JP7425706B2 - 通気管の立ち上げ部設置方法、立ち上げ部支持具、通気管の立ち上げ部支持構造 - Google Patents

通気管の立ち上げ部設置方法、立ち上げ部支持具、通気管の立ち上げ部支持構造 Download PDF

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Description

本発明は、通気管の立ち上げ部設置方法、立ち上げ部の支持具、通気管の立ち上げ部支持構造に関する。
ユニットバスルームを構成する防水パン下面に脚ボルトを取り付け、配管用固定具を脚ボルトに固定し、配管用固定具に給水管、給湯管あるいは排水管を載置して固定される配管用固定具が開示されている(特許文献1参照)。また、基板上に支柱を立設し、この支柱に対して上下にスライドし所定の高さに固定されるスライド管に基部が固定されているアームの端部に配管の保持を行うバンドを締め付け角度の調整が可能な状態で上下一対で配設し、配管の上部及び下部の保持を行う配管立ち上がり部保持具が開示されている(特許文献2参照)。
特開平10-54483号公報 特開2002-22063号公報
サイホン排水システムにおいては、水廻り機器からの排水の流路に排水トラップが接続され、排水トラップの下流側にサイホン排水管が接続される。サイホン力発生時の封水の破封を抑制するために、封水とサイホン排水管との間に吸気用の通気管が設けられることがある。この場合において、通気管に排水が浸入しないように、通気管の一部を水廻り機器の水頭よりも高い位置まで立ち上げる方法がある。水頭が床材より高い排水系統では、通気管も床材より高い位置まで立ち上げられる。本明細書では、通気管のうち床下から床上に延びる部分を「立ち上げ部」と呼ぶこととする。
このような場合の施工手順は、立ち上げ部も含めて通気管を設置後、床材を設置することになる。床材の一部には、床材と立ち上げ部との干渉を抑制するための開口部が設けられる。開口部に関しては、床材を開口部の位置で分割し、立ち上げ部を避けて結合する方法もあるが、床材の強度低下や床材結合部の補強作業の手間が増えるため、開口部を立ち上げ部分の上から通すことが一般的となっている。
立ち上げ部の高さが比較的低い場合はこのような施工手順でも良いが、立ち上げ部が比較的高くなると、床材の開口部を立ち上げ部の上から通すことが困難になり、また立ち上げ部を倒してしまうことも懸念される。
また通気管内は、サイホン力発生前は正圧状態で水が浸入するが、サイホン力発生後は水が抜けて吸気可能な状態にする必要があるため、立ち上げ部から排水トラップ側に勾配を設ける必要がある。また一般的に、床スラブ上での立ち上げ部の支持は床材設置前に実施するため、床材設置後に立ち上げ部の高さの調整はできない。立ち上げ部からトラップ側への通気管の勾配の大きさは、床材の高さや厚さにも影響を受けるため、必ずしも十分な勾配を設定できるとは限らない。その点、床材設置後に立ち上げ部の高さ調整ができると、より施工がし易い。
本発明は、通気管の立ち上げ部が配置される領域への床材の設置作業や、床材設置後の立ち上げ部の高さ調整作業等の作業性を向上させることを目的とする。
第1の態様に係る通気管の立ち上げ部設置方法は、建物の床スラブの上方に、排水トラップに接続される通気管、及び床材を設置する方法であって、前記通気管の一部を前記床材の設置が予定される予定高さよりも高い位置まで上方に延在させて立ち上げ基部を構成し、立ち上げ部支持具を前記床スラブの上に設置し、前記立ち上げ部支持具により前記立ち上げ基部を前記予定高さよりも高い位置で支持する第1工程と、前記床材を設置する第2工程と、前記立ち上げ基部の上に立ち上げ部を接続して通気管の高さを調整する第3工程と、を有する。
