以下、図面を参照して、実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1、工作機械100、および、工作機械の使用方法について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
(方向の定義)
本明細書において、回転体2の後端部22から回転体2の先端部24に向かう方向を「第1方向DR1」と定義し、第1方向DR1とは反対の方向を「第2方向DR2」と定義する。
本明細書において、回転体2の回転軸である第1軸AX1に近づく方向を「径内方向DR3」あるいは「内向き」と定義する。また、回転体2の回転軸である第1軸AX1から離れる方向を「径外方向DR4」あるいは「外向き」と定義する。
回転体2の後端部22から回転体2の先端部24に向かう方向は、例えば、下向き、または、横向きである。加工ヘッド10の姿勢を変更可能な場合、回転体2の後端部22から回転体2の先端部24に向かう方向は、加工ヘッド10の姿勢変更に応じて変化する。本明細書では、加工ヘッド10の実際の姿勢に関わらず、回転体2の後端部22から回転体の先端部24に向かう方向を「下方向」と呼び、回転体2の先端部24から回転体の後端部22に向かう方向を「上方向」と呼ぶ。また、本明細書において、加工ヘッド10の実際の姿勢に関わらず、第1方向DR1側の面のことを「下面」と呼び、第2方向DR2側の面のことを「上面」と呼ぶ。
(第1の実施形態)
図1乃至図6を参照して、第1の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Aについて説明する。図1は、第1の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Aを模式的に示す概略断面図である。図2は、比較例における工作機械の主軸潤滑装置1A’を模式的に示す概略断面図である。図3は、第1の実施形態の第1変形例における工作機械の主軸潤滑装置1Aを模式的に示す概略断面図である。図4は、第1回収流量、および、第2回収流量が測定される様子を模式的に示す図である。図5は、第1回収流路71、および、第2回収流路72からハウジング4の外に、オイル含有流体が排出される様子を模式的に示す図である。図6は、第1の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Aを模式的に示す概略断面図である。
図1に例示されるように、第1の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Aは、工具Tを保持する回転体2と、複数の軸受3と、ハウジング4と、混合流体供給装置6と、回収装置7と、を備える。工作機械の主軸潤滑装置1Aは、少なくとも混合流体供給装置6を制御するコントローラ8を備えていてもよい。
図1に記載の例では、回転体2は、回転シャフト20である。回転体2は、第1軸AX1まわりを回転可能である。回転体2(より具体的には、回転シャフト20)は、後端部22と、工具Tを保持する先端部24と、を有する。なお、工具Tを保持する工具ホルダHDが先端部24に取り付けられる場合がある。この場合、工具Tは、工具ホルダHDを介して、先端部24によって保持される。よって、本明細書において、「工具を保持する先端部24」には、工具Tを直接的に保持する先端部24と、工具ホルダHDを介して工具Tを保持する先端部24との両方が包含される。換言すれば、本明細書において、先端部24は、工具Tを直接的に保持するように構成されていてもよいし、工具ホルダHDを介して工具Tを保持するように構成されていてもよい。
ハウジング4は、複数の軸受3を介して、回転体2を第1軸AX1まわりに回転可能に支持する。図1に記載の例では、ハウジング4は、複数の部品のアセンブリによって構成されている。
図1に記載の例では、主軸潤滑装置1Aは、第1軸受31aおよび第2軸受36bを含む複数の軸受3を備える。図1に記載の例では、第1軸受31aは、回転体2の先端部24を支持する前部軸受31である。また、第2軸受36bは、回転体2の後端部22を支持する後部軸受36である。代替的に、第2軸受36bは、回転体の中間部を支持する軸受であってもよい。
図1に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1Aは、回転体2の先端部24を支持する前部軸受31と、回転体2の後端部22を支持する後部軸受36とを備える。前部軸受31は、第1軸受31aを含む少なくとも1つの軸受を有する。前部軸受31は、第1軸受31aおよび第3軸受31cを有していてもよい。図1に記載の例では、後部軸受36は、第2軸受36bを含む少なくとも1つの軸受を有する。後部軸受36は、第2軸受36bを含む複数の軸受を有していてもよい。
混合流体供給装置6は、複数の軸受3にオイルおよびエアを含む混合流体を供給する。当該混合流体は、オイルエアと呼ばれる場合もある。オイルエアにおいて、オイルはエアによって搬送される。換言すれば、オイルエアにおいて、エアは、オイルを搬送する搬送流体として機能する。より具体的には、オイルエアが複数の軸受3に供給されることにより、圧縮エアの流れを利用して、微量のオイルが連続的に複数の軸受3に供給される。
回収装置7は、オイルを含有するオイル含有流体を回収する。図1に記載の例では、回収装置7は、ハウジング4に設けられる複数の回収流路(71、72)と、ハウジング4の外に配置される複数のエジェクタ(75a、75b)と、複数の流量制御弁(76a、76b)と、を備える。回収装置7は、複数の回収流路(71、72)と、複数のエジェクタ(75a、75b)とを流体的に接続する複数の管路(74a、74b)を備えていてもよい。代替的に、複数の回収流路(71、72)と、複数のエジェクタ(75a、75b)とが直接的に接続される場合には、複数の管路(74a、74b)は省略される。
複数の回収流路(71、72)は、ハウジング4に設けられ、複数の軸受3からオイル含有流体を回収する。図1に記載の例では、複数の回収流路(71、72)は、第1回収流路71と、第2回収流路72とを含む。
第1回収流路71は、ハウジング4に設けられ、主として第1軸受31aを含む少なくとも1つの軸受から排出されるオイル含有流体を回収する。以下、第1回収流路71を介して回収されるオイル含有流体のことを、「第1のオイル含有流体」という。図1に記載の例では、第1回収流路71は、主として前部軸受31から排出される第1のオイル含有流体を回収する。図1に記載の例では、第1回収流路71の全部または大部分は、ハウジング4内に配置されている。第1回収流路71の全部または大部分は、ハウジング4に形成された貫通孔によって構成されていてもよい。
第2回収流路72は、ハウジング4に設けられ、主として第2軸受36bを含む少なくとも1つの軸受から排出されるオイル含有流体を回収する。以下、第2回収流路72を介して回収されるオイル含有流体のことを、「第2のオイル含有流体」という。図1に記載の例では、第2回収流路72は、主として後部軸受36から排出される第2のオイル含有流体を回収する。図1に記載の例では、第2回収流路72の全部または大部分は、ハウジング4内に配置されている。第2回収流路72の全部または大部分は、ハウジング4に形成された貫通孔によって構成されていてもよい。図1に記載の例では、第2回収流路72は、第1回収流路71とは別の流路である。
図1に記載の例では、複数の管路(74a、74b)は、第1管路74aと、第2管路74bとを含む。
第1管路74aは、第1回収流路71と、ハウジング4の外に配置される第1エジェクタ75aとを流体的に接続する。図1に記載の例では、第1管路74aの全体が、ハウジング4の外に配置されている。代替的に、第1管路74aの一部分がハウジング4内に配置され、第1管路74aの大部分がハウジング4の外に配置されてもよい。図1に記載の例では、第1エジェクタ75aは、第1管路74aを介して、第1回収流路71に、1対1に対応付けられたエジェクタである。
第2管路74bは、第2回収流路72と、ハウジング4の外に配置される第2エジェクタ75bとを流体的に接続する。図1に記載の例では、第2管路74bの全体が、ハウジング4の外に配置されている。代替的に、第2管路74bの一部分がハウジング4内に配置され、第2管路74bの大部分がハウジング4の外に配置されてもよい。図1に記載の例では、第2エジェクタ75bは、第2管路74bを介して、第2回収流路72に、1対1に対応付けられたエジェクタである。
複数のエジェクタ(75a、75b)は、ハウジングの外に配置される。図1に記載の例では、複数のエジェクタ(75a、75b)は、第1エジェクタ75aと、第2エジェクタ75bとを含む。
第1エジェクタ75aは、第1エア流路77aから供給されるエアによって負圧を発生させることにより、第1回収流路71から第1のオイル含有流体を吸引する。以下、第1エア流路77aから第1エジェクタ75aに供給されるエアのことを、「第1エア」という。図1に記載の例では、第1エジェクタ75aは、第1エア流路77aから供給される第1エアによって第1管路74aに負圧を発生させ、第1回収流路71から第1管路74aを介して第1のオイル含有流体を吸引する。
第2エジェクタ75bは、第2エア流路77bから供給されるエアによって負圧を発生させることにより、第2回収流路72から第2のオイル含有流体を吸引する。以下、第2エア流路77bから第2エジェクタ75bに供給されるエアのことを、「第2エア」という。図1に記載の例では、第2エジェクタ75bは、第2エア流路77bから供給される第2エアによって第2管路74bに負圧を発生させ、第2回収流路72から第2管路74bを介して第2のオイル含有流体を吸引する。
図1に記載の例では、複数の流量制御弁(76a、76b)は、第1流量制御弁76aと、第2流量制御弁76bとを含む。第1流量制御弁76aは、第1エア流路77aから第1エジェクタ75aに供給される第1エアの流量を調整する。第2流量制御弁76bは、第2エア流路77bから第2エジェクタ75bに供給される第2エアの流量を調整する。
図1に記載の例において、コントローラ8は、混合流体供給装置6に制御指令を送信し、制御指令を受信する混合流体供給装置6は、複数の軸受3に、オイルおよびエアを含む混合流体(より具体的には、オイルエア)を供給する。付加的に、コントローラ8は、回収装置7を制御してもよい。より具体的には、コントローラ8は、回収装置7に制御指令を送信し、制御指令を受信する回収装置7は、オイルを含有するオイル含有流体を回収する。
比較例における工作機械の主軸潤滑装置1A’(図2を参照。)では、複数の軸受3が管路74を介して1つの負圧発生装置75’に流体的に接続されている。図2に記載の例では、複数の軸受3から回収されるオイル含有流体の流量に関し、軸受毎に、または、軸受群毎に、回収されるオイル含有流体の流量を調整することができない。よって、複数の軸受の各々において潤滑不良が生じないようにすることが困難である。例えば、図2に記載の例において、第2軸受36bの潤滑が適度であり、第1軸受31aからのオイル含有流体の回収が不十分である場合を想定する。この場合、ハウジング4と回転体2との間の隙間からオイルが漏出する可能性がある。そこで、当該漏出を防止するため、負圧発生装置75’の吸引量を増加させる必要がある。しかし、負圧発生装置75’の吸引量を増加させると、第2軸受36bからのオイル含有流体の回収が過剰となり、第2軸受36bに潤滑不良が生じる。
図2に記載の例において、前部軸受31に含まれる軸受の数と、後部軸受36に含まれる軸受の数とが異なる場合を想定する。代替的に、あるいは、付加的に、第1管路74aの長さと、第2管路74bの長さとが異なる場合を想定する。このような場合に、全ての軸受からオイルの漏出が生じないように、第1管路74aおよび第2管路74bに等しい吸引力を作用させると、更に、潤滑不良の軸受が発生し易くなる。
これに対し、第1の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Aは、第1エジェクタ75a、および、第2エジェクタ75bを含む複数のエジェクタと、第1エジェクタ75aに供給される第1エアの流量を調整する第1流量制御弁76a、および、第2エジェクタ75bに供給される第2エアの流量を調整する第2流量制御弁76bを含む複数の流量制御弁と、を備える。
よって、第1エアの流量、および、第2エアの流量の各々が調整されることにより、軸受毎に、または、軸受グループ毎に、回収されるオイル含有流体の流量を調整することができる。その結果、複数の軸受3の各々において潤滑不良が生じないようにすることができる。
