JP7429222B2 - Carの機能を評価する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、免疫学、細胞生物学、及び分子生物学の分野に関する。特定の態様では、本発明の分野は免疫療法に関する。より具体的には、本発明は、特異性、機能、及び感度などのキメラ抗原受容体(CAR)特性を決定するための方法に関する。
何年もの間、癌処置の基礎は、手術、化学療法、及び放射線療法であった。しかしながら、過去数年間で、免疫療法が、癌処置の効果的なツールとして浮上してきた。
遺伝子工学の進歩が、T細胞などのヒト免疫細胞に導入して、抗原特異性をリダイレクトし、エフェクター免疫細胞の機能を強化することができる、キメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれる合成腫瘍標的受容体の設計につながった。CARは、1980年代半ばに最初に開発され、それ以来、これらの受容体への関心が高まっている。これらの受容体は、HLA-ペプチド複合体とは独立に特定の抗原認識を提供することによって、T細胞を発現する固有のTCR特異性をバイパスするために最初に作製された。プロトタイプの一本鎖CARは、1993年にEshharらによる研究で最初に説明され、この一本鎖CARでは、T細胞の特異的活性化及び標的化は、標的抗原特異的抗体ドメインと、Fcイプシロン受容体のγシグナル伝達サブユニット又はT細胞受容体CD3複合体のζシグナル伝達サブユニットとからなる分子を介して媒介された(Eshhar et al., 1993, Proc Natl Acad Sci., 90, 720-4)。それ以来、多くのグループが、単一の腫瘍に対する特異性及び強化されたシグナル伝達エンドドメイン(endodomain)を備えたCAR分子を考案してきた。今日、CARの結合ドメインは、典型的には、ライブラリーから選択され、柔軟なリンカーによって結合されたモノクローナル抗体(Mab)の軽鎖及び重鎖可変断片を含む一本鎖抗体(scFv)の抗原結合ドメイン又は抗体結合断片(Fab)からなる。scFvは、それが由来する完全な抗体と同じ特異性及び同様の親和性を保持し、目的の標的抗原に特異的に結合することができる。従って、CARは、単一の融合分子内で抗原特異性とT細胞活性化特性を組み合わせている。実際、scFvは、CD3ζを含む細胞内シグナル伝達モジュールに連結され、抗原結合時にT細胞の活性化を誘導する。モジュール構造は、共刺激を模倣しようとして、CD3ζシグナル伝達ドメインのみを備えた第1世代のCARから、CD28、4-1BB、OX40などのシグナル伝達エンドドメインをCD3ζに連結する第2世代及び第3世代CARに拡張されている。
CARは、MHCに依存しないメカニズムでT細胞を癌の標的にすることを可能にした。CARのリガンド結合は、受容体親和性、抗原密度、及び空間特性において、ペプチド/MHC(pMHC)に結合するTCRのリガンド結合とは異なり;特定の標的分子に最適なCARを設計するための実験的アプローチは、インビトロ又はヒト腫瘍異種移植モデルにおける形質導入T細胞の機能アッセイに依存している。TCR/pMHC認識で観察されるように、CARが標的分子と連続的に結合し、組織化されたシナプスにクラスター化する可能性が低いため、CAR認識にはTCRよりも高いリガンド密度が必要であると考えられる。これらの受容体の最適な構成及び適用は、親和性と特異性に加えて、コンストラクトの設計、シグナル伝達ドメイン、ベクター送達システム、レシピエントの免疫細胞集団、及び製造に依存している。
特に、CARの有効性は、1つにはCAR自体の親和性に依存し、もう1つはエクトドメイン(ectodomain)の構成要素に依存する。scFv内の柔軟なリンカー配列の存在、及びエクトドメインとエンドドメイン(ヒンジ領域と膜貫通領域)との間の連結のタイプは、(i)結果として得られるCARの長さと柔軟性、(ii)その細胞表面密度、(iii)持続性シグナル伝達によって自己凝集してT細胞枯渇を引き起こす傾向、及び(iv)意図された標的抗原以外の分子への潜在的な結合を変更することによってCAR機能を大幅に変更することができる。
従って、CARの特異性及び機能は、その構造(CARの長さとエピトープの距離、スペーサー、膜貫通領域、及びエンドドメイン領域)及びその感受性(抗体親和性、抗原密度/親和性、信号閾値)の影響を受け得る。しかしながら、この問題に対処するために設計された研究及びアッセイは限られていてほとんどなく、最適な抗体又はCARコンストラクトの選択は、未だ証明されておらず、これは一般に、部分的にCAR機能の評価につながるが、これらの特性は、CARベースの治療法を改善するために非常に興味深いものである。
例えば、サイトカインの放出を測定することによる(Clay et al, J. Immunol., 163 : 507-513 (1999))又は細胞傷害性を測定することによる(Zhao et al, J. Immunol., 174: 4415-4423 (2005))、標的細胞を認識する能力及び抗原特異性についてCARを試験する方法は当技術分野で公知である。しかしながら、これらの方法は、時間がかかり、実施が困難であり得る。従って、CAR発現細胞の機能を評価するための単純で迅速且つ効果的な方法を開発する必要がある。
発明の概要
この問題を克服するために、本発明者らは、CAR発現細胞の機能を評価する方法を開発した。この方法は、抗原発現標的細胞とCAR発現細胞との間の膜転移を伴うトロゴサイトーシス(trogocytosis)に基づいている。このアッセイでは、組換えCAR構造の構造と感度の両方に応じて、CARエフェクター細胞の活性化を独自の迅速な方法で評価することができる。
本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞の機能を評価するためのインビトロ方法に関し、この方法は:
-同じ細胞株から調製された標的抗原発現細胞及びCAR発現細胞を異なる標識で標識すること;
-標識された標的細胞と標識されたCAR発現細胞を共培養すること、
-標的抗原発現細胞からのCAR発現細胞による膜獲得を評価するために細胞を分析することであって、この膜獲得が、標的抗原へのCAR発現細胞の結合及び/又は活性化能力の指標であり、それによりCAR発現細胞の機能を評価することを含み、
好ましくは、CAR発現細胞は免疫細胞である。
好ましくは、共培養は、少なくとも1時間、好ましくは1~5時間、さらにより好ましくは1~3時間行われる。特に、共培養は、1:0.5~1:10の標的抗原発現細胞対CAR発現細胞の比率で行われる。
細胞分析は、細胞選別分析、好ましくはフローサイトメトリー分析によって行われる。
好ましくは、キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞の機能を評価するためのインビトロ方法は、標識された標的抗原細胞と標識されたCAR発現細胞を共培養する前に、CARが由来する抗体と比較して同じ又は重複するエピトープを認識する抗体と共に標的抗原発現細胞を培養する工程をさらに含む。このような抗体は、好ましくはモノクローナル抗体であり、好ましくは、CARが由来するモノクローナル抗体のCDRを含むモノクローナル抗体である。
好ましくは、キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞の機能を評価するためのインビトロ方法は、標的抗原を発現しない対照細胞を試験することをさらに含む。そのような方法は、標的抗原を認識しない対照CAR発現細胞を試験することをさらに含み得る。そのような方法はまた、機能的なCAR発現細胞及び/又はCARコンストラクトの選択をさらに含み得る。
標識は、膜マーカー、好ましくは親油性トレーサー又は色素であり、さらにより好ましくは、MINI26、PKH26-PCL、PKH67、MINI67、PKH67-PCL、PKH26、PKH26-PCL、Vybrant CM-DiI、DiI、及びDiOからなる群から選択される。
好ましくは、細胞は、免疫細胞であり、好ましくはTリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞、単球、及び抗原提示細胞から選択される。
本発明はまた、養子細胞療法のために機能的CAR発現細胞を選択するためのインビトロ方法に関し、この方法は:
(i)免疫細胞の集団、好ましくは処置される対象からの生物学的サンプルから単離された免疫細胞の集団にCARをコードする核酸配列を形質導入すること、
(ii)CARを発現する前記単離された細胞の亜集団を選択すること、及び、
(iii)好ましくはCARが作製された抗原を発現する標的抗原発現細胞について、前記請求項のいずれかに記載の方法によってそれらの機能を評価すること、
(iv)任意選択により、抗原発現細胞からの膜獲得を経験したCAR発現細胞から機能的CAR発現細胞及び/又はCAR核酸コンストラクトを選択することを含む。
好ましくは、抗原はHLA-Gであり、さらにより好ましくはHLA-G1である。
本発明はまた、本明細書に開示される任意のインビトロ方法によって選択される機能的CARコンストラクトを含む細胞、好ましくは免疫細胞に関する。
標的細胞の膜、Jurkat及びHLA-G1/b2M発現細胞株を、PKH67色素を使用して緑色で標識した。エフェクター細胞、Jurkat HLA-G-15E7及びHLA-LFTT-1 CAR細胞の膜を、PKH26色素を使用して赤色で標識した。次いで、細胞を1:1の比率で共培養し、共培養の0時間後、1時間後、及び3時間後に収集してから、フローサイトメトリーによって分析した。 HLA-G CAR細胞(赤色で標識された)による腫瘍細胞(緑色で標識された)からの膜獲得:(A)HLA-G陰性腫瘍細胞との共培養後は、HLA-G CAR細胞による膜獲得は期待されないが、(B)HLA-G1/b2M発現腫瘍細胞との共培養後は、抗HLA-G1/b2M CAR細胞のみが膜パッチを獲得するはずである。 HLA-G CAR細胞によるJurkat又はHLA-G1/b2M Jurkat腫瘍細胞のいずれかからの膜獲得をフローサイトメトリーによって調べた。HLA-G-15E7 CAR細胞(左パネル)は、Jurkat又はHLA-G1/b2M Jurkat細胞との共培養の1時間後及び3時間後もPKH67を示さなかった。HLA-G-LFTT-1 CAR細胞(右パネル)は、HLA-G1/b2M Jurkat細胞との共培養後にのみ、表面にPKH67を示し、その程度が時間の経過と共に増加した。代表的な3回の独立した実験。 HLA-G-15E7又はHLA-G-LFTT-1 CAR細胞によるJurkat又はHLA-G1/b2M Jurkat腫瘍細胞からの膜獲得の速度(n=3)。 HLA-G-LFTT-1 CAR細胞によるHLA-G1/b2M Jurkat腫瘍細胞からの膜獲得は、腫瘍細胞をLFTT-1モノクローナル抗体と前培養することによって防止される。 (A)HLA-G-LFTT-1 CARの特異性を、抗HLA-G LFTT-1モノクローナル抗体の存在下で評価した(代表的な3回の独立した実験)。(B)HLA-G-LFTT-1 CARの特異性は、その作製に使用されるモノクローナル抗体LFTT-1パラトープに関連している(n=3)。 (A)Jurkat、Jurkat HLA-G1、及びHLA-G-LFTT-1 CAR細胞複合体を、抗HLA-G LFTT-1モノクローナル抗体の存在下で評価した(代表的な4回の独立した実験)。(B)Jurkat HLA-G1及びHLA-G-LFTT-1 CAR複合体は、LFTT-1モノクローナル抗体によって防止される(n=4)。 HLA-G陰性(赤色のJurkat細胞)、HLA-G陽性(緑色のJurkat HLA-G1細胞)の標的細胞とエフェクター細胞(青色のHLA-G-LFTT-1 CAR細胞)との間での膜転移アッセイの概略図。 (A)HLA-G腫瘍発現Jurkat細胞とHLA-G CARエフェクター細胞との間の膜獲得の代表図。(B)HLA-G CARエフェクターによって獲得された膜は、HLA-G発現腫瘍細胞からのみ転移し、周囲のHLA-G陰性腫瘍細胞からは転移せず、HLA-G CRの活性化が、HLA-G発現腫瘍細胞によってのみ駆動され、周囲のHLA-G陰性腫瘍細胞によっては駆動されないことを実証している。 エフェクターCAR細胞によるHLA-G1標的細胞からの膜獲得は、使用する膜色素に依存しない。 HLA-G陰性、HLA-G陽性の標的細胞とエフェクターCAR細胞との間の差次的膜転移(differential membrane transfer)アッセイの概略図。
