JP3571309B2 - 目標追尾方法およびレーダシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、レーダシステムにおける目標追尾アルゴリズムのひとつであるAll Neighbor追尾方式(以下、AN追尾方式と略す)において、軽い処理負荷で高精度の追尾を行い、早期の目標初探知および航跡確立を行うことが可能な目標追尾方法およびレーダシステムに係るものである。
【0002】
【従来の技術】
図19はAN追尾方式を用いた従来の目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、図20は従来の目標追尾方法における追尾開始処理を示すフローチャートである。図19,図20の各処理は、例えば以下の文献1,2の中で、「Probabilistic Data Association Filter」,「Multiple Hypothesis Tracking(以下、MHTと称す)」としてそれぞれ開示されている。
【0003】
<文献1>
IEEE TRANSACTIONS ON AUTOMATIC CONTROL VOL.AC−23,AUGUST 1978,P618〜626「Tracking Methods in a Multitarget Environment」
【0004】
<文献2>
電子情報通信学会論文誌 VOL.J79−B−II NO.10,OCTOBER 1996,P677〜685「航跡型多重仮説相関方式を用いた多目標追尾」
【0005】
はじめに、AN追尾方式による目標追尾方法について説明する。
図19において、まず、追尾目標の位置・速度の平滑値および平滑誤差共分散行列の初期値をステップST101で、追尾目標の運動モデルとしての等速直線運動モデルをステップST102でそれぞれ設定する。ステップST103では、ステップST102で設定した等速直線運動モデルにより、1スキャン後の目標の位置・速度を予測して、この予測値の誤差を推定した予測誤差共分散行列を算出する。
【0006】
次に、例えば目標検出装置で検出した探知プロットをステップST104で入力し、等速直線運動モデルによる目標予測位置を中心に予測誤差共分散行列を使用して定まる追尾目標からの探知プロットの確率分布をステップST105で算出する。ステップST106では、その追尾目標からの探知プロット確率分布により決まる目標予測存在範囲内に存在する探知プロットを選択し、ステップST107において、選択された探知プロットが追尾目標からの探知プロットであるかどうかの仮説を生成する。
【0007】
ステップST108では、追尾目標からの探知プロット確率分布を使用してステップST107で生成された仮説の信頼度を求め、目標の平滑位置をステップST109で算出する。ステップST103〜ステップST109の一連の処理は、ステップST110で目標追尾が終了(YES)になるまで繰り返される。
【0008】
次にHMT方式を用いた従来の追尾開始処理について説明する。
図20において、ステップST111で現在のスキャン時刻における観測ベクトルを読み込み、ステップST112でどの観測ベクトルが1スキャン前のどの航跡の目標予測存在範囲内にあるかの判定を行い、ステップST113でこの判定結果をもとにして現在のスキャン時刻における航跡およびクラスタを生成する。
【0009】
ステップST114では、新たに作成されたクラスタ毎に現在のスキャン時刻における観測ベクトルと航跡が相関可能となる全ての場合をそれぞれ行列表示し、ステップST115でこのスキャン時刻における行列表示と航跡に関する1スキャン前の仮説を統合し、航跡に関する現在のスキャン時刻において可能な全ての仮説を作成するとともに、各仮説の信頼度を算出する。
【0010】
そして、ステップST116で、例えばこの信頼度により重要でないと判定された仮説を削除するなどの処理を行い、仮説数を縮小した後にクラスタの分離を行う。ステップST117では航跡の確立が判定され、航跡が確立するまでのステップST111〜ステップST116の一連の処理が繰り返される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の目標追尾方式は以上のように構成されているので、生成した仮説の信頼度を算出する際に必要となる誤警報確率と探知確率とをリアルタイムに求めることができず、追尾性能が劣化してしまうという課題があった。
【0012】
上記の課題を具体的に説明する。
従来のAN追尾方法において、目標位置と目標の運動諸元より求めた目標予測存在位置を中心とする目標予測存在範囲内の各探知プロットが追尾目標からの探知プロットであるとする仮説の信頼度を求める。スキャン時刻tkまでの情報Zkにより仮説xk,i(i=1,2,…,Ik)が真である確率βk,iは式(1)および式(2)で得られることが知られている。
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】
【0015】
ここで、g’(zk,j:zk(−),Sk(−))は、平均zk(−),共分散行列Sk(−)の3変量正規分布のプロット・データzk,jにおける確率密度である。また、δt k,iは各仮説において追尾航跡が探知されたか否かの識別結果であり、探知されていればδt k,i=1,探知されていなければδt k,i=0である。τj k,iは各仮説において観測ベクトルが追尾目標からの反射信号か不要信号かの識別結果を表し、追尾航跡からの信号であればτj k,i=1,不要信号であればτj k,i=0である。
【0016】
さらに、Φk,iは不要信号による観測ベクトルの総数、βFTは単位体積あたりの不要信号の発生頻度、PDは目標の探知確率、PGKは追尾航跡からの観測ベクトルが目標予測存在範囲内に存在する確率をそれぞれ表す。不要信号の発生頻度βFTを求めるには誤警報確率が必要である。
このように、仮説の信頼度βk,iを求めるには、探知確率と誤警報確率とが必要となっている。
【0017】
しかし、これらの探知確率、誤警報確率をローカルのレーダシステムでリアルタイムに求めるアルゴリズムは確立されておらず、従来では固定値または別のシステムから得た値を用いており、このために追尾性能が悪くなっている。
【0018】
また、従来の目標追尾方法は、目標予測存在範囲内で得られた全ての探知プロットについて信頼度を算出しており、処理負荷が重いという課題があった。
【0019】
さらに、従来の目標追尾方法は、追尾開始処理において、目標のS/N値が低い場合は探知確率が小さく航跡が確立するまで時間がかかり、目標初探知や航跡確立が遅くなってしまうという課題があった。
【0020】
例えば、従来の追尾開始方式であるMHT方式は、各航跡に対する探知プロットの割り振りにおいて数スキャン分のデータを勘案してから決める遅延決定のアルゴリズムであり、特にクラッタ中では航跡確立が遅く、さらに航跡への探知プロット割り振りにおいて全ての組み合わせを考慮するため、処理負荷が重い。
【0021】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、AN追尾方式において、今まで目標追尾に活用されていなかった要素を用いて、処理負荷を軽減して高精度で目標追尾を行うことができる目標追尾方法と、目標初探知と航跡確立を早期に行うことが可能なレーダシステムとを構築することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標の位置・速度の平滑値および平滑誤差共分散行列の初期値を設定する初期値設定ステップと、追尾目標の等速直線運動モデルを設定する運動モデル設定ステップと、1スキャン後の追尾目標の位置・速度を等速直線運動モデルで予測して予測誤差共分散行列を算出する予測値・予測誤差共分散行列算出ステップと、検出した探知プロットを入力する探知プロット入力ステップと、等速直線運動モデルによる目標予測位置を中心に、予測誤差共分散行列から定まる追尾目標からの探知プロットの確率分布を算出する探知プロット確率分布算出ステップと、確率分布から定まるエリア内に存在する探知プロットを選択するエリア内外判定ステップと、選択された各探知プロットに関する仮説を生成する仮説生成ステップと、各エリア中の各探知プロットの個数、S/N値または確度をもとに誤警報確率を算出する誤警報確率算出ステップと、各エリア中の各探知プロットの個数、S/N値または確度をもとに探知確率を算出する探知確率算出ステップと、誤警報確率と探知確率とを用いて、仮説の信頼度を算出する仮説信頼度算出ステップと、信頼度を用いて各探知プロットを重みづけ平均して算出される仮想目標位置から、追尾目標の平滑位置を算出する平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップと、追尾処理が終了していない場合には、予測値・予測誤差共分散行列算出ステップへ戻る追尾終了判定ステップとを備えるようにしたものである。
【0023】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標のエリア内における探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する探知プロットカウントステップと、探知プロット数を所定のスキャン回数でスキャン平均するスキャン平均ステップと、スキャン平均ステップのスキャン平均結果をエリア中のセル数で除算して誤警報確率とするスキャン平均結果対セル数比算出ステップとから誤警報確率算出ステップを構成するようにしたものである。
【0024】
この発明に係る目標追尾方法は、探知プロットカウントステップとスキャン平均ステップとの間に、追尾目標のエリア内における探知プロット数からエリア中の航跡数を減算する航跡数減算ステップを備えて誤警報確率算出ステップを構成するようにしたものである。
【0025】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標のエリア内における各探知プロットS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、S/N値スレショルドと比較して低いS/N値の探知プロット数をカウントする低S/N値探知プロットカウントステップと、探知プロット数をエリア中のセル数で除算して誤警報確率とする探知プロットカウント数対セル数比算出ステップとから誤警報確率算出ステップを構成するようにしたものである。
【0026】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標のエリア内における各探知プロットの確度をそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップと、確度スレショルドと比較して低い確度の探知プロット数をカウントする低確度探知プロットカウントステップと、探知プロット数をエリア中のセル数で除算して誤警報確率とする探知プロットカウント数対セル数比算出ステップとから誤警報確率算出ステップを構成するようにしたものである。
【0027】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、各探知プロットのS/N値を単純平均して所要S/N値とする探知プロットS/N値平均ステップと、誤警報確率および所要S/N値から探知確率を導出する探知確率導出ステップとから探知確率算出ステップを構成するようにしたものである。
