JP7425670B2 - 放熱部材 - Google Patents

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Description

本発明は、発熱性部品から放熱する放熱部材の技術に関し、特に該発熱性部品の近傍に他の発熱体が存在する環境においても効果的に放熱する放熱部材に関するものである。
近年、電子部品やモジュール部品を具備する電子機器において、高性能化と小型化が進展している。高性能化は電子部品やモジュール部品の発熱量の増加につながり、小型化は電子部品やモジュール部品の高密度実装につながるため、電子機器の単位面積あたりの発熱量(発熱密度)が増加傾向にある。
発熱密度の増加は、電子機器内で局所的に熱が集中するヒートスポットの発生を誘発し、電子機器の故障(例えば、動作安定性の低下、信頼性の低下)の原因になる。このため、電子部品やモジュール部品で生じた熱を効果的に放熱させてヒートスポットの発生を抑制することが重要になっている。
電子部品やモジュール部品の放熱対策として、従来から、金属板やヒートシンク等の放熱部材を電子部品やモジュール部品の発熱部近傍に取り付け、発熱部で生じた熱を放熱部材に熱伝導し、空気等の冷媒に熱伝達させて放熱することが行われてきた。一方、より効率的な放熱を実現するために熱放射を利用する技術が開発されている。
例えば、特許文献1(特開2004-304200)には、発熱性を有する素子を含む電子部品が実装された回路基板と、回路基板を保持する金属材料で形成されたカバーと、該カバーと組み合わせて前記回路基板を収容する金属材料で形成されたケースとを備えたエンジン制御用電子制御機器であって、前記ケースの外側及び内側表面には、赤外線吸収率を高めるための黒色の表面処理が形成されており、前記回路基板に実装された電子部品の熱を前記カバーに熱伝導させる熱伝導部材を備え、前記カバーの前記熱伝導部材と面接触する接触部は、熱伝導を高めるために表面処理を施さない金属表面とされていることを特徴とするエンジン制御用電子制御機器、が開示されている。
特許文献2(特開2010-027831)には、発熱源が特定の赤外線透過波長域を有する樹脂部材で覆われている電子機器において、周期的な表面微細凹凸パターンを形成する多数のマイクロキャビティが二次元配列された熱放射面を有する波長選択性熱放射材料を、前記発熱源と前記樹脂部材との間に該発熱源を覆うように配置し、前記発熱源からの熱エネルギーを伝熱または熱放射により前記波長選択性熱放射材料へ投入し、そして前記波長選択性熱放射材料の熱放射面から前記樹脂部材へ向けて、前記樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射させることにより、前記電子機器の放熱効率を向上させる方法、が開示されている。
特開2004-304200号公報 特許2010-027831号公報
特許文献1によると、回路基板に実装される発熱性を有する電子部品は、カバー若しくはケースの内側表面の赤外線吸収率を高める表面状態によって、輻射熱による収容部材への熱の移動量を高めることができるので、発熱温度を低減することが可能となる、とされている。
また、特許文献2によると、周期的な表面微細凹凸パターンを形成する多数のマイクロキャビティが二次元配列された熱放射面を有する波長選択性熱放射材料を適用することにより電子機器の放熱効率を向上させ、その結果、冷却ファンなどの特別な装置を用いることなく発熱源を有する電子機器を十分に放熱及び冷却することができる、とされている。
最近では、電子機器における小型化が益々進展しており、発熱性部品同士が近接して配置される場合がある。その場合、一方の発熱性部品からの伝熱(以下、もらい熱と称する)によって他方の発熱性部品の放熱が阻害されることが危惧される。言い換えると、もらい熱が生じる環境においても効果的に放熱できる技術が必要である。一方、特許文献1~2では、もらい熱に関する考察・思索は残念ながら特になされていない。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、放熱しようとする発熱性部品の近傍に他の発熱体が存在する環境(もらい熱が生じる環境)においても、もらい熱の影響を抑制して効果的に放熱できる放熱部材を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、発熱性部品の熱を放熱する放熱部材であって、
前記発熱性部品に付着するベース部と所定の赤外線を選択的に放射する微細凹凸構造部とからなる基材と、
前記微細凹凸構造を覆い前記所定の赤外線を透過する樹脂の層とを具備し、
前記樹脂の層は、該樹脂よりも見掛け密度の低い粒子の群を含むことを特徴とする放熱部材、を提供するものである。
本発明によれば、放熱しようとする発熱性部品がもらい熱を受ける環境に置かれても、もらい熱の影響を抑制して効果的に放熱する放熱部材を提供することができる。