この通気管の立ち上げ部設置方法では、第1工程において、通気管の立ち上げ基部を、床スラブの上方に設置される立ち上げ部支持具により、床材の設置が予定される予定高さよりも高い位置で支持する。第2工程では、床材を設置する。そして、第3工程において、立ち上げ基部の上に立ち上げ部を接続して通気管の高さ調整を行う。したがって、第2工程の段階では、立ち上げ基部に立ち上げ部が接続されていないので、床材の設置が予定される予定高さより上方への通気管の突出量が抑制されている。このため、立ち上げ基部を通すための開口部が床材に形成されている場合でも、該開口部を立ち上げ基部の上から通すことが容易となる。また、床材設置後の第3工程で通気管の立ち上げ部の高さ調整を容易に行うことができる。
第2の態様は、第1の態様に係る通気管の立ち上げ部設置方法において、前記立ち上げ基部は、前記通気管の流路において前記排水トラップに近い側に配置される第1基部、及び前記排水トラップから遠い側に配置される第2基部を有し、前記立ち上げ部支持具により、前記第1基部及び前記第2基部を共に支持する。
この通気管の立ち上げ部設置方法では、立ち上げ基部が第1基部及び第2基部を有しており、立ち上げ部支持具により、該第1基部及び第2基部を共に支持する。したがって、第1基部と第2基部を別々に支持するよりも、通気管の設置作業の作業性を向上させることができる。
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る通気管の立ち上げ部設置方法において、前記第1工程において、前記立ち上げ基部には前記立ち上げ部よりも短い仮立ち上げ部を接続しておき、前記第3工程において、前記仮立ち上げ部を取り外し、前記立ち上げ部を接続する。
この通気管の立ち上げ部設置方法では、第1工程において、立ち上げ基部に立ち上げ部よりも短い仮立ち上げ部を接続し、第3工程において、仮立ち上げ部を取り外し、立ち上げ部を接続する。したがって、第2工程での床材設置の際に、通気管の内部への異物の混入を抑制することができる。
第4の態様に係る立ち上げ部支持具は、排水トラップに接続される通気管のうち床材の設置が予定される予定高さよりも高い位置まで上方に延在する立ち上げ基部を、建物の床スラブの上に支持する立ち上げ部支持具であって、前記床スラブに立設され、前記予定高さよりも高い位置まで延びる2つの支持棒と、前記支持棒に取り付けられ、前記予定高さよりも高い位置で前記立ち上げ基部を支持する支持部と、を有する。
この立ち上げ部支持具では、床スラブに立設され、床材の設置が予定される予定高さよりも高い位置まで延びる2つの支持棒と、該支持棒に取り付けられる支持部により、通気管の立ち上げ基部を上記予定高さよりも高い位置で支持することができる。
第5の態様は、第4の態様に係る立ち上げ部支持具において、前記支持部は一体的に形成され、前記立ち上げ基部における前記通気管の流路の前記排水トラップに近い側に配置される第1基部と、前記排水トラップから遠い側に配置される第2基部とを共に挟持する。
この立ち上げ部支持具では、支持部が一体的に形成されており、該支持部により立ち上げ基部における第1基部と第2基部とを共に挟持することができる。したがって、第1基部と第2基部を別々に支持するよりも、通気管の設置作業の作業性を向上させることができる。
第6の態様に係る通気管の立ち上げ部支持構造は、建物の床スラブの上方に設置され排水トラップに接続される通気管と、前記通気管に設けられ、床材の設置が予定される予定高さよりも高い位置まで上方に延在し前記通気管の流路において前記排水トラップに近い側に配置される立ち上げ基部と、前記予定高さよりも高い位置で前記立ち上げ基部を支持して、前記通気管を前記床スラブの上に支持する立ち上げ部支持具と、前記立ち上げ基部の上に接続された立ち上げ部と、を有し、前記立ち上げ部支持具は、前記床スラブに立設され、前記予定高さよりも高い位置まで延びる2つの支持棒と、前記支持棒に取り付けられ、前記予定高さよりも高い位置で前記立ち上げ基部を支持する支持部と、を有する。
この立ち上げ部支持構造では、通気管の立ち上げ基部が、立ち上げ部支持具によって予定高さよりも高い位置で支持されている。具体的には、立ち上げ部支持具における2つの支持棒と、該支持棒に取り付けられる支持部により、通気管の立ち上げ基部を上記予定高さよりも高い位置で支持することができる。
