以下の各図面では、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を変えている場合がある。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図16を参照して説明する。
(プロジェクター)
図1は、第1実施形態のプロジェクター301の構成を示す概略図である。プロジェクター301は、光変調装置として液晶パネルを用いた画像表示装置である。図1に示すように、プロジェクター301は、光源装置10Aと、画像光生成装置100Aと、制御装置200と、を備える。プロジェクター301は、外部の不図示の画像入力装置から入力される画像信号V1に応じた画像光をスクリーンSCRに向けて投射し、スクリーンSCR上に拡大した画像を表示する装置である。不図示の画像入力装置は、例えばパーソナルコンピューターである。
光源装置10Aは、光源11と、アフォーカル光学系12と、ホモジナイザー光学系14と、集光光学系18と、回転蛍光板20と、コリメート光学系40と、第1レンズアレイ51と、第2レンズアレイ52と、偏光変換素子60と、重畳レンズ70と、を備える。
光源11は、複数の発光素子11Sを備え、青色光束(青色光)BBを出力する。発光素子11Sは、青色光Bを射出する。青色光Bの発光強度のピーク波長は、例えば455nm~465nmの波長帯域に含まれる。発光素子11Sは、例えば青色光Bを射出可能な半導体レーザー(Laser Diode;LD)である。LDは、プロジェクターを画像表示装置で光源として従来用いられているランプに比べて高輝度・高出力であり、長寿命であり、後述する蛍光層24から蛍光を効率良く発生させることができる。複数の発光素子11Sは、青色光束BBの光軸AX1と直交する平面内で互いに適切な間隔をあけてアレイ状又はマトリクス状に配置されている。複数の発光素子11Sから射出された青色光Bは、光軸AX1に沿ってまとまり、青色光束BBを構成する。
アフォーカル光学系12は、例えば凸レンズ12A及び凹レンズ12Bを備え、光源11から出力された青色光束BBの光束径を縮小する。アフォーカル光学系12によって青色光束BBの光束径が縮小されるため、集光光学系18の省スペース化及び軽量化が図られる。なお、光源11とアフォーカル光学系12との間の光軸AX1上に、不図示のコリメーター光学系が配置され、アフォーカル光学系12に入射する青色光束BBが平行化されてもよい。
ホモジナイザー光学系14は、マルチレンズアレイ15,16を備え、アフォーカル光学系12から射出された青色光束BBの光強度分布を均一な状態に変換する。ホモジナイザー光学系14は、マルチレンズアレイ15の複数のマイクロレンズ15Aから射出された複数の青色小光束を集光光学系18と協同して後述する蛍光層(波長変換素子)24で互いに重畳させる。このことによって、トップハット状の光強度分布を有する青色光束BBが蛍光層24に照射される。
マルチレンズアレイ15は、光軸AX1と直交する平面内に互いに隣接してマトリクス状に配置された複数のマイクロレンズ15Aを有する。マルチレンズアレイ16は、マルチレンズアレイ15よりも青色光束BBの進行方向の前方に配置され、光軸AX1と直交する平面内に互いに隣接してマトリクス状に配置された複数のマイクロレンズ16Aを有する。複数のマイクロレンズ16Aは、光軸AX1と直交する平面に平行な方向で複数のマイクロレンズ15Aに対応して複数のマイクロレンズ15Aと重なる位置に配置されている。
集光光学系18は、ホモジナイザー光学系14と回転蛍光板20との間の青色光束BBの光路に配置され、ホモジナイザー光学系14から射出された青色光束BBを集光し、回転蛍光板20の蛍光層24に入射させる。集光光学系18は、例えば第1レンズ19A及び第2レンズ19Bを備える。第1レンズ19A及び第2レンズ19Bの各々は、例えば凸レンズである。なお、集光光学系18は、ホモジナイザー光学系14による青色光束BBの光強度分布を均一化する効果を十分に得るために、不図示の非球面レンズを備えてもよい。
図2は、回転蛍光板20の平面図である。図3は、回転蛍光板20の断面図であり、図2に示すA1-A1線で矢視した状態での断面図である。図1から図3に示すように、回転蛍光板20は、基板22と、蛍光層24と、ダイクロイック膜26と、モーター30と、を有する。図1に示すように、回転蛍光板20は、青色光束BBの入射側とは反対側に向けて赤色光R及び緑色光Gを含む黄色光Yを出力する。
図1から図3に示すように、基板22は、モーター30によって回転軸RXを中心とする周方向に回転可能である。基板22は、回転軸RXを中心とする円板のうち周方向の角度範囲RG2に該当する扇状の板を削除した後に残る角度範囲RG1の板で構成されている。蛍光層24は、基板22の表面22aに設けられ、回転軸RXを中心とする周方向で角度範囲RG1に設けられている。基板22の中心には不図示のモーター30の軸部材39を挿通可能な不図示の貫通孔が形成され、貫通孔にモーター30の軸部材39が挿通していてもよい。表面22aは、基板22に対してホモジナイザー光学系14からの青色光束BBが入射する裏面22bとは反対側の面である。回転軸RXを中心とする周方向で角度範囲RG1以外の角度範囲RG2には、空間が存在する。基板22は、青色光束BBを透過する材料によって構成されている。基板22の材料としては、例えば、石英ガラス、水晶、サファイア、光学ガラス、透明樹脂等が挙げられる。
蛍光層24は、励起光として入射する青色光束BBを蛍光変換し、蛍光変換によって生成された黄色光Yを射出する。蛍光層24は、例えば、YAG系蛍光体である(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceを含有する層である。ダイクロイック膜26は、光軸AX1に沿った基板22及び蛍光層24の厚み方向で基板22と蛍光層24との間に配置されている。ダイクロイック膜26は、入射する青色光を透過し、蛍光である黄色光を反射する。
基板22の回転軸RXは、ホモジナイザー光学系14から出力された青色光束BBの光軸AX1に直交する平面内で光軸AX1とは異なる位置にある。モーター30の軸芯は、光軸AX1に直交する平面内で回転軸RXと重なっている。基板22及びモーター30は、ホモジナイザー光学系14に対して、回転軸RXを中心とする径方向においてホモジナイザー光学系14から射出された青色光束BBが回転軸RXと基板22の外周縁との間の領域で蛍光層24に照射可能であるように、配置されている。基板22は、表面22aに蛍光層24が設けられた蛍光出力領域28を有する。蛍光出力領域28は、回転軸RXを中心とする周方向で表面22aの角度範囲RG1に設けられ、回転軸RXを中心とする径方向で基板22の外周縁と中心又は内周縁との間で、少なくとも青色光束BBの照射領域を含む領域に設けられている。
基板22がモーター30によって回転軸RXを中心に回転したときに、光軸AX1と平行な方向から見て、青色光束BBの照射領域が回転軸RXを中心とする周方向で角度範囲RG1の基板22、蛍光層24及びダイクロイック膜26と互いに重なる状態を第1状態とする。また、基板22がモーター30によって回転軸RXを中心に回転したときに、光軸AX1と平行な方向から見て、青色光束BBの照射領域が回転軸RXを中心とする周方向で角度範囲RG2の空間を通過し、蛍光層24及びダイクロイック膜26とは重ならない状態を第2状態とする。
第1状態では、ホモジナイザー光学系14から出力された青色光束BBは、裏面22bから基板22に入射し、基板22及びダイクロイック膜26を透過し、蛍光層24に入射する。蛍光層24は、入射した青色光束BBによって励起され、青色光束BBを黄色光Yに波長変換し、黄色光Yを蛍光層24の厚み方向でダイクロイック膜26に向かう側及びダイクロイック膜26に向かう側とは反対側に射出する。蛍光層24からダイクロイック膜26に向かって射出された黄色光Yは、ダイクロイック膜26で反射され、蛍光層24を通過し、蛍光層24からダイクロイック膜26に向かう側とは反対側に射出される。すなわち、第1状態では、図1に示すように、回転蛍光板20に対して青色光束BBの入射側とは反対側に回転蛍光板20から黄色光Yが出力される。
なお、蛍光層24の材質における気泡率を含む条件が調整されていることによって、蛍光層24に入射する青色光束BBは全て波長変換され、青色光束BBは蛍光層24を透過しないと想定する。後述するように、画像光IMを良好に出力させ、投射光学系190から投射される画像での混色の発生を防ぐためには、回転蛍光板20から黄色光Y及び青色光Bの何れか一方のみが射出される必要がある。そのため、蛍光層24に入射した青色光束BBの一部の青色光が蛍光変換されずに、蛍光層24を透過する可能性がある場合は、蛍光層24においてダイクロイック膜26に接する底面とは反対側の表面に、入射する青色光を反射し、黄色光を透過する不図示のダイクロイック膜が設けられることが好ましい。このことによって、第1状態において、上述のように回転蛍光板20に対して青色光束BBの入射側とは反対側に黄色光Yのみが出力される。
図示していないが、第2状態では、青色光束BBは、回転軸RXを中心とする周方向の角度範囲RG2の空間を通過する。第2状態では、回転蛍光板20に対して青色光束BBの入射側とは反対側に青色光束BBのみが出力されるとみなされる。以下の説明では、光源11から射出される青色光束BB及び第2状態で回転蛍光板20から出力される青色光束BBを青色光Bと記載する場合がある。
図1に示すように、コリメート光学系40は、第1レンズ41A及び第2レンズ41Bを備え、回転蛍光板20から出力された黄色光Y又は青色光Bを平行化する。第1レンズ41A及び第2レンズ41Bの各々は、例えば凸レンズである。
第1レンズアレイ51は、複数のマイクロレンズ53を備え、コリメート光学系40から入射する黄色光Y又は青色光Bを複数のマイクロレンズ53によってマイクロレンズ53と同数の部分光束に分割する。複数のマイクロレンズ53は、回転蛍光板20から出力される黄色光Y又は青色光Bの光軸AX2に直交する平面内で互いに隙間をあけずにマトリクス状に配置されている。
第2レンズアレイ52は、複数のマイクロレンズ54を備え、第1レンズアレイ51から射出された黄色光Y又は青色光Bの各々の複数の部分光束を重畳レンズ70と共に、後述する画像光形成装置100Aの第1液晶パネル140の画像形成領域142及び第2液晶パネル150の画像形成領域152に結像させる。複数のマイクロレンズ54は、光軸AX2に直交する平面内で互いに隙間をあけずにマトリクス状に配置されている。複数のマイクロレンズ54は、光軸AX2と直交する平面に平行な方向において、複数のマイクロレンズ53に対応し、複数のマイクロレンズ53と重なるように配置されている。
偏光変換素子60は、第1レンズアレイ51から射出された複数の部分光束の偏光を、所定の偏光方向の直線偏光に変換する。所定の偏光方向の直線偏光は、S偏光又はP偏光である。偏光変換素子60は、偏光分離層と、反射層と、位相差板とを有する。偏光分離層は、回転蛍光板20から出力された黄色光Y又は青色光Bに含まれる偏光成分のうち所定の直線偏光成分を透過させ、黄色光Y又は青色光Bに含まれる偏光成分のうち偏光方向が所定の偏光方向に対して90°をなす他の直線偏光成分を光軸AX2に直交する方向に反射する。反射層は、偏光分離層で反射された他の直線偏光成分を光軸AX2に平行な方向に反射する。位相差板は、反射層で反射された他の直線偏光成分を所定の直線偏光成分に変換する。なお、図1では、符号を付していないが、偏光変換素子60の偏光分離層、反射層、及び位相差板が簡略的に図示されている。
重畳レンズ70は、偏光変換素子60から射出された黄色光Y又は青色光Bの各々の複数の部分光束を集光して第1液晶パネル140の画像形成領域142及び第2液晶パネル150の画像形成領域152に重畳させる。第1レンズアレイ51、第2レンズアレイ52及び重畳レンズ70は、回転蛍光板20から出力された黄色光Y又は青色光Bの光強度分布を均一にするインテグレーター光学系を構成する。上述の構成を備えた光源装置10Aから、青色光B又は黄色光Yが角度範囲RG1,RG2に応じて時系列で出力される。
画像光生成装置100Aは、光源装置10Aから出力される青色光B又は黄色光Yの光路に配置されている。黄色光Yは、互いに異なる色光である赤色光R及び緑色光Gを含む。画像光生成装置100Aは、ダイクロイックミラー110と、反射ミラー112,114と、集光レンズ121,122と、第1偏光板131,132と、第2偏光板135,136と、第1液晶パネル140と、第2液晶パネル150と、ダイクロイックミラー(光学素子)180と、投射光学系190と、を備える。
波長選択素子であるダイクロイックミラー110は、入射する青色光B又は黄色光Yのうち、青色光B又は緑色光Gを透過し、赤色光Rを反射する。ダイクロイックミラー110において青色光B又は黄色光Yの入射側の基板の表面に、反射ダイクロイックコート111が施されている。光源装置10Aから出力された青色光B又は黄色光Yは、ダイクロイックミラー110に入射し、青色光B又は黄色光Yのうち、青色光B又は緑色光Gはダイクロイックミラー110を透過し、赤色光Rはダイクロイックミラー110によって青色光B又は緑色光Gとは異なる方向に反射される。すなわち、光源装置10Aから出力された青色光B又は黄色光Yは、ダイクロイックミラー110によって青色光B又は緑色光Gと赤色光Rとに分岐される。
反射ミラー112は、ダイクロイックミラー110を透過した青色光B又は緑色光Gの光路に配置され、入射する青色光B又は緑色光Gを第1液晶パネル140の画像形成領域に向けて反射する。反射ミラー114は、ダイクロイックミラー110で反射された赤色光Rの光路に配置され、入射する赤色光Rを第2液晶パネル150の画像形成領域に向けて反射する。
反射ミラー112によって反射された青色光B又は緑色光Gの光路と反射ミラー114によって反射された赤色光Rの光路とは、所定の位置で互いに交差する。前述の所定の位置に、ダイクロイックミラー180が配置されている。集光レンズ121、第1偏光板131、第1液晶パネル140、及び第1偏光板132は、反射ミラー112とダイクロイックミラー180との間の青色光B又は緑色光Gの光路に順次配置されている。集光レンズ122、第2偏光板135、第2液晶パネル150、及び第2偏光板136は、反射ミラー114とダイクロイックミラー180との間の赤色光Rの光路に順次配置されている。
集光レンズ121は、反射ミラー112で反射された青色光B又は緑色光Gを第1液晶パネル140の画像形成領域に集光する。第1偏光板131は、集光レンズ121から射出された青色光B又は緑色光Gの偏光方向を第1液晶パネル140での画像光を生成するために適切な方向に調整する。
第1液晶パネル140は、集光レンズ121から射出されて入射する青色光B又は緑色光Gを制御装置200から入力される青色に関する画像信号又は緑色に関する画像信号に応じて変調し、青色の画像光IB又は緑色の画像光IGを生成及び出力する。画像光IB,IGの生成の詳細については、後に説明する。
第1液晶パネル140は、例えば一対の透明なガラス基板の間に電気光学物質である液晶が密閉及び封入されることによって構成される透過型の液晶光変調装置である。第1液晶パネル140は、例えばポリシリコン薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)をスイッチング素子として備える。第1偏光板131から射出された青色光B又は緑色光Gの各々の偏光方向が、第1液晶パネル140に設けられたスイッチング素子のスイッチング動作によって変調されることによって、青色に関する画像信号に応じた青色の画像光IB又は緑色に関する画像信号に応じた緑色の画像光IGが生成される。第1偏光板132は、第1液晶パネル140から出力された画像光IB,IGの各々の偏光方向を所望の方向に調整する。
集光レンズ122は、反射ミラー114で反射された赤色光Rを第2液晶パネル150の画像形成領域に集光する。第2偏光板135は、集光レンズ122から射出された赤色光Rの偏光方向を第2液晶パネル150での画像光を生成するために適切な方向に調整する。
第2液晶パネル150は、集光レンズ122から射出されて入射する赤色光Rを外部から入力される赤色に関する画像信号に応じて変調し、赤色の画像光IRを生成及び出力する。画像光IRの生成の詳細については、後に説明する。第2液晶パネル150は、例えば第1液晶パネル140と同様に構成された透過型の液晶光変調装置であり、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として備える。第2偏光板135から射出された赤色光Rの偏光方向が、第2液晶パネル150に設けられたスイッチング素子のスイッチング動作によって変調されることによって、赤色に関する画像信号に応じた赤色の画像光IRが生成される。第2偏光板136は、第2液晶パネル150から出力された画像光IRの偏光方向を所望の方向に調整する。
光学素子であるダイクロイックミラー180は、入射する青色の画像光IB又は緑色の画像光IGを透過し、赤色の画像光IRを反射する。ダイクロイックミラー180において赤色の画像光IRの入射側の基板の表面に、反射ダイクロイックコート181が施されている。第1偏光板132から射出された青色の画像光IR又は緑色の画像光IGと、第2偏光板136から射出された赤色の画像光IRは、ダイクロイックミラー180に入射する。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IB又は画像光IGは、ダイクロイックミラー180を透過する。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IRは、反射ダイクロイックコート181によって画像光IB又は画像光IGと同一の光路に向けて反射される。すなわち、第1液晶パネル140から出力された画像光IG及び第2液晶パネル150から出力された画像光IRは、ダイクロイックミラー180によって互いに合成され、黄色の画像光IYを形成する。ダイクロイックミラー180は、画像光IY,IBを互いに共通の光路に時系列で出力する。以下の説明では、画像光IY又は画像光IBをまとめて画像光IMを記載する場合がある。
投射光学系190は、ダイクロイックミラー180から射出される画像光IMの光路に配置され、入射する画像光IMをスクリーンSCRに向けて拡大投射し、スクリーンSCR上に画像を形成する。投射光学系190は、例えば複数の凸レンズ又は凹レンズから構成されている。
制御装置200は、信号処理装置202と、パルス幅変調(Pulse Width Modulation;PWM)信号生成装置204と、光源駆動装置206と、回転蛍光板駆動装置208と、液晶駆動装置210を備える。制御装置200は、外部から入力される画像信号V1の信号処理を行い、信号処理によって得られる情報を用いて光源装置10Aの光源11と、回転蛍光板20のモーター30と、画像光生成装置100Aの第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150と、を制御する。なお、制御装置200は、光源11に対してPWM制御を行うことにより、光源11から射出される青色光束BBの光量を制御する。制御装置200は、例えば信号処理装置202、PWM信号生成装置204、光源駆動装置206、回転蛍光板駆動装置208、及び液晶駆動装置210の各々の処理をプログラムとして内蔵されたコンピューターや集積回路によって構成されている。
信号処理装置202は、例えば不図示の画像入力装置によってプロジェクター301の外部から入力される画像信号V1に対して信号処理を行い、光源11、モーター30、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150を制御するために必要な情報を得る。
