JP7430072B2 - 潤滑油基剤と、これを含む摩擦低減剤および金属加工油 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑油基剤と、これを含む摩擦低減剤および金属加工油に関する。
従来、潤滑油基剤としては、アルコール成分と脂肪酸成分との合成エステルが使用されている。
例えば、特許文献1には、トリメチロールプロパン(TMP)とオレイン酸を用いた化合物、ペンタエリスリトール(PE)とオレイン酸とを用いた化合物、TMPとエルカ酸とを用いた化合物などが記載されている。また、特許文献2には、PEとエルカ酸とを用いた化合物、ネオペンチルグリコール(NPG)とオレイン酸を用いた化合物などが記載されている。
また、本出願人は、トリエチレングリコールと脂肪酸とを反応させて得られるジエステルを含む潤滑油基剤について提案している(特許文献3)。
特開昭63-125598号公報 特開平7-97584号公報 特許第6502131号
しかしながら、特許文献1、2で提案されている化合物の場合、潤滑性が十分でなく、高潤滑性が求められる特殊加工用途への使用が難しいという問題がある。また、特許文献3の潤滑油基剤については、鉱物油などの基油に添加する摩擦低減剤として使用した際の効果に改善すべき点があると考えられた。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、特殊加工用途への使用が可能な高潤滑性を有する潤滑油基剤と、これを含む摩擦低減剤および金属加工油を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の潤滑油基剤は、
炭素数が5~10であり、アルコールの価数が2~6のネオペンチル型ポリオール、および、
炭素数18の不飽和脂肪酸とエルカ酸とを含む脂肪酸、
の反応物であるエステル化合物を含む。
本発明の摩擦低減剤は、上記の潤滑油基剤を含む。
本発明の金属加工油は、上記の潤滑油基剤を含む。
本発明の潤滑油基剤は、特殊加工用途への使用が可能な高潤滑性を有している。本発明の摩擦低減剤および金属加工油は、潤滑性に優れている。
以下、本発明の潤滑油基剤の一実施形態について説明する。
本発明の潤滑油基剤は、
(A)炭素数が5~10であり、アルコールの価数が2~6のネオペンチル型ポリオール、および、
(B)炭素数18の不飽和脂肪酸とエルカ酸とを含む脂肪酸、
の反応物であるエステル化合物を含む。
ネオペンチル型ポリオールとは、水酸基に対するβ位の炭素に水素原子を持たないネオペンチル骨格を有するアルコールである。
エステル化合物を構成するネオペンチル型ポリオールは、炭素数が5~10であり、かつアルコールの価数が2~6のネオペンチル型ポリオールである。2価のネオペンチル型ポリオールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール(NPG)が挙げられる。3価のネオペンチル型ポリオールとしては、例えば、トリメチロールエタン(TME)、トリメチロールプロパン(TMP)が挙げられる。4価のネオペンチル型ポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトール(PE)などが挙げられる。6価のネオペンチル型ポリオールとしては、例えば、ジペンタエリスリトール(DPE)などが挙げられる。ネオペンチル型ポリオールは、上記のうちの1種または2種以上を使用することができる。これらのなかでも、高潤滑性を確保する観点から、4~6価のネオペンチル型ポリオールである、ペンタエリスリトール(PE)、ジペンタエリスリトール(DPE)であることが好ましく、ジペンタエリスリトール(DPE)であることがより好ましい。
エステル化合物を構成する脂肪酸は、炭素数18の不飽和脂肪酸とエルカ酸とを含む。炭素数18の不飽和脂肪酸は、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)などを例示することができる。エルカ酸は、炭素数22の1価不飽和脂肪酸である(C22:1)。
その他の脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などの炭素数6~24の飽和脂肪酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、エイコセン酸、ネルボン酸などの炭素数14~16、20、24の直鎖不飽和脂肪酸を例示することができる。
炭素数18の不飽和脂肪酸は、脂肪酸成分のモル分率が5~80であることが好ましく、20~40であることがより好ましい。また、エルカ酸は、脂肪酸成分のモル分率が10~90であることが好ましく、40~80であることがより好ましい。