また、第1の実施形態では、加工ヘッド10の周囲に、オイルが漏出することが抑制され、オイルによる作業環境の汚染が防止または抑制される。よって、作業環境が改善され、環境に対する負荷も低減される。
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図6を参照して、第1の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Aにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
(エア源AS)
図1に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1Aは、少なくとも1つのエア源AS(例えば、エアコンプレッサ)を有する。少なくとも1つのエア源ASは、第1エア流路77aに第1エアを供給し、第2エア流路77bに第2エアを供給する。図1に記載の例では、第1エア流路77aに第1エアを供給するエア源AS1と、第2エア流路77bに第2エアを供給するエア源AS2とが同一である。代替的に、第2エア流路77bに第2エアを供給するエア源AS2は、第1エア流路77aに第1エアを供給するエア源AS1とは別のエア源であってもよい。
(第1エア流路77a、および、第2エア流路77b)
図1に記載の例では、回収装置7は、第1エジェクタ75aに第1エアを供給する第1エア流路77aと、第2エジェクタ75bに第2エアを供給する第2エア流路77bと、を有する。図1に記載の例では、第1エア流路77aに第1流量制御弁76aが配置され、第2エア流路77bに第2流量制御弁76bが配置されている。
(主エア流路12)
図1に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1Aは、エア源ASと、第1エア流路77aおよび第2エア流路77bとを流体的に接続する主エア流路12を有する。図1に記載の例では、主エア流路12が、第1エア流路77aおよび第2エア流路77bを含む複数のエア流路に分岐される。
(開閉弁13)
図1に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1Aは、エア源ASと第1流量制御弁76aとの間に配置された開閉弁13を有する。当該開閉弁13が閉状態であるとき、第1流量制御弁76aにはエアが供給されない。図1に記載の例では、開閉弁13が主エア流路12に配置されている。この場合、開閉弁13が開状態であるとき、第1流量制御弁76aおよび第2流量制御弁76bにエアが供給され、開閉弁13が閉状態であるとき、第1流量制御弁76aおよび第2流量制御弁76bにはエアが供給されない。
代替的に、図3に例示されるように、工作機械の主軸潤滑装置1Aは、エア源ASと第1流量制御弁76aとの間に配置された第1開閉弁13aと、エア源ASと第2流量制御弁76bとの間に配置された第2開閉弁13bと、を備えていてもよい。図3に記載の例では、第1開閉弁13aが、第1エア流路77aに配置され、第2開閉弁13bが、第2エア流路77bに配置されている。この場合、第1開閉弁13aが開状態であるとき、第1流量制御弁76aにエアが供給され、第1開閉弁13aが閉状態であるとき、第1流量制御弁76aにはエアが供給されない。また、第2開閉弁13bが開状態であるとき、第2流量制御弁76bにエアが供給され、第2開閉弁13bが閉状態であるとき、第2流量制御弁76bにはエアが供給されない。
(排気管路78、および、エキゾーストクリーナ791)
図1に記載の例では、回収装置7は、排気管路78と、回収容器792と、有する。付加的に、回収装置7は、エキゾーストクリーナ791を有していてもよい。
排気管路78は、複数のエジェクタ(75a、75b)から排気(より具体的には、オイル含有流体)を受け取る。図1に記載の例では、排気管路78は、複数のエジェクタ(75a、75b)と、エキゾーストクリーナ791とを流体的に接続する。排気管路78は、例えば、複数のパイプによって構成される。
回収容器792は、排気管路78に流体的に接続される。図1に記載の例では、回収容器792は、排気管路78から、エキゾーストクリーナ791を介して、オイル含有流体に含まれる液状オイルを受け取る。代替的に、回収容器792は、排気管路78から、エキゾーストクリーナ791を介さずに、直接的に、オイル含有流体を受け取ってもよい。
図1に記載の例において、エキゾーストクリーナ791は、排気管路78を介して、複数のエジェクタ(75a、75b)からオイル含有流体を受け取る。また、エキゾーストクリーナ791は、排気管路78から受け取ったオイル含有流体を、液状オイルと、エアとに分離する。エキゾーストクリーナ791によってオイル含有流体から分離された液状オイルは、回収容器792に収容される。
図1に記載の例では、複数の軸受3の潤滑に使用されたオイルの大部分が、エキゾーストクリーナ791を介して回収容器792に回収される。よって、加工ヘッド10の周囲が、オイルによって汚染されることが防止または抑制される。よって、作業環境が改善され、環境に対する負荷が低減される。
(第2の実施形態)
図7乃至図26を参照して、第2の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Bについて説明する。図7は、第2の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Bを模式的に示す概略断面図である。図8は、第1回収流量、および、第2回収流量が測定される様子を模式的に示す図である。図9は、第1回収流路71、および、第2回収流路72からハウジング4の外に、オイル含有流体が排出される様子を模式的に示す図である。図10は、第2の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Bを模式的に示す概略断面図である。図11は、第2の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Bの一部分を模式的に示す概略断面図である。図12は、エジェクタ75の構造の一例について説明するための図である。図13は、第2の実施形態の第1変形例における工作機械の主軸潤滑装置1Bを模式的に示す概略断面図である。図14は、第2の実施形態の第1変形例における工作機械の主軸潤滑装置1Bの一部分を模式的に示す概略断面図である。図15は、第1回収流量、および、第2回収流量が測定される様子を模式的に示す図である。図16は、第1回収流路71、第2回収流路72、および、第3回収流路73からハウジング4の外に、オイル含有流体が排出される様子を模式的に示す図である。図17は、第2の実施形態の第1変形例における工作機械の主軸潤滑装置1Bを模式的に示す概略断面図である。図18は、第2の実施形態の第1変形例における工作機械の主軸潤滑装置1Bの一部分を模式的に示す図である。図19は、加工ヘッド10の一例を模式的に示す概略断面図である。図20乃至図22、図24、図25は、第2の実施形態の第1変形例における工作機械の主軸潤滑装置1Bの一部分を模式的に示す概略断面図である。図23は、第2の実施形態の第2変形例における工作機械の主軸潤滑装置1Bの一部分を模式的に示す概略断面図である。図26は、第1環状溝V1、および、第2環状溝V2について説明するための図である。
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。逆に、第2の実施形態で説明される全ての事項は、第1の実施形態に適用可能である。
図7に例示されるように、第2の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Bは、(1)工具Tを保持する回転体2と、(2)第1軸受31aおよび第2軸受36bを含む複数の軸受3と、(3)複数の軸受3を介して、回転体2を第1軸AX1まわりに回転可能に支持するハウジング4と、(4)複数の軸受3にオイルおよびエアを含む混合流体を供給する混合流体供給装置6と、(5)オイルを含有するオイル含有流体を回収する回収装置7と、を具備する。付加的に、工作機械の主軸潤滑装置1Bは、少なくとも混合流体供給装置6を制御するコントローラ8を備えていてもよい。回収装置7は、(6A)ハウジング4に設けられ、複数の軸受3からオイル含有流体を回収する複数の回収流路(71、72、73)と、(6B)ハウジング4の外に配置される複数のエジェクタ(75a、75b、75c)と、(6C)複数の流量制御弁(76a、76b、76c)と、を備える。付加的に、回収装置7は、複数の回収流路(71、72、73)と、複数のエジェクタ(75a、75b、75c)とを流体的に接続する複数の管路(74a、74b、74c)を備えていてもよい。
図7に記載の例において、複数の回収流路(71、72、73)は、主として第1軸受31aを含む少なくとも1つの軸受から排出される第1のオイル含有流体を回収する第1回収流路71と、主として第2軸受36bを含む少なくとも1つの軸受から排出される第2のオイル含有流体を回収する第2回収流路72と、を含む。
図7に記載の例において、複数の管路(74a、74b、74c)は、第1回収流路71と、第1エジェクタ75aとを流体的に接続する第1管路74aと、第2回収流路72と、第2エジェクタ75bとを流体的に接続する第2管路74bと、を含む。
図7に記載の例において、複数のエジェクタ(75a、75b、75c)は、第1エア流路77aから供給される第1エアによって第1管路74aに負圧を発生させ、第1回収流路71から第1管路74aを介して第1のオイル含有流体を吸引する第1エジェクタ75aと、第2エア流路77bから供給される第2エアによって第2管路74bに負圧を発生させ、第2回収流路72から第2管路74bを介して第2のオイル含有流体を吸引する第2エジェクタ75bと、を含む。
図7に記載の例において、複数の流量制御弁(76a、76b、76c)は、第1エア流路77aから第1エジェクタ75aに供給される第1エアの流量を調整する第1流量制御弁76aと、第2エア流路77bから第2エジェクタ75bに供給される第2エアの流量を調整する第2流量制御弁76bと、を含む。
以上のことから、第2の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Bは、第1の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1Aと同様の効果を奏する。
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図26を参照して、第2の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1B(または、第1の実施形態における工作機械の主軸潤滑装置1A)において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
(第1回収流量、第1排出流量、および、第1流量制御弁76aの開度の設定)
図4、図5、図8、図9の各々において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に第1流量の混合流体が供給されているものとする(矢印AR1を参照。)。
図4または図8には、複数の管路(74a、74b、・・・)が、複数の回収流路(71、72、・・・)に、それぞれ、流体的に接続されている状態が示されている。より具体的には、図4および図8に記載の例では、第1管路74aが第1回収流路71に流体的に接続され、第2管路74bが第2回収流路72に流体的に接続されている。また、図8に記載の例では、第3管路74cが第3回収流路73に流体的に接続されている。
図5または図9には、複数の管路(74a、74b、・・・)が、複数の回収流路(71、72、・・・)から流体的に切り離されている状態が示されている。より具体的には、図5および図9に記載の例では、第1管路74aが第1回収流路71から流体的に切り離され、第2管路74bが第2回収流路72から流体的に切り離されている。また、図9に記載の例では、第3管路74cが第3回収流路73から流体的に切り離されている。
図4または図8に例示されるように、複数の管路(74a、74b、・・・)が複数の回収流路(71、72、・・・)にそれぞれ流体的に接続され、且つ、混合流体供給装置6から複数の軸受3に第1流量の混合流体が供給される第1条件CD1の下で、第1管路74aを流れる第1のオイル含有流体の流量を第1回収流量と定義する(図4、図8における矢印AR2を参照。)。第1回収流量は、例えば、測定によって導出される。図4または図8に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1は、第1管路74aに配置された第1流量計11aを有する。この場合、第1流量計11aを用いて、第1回収流量を測定することができる。なお、第1流量計11aは、第1回収流量が測定された後、第1管路74aから取り外されてもよい。代替的に、第1流量計11aは、第1回収流量の測定後、第1管路74aに取り付けられたままにされてもよい。