信号処理装置202は、画像信号V1に基づいて表示されるべき画像の明るさの代表値を示すパラメーターを算出し、算出したパラメータに基づいて光源11を制御するための制御信号C1を出力する。信号処理装置202は、画像信号V1から抽出したパラメーターに基づいて画像信号V1に伸張処理を行い、伸張処理後の画像信号を画像信号V2として出力する。例えば、画像信号V1に基づいて表示可能な画像の階調が255階調であり、抽出されたパラメーターが200階調目の明るさを示すものである場合には、画像信号V1に対して係数α=(255/200)を乗算する処理を行う。前述の伸張処理を行うことによって、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の各々のダイナミックレンジを最大限に活かした高コントラストの画像表示が可能である。
信号処理装置202は、回転蛍光板駆動装置208から出力される回転検出信号C0を取得し、モーター30の回転数を制御する回転制御信号C2を出力する。回転検出信号C0は、例えば、回転蛍光板20の回転軸RXを中心とする回転数、すなわちモーター30の回転数を表す検出信号である。信号処理装置202は、回転蛍光板20を回転駆動することによるフリッカーの発生を防止するために、光源11がPWM制御されているときの周波数と回転蛍光板20の回転数が所定の関係を満たすように光源11のPWM制御周波数と回転蛍光板20の回転数とを制御する制御信号C1及び回転制御信号C2を出力する。所定の関係は、例えば回転蛍光板20の回転数は光源11がPWM制御されているときの周波数の整数倍であるという関係である。
PWM信号生成装置204は、信号処理装置202から出力される制御信号C1に基づいて光源11のデューティー比を決定し、決定したデューティー比を有するPWM信号S1を生成する。光源11のデューティー比は、光源11の制御周期における発光時間と消灯時間との比を表す。例えば、PWM信号生成装置204には、光源11から射出される青色光束BBの光量とデューティー比との関係を示す不図示のデータテーブルが記憶されている。PWM信号生成装置204は、データテーブルを用いて制御信号C1に応じた光源11のデューティー比を決定する。
光源11の制御周期とは、制御装置200によって光源11がPWM制御される周期であってPWM制御周波数の逆数である。PWM制御周波数は、スクリーンSCRに表示する画像のフレーム周波数以上の周波数である。画像のフレーム周波数は、例えば48[Hz]である。画像のフレーム周波数の上限は、例えば数MHz程度である。PWM制御周波数をフレーム周波数以上の周波数に設定することによって、光源11をPWM制御したときにフリッカーの発生が抑えられる。
光源駆動装置206は、PWM信号生成装置204で生成されるPWM信号S1に基づいて、光源11を駆動する駆動信号D1を生成する。光源駆動装置206で生成される駆動信号D1は、パルス状の信号であり、光源11の各々の発光素子11Sに供給される信号である。駆動信号D1の周波数、デューティー比、及び位相は、PWM信号S1に基づいて規定されている。駆動信号D1の電流値は、PWM信号S1の信号レベルがハイ(High;H)レベルのときに一定である。
回転蛍光板駆動装置208は、モーター30の回転数を検出し、検出した回転数を回転検出信号C0として信号処理装置202に出力する。また、回転蛍光板駆動装置208は、信号処理装置202から出力される回転制御信号C2に基づいてモーター30を駆動する駆動信号D2を生成してモーター30に出力し、結果として基板22は回転軸RXを中心として回転制御信号C2に応じた最適回転速度ORSで回転させる。
液晶駆動装置210は、信号処理装置202で伸張処理が行われた画像信号V1から、第1液晶パネル140を駆動する駆動信号D3と、第2液晶パネル150の各々を駆動する駆動信号D4と、を生成する。
次に、制御装置200による光源11、モーター30、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の制御及び画像光IB,IG,IRの生成について説明する。図4は、第1実施形態のプロジェクター301で光源装置10Aから射出される青色光B又は黄色光Yと、第1液晶パネル140から出力される画像光IG又は画像光IBと、第2液晶パネル150から出力される画像光IRのタイミングチャートである。ここで、プロジェクター301から表示される画像のフレーム周波数が前述のように48[Hz]に設定されていると想定する。プロジェクター301におけるフレーム周波数は、所謂フレームレートを表す。プロジェクター301のフレームレートは、48[fps]に設定される。また、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の各々の駆動周波数は、240[Hz]に設定されていると想定する。
図4に示すように、1枚の画像を表示するために必要な表示期間T0は、フレーム周波数及びフレームレートから1/48[sec.]であり、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動スケジュールを考えるために換算すると5/240[sec.]である。駆動信号D1は、制御装置200によって光源11、モーター30、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150が制御されてプロジェクター301から画像が表示されている時間内で常時、Hレベルであり、光源11の複数の発光素子11Sの各々に供給されている。すなわち、制御装置200は、プロジェクター301から画像を表示する間、光源11に常に駆動信号D1を出力し、光源11から青色光Bを出力させる。
1枚の画像を明るく表示し、第1液晶パネル140の耐久性の低下を抑えるために、表示期間T0において、第1液晶パネル140の各々の画素144における緑色の画像光IGの表示期間T3は青色の画像光IBの表示期間T4の2倍に設定されていると想定する。すなわち、表示期間T3,T4の比は、2:1である。制御装置200の信号処理装置202は、1枚目から順番に複数の画像を表示するために、各画像の表示期間T0のうち、T0×(3/5)に相当する出力期間T1で回転蛍光板20から黄色光Yを出力し、出力期間T1経過後の残りのT0×(2/5)に相当する出力期間T2で回転蛍光板20から青色光Bを出力するためのモーター30の最適回転速度ORSを算出する。上述の画像のフレーム周波数及び第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の各々の駆動周波数の設定、及び表示期間T3,T4の比の設定によれば、T1=3/240[sec.]であり、T2=2/240[sec.]である。
制御装置200によって回転蛍光板20の回転が制御されることによって、プロジェクター301の光源装置10Aから青色光B又は黄色光Yが時系列で出力される。信号処理装置202は、モーター30の最適回転速度ORSを回転制御信号C2として回転蛍光板駆動装置208に出力する。駆動信号D2は、モーター30を作動させるために必要な最適回転速度ORSの情報を含む。最適回転速度ORSの算出については、後に説明する。
制御装置200の液晶駆動装置210は、1枚目から順番に複数の画像を表示するために、各画像について信号処理装置202によって伸張処理が行われた画像信号V1に基づいて、第1液晶パネル140に駆動信号D3を出力し、第2液晶パネル150に駆動信号D4を出力する。駆動信号D3は、各画像の表示期間T0のうち、出力期間T1で第1液晶パネル140から緑色の画像光IGを出力させる。駆動信号D4は、各画像の表示期間T0のうち、出力期間T1で第2液晶パネル150から赤色の画像光IRを出力させる。また、駆動信号D3は、各画像の表示期間T0のうち、出力期間T2で第1液晶パネル140から青色の画像光IBを出力させる。駆動信号D4は、各画像の表示期間T0のうち、出力期間T2で第2液晶パネル150から何れの色の画像光も出力させない。
図5は、図4に示すタイミングチャートの一部の拡大図である。図6は、第1液晶パネル140の正面図であり、緑色光G及び青色光Bの入射側から見た図である。図6に示すように、第1液晶パネル140の画像形成領域142には、複数の画素144が配置されている。画像形成領域142は、第1液晶パネル140に入射する緑色光G又は青色光Bの光軸に直交する面と平行に形成されている。複数の画素144は、矩形状の画像形成領域142で互いに直交する面の縦方向及び横方向に沿ってm行n列に配列されている。すなわち、複数の画素144は、緑色光G又は青色光Bの光軸に直交する面でマトリクス状に配置されている。画素144の総数は、m×n個である。以降の説明及び各図面では、i行目・j列目の画素144は、画素144(i,j)と記載される場合がある。
図4から図6に示すように、駆動信号D3を受信した第1液晶パネル140では、t=0/240[sec.]の時点で、画素144(1,1)に対して1枚目の画像の緑色の画像光IGの画素144(1,1)の発光強度に対応する電気信号が書き込まれる。図4及び図5に示す制御状態CR1(k)の各々は、第1液晶パネル140の複数の画素144を制御する際の単位となる1つのフローを表している。kは、任意の自然数であり、フローの順番を示す番号である。制御状態CR1(k)の枠内の文字は、第1液晶パネル140から出力される画像光の色である緑色(G)又は青色(B)、或いは画像光を表示しないことを意味する黒色(K)の何れかの所定の色を表している。制御状態CR1(k)の始点P1は、第1液晶パネル140の最初の画素144(1,1)に対して制御状態CR1(k)の枠内の文字の所定の色の画像に対応する電気信号が書き込まれたことを表す。
制御状態CR1(k)では、最初の画素144(1,1)に続いて、画素144(1,2)から画素144(1,3)、・・・、画素144(m,n)の各々に対し、1枚目の画像の緑色の画像光IGの各々の画素の発光強度に対応する電気信号が順次書き込まれる。制御状態CR1(k)の始点P2は、第1液晶パネル140の最後の画素144(m,n)に対して所定の色の画像光に対応する電気信号が書き込まれたことを表す。各々の画素144では、少なくとも保持期間T10の間、書き込まれた電気信号が保持され、所定の色の画像光が電気信号に応じて発せられる。保持期間T10は、電気信号が保持される単位時間を表し、前述の各種設定では例えば1/240[sec.]である。
画素144(1,1)~144(1,n)に対して所定の色の画像光に対応する電気信号が書き込まれた時刻、すなわち始点P1の時刻から保持期間T10=1/240[sec.]が経過した時点で、144(m,1)~144(m,n)の書き込みが終了する。すなわち液晶パネル140全ての画素に電気信号が書き込まれた状態となり、その時刻がP2となる。この時、画素144(1,1)~144(1,n)に対しては、所定の色の画像光の表示期間(T10)が終了したため、次の画像光に対応する電気信号が画素144(1,1)~144(1,n)に書き込みを開始する。すなわち、最初の画素144(1,1)から最後の画素144(m,n)までの各々の画素144に電気信号を書き込む時間と、書き込まれた電気信号を保持する時間は略同じである。これを繰り返すことにより、保持期間T10間隔での書き込みを可能としている。
第1液晶パネル140では、複数の画素144の各々において、電気信号が書き込まれてから保持期間T10が経過すると、次の書き込みが開始される。そのため、2枚目の画像の制御状態CR1(k+1)では、始点P3として画素144(1,1)~144(1,n)に電気信号が書き込まれ、始点P4の最後の画素144(m,1)~(m,n)に対して電気信号の書き込みが行われる。このことは、保持期間T10を持って各画素が上書きされるよう電気信号の書き込みが行われていることを意味する。
ここで、図1及び図4を参照するとわかるように、第1液晶パネル140には、光源装置10Aから出力される黄色光Y又は青色光Bのうち、緑色光G又は青色光Bが入射する。フルカラーの画像を表現するためには、1枚の画像を表示するための表示期間T0において、第1液晶パネル140から緑色の画像光IG又は青色の画像光IBを時系列に出力させる必要がある。
図4及び図5に示すタイミングチャートでは、制御開始時の時刻t、すなわちt=0/240[sec.]から最初の制御状態CR1(1)では、第1液晶パネル140の複数の画素144で1枚目の画像を構成する緑色の画像光IG及び青色の画像光IBのうち、緑色の画像光IGに対応する電気信号が走査され、第1液晶パネル140から緑色の画像光IGが表示される。前述のように、複数の画素144のうち最後の画素144(m,n)に対して制御状態CR1(1)で緑色の画像光IGに対応する電気信号が書き込まれるタイミングで、最初の画素144(1,1)に対して制御状態CR(2)で緑色の画像光IGに対応する電気信号が書き込まれる。t=1/240[sec.]からの制御状態CR1(2)では、第1液晶パネル140の複数の画素144で1枚目の画像を構成する緑色の画像光IGに対応する電気信号が再び走査され、第1液晶パネル140から制御状態CR1(1)に続いて緑色の画像光IGが出力される。
制御状態CR1(2)に続く制御状態CR1(3)で、仮に第1液晶パネル140から青色の画像光IBを表示させると、最後の画素144(m,n)を含む1つ以上の画素144に対して制御状態CR(2)の緑色の画像光IGに対応する電気信号が書き込まれるタイミングで、画素144(1,1)を含む残りの画素144に対して制御状態CR(3)の青色の画像光IBに対応する電気信号が書き込まれてしまい、画像形成領域142内に緑色の画像光IGの表示部分と青色の画像光IBの表示部分が混在し、第1液晶パネル140における画像光の混色が発生する。制御装置200は、第1液晶パネル140における画像光の混色の発生を防止するために、制御状態CR1(2)の後に、制御状態CR1(3)で第1液晶パネル140から画像光IG,IBの何れも表示させずに黒色表示をさせる。
図4及び図5に示すタイミングチャートでは、t=2/240[sec.]からの制御状態CR1(3)にて、第1液晶パネル140の画素144(1,1)から画像(m,n)までの複数の画素144で順次、何れの色の画像光に対応する電気信号も走査されず、第1液晶パネル140は黒色Kを表示する。その後、t=3/240[sec.]からの制御状態CR1(4)では、第1液晶パネル140の複数の画素144で1枚目の画像を構成する青色の画像光IBに対応する電気信号が走査され、第1液晶パネル140から青色の画像光IGが表示される。第1液晶パネル140では、緑色の画像光IGが表示される制御状態CR(2)と青色の画像光IBが表示される制御状態CR(4)との間は、黒色表示がなされる制御状態CR(3)である。このことによって、最後の画素144(m,n)を含む1つ以上の画素144に対して制御状態CR(2)の緑色の画像光IGに対応する電気信号が書き込まれるタイミングで、画素(1,1)を含む残りの画素144に対して制御状態CR(3)での青色の画像光IBに対応する電気信号が書き込まれることはなく、残りの画素144で黒色表示がなされ、画像光の混色が発生しない。
図4に示すタイミングチャートでは、t=5/240[sec.]からの制御状態CR1(6)にて、第1液晶パネル140の画素144(1,1)から残りの画素144で2枚目の画像を構成する緑色の画像光IGに対応する電気信号が順次走査される。制御装置200は、第1液晶パネル140における混色の発生を防止するために、制御状態CR1(4)の後に、制御状態CR1(5)で第1液晶パネル140から画像光IG,IBの何れも表示させずに黒色表示をさせる。したがって、t=4/240[sec.]からの制御状態CR1(5)にて、第1液晶パネル140の画素144(1,1)から画素144(m,n)までの複数の画素144で順次、何れの色の画像光に対応する電気信号も走査されず、第1液晶パネル140は黒色Kを表示する。
制御装置200は、上述した1枚目の画像と同様のスケジュール及びタイミングで第1液晶パネル140の複数の画像144に対して2枚目の画像以降の各々の画像に対応する駆動信号D3を出力し、図4に示すように第1液晶パネル140から複数の画像に対応する緑色の画像光IG又は青色の画像光IBを時系列に所定のフレーム周波数に応じたタイミングで表示させる。第1液晶パネル140から、各画像に対して、緑色の画像光IGが表示期間T3=2/240[sec.]で出力され、青色の画像光IBが表示期間T4=1/240[sec.]で出力される。
図7は、図4に示すタイミングチャートの一部の拡大図である。図8は、第2液晶パネル150の正面図である。図8に示すように、第2液晶パネル150は、第1液晶パネル140と同様の構成を備える。第2液晶パネル150の画像形成領域152は、第2液晶パネル150に入射する赤色光Rの光軸に直交する面と平行に形成されている。画像形成領域152には、複数の画素154が矩形状の画像形成領域152において互いに直交する縦方向及び横方向に沿ってマトリクス状に配置され、m行n列に配列されている。以降の説明及び各図面では、i行目・j列目の画素154は、画素154(i,j)と記載される場合がある。
図4に示す制御状態CR2(k)の各々は、第2液晶パネル150の複数の画素154を制御する際の単位となる1つのフローを表している。制御状態CR2(k)の枠内の文字は、第2液晶パネル150から出力される画像光の色である赤色(R)、或いは画像光を表示しないことを意味する黒色(K)の何れかの所定の色を表している。制御状態CR2(k)の始点P1は、第2液晶パネル150の最初の画素154(1,1)に対して制御状態CR2(k)の枠内の文字で表された所定の色の画像に対応する電気信号が書き込まれたことを表す。制御状態CR2(k)の始点P2は、第2液晶パネル150の最後の画素154(m,n)に対して制御状態CR2(k)の枠内の文字で表された所定の色の画像光に対応する電気信号が書き込まれたことを表す。なお、第2液晶パネル150の複数の画素154の各々に書き込まれる電気信号は、駆動信号D4に含まれている。
制御状態CR2(k)では、画素154(1,1)に続いて、画素154(1,2)から順次、画素154(1,3)、・・・、画素154(m,n)に対し、k枚目の画像の所定の色の画像光の各々の画素の発光強度に対応する電気信号が走査し、書き込まれる。各々の画素154では、第1液晶パネル140と同じ保持期間T10の間、書き込まれた電気信号が保持され、所定の色の画像光が電気信号に応じて発せられる。第2液晶パネル150では、各々の画素154に対して制御状態CR2(k)での所定の色の画像光に対応する電気信号が前述のように書き込まれた時刻から保持期間T10=1/240[sec.]が経過すると、各々の画素154に書き込まれた電気信号が書き込み時と同じ順序及び速さで一旦消去され、瞬時にリセットされる。制御状態CR2(k)の終点P3は、第2液晶パネル150の画素154(1,1)に対して書き込まれた電気信号が消去され、画素154(1,1)での所定の色の画像光の表示が終了することを表す。制御状態CR2(k)の終点P4は、第2液晶パネル150の画素154(m,n)に対して書き込まれた電気信号が消去され、画素154(m,n)での所定の色の画像光の表示が終了することを表す。
ここで、図1及び図4を参照するとわかるように、第2液晶パネル150には、光源装置10Aから出力される赤色光Rが入射可能である。黄色の画像光IYと青色の画像光IRとを人間の視認速度に比べて高速で時系列に切り替えて表示することによってフルカラーの画像を表現するためには、1枚の画像を表示するための表示期間T0において、第1液晶パネル140から出力される緑色の画像光IGと同時に第2液晶パネル150から赤色の画像光IRを出力させ、第1液晶パネル140から青色の画像光IBが出力される際には第2液晶パネル150から赤色の画像光IRを出力させない必要がある。
図4及び図7に示すように、t=0/240[sec.]からの制御状態CR2(1)では、第2液晶パネル150の画素154(1,1)から画素154(m,n)までの複数の画素154で1枚目の画像を構成する赤色の画像光IRに対応する電気信号が順次走査され、第2液晶パネル150から赤色の画像光IRが表示される。t=1/240[sec.]からの制御状態CR2(2)では、第2液晶パネル150の複数の画素154で1枚目の画像を構成する赤色の画像光IRに対応する電気信号が再び走査され、第2液晶パネル150から制御状態CR2(1)に続いて赤色の画像光IRが出力される。
