以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔パンフォーカスカメラ〕
まず、本発明の実施形態によるパンフォーカスカメラについて説明する。図1は、パンフォーカスカメラの構造の一例を示す概略図である。
図1の(1)は、パンフォーカスカメラ2の断面を表わす立面図の概略を示しており、向かって右側の被写界に存在する被写体(図示せず)が当該パンフォーカスカメラ2により撮影される。(2)は、パンフォーカスカメラ2の右側面図の概略を示しており、被写体(図示せず)から見たパンフォーカスカメラ2の外観の概略を示している。(1)(2)には、説明に必要な構成部が実線で示されている。(3)は、スイングの回転軸(スイング軸)及びチルトの回転軸(チルト軸)を示す図であり、(2)に対応している。スイング軸及びチルト軸は、交差かつ直交している。
このパンフォーカスカメラ2は、合焦制御部(合焦制御装置)1、撮像部20、撮像素子21、ハーフミラー22、AF(オートフォーカス)センサ23、フォーカス部30、フォーカスアクチュエータ31、レンズ32、スイング部40、スイングアクチュエータ41、チルト部42及びチルトアクチュエータ43を備えて構成される。
尚、図1には、本発明に直接関連する構成部のみを示しており、直接関連しない構成部は省略してある。また、パンフォーカスカメラ2は、レンズ32の光軸をスイングさせる機能を実現するスイング部40及びスイングアクチュエータ41、並びにレンズ32の光軸をチルトさせる機能を実現するチルト部42及びチルトアクチュエータ43を備えている。これに対し、パンフォーカスカメラ2は、これらのいずれか一方の機能を実現するために、スイング部40及びスイングアクチュエータ41、またはチルト部42及びチルトアクチュエータ43を備えるようにしてもよい。
また、パンフォーカスカメラ2は、非合焦の状態から合焦の状態に変化させる機能を実現するフォーカス部30及びフォーカスアクチュエータ31を備えているが、フォーカスアクチュエータ31を備えていなくてもよい。また、パンフォーカスカメラ2は、スイングアクチュエータ41またはチルトアクチュエータ43を備えていなくてもよい。
合焦制御部1は、AFセンサ23から後述する計測値を入力し、計測値に基づいて、例えば3つの計測点について合焦状態または非合焦状態の判定を行い、3つの計測点の判定結果に基づいて、3つの計測点の総合的な合焦状態の程度を示す評価指標Rを求める。そして、合焦制御部1は、評価指標Rが最良となるように、3つの計測点の判定結果に基づいてフォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43を操作する。
撮像部20は、撮像素子21、ハーフミラー22及びAFセンサ23を内蔵する枠体であり、これらの構成部は、レンズ32を除くいわゆるカメラの本体部分に相当する。フォーカス部30は、スイング部40、チルト部42及びレンズ32を支持する枠体であり、スイング部40及びチルト部42を介してレンズ32が装着されている。
フォーカスアクチュエータ31は、撮像部20を基準としたフォーカス部30の位置(フォーカス部30の中心部(レンズ32の中心部)と撮像素子21の中心部との間の距離)を変化させるためのアクチュエータであり、その実現方法は任意である。例えば、モータ(誘導モータ、直流モータ、ステッピングモータ、超音波モータ、リニアモータ等)、ソレノイド等により構成される。
また、フォーカス部30と撮像素子21との間にらせん状の溝またはネジ加工を施したヘリコイド構造をとり、フォーカスアクチュエータ31による光軸周り等の回転によって、フォーカス部30の位置を変化させるようにしてもよい。
フォーカスアクチュエータ31は、合焦制御部1からの操作出力(後述するフォーカス制御量)に従い、フォーカス部30の位置を、ニア方向またはファー方向へ移動させる(図1(1)の矢印を参照)。これにより、焦点の制御が行われ、非合焦状態から合焦状態に変化する。
ニア方向は、フォーカス部30と共にレンズ32が撮像素子21に近づく向きをいい、ファー方向は、フォーカス部30と共にレンズ32が撮像素子21から遠ざかる向きをいう。
フォーカス部30にはスイング部40及びチルト部42を介してレンズ32が装着されているため、フォーカス部30の移動に伴い、フォーカス部30と同じ方向に、スイング部40、チルト部42及びレンズ32も移動する。
尚、図1に示したパンフォーカスカメラ2の構成では、フォーカス部30の移動に伴い、スイング部40及びチルト部42も移動するが、レンズ32のみが移動し、スイング部40及びチルト部42が移動しないように構成してもよい。この場合、レンズ32は、当該レンズ32のみが光軸方向(光軸上における図示しない被写体への向き及び撮像素子21への向き)に移動することとなる。
スイングアクチュエータ41は、フォーカス部30を基準としたスイング部40の姿勢を変化させるためのアクチュエータであり、その実現方法は任意である。例えば、モータ(誘導モータ、直流モータ、ステッピングモータ、超音波モータ等)、ソレノイド等により構成される。
スイングアクチュエータ41は、合焦制御部1からの操作出力(後述するスイング制御量)に従い、スイング部40の姿勢を、スイングレフト方向またはスイングライト方向へ回転させる(図1(3)のスイング軸の矢印を参照)。
スイング部40は、フォーカス部30に対して相対的に回転運動可能な状態で装着された枠体である。スイング部40は、スイングアクチュエータ41が操作されることで、フォーカス部30に装着されたスイングアクチュエータ41及びスイング部40のα1の箇所を基点として、後述するスイング制御量に応じた回転角でフォーカス部30に対して相対的に回転する。この回転角は、後述するスイング制御量に応じて決定される。これにより、スイング軸の回転角の制御が行われる。
スイングレフト方向は、撮像素子21からレンズ32へ向かって、スイング部40が左方を向く向きをいい、スイングライトは、スイング部40が右方へ向く向きをいう。
スイング部40にはチルト部42を介してレンズ32が装着されているため、スイング部40の回転に伴い、スイング部40と同じ方向にレンズ32も回転する。これにより、レンズ32の光軸をスイングレフト方向またはスイングライト方向に傾けることができる。
チルトアクチュエータ43は、スイング部40を基準としたチルト部42の姿勢を変化させるためのアクチュエータであり、その実現方法は任意である。例えば、モータ(誘導モータ、直流モータ、ステッピングモータ、超音波モータ等)、ソレノイド等により構成される。
チルトアクチュエータ43は、合焦制御部1からの操作出力(後述するチルト制御量)に従い、チルト部42の姿勢を、チルトアップ方向またはチルトダウン方向へ回転させる(図1(3)のチルト軸の矢印を参照)。
チルト部42は、スイング部40に対して相対的に回転運動可能な状態で装着された枠体である。チルト部42は、チルトアクチュエータ43が操作されることで、スイング部40に装着されたチルトアクチュエータ43及びチルト部42のα2の箇所を基点として、後述するチルト制御量に応じた回転角でスイング部40に対して相対的に回転する。この回転角は、後述するチルト制御量に応じて決定される。これにより、チルト軸の回転角の制御が行われる。