さらに、脂肪酸は、炭素数18の不飽和脂肪酸のモル分率(A)とエルカ酸のモル分率(B)との合計モル分率が35以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、65以上であることが最も好ましい。また、95以下であることが好ましく、90以下であることがより好ましい。炭素数18の不飽和脂肪酸とエルカ酸の合計モル分率がこの範囲であると、潤滑油基剤として高潤滑性を発揮することができる。
また、脂肪酸は、炭素数18の不飽和脂肪酸のモル分率(A)とエルカ酸のモル分率(B)との合計モル分率に対するエルカ酸のモル分率(B)のモル分率比(B/(A+B))が0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.50以上であることが最も好ましい。また、0.95以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.7以下であることが最も好ましい。前記モル分率比(B/(A+B))がこの範囲であると、潤滑油基剤として高潤滑性を発揮することができる。
本発明の潤滑油基剤は、上述したネオペンチル型ポリオールと脂肪酸あるいは脂肪酸メチルエステルなどの脂肪酸エステルを原料として、エステル化若しくはエステル交換反応を行うことにより製造することができる。エステル化、エステル交換反応は目的に応じて公知の方法を適宜選択して行うことができ、原料脂肪酸あるいは脂肪酸エステルの成分組成や触媒、反応温度などの条件を適宜調整することができる。例えば、アルコールに対して過剰の脂肪酸を配合し、エステル化することで、エステル化合物を得ることができる。
本発明の潤滑油基剤は、水酸基価が65mgKOH/g以下であることが好ましく、30mgKOH/g以下であることがより好ましい。より具体的には、水酸基価は、1~30mgKOH/gの範囲であることが好ましく、1~10mgKOH/gの範囲であることが最も好ましい。水酸基価がこの範囲であると、より確実に高潤滑性を確保することができ、低温安定性に優れている。
本発明の潤滑油基剤は、上記のエステル化合物を含むことで、高潤滑性を有し、特殊加工用途への使用が可能である。また、本発明の潤滑油基剤は、低温安定性にも優れている。
本発明の潤滑油基剤は、ヨウ素価が50~115であることが好ましく、60~90であることがより好ましい。ヨウ素価がこの範囲にあると、低温安定性に優れ、高潤滑性を確保することができる。
本発明の潤滑油基剤は、各種配合成分と高い相溶性を示し、他の潤滑油、水、各種添加剤等と組み合わせて使用することができる。
本発明の摩擦低減剤は、上述した潤滑油基剤を含む。潤滑油基剤は、基剤自身の摩擦係数が低いのみならず、例えば、鉱物油、合成油に添加した場合も、優れた摩擦低減能を付与することができるため、摩擦低減剤の成分とすることができる。
さらに、本発明の金属加工油は、上述した潤滑油基剤を含有する。本発明の金属加工油は、例えば、金属の種類や加工の種類の如何を問わず全ての金属加工、具体的には鉄鋼材を始めとする鉄基金属材やアルミニウム、チタンなどの非鉄金属やその合金などを、伸線、引抜、プレス、圧延、切削、研削、研磨、塑性加工する際の潤滑油として、あるいは油汚染防止、冷却、不燃化を要求される潤滑油として幅広く有効に利用できる。
本発明の金属加工油は水溶性状であり、例えば、そのまま金属加工に使用できる。また、本発明の金属加工油を原液とし、さらに水等の希釈剤で希釈して得られるクーラント(冷却剤)を金属加工に使用することもできる。
本発明の金属加工油には、任意に水が配合される。水の配合量については特に限定されるものではなく、例えば、金属加工油全体を100質量%とした場合、0~40質量%、より好ましくは0~20質量%である。例えば、金属切削油には、大別していわゆるA1種:エマルション、A2種:ソリュブル、A3種:ソリューションの3種類があり、これらに含まれる水分量は、好ましくはエマルションが0~15質量%、ソリュブルが5~40質量%、ソリューションが20~60質量%となる。
本発明の金属加工油を希釈剤でさらに希釈して利用する場合、希釈倍率(質量)は、金属加工油の濃度及び金属加工油に求められる性能に応じて適宜調整すればよい。希釈倍率(質量)は被加工材や加工条件等にも影響されるが、通常は1.5~100倍程度の範囲で加工特性が最も優れるように適宜設定すればよい。
本発明の金属加工油を原液とし、さらに水等の希釈剤で希釈してクーラント(冷却剤)を調製することができる。希釈倍率(質量)は、原液とする金属加工油の濃度及び金属加工時に求められる性能等に応じて適宜調整すればよく、通常1.5~100倍に希釈してクーラントとする。
本発明の金属加工油は、必要に応じて他の潤滑油、界面活性剤、酸化防止剤、防錆剤、腐蝕防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、消泡剤、抗乳化剤、油性剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等の各種添加剤を適宜配合して用いることができる。