発明の詳細な説明
序論
本発明者らは、特異性、機能、及び感受性などのCAR特性を決定するための、新規な独自の容易且つ迅速な方法を開発した。この方法は、抗原発現標的細胞と抗原特異的免疫細胞との間での膜転移を伴うトロゴサイトーシスプロセスに基づいている。この方法では、実験室で容易に行うことができる工程を使用することによって、これらの特性を1日かからずに決定することができる。この方法の有効性と単純さの重要な側面は、CAR発現細胞及び標的抗原発現細胞を調製するために同じ細胞株を使用することである。
従って、本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞の機能を評価するためのインビトロ方法に関し、この方法は、同じ細胞株に属する標的抗原発現細胞及びCAR発現細胞を異なる標識で標識すること、標識された標的細胞と標識されたCAR発現細胞を共培養すること、並びに標的抗原発現細胞からのCAR発現細胞による膜獲得を評価するために細胞を分析することを含み、この膜獲得は、標的抗原へのCAR発現細胞の結合及び/又は活性化能力の指標である。
定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。
本明細書で使用される「キメラ抗原受容体」(CAR)、「エンジニアリングされた細胞受容体」、「キメラ細胞受容体」、又は「キメラ免疫受容体」(ICR)という用語は、免疫細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)に抗原結合特異性を移植するエンジニアリングされた受容体を指し、従って、抗原結合ドメインの抗原結合特性を、T細胞の溶解能力及び自己複製などの免疫細胞の免疫原性活性と組み合わせる。特に、CARは、抗原に結合することができる細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、任意選択によるヒンジドメイン、及び少なくとも1つの細胞内ドメインを含む融合タンパク質を指す。「抗原に結合できる細胞外ドメイン」、「外部ドメイン」、「エクトドメイン」、及び「抗原結合ドメイン」という用語は、本明細書では互換的に使用され、標的抗原に結合できる任意のオリゴペプチド又はポリペプチドを意味する。特に、本明細書で使用される「抗原結合ドメイン」又は「抗原特異的標的ドメイン」という用語は、特定の抗原を標的とし、それに結合するCARの領域を指す。CARが宿主細胞で発現されると、このドメインは、受容体の細胞外ドメイン(エクトドメイン)を形成する。CARの抗原結合ドメインは、典型的には抗体に由来し、一本鎖抗体(scFv)の抗原結合ドメイン又は抗原結合断片(Fab)からなり得る。「細胞内ドメイン」、「内部ドメイン」、「細胞質ドメイン」、及び「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、本明細書で互換的に使用され、細胞内の生物学的プロセスの活性化又は阻害を引き起こすシグナルを伝達するドメインとして機能することが知られている任意のオリゴペプチド又はポリペプチドを意味する。細胞内シグナル伝達ドメインは、CARを含む核酸配列が形質導入された細胞の免疫エフェクター機能、例えばサイトカインの分泌を含む細胞溶解活性及びヘルパー活性を促進するシグナルを生成することができる。「膜貫通ドメイン」という用語は、細胞膜にまたがることが知られており、細胞外ドメインとシグナル伝達ドメインを連結するように機能し得る任意のオリゴペプチド又はポリペプチドを意味する。これは、単一のアルファヘリックス、膜貫通ベータバレル、グラミシジンAのベータ-ヘリックス、又はその他の構造であり得る。典型的には、膜貫通ドメインは、内在性タンパク質としても知られる膜貫通タンパク質の単一の膜貫通アルファヘリックスを示す。キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間のリンカーとして機能する「ヒンジドメイン」を任意選択により含み得る。本明細書で使用される「ヒンジ」、「スペーサー」、又は「リンカー」という用語は、例えば、柔軟性、改善された空間構成、及び/又は近接性を与えるために、ポリペプチドコンストラクトの2つ以上のドメイン間で典型的にコードされる可変長のアミノ酸配列を指す。scFvに関連して使用される「リンカー」という用語は、可変重鎖領域及び可変軽鎖領域を1つに連結するために、単独で又は組み合わせて使用されるグリシン及び/又はセリン残基などのアミノ酸からなるペプチドリンカーを指す。キメラ抗原受容体は、任意選択によりシグナルペプチドを含み得る。「シグナルペプチド」、「標的シグナル」、「局在化シグナル」、「輸送ペプチド」、又は「リーダー配列」という用語は、分泌経路に向かう、新しく合成されたタンパク質の大部分のN末端に存在する短いペプチドを指す。シグナルペプチドのコアは、疎水性アミノ酸の長いストレッチを含み得る。シグナルペプチドは、成熟ポリペプチドから切断されてもよいし、切断されなくてもよい。
本明細書で使用される「抗体(antibody)」及び「抗体(antibodies)」という用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ抗体、キメラ抗体、一本鎖可変断片(scFv)、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、抗原結合断片(Fab)、F(ab’)断片、ジスルフィド結合可変断片(sdFv)、イントラボディ、ナノボディ、及びこれらのいずれかのエピトープ結合断片を指す。特に、抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片、即ち、抗原結合部位を含む分子が含まれる。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgGi、IgG、IgG、IgG、IgAi、及びIgA)、又はサブクラスであり得る。特段の記載がない限り、「抗体」という用語は、無傷の免疫グロブリン、及び他の分子への結合を実質的に排除して目的の抗原に特異的に結合する「抗体断片」又は「抗原結合断片」を含む。「抗体」という用語はまた、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロ複合体抗体(例えば、二重特異性抗体)などの遺伝子操作された形態を含む。好ましくは、抗体という用語は、モノクローナル抗体を指し、さらにより好ましくは、モノクローナル抗体に由来するscFvを指す。
構造に関しては、抗体は、ジスルフィド結合によって相互連結された重鎖(H)及び軽鎖(L)を有し得る。軽鎖には、ラムダ(λ)及びカッパ(κ)の2種類がある。各重鎖及び軽鎖には、定常領域及び可変領域(又は「ドメイン」)が含まれる。軽鎖及び重鎖可変領域には、「相補性決定領域」又は「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域によって中断された「フレームワーク」領域が含まれる。フレームワーク領域及びCDRの範囲が定義されている(参照により本明細書に組み込まれる、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照されたい)。フレームワーク領域は、鎖内の非共有相互作用によってCDRを正しい向きに配置するための足場を形成するように機能する。CDRは、主に抗原のエピトープへの結合に関与する。各鎖のCDRは、典型的には、CDR1、CDR2、及びCDR3と呼ばれ、N末端から順番に数字が付されている。本発明による抗体のVL及びVHドメインは、4つのフレームワーク領域又は「FR」を含み得、これらは、当技術分野及び本明細書では、それぞれ「フレームワーク領域1」又は「FR1」;「フレームワーク領域2」又は「FR2」;「フレームワーク領域3」又は「FR3」;及び「フレームワーク領域4」又は「FR4」と呼ばれる。これらのフレームワーク領域は、3つの相補性決定領域又は「CDR」によって中断され、これらは、当技術分野では、それぞれ「相補性決定領域1」又は「CDR1」;「相補性決定領域2」又は「CDR2」;及び「相補性決定領域」又は「CDR3」と呼ばれる。これらのフレームワーク領域及び相補性決定領域は、好ましくは、以下の順序で作動可能に連結されている:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4(アミノ末端からカルボキシ末端へ)。
本明細書で使用される「抗体重鎖」は、抗体の立体構造に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうちの大きい方を指す。
本明細書で使用される「抗体軽鎖」は、抗体の立体構造に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうちの小さい方を指し、κ軽鎖及びλ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
「scFv」という用語は、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片及び重鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片を含むタンパク質を指し、これらの軽鎖及び重鎖可変領域は、例えば、合成リンカー、例えば、短い柔軟なポリペプチドリンカーを介して隣接して連結され、一本鎖ポリペプチドとして発現することができ、scFvは、それが由来する無傷の抗体の特異性を保持する。特段の記載がない限り、本明細書で使用されるscFvは、例えば、ポリペプチドのN末端及びC末端に関して、VL及びVH可変領域をいずれかの順序で有し得、VL-リンカー-VHを含んでもよいし、又はVH-リンカー-VLを含んでもよい。リンカーは、フレームワーク配列の一部を含み得る。
本明細書で使用される「由来する(derive from)」又は「由来する(derived from)」という用語は、親化合物又はタンパク質の構造に由来する構造を有し、その構造が本明細書に開示されるものと十分に類似し、その類似性に基づき、特許請求される化合物と同じ又は類似の特性、活性、及び有用性を示すことが当業者によって恐らく期待される化合物又はタンパク質を指す。例えば、モノクローナル抗体に由来するscFvは、モノクローナル抗体と同じ特性を共有する、例えば、同一又は類似のVH及びVL又はCDRを共有し、及び/又は同じエピトープを認識する抗体断片を指す。
