JP7425003B2 - 電動式作業機械 - Google Patents

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Description

本発明は、電動式作業機械に関する。
従来、電動モータによって油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプからアクチュエータに作動油を供給してアクチュエータを駆動する油圧ショベルが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2019-196682号公報
電動モータの起動時は、作動油が低温状態であるため、作動油タンクから油圧ポンプに作動油が流れにくく、このため、油圧ポンプ内に吸い込まれた作動油の圧力が負圧傾向になりやすい。その結果、油圧ポンプ内で気泡およびキャビテーションが発生しやすくなる。なお、キャビテーションとは、気泡の発生および消滅が短時間で起こる空洞現象を言う。キャビテーションの発生は、気泡が消滅する際に放出されるエネルギーにより油圧ポンプにダメージを与え、油圧ポンプが故障する要因となり得る。
電動モータの起動時に、油圧ポンプ内でのキャビテーションの発生を抑えて、油圧ポンプが故障する虞を低減する技術は、未だ提案されていない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、電動モータの起動時に、油圧ポンプ内でのキャビテーションの発生を抑えて、油圧ポンプが故障する虞を低減することができる電動式作業機械を提供することにある。
本発明の一側面に係る電動式作業機械は、電動モータと、作動油の供給によって駆動される油圧アクチュエータと、前記作動油を収容する作動油タンクと、前記電動モータによって駆動され、前記作動油タンクに収容された前記作動油を前記アクチュエータに供給する油圧ポンプと、回転指令に基づいて、前記電動モータを回転させるインバータと、前記回転指令を前記インバータに出力する回転制御部と、を備え、前記回転制御部は、前記電動モータの起動時に、前記回転指令として、前記電動モータの回転数が、複数の制御周期を経て、かつ、前記制御周期ごとに増大して目標回転数に至る指令を前記インバータに出力する。
電動モータの起動時に、油圧ポンプ内でのキャビテーションの発生を抑えて、油圧ポンプが故障する虞を低減することができる。
本発明の実施の一形態に係る電動式作業機械の一例である油圧ショベルの概略の構成を示す側面図である。 上記油圧ショベルの制御系の構成を模式的に示すブロック図である。 電動モータの起動時に作動油が低温状態である場合において、ECUが生成する回転指令と、上記電動モータの実回転数の推移とを示すグラフである。 上記電動モータの起動時に上記作動油が常温状態である場合において、ECUが生成する回転指令と、上記電動モータの実回転数の推移とを示すグラフである。 上記電動モータの起動時に上記作動油がより低温である場合において、ECUが生成する回転指令と、上記電動モータの実回転数の推移とを示すグラフである。 上記ECUの構成の一例を示すブロック図である。 上記作動油の温度と、上記電動モータの回転数の増加量との関係を予め規定した増加量マップの一例を示す説明図である。 上記ECUの構成の他の例を示すブロック図である。 上記作動油の温度と比例ゲインとの関係を予め規定したゲインマップの一例を示す説明図である。 上記作動油の温度と積分ゲインとの関係を予め規定したゲインマップの一例を示す説明図である。 PI制御の例を模式的に示す説明図である。
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
〔1.電動式作業機械〕
図1は、本実施形態の電動式作業機械の一例である油圧ショベル1の概略の構成を示す側面図である。なお、電動式作業機械は、油圧ショベル1に限定されず、ホイルローダ等の他の車両であってもよい。油圧ショベル1は、下部走行体2と、作業機3と、上部旋回体4と、を備える。
ここで、図1において、方向を以下のように定義する。まず、下部走行体2が直進する方向を前後方向とし、そのうちの一方側を「前」とし、他方側を「後」とする。図1では、例として、ブレード23に対して走行モータ22側を「前」として示す。また、前後方向に垂直な横方向を左右方向とする。このとき、操縦席41aに座ったオペレータ(操縦者、運転手)から見て左側を「左」とし、右側を「右」とする。さらに、前後方向および左右方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、左右一対の走行モータ22と、を備える。各走行モータ22は、油圧モータである。左右の走行モータ22が、左右のクローラ21をそれぞれ駆動することにより、油圧ショベル1を前後進させることができる。下部走行体2には、整地作業を行うためのブレード23と、ブレードシリンダ23aとが設けられる。ブレードシリンダ23aは、ブレード23を上下方向に回動させる油圧シリンダである。
