JP7433560B1 - 目標軌跡推定装置及び目標軌跡推定方法 - Google Patents

目標軌跡推定装置及び目標軌跡推定方法 Download PDF

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Abstract

目標軌跡推定装置は、物体目標(100)からの到来電波を受信した複数の方位センサ(10)それぞれにより得られる方位測定値を示す方位情報、及び当該方位情報が示す方位測定値に付随する、あるいは、一様に設定される方位測定誤差を示す方位測定誤差情報を読み込む方位情報読込部(41)と、複数の方位センサ(10)それぞれが物体目標(100)を観測した時間を時系列順に複数の時間領域に分割し、方位情報読込部(41)が読み込む方位情報を分割された時間領域毎に分割する時間領域分割部(43)と、時間領域分割部(43)により分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が示す位置が一点に集中しているか、あるいは、位置と速度からなる状態ベクトルの周辺に集中するかを基に、当該方位測定値が異常値を示すか否かを判定し、異常値と判定した方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定し、異常値でないと判定した方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度をそのままに再設定する異常値判定部(44)と、時間領域分割部(43)により分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値と当該方位測定値に付随する再設定された方位測定誤差を用いて物体目標(100)に対する各時間領域における測位値を推定する測位処理部(45)と、測位処理部(45)により推定された時間領域毎の測位値を時系列につなげて物体目標(100)の軌跡を示す物体軌跡情報を出力する出力部(46)と、を備える。