第1液晶パネル140と同様に、第2液晶パネル150においても画像光の混色の発生を防止するために、制御状態CR2(2)の後に、制御状態CR2(3)で第2液晶パネル150から画像光IRを表示させずに、第2液晶パネル150に黒色表示をさせる。制御状態CR2(3)に続く制御状態CR2(4)では、時刻tで対応する制御状態CR1(4)で第1液晶パネル140から青色の画像光IBが出力されるため、第2液晶パネル150から画像光IRを表示させずに、図4及び図7に示すように第2液晶パネル150に黒色表示をさせる。
制御装置200は、上述した1枚目の画像と同様のスケジュール及びタイミングで第2液晶パネル150の複数の画素154に対して2枚目の画像以降の画像に対応する駆動信号D4を出力し、図4に示すように所定のフレーム周波数に応じたタイミングで第1液晶パネル140と同期させて、第2液晶パネル150から複数の画像に対応する赤色の画像光IRを表示させる。各画像に対して、第2液晶パネル150から赤色の画像光IRが表示期間T3=2/240[sec.]で出力される。
上述のように第1液晶パネル140の複数の画素144のうち最初の画素144(1,1)で書き込みが行われる時刻と最後の画素144(m,n)で書き込みが行われる時刻には、保持期間T10と同等の時間差が生じる。第1液晶パネル140の複数の画素144のうち最初の画素(1,1)で書き込みが消去される時刻と最後の画素144(m,n)で書き込みが消去される時刻にも、保持期間T10と同等の時間差が生じる。また、第2液晶パネル150の複数の画素154のうち最初の画素154(1,1)で書き込みが行われる時刻と最後の画素154(m,n)で書き込みが行われる時刻には、保持期間T10と同等の時間差が生じる。第2液晶パネル150の複数の画素154のうち最初の画素154(1,1)で書き込みが消去される時刻と最後の画素154(m,n)で書き込みが消去される時刻にも、保持期間T10と同等の時間差が生じる。
第1液晶パネル140から出力された緑色の画像光IGと第2液晶パネル150から出力された赤色の画像光IRは、図1に示す画像光生成装置100Aのダイクロイックミラー180によって互いに合成され、黄色の画像光IYとしてダイクロイックミラー180から出力される。複数の画素144,154の少なくとも一部の画素144,154から緑色(所定の色)の画像光IG及び赤色(所定の色)の画像光IRが出力及び表示される表示期間T3と、複数の画素144,154の各々の最初の画素144(1,1),154(1,1)と最後の画素144(m,n),154(m,n)で互いに同一動作を行う際の時間差、すなわち保持期間T10を考慮すると、ダイクロイックミラー180から黄色の画像光IYが出力される時間は、T3+T10=T5=3/240[sec.]である。
第1液晶パネル140から出力された青色の画像光IBは、画像光生成装置100Aのダイクロイックミラー180を通って出力される。複数の画素144における青色の画像光IBの表示期間T4と、複数の画素144,154の各々の最初の画素144(1,1),154(1,1)と最後の画素144(m,n),154(m,n)との同一動作を行う際の時間差、すなわち保持期間T10を考慮すると、ダイクロイックミラー180から青色の画像光IGが出力される時間は、T4+T10=T6=2/240[sec.]である。したがって、各画像の表示期間T0において、画素144(1,1),154(1,1)から画素144(m,n),154(m,n)にわたって画像光生成装置100Aの投射光学系190から黄色の画像光IYを出力するために期間T5=3/240[sec.]が確保される。また、画素144(1,1)から画素144(m,n)にわたって投射光学系190から青色の画像光IBを出力するために期間T6=2/240[sec.]が確保される。
前述のように、図1に示す信号処理装置202によって、例えば1枚目の画像の表示期間T0のうち、制御状態CR1(1),CR2(1)の始点P1において画素144(1,1),154(1,1)への電気信号の書き込みの開始によって画素144(1,1),154(1,1)から黄色の画像光IYを射出させ、制御状態CR1(2),CR2(2)の終点P4において画素144(m,n),154(m,n)に対する電気信号のリセットによって画素144(m,n),154(m,n)からの黄色の画像光IYの射出を完了させるまでの間、光源装置10Aの回転蛍光板20から、T0×(3/5)=T1=T5=3/240[sec.]の期間で黄色光Yが出力される。また、信号処理装置202によって、例えば1枚目の画像の表示期間T0のうち、制御状態CR1(4),CR2(4)の始点P1において画素144(1,1)に対する電気信号の書き込み開始によって画素144(1,1)から青色の画像光IBを射出させ、制御状態CR1(4),CR2(4)の終点P4において画素144(m,n)に対する電気信号のリセットによって画素144(m,n)からの青色の画像光IBの射出を完了させるまでの間、光源装置10Aの回転蛍光板20から、T0×(2/5)=T2=T6=2/240[sec.]の期間で青色光Bが出力される。
図2に示すように、回転蛍光板20の回転軸RXを中心とする周方向において、基板22の表面22aの角度範囲RG1に蛍光層24が設けられている。そのため、青色光束BBが回転蛍光板20に入射する位置に対して回転蛍光板20が回転軸RXを中心に1周するときに、1周すなわち360°=2π[rad.]のうち、角度範囲RG1では回転蛍光板20から黄色光Yが出力され、角度範囲RG2では回転蛍光板20から青色光Bが出力される。例えば、1周における角度範囲RG1と角度範囲RG2との比が3:2であると想定する。すなわち、角度範囲RG1は216°=(6π/5)[rad.]であり、角度範囲RG2は144°=(4π/5)[rad.]である。第1液晶パネル140に緑色光Gを入射させて第2液晶パネル150に赤色光Rを入射させる期間T5に角度範囲RG1を合わせ、第1液晶パネル140に青色光を入射させる期間T6に角度範囲RG2を合わせると、スクリーンSCRに表示する画像のフレーム周波数である60[Hz]と第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動周波数である48[Hz]に基づいて、回転蛍光板20の基板22の最適回転速度ORSは、48×60=2880[rpm]である。モーター30が2880[rpm]で回転駆動され、モーター30の回転と第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動との同期がとられる。このことによって、回転蛍光板20は、プロジェクター301から表示される画像のフレーム周波数及びフレームレートと同じ周波数及び速度で回転し、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150に向けて各画像の表示期間T0のうちの期間T5に緑色光G及び赤色光Rを出力し、第1液晶パネル140に向けて各画像の表示期間T0のうちの期間T6に青色光Bを出力することができる。前述したように「モーター30及び回転蛍光板20の回転と第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動との同期がとられる」とは、モーター30が最適回転速度ORSで回転軸RXを中心とする周方向に回転し、周方向において回転蛍光板20に入射する青色光束BBと角度範囲RG1の始点P11が重なるタイミングと、各画像を表示する表示期間T0で最初の制御状態CR1(k),CR2(k)の各々の始点P1のタイミングとが一致することを意味する。
図9は、図1に示す光源装置10Aの回転蛍光板20を青色光束BBの入射側から見た斜視図である。プロジェクター301では、回転蛍光板20が回転軸RXを中心とする周方向で回転したときに角度範囲RG1の始点P11を検出可能である。
図9に示すように、モーター30には、例えば回転軸RXと同軸に配置されたホイール32が設けられている。ホイール32の外周面32sに対向する位置に、発光センサー22cが配置されている。発光センサー22cは、ホイール32の外周面32sに向けて不図示の位置検出用の光を射出する不図示の発光素子と、外周面32sから反射される光を受光する不図示の受光素子と、を備える。ホイール32は、モーター30の作動によって基板22と連動して回転軸RXを中心とする周方向に回転する。発光センサー22cは、基板22やホイール32とは連動せず、周方向において固定されている。ホイール32の外周面32sは、回転軸RXを中心とする周方向で第1反射面35と第2反射面37に区画されている。第1反射面35は、発光センサー22cから射出される位置検出用の光に対して所定の反射率を有し、回転軸RXを中心とする周方向で角度範囲RG1と重なっている。第2反射面37は、位置検出用の光に対して第1反射面35とは異なる反射率を有する。
回転蛍光板20の基板22及びホイール32がモーター30の駆動によって周方向に最適回転速度ORSで回転したときに、発光センサー22cはホイール32の外周面32sから反射される位置検出用の光の強度を継続的に取得する。このことによって、第1反射面35と第2反射面37との境界が発光センサー22cと対向したときに位置検出用の光の強度が変化するため、角度範囲RG1の始点P11及び終点P12が容易に検出される。発光センサー22cは、取得した位置検出用の光の強度を電気信号に変換し、生成した電気信号を図1に示す制御装置200の回転蛍光板駆動装置208に出力する。回転蛍光板駆動装置208は、発光センサー22cからの不図示の電気信号を受信し、角度範囲RG1の始点P11と同じタイミングを示すタイミング信号を、信号処理装置202を介して液晶駆動装置210に出力する。
なお、回転蛍光板20では角度範囲RG1の始点P11及び終点P12が容易に検出可能であればよく、回転蛍光板20にて始点P11及び終点P12を検出するための構成は上述の構成に特定されない。例えば、ホイール32の外周面32sにおいて周方向で始点P11及び終点P12の各々と重なる位置のみに、細い線状の第1反射ラインが設けられ、第1反射ライン以外の外周面32sが第2反射面37であってもよい。
液晶駆動装置210は、回転蛍光板駆動装置208からのタイミング信号に合わせて、第1液晶パネル140に駆動信号D3を出力し、第2液晶パネル150に駆動信号D4を出力する。具体的には、回転軸RXを中心とする周方向で角度範囲RG1の始点P11が発光センサー22cによって検出されるタイミングと同じタイミングで駆動信号D3が第1液晶パネル140に入力され、第1液晶パネル140の画素144(1,1)に各画像の緑色の画像光IGを出力させるための電気信号が書き込まれる。第1液晶パネル140に緑色の画像光IGを出力させるための電気信号が書き込まれるのと同じタイミングで、第2液晶パネル150の画素154(1,1)に各画像の赤色の画像光IRを出力させるための電気信号が書き込まれる
制御装置200は、発光センサー22cによって角度範囲RG1の始点P11が検出されるタイミングと図4に例示したタイミングチャートの各々の表示期間T0において表示期間T3及び期間T5の開始のタイミングとを一致させる。信号処理装置202には、回転蛍光板20における角度範囲RG1,RG2の比が予め記憶されている。制御装置200は、発光センサー22cによって角度範囲RG1の終点P12が検出されるタイミングと図4に例示したタイミングチャートの各々の表示期間T0において表示期間T4及び出力期間T6の開始のタイミングとを一致させる。
角度範囲RG1の終点P12が発光センサー22cと対向するタイミングは、角度範囲RG1の始点P11が発光センサー22cによって検出されたタイミング、最適回転速度ORS及び角度範囲RG1,RG2の比から算出可能である。制御装置200では、実際に角度範囲RG1の終点P12が発光センサー22cによって検出されて回転蛍光板駆動装置208からのタイミング信号が信号処理装置202に出力されるタイミングと、信号処理装置202で前述のように角度範囲RG1の始点P11が発光センサー22cによって検出されたタイミングから最適回転速度ORS及び角度範囲RG1,RG2の比に基づいて算出されるタイミングとのずれを検出することによって、回転蛍光板20が最適回転速度ORSで回転しているか否かを確認することができる。制御装置200は、前述のタイミングのずれを零にするように、基板22の周方向での回転のタイミングや速度を修正する駆動信号D2を回転蛍光板20のモーター30に出力することができる。
上述のように、制御装置200によって制御され、モーター30及び回転蛍光板20の最適回転速度ORSでの回転と第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動とは互いに同期することによって、図4を参照して説明したタイミングチャートに沿って、投射光学系190から黄色の画像光IYと青色の画像光IBが時系列で互いに混色せずに出力される。黄色の画像光IYと青色の画像光IBとの切り替え速度は、人間の画像認識の速度よりも早く設定されている。そのため、プロジェクター301の使用者及び観察者は、スクリーンSCRでフルカラーの画像を観察することができる。
黄色の画像光IYと青色の画像光IBの期間T5,T6の比が3:2に設定され、第1液晶パネル140における各画像に対する緑色の画像光IGと青色の画像光IBとの表示期間T3,T4の比が2:1に設定されているため、第1液晶パネル140から出力される画像光IG,IBを明るくすることができる。しかしながら、プロジェクター301によってフルカラーの画像を表示する場合、画像のカラーバランス或いはホワイトバランスを最適化するためには、黄色の画像光IYと青色の画像光IBとの光量比は所定の比に設定される。黄色の画像光IYと青色の画像光IBとの光量比(所定の比)は、特定の比に限定されず、発表や講演、或いは映画鑑賞を含むプロジェクター301の使用用途に応じて適切に設定される。具体的に、黄色の画像光IYと青色の画像光IBとの光量比は、図示していないが例えば色度座標x,yにおいてx=0.270~0.340及びy=0.265~0.390に設定される。色度座標x,yにおいてx=0.270~0.340及びy=0.265~0.390の範囲を満たすことを必要条件とする場合、黄色の画像光IYと青色の画像光IBとの光量比は4:1~1:1の範囲内で設定される。ここで、黄色の画像光IYと青色の画像光IBとの光量比は、例えば4:1に設定されると想定する。
図1に示す画像光生成装置100Aの第1液晶パネル140の各々の画素144での緑色の画像光IG及び赤色の画像光IRと青色の画像光IBとの表示期間T3,T4の比は前述のように2:1に設定されている。そのため、投射光学系190から出力される黄色の画像光IYと青色の画像光IBとの光量比を4:1にするためには、回転蛍光板20から出力される黄色光Yと青色光Bとの光強度の比を2:1にすることが好ましい。したがって、青色光束BBから黄色光Yへの蛍光変換時の光損失を無視すれば、蛍光変換されない期間での青色光束BBの出力強度は、黄色光Yに蛍光変換される期間での青色光束BBの出力強度の2/4倍、すなわち50%に減じられている。
図10は、制御装置200の光源駆動装置206から光源11に出力される駆動信号D1の電流値及び周波数と、光源11から出力される青色光束BB及び回転蛍光板20から出力される黄色光Y又は青色光Bとの対応関係を表した図である。図10に示すように、例えば各画像の表示期間T0において、光源11から射出された青色光Bが回転蛍光板20の蛍光層24に照射されて回転蛍光板20から黄色光Yが出力される期間、すなわち出力期間T1では、光源駆動装置206は、光源11の各々の発光素子11Sに対して所定の光強度の青色光束BBを形成するための青色光Bを出力させる駆動信号D1を出力する。出力期間T1での駆動信号D1の電流値i1は、プロジェクター301から出力される画像に求められる明るさや画像光生成装置100A及び光源装置10Aを構成する各部品の仕様を勘案して設定される。出力期間T1では、PWM信号生成装置204は、光源駆動装置206に対して、デューティー比100%のハイレベルのPWM信号S1を出力する。すなわち、出力期間T1では、光源11の発光時間と消光時間との比は1:0であり、光源11は電流値i1で駆動された点灯状態にある。
続いて、各画像の表示期間T0において、光源11から射出された青色光Bが蛍光層24に照射されずに回転蛍光板20がない空間を通る期間、すなわち出力期間T2では、光源駆動装置206は、光源11の各々の発光素子11Sに対して所定の光強度の1/2倍の光強度の青色光束BBを形成するための青色光Bを出力させる駆動信号D1を出力する。このときの駆動信号D1の電流値i2は、(i1/2)である。駆動信号D1の電流値をi2にするために、出力期間T2では、PWM信号生成装置204は、光源駆動装置206に対して、デューティー比50%のハイレベルのPWM信号S1を出力する。すなわち、出力期間T2では、光源11の発光時間と消光時間との比は1:1であり、光源11は電流値i2で駆動された点灯状態と同等の状態にある。
なお、出力期間T2でのPWM信号S1の周期T20は、第1液晶パネル140の各画素144での電気信号の保持期間T10及び第2液晶パネル150の各画素154での電気信号の保持期間T10の整数分の1であることが好ましい。このように周期T20が設定されることによって、黄色の画像光IYと青色の画像光IBの各々におけるフリッカーを発生が良好に抑えられる。
前述のようにPWM信号生成装置204及び光源駆動装置206によって光源11が制御されることによって、出力期間T2での光源装置10Aの回転蛍光板20からの青色光Bの光強度は、出力期間T1での黄色光Yの光強度の2/4倍、すなわち50%に減じられている。このことによって、画像光生成装置100Aにおける第1液晶パネル140で緑色の画像光IGの表示期間T3と青色の画像光IBの表示期間T4との比が2:1に設定された場合でも、投射光学系190から出力される黄色の画像光IYと青色の画像光IBとの光量比は4:1である。
上述のように、制御装置200によって制御され、モーター30及び回転蛍光板20の最適回転速度ORSでの回転と第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動との同期がとられ、光源11から出力される青色光束BBの出力強度が回転蛍光板20の角度範囲RG1,RG2の比に合わせて調整されることによって、第1液晶パネル140から出力される2色の画像光IG,IBを明るく保ち、投射光学系190から出力される画像のカラーバランス或いはホワイトバランスを良好に保つことができる。
上述では、第1液晶パネル140における各画像に対する画像光IG,IBの表示期間T3,T4の比、投射光学系190から出力される画像光IY,IBの期間T5,T6の比、回転蛍光板20の角度範囲RG1,RG2の比、及び投射光学系190から出力される画像の最適なカラーバランス或いはホワイトバランスに基づく黄色光Yと青色光Bの回転蛍光板20からの出力強度の比の各々について具体的な数値例を挙げて説明した。なお、プロジェクター301において各種設定される比は、プロジェクター301の使用目的及び設置環境やプロジェクター301に使用される光学素子及び電気部品の仕様等によって適宜変更される。
図11は、プロジェクター301における各種設定を最適化して画像を表示するための構成を示すブロック図である。プロジェクター301において、以下のように設定されていると想定する。例えば、以下のN1~N10は、設定された任意の自然数である。
*回転蛍光板20からの黄色光Y及び青色光Bの出力期間T1,T2の比・・・N1:N2
*各画像での第1液晶パネル140の画素144における緑色の画像光IG及び青色の画像光IBの表示期間T3,T4の比・・・N3:N4
*黄色光Y及び青色光Bの回転蛍光板20から射出される期間T5,T6の比・・・N5:N6
*第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動周波数・・・N7[Hz]=(1/N7)[sec.]