チルトアップ方向は、撮像素子21からレンズ32へ向かって、チルト部42が上方を向く向きをいい、チルトダウンは、チルト部42が下方へ向く向きをいう。
チルト部42にはレンズ32が装着されているため、チルト部42の回転に伴い、チルト部42と同じ方向にレンズ32も回転する。これにより、レンズ32の光軸をチルトアップ方向またはチルトダウン方向に傾けることができる。
スイング部40の回転軸であるスイング軸及びチルト部42の回転軸であるチルト軸は、図1に示した構成のように、直交することが好ましく、また、交差することが好ましい。後述する図10のように、スイング軸及びチルト軸は直交するが、交差しないように構成してもよい。
また、スイング軸及びチルト軸の交点は、第二光学主点(撮像素子21における撮像面側の光学主点)と同一の位置に対応させるのが好ましい。これにより、レンズ32のあおり操作(スイング部40及びチルト部42のいずれか一方または両方の回転)とフォーカス部30の移動操作によるフォーカス位置とのカップリングを軽減することができる。つまり、レンズ32の光軸の方向(傾き)を定める制御と、合焦状態を得るための制御とを独立して行うことができる。
スイング部40及びチルト部42により、あおり機構44が構成される。図1に示したパンフォーカスカメラ2の構成では、あおり機構44として2軸ジンバルを用いた例を示している。この構成では、あおり機構44のスイング軸及びチルト軸は直交し、かつ交差している。
尚、図1に示したパンフォーカスカメラ2の構成では、スイング軸及びチルト軸を同一平面上に設けるようにしたが、必ずしも同一平面上に設ける必要はなく、ねじれ関係のある位置に設けるようにしてもよい。この場合、あおり操作をフォーカス位置にカップリングさせるため、あおり操作に伴うフォーカス位置がずれないように、そのずれ分をフォーカス部30にて補正する必要がある。つまり、合焦制御部1は、フォーカスアクチュエータ31に対し、そのずれ分に相当する操作を行う。
例えば、あおり操作(スイング部40及びチルト部42の回転量(スイング制御量及びチルト制御量))に対応するフォーカス部30のずれ量(フォーカス制御量)がテーブルに予め設定されている。合焦制御部1は、当該テーブルからあおり操作に対応するフォーカス制御量を読み出し、フォーカス制御量を出力することで、あおり操作に伴うフォーカス位置のずれを補正する。
撮像素子21は、図示しない被写体の光を、レンズ32を介して入射し、被写体の画像を取得するための電気信号に変換して出力する。
ハーフミラー22は、レンズ32を介して入射される被写体の光を、撮像素子21及びAFセンサ23へ分配する。
尚、ハーフミラー22の代わりにハーフプリズムを用いてもよく、(透過性のない)通常の反射鏡または(全反射用の)プリズムを用いるようにしてもよい。また、ハーフミラー22は、レンズ32を介して入射される被写体の光を、非撮影時にAFセンサ23へ、撮影時に撮像素子21へ導くように構成してもよい。また、撮像素子21は、AFセンサ23の機能を持つようにしてもよい。この場合、パンフォーカスカメラ2は、ハーフミラー22及び独立したAFセンサ23を備える必要がない。
AFセンサ23は、撮像面における例えば3つの計測点の合焦状態または非合焦状態を判定するために必要なデータを計測するためのセンサである。AFセンサ23により計測された計測値は合焦制御部1へ入力される。AFセンサ23により、例えば1次元輝度値列、2次元画像の画素値または測距情報(撮像素子21の中心点から被写界に存在する被写体等までの(各方向の)距離)が計測され、これらの計測値が合焦制御部1へ入力される。
例えばAFセンサ23として、画像のシフト量を検出可能なセンサ(位相差方式のセンサ)が用いられる。この場合、撮像素子21と光学的に同一の位置より後方(レンズ32と反対向き)に、センサ面と平行面上において位置のずれたレンズ対を配置し、さらにレンズ対の後方にセンシング用のセンサアレイを設ける。これにより、レンズ対のそれぞれの結像は、合焦または非合焦によって、さらには非合焦の方向性(前ピンまたは後ピン)またはその多寡に応じて、画像が相対的にシフトする。AFセンサ23は、このシフト量を検出し、計測値として出力する。
また、AFセンサ23として、所望の方向の(撮像面上のそれぞれの位置から被写界への)距離を計測するレーザー測距による距離センサが用いられる。また、AFセンサ23が撮像素子21内に組み込まれている場合には、ハーフミラー22及び独立したAFセンサ23は不要となり、独立したAFセンサ23の代わりに、撮像素子21内に組み込まれたAFセンサ23が用いられる。また、AFセンサ23として、撮像素子21において取得される画像のコントラストを評価して合焦状態または非合焦状態を判定するために、1次元輝度値列または2次元画像の画素値を計測するセンサが用いられる。
以上のように、本発明の実施形態のパンフォーカスカメラ2によれば、合焦制御部1は、AFセンサ23から入力する計測値に基づいて、3つの計測点について合焦状態または非合焦状態の判定を行い、評価指標Rを求める。そして、合焦制御部1は、評価指標Rが最良となるように、3つの計測点の判定結果に基づいて、フォーカス位置を定めるフォーカスアクチュエータ31、並びにレンズ32の光軸の方向を定めるスイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43を操作する。
これにより、撮像素子21において合焦する被写界の面(合焦面)が被写体の存在する面に倣うように、レンズ32の姿勢を電気的に調整することができる。言い換えると、レンズ32の光軸の方向を制御することで、簡易に、撮像面と平行でない平面の合焦状態を得ることができる。
すなわち、被写界の平面上に並んだ全ての被写体が合焦するように、合焦位置を定めるフォーカス部30のフォーカス位置を決定し、レンズ32の光軸の方向を定めるスイング部40及びチルト部42の回転角を決定することができる。その結果、被写界の平面上に並んだ全ての被写体が合焦したパンフォーカス画像を得ることができる。
〔合焦制御部1〕
次に、図1に示した本発明の実施形態による合焦制御装置である合焦制御部1について説明する。図2は、合焦制御部1の構成の一例を示すブロック図である。この合焦制御部1は、合焦判定部10及び制御部11を備えている。
〔合焦判定部10〕
合焦判定部10は、AFセンサ23から計測値(例えば1次元輝度値列、2次元画像の画素値、測距情報)を入力し、計測値に基づいて、撮像面上の例えば3つの計測点について合焦状態または非合焦状態の判定を行う。そして、合焦判定部10は、3つの計測点の判定結果(第一計測点の判定結果、第二計測点の判定結果及び第三計測点の判定結果)を制御部11に出力する。つまり、合焦判定部10は、3つの計測点のそれぞれについて、合焦状態にあると判定した場合、合焦状態の判定結果を出力し、非合焦状態にあると判定した場合、非合焦状態の判定結果を出力する。計測点毎の合焦状態または非合焦状態の判定処理は既知であるため、ここでは説明を省略する。
(計測点)
図3は、撮像面上の計測点の配置例を示す図であり、計測点が3つの場合を示している。図3に示すように、倒立像の得られる撮像面上において、第一計測点、第二計測点及び第三計測点が配置されている。