【0028】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、各探知プロットの確度をそれぞれ算出し、各探知プロットのS/N値を確度によって重み付け平均する探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップと、重み付け平均されたS/N値を所要S/N値として、誤警報確率および所要S/N値から探知確率を導出する探知確率導出ステップとから探知確率算出ステップを構成するようにしたものである。
【0029】
この発明に係る目標追尾方法は、探知プロットS/N値算出ステップと探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップとの間に、探知プロットS/N値算出ステップでスキャン毎に記憶された各探知プロットのS/N値をスキャン平均するスキャン平均ステップを備えて探知確率算出ステップを構成するようにしたものである。
【0030】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、S/N値スレショルドと比較して高いS/N値の探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する高S/N値探知プロットカウントステップと、探知プロット数を所定のスキャン回数で除算して探知確率とする探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップとから探知確率算出ステップを構成するようにしたものである。
【0031】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標のエリア内における各探知プロットの確度をそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップと、確度スレショルドと比較して高い確度の探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する高確度探知プロットカウントステップと、探知プロット数を所定のスキャン回数で除算して探知確率とする探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップとから探知確率算出ステップを構成するようにしたものである。
【0032】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標の位置・速度の平滑値および平滑誤差共分散行列の初期値を設定する初期値設定ステップと、追尾目標の等速直線運動モデルを設定する運動モデル設定ステップと、1スキャン後の追尾目標の位置・速度を等速直線運動モデルで予測して予測誤差共分散行列を算出する予測値・予測誤差共分散行列算出ステップと、検出した探知プロットを入力する探知プロット入力ステップと、等速直線運動モデルによる目標予測位置を中心に、予測誤差共分散行列から定まる追尾目標からの探知プロットの確率分布を算出する探知プロット確率分布算出ステップと、確率分布から定まるエリア内に存在する探知プロットを選択するエリア内外判定ステップと、選択された各探知プロットに関する仮説を生成する仮説生成ステップと、2次監視レーダの応答であるSIFコードを利用して仮説の信頼度を算出するSIFコード利用仮説信頼度算出ステップと、信頼度を用いて各探知プロットを重みづけ平均して算出される仮想目標位置から、追尾目標の平滑位置を算出する平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップと、追尾処理が終了していない場合には、予測値・予測誤差共分散行列算出ステップへ戻る追尾終了判定ステップとを備えるようにしたものである。
【0033】
この発明に係る目標追尾方法は、各探知プロットのSIFコードが追尾目標のSIFコードとどれだけ一致しているかを調べ、各探知プロットのSIFコードの信頼度をそれぞれ算出するSIFコード信頼度算出ステップと、各探知プロットの確度を確率分布からそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップと、SIFコードの信頼度を各探知プロットの確度で重みづけ平均して仮説の信頼度とするSIFコード確度重み付け平均ステップとからSIFコード利用仮説信頼度算出ステップを構成するようにしたものである。
【0034】
この発明に係る目標追尾方法は、SIFコード信頼度算出ステップにおいて、目標平滑位置のSIFコードと追尾目標のSIFコードとの一致度を比較してSIFコードの信頼度とするようにしたものである。
【0035】
この発明に係る目標追尾方法は、仮説生成ステップとSIFコード信頼度算出ステップとの間に、追尾目標のエリア内における各探知プロットの中から、前スキャン時の追尾目標のSIFコードと一致するSIFコードの探知プロットを検索し、このSIFコードの一致する探知プロットを追尾目標からの探知プロットとして平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップへ移行するSIFコード一致判定ステップをSIFコード利用仮説信頼度算出ステップが備えるようにしたものである。
【0036】
この発明に係る目標追尾方法は、追尾目標のエリア内における各探知プロットのドップラ周波数をそれぞれ測定し、測定されたドップラ周波数と1スキャン前のドップラ周波数との差が大きい探知プロットを仮説生成の対象から除外するドップラ周波数変化分判定ステップを仮説生成ステップの前に備えるようにしたものである。
【0037】
この発明に係るレーダシステムは、請求項1から請求項15のうちのいずれか1項記載の目標追尾方法にしたがって、別レーダ覆域で目標追尾を行なう別レーダと、別レーダ覆域と重複領域を共有する本レーダ覆域を有し、請求項1から請求項15のうちのいずれか1項記載の目標追尾方法にしたがって、本レーダ覆域で目標追尾を行なう本レーダと、別レーダと本レーダとを接続し、追尾目標の航跡に関する航跡データを伝送する送信系とから構成されるようにしたものである。
【0038】
この発明に係るレーダシステムは、別レーダ覆域から重複域へ向う航跡が存在すると、航跡に関する航跡データを別レーダが本レーダへ送信系によって送信するとともに、重複域における航跡の出現領域を航跡データから本レーダが推定し、出現領域において受信信号/雑音を区別するスレショルドのレベルを本レーダが下げるようにしたものである。
【0039】
この発明に係るレーダシステムは、航跡の追尾目標の位置・速度を航跡データとして別レーダが本レーダへ送信系によって送信し、航跡データを用いて追尾目標を本レーダがAN追尾するようにしたものである。
【0040】
この発明に係るレーダシステムは、重複域において得られた各探知プロットを航跡データとして別レーダが本レーダへ送信系によって送信するとともに、本レーダ自身で得られた各探知プロットと別レーダから送信された各探知プロットとの相関を本レーダがとり、相関値の高い探知プロットを追尾目標からの探知プロットとして本レーダが採用するようにしたものである。
【0041】
この発明に係るレーダシステムは、別レーダおよび本レーダが重複域内のエリアにおける誤警報確率をそれぞれ算出するとともに、誤警報確率を航跡データとして別レーダが本レーダへ送信系によって送信し、本レーダ自身で得られた誤警報確率と別レーダから送信された誤警報確率とを本レーダが平均して利用するようにしたものである。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。図1の目標追尾方法は、ローカルのレーダシステム内で探知確率と誤警報確率とを順次更新し、更新した探知確率と誤警報確率とを用いて仮説の信頼度を求めて、高精度のAN追尾を行なうものである。
【0043】
図1において、まず、追尾目標の位置・速度の平滑値および平滑誤差共分散行列の初期値をステップST1(初期値設定ステップ)で、追尾目標の運動モデルとして等速直線運動モデルをステップST2(運動モデル設定ステップ)でそれぞれ設定する。ステップST3(予測値・予測誤差共分散行列算出ステップ)では、ステップST2で設定した等速直線運動モデルにより、1スキャン後の追尾目標の位置・速度を予測して、この予測値の誤差を推定した予測誤差共分散行列を算出する。
【0044】
次に、例えば目標検出装置で検出した探知プロットをステップST4(探知プロット入力ステップ)で入力し、等速直線運動モデルによる目標予測位置を中心に予測誤差共分散行列を使用して定まる追尾目標からの探知プロットの確率分布をステップST5(探知プロット確率分布算出ステップ)で算出する。ステップST6(エリア内外判定ステップ)では、その追尾目標からの探知プロット確率分布により決まる目標予測存在範囲(エリア)内に存在する探知プロットを選択し、ステップST7(仮説生成ステップ)において、選択された各探知プロットが追尾目標からの探知プロットであるかどうかの仮説をそれぞれ生成する。
【0045】
ステップST7で生成された仮説の信頼度を求める際には、前述したように、探知確率と誤警報確率とが必要である。従来では、固定値または別システムから探知確率・誤警報確率を得て信頼度を算出していたため、追尾性能の劣化につながっていた。
【0046】
これに対して、この実施の形態1は、ステップST8(誤警報確率算出ステップ)、ステップST9(探知確率算出ステップ)において、各エリア内の探知プロット数と各探知プロットのS/N値とから誤警報確率・探知確率をそれぞれ算出している点に特徴を持っている。
【0047】
まず、誤警報確率の算出処理について説明する。
図2はこの発明の実施の形態1による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、特に図1の誤警報確率算出ステップST8を表している。
【0048】
図2において、全覆域を適当な大きさに区切った各エリア毎に考え、これら各エリアに含まれる探知プロットをステップST13(探知プロットカウントステップ)で全てフォールス(英:false)とみなしてカウントし、このエリア毎のカウント値をスキャン毎にメモリ1に記憶する。ステップST14(スキャン平均ステップ)では、フォールスとカウントされたスキャン毎の探知プロット数をメモリ1から読み出して所定のスキャン回数でスキャン平均する。
【0049】
そして、ステップST15(スキャン平均結果対セル数比算出ステップ)において、ステップST14のスキャン平均結果をエリアに含まれるセル数で除算し、この除算結果を該当のエリアにおける誤警報確率とする。なお、セル数はレーダの分解能より定まり、スキャン平均の際のスキャン回数はレーダシステムの仕様・目的に応じて定めれば良く、特に限定されるものではない。
【0050】
例えば、あるエリアのセル数をC,K回のスキャン回数でスキャン平均するものとする。このとき、1スキャン目でM1個の探知プロット、2スキャン目でM2個の探知プロット、…、Kスキャン目でMK個の探知プロットがあるエリアでそれぞれ得られた場合には、1スキャン当たりの探知プロットの平均値、つまりスキャン平均結果は(M1+M2+…+MK)÷K=(ΣMk)/K個(ただしΣは和の指数k=1,2,…,Kに関する総和)となり、あるエリアの誤警報確率PN=[(ΣMk)/K]/Cと簡単な計算で求めることができる。
【0051】