図5または図9に例示されるように、複数の管路(74a、74b、・・・)が複数の回収流路(71、72、・・・)から流体的に切り離されている点でのみ上述の第1条件CD1と異なる第2条件CD2の下で、第1回収流路71から第1回収流路71の外(図5または図9に記載の例では、第1回収流路71の外、且つ、ハウジング4の外)に排出される第1のオイル含有流体の流量を第1排出流量と定義する(図5、図9における矢印AR4を参照。)。第1排出流量は、測定によって導出されてもよいし、シミュレーションによって導出されてもよい。例えば、第1回収流路71からハウジング4の外に吐出される第1のオイル含有流体を袋に回収し、回収された第1のオイル含有流体の体積を回収時間で除算することにより第1排出流量が導出されてもよい。なお、第1排出流量の測定は、回収装置7を有さない点を除き上述の主軸潤滑装置1と同型の他の主軸潤滑装置を用いて行われてもよい。
上述の第1条件CD1には、ハウジング4に対する回転体2の第1軸AX1まわりの回転角が維持されるとの条件が含まれていてもよい。この場合、上述の第2条件CD2は、ハウジング4に対する回転体2の第1軸AX1まわりの回転角が維持されるとの条件が含まれることとなる。代替的に、上述の第1条件CD1には、ハウジング4に対して回転体2が第1軸AX1まわりに所定の回転数(例えば、20000rpm、あるいは、主軸潤滑装置の設計仕様における最高回転数等)で回転されるとの条件が含まれていてもよい。この場合、上述の第2条件CD2は、ハウジング4に対して回転体2が第1軸AX1まわりに当該所定の回転数(例えば、20000rpm、あるいは、主軸潤滑装置の設計仕様における最高回転数等)で回転されるとの条件が含まれることとなる。
上述の第1条件CD1において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の流量(すなわち、第1流量)は、上述の第2条件CD2において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の流量(すなわち、第1流量)と等しい。主軸潤滑装置1の運転時に、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の流量の上限値、および、混合流体の流量の下限値が予め定められている場合を想定する。この場合、上述の第1条件CD1および上述の第2条件CD2の各々において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の第1流量の値は、上述の下限値以上上述の上限値以下の範囲内の任意の値に設定される。上述の第1条件CD1および上述の第2条件CD2の各々において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の第1流量の値は、上述の上限値に設定されてもよいし、上述の下限値に設定されてもよいし、上述の上限値より小さく上述の下限値より大きい値に設定されてもよい。
図6または図10に記載の例において、上述の第1回収流量が、上述の第1排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるように(より好ましくは、上述の第1回収流量が、上述の第1排出流量の1倍以上1.2倍以下の範囲内となるように)、第1流量制御弁76aの開度が設定される。第1流量制御弁76aの開度の設定は、手動で行われてもよいし、コントローラ8によって行われてもよい。
第1流量制御弁76aの開度の設定が手動で行われる場合、オペレータは、第1流量計11aによって示される第1回収流量の値を参照しながら、第1流量制御弁76aの開度を調整する。こうして、上述の第1回収流量が、上述の第1排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるように、オペレータは、手動で、第1流量制御弁76aの開度を設定する。第1流量制御弁76aの開度の設定がコントローラ8によって行われる場合、第1流量計11aによって示される第1回収流量の値が、上述の第1排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるように、コントローラ8は、第1流量制御弁76aの開度を自動で調整してもよい。なお、第1流量計11aは、第1回収流量が調整された後、第1管路74aから取り外されてもよいし、第1管路74aにそのまま取り付けられていてもよい。
上述の第1回収流量が、上述の第1排出流量の1倍以上であることにより、第1のオイル含有流体の回収が不十分となることが抑制される。こうして、回転体2とハウジング4との隙間から工作機械の主軸潤滑装置1外にオイルが漏出することが抑制される。また、上述の第1回収流量が、上述の第1排出流量の1.5倍以下であることにより、第1のオイル含有流体の回収が過剰となることが抑制される。こうして、第1軸受31aを含む少なくとも1つの軸受に潤滑不良が生じない。
(第2回収流量、第2排出流量、および、第2流量制御弁76bの開度の設定)
図4または図8に例示されるように、上述の第1条件CD1の下で、第2管路74bを流れる第2のオイル含有流体の流量を第2回収流量と定義する(図4、図8における矢印AR3を参照。)。第2回収流量は、例えば、測定によって導出される。図4または図8に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1は、第2管路74bに配置された第2流量計11bを有する。この場合、第2流量計11bを用いて、第2回収流量を測定することができる。なお、第2流量計11bは、第2回収流量が測定された後、第2管路74bから取り外されてもよい。代替的に、第2流量計11bは、第2回収流量の測定後、第2管路74bに取り付けられたままにされてもよい。
図5または図9に例示されるように、上述の第2条件CD2の下で、第2回収流路72から第2回収流路72の外(図5または図9に記載の例では、第2回収流路72の外、且つ、ハウジング4の外)に排出される第2のオイル含有流体の流量を第2排出流量と定義する(図5、図9における矢印AR5を参照。)。第2排出流量は、測定によって導出されてもよいし、シミュレーションによって導出されてもよい。例えば、第2回収流路72からハウジング4の外に吐出される第2のオイル含有流体を袋に回収し、回収された第2のオイル含有流体の体積を回収時間で除算することにより第2排出流量が導出されてもよい。なお、第2排出流量の測定は、回収装置7を有さない点を除き上述の主軸潤滑装置1と同型の他の主軸潤滑装置を用いて行われてもよい。
図6または図10に記載の例において、上述の第2回収流量が、上述の第2排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるように(より好ましくは、上述の第2回収流量が、上述の第2排出流量の1倍以上1.2倍以下の範囲内となるように)、第2流量制御弁76bの開度が設定される。第2流量制御弁76bの開度の設定は、手動で行われてもよいし、コントローラ8によって行われてもよい。
第2流量制御弁76bの開度の設定が手動で行われる場合、オペレータは、第2流量計11bによって示される第2回収流量の値を参照しながら、第2流量制御弁76bの開度を調整する。こうして、上述の第2回収流量が、上述の第2排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるように、オペレータは、手動で、第2流量制御弁76bの開度を設定する。第2流量制御弁76bの開度の設定がコントローラ8によって行われる場合、第2流量計11bによって示される第2回収流量の値が、上述の第2排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるように、コントローラ8は、第2流量制御弁76bの開度を自動で調整してもよい。なお、第2流量計11bは、第2回収流量が調整された後、第2管路74bから取り外されてもよいし、第2管路74bにそのまま取り付けられていてもよい。
上述の第2回収流量が、上述の第2排出流量の1倍以上であることにより、第2のオイル含有流体の回収が不十分となることが抑制される。こうして、回転体2とハウジング4との隙間から加工ヘッド10外にオイルが漏出することが抑制される。また、上述の第2回収流量が、上述の第2排出流量の1.5倍以下であることにより、第2のオイル含有流体の回収が過剰となることが抑制される。こうして、第2軸受36bを含む少なくとも1つの軸受に潤滑不良が生じない。
例えば、複数の管路(74a、74b、・・・)の長さが長い場合、あるいは、排気管路78の長さが長い場合、管路を流れるオイル含有流体の圧力損失が大きくなる。このような場合、複数のエジェクタ(75a、75b、・・・)の吸引力を大きくする必要がある。しかし、複数のエジェクタ(75a、75b、・・・)の吸引力を大きくすると、軸受の潤滑不良が生じやすくなる。また、前部軸受31に含まれる軸受の数と、後部軸受36に含まれる軸受の数とが異なる場合、第1管路74aの長さと、第2管路74bの長さとが異なる場合等には、複数の軸受間で潤滑のアンバランスが生じ易くなる。これに対し、上述のように第1流量制御弁76aおよび第2流量制御弁76bの各々の開度を適切に設定すれば、複数の軸受の各々において潤滑不良が生じない。
(複数の軸受3)
複数の軸受3は、第1軸受31aと、第2軸受36bとを含む。付加的に、複数の軸受3は、第3軸受31cを含んでいてもよい。図6、図10に記載の例において、第3軸受31cは、第1軸AX1に沿う方向において、第1軸受31aと第2軸受36bとの間に配置されている。第3軸受31cは、例えば、玉軸受である。
第1軸受31aは、回転体2の先端部24を支持する前部軸受31の少なくとも一部を構成する。第1軸受31aは、例えば、玉軸受である。図6、図10に記載の例では、第1軸受31aは、回転体2を支持する複数の軸受3のうち、最も第1方向DR1側(換言すれば、最も先端側)に配置された軸受である。回転体2の先端部24を支持する前部軸受31は、複数の軸受を含んでいてもよい。図6、図10に記載の例では、前部軸受31は、第1軸受31aと、第3軸受31cとを含む。
図11に記載の例では、第1軸受31aは、内輪32aと、外輪33aと、内輪32aと外輪33aとの間に配置された転動体34aと、を有する。また、第3軸受31cは、内輪32cと、外輪33cと、内輪32cと外輪33cとの間に配置された転動体34cと、を有する。
図6、図10に記載の例において、第2軸受36bは、回転体2の後端部22を支持する後部軸受36の少なくとも一部を構成する。第2軸受36bは、例えば、ローラころ軸受である。
(回収装置7)
図10に記載の例では、回収装置7は、(1)第1回収流路71、第2回収流路72、および、第3回収流路73を含む複数の回収流路と、(2)第1管路74a、第2管路74b、および、第3管路74cを含む複数の管路と、(3)第1エジェクタ75a、第2エジェクタ75b、および、第3エジェクタ75cを含む複数のエジェクタと、(4)第1流量制御弁76a、第2流量制御弁76b、および、第3流量制御弁76cを含む複数の流量制御弁と、を備える。
第1回収流路71、第2回収流路72、第1管路74a、第2管路74b、第1エジェクタ75a、第2エジェクタ75b、第1流量制御弁76a、第2流量制御弁76bについては、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
第3回収流路73は、ハウジング4に設けられている。図11に記載の例では、第3回収流路73の全部または大部分は、ハウジング4内に配置されている。第3回収流路73の全部または大部分は、ハウジング4に形成された貫通孔によって構成されていてもよい。
第3回収流路73は、第1回収流路71によって回収されずに第1軸受31aを通過したオイルを含むオイル含有流体を回収する。以下、第3回収流路73を介して回収されるオイル含有流体のことを、「第3のオイル含有流体」という。図10に記載の例では、第3回収流路73は、第1回収流路71および第2回収流路72とは別の流路である。