細胞の文脈において、本明細書で使用される「由来する(derive from)」又は「由来する(derived from)」という用語は、例えば感染又は形質転換などの遺伝子操作によって、同じ細胞株の細胞から調製される1つ又はいくつかの細胞を指す。特に、標的抗原発現細胞は、発現される抗原をコードする核酸を細胞株の細胞に導入することによって調製することができる。
同様に、CAR発現細胞は、CARをコードする核酸を細胞株の細胞に導入することによって調製することができる。
本明細書で使用される「競合抗体」という用語は、別の抗体によって認識される同じ又は重複するエピトープを認識する抗体を指す。CARに関連する場合、競合抗体は、CARが由来する抗体又は抗体断片、或いはCARが認識する同じ又は重複するエピトープを認識する任意の抗体であり得る。
本明細書で使用される「抗原」又は「標的抗原」という用語は、抗体分子、T細胞受容体、又はCARなどの特定の体液性又は細胞性免疫の産物によって特異的に結合され得る化合物、組成物、又は物質を指す。本発明が無傷の抗原及びその抗原断片を含むことは容易に明らかである。抗原は、作製する、合成する、又は生物学的サンプルに由来することができる。そのような生物学的サンプルには、限定されるものではないが、組織サンプル、腫瘍サンプル、細胞、又は生体液が含まれ得る。
本明細書で使用される「HLA-G」及び「ヒト白血球抗原G」という用語は、限定されるものではないが膜結合アイソフォーム(例えば、HLA-G1、HLA-G2、HLA-G3、HLA-G4)、可溶性アイソフォーム(例えば、HLA-G5、HLA-G6、HLA-G7)、及び膜結合アイソフォームのタンパク質分解切断によって生成される可溶型(例えば:sHLA-Gl)を含む、そのいくつかのアイソフォームのいずれか1つを含むがこれに限定されない、この名称に関連する特定の分子を指す。
本明細書で使用される「結合する」又は「結合」は、抗原を認識して接触するペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、及び抗体(抗体断片を含む)を指す。好ましくは、「結合する」又は「結合」は、抗原-抗体タイプの相互作用を指す。「特異的に結合する」又は「免疫特異的に結合する」は、抗体が特定の抗原を認識するが、サンプル中の他の分子を実質的に認識しないか、これに結合もしないことを意味する。場合によっては、「特異的結合」又は「特異的に結合する」という用語は、抗体、タンパク質、又はペプチドと第2の化学種との相互作用に関して使用することができ、相互作用が特定の構造(例えば、抗原決定基又はエピトープ)の存在に依存することを意味する。本明細書で使用される「特異的結合」という用語は、少なくとも10-6Mの結合親和性での抗体と抗原との間の接触を意味する。
抗体の親和性は、単一の抗原-抗体部位での特定の抗原との結合の尺度であり得、本質的に、抗体の抗原結合部位と特定のエピトープとの間の相互作用に存在するすべての吸引力及び反発力の合計である。特定の抗原に対する抗体の親和性は、抗体結合部位の親和性である、式K=[AgAb]/[Ag][Ab]によって定義される平衡定数Kで表すことができ、式中、[Ag]は遊離抗原の濃度であり、[Ab]は遊離抗体の濃度であり、[AgAb]は抗原-抗体複合体の濃度である。抗原と抗体が共に強く反応する場合、遊離抗原も遊離抗体もほとんど存在しないため、抗体の平衡定数又は親和性は高くなる。特に、高い親和性は、少なくとも10-6Mの結合親和性である。結合親和性は、当業者に利用可能な任意の方法によって、特に表面プラズモン共鳴によって測定することができる。
本明細書で使用される「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、及びB細胞など)上に存在する場合、T細胞上の同族の結合パートナー(「刺激分子」とも呼ばれる)と特異的に結合し、それによって、限定されるものではないが活性化、免疫応答の開始、及び増殖などを含むT細胞による一次応答を媒介することができるリガンドを意味する。
本明細書で使用される「共刺激リガンド」という用語は、T細胞上の同族の結合パートナー(本明細書では「刺激分子」と呼ばれる)と特異的に結合し、それによって、例えば、ペプチドがロードされたMHC分子とのTCR/CD3複合体の結合によって提供される一次シグナルに加えて、限定されるものではないが増殖、活性化、及び分化などを含むT細胞応答を媒介するシグナルを提供する抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、及びB細胞など)上の分子を含む。
本明細書で使用される「共刺激分子」は、免疫細胞シグナル伝達経路の少なくともいくつかの側面のために刺激的に免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞)の活性化を調節する細胞質シグナル伝達配列を提供する免疫細胞によって発現される分子を指す。一態様では、シグナルは、例えば、ペプチドがロードされたMHC分子とのTCR/CD3複合体の結合によって開始される一次シグナルであり、これは、限定されるものではないが増殖、活性化、及び分化などを含むT細胞応答の媒介をもたらす。刺激的に作用する一次細胞質シグナル伝達配列(「一次シグナル伝達ドメイン」とも呼ばれる)は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。特に、この用語は、抗原提示細胞上に存在する共刺激リガンドと特異的に結合し、それによって、限定されるものではないが増殖活性化及び分化などのT細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。
本明細書で使用される「刺激分子」は、抗原提示細胞上に存在する同族の刺激リガンドと特異的に結合するT細胞上の分子を意味する。
本明細書で使用される「共刺激シグナル」は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルと組み合わせて、T細胞増殖の活性化及び分化など、及び/又は重要な分子のアップレギュレーション又はダウンレギュレーションをもたらすシグナルを指す。
「刺激」又は「刺激性の」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体)とその同族リガンドとが結合し、それによって、限定されるものではないがTCR/CD3複合体を介したシグナル伝達などのシグナル伝達事象を媒介することによって誘導される一次応答を意味する。刺激は、TGF-βのダウンレギュレーション及び/又は細胞骨格構造の再構成などの、特定の分子の発現の変化を媒介することができる。
本明細書で使用される「免疫細胞」は、例えば、骨髄で産生される造血幹細胞(HSC)に由来する白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))、リンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞)、及び骨髄由来細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)などの、自然免疫及び獲得免疫に関与する細胞を指す。特に、免疫細胞は、B細胞、T細胞、特にCD4T細胞及びCD8T細胞、NK細胞、NKT細胞、APC細胞、樹状細胞、及び単球を含む包括的ではないリストから選択することができる。
「CAR発現細胞」又は「CAR細胞」という用語は、細胞、特にその表面にCARを産生するように遺伝子操作された免疫細胞(例えば、T細胞)を指す。CAR細胞は一般に、癌細胞に発現する特定の抗原を標的とするために作製される。CAR抗原結合によって腫瘍細胞が認識されると、CAR細胞は、活性化されて癌細胞を殺す。
本明細書で使用される「標的抗原発現細胞」又は「抗原発現細胞」という用語は、細胞、特にその表面に目的の抗原、特に、例えば腫瘍細胞で発現するとして同定された抗原を提示する免疫細胞(例えば、T細胞)を指す。これらの細胞は、抗原を産生するように遺伝子操作することもできるし、或いはその表面に自然に抗原を産生することもできる。
「対照細胞」という用語は、CAR(以降、「対照CAR細胞」)も目的の抗原も発現しないために対照として使用することができる細胞(以降、「対照細胞」)、好ましくは免疫細胞(例えば、T細胞)を指す。好ましくは、それらは、CAR発現細胞及び/又は標的抗原発現細胞に使用される細胞株と同じ細胞株に属するか、又はそれらから調製/誘導される。
本明細書で使用される「細胞株」という用語は、同じ遺伝的特性を共有する細胞の均質な集団を指す。
「標識」又は「マーカー」という用語は、放射性標識及び非放射性標識を含む、細胞、特に免疫細胞において検出可能な任意の標識を指す。非放射性標識には、例えば、蛍光、発光、又はリン光色素の標識又は色素などの光学的に検出可能な標識が含まれる。標識には、直接検出可能な標識及び間接的に検出可能な標識が含まれる。本明細書で使用される「蛍光標識」という用語は、標識の蛍光発光を介して、例えば蛍光分光法を介して検出可能な任意の標識を指す。標識又はマーカーは、脂質色素などの細胞膜を標識する色素である。
「細胞選別」という用語は、それらのタイプ及び/又は特性に従って細胞を分けるために使用される方法を指す。細胞は、ほとんどの場合、通常は細胞のサイズ、形状(形態)、及び/又は表面タンパク質又はマーカーの発現の違いに依存して分けられる。この方法は、細胞の均質な集団の獲得につながり得る。細胞選別は、単一細胞選別、蛍光細胞選別、磁気細胞選別、又は浮力活性化細胞選別などの当業者に公知の様々な戦略に依存し得る。好ましくは、この用語は、フローサイトメトリーを利用して、細胞集団を選別するための、蛍光標識の発現などの細胞内及び細胞外特性の迅速で客観的且つ定量的な測定を提供する蛍光活性化細胞選別、FACSを指す。
本明細書で使用される「CAR発現細胞の機能」という用語は、その生物学的機能を果たすための、細胞、好ましくは免疫細胞(例えば、T細胞)の能力を指す。CAR細胞に関連する場合、この機能は、抗原(即ち、CAR細胞が作製された抗原)に結合することによって標的細胞を認識する能力、及びCAR発現細胞の活性化能力(例えば、抗原を発現する標的細胞の死滅をもたらすシグナル伝達経路を(例えば、サイトカインの分泌を含む、細胞溶解活性及びヘルパー活性を介して))活性化する能力を指す。従って、本明細書で使用される「機能的CAR細胞」という用語は、標的抗原に結合することができ、この時にシグナル伝達経路の活性化を効果的に誘導し得るCAR発現細胞を指す。
本明細書で使用される「共培養」という用語は、少なくとも2つの分子又は細胞、好ましくは免疫細胞を培養する行為又はプロセスを指す。本発明の文脈において、細胞の共培養は、細胞、特に、CAR細胞及び抗原発現細胞並びに任意選択による対照細胞などの細胞の2つ以上の集団の接触をもたらし得る。