第一計測点は、撮像面の中央の点である。第二計測点は、撮像面の中央より左寄り(スイング軸と直交する方向)の点である。第三計測点は、撮像面の中央より上寄り(チルト軸と直交する方向)の点である。すなわち、正立の画像平面上において、第一計測点は画像中央の点、第二計測点は画面中央より右寄りの点、第三計測点は画面中央より下寄りの点となる。
図3の例では、合焦判定部10は、入力した計測値のうち第一計測点の計測値に基づき、第一計測点について合焦状態または非合焦状態の判定を行い、その判定結果を出力する。また、合焦判定部10は、第二計測点及び第三計測点についても同様の処理を行い、それぞれの判定結果を出力する。
(合焦状態、非合焦状態)
合焦判定部10により判定される計測点毎の合焦状態または非合焦状態は、例えば合焦及び非合焦の2状態のうちのいずれかであってもよい。この場合、計測点毎の判定結果は、合焦状態及び非合焦状態のうちのいずれかのデータとなる。
また、合焦判定部10により判定される計測点毎の合焦状態または非合焦状態は、例えば合焦、前ピンの非合焦及び後ピンの非合焦の3状態のうちのいずれかであってもよい。この場合、計測点毎の判定結果は、合焦状態、前ピンの非合焦状態及び後ピンの非合焦状態のうちのいずれかのデータとなる。前ピンは、被写体よりも手前に合焦した状態をいい、後ピンは、被写体よりも奥に合焦した状態をいう。
また、合焦判定部10により判定される計測点毎の合焦状態または非合焦状態は、例えば合焦、及び合焦状態における焦点からのずれ量を含む非合焦の2状態のうちのいずれかであってもよい。この場合、計測点毎の判定結果は、合焦状態、及びずれ量を含む非合焦状態のうちのいずれかのデータとなる。
また、合焦判定部10がAFセンサ23(例えばレーザー測距による距離センサ)から測距情報を入力する場合、合焦判定部10により判定される計測点毎の合焦状態または非合焦状態は、測距情報に基づいて算出される距離である。この距離は、撮像素子21の中心点から撮像面の各計測点に対応する被写界の各点までの距離である。この場合、計測点毎の判定結果は、計測点毎の距離データとなる。
尚、図3では撮像面上の計測点の数を3つとしたが、本発明は計測点の数を3つに限定するものではなく、複数(2つ以上)であればよい。例えば計測点の数が図3に示した第一計測点及び第二計測点の2つの場合、図1に示したパンフォーカスカメラ2は、レンズ32の光軸をスイングさせる機能を実現するスイング部40及びスイングアクチュエータ41、並びにレンズ32の光軸をチルトさせる機能を実現するチルト部42及びチルトアクチュエータ43のうち、スイング部40及びスイングアクチュエータ41を備えていればよく、チルト部42及びチルトアクチュエータ43を備える必要はない。この場合、制御部11は、チルトアクチュエータ43を操作する処理を行う必要がない。
また、例えば計測点の数が図3に示した第一計測点及び第三計測点の2つの場合、図1に示したパンフォーカスカメラ2は、チルト部42及びチルトアクチュエータ43を備えていればよく、スイング部40及びスイングアクチュエータ41を備える必要はない。この場合、制御部11は、スイングアクチュエータ41を操作する処理を行う必要がない。
〔制御部11〕
次に、図2に示した制御部11について説明する。図4は、制御部11の構成の一例を示すブロック図である。この制御部11は、評価部12及び制御処理部13を備えている。
〔評価部12〕
評価部12は、合焦判定部10から3つの計測点の判定結果(第一計測点の判定結果、第二計測点の判定結果及び第三計測点の判定結果)を入力し、3つの計測点の判定結果に基づいて評価指標Rを求める。そして、評価部12は、評価指標Rを制御処理部13に出力する。
評価指標Rは、3つの計測点の判定結果を総合した合焦状態の程度を示す数値であり、レンズ32の光軸を定めるスイング部40及びチルト部42の回転角、並びに合焦状態を定めるフォーカス部30のフォーカス位置により設定される合焦面において、当該合焦面に並んだ全ての被写体の合焦度合いを示す数値である。評価指標Rの数値が大きいほど、合焦面全体として非合焦状態よりも合焦状態に近いことを示し、数値が小さいほど、合焦面全体として合焦状態よりも非合焦状態に近いことを示す。
図5は、評価部12の処理の一例を示すフローチャートである。この例は、合焦判定部10により合焦または非合焦の2状態が判定され、判定結果が合焦状態または非合焦状態のいずれかである場合を示している。評価部12により、スイング部40及びチルト部42の回転角、並びにフォーカス部30のフォーカス位置により設定される合焦面についての評価指標Rについて、評価指標R=1(最良であることを示す値)または評価指標R=0が設定される。
評価部12は、合焦判定部10から3つの計測点の判定結果(第一計測点の判定結果、第二計測点の判定結果及び第三計測点の判定結果)を入力する。そして、評価部12は、第一計測点の判定結果が合焦状態を示しているか否かを判定する(ステップS501)。
評価部12は、ステップS501において、第一計測点の判定結果が合焦状態を示していると判定した場合(ステップS501:Y)、第二計測点の判定結果が合焦状態を示しているか否かを判定する(ステップS502)。一方、評価部12は、ステップS501において、第一計測点の判定結果が合焦状態を示していない(非合焦状態を示している)と判定した場合(ステップS501:N)、ステップS505へ移行する。
評価部12は、ステップS502において、第二計測点の判定結果が合焦状態を示していると判定した場合(ステップS502:Y)、第三計測点の判定結果が合焦状態を示しているか否かを判定する(ステップS503)。一方、評価部12は、ステップS502において、第二計測点の判定結果が合焦状態を示していない(非合焦状態を示している)と判定した場合(ステップS502:N)、ステップS505へ移行する。
評価部12は、ステップS503において、第三計測点の判定結果が合焦状態を示していると判定した場合(ステップS503:Y)、評価指標Rが最良であることを示す評価指標R=1を設定する(ステップS504)。
一方、評価部12は、ステップS503において、第三計測点の判定結果が合焦状態を示していない(非合焦状態を示している)と判定した場合(ステップS503:N)、またはステップS501(N)若しくはステップS502(N)から移行して、評価指標R=0を設定する(ステップS505)。
尚、評価部12は、3つの計測点の判定結果について、判定結果が合焦状態である数を算出し、当該数を評価指標Rに設定するようにしてもよい。この場合の最良の評価指標Rは3であってもよいし、2及び3であってもよく、予め設定される。
つまり、計測点の数をN(Nは2以上の整数)とした場合、評価部12は、N個の計測点の判定結果について、判定結果が合焦状態である数を算出し、当該数を評価指標Rに設定するようにしてもよい。この場合の最良の評価指標RはNであってもよい。また、最良の評価指標Rは、N及び(N-1)であってもよく、N、(N-1)及び(N-2)であってもよく、予め設定される。