本発明に係る放熱部材の一例を示す断面模式図である。 実験環境を示す模式図である。
本発明は、上述した放熱部材において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記微細凹凸構造部は金属材料からなり、前記見掛け密度の低い粒子の群は中空粒子および多孔質粒子の少なくとも一つを含む。
(ii)前記見掛け密度の低い粒子の群は、前記樹脂の層に対して3体積%以上30体積%以下で含まれている。
(iii)前記見掛け密度の低い粒子の群は、平均粒子径が1μm以上200μm以下である。
(iv)前記樹脂の層は、厚さが1μm以上300μm以下である。
(v)前記見掛け密度の低い粒子の群は、前記樹脂の層の表面領域に偏在する。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながらより具体的に説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、公知技術と適宜組み合わせたり公知技術に基づいて改良したりすることが可能である。また、同義の部材に同じ符号を付して、重複する説明を省略することがある。
図1は、本発明に係る放熱部材の一例を示す断面模式図である。図1に示すように、放熱部材100は、発熱性部品1の熱を放熱するための部材であって、発熱性部品1に付着するベース部11と所定の赤外線を選択的に放射する微細凹凸構造部12とからなる基材10と、微細凹凸構造部12を覆い当該赤外線を透過する樹脂層20とを具備し、樹脂層20は当該樹脂21よりも見掛け密度の低い粒子22(以下、低密度粒子と略称する)の群を含んでいる。
本発明の放熱部材100は、所定の赤外線を選択的に放射する微細凹凸構造部12と、微細凹凸構造部12を覆い当該赤外線を透過する樹脂層20とを有することから、発熱性部品1の熱を効果的に放熱することができる。また、樹脂層20に含まれる低密度粒子22の群は、樹脂層20の樹脂21よりも熱伝導性が低いことから、もらい熱の環境であっても、該もらい熱が発熱性部品1に伝導するのを抑制することができる。
放熱部材100の各構成について、より詳細に説明する。
基材10は、上述したようにベース部11と微細凹凸構造部12とからなるが、ベース部11と微細凹凸構造部12とは、同一材料で構成されていてもよいし、別材料で構成されていてもよい。基材10の厚さに特段の限定はなく、例えば0.01 mm以上3 mm以下の範囲で適宜選定できる。
ベース部11は、発熱性部品1からの熱を微細凹凸構造部12に伝え易いように、良好な熱伝導性(例えば、100 W/m・K以上の熱伝導率)を有する金属材料やセラミックス材料からなることが好ましい。例えば、アルミニウム(Al)、Al合金、銅(Cu)、Cu合金、炭化ケイ素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)などを好適に利用できる。
微細凹凸構造部12は、表面プラズモン共鳴を効率よく生じさせるため、良好な導電性(例えば、常温で1×10-7 Ωm未満の電気抵抗率)を有する金属材料からなることが好ましい。例えば、Al、Al合金、Cu、Cu合金、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などを好適に利用できる。
また、微細凹凸構造部12は、表面プラズモン共鳴が最大となる波長(吸収率が最大となる波長、ピーク波長とも言う)が1μm以上8μm以下の範囲の赤外線となるように形成されることが好ましく、1μm以上6μm以下の範囲の赤外線となるように形成されることがより好ましい。具体的には、凹凸構造の面内方向のピッチが0.5μm以上10μm以下の範囲内に制御され、凹凸構造の厚さ方向のギャップが0.25μm以上10μm以下の範囲内に制御されることが好ましい。
微細凹凸構造部12の形成は、所望の構造が得られるかぎり方法に特段の限定はなく、従前の方法(例えば、フォトリソグラフィ法、気相成長法、めっき法など)を適宜利用できる。例えば、ベース部11と微細凹凸構造部12とが同一材料からなる場合、ベース部11の一方の主表面に、直接、微細凹凸構造部12を形成してもよい。ベース部11と微細凹凸構造部12とが別材料からなる場合、ベース部11の一方の主表面の上に、良好な導電性を有する金属材料からなる層を形成した後に、当該金属層に微細凹凸構造部12を形成してもよい。
また、放熱しようとする発熱性部品1の表面が良好な導電性を有する金属材料からなり、発熱性部品1の表面の加工が許容される場合には、発熱性部品1の表面に、直接、微細凹凸構造部12を形成してもよい。