*投射光学系190から出力される画像のフレーム周波数・フレームレート・・・N8[Hz]=(1/N8)[sec.],N8[fps]
*ホワイトバランスに基づく黄色の画像光IY及び青色の画像光IBのダイクロイックミラー180からの光量比・・・N9:N10
図11に示すように、制御装置200の光源駆動装置206は、プロジェクター301から表示する複数の画像の各々の表示期間T0において、出力期間T1={(N7/N8)/N7}×{N5/(N5+N6)}[sec.]で所定の光強度I1の青色光束BBを射出させるための駆動信号D1を光源11に出力する。このときの駆動信号D1を駆動信号D1(1)と記載する。出力期間T1に続く出力期間T2={(N7/N8)/N7}×{N6/(N5+N6)}[sec.]で、光源駆動装置206は、光強度I2=I1×{(N3×N10)/(N4×N9)}の青色光束BBを射出させるための駆動信号D1を光源11に出力する。このときの駆動信号D1を駆動信号D1(2)と記載する。上述のように、駆動信号D1(1),D1(2)は、光源11に対して出力期間T1;T2で時系列に出力される。
制御装置200の回転蛍光板駆動装置208は、光源駆動装置206から駆動信号D1(1)が出力される出力期間T1に同期して駆動信号D2を回転蛍光板20のモーター30に出力する。このときの駆動信号D2を駆動信号D2(1)と記載する。駆動信号D2(1)は、モーター30の回転駆動によって基板22を最適回転速度ORS=N8×60[rpm]で回転させ、出力期間T1の開始時刻で回転軸RXを中心とする周方向で青色光束BBと回転蛍光板20の基板22における始点P11との位置を合わせる。駆動信号D2(1)が入力されている回転蛍光板20から、黄色光Yが出力される。回転蛍光板駆動装置208は、光源駆動装置206から駆動信号D1(2)が出力される出力期間T2に同期して駆動信号D2を回転蛍光板20に出力する。このときの駆動信号D2を駆動信号D2(2)と記載する。駆動信号D2(2)は、駆動信号D2(1)と同じくモーター30の回転駆動によって基板22を最適回転速度ORSで回転させ、出力期間T2の開始時刻で回転軸RXを中心とする周方向で青色光束BBと基板22における終点P12との位置を合わせる。駆動信号D2(2)が入力されている回転蛍光板20から、青色光Bが出力される。
出力期間T1で角度範囲RG1の回転蛍光板20から出力された黄色光Yは、前述のようにダイクロイックミラー110によって緑色光Gと赤色光Rに分離される。分離された緑色光Gは第1液晶パネル140に入力され、分離された赤色光Rは第2液晶パネル150に入力される。出力期間T2で角度範囲RG2の空間を通った青色光Bは、第1液晶パネル140に入力される。
制御装置200の液晶駆動装置210は、出力期間T1に同期して期間T5で駆動信号D3を第1液晶パネル140に出力する。すなわち、T5=T1-1/N7である。このときの駆動信号D3を駆動信号D3(1)と記載する。駆動信号D3(1)は、第1液晶パネル140の最初の画素144(1,1)に表示期間T3=[{(N7/N8)-2}/N7]×{N3/(N3+N4)}[sec.]で入射する緑色光Gを変調させ、画像信号V2に基づいて画素144(1,1)に対応する緑色の画像光IGを出力させる。続いて、駆動信号D3(1)は、画素144(1,1)以外の残りの複数の画素144を順次走査し、表示期間T3で各々の画素144に入射する緑色光Gを変調させ、各々の画素144から画像光IGを出力させる。
駆動信号D3は、第1液晶パネル140の最初の画素144(1,1)で表示期間T3に緑色の画像光IGを出力させた直後に、保持期間T10と同じ最短期間で何れの色の画像光も出力させず、黒色を表示させる。前述の最短期間は、1/N7[sec.]と同等である。このときの駆動信号D3を駆動信号D3(2)と記載する。駆動信号D3(2)は、画素144(1,1)以外の残りの複数の画素144を順次走査し、各々の画素144で最短期間に黒色を表示させる。
制御装置200の液晶駆動装置210は、出力期間T2に同期して期間T6に駆動信号D3を第1液晶パネル140に出力する。すなわち、T6=T2-1/N7である。このときの駆動信号D3を駆動信号D3(3)と記載する。駆動信号D3(3)は、第1液晶パネル140の最初の画素144(1,1)に表示期間T4=[{(N7/N8)-2}/N7]×{N4/(N3+N4)}[sec.]で入射する青色光Bを変調させ、画像信号V2に基づいて画素144(1,1)に対応する青色の画像光IBを出力させる。続いて、駆動信号D3(3)は、画素144(1,1)以外の残りの複数の画素144を順次走査し、表示期間T4で各々の画素144に入射する緑色光Gを変調させ、各々の画素144から画像光IGを出力させる。
駆動信号D3は、第1液晶パネル140の最初の画素144(1,1)で表示期間T4に青色の画像光IBを出力させた直後に、保持期間T10と同じ前述の最短期間で何れの色の画像光も出力させず、黒色を表示させる。このときの駆動信号D3を駆動信号D3(4)と記載する。駆動信号D3(4)は、画素144(1,1)以外の残りの複数の画素144を順次走査し、各々の画素144で最短期間に黒色を表示させる。
制御装置200の液晶駆動装置210は、出力期間T1に同期して期間T5に駆動信号D4を第2液晶パネル150に出力する。このときの駆動信号D4を駆動信号D4(1)とする。駆動信号D4(1)は、第2液晶パネル150の最初の画素154(1,1)に表示期間T3で赤色光Rを変調させ、画像信号V2に基づいて画素154(1,1)に対応する赤色の画像光IRを出力させる。続いて、駆動信号D4(1)は画素154(1,1)以外の残りの複数の画素154を順次走査し、表示期間T3で各々の画素154に入射する赤色光Rを変調させ、各々の画素154から画像光IRを出力させる。
駆動信号D4は、第2液晶パネル150の最初の画素154(1,1)で表示期間T3に緑色の画像光IGを出力させた直後に、保持期間T10と同じ前述の最短期間で画素154(1,1)に何れの色の画像光も出力させず、黒色を表示させる。このときの駆動信号D4を駆動信号D4(2)と記載する。駆動信号D4(2)は、画素154(1,1)以外の残りの複数の画素154を順次走査し、各々の画素154で最短期間に黒色を表示させる。
駆動信号D4は、第2液晶パネル150の画素154(1,1)で表示期間T3に黒色を表示させた後に、第1液晶パネル140で画素144(1,1)に青色の画像光IBを表示させている表示期間T4で画素154(1,1)に何れの色の画像光も出力させず、黒色を表示させる。このときの駆動信号D4を駆動信号D4(3)と記載する。駆動信号D4(3)は、画素154(1,1)以外の残りの複数の画素154を順次走査し、各々の画素154で表示期間T4に黒色を表示させる。その後、駆動信号D4は、前述の最短期間で画素154(1,1)に何れの色の画像光も出力させず、黒色を表示させる。このときの駆動信号D4を駆動信号D4(4)と記載する。駆動信号D4(4)は、画素154(1,1)以外の残りの複数の画素154を順次走査し、各々の画素154で最短期間に黒色を表示させる。
上述のように、制御装置200の光源駆動装置206から光源11に駆動信号D1(1),D1(2)か出力され、回転蛍光板駆動装置208から回転蛍光板20のモーター30に駆動信号D1(1)と同期して駆動信号D2(1)が出力され、駆動信号D2(2)と同期して駆動信号D2(2)が出力される。また、上述のように液晶駆動装置210は、プロジェクター301から表示する複数の画像のうち、各々の画像の表示期間T0にて、駆動信号D3(p)と駆動信号D4(p)(p=1~4)とのタイミングを互いに一致させる。液晶駆動装置210から第1液晶パネル140に駆動信号D1(1),D2(1)と同期して駆動信号D3(1),D3(2)が順次入力され、第2液晶パネル150に駆動信号D1(1),D2(1)と同期して駆動信号D4(1),D4(2)が順次入力される。液晶駆動装置210から駆動信号D1(2),D2(2)に同期して第1液晶パネル140に駆動信号D3(3),D3(4)が順次入力される。このことによって、前述の各種比及び各種設定値に応じて最適化されたタイミング及び光量で画像光生成装置100Aから黄色の画像光IYと青色の画像光IBが時系列に出力され、フルカラーの画像光における混色の発生が抑えられ、スクリーンSCRにてフルカラーの画像光を観察可能である。
以上説明した第1実施形態のプロジェクター301は、少なくとも第1液晶パネル14
0と、第2液晶パネル150と、光源装置10Aと、を備える。第1液晶パネル140に
は青色光(第1色光)Bと緑色光(第2色光)Gが入射し、第1液晶パネル140は青色
の画像光(第1色の画像光)IBと緑色の画像光(第2色の画像光)IGとを時系列で出
力する。第2液晶パネル150には赤色光(第3色光)が入射し、第2液晶パネル150
は赤色の画像光(第3色の画像光)IRを出力する。光源装置10Aは、各画像の表示期
間T0において時系列に含まれる青色光Bと緑色光Gと赤色光R(第1色光と第2色光と
第3色光とを含む光)を画像光生成装置100Aの第1液晶パネル140と第2液晶パネ
ル150に供給する。光源装置10Aは、青色光Bを発光する発光素子11Sで構成され
ている光源(第1固体光源)11と、青色光Bを励起光として緑色光Gと赤色光Rとを含
む黄色光(変換光)に波長変換する蛍光層24と、を有する。第1実施形態のプロジェク
ター301では、光源装置10Aからの青色光Bと黄色光Yの出力期間T1,T2の比T
1:T2は、画像光生成装置100Aから画像のフレームレートに応じて第1液晶パネル
140の緑色の画像光IGと第2液晶パネル150は赤色の画像光IRとが合成された黄
色の画像光IYと青色の画像光IBが出力される期間(出力期間)T5,T6の比と同じ
である。また、第1実施形態のプロジェクター301では、青色光Bの出力強度は、青色
光Bと黄色光Yの出力期間T1,T2の比T1:T2に基づいて、黄色光Yの出力強度に
応じて設定されている。すなわち、第1実施形態のプロジェクター301では、青色光B
と黄色光Yの出力期間の比T1:T2が青色の画像光IBと緑色の画像光IGを含む黄色
の画像光(第2色の画像光)IYが出力される期間(出力期間)の比T5:T6に一致す
る。さらに、画像光IB,IGが出力される期間の比T5:T6、及びプロジェクター3
01から出力される画像光IB,IYの光量のカラーバランスに基づく比率(すなわち、
比N9:N10)に基づいて、黄色光Yの出力強度に対する青色光Bの出力強度が設定さ
れている。
緑色及び青色の2つの色の画像光IG,IBを時系列で出力するために、第1液晶パネル140においてフレームレートに応じた表示時間T0での2つの画像光IG,IBの割合が出力期間T3,T4或いは期間T5,T6として設定される。光源装置10Aからの青色光Bと黄色光Yの出力期間の比T1:T2は、フレームレートに応じた表示時間T0での2つの画像光IG,IBの割合に応じて、期間T5,T6と同等に設定される。上述の構成を備えていない場合、黄色光Yの光強度に対して青色光Bの出力強度は、必ずしもプロジェクターの使用用途に応じたカラーバランスに合わせて設定されず、カラーバランスが取れた画像光IMを出力することが困難である。第1実施形態のプロジェクター301によれば、青色光Bの単位時間当たりの出力強度が時系列に出力される青色光Bと黄色光Yの出力時間の比T1:T2に基づいて黄色光Yの出力強度に対して最適に設定されることで、スクリーンSCRで観察される3原色(R,G,B)の画像光のカラーバランスを良好に調整することができる。
第1実施形態のプロジェクター301では、第1液晶パネル140は、青色の画像光(第1色の画像光)IBと緑色の画像光(第2色の画像光)IGとの間に、黒色表示を行うことによって黒の画像光を出力する。第1実施形態のプロジェクター301によれば、スクリーンSCRで観察される画像光のカラーバランスを良好に調整し、さらに画像での青色(第1色)と緑色(第2色)との混色の発生を防止することができる。
第1実施形態のプロジェクター301では、例えば映画鑑賞を含む使用用途に応じて黄
色の画像光IYと青色の画像光(第1色の画像光)IBの出力強度の比が4:1に設定さ
れている。青色光(第1光)Bの光強度は、黄色の画像光IYと青色の画像光(第1色の
画像光)IBの出力強度の比、すなわち4:1に基づいて、黄色光(変換光)Yの光強度
に応じて設定されている。第1実施形態のプロジェクター301によれば、画像光生成装
置100Aから時系列で出力される画像光IY,IGの比が4:1になるように、黄色光
Yの光強度に対する青色光Bの相対的な光強度を最適に設定することができる。
第1実施形態のプロジェクター301では、光源装置10Aは、蛍光層(波長変換素子)24を有する回転蛍光板(波長変換回転体)20を備える。また、回転蛍光板20には、青色光出力領域(透過部)36として青色光Rが透過する空間が設けられている。第1実施形態のプロジェクター301は、光源11での青色光Bの発光を制御する制御装置200をさらに備える。制御装置200は、青色光Bが青色光出力領域36を透過する出力期間(期間)T2で、光源(第1固体光源)11からの青色光(第1色光)Bの出力強度を青色光(第1色光)Bと黄色光(変換光)Yの出力時間の比T1:T2に基づいて制御する。第1実施形態のプロジェクター301によれば、蛍光層24と青色光出力領域36とが設けられた回転蛍光板20を用いて、青色光Bが青色光出力領域36を透過する出力期間T2で青色光の出力強度を制御するため、スクリーンSCRで観察される画像光のカラーバランスを良好に調整することができる。
第1実施形態のプロジェクター301は、光源(第1固体光源)11における青色光Bの発光を制御する光源制御装置206を備える。光源制御装置206は、青色光Bが青色光出力領域36を透過する出力期間(期間)T2で、光源11からの青色光Bの出力強度を青色光(第1色光)Bと黄色光(変換光)Yの出力時間の比T1:T2に基づいて制御する。第1実施形態のプロジェクター301によれば、光源制御装置206が少なくとも青色光Bと黄色光Yの出力時間の比T1:T2に基づき、画像光IB,IGの光量比に合わせて青色光Bの出力強度を制御するため、スクリーンSCRで観察される画像光のカラーバランスを良好に調整することができる。
また、第1実施形態の光源装置10Aは、各画像の表示期間T0において時系列に含まれる青色光Bと緑色光Gと赤色光R(第1色光と第2色光と第3色光とを含む光)を画像光生成装置100Aの第1液晶パネル140と第2液晶パネル150に供給する。光源装置10Aは、青色光Bを発光する発光素子11Sで構成されている光源(第1固体光源)11と、青色光Bを励起光として緑色光Gと赤色光Rとを含む黄色光(変換光)に波長変換する蛍光層24と、を有する。光源装置10Aは、青色光Bと黄色光Yとを出力時間T1:T2で時系列に出力する。光源装置10Aでは、青色光Bと黄色光Yの出力期間の比T1:T2が青色の画像光IBと黄色の画像光IYが出力される期間(出力期間)の比T5:T6に一致する。光源装置10Aでは、画像光IB,IGが出力される期間の比T5:T6、及びプロジェクター301から出力される画像光IB,IYの光量のカラーバランスに基づく比率(すなわち、比N9:N10)に基づいて、青色光Bの出力強度が黄色光Yの出力強度に応じて設定されている。
第1実施形態のプロジェクター301に関して説明したように、2つの液晶パネルを用いて3つの色光の画像光を生成する場合、上述の構成を備えていなければ、黄色光Yの光強度に対して青色光Bの出力強度は、必ずしもプロジェクターの使用用途に応じたカラーバランスに合わせて設定されず、カラーバランスが取れた画像光IMを出力することが困難である。第1実施形態の光源装置10Aを備えることによって、青色光Bの単位時間当たりの出力強度が時系列に出力される青色光Bと黄色光Yの出力時間の比T1:T2に基づいて黄色光Yの出力強度に対して最適に設定され、スクリーンSCRで観察される3原色の画像光のカラーバランスを良好に調整することができる。
第1実施形態の光源装置10Aでは、プロジェクター301と同様に、例えば映画鑑賞を含む使用用途に応じて青色の画像光(第1色の画像光)IBと緑色の画像光(第2色の画像光)IGの出力強度の比が4:1に設定されている。青色光(第1光)Bの光強度は、青色の画像光(第1色の画像光)IBと緑色の画像光(第2色の画像光)の出力強度の比、すなわち4:1に基づいて、黄色光(変換光)Yの光強度に応じて設定されている。第1実施形態の光源装置10Aによれば、画像光生成装置100Aから時系列で出力される画像光IB,IGの比が4:1になるように、黄色光Yの光強度に対する青色光Bの相対的な光強度を最適に設定することができる。
第1実施形態の光源装置10Aは、蛍光層(波長変換素子)24を有する回転蛍光板(波長変換回転体)20と、光源11での青色光Bの発光を制御する制御装置200と、を備える。回転蛍光板20には、青色光出力領域(透過部)36として青色光Rが透過する空間が設けられている。制御装置200は、青色光Bが青色光出力領域36を透過する出力期間(期間)T2で、光源(第1固体光源)11からの青色光(第1色光)Bの出力強度を青色光(第1色光)Bと黄色光(変換光)Yの出力時間の比T1:T2に基づいて制御する。第1実施形態の光源装置10Aによれば、蛍光層24と青色光出力領域36とが設けられた回転蛍光板20を用いて、青色光Bが青色光出力領域36を透過する出力期間T2で青色光の出力強度を制御するため、スクリーンSCRで観察される画像光のカラーバランスを良好に調整することができる。
第1実施形態の光源装置10Aは、光源(第1固体光源)11における青色光Bの発光を制御する光源制御装置206を備える。光源制御装置206は、青色光Bが青色光出力領域36を透過する出力期間(期間)T2で、光源11からの青色光Bの出力強度を青色光(第1色光)Bと黄色光(変換光)Yの出力時間の比T1:T2に基づいて制御する。第1実施形態の光源装置10Aによれば、光源制御装置206が少なくとも青色光Bと黄色光Yの出力時間の比T1:T2に基づき、画像光IB,IGの光量比に合わせて青色光Bの出力強度を最適値に制御するため、スクリーンSCRで観察される画像光のカラーバランスを良好に調整することができる。
なお、第1実施形態のプロジェクター301の変形例では、青色光束(青色光)BBを透過する基板22のみが回転軸RXを中心とする周方向の角度範囲RG2で削除されずにあってもよい。図12は、第1実施形態のプロジェクター301の変形例の回転蛍光板20の平面図である。図12に示すように、基板22は、発光素子11Sからの青色光Bを出力する青色光出力領域36を有する。すなわち、青色光出力領域36は、蛍光層とダイクロイック膜が存在しない透光性の基板のみで構成される。第1実施形態のプロジェクター301の変形例においても、基板22が回転軸RXを中心とする回転によって角度範囲RG1で青色光Bを出力し、角度範囲RG2で黄色光Yを出力するため、青色光Bと黄色光Yとを容易に時系列で出力することができる。