この処理例及び図5に示した処理例は、判定結果が2状態である場合に加え、合焦判定部10により合焦、前ピンの非合焦及び後ピンの非合焦の3状態が判定され、判定結果が合焦状態、前ピンの非合焦状態及び後ピンの非合焦状態のいずれかである場合にも適用がある。また、合焦判定部10により合焦または非合焦の2状態が判定され、判定結果が合焦状態及びずれ量を含む非合焦状態のうちのいずれかである場合にも適用がある。
また、合焦判定部10により合焦または非合焦の2状態が判定され、判定結果が合焦状態及びずれ量を含む非合焦状態のうちのいずれかである場合、評価部12は、2つの計測点の判定結果について、非合焦状態である計測点のずれ量の総和またはずれ量の二乗の総和を求め、当該総和を評価指標Rに設定するようにしてもよい。この場合、最良の評価指標Rは、当該総和の予め設定された最小値である。
〔制御処理部13〕
図4に戻って、制御処理部13は、合焦判定部10から3つの計測点の判定結果(第一計測点の判定結果、第二計測点の判定結果及び第三計測点の判定結果)を入力すると共に、評価部12から評価指標Rを入力する。そして、制御処理部13は、評価指標Rが最良となるように、3つの計測点の判定結果に基づいて、フォーカス部30を移動させる方向(フォーカス位置の方向)及びレンズ32の光軸を傾ける方向(スイング部40及びチルト部42の姿勢(回転方向))を決定する。
制御処理部13は、フォーカス部30がフォーカス位置の方向へ移動するように、所定のフォーカス制御量をフォーカスアクチュエータ31へ出力することで、フォーカスアクチュエータ31を操作する。フォーカス位置の方向は、図1(1)に示したように、ニア方向またはファー方向である。
また、制御処理部13は、光軸、すなわちあおり機構44が当該方向に傾くように、所定のスイング制御量をスイングアクチュエータ41へ、所定のチルト制御量をチルトアクチュエータ43へそれぞれ出力することで、これらのアクチュエータを操作する。光軸を傾ける方向は、図1(3)に示したように、スイング軸についてスイングライト方向またはスイングレフト方向であり、チルト軸についてチルトアップ方向またはチルトダウン方向である。
所定のフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量は、それぞれフォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43の予め設定された目標値であってもよい。また、当該目標値へ至るための所要変化量または変化の方向性(符号)であってもよい。
例えばフォーカス制御量は、フォーカス方向毎に(ニア方向及びファー方向のそれぞれについて)予め設定される。また、スイング制御量は、スイングの方向毎に(スイングレフト方向及びスイングライト方向のそれぞれについて)予め設定され、チルト制御量は、チルトの方向毎に(チルトアップ方向及びチルトダウン方向のそれぞれについて)予め設定される。
また、所定のフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量は、それぞれフォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43を所定量だけ敢えて動かし、合焦状態、前ピンの非合焦状態または後ピンの非合焦状態の判定結果に基づいて、前記目標値へ至るための変化量として設定されるようにしてもよい。
また、所定のフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量は、それぞれ第一計測点、第二計測点及び第三計測点の判定結果がずれ量を含む非合焦状態の場合に、当該ずれ量に基づいて設定されるようにしてもよい。
具体的には、制御部11は、第一計測点の判定結果がずれ量を含む非合焦状態であり、例えば後述する第三処理例により合焦位置がニア方向にずれている(前ピンの非合焦状態である)と判断したとする。この場合、制御部11は、当該ずれ量が大きいほど、フォーカス部30をファー方向へ操作するためのフォーカス制御量を大きい値に設定し、当該ずれ量が小さいほど、フォーカス部30をファー方向へ操作するためのフォーカス制御量を小さい値に設定する。
一方、制御部11は、第一計測点の判定結果がずれ量を含む非合焦状態であり、例えば後述する第三処理例により合焦位置がファー方向にずれている(後ピンの非合焦状態である)と判断したとする。この場合、制御部11は、当該ずれ量が大きいほど、フォーカス部30をニア方向へ操作するためのフォーカス制御量を大きい値に設定し、当該ずれ量が小さいほど、フォーカス部30をニア方向へ操作するためのフォーカス制御量を小さい値に設定する。
また、制御部11は、第二計測点の判定結果がずれ量を含む非合焦状態であり、合焦位置がスイングライト方向にずれていると判断したとする。この場合、制御部11は、当該ずれ量が大きいほど、スイング部40をスイングレフト方向へ操作するためのスイング制御量を大きい値に設定し、当該ずれ量が小さいほど、スイングレフト方向へ操作するためのスイング制御量を小さい値に設定する。
一方、制御部11は、第二計測点の判定結果がずれ量を含む非合焦状態であり、合焦位置がスイングレフト方向にずれていると判断したとする。この場合、制御部11は、当該ずれ量が大きいほど、スイング部40をスイングライト方向へ操作するためのスイング制御量を大きい値に設定し、当該ずれ量が小さいほど、スイングライト方向へ操作するためのスイング制御量を小さい値に設定する。
また、制御部11は、第三計測点の判定結果がずれ量を含む非合焦状態であり、合焦位置がチルトアップ方向にずれていると判断したとする。この場合、制御部11は、当該ずれ量が大きいほど、チルト部42をチルトダウン方向へ操作するためのチルト制御量を大きい値に設定し、当該ずれ量が小さいほど、チルトダウン方向へ操作するためのチルト制御量を小さい値に設定する。
一方、制御部11は、第三計測点の判定結果がずれ量を含む非合焦状態であり、合焦位置がチルトダウン方向にずれていると判断したとする。この場合、制御部11は、当該ずれ量が大きいほど、チルト部42をチルトアップ方向へ操作するためのチルト制御量を大きい値に設定し、当該ずれ量が小さいほど、チルトアップ方向へ操作するためのチルト制御量を小さい値に設定する。
(第一処理例)
次に、図4に示した制御処理部13の第一処理例について説明する。図6は、制御処理部13の第一処理例を示すフローチャートである。この第一処理例では、合焦判定部10により合焦状態、前ピンの非合焦状態及び後ピンの非合焦状態の3状態が判定され、判定結果は、これらの3状態のうちのいずれかであるものとする。また、制御処理部13は、後述するステップS601,S605,S609の判定処理を行う前に、合焦判定部10から3つの計測点の判定結果を入力すると共に、評価部12から評価指標Rを入力するものとする。
制御処理部13は、第一計測点の判定結果が合焦状態を示しているか否かを判定する(ステップS601)。制御処理部13は、ステップS601において、第一計測点の判定結果が合焦状態を示していると判定した場合(ステップS601:Y)、ステップS605へ移行する。
制御処理部13は、ステップS601において、第一計測点の判定結果が合焦状態を示していないと判定した場合(ステップS601:N)、第一計測点の判定結果が前ピンの非合焦状態を示しているか否かを判定する(ステップS602)。