このように、この実施の形態1では、エリア中の探知プロット全てをフォールスとみなして誤警報確率を求めている。この理由は、AN追尾の目標予測存在範囲(エリア)当たりのセル数Cは数100個以上であり、その1エリア範囲で探知される探知プロット数は1スキャン当たりたかだか数個程度に過ぎないので、探知プロット全てをフォールスとみなしても大きな誤差が生じないからである。ここでは、このような手法で誤警報確率を近似的に算出するようにしている。S/N値や確度を用いた誤警報確率の別の算出方法は実施の形態2〜4で述べる。
【0052】
次に、探知確率の算出処理について説明する。
図3はこの発明の実施の形態1による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、特に図1の探知確率算出ステップST9を表している。
【0053】
図3において、ステップST16(探知プロットS/N値算出ステップ)で各探知プロットのS/N値(信号電力対雑音電力比)をそれぞれ算出し、ステップST17(探知プロットS/N値平均ステップ)で全探知プロットのS/N値を単純平均したものを目標予測存在範囲(エリア)内の所要S/N値とする。探知確率、誤警報確率、所要S/N値のうちの二つが決まると、残りの一つも一意に決まることが一般に知られており、ステップST18(探知確率導出ステップ)で探知確率が導出される。
【0054】
例えば、全探知プロット数をJ個とし、各探知プロットにおけるS/N値をそれぞれS1/N1,S2/N2,…,SJ/NJとすれば、所要S/N値はS/N値の単純平均として、所要S/N値=(S1/N1+S2/N2+…+SJ/NJ)/J=(ΣSj/Nj)/Jとなって、簡単な計算で求めることができる。
【0055】
そして、算出された所要S/N値とステップST8で算出した誤警報確率PNとを用いて、例えばマーカム(Marcum)のQ関数や換算表などから探知確率Pdを導出する。
【0056】
このように、ここでは、各探知プロットのS/N値を単純平均して所要S/N値を求め、ステップST8の誤警報確率と所要S/Nとから探知確率を求めるようにしている。S/N値や確度を用いた探知確率の別の算出方法は実施の形態5〜8で述べる。
【0057】
図1の説明に戻る。
ステップST10(仮説信頼度算出ステップ)では、ステップST8,ステップST9でそれぞれ算出した探知確率と誤警報確率とを用いて、ステップST7で生成した仮説の信頼度を算出する。続いてこの信頼度を用いて各探知プロットを重みづけ平均して算出した位置を仮想的に目標位置として、追尾目標の平滑位置をステップST11(平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップ)で算出する。ステップST3〜ステップST11の一連の処理は、ステップST12(追尾終了判定ステップ)で追尾が終了(YES)になるまで繰り返される。
【0058】
AN追尾において、従来では固定値だった探知確率と誤警報確率とをローカルのレーダシステムにおいてリアルタイムに順次更新することによって、目標予測存在範囲内で得られた探知プロットが追尾目標からのものであるという仮説の信頼度を精度良く求めることができるようになり、高精度のAN追尾が行えるようになる。
【0059】
以上のように、この実施の形態1によれば、追尾目標の位置・速度の平滑値および平滑誤差共分散行列の初期値を設定する初期値設定ステップST1と、追尾目標の運動モデルとして等速直線運動モデルを設定する運動モデル設定ステップST2と、1スキャン後の追尾目標の位置・速度を等速直線運動モデルで予測してその誤差を推定した予測誤差共分散行列を算出する予測値・予測誤差共分散行列算出ステップST3と、検出した探知プロットを入力する探知プロット入力ステップST4と、等速直線運動モデルによる目標予測位置を中心に、予測誤差共分散行列から定まる追尾目標からの探知プロットの確率分布を算出する探知プロット確率分布算出ステップST5と、確率分布から定まるエリア内に存在する探知プロットを選択するエリア内外判定ステップST6と、選択された各探知プロットに関する仮説を生成する仮説生成ステップST7と、全覆域を適当に分割した各エリア中の各探知プロットの個数、S/N値または確度をもとに誤警報確率を算出する誤警報確率算出ステップST8と、全覆域を適当に分割した各エリア中の各探知プロットの個数、S/N値または確度をもとに探知確率を算出する探知確率算出ステップST9と、誤警報確率と探知確率とを用いて、仮説の信頼度を算出する仮説信頼度算出ステップST10と、信頼度を用いて各探知プロットを重みづけ平均して算出される仮想目標位置から、追尾目標の平滑位置を算出する平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップST11と、追尾処理が終了していない場合には、予測値・予測誤差共分散行列算出ステップST3へ戻る追尾終了判定ステップST12とを備えるようにしたので、固定値や別のシステムを用いることなく、誤警報確率と探知確率とをリアルタイムで得られるようになり、追尾性能を向上することができるという効果が得られる。
【0060】
また、この実施の形態1によれば、追尾目標のエリア内における探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する探知プロットカウントステップST13と、探知プロット数を所定のスキャン回数でスキャン平均するスキャン平均ステップST14と、スキャン平均ステップST14のスキャン平均結果をエリア中のセル数で除算して誤警報確率とするスキャン平均結果対セル数比算出ステップST15とから誤警報確率算出ステップST8を構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において誤警報確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0061】
さらに、この実施の形態1によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップST16と、各探知プロットのS/N値を単純平均して所要S/N値とする探知プロットS/N値平均ステップST17と、誤警報確率および所要S/N値から探知確率を導出する探知確率導出ステップST18とから探知確率算出ステップST9を構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0062】
実施の形態2.
この実施の形態2では、追尾目標のエリアに航跡が含まれている場合の誤警報確率の算出処理について説明する。
【0063】
図4はこの発明の実施の形態2による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、特に図1の誤警報確率算出ステップST8を表している。図2と同一符号は同一または相当するステップである。
【0064】
図4において、ステップST13とステップST14との間に設けられたステップST19(航跡数減算ステップ)は、誤警報確率を算出するエリアに航跡が含まれている場合に、エリアの探知プロット数からエリアの航跡数を減算し、ステップST13に代わってこの減算結果をメモリ1に記憶する処理である。
【0065】
航跡は追尾目標を表しているので、誤警報確率を算出するエリアに航跡が含まれている場合には、ステップST13でフォールスとカウントされた探知プロット数から航跡の分を除外する。つまり、ステップST19において、ステップST13の探知プロット数から航跡数を減算し、この減算結果を全てフォールスとみなしてメモリ1にスキャン毎に記憶する。ステップST14〜ステップST15では、実施の形態1と同様に、所定のスキャン回数のスキャン平均結果をセル数で除算して誤警報確率を算出する。
【0066】
このように、航跡をフォールスとカウントしないようにしているので、誤警報確率をリアルタイムで正確に求めることができる。
【0067】
以上のように、この実施の形態2によれば、探知プロットカウントステップST13とスキャン平均ステップST14との間に、追尾目標のエリア内における探知プロット数からエリア中の航跡数を減算してスキャン毎に記憶する航跡数減算ステップST19を備えて誤警報確率算出ステップST8を構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において誤警報確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0068】
実施の形態3.
この実施の形態3では、探知プロットをフォールスとみなして誤警報確率を算出する際に、そのS/N値によって探知プロットを選別する手法について説明する。
【0069】
図5はこの発明の実施の形態3による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、特に図1の誤警報確率算出ステップST8を表している。図3と同一符号は同一または相当するステップである。
【0070】
図5において、ステップST20(低S/N値探知プロットカウントステップ)は、追尾目標の目標予測存在範囲内に存在し、S/N値スレショルドと比較してS/N値が十分に低い探知プロットをフォールスとみしてカウントする処理である。また、ステップST21(探知プロットカウント数対セル数比算出ステップ)は、ステップST20でカウントされた探知プロット数をエリアのセル数で除算して誤警報確率とする処理である。
【0071】
フォールスとしての反射信号はS/N値が低くなる傾向にあり、また追尾目標からの反射信号はS/N値が高くなる傾向にあるので、この実施の形態3では、高S/N値の探知プロットをフォールスとしてカウントしないようにしている。
【0072】
まず、追尾目標の目標予測存在範囲内に存在する各探知プロットのS/N値をステップST16でそれぞれ算出し、各探知プロットのS/N値をS/N値スレショルドとそれぞれ比較して、S/N値が十分に低い探知プロットをフォールスとしてステップST20でカウントする。そして、ステップST21において、ステップST20の探知プロットカウント数を目標予測存在範囲内のセル数で除算して誤警報確率とする。
【0073】
このように、低S/N値の探知プロットだけをフォールスとカウントしているので、誤警報確率をリアルタイムで正確に求めることができる。
【0074】
なお、特に限定されるものではないが、S/N値スレショルドは、例えば全探知プロットS/N値の平均値(a)やメディアン値(b),絶対偏差の平均値(c),標準偏差(d)などを求め、(a−c),(a−d),(b−c),(b−d)などを用いれば良い。
【0075】
以上のように、この実施の形態3によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップST16と、S/N値スレショルドと比較して低いS/N値の探知プロット数をカウントする低S/N値探知プロットカウントステップST20と、探知プロット数をエリア中のセル数で除算して誤警報確率とする探知プロットカウント数対セル数比算出ステップST21とから誤警報確率算出ステップST8を構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において誤警報確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0076】
実施の形態4.