作業機3は、ブーム31、アーム32、およびバケット33を備える。ブーム31、アーム32、およびバケット33を独立して駆動することにより、土砂等の掘削作業を行うことができる。
ブーム31は、ブームシリンダ31aによって回動される。ブームシリンダ31aは、基端部が上部旋回体4の前部に支持され、伸縮自在に可動する。アーム32は、アームシリンダ32aによって回動される。アームシリンダ32aは、基端部がブーム31の先端部に支持され、伸縮自在に可動する。バケット33は、バケットシリンダ33aによって回動される。バケットシリンダ33aは、基端部がアーム32の先端部に支持され、伸縮自在に可動する。ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、およびバケットシリンダ33aは、油圧シリンダにより構成される。
上部旋回体4は、下部走行体2に対して旋回ベアリング(不図示)を介して旋回可能に構成される。上部旋回体4には、操縦部41、旋回台42、旋回モータ43、機関室44等が配置される。上部旋回体4は、油圧モータである旋回モータ43の駆動により、旋回ベアリングを介して旋回する。
上部旋回体4には、複数の油圧ポンプ71(図2参照)が配置される。各油圧ポンプ71は、機関室44の内部の電動モータ61(図2参照)によって駆動される。各油圧ポンプ71は、油圧モータ(例えば左右の走行モータ22、旋回モータ43)、および油圧シリンダ(例えばブレードシリンダ23a、ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、バケットシリンダ33a)に作業油(圧油)を供給する。任意の油圧ポンプ71から作動油が供給されて駆動される油圧モータおよび油圧シリンダを、まとめて油圧アクチュエータ73(図2参照)と呼ぶ。
操縦部41には、操縦席41aが配置される。操縦席41aの周囲には、各種のレバー41bが配置される。オペレータが操縦席41aに着座してレバー41bを操作することにより、油圧アクチュエータ73が駆動される。これにより、下部走行体2の走行、ブレード23による整地作業、作業機3による掘削作業、上部旋回体4の旋回、等を行うことができる。
上部旋回体4には、バッテリー53(例えばリチウムイオンバッテリ―)が取り付けられる。バッテリー53から供給される電力により、電動モータ61を駆動することができる。また、上部旋回体4には、不図示の給電口が設けられる。上記の給電口と、外部電源である商用電源51とは、給電ケーブル52を介して接続される。これにより、バッテリー53を充電することも可能である。
なお、下部走行体2、作業機3および上部旋回体4をまとめて機体BAとしたとき、機体BAは、電力と油圧機器とを併用して駆動されてもよい。つまり、機体BAは、油圧アクチュエータ73などの油圧機器の他に、電動走行モータ、電動シリンダ、電動旋回モータ等を含んでいてもよい。
〔2.制御系の構成〕
図2は、油圧ショベル1の制御系の構成を模式的に示すブロック図である。油圧ショベル1は、電動モータ61を備える。
電動モータ61は、商用電源51(図1参照)およびバッテリー53の少なくとも一方から、後述するインバータ63を介して供給される電力により駆動される。電動モータ61は、永久磁石モータまたは誘導モータで構成される。なお、ミニショベルなど小型の作業機械に電動モータ61を装着する場合、小型でレイアウト性に優れる観点から、誘導モータよりも永久磁石モータで電動モータ61を構成することが望ましい。
電動モータ61の回転軸(出力軸)には、複数の油圧ポンプ71が接続される。複数の油圧ポンプ71は、可変容量型ポンプおよび固定容量型ポンプを含む。図2では、例として油圧ポンプ71を1つのみ図示している。各油圧ポンプ71は、作動油を収容する作動油タンク74と接続されている。油圧ポンプ71により、作動油タンク74内の作動油が、コントロールバルブ72を介して油圧アクチュエータ73に供給される。これにより、油圧アクチュエータ73が駆動される。
すなわち、本実施形態の油圧ショベル1は、電動モータ61と、作動油の供給によって駆動される油圧アクチュエータ73と、作動油を収容する作動油タンク74と、電動モータ61によって駆動され、作動油タンク74に収容された作動油を油圧アクチュエータ73に供給する油圧ポンプ71と、を備える。