「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」という用語は、本明細書で互換的に使用され、キメラ抗原受容体細胞の作製に適用され、特に、外来又は外因性ヌクレオチド配列が細胞に導入されるプロセスを指す。外因性核酸は、安定的又は一過性に宿主細胞に導入され得る。「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクトされた、形質転換された、又は形質導入された細胞である。いくつかの実施形態では、この形質導入は、ベクター、好ましくはレンチウイルスベクターを介して行われる。
本明細書で使用される「養子細胞療法」又は「養子T細胞療法」又は「ACT」という用語は、患者への細胞の移入を意味し、細胞は、対象に移入する前にエンジニアリングされるか、又は他の方法で変更される。ACTの例は、対象の血液又は腫瘍、T細胞などの免疫細胞からの収集である。次いで、これらの免疫細胞は、培養中、エクスビボで刺激され、増殖される。次いで、細胞は、細胞がCARなどの新しい分子を発現することを可能にする1つ又は複数の核酸コンストラクトが形質導入され、エンジニアリングされた免疫細胞に、疾患、例えば癌と戦うための新しいメカニズムを提供する。場合によっては、CARは、HLA-Gなどの、腫瘍又は癌によって発現される抗原を特異的に認識する抗原結合ドメインを含む。ACT手順で利用される典型的な免疫細胞には、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)又はT細胞が含まれる。ACTで使用される免疫細胞は、患者/対象自身、又は万能ドナーに由来し得る。ACTはまた、対象に注入されて戻された組換え細胞と競合し得る対象自身のリンパ球のリンパ球枯渇の任意選択の工程を伴い得る。
本明細書で使用される「対象」、「宿主」、「個体」、又は「患者」という用語は、ヒト及び獣医学的対象を指し、特に動物、好ましくは哺乳動物、さらにより好ましくは成人及び子供を含むヒトを指す。しかしながら、「対象」という用語はまた、非ヒト動物、特に、中でもイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、及び非ヒト霊長類などの哺乳動物を包含する。
「処置」という用語は、疾患又は疾患の症状の治療、防止、予防、及び遅延などの患者の健康状態を改善することを目的としたあらゆる行為を指す。処置は、疾患の治癒的処置及び/又は予防的処置の両方を指す。治癒的処置は、治癒をもたらす処置、又は疾患若しくは疾患の症状若しくはそれが直接的又は間接的に引き起こす苦痛を軽減する、改善する、及び/又は排除する、軽減する、及び/又は安定化させる処置として定義される。予防的処置は、疾患の予防をもたらす処置、並びに疾患の進行及び/又は発生率又はその発生リスクを低減及び/又は遅延させる処置の両方を含む。特定の実施形態では、そのような用語は、疾患、障害、感染症、又は感染症に関連する症状の改善又は根絶を指す。他の実施形態では、この用語は、癌の広がり又は悪化を最小限に抑えることを指す。本発明による処置は、必ずしも100%又は完全な処置を意味するわけではない。むしろ、当業者が潜在的な利益又は治療効果を有すると認識する様々な程度の処置である。
本明細書で使用される「核酸コンストラクト」、「プラスミド」、及び「ベクター」という用語は同等であり、DNA又はRNAなどのパッセンジャー核酸配列を宿主細胞に移入するのに役立つ核酸分子を指す。ベクターは、複製起点、選択可能なマーカー、及び任意選択による配列又は遺伝子の挿入に適した部位を含み得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクター又は宿主ゲノムに組み込まれるベクターのいずれかであり得る。ベクターはまた、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位などの正しい翻訳開始配列、及び開始コドン、終止コドン、及び転写終止配列を含む発現要素を含み得る。核酸コンストラクトはまた、所与の遺伝子の転写レベルを指示するために、エンハンサー、サイレンサー、及び境界要素/インスレーターなどの他の調節領域を含み得る。作動可能に連結された遺伝子及び/又は核酸配列の発現を誘導することができるベクターはまた、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれることがある。核酸コンストラクト、細菌ウイルスゲノム、ファージミド、ウイルスゲノム、コスミド、及び人工染色体を含むいくつかの一般的なタイプのベクターが存在する。核酸コンストラクトは、遺伝子又は配列の安定的又は一過性の発現のためのベクターであり得る。核酸コンストラクトは、核酸コンストラクトの複製起点(ori)を含み得る。特に、核酸コンストラクトは、限定されるものではないが、プラスミド、ウイルス、コスミド、ファージ、BAC、YACを含め、異なる宿主間の遺伝子導入のために設計することができる。好ましくは、核酸コンストラクトはCARをコードする。
CAR発現細胞の機能を評価するための方法
本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞の機能を評価するためのインビトロ方法に関し、この方法は、(i)同じ細胞株から調製した標的抗原発現細胞及びCAR発現細胞を異なる標識で標識すること、(ii)標識した標的細胞と標識したCAR発現細胞を共培養すること、(iii)標的抗原発現細胞からのCAR発現細胞による膜獲得を評価するために細胞を分析することであって、膜獲得がCAR発現細胞の標的抗原への結合能力の指標であり、それによって、CAR発現細胞の機能を評価する、細胞を分析すること、並びに(iv)任意選択により、機能的CAR発現細胞及び/又は機能的CARコンストラクトを選択することを含む。これらの工程については、以下でより具体的に説明する。
細胞
本発明による細胞は、哺乳動物細胞などの真核細胞であり、典型的には、ヒト、ネコ、又はイヌの細胞、より典型的にはヒト細胞、好ましくは初代ヒト細胞である。さらにより好ましくは、細胞は免疫細胞である。細胞は、対象から、又は市販の培養物から得ることができる。細胞は、自己細胞、同系細胞、同種異系細胞、場合によっては異種細胞でさえあり得る。
一実施形態では、細胞は、CD4T細胞及びCD8T細胞を含むT細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、単球、顆粒球、例えば、骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、好塩基球、及び樹状細胞からなる群から選択することができ、好ましくは、細胞は、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞、単球、及び樹状細胞などの抗原提示細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、T細胞又は他の細胞型、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、及びそれらの亜集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化の可能性、増殖、再循環、局在化、及び/又は持続能力、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の器官又は区画における存在、マーカー又はサイトカイン分泌プロファイル、及び/又は分化の程度によって定義されるものの1つ又は複数のサブセットを含む。好ましくは、細胞は、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞、単球、及び抗原提示細胞から選択される免疫細胞である。
特定の実施形態では、免疫細胞は、T細胞、例えば、動物T細胞、哺乳動物T細胞、特にヒトT細胞である。T細胞及び/又はCD4+及び/又はCD8+T細胞のサブタイプ及び亜集団には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞、及びそれらのサブタイプ、例えば、幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、又は最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞毒性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、自然発生及び適応調節T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、α/βT細胞、及びδ/γT細胞がある。市販のT細胞株の非限定的な例には、系統BCL2(AAA)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2902(商標))、BCL2(S70A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2900(商標))、BCL2(S87A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2901(商標))、BCL2 Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2899(商標))、Neo Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2898(商標))、TALL-104細胞毒性ヒトT細胞株(ATCC#CRL-11386)が含まれる。さらなる例には、限定されるものではないが、成熟T細胞株、例えば、Deglis、EBT-8、HPB-MLp-W、HUT78、HUT102、Karpas384、Ki225、My-La、Se-Ax、SKW-3、SMZ-1、及びT34など;並びに未成熟T細胞株、例えば、ALL-SIL、Bel3、CCRF-CEM、CML-T1、DND-41、DU.528、EU-9、HD-Mar、HPB-ALL、H-SB2、HT-1、JK-T1、Jurkat、Karpas45、KE-37、KOPT-K1、K-Tl、L-KAW、Loucy、MAT、MOLT-1、MOLT3、MOLT-4、MOLT13、MOLT-16、MT-1、MT-ALL、P12/Ichikawa、Peer、PER0117、PER-255、PF-382、PFI-285、RPMI-8402、ST-4、SUP-T1~T14、TALL-1、TALL-101、TALL-103/2、TALL-104、TALL-105、TALL-106、TALL-107、TALL-197、TK-6、TLBR-1、-2、-3、及び-4、CCRF-HSB-2(CCL-120.1)、J.RT3-T3.5(ATCC TIB-153)、J45.01(ATCC CRL-1990)、J.CaM1.6(ATCC CRL-2063)、RS4;11(ATCC CRL-1873)、CCRF-CEM(ATCC CRM-CCL-119)など;並びに皮膚T細胞リンパ腫株、例えば、HuT78(ATCC CRM-TIB-161)、MJ[G11](ATCC CRL-8294)、HuT102(ATCC TIB-162)が含まれる。
例えば、本発明に使用できる適切な免疫細胞には、自己Tリンパ球細胞、同種T細胞、異種T細胞、これらのいずれかの前駆細胞、形質転換腫瘍又は異種免疫エフェクター細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、細胞毒性リンパ球、又は活性化されたときに標的細胞を殺すことができる他の細胞が含まれる。