図10に例示されるように、第3管路74cは、第3回収流路73と、ハウジング4の外に配置された第3エジェクタ75cとを流体的に接続する。図10に記載の例では、第3管路74cの全体が、ハウジング4の外に配置されている。代替的に、第3管路74cの一部分がハウジング4内に配置され、第3管路74cの大部分がハウジング4の外に配置されてもよい。
第3エジェクタ75cは、第3エア流路77cから供給されるエアによって負圧を発生させることにより、第3回収流路73から第3のオイル含有流体を吸引する。以下、第3エア流路77cから第3エジェクタ75cに供給されるエアのことを、「第3エア」という。図10に記載の例では、第3エジェクタ75cは、第3エア流路77cから供給される第3エアによって第3管路74cに負圧を発生させ、第3回収流路73から第3管路74cを介して第3のオイル含有流体を吸引する。図10に記載の例では、第3エジェクタ75cは、第3管路74cを介して、第3回収流路73に、1対1に対応付けられたエジェクタである。
第3流量制御弁76cは、第3エア流路77cから第3エジェクタ75cに供給される第3エアの流量を調整する。第3流量制御弁76cの開度の設定は、手動で行われてもよいし、コントローラ8によって行われてもよい。
図11に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1は、第1回収流路71によって回収されずに第1軸受31aを通過したオイルを含む第3のオイル含有流体を回収する第3回収流路73を有する。よって、第1軸受31aを通過したオイルが、回転体2とハウジング4の先端部46との隙間から漏出することが効果的に抑制される。
例えば、工具Tによって加工されるワークにオイルが付着するのが好ましくない場合を想定する。より具体的には、オイルが付着すると不都合が生じる炭素材料によって構成されたワークを加工する場合を想定する。このような場合において、第3回収流路73を備える実施態様は有用である。
また、工具Tを用いて樹脂材料等を加工するときに、ドライ加工が利用される場合がある。第3回収流路73を備える実施態様では、回転体2とハウジング4の先端部46との隙間からオイルが漏出することが抑制され、ワーク(例えば、樹脂材料等)にオイルが付着することが効果的に抑制される。よって、第3回収流路73を備える実施態様は、ドライ加工が利用される場合においても有用である。
第3回収流路73を備える実施態様では、回転体2とハウジング4の先端部46との隙間からオイルが漏出することが抑制される。よって、ワークの加工中にクーラントが使用される場合において(換言すれば、ドライ加工でない場合において)、クーラントにオイルが混ざることが抑制される。よって、環境に対する負荷が低減される。
図10に記載の例では、回収装置7は、排気管路78と、エキゾーストクリーナ791と、回収容器792と、有する。図10に記載の例では、排気管路78は、第1エジェクタ75a、第2エジェクタ75b、および、第3エジェクタ75cと、エキゾーストクリーナ791とを流体的に接続する。
エキゾーストクリーナ791は、排気管路78を介して、複数のエジェクタ(75a、75b、75c)からオイル含有流体を受け取る。また、エキゾーストクリーナ791は、排気管路78から受け取ったオイル含有流体を、液状オイルと、エアとに分離する。エキゾーストクリーナ791によってオイル含有流体から分離された液状オイルは、回収容器792に回収される。
(エジェクタ75の構造)
図12には、エジェクタ75の構造の一例が示されている。エジェクタ75は、入口ポート751と、出口ポート752と、真空ポート753とを有する。エジェクタ75の入口ポート751に圧縮エアが供給されると、エジェクタ75の真空ポート753を介してエジェクタ75内に吸引対象流体が吸い込まれる。圧縮エアと、吸引対象流体は、出口ポート752を介して、エジェクタ75から排出される。入口ポート751に供給される圧縮エアの流量が増加すると、エジェクタ75内に吸い込まれる吸引対象流体の流量が増加する。他方、入口ポート751に供給される圧縮エアの流量が減少すると、エジェクタ75内に吸い込まれる吸引対象流体の流量が減少する。
第1エジェクタ75aに関しては、入口ポート751aに上述の第1エア流路77aが接続され、出口ポート752aに上述の排気管路78が接続され、真空ポート753aに上述の第1管路74aが接続される。第2エジェクタ75bに関しては、入口ポート751bに上述の第2エア流路77bが接続され、出口ポート752bに上述の排気管路78が接続され、真空ポート753bに上述の第2管路74bが接続される。第3エジェクタ75cに関しては、入口ポート751cに上述の第3エア流路77cが接続され、出口ポート752cに上述の排気管路78が接続され、真空ポート753cに上述の第3管路74cが接続される。
(エア供給装置9)
図13に例示されるように、工作機械の主軸潤滑装置1は、エア供給装置9を備えていてもよい。エア供給装置9は、ハウジング4の外に配置されるエア源AS(例えば、エアコンプレッサ)と、ハウジング4に設けられるエア供給流路93と、エア源ASとエア供給流路93とを接続するエア供給管91と、第4流量制御弁96と、を有する。
図13に記載の例では、エア供給管91は、ハウジング4の外に配置されている。エア供給管91は、エア供給流路93にエアを供給する。以下、エア供給管91からエア供給流路93に供給されるエアのことを、「第4エア」という。第4流量制御弁96は、エア供給管91からエア供給流路93に供給される第4エアの流量を調整する。図13に記載の例では、第4流量制御弁96は、エア供給管91に配置されている。第4流量制御弁96の開度の設定は、手動で行われてもよいし、コントローラ8によって行われてもよい。
図14に記載の例では、回転体2(より具体的には、回転シャフト20)とハウジング4の先端部46との間にはエア噴射口OP1が形成されている。また、ハウジング4には、エア供給流路93から受け取る第4エアを、回転体2とハウジング4との間の隙間Gに吐出する吐出口49が形成されている。吐出口49から吐出される第4エアは、当該隙間Gから第3回収流路73に向かう第1流れと、当該隙間Gからエア噴射口OP1に向かう第2流れとの両方を形成する。
エア噴射口OP1から噴射される第4エアは、切粉等の異物が、隙間Gを介して、ハウジング4内に進入することを防止する。より具体的には、図13に記載の例では、エア噴射口OP1から噴射される第4エアは、工具Tあるいは工具ホルダHDの周囲にエアカーテンACを形成する。当該エアカーテンACは、切粉等の異物が、隙間Gを介して、ハウジング4内に進入することを防止する。
図14に記載の例において、隙間Gから第3回収流路73に向かう第1流れ(より具体的には、隙間Gから第3回収流路73に向かう第4エアの流れ)は、隙間Gに進入したオイルE1を、第3回収流路73に向けて押し戻す。よって、回転体2とハウジング4の先端部46との隙間からのオイルの漏出が、更に効果的に抑制される。
第3回収流路73には、他の回収流路(71、72)と比較して、相対的に多くの第4エア(換言すれば、吐出口49から吐出された第4エア)が含まれる。また、図13に記載の例において、第3管路74cには、他の管路(74a、74b)と比較して、相対的に多くの第4エア(換言すれば、吐出口49から吐出された第4エア)が含まれる。このような場合に、第1管路74a、第2管路74b、および、第3管路74cに等しい吸引力を作用させると、複数の軸受間で、オイル回収のアンバランスが生じやすい。これに対し、図13に記載の例では、第1管路74aに作用させる吸引力と、第2管路74bに作用させる吸引力と、第3管路74cに作用させる吸引力とを、独立して調整可能である。よって、これらの吸引力を個別に適切に設定することにより、複数の軸受の各々において潤滑不良が生じないようにすることができる。
(第1流量制御弁76aの開度、および、第2流量制御弁76bの開度の設定)
図15、図16の各々において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に第1流量の混合流体が供給されているものとする(矢印AR1を参照。)。図15、図16の各々において、エア供給流路93には第2流量の第4エアが供給されているものとする(矢印AR7を参照。)。また、図15、図16の各々において、エア噴射口OP1からエアが噴射されているものとする(矢印AR6を参照。)。
図15には、複数の管路(74a、74b、74c)が、複数の回収流路(71、72、73)に、それぞれ、流体的に接続されている状態が示されている。より具体的には、図15に記載の例では、第1管路74aが第1回収流路71に流体的に接続され、第2管路74bが第2回収流路72に流体的に接続され、第3管路74cが第3回収流路73に流体的に接続されている。
図16には、複数の管路(74a、74b、74c)が、複数の回収流路(71、72、73)から流体的に切り離されている状態が示されている。より具体的には、図16に記載の例では、第1管路74aが第1回収流路71から流体的に切り離され、第2管路74bが第2回収流路72から流体的に切り離され、第3管路74cが第3回収流路73から流体的に切り離されている。
図15に例示されるように、複数の管路(74a、74b、74c)が複数の回収流路(71、72、73)にそれぞれ流体的に接続され、混合流体供給装置6から複数の軸受3に第1流量の混合流体が供給され、且つ、エア供給流路93に第2流量の第4エアが供給されるとの第3条件CD3の下で、第1管路74aを流れる第1のオイル含有流体の流量を第1回収流量と定義する(図15における矢印AR2を参照。)。また、上述の第3条件CD3の下で、第2管路74bを流れる第2のオイル含有流体の流量を第2回収流量と定義する(図15における矢印AR3を参照。)。なお、第1回収流量および第2回収流量の測定方法については説明済みであるため、これらの測定方法についての繰り返しとなる説明は省略する。
図16に例示されるように、複数の管路(74a、74b、74c)が複数の回収流路(71、72、73)から流体的に切り離されている点でのみ上述の第3条件CD3と異なる第4条件CD4の下で、第1回収流路71から第1回収流路71の外(例えば、ハウジング4の外)に排出される第1のオイル含有流体の流量を第1排出流量と定義する(図16における矢印AR4を参照。)。また、上述の第4条件CD4の下で、第2回収流路72から第2回収流路72の外(例えば、ハウジング4の外)に排出される第2のオイル含有流体の流量を第2排出流量と定義する(図16における矢印AR5を参照。)。なお、第1回収流量および第2回収流量の測定方法(または、導出方法)については説明済みであるため、これらの測定方法(または、導出方法)についての繰り返しとなる説明は省略する。
上述の第3条件CD3には、ハウジング4に対する回転体2の第1軸AX1まわりの回転角が維持されるとの条件が含まれていてもよい。この場合、上述の第4条件CD4は、ハウジング4に対する回転体2の第1軸AX1まわりの回転角が維持されるとの条件が含まれることとなる。代替的に、上述の第3条件CD3には、ハウジング4に対して回転体2が第1軸AX1まわりに所定の回転数(例えば、20000rpm、あるいは、主軸潤滑装置の設計仕様における最高回転数等)で回転されるとの条件が含まれていてもよい。この場合、上述の第4条件CD4は、ハウジング4に対して回転体2が第1軸AX1まわりに当該所定の回転数(例えば、20000rpm、あるいは、主軸潤滑装置の設計仕様における最高回転数等)で回転されるとの条件が含まれることとなる。
上述の第3条件CD3において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の流量(すなわち、第1流量)は、上述の第4条件CD4において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の流量(すなわち、第1流量)と等しい。主軸潤滑装置1の運転時に、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の流量の上限値、および、混合流体の流量の下限値が予め定められている場合を想定する。この場合、上述の第3条件CD3および上述の第4条件CD4の各々において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の第1流量の値は、上述の下限値以上上述の上限値以下の範囲内の任意の値に設定される。上述の第3条件CD3および上述の第4条件CD4の各々において、混合流体供給装置6から複数の軸受3に供給される混合流体の第1流量の値は、上述の上限値に設定されてもよいし、上述の下限値に設定されてもよいし、上述の上限値より小さく上述の下限値より大きい値に設定されてもよい。