また、第1実施形態のプロジェクター301の第1変形例は、画像光生成装置100Aに替えて、画像光生成装置100Bを備える。図13は、画像光生成装置100Bの構成を示す概略図である。図13に示すように、画像光生成装置100Bは、画像光生成装置100Aのダイクロイックミラー180に替えて、第1液晶パネル140から出力された青色の画像光IB又は緑色の画像光(一方の画像光)IGと赤色の画像光(他の色の画像光)IRとを互いに共通の光路に出力するキューブダイクロイックミラー310を備えてもよい。キューブダイクロイックミラー310又はダイクロイックプリズムは、入射する青色の画像光IB又は緑色の画像光IGを透過し、赤色の画像光IRを画像光IB,IGと同じ光路に反射する反射層313を有する。プロジェクター301の第1変形例は、プロジェクター301と同様の作用効果を奏する。
図示していないが、プロジェクター301の第1変形例の画像光生成装置100Bは、画像光生成装置100Aのダイクロイックミラー110に替えて、光源装置10Aから出力された青色光B又は黄色光Yのうち、青色光Bと緑色光Gとを透過し、赤色光Rを反射するキューブダイクロイックミラーを備えてもよい。
プロジェクター301の第2変形例は、光源装置10Aに替えて、光源装置10Cを備える。図14は、光源装置10CBの構成を示す概略図である。図14に示すように、光源装置10Cは、光源11と、拡散板320と、偏光板321と、(1/4)波長板326と、集光光学系330と、回転蛍光板20と、を備える。
光源11の複数の発光素子11Sの各々は、青色光Bとしてp偏光の青色光Bsを射出する。光源11は、青色光束BBとして、青色光Bsがまとまったs偏光の青色光束BBsを出力する。拡散板320は、入射する青色光束BBsを透過し、青色光束BBsを拡散し、青色光束BBsの光強度分布を均一化する。偏光板321は、ミラーコーティング322と、不図示の基板と、ダイクロイックミラー324と、を備える。ミラーコーティング322は、偏光板321の基板において拡散板320から射出された青色光束BBsが入射する表面に設けられている。ダイクロイックミラー324は、偏光板321の基板においてミラーコーティング322が設けられている表面とは反対側の表面に設けられている。ミラーコーティング322は、s偏光の光を透過し、p偏光の光を反射する。偏光板321の基板は、可視波長域の光を透過する。ダイクロイックミラー324は、青色光Bを透過し、黄色光Yを反射する。拡散板320から出力されて偏光板321に入射した青色光束BBsは、ミラーコーティング322、不図示の基板、及びダイクロイックミラー324を透過する。
集光光学系330は、(1/4)波長板326と回転蛍光板20との間の青色光Bs,Bpの光路に配置され、(1/4)波長板326から射出された青色光Bs,Bpを集光し、回転蛍光板20の蛍光層24に入射させる。集光光学系330は、例えば第1レンズ331、第2レンズ332及び第3レンズ333を備える。第1レンズ331、第2レンズ332、第3レンズ333の各々は、例えば凸レンズである。なお、集光光学系330は、青色光Bs,Bpの光強度分布を均一化する効果を十分に得るために、不図示の非球面レンズを備えてもよい。
回転蛍光板20は、基板22と、蛍光層24と、モーター30と、を有する。回転蛍光板20は、青色光Bs,Bpの入射側と同じ側に向けて赤色光R及び緑色光Gを含む黄色光Yを出力する。蛍光層24は、基板22の裏面22bに設けられている。基板22は、青色光B及び黄色光Yを含む可視波長域の光を反射する材料によって構成されている。基板22の材料としては、例えば、ステンレス(SUS)等が挙げられる。光源装置10Bにおいては、青色光束(青色光)Bを反射する基板22が回転軸RXを中心とする周方向の角度範囲RG2で削除されずに存在する。回転蛍光板20では、基板22及びモーター30は、集光光学系330に対して、回転軸RXを中心とする径方向において集光光学系330から射出された青色光Bs,Bpが回転軸RXと基板22の外周縁との間の領域で蛍光層24に照射可能であるように、配置されている。図示していないが、光源装置10Aと同様に、光源装置10Cにおいて、蛍光出力領域28は、回転軸RXを中心とする周方向で角度範囲RG1に設けられ、回転軸RXを中心とする径方向で基板22の外周縁と中心又は内周縁との間で少なくとも青色光Bs,Bpの照射領域を含む領域に設けられている。
回転蛍光板20の第1状態では、集光光学系330から出力された青色光束(青色光)Bs,Bpは、蛍光層24に直接入射する。蛍光層24は、入射した青色光Bs,Bpによって励起され、青色光Bs,Bpを黄色光Yに波長変換し、s偏光及びp偏光の黄色光Ys,Ypを蛍光層24の厚み方向で基板22に向かう側及び基板22に向かう側とは反対側に射出する。蛍光層24から基板22に向かって射出された黄色光Ys,Ypは、基板22で反射され、基板22に向かう側とは反対側に射出される。すなわち、第1状態では、図14に示すように、回転蛍光板20に対して青色光Bs,Bpの入射側と同じ側に回転蛍光板20から黄色光Ys,Ypが出力される。第2状態では、青色光Bs,Bpは、回転軸RXを中心とする周方向の角度範囲RG2の基板22に照射され、基板22によって反射される。すなわち、第2状態では、回転蛍光板20に対して青色光Bs,Bpの入射側と同じ側に青色光Bs,Bpが出力される。
回転蛍光板20から時系列で出力される黄色光Ys,Yp又は青色光Bs,Bpは、再び(1/4)波長板326に入射し、(1/4)波長板326によってp偏光の黄色光Yp又はp偏光の黄色光Ybに変換される。(1/4)波長板326から射出された黄色光Yp又は青色光Bpは偏光板321に入射する。偏光板321に入射する黄色光Yp又は青色光Bpのうち、黄色光Ypは、ダイクロイックミラー324によって反射される。偏光板321に入射する黄色光Yp又は青色光Bpのうち、青色光Bpは、ダイクロイックミラー324及び不図示の基板を透過し、ミラーコーティング322によって黄色光Ypの光路と同じ光路に反射される。偏光板321から、p偏光の黄色光Yp又は青色光Bpが角度範囲RG1,RG2に応じて時系列で画像光生成装置100Aに出力される。
上述の構成を備える光源装置10Bは、第1実施形態で説明した光源装置10Aと同様に、青色光Bsを出力する発光素子11Sと、発光素子11Sで出力した青色光Bsを蛍光変換して黄色光Ys,Ypを出力する蛍光層(波長変換素子)24と、を有する。光源装置10Bは、青色光Bpと黄色光Ypとを時系列で出力する。光源装置10Aに替えて光源装置10Bを備えるプロジェクター301は、第1実施形態のプロジェクター301と同様の作用効果を奏する。
なお、光源装置10A,10Cの各々において、回転蛍光板20の基板22の回転軸RXを中心とする周方向の1周分の領域に蛍光層24が配置されて黄色光Yを出力する角度範囲RG1の蛍光出力領域28と、蛍光層24が配置されずに青色光Bを出力する角度範囲RG2の青色光出力領域36に区分されている。プロジェクター301の第3変形例として、基板22の回転軸RXを中心とする周方向の1周分の領域が複数の小領域に区画され、各々の小領域が蛍光出力領域28と青色光出力領域36に区画されてもよい。
図15は、光源装置10A,10Cの各々における回転蛍光板20の変形例の構成を示す平面図である。図15に示すように、基板22の回転軸RXを中心とする周方向の1周分の領域が複数の小領域に等分割され、例えば6個の小領域に等分割されてもよい。各々の小領域の角度範囲RG3は、360°/6=60°=π/3[rad.]であり、角度範囲RG1,RG2に区画されている。小領域の角度範囲RG3のうち、角度範囲RG1には蛍光層24が設けられ、角度範囲RG2には蛍光層24が設けられていない。すなわち、小領域において回転軸RXを中心とする周方向では、蛍光層24が設けられた蛍光出力領域28と青色光Bを透過する青色光出力領域36との比、すなわち角度範囲RG1,RG2の比は、第1実施形態で説明した例と同様に3:2に設定され、回転蛍光板20からの黄色光Y及び青色光Bの出力期間T1,T2の比と同じくN1:N2に設定されている。出力期間T1,T2の比が3:2であれば、角度範囲RG1=36°=π/5[rad.]であり、角度範囲RG1=24°=2π/15[rad.]である。このことによって、回転蛍光板20が回転制御信号C2に応じた最適回転速度ORSで回転した際に、各々の画像すなわち1フレームに対して第1液晶パネル140に入射する緑色光Gと青色光Bの期間が3:2すなわちN1:N2に最適化され、プロジェクター301から出力される画像でのフリッカーが低減される。
なお、基板22の回転軸RXを中心とする周方向の1周分の領域がQ個の小領域に等分割される場合、出力期間T1,T2の比すなわち自然数N1,N2と最適回転速度ORS、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動周波数すなわち自然数N7、及びPWM信号S1の周波数が互いに所定の関係式や条件を満たすように、等分割数Qが適宜設定される。所定の関係式や条件を満たす場合としては、例えば前述のように複数のパラメーターが互いに整数倍の関係を有する場合が挙げられる。
プロジェクター301の第4変形例は、画像光生成装置100Aに替えて、画像光生成装置100Cを備える。図16は、画像光生成装置100Cの構成を示す概略図である。図16に示すように、画像光生成装置100Cは、画像光生成装置100Aと同じ構成を備える。但し、画像光生成装置100Cでは、ダイクロイックミラー110は、入射する青色光B又は黄色光Yのうち、青色光B又は緑色光Gを反射し、赤色光Rを透過する。ダイクロイックミラー110において青色光B又は黄色光Yの入射側の基板の表面に、反射ダイクロイックコート117が施されている。光源装置10Aから出力された青色光B又は黄色光Yは、ダイクロイックミラー110に入射し、青色光B又は黄色光Yのうち、青色光B又は緑色光Gはダイクロイックミラー110で反射され、赤色光Rはダイクロイックミラー110を透過し、ダイクロイックミラー110によって青色光B又は緑色光Gとは異なる方向に透過する。つまり、ダイクロイックミラー110は、光源装置10Aから出力された青色光Bを反射し、黄色光Yを互いに異なる緑色光Gと赤色光Rに分離する。
反射ミラー112は、ダイクロイックミラー110を透過した赤色光Rの光路に配置され、入射する赤色光Rを第2液晶パネル150の画像形成領域に向けて反射する。反射ミラー114は、ダイクロイックミラー110で反射された青色光B又は緑色光Gの光路に配置され、入射する青色光B又は緑色光Gを第1液晶パネル140の画像形成領域に向けに向けて反射する。
反射ミラー112によって反射された赤色光Rの光路と反射ミラー114によって反射された青色光B又は緑色光Gの光路とは、所定の位置で互いに交差する。前述の所定の位置に、ダイクロイックミラー180が配置されている。集光レンズ121、第1偏光板131、第1液晶パネル140、及び第1偏光板132は、反射ミラー114とダイクロイックミラー180との間の青色光B又は緑色光Gの光路に順次配置されている。集光レンズ122、第2偏光板135、第2液晶パネル150、及び第2偏光板136は、反射ミラー112とダイクロイックミラー180との間の赤色光Rの光路に順次配置されている。
ダイクロイックミラー180において緑色の画像光IG又は青色の画像光IBの入射側の基板の表面に、反射ダイクロイックコート183が施されている。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IRは、ダイクロイックミラー180を透過する。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IB又は画像光IGは、反射ダイクロイックコート183によって画像光IRと同一の光路に反射される。ダイクロイックミラー180は、画像光IY,IBを互いに共通の光路に時系列で出力する。画像光生成装置100Aに替えて画像光生成装置100Cを備えるプロジェクター301は、第1実施形態のプロジェクター301と同様の作用効果を奏する。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図17から図20を参照して説明する。以下では、第2実施形態以降の各実施形態のプロジェクターの構成について、上位の実施形態及び各変形例で説明した構成と共通する構成には、当該共通する構成と同一の符号を付し、当該共通する構成の説明を省略する。
図17は、第2実施形態のプロジェクター302の構成を示す概略図である。図17に示すように、プロジェクター302は、光源装置10Dと、画像光生成装置100Aと、制御装置200と、を備える。光源装置10Dは、光源11と、プリズムミラー352と、拡散素子354と、集光光学系360と、ダイクロイックミラー366と、位相差板364と、アフォーカル光学系370と、反射ミラー374と、拡散素子376と、集光光学系380と、回転蛍光板20と、を備える。なお、図17では、画像光生成装置100Aの詳細の構成、及び制御装置200の光源駆動装置206以外の詳細の構成は省略されている。
光源11が備える複数の発光素子11Sのうち、基板の表面の第1領域411に配置されている一部の発光素子11Sは、黄色光の画像光IYを生成するための黄色光Yに蛍光変換するための青色光Bを射出する。基板の表面の第2領域412に配置されている一部の発光素子11Sは、青色の画像光IBを生成するための青色光Bを射出する。第1領域411の発光素子11Sの数と第2領域412の発光素子11Sの数は、光源装置10Dから出力させる黄色光Yと青色光Bとの光量比に合わせ、各々の発光素子11Sの発光量及び駆動信号D1で供給される電流値[A]に応じて後述するように適宜設定される。
アフォーカル光学系370と、反射ミラー374と、拡散素子376と、ダイクロイックミラー366と、集光光学系380と、回転蛍光板20は、第1領域411の複数の発光素子11Sから射出された青色光Bの光路に配置されている。アフォーカル光学系370は、第1領域411の複数の発光素子11Sの各々から射出された青色光Bを適切な光束幅を有する青色光束としてまとめる。アフォーカル光学系370は、第1レンズ371と、第2レンズ372と、を有する。第1レンズ371は、例えば凸レンズによって構成されている。第2レンズ372は、例えば2枚以上の組み合わせレンズによって構成されている。反射ミラー374は、第1レンズ371と第2レンズ372との間の青色光Bの光路に配置され、第1レンズ371から射出される青色光Bを反射する。拡散素子376は、第2レンズ372から射出された青色光Bを拡散し、反射ミラー374で反射された青色光Bの光軸AX2に直交する面内での照度のばらつきを抑制する。
光軸AX2は、ダイクロイックミラー366の反射面で光軸AX1に直交する。拡散素子376から出射された青色光Bは、光軸AX2に沿ってダイクロイックミラー366を透過し、集光光学系380に入射する。集光光学系380は、入射する青色光Bを回転蛍光板20の蛍光層24に集光する。集光光学系380は、例えば2個の集光レンズ381,382を有する。集光レンズ381,382の各々は、例えば凸レンズである。
光源装置10Dの回転蛍光板20は、基板22と、蛍光層24と、モーター30と、を有する。回転蛍光板20は、青色光Bの入射側と同じ側に向けて赤色光R及び緑色光Gを含む黄色光Yを出力する。モーター30の軸芯及び回転軸RXは、光軸AX2と平行し、光軸AX2に直交する面内で光軸AX2とは異なる位置に配置されている。蛍光層24は、基板22の表面22aに設けられている。基板22の表面22aは、集光光学系360によって集光された青色光Bの入射側に向いている。基板22は、光源装置10Cの回転蛍光板20の基板22と同様に、黄色光Yを含む可視波長域の光を反射する材料によって構成されている。
光源装置10Dにおいては、基板22が回転軸RXを中心とする周方向の角度範囲RG2で削除されずに存在する。蛍光層24は、回転軸RXを中心とする周方向で全周に設けられている。基板22及びモーター30は、集光光学系380に対して、回転軸RXを中心とする径方向において集光光学系380によって集光された青色光Bが蛍光層24に照射されるように、配置されている。したがって、回転軸RXを中心に回転する回転蛍光板20に青色光Bが入射すると、蛍光層24によって青色光Bが蛍光変換され、回転蛍光板20から常に黄色光Yが出力される。
回転蛍光板20から出力された黄色光Yは、集光光学系380によって平行化され、光軸AX2に沿ってダイクロイックミラー366に向かって進行し、ダイクロイックミラー366に入射する。ダイクロイックミラー366は、入射する黄色光Yを反射する。ダイクロイックミラー366から射出された黄色光Y又は青色光Bは、所定の偏光方向の直線偏光に変換される。所定の偏光方向の直線偏光は、S偏光又はP偏光である。位相差板364に替えて偏光変換素子60が配置されてもよい。
第2領域412の複数の発光素子11Sから射出された青色光Bは、プリズムミラー352によって青色光束としてまとめられる。拡散素子354、集光光学系360、ダイクロイックミラー366及び位相差板364は、プリズムミラー352から射出される青色光Bの光路に配置されている。拡散素子354は、入射する青色光Bを拡散し、青色光Bの光軸AX1に直交する面内での照度のばらつきを抑制する。拡散素子354は、光軸AX1と平行な不図示の回転軸を中心に回転可能に構成されてもよい。集光光学系360は、拡散素子354から射出された青色光Bを平行化する。集光光学系360は、例えば3個の集光レンズ361~363を有する。集光レンズ361~363の各々は、例えば凸レンズである。なお、集光光学系360を構成するレンズの種類及び数は、青色光Bを平行化するように適宜変更される。集光光学系360から射出された青色光Bは、ダイクロイックミラー366を透過し、光軸AX1に沿って反射される黄色光Yの光路と同じ光路に進行する。
光源装置10Dでは、光源11の第1領域411の発光素子11Sに対する駆動信号D1と、第2領域412の発光素子11Sに対する駆動信号D1が時系列で供給される。すなわち、制御装置200の光源駆動装置206は、各画像の表示期間T0において、出力期間T1で第1領域411の発光素子11Sに対して駆動信号D1(1)を出力し、第2領域412の発光素子11Sに対して駆動信号を出力しない。一方、各画像の表示期間T0において、出力期間T2で第2領域412の発光素子11Sに対して駆動信号D1(2)を出力し、第1領域411の発光素子11Sに対して駆動信号を出力しない。このように駆動信号D1(1),D1(2)の各々を供給する発光素子11Sを切り替えることによって、光源装置10Dから黄色光Yと青色光Bが時系列で出力される。
光源装置10Dでは、回転蛍光板20の回転速度と、黄色光Yと青色光Bとの出力期間T1,T2の比とは互いに関連しない。そのため、回転蛍光板20の基板22の最適回転速度ORSは、出力期間T1,T2の比には依存せず、蛍光層24の冷却に適切な回転速度に設定されればよい。光源装置10Dから出力期間T1,T2に応じて時系列で出力された黄色光Y又は青色光Bは、画像光生成装置100Aに入射する。プロジェクター302の画像光生成装置100Aは、第1実施形態のプロジェクター301の画像光生成装置100Aと同様に黄色の画像光IY又は青色の画像光IBを生成し、スクリーンSCRに画像光IY,IBを表示する。
