、前記固定翼の羽根枚数以上であり、
    前記軸流ファンは、駆動時に前記内部空間内において、周方向に音圧が高い位置と音圧が低い位置とを有する音圧分布を有し、
    少なくとも1つの前記消音器が、前記固定翼から、前記固定翼間の距離の25%以内の位置に配置され、
    前記消音器は、前記固定翼の間の固定翼開口部内における周方向の音圧分布において、周方向の音圧が高い位置に接続され、音圧が低い位置には接続されない消音器付送風機。
  2. 前記共鳴器が、前記軸流ファンの前記内部空間と連通する流路を有する請求項1に記載の消音器付送風機。
  3. 前記共鳴器の共鳴周波数をf0とし、前記軸流ファンの前記回転翼に起因する離散周波数音の少なくとも1つの周波数をfnとすると、前記共鳴器の共鳴周波数f0は、0.8×fn~1.1×fnの範囲にある請求項1または2に記載の消音器付送風機。
  4. 前記共鳴器の共鳴周波数をf0とし、前記軸流ファンの前記回転翼に起因する離散周波数音の少なくとも1つの周波数をfnとすると、前記共鳴器の共鳴周波数f0は、0.9×fn~0.95×fnの範囲にある請求項3に記載の消音器付送風機。
  5. 2以上の前記離散周波数音それぞれに対して、共鳴周波数f0が、0.8×fn~1.1×fnの範囲にある共鳴器を有する請求項3または4に記載の消音器付送風機。
  6. 前記消音器は、前記軸流ファンの軸方向から見た際に、前記回転翼が回転して形成する領域とは重複しない位置に配置される請求項1~5のいずれか一項に記載の消音器付送風機。
  7. 前記軸流ファンの前記回転翼に起因する、少なくとも1つの離散周波数音の周方向における音圧分布に対して、2つ以上の音圧が高い位置それぞれに前記消音器が配置されている請求項1~6のいずれか一項に記載の消音器付送風機。
  8. 全ての前記固定翼開口部内に、前記消音器が配置されている請求項1~7のいずれか一項に記載の消音器付送風機。
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