電動モータ61の実際の回転数(実回転数)は、回転数センサ61aによって検出される。回転数センサ61aは、レゾルバ、エンコーダ、ホール素子等を用いて構成される。回転数センサ61aによって検出された電動モータ61の回転数の情報は、インバータ63に入力され、インバータ63でのフィードバック制御に供される。このように、油圧ショベル1は、電動モータ61の実回転数を検出する回転数センサ61aを備える。
上記した作動油タンク74には、作動油温度センサ74aが設けられている。作動油温度センサ74aは、作動油の温度を検出するセンサであり、例えばサーミスタで構成されるが、他のセンサ(例えば熱電対、測温抵抗体など)で構成されてもよい。作動油温度センサ74aで検出された作動油の温度の情報は、後述するECU80に入力され、ECU80での回転指令(制御信号)の生成に利用される。このように、油圧ショベル1は、作動油の温度を検出する作動油温度センサ74aを備える。
油圧ショベル1は、給電器62と、インバータ63と、ECU(Electronic Control Unit)80と、をさらに備える。給電器62は、商用電源51(図1参照)から給電ケーブル52を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換する。
インバータ63は、給電器62から出力される直流電圧、またはバッテリー53から供給される直流電圧を、交流電圧に変換して電動モータ61に供給する。これにより、電動モータ61が回転する。インバータ63から電動モータ61への交流電圧(電流)の供給は、ECU80から出力される回転指令に基づいて行われる。
インバータ63は、フィードバック制御部63aを備える。フィードバック制御部63aは、上記回転指令において設定される電動モータ61の回転数(設定回転数)と、回転数センサ61aによって検出された電動モータ61の実回転数との偏差を求め、その偏差が小さくなるように(実回転数が設定回転数に近づくように)、インバータ63から電動モータ61への出力(例えば電流)を制御する。このようなフィードバック制御部63aは、電子制御ユニットまたはCPU(Central Processing Unit)と呼ばれる中央演算処理装置で構成される。つまり、インバータ63は、回転指令における電動モータ61の設定回転数と、回転数センサ61aによって検出された実回転数とに基づいて、電動モータ61への出力を制御するフィードバック制御を行うフィードバック制御部63aを有する。なお、上記の設定回転数は、ゼロ以上で、かつ、電動モータ61の起動時に最終的に到達させる目標となる回転数(後述の目標回転数Rs)以下の値に設定される。
フィードバック制御部63aによる上述のフィードバック制御は、例えばPI制御(比例-積分制御)であるが、これに限定されるわけではなく、P制御(比例制御)またはPID制御(比例-積分-微分制御)であってもよい。
ECU80は、上記回転指令を生成してインバータ63に出力する回転制御部として機能する電子制御ユニットまたはCPUである。
このように、本実施形態の油圧ショベル1は、回転指令に基づいて、電動モータ61を回転させるインバータ63と、上記回転指令をインバータ63に出力する回転制御部としてのECU80と、を備える。
ECU80には、キーシリンダ91からの検知信号と、作動油温度センサ74aで検出された作動油の温度の情報と、が入力される。キーシリンダ91には、油圧ショベル1の駆動および停止を指示するためのキーがオペレータによって差し込まれる。キーシリンダ91は、差し込まれたキーの回転位置(OFF、ON、スタート)を検知して、その検知信号をECU80に出力する。これにより、例えば、オペレータによってキーがスタート位置に回転され、キーシリンダ91から上記検知信号としてキースタート信号がECU80に入力されると、ECU80は油圧ショベル1の駆動を開始すべく、作動油の温度に基づいて適切な回転指令を生成してインバータ63に出力することができる。インバータ63は、上記回転指令に応じた電圧(電流)を電動モータ61に供給して、電動モータ61を回転させる。なお、ECU80は、キーシリンダ91以外のスイッチまたはセンサ等から出力される信号に基づいて回転指令を生成し、生成した回転指令をインバータ63に出力して電動モータ61を回転させてもよい。つまり、油圧ショベル1の駆動を開始させるトリガーとなる信号は、上記のキースタート信号には限定されない。
〔3.電動モータの起動時における回転数制御(立ち上げ制御)〕