Description

本開示は、目標の測位値を測定する目標軌跡推定装置及び目標軌跡推定方法に関する。
複数のレーダセンサなどのアクティブセンサ又は電波センサなどのパッシブセンサによる方位測定値に基づき、飛行機などの目標の軌跡を推定する目標軌跡推定装置では、複数の方位測定値それぞれの信頼度に基づいて方位測定誤差を設定することで、重みを付けた測位値を計算する技術が存在する。
例えば、複数の非同期センサの異なる方位測定誤差に基づいて、MAP(Maximum A Posteriori)推定で方位測定時刻の違いを反映しながら目標の位置と速度、及び、その精度を推定する方法がある。
また、目標軌跡推定装置において、目標を測位する測位処理時の異常値判定を行う方法が、例えば、特許文献1に示されている。
特許文献1に示された目標軌跡推定装置は、複数のセンサから選択されるセンサ組毎の測位精度を表す指標であるDOP(Dilution Of Precision)を計算して、優先的に測位処理に使用するセンサを設定している。
特開2016-61705号公報
特許文献1に示された目標追尾装置は、複数のセンサが目標に対して同じ方位を示すような位置に存在している場合、DOPは測位精度の劣化とともに低下する性質を持つため、測位処理時の良好な異常値判定を行うことができる。
ところで、センサ組における特定のセンサがマルチパス環境下にあると、異常値を多く含む場合があり、誤った測位処理を行ってしまう恐れがある。
本開示は上記した点に鑑みてなされたものであり、特定のセンサがマルチパス環境下にあったとしても、マルチパス環境下での目標の測位値を精度高く推定でき、物体の軌跡推定が向上した目標軌跡推定装置を得ることを目的とする。
本開示に係る目標軌跡推定装置は、目標からの到来電波を受信した複数の方位センサそれぞれにより得られる方位測定値を示す方位情報、及び当該方位情報が示す方位測定値に付随する方位測定誤差情報を読み込む方位情報読込部と、複数の方位センサそれぞれが目標を観測した時間を時系列順に複数の時間領域に分割し、方位情報読込部が読み込む方位情報を分割された時間領域毎に分割する時間領域分割部と、時間領域分割部により分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が異常値を示すか否かを判定し、異常値と判定した方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定し、異常値でないと判定した方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度をそのままに再設定する異常値判定部と、時間領域分割部により分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値と当該方位測定値に付随する再設定された方位測定誤差を用いて目標に対する各時間領域における測位値を推定する測位処理部と、測位処理部により推定された時間領域毎の測位値を時系列につなげて目標の軌跡を示す物体軌跡情報を出力する出力部と、を備える。
本開示によれば、特定の方位センサが例えマルチパス環境下にあったとしても、目標の測位値を精度高く推定でき、目標の実際の軌跡(真値)により近い軌跡推定を行うことができる。
実施の形態1に係る目標軌跡推定装置を含む目標軌跡推定システムの概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る目標軌跡推定装置において、時間領域で分割された複数の方位センサの方位測定値を示す図である。 実施の形態1に係る目標軌跡推定装置において、複数の方位センサの方位測定値を空間的に示す図である。 実施の形態1に係る目標軌跡推定装置において、測位ゲート判定の対象である方位測定値内の正常値と異常値を示す図である。 実施の形態1に係る目標軌跡推定装置において、測位ゲート判定の異常値判定方法と使用するゲートを示す図である。 実施の形態1に係る目標軌跡推定装置において、異常値判定の手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る目標軌跡推定装置のハードウェア構成例の概略を示す機能ブロック図である。 実施の形態2に係る目標軌跡推定装置の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る目標軌跡推定装置において、時間順方向のカルマンフィルタを用いた異常値判定から追尾処理の手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態2における目標軌跡推定装置において、時間逆方向のカルマンフィルタを用いた異常値判定から追尾処理の手順の一例を示すフローチャートである。
実施の形態1.
実施の形態1に係る目標軌跡推定装置を図1から図7を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る目標軌跡推定装置を含む目標軌跡推定システムの概略構成を示すブロック図である。
目標軌跡推定システムは、図1に示すように、複数の方位センサ10~10と複数の方位測定部20~20と記憶装置30と目標軌跡推定装置40と出力装置50を備える。
実施の形態1に係る目標軌跡推定装置40は、複数の方位センサ10~10の方位測定値のみを使用し、例えば、距離データを取得せずに位置を測定し、飛行機などの目標の軌跡を推定する。
方位センサ10及び方位測定部20に付した添え字Nについて、個別に説明する必要がない場合は、説明の煩雑さを避けるため、添え字を付さずに、以下説明する。
複数(N個)の方位センサ10は連接して配設され、飛行機などの目標100からの信号を受信し、その方位情報を得る。
各方位センサ10は、目標100から送信される電波を受信する電波センサなどのパッシブセンサである。
複数の方位センサ10はそれぞれ同じ構成である。
なお、各方位センサ10は信号を出力して目標100に当たり反射した信号を受信するレーダセンサなどのアクティブセンサでもよい。
また、各方位センサ10は、目標100から発せられる音波又は熱等の物理量を感知、受信し、目標100の方向を推定できるセンサであってもよい。
各方位センサ10の測定誤差は各方位センサ10それぞれによって異なっていてもよく、また、測定時刻によって異なっていてもよい。
複数(N個)の方位測定部20それぞれは対応の方位センサ10が受信した受信信号をもとに方位を測定し、測定結果を、方位測定値を示す方位情報として出力する。
複数の方位測定部20それぞれは、連接しているN個の方位センサ10それぞれの対応した受信信号を解析して、目標100からの到来電波の到来方位(θ、φ)を方位測定値として測定する。
また、複数の方位測定部20それぞれは、方位測定値に付随する情報としてその測定時刻tと、対応する方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を方位測定値(θ、φ)に紐づけして方位測定値を示す方位情報として出力する。方位情報はデジタル情報である。
なお、kは方位測定値番号であり、測定時刻tを特定するための1~K(>1)の整数である。
方位測定値番号kは複数(N個)の方位センサ10が目標100を観測する間の非同期の方位測定値全てに対して時系列順に付した番号であり、K個あるとする。
また、位置情報において、x、y、zはx座標、y座標、z座標を示し、rは方位センサ10を特定するための1~Nの整数である。
複数の方位測定部20それぞれは、対応する方位センサ10のアンテナ構成及びSNR(信号対雑音比:signal-to-noise ratio)から分析される非マルチパス環境の方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を方位測定誤差情報として出力する。方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)は対応する方位測定値(θ、φ)に付随する。方位測定誤差情報はデジタル情報である。
すなわち、複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測する間、複数の方位センサ10それぞれが時系列順に目標100からの到来電波をK個受信し、複数の方位測定部20が目標100に対するK個の方位測定値(θ、φ)及び方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を得る。
記憶装置30は複数(N個)の方位測定部20それぞれからの方位情報を記憶部31に記憶する。
記憶装置30は、複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測する間に、時系列順に送られてくる複数の方位測定部20それぞれからの、方位測定値(θ、φ)を示す方位情報及び方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を示す方位測定誤差情報を記憶部310に蓄積し、目標軌跡推定時に記憶された方位情報及び方位測定誤差情報を出力する。
目標軌跡推定装置40は、複数の方位センサ10が受信した方位情報による方位測定値(θ、φ)及び再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )と代表時刻tに基づき、飛行機などの目標100の軌跡を推定する。
目標軌跡推定装置40は、特に、複数の方位センサ10の内の一部の方位センサ10が目標100の方位を示さない環境、いわゆるマルチパス環境下であっても、目標100の軌跡を高精度に推定できる確率が高い装置である。
目標軌跡推定装置40は、記憶装置30に蓄積された複数の方位測定部20からのK個の方位情報が示す方位測定値(θ、φ)及び方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )と測定時刻tを取得し、複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測した時間を時系列順に分割した複数の時間領域m毎に代表時刻tの測位値xを算出し、時系列順の代表時刻tの測位値xをつなげた目標100の軌跡を推定し、物体軌跡情報として出力する。
目標軌跡推定装置40は、複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測する間に、一定の時間領域の方位測定値を基に軌跡を推定するリカーシブ型の処理を行ない、物体軌跡情報を得る。
出力装置50は目標軌跡推定装置40からの物体軌跡情報から得た目標100の推定軌跡を表示する。
目標軌跡推定装置40は、方位情報読込部41と誤差設定部42と時間領域分割部43と異常値判定部44と測位処理部45と出力部46とを備える。
方位情報読込部41は記憶装置30に記憶された複数の方位測定部20からの方位測定値(θ、φ)を示す方位情報、及び記憶装置30に記憶された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を示す方位測定誤差情報(σθ,k、σφ,k)を読み込む。
方位情報読込部41は、併せて記憶装置30に記憶された方位測定値(θ、φ)に付随する方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )と測定時刻tを読み込む。
方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を示す方位測定誤差情報を、複数の方位測定部20それぞれが得ず、記憶装置30に記憶されていない場合は、誤差設定部42が、方位情報読込部41に読み込まれた複数の方位測定部20からの方位情報が示す方位測定値に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を一様に設定する。
誤差設定部42により設定された方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)が方位情報読込部41に読み込まれる。
複数の方位測定部20それぞれが方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を示す方位測定誤差情報を出力する場合は、複数の方位測定部20それぞれが誤差設定部42としての機能を果たす。
方位情報読込部41は、複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測した時間の、記憶装置30に蓄積された複数の方位測定部20からの方位測定値(θ、φ)を示す方位情報と、方位測定値(θ、φ)に付随し紐づけされた測定時刻t及び各方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を示す方位情報を読み込む。
この時、複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測した時間の、記憶装置30に蓄積された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を示す方位測定誤差情報、あるいは、誤差設定部42により一様に設定された方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)も合わせて読み込む。
時間領域分割部43は方位情報読込部41に読み込まれた複数の方位測定部20からの方位測定値(θ、φ)を示す方位情報を設定した時間領域ごとに分割する。設定した時間領域は短時間の時間領域である。
時間領域分割部43は複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測した時間を時系列順に複数の時間領域に分割し、方位情報読込部41が読み込む方位情報を分割した時間領域毎に分割する。
時間領域分割部43は、設定した一定の時間間隔によって、測定時刻tをもとに複数の方位センサ10が受信した目標100からの電波に基づき方位情報読込部41に読み込まれ、記憶装置30に蓄積された方位測定値(θ、φ)と方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と測定時刻t及び各方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を示す方位情報をM個に分割する。
M個に分割した各時間領域をm、各時間領域mの代表時刻をtとする。
また、時間領域mにおいて、各方位センサ10が受信した目標100からの電波に対する方位情報及び方位測定誤差情報に時系列に付す方位測定値番号kのうち、最初の方位測定値番号をkm,s、最後の方位測定値番号をkm,eとする。
例えば、方位センサ10が目標100を観測する間に測定したK個の方位測定値(θ、φ)を示す方位情報を時系列順に等間隔の時間間隔によりM個の方位情報に分割し、m番目に分割された方位情報の内の最初の方位情報に対してkm,sの方位測定値番号を付し、最後の方位情報に対してkm,eの方位測定値番号を付すことを意味している。
方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )及び方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を示す方位測定誤差情報は、方位測定値(θ、φ)が時系列順に等間隔にM個に分割されたとしても、対応する方位測定値(θ、φ)に付随する。
今、方位センサ10が4個の場合について、時間領域分割部43によって方位測定値を示す方位情報を時系列順に時間間隔W1によって等間隔にM個の時間領域mに分割する一例を、図2を用いて説明する。
図2において、θ(s1)は第1の方位センサ10が受信した電波による方位情報の方位測定値θ、θ(s4)は第4の方位センサ10が受信した電波による方位情報の方位測定値θを示し、1~Mは1番目の時間領域からM番目の時間領域を示している。
また、代表的に、k1,sは時間領域1における第1の方位センサ10が受信した電波による最初の方位情報の方位測定値θ、k1,eは時間領域1における第4の方位センサ10が受信した電波による最後の方位情報の方位測定値θ、kM,sは時間領域Mにおける第4の方位センサ10による最初の方位情報の方位測定値θ、kM,eは時間領域Mにおける第4の方位センサ10が受信した電波による最後の方位情報の方位測定値θを示している。
このように、時間領域分割部43は各方位センサ10が受信した電波による方位測定値(θ、φ)を示す方位情報を時系列順に時間間隔W1によって等間隔にM個の時間領域mに分割し、方位センサ10毎に、しかもK個の方位測定値(θ、φ)を時間領域m毎に時系列に分割する。
なお、1つの方位センサ10に対する1つの時間領域mに、図2に示すように、複数の方位測定値(θ、φ)が存在していてもよく、また、方位測定値(θ、φ)が存在していない、もしくは1つの方位測定値(θ、φ)が存在する時間領域mがあってもよい。
異常値判定部44は、時間領域分割部43が設定した時間領域m毎に分割した方位測定値(θ、φ)を、設定した時間領域m毎に存在する方位測定値(θ、φ)の異常を判定し、判定した異常の度合いに基づいた信頼度を設定し、信頼度情報を得る。
異常値判定部44は、時間領域分割部43が設定した時間領域m毎に存在する方位測定値(θ、φ)が異常値を示すか否かの判定を実施し、異常値であると判定した方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を設定し直し、測位値を算出する測位処理において、異常値と判定した方位測定値(θ、φ)の信頼度を下げ、異常値と判定した方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる処理を行なう。