探知プロットをフォールスとみなして誤警報確率を算出する際に、その確度によって探知プロットを選別するようにしても良い。
【0077】
図6はこの発明の実施の形態4による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、特に図1の誤警報確率算出ステップST8を表している。図5と同一符号は同一または相当するステップである。
【0078】
図6において、ステップST22(探知プロット確度算出ステップ)は追尾目標の目標予測存在範囲内に存在する各探知プロットの確度をそれぞれ算出する処理を、ステップST23(低確度探知プロットカウントステップ)は確度スレショルドと比較して確度が十分に低い探知プロットをフォールスとしてカウントする処理をそれぞれ表している。
【0079】
確度とは、目標予測存在範囲に例えば正規分布などの確率分布を設け、この確率分布から各探知プロットの尤度をそれぞれ算出し、算出された各尤度の合計値を1に規格化したときの各尤度の値である。つまり、目標予測位置から離れた探知プロットほど確度が低くなるので、低確度の探知プロットほど追尾目標からの信号である可能性も低くなる。
【0080】
したがって、まず、追尾目標の目標予測存在範囲内に存在する各探知プロットの確度をステップST22で算出し、確度スレショルドと比較して十分に確度が低い探知プロットをフォールスとしてステップST23でカウントする。そして、ステップST21において、ステップST23のカウント数を目標予測存在範囲内のセル数で除算して誤警報確率とする。
【0081】
このように、低確度の探知プロットだけをフォールスとカウントしているので、誤警報確率をリアルタイムで正確に求めることができる。
【0082】
なお、特に限定されるものではないが、確度スレショルドは、例えば全探知プロット確度の平均値(a’)やメディアン値(b’),絶対偏差の平均値(c’),標準偏差(d’)などを求め、(a’−c’),(a’−d’),(b’−c’),(b’−d’)などを用いても良いし、確度は規格化されているので1/2を確度スレショルドとしても良い。
【0083】
以上のように、この実施の形態4によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットの確度をそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップST22と、確度スレショルドと比較して低い確度の探知プロット数をカウントする低確度探知プロットカウントステップST23と、探知プロット数をエリア中のセル数で除算して誤警報確率とする探知プロットカウント数対セル数比算出ステップST21とから誤警報確率算出ステップST8を構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において誤警報確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0084】
実施の形態5.
誤警報確率と所要S/N値とから探知確率を算出する際に、その確度によって探知プロットを重み付け平均して所要S/N値を算出するようにしても良い。
【0085】
図7はこの発明の実施の形態5による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、特に図1の探知確率算出ステップST9を表している。図3と同一符号は同一または相当するステップである。
【0086】
図7において、ステップST16とステップST18との間に設けられたステップST24(探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップ)は、各探知プロットの確度をステップST22と同様に算出して、ステップST16で得られた各探知プロットのS/N値を確度で重み付け平均化する処理である。
【0087】
まず、追尾目標の目標予測存在範囲内に存在する各探知プロットのS/N値をステップST16でそれぞれ算出する。次にステップST24において、各探知プロットの確度をそれぞれ算出して、ステップST16で得られた各S/N値を確度で重み付け平均する。そして重み付け平均されたS/N値を所要S/N値として、この所要S/N値と誤警報確率とから探知確率をステップST18で導出する。
【0088】
実施の形態4でも述べたように、高確度の探知プロットほど追尾目標からの反射信号である可能性が高くなり、低確度の探知プロットほどこの可能性が低くなるので、各探知プロットのS/N値を確度で重み付け平均することにより、得られた所要S/N値は精度の高い値になり、したがって探知確率もリアルタイムで精度良く導出できるようになる。
【0089】
以上のように、この実施の形態5によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップST16と、各探知プロットの確度をそれぞれ算出し、各探知プロットのS/N値を確度によって重み付け平均する探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップST24と、重み付け平均されたS/N値を所要S/N値として、誤警報確率および所要S/N値から探知確率を導出する探知確率導出ステップST18とから探知確率算出ステップST9を構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0090】
実施の形態6.
実施の形態5の重み付け平均化されたS/N値を数スキャン分だけさらに平均化するようにしても良い。
【0091】
図8はこの発明の実施の形態6による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、特に図1の探知確率算出ステップST9を表している。図2,図7と同一符号は同一または相当するステップである。
【0092】
この実施の形態6では、実施の形態5(図7)のステップST16とステップST24との間にステップST14(スキャン平均処理ステップ)を設けるようにしている。
【0093】
このようにして、ステップST16で算出されたS/N値をスキャン毎にメモリ1に記憶し、ステップST14でメモリ1の各探知プロットのS/N値を所定のスキャン回数でスキャン平均することにより、ステップST24でスキャン平均されるS/N値がさらに平均化されるようになり、実施の形態5と同様の効果が得られる。
【0094】
以上のように、この実施の形態6によれば、探知プロットS/N値算出ステップST16と探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップST24との間に、探知プロットS/N値算出ステップST16でスキャン毎に記憶された各探知プロットのS/N値をスキャン平均するスキャン平均ステップST14を備えて探知確率算出ステップST9を構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0095】
実施の形態7.
各S/N値の高低を判定して十分に高い値のS/N値の探知プロットを数スキャン分カウントし、このカウント値から探知確率を算出するようにしても良い。
【0096】
図9はこの発明の実施の形態7による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、特に図1の探知確率算出ステップST9を表している。図3と同一符号は同一または相当するステップである。
【0097】
図9において、ステップST25(高S/N値探知プロットカウントステップ)はスキャン毎に各探知プロットのS/N値の高低を判定してS/N値スレショルドより十分に高いS/N値の探知プロットをカウントする処理を、ステップST26(探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップ)はカウントされた探知プロットの数をスキャン回数で除算して探知確率とする処理をそれぞれ表している。
【0098】
航跡が確立している追尾目標の目標予測存在範囲内で得られた探知プロットのS/N値が十分高い場合、図9に示すように、ステップST25で探知プロットがあるとみなしてメモリ1に記憶し、それをスキャン毎に調べて、ステップST26で探知プロットがあった回数をスキャン回数で割って探知確率とする。
【0099】
このことにより、この実施の形態7においても、実施の形態1と同様の効果が得られる。なお、探知プロットのS/N値の高低判定は、実施の形態3と同様に考える。
【0100】
以上のように、この実施の形態7によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップST16と、S/N値スレショルドと比較して高いS/N値の探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する高S/N値探知プロットカウントステップST25と、探知プロット数を所定のスキャン回数で除算して探知確率とする探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップST26とから探知確率算出ステップST9を構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0101】
実施の形態8.
確度の高低を判定して十分に高い確度の探知プロットをカウントし、このカウント値から探知確率を算出するようにしても良い。
【0102】
図10はこの発明の実施の形態8による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、特に図1の探知確率算出ステップST9を表している。図6,図9と同一符号は同一または相当するステップである。
【0103】
図10において、ステップST22とステップST26との間に設けられたステップST27(高確度探知プロットカウントステップ)は、目標予測存在範囲内で得られた探知プロットについて、探知プロット確率分布より求まる確度が高い探知プロットをカウントしてメモリ1に記憶する処理を表している。
【0104】
図10に示すように、ステップST22では、探知プロット確率分布から目標予測存在範囲内で得られた各探知プロットの確度をそれぞれ算出する。ステップST27では、算出された確度が確度スレショルドよりも高い場合、この高い確度の探知プロットをカウントする。1スキャン毎のカウント値はメモリ1に蓄えられ、数スキャン分だけ蓄えられると、ステップST26へ移行して、探知プロットのカウント数をスキャン回数で除算して探知確率とする。
【0105】
このように、確度をもとに探知確率を算出しているので、探知確率をリアルタイムで正確に求めることができる。
【0106】
以上のように、この実施の形態8によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットの確度をそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップST22と、確度スレショルドと比較して高い確度の探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する高確度探知プロットカウントステップST27と、探知プロット数を所定のスキャン回数で除算して探知確率とする探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップST26とから探知確率算出ステップST9を構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0107】
実施の形態9.