微細凹凸構造部12を覆う樹脂層20の樹脂21としては、微細凹凸構造部12から放射される赤外線(特にピーク波長の赤外線)の透過率が高い樹脂であれば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂や紫外線硬化性樹脂を適宜利用できる。なお、本発明において、赤外線の透過率が高いとは、波長1μm以上8μm以下の帯域に透過率が50%以上となる帯域が含まれることを意味するものとする。
具体的には、樹脂21としてフェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ユリア樹脂、シリコン樹脂、メラミン尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂などを好適に利用できる。
樹脂層20の厚さは、1μm以上300μm以下が好ましく、5μm以上200μm以下がより好ましく、10μm以上150μm以下が更に好ましい。樹脂層20の厚さが1μm未満になると、低密度粒子22の群による断熱効果が十分に発揮できない。一方、樹脂層20の厚さが300μm超になると、樹脂層20による保温作用が強くなって放熱性が低下する。
樹脂層20に含ませる低密度粒子22としては、樹脂21よりも熱伝導性を低くするため、中空粒子および/または多孔質粒子を用いることが好ましい。言い換えると、中空粒子や多孔質粒子は、粒子内の気孔率/空隙率が高いことから、中実な樹脂材よりも熱伝導性を低くすることができる。低密度粒子22の材質は、赤外線の透過率が高ければ特段の限定はなく、酸化物(例えば、シリカ、アルミナ、ガラスなど)や有機物(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂など)を適宜利用できる。
低密度粒子22の平均粒子径は、1μm以上200μm以下が好ましく、2μm以上150μm以下がより好ましく、5μm以上100μm以下が更に好ましい。低密度粒子22の平均粒子径が1μm未満になると、粒子内の気孔率/空隙率が低下することから熱伝導性の低下効果が不十分になる。一方、低密度粒子22の平均粒子径が200μm超になると、樹脂層20から脱落し易くなって熱伝導性の低下効果が不十分になる。
樹脂層20における低密度粒子22の混合率は、樹脂21に対して3体積%以上30体積%以下が好ましく、4体積%以上25体積%以下がより好ましく、5体積%以上20体積%以下が更に好ましい。低密度粒子22の混合率が3体積%未満になると、熱伝導性の低下効果が不十分になる。一方、低密度粒子22の混合率が30体積%超になると、樹脂層20の形成が難しくなる。
低密度粒子22の群は、熱伝導性の低下効果の観点から、樹脂層20を厚さ方向に投影/透視したときに基材10を一様に覆っていることが好ましい。また、樹脂層20を面内方向(厚さ方向に直交する方向)に見たときに樹脂層20の中に均等に分散していてもよいが、樹脂層20の表面領域に偏在していることがより好ましい。
樹脂層20の形成は、所望の構造が得られるかぎり方法に特段の限定はなく、従前の方法を適宜利用できる。例えば、樹脂21と低密度粒子22とを混合した樹脂/粒子塗料を基材10に塗布する方法、低密度粒子22が混合された樹脂シートを基材10に貼り付ける方法、樹脂塗料を基材10に塗布した後に該樹脂塗料が硬化する前に低密度粒子22を埋め込む方法などを適宜利用できる。
樹脂層形成用の塗料や樹脂シートを調合する際、必要に応じて溶剤、造膜助剤、可塑剤、顔料、シランカップリング材、粘度調整剤などを添加・混合してもよい。
以下、種々の実験により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実験に記載された構成・構造に限定されるものではない。
[実験1]
(実施例1の作製)
Al板(JIS A1100、縦30 mm×横30 mm×厚さ1 mm)の一方の主表面に対し、フォトリソグラフィ法を用いて微細凹凸構造部12(円柱状凹部:直径2μm×深さ2μm、円柱状凹部の面内方向ピッチ4.2μm)を形成して基材10を用意した。
一方、アクリル系樹脂(東レ・ファインケミカル株式会社製、コータックス(登録商標)、LHシリーズ、密度1.1 g/cm3)に対して中空ガラス粒子(スリーエム株式会社製、ガラスバブルズ、S42XHS、見掛け密度0.42 g/cm3、平均粒子径22μm)が5体積%となるように混合し、該混合材100質量部に対して溶剤の酢酸ブチル30質量部を混合して樹脂層形成用の樹脂/粒子塗料を調合した。
つぎに、基材10の微細凹凸構造部12を覆うように、吹付塗装装置を用いて樹脂/粒子塗料を吹付塗装した後、塗膜を乾燥させて実施例1の放熱部材(樹脂層20の厚さ100μm)を作製した。