一方、異常値判定部44は、方位測定値(θ、φ)が異常値でないと判定した方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)はそのままとし、測位値を算出する測位処理において、異常値でないと判定した方位測定値(θ、φ)の信頼度をそのままとし、異常値と判定した方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度をそのままとする。
なお、測位値を算出する測位処理は一般に知られている処理でよい。
異常値判定部44は、時間領域分割部43が分割した時間領域m毎に、時間領域mに存在する方位測定値(θ、φ)が目標100の方位を示すか否かを判定し、方位測定値(θ、φ)が目標100の方位を示さないと、方位測定値(θ、φ)を異常値と判定し、異常値と判定した方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を設定し直し、結果として、異常値と判定した方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる処理を行う。
異常値判定部44は、方位測定値(θ、φ)が異常値でないと判定した方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)はそのままとし、異常値でないと判定した方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度はそのままとする。
要するに、異常値判定部44は、時間領域分割部43が分割した時間領域m毎に、時間領域mに存在する方位測定値(θ、φ)が異常値を示すか否かを判定し、異常値と判定した方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を当該方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定し、異常値でないと判定した方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差を当該方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度をそのままに再設定する。
測位処理部45は、時間領域分割部43が分割した時間領域m毎に、方位情報が示す方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する異常値判定部44により再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と測定時刻tと方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を用いて測位値を算出する測位処理を行い、時間領域mにおける目標100に対する測位値を得、時間領域mにおける目標100の測位値を示す目標位置情報を得る。
測位処理部45は、時間領域分割部43が分割した時間領域m毎に、時間領域mに存在する最初の方位測定値番号を示すkm,sから最後の方位測定値番号を示すkm,eまでの方位測定値番号kで定められる複数の方位測定値(θ、φ)、及び複数の方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)、測定時刻t、方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を用いて測位値xを算出する測位処理を行い、時間領域mを代表する代表時刻tにおける状態としての測位値xを得る。
なお、測位値xを算出する測位処理は一般に知られている処理でよい。
今、N個の方位センサ10から目標100の測位値xを得る方位センサ10として4個を用いた場合について、時間領域Mでの測位値xを得る概念を、図3を用いて説明する。方位センサ10の数は4個に限られるものではない。
図3において、S1~S4は第1の方位センサ10から第4の方位センサ10を示し、第1の方位センサS1から第4の方位センサS4それぞれから伸びている線分d1から線分d4が時間領域Mに存在する第1の方位センサS1から第4の方位センサ10それぞれの方位測定値θを示す。xM,trueは時間領域Mにおける目標100の位置を示す。
すなわち、方位測定値θが真値xM,trueを示すもしくは真値xM,trueに近い値を示す場合は正常値である。
図3において、線分d4が時間領域Mにおける目標100の方位(真値xM,true)を示す正常値であるのに対し、線分d1はマルチパス環境によって目標100の方位(位置)を示さない異常値である。
図3に示す状態において、異常値判定部44は、第1の方位センサ10が受信した電波による方位測定値(θ、φ)を異常値であると判定し、異常値であると判定した方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を設定し直して異常値と判定した方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる。
一方、図3に示す状態において、異常値判定部44は、第4の方位センサ10が受信した電波による方位測定値(θ、φ)を正常値であると判定し、方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)はそのままとして正常値と判定した方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度をそのままとする。
すなわち、異常値判定部44は異常値であると判定した方位測定値(θ、φ)に対する信頼度を下げる。
その結果、測位処理部45は、第1の方位センサ10から第4の方位センサ10それぞれが受信した電波による方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する異常値判定部44により再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて測位値を算出する測位処理を行い、時間領域mにおける目標100の推定位置である測位値xを得、時間領域m、つまり代表時刻tにおける目標100の測位値xを示す目標位置情報を得る。
この時の測位値を算出する測位処理は、第1の方位センサ10が受信した電波による方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)の信頼度が下げられているため、測位処理における第1の方位センサ10が受信した電波による方位測定値(θ、φ)の影響を抑えることができ、測位処理部45により得た目標100の推定位置を示す測位値xを目標100の真値xM,trueに近い値として得られる。
このようにして、図2に示すように、時間領域1から時間領域Mまでの代表時刻tでの測位値xから測位値xが測位処理部45により得られる。
出力部46は、測位処理部45が得た目標100の推定位置を示す時間領域1から時間領域Mまでの代表時刻tでの測位値xから測位値xを、図3に示すように、時系列順に全てつなげ、目標100の推定軌跡を示す物体軌跡情報として出力装置50に出力する。
出力装置50は、出力部46からの物体軌跡情報を利用する装置であり、例えば、物体軌跡情報に基づいて物体の軌跡を表示する表示器である。
異常値判定部44は、図1に示すように、方位情報読込部44aと測位ゲート判定部44bと信頼度設定部44cを備える。
方位情報読込部44aは、時間領域分割部43が設定した時間領域m毎に存在する、複数の方位センサ10が受信した目標100からの電波に対する方位測定値(θ、φ)を示す方位情報、方位情報が示す方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を示す方位測定誤差情報、測定時刻t、方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を時系列順に読み込む。
方位情報読込部44aは、説明の都合上、機能部として説明しているが、方位情報読込部41が読み込み、時間領域分割部43により、時系列順に時間領域m毎に分割した、複数の方位センサ10が受信した目標100からの電波に対する方位測定値(θ、φ)を示す方位情報、方位情報が示す方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を示す方位測定誤差情報、測定時刻t、方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を、直接、測位ゲート判定部44bが用いる。
測位ゲート判定部44bは、複数の方位センサ10それぞれに対して、時間領域m毎に仮測位値と仮測位精度に基づく測位ゲートを用いて時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)の異常値を判定する処理である。
測位ゲート判定部44bによる方位測定値(θ、φ)が異常値を示すか否かを判定する処理は、時間領域mに存在する複数の方位センサ10それぞれが受信した電波による方位測定値(θ、φ)が示す位置が一点に集中しているか、つまり唯一の位置を示しているか、あるいは、測位処理の結果が速度成分を含む場合は位置と速度からなる状態ベクトルの周辺に方位測定値(θ、φ)が集中するかを基に、方位測定値(θ、φ)が異常値であるか正常値であるかを判定する処理である。
測位ゲート判定部44bによる方位測定値(θ、φ)が異常値であるか正常値であるかの判定は、N個の方位センサ10から複数の方位センサを選択し、組わけしたセンサ組毎の複数の方位センサによる方位測定値(θ、φ)が測位ケート内に存在するかを判定することにより信頼度を評価し、当該評価した信頼度が高いセンサ組毎に仮測位値同士の分散の大きさを時間領域における測位の異常度とし、異常度が設定値より持続的に低い時間領域を正常な時間領域、設定値より持続的に長い時間領域を異常な時間領域とする。
なお、異常度が最も低い時間領域を正常な時間領域としてもよい。
今、N個の方位センサ10から目標100の推定位置を求める方位センサ10として4個を選択した場合について、測位ゲート判定部44bによる異常値であるか正常値であるかを判定する処理の概念を、図4を用いて説明する。方位センサ10の数は4個に限られるものではない。
図4において、S1~S4は第1の方位センサ10から第4の方位センサ10を示し、第1の方位センサS1から第4の方位センサS4それぞれから伸びている破線による線分d1から線分d4が時間領域mに存在する第1の方位センサS1から第4の方位センサ10それぞれの方位測定値θを示す。xm,trueは時間領域mにおける目標100の位置を示す。
また、前提として、第1の方位センサS1から第4の方位センサS4それぞれが受信した電波による方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)が等しく設定されるものとする。
第1の方位センサS1から第4の方位センサS4それぞれが受信した電波による方位測定値(θ、φ)とそれに付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と測定時刻t及び各方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を用いて測位処理を行い、目標100の測位値xを得る。
測位値xが真値xM,trueから離れる距離は、例えば、線分d2によって示す方位測定値θと線分d3によって示す方位測定値θが一次従属に近くなるときは、線分d1によって示す方位測定値θと線分d4によって示す方位測定値θの内どちらも同じだけ信頼して測位値xを計算するため、真値xM,trueから大きく離れる。
すなわち、目標100の測位値xは線分d1によって示す方位測定値θの影響により目標100の真値xM,trueから離れている。
一方、方位測定値(θ、φ)の示す位置が集中している唯一の位置、あるいは、状態ベクトルに目標100が存在することを信頼すると、図4において目標100が存在すると信頼できる位置は、線分d2によって示す方位測定値θと線分d3によって示す方位測定値θと線分d4によって示す方位測定値θが集中している位置は真値xM,trueの周辺となる。
従って、線分d1によって示す方位測定値θは異常値と判定できる。
測位ゲート判定部44bは、異常値と判定した線分d1によって示す方位測定値θに付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を、測位値を算出する測位処理における寄与が低くなるように設定し直す。
次に、測位ゲート判定部44bによる異常値の判定処理を、図5を用いて説明する。
今、N個の方位センサ10から目標100の推定位置を求める、つまり、異常値の判定処理を行う方位センサ10として4個を選択した場合について説明する。方位センサ10の数は4個に限られるものではない。
図5において、S1~S4は第1の方位センサ10から第4の方位センサ10を示し、第1の方位センサS1から第4の方位センサS4それぞれから伸びている破線による線分d1から線分d4が時間領域mに存在する第1の方位センサS1から第4の方位センサ10それぞれの方位測定値θを示す。
測位ゲート判定部44bは次の処理を行う。
第1に、第1の方位センサS1から第4の方位センサS4から一定の台数、本例では3台の方位センサを選択し、組わけする。例えば、方位センサS1、S2、S3の組(第1の組とする)、方位センサS1、S2、S4の組(第2のセンサ組とする)、方位センサS1、S3、S4の組(第3のセンサ組とする)、方位センサS2、S3、S4の組(第4のセンサ組とする)に組わけする。
第2に、第1のセンサ組から第4のセンサ組それぞれにおいて、時間領域分割部43により分割された時間領域m毎に、各組における方位センサSが受信した電波による方位測定値(θ、φ)を一般に知られている測位値を算出する測位処理を行うことにより、仮測位値xm,{1,2,3}、仮測位値xm,{1,2,4}、仮測位値xm,{1,3,4}、仮測位値xm,{2,3,4}と仮測位精度Rm,{1,2,3}、仮測位精度Rm,{1,2,4}、仮測位精度Rm,{1,3,4}、仮測位精度Rm,{2,3,4}を推定する。
第3に、センサ組それぞれにおいて、時間領域m毎に、推定した対応する仮測位値xm,{1,2,3}、仮測位値xm,{1,2,4}、仮測位値xm,{1,3,4}、仮測位値xm,{2,3,4}によって定まる測位ゲートGa~Gdそれぞれを設定する。
時間領域m毎に、第1の方位センサS1から第4の方位センサS4それぞれが受信した電波による方位測定値(θ、φ)が測位ゲートGa~Gd内に存在するか否かを判定する。
第4に、各センサ組において、時間領域m毎に、方位測定値(θ、φ)が対応する測位ゲートGa~Gd内に存在するか否かの判定に基づき、各センサ組による方位測定値(θ、φ)の信頼度を評価し、評価した結果、仮測位値xm,Aiの信頼度が高い場合、つまり、各センサ組の方位測定値(θ、φ)がそれぞれの測位ゲートGa~Gd内に存在する場合に方位測定の一致性を認め、一致性を認めた方位測定値(θ、φ)を正常値と判定し、全てのセンサ組において一致性が認められなかった方位測定値(θ、φ)を異常値と判定する方位測定値の測位ゲート判定を行う。
要するに、測位ゲート判定部44bは、複数の方位センサS1~S4から一定台数、一例としての3台の方位センサを選択して、複数のセンサ組に組わけし、複数のセンサ組それぞれにおいて、時間領域分割部43により分割された時間領域m毎に仮測位値を推定し、推定された仮測位値によって定まる測位ゲートG1~G4を設定し、時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が設定された測位ゲートG1~G4内に存在すると正常値と判定し、時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が設定されたいずれの測位ゲートG1~G4内に存在しないと異常値と判定する。
測位ゲート判定部44bによる測位ゲート判定について、以下に数式を用いて説明する。
今、目標100の観測が可能な方位センサ10の数をN個であるとし、時間領域mでの測位で使用される番号付きの複数の方位センサ10の集合をU={1,2,・・・,N}、時間領域m内の測定時刻tを特定するための方位測定値番号kの集合をS={km,s,・・・,km,e}とする。
方位測定値番号kは測定時刻tにおける方位測定値(θ、φ)と1対1に対応する。km,sは時間領域mでの最初の方位情報の方位測定値(θ、φ)に対応し、km,eは時間領域mでの最初の方位情報の方位測定値(θ、φ)に対応する。
集合Uから方位センサ10を3台選択する時の組み合わせは、通りある。
このとき選択されるセンサ組をA(i=1,2,・・・,I)(I=)とするとセンサの組み合わせは次式(1)で表される。
={1,2,3}、A={1,2,4}、・・、A={N-2,N-1,N}
・・・(1)
センサ組Aの持つm番目の時間領域に存在する方位測定値番号kの集合をSm,Aiとし、集合Sm,Ai内の方位測定値番号kを時系列順に次式(2)で表す。
k=k(m,Ai),s、・・・、k(m,Ai),e ・・・(2)
すなわち、上式(2)は、方位測定値番号kをkm,Ai個の方位測定値として表わしている。
上式(2)により方位測定値番号kをあらわすと、次式(3)で示す集合において、集合同士は次式(4)に示すように方位測定値番号の被りが存在する。