他のいくつかの実施形態では、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、サイトカイン誘導キラー(CIK)細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞などである。NK細胞は、単離されるか、又は市販の供給源から得ることができる。市販のNK細胞株の非限定的な例には、系統NK-92(ATCC(登録商標)CRL-2407(商標))、NK-92MI(ATCC(登録商標)CRL-2408(商標))が含まれる。さらなる例には、限定されるものではないが、NK系統HANK1、KHYG-1、NKL、NK-YS、NOI-90、及びYTが含まれる。
そのような市販の細胞株の非限定的で例示的な供給源には、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション又はATCC(http://www.atcc.org/)及びドイツ微生物細胞培養物コレクション(https://www.dsmz.de/)も含まれる。
特に、本発明による方法で使用される細胞は、以下の通りである:
-目的の抗原を表面で発現する標的抗原発現細胞、
-CAR、好ましくは目的の抗原に特異的に結合するように生成されたCARを発現するCAR発現細胞、
-目的の抗原又はこの抗原に結合するために生成されたCARのいずれか又は両方を発現しない任意選択による制御細胞。
特に、標的抗原発現細胞及びCAR発現細胞は同じ細胞株から調製される。
一実施形態では、この方法は、標的抗原を発現しない対照細胞をさらに含む。特に、対照細胞は、CAR発現細胞によって認識される目的の抗原を発現しないか、又はCAR発現細胞によって認識されない抗原を発現する細胞である。この対照細胞は陰性対照である。
別の実施形態では、この方法は、標的抗原を認識しない対照CAR細胞をさらに含む。特に、対照CAR細胞は、標的抗原を認識しないCARを発現する細胞である。この対照CAR細胞は陰性対照である。
特に、対照細胞及び/又は対照CAR細胞は、CAR発現細胞及び標的抗原発現細胞と同じ細胞株から調製される。
一実施形態では、標的抗原発現細胞によって発現される抗原はHLA-Gである。「HLA-G」は、少なくとも7つのアイソフォームを含むヒト白血球抗原Gを表す。好ましくは、標的抗原発現細胞によって発現される抗原は、HLA-G1、HLA-G2、HLA-G3、HLA-G4、HLA-G5、HLA-G6、及びHLA-G7から選択されるHLA-Gアイソフォームである。
HLA-Gの一次転写産物は、選択的スプライシングされ、7つのアイソフォームが発現することになり、そのうちの4つは、膜結合型(HLA-G1、HLA-G2、HLA-G3、及びHLA-G4)であり、3つは、可溶性(HLA-G5、HLA-G6、及びHLA-G7)である。HLA-G1及びHLA-G5は、最も豊富なアイソフォームであり、古典的なHLAクラスI分子の典型的な構造;β2-ミクログロブリン(β2M)及びペプチドに非共有結合した3つの球状ドメインで構成される重鎖を示し、他のアイソフォームは、より短く、重鎖の1つ又は2つのドメインを欠き、β2Mに結合しないはずである。HLA-G1アイソフォームは、β2-ミクログロブリンに会合したαl、α2、及びα3ドメインを有する完全なアイソフォームである。HLA-G2アイソフォームが、α2ドメインを有していないのに対して、HLA-G3は、α2及びα3ドメインを有しておらず、HLA-G4はα3ドメインを有していない。アイソフォームHLA-G2、HLA-G3、及びHLA-G4はいずれもβ2Mに結合しない。可溶性HLA-G5及びHLA-G6アイソフォームはそれぞれ、HLA-G1と同じ余分な球状ドメイン及びHLA-G2と同じ余分な球状ドメインを含む。HLA-G7アイソフォームは、イントロン2によってコードされる2つのアミノ酸に連結されたαlドメインのみを有する。HLA-G5アイソフォームはβ2Mに結合するが、アイソフォームHLA-G6及びHLA-G7はβ2Mに結合しない。
特定の実施形態では、標的抗原発現細胞によって発現される目的の抗原は、β2Mを含まないHLA-Gアイソフォームである。
一実施形態では、CAR発現細胞によって発現されるCARは、いくつかのHLA-Gアイソフォーム、好ましくは2~5、より好ましくはHLA-G1、HLA-G2、HLA-G5、及びHLA-G6から選択されるHLA-Gアイソフォームに特異的に結合するCARである。好ましくは、CAR発現細胞によって発現されるCARは、HLA-G1及びHLA-G5の両方、又はHLA-G2及びHLA-G6の両方に特異的に結合するCARである。或いは、CAR発現細胞によって発現されるCARは、HLA-G2及びHLA-G6の両方に特異的に結合するCARである。任意選択により、CAR発現細胞によって発現されるCARは、β2Mを含まないHLA-G又はβ2M会合HLA-Gのいずれかに特異的に結合するCARである。
細胞標識
本発明の方法によると、標的抗原発現細胞及びCAR発現細胞は、異なる標識で標識される。この方法では1つの標識しか使用できないにもかかわらず、標的抗原発現細胞とCAR発現細胞に異なる標識を使用することで、この方法の効率が向上する。
次いで、好ましくは、標的抗原発現細胞及び/又は対照細胞は、CAR発現及び/又は対照CAR細胞を標識するために使用されるマーカーと区別できるマーカーで標識される。
本発明によると、マーカーの量は、細胞を標識してそれを検出可能及び/又は追跡可能にするのに十分な量である。そのような量は、当業者に公知であり、適切な検出システムの選択、並びに十分に当業者の技術の範囲内である適切な量のマーカーの選択によって決まる。
好ましくは、標識は、非毒性及び/又は非変異原性であり、生細胞で検出することができる。しかしながら、本発明の利点は、標識がインビトロで行われるため、変異原性及び/又はわずかに毒性のマーカーも使用できることである。本発明に従って使用することができる標識には、放射性標識及び非放射性標識が含まれる。非放射性標識には、例えば、蛍光、発光、及びリン光標識又は色素、好ましくは蛍光標識又は色素などの光学的に検出可能な標識が含まれる。標識には、直接検出可能な標識及び間接的に検出可能な標識が含まれる。一実施形態では、標識は、蛍光標識、好ましくはフローサイトメトリー分析に適した標識である。
特に、本発明の標識は、脂質マーカー又は色素などの細胞膜に組み込むことができる膜マーカーである。細胞膜に組み込まれるように選択される好ましい蛍光分子は、MINI26、PKH26-PCL、PKH67、MINI67、PKH67-PCL、PKH26、PKH26-PCL、Vybrant CM-DiI、DiI、及びDiOである。一実施形態では、細胞を標識するために使用されるマーカーは、PKH67及びPKH26からなる群から選択される。
対照細胞が使用される場合、標的抗原を発現しない対照細胞は、標的抗原発現細胞と同じ標識又は異なる標識で標識することができる。同様に、対照CAR細胞が使用される場合、標的抗原を認識しない対照CAR細胞は、CAR発現細胞と同じマーカー又は異なる標識で標識することができる。
一実施形態では、抗原発現細胞及び/又は対照細胞は、PKH67で標識され、CAR発現細胞及び/又は対照CAR細胞は、PKH26で標識される、又はその逆もある。
細胞の標識により、CAR発現細胞の機能を調べ、任意選択により機能的なCAR発現細胞を(例えば、蛍光活性化セルソーティング、FACSによって)単離することができる。
当業者に公知の任意の方法を使用して細胞を標識することができ、特に当技術分野で公知の任意の方法を使用して細胞膜を標識することができる。
特に、標的抗原発現細胞及びCAR発現細胞及び/又は対照細胞の異なる標識での標識は:
(a)細胞又は細胞培養物、特に標的抗原発現細胞培養物及び/又はCAR発現細胞培養物及び/又は対照細胞及び/又は対照CAR細胞を提供すること、
(b)培養物又は細胞を、標識、特に、好ましくはMINI26、PKH26-PCL、PKH67、MINI67、PKH67-PCL、PKH26、及びPKH26-PCLから選択される膜マーカーと接触させること、
(c)任意選択により、過剰な標識を除去するために培養物を洗浄すること、
(d)任意選択により、工程(b)と(c)を繰り返すこと、
(e)任意選択により、細胞又は培養物を、好ましくは少なくとも1日、少なくとも2日、より好ましくは少なくとも4日、さらにより好ましくは少なくとも1週間又は少なくとも2週間さらに培養すること、
(g)任意選択により、標識された細胞を選択及び/又は収集することを含む。
従って、いくつかの実施形態では、細胞集団は、共培養の前に培養組成物中で培養することができる。
共培養
標識後、標的抗原発現細胞、CAR発現細胞、及び任意選択による対照細胞を共培養する。
一実施形態では、CAR発現細胞は、抗原発現細胞及び/又は対照細胞と共培養される。共培養が、CAR発現細胞と抗原発現細胞、又はCAR発現細胞と対照細胞のいずれかを別々に含む場合、対照細胞と抗原発現細胞を同じマーカーで標識することができる。共培養がCAR発現細胞と抗原発現細胞及び対照細胞を含む場合、これらの3つの集団のそれぞれは異なるマーカーで標識される。
別の実施形態では、抗原発現細胞は、CAR発現細胞及び/又は対照CAR細胞と共培養される。共培養が、抗原発現細胞とCAR発現細胞、又は抗原発現細胞と対照CAR細胞のいずれかを別々に含む場合、対照CAR細胞とCAR発現細胞を同じマーカーで標識することができる。共培養が、抗原発現細胞とCAR発現細胞及び対照CAR細胞を含む場合、これらの3つの集団のそれぞれは異なるマーカーで標識される。
共培養がCAR発現細胞、対照CAR細胞、抗原発現細胞、及び対照細胞を含む場合、これらの4つの集団のそれぞれは異なるマーカーで標識される。
細胞は、本発明の細胞によって必要とされる特定の条件に応じて、当業者に公知の任意の方法によって培養することができる。この条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、薬剤、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、及び/又はイオンのうちの1つ又は複数を含み得る。
いくつかの実施形態では、培養条件は、ヒト免疫細胞(例えば、T細胞)の増殖に適した温度、例えば、少なくとも約25℃、一般的には少なくとも約30℃、及び一般的には37℃又は約37℃を含む。
培養は、ユニット、チャンバー、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、又は培養物若しくは細胞を培養するための他の容器などの培養容器内で行うことができる。
好ましくは、共培養は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、又は少なくとも5時間、好ましくは1~5時間、さらにより好ましくは1~3時間行われる。
一実施形態では、共培養は、1:0.5~1:10の標的抗原発現細胞とCAR発現細胞の比率、好ましくは1:1~1:10の標的抗原発現細胞とCAR発現細胞の比率で行われる。好ましくは、培養前の細胞濃度は、少なくとも10細胞/mL、少なくとも10細胞/mL、又は少なくとも10細胞/mL、好ましくは少なくとも10細胞/mL、さらにより好ましくは2×10細胞/mLである。