つぎに、放熱部材の放熱特性/断熱特性を調査するために、擬似的な発熱性部品として面状発熱体(シンワ測定株式会社製、ポリイミドヒーター、FLヒーター04_PI_20Ω、縦30 mm×横30 mm)を用意し、放熱部材のベース部11を面状発熱体の一方の主表面に貼り付けた。このとき、ベース部11と面状発熱体との間に測温用のK熱電対を挟み込んだ。また、面状発熱体の他方の主表面には、微細凹凸構造部12を形成していない平板のAl板(JIS A1100、縦30 mm×横30 mm×厚さ1 mm)を貼り付けた。以上により、実施例1のテスト試料を作製した。
組織観察用に別途作製した実施例1の放熱部材の断面を観察したところ、図1に相当する構造を有していることが確認された。低密度粒子22の見掛け密度が樹脂21の密度に比して十分に小さいことから、塗膜の乾燥過程で浮上して樹脂層20の表面領域に偏在したと考えられた。
また、微細凹凸構造部12の形成の有無による赤外線吸収の差異をフーリエ変換赤外分光光度計により計測した。その結果、微細凹凸構造部12における、波長1~8μmの範囲の赤外線の吸収スペクトル積分量は、波長1~20μmの範囲の赤外線の吸収スペクトル積分量に対して0.6以上であった。一方、微細凹凸構造部12を形成していないAl板においては、波長1~8μmの赤外線の吸収スペクトル自体が実質的に観察されなかった。
(実施例2の作製)
実施例1で用いた樹脂/粒子塗料の低密度粒子22を5体積%のシラスバルーン(株式会社アクシーズケミカル製、ウインライト、MSB-3011S、見掛け密度0.5 g/cm3、平均粒子径30μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の放熱部材とテスト試料とを作製した。
(実施例3の作製)
実施例1で用いた樹脂/粒子塗料の低密度粒子22を8体積%の中空ガラス粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の放熱部材とテスト試料とを作製した。
(実施例4の作製)
実施例1で用いた樹脂/粒子塗料の低密度粒子22を5体積%の中空ポリマー粒子(積水化学株式会社製、アドバンセル、EML101、見掛け密度0.02 g/cm3、平均粒子径15μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の放熱部材とテスト試料とを作製した。
(比較例1の作製)
低密度粒子22を混合しないこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂塗料を用意した。つぎに、微細凹凸構造部12を形成していない平板のAl板(JIS A1100、縦30 mm×横30 mm×厚さ1 mm)を基材10とし、その一方の主表面を覆うように、吹付塗装装置を用いて樹脂塗料を吹付塗装した後、塗膜を乾燥させて比較例1の放熱部材(樹脂層20の厚さ100μm)を作製した。
その後、実施例1と同様にして、比較例1のテスト試料を作製した。比較例1は、基材10に微細凹凸構造部12が形成されていないことによる影響を観察することができる比較試料である。
(比較例2の作製)
比較例1で用いた基材10を実施例1と同じ基材(微細凹凸構造部12が形成された基材)に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の放熱部材とテスト試料とを作製した。比較例2は、樹脂層20が低密度粒子22を含んでいないことによる影響を観察することができる比較試料である。
(他の発熱性部品の用意)
実施例1と同様の面状発熱体の両主表面に、平板のAl板(JIS A1100、縦30 mm×横30 mm×厚さ1 mm)を貼り付けた。このとき、Al板と面状発熱体との間に測温用のK熱電対を挟み込んだ。これにより、もらい熱環境を構築するための他の発熱性部品を用意した。
[実験2]
(もらい熱のない環境での放熱テスト)
図2は、実験環境を示す模式図である。図2に示したように、テスト試料の放熱部材に対面するように他の発熱性部品を2 cm離して配置し、風の影響を防止するためにそれらを密閉容器(実験開始時温度25℃)の中に静置した。図2の実験環境は、実験2~4で共通とした。
実験2では、テスト試料の面状発熱体のみに定電力(5 W)を印加して、テスト試料の温度を測定した。面状発熱体に一定の電力を印加しているので、測定温度は放熱量とバランスしたところで安定する。すなわち、放熱性の高いテスト試料ほど低い温度を示すことが予想される。結果を表1に示す。
Figure 0007425670000001
表1に示したように、比較例1~2を見ると、比較例2の方が約10℃低いことが判る。このことから、基材10に微細凹凸構造部12を形成すると、放熱性が向上することが確認される。また、実施例1~4の温度は、比較例2の温度と同等である。このことから、樹脂層20に含まれる低密度粒子22の群は、放熱性を阻害しないことが確認される。
[実験3]
(もらい熱環境での断熱テスト)
実験3では、他の発熱性部品の面状発熱体のみに定電力(4.5 W)を印加し、他の発熱性部品およびテスト試料の温度を測定した。実験3においては、断熱性の高いテスト試料ほど低い温度を示すことが予想される。結果を表2に示す。
