JP7428854B2 - 出銑口開孔方法、出銑口開孔装置およびガイドパイプ - Google Patents
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Description
近年、油圧式が開発され、開孔機の能力および信頼性が格段に向上したことにより、油圧式開孔機使用時の開孔失敗率が格段に減り、酸素式開孔機の使用頻度は少なくなった。酸素式開孔機は、利用頻度が大幅に減少したにも拘わらず、出銑口周辺の広い設置スペースを占有し、設備コストもかかるため、高炉から除外される傾向にある。
このような背景から、近年の高炉では、油圧式開孔機のみを設置することが一般的になりつつある。
しかし、人力での酸素開孔作業は、作業者が酸素ランスを手操作して出銑口に挿入し開孔する作業であり、作業の困難性が高い。さらに、炉前には出銑口からの溶銑滓を分離するための大樋があり、作業員は出銑口2および大樋3の近傍で開孔作業を行うことになる。このような作業は、大樋を流れる溶銑滓の高熱を受けて劣悪な環境であるうえ、出銑口から噴出する溶銑滓を浴びる危険性、および大樋への落下の危険性があるため、これらに対する安全性への配慮を十分に行う必要があった。
一方、特許文献3のような移動式の酸素式開孔機もあるが、炉前での作業が必要であることは変わりなく、さらに開孔機の準備に時間がかかるうえ、出銑口に対する位置合わせが煩雑であるなど、現実的な代替策にはなり得ていない。
このように、通常は油圧式開孔機を用いる高炉において、酸素式の開孔作業を安全かつ効率よく行えるような対策が求められていた。
前記ガイドパイプの前記出銑口と反対側端から酸素ランスを挿入し、前記酸素ランスの先端を前記出銑口に近接させて前記出銑口を開孔させることを特徴とする。
一方、ロッドホルダから開孔ロッドを取り外し、これに代えてガイドパイプを装着することにより、ガイドパイプを用いて酸素ランスを出銑口までガイドすることができ、酸素ランスを用いた開孔作業を行うことができる。
ここで、酸素ランスの先端位置は、開孔機に通常設置されている調芯機構でロッドホルダの姿勢および位置を変化させることによって調整することができ、出銑口の正確な位置に合わせることができる。さらに、酸素ランスを操作する作業者は、出銑口から離れた場所で作業を行うことができ、安全性を高めることができる。
このように、本発明によれば、通常は油圧式開孔機を用いる高炉において、酸素ランスを用いた開孔作業を安全かつ効率よく行うことができる。
このような本発明では、パイプ部材を継ぎ足すことで長尺のガイドパイプを形成することができる。これにより、酸素ランスを送り込む作業者は、出銑口から十分離れた場所から操作を行うことができる。また、ガイドパイプが短いパイプ部材に分割できることで、部分的な交換など、保守性を高めることができる。
このような本発明では、出銑口に近い側には直管状の先端パイプ部材を用いることで、直線状の開孔ロッドとの置換が容易であり、ロッドホルダへの装着が確実にできる。一方、出銑口から離れた側には湾曲した延長パイプ部材を用いることで、ガイドホルダの出銑口とは反対側端を、出銑口側の軸線に対して側方にずらすことができる。これにより、作業者は出銑口2および大樋3から離れた位置で酸素ランスを安全に操作することができる。
このような本発明では、通常使用される酸素ランスの管材SGP8Aに対し、その弾性変形範囲内となる500mm以上の曲率で曲げることができ、酸素ランスの挿入作業を円滑かつ確実に行うことができる。
このような本発明では、パイプ材どうしの接続を効率よく確実に行うことができる。とくに、ラッパ状のガイド形状があることで、接続の際には端部どうしを近づけるだけで同心にガイドされ、操作を容易にできる。
このような本発明では、開孔機に通常設置されている調芯機構を利用して、ロッドホルダおよびガイドパイプの位置調整を行うことで、酸素ランスの先端を出銑口に対して正確な位置に配置できる。さらに、開孔機の調芯機構を利用することで、作業者が、出銑口の近傍で、酸素ランスの位置を直接操作する必要がなく、この点でも安全性を向上できる。