Figure 0007433560000001

Figure 0007433560000002
測位ゲート判定部44bによる測位ゲートでは、初めにセンサ組Aの方位測定値(θ、φ)を用いて時間領域mの次式(5)で表される代表時刻tm,Aiに用いられる仮測位値xm,Aiと仮測位精度Rm,Aiを一般に知られている測位値を算出する測位処理を行うことにより求める。

Figure 0007433560000003
センサ組Aにおいて、仮測位値xm,Aiは、時間領域mに存在する方位測定値(θ、φ)と方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて測位処理を行ない求められる。
また、センサ組Aにおいて、仮測位精度Rm,Aiは、仮測位値xm,Aiと仮測位値xm,Aiに対応する方位センサSの位置及び方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて推定される。
測位処理を行う測位の方法としては、例えば、重み付き最小二乗推定による方法、又はMAP(Maximum a Posteriori)推定による方法が用いられる。
また、状態(測位値)xに位置成分だけでなく速度成分を含む場合、状態xは3次元空間において位置3次元、速度3次元による6成分を持つ状態ベクトルであり、以下の非特許文献に示された複数のセンサの異なる方位測定時刻と方位測定誤差に基づいてMAP推定で目標の位置と速度を推定する方法を用いてもよい。
仮測位精度Rm,Aiの推定方法に、例えば、以下の非特許文献に記載のBCRB(Bayesian Cramer-Rao Boundary)を下限とした観測誤差共分散を設定する方法が用いられる。
非特許文献:L.Badriasl, s.Arulampalam and A.Finn, “A Novel Batch Bayesian WIV Estimator for Three-Dimensional TMA Using Bearing and Elevation Measurements,” IEEE Transactions on Signal Processing,vol.66,no.4,pp.1023-1036,Feb.15,2018.
時間領域m内のk番目の方位測定値(θ、φ)の残差Lk,Aiは上式(5)で示す測定時刻tm,Aiを次式(7)で示す状態遷移行列Φk|(m,Ai)で測定時刻tに変換した次式(6)で示す仮測位値xk,Aiと次式(8)で示す仮測位精度Rk,Aiによって定義される統計的距離で計算される。

Figure 0007433560000004

Figure 0007433560000005

Figure 0007433560000006

Figure 0007433560000007

Figure 0007433560000008

Figure 0007433560000009

Figure 0007433560000010
なお、上式(8)における右辺第2項Qkは駆動雑音共分散である。上式(9)は予測値と判定対象の方位測定値(θ、φ)の残差ek,Aiを示す。上式(10)はセンサ組AにおけるDOAの残差誤差共分散を示す。上式(10)における右辺におけるHは角度成分に対する位置成分の偏微分行列である。上式(11)はDOAの誤差共分散Σθφ,kを示す。上式(12)は時間領域m内のk番目の方位測定値(θ、φ)の残差Lk,Aiの2乗を示す。
仮測位値xk,Aiの計算に使用されたセンサ組Aの方位測定値(θ、φ)の集合Sm,Aiの内、一定の割合パラメータβ以上の個数の方位測定値k=k(m,Ai),S、・・・、k(m,Ai),eの残差Lk,Aiが閾値α内に入っている場合に、その閾値内の方位測定値全てにフラグを立てる。
センサ組Aにおいてフラグが立った方位測定値(θ、φ)の集合をTm,Ai´とすると、このフラグ条件を満たすセンサ組Ai´の仮測位値xk,Ai´は方位測定値が集中しているために当該目標100である可能性が高く、集合Tm,Ai´に属する方位測定値(θ、φ)は目標の正常値である可能性が高いと言える。
次式(13)及び次式(14)において、IFはカッコ内の条件を満たすときに1を返し、満たさないときに0を返す判定式である。