制御処理部13は、ステップS602において、第一計測点の判定結果が前ピンの非合焦状態を示していると判定した場合(ステップS602:Y)、合焦点がニア方向にずれていると判断し、ファー方向をフォーカス部30の移動方向に決定する。そして、制御処理部13は、フォーカス部30をファー方向へ移動させるための所定のフォーカス制御量をフォーカスアクチュエータ31へ出力し、ステップS601へ移行する(ステップS603)。
一方、制御処理部13は、ステップS602において、第一計測点の判定結果が前ピンの非合焦状態を示していない(後ピンの非合焦状態を示している)と判定した場合(ステップS602:N)、合焦位置がファー方向にずれていると判断し、ニア方向をフォーカス部30の移動方向に決定する。そして、制御処理部13は、フォーカス部30をニア方向へ移動させるための所定のフォーカス制御量をフォーカスアクチュエータ31へ出力し、ステップS601へ移行する(ステップS604)。
制御処理部13は、ステップS601(Y)から移行して、第二計測点の判定結果が合焦状態を示しているか否かを判定する(ステップS605)。制御処理部13は、ステップS605において、第二計測点の判定結果が合焦状態を示していると判定した場合(ステップS605:Y)、ステップS609へ移行する。
制御処理部13は、ステップS605において、第二計測点の判定結果が合焦状態を示していないと判定した場合(ステップS605:N)、第二計測点の判定結果が前ピンの非合焦状態を示しているか否かを判定する(ステップS606)。
制御処理部13は、ステップS606において、第二計測点の判定結果が前ピンの非合焦状態を示していると判定した場合(ステップS606:Y)、合焦位置がスイングライト方向にずれていると判断し、スイングレフト方向をレンズ32の光軸を傾ける方向(スイング部40の回転方向)として決定する。そして、制御処理部13は、レンズ32の光軸がスイングレフト方向に傾くように、あおり機構44のスイング部40をスイングレフト方向へ回転させるための所定のスイング制御量をスイングアクチュエータ41へ出力し、ステップS605へ移行する(ステップS607)。
一方、制御処理部13は、ステップS606において、第二計測点の判定結果が前ピンの非合焦状態を示していない(後ピンの非合焦状態を示している)と判定した場合(ステップS606:N)、合焦位置がスイングレフト方向にずれていると判断し、スイングライト方向をレンズ32の光軸を傾ける方向(スイング部40の回転方向)として決定する。そして、制御処理部13は、レンズ32の光軸がスイングライト方向に傾くように、あおり機構44のスイング部40をスイングライト方向へ回転させるための所定のスイング制御量をスイングアクチュエータ41へ出力し、ステップS605へ移行する(ステップS608)。
制御処理部13は、ステップS605(Y)から移行して、第三計測点の判定結果が合焦状態を示しているか否かを判定する(ステップS609)。制御処理部13は、ステップS609において、第三計測点の判定結果が合焦状態を示していると判定した場合(ステップS609:Y)、ステップS613へ移行する。
制御処理部13は、ステップS609において、第三計測点の判定結果が合焦状態を示していないと判定した場合(ステップS609:N)、第三計測点の判定結果が前ピンの非合焦状態を示しているか否かを判定する(ステップS610)。
制御処理部13は、ステップS610において、第三計測点の判定結果が前ピンの非合焦状態を示していると判定した場合(ステップS610:Y)、合焦位置がチルトダウン方向にずれていると判断し、チルトアップ方向をレンズ32の光軸を傾ける方向(チルト部42の回転方向)として決定する。そして、制御処理部13は、レンズ32の光軸がチルトアップ方向に傾くように、あおり機構44のチルト部42がチルトアップ方向へ回転させるための所定のチルト制御量をチルトアクチュエータ43へ出力し、ステップS609へ移行する(ステップS611)。
一方、制御処理部13は、ステップS610において、第三計測点の判定結果が前ピンの非合焦状態を示していない(後ピンの非合焦状態を示している)と判定した場合(ステップS610:N)、合焦位置がチルトアップ方向にずれていると判断し、チルトダウン方向をレンズ32の光軸を傾ける方向(チルト部42の回転方向)として決定する。そして、制御処理部13は、レンズ32の光軸がチルトダウン方向に傾くように、あおり機構44のチルト部42をチルトダウン方向へ回転させるための所定のチルト制御量をチルトアクチュエータ43へ出力し、ステップS609へ移行する(ステップS612)。
制御処理部13は、ステップS609(Y)から移行して、第一計測点及び第二計測点の判定結果が合焦状態であるか否か、すなわち評価指標R=1であるか否かを判定する(ステップS613)。このステップS613の処理はステップS609(Y)の処理の直後であるため、第三計測点の判定結果は合焦状態である。
制御処理部13は、ステップS613において、第一計測点及び第二計測点の判定結果が合焦状態であると判定した場合、すなわち評価指標R=1であると判定した場合(ステップS613:Y)、当該処理を終了する。つまり、制御処理部13は、評価指標Rが最良であると判断し、当該処理を終了する。
一方、制御処理部13は、ステップS613において、第一計測点及び第二計測点の判定結果が合焦状態でない(第一計測点及び第二計測点のいずれかまたは両方が非合焦状態である)と判定した場合、すなわち評価指標R=1でないと判定した場合(ステップS613:N)、ステップS601へ移行する。つまり、制御処理部13は、評価指標Rが最良(R=1)となるように、ステップS601~S612の処理を行う。
このように、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43において、判定結果が前ピンの非合焦状態である場合、合焦点が後ピンの方向へ移動させるための操作が行われる。また、判定結果が後ピンの非合焦状態である場合、合焦点が前ピンの方向へ移動させるための操作が行われる。
これにより、撮像面における3つの計測点の状態が総合的にみて非合焦状態から合焦状態へ移行するように、光軸を傾ける方向を決定することができ、3つの計測点の状態を合焦状態とすることができる。その結果、3つの計測点に対応する被写界の各点を含む平面上において合焦し、当該平面上に並んだ全ての被写体が合焦したパンフォーカス画像を得ることができる。また、自動焦点技術の位相差法と同様の手法によって、光軸すなわち合焦面を自動的に制御することができる。
尚、図6に示したステップS613の処理は、フォーカス部30、スイング部40及びチルト部42の駆動に伴い、互いに干渉することで生じる焦点ずれを回避するためのものである。このため、ステップS613の処理により、精度の高い合焦状態を得ることができる。これに対し、厳密な精度を要求しない場合には、ステップS613の処理を省略してもよい。この場合、ステップS601,S605,S609にてそれぞれ第一計測点、第二計測点及び第三計測点の合焦状態が判定されることは(ステップS601,S605,S609:Y)、評価指標R=1であり評価指標Rが最良となっていることを意味する。