実施の形態1〜8では、仮説の信頼度を向上させるため、各探知プロットのS/N値や確度でリアルタイムに探知確率と誤警報確率とを求める手法を示したが、この代わりに、探知プロットとそのプロットに対する2次監視レーダの応答であるSIF(Selective Identification Feature)コードの信頼度を仮説の信頼度に関連付けても良い。
【0108】
図11はこの発明の実施の形態9による目標追尾方法の処理を示すフローチャートであり、SIFコードの信頼度を仮説の信頼度に関連づけてAN追尾を行うものである。図1,図6と同一符号は同一または相当するステップである。
図11では、ステップST28,ST22,ST29からSIFコード利用仮説信頼度算出ステップが構成されており、SIFコードを利用して仮説の信頼度を算出している。
【0109】
SIFコードとは、地上の2次監視レーダから電波送信された質問信号パルスに応答して機上から地上へ電波送信される特定の応答信号パルスであり、この応答信号パルスを受信・解読すると、目標の敵味方・機種などの識別・飛行高度などの情報が地上で得られる。
【0110】
例えば、SIFアンテナのビーム幅は広いため、追尾目標の目標予測存在範囲内において得られた各探知プロットについてSIFコードが1スキャンで多数得られるので、ステップST1〜ステップST7の処理の後に、これら各探知プロットのSIFコードが追尾目標のSIFコードとどれだけ一致しているか調べるようにして、SIFコードの信頼度を算出する(ステップST28,SIFコード信頼度算出ステップ)。
【0111】
次にステップST22において、各探知プロットの確度を確率分布からそれぞれ算出し、ステップST29(SIFコード確度重み付け平均ステップ)でステップST28のSIFコードの信頼度をステップST22の確度で重みづけ平均し、この重み付け平均の結果を仮説の信頼度とする。そして、ステップST11,ステップST12の処理が行なわれる。
【0112】
このように、この実施の形態9においても、仮説の信頼度向上が図れるため、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0113】
以上のように、この実施の形態9によれば、仮説生成ステップST7と平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップST11との間に、各探知プロットのSIFコードが追尾目標のSIFコードとどれだけ一致しているかを調べ、SIFコードの信頼度を算出するSIFコード信頼度算出ステップST28と、各探知プロットの確度を確率分布からそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップST22と、SIFコードの信頼度を各探知プロットの確度で重みづけ平均して仮説の信頼度とするSIFコード確度重み付け平均ステップST29とから構成されるSIFコード利用仮説信頼度算出ステップを備えるようにしたので、SIFコードの利用によって、仮説の信頼度の精度が向上して、高精度のAN追尾が可能になるという効果が得られる。
【0114】
実施の形態10.
図12はこの発明の実施の形態10による目標追尾方法の処理を説明するための図である。
【0115】
図12(a)において、2はSIFコード‘1234’の目標平滑位置、3は目標予測位置、4は目標予測位置3を中心とした目標予測存在範囲、I,II,IIIはそれぞれ目標予測存在範囲4内の探知プロットである。探知プロットIは ‘1235’,探知プロットIIは‘2256’となっており、探知プロットIIIはSIFコードが得られなかったとする。
【0116】
実施の形態9では、1スキャンで多数得られるSIFコードからSIFコードの信頼度を求める手法について説明したが、追尾目標の目標予測存在範囲内において得られた探知プロットそれぞれについて、多数得られたSIFコードをもとに目標平滑位置2のSIFコードが一つに決まり、このSIFコードと追尾目標のSIFコードとを比較する。
【0117】
例えば図12(a)に示すように、モード3の場合のSIFコードは桁数が4桁なので、各桁毎にSIFコードを比較し、探知プロットIの場合のように、目標平滑位置2のSIFコードと3桁が一致していたならば、SIFコードの信頼度を3/4(一致度)とする(その他は図12(b)の表)。これを探知プロットの確率分布から求まる確度で軽い重み付け平均したものを仮説の信頼度としても良い。このとき、SIFコードのモードCで得られた高度情報が前スキャン時の高度情報と大きく異なる場合、その探知プロットは重みづけに用いない。
【0118】
このことにより、実施の形態10においても仮説の信頼度向上が図れるため、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0119】
以上のように、この実施の形態10によれば、SIFコード信頼度算出ステップST28において、目標平滑位置2のSIFコードと追尾目標のSIFコードとの一致度を比較してSIFコードの信頼度とするようにしたので、SIFコードの利用によって、仮説の信頼度の精度が向上して、高精度のAN追尾が可能になるという効果が得られる。
【0120】
実施の形態11.
図13はこの発明の実施の形態11による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。図1,図11と同一符号は同一または相当するステップである。
【0121】
実施の形態9では、SIFコードの信頼度を仮説の信頼度に関連付け、仮説の信頼度向上を図ったが、図13に示すように、ステップST7とステップST28との間に設けられたステップST30(SIFコード利用仮説信頼度算出ステップ、SIFコード一致判定ステップ)において、追尾目標の目標予測存在範囲内において得られた探知プロットの中で、そのSIFコードが前スキャン時の追尾目標のSIFコードと一致したならば、それを追尾目標からの探知プロットとしてステップST11へ移行し、ステップST11でその探知プロットの位置から目標の平滑位置を求める。
【0122】
このことにより、AN追尾において、目標予測存在範囲内の探知プロットの中から追尾目標の探知プロットが軽い処理負荷で得られる。
【0123】
以上のように、この実施の形態11によれば、仮説生成ステップST7とSIFコード信頼度算出ステップST28との間に、追尾目標のエリアにおける各探知プロットの中で、前スキャン時の追尾目標のSIFコードと一致するSIFコードの探知プロットを検索し、このSIFコードの一致する探知プロットを追尾目標からの探知プロットとして平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップST11へ移行するSIFコード一致判定ステップST30を備えてSIFコード利用仮説信頼度算出ステップを構成するようにしたので、AN追尾において、エリア中の全探知プロットの中から追尾目標の探知プロットを軽い処理負荷で推定できるという効果が得られる。
【0124】
実施の形態12.
実施の形態1〜8では、AN追尾において追尾目標の目標予測存在範囲内で得られた全ての探知プロットに対して仮説の信頼度を求めたが、各探知プロットのドップラ周波数を利用して、仮説を生成する探知プロットと仮説を生成しない探知プロットとを選別するようにしても良い。
【0125】
図14はこの発明の実施の形態12による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。図1と同一符号は同一または相当するステップである。
図14では、ステップST6とステップST7との間にステップST31(ドップラ周波数変化分判定ステップ)を設けている。図14の目標追尾方法では、ステップST7で探知プロットの仮説生成が行なわれる前にステップST31の処理が行なわれる。
【0126】
すなわち、ステップST31では、目標予測存在範囲内の各探知プロットのドップラ周波数をそれぞれ測定し、測定されたドップラ周波数と1スキャン前の追尾目標のドップラ周波数とを各探知プロット毎に比較する。両者のドップラ周波数が大きく異なる探知プロットは追尾目標からの反射信号である可能性が低いため、この探知プロットをステップST7の仮説生成の対象から除外し、これ以外の探知プロットの仮説をステップST7で生成する。
【0127】
このことにより、AN追尾において、目標予測存在範囲内の全探知プロットの中から追尾目標の探知プロットを軽い処理負荷で推定できる。
【0128】
以上のように、この実施の形態12によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットのドップラ周波数をそれぞれ測定し、測定されたドップラ周波数と1スキャン前のドップラ周波数との差が大きい探知プロットを仮説生成の対象から除外するドップラ周波数変化分判定ステップST31を仮説生成ステップST7の前に備えるようにしたので、AN追尾において、エリア中の全探知プロットの中から追尾目標の探知プロットを軽い処理負荷で推定できるという効果が得られる。
【0129】
実施の形態13.
以上の実施の形態1〜12では、ローカルのレーダシステム単体のみでの処理であったが、この実施の形態13から実施の形態16までは、本レーダと別レーダとが存在し、両者のレーダの覆域が重なっている場合を考え、別レーダで捉えた追尾目標の航跡情報を本レーダで利用することにより、本レーダでの目標の初探知を早める。
【0130】
図15はこの発明の実施の形態13によるレーダシステムの構成・動作を説明するための図である。
【0131】
図15において、11は実施の形態1〜12の目標追尾方法に従う別レーダ、12は別レーダ11の覆域、13は実施の形態1〜12の目標追尾方法に従う本レーダ、14は本レーダ13の覆域、15は覆域12と覆域14との重複域である。また、16は別レーダ11で捉えた追尾目標の航跡であり、航跡16は覆域12から重複域15へ向っている。さらに、17は航跡16に関する航跡データを伝送する送信系であり、別レーダ11と本レーダ13とを接続している。
【0132】
図15に示すように、例えば別レーダ11で捉えた追尾目標の航跡16が本レーダ13の覆域14内へ入ろうとしているとき、別レーダ11から本レーダ13へ追尾目標の送信系17で航跡データを与えて、その航跡データを本レーダ13で利用することで、本レーダ13の覆域14内のどのあたりにその目標が現れるのか推測できる。
【0133】
本レーダ13は、航跡データを基にして航跡16が出現する重複域15中斜線部分の出現領域18を推定し、受信信号/雑音を区別するスレショルドのレベルをこの出現領域18で下げるようにする。
【0134】
このようにすることで、フォールスが多くなるものの、追尾目標の探知がしやすくなる。このことにより、本レーダ13での追尾目標の初探知を早められる。
【0135】
なお、別レーダ11と本レーダ13の役割は可換であり、本レーダ13から別レーダ11へ送信系17で航跡データが送信されてももちろん良い。
【0136】
以上のように、この実施の形態13によれば、実施の形態1〜12の目標追尾を覆域12で行なう別レーダ11と、別レーダ11の覆域12と重複領域15を共有し、実施の形態1〜12の目標追尾を覆域14で行なう本レーダ13と、別レーダ11と本レーダ13とを接続し、航跡16の航跡データを伝送する送信系17とから構成するようにしたので、追尾目標の探知が容易になり、追尾目標の初探知を早めることができるという効果が得られる。
【0137】
また、この実施の形態13によれば、別レーダ11の覆域12から重複域15へ向う追尾目標の航跡16が存在すると、航跡16に関する航跡データを別レーダ11が送信系17で本レーダ13へ送信するとともに、航跡データから航跡16の出現領域18を本レーダ13が推定し、出現領域18において受信信号/雑音を区別するスレショルドのレベルを本レーダ13が下げるようにしたので、追尾目標の探知が容易になり、追尾目標の初探知を早めることができるという効果が得られる。
【0138】
実施の形態14.