本発明の文脈において、細胞の共培養は、細胞、特に、対照細胞及び/又は対照CAR細胞の有無にかかわらず、CAR細胞及び抗原発現細胞などの細胞の2つ以上の細胞集団の接触をもたらす。
特定の態様では、この方法は、標的抗原発現細胞をCAR発現細胞と共培養する前に、この標的抗原発現細胞を抗体、好ましくは、CARが由来する抗体と同じ又は重複するエピトープを認識する抗体と共に培養する工程をさらに含む。好ましくは、抗体は、CARが由来するモノクローナル抗体のCDRの少なくとも1つ、好ましくは、CARが由来するモノクローナル抗体の2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含むモノクローナル抗体である。この特定の態様は、CAR特異性、即ち、CAT活性化が、CAR発現細胞のCARによる標的抗原細胞の抗原の結合を介して行われるかどうかを試験することを可能にする。実際、抗体の存在下でCAR活性化(及びその後の膜転移)が阻害又は減少する場合、効果が、抗原に対するCAR効果に特異的であること、及びCAR発現細胞が標的抗原に特異的であると結論付けることができる。陰性対照は、同じ試験であるが、抗原に結合できない抗体を用いる試験を行うことによって加えることができる。
膜獲得の分析及び細胞選別
トロゴサイトーシスは、APC又は腫瘍細胞のいずれかからエフェクター免疫細胞(例えば、CAR発現細胞)への原形質膜及びアンカータンパク質の転移を伴う。トロゴサイトーシスは、細胞間の接触に依存している。実際、トロゴサイトーシスは、エフェクター細胞の抗原特異的活性化を広く反映する能動的プロセスである。この結合(conjugation)中、膜転移は、獲得側細胞の活性化状態に依存し;トロゴサイトーシスは、特異的に認識する抗原を含む細胞の存在下でのCAR発現細胞の活性化を必要とする。従って、トロゴサイトーシスの程度は、T細胞及びB細胞での抗原受容体シグナル伝達によって、NK細胞におけるキラー阻害及びキラー活性化受容体によって引き起こされる、B細胞、αβT細胞、γδT細胞、及びNKエフェクター細胞などの機能的免疫細胞の活性化に関連している。しかしながら、膜転移は、トロゴサイトーシスを行うT細胞がその表面に細胞毒性機能のマーカー:CD107aも露出させるため、活性化状態だけでなく機能にも関係している。従って、トロゴサイトーシスに基づく方法は、特にCAR発現細胞に適用される場合に、膜転移を独自の高速な方法にして、エフェクター細胞の特異性と機能を調べることができる。
本発明による方法は、標的抗原発現細胞からのCAR発現細胞による膜獲得を評価するために細胞を分析する工程を含み、膜獲得は、標的抗原に対するCAR発現細胞の結合能力及び/又は活性化能力の指標であり、それによってCAR発現細胞の機能を評価する。
この膜転移は、細胞標識に使用された標識に従って、当業者に公知の任意の方法によって細胞が以前に標識された異なるマーカーによりモニタリングすることができる。
特に、標識が蛍光標識である場合、膜転移は、蛍光顕微鏡法(優れた解像度と正確な定量測定を提供することに加えてデジタル画像を使用できる)又は蛍光活性化セルソーティング(FACS)によって分析することができる。
フローサイトメトリーに基づくFACSシステムは、当技術分野で周知であり、標的抗原発現細胞から膜を獲得したCAR発現細胞などの所望の細胞集団をサンプルから分離及び単離することができる。実際、そのような膜転移が起こるときに、CAR発現細胞は、CAR発現細胞及び抗原発現細胞を標識した2つの標識を含む。
フローサイトメトリーは、流体の流れを利用して粒子を線形に分離し、粒子が単一ファイルを検出装置に通過させることができるようにする。個々の細胞は、流体の流れの中のそれらの位置及び検出可能なマーカーの存在に従って区別することができる。従って、フローサイトメトリーを使用して、細胞集団の診断プロファイルを作成することができ、異なるカテゴリーの細胞、例えば、抗原発現細胞(例えば、標識1によって)、標的細胞膜を獲得しなかったCAR発現細胞(例えば、標識2によって)、標的細胞膜を獲得した機能的CAR発現細胞(例えば、標識1及び標識2の両方によって)、任意選択による対照細胞(例えば、標識1、2、又は3によって)、及びどの標識も発現しない細胞の区別が可能になる。
一実施形態では、フローサイトメーターでの細胞の検出は、フローサイトメーターの調査点(interrogation point)で1つ又は複数のレーザーで蛍光色素を励起し、続いて1つ又は複数の光学検出器を使用して色素からの蛍光発光を検出することを含み得る。粒子を検出することに加えて、選別又は分離された粒子(例えば、細胞)の数を決定することが望ましい場合がある。従って、いくつかの実施形態では、方法は、標識された粒子(例えば、抗原発現細胞から膜を獲得したCAR発現細胞)をカウント及び/又は選別することをさらに含む。粒子の検出、カウント、及び/又は選別では、粒子を含む液体培地が、最初にフローサイトメーターの流路に導入される。流路内にある場合、粒子は、1つ又は複数の検出領域(例えば、調査点)を実質的に一度に1つずつ通過し、各細胞は、単一波長の光源に個々に曝露され、光散乱パラメーター及び/又は蛍光発光の測定値(例えば、2つ以上の光散乱パラメーター及び1つ又は複数の蛍光発光の測定値)が、必要に応じて粒子ごとに個別に記録される。各粒子の記録されたデータは、必要に応じて、リアルタイムで分析されるか、又はコンピュータなどのデータ記憶装置及び分析手段に保存される。米国特許第4,284,412号に、単一の光源を備えた対象となるフローサイトメーターの構成及び使用が記載され、米国特許第4,727,020号には、2つの光源を備えたフローサイトメーターの構成及び使用が記載されている。3つ以上の光源を有するフローサイトメーターも使用することができる。例えば、488nmの光は、単一の検出領域を有するフローサイトメーターにおける発光の波長として使用することができる。2つの異なる波長で光を放出するフローサイトメーターでは、追加の波長の放出光を使用することができ、対象となる特定の波長は、限定されるものではないが:535nm及び635nmなどを含む。従って、細胞のフローサイトメトリーによるアッセイでは、必要に応じて、細胞を励起光に曝露し、1つ又は複数の検出チャネルで各粒子の蛍光を測定することによって、細胞を検出し、一意に識別することができる。励起光は、1つ又は複数の光源からのものであり得、狭帯域又は広帯域のいずれかであり得る。
検出領域と直列に、検出器、例えば、光増倍管(又は「PMT」)などの集光器が使用されて、各粒子を通過する光(場合によっては、前方光散乱と呼ばれる)、検出領域を通る細胞の流れの方向に直交して反射される光(場合によっては、直交光散乱(orthogonal light scatter)又は側方光散乱と呼ばれる)、及び蛍光マーカーで標識されている場合は、粒子が検知領域を通過してエネルギー源によって照明されて細胞から放出される蛍光が記録される。前方光散乱(又はFSC)、直交光散乱(SSC)、及び蛍光発光(FL1、FL2など)のそれぞれには、各粒子(又は各「事象」)の個別のパラメーターが含まれる。
本発明の目的に使用できる対象となるフローサイトメーターには、BD Biosciences FACSCanto(商標)フローサイトメーター、BD Biosciences FACSVantage(商標)、BD Biosciences FACSort(商標)、BD Biosciences FACSCount(商標)、BD Biosciences FACScan(商標)、BD Accuri C6 Plus(商標)、又はMiltenyi MacsQuant(商標)などが含まれ得る。
一実施形態では、膜転移は、PKH67及びPKH26標識の使用に従ってフローサイトメトリー分析によってモニタリングされる。
抗原発現細胞がPKH67で標識され、CAR発現細胞がPKH26で標識される、又はその逆である実施形態では、膜転移分析はFACSによって行われる。この実施形態では、細胞が少なくとも3つのカテゴリー:(i)PKH67のみを発現する細胞、(ii)PKH26のみを発現する細胞、(iii)PKH67及びPKH26の両方を発現する細胞、並びに(iv)最終的にPKH26もPKH67も発現しない細胞に分類できるように膜転移が起こることが期待される。従って、PKH26及びPKH67標識の両方を発現する細胞のパーセンテージを決定して、抗原発現細胞から細胞膜を効果的に獲得するCAR発現細胞のパーセンテージをモニタリングすることができ、それによって、抗原-CAR相互作用及びCAR発現細胞の機能をモニタリングする。
方法が対照細胞又は対照CAR細胞をさらに含む実施形態では、対照細胞又は対照CAR細胞を、標識PKH67、PKH26、DiI、Vybrant CM-DiI、DiO、又は他の親油性色素、又は市販の親油性色素を介したフローサイトメトリーによって分類することができる。
特に、対照細胞がPKH67で標識され、CAR発現細胞がPKH26で標識される、又はその逆である対照細胞を含む実施形態では、膜転移分析はFACSによって行われる。この実施形態では、細胞が少なくとも2つのカテゴリー:(i)PKH67のみを発現する細胞、(ii)PKH26のみを発現する細胞、(iii)最終的にPKH26もPKH67も発現しない細胞に分類できるように膜転移が起こらないことが期待される。
対照CAR細胞がPKH67で標識され、抗原発現細胞がPKH26で標識される、又はその逆である対照CAR細胞を含む実施形態では、膜転移分析はFACSによって行われる。この実施形態では、細胞が少なくとも2つのカテゴリー:(i)PKH67のみを発現する細胞、(ii)PKH26のみを発現する細胞、(iii)最終的にPKH26もPKH67も発現しない細胞、に分類できるように膜転移が起こらないことが期待される。
特定の実施形態では、この方法は、機能的CAR発現細胞及び/又は機能的CARコンストラクトの選択をさらに含む。実際、この方法により、目的の抗原に対して機能的であることが試験された特定のCARコンストラクトを発現する細胞の選択が可能になる。この方法は、例えば膜転移が起こるパーセンテージのデータ分析によって、目的の抗原に対して最も適切なCAR発現細胞及び/又はCARコンストラクトの選択を可能にする。従って、この方法は、CAR発現細胞の機能に影響を与えることが知られている最も適切なCAR成分(例えば、膜貫通ドメイン、ヒンジ、細胞内ドメイン)の選択も可能にする。機能的CAR発現細胞及び/又は機能的CARコンストラクトのこの特定の選択は、CARベースの治療を改善するために非常に興味深い。
養子細胞療法用の機能的CAR発現細胞を調製するための方法
遺伝子を細胞に導入して細胞内で遺伝子を発現させる方法は当技術分野で公知である。
特に、ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を作製するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、Sambrook et al. (2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)を参照されたい。発現ベクターの文脈では、ベクターは、宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母、又は昆虫細胞に当技術分野の任意の方法によって容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、以下でより具体的に説明される物理的、化学的、又は生物学的手段によって宿主細胞に導入することができる。