また、図6に示した第一処理例では、フォーカス部30、スイング部40及びチルト部42の順番に処理するようにしたが、処理の順序を任意に入れ替えるようにしてもよい。この場合、ステップS613の処理においては、1番目の処理及び2番目の処理に対応する計測点が合焦状態であるか否かが判定される。
(第二処理例)
次に、制御処理部13の第二処理例について説明する。図7は、制御処理部13の第二処理例を示すフローチャートである。この第二処理例では、図6に示した第一処理例と同様に、合焦判定部10により合焦状態、前ピンの非合焦状態及び後ピンの非合焦状態の3状態が判定され、判定結果は、これらの3状態のうちのいずれかであるものとする。また、制御処理部13は、後述するステップS701,S705,S709の判定処理を行う前に、合焦判定部10から3つの計測点の判定結果を入力すると共に、評価部12から評価指標Rを入力するものとする。
図7に示すステップS701~S712の処理は、図6に示したステップS601~S612の処理と同様である。制御処理部13は、ステップS703,S704,S707,S708,S711,S712において、所定の制御量を出力した後、ステップS701へ移行する。また、図6に示したステップS613の処理は、図7には存在しない。
ステップS701,S705,S709にてそれぞれ第一計測点、第二計測点及び第三計測点の合焦状態が判定されることは(ステップS701,S705,S709:Y)、評価指標R=1であり評価指標Rが最良となっていることを意味する。
これにより、図6に示した第一処理例と同様の効果を奏する。つまり、撮像面上の3つの計測点が合焦状態となり、3つの計測点に対応する被写界の各点を含む平面上において合焦し、当該平面上に並んだ全ての被写体が合焦したパンフォーカス画像を得ることができる。
尚、図6に示した第一処理例と同様に、フォーカス部30、スイング部40及びチルト部42の処理の順序を任意に入れ替えるようにしてもよい。
(第三処理例)
次に、制御処理部13の第三処理例について説明する。第三処理例は、合焦判定部10により非合焦状態の度合いであるずれ量が定量化される場合に、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43をそれぞれ操作し、当該操作の前後における非合焦状態の判定結果に含まれるずれ量の変化に基づいて、前ピンまたは後ピンの非合焦状態を推定する例である。合焦判定部10により合焦状態及びずれ量を含む非合焦状態が判定され、判定結果は、合焦状態及びずれ量を含む非合焦状態のうちのいずれかである。
制御処理部13は、合焦判定部10から3つの計測点の判定結果を入力すると共に、評価部12から評価指標Rを入力する。制御処理部13は、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43をそれぞれ操作することで、当該操作に伴う3つの計測点の判定結果を入力する。
制御処理部13は、判定結果が非合焦状態である場合の当該判定結果に含まれるずれ量の変化(操作前のずれ量から操作後のずれ量への変化)に基づいて、前ピンまたは後ピンを推定する。
例えば、制御処理部13は、第一計測点の判定結果が非合焦状態である場合、フォーカス部30をニア方向へ移動させるための予め設定されたフォーカス制御量をフォーカスアクチュエータ31へ出力することで、フォーカスアクチュエータ31を操作する。
制御処理部13は、当該操作に伴う判定結果を入力し、操作前後の判定結果である非合焦状態のずれ量からその変化量を求める。制御処理部13は、ずれ量が増加している場合、ニア方向のずれ量が増加したと判断し、第一計測点の判定結果は前ピンの非合焦状態であると推定する。一方、制御処理部13は、ずれ量が減少している場合、ファー方向のずれ量が減少したと判断し、第一計測点の判定結果は後ピンの非合焦状態であると推定する。第二計測点及び第三計測点の判定結果が非合焦状態である場合も、第一計測点と同様の処理により、前ピンまたは後ピンの非合焦状態が推定される。
そして、制御処理部13は、前ピンまたは後ピンの推定処理の後、図6に示した第一処理例または図7に示した第二処理例と同様の処理を行う。
これにより、合焦判定部10により判定結果がずれ量を含む非合焦状態の場合、フォーカス部30、スイング部40及びチルト部42をそれぞれ所定量だけ変位させることで、合焦状態からの乖離の度合いを示すずれ量の変化に基づいて、前ピンまたは後ピンの非合焦状態が推定される。そして、図6に示した第一処理例または図7に示した第二処理例により、撮像面上の3つの計測点を合焦状態とすることができる。つまり、前ピンまたは後ピンの非合焦状態を推定することで、光軸すなわち合焦面を傾けるべき方向を即座に判断することができ、合焦状態を得るまでの時間(最良の評価指標Rが判定されるまでの時間)を短縮することができる。
(第四処理例)
次に、制御処理部13の第四処理例について説明する。第四処理例は、合焦判定部10により非合焦状態の度合いであるずれ量が定量化されない場合に、レンズ32の光軸を傾ける方向が所定範囲内で変化するように、すなわちフォーカス部30、スイング部40及びチルト部42をそれぞれ所定範囲内で(例えば端から端まで)駆動し、所定範囲内の光軸の方向に対応するそれぞれの評価指標Rのうち最良の評価指標Rにおける方向(フォーカス部30の位置、スイング部40及びチルト部42の姿勢)を決定する。合焦判定部10により合焦状態及び非合焦状態の2状態が判定され、判定結果は、合焦状態及び非合焦状態のうちのいずれかである。
制御処理部13は、合焦判定部10から3つの計測点の判定結果を入力すると共に、評価部12から評価指標Rを入力する。制御処理部13は、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43をそれぞれ所定範囲内で操作することで、所定範囲内のそれぞれの位置及び姿勢に伴う3つの計測点の判定結果を入力すると共に、評価指標Rを入力する。
制御処理部13は、評価指標Rが最良のときのフォーカス部30の位置、並びにスイング部40及びチルト部42の姿勢を決定し、当該位置及び姿勢を合焦状態の位置及び姿勢であると判断する。
例えば、制御処理部13は、フォーカス部30が端から端まで移動するように、所定のフォーカス操作量をフォーカスアクチュエータ31へ出力することで、フォーカスアクチュエータ31を所定範囲内(フォーカス部30が移動する端から端までの範囲)で操作する。
制御処理部13は、評価指標Rが最良のときのフォーカス部30の位置を決定し、当該位置を合焦状態の位置であると判断する。制御処理部13は、スイング部40及びチルト部42についても、フォーカス部30と同様の処理を行い、評価指標Rが最良のときのスイング部40及びチルト部42の姿勢を決定し、当該姿勢を合焦状態の姿勢であると判断する。
これにより、合焦判定部10により判定結果として非合焦状態のずれ量が定量化されず、合焦状態及び非合焦状態の2状態の場合、フォーカス部30、スイング部40及びチルト部42を例えば端から端まで変位させ、評価指標Rが最良となる位置及び姿勢を探索することで、撮像面上の3つの計測点を合焦状態とすることができる。また、自動焦点技術のコントラスト法と同様の手法によって、光軸すなわち合焦面を自動的に制御することができる。