以下での説明の便宜上、閾値(例えばT0(℃))よりも高い温度を常温(例えばT1(℃))とし、閾値以下の温度を低温(例えばT2(℃))とする。すなわち、T2<T1である。
図3は、電動モータ61の起動時に(油圧ショベル1の駆動開始時に)、作動油が低温状態である場合において(作動油の温度をT(℃)として、T=T2<T1)、ECU80が生成する回転指令(破線のグラフ)と、その回転指令に基づいて、インバータ63が電動モータ61を回転させたときの電動モータ61の実回転数の推移(実線のグラフ参照)とを示している。本実施形態では、作動油が低温である場合、ECU80は、電動モータ61の起動時に、回転指令として、電動モータ61の回転数が、複数の制御周期P(msec)を経て、かつ、その制御周期Pごとに(ゼロから)増大して目標回転数Rs(min-1)に至る指令を生成し、インバータ63に出力する。なお、作動油が低温であるか否かは、作動油温度センサ74aから出力される情報と閾値とに基づいて、ECU80が判断することができる。
ここで、上記の制御周期Pとは、ECU80が電動モータ61の回転数を制御する単位となる期間を指す。また、上記の目標回転数Rsは、例えば操縦席41a(図1参照)の横に設けられたダイヤルをオペレータが操作することによって予め設定される。ECU80は、上記ダイヤルの回転位置に基づいて、設定された目標回転数Rsを認識することができる。
図3の例では、ECU80は、1つの制御周期Pの間に、電動モータ61の回転数がRs/5だけ増大し、これを5周期繰り返すことにより、電動モータ61の回転数を最終的に目標回転数Rsに到達させる回転指令を生成している。このような回転指令に基づいて、インバータ63が電動モータ61を駆動したとき、電動モータ61の回転数は時間経過に伴ってほぼ線形的(エンジンと比較すると多少はステップ的)に増加して目標回転数Rsに到達する。
なお、上記回転指令に基づいて電動モータ61を駆動したときの電動モータ61の実回転数の変化は、時間を変数とする関数で表される。例えば所定の区間(5P)での回転数の増加量を積分することにより、右上がりの直線部を示す関数(一次関数)を求めることができる。
図3の例では、5つの制御周期Pのどれについても、電動モータ61の回転数の増加量ΔRをRs/5としているが、増加量ΔRは、各制御周期Pで異なる値であってもよい。例えば、5つの制御周期Pにおける回転数の増加量ΔRは、それぞれ、6Rs/20、5Rs/20、4Rs/20、3Rs/20、2Rs/20であってもよい。このように各制御周期Pでの増加量ΔRを設定した場合、回転指令のグラフは目標回転数Rsに漸近していく波形となる。
また、図3の例では、ECU80は、複数の制御周期Pにわたって、回転数を連続的に増大させる(回転数を単調に増加させる)回転指令を生成しているが、回転数を段階的に増大させる回転指令を生成してもよい。例えば、ECU80は、最初の制御周期Pでは回転数をRs/5で一定に維持し、次の制御周期Pでは回転数を2Rs/5で一定に維持し、次の制御周期Pでは回転数を3Rs/5で一定に維持し、次の制御周期Pでは回転数を4Rs/5で一定に維持し、次の制御周期Pで回転数を目標回転数Rsに到達させる回転指令を生成してもよい。
このように、ECU80は、電動モータ61の起動時に、上記回転指令を生成してインバータ63に出力することにより、例えば電動モータ61の回転数を1つの制御周期Pの間にゼロから目標回転数Rsまで増大させる制御を行う場合に比べて、電動モータ61の回転数を緩やかに上昇させることができる。これにより、電動モータ61の起動時に作動油が低温であるために、作動油タンク74から油圧ポンプ71に作動油が流れにくい状態であっても、作動油が徐々に油圧ポンプ71に吸い込まれる。このため、油圧ポンプ71内に吸い込まれた作動油の圧力が負圧傾向になることを抑制することができる。したがって、油圧ポンプ71内での気泡およびキャビテーションの発生を抑制することができ、キャビテーションに起因して油圧ポンプ71が故障する虞を低減することができる。
上記した電動モータ61の立ち上がり制御は、電動モータ61の起動時に、作動油が低温である場合のみならず、常温である場合にも適用することができる。