Figure 0007425670000002
表2に示したように、他の発熱性部品の温度は、比較例1~2および実施例1~4の全てで同等である。すなわち、もらい熱の条件は全テスト試料で同等と見なせる。比較例1~2を見ると、比較例2の方が約5℃低いことが判る。これは、基材10の微細凹凸構造部12がもらい熱を再度放熱するためと考えられる。また、実施例1~4の温度は、比較例2の温度よりも5℃以上低くなっていることが判る。このことから、樹脂層20に含まれる低密度粒子22の群は、もらい熱環境での断熱性を高めることが確認される。
[実験4]
(もらい熱環境での放熱および断熱テスト)
実験4では、他の発熱性部品の面状発熱体に定電力(4.5 W)を印加し、テスト試料の面状発熱体に定電力(2.5 W)を印加して、他の発熱性部品およびテスト試料の温度を測定した。実験4においては、断熱性の高いテスト試料ほど低い温度を示すことが予想される。結果を表3に示す。
Figure 0007425670000003
表3に示したように、他の発熱性部品の温度は、比較例1~2および実施例1~4の全てで同等である。すなわち、もらい熱の条件は全テスト試料で同等と見なせる。比較例1~2を見ると、比較例2の方が約7℃低いことが判る。これは、基材10の微細凹凸構造部12がもらい熱を再度放熱するためと考えられる。また、実施例1~4の温度は、比較例2の温度よりも8℃以上低くなっていることが判る。このことから、樹脂層20に含まれる低密度粒子22の群は、もらい熱環境での断熱性を高めることが確認される。
以上の実験2~4の結果から、本発明に係る放熱部材は、放熱しようとする発熱性部品がもらい熱を受ける環境に置かれても、もらい熱の影響を抑制して効果的に放熱することができることが確認された。
上述した実施形態や実験例は、本発明の理解を助けるために説明したものであり、本発明は、記載した具体的な構成のみに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の一部を当業者の技術常識の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に当業者の技術常識の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実施形態や実験例の構成の一部について、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
1…発熱性部品、10…基材、11…ベース部、12…微細凹凸構造部、
20…樹脂層、21…樹脂、22…低密度粒子、100…放熱部材。

Claims (7)

  1. 発熱性部品の熱を放熱する放熱部材であって、
    前記発熱性部品に付着するベース部と所定の赤外線を選択的に放射する微細凹凸構造部とからなる基材と、
    前記微細凹凸構造部を覆い前記所定の赤外線を透過する樹脂の層とを具備し、
    前記樹脂の層は、該樹脂よりも見掛け密度の低い粒子の群を含み、
    前記見掛け密度の低い粒子の群は、前記樹脂よりも熱伝導性が低いことを特徴とする放熱部材。
  2. 請求項1に記載の放熱部材において、
    前記微細凹凸構造部は金属材料からなり、
    前記見掛け密度の低い粒子の群は、中空粒子および多孔質粒子の少なくとも一つを含むことを特徴とする放熱部材。
  3. 請求項1または請求項2に記載の放熱部材において、
    前記見掛け密度の低い粒子の群は、前記樹脂の層に対して3体積%以上30体積%以下で含まれていることを特徴とする放熱部材。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の放熱部材において、
    前記見掛け密度の低い粒子の群は、平均粒子径が1μm以上200μm以下であることを特徴とする放熱部材。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の放熱部材において、
    前記樹脂の層は、厚さが1μm以上300μm以下であることを特徴とする放熱部材。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の放熱部材において、
    前記見掛け密度の低い粒子の群は、前記樹脂の層を厚さ方向に透視したときに前記基材を一様に覆っていることを特徴とする放熱部材。
  7. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の放熱部材において、
    前記見掛け密度の低い粒子の群は、前記樹脂の層の表面領域に偏在することを特徴とする放熱部材。
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