図16はこの発明の実施の形態14によるレーダシステムの構成・動作を説明するための図である。図15と同一符号は同一または相当する構成である。
【0139】
実施の形態13では、別レーダ11で捉えた追尾目標の航跡16を本レーダ13で利用することで、本レーダ13での追尾目標初探知を早めたが、図16に示すように、別レーダ11で捉えた追尾目標の航跡16が本レーダ13の覆域14内に入ったとき、別レーダ11の覆域12と本レーダ13の覆域14とが重複域15で重なっているため、別レーダ11で求めた追尾目標の位置・速度を航跡データとして送信系17で送信し、この追尾目標の位置・速度を本レーダ13で利用する。
【0140】
すなわち、追尾目標の位置・速度が航跡データとして別レーダ11から本レーダ13へ送信系17で与えられるので、本レーダ13での追尾開始に処理負荷の重いMHT方式を用いなくても、それに比べて処理負荷の軽いAN追尾方式で目標を追尾していくことができる。このことにより、本レーダ13においてMHT方式に比べて軽い処理負荷で目標追尾を開始できる。
【0141】
以上のように、この実施の形態14によれば、航跡16の追尾目標の位置・速度を航跡データとして別レーダ11から本レーダ13へ送信系17によって送信し、本レーダ13が航跡データによって追尾目標をAN追尾するようにしたので、処理負荷の軽いAN追尾方式によって本レーダ13が追尾開始を行なうことができるという効果が得られる。
【0142】
実施の形態15.
図17はこの発明の実施の形態15によるレーダシステムの構成・動作を説明するための図である。図15と同一符号は同一または相当する構成である。
【0143】
図17に示すように、別レーダ11の覆域12と本レーダ13の覆域14とが重なっている重複域15では、別レーダ11,本レーダ13によって探知プロットがそれぞれ得られる。このことを利用して、別レーダ11から本レーダ13へ探知プロットを航跡データとして送信系17で送信し、本レーダ13は両者で得られた探知プロットの相関をとる。
【0144】
例えば図17(a)中の航跡16が重複域15の目標予測存在範囲19へ向った場合、図17(b)の目標予測存在範囲19の拡大図に示すように、別レーダ11で得られた各探知プロット(×印)と本レーダ13で得られた各探知プロット(○印)とを相関処理すると、符号Rを付した位置の探知プロットは相関値が高く、追尾目標からの探知プロットとして採用される。
【0145】
このように、重複域15において、別レーダ11,本レーダ13の探知プロットの相関を取ることにより、追尾目標からの探知プロットなのかフォールスなのかを判別することができ、追尾目標からの探知プロットの位置を正しく求めやすくなる。
【0146】
なお、別レーダ11から本レーダ13へ航跡データ17を送るのに時間がかかるため、追尾目標からの探知プロット以外を省けるのは数スキャン前に得た探知プロットであるが、本レーダ13のみを用いた場合より早く追尾目標の正しい航跡16を確立でき、本レーダ13において追尾目標の航跡確立が早くなる。
【0147】
以上のように、この実施の形態15によれば、重複域15において得られた各探知プロットを航跡データとして別レーダ11が本レーダ13へ送信系17によって送信するとともに、本レーダ13自身で得られた各探知プロットと別レーダ11から送信された各探知プロットとの相関を本レーダ13がとり、相関値の高い探知プロットを追尾目標からの探知プロットとして本レーダ13が採用するようにしたので、本レーダ13単独の場合と比較して、追尾目標の正しい航跡16をより早く確立でき、本レーダ13において追尾目標の航跡確立が早くなるという効果が得られる。
【0148】
実施の形態16.
図18はこの発明の実施の形態16によるレーダシステムの構成・動作を説明するための図である。図15と同一符号は同一または相当する構成である。
【0149】
図18に示すように、重複域15では、実施の形態1〜4で示した誤警報確率の算出方法により、別レーダ11と本レーダ13との両方でそのエリアの誤警報確率を求められる。そして、別レーダ11で得られた誤警報確率を誤警報確率データとして本レーダ13へ送信し、本レーダ13で両者の誤警報確率を平均して自身の誤警報確率として用いることで、本レーダ13で目標追尾に用いる誤警報確率の精度を向上することができる。このことにより、それぞれのレーダでAN追尾を行う場合、精度の良い誤警報確率を用いることができ、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0150】
以上のように、この実施の形態16によれば、別レーダ11および本レーダ13が重複域15内のエリアにおける誤警報確率を実施の形態1〜4によって算出するとともに、別レーダ11が本レーダ13へ誤警報確率データを送信系17によって送信し、別レーダ11から送信された誤警報確率と本レーダ13における誤警報確率とを本レーダ13が平均して利用するようにしたので、本レーダ13における誤警報確率の精度を向上することができるという効果が得られる。
【0151】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、追尾目標の位置・速度の平滑値および平滑誤差共分散行列の初期値を設定する初期値設定ステップと、追尾目標の等速直線運動モデルを設定する運動モデル設定ステップと、1スキャン後の追尾目標の位置・速度を等速直線運動モデルで予測して予測誤差共分散行列を算出する予測値・予測誤差共分散行列算出ステップと、検出した探知プロットを入力する探知プロット入力ステップと、等速直線運動モデルによる目標予測位置を中心に、予測誤差共分散行列から定まる追尾目標からの探知プロットの確率分布を算出する探知プロット確率分布算出ステップと、確率分布から定まるエリア内に存在する探知プロットを選択するエリア内外判定ステップと、選択された各探知プロットに関する仮説を生成する仮説生成ステップと、各エリア中の各探知プロットの個数、S/N値または確度をもとに誤警報確率を算出する誤警報確率算出ステップと、各エリア中の各探知プロットの個数、S/N値または確度をもとに探知確率を算出する探知確率算出ステップと、誤警報確率と探知確率とを用いて、仮説の信頼度を算出する仮説信頼度算出ステップと、信頼度を用いて各探知プロットを重みづけ平均して算出される仮想目標位置から、追尾目標の平滑位置を算出する平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップと、追尾処理が終了していない場合には、予測値・予測誤差共分散行列算出ステップへ戻る追尾終了判定ステップとを備えるようにしたので、固定値や別のシステムを用いることなく、誤警報確率と探知確率とをリアルタイムで得られるようになり、追尾性能を向上することができるという効果が得られる。
【0152】
この発明によれば、追尾目標のエリア内における探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する探知プロットカウントステップと、探知プロット数を所定のスキャン回数でスキャン平均するスキャン平均ステップと、スキャン平均ステップのスキャン平均結果をエリア中のセル数で除算して誤警報確率とするスキャン平均結果対セル数比算出ステップとから誤警報確率算出ステップを構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において誤警報確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0153】
この発明によれば、探知プロットカウントステップとスキャン平均ステップとの間に、追尾目標のエリア内における探知プロット数からエリア中の航跡数を減算する航跡数減算ステップを備えて誤警報確率算出ステップを構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において誤警報確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0154】
この発明によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、S/N値スレショルドと比較して低いS/N値の探知プロット数をカウントする低S/N値探知プロットカウントステップと、探知プロット数をエリア中のセル数で除算して誤警報確率とする探知プロットカウント数対セル数比算出ステップとから誤警報確率算出ステップを構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において誤警報確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0155】
この発明によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットの確度をそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップと、確度スレショルドと比較して低い確度の探知プロット数をカウントする低確度探知プロットカウントステップと、探知プロット数をエリア中のセル数で除算して誤警報確率とする探知プロットカウント数対セル数比算出ステップとから誤警報確率算出ステップを構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において誤警報確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0156】
この発明によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、各探知プロットのS/N値を単純平均して所要S/N値とする探知プロットS/N値平均ステップと、誤警報確率および所要S/N値から探知確率を導出する探知確率導出ステップとから探知確率算出ステップを構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0157】
この発明によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、各探知プロットの確度をそれぞれ算出し、各探知プロットのS/N値を確度によって重み付け平均する探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップと、重み付け平均されたS/N値を所要S/N値として、誤警報確率および所要S/N値から探知確率を導出する探知確率導出ステップとから探知確率算出ステップを構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0158】
この発明によれば、探知プロットS/N値算出ステップと探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップとの間に、探知プロットS/N値算出ステップでスキャン毎に記憶された各探知プロットのS/N値をスキャン平均するスキャン平均ステップを備えて探知確率算出ステップを構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0159】