上述の第3条件CD3においてエア供給流路93に供給される第4エアの流量(すなわち、第2流量)は、上述の第4条件CD4においてエア供給流路93に供給される第4エアの流量(すなわち、第2流量)と等しい。上述の第4条件CD4において、エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量を「第3流量」と定義する。上述の第4条件CD4において(図16を参照。)、第3流量がエアカーテンの形成に必要な流量(例えば、エアカーテン形成のための設計下限値の流量)となるように、エア供給流路93に供給される第4エアの流量(すなわち、第2流量)が設定されることが好ましい。
図17に記載の例において、上述の第1回収流量が、上述の第1排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるように(より好ましくは、上述の第1回収流量が、上述の第1排出流量の1倍以上1.2倍以下の範囲内となるように)、第1流量制御弁76aの開度が設定される。第1流量制御弁76aの開度の設定は、手動で行われてもよいし、コントローラ8によって行われてもよい。また、上述の第2回収流量が、上述の第2排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるように(より好ましくは、上述の第2回収流量が、上述の第2排出流量の1倍以上1.2倍以下の範囲内となるように)、第2流量制御弁76bの開度が設定される。第2流量制御弁76bの開度の設定は、手動で行われてもよいし、コントローラ8によって行われてもよい。
なお、上述の第3条件CD3は、上述の第1条件CD1の一態様であり、上述の第4条件CD4は、上述の第2条件CD2の一態様である。
(第3流量制御弁76cの開度、および、第4流量制御弁96の開度の設定)
図17には、第1流量制御弁76aの開度、および、第2流量制御弁76bの開度が設定された後の状態が示されている。図17に記載の例において、第3流量制御弁76cの開度、および、第4流量制御弁96の開度は、吐出口49(図14を参照。)から吐出される第4エアの流量が、エア噴射口OP1(図14を参照。)から噴射されるエアの流量よりも大きくなるように設定される。図14に記載の例において、吐出口49から吐出される第4エアの流量が、エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量よりも大きくなるように設定されることにより、エア噴射口OP1からのエアの噴射に付随して、オイルE1がエア噴射口OP1から噴射されることが防止または抑制される。
例えば、第3流量制御弁76cの開度が小さいと、第3回収流路73からの第3のオイル含有流体の回収が不十分となり、図14に記載の例において、ハウジング4と回転体2との間の隙間からエア噴射口OP1にオイルE1が向かう場合がある。より具体的には、吐出口49から吐出される第4エアの流量よりも、エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量が大きくなることにより、エア噴射口OP1からのエアの噴射に付随して、オイルE1がエア噴射口OP1から噴射される場合がある。よって、吐出口49から吐出される第4エアの流量よりも、エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量が大きくならないよう、第3流量制御弁76cの開度と、第4流量制御弁96の開度との関係が適切に設定されることが好ましい。
図17に記載の例において、第3流量制御弁76cの開度、および、第4流量制御弁96の開度は、エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量が上述の第3流量以上(より具体的には、エアカーテンの形成のための設計下限値の流量以上)となるように、設定されることが好ましい。当該設定により、加工ヘッド10の先端部から加工ヘッド10内への異物の進入を防ぐエアカーテンが好適に形成される。
図17に記載の例では、吐出口49から吐出される第4エアの一部が第3回収流路73を介して回収されることにより、エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量が小さくなり得る。そこで、図17に記載の例において、第4流量制御弁96の開度を十分大きくすることにより、吐出口49から吐出される第4エアの一部が第3回収流路73を介して回収される状態で、エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量を上述の第3流量以上にすることができる。吐出口49から吐出される第4エアの一部が第3回収流路73を介して回収されることにより、オイルE1(必要であれば、図14を参照。)がエア噴射口OP1に向かうことが防止される。また、エア噴射口OP1から第3流量以上のエアが噴射されることにより、加工ヘッド10の先端部から加工ヘッド10内への異物の進入が防止される。
図17に記載の例において、第3流量制御弁76cの開度、および、第4流量制御弁96の開度は、エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量が上述の第3流量(より具体的には、エアカーテンの形成のための設計下限値の流量)の1倍以上1.5倍以下となるように、設定されてもよい。エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量が上述の第3流量の1.5倍以下であることにより、エア噴射口OP1から噴射されるエアが過大とならない。
(混合流体供給装置6)
図17に記載の例において、混合流体供給装置6は、エア源AT(例えば、エアコンプレッサ)と、オイルタンク61と、ポンプ62と、第2エア供給管63と、混合器64と、供給流路66と、混合器64と供給流路66とを接続する混合流体供給管68とを有する。
エア源ATは、第2エア供給管63を介して、混合器64にエアを供給する。以下、第2エア供給管63を介して混合器64に供給されるエアのことを、「第5エア」という。ポンプ62は、オイルタンク61から混合器64にオイルを供給する。混合器64は、エア源ATから第2エア供給管63を介して受け取る第5エアと、オイルタンク61から受け取るオイルとを混合し、オイルおよびエアを含む混合流体を形成する。また、混合器64は、混合流体供給管68を介して、供給流路66に、当該混合流体を送る。
図17に記載の例では、混合流体供給管68は、ハウジング4の外に配置されており、供給流路66は、ハウジング4の内部に配置されている。供給流路66は、複数の軸受3にオイルおよびエアを含む混合流体(より具体的には、オイルエア)を供給する。図17に記載の例では、供給流路66は、第1軸受31a、第2軸受36b、および、第3軸受31cに、オイルおよびエアを含む混合流体を供給する。
図17に記載の例では、混合器64にエアを供給するエア源ATと、複数のエジェクタ(75a、75b、75c)にエアを供給するエア源ASとが同一である。混合器64にエアを供給するエア源ATと、複数のエジェクタ(75a、75b、75c)にエアを供給するエア源ASとが共通化されることにより、省スペース化が図られる。また、製造コストの低減と、消費エネルギの低減が図られる。代替的に、混合器64にエアを供給するエア源ATが、複数のエジェクタ(75a、75b、75c)にエアを供給するエア源ASとは別のエア源であってもよい。
混合流体供給装置6は、第2エア供給管63から混合器64に供給されるエアの流量を調整する第5流量制御弁67を有していてもよい。図17に記載の例では、第5流量制御弁67は、第2エア供給管63に配置されている。第5流量制御弁67の開度の設定は、手動で行われてもよいし、コントローラ8によって行われてもよい。
(第1エア流路77a、第2エア流路77b、および、第3エア流路77c)
第1エア流路77a、第2エア流路77bについては、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの流路についての繰り返しとなる説明は省略する。図17に記載の例では、回収装置7は、第3エジェクタ75cに第3エアを供給する第3エア流路77cを有する。図17に記載の例では、第3エア流路77cに第3流量制御弁76cが配置されている。
(主エア流路12)
図17に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1は、第1エア流路77a、第2エア流路77b、および、第3エア流路77cをエア源ASに接続する主エア流路12を有する。図17に記載の例では、主エア流路12が、第1エア流路77a、第2エア流路77b、および、第3エア流路77cを含む複数のエア流路に分岐される。
主エア流路12は、ハウジング4に設けられたエア供給流路93にエアを供給するエア供給管91に接続されていてもよい。また、主エア流路12は、混合器64に第5エアを供給する第2エア供給管63に接続されていてもよい。
(開閉弁13)
図18に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1は、エア源ASと、複数の流量制御弁(76a、76b、76c、67、96)との間に配置される複数の開閉弁13を有する。
図18に記載の例では、回収装置7は、第1開閉弁13aと、第2開閉弁13bとを有する。付加的に、回収装置7は、第3開閉弁13cを有していてもよい。
第1開閉弁13aは、エア源ASと第1流量制御弁76aとの間に配置される。より具体的には、第1開閉弁13aは、第1エア流路77aに配置される。第1開閉弁13aは、エア源ASと第1流量制御弁76aとの間の第1エア流路77aを開閉する。
第2開閉弁13bは、エア源ASと第2流量制御弁76bとの間に配置される。より具体的には、第2開閉弁13bは、第2エア流路77bに配置される。第2開閉弁13bは、エア源ASと第2流量制御弁76bとの間の第2エア流路77bを開閉する。
第3開閉弁13cは、エア源ASと第3流量制御弁76cとの間に配置される。より具体的には、第3開閉弁13cは、第3エア流路77cに配置される。第3開閉弁13cは、エア源ASと第3流量制御弁76cとの間の第3エア流路77cを開閉する。
図18に記載の例では、エア供給装置9は、第4開閉弁13dを有する。第4開閉弁13dは、エア源ASと第4流量制御弁96との間に配置される。より具体的には、第4開閉弁13dは、エア供給管91に配置される。第4開閉弁13dは、エア源ASと第4流量制御弁96との間のエア供給管91の流路を開閉する。
図18に記載の例では、混合流体供給装置6は、第5開閉弁13eを有する。第5開閉弁13eは、エア源ASと第5流量制御弁67との間に配置される。より具体的には、第5開閉弁13eは、第2エア供給管63に配置される。第5開閉弁13eは、エア源ASと第5流量制御弁67との間の第2エア供給管63の流路を開閉する。
(コントローラ8)
コントローラ8は、混合流体供給装置6および回収装置7を制御する。付加的に、コントローラ8は、エア供給装置9を制御してもよい。
図18に記載の例では、コントローラ8は、プロセッサ80と、プログラムおよびデータを記憶するメモリ82と、通信回路84と、を有する。図18に記載の例では、プロセッサ80と、メモリ82と、通信回路84とが、バス88を介して接続されている。
コントローラ8は、プロセッサ80と、メモリ82と、通信回路84とが1つの集積回路にまとめられたマイクロコントローラによって構成されていてもよいし、プロセッサ80としてのCPUと、メモリ82としての記憶ユニットと、通信回路84としての通信ユニットが別々に設けられたコンピュータによって構成されていてもよい。
コントローラ8は、エア源ASを制御する。コントローラ8は、エア源AS(例えば、エアコンプレッサ)に駆動指令Cを送信することにより、エア源ASを駆動させる。
コントローラ8は、混合流体供給装置6を制御する。より具体的には、コントローラ8は、混合流体供給装置6に第1群の制御指令C1を送信し、第1群の制御指令C1を受信する混合流体供給装置6は、複数の軸受3に、第1流量の混合流体を供給する。例えば、コントローラ8は、第5開閉弁13e、および、ポンプ62に、第1群の制御指令C1を送信することにより、混合流体供給装置6を用いて、複数の軸受3に、オイルおよびエアを含む混合流体を供給する。