Figure 0007433560000011

Figure 0007433560000012
この処理を反復し、全てのセンサ組Aにおいて正常と思われる方位測定値(θ、φ)の集合Tm,Ai´が定まる。このとき、次式(15)に示す和集合Tに属する方位測定値(θ、φ)をこの測位ゲート判定における正常値と判定し、次式(16)に示す補集合T_m^Cに属する時間領域m内の方位測定値(θ、φ)、つまり、全てのセンサ組で一度も正常値の判定を受けない方位センサの方位測定値(θ、φ)は異常値と判定する。

Figure 0007433560000013

Figure 0007433560000014
また、このとき、全てのセンサ組Aにおいて一度でも正常値と判定された方位測定値(θ、φ)を集合Tに含めるのではなく、仮測位値の空間クラスタリングを行ってどのセンサ組Aが同一の目標100を示しているかを推定して集合Tを決めることもできる。
信頼度設定部44cは、測位ゲート判定部44bで異常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)をマルチパス環境時の精度として方位測定誤差を劣化、つまり、方位測定値(θ、φ)の信頼度を下げたパラメータ値(σθ,err´、σφ,err´)に設定し、パラメータ値(σθ,err´、σφ,err´)を再設定された方位測定誤差として得、測位処理部45により用いられる。
方位測定値(θ、φ)の信頼度を下げたパラメータ値(σθ,err´、σφ,err´)は意図的に大きくするのが良い。
ここで言う意図的に大きくするとは、異常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差におけるσθ,kの値を、σθ,kの値より大きいパラメータ値におけるσθ,err´の値に設定することを意味している。
要するに、異常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差が示す値を、正常値と判定される方位測定値に付随する方位測定誤差が示す値より大きい値のパラメータ値に再設定する。
すなわち、パラメータ値は、異常値と判定される方位測定値を正常値と判定される方位測定値に対して設定した信頼度によって決められるパラメータ要素である。
また、信頼度設定部44cは、測位ゲート判定部44bで正常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)をそのままとし、測位処理部45により、方位測定値(θ、φ)の信頼度を下げない、そのままとされた再設定された方位測定誤差として用いられる。
次に、目標軌跡推定装置の動作を、主として異常値判定部44の動作を、図6を用いて説明する。
方位情報読込部41が、複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測した時間の、記憶装置30に蓄積された複数の方位測定部20からの方位測定値(θ、φ)を示す方位情報と方位測定値(θ、φ)に付随し紐づけされた測定時刻t及び各方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を示す方位情報を読み込む。
併せて、複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測した時間の、記憶装置30に蓄積された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を示す方位測定誤差情報、又は、誤差設定部42により設定された方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を読み込む。
次に、 時間領域分割部43が、方位情報読込部41に読み込まれた方位測定値(θ、φ)と方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と測定時刻t及び各方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を示す方位情報を測定時刻tをもとにM個に分割する。
時間領域分割部43に時間領域m毎に分割されたN個のセンサが目標を観測した時間の方位測定値(θ、φ)について、異常値判定部44であるか否かの判定を図6に示したステップST1からステップST14に従い行う。
ステップST1は方位情報読込部44aが、時間領域m毎に分割されたN個のセンサが目標を観測した時間の方位測定値(θ、φ)と方位測定値(θ,φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と、測定時刻tと、方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を読み込む。
ステップST1は、時間領域m毎の方位情報を読み込むステップであり、時間領域分割部43がM個に分割した方位測定値(θ、φ)等を測位ゲート判定部44bが得るステップである。
ステップST2からステップST14は測位ゲート判定部44bが行うステップである。
ステップST2において、複数の方位センサ10から一定台数の方位センサ10を選択して複数のセンサ組に組わけする。例えば、4台の方位センサから3台の方位センサ10を1組とするセンサ組に組わけする。ステップST2はセンサ組を選択するステップである。
ステップST3において、組わけされたセンサ組それぞれにおいて、時間領域m毎に、方位測定値(θ、φ)を一般に知られている測位値を算出する測位処理を行うことにより、仮測位値を計算する。ステップST3はそれぞれの組において各時間領域mにおける仮測位値を計算するステップである。
例えば、4台の方位センサから3台の方位センサ10を1組とし、第1の組から第4の組に組わけした場合、時間領域mにおいて、第1の組に対して仮測位値xm,{1,2,3}、第2の組に対して仮測位値xm,{1,2,4}、第3の組に対して仮測位値xm,{1,3,4}、第4の組に仮測位値xm,{2,3,4}を計算する。
このような仮測位値の計算が時間領域1から時間領域Mのm個の時間領域に対して行われ、時間領域の数とセンサ組の組数を乗算した数の仮測位値が計算される。
ステップST4において、ステップST3において計算された全ての仮測位値に付随する仮測位精度が推定される。ステップST4は仮測位値に付随する仮測位精度を推定するステップである。
仮測位精度の推定は、仮測位値と仮測位値に対応する方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )及び方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて推定される。
例えば、仮測位値xm,{1,2,3}に対して仮測位精度Rm,{1,2,3}、仮測位値xm,{1,2,4}に対して仮測位精度Rm,{1,2,4}、仮測位値xm,{1,3,4}に対して仮測位精度Rm,{1,3,4}、仮測位値xm,{2,3,4に仮測位精度Rm,{2,3,4}を推定する。
ステップST5において、ステップST3において計算された全ての仮測位値に対して測位ゲートを設定する。ステップST5は測位ゲートを作成するステップである。
測位ゲートの設定は仮測位値と仮測位精度から作成される。
例えば、仮測位値xm,{1,2,3}に対して測位ゲートGa、仮測位値xm,{1,2,4}に対して測位ゲートGb、仮測位値xm,{1,3,4}に対して測位ゲートGc、仮測位値xm,{2,3,4に測位ゲートGdを設定する。
ステップST6において、方位測定値(θ、φ)を選択し、ステップST7において、選択した方位測定値(θ、φ)が対応のゲートに入るか否かを判定する。ステップST7は方位測定値の判定ステップである。
すなわち、選択された方位測定値(θ、φ)が存在する時間領域において、組わけされたセンサ組に対する測位ゲートGに、選択された方位測定値(θ、φ)が入るか否かを判定し、入ると判定するとステップST8に進み、入らないと判定されるとステップST9に進む。
ステップST8において、ステップST7において、測位ゲートGに入ると判定された方位測定値(θ、φ)は正常値の候補とされる。
ステップST9において、ステップST6において方位測定値(θ、φ)が全て選択されたか否かを判定し、全て選択されていない場合は、ステップST6に戻り、ステップST7及びステップST8が繰り返される。
ステップST9において、方位測定値(θ、φ)が全て選択されている場合はステップST10に進む。
このようにして、ステップST1により読み込まれた方位測定値(θ、φ)全てについて、測位ゲートGに入るか否かの判定が行われる。
ステップST10において、時間領域m毎に、組わけされたセンサ組それぞれにおいて、方位測定値(θ、φ)が多くの割合で測位ゲートGに入った、つまり、ステップST8において選択された方位測定値(θ、φ)の正常値の候補とされた割合を判定し、多くの割合で測位ゲートGに入ったと判定するとステップST11に進み、入っていないと判定するとステップST12に進む。
ステップST11において、ステップST10において、組わけされたセンサ組において、方位測定値(θ、φ)が多くの割合で測位ゲートGに入ったとされると、当該センサ組において測位測定値(θ、φ)は正常値の候補から正常値とする。
ステップST12において、ステップST11において、測位測定値(θ、φ)がセンサ組の正常値として1回以上判定されたかを判定し、1回以上判定されたとするとステップST13に進み、1回もないと判定されるとステップST14に進む。
ステップST13において、ステップST12においてセンサ組の正常値として1回以上判定された測位測定値(θ、φ)を異常値判定部44における正常値とする。
ステップST14において、ステップST12においてセンサ組の正常値として1回もないと判定された測位測定値(θ、φ)を異常値判定部44における異常値とする。
このようにして、ステップST1により読み込まれた方位測定値(θ、φ)全てについて、正常値か異常値かの判定が行われる。
ステップST10からステップST14は、要するに、時間領域mにおいて、選択された方位測定値(θ、φ)が測位ゲートGに入った数、つまり、選択された方位測定値(θ、φ)の残差Lk,Aiが閾値α内に入った数が割合パラメータβ以上であるかを判定する。
言い換えれば、選択された方位測定値(θ、φ)が一点に集中しているか、つまり唯一の位置を示しているか、あるいは、位置と速度からなる状態ベクトルの周辺に集中しているかを判定する。
判定した結果に基づき、正常値か異常値かの判定が行われる。
ステップ15は、信頼度設定部44cが、ステップ14において、異常値と判定された方位測定値(θ、φ)に対して方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を大きくして方位測定値(θ、φ)に対する信頼度を低下させる。
例えば、方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を方位測定値(θ、φ)の信頼度を下げたパラメータ値(σθ,err´、σφ,err´)に設定する。
次に、測位処理部45が、時間領域m毎に、方位情報読込部41に読み込まれた方位測定値(θ、φ)と、方位測定値(θ、φ)に付随する異常値判定部44により再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と測定時刻tと方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を用いて測位値を算出する測位処理を行い、時間領域mにおける目標100に対する測位値xを得、時間領域mにおける目標100の測位値xを示す目標位置情報を得る。
出力部46が、測位処理部45が得た目標100の推定位置を示す時間領域1から時間領域Mまでの代表時刻tでの測位値xから測位値xを、時系列順に全てつなげ、目標100の推定軌跡を示す物体軌跡情報として出力装置50に出力する。
目標軌跡推定装置はコンピュータによるハードウェア構成により実現され、図7に示すように、プロセッサ401、メモリ402、入力インタフェース403、出力インタフェース404を備え、これらは、バス405を介して相互に接続されている。
メモリ402は大容量の半導体メモリ(RAM:Random Access Memory)と、ハードディスク装置又はSSD装置などの不揮発性記録装置などの記憶装置(ROM:Read only memory)を備える。
プロセッサ401はメモリ402、入力インタフェース403、出力インタフェース404を制御、管理する。
プロセッサ401は、メモリ402におけるROMに記憶してあるプログラムを一旦RAMに格納し、RAMに格納されたソフトウェア・プログラムに従って目標100の推定軌跡を生成する処理を実行する。
入力インタフェース403は図1に示す方位情報読込部41に該当し、出力インタフェース404は図1に示す出力部46に該当する。
図1に示す時間領域分割部43と異常値判定部44と測位処理部45と出力部46の一部それぞれの機能は、プロセッサ401がメモリ402に格納されたプログラムをロードし、ロードしたプログラムに従って動作することによって実現される。
ステップST1からステップST14を含む目標軌跡推定装置の目標軌跡推定方法はプロセッサ401がメモリ402に格納されたプログラムに従って処理を実行することにより行われる。
すなわち、メモリ402に格納されたプログラムは、目標100からの到来電波を受信した複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測した時間を時系列順に複数の時間領域mに分割し、複数の方位センサ10それぞれにより得られる方位測定値(θ、φ)を示す方位情報を分割した時間領域m毎に分割する手順と、複数の方位センサ10から一定台数の方位センサ10を選択して複数のセンサ組に組わけし、複数のセンサ組それぞれにおいて、分割された時間領域m毎に仮測位値xm,Aiを推定し、当該得られた仮測位値xm,Aiによって定まる測位ゲートGを設定し、当該時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が当該設定された測位ゲートG内に存在すると正常値と判定し、当該時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が当該設定されたいずれの測位ゲートG内に存在しないと異常値と判定する手順と、異常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を当該方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定する手順と、分割された時間領域m毎に、各時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて目標100に対する各時間領域mにおける測位値を推定する手順と、推定された時間領域m毎の測位値を時系列につなげて目標100の軌跡を示す物体軌跡情報を出力する手順と、を備える。
以上のように、実施の形態1に係る目標軌跡推定装置40は、目標100からの到来電波を受信した複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測した時間を時系列順に複数の時間領域mに分割し、複数の方位センサ10それぞれにより得られる方位測定値(θ、φ)を示す方位情報を分割した時間領域m毎に分割する時間領域分割部43と、分割された時間領域m毎に、各時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が異常値を示すか否かを判定し、異常値と判定した方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を当該方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定し、異常値でないと判定した方位測定値に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を当該方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度をそのままに再設定する異常値判定部44と、時間領域m毎に、各時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて目標100に対する各時間領域mにおける測位値を推定する測位処理部45と、測位処理部45により推定された時間領域m毎の測位値を時系列につなげて目標100の軌跡を示す物体軌跡情報を出力する出力部46を備えたので、方位センサ10がマルチパス環境下にあったとしても、目標100の測位値を精度高く推定でき、目標100の実際の軌跡により近い軌跡推定を行うことができる。
実施の形態1に係る目標軌跡推定装置40は、異常値判定部44における方位測定値(θ、φ)が異常値を示すか否かの判定は、複数の方位センサ10から一定台数の方位センサ10を選択して複数のセンサ組に組わけし、複数のセンサ組それぞれにおいて、分割された時間領域m毎に、各時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて測位処理を行ない目標100に対するセンサ組における測位値xを得、当該測位値xと当該測位値xに対応する方位センサ10の位置及び方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いてセンサ組における仮測位精度Rを推定し、当該時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が仮測位値xm,Aiと仮測位精度Rm,Aiによって定まる測位ゲートG内に存在するかを判定することにより当該方位測定値(θ、φ)の信頼度を評価し、当該評価した信頼度が高い方位測定値(θ、φ)を正常値、当該評価した信頼度が低い方位測定値(θ、φ)を異常値とする判定するので、方位測定値(θ、φ)の一致性を判定する測位ゲートGを用いて、方位測定値(θ、φ)の信頼度を設定するため、異常な方位測定値(θ、φ)の寄与を小さくした測位値を計算することが可能となる。
また、正常な方位測定値(θ、φ)を出力する方位センサ10を特定することが可能となる。
さらに、測位ゲートGによる判定はセンサ組毎に測位値xを計算して異常値の判定を行うため、仮測位精度Rによって定められる測位ゲートGに基づいて定量的に方位測定値(θ、φ)の異常を判定することができる。これにより、複数の方位センサ10の方位測定値(θ、φ)を用いて行う測位処理の、マルチパス環境下で生じる異常値に対するロバスト性を確立し、マルチパス環境下でも正常な方位測定値(θ、φ)を信頼した高精度な測位処理を行うことができる。
実施の形態1に係る目標軌跡推定装置40は、異常値判定部44が、複数の方位センサ10から一定台数の方位センサ10を選択して複数のセンサ組に組わけし、複数のセンサ組それぞれにおいて、分割された時間領域m毎に仮測位値xm,Aiを推定し、当該得られた仮測位値xm,Aiによって定まる測位ゲートGを設定し、当該時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が当該設定された測位ゲートG内に存在すると正常値と判定し、当該時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が当該設定されたいずれの測位ゲートG内に存在しないと異常値と判定する測位ゲート判定部44bと、異常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を当該方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定する信頼度設定部44cとを備え、測位処理部45が分割された時間領域m毎に、各時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて目標100に対する各時間領域mにおける測位値を推定し、出力部46が推定された時間領域m毎の測位値を時系列につなげて目標100の軌跡を示す物体軌跡情報を出力するので、測位処理部45が異常値と判定された方位測定値(θ、φ)に付随する信頼度が下げられた方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて測位処理するため、方位センサ10がマルチパス環境下にあったとしても、目標100の測位値を精度高く推定でき、目標100の実際の軌跡により近い軌跡推定を行うことができる。
また、仮測位値xm,Aiによって定まる測位ゲートGを用いて定量的に方位測定値(θ、φ)の異常を判定することができる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る目標軌跡推定装置を図8から図10を用いて説明する。
実施の形態2に係る目標軌跡推定装置は、実施の形態1に係る目標軌跡推定装置が複数の方位センサ10により得られる方位測定値(θ、φ)を示す方位情報を分割された時間領域m毎に順次時系列順に測位処理を行うのに対して、複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測する間(以下、目標観測時間という)に複数の方位センサ10により得られる方位測定値(θ、φ)を一括で取得して軌跡を推定するバッチ型の処理を行う点が相違し、その他の点は同じである。
なお、図8から図10中、図1から図7において付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
図8は、実施の形態2に係る目標軌跡推定装置を含む目標軌跡推定システムの概略構成を示すブロック図である。
目標軌跡推定システムは、図8に示すように、複数の方位センサ10~10と複数の方位測定部20~20と記憶装置30と目標軌跡推定装置40Aと出力装置50を備える。
複数の方位センサ10~10と複数の方位測定部20~20と記憶装置30と出力装置50は、実施の形態1において説明した複数の方位センサ10~10と複数の方位測定部20~20と記憶装置30と出力装置50と同じであるので、説明を省略する。
目標軌跡推定装置40Aは、方位情報読込部41と誤差設定部42と時間領域分割部43と異常値判定部44Aと測位処理部45と精度推定部47と追尾処理部48と出力部46とを備える。
方位情報読込部41と時間領域分割部43は実施の形態1において説明した方位情報読込部41と時間領域分割部43と同じであるので、説明を省略する。
異常値判定部44Aは、方位情報読込部44aと測位ゲート判定部44bと信頼度設定部44cと時間領域選択部44dと予測情報読込部44eと予測ゲート判定部44fを備える。
方位情報読込部44aと測位ゲート判定部44bと信頼度設定部44cは、実施の形態1に係る目標軌跡推定装置と実質同じである。
測位ゲート判定部44bについて、実施の形態1において説明した一例を簡単に説明する。
測位ゲート判定部44bは、複数の方位センサ10から一定台数の方位センサ10を選択して、複数のセンサ組に組わけし、複数のセンサ組それぞれにおいて、時間領域分割部43により分割された時間領域m毎に仮測位値xm,Aiを推定し、推定された仮測位値xm,Aiによって定まる測位ゲートGを設定し、時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が設定された測位ゲートG内に存在すると正常値と判定し、時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が設定されたいずれの測位ゲートG内に存在しないと異常値と判定する。
信頼度設定部44cについて、実施の形態1において説明した一例を簡単に説明する。
信頼度設定部44cは、測位ゲート判定部44bで異常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を、方位測定値(θ、φ)の信頼度を下げたパラメータ値(σθ,err´、σφ,err´)に再設定し、測位ゲート判定部44bで正常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を、方位測定値(θ、φ)の信頼度を下げない、信頼度が高いそのままに再設定する。
要するに、測位ゲート判定部44bと信頼度設定部44cにより、目標観測時間の全時間領域に存在する全ての方位測定値(θ、φ)に対して測位ゲートGを用いて正常値か異常値かの測位ゲート判定を行い、正常値と判定された方位測定値(θ、φ)は信頼度が高いとし、異常値と判定された方位測定値(θ、φ)は信頼度が低いとされる。
時間領域選択部44dは、目標観測時間の全時間領域における測位ゲートGを用いた測位ゲート判定において、信頼度が高いと判定されたセンサ組Ai´の仮測位値xm,Ai´同士の分散を計算し、その推移をもとに正常な時間領域mをmとして選択する。
選択された時間領域mは追尾起点時間領域とする。
時間領域mを選択する方法は、分散が小さい時間が続いている時間領域又は分散が最小である時間領域を選択する方法である。
測位処理部45は、選択された追尾起点時間領域mを起点として隣接する時間領域m毎に順方向及び逆方向それぞれについて時系列順に、方位情報が示す方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する信頼度設定部44cにより再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と測定時刻tと方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を用いて測位値xを算出する測位処理を行い、時間領域mにおける目標100に対する測位値xを得、時間領域mにおける目標100の測位値xを示す目標位置情報を得る。
精度推定部47は、時間領域m毎に、異常値判定部44Aにおける信頼度設定部44cにより再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて、測位処理部45により推定される測位値xに対する測位精度Rを推定する。
精度推定部47は、時間領域m毎に、測位値xと方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )と方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)から測位値xの測位精度Rを推定する。
追尾処理部48は、測位処理部45により推定される測位値xと当該測位値xに対応する精度推定部47により推定される測位精度Rを用いて当該測位値xをフィルタリングして平滑値と予測値を得る
追尾処理部48は、追尾起点時間領域mを起点として隣接する時間領域m毎に、測位値xと測位精度Rを用いてカルマンフィルタにより測位値xのフィルタリングを計算する。
追尾処理部48は、追尾起点時間領域mを起点として隣接する測位値xと目標100の運動の連続性に基づく予測値とを重み付け平均した平滑値xm|mを得る。この平滑値xm|mが代表時刻の目標位置の出力となる。
追尾処理する方法には、例えば、任意の測定時刻tの予測値xk|mを並列して出力するカルマンフィルタが存在する。
実施の形態2では、追尾起点時間領域mを起点として時刻が経過する方向、つまり順方向に隣接する時間領域の測位処理に時間順方向のカルマンフィルタを適用して平滑値xm|mを求め、追尾起点時間領域mを起点として時刻が戻る方向、つまり逆方向に隣接する時間領域の測位処理に時間逆方向のカルマンフィルタを適用して平滑値xm|mを求める。
追尾処理のカルマンフィルタは、前時刻の予測値と現時刻の観測値から、現時刻の平滑値(重み付け平均)と次時刻の予測値(現時刻の平滑値から運動モデルで算出)を推定する処理である。
ここで、追尾起点時間領域mでは、測位ゲート判定が正常に機能することによって測位値が真値に近いと判断できるような異常度の低い時間領域を選択する必要がある。
測位ゲート判定では、方位センサの方位測定値が一点あるいは一つの状態ベクトルに集中しているかを判定するために仮測位値xm,Ai´を算出していた。
よって、測位ゲートが正常に機能したかを確かめるには、各時間領域mで信頼度の高いセンサ組全ての仮測位値xm,Ai´同士の分散を評価すれば良く、この分散の大きさが時間領域における測位の異常度と言える。
全時間領域の異常度を評価した際に、追尾起点時間領域mは、追尾処理のしやすさから、異常度が持続的に低い時間領域、あるいは、異常度が最も低い時間領域を選択する。
まず、追尾起点時間領域m以降の時間領域mの追尾処理に適用した時間逆方向のカルマンフィルタの説明を、数式を用いて行う。
時間逆方向のカルマンフィルタの運動モデルは、xm|m+1を予測値、xm+1|m+1を平滑値として代表時刻tm+1からtへの時間逆方向の状態遷移行列Γm|m+1を用いて記述する。
予測値xm|m+1は次式(17)により表わされ、状態遷移行列Γm|m+1は次式(18)により表わされる。