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載されるように、対象から細胞を単離すること、それらを調製すること、処理すること、培養すること、及び/又はエンジニアリングすること、及び凍結保存の前又は後にそれらを同じ患者に再導入することを含む。
本明細書では特に、CAR発現細胞を作製する方法が提供され、この方法は:(i)CARをコードする核酸配列を、単離された細胞の集団に形質導入する工程、(ii)工程(i)の前記核酸配列の形質導入に成功した前記単離された細胞の亜集団を選択し、それによってCAR発現細胞を作製する工程を含むか、或いは本質的にそれからなるか、又はなおさらにそれからなる。一態様では、単離された細胞は、T細胞及びNK細胞からなる群から選択される。
本明細書では、CAR発現細胞を作製する方法がさらにより具体的に提供され、この方法は:
(i)CARをコードする核酸配列を免疫細胞の集団に形質導入する工程であって、好ましくは、免疫細胞の集団が、処置される対象からの生物学的サンプルから単離されたものである、工程、
(ii)CARを発現する前記単離された細胞の亜集団を選択する工程、及び、
(iii)前記請求項のいずれかに記載の方法によってそれらの機能を評価する工程であって、好ましくは、CARが生成された抗原を発現する標的抗原発現細胞についてである、工程、
(iv)任意選択による、抗原発現細胞からの膜獲得を経験したCAR発現細胞から機能的CAR発現細胞及び/又はCAR核酸コンストラクトを選択する工程を含むか、或いは本質的にそれからなるか、又はなおさらにそれからなる。
特定の実施形態では、この方法は:
(i)免疫細胞集団を、好ましくは処置される対象からの生物学的サンプル(例えば、血球)から提供すること、
(ii)CARをコードする核酸配列を免疫細胞の集団に形質導入する前に、特定の免疫細胞集団(例えば、T細胞、Bリンパ球、単球、及び抗原提示細胞、及び/又はNK細胞)を単離することをさらに含む。
別の実施形態では、この方法は、抗原発現細胞からの膜獲得を経験したCAR発現細胞からCAR発現細胞及び/又はCARコンストラクトを選択することをさらに含む。続いて、抗原発現細胞からの膜獲得を経験したCAR発現細胞に対応する形質導入された免疫細胞コンストラクトをさらに再導入するか、又は対象に投与することができる。この方法は、そのようなエンジニアリングされた細胞のそれを必要とする対象へのあらゆる導入の前にその機能を評価することによって、目的の抗原を標的とするのに最も適切なCAR発現細胞の選択を可能にする。
投与を容易にするために、本発明による形質導入細胞は、対象への投与に適していることが当技術分野で公知である任意の方法によって薬学的に許容される担体又は希釈剤を用いて医薬組成物にするか、又はインビボでの投与に適したインプラントにすることができる。
本発明による方法から選択されたCARコンストラクトを発現する細胞が対象に投与されると、いくつかの態様におけるエンジニアリングされた細胞集団及び/又は抗体の生物学的活性が、いくつかの既知の方法のいずれかによって測定される。特定の実施形態では、標的細胞を破壊するエンジニアリングされた細胞の能力は、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009), and Herman et al. J. Immunological Methods , 285(1): 25-40 (2004)に記載されている細胞毒性アッセイなどの当技術分野で公知の任意の適切な方法を用いて測定することができる。特定の実施形態では、細胞の生物学的活性はまた、GM-CSF、IL-3、MIP-1a、TNF-α、IL-10、IL-13、IFN-γ、又はIL-2などの特定のサイトカインの発現及び/又は分泌をアッセイすることによって測定することができる。
いくつかの態様では、生物学的活性は、無増悪生存率、又は全生存率、腫瘍の量又は負荷の減少、腫瘍の安定化などの臨床転帰を評価することによって測定される。
実施例-結果
CAR/HLA-G1相互作用による膜獲得
免疫細胞は、APC又は腫瘍細胞抗原-提示細胞などの標的細胞から細胞表面膜パッチを獲得することが以前に実証された(Caumartin et al., EMBO J, 2007. 26(5): p. 1423-33)。エフェクター細胞による標的細胞からの膜獲得は、(i)細胞間接触を必要とし、(ii)迅速であり、且つ(iii)獲得側細胞の活性化状態に依存する能動的プロセスであり、獲得側細胞の活性化状態は、(iv)エフェクター細胞の抗原特異的活性化を反映する。従って、膜転移は、機能的に成熟した免疫細胞の活性化に関連している。
CARの結合後に、エフェクター細胞を活性化して、標的細胞から膜パッチを獲得できるかどうかを調べた。この目的のために、HLA-G/CAR相互作用ではないその他のバイスタンダーのタンパク質間相互作用を回避するために、エフェクター細胞及び標的細胞としてJurkat T細胞株を使用して実験を設定した。これは、細胞間の接触がCAR-抗原相互作用によってのみ媒介/駆動されることを意味する。
図1に示されているように、Jurkat標的細胞の膜を、PKH67蛍光色素を使用して緑色で標識し、JurkatエフェクターCAR細胞膜を、PKH26蛍光色素を使用して赤色で標識した。膜転移がCAR-HLA-G相互作用に関連しているかどうかを判断するために、まずHLA-G発現標的細胞とCARエフェクター細胞との間の膜転移の程度を比較した。この目的のために、2つの異なるHLA-G CARコンストラクトを、HLA-G1アイソフォームへの結合に応じて作製し:LFTT-1抗体パラトープに基づくHLA-G CARは、β2Mに会合したHLA-G1アイソフォームに特異的であるが、15E7抗体パラトープに基づく「対照HLA-G CAR」は、β2Mに会合していないHLA-G1アイソフォームにのみ特異的である。Jurkat HLA-G1細胞株は、15E7ではなくLFTT-1抗体によってのみ認識されるβ2Mアイソフォームに会合したHLA-G1のみを発現した。図2Aに示されているように、標的細胞でのHLA-G発現の非存在下では、エフェクターCAR細胞による標的細胞からの膜獲得は期待されない。しかしながら、図2Bでは、HLA-G発現標的細胞の存在下で、特定のHLA-G-LFTT-1 CARを発現するJurkat細胞は、HLA-G1/β2M会合標的細胞から膜パッチを獲得する必要があるが、対照HLA-G-15E7 CARを発現するJurkat細胞は獲得する必要がない。
標的細胞及びエフェクター細胞を1時間及び3時間共培養し、フローサイトメトリーで膜転移を分析した。図3A及び図3Bに示されているように、共培養の前は、CARエフェクター細胞は、HLA-Gを発現しているかどうかにかかわらず腫瘍標的細胞から膜を獲得しなかった。1時間の共培養後、HLA-G1/β2Mタンパク質に特異的でないCARエフェクター細胞は、HLA-G1形質導入細胞からもHLA-G1陰性腫瘍細胞からも膜パッチを獲得しなかった。しかしながら、HLA-G1/β2M特異的CAR細胞の15.9%は、HLA-G1腫瘍細胞から既に膜パッチを獲得しているが、HLA-G1陰性の対応物からは獲得していない。
要するに、HLA-G1/β2M発現腫瘍細胞とHLA-G1/β2M抗原に特異的なCARエフェクター細胞との間での膜転移が実証された。
膜獲得は迅速なプロセスである
HLA-G1/β2M腫瘍細胞とHLA-G CARエフェクター細胞との間の膜転移は、LFTT-1 CARエフェクター細胞のほぼ22%がトロゴサイトーシスを行うことができる3時間の共培養後に確認された。それでも、15E7 CAR細胞は、3時間の共培養後でも、HLA-G1/β2M標的細胞から膜を獲得できなかった。図4に示されているように、膜転移は1時間の共培養後にHLA-G-LFTT-1 CARエフェクター細胞の+/-32%に関係し、3時間の共培養後にトロゴサイトーシスの可能なエフェクター細胞の割合が+/-40%までわずかに増加したため、膜獲得の速度は迅速である。
これらの結果は、HLA-G-LFTT-1 CARエフェクター細胞がHLA-G1/β2M陽性腫瘍細胞からのみ膜断片を獲得したのに対して、HLA-G-15E7 CARエフェクター細胞はHLA-G1/β2M陽性腫瘍細胞から膜パッチを獲得しなかったため、膜転移は迅速であり、抗原/CAR特異的相互作用にのみ関連することを示した。
膜獲得はCARの特異性に依存する
次いで、トロゴサイトーシスとCARの特異性との間の関係を評価した。評価するために、図5に図式化されているように、トロゴサイトーシス実験の前に、HLA-G1形質導入腫瘍細胞を、HLA-G-LFTT-1 CARコンストラクトを作製するためにそのパラトープを使用したLFTT-1抗体、又はそのアイソタイプ対照抗体のいずれかと培養した。次いで、HLA-G1 CARエフェクター細胞をこれらの腫瘍細胞と1時間培養し、膜獲得をフローサイトメトリーで調べた(図6A)。アイソタイプ対照抗体との前培養は、HLA-G1 CARエフェクター細胞がトロゴサイトーシスを行うのを阻害しなかった(図6B)。それでも、LFTT-1の前培養は、トロゴサイトーシスプロセスをほぼ完全に無効にした。
トロゴサイトーシスは、抗原とCARの相互作用によって媒介される標的細胞とエフェクター細胞との間の細胞間接触に依存している。この目的のために、LFTT-1抗体との前培養が、HLA-G1腫瘍細胞とHLA-G-LFTT-1 CAR細胞との間での複合体形成を阻害できるかどうかを調べた(図7A)。LFTT-1抗体との前培養が標的細胞とCARエフェクター細胞との間の相互作用をブロックしたため、トロゴサイトーシスが阻害されたと判断した。実際、HLA-G1 CARエフェクター細胞は、HLA-G1腫瘍細胞との細胞間接触を確立することができなくなり、膜を獲得することができなくなった(図7B)。
要するに、トロゴサイトーシスは、膜転移が、(i)特異的であり、(ii)CAR/抗原相互作用によって媒介され、細胞間接触に依存し、且つ(iv)迅速であるため、CAR特性を決定するための強力な方法である。HLA-G-15E7 CARエフェクター細胞ではなく、HLA-G-LFTT-1のみによるHLA-G1/β2M発現標的細胞からのトロゴサイトーシスは、トロゴサイトーシスがCAR特異性の決定に特に関連することを実証した。
膜転移はCAR相互作用細胞に特異的である
CAR刺激に続いて、CAR活性化エフェクター細胞が抗原特異的発現腫瘍細胞とのみ相互作用するかどうか、又はそれらがバイスタンダー効果を有し得るかどうかをさらに調べた。そのために、赤色で標識されたHLA-G1陰性腫瘍細胞と緑色で標識されたHLA-G1陽性腫瘍細胞及び青色で標識されたHLA-G-LFTT-1 CARエフェクター細胞(図8)を1時間共培養した。次いで、CARエフェクター細胞による膜獲得をフローサイトメトリーによって分析した。図9に示されているように、共培養後、HLA-G-LFTT-1 CARエフェクター細胞は緑色の膜パッチのみを獲得し、活性化されたHLA-G-LFTT-1 CARエフェクター細胞はHLA-G1発現腫瘍細胞とのみ相互作用し、バイスタンダー細胞とは相互作用しないことを実証している。