コントローラ8は、回収装置7を制御する。コントローラ8は、回収装置7に、第2群の制御指令C2を送信し、第2群の制御指令C2を受信する回収装置7は、オイル含有流体を回収する。例えば、コントローラ8は、第1開閉弁13a、第2開閉弁13b、および、第3開閉弁13cに、第2群の制御指令C2を送信することにより、回収装置7を用いてオイル含有流体を回収する。第1流量制御弁76aの開度が第1開度に設定されている場合、第1エジェクタ75aの吸引力に起因して軸受の潤滑不良が生じることがない。第2流量制御弁76bの開度が第2開度に設定されている場合、第2エジェクタ75bの吸引力に起因して軸受の潤滑不良が生じることがない。
コントローラ8は、エア噴射口OP1からエアが噴射されるように、エア供給装置9を制御してもよい。コントローラ8は、エア供給装置9に、第3群の制御指令C3を送信し、第3群の制御指令C3を受信するエア供給装置9は、ハウジング4に形成された吐出口49に第4エアを供給する。例えば、コントローラ8は、第4開閉弁13dに制御指令C3を送信することにより、エア供給装置9を用いて、吐出口49に第4エアを供給する。吐出口49に供給された第4エアの一部は、エア噴射口OP1から噴射され、吐出口49に供給された第4エアの一部は、第3回収流路73を介して、回収装置7によって回収される。
第3流量制御弁76cの開度および第4流量制御弁96の開度が適切に設定されることにより、(1)第1回収流路71によって回収されずに第1軸受31aを通過したオイルを含む第3のオイル含有流体が、第3回収流路73を介して回収され、(2)エア噴射口OP1から噴射されるエアにオイルが混じることが防止または抑制され、(3)エア噴射口OP1から噴射されるエアによって、エアカーテンが好適に形成される。
(第1回転駆動装置5)
図17に記載の例では、工作機械の主軸潤滑装置1は、回転体2(より具体的には、回転シャフト20)を第1軸AX1まわりに回転させる第1回転駆動装置5を備える。第1回転駆動装置5は、第1モータであってもよい。図17に記載の例では、第1回転駆動装置5(より具体的には、第1モータ)は、ステータ51と、ロータ53とを有する。この場合、ステータ51に電流が供給されると、電磁気的作用によって、ロータ53が第1軸AX1まわりを回転する。図17に記載の例では、ステータ51はハウジング4に固定され、ロータ53は回転体2(より具体的には、回転シャフト20)に固定されている。
図17に記載の例では、ロータ53は、回転シャフト20の中間部23に配置されている。ロータ53は、第1軸受31aよりも第2方向DR2側に配置され、第2軸受36bよりも第1方向DR1側に配置されている。
図17に記載の例では、第1回転駆動装置5は、ハウジング4の内側に配置されている。代替的に、第1回転駆動装置5は、ハウジング4の外側に配置されていてもよい。例えば、ハウジング4の外側に配置された第1回転駆動装置5が、任意の動力伝達機構(例えば、歯車、伝動ベルト等)を介して、回転体2を回転させるように構成されていてもよい。
(加工ヘッド10)
工作機械の主軸潤滑装置1は、加工ヘッド10を含む。図19に記載の例では、加工ヘッド10は、(1)工具Tを保持する回転体2と、(2)第1軸受31aおよび第2軸受36bを含む複数の軸受3と、(3)複数の軸受3を介して回転体2を第1軸AX1まわりに回転可能に支持するハウジング4と、(4)回転体2を第1軸AX1まわりに回転させる第1回転駆動装置5と、を有する。
(回転体2)
図19に記載の例では、回転体2は、後端部22と、工具Tを保持する先端部24とを有する。より具体的には、回転体2(より具体的には、回転シャフト20)は、回転シャフト本体21と、工具Tが取り付けられる取付部28と、取付部28に連結された棒状部材291とを有する。棒状部材291は、回転シャフト本体21の内側に配置されている。図19に記載の例では、加工ヘッド10の取付部駆動装置14が棒状部材291を第1方向DR1に押圧すると、棒状部材291および取付部28は、回転シャフト本体21に対して第1方向DR1に相対移動する。この状態で、取付部28に取り付けられた工具Tを他の工具に交換することができる。工具が交換された後、回転シャフト20に配置された付勢部材293(例えば、皿ばね)が棒状部材291を第2方向DR2に押圧する。こうして、棒状部材291および取付部28は、回転シャフト本体21に対して第2方向DR2に相対移動する。
図20に記載の例では、回転体2(より具体的には、回転シャフト本体21)は、工具ホルダHDに接する内周面21nを有する。当該内周面21nは、例えば、第1方向DR1に向かうにつれて、径が大きくなるテーパ面である。
図21に記載の例では、回転体2(より具体的には、回転シャフト20)は、第1部分25と、第2部分26と、段差面25aとを有する。
第1部分25は、第1軸受31aの内輪32aを支持する。第1部分25は、第1外周面25uを有する。
第2部分26は、第1外周面25uよりも径が小さな第2外周面26uを有する。換言すれば、第2部分26の第2外周面26uの直径は、第1部分25の第1外周面25uの直径よりも小さい。第2部分26は、第1部分25よりも第1方向DR1側に配置されている。
段差面25aは、第1部分25の第1外周面25uと、第2部分26の第2外周面26uとを接続する。
図21に記載の例では、回転体2の第1部分25および回転体2の第2部分26の各々が、回転シャフト本体21の一部によって構成されている。代替的に、回転体2の第1部分25および回転体2の第2部分26のうちの少なくとも一部が、回転シャフト本体21以外の部材(例えば、回転シャフト本体21とは別体である内輪保持体)によって構成されていてもよい。
(ハウジング4)
図19に記載の例では、ハウジング4は、先端側部分4aと、後端側部分4bと、先端側部分4aと後端側部分4bとの間の中間部分4cと、を有する。
図20に例示されるように、ハウジング4の先端側部分4aは、前部軸受31の外輪を支持する。図20に記載の例では、ハウジング4の先端側部分4aは、第1軸受31aの外輪33a、および、第3軸受31cの外輪33cを支持している。
ハウジング4は、外向きに突出するフランジ47を備えていてもよい。図20に記載の例では、フランジ47は、ハウジング4の先端側部分4aに配置されている。フランジ47には、第1回収流路71の出口ポート71pが設けられていてもよい。図20に記載の例では、出口ポート71pに、上述の第1管路74aが接続されている。フランジ47には、第3回収流路73の出口ポート73pが設けられていてもよい。図20に記載の例では、出口ポート73pに、上述の第3管路74cが接続されている。フランジ47には、エア供給流路93の入口ポート93pが設けられていてもよい。図20に記載の例では、入口ポート93pに、上述のエア供給管91が接続されている。図20に記載の例では、ハウジング4に供給流路66が設けられている。図20に記載の例では、供給流路66は、第1軸受31aおよび第3軸受31cを含む前部軸受に、オイルおよびエアを含む混合流体(より具体的には、オイルエア)を供給する。
ハウジング4の後端側部分4bは、後部軸受36の外輪を支持する。図19に記載の例ではハウジング4の後端側部分4bは、第2軸受36bの外輪37bを支持している。後端側部分4bは、ハウジング4の第2方向DR2側の端に配置される端部プレート40bを有していてもよい。
図19に記載の例では、ハウジング4の中間部分4cは、筒状の側壁40cを有する。ハウジング4の中間部分4c(より具体的には、筒状の側壁40c)は、上述のステータ51を支持していてもよい。
図21に記載の例では、ハウジング4(より具体的には、ハウジング4の先端側部分4a)は、第3部分41と、第4部分42と、を有する。
第3部分41は、第1軸受31aの外輪33aを支持する。図22に例示されるように、回転体2の第1部分25とハウジングの第3部分41との間には、第1隙間G1が形成される。図22に記載の例において、第1隙間G1には、第1軸受31aを通過したオイルEが存在する。当該第1隙間G1において、当該オイルEは、オイルエアの状態で存在していてもよいし、オイルミストの状態で存在していてもよいし、液体オイルの状態で存在していてもよい。図22に記載の例では、第1軸AX1を含む縦断面において、第1隙間G1は、直線状である。代替的に、第1軸AX1を含む縦断面において、第1隙間G1は、ラビリンス形状を有していてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、図23に例示されるように、第1隙間G1を規定する面の一部に切り欠きCTが形成されていてもよい。当該切り欠きCTは、回転体2の第1外周面25uに形成されていてもよいし、ハウジング4の第3部分41の表面に形成されていてもよい。
第4部分42は、第1隙間G1からオイルEを受け取る環状受容空間SPを規定する。環状受容空間SP内において、当該オイルEは、オイルエアの状態で存在していてもよいし、オイルミストの状態で存在していてもよいし、液体オイルの状態で存在していてもよい。環状受容空間SPの形状に制限はなく、環状受容空間SPの形状は任意である。
図23に記載の例では、第1軸AX1に平行な直線LN上に、上述の第1隙間G1と、環状受容空間SPとが配置されている。この場合、第1隙間G1に存在するオイルEが、環状受容空間SPに円滑に誘導される。
図23に記載の例では、第4部分42は、環状受容空間SPから第3回収流路73にオイルEを誘導する開口部45を有する。
図24に記載の例では、ハウジング4と、回転体2の段差面25aとの間には、第1隙間G1と流体的に連通する第2隙間G2が形成されている。また、ハウジング4と、回転体2の第2外周面26uとの間には、第2隙間G2と流体的に連通する第3隙間G3が形成されている。
第1隙間G1から加工ヘッド10の外部に至る経路を想定する。当該経路は、オイル漏出の原因となり得る。図24に記載の例では、第1隙間G1から加工ヘッド10の外部に至る経路に、ハウジング4と段差面25aとの間の第2隙間G2が介在している。よって、上述の経路を介して加工ヘッド10外にオイルが漏出することが、第2隙間G2の存在によって抑制される。
図24に記載の例では、第1隙間G1の延在方向と、第2隙間G2の延在方向が異なる。よって、第1隙間G1内のオイルが、第2隙間G2に向かうことが抑制される。例えば、第1隙間G1から下方向に移動するオイルが、第2隙間G2に進入することが抑制される。図24に記載の例では、第1隙間G1の延在方向は、第1方向DR1であり、第2隙間G2の延在方向は、径内方向DR3(より具体的には、第1軸AX1に垂直、かつ、第1軸AX1に向かう方向)である。
図24に記載の例では、第3隙間G3は、第2隙間G2に、角部CNを介して連通している。また、第3隙間G3の延在方向は、第2隙間G2の延在方向とは異なる。図24に記載の例では、第3隙間G3の延在方向は、第1方向DR1であり、第2隙間G2の延在方向は、径内方向DR3(より具体的には、第1軸AX1に垂直、かつ、第1軸AX1に向かう方向)である。
(環状突出部44)
図25に記載の例では、第4部分42は、第3部分41に連なる基部43と、基部43から第1軸AX1に向かう方向に突出する環状突出部44とを有する。なお、図25において、環状突出部44の形状を把握し易くするために、環状突出部44には、ドットによるハッチングが付与されている。
図24に例示されるように、環状突出部44は、段差面25aに面する第1面44aと、回転体2の第2部分26の外周面(換言すれば、第2外周面26u)に面する第2面44bと、を有する。
付加的に、環状突出部44は、第1軸AX1から離れる方向に突出する環状突起441を有していてもよい。環状突起441は、段差面25aおよび環状受容空間SPの両方に面する。第4部分42(より具体的には、第4部分42の環状突出部44)が、第1軸AX1から離れる方向に突出する環状突起441を有する場合、環状受容空間SPに入ったオイルEが、第2隙間G2に向かって逆流しにくい。よって、回転体2とハウジング4の先端部46との隙間から加工ヘッド10外にオイルが漏出することが、効果的に抑制される。
図25に記載の例では、ハウジング4は、上述の環状突起441を含む第1部品CP1(より具体的には、環状の第1部品CP1)と、第1部品CP1を支持する第2部品CP2(より具体的には、環状の第2部品CP2)と、を有する。環状突起441を含む第1部品CP1が、第2部品CP2とは異なる部品である場合、ハウジング4の内部形状の設計自由度(例えば、環状受容空間SPの形状の自由度)が高まる。
図25に記載の例では、第1部品CP1および第2部品CP2の各々が、環状受容空間SPに面する部分を有する。第1軸AX1をとおる縦断面において、第1部品CP1は、略L字形状を有していてもよいし、その他の形状を有していてもよい。第2部品CP2は、ハウジング4の第1方向DR1側の端に配置される端部プレートであってもよい。