このような本発明の出銑口開孔装置においては、前述した本発明の出銑口開孔方法で説明した通りの効果を得ることができる。
このような本発明のガイドパイプを用いることで、前述した本発明の出銑口開孔方法で説明した通りの効果を得ることができる。
図1において、本実施形態の出銑口開孔装置1は、既存の油圧式開孔機10を利用して構成される。
油圧式開孔機10は、高炉の出銑口2に向けて配置されるロッドホルダ11と、ロッドホルダ11に支持される開孔ロッド12と、開孔ロッド12を出銑口2に向けて進出させるドリフタ13と、を有する。
ロッドホルダ11は、フレーム14の出銑口2に近い端部に先端セントライザ111を有し、ドリフタ13に近い側に中間セントライザ112を有する。
先端セントライザ111および中間セントライザ112は、それぞれ板状の部材に挿通孔を有し、開孔ロッド12はその先端部および中間部をそれぞれ挿通孔に挿通されることでロッドホルダ11に支持される。
開孔ロッド12を先端セントライザ111および中間セントライザ112に支持させる操作は、図示しないロッドチェンジャーにより行うことができる。ロッドチェンジャーは、ロッドホルダ11の近傍に設置され、例えば2点で開孔ロッド12を把持して移動可能なロボットアームなどが利用できる。
ドリフタ13は、フレーム14に対して、ロッドホルダ11に支持された開孔ロッド12の軸線A方向へ移動可能であり、この移動により開孔ロッド12をロッドホルダ11の先端側へ向けて駆動することができる。従って、ロッドホルダ11の向きを調整し、軸線A方向が出銑口2に向かうように配置すれば、開孔ロッド12はドリフタ13の駆動力により出銑口2に向けて進出可能である。
なお、油圧式開孔機10の調芯機構としては、ロッドホルダ11の先端の出銑口2に対する位置を調整可能であれば、他の様々な構造を利用できる。
開孔作業の際には、ロッドホルダ11、開孔ロッド12、およびドリフタ13は、出銑口2に対向するように、出銑口2から延びる大樋3の上方の作業位置に配置される。
フレーム14を回動させることで、ロッドホルダ11、開孔ロッド12、およびドリフタ13は、出銑口2から離れ、大樋3の上方から外れた退避位置まで移動可能である。
さらに、本実施形態の出銑口開孔装置1は、図2に示すように、油圧式開孔機10のロッドホルダ11にガイドパイプ20を装着することで、酸素ランス19を用いた酸素式開孔作業を行うことができる。
延長パイプ部材22は、複数が継ぎ足され、ガイドパイプ20として必要な長さが確保されている。
先端パイプ部材21の外径は、外径が開孔ロッド12よりも太く形成され、先端セントライザ111および中間セントライザ112の各挿通孔に挟み付けられることで軸線A方向への移動を規制される。
先端パイプ部材21および延長パイプ部材22は、各々の一端に形成された接続部23を用いて相互に接続可能である。
接続部23は、先端パイプ部材21および延長パイプ部材22に共通の構造とされ、この接続部23により、先端パイプ部材21と延長パイプ部材22との接続、および延長パイプ部材22に他の延長パイプ部材22を継ぎ足すための接続がそれぞれ可能である。
図3(B)に示すように、大径部231は、他の延長パイプ部材22の先端部221と嵌合可能である。これらの大径部231および先端部221により嵌合構造が構成されている。この際、ガイド形状232があることで、他の延長パイプ部材22の先端部221を接続部23に導入すれば、大径部231へと容易にガイドすることができる。
先ず、前述した退避位置にて油圧式開孔作業で用いていた開孔ロッド12をロッドホルダ11から取り外し、代わりに先端パイプ部材21をロッドホルダ11に装着する。前述のように、先端パイプ部材21の装着は、ロッドチェンジャーにより行うことができる。
ここで、継ぎ足された延長パイプ部材22が湾曲しているため、ガイドパイプ20も全体として湾曲する。そして、先端パイプ部材21が軸線Aに沿って配置されていても、先端パイプ部材21から離れた側は軸線A(大樋3の上方)から大きく逸れることになる。そこで、ガイドパイプ20の先端パイプ部材21と反対側の端部が、大樋3から離れた安全な場所に達したら、そこで延長パイプ部材22の継ぎ足しを止める。