観察された膜転移は、標的細胞を同定するために使用された色素による影響を受けなかった。図10、図11A、及び図11Bに示されているように、HLA-G-LFTT-1 CARエフェクター細胞は、HLA-G1発現腫瘍細胞から同程度に赤色又は緑色の膜色素を獲得し、トロゴサイトーシスが使用した膜色素に依存しなかったことを示している。
材料及び方法
細胞株
Jurkat細胞株は、ATCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションTIB-152)から購入したヒトCD4+T細胞である。Jurkat細胞株に、HLA-G1、HLA-G-LFTT-1、又はHLA-G-15E7 CARレンチウイルスそれぞれを形質導入した。Jurkat wt及びJurkat形質導入細胞株を、2mM L-グルタミン、1mg/mlのペニシリン及びストレプトマイシン(X)、並びに10%熱不活化FCS(Invitrogen)を添加したRPMI1640(Invitrogen)で培養した。
Jeg-3細胞株は、ATCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションHTB-36)から購入したヒト絨毛癌細胞である。これらを、1mg/mlのペニシリン及びストレプトマイシン(X)、並びに10%熱不活化FCS(Invitrogen)を添加したMEM(X)で培養した。
CAR-HLA-G Jurkat細胞
HLA-G-LFTT-1及びHLA-G-15E7 CARコンストラクトを、既に説明したように作製した[7]。簡単に説明すると、抗HLA-G認識ドメインは、HLA-G1/β2M会合特異的抗体LFTT1(引用特許CAR HLA-G)又はHLA-G1/β2Mを含まない特異的抗体15E7(引用特許)に由来する一本鎖可変断片(scFv)である。IgG1ヒンジ領域に由来する短いスペーサーを使用して、このscFvを膜貫通ドメインに連結させた。HLA-G CAR内部ドメインは、CD28、OX40、及びCD3z活性化分子の融合によって構成されていた。CARコンストラクトを、CMV前初期プロモーター下で、特定のプライマーを用いたPCRによる抽出後、消化/ライゲーションによってpTripプラスミドベクターにクローン化した。
HLA-G Jurkat細胞
HLA-Gを発現する安定したJurkat細胞株を、形質導入によって作製し、レンチウイルス粒子を次のように作製した:Longmei Zhao et al.[38]に従ってネイティブHLA-G1 cDNA(NM_002127.5)修飾K334A及びK335Aに対応する特定の配列を、CMV前初期プロモーター下で、特定のプライマーを用いたPCRによる抽出後、消化/ライゲーションによってpTripプラスミドベクターに個別にクローン化した。
レンチウイルスベクター
HIV-1由来のベクター粒子を、HEK-293T細胞(ATCC)と組換えプラスミドpTRIP、VSV由来の糖タンパク質をコードするエンベロープ発現プラスミド、Indiana血清型糖タンパク質、及びp8.74キャプシド形成プラスミドのリン酸カルシウム共トランスフェクションによって作製した。ウイルスストックを、形質導入HEK-293T細胞からの細胞溶解物のリアルタイムPCRによって漸増し、1ml当たりの形質導入単位(TU)として表した。
Jurkat HLA-G-LFTT-1、HLA-G-15E7 CAR細胞、及びJurkat HLA-Gを作製するために、1×10のJurkat細胞を、500μlのcRPMI培地及び10TU(293T)のTrip CMV-CAR-HLA-G-LFTT-1、Trip CMV-CAR-HLA-G-15E7、又はTrip CMV-HLA-Gベクターそれぞれを含む12ウェルプレートに播種した。細胞を37℃で1時間培養し、次いで、37℃、1200gで1時間遠心分離した。その後、1mlのcRPMI培地を添加し、37℃で培養した。2週間後、陽性細胞を抗HLA-G抗体を使用したフローサイトメトリーで選別した。HLA-Gの発現を、Jurkat HLA-G CAR活性化アッセイの前にフローサイトメトリーによって評価した。
トロゴサイトーシス実験
Jurkat HLA-G CARエフェクター細胞及びJurkat又はJurkat HLA-G1腫瘍細胞のいずれかをそれぞれ、製造元の仕様書に従って、PKH26及びPKH67蛍光色素(Sigma)で標識した。
トロゴサイトーシスアッセイでは、Jurkat HLA-G-LFTT-1又はHLA-G-15E7 CAR(「獲得側」細胞)をJurkat又はJurkat HLA-G1細胞(「ドナー」細胞)のいずれかと、1時間、1:1のエフェクター-腫瘍比、総濃度2×10細胞/mL、37℃、5%CO加湿インキュベーター(Lemaoult et al. 2007 Blood J; Caumartin et al. 2007 EMBO J)で共培養した。共培養の最後に、細胞を氷上に置き、すべてのさらなる工程を4℃未満で行った。CARエフェクター細胞による腫瘍細胞膜の獲得をフローサイトメトリーによって調べた。言及されている場合、結合細胞は、FACS獲得の前にボルテックスによって解離された。
フローサイトメトリー分析
Divaソフトウェア(BD Bioscience)を搭載したBD LSR FORTESSAを使用して、次の実験条件で分析を行った:pH7.4のPBS等張緩衝液に懸濁した細胞、320~330 mOsmol/kgの浸透圧、分析した細胞数は10,000。
CARブロッキング手順
HLA-G/CAR相互作用をブロックするために、Jurkat HLA-G-LFTT-1 CARエフェクター細胞との共培養実験の前に、Jurkat HLA-G腫瘍細胞を5μg/mlのブロッキングLFTT-1抗体又はそのIgG1アイソタイプ対照と前培養した。
統計分析
データは平均値+/-標準偏差(SD)として表す。スチューデントのt検定を使用して、0.05未満のP値が有意であると見なした。代表的な実験を示す図では、エラーバーは3連のSDを表す。
結論
本明細書では、CAR機能を決定するための標的細胞と活性化エフェクター細胞との間の膜転移に基づく新しい方法を報告している。さらに、膜獲得の程度は、エフェクター細胞の活性化状態と直接相関している。
この方法は、トロゴサイトーシスパラメーターに基づいて、CARの特異性、機能、及び感度を迅速に決定及び評価するための独自のアッセイである。

Claims (21)

  1. キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞の機能を評価するためのインビトロ方法であって:
    (i)同じ細胞株から調製された標的抗原発現細胞及びCAR発現細胞を異なる標識で標識すること;
    (ii)前記標識された標的抗原発現細胞と前記標識されたCAR発現細胞を共培養すること、及び、
    (iii)前記標的抗原発現細胞からの前記CAR発現細胞による膜獲得を評価するために細胞を分析することであって、前記膜獲得が、標的抗原への前記CAR発現細胞の結合及び/又は活性化能力の指標であり、それにより前記CAR発現細胞の機能を評価することを含み;且つ
    前記細胞が免疫細胞である、方法。
  2. 前記共培養が、少なくとも1時間の間行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記共培養が、1~5時間の間行われる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記共培養が、1~3時間の間行われる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記共培養が、1:0.5~1:10の標的抗原発現細胞対CAR発現細胞の比率で行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記細胞分析が、細胞選別分析によって行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記細胞選別分析が、フローサイトメトリー分析である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記標識された標的抗原発現細胞と前記標識されたCAR発現細胞を共培養する前に、前記CARが由来する抗体と共に前記標的抗原発現細胞を培養する工程をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項に記載の方法。
  10. 前記モノクローナル抗体が、前記CARが由来するモノクローナル抗体のCDRを含むモノクローナル抗体である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記標的抗原を発現しない対照細胞を試験することをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記標的抗原を認識しない対照CAR発現細胞を試験することをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 機能的なCAR発現細胞及び/又はCARコンストラクトの選択をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記標識が、膜マーカーである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記膜マーカーが、親油性トレーサー又は色素であり、さらにより好ましくは、MINI26、PKH26-PCL、PKH67、MINI67、PKH67-PCL、PKH26、PKH26-PCL、Vybrant CM-DiI、DiI、及びDiOからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記免疫細胞が、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞、単球、及び抗原提示細胞からなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 養子細胞療法のために機能的CAR発現細胞を選択するためのインビトロ方法であって:
    (i)免疫細胞の集団にCARをコードする核酸配列を形質導入すること、
    (ii)CARを発現する前記免疫細胞の亜集団を選択すること、及び、
    (iii)請求項1~11のいずれか一項に記載の方法によってそれらの機能を評価すること、
    (iv)任意選択により、前記抗原発現細胞からの膜獲得を経験したCAR発現細胞から機能的CAR発現細胞及び/又はCAR核酸コンストラクトを選択することを含む、方法。
  18. 前記免疫細胞の集団が、処置される対象からの生物学的サンプルから単離された免疫細胞の集団である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記標的抗原発現細胞が、CARが作製された抗原を発現する、請求項17に記載の方法。
  20. 前記抗原が、HLA-Gである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記HLA-Gが、HLA-G1である、請求項20に記載の方法。
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