図24に記載の例では、環状突出部44は、環状受容空間SPの底面(換言すれば、環状受容空間SPの第1方向DR1側の端面)を規定する第1壁440aと、回転体2の第2外周面26uに面する第2面44bを規定する第2壁440bと、を有する。
図24に記載の例では、第1壁440aは、第4部分42の基部43に連なり、当該基部43から径内方向DR3に延在する環状の壁である。また、第2壁440bは、第1壁440aの内縁部に連なり、当該内縁部から第2方向DR2に延在する環状の壁である。また、環状突起441は、第2壁440bの第2方向DR2側の端部に連なり、当該端部から径外方向DR4に突出する。
環状突出部44は、第1環状溝V1を有していてもよい。図24に記載の例において、第1環状溝V1は、環状受容空間SPに面し径内方向DR3に凹んだ溝である。第1環状溝V1は、環状受容空間SP内のオイルが、第2隙間G2に向かって逆流することを防止または抑制する。
図24に記載の例では、ハウジング4の第4部分42は、第2環状溝V2を有する。第2環状溝V2は、環状受容空間SPに面し、径外方向DR4(換言すれば、第1軸AX1から離れる方向)に凹んだ溝である。図24に記載の例では、第2環状溝V2は、第1環状溝V1に対向するように、ハウジング4の第4部分42に配置されている。
図26において、第1環状溝V1および第2環状溝V2の形状を把握し易くするために、第1環状溝V1および第2環状溝V2以外の部分が破線によって示され、第1環状溝V1および第2環状溝V2が実線によって示されている。図26に記載の例では、第1環状溝V1および第2環状溝V2の両方にオイルを受容可能である。この場合、環状受容空間SPは、第1環状溝V1によって規定される空間と、第2環状溝V2によって規定される空間とを含むこととなり、環状受容空間SP全体の容積を大きくすることができる。
図26に記載の例では、環状突出部44は、ハウジング4の第1方向DR1側の端面4fの一部を構成する第3面44fを有する。当該第3面44fは、上述の第1壁440aの第1方向DR1側の面である。
(エア噴射口OP1、および、吐出口49)
図24に記載の例では、ハウジング4の先端部46と、回転体2との間には、第3隙間G3に連通するエア噴射口OP1が形成されている。
また、ハウジング4には、エア供給管91から供給される第4エアが流れるエア供給流路93と、第4エアを吐出する吐出口49とが形成されている。吐出口49は、第3隙間G3から第2隙間G2に向かう第1エア流れと、第3隙間G3からエア噴射口OP1に向かう第2エア流れとが形成されるように、エア供給流路93から受け取る第4エアを、第3隙間G3に吐出する。
エア噴射口OP1から噴射される第4エアは、切粉等の異物が、第3隙間G3等を介して、加工ヘッド10内に進入することを防止する。より具体的には、エア噴射口OP1から噴射される第4エアは、工具Tあるいは工具ホルダHDの周囲にエアカーテンACを形成する。当該エアカーテンは、切粉等の異物が、第3隙間G3等を介して、加工ヘッド10内に進入することを防止する。
図24に記載の例において、第3隙間G3から第2隙間G2に向かう第4エアは、第1隙間G1または環状受容空間SPから第2隙間G2にオイルEが進入することを防止する。加えて、第3隙間G3から第2隙間G2に向かう第4エアは、第2隙間G2に進入したオイルを、環状受容空間SPに向けて押し戻す。
なお、第3隙間G3から第2隙間G2に向かう第4エアの少なくとも一部は、環状受容空間SPに達する。環状受容空間SPに達したエアは、第3回収流路73を介して回収される。
第1回収流路71、第2回収流路72、第3回収流路73等によって回収されなかったエア(あるいは、微量のオイルを含むエア)は、加工ヘッド10の隙間から加工ヘッド10外に排出される(図19における破線矢印を参照。)。
(第3の実施形態)
図1乃至図31を参照して、第3の実施形態における工作機械100について説明する。図27は、第3の実施形態における工作機械100の一例を模式的に示す概略斜視図である。図28は、第3の実施形態における工作機械100の他の一例を模式的に示す概略斜視図である。図29は、制御装置140が複数の制御対象機器を制御可能な様子を模式的に示す図である。図30は、回収容器792の配置の一例を説明するための図である。図31は、回収容器792の配置の他の一例を説明するための図である。
第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第3の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みの事項を第3の実施形態に適用できることは言うまでもない。
図27および図29に例示されるように、第3の実施形態における工作機械100は、加工ヘッド10と、混合流体供給装置6と、回収装置7と、ワークWを支持するワーク支持装置110と、加工ヘッド10をワーク支持装置110に対して相対移動させる移動装置120と、制御装置140とを備える。
加工ヘッド10、混合流体供給装置6、回収装置7については、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
(ワーク支持装置110)
図27に記載の例では、ワーク支持装置110は、ワークWを支持する支持具111(より具体的には、テーブル111a)と、支持具111(より具体的には、テーブル111a)を第2軸AX2まわりに回転させる第2回転駆動装置112とを有する。ワーク支持装置110は、テーブル111aを、第2軸AX2に垂直な軸AX3まわりに傾動させる傾動装置113を有していてもよい。
代替的に、図28に例示されるように、ワーク支持装置110は、ワークWを保持するチャック111bと、チャック111bを第2軸AX2まわりに回転させる第2回転駆動装置112と、を有していてもよい。
(移動装置120)
移動装置120は、加工ヘッド10を、ワーク支持装置110に対して相対移動させる。移動装置120は、加工ヘッド10を3次元的に移動させることが可能な装置であってもよい。移動装置120は、鉛直方向に平行なZ軸に沿って加工ヘッド10を移動させることが可能であってもよい。移動装置120は、水平方向に平行なX軸に沿って加工ヘッド10を移動させることが可能であってもよい。また、移動装置120は、X軸およびZ軸の両方に垂直なY軸に沿って加工ヘッド10を移動させることが可能であってもよい。図27および図28に記載の例では、加工ヘッド10は、移動装置120を介して、ベース130によって支持されている。
(制御装置140)
制御装置140は、少なくとも、第1回転駆動装置5、混合流体供給装置6、および、移動装置120を制御する。付加的に、制御装置140は、回収装置7を制御してもよい。
図29に例示されるように、制御装置140は、ハードウェアプロセッサ141(以下、単に、「プロセッサ141」という。)と、メモリ142と、通信回路144と、入力装置146(例えば、タッチパネル付きディスプレイ146a)と、を備える。プロセッサ141と、メモリ142と、通信回路144と、入力装置146とは、バス148を介して互いに接続されている。
メモリ142は、ワークの加工に必要なデータ142a、および、工作機械100の各構成要素を動作させるためのプログラム142bを記憶する。メモリ142は、制御装置140のプロセッサ141によって読み取り可能な記憶媒体である。メモリ142は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性または揮発性の半導体メモリであってもよいし、磁気ディスクであってもよいし、その他の形式のメモリであってもよい。
入力装置146は、タッチパネル付きディスプレイ146aに限定されない。例えば、制御装置140は、ボタン、スイッチ、レバー、ポインティングデバイス、キーボード等の入力装置146と、当該入力装置146に入力されたデータ、あるいは、その他の情報を表示するディスプレイと、を備えていてもよい。また、また、メモリ142は、複数箇所に分散配置されていてもよい。例えば、メモリ142の一部は、クラウドストレージに含まれていてもよい。
複数のコンピュータが協働して、制御装置140として機能してもよい。図29に記載の例では、制御装置140は、主制御装置140aと、上述のコントローラ8とを含む。換言すれば、主制御装置140aとコントローラ8とが協働して制御装置140として機能する。コントローラ8は、主制御装置140aから受け取る指令に基づいて動作する。なお、第1の実施形態または第2の実施形態において説明されたコントローラ8の機能が主制御装置140aに組み込まれている場合には、コントローラ8は省略される。換言すれば、主制御装置140a自体が、コントローラ8として機能する。
図29に記載の例において、制御装置140が、混合流体供給装置6に第1群の制御指令C1を送信すると、第1群の制御指令C1を受信する混合流体供給装置6は、複数の軸受3に、第1流量の混合流体を供給する。こうして、複数の軸受3に、オイルおよびエアを含む混合流体が供給される。
図29に記載の例において、制御装置140が、回収装置7に、第2群の制御指令C2を送信すると、第2群の制御指令C2を受信する回収装置7は、オイル含有流体を回収する。
例えば、第2群の制御指令C2を受信する回収装置7は、第1エジェクタ75aに第1エアを供給する。第1エアによって第1管路74aに負圧が生じ、当該負圧によって、第1回収流路71から第1管路74aを介して第1のオイル含有流体が吸引される。第1流量制御弁76aの開度が第1開度に設定されている場合、第1エジェクタ75aの吸引力に起因して軸受の潤滑不良が生じることがない。
例えば、第2群の制御指令C2を受信する回収装置7は、第2エジェクタ75bに第2エアを供給する。第2エアによって第2管路74bに負圧が生じ、当該負圧によって、第2回収流路72から第2管路74bを介して第2のオイル含有流体が吸引される。第2流量制御弁76bの開度が第2開度に設定されている場合、第2エジェクタ75bの吸引力に起因して軸受の潤滑不良が生じることがない。
例えば、第2群の制御指令C2を受信する回収装置7は、第3エジェクタ75cに第3エアを供給する。第3エアによって第3管路74cに負圧が生じ、当該負圧によって、第3回収流路73から第3管路74cを介して第3のオイル含有流体が吸引される。
図29に記載の例において、制御装置140が、エア供給装置9に、制御指令C3を送信すると、制御指令C3を受信するエア供給装置9は、ハウジング4に形成された吐出口49に第4エアを供給する。
吐出口49から吐出される第4エアの一部は、エア噴射口OP1から噴射される。エア噴射口OP1から噴射されるエアによって、エアカーテンが形成される。また、吐出口49から吐出される第4エアの一部は、第3回収流路73を介して回収装置7によって回収される。
図29に記載の例において、制御装置140が、移動装置120に、第1移動指令J1を送信すると、第1移動指令J1を受信する移動装置120は、加工ヘッド10をワーク支持装置110に対して相対移動させる。こうして、回転体2に保持された工具Tを、ワークWに向かって移動させることができる。
図29に記載の例において、制御装置140が、第1回転駆動装置5に、第1回転指令R1を送信すると、第1回転指令R1を受信する第1回転駆動装置5は、回転体2を第1軸AX1まわりに回転させる。こうして、回転体2に保持された工具TによってワークWを加工することができる。
制御装置140は、第2回転駆動装置112を制御可能であってもよい。例えば、制御装置140が、第2回転駆動装置112に、第2回転指令R2を送信すると、第2回転指令R2を受信する第2回転駆動装置112は、ワークWを支持する支持具111を第2軸AX2まわりに回転させる。
制御装置140のプロセッサ141がメモリ142に記憶されたプログラム142bを実行することにより、制御装置140は制御指令を生成する。また、通信回路144は、当該制御指令を、制御対象機器(より具体的には、第1回転駆動装置5、移動装置120、混合流体供給装置6、回収装置7、エア供給装置9、第2回転駆動装置112等)に送信する。こうして、プロセッサ141がプログラム142bを実行することにより、制御装置140は、第1回転駆動装置5、移動装置120、混合流体供給装置6、回収装置7、エア供給装置9、第2回転駆動装置112等を制御することができる。
(回収容器792の配置)
図30に記載の例において、工作機械100は、平面視において、ワーク支持装置110および加工ヘッド10を囲む外壁171と、外壁171に形成されワーク支持装置110に搬入されるワークが通過する開口部173と、開口部173を開閉するドア175と、を備える。