他の潤滑油としては、潤滑油として使用されているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、炭化水素油、鉱物油、合成エステル、動植物油脂等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルエーテル酢酸塩等、両性界面活性剤としては、アミノ酢酸ベタイン、アミドプロピルベタイン、イミダゾリニウムベタイン等、非イオン界面活性剤としては、アルキルグルコシド、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキサイド、ポリオキシアルキレン脂肪酸多価アルコールエステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、脂肪酸多価アルコールエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの配合量は、金属加工油全体を100質量%とした場合、1~20質量%が好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの配合量は、金属加工油全体を100質量%とした場合、0.1~5質量%が好ましい。
防錆剤や腐蝕防止剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、中性アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属フェネート、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属サリチレート、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらの防錆剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの配合量は、金属加工油全体を100質量%とした場合、0.1~5質量%が好ましい。
極圧剤としては、例えば、硫化油、硫化エステル、硫化オレフィン、ジアルキルポリスルフィド、ジアリールアルキルポリスルフィド、ジアリールポリスルフィドなどの硫黄系化合物、リン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、アルキルハイドロゲンホスファイト、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン塩などのリン系化合物等が挙げられる。これらの極圧剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの配合量は、金属加工油全体を100質量%とした場合、1~30質量%が好ましい。
摩耗防止剤としては、例えば、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)、硫化オキシジチオリン酸モリブデン(MoDTP)、硫化オキシジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)等が挙げられる。これらの摩耗防止剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの配合量は、金属加工油全体を100質量%とした場合、1~30質量%が好ましい。
消泡剤としては、例えば、シリコーン、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂
肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリシレートとo-ヒドロキシベンジルアルコール、アルミニウムステアレート、オレイン酸カリウム、N-ジアルキル-アリルアミンニトロアミノアルカノール、イソアミルオクチルホスフェートの芳香族アミン塩、アルキルアルキレンジホスフェート、チオエーテルの金属誘導体、ジスルフィドの金属誘導体、脂肪族炭化水素のフッ素化合物、トリエチルシラン、ジクロロシラン、アルキルフェニルポリエチレングリコールエーテルスルフィド、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。これらの消泡剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの配合量は、金属加工油全体を100質量%とした場合、0.1~1質量%が好ましい。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの抗乳化剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの配合量は、金属加工油全体を100質量%とした場合、0.1~5質量%が好ましい。