第7の態様は、第6の態様に係る通気管の立ち上げ部支持構造において、前記立ち上げ基部が、前記通気管の流路において前記排水トラップに近い側に配置される前記第1基部、及び前記排水トラップから遠い側に配置される第2基部を有し、前記支持部は一体的に形成され、第1基部及び前記第2基部を共に挟持する。
この立ち上げ部支持構造では、立ち上げ基部が第1基部及び第2基部を有しており、該第1基部及び第2基部が立ち上げ部支持具により共に支持されている。したがって、第1基部と第2基部の安定的な支持が可能となる。また、第1基部と第2基部を別々に支持するよりも構造が簡素となり、コストの低減が可能となる。
本発明によれば、通気管の立ち上げ部が配置される領域への床材の設置作業や、床材設置後の立ち上げ部の高さ調整作業等の作業性を向上させることができる。
本実施形態に係る通気管の立ち上げ部支持構造を備えたサイホン排水システムを示す断面図である。 本実施形態に係る通気管の立ち上げ部設置方法における第1工程を示す側面図である。 本実施形態に係る立ち上げ部支持具を示す平面図である。 本実施形態に係る立ち上げ部支持具の変形例を示す斜視図である。 本実施形態に係る通気管の立ち上げ部設置方法における第2工程を示す側面図である。 本実施形態に係る通気管の立ち上げ部設置方法における第3工程において、立ち上げ基部から仮立ち上げ部を取り外した状態を示す分解側面図である。 本実施形態に係る通気管の立ち上げ部設置方法における第3工程において、立ち上げ基部に立ち上げ部を接続した状態を示す分解側面図である。 図7において、立ち上げ部の上端同士を接続した状態を示す側面図である。 図8の状態を正面から見た状態示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。
図1において、本実施形態に係る通気管の立ち上げ部支持構造Sは、サイホン排水システム10に用いられる。まず、サイホン排水システム10の概要について説明する。
(サイホン排水システムの概要)
サイホン排水システム10は、排水トラップ12と、サイホン排水管の一例としての横引き管14と、通気管16とを有している。
建物15の床スラブ18の上方には、板状部材の一例としての床材22が水平に設けられている。床材22と床スラブ18の間には、床下スペース24が設けられている。床材22の上には、例えば防水パン26が設けられる。防水パン26の上には、洗濯機20等の水廻り機器が設置される。洗濯機20と排水トラップ12とは、図示しないホースにより接続される。防水パン26を用いることにより、ホースが破れて排水が漏れた場合でも、その排水を該防水パン26で受け止めて排水トラップ12へ流すことが可能となっている。
床材22には、貫通部32が形成されている。この貫通部32を通じて、排水トラップ12が防水パン26に接続されている。排水トラップ12は、封水(図示せず)を貯留可能に構成され、床材22に設けられた貫通部32に上部が挿入された状態で床下スペース24に設置されている。この排水トラップ12は、例えば椀トラップであるが、他の形式のトラップであってもよい。
横引き管14は、排水トラップ12における封水より下流側に接続されている。この横引き管14は、床スラブ18の上に例えば水平に配置されている。横引き管14の内周面の下端は、例えば排水トラップ12の外かごの底部の高さに位置している。横引き管14の下流端には、建物15の下方に延びる竪管(図示せず)が接続されている。この竪管の下端は、建物の15の各階を貫通する排水立て管(図示せず)に接続されている。
通気管16は、建物の床スラブ18の上方に設置され排水トラップ12に接続され、サイホン力発生時における排水トラップ12内の封水の破封を抑制するために設けられている。この通気管16は、排水トラップ12の封水より下流側のうち、横引き管14より上方、具体的には排水トラップ12の外かご41に接続されている。通気管16の排水トラップ12と反対側の端部は、例えば排水立て管(図示せず)に接続されており、サイホン力発生時に排水トラップ12における封水の下流側に、排水立て管内の空気を吸気できるようになっている。なお、通気管16を排水立て管に接続する代わりに、通気管16に吸気弁を設けて必要な空気を吸気できるようにしてもよい。