図30に記載の例では、回収容器792が、開口部173を介して、工作機械外部からオペレータの手の届く位置に配置されている。換言すれば、回収容器792が、開口部173の近傍に配置されている。この場合、オペレータは、回収容器792に回収された排油を、工作機械100から容易に取り出すことができる。代替的に、図31に例示されるように、回収容器792は、外壁171よりも外側に配置されていてもよい。
回収容器792が開口部173の近傍に配置される場合、あるいは、外壁171よりも外側に配置される場合、加工ヘッド10から回収容器792までの管路が長くなる。管路が長くなると、管路を流れる流体の圧力損失がより大きくなり、複数の軸受の各々において、潤滑の最適化を行うことがより困難になる。第3の実施形態では、各エジェクタに作用させる吸引力を個別に設定可能である。よって、回収容器792までの管路が長い場合でも、各吸引力を適切に設定することにより、複数の軸受の各々において、潤滑を最適化することができる。特に、上述の第1条件CD1および第2条件CD2(あるいは、上述の第3条件CD3および第4条件CD4)を考慮して、各流量制御弁(75a、75b、・・・)の開度を設定することにより、各エジェクタに作用させる各吸引力を容易且つ適切に設定することができる。
(工作機械の使用方法)
図1乃至図32を参照して、実施形態における工作機械の使用方法について説明する。図32は、実施形態における工作機械の使用方法の一例を示すフローチャートである。
工作機械の使用方法において使用される工作機械は、例えば、第3の実施形態における工作機械100である。工作機械100、および、工作機械100の構成要素については、第1の実施形態乃至第3の実施形態において説明済みであるため、工作機械100、および、工作機械100の構成要素についての繰り返しとなる説明は省略する。
第1ステップST1において、上述の第1排出流量および上述の第2排出流量が導出される。第1ステップST1は、排出流量導出工程である。
排出流量導出工程(第1ステップST1)は、上述の第2条件CD2の下で(図5または図9を参照。)、第1回収流路71から第1回収流路71の外(例えば、ハウジング4の外)に排出される第1のオイル含有流体の流量を第1排出流量と定義するとき、当該第1排出流量を測定またはシミュレーションによって導出することを含む。
排出流量導出工程(第1ステップST1)は、上述の第2条件CD2の下で(図5または図9を参照。)、第2回収流路72から第2回収流路72の外(例えば、ハウジング4の外)に排出される第2のオイル含有流体の流量を第2排出流量と定義するとき、当該第2排出流量を測定またはシミュレーションによって導出することを含む。
なお、工作機械100が、第3回収流路73、エア供給流路93およびエア噴射口OP1を備える場合には、排出流量導出工程(第1ステップST1)は、上述の第4条件CD4(図16を参照。なお、第4条件CD4は、第2条件CD2の一態様である。)の下で、第1回収流路71から第1回収流路71の外(例えば、ハウジング4の外)に排出される第1のオイル含有流体の流量を第1排出流量と定義するとき、当該第1排出流量を測定またはシミュレーションによって導出することを含んでいてもよい。また、排出流量導出工程(第1ステップST1)は、上述の第4条件CD4(図16を参照。)の下で、第2回収流路72から第2回収流路72の外(例えば、ハウジング4の外)に排出される第2のオイル含有流体の流量を第2排出流量と定義するとき、当該第2排出流量を測定またはシミュレーションによって導出することを含んでいてもよい。
第2ステップST2において、上述の第1回収流量および上述の第2回収流量が導出される。第2ステップST2は、回収流量導出工程である。
回収流量導出工程(第2ステップST2)は、上述の第1条件CD1(図4または図8を参照。)の下で、第1管路74aを流れる第1のオイル含有流体の流量を第1回収流量と定義するとき、第1回収流量を測定またはシミュレーションによって導出することを含む。
回収流量導出工程(第2ステップST2)は、上述の第1条件CD1(図4または図8を参照。)の下で、第2管路74bを流れる第2のオイル含有流体の流量を第2回収流量と定義するとき、第2回収流量を測定またはシミュレーションによって導出することを含む。
なお、工作機械100が、第3回収流路73、エア供給流路93およびエア噴射口OP1を備える場合には、回収流量導出工程(第2ステップST2)は、上述の第3条件CD3(図15を参照。なお、第3条件CD3は、第1条件CD1の一態様である。)の下で、第1管路74aを流れる第1のオイル含有流体の流量を第1回収流量と定義するとき、第1回収流量を測定またはシミュレーションによって導出することを含んでいてもよい。また、回収流量導出工程(第2ステップST2)は、上述の第3条件CD3(図15を参照。)の下で、第2管路74bを流れる第2のオイル含有流体の流量を第2回収流量と定義するとき、第2回収流量を測定またはシミュレーションによって導出することを含んでいてもよい。
第3ステップST3において、第1流量制御弁76aの開度および第2流量制御弁76bの開度が導出される。第3ステップST3は、開度導出工程である。
開度導出工程(第3ステップST3)は、第1排出流量に対する第1回収流量の比が予め決められた範囲内となるような第1流量制御弁76aの第1開度を導出することを含む。例えば、開度導出工程は、上述の第1回収流量が、上述の第1排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるような(より好ましくは、上述の第1回収流量が、上述の第1排出流量の1倍以上1.2倍以下の範囲内となるような)、第1流量制御弁76aの第1開度を導出することを含む。当該第1開度の導出は、第1流量制御弁76aの開度と、第1回収流量との相関関係を求め、当該相関関係に基づいて行われてもよい。代替的に、当該第1開度の導出は、試行錯誤により行われてもよい。
開度導出工程(第3ステップST3)は、第2排出流量に対する第2回収流量の比が予め決められた範囲内となるような第2流量制御弁76bの第2開度を導出することを含む。例えば、開度導出工程は、上述の第2回収流量が、上述の第2排出流量の1倍以上1.5倍以下の範囲内となるような(より好ましくは、上述の第2回収流量が、上述の第2排出流量の1倍以上1.2倍以下の範囲内となるような)、第2流量制御弁76bの第2開度を導出することを含む。当該第2開度の導出は、第2流量制御弁76bの開度と、第2回収流量との相関関係を求め、当該相関関係に基づいて行われてもよい。代替的に、当該第2開度の導出は、試行錯誤により行われてもよい。
なお、工作機械100が、第3回収流路73、エア供給流路93およびエア噴射口OP1を備える場合には、開度導出工程(第3ステップST3)は、吐出口49(図14を参照。)から吐出される第4エアの流量が、エア噴射口OP1(図14を参照。)から噴射されるエアの流量よりも大きくなるような、第3流量制御弁76cの開度(以下、「第3開度」という。)、および、第4流量制御弁96の開度(以下、「第4開度」という。)を導出すること含んでいてもよい。
より具体的には、開度導出工程(第3ステップST3)は、(1)吐出口49(図14を参照。)から吐出される第4エアの流量が、エア噴射口OP1(図14を参照。)から噴射されるエアの流量よりも大きくなり、且つ、(2)エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量が上述の第3流量以上(より具体的には、エアカーテンの形成のための設計下限値の流量以上)となるような、第3流量制御弁76cの第3開度、および、第4流量制御弁96の第4開度を導出すること含んでいてもよい。
上述の第1ステップST1乃至第3ステップST3は、例えば、主軸潤滑装置1(あるいは、工作機械100)を顧客に向けて出荷する前に行われる。より具体的には、上述の第1ステップST1乃至第3ステップST3は、工作機械100が顧客の工場に設置される前に行われる。また、後述の第4ステップST4乃至第6ステップST6は、例えば、工作機械100が顧客の工場に設置された後に行われる。より具体的には、後述の第4ステップST4乃至第6ステップST6は、工作機械100によるワーク加工時に行われる。
第4ステップST4において、複数の軸受3にオイルおよびエアを含む混合流体が供給される。第4ステップST4は、混合流体供給工程である。混合流体供給工程は、混合流体供給装置6を用いて実行される。
第5ステップST5において、回収装置7を作動させる。第5ステップST5は、回収装置作動工程である。回収装置作動工程は、第1流量制御弁76aの開度が上述の第1開度に設定され、且つ、第2流量制御弁76bの開度が上述の第2開度に設定された状態で、回収装置7を作動させることを含む。なお、工作機械100が、第3回収流路73を備える場合には、回収装置作動工程は、第1回収流路71によって回収されずに第1軸受31aを通過したオイルを含む第3のオイル含有流体を、第3回収流路73を介して回収することを含む。より具体的には、回収装置作動工程は、第3流量制御弁76cの開度が上述の第3開度に設定された状態で、回収装置7を作動させることを含んでいてもよい。
第6ステップST6において、ワークが加工される。第6ステップST6は、ワーク加工工程である。ワーク加工工程では、回転体2に保持され第1軸AX1まわりに回転する工具TによってワークWが加工される。
第4ステップST4乃至第6ステップST6は、並列的に実行される。より具体的には、ワーク加工工程の実行中に、混合流体供給装置6を用いて複数の軸受3にオイルおよびエアを含む混合流体が供給され、且つ、第1流量制御弁76aの開度が上述の第1開度に設定され、且つ、第2流量制御弁76bの開度が上述の第2開度に設定された状態で、回収装置7が作動する。
第1流量制御弁76aの開度が上述の第1開度に設定された状態で、回収装置7が作動される場合、第1回収流路71および第1管路74aを介して、第1のオイル含有流体が好適に回収される。また、第1エジェクタ75aの吸引力に起因して軸受の潤滑不良が生じることがない。なお、第1エジェクタ75aを通過した第1のオイル含有流体は、排気管路78を介して、エキゾーストクリーナ791に送られることが好ましい。
第2流量制御弁76bの開度が上述の第2開度に設定された状態で、回収装置7が作動される場合、第2回収流路72および第2管路74bを介して、第2のオイル含有流体が好適に回収される。また、第2エジェクタ75bの吸引力に起因して軸受の潤滑不良が生じることがない。なお、第2エジェクタ75bを通過した第2のオイル含有流体は、排気管路78を介して、エキゾーストクリーナ791に送られることが好ましい。
なお、工作機械100が、エア供給流路93およびエア噴射口OP1を備える場合には、ワーク加工工程(第6ステップST6)は、(1)ハウジングに設けられたエア供給流路93に第4エアが供給される状態、(2)当該第4エアの一部が、回転体2とハウジング4の先端部46との間に形成されたエア噴射口OP1からエアカーテンとして噴射される状態、且つ、(3)エア供給流路93に供給される第4エアの流量が、エア噴射口OP1から噴射されるエアの流量よりも大きい状態で実行されることが好ましい。
より具体的には、第3流量制御弁76cの開度が上述の第3開度に設定された状態で回収装置7が作動され、第4流量制御弁96の開度が上述の第4開度に設定された状態でエア供給装置9が作動されることが好ましい。第3流量制御弁76cの開度が上述の第3開度に設定された状態で、回収装置7が作動される場合、ワーク加工工程(第6ステップST6)の実行時に、第1回収流路71によって回収されずに第1軸受31aを通過したオイルを含む第3のオイル含有流体が、第3回収流路73を介して回収される。また、第3流量制御弁76cの開度が上述の第3開度に設定された状態で回収装置7が作動され、第4流量制御弁96の開度が上述の第4開度に設定された状態でエア供給装置9が作動される場合、(1)エア噴射口OP1から噴射されるエアにオイルが混じることが防止または抑制され、且つ、(2)エア噴射口OP1から噴射されるエアによって、エアカーテンが好適に形成される。
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
例えば、図27に記載の例では、工作機械100は、立型マシニングセンタである。代替的に、実施形態における工作機械100は、横型マシニングセンタであってもよい。また、工作機械100は、切削加工以外の加工を行うことができる複合加工機であってもよい。