(第五処理例)
次に、制御処理部13の第五処理例について説明する。第五処理例は、合焦判定部10により各計測点の距離データが判定され、判定結果として距離が定量的に得られる場合に、予め設定されたルックアップテーブルTから、第一計測点、第二計測点及び第三計測点の距離を成分にもつ3次元のベクトル値に対応するフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量を取得し、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43を直接操作する。
図8は、制御処理部13の第五処理例に用いるルックアップテーブルTの構成例を示す図である。スイング軸及びチルト軸は、交差していても交差していなくてもよく、直交の有無も問わない。
このルックアップテーブルTは、第一計測点の距離、第二計測点の距離、第三計測点の距離、フォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量から構成され、ユーザにより予め設定される。第一計測点の距離、第二計測点の距離及び第三計測点の距離は、合焦判定部10から入力される判定結果における各計測点の距離データを示す。
フォーカス制御量は、第一計測点の距離、第二計測点の距離及び第三計測点の距離に対応している。スイング制御量及びチルト制御量についても同様である。第一計測点の距離、第二計測点の距離及び第三計測点の距離のときに合焦状態を得るためのフォーカス部30の位置、並びにスイング部40及びチルト部42の姿勢は一義的に決定される。このため、フォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量は、フォーカス部30を合焦位置に移動し、スイング部40及びチルト部42をそれぞれ合焦位置に回転させるためのそれぞれの制御量である。
つまり、ルックアップテーブルTから取得されるフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量は、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43へそれぞれ出力されることで、フォーカス部30を合焦位置に直接移動させ、スイング部40及びチルト部42を合焦位置にそれぞれ直接回転させることができる。
制御処理部13は、予め設定されたルックアップテーブルTを備えている。制御処理部13は、合焦判定部10から3つの計測点の判定結果として距離を入力すると共に、評価部12から評価指標Rを入力する。
制御処理部13は、ルックアップテーブルTから、入力した第一計測点の距離、第二計測点の距離及び第三計測点の距離に対応するフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量を読み出す。
ここで、制御処理部13は、ルックアップテーブルTに、入力した第一計測点の距離、第二計測点の距離または第三計測点の距離が設定されていない場合、ルックアップテーブルTに設定された第一計測点の距離、第二計測点の距離及び第三計測点の距離のうち、入力した距離に最も近いデータを特定し、特定したデータに対応するフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量を読み出す。
制御処理部13は、読み出したフォーカス制御量をフォーカスアクチュエータ31へ出力し、スイング制御量をスイングアクチュエータ41へ出力し、チルト制御量をチルトアクチュエータ43へ出力する。
これにより、合焦判定部10により各計測点の距離データが判定され、判定結果として距離が定量的に得られる場合、予め設定されたルックアップテーブルTから、第一計測点、第二計測点及び第三計測点の距離に対応するフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量を取得し、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43を直接操作することで、撮像面上の3つの計測点を合焦状態とすることができる。
(第六処理例)
次に、制御処理部13の第六処理例について説明する。第六処理例は、第五処理例と同様に、合焦判定部10により各計測点の距離データが判定され、判定結果として距離が定量的に得られる場合の例である。第六処理例は、予め設定されたフォーカス部30用、スイング部40用及びチルト部42用のルックアップテーブルT1~T3から、第一計測点、第二計測点及び第三計測点の距離にそれぞれ対応するフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量を取得し、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43を直接操作する。
図9は、制御処理部13の第六処理例に用いるルックアップテーブルT1~T3の構成例を示す図である。スイング軸及びチルト軸が直交し、かつ交差している。つまり、図9の例は、例えばフォーカス部30の位置が変更されてもスイング部40及びチルト部42の合焦状態または非合焦状態は変化しない場合、つまり、フォーカス部30、スイング部40及びチルト部42の合焦状態または非合焦状態が独立している場合を示している。
このルックアップテーブルT1は、第一計測点の距離及びフォーカス制御量から構成され、ユーザにより予め設定される。ルックアップテーブルT2は、第二計測点の距離及びスイング制御量から構成され、ユーザにより予め設定される。ルックアップテーブルT3は、第三計測点の距離及びチルト制御量から構成され、ユーザにより予め設定される。第一計測点の距離、第二計測点の距離及び第三計測点の距離は、合焦判定部10から入力される判定結果における各計測点の距離データを示す。
フォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量は、図8にて説明したとおり、フォーカス部30を合焦位置に移動し、スイング部40及びチルト部42をそれぞれ合焦位置に回転させるためのそれぞれの制御量である。
制御処理部13は、予め設定されたルックアップテーブルT1~T3を備えている。制御処理部13は、合焦判定部10から3つの計測点の判定結果として距離を入力すると共に、評価部12から評価指標Rを入力する。
制御処理部13は、ルックアップテーブルT1から、入力した第一計測点の距離に対応するフォーカス制御量を読み出し、ルックアップテーブルT2から、入力した第二計測点の距離に対応するスイング制御量を読み出す。また、制御処理部13は、ルックアップテーブルT3から、入力した第三計測点の距離に対応するチルト制御量を読み出す。
ここで、制御処理部13は、ルックアップテーブルT1に、入力した第一計測点の距離が設定されていない場合、ルックアップテーブルT1に設定された第一計測点の距離のうち入力した距離に最も近いデータを特定し、特定したデータに対応するフォーカス制御量を読み出す。ルックアップテーブルT2,T3についても同様である。