(通気管の立ち上げ部支持構造)
通気管の立ち上げ部支持構造Sは、上記した通気管16と、立ち上げ基部36と、立ち上げ部支持具40と、立ち上げ基部36の上に接続された立ち上げ部46と、を有している。
通気管16のうち、排水トラップ12と、立ち上げ基部36における第1基部36Aとの間の部位は、勾配部16Aとされている。この勾配部16Aは、床下スペース24に配置され、排水トラップ12から離れるにしたがって上方へ向かうように、水平方向に対して傾斜している。
立ち上げ基部36は、通気管16に設けられ、床材22の設置が予定される予定高さAよりも高い位置まで上方に延在している。床材22には、立ち上げ基部36を挿通可能な開口部34が形成されている。立ち上げ基部36の上には立ち上げ部46が接続されている。立ち上げ基部36の高さBは、立ち上げ部46の高さCよりも低い。つまり、立ち上げ基部36の高さBは、予定高さAよりも高く、立ち上げ部46の高さCよりも低く設定されている。高さBは、例えば防水パン26の高さと同等に設定してもよい。また、立ち上げ部46の高さCは、洗濯機20等の水廻り機器の水頭Hより高い位置に設定されている。通つまり、立ち上げ部46は、通気管16の一部を洗濯機20の水頭Hよりも高い位置まで立ち上げるために設けられている。
また、立ち上げ基部36は、通気管16の流路において排水トラップ12に近い側に配置される第1基部36A、及び排水トラップ12から遠い側に配置される第2基部36Bを有している。第1基部36A及び第2基部36Bの高さは、立ち上げ基部36の高さBに等しい。また、第1基部36Aは、勾配部16Aに接続されている。第2基部36Bは、例えば水平管16Cに接続され、水平管16Cは上記のように例えば排水立て管(図示せず)に接続されている。図1において、水平管16Cは、勾配部16Aの更に先へ延びるように見えているが、勾配部16Aと水平管16Cの間には、立ち上げ基部36及び立ち上げ部46が接続されている。
図8において、立ち上げ基部36の上端には、大径部28が設けられている。大径部28は立ち上げ基部36と立ち上げ部46とを接続するための継手でもよく、また立ち上げ基部36に一体形成された継手であってもよい。後述する立ち上げ部支持具40の支持部44が該大径部28の下端面を支えることで、立ち上げ基部36が安定的に支持されるようになっている。
立ち上げ部46は、例えば2本の同一長さの直管46A,46Bと、直管46A,46Bの上端同士を接続する接続管46Cとを有して構成されている。直管46Aは第1基部36Aに接続され、直管46Bは第2基部36Bに接続されている。図1に示されるように、立ち上げ部46は壁30の中に設置される。具体的には、立ち上げ部46における直管46A,46Bは、壁30の中において該壁30の面方向に並んで配置される。立ち上げ基部36の第1基部36Aと第2基部36Bについても同様である。図1は、壁30と直交する方向から立ち上げ部46を見た図であり、直管46A及び第1基部36Aが見えている。なお、直管46A,46Bは、互いに同一の長さでなくてもよい。また、直管46A,46B及び接続管46Cを、逆U字形の管等、他の構造の管で代替してもよい。
(立ち上げ部支持具)
図2において、立ち上げ部支持具40は、床材22の設置が予定される予定高さAよりも高い位置で通気管16の立ち上げ基部36を支持して、通気管16を床スラブ18の上に支持する、例えば金具である。立ち上げ部支持具40は、例えば2つの支持棒42と、支持部44とを有している。支持棒42は、床スラブ18に立設され、予定高さAよりも高い位置まで延びている。具体的には、支持棒42は、例えば全長に渡って雄ねじが形成された全ねじボルトである。この支持棒42は、床スラブ18に固定されるベース板48に立設されている。ベース板48には、2つのナット50が例えば溶接により固定されている。支持棒42の下端がナット50に螺合し、該ナット50の上にロックナット52を締結することで、支持棒42がベース板48に立設されている。支持棒42の上端の高さは、例えば立ち上げ基部36の上端の高さと同様である。立ち上げ基部36の上端は、大径部28の上端である。