図4は、電動モータ61の起動時に、作動油が常温である場合において(T=T1)、ECU80が生成する通常の回転指令(破線のグラフ)と、その回転指令に基づいて、インバータ63が電動モータ61を回転させたときの電動モータ61の実回転数の推移(実線のグラフ参照)とを示している。作動油が常温である場合、作動油の粘度が低温時よりも低いため、作動油は作動油ポンプ74から油圧ポンプ71に流れやすくなる。この場合、図4に示す回転指令に基づく制御を行っても、つまり、1つの制御周期Pの間に、電動モータ61の回転数をゼロから目標回転数Rsまで増大させる制御を行っても、油圧ポンプ71内に吸い込まれる作動油の圧力が負圧傾向になりにくくなる。この場合、油圧ポンプ71内でのキャビテーションの発生は抑制されるため、キャビテーションに起因する油圧ポンプ71の故障を低減することができる。
ただし、図4に示す回転指令に基づく電動モータ61の回転数制御では、電動モータ61の回転数の短時間での急激な増加により、オーバーシュートが顕著に発生することになる。なお、オーバーシュートとは、電動モータ61の回転数が目標回転数Rsを一旦超えてから目標回転数Rsに近づく回転数の変動を指す。電動モータ61の定格回転数は予め決まっているが、目標回転数Rsが定格回転数の近くに設定された場合、図4の制御を行うと、オーバーシュートにより、電動モータ61が定格回転数を超える回転数で回転し、油圧ショベル1の各機器に悪影響を与えることが懸念される。このような悪影響を回避する観点では、電動モータ61の起動時に、作動油が常温であっても、作動油が低温である場合と同様の(図3の回転指令に基づく制御と同様の)回転数制御を行うことが望ましい。
〔4.作動油の温度に応じた回転数の増加量の制御〕
図5は、作動油の温度がT2よりも低い温度(例えばT3(℃))である場合において(T=T3<T2)、ECU80が生成する回転指令(破線のグラフ)と、その回転指令に基づいて、インバータ63が電動モータ61を回転させたときの電動モータ61の実回転数の推移(実線のグラフ参照)とを示している。ECU80は、電動モータ61の回転数の制御周期Pごとの増加量ΔRを、作動油の温度に基づいて決定してもよい。
例えば、図3で示した回転指令では、1つの制御周期Pにおいて、電動モータ61の回転数の増加量ΔRをRs/5に設定しているが、図5で示した回転指令では、1つの制御周期Pにおいて、電動モータ61の回転数の増加量ΔRをRs/7に設定している。つまり、ECU80は、作動油の温度が低くなるにつれて、電動モータ61の回転数の制御周期Pごとの増加量ΔRを減少させる。なお、図3と図5とで、目標回転数Rは同じ値に設定されており、1つの制御周期Pの長さも同じ値に設定されているとする。したがって、図5の回転指令では、図3の回転指令よりも、1つの制御周期Pあたりの電動モータ61の回転数の増加量ΔR(直線部の傾き)が小さく設定される。
作動油は温度によって粘度が変化する。このため、ECU80が、電動モータ61の回転数の制御周期Pごとの増加量ΔRを、作動油の温度に基づいて決定することにより、増加量ΔRを作動油の粘度に応じた適切な量に設定して、電動モータ61の起動時に油圧ポンプ71内に吸い込まれる作動油の圧力が負圧傾向になることを確実に抑制することができる。これにより、油圧ポンプ71内でのキャビテーションの発生を確実に抑制して、油圧ポンプ71が破損する虞を確実に低減することができる。
特に、作動油の温度が低いと、作動油の粘度が高く、作動油が流れにくくなる。作動油の温度が低くなるにつれて増加量ΔRを減少させることにより、電動モータ61の起動(立ち上げ速度)を過剰に遅くすることなく、油圧ポンプ71内で作動油が負圧傾向になることを抑制して、油圧ポンプ71が破損する虞を低減することができる。逆に、作動油の温度が高くなるにつれて増加量ΔRは増加することになるため、電動モータ61の起動を早くすることができる。この場合、短時間で所望のポンプ出力を得て、オペレータによる作業機械の操作性を向上させることができる。
〔5.増加量マップを利用した回転数制御〕
図6は、ECU80の構成の一例を示すブロック図である。回転制御部としてのECU80は、増加量マップ記憶部81と、増加量決定部82と、を有する構成であってもよい。増加量マップ記憶部81は、作動油の温度と、電動モータ61の回転数の増加量との関係を予め規定した増加量マップを記憶するメモリ(例えば不揮発性メモリ)である。図7は、上記増加量マップの一例を示している。増加量決定部82は、増加量マップ記憶部81に記憶された増加量マップから、作動油温度センサ74aによって検出された作動油の温度に対応する、1つの制御周期Pでの電動モータ61の回転数の増加量ΔRを決定する。
例えば、作動油の温度が-15℃であったとき、増加量決定部82は、上記増加量マップに基づき、-15℃の作動油の温度に対応する回転数の増加量ΔRとして、40(min-1)を決定する。また、作動油の温度が0℃であったとき、増加量決定部82は、上記増加量マップに基づき、0℃の作動油の温度に対応する回転数の増加量ΔRとして、70(min-1)を決定する。このような増加量決定部82の機能は、ECU80を構成するコントローラによって達成される。