この発明によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、S/N値スレショルドと比較して高いS/N値の探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する高S/N値探知プロットカウントステップと、探知プロット数を所定のスキャン回数で除算して探知確率とする探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップとから探知確率算出ステップを構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0160】
この発明によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットの確度をそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップと、確度スレショルドと比較して高い確度の探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する高確度探知プロットカウントステップと、探知プロット数を所定のスキャン回数で除算して探知確率とする探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップとから探知確率算出ステップを構成するようにしたので、ローカルのレーダシステム内において探知確率を正確かつ簡単に算出できるという効果が得られる。
【0161】
この発明によれば、追尾目標の位置・速度の平滑値および平滑誤差共分散行列の初期値を設定する初期値設定ステップと、追尾目標の等速直線運動モデルを設定する運動モデル設定ステップと、1スキャン後の追尾目標の位置・速度を等速直線運動モデルで予測して予測誤差共分散行列を算出する予測値・予測誤差共分散行列算出ステップと、検出した探知プロットを入力する探知プロット入力ステップと、等速直線運動モデルによる目標予測位置を中心に、予測誤差共分散行列から定まる追尾目標からの探知プロットの確率分布を算出する探知プロット確率分布算出ステップと、確率分布から定まるエリア内に存在する探知プロットを選択するエリア内外判定ステップと、選択された各探知プロットに関する仮説を生成する仮説生成ステップと、2次監視レーダの応答であるSIFコードを利用して仮説の信頼度を算出するSIFコード利用仮説信頼度算出ステップと、信頼度を用いて各探知プロットを重みづけ平均して算出される仮想目標位置から、追尾目標の平滑位置を算出する平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップと、追尾処理が終了していない場合には、予測値・予測誤差共分散行列算出ステップへ戻る追尾終了判定ステップとを備えるようにしたので、SIFコードの利用によって、仮説の信頼度の精度が向上して、高精度のAN追尾が可能になるという効果が得られる。
【0162】
この発明によれば、各探知プロットのSIFコードが追尾目標のSIFコードとどれだけ一致しているかを調べ、各探知プロットのSIFコードの信頼度をそれぞれ算出するSIFコード信頼度算出ステップと、各探知プロットの確度を確率分布からそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップと、SIFコードの信頼度を各探知プロットの確度で重みづけ平均して仮説の信頼度とするSIFコード確度重み付け平均ステップとからSIFコード利用仮説信頼度算出ステップを構成するようにしたので、SIFコードの利用によって、仮説の信頼度の精度が向上して、高精度のAN追尾が可能になるという効果が得られる。
【0163】
この発明によれば、SIFコード信頼度算出ステップにおいて、目標平滑位置のSIFコードと追尾目標のSIFコードとの一致度を比較してSIFコードの信頼度とするようにしたので、SIFコードの利用によって、仮説の信頼度の精度が向上して、高精度のAN追尾が可能になるという効果が得られる。
【0164】
この発明によれば、仮説生成ステップとSIFコード信頼度算出ステップとの間に、追尾目標のエリア内における各探知プロットの中から、前スキャン時の追尾目標のSIFコードと一致するSIFコードの探知プロットを検索し、このSIFコードの一致する探知プロットを追尾目標からの探知プロットとして平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップへ移行するSIFコード一致判定ステップをSIFコード利用仮説信頼度算出ステップが備えるようにしたので、AN追尾において、エリア中の全探知プロットの中から追尾目標の探知プロットを軽い処理負荷で推定できるという効果が得られる。
【0165】
この発明によれば、追尾目標のエリア内における各探知プロットのドップラ周波数をそれぞれ測定し、測定されたドップラ周波数と1スキャン前のドップラ周波数との差が大きい探知プロットを仮説生成の対象から除外するドップラ周波数変化分判定ステップを仮説生成ステップの前に備えるようにしたので、AN追尾において、エリア中の全探知プロットの中から追尾目標の探知プロットを軽い処理負荷で推定できるという効果が得られる。
【0166】
この発明によれば、請求項1から請求項15のうちのいずれか1項記載の目標追尾方法にしたがって、別レーダ覆域で目標追尾を行なう別レーダと、別レーダ覆域と重複領域を共有する本レーダ覆域を有し、請求項1から請求項15のうちのいずれか1項記載の目標追尾方法にしたがって、本レーダ覆域で目標追尾を行なう本レーダと、別レーダと本レーダとを接続し、追尾目標の航跡に関する航跡データを伝送する送信系とから構成されるようにしたので、追尾目標の探知が容易になり、追尾目標の初探知を早めることができるという効果が得られる。
【0167】
この発明によれば、別レーダ覆域から重複域へ向う航跡が存在すると、航跡に関する航跡データを別レーダが本レーダへ送信系によって送信するとともに、重複域における航跡の出現領域を航跡データから本レーダが推定し、出現領域において受信信号/雑音を区別するスレショルドのレベルを本レーダが下げるようにしたので、追尾目標の探知が容易になり、追尾目標の初探知を早めることができるという効果が得られる。
【0168】
この発明によれば、航跡の追尾目標の位置・速度を航跡データとして別レーダが本レーダへ送信系によって送信し、航跡データを用いて追尾目標を本レーダがAN追尾するようにしたので、処理負荷の軽いAN追尾方式によって本レーダが追尾開始を行なうことができるという効果が得られる。
【0169】
この発明によれば、重複域において得られた各探知プロットを航跡データとして別レーダが本レーダへ送信系によって送信するとともに、本レーダ自身で得られた各探知プロットと別レーダから送信された各探知プロットとの相関を本レーダがとり、相関値の高い探知プロットを追尾目標からの探知プロットとして本レーダが採用するようにしたので、本レーダ単独の場合と比較して、追尾目標の正しい航跡をより早く確立でき、本レーダにおいて追尾目標の航跡確立が早くなるという効果が得られる。
【0170】
この発明によれば、別レーダおよび本レーダが重複域内のエリアにおける誤警報確率をそれぞれ算出するとともに、誤警報確率を航跡データとして別レーダが本レーダへ送信系によって送信し、本レーダ自身で得られた誤警報確率と別レーダから送信された誤警報確率とを本レーダが平均して利用するようにしたので、本レーダにおける誤警報確率の精度を向上することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図2】この発明の実施の形態1による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態3による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態4による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態5による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態6による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態7による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態8による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態9による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態10による目標追尾方法の処理を説明するための図である。
【図13】この発明の実施の形態11による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態12による目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態13によるレーダシステムの構成・動作を説明するための図である。
【図16】この発明の実施の形態14によるレーダシステムの構成・動作を説明するための図である。
【図17】この発明の実施の形態15によるレーダシステムの構成・動作を説明するための図である。
【図18】この発明の実施の形態16によるレーダシステムの構成・動作を説明するための図である。
【図19】AN追尾方式を用いた従来の目標追尾方法の処理を示すフローチャートである。
【図20】従来の目標追尾方法における追尾開始処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 メモリ、2 目標平滑位置、3 目標予測位置、4 目標予測存在範囲、11 別レーダ、12 覆域、13 本レーダ、14 覆域、15 重複域、16 航跡、17 送信系、18 出現領域、19 目標予測存在範囲、I,II,III 探知プロット、ST1 初期値設定ステップ、ST2 運動モデル設定ステップ、ST3 予測値・予測誤差共分散行列算出ステップ、ST4 探知プロット入力ステップ、ST5 探知プロット確率分布算出ステップ、ST6 エリア内外判定ステップ、ST7 仮説生成ステップ、ST8 誤警報確率算出ステップ、ST9 探知確率算出ステップ、ST10 仮説信頼度算出ステップ、ST11 平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップ、ST12 追尾終了判定ステップ、ST13 探知プロットカウントステップ、ST14 スキャン平均ステップ、ST15 スキャン平均結果対セル数比算出ステップ、ST16 探知プロットS/N値算出ステップ、ST17 探知プロットS/N値平均ステップ、ST18 探知確率導出ステップ、ST19 航跡数減算ステップ、ST20 低S/N値探知プロットカウントステップ、ST21 探知プロットカウント数対セル数比算出ステップ、ST22 探知プロット確度算出ステップ(SIFコード利用仮説信頼度算出ステップ)、ST23 低確度探知プロットカウントステップ、ST24 探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップ、ST25 高S/N値探知プロットカウントステップ、ST26 探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップ、ST27 高確度探知プロットカウントステップ、ST28 SIFコード信頼度算出ステップ(SIFコード利用仮説信頼度算出ステップ)、ST29 SIFコード確度重み付け平均ステップ(SIFコード利用仮説信頼度算出ステップ)、ST30 SIFコード一致判定ステップ(SIFコード利用仮説信頼度算出ステップ)、ST31 ドップラ周波数変化分判定ステップ。