2つの支持棒42の一方は、立ち上げ基部36における第1基部36Aと第2基部36Bの間に配置されている。2つの支持棒42の他方は、例えば第1基部36Aを挟んだ一方の支持棒42の反対側に配置されている。なお、支持棒42の配置はこれに限られず、2つの支持棒42の他方が、第2基部36Bを挟んだ一方の支持棒42の反対側に配置されていてもよい。
支持部44は、支持棒42に取り付けられ、予定高さAよりも高い位置で立ち上げ基部36を支持する部位である。この支持部44は、立ち上げ基部36における第1基部36Aと第2基部36Bとを共に挟持可能に構成されている。図3に示されるように、支持部44は、例えば1枚の金属板を折り曲げて構成され、具体的には、互いに対向する2箇所の板状部44Gに、2箇所の管把持部44A,44Bと、2箇所の支持棒通し部44C,44Dを形成して構成されている。
管把持部44Aは、立ち上げ基部36の第1基部36Aを把持する部位であり、2つの弧状部が互いに対向して配置されている。管把持部44Bは、立ち上げ基部36の第2基部36Bを把持する部位である。この管把持部44Bは、2箇所の板状部44Gを結合している部位であり、断面C字状の弧状に構成されている。管把持部44A,44Bには、補強用のビード44E(図2参照)がそれぞれ設けられている。管把持部44A,44Bの曲率は、立ち上げ基部36における被把持部分の外周面の曲率に対応して設定されている。
支持棒通し部44C,44Dは、2本の支持棒42が通される部位であり、2つの弧状部が互いに対向して配置されている。この弧状部の曲率は、支持棒42の外径の曲率に対応して設定されている。支持棒通し部44Dは、管把持部44A,44Bの間に配置されている。支持棒通し部44Cは、管把持部44Aを挟んだ支持棒通し部44Dの反対側に配置されている。
互いに対向する板状部44Gの間隔を調整することで、管把持部44A,44Bによる立ち上げ基部36の第1基部36A及び第2基部36Bの挟持が可能となっている。この間隔調整のため、板状部に例えば2対のボルト54及びナット56が取り付けられている。一方のボルト54及びナット56は、支持棒通し部44Dと管把持部44Bの間に配置されている。他方のボルト54及びナット56は、支持棒通し部44Cを挟んだ管把持部44Aと反対側、換言すれば、板状部44Gにおける管把持部44Bとは反対側の端部に配置されている。
図2に示されるように、1つの支持棒42につき2つのナット60を螺合させ、該ナット60の位置を調節して支持部44を上下から挟むことで、支持棒42に対する支持部44の上下方向の取付け位置、つまり取付け高さを設定できるようになっている。
(立ち上げ部支持具の変形例)
立ち上げ部支持具40は、上記の構成に限られず、図4に示される変形例のような構成であってもよい。この変形例では、支持部44が平板状に構成されている。支持部44には、立ち上げ基部36A,36Bが挿通される2つの貫通孔62が形成されている。支持部44は支持棒42に挿通されており、支持棒42に対する支持部44の上下方向の取付け位置をナット60により設定できるようになっている。
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図1において、本実施形態に係る通気管の立ち上げ部支持構造10では、通気管16の立ち上げ基部36が、立ち上げ部支持具40によって、床材22の設置が予定される予定高さAよりも高い位置で支持されている。具体的には、立ち上げ部支持具40における2つの支持棒42と、該支持棒42に取り付けられる支持部44により、通気管16の立ち上げ基部36を上記予定高さAよりも高い位置で支持することができる。