以上説明した第2実施形態のプロジェクター302は、第1実施形態のプロジェクター301と同様の構成を備えるため、プロジェクター301と同様の作用効果を奏する。また、第2実施形態のプロジェクター302では、光源装置10Dは、第2領域412で青色光Bを発光する発光素子11Sで構成される光源とは別に、第1領域411で青色光(第1色光)Bを発光する発光素子11Sで構成される光源(第2固体光源)を備える。蛍光層(波長変換素子)24は、第1領域411の複数の発光素子11S(第2固体光源)から発光された光を励起光として受光する。第2実施形態のプロジェクター302及び光源装置10Dによれば、青色光Bを出力する専用の光源として第2領域412の複数の発光素子11Sを備え、黄色光Yを生成するための励起光として青色光Bを出力する専用の光源として第1領域411の複数の発光素子11Sを備えるため、第1領域411及び第2領域の各々の発光素子11Sでの青色光Bの発光及び出力強度を個別に制御することができる。このことによって、青色光Bの単位時間当たりの出力強度が時系列に出力される青色光Bと黄色光Yの出力時間の比T1:T2に基づいて黄色光Yの出力強度に対して最適に設定され、スクリーンSCRで観察される3原色(R,G,B)の画像光のカラーバランスを良好に調整することができる。
図18は、光源装置10Dの第1変形例の光源装置10Eの構成を示す概略図である。第2実施形態のプロジェクター302は、光源装置10Dに替えて、光源装置10Eを備えてもよい。図18に示すように、光源装置10Eは、光源装置10Dの回転蛍光板20に替えて蛍光体401を備える。蛍光体401は、基板22と、基板22の表面22aに積層された蛍光層24と、を備える。蛍光体401は、回転軸を有さず、プロジェクター301において複数の画像が表示されている期間内で時間的に移動しない。蛍光体401は、集光光学系380から青色光Bの入射側と同じ側に向けて黄色光Yを出力する。青色光Bを蛍光変換する構成として蛍光体401を回転させる必要がないため、光源装置10Eを有するプロジェクターの制御装置は、回転蛍光板駆動装置208を備えなくてもよい。
図19は、光源装置10Dの第2変形例の光源装置10Fの構成を示す概略図である。第2実施形態のプロジェクター302は、光源装置10Dに替えて、光源装置10Fを備えてもよい。図19に示すように、光源装置10Fは、第1光源405と、第2光源406と、ダイクロイックミラー13と、第1レンズアレイ51と、第2レンズアレイ52と、偏光変換素子60と、重畳レンズ70と、を備える。第1光源405は、青色光Bを射出する複数の発光素子11Sと、コリメートレンズ420と、拡散素子421と、集光光学系422と、蛍光体402と、ピックアップ光学系427と、を備える。
第1光源405では、発光素子11Sからの青色光Bの進行方向の前方に、発光素子11Sと同じ数のコリメートレンズ420が配置されている。複数の発光素子11Sの各々から射出された青色光Bは、コリメートレンズ420によって平行化される。拡散素子421は、コリメートレンズ420から射出された青色光Bを拡散し、例えば磨りガラス板で構成されている。集光光学系422は、拡散素子421によって拡散された青色光Bを集光させ、蛍光体402に入射させる。集光光学系422は、第1レンズ422Aと、第2レンズ422Bと、を備える。第1レンズ422A及び第2レンズ422Bの各々は、例えば凸レンズである。蛍光体402は、集光光学系422によって集光された青色光Bを黄色光Yに蛍光変換する。蛍光体402は、蛍光層24と同じ材料で構成されている。ピックアップ光学系427は、第1コリメートレンズ427Aと、第2コリメートレンズ427Bと、を備える。ピックアップ光学系427は、蛍光体402から射出される黄色光Yを平行化する。第1コリメートレンズ427A及び第2コリメートレンズ427Bの各々は、例えば凸レンズである。
第2光源406は、青色光Bを射出する発光素子11Sと、集光光学系441と、散乱板442と、ピックアップ光学系443と、を備える。発光素子11Sからの青色光Bの進行方向の前方に、不図示のコリメートレンズが設けられている。第2光源406における発光素子11Sの数は、図19に例示するように1個に限定されず、第1光源405の発光素子11Sの数及び第1光源405からの青色光Bの光量に応じて適宜設定される。第1光源405及び第2光源406の各々の発光素子11Sの数については、後に説明する。
集光光学系441は、第1レンズ441Aと、第2レンズ441Bと、を備える。集光光学系441は、第2光源406の発光素子11Sから射出された青色光Bを散乱板42に集光する。第1レンズ441A及び第2レンズ441Bの各々は、例えば凸レンズである。散乱板442は、集光光学系441から射出された青色光Bを散乱し、第1光源405で生成される黄色光Yの配光分布に類似した配光分布を有する青色光Bに変換する。散乱板42には、例えば磨りガラスが用いられる。ピックアップ光学系443は、第1レンズ443Aと、第2レンズ443Bと、を備える。ピックアップ光学系443は、散乱板442から射出された光を平行化する。第1レンズ443A及び第2レンズ443Bの各々は、例えば凸レンズである。
第2光源406からの青色光Bは、ダイクロイックミラー413で反射される。ダイクロイックミラー413で反射した青色光B、又は第1光源405から射出されてダイクロイックミラー413を透過した黄色光Yは、第1レンズアレイ51に入射する。光源装置10Fの第1レンズアレイ51に入射した黄色光Y又は青色光Bは、第1実施形態の光源装置10Aの第1レンズアレイ51に入射した黄色光Y又は青色光Bと同様にふるまう。
光源装置10Fでは、第1光源405の発光素子11Sに対する駆動信号D1と、第2光源406の発光素子11Sに対する駆動信号D1が時系列で供給される。すなわち、制御装置200の光源駆動装置206は、各画像の表示期間T0において、出力期間T1では、第1光源405の発光素子11Sに対して駆動信号D1(1)を出力し、第2光源406の発光素子11Sに対して駆動信号を出力しない。一方、各画像の表示期間T0において、出力期間T2では、第2光源406の発光素子11Sに対して駆動信号D1(2)を出力し、第1光源405の発光素子11Sに対して駆動信号を出力しない。このように駆動信号D1(1),D1(2)の各々を供給する発光素子11Sを切り替えることによって、光源装置10Dから黄色光Yと青色光Bが時系列で出力される。
図20は、光源装置10Dを備える第2実施形態のプロジェクター302のブロック図である。図20に示すように、光源装置10Dを備える第2実施形態のプロジェクター302では、制御装置200の光源駆動装置206から光源装置10Dの第1領域411の発光素子11Sに出力期間T1で駆動信号D1(1)が供給され、光源装置10Dの第2領域412の発光素子11Sに出力期間T2で駆動信号D1(2)が供給される。回転蛍光板20には、回転蛍光板駆動装置208から少なくとも第1領域411の発光素子11Sに出力期間T1で駆動信号D1(1)が供給されている間に、駆動信号D2が供給される。駆動信号D2は、回転蛍光板20の基板22が回転軸RXを中心に回転した際に蛍光層24が適度に冷却される回転速度で基板22を回転させる。光源装置10Dを備える第2実施形態のプロジェクター302では、光源駆動装置206から出力される駆動信号D1と、液晶駆動装置210から出力される駆動信号D3とが互いに同期している。
光源装置10E,10Fの何れかを備えるプロジェクター302では、第1実施形態で説明したように、スクリーンSCRに表示される画像の最適なホワイトバランスを実現するために、出力期間T1での黄色光Yと出力期間T2での青色光Bとの光量比は、N9:N10に応じて、例えば2:1に調整される。光源装置10Eを備えるプロジェクター302において、例えば光源装置10Eの第1領域411の発光素子11Sの数と第2領域412の発光素子11Sの数が互いに同じである場合、第1実施形態のプロジェクター301と同様に、出力期間T1では、第1領域411の発光素子11Sに対して、デューティー比100%のハイレベルのPWM信号S1が供給される。出力期間T2では、第1領域411の発光素子11Sに対して、デューティー比50%のハイレベルのPWM信号S1が供給される。すなわち、出力期間T1では、第1領域411の発光素子11Sは電流値i1で駆動された点灯状態にあり、第2領域412の発光素子11Sは消灯状態にある。出力期間T2では、第2領域412の発光素子11Sは電流値i2で駆動された点灯状態にあり、第1領域411の発光素子11Sは消灯状態にある。前述のように、i2=I1×{(N3×N10)/(N4×N9)}である。
光源装置10Eを備えるプロジェクター302では、第1領域411の発光素子11Sの数と第2領域412の発光素子11Sの数が調節されることによって、出力期間T1での黄色光Yと出力期間T2での青色光Bとの光量比が制御されてもよい。すなわち、プロジェクター302及び光源装置10Eでは、第2領域412の発光素子11S(第1固体光源)からの青色光(第1色光)Bの出力強度は、第2領域412の発光素子11Sの個数によって設定されてもよい。例えば、複数の発光素子11Sの各々に対して同じ電流値の駆動信号が供給された際に複数の発光素子11Sの出力強度が互いに同等である場合、第1領域411の発光素子11Sの数と第2領域412の発光素子11Sの数との比が1:{(N3×N10)/(N4×N9)}=(N4×N9):(N3×N10)であり、例えば2:1に設定されている。結果としては、第1領域411の発光素子11Sの出力強度I1と第2領域412の発光素子11Sの出力強度I2との比に応じて、第1領域411と第2領域412の各々の発光素子11Sの数が好適に決められる。このことによって、青色光Bの単位時間当たりの出力強度が時系列に出力される青色光Bと黄色光Yの出力時間の比T1:T2に基づいて黄色光Yの出力強度に対して最適に設定されることで、スクリーンSCRで観察される3原色(R,G,B)の画像光のカラーバランスを良好に調整することができる。
光源装置10Eを備えるプロジェクター302と同様に、光源装置10Fを備えるプロジェクター302では、例えば、複数の発光素子11Sの各々に対して同じ電流値の駆動信号が供給された際に複数の発光素子11Sの出力強度が互いに同等である場合、第1光源405の発光素子11Sの数と第2光源406の発光素子11Sの数との比が1:{(N3×N10)/(N4×N9)}=(N4×N9):(N3×N10)であり、例えば2:1に設定されている。結果としては、第1光源405の発光素子11Sの出力強度I1と第2光源406の発光素子11Sの出力強度I2との比に応じて、第1光源405と第2光源406の各々の発光素子11Sの数が好適に決められる。つまり、プロジェクター302及び光源装置10Fでは、第1光源405の発光素子11S(第1固体光源)からの青色光(第1色光)Bの出力強度は、第1光源405の発光素子11Sの個数によって設定されてもよい。プロジェクター302及び光源装置10Fによれば、青色光Bの単位時間当たりの出力強度が時系列に出力される青色光Bと黄色光Yの出力時間の比T1:T2に基づいて黄色光Yの出力強度に対して最適に設定されることで、スクリーンSCRで観察される3原色(R,G,B)の画像光のカラーバランスを良好に調整することができる。
第2実施形態のプロジェクター302には、第1実施形態で説明した少なくとも1つ以上の変形例を適宜適用可能である。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図21から図23を用いて説明する。
図21は、第3実施形態のプロジェクター303の構成を示す概略図である。図21に示すように、第3実施形態のプロジェクター303は、光源装置10Gと、画像光生成装置100Dと、制御装置200と、を備える。なお、図21では、制御装置200の構成の図示は省略され、制御装置200から光源装置10G及び画像光生成装置100Dに供給される駆動信号D1~D4のみが示されている。
光源装置10Gは、第1光源405と、第2光源406と、第3光源407と、蛍光体401と、ダイクロイックミラー452,456と、光吸収体460と、を備える。第1光源405は、複数の発光素子11Sを備える。第1光源405の各々の発光素子11Sは、蛍光変換によって黄色光Yを生成するための励起光としての青色光Bを射出する。第2光源406は、複数の発光素子11Sを備える。第2光源406の各々の発光素子11Sは、光源装置10Gから出力される青色光Bを射出する。
ダイクロイックミラー452は、第1光源405から出力される青色光Bの光軸AX2と第2光源406から出力される青色光Bの光軸AX1とが互いに直交する位置に設けられている。ダイクロイックミラー452は、入射する青色光Bを透過し、黄色光Yを反射する。ダイクロイックミラー452において青色光Bの入射側とは反対側、すなわち黄色光Yの入射側の基板の表面に、黄色光Yを反射して黄色光Y以外の色光を透過する反射ダイクロイックコート454が施されている。第1光源405から出力された青色光Bは、光軸AX2に沿ってダイクロイックミラー452に入射し、ダイクロイックミラー452を透過する。第2光源406から出力された青色光Bは、光軸AX1に沿ってダイクロイックミラー452に入射し、ダイクロイックミラー452を透過する。
蛍光体401は、光軸AX2に沿ってダイクロイックミラー452から射出された青色光Bの光路に配置されている。蛍光体401の蛍光層24は、ダイクロイックミラー452から射出された青色光Bの入射側に向けられている。第1光源405から蛍光体401に入射した青色光Bは、蛍光体401の蛍光層24によって蛍光変換されて黄色光Yを生成する。蛍光変換によって生成された黄色光Yのうち、蛍光体401に入射する青色光Bと平行且つ逆向きに進行する黄色光Yは、そのまま蛍光体401から射出される。蛍光変換によって生成された黄色光Yのうち、蛍光体401に入射する青色光Bと平行且つ同じ向きに発生した黄色光Yは、基板22によって反射され、蛍光体401から射出される。蛍光体401から射出された黄色光Yは、ダイクロイックミラー452に入射し、反射ダイクロイックコート454によって第1光源405及び第2光源406の各々からダイクロイックミラー452に青色光Bが入射する方向とは異なる方向に反射される。
ダイクロイックミラー456は、第2光源406から出力されてダイクロイックミラー452を透過した青色光Bの光路、又はダイクロイックミラー452によって反射された黄色光Yの光路に配置されている。ダイクロイックミラー456において黄色光Y又は青色光Bの入射側とは反対側、すなわち赤色光Rの入射側の基板の表面に、反射ダイクロイックコート458が施されている。反射ダイクロイックコート458は、赤色光を反射し、赤色以外の波長を有する色光を透過する。
第3光源407は、複数の発光素子11Uを備える。発光素子11Uは、光源装置10Gから出力される赤色光Rを射出可能なLDである。赤色光Rの発光強度のピーク波長は、例えば620nm~700nmの波長帯域に含まれる。第3光源407から出力された赤色光Rの光軸AX3は、光軸AX2とは異なる位置で光軸AX1と直交する。ダイクロイックミラー456は、光軸AX1と光軸AX3が互いに直交する位置に配置されている。光吸収体460は、光軸AX3上でダイクロイックミラー456に対して第3光源407とは反対側に配置されている。
第2光源406から出力されてダイクロイックミラー452を透過した青色光Bは、ダイクロイックミラー456を透過し、光軸AX1に沿って光源装置10Gから出力される。第1光源405から出力されてダイクロイックミラー452を透過した青色光Bは、光軸AX2に沿って蛍光体401に入射する。蛍光体401から出力されてダイクロイックミラー452によって反射された黄色光Yは、ダイクロイックミラー456に入射する。黄色光Yのうち蛍光層24を構成するYAGに起因する赤色光は、ダイクロイックミラー456の反射ダイクロイックコート458によって光吸収体460に向けて反射される。光吸収体460は、ダイクロイックミラー456によって反射された蛍光層24の材料に起因する赤色光を吸収する。
蛍光体401から出力された黄色光Yのうち、蛍光層24の材料に起因する赤色光は、ダイクロイックミラー452,456を通り、光吸収体460に照射されることによって、除去される。つまり、蛍光体401から射出されて光吸収体460に照射された黄色光Yから、蛍光層24を構成するYAGに起因する赤色光が除去される。したがって、ダイクロイックミラー456の反射特性は、蛍光層24の材料に応じて適宜設定される。
第3光源407から出力された赤色光Rは、ダイクロイックミラー456の反射ダイクロイックコート458によって青色光B又は赤色光が除去された黄色光Yと同じ光路に反射される。光源装置10Gでは、複数の画像の保持期間T10において出力期間T1で第1光源405に対して駆動信号D1(1)が供給され、出力期間T2で第2光源406及び第3光源407に対して駆動信号D1(2)が供給される。したがって、光源装置10Gから、蛍光層24の材料に起因する赤色光が除去された黄色光Yと、青色光B及び赤色光が出力期間T1,T2で時系列に出力される。以下では、蛍光層24の材料に起因する赤色光が除去された黄色光Yを単に黄色光Yと記載される場合がある。
なお、光源装置10Gは、青色光B、黄色光Y、赤色光Rの各々の光路に、各々の光を平行化或いは集光するための不図示のレンズや光学系、各々の光を拡散するための不図示の拡散素子、及び各々の光の強度を均一化するための不図示の光学系を備えてもよい。
画像光生成装置100Dは、画像光生成装置100Aと同様の構成を備える。但し、画像光生成装置100Dでは、ダイクロイックミラー110に対し、黄色光Yと赤色光R及び青色光Bとが時系列で入射する。ダイクロイックミラー110において前述の色光の入射側の基板の表面に、反射ダイクロイックコート118が施されている。反射ダイクロイックコート118は、閾値波長以下の波長を有する色光を透過し、閾値波長よりも長い波長を有する色光を反射する。反射ダイクロイックコート118は、閾値波長よりも長波長の光を反射するロングパスフィルタである。閾値波長は、黄色に属する波長であり、例えば570nmである。以下では、閾値波長よりも長波長の黄色光Yは、単に黄色光Yと記載される場合がある。光源装置10Gから出力された黄色光Y又は、青色光B及び赤色光Rは、ダイクロイックミラー110に入射し、入射した色光のうち、青色光B又は緑色光Gはダイクロイックミラー110を透過し、黄色光Y及び赤色光Rはダイクロイックミラー110によって青色光B又は緑色光Gとは異なる方向に反射される。すなわち、光源装置10Gから出力された黄色光Y又は、青色光B及び赤色光Rは、ダイクロイックミラー110によって青色光B又は緑色光Gと黄色光Y又は赤色光Rとに分岐される。
第1液晶パネル140は、集光レンズ121から射出されて入射する緑色光G又は青色光Bを制御装置200から入力される緑色に関する画像信号又は青色に関する画像信号に応じて変調し、緑色の画像光IG又は青色の画像光IBを生成及び出力する。画像光IB,IGの生成の詳細については、後に説明する。