油性剤としては、例えば、アルコール類、脂肪酸類及び脂肪酸エステル類等が挙げられる。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン-プロピレン共重合体など)等が挙げられる。
流動点降下剤としては、例えば、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリスチレン-(メタ)アクリレート、ポリビニルアセテート、ポリエチレン-酢酸ビニル等が挙げられる。
清浄分散剤としては、例えば、金属スルホネート、金属サリチレート、金属フィネート、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸エステル等が挙げられる。これら油性剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、洗浄分散剤の配合量は、金属加工油全体を100質量%とした場合、それぞれ1~20質量%が好ましい。
本発明の潤滑油基剤は、以上の実施形態に限定されるものではない。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<1>潤滑油基剤の調製
(1)アルコール成分
実施例1~14、比較例4~10では、ネオペンチルグリコール(NPG)、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール(PE)、ジペンタエリスリトール(DPE)を使用した。
比較例1では2-エチルヘキサノール(OA)、比較例2ではプロピレングリコール(PG)、比較例3ではグリセリンを使用した。
(2)脂肪酸成分
一般に入手可能な市販の脂肪酸を使用した。
(3)調製方法
(実施例1~14、比較例1~10)
2リットルの4つ口フラスコに、撹拌機、温度計、窒素ガス吹き込み管及び冷却管を取り付け、アルコール成分、脂肪酸を仕込んだ。仕込みモル比としてはアルコール成分:脂肪酸が1:1.1~6.1で行なった。
次に、フラスコ内に、窒素ガスを吹き込みながら200℃で5時間、更に240℃に昇温し8時間反応させ、留出する水を除去した。その後、エステル化合物の酸価が余剰脂肪酸分の酸価に達したところ、もしくはガスクロマトグラフィーにより未反応アルコールが消費されたところを終点とした。反応終了後、120℃、5kPaの条件下で2時間脱水した。その後吸着剤(協和化学工業社製、商品名:キョーワード500SH)で不純物を吸着、ろ過を行い、エステル化合物を得た。
<2>エステル化合物の分析
(1)脂肪酸成分分析
エステル化合物をケン化分解処理して脂肪酸とアルコールとに分解した。
具体的には、被検試料1gをケン化用フラスコに量り取り、これに0.5mol/L水酸化カリウム-エタノール標準液25mLを加え、該フラスコに冷却器を付け、時々振り混ぜながら、還流するエタノールが冷却器の上端に達しないように約70~80℃の範囲内で温度を調節して穏やかに約1時間加熱した。その後、得られた内容物を分液漏斗に移し、6N塩酸約5mL添加して酸性にし、ジエチルエーテル50mLで3回から5回抽出した。
抽出物を30mlの水で酸性を示さなくなるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、内容物をろ過した。得られた濾液をフラスコに移し、エバポレータにて溶媒を除去した。
次に、得られた濃縮物を、常法によりメチルエステル化した後、ガスクロマトグラフィーにより脂肪酸成分分析を行った。
本発明品において、未反応アルコール成分とエステル化合物の脂肪酸成分の測定にはガスクロマトグラフを用い、以下の分析条件で行った。
分析装置:GC-2010(島津製作所製)
分析条件:
カラム:J&W DB-1HT
オーブン温度:100~380℃、14℃/min
気化室温度:350℃
検出器温度:350℃(FID)
キャリアガス:ヘリウム
(2)水酸基価
JIS K0070(1992)に準拠して、エステル化合物の水酸基価を測定した。
(3)ヨウ素価
JIS K0070(1992)に準拠して、エステル化合物のヨウ素価を測定した。
以上の分析結果を表1、2に記載した。
<3>評価
実施例および比較例で得られたエステル化合物(潤滑油基剤)について以下の評価を行った。
(1)動摩擦係数
振動摩擦摩耗試験機(SRV試験機、オプチモール社製)を用いて、試験温度40、100℃で、以下のようにして、摩耗試験を行い、動摩擦係数を求めた。鉱物油に添加する際は内割添加量(潤滑油基剤/(鉱物油+潤滑油基剤))5質量%となるように混合した。
静止した平面状の鋼ディスク(材質SUJ-2相当)上に、評価試料(潤滑油)をスポイトで数滴(0.1~0.3ml)滴下して潤滑油の膜(油膜)を作成し、この油膜の上に直径10mmの鋼球(材質SUJ-2相当)を50、100、200Nの荷重で載せた(鋼球と鋼ディスクとが油膜を介して点接触するように載せた)。引き続き、荷重を維持したままで、鋼球を鋼ディスク上で10分間、往復運動(振幅:2mm、振動数:50Hz)させ(鋼球は回転させない)、10分間、鋼球及び鋼ディスク間の摩擦係数を連続測定し、10分後の各荷重での平均値を動摩擦係数とした。