制御処理部13は、読み出したフォーカス制御量をフォーカスアクチュエータ31へ出力し、スイング制御量をスイングアクチュエータ41へ出力し、チルト制御量をチルトアクチュエータ43へ出力する。
これにより、合焦判定部10により各計測点の距離データが判定され、判定結果として距離が定量的に得られる場合、予め設定されたルックアップテーブルT1~T3から、第一計測点、第二計測点及び第三計測点の距離に対応するフォーカス制御量、スイング制御量及びチルト制御量を取得し、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43を直接操作することで、撮像面上の3つの計測点を合焦状態とすることができる。
以上のように、本発明の実施形態の合焦制御部1によれば、合焦判定部10は、AFセンサ23から計測値を入力し、計測値に基づき、撮像面上の3つの計測点について合焦状態または非合焦状態の判定を行う。制御部11の評価部12は、3つの計測点の判定結果に基づいて評価指標Rを求める。
制御部11の制御処理部13は、評価指標Rが最良となるように、3つの計測点の判定結果に基づいて、フォーカス部30のフォーカス位置の方向及びレンズ32の光軸を傾ける方向を決定する。そして、制御処理部13は、フォーカス部30がフォーカス位置の方向へ移動するように、所定のフォーカス制御量をフォーカスアクチュエータ31へ出力する。また、制御処理部13は、光軸が(あおり機構44が)当該方向に傾くように、所定のスイング制御量をスイングアクチュエータ41へ、所定のチルト制御量をチルトアクチュエータ43へそれぞれ出力する。
これにより、撮像素子21において合焦する被写界の合焦面が被写体の存在する面に倣うように、レンズ32の姿勢を電気的に調整することができる。言い換えると、レンズ32の光軸の方向を制御することで、簡易に、撮像面と平行でない平面の合焦状態を得ることができる。
つまり、被写界の平面上に並んだ全ての被写体が合焦するように、フォーカス部30のフォーカス位置を決定し、スイング部40及びチルト部42の回転角を決定することができる。その結果、被写界の平面上に並んだ全ての被写体が合焦したパンフォーカス画像を得ることができる。
〔パンフォーカスカメラ2の他の例〕
次に、パンフォーカスカメラ2の他の例について説明する。図10は、パンフォーカスカメラ2の他の構造例を示す概略図である。
図1に示したパンフォーカスカメラ2と図10に示すパンフォーカスカメラ2とを比較すると、両パンフォーカスカメラ2は、スイング部40の回転軸であるスイング軸及びチルト部42の回転軸であるチルト軸が直交している点で共通する。一方、図1のパンフォーカスカメラ2は、スイング軸及びチルト軸が交差しているが、図10のパンフォーカスカメラ2は交差していない点で相違する。
つまり、図1のパンフォーカスカメラ2は、あおり機構44が2軸ジンバルによって構成されるが、図10のパンフォーカスカメラ2は、スイング部40のスイング軸及びチルト部42のチルト軸が交差しないねじれ関係で構成される。
図10の(1)は、パンフォーカスカメラ2の断面を表わす平面図の概略を示し、(2)は、パンフォーカスカメラ2の断面を表す立面図を示し、向かって右側の被写界に存在する被写体(図示せず)が当該パンフォーカスカメラ2により撮影される。(3)は、パンフォーカスカメラ2の右側面図の概略を示しており、被写体(図示せず)から見たパンフォーカスカメラ2の外観の概略を示している。(1)~(3)には、説明に必要な構成部が実線で示されている。図10の(2)(3)は、図1の(1)(2)にそれぞれ対応する。
このパンフォーカスカメラ2は、合焦制御部1、撮像部20、撮像素子21、ハーフミラー22、AFセンサ23、フォーカス部30、フォーカスアクチュエータ31、レンズ32、スイング部40、スイングアクチュエータ41、チルト部42及びチルトアクチュエータ43を備えて構成される。各構成部の機能は、図1に示した構成部と同様であるため、説明を省略する。
尚、図10には、本発明に直接関連する構成部のみを示しており、直接関連しない構成部は省略してある。パンフォーカスカメラ2は、スイング機能またはチルト機能を実現するため、スイング部40及びスイングアクチュエータ41、またはチルト部42及びチルトアクチュエータ43を備えるようにしてもよい。
また、パンフォーカスカメラ2は、フォーカスアクチュエータ31を備えていなくてもよい。さらに、パンフォーカスカメラ2は、スイングアクチュエータ41またはチルトアクチュエータ43を備えていなくてもよい。
以下、フォーカスアクチュエータ31、スイングアクチュエータ41及びチルトアクチュエータ43によるフォーカス部30、スイング部40及びチルト部42の動作を説明する。
図10の(1)を参照して、フォーカスアクチュエータ31は、合焦制御部1からの操作出力に従い、フォーカス部30の位置を、ニア方向またはファー方向へ移動させる(矢印を参照)。これにより、焦点の制御が行われ、非合焦状態から合焦状態に変化する。
フォーカス部30にはレンズ32が装着されているため、フォーカス部30の移動に伴い、フォーカス部30と同じ方向にレンズ32も移動する。
チルトアクチュエータ43は、スイング部40を基準としたチルト部42の姿勢を変化させるためのアクチュエータであり、合焦制御部1からの操作出力に従い、チルト部42の姿勢を、チルトアップ方向またはチルトダウン方向へ回転させる(チルト軸の矢印を参照)。
チルト部42にはフォーカス部30を介してレンズ32が装着されているため、チルト部42の回転に伴い、チルト部42と同じ方向にレンズ32も回転する。これにより、レンズ32の光軸をチルトアップ方向またはチルトダウン方向に傾けることができる。
図10の(2)を参照して、スイングアクチュエータ41は、撮像部20を基準としたスイング部40の姿勢を変化させるためのアクチュエータであり、合焦制御部1からの操作出力に従い、スイング部40の姿勢を、スイングレフト方向またはスイングライト方向へ回転させる(スイング軸の矢印を参照)。
スイング部40にはチルト部42及びフォーカス部30を介してレンズ32が装着されているため、スイング部40の回転に伴い、スイング部40と同じ方向にレンズ32も回転する。これにより、レンズ32の光軸をスイングレフト方向またはスイングライト方向に傾けることができる。
図10の(1)及び(2)に示したとおり、このパンフォーカスカメラ2では、スイング部40のスイング軸及びチルト部42のチルト軸が直交しているが、これらの軸が交差しないねじれ関係で構成されている。このパンフォーカスカメラ2に対しても、図1に示したパンフォーカスカメラ2と同様に、前述の合焦制御部1による制御が適用される。
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
尚、本発明の実施形態による合焦制御部1のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。合焦制御部1は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。
合焦制御部1に備えた合焦判定部10及び制御部11の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。