JP7424629B2 - 錠剤カセット - Google Patents

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Description

この発明は、病院や薬局等で行われる調剤を自動化するための錠剤フィーダにおいて被駆動部を成す錠剤カセットに関し、詳しくは、錠剤を収容する容器部と容器部の中の整列盤とを具備していて整列盤が軸回転駆動されると錠剤を整列盤の周囲に整列させながら容器部の排出口から逐次落下させる錠剤カセットに関する。
従来より多用されている錠剤フィーダは(例えば特許文献1の図1,図5,図8等を参照)、給電や制御のために錠剤分包機の引出棚や錠剤分割装置の本体部などに固定して装備される駆動部と、錠剤補充作業の容易化などのため駆動部に対して着脱自在になっている錠剤カセットとからなり、多数の錠剤を錠剤カセットにランダム収容しておき、必要に応じて駆動部を間欠動作や連続動作させて錠剤カセットから錠剤を一つずつ送り出すようになっている。このような錠剤フィーダは、錠剤を上から下へ移動させながら錠剤を絞り込むことで逐次排出を行う。
また、そのような錠剤フィーダへの組み込みに最も多く用いられている錠剤カセットは(例えば特許文献1~4を参照)、蓋を開けて補充された多数の錠剤を内部の空間に収容する容器部と、その中に軸回転可能に収められる整列盤本体部(回転