Figure 0007433560000015

Figure 0007433560000016
m+1~N(0,Q´m|m+1)は駆動雑音である。時間逆方向の駆動誤差共分散Q´m|m+1は速度成分に正の駆動雑音が加わるときに位置成分は負の方向に変化するため、非対角ブロックに負の符号を付与する必要があり、Σを3次元位置成分の共分散行列として次式(19)のように設定される。

Figure 0007433560000017
観測モデルはx=xm,true+vとなる。
~N(0,R)は観測雑音であり、測位値の推定誤差に相当する。
時間逆方向のカルマンフィルタの初期ステップ(m=m)では、追尾起点時間領域mの測位値xmsと測位精度Rmsがそのまま平滑値xms|ms(=xms)と平滑誤差共分散Pms|ms(=Rms)となる。
m≦m-1の場合、時間逆方向の予測処理は次式(20)及び次式(21)で表わされる。
m|m+1=Γm+1m+1|m+1 (20)

Figure 0007433560000018
平滑処理は次式(22)~(24)により表わされる。
=Pm|m+1+(Pm|m+1+R-1 (22)
m|m=xm|m+1+K(x-xm|m+1) (23)
m|m=Pm|m+1-Km|m+1 (24)
m|m+1は予測誤差共分散、Kはカルマンゲインである。
このようにして追尾処理部48により時間逆方向のカルマンフィルタを用いて時間領域mにおける測位値xと時間領域m+1の時に上式(20)で予測した時間領域mの予測値xm|m+1により得た平滑値xm|mは出力部46において目標100の推定位置を示す代表時刻tでの追尾処理部48の出力とし,追尾起点時間領域m以前の測位値xを時系列順につなげ、追尾起点時間領域m以前における目標100の推定軌跡を示す物体軌跡情報として得る。
一方、追尾処理部48により得られた予測情報は予測情報読込部44eにより読み込まれ、予測ゲート判定部44fが当該予測情報に基づき隣接する時間領域m内の方位測定値(θ、φ)に対する異常値判定である予測ゲート判定を行う。
予測情報読込部44eは、説明の都合上、機能部として説明しているが、追尾処理部48により得られた予測情報を、直接、予測ゲート判定部44fが用いる。
予測ゲート判定部44fは予測値xk|m+1を中心とした予測ゲート判定を行う。
予測ゲート判定部44fは、追尾処理部48による予測値xk|m+1と精度推定部47により推定される測位精度Rから推定される予測精度Pk|m+1によって定まる予測ゲートを設定し、時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が当該設定された予測ゲート内に存在すると正常値と判定し、時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)がいずれの予測ゲート内に存在しないと異常値と判定する。
以下に、時間逆方向のカルマンフィルタによる追尾処理を用いて予測ゲート判定部44fが予測ゲート判定を行う方法を式で示す。
時間領域m内のk番目の方位測定値(θ、φ)の残差Lk´は、状態遷移行列Φk|(m,Ai)で測定時刻tに変換した予測値xk|m+1は予測誤差共分散Pk|m+1によって定義される統計的距離で計算され、次式(25)により表わされる。
予測誤差共分散Pk|m+1は次式(27)により表わされる。
次式(26)は状態遷移行列Φk|m+1を表わす。

Figure 0007433560000019

Figure 0007433560000020

Figure 0007433560000021

Figure 0007433560000022

Figure 0007433560000023

Figure 0007433560000024
上式(28)は予測値と判定対象の方位測定値(θ、φ)の残差eを示す。
上式(29)は予測されるDOAの残差誤差共分散を示す。
上式(30)は時間領域m内のk番目の方位測定値(θ、φ)の残差Lk´の2乗を示す。
予測ゲート判定部44fが予測ゲート判定で使用する予測ゲート中心の予測値xm|m+1は、測位ゲート判定部44bが測位ゲート判定で使用する測位ゲート中心の仮測位値xk,Aiとは異なり,既に測位ゲートによる異常値判定が施された方位測定値を基に測位処理をして得られるため信頼度が高い。
従って、信頼度設定部44cは残差Lk´が閾値αを超えるかによって、方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を再設定する。
すなわち、次式(31)及び次式(32)に示すように、if内の残差Lk´が閾値α以下である条件を満たすときに、方位測定誤差σθkは正常値であるσθk´に、方位測定誤差σφkは正常値であるσφk´に、if内の残差Lk´が閾値αを超えている条件を満たすときに、方位測定誤差σθkは異常値であるσθ,err´に、方位測定誤差σφkは異常値であるσφ,err´に再設定する。
再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)は、追尾起点時間領域mの次の時間領域mからの測位処理部45における測位処理に用いられる。