第2液晶パネル150は、集光レンズ122から射出されて入射する黄色光Y又は赤色光Rを外部から入力される黄色に関する画像信号又は赤色に関する画像信号に応じて変調し、黄色の画像光IY又は赤色の画像光IRを生成及び出力する。画像光IY,IRの生成の詳細については、後に説明する。
ダイクロイックミラー180は、入射する緑色の画像光IG又は青色の画像光IBを透過し、黄色の画像光IR又は赤色の画像光IRを反射する。ダイクロイックミラー180において黄色の画像光IR又は赤色の画像光IRの入射側の基板の表面に、反射ダイクロイックコート185が施されている。第1偏光板132から射出された緑色の画像光IG又は青色の画像光IRと、第2偏光板136から射出された黄色の画像光IR又は赤色の画像光IRは、ダイクロイックミラー180に入射する。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IB又は画像光IGは、ダイクロイックミラー180を透過する。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IY,IRは、反射ダイクロイックコート185によって画像光IB,IGと同一の光路に反射される。すなわち、第1液晶パネル140から出力された画像光IGと第2液晶パネル150から出力された画像光IYは、ダイクロイックミラー180によって互いに合成され、画像光(IG+IY)を生成する。また、第1液晶パネル140から出力された画像光IBと第2液晶パネル150から出力された画像光IRは、ダイクロイックミラー180によって互いに合成され、画像光(IB+IR)を生成する。以下の説明では、画像光(IY+IG)又は画像光(IB+IR)をまとめて画像光IMを記載する場合がある。
図22は、第3実施形態のプロジェクター303で光源装置10Gから射出される青色光B及び赤色光R、又は黄色光Yと、第1液晶パネル140から出力される画像光IG又は画像光IBと、第2液晶パネル150から出力される画像光IY又は画像光IRのタイミングチャートである。ここで、プロジェクター303における各種比、条件は、プロジェクター301と同様に設定させているものと想定する。
図22に示すように、1枚の画像を表示するために必要な表示期間T0は、フレーム周波数及びフレームレートから1/48[sec.]=5/240[sec.]である。制御装置200は、プロジェクター301から各画像を表示する表示期間T0のうち、出力期間T1で第1光源405に駆動信号D1を出力し、第1光源405から青色光Bを出力させ、光源装置10Gから黄色光Yを出力させる。制御装置200は、表示期間T0のうち、出力期間T2で第2光源406及び第3光源407に駆動信号D1を出力し、第2光源406から青色光Bを出力させ、第3光源407から赤色光Rを出力させ、光源装置10Gから青色光B及び赤色光Rを出力させる。
第3実施形態のプロジェクター303において、以下のように設定されていると想定する。例えば、以下のN3~N10は、設定された任意の自然数である。
*各画像での第1液晶パネル140の画素144における緑色の画像光IG及び青色の画像光IBの表示期間T3,T4の比・・・N3:N4
*黄色光Y及び青色光Bの回転蛍光板20から射出される期間T5,T6の比・・・N5:N6
*第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動周波数・・・N7[Hz]=(1/N7)[sec.]
*投射光学系190から出力される画像のフレーム周波数・フレームレート・・・N8[Hz]=(1/N8)[sec.],N8[fps]
*ホワイトバランスに基づく黄色の画像光IY及び青色の画像光IBのダイクロイックミラー180からの光量比・・・N9:N10
上述の画像のフレーム周波数及び第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の各々の駆動周波数の設定、及び表示期間T3,T4の比の設定によれば、T1=3/240[sec.]であり、T2=2/240[sec.]である。制御装置200の光源駆動装置206は、プロジェクター301から表示する複数の画像の各々の表示期間T0において、出力期間T1={(N7/N8)/N7}×{(N5+1)/(N5+N6+2)}=3/240[sec.]で所定の光強度I1の青色光Bを射出させるための駆動信号D1(1)を第1光源405に出力する。
出力期間T1に続く出力期間T2={(N7/N8)/N7}×{(N6+1)/(N5+N6+2)}=2/240[sec.]で、光源駆動装置206は、光強度I2=I1×{(N3×N10)/(N4×N9)}の青色光Bを射出させるための駆動信号D1(2)を第2光源406に出力する。光源駆動装置206は、第2光源406に駆動信号D1(2)を供給するタイミングと同じタイミングで、第3光源407に駆動信号D1(2)を供給する。駆動信号D1(1),D1(2)は、光源11に対して出力期間T1;T2で時系列に出力される。
出力期間T1で光源装置10Gから出力された黄色光Yは、前述のようにダイクロイックミラー110によって緑色光Gと黄色光Yに分離される。分離された緑色光Gは第1液晶パネル140に入力され、分離された黄色光Yは第2液晶パネル150に入力される。出力期間T2で光源装置10Gから出力された青色光B及び赤色光Rは、前述のようにダイクロイックミラー110によって互いに分離される。分離された青色光Bは第1液晶パネル140に入力され、分離された赤色光Rは第2液晶パネル150に入力される。
制御装置200の液晶駆動装置210は、出力期間T1に同期して期間T5=3/240[sec.]で駆動信号D3(1)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D3(1)は、画素144(1,1)から残りの複数の画素144を順次走査し、表示期間T3={(N7/N8)/N7}×{N5/(N5+N6+2)}[sec.]=(2/240)[sec.]で各々の画素144に入射する緑色光Gを変調させ、各々の画素144から画像光IGを出力させる。
次に、液晶駆動装置210は、駆動信号D3(2)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D3(2)は、画素144(1,1)から残りの複数の画素144を順次走査し、各々の画素144で最短期間{(N7/N8)/N7}×{1/(N5+N6+2)}
[sec.]=1/240[sec.]で黒色を表示させる。
次に、制御装置200の液晶駆動装置210は、出力期間T2に同期して期間T6=T2に駆動信号D3(3)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D3(3)は、画素144(1,1)から残りの複数の画素144を順次走査し、表示期間T4で各々の画素144に入射する緑色光Gを変調させ、各々の画素144から画像光IGを出力させる。続いて、液晶駆動装置210は、駆動信号D3(4)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D3(4)は、画素144(1,1)から残りの複数の画素144を順次走査し、各々の画素144で最短期間に黒色を表示させる。
制御装置200の液晶駆動装置210は、出力期間T1に同期して期間T5に駆動信号D4(1)を第2液晶パネル150に出力する。駆動信号D4(1)は画素154(1,1)から残りの複数の画素154を順次走査し、表示期間T3で各々の画素154に入射する黄色光Yを変調させ、各々の画素154から画像光IYを出力させる。
次に、液晶駆動装置210は、駆動信号D4(2)を第2液晶パネル150に出力する。駆動信号D4(2)は、画素154(1,1)から残りの複数の画素154を順次走査し、各々の画素154で最短期間に黒色を表示させる。
次に、液晶駆動装置210は、駆動信号D4(3)を第2液晶パネル150に出力する。駆動信号D4(3)は、画素154(1,1)から残りの複数の画素154を順次走査し、表示期間T4で各々の画素154に入射する赤色光Rを変調させ、各々の画素154から画像光IRを出力させる。続いて、液晶駆動装置210は、駆動信号D4(4)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D4(4)は、画素154(1,1)から残りの複数の画素154を順次走査し、各々の画素154で最短期間に黒色を表示させる。
上述のように、制御装置200の光源駆動装置206から第1光源405に駆動信号D1(1)が出力され、第2光源406及び第3光源407に駆動信号D1(2)が出力される。また、上述のように液晶駆動装置210は、プロジェクター301から表示する各々の画像の表示期間T0にて、駆動信号D3(p)と駆動信号D4(p)(p=1~4)とのタイミングを互いに一致させる。液晶駆動装置210から、第1液晶パネル140に駆動信号D1(1)と同期して駆動信号D3(1),D3(2)が順次入力され、第2液晶パネル150に駆動信号D1(1)と同期して駆動信号D4(1),D4(2)が順次入力される。液晶駆動装置210から、第1液晶パネル140に駆動信号D1(2)に同期して駆動信号D3(3),D3(4)が順次入力され、第2液晶パネル150に駆動信号D1(2)に同期して駆動信号D4(3),D4(4)が順次入力される。このことによって、前述の各種比及び各種設定値に応じて最適化されたタイミング及び光量で画像光生成装置100Dから画像光(IB+IY)と画像光(IB+IR)が時系列に出力され、フルカラーの画像光における混色の発生が抑えられ、スクリーンSCRにてフルカラーの画像光を観察可能である。
図23は、第3実施形態のプロジェクター303のブロック図である。図23に示すように、第3実施形態のプロジェクター303では、制御装置200の光源駆動装置206から、第1光源405の発光素子11Sに出力期間T1で駆動信号D1(1)が供給され、第2光源406の発光素子11Sに出力期間T2で駆動信号D1(2)が供給され、第3光源407の発光素子11Uに出力期間T2で駆動信号D1(2)が供給される。また、第3実施形態のプロジェクター303では、光源駆動装置206から出力される駆動信号D1と、液晶駆動装置210から出力される駆動信号D3とが互いに同期している。
以上説明した第3実施形態のプロジェクター303は、第1実施形態のプロジェクター301と同様の構成を備えるため、プロジェクター301と同様の作用効果を奏する。
第3実施形態のプロジェクター303によれば、上述のタイミングで第1液晶パネル140に駆動信号D3(1)~D3(4)が出力され、第2液晶パネル150に駆動信号D4(1)~D4(4)が出力されるため、青色、緑色、閾値波長よりも長波長の黄色、赤色の4色による色域を向上させ、混色の発生も防止することができる。
なお、第3実施形態のプロジェクター303の第1変形例として、図示していないが、蛍光体401に替えて、第2実施形態のプロジェクター302と同様の回転蛍光板20を備えてもよい。第3実施形態のプロジェクター303が蛍光体401に替えて回転蛍光板20を備える場合、プロジェクター303の第1光源405の発光素子11Sから射出されて光軸AX2に沿ってダイクロイックミラー452を透過した青色光Bが回転蛍光板20に入射する。回転蛍光板20の基板22の表面22aは、ダイクロイックミラー452を透過した青色光Bの入射側に向けられている。光軸AX2に直交する面内において、回転蛍光板20の蛍光層24と青色光Bの照射領域とが互いに重なっている。また、第3実施形態のプロジェクター303が蛍光体401に替えて回転蛍光板20を備える場合、制御装置200は回転蛍光板駆動装置208を備える。回転蛍光板駆動装置208は、回転軸RXを中心として周方向に基板22を蛍光層24の冷却に適した回転速度で回転させる。
第3実施形態のプロジェクター303には、第1実施形態及び第2実施形態で説明した1つ以上の変形例を適宜適用可能である。
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図24から図26を用いて説明する。
第4実施形態のプロジェクター304は、光源装置10Aと、画像光生成装置100Eと、制御装置200と、を備える。図24は、画像光生成装置100Eの構成を示す概略図である。画像光生成装置100Eは、画像光生成装置100Aと同様の構成を備える。画像光生成装置100Eには、ダイクロイックミラー110に対し、光源装置10Aから、黄色光Y又は青色光Bが時系列で入射する。但し、図24に示すように、ダイクロイックミラー110において黄色光Y又は青色光Bの入射側の基板の表面に、反射ダイクロイックコート119が施されている。反射ダイクロイックコート119は、例えば緑色光Gを反射して緑色光Gよりも短波長の色光及び緑色光よりも長波長の色光を透過するバンドパスフィルターで構成されている。光源装置10Aから出力されてダイクロイックミラー110に入射する黄色光Y又は青色光Bのうち、赤色光R又は青色光Bはダイクロイックミラー110を透過し、緑色光Gはダイクロイックミラー110によって赤色光R又は青色光Bとは異なる方向に反射される。すなわち、光源装置10Aから出力された黄色光Y又は青色光Bは、ダイクロイックミラー110によって赤色光R又は青色光Bと緑色光Gとに分岐される。
第1液晶パネル140は、集光レンズ121から射出されて入射する赤色光R又は青色光Bを制御装置200から入力される赤色に関する画像信号又は青色に関する画像信号に応じて変調し、赤色の画像光IR又は青色の画像光IBを生成及び出力する。画像光IR,IBの生成の詳細については、後に説明する。
第2液晶パネル150は、集光レンズ122から射出されて入射する緑色光Gを外部から入力される緑色に関する画像信号に応じて変調し、緑色の画像光IGを生成及び出力する。すなわち、画像光生成装置100Eでは、第2液晶パネル150は、色光のうち、緑色光Gを変調するための専用の液晶パネルとして作動する。画像光IGの生成の詳細については、後に説明する。
ダイクロイックミラー180は、入射する赤色の画像光IR又は青色の画像光IBを透過し、緑色の画像光IGを反射する。ダイクロイックミラー180において緑色の画像光IGの入射側の基板の表面に、反射ダイクロイックコート186が施されている。反射ダイクロイックコート186は、例えば緑色光Gを反射して緑色光Gよりも短波長の色光及び緑色光よりも長波長の色光を透過するバンドパスフィルターで構成されている。第1偏光板132から射出された赤色の画像光IR又は青色の画像光IRと、第2偏光板136から射出された緑色の画像光IGは、ダイクロイックミラー180に入射する。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IR又は画像光IGは、ダイクロイックミラー180を透過する。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IGは、反射ダイクロイックコート186によって画像光IR,IBと同一の光路に反射される。すなわち、第1液晶パネル140から出力された画像光IRと第2液晶パネル150から出力された画像光IGは、ダイクロイックミラー180によって互いに合成され、画像光IYを生成する。
図25は、第4実施形態のプロジェクター304で光源装置10Aから射出される青色光B又は黄色光Yと、第1液晶パネル140から出力される画像光IR又は画像光IBと、第2液晶パネル150から出力される画像光IGのタイミングチャートである。
プロジェクター304では、以下のように設定されていると想定する。
*回転蛍光板20からの黄色光Y及び青色光Bの出力期間T1,T2の比・・・N1:N2=3:1
*各画像での第1液晶パネル140の画素144における緑色の画像光IG及び青色の画像光IBの表示期間T3,T4の比・・・N3:N4=5:1
*黄色光Y及び青色光Bの回転蛍光板20から射出される期間T5,T6の比・・・N5:N6=3:1
*第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動周波数・・・N7[Hz]=(1/N7)[sec.]=480[Hz]
*投射光学系190から出力される画像のフレーム周波数・フレームレート・・・N8[Hz]=(1/N8)[sec.],N8[fps]=60[Hz]
*ホワイトバランスに基づく黄色の画像光IY及び青色の画像光IBのダイクロイックミラー180からの光量比・・・N9:N10=4:1
図25に示すように、上述の各種設定及び条件では、表示期間T0は、フレーム周波数に等しく、1/60[sec.]=8/480[sec.]である。
制御装置200は、プロジェクター301から各画像を表示する表示期間T0のうち、出力期間T1で光源装置10Aから黄色光Yを出力させ、出力期間T2で光源装置10Aから青色光Bを出力させる。上述の画像のフレーム周波数及び第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の各々の駆動周波数の設定、及び表示期間T3,T4の比の設定によれば、T1=6/480[sec.]であり、T2=2/480[sec.]である。
制御装置200の光源駆動装置206は、プロジェクター301から表示する複数の画像の各々の表示期間T0において、出力期間T1={(N7/N8)/N7}×{(N3+1)/(N3+N4+2)}=6/480[sec.]で所定の光強度I1の青色光Bを射出させるための駆動信号D1(1)を光源11に出力する。出力期間T1に続く出力期間T2={(N7/N8)/N7}×[(N4+1)/{(N3+N4+2)}=2/480[sec.]で、光源駆動装置206は、光強度I2={I1×(N3×N10)}/(N4×N9)}=I1×(5/4)の青色光Bを射出させるための駆動信号D1(2)を光源11に出力する。すなわち、出力期間T2では、光源11からの青色光Bの出力強度を出力期間T1での1.25倍にする。
出力期間T1で光源装置10Aから出力された黄色光Yは、前述のようにダイクロイックミラー110によって赤色光Rと緑色光Gに分離される。分離された赤色光Rは第1液晶パネル140に入力され、分離された緑色光Gは第2液晶パネル150に入力される。出力期間T2で光源装置10Aから出力された青色光Bは、前述のようにダイクロイックミラー110を透過し、第1液晶パネル140に入力される。スクリーンSCRに表示する画像のフレーム周波数である60[Hz]と第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150の駆動周波数である48[Hz]に基づいて、光源装置10Aにおける回転蛍光板20の基板22の最適回転速度ORSは、N8×60=60×60=3600[rpm]である。