また、立ち上げ基部36が第1基部36A及び第2基部36Bを有しており、該第1基部36A及び第2基部36Bが立ち上げ部支持具40により共に支持されている。したがって、第1基部36Aと第2基部36Bの安定的な支持が可能となる。また、第1基部36Aと第2基部36Bを別々に支持するよりも構造が簡素となり、コストの低減が可能となる。
(通気管の立ち上げ部設置方法)
図2、図5から図9において、通気管の立ち上げ部設置方法は、建物15の床スラブ18の上に、排水トラップ12に接続される通気管16、及び床材22を設置する方法であって、第1工程S1、第2工程S2、及び第3工程S3を有している。
第1工程S1は、通気管16の一部を床材22の設置が予定される予定高さAよりも高い位置まで上方に延在させて立ち上げ基部36を構成し、立ち上げ部支持具40を床スラブ18の上に設置し、立ち上げ部支持具40により立ち上げ基部36を予定高さAよりも高い位置で支持する工程である。立ち上げ基部36は、上記したように、第1基部36A及び第2基部36Bを有している。この工程では、立ち上げ部支持具40により、第1基部36A及び第2基部36Bを共に支持する。したがって、第1基部36Aと第2基部36Bを別々に支持するよりも、通気管16の設置作業の作業性を向上させることができる。
具体的には、立ち上げ部支持具40の支持部44を、ナット60を用いて支持棒42に仮止めしておき、該支持部44を、ボルト54及びナット56(図3)を用いて第1基部36A及び第2基部36Bに取り付ける。このとき支持部44の管把持部44Aにより第1基部36Aを把持し、支持部44の管把持部44Bにより第2基部36Bを把持する。また、立ち上げ基部36に大径部28が設けられている場合には、大径部28の下端面に管把持部44A,44Bが当接するように、支持棒42に対する支持部44の高さを調節する。
図2、図5、図6に示されるように、第1工程S1において、立ち上げ基部36には立ち上げ部46(図7、図8)よりも短い仮立ち上げ部66を接続し、仮立ち上げ部66の上端同士を接続管46Cで接続して、立ち上げ基部36の上端部を塞いでおいてもよい。仮立ち上げ部66は、立ち上げ部46よりも短い例えば直管である。このように仮立ち上げ部66を設けておくことで、続く第2工程S2での床材22の設置の際に、通気管16の内部への異物の混入を抑制することができ、また立ち上げ基部36を保護できる。
第2工程S2では、床材22を設置する。床材22には、予め立ち上げ基部36を挿通可能な開口部34が設けられている。この開口部34に立ち上げ基部36を通し、床材22の上面が予定高さAに位置するように床材22を設置する。この段階では、立ち上げ基部36に立ち上げ部46(図7、図8)が接続されていないので、床材22の設置が予定される予定高さAより上方への通気管16の突出量が抑制されている。このため、立ち上げ基部36を通すための開口部34が床材22に形成されている場合に、該開口部34を立ち上げ基部36の上から通すことが容易となる。
第3工程S3では、立ち上げ基部36の上に立ち上げ部46を接続して通気管16の高さを調整する。図6から図9に示されるように、立ち上げ基部36に立ち上げ部46よりも短い仮立ち上げ部66が接続されている場合、第3工程S3において仮立ち上げ部66を取り外し、立ち上げ部46を接続する。具体的には、仮立ち上げ部66及び接続管46Cを取り外し、立ち上げ部46の直管46Aを第1基部36Aに接続し,直管46Bを第2基部36Bに接続する。そして、直管46A,46Bの上端を接続管46Cで接続する。このように立ち上げ部46の長さを調整することで、通気管16における立ち上げ部46の高さ調整を行う。高さCが洗濯機20等の水廻り機器の水頭Hより高い位置となるように設定する(図1)。したがって、床材22の設置後の第3工程S3で、通気管16の立ち上げ部46の高さ調整を容易に行うことができる。