Figure 0007433560000025

Figure 0007433560000026
一方、追尾処理部48は追尾起点時間領域mを起点として時刻が経過する方向に隣接する時間領域の追尾処理は、時間順方向のカルマンフィルタを適用して測位値xを求める。
すなわち,追尾処理部48は、隣接する時間領域mにおける測位値xと時間領域m-1の時に予測した時間領域mの予測値xm|m-1とを重み付け平均した、平滑値xm|mを得る。
予測値xm|m-1と平滑値xm|mを求める追尾処理は、実質、時間逆方向のカルマンフィルタによる追尾処理と同様であり、通常の時間順方向のカルマンフィルタであるので、説明は省略する。
このようにして追尾処理部48により時間順方向のカルマンフィルタを用いて隣接する時間領域mにおける測位値xと時間領域m-1の時に予測した時間領域mの予測値xm|m-1の追尾処理により得た平滑値xm|mは出力部46において目標100の推定位置を示す代表時刻tでの測位値xとし、追尾起点時間領域m以降の測位値xを時系列順につなげ、追尾起点時間領域m以降における目標100の推定軌跡を示す物体軌跡情報として得る。
出力部46は、追尾処理部48により時間順方向のカルマンフィルタを用いて得た追尾起点時間領域m以降における目標100の推定軌跡と、追尾処理部48により時間逆方向のカルマンフィルタを用いて得た追尾起点時間領域mより前における目標100の推定軌跡をつなぎ、目標100における目標観測時間の全時間領域における推定軌跡を示す物体軌跡情報として得る。
また、予測ゲート判定部44fが行う予測ゲート判定も時間順方向のカルマンフィルタによる追尾処理を用いて行われ、予測ゲート判定部44fが予測値xk|m-1を中心とした予測ゲート判定を行う。
予測値xk|m-1を中心とした予測ゲート判定は、実質、時間逆方向のカルマンフィルタによる予測値xk|m+1を中心とした予測ゲート判定と同じであるので、説明は省略する。
信頼度設定部44cは、時間逆方向のカルマンフィルタによる再設定と同様に、予測ゲート判定部44fによる予測ゲート判定により得た残差Lk´が閾値αを超えるかによって、方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を再設定する。
時間逆方向のカルマンフィルタによる予測ゲート判定と同様にして得た再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)は、追尾起点時間領域m以降の時間領域mからの測位処理部45における測位処理に用いられる。
次に、目標軌跡推定装置の動作を、主として異常値判定部44Aの動作について実施の形態1と異なる追尾処理を中心に、図9及び図10を用いて説明する。
実施の形態1において動作説明したと同様に、図6に示したステップST15までが行われる。
図6に示したステップST12からステップST15までが図9に示したステップST101及びステップST102に相当する。
すなわち、測位ゲート判定部44bが時間領域m毎に測位ゲート判定を行い、目標観測時間の全時間領域(以下、単に全時間領域と言う)における方位測定値(θ、φ)について、正常値か異常値かの判定が行われ、信頼度設定部44cが全時間領域における方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を再設定する。
ステップST101及びステップST102は、測位ゲート判定部44bと信頼度設定部44cが、全時間領域に存在する全ての方位測定値(θ、φ)に対して測位ゲートGを用いて正常値か異常値かの測位ゲート判定を行い、正常値と判定された方位測定値(θ、φ)は信頼度が高いとし、異常値と判定された方位測定値(θ、φ)は信頼度が低いとする信頼度の再設定ステップである。
ステップST103において、時間領域選択部44dが全時間領域における測位ゲートGを用いた測位ゲート判定において、信頼度が高いと判定されたセンサ組Ai´の仮測位値xm,Ai´同士の分散を計算する。
ステップST104において、時間領域選択部44dにおいて計算された分散の推移をもとに正常な時間領域mを追尾起点時間領域mとして選択する。
ここで、追尾起点時間領域mとして、測位ゲート判定が正常に機能することによって測位値が真値に近いと判断できるような異常度の低い時間領域を選択する必要がある。
測位ゲート判定では、方位センサの方位測定値が一点あるいは一つの状態ベクトルに集中しているかを判定するために仮測位値xm,Ai´を算出していた。
よって、測位ゲートが正常に機能したかを確かめるには、各時間領域mで信頼度の高いセンサ組全ての仮測位値xm,Ai´同士の分散を評価すれば良く、この分散の大きさが時間領域における測位の異常度と言える。
全時間領域の異常度を評価した際に、追尾起点時間領域mは、追尾処理のしやすさから、異常度が持続的に低い時間領域、あるいは、異常度が最も低い時間領域を選択する。
選択された追尾起点時間領域mを起点として時刻が経過する方向、つまり順方向に隣接する時間領域の測位処理を行う場合は図9のステップST105に進み、追尾起点時間領域mを起点として時刻が戻る方向、つまり逆方向に隣接する時間領域の測位処理を行う場合は図10のステップST205に進む。
ステップST105に進み、追尾起点時間領域mを起点として時間領域Mまでの処理が終了した後、ステップST205に進んでもよく、逆に、ステップST205に進み、追尾起点時間領域mを起点として時間領域1までの処理が終了した後、ステップST105に進んでもよい。
図9に示すステップST105からステップST113は時間順方向のカルマンフィルタを適用したステップである。
ステップST105において、まず、起点として測位処理を行う時間領域mとして追尾起点時間領域mを選択する。
測位処理部45が、ステップST106において、時間領域mにおける方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する信頼度設定部44cにより再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と測定時刻tと方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を読込み、ステップST107において、読み込んだ情報を用いて測位処理を行い、時間領域mにおける目標100に対する測位値xを算出する。
ステップST108において、精度推定部47が時間領域mにおける測位値xと方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )と方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)から測位値xの測位精度Rを推定する。
ステップST109において、追尾処理部48が、時間領域mに対して時間順方向のフィルタ処理を行い、平滑値xm|mと予測値xm+1|mを計算する。
計算して得た平滑値xm|mは目標100の推定位置を示す代表時刻tでの追尾処理の出力として用いられる。
ステップST110において、時間領域mが時間領域Mであると処理を終了し、時間領域mが時間領域Mでないと、ステップST111に進み、時間領域mを次の時間領域m+1にしてステップST112に進む。
ステップST112において、予測ゲート判定部44fが、予測情報読込部44eに読み込まれた予測値xk|m-1を中心とした予測ゲート判定を行う。
ステップST112における予測ゲート判定部44fによる予測ゲート判定は、予測値xk|m-1に基づき更新された時間領域m内の方位測定値(θ、φ)に対する異常値判定である予測ゲート判定を行う。
ステップST113において、信頼度設定部44cが、予測ゲート判定において異常値と判定された方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)の信頼度を下げた方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)に再設定し、正常値と判定された方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を信頼度が高いそのままに再設定し、ステップST105に進む。
ステップST105において、ステップST111で更新された時間領域mを選択し、ステップST106からステップST113のステップをステップST110において時間領域mが時間領域Mになるまで繰り返される。
このようにして、追尾起点時間領域mから時間領域Mまでの代表時刻tでの測位値xが得られる。
測位処理部45における測位処理は、時間領域mに対して隣接する時間領域m-1の方位測定値(θ、φ)に対する予測ゲート判定が行われ、再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を追尾起点時間領域mから時間領域Mまでの全ての時間領域mに用いられる。
図10に示すステップST205からステップST213は時間逆方向のカルマンフィルタを適用したステップである。
ステップST205において、まず、起点として測位処理を行う時間領域mとして追尾起点時間領域mを選択する。
測位処理部45が、ステップST206において、時間領域mにおける方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する信頼度設定部44cにより再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)と測定時刻tと方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )を読込み、ステップST207において、読み込んだ情報を用いて測位処理を行い、時間領域mにおける目標100に対する測位値xを算出する。
ステップST208において、精度推定部47が時間領域mにおける測位値xと方位センサ10の位置情報(x 、y 、z )と方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)から測位値xの測位精度Rを推定する。
ステップST209において、追尾処理部48が、時間領域mに対して時間逆方向のフィルタ処理を行い、平滑値xm|mと予測値xm-1|mを計算する。予測値xm-1|mは上式(17)により求められ、平滑値xm|mは上式(23)により求められる。
計算して得た平滑値xm|mは目標100の推定位置を示す代表時刻tでの追尾処理の出力として用いられる。
ステップST210において、時間領域mが時間領域1であると処理を終了し、時間領域mが時間領域1でないと、ステップST211に進み、時間領域mを次の時間領域m-1にしてステップST212に進む。
ステップST212において、予測ゲート判定部44fが、予測情報読込部44eに読み込まれた予測値xk|m+1を中心とした予測ゲート判定を行う。
ステップST212における予測ゲート判定部44fによる予測ゲート判定は、予測値xk|m+1に基づき更新された時間領域m内の方位測定値(θ、φ)に対する異常値判定である予測ゲート判定を行う。
ステップST213において、信頼度設定部44cが、予測ゲート判定において異常値と判定された方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)の信頼度を下げた方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)に再設定し、正常値と判定された方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を信頼度が高いそのままに再設定し、ステップST205に進む。
ステップST205において、ステップST211で更新された時間領域mを選択し、ステップST206からステップST213のステップをステップST210において時間領域mが時間領域1になるまで繰り返される。
このようにして、時間領域1から追尾起点時間領域mまでの代表時刻tでの測位値xが得られる。
測位処理部45における測位処理は、時間領域mに対して隣接する時間領域m+1の方位測定値(θ、φ)に対する予測ゲート判定が行われ、再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を追尾起点時間領域mから時間領域1までの全ての時間領域mに用いられる。
出力部46が、追尾処理部48がステップST109及びステップST209において得た目標100の推定位置を示す時間領域1から時間領域Mまでの代表時刻tでの測位値xから測位値xを、時系列順に全てつなげ、目標100の推定軌跡を示す物体軌跡情報として出力装置50に出力する。
目標軌跡推定装置は、実施の形態1に係る目標軌跡推定装置と同様に、図7に示すコンピュータによるハードウェア構成により実現される。
入力インタフェース403は図7に示す方位情報読込部41に該当し、出力インタフェース404は図7に示す出力部46に該当する。
図7に示す時間領域分割部43と異常値判定部44Aと測位処理部45と精度推定部47と追尾処理部48と出力部46の一部それぞれの機能は、プロセッサ401がメモリ402に格納されたプログラムをロードし、ロードしたプログラムに従って動作することによって実現される。
ステップST1からステップST14、ステップST101からステップ113、及びステップST201からステップ213を含む目標軌跡推定装置の目標軌跡推定方法はプロセッサ401がメモリ402に格納されたプログラムに従って処理を実行することにより行われる。
すなわち、メモリ402に格納されたプログラムは、「目標100からの到来電波を受信した複数の方位センサ10それぞれが目標100を観測した時間を時系列順に複数の時間領域mに分割し、複数の方位センサ10それぞれにより得られる方位測定値(θ、φ)を示す方位情報を分割した時間領域m毎に分割する手順と、複数の方位センサ10から一定台数の方位センサ10を選択して複数のセンサ組に組わけし、複数のセンサ組それぞれにおいて、分割された時間領域m毎に仮測位値xm,Aiを推定し、当該得られた仮測位値xm,Aiによって定まる測位ゲートGを設定し、当該時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が当該設定された測位ゲートG内に存在すると正常値と判定し、当該時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が当該設定されたいずれの測位ゲートG内に存在しないと異常値と判定する手順と、異常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を当該方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定する手順と、分割された時間領域m毎に、各時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて目標100に対する各時間領域mにおける測位値を推定する手順と、推定された時間領域m毎の測位値を時系列につなげて目標100の軌跡を示す物体軌跡情報を出力する手順と、正常値又は異常値を判定する手順において、信頼度が高いと判定されたセンサ組の仮測位値xm,Ai同士の分散を計算し、計算された分散の推移を基に追尾起点時間領域mを選択する手順と、時間順方向のカルマンフィルタにより、追尾起点時間領域mを起点に分割された時間領域mにおける推定される測位値と当該測位値に付随する再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて、推定される測位値に対する測位精度を推定する手順と、時間順方向のカルマンフィルタにより、追尾起点時間領域mを起点に分割された時間領域mにおける推定される測位値と当該測位値に対応する測位精度を用いて予測値と平滑値からなる測位値を得る手順と、追尾起点時間領域mを起点に分割された時間領域mにおける平滑値からなる測位値と当該測位値に対応する測位精度から推定される予測精度によって定まる予測ゲートを設定し、時間経過方向の隣接時間領域m+1に存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が当該設定された予測ゲート内に存在すると正常値と判定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)がいずれの予測ゲート内に存在しないと異常値と判定する手順と、追尾起点時間領域mを起点に分割された一つ後の時間領域m+1における再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)の内、いずれの予測ゲート内に存在しないとして異常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を当該方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再度設定する手順と、時間逆方向のカルマンフィルタにより、追尾起点時間領域mを起点に分割された時間領域mと一つ前の時間領域m-1それぞれにおける推定される測位値と当該測位値に付随する再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて、推定される測位値に対する測位精度を推定する手順と、時間逆方向のカルマンフィルタにより、追尾起点時間領域mを起点に分割された時間領域mにおける推定される測位値と当該測位値に対応する測位精度を用いて予測値と平滑値からなる測位値を得る手順と、追尾起点時間領域mを起点に分割された時間領域mにおける平滑値からなる測位値と当該測位値に対応する測位精度から推定される予測精度によって定まる予測ゲートを設定し、時間逆方向の隣接時間領域m-1に存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)が当該設定された予測ゲート内に存在すると正常値と判定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)がいずれの予測ゲート内に存在しないと異常値と判定する手順と、追尾起点時間領域mを起点に分割された一つ前の時間領域m-1における再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)の内、いずれの予測ゲート内に存在しないとして異常値と判定される方位測定値(θ、φ)に付随する方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を当該方位測定値(θ、φ)の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再度設定する手順と、分割された時間領域m毎に、各時間領域mに存在する方位情報が示す方位測定値(θ、φ)と当該方位測定値(θ、φ)に付随する再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を再度設定した方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて目標に対する各時間領域mにおける測位値を推定する手順と、時間領域m毎の平滑値からなる測位値を時系列につなげて目標100の軌跡を示す物体軌跡情報を出力する手順と、を備える。
以上のように、実施の形態2に係る目標軌跡推定装置40Aは、実施の形態1に係る目標軌跡推定装置40と同様の効果を有する他、時間領域分割部43により分割された時間領域m毎に、異常値判定部44Aにより再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を用いて、測位処理部45により推定される測位値xに対する測位精度Rを推定する精度推定部47と、測位処理部45により推定される測位値xと当該測位値xに対応する精度推定部47により推定される測位精度Rを用いて当該測位値xをフィルタリングして平滑値と予測値を得る追尾処理部48とをさらに備え、異常値判定部44Aは、追尾処理部48による予測値により、再設定された方位測定誤差(σθ,k、σφ,k)を再度設定するので、2つの異なる相補的な異常値の判定により、より精度高くなり、信頼度の高い測位値を用いた目標100の軌跡推定を行うことができる。
特に、軌跡推定が困難なマルチパス環境が目標周辺にあっても軌跡推定を行うことができる。
なお、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
本開示に係る目標軌跡推定装置は、飛行機などの移動物体の目標の軌跡を推定する目標軌跡推定システムに用いられる目標軌跡推定装置に好適である。
10、10~10と複数の方位センサ、20~20 複数の方位測定部、30 記憶装置、40 目標軌跡推定装置、41 方位情報読込部、42 誤差設定部、43 時間領域分割部、44 異常値判定部、44b 測位ゲート判定部、44c 信頼度設定部、44f 予測ゲート判定部、45 測位処理部、46 出力部、47 精度推定部、48 追尾処理部、50 出力装置、100 目標。