本実施形態の出銑口開孔装置1においては、ロッドホルダ11に開孔ロッド12を装着することにより、ドリフタ13と併せて油圧式開孔機10が構成される。通常は、この油圧式開孔機10により開孔ロッド12による開孔作業を行うことができる。
一方、ロッドホルダ11から開孔ロッド12を取り外し、これに代えてガイドパイプ20を装着することにより、ガイドパイプ20を用いて酸素ランス19を出銑口2までガイドすることができ、酸素式の開孔作業を行うことができる。
このように、本実施形態の出銑口開孔装置1によれば、通常は油圧式開孔機10として油圧式開孔作業を行うとともに、必要に応じて酸素式の開孔作業を安全かつ効率よく行うことができる。
前記実施形態では、先端パイプ部材21および延長パイプ部材22の一端に接続部23を設け、接続部23として嵌合構造となる大径部231と、ラッパ管状のガイド形状232とを形成した。しかし、これらは本発明に必須ではなく、ガイド形状232は省略してもよく、嵌合構造としては別体のジョイント管などを用いてもよい。さらに、接続部23は、先端パイプ部材21および延長パイプ部材22の出銑口2と反対側に限らず、出銑口2側に形成してもよい。
Claims (6)
- 出銑口に向けて配置されるロッドホルダと、前記ロッドホルダに支持される開孔ロッドと、前記開孔ロッドを前記出銑口に向けて進出させるドリフタと、を用い、
前記開孔ロッドに代えて前記ロッドホルダにガイドパイプを支持させ、
前記ガイドパイプの前記出銑口と反対側端から酸素ランスを挿入し、
前記酸素ランスの先端を前記出銑口に近接させて前記出銑口を開孔させるとともに、
複数のパイプ部材を連結して前記ガイドパイプを形成し、
前記パイプ部材として、前記出銑口に近い側には直管状の先端パイプ部材を用い、前記出銑口から離れた側には湾曲した延長パイプ部材を用いることを特徴とする出銑口開孔方法。 - 請求項1に記載の出銑口開孔方法において、
前記延長パイプ部材は、曲率半径が500mmより大きい曲がり管であることを特徴とする出銑口開孔方法。 - 請求項1または請求項2に記載の出銑口開孔方法において、
前記パイプ部材は、一端に他の前記パイプ部材の他端が接続可能な嵌合構造を有し、前記嵌合構造の周囲にはラッパ管状のガイド形状が形成されていることを特徴とする出銑口開孔方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の出銑口開孔方法において、
前記酸素ランスの先端を前記出銑口に近接させて前記出銑口を開孔させる際に、前記ロッドホルダの位置を調整可能な開孔機の調芯機能により前記ガイドパイプの位置調整を行うことを特徴とする出銑口開孔方法。 - 出銑口に向けて配置されるロッドホルダと、
前記ロッドホルダに支持される開孔ロッドと、
前記開孔ロッドを前記出銑口に向けて進出させるドリフタと、
前記開孔ロッドに代えて前記ロッドホルダに支持されて酸素ランスを挿通可能なガイドパイプと、を有し、
前記ガイドパイプは、前記ロッドホルダに装着可能な直管状の先端パイプ部材と、前記先端パイプ部材の前記出銑口から離れた側に連結可能かつ湾曲した延長パイプ部材と、を有し、
前記延長パイプ部材から前記先端パイプ部材まで前記酸素ランスが挿通可能であることを特徴とする出銑口開孔装置。 - 出銑口に向けて配置されるロッドホルダと、
前記ロッドホルダに支持される開孔ロッドと、
前記開孔ロッドを前記出銑口に向けて進出させるドリフタと、
前記開孔ロッドに代えて前記ロッドホルダに支持されて酸素ランスを挿通可能なガイドパイプと、を有する出銑口開孔装置のガイドパイプであって、
前記ロッドホルダに装着可能な直管状の先端パイプ部材と、前記先端パイプ部材の前記出銑口から離れた側に連結可能かつ湾曲した延長パイプ部材と、を有し、
前記延長パイプ部材から前記先端パイプ部材まで前記酸素ランスが挿通可能であることを特徴とするガイドパイプ。
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