このように、ECU80(増加量決定部82)は、電動モータ61の回転数の制御周期Pごとの増加量ΔRを、増加量マップ記憶部81に予め記憶された増加量マップを利用して決定する。これにより、ECU80は、増加量マップから、作動油の温度に応じた適切な増加量ΔRを決定することができ、決定した増加量ΔRを反映した回転指令をインバータ63に出力することができる。したがって、インバータ63は、上記回転指令に基づいて、電動モータ61の回転数を制御周期Pごとに適切な増加量ΔRで増大させて、電動モータ61を作動油の温度に適した状態で起動させることができる。
〔6.インバータのフィードバック制御について〕
図8は、ECU80の構成の他の例を示すブロック図である。回転制御部としてのECU80は、ゲインマップ記憶部83と、ゲイン決定部84と、を有する構成であってもよい。ゲインマップ記憶部83は、作動油の温度と、インバータ制御部63aによるフィードバック制御のゲインとの関係を予め規定したゲインマップを記憶するメモリ(例えば不揮発性メモリ)である。
本実施形態では、インバータ制御部63aは、上述したようにPI制御を行うため、フィードバック制御に2種類のゲイン、つまり、比例ゲインおよび積分ゲインが存在する。図9は、作動油の温度と比例ゲインとの関係を予め規定したゲインマップの一例を示し、図10は、作動油の温度と積分ゲインとの関係を予め規定したゲインマップの一例を示している。図9および図10で示したゲインマップが、ゲインマップ記憶部83に記憶されている。
ゲイン決定部84は、ゲインマップ記憶部83に記憶されたゲインマップから、作動油温度センサ74aによって検出された作動油の温度に対応するゲインを決定する。例えば、作動油の温度が-18℃であったとき、ゲイン決定部84は、図9のゲインマップから、-18℃の作動油の温度に対応する比例ゲインとして0.4を決定し、図10のゲインマップから、積分ゲインとして0.2を決定する。また、作動油の温度が+5℃であったとき、ゲイン決定部84は、図9のゲインマップから、+5℃の作動油の温度に対応する比例ゲインとして0.8を決定し、図10のゲインマップから、積分ゲインとして0.3を決定する。ゲイン決定部84によって決定されたゲインに関する情報は、回転指令とともにECU80からインバータ63に出力される。
図11は、フィードバック制御部63aによるPI制御を模式的に示している。フィードバック制御部63aは、上記回転指令における電動モータ61の設定回転数(例えば最初の制御周期PではゼロからRs/5までの任意の回転数)と、回転数センサ61aによって検出された電動モータ61の実回転数との偏差に比例ゲインKpを乗じた比例項101の値と、上記偏差の積分値に積分ゲインKiを乗じた積分項102の値とを加算して、PI制御による動作指令値(電流値)を求める。フィードバック制御部63aは、上記の比例ゲインKpおよび積分ゲインKiを、ゲイン決定部84によって決定された比例ゲインおよび積分ゲインにそれぞれ変更してフィードバック制御を行う。
このように、ECU80のゲイン決定部84は、予め用意されたゲインマップを利用して作動油の温度に対応する適切なゲインを決定する。そして、インバータ63のフィードバック制御部63aは、フィードバック制御のゲインを、ゲイン決定部84によって決定されたゲインに変更してフィードバック制御を行う。作動油の温度に基づいてフィードバック制御のゲインを変更する制御によっても、電動モータ61を作動油の温度に適した状態で起動させることができる。
なお、フィードバック制御部63aがP制御またはPID制御を行う場合でも、上記と同様のゲインの変更制御を行うことができる。つまり、フィードバック制御部63aは、P制御を行う場合、ゲイン決定部84から出力されるゲイン情報に基づいて、比例ゲインのみを変更する制御を行えばよい。また、フィードバック制御部63aがPID制御を行う場合、ゲインマップ記憶部83に、作動油の温度と微分ゲインとの関係を規定したゲインマップをさらに記憶させておき、ゲイン決定部84が各ゲインマップから作動油の温度に対応する比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインをそれぞれ決定すればよい。そして、フィードバック制御部63aは、フィードバック制御の各ゲインを、ゲイン決定部84によって決定された比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインにそれぞれ変更する制御を行えばよい。