(2)相溶性
各種添加剤10種類との相溶性を確認し、相溶性を示した添加剤の数を表1、2にパーセント表示で示した。
各種添加剤としては、脂肪酸(オレイン酸)、アルコール(オクタノール)、オレイン酸メチルエステル、硫化油、硫化メチルエステル、酸性リン酸エステルアミン塩、硫化オレフィン、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、リン酸エステルを用い、相溶性はエステル化合物(潤滑油基剤)100質量%に対して、添加剤5質量%(外割)を25℃で混合し、均一に溶解するかを確認した。
(3)切削加工試験
以下の成分配合の金属加工油を調製し、切削加工(転造タップ加工)試験をした。
[金属加工油成分配合]
表1の組成による潤滑油基剤(エステル化合物):70質量部
脂肪酸:10質量部
硫化油:5質量部
石油スルホン酸塩:3質量部
フェノール錫:1質量部
シリコーン:1質量部
界面活性剤:10質量部
[切削加工条件]
使用機器:Microtap社製megatapII
被削材: S50C
下穴:φ7.45(リーマ下穴加工済)
工具: オーエスジー(OSG社製)M8転造タップ(材質:HSSE)
回転数:200rpm
加工深さ: 10mm
希釈倍率(質量): 水/水性潤滑油(上記金属加工油)=10/1(=切削油)
[評価基準]
上記条件にてタップ加工を行い、加工時に受ける切削抵抗(トルク[N・m])を測定し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎+:切削トルク6.5N・m未満
◎:切削トルク6.5N・m以上7.0N・m未満
○:切削トルク7.0N・m以上8.0N・m未満
△:切削トルク8.0N・m以上9.0N・m未満
×:切削トルク9.0N・m以上
(4)低温安定性
0℃で12時間放置した後の外観を目視で確認し、以下の基準で評価した。
◎:透明液状
○:ほぼ濁り無し
△:濁りあり
×:固化や固体の析出が見られる
<4>結果
結果を、表1および表2に示す。
Figure 0007430072000001
Figure 0007430072000002
炭素数が5~10であり、アルコールの価数が2~6のネオペンチル型ポリオール、および、炭素数18の不飽和脂肪酸とエルカ酸とを含む脂肪酸の反応物であるエステル化合物を含む実施例1~14は、摩擦係数が低く、高潤滑性を有していることが確認された。また、実施例1~14は、添加物との相溶性、低温安定性に優れ、切削加工試験の結果も良好であることが確認された。
また、炭素数18の不飽和脂肪酸のモル分率(A)とエルカ酸のモル分率(B)の合計モル分率(A+B)が50以上であり、かつ、炭素数18の不飽和脂肪酸とエルカ酸のモル分率比(B/(A+B))が0.30以上である実施例1~3、5~7、10~14では、特に、高潤滑性および切削加工試験の結果に優れていることが確認された。
一方、上述したネオペンチル型ポリオールを使用していない比較例1~3では、摩擦係数が高く、潤滑性が十分でなく、また、低温安定性、切削加工試験の結果も十分でないことが確認された。
さらに、エルカ酸を含まない比較例4、7~9、炭素数18の不飽和脂肪酸を含まない比較例5~7、10についても、潤滑性が十分でなく、また、低温安定性、切削加工試験の結果も十分でないことが確認された。

Claims (6)

  1. 炭素数が5~10であり、アルコールの価数が2~6のネオペンチル型ポリオール、および、
    炭素数18の不飽和脂肪酸とエルカ酸とを含む脂肪酸、
    の反応物であるエステル化合物を含み、
    前記脂肪酸は、前記エルカ酸のモル分率が32.4~90であり、かつ、前記炭素数18の不飽和脂肪酸のモル分率が8.9~42.0であることを特徴とする潤滑油基剤。
  2. 炭素数18の不飽和脂肪酸のモル分率(A)とエルカ酸のモル分率(B)との合計モル分率が41.3以上であり、かつ、炭素数18の不飽和脂肪酸のモル分率(A)とエルカ酸のモル分率(B)との合計モル分率に対するエルカ酸のモル分率(B)のモル分率比(B/(A+B))が0.1以上であることを特徴とする請求項1の潤滑油基剤。
  3. 水酸基価が65mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1または2の潤滑油基剤。
  4. 前記ネオペンチル型ポリオールが、ジペンタエリスリトール(DPE)であることを特徴とする請求項1から3のいずれかの潤滑油基剤。
  5. 前記請求項1から4のいずれかの潤滑油基剤を含むことを特徴とする摩擦低減剤。
  6. 前記請求項1から4のいずれかの潤滑油基剤を含むことを特徴とする金属加工油。
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