制御装置200の液晶駆動装置210は、出力期間T1に同期して期間T5=6/480[sec.]で駆動信号D3(1)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D3(1)は、画素144(1,1)から残りの複数の画素144を順次走査し、表示期間T3={(N7/N8)/N7}×{N3/(N3+N4+2)}[sec.]=(5/480)[sec.]で各々の画素144に入射する赤色光Rを変調させ、各々の画素144から画像光IRを出力させる。続いて、液晶駆動装置210は、駆動信号D3(2)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D3(2)は、画素144(1,1)から残りの複数の画素144を順次走査し、各々の画素144で最短期間{(N7/N8)/N7}×{1/(N3+N4+2)}[sec.]=1/480[sec.]で黒色を表示させる。
次に、制御装置200の液晶駆動装置210は、出力期間T2に同期して期間T6=2/480[sec.]に駆動信号D3(3)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D3(3)は、画素144(1,1)から残りの複数の画素144を順次走査し、表示期間T4で各々の画素144に入射する青色光Bを変調させ、各々の画素144から画像光IBを出力させる。続いて、液晶駆動装置210は、駆動信号D3(4)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D3(4)は、画素144(1,1)から残りの複数の画素144を順次走査し、各々の画素144で最短期間に黒色を表示させる。
制御装置200の液晶駆動装置210は、出力期間T1に同期して期間T5に駆動信号D4(1)を第2液晶パネル150に出力する。駆動信号D4(1)は画素154(1,1)から残りの複数の画素154を順次走査し、表示期間T3で各々の画素154に入射する緑色光Gを変調させ、各々の画素154から画像光IGを出力させる。続いて、液晶駆動装置210は、駆動信号D4(2)を第2液晶パネル150に出力する。駆動信号D4(2)は、画素154(1,1)から残りの複数の画素154を順次走査し、各々の画素154で最短期間に黒色を表示させる。
次に、液晶駆動装置210は、駆動信号D4(3)を第2液晶パネル150に出力する。駆動信号D4(3)は、画素154(1,1)から残りの複数の画素154を順次走査し、表示期間T4に各々の画素154で黒色を表示させる。続いて、液晶駆動装置210は、駆動信号D4(4)を第1液晶パネル140に出力する。駆動信号D4(4)は、画素154(1,1)から残りの複数の画素154を順次走査し、各々の画素154で最短期間に黒色を表示させる。
上述のように、制御装置200の光源駆動装置206から光源11に駆動信号D1(p)が出力される。制御装置200の液晶駆動装置210は、プロジェクター304から表示する各々の画像の表示期間T0にて、駆動信号D3(p)(p=1~4)と駆動信号D4(p)(p=1~4)とのタイミングを互いに一致させる。液晶駆動装置210から、第1液晶パネル140に駆動信号D1(1)と同期して駆動信号D3(1),D3(2)が順次入力され、第2液晶パネル150に駆動信号D1(1)と同期して駆動信号D4(1),D4(2)が順次入力される。液晶駆動装置210から、第1液晶パネル140に駆動信号D1(2)に同期して駆動信号D3(3),D3(4)が順次入力され、第2液晶パネル150に駆動信号D1(2)に同期して駆動信号D4(3),D4(4)が順次入力される。このことによって、前述の各種比及び各種設定値に応じて最適化されたタイミング及び光量で画像光生成装置100Eから画像光IYと画像光IBが時系列に出力され、フルカラーの画像光における混色の発生が抑えられ、スクリーンSCRにてフルカラーの画像光を観察可能である。
また、図25に示すように、出力期間T1では、制御装置200のPWM信号生成装置
204は、光源駆動装置206に対して、デューティー比80%のハイレベルのPWM信
号S1を出力する。すなわち、出力期間T1では、光源11の発光時間と消光時間との比
は4:1である。続いて、出力期間T2では、光源駆動装置206は、光源11の各々の
発光素子11Sに対して所定の光強度の5/4倍の光強度の青色光束BBを形成するため
の青色光Bを出力させる駆動信号D1を出力する。このときの駆動信号D1の電流値i2
は、i1×(5/4)である。駆動信号D1の電流値をi2にするために、出力期間T2
では、PWM信号生成装置204は、光源駆動装置206に対して、デューティー比10
0%のハイレベルのPWM信号S1を出力する。すなわち、出力期間T2では、光源11
の発光時間と消光時間との比は1:0である。
なお、第1実施形態のプロジェクター301と同様に、第4実施形態のプロジェクター304では、出力期間T2でのPWM信号S1の周期T20は、第1液晶パネル140の各画素144での電気信号の保持期間T10及び第2液晶パネル150の各画素154での電気信号の保持期間T10の整数分の1であることが好ましい。このように周期T20が設定されることによって、黄色の画像光IYと青色の画像光IBの各々におけるフリッカーを発生が良好に抑えられる。
以上説明した第4実施形態のプロジェクター304は、第1実施形態のプロジェクター301と同様の構成を備えるため、第1実施形態のプロジェクター301と同様の作用効果を奏する。
図26は、画像光生成装置100Eの変形例である画像光生成装置100Fの構成を示す概略図である。第4実施形態のプロジェクター304は、画像光生成装置100Eに替えて、画像光生成装置100Fを備えてもよい。図26に示すように、画像光生成装置100Fは、画像光生成装置100Eと同様の構成を備える。但し、画像光生成装置100Eのダイクロイックミラー110に設けられている反射ダイクロイックコート119は、例えば緑色光Gを透過して緑色光Gよりも短波長の色光及び緑色光よりも長波長の色光を反射するバンドパスフィルターで構成されている。光源装置10Aから出力されてダイクロイックミラー110に入射する黄色光Y又は青色光Bのうち、緑色光Gはダイクロイックミラー110を透過し、赤色光R又は青色光Bはダイクロイックミラー110によって緑色光Gとは異なる方向に反射される。
画像光生成装置100Fの第1液晶パネル140は、集光レンズ121から射出されて入射する緑色光Gを制御装置200から入力される緑色に関する画像信号に応じて変調し、緑色の画像光IGを生成及び出力する。画像光生成装置100Fにおける第1液晶パネル140での画像光IGの生成については、前述した画像光生成装置100Eにおける第2液晶パネル150での画像光IGの生成と同様である。
画像光生成装置100Fの第2液晶パネル150は、集光レンズ122から射出されて入射する赤色光R又は青色光Bを外部から入力される赤色に関する画像信号又は青色に関する画像信号に応じて変調し、赤色の画像光IR又は青色の画像光IBを生成及び出力する。画像光生成装置100Fにおける第2液晶パネル150での画像光IR,IBの生成については、前述した画像光生成装置100Eにおける第2液晶パネル150での画像光IR,IBの生成と同様である。
画像光生成装置100Fのダイクロイックミラー180は、入射する緑色の画像光IGを透過し、赤色の画像光IR又は青色の画像光IBを反射する。ダイクロイックミラー180の反射ダイクロイックコート186は、例えば緑色光Gを透過して緑色光Gよりも短波長の色光及び緑色光よりも長波長の色光を反射するバンドパスフィルターで構成されている。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IGは、ダイクロイックミラー180を透過する。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IR又は画像光IGは、反射ダイクロイックコート186によって画像光IGと同一の光路に反射される。すなわち、第1液晶パネル140から出力された画像光IGと第2液晶パネル150から出力された画像光IRは、ダイクロイックミラー180によって互いに合成され、画像光IYを生成する。
画像光生成装置100Eに替えて、画像光生成装置100Fを備えたプロジェクターは、第4実施形態のプロジェクター304と同様の作用効果を奏する。
なお、第4実施形態のプロジェクター304は、光源装置10Aに替えて、第2実施形態で説明した光源装置10Dを備えてもよい。光源装置10Aに替えて、光源装置10Dを備えることによって、第4実施形態のプロジェクター304では、例えば第2領域412の発光素子11Sの数を第1領域411の発光素子11Sの数の{(N3×N10)/(N4×N9)}倍、すなわち(5/4)倍にすることによって、ホワイトバランスに基づく黄色の画像光IY及び青色の画像光IBのダイクロイックミラー180からの光量比N9:N10を最適化し、例えば4:1にすることができる。
第4実施形態のプロジェクター304には、第1実施形態から第3実施形態で説明した1つ以上の変形例を適宜適用可能である。
また、純度の高い白色光が得られる蛍光と青色光の比を4:1にするために、時間や期間の比率を用いて実現しているが、正確な所望の比率にならない場合は調整手段を用いてもよい。例えば、液晶パネルの透過率を制御することによって、調整することができる。或いは、青色の発光素子の発光する素子の数や電流値の制御で、発光量を制御して調整することができる。
[その他の実施形態]
以下、本発明に係るその他の実施形態について、図27及び図28を用いて説明する。
図27は、本発明に係る一実施形態のプロジェクター311の構成を示す図である。図27に示すように、プロジェクター311は、外装体600に収容された筐体501,502,503と、パネルユニット540と、ダクト520と、冷却ファン531,532と、を備える。プロジェクター311は、第1実施形態から第4実施形態で説明した何れかのプロジェクターが該当する。以下では、プロジェクター311は、第1実施形態のプロジェクター301のであり、光源装置10Aと、画像光生成装置100Aと、制御装置200と、を備えるものとする。
筐体501は、光源用の筐体である。筐体502には、少なくとも光源装置10Aの光源11が収容され、例えば光源装置10Aの光源11、アフォーカル光学系12、ホモジナイザー光学系14、集光光学系18、回転蛍光板20、及びこれらの構成要素の各々を制御する電子部品及び各構成要素を支持する部材が収容されている。筐体502は、導光用の筐体であり、青色光B又は黄色光Yの光路に沿って筐体501に連結している。筐体502には、少なくとも画像光生成装置100Aのダイクロイックミラー110が収容され、例えば光源装置10Aのコリメート光学系40、第1レンズアレイ51、第2レンズアレイ52、偏光変換素子60、重畳レンズ70と、画像光生成装置100Aのダイクロイックミラー110、反射ミラー112,114が収容されている。図27では図示されていない集光レンズ121,122、第1偏光板131,132、及び第2偏光板135,136と、図27に図示されている第1液晶パネル140、第2液晶パネル150、及びダイクロイックミラー180は、外装体600の内部で筐体502の外部に配置されている。なお、図27では、画像光生成装置100Aの一部の構成要素、光源装置10Aの構成要素及び制御装置200は、省略されている。
プロジェクター311では、第1液晶パネル140と第2液晶パネル150は、ダイクロイックミラー180に固定されたパネルユニット540を構成する。筐体503は、投射用の筐体である。筐体503には、外装体600の外部への画像光IB,IYの射出を妨げない配置で投射光学系190が収容されている。
ダクト520は、筐体502とダイクロイックミラー180との間に配置され、第1液晶パネル140と第2液晶パネル150とを通る。冷却ファン531は、筐体501の内部に送風する。冷却ファン531は、例えばシロッコファンである。冷却ファン532は、外装体600の外部から吸気し、ダクト520に送風する。冷却ファン532は、例えば薄型のPOP型ファンである。ダクト520に送風された冷気Wは、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150を冷却する過程で第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150と熱交換を行った後、ダクト520を通って外装体600の外部に排気される。
上述のプロジェクター311では、筐体502とダイクロイックミラー180との間に、第1液晶パネル140と第2液晶パネル150とを通るダクト520が構成されている。冷却ファン(ファン)532は、ダクト520に送風し、第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150を冷却する。プロジェクター311によれば、他の構成要素よりも発熱量の多い第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150を効率良く冷却することができる。
また、上述のプロジェクター311では、冷却ファン(ファン)531,532は、外装体600の内部で筐体501,502,503で区画された領域550に配置されている。このことによって、プロジェクター311の小型化を図ることができる。
図28は、上述のプロジェクター311の変形例であるプロジェクター312の構成を示す概略図である。図28に示すように、プロジェクター312はプロジェクター311と同様に構成されている。但し、プロジェクター312では、プロジェクター311の冷却ファン532は省略され、冷却ファン531がダクト520に連通し、冷却ファン532の役割を兼ねている。つまり、プロジェクター312では、外装体600の外部から、外気が外装体600の外部に近い方の液晶パネル、すなわち第1液晶パネル140に近い側のダクト520の吸入口を介して冷気Wとしてダクト520に吸気される。第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150を冷却する過程で第1液晶パネル140及び第2液晶パネル150と熱交換を行った冷気Wは、冷却ファン531に吸入され、冷却ファン531から外装体600の外部に排気される。プロジェクター312によれば、ダクト520に通ずる冷却ファン531が筐体501にも送風するので、光源装置10Aの光源11を効率良く冷却し、装置全体の小型化を図ることができる。
なお、上述のように、プロジェクター311,312は、第2実施形態から第4実施形態で説明した何れかのプロジェクターであってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
本発明の態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、第1色光と第2色光を入射し、第1色の画像光と第2色の画像光とを時系列で出力する第1液晶パネルと、第3色光を入射し、第3色の画像光を出力する第2液晶パネルと、第1色光と第2色光と第3色光とを含む光を供給する光源装置と、を備え、光源装置は、第1色光を発光する第1固体光源と、励起光を前記第2色光と第3色光を含む変換光に波長変換する波長変換素子と、を有し、第1色光と変換光の出力期間の比は、第1色の画像光と第2色の画像光のフレームレートでの出力期間の比と同じであり、第1色光の出力強度は、第1色光と変換光の出力期間の比に基づいて、変換光の出力強度に応じて設定されている。
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、第1液晶パネルは、第1色の画像光と第2色の画像光との間に、黒の画像光を出力してもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、第1色の画像光と第2色の画像光の出力強度の比が4:1であり、第1光の光強度は、第1色の画像光と第2色の画像光の出力強度の比に基づいて、変換光の光強度に応じて設定されていてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、光源装置は、第1固体光源からの第1色光を励起光とする波長変換素子と、第1色光を透過する透過部と、を有する波長変換回転体を有し、第1固体光源の発光を制御する制御装置をさらに備え、制御装置は、第1色光が透過部を透過する期間で、第1固体光源からの第1色光の出力強度を第1色光と変換光の出力時間の比に基づいて制御してもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、光源装置は、第1色光を発光する第2固体光源をさらに備え、波長変換素子は、第2固体光源から発光された光を励起光として受光してもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、第1固体光源からの第1色光の出力強度は、第1固体光源の発光素子の個数によって設定されていてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、第1固体光源の発光を制御する光源制御装置、を備え、光源制御装置は、第1色光が透過部を透過する期間で、第1固体光源からの第1色光の出力強度を第1光と前記変換光の出力時間の比に基づいて制御してもよい。
本発明の態様の光源装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の光源装置は、第1色光と第2色光を入射し、第1色の画像光と第2色の画像光を時系列で出力する第1液晶パネルと、第3色光を入射し、第3色の画像光を出力する第2液晶パネルに、第1色光と第2色光と第3色光を含む光を供給する光源装置において、第1色光を発光する第1固体光源と、励起光を第2色光と第3色光を含む変換光に波長変換する波長変換素子と、を備え、第1色光と変換光を時系列に出力し、第1色光と変換光の出力時間の比は、第1色の画像光と第2色の画像光のフレームレートでの出力期間の比と同じであり、第1光の出力強度は、第1光と変換光の出力時間の比に基づいて、変換光の出力強度に応じて設定されている。
本発明の一つの態様の光源装置において、第1色の画像光と第2色の画像光の出力強度の比が4:1であり、第1光の光強度は、第1色の画像光と第2色の画像光の出力強度の比に基づいて、変換光の光強度に応じて設定されていてもよい。
本発明の一つの態様の光源装置において、第1固体光源から出力される第1色光を励起光とする波長変換素子と、第1色光を透過する透過部と、を有する波長変換回転体と、第1固体光源の発光を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、第1色光が透過部を透過する期間で、第1固体光源からの第1色光の出力強度を第1光と変換光の出力時間の比に基づいて制御してもよい。
本発明の一つの態様の光源装置において、第1色光を発光する第2固体光源を備え、波長変換素子は、第2固体光源から発光された光を励起光として受光してもよい。
本発明の一つの態様の光源装置において、第1固体光源からの第1色光の出力強度は、第1固体光源の発光素子の個数によって設定されていてもよい。
本発明の一つの態様の光源装置において、第1固体光源の発光を制御する光源制御装置、を備え、光源制御装置は、第1色光が透過部を透過する期間で、第1固体光源からの第1色光の出力強度を第1光と変換光の出力時間の比に基づいて制御してもよい。