Claims (15)

  1. 目標からの到来電波を受信した複数の方位センサそれぞれにより得られる方位測定値を示す方位情報、及び当該方位情報が示す方位測定値に付随する方位測定誤差を示す方位測定誤差情報を読み込む方位情報読込部と、
    前記複数の方位センサそれぞれが前記目標を観測した時間を時系列順に複数の時間領域に分割し、前記方位情報読込部が読み込む方位情報を前記分割された時間領域毎に分割する時間領域分割部と、
    前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が異常値を示すか否かを判定し、異常値と判定した方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定し、異常値でないと判定した方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度をそのままに再設定する異常値判定部と、
    前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値と当該方位測定値に付随する再設定された方位測定誤差を用いて前記目標に対する各時間領域における測位値を推定する測位処理部と、
    前記測位処理部により推定された時間領域毎の測位値を時系列につなげて前記目標の軌跡を示す物体軌跡情報を出力する出力部と、
    を備える目標軌跡推定装置。
  2. 目標からの到来電波を受信した複数の方位センサそれぞれにより得られる方位測定値を示す方位情報、及び当該方位情報が示す方位測定値に付随する、あるいは、一様に設定される方位測定誤差を示す方位測定誤差情報を読み込む方位情報読込部と、
    前記複数の方位センサそれぞれが前記目標を観測した時間を時系列順に複数の時間領域に分割し、前記方位情報読込部が読み込む方位情報を前記分割された時間領域毎に分割する時間領域分割部と、
    前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が示す位置が一点に集中しているか、あるいは、位置と速度からなる状態ベクトルの周辺に集中するかを基に、当該方位測定値が異常値を示すか否かを判定し、異常値と判定した方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定し、異常値でないと判定した方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度をそのままに再設定する異常値判定部と、
    前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値と当該方位測定値に付随する再設定された方位測定誤差を用いて前記目標に対する各時間領域における測位値を推定する測位処理部と、
    前記測位処理部により推定された時間領域毎の測位値を時系列につなげて前記目標の軌跡を示す物体軌跡情報を出力する出力部と、
    を備える目標軌跡推定装置。
  3. 前記異常値判定部における方位測定値が異常値を示すか否かの判定は、前記複数の方位センサから一定台数の方位センサを選択して複数のセンサ組に組わけし、前記複数のセンサ組それぞれにおいて、前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値と当該方位測定値に付随する方位測定誤差を用いて測位処理を行ない前記目標に対するセンサ組における仮測位値を得、当該仮測位値と当該仮測位値に対応する前記方位センサの位置及び前記方位測定誤差を用いてセンサ組における仮測位精度を推定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が前記仮測位値と前記仮測位精度によって定まる測位ゲート内に存在するかを判定することにより当該方位測定値の信頼度を評価し、当該評価した信頼度が高い方位測定値を正常値、当該評価した信頼度が低い方位測定値を異常値とする判定である請求項2に記載の目標軌跡推定装置。
  4. 前記異常値判定部における異常値と判定した方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定は、異常値と判定した方位測定値に付随する方位測定誤差が示す値を異常値でないと判定される方位測定値に付随する方位測定誤差が示す値より大きい値のパラメータ値に再設定することである請求項2に記載の目標軌跡推定装置。
  5. 前記異常値判定部におけるセンサ組における仮測位精度の推定は、前記センサ組における仮測位値と対応する前記方位センサの位置と誤差設定部によって設定される方位測定誤差を用いて前記仮測位値が理論的に取り得る分散の下限値(BCRB:Bayesian Cramer-Rao Boundary)を計算することにより行う請求項3に記載の目標軌跡推定装置。
  6. 前記異常値判定部は、
    前記複数の方位センサから一定台数の方位センサを選択して複数のセンサ組に組わけし、前記複数のセンサ組それぞれにおいて、前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に仮測位値を推定し、当該得られた仮測位値によって定まる測位ゲートを設定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が当該設定された測位ゲート内に存在すると正常値と判定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が当該設定されたいずれの測位ゲート内に存在しないと異常値と判定する測位ケート判定部と、
    前記測位ケート判定部により異常値と判定される方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定する信頼度設定部と、
    備える請求項2に記載の目標軌跡推定装置。
  7. 前記測位ケート判定部で行う仮測位値の推定は、重み付き最小二乗推定による方法又はMAP(Maximum a Posteriori)推定による方法のいずれかの方法により行う請求項6に記載の目標軌跡推定装置。
  8. 前記異常値判定部における方位測定値が異常値を示すか否かの判定は、前記複数の方位センサから一定台数の方位センサを選択して複数のセンサ組に組わけし、前記複数のセンサ組それぞれにおいて、前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に仮測位値と仮測位精度を推定し、当該得られた仮測位値が、当該得られた仮測位値と仮測位精度によって定まる測位ゲート内に存在するかを判定することにより信頼度を評価し、当該評価した信頼度が高いセンサ組毎に仮測位値同士の分散の大きさが時間領域における測位の異常度とする請求項2に記載の目標軌跡推定装置。
  9. 前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に、前記異常値判定部により再設定された方位測定誤差を用いて、前記測位処理部により推定される測位値に対する測位精度を推定する精度推定部と、
    前記測位処理部により推定される測位値と当該測位値に対応する前記精度推定部により推定される測位精度を用いて当該測位値をフィルタリングして平滑値と予測値を得る追尾処理部と、をさらに備え、
    前記異常値判定部は、前記追尾処理部による予測値により、再設定された方位測定誤差を再度設定する、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の目標軌跡推定装置。
  10. 前記追尾処理部は、前記異常値判定部により異常値でないと判定した方位測定値が存在する時間領域を1つ選択し、選択した時間領域である追尾起点時間領域を起点とした時間順方向のカルマンフィルタにより、前記追尾起点時間領域の1つ後の時間領域における予測値と平滑値を求め、前記追尾起点時間領域を起点とした時間逆方向のカルマンフィルタにより、前記追尾起点時間領域の1つ前の時間領域における予測値と平滑値を求め、
    前記出力部により用いられる前記追尾処理部により推定された時間領域毎の平滑値を目標軌跡推定装置の出力とした、
    請求項9に記載の目標軌跡推定装置。
  11. 前記追尾処理部による追尾起点時間領域の選択は、時間領域内に存在する方位測定値の分散が小さい時間が続いている時間領域又は分散が最小である時間領域を選択する請求項10に記載の目標軌跡推定装置。
  12. 前記追尾処理部による追尾起点時間領域の選択は、前記複数の方位センサから一定台数の方位センサを選択して複数のセンサ組に組わけし、前記複数のセンサ組それぞれにおいて、前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に仮測位値と仮測位精度を推定し、当該得られた仮測位値が、当該得られた仮測位値と仮測位精度によって定まる測位ゲート内に存在するかを判定することにより信頼度を評価し、当該評価した信頼度が高いセンサ組毎に仮測位値同士の分散の大きさが時間領域における測位の異常度とし、異常度が設定値より持続的に低い時間領域、又は異常度が最も低い時間領域を選択する請求項10に記載の目標軌跡推定装置。
  13. 前記異常値判定部による再設定された方位測定誤差の再度の設定は、前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に、前記追尾処理部による予測値と前記精度推定部により推定される測位精度から推定される予測精度によって定まる予測ゲートを設定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が当該設定された予測ゲート内に存在すると正常値と判定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が当該設定されたいずれの予測ゲート内に存在しないと異常値と判定することにより行われる、請求項10に記載の目標軌跡推定装置。
  14. 前記時間領域分割部により分割された時間領域毎に、前記異常値判定部における前記信頼度設定部により再設定された方位測定誤差を用いて、前記測位処理部により推定される測位値に対する測位精度を推定する精度推定部と、
    前記時間領域分割部により分割された隣接する時間領域それぞれにおける前記測位処理部により推定される測位値と当該測位値に付随する前記精度推定部により推定される測位精度を用いてカルマンフィルタによりフィルタリングして予測値と平滑値を得る追尾処理部と、をさらに備え、
    前記異常値判定部は、前記追尾処理部による予測値と前記精度推定部により推定される測位精度から推定される予測精度によって定まる予測ゲートを設定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が当該設定された予測ゲート内に存在すると正常値と判定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値がいずれの予測ゲート内に存在しないと異常値と判定する予測ゲート判定部を備え、
    前記異常値判定部における前記信頼度設定部は、再設定された方位測定誤差の内、前記予測ゲート判定部により異常値と判定される方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再度設定し、
    前記出力部により用いられる前記追尾処理部により推定された時間領域毎の平滑値を目標軌跡推定装置の出力とした、
    請求項6に記載の目標軌跡推定装置。
  15. 時間領域分割部と、測位ケート判定部及び信頼度設定部を有する異常値判定部と、測位処理部と、出力部を備える目標軌跡推定装置による目標の測位値を測定する目標軌跡推定方法であって、
    前記時間領域分割部が、前記目標からの到来電波を受信した複数の方位センサそれぞれが前記目標を観測した時間を時系列順に複数の時間領域に分割し、前記複数の方位センサそれぞれにより得られる方位測定値を示す方位情報を前記分割された時間領域毎に分割するステップと、
    前記異常値判定部における測位ケート判定部が、前記複数の方位センサから一定台数の方位センサを選択して複数のセンサ組に組わけし、前記複数のセンサ組それぞれにおいて、前記分割された時間領域毎に仮測位値を推定し、当該得られた仮測位値によって定まる測位ゲートを設定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が当該設定された測位ゲート内に存在すると正常値と判定し、当該時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値が当該設定されたいずれの測位ゲート内に存在しないと異常値と判定するステップと、
    前記異常値判定部における信頼度設定部が、前記異常値と判定される方位測定値に付随する方位測定誤差を当該方位測定値の軌跡推定に対する信頼度を下げる設定に再設定するステップと、
    前記測位処理部が前記分割された時間領域毎に、各時間領域に存在する方位情報が示す方位測定値と当該方位測定値に付随する再設定された方位測定誤差を用いて前記目標に対する各時間領域における測位値を推定するステップと、
    前記出力部が前記推定された時間領域毎の測位値を時系列につなげて前記目標の軌跡を示す物体軌跡情報を出力するステップと、
    を備える目標軌跡推定方法。
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