以上では、作業機械として、建設機械である油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、作業機械は油圧ショベル1に限定されず、ホイルローダなどの他の建設機械であってもよく、コンバイン、トラクタ等の農業機械であってもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
本発明は、例えば建設機械、農業機械などの作業機械に利用可能である。
1 油圧ショベル(電動式作業機械)
61 電動モータ
61a 回転数センサ
63 インバータ
63a インバータ制御部
71 油圧ポンプ
73 油圧アクチュエータ
74 作動油タンク
74a 作動油温度センサ
80 ECU(回転制御部)
81 増加量マップ記憶部
82 増加量決定部
83 ゲインマップ記憶部
84 ゲイン決定部

Claims (6)

  1. 電動モータと、
    作動油の供給によって駆動される油圧アクチュエータと、
    前記作動油を収容する作動油タンクと、
    前記電動モータによって駆動され、前記作動油タンクに収容された前記作動油を前記アクチュエータに供給する油圧ポンプと、
    回転指令に基づいて、前記電動モータを回転させるインバータと、
    前記回転指令を前記インバータに出力する回転制御部と、を備え、
    前記回転制御部は、前記電動モータの起動時に、前記回転指令として、前記電動モータの回転数が、複数の制御周期を経て、かつ、前記制御周期ごとに増大して、最終的に到達させる目標となる目標回転数に至る指令を前記インバータに出力する、電動式作業機械。
  2. 前記作動油の温度を検出する作動油温度センサをさらに備え、
    前記回転制御部は、前記電動モータの回転数の前記制御周期ごとの増加量を、前記作動油の温度に基づいて決定する、請求項1に記載の電動式作業機械。
  3. 前記回転制御部は、前記作動油の温度が低くなるにつれて、前記電動モータの回転数の前記制御周期ごとの増加量を減少させる、請求項2に記載の電動式作業機械。
  4. 前記回転制御部は、
    前記作動油の温度と前記回転数の前記増加量との関係を予め規定した増加量マップを記憶する増加量マップ記憶部と、
    前記増加量マップから、前記作動油温度センサによって検出された前記作動油の温度に対応する前記増加量を決定する増加量決定部と、を有する、請求項2または3に記載の電動式作業機械。
  5. 電動モータと、
    作動油の供給によって駆動される油圧アクチュエータと、
    前記作動油を収容する作動油タンクと、
    前記電動モータによって駆動され、前記作動油タンクに収容された前記作動油を前記アクチュエータに供給する油圧ポンプと、
    回転指令に基づいて、前記電動モータを回転させるインバータと、
    前記回転指令を前記インバータに出力する回転制御部と、
    前記作動油の温度を検出する作動油温度センサと、
    前記電動モータの実回転数を検出する回転数センサと、を備え、
    前記回転制御部は、前記電動モータの起動時に、前記回転指令として、前記電動モータの回転数が、複数の制御周期を経て、かつ、前記制御周期ごとに増大して目標回転数に至る指令を前記インバータに出力し、
    前記回転制御部は、前記電動モータの回転数の前記制御周期ごとの増加量を、前記作動油の温度に基づいて決定し、
    前記インバータは、前記回転指令における前記電動モータの設定回転数と、前記回転数センサによって検出された前記実回転数とに基づいて、前記電動モータへの出力を制御するフィードバック制御を行うフィードバック制御部を有し、
    前記回転制御部は、
    前記作動油の温度と前記フィードバック制御のゲインとの関係を予め規定したゲインマップを記憶するゲインマップ記憶部と、
    前記ゲインマップから、前記作動油温度センサによって検出された前記作動油の温度に対応する前記ゲインを決定するゲイン決定部と、を有し、
    前記インバータの前記フィードバック制御部は、前記フィードバック制御のゲインを、前記ゲイン決定部によって決定されたゲインに変更して前記フィードバック制御を行う、電動式作業機械。
  6. 前記回転制御部は、前記作動油の温度が低くなるにつれて、前記電動モータの回転数の前記制御周期ごとの増加量を減少させる、請求項5に記載の電動式作業機械。
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