Claims (20)
- 追尾目標の位置・速度の平滑値および平滑誤差共分散行列の初期値を設定する初期値設定ステップと、
上記追尾目標の等速直線運動モデルを設定する運動モデル設定ステップと、
1スキャン後の上記追尾目標の位置・速度を上記等速直線運動モデルで予測して予測誤差共分散行列を算出する予測値・予測誤差共分散行列算出ステップと、
検出した探知プロットを入力する探知プロット入力ステップと、
上記等速直線運動モデルによる目標予測位置を中心に、上記予測誤差共分散行列から定まる上記追尾目標からの上記探知プロットの確率分布を算出する探知プロット確率分布算出ステップと、
上記確率分布から定まるエリア内に存在する上記探知プロットを選択するエリア内外判定ステップと、
上記選択された各探知プロットに関する仮説を生成する仮説生成ステップと、
上記各エリア中の各探知プロットの個数、S/N値または確度をもとに誤警報確率を算出する誤警報確率算出ステップと、
上記各エリア中の各探知プロットの個数、S/N値または確度をもとに探知確率を算出する探知確率算出ステップと、
上記誤警報確率と上記探知確率とを用いて、上記仮説の信頼度を算出する仮説信頼度算出ステップと、
上記信頼度を用いて上記各探知プロットを重みづけ平均して算出される仮想目標位置から、上記追尾目標の平滑位置を算出する平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップと、
追尾処理が終了していない場合には、予測値・予測誤差共分散行列算出ステップへ戻る追尾終了判定ステップとを備えることを特徴とする目標追尾方法。 - 誤警報確率算出ステップは、
追尾目標のエリア内における探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する探知プロットカウントステップと、
上記探知プロット数を所定のスキャン回数でスキャン平均するスキャン平均ステップと、
上記スキャン平均ステップのスキャン平均結果を上記エリア中のセル数で除算して誤警報確率とするスキャン平均結果対セル数比算出ステップとから構成されることを特徴とする請求項1記載の目標追尾方法。 - 誤警報確率算出ステップは、
探知プロットカウントステップとスキャン平均ステップとの間に、追尾目標のエリア内における探知プロット数から上記エリア中の航跡数を減算してスキャン毎に記憶する航跡数減算ステップを備えて構成されることを特徴とする請求項2記載の目標追尾方法。 - 誤警報確率算出ステップは、
追尾目標のエリア内における各探知プロットS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、
S/N値スレショルドと比較して低いS/N値の探知プロット数をカウントする低S/N値探知プロットカウントステップと、
上記探知プロット数を上記エリア中のセル数で除算して誤警報確率とする探知プロットカウント数対セル数比算出ステップとから構成されることを特徴とする請求項1記載の目標追尾方法。 - 誤警報確率算出ステップは、
追尾目標のエリア内における各探知プロットの確度をそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップと、
確度スレショルドと比較して低い確度の探知プロット数をカウントする低確度探知プロットカウントステップと、
上記探知プロット数を上記エリア中のセル数で除算して誤警報確率とする探知プロットカウント数対セル数比算出ステップとから構成されることを特徴とする請求項1記載の目標追尾方法。 - 探知確率算出ステップは、
追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、
上記各探知プロットのS/N値を単純平均して所要S/N値とする探知プロットS/N値平均ステップと、
誤警報確率および上記所要S/N値から探知確率を導出する探知確率導出ステップとから構成されることを特徴とする請求項1記載の目標追尾方法。 - 探知確率算出ステップは、
追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、
上記各探知プロットの確度をそれぞれ算出し、上記各探知プロットのS/N値を上記確度によって重み付け平均する探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップと、
上記重み付け平均されたS/N値を所要S/N値として、誤警報確率および上記所要S/N値から探知確率を導出する探知確率導出ステップとから構成されることを特徴とする請求項1記載の目標追尾方法。 - 探知確率算出ステップは、
探知プロットS/N値算出ステップと探知プロットS/N値確度重み付け平均ステップとの間に、上記探知プロットS/N値算出ステップでスキャン毎に記憶された各探知プロットのS/N値をスキャン平均するスキャン平均ステップを備えて構成されることを特徴とする請求項7記載の目標追尾方法。 - 探知確率算出ステップは、
追尾目標のエリア内における各探知プロットのS/N値をそれぞれ算出する探知プロットS/N値算出ステップと、
S/N値スレショルドと比較して高いS/N値の探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する高S/N値探知プロットカウントステップと、
上記探知プロット数を所定のスキャン回数で除算して探知確率とする探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップとから構成されることを特徴とする請求項1記載の目標追尾方法。 - 探知確率算出ステップは、
追尾目標のエリア内における各探知プロットの確度をそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップと、
確度スレショルドと比較して高い確度の探知プロット数をスキャン毎にカウントして記憶する高確度探知プロットカウントステップと、
上記探知プロット数を所定のスキャン回数で除算して探知確率とする探知プロットカウント数対スキャン回数比算出ステップとから構成されることを特徴とする請求項1記載の目標追尾方法。 - 追尾目標の位置・速度の平滑値および平滑誤差共分散行列の初期値を設定する初期値設定ステップと、
上記追尾目標の等速直線運動モデルを設定する運動モデル設定ステップと、
1スキャン後の上記追尾目標の位置・速度を上記等速直線運動モデルで予測して予測誤差共分散行列を算出する予測値・予測誤差共分散行列算出ステップと、
検出した探知プロットを入力する探知プロット入力ステップと、
上記等速直線運動モデルによる目標予測位置を中心に、上記予測誤差共分散行列から定まる上記追尾目標からの上記探知プロットの確率分布を算出する探知プロット確率分布算出ステップと、
上記確率分布から定まるエリア内に存在する上記探知プロットを選択するエリア内外判定ステップと、
上記選択された各探知プロットに関する仮説を生成する仮説生成ステップと、
2次監視レーダの応答であるSIFコードを利用して上記仮説の信頼度を算出するSIFコード利用仮説信頼度算出ステップと、
上記信頼度を用いて上記各探知プロットを重みづけ平均して算出される仮想目標位置から、上記追尾目標の平滑位置を算出する平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップと、
追尾処理が終了していない場合には、予測値・予測誤差共分散行列算出ステップへ戻る追尾終了判定ステップとを備えることを特徴とする目標追尾方法。 - SIFコード利用仮説信頼度算出ステップは、
各探知プロットのSIFコードが追尾目標のSIFコードとどれだけ一致しているかを調べ、上記各探知プロットのSIFコードの信頼度をそれぞれ算出するSIFコード信頼度算出ステップと、
各探知プロットの確度を確率分布からそれぞれ算出する探知プロット確度算出ステップと、
上記SIFコードの信頼度を上記各探知プロットの確度で重みづけ平均して仮説の信頼度とするSIFコード確度重み付け平均ステップとから構成されることを特徴とする請求項11記載の目標追尾方法。 - SIFコード信頼度算出ステップは、
目標平滑位置のSIFコードと追尾目標のSIFコードとの一致度を比較してSIFコードの信頼度とすることを特徴とする請求項12記載の目標追尾方法。 - SIFコード利用仮説信頼度算出ステップは、
仮説生成ステップとSIFコード信頼度算出ステップとの間に、追尾目標のエリア内における各探知プロットの中から、前スキャン時の追尾目標のSIFコードと一致するSIFコードの探知プロットを検索し、このSIFコードの一致する探知プロットを追尾目標からの探知プロットとして平滑値・平滑誤差共分散行列算出ステップへ移行するSIFコード一致判定ステップを備えることを特徴とする請求項12記載の目標追尾方法。 - 追尾目標のエリア内における各探知プロットのドップラ周波数をそれぞれ測定し、測定された上記ドップラ周波数と1スキャン前のドップラ周波数との差が大きい探知プロットを仮説生成の対象から除外するドップラ周波数変化分判定ステップを仮説生成ステップの前に備えることを特徴とする請求項1または請求項11記載の目標追尾方法。
- 請求項1から請求項15のうちのいずれか1項記載の目標追尾方法にしたがって、別レーダ覆域で目標追尾を行なう別レーダと、
上記別レーダ覆域と重複領域を共有する本レーダ覆域を有し、請求項1から請求項15のうちのいずれか1項記載の目標追尾方法にしたがって、上記本レーダ覆域で目標追尾を行なう本レーダと、
上記別レーダと上記本レーダとを接続し、追尾目標の航跡に関する航跡データを伝送する送信系とから構成されることを特徴とするレーダシステム。 - 別レーダは、別レーダ覆域から重複域へ向う航跡が存在すると、上記航跡に関する航跡データを本レーダへ送信系によって送信するとともに、
上記本レーダは、上記重複域における上記航跡の出現領域を上記航跡データから推定し、上記出現領域において受信信号/雑音を区別するスレショルドのレベルを下げることを特徴とする請求項16記載のレーダシステム。 - 別レーダは、航跡の追尾目標の位置・速度を航跡データとして本レーダへ送信系によって送信し、
上記本レーダは、上記航跡データを用いて上記追尾目標をAN追尾することを特徴とする請求項16記載のレーダシステム。 - 別レーダは、重複域において得られた各探知プロットを航跡データとして本レーダへ送信系によって送信するとともに、
上記本レーダは、上記本レーダ自身で得られた各探知プロットと上記別レーダから送信された各探知プロットとの相関をとり、相関値の高い探知プロットを追尾目標からの探知プロットとして採用することを特徴とする請求項16記載のレーダシステム。 - 別レーダおよび本レーダは、重複域内のエリアにおける誤警報確率をそれぞれ算出するとともに、
上記別レーダは、上記誤警報確率を航跡データとして上記本レーダへ送信系によって送信し、
上記本レーダは、上記本レーダ自身で得られた上記誤警報確率と上記別レーダから送信された上記誤警報確率とを平均して利用することを特徴とする請求項16記載のレーダシステム。
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