このように、本実施形態によれば、通気管16の立ち上げ部46が配置される領域への床材22の設置作業や、床材設置後の立ち上げ部46の高さ調整作業等の作業性を向上させることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。例えば仮立ち上げ部66を設けない構成としてもよい。また、支持部44において、第1基部36Aと第2基部36Bがそれぞれ単独で支持されていてもよい。
10…サイホン排水システム、12…排水トラップ、15…建物、16…通気管、18…床スラブ、22…床材、36…立ち上げ基部、36A…第1基部、36B…第2基部、40…立ち上げ部支持具、42…支持棒、44…支持部、46…立ち上げ部、66…仮立ち上げ部、A…予定高さ、S…通気管の立ち上げ部支持構造、S1…第1工程、S2…第2工程、S3…第3工程

Claims (7)

  1. 建物の床スラブの上方に、排水トラップに接続される通気管、及び床材を設置する方法であって、
    前記通気管の一部を前記床材の設置が予定される予定高さよりも高い位置まで上方に延在させて立ち上げ基部を構成し、立ち上げ部支持具を前記床スラブの上に設置し、前記立ち上げ部支持具により前記立ち上げ基部を前記予定高さよりも高い位置で支持する第1工程と、
    前記床材を設置する第2工程と、
    前記立ち上げ基部の上に立ち上げ部を接続して通気管の高さを調整する第3工程と、
    を有する通気管の立ち上げ部設置方法。
  2. 前記立ち上げ基部は、前記通気管の流路において前記排水トラップに近い側に配置される第1基部、及び前記排水トラップから遠い側に配置される第2基部を有し、
    前記立ち上げ部支持具により、前記第1基部及び前記第2基部を共に支持する請求項1に記載の通気管の立ち上げ部設置方法。
  3. 前記第1工程において、前記立ち上げ基部には前記立ち上げ部よりも短い仮立ち上げ部を接続しておき、
    前記第3工程において、前記仮立ち上げ部を取り外し、前記立ち上げ部を接続する請求項1又は請求項2に記載の通気管の立ち上げ部設置方法。
  4. 排水トラップに接続される通気管のうち床材の設置が予定される予定高さよりも高い位置まで上方に延在する立ち上げ基部を、建物の床スラブの上に支持する立ち上げ部支持具であって、
    前記床スラブに立設され、前記予定高さよりも高い位置まで延びる2つの支持棒と、
    前記支持棒に取り付けられ、前記予定高さよりも高い位置で前記立ち上げ基部を支持する支持部と、
    を有する立ち上げ部支持具。
  5. 前記支持部は一体的に形成され、前記立ち上げ基部における前記通気管の流路の前記排水トラップに近い側に配置される第1基部と、前記排水トラップから遠い側に配置される第2基部とを共に挟持する請求項4に記載の立ち上げ部支持具。
  6. 建物の床スラブの上方に設置され排水トラップに接続される通気管と、
    前記通気管に設けられ、床材の設置が予定される予定高さよりも高い位置まで上方に延在し前記通気管の流路において前記排水トラップに近い側に配置される立ち上げ基部と、
    前記予定高さよりも高い位置で前記立ち上げ基部を支持して、前記通気管を前記床スラブの上に支持する立ち上げ部支持具と、
    前記立ち上げ基部の上に接続された立ち上げ部と、を有し、
    前記立ち上げ部支持具は、前記床スラブに立設され、前記予定高さよりも高い位置まで延びる2つの支持棒と、
    前記支持棒に取り付けられ、前記予定高さよりも高い位置で前記立ち上げ基部を支持する支持部と、を有する通気管の立ち上げ部支持構造。
  7. 前記立ち上げ基部は、前記通気管の流路において前記排水トラップに近い側に配置される第1基部、及び前記排水トラップから遠い側に配置される第2基部を有し、
    前記支持部は一体的に形成され、前記第1基部及び前記第2基部を共に挟持する請求項6に記載の通気管の立ち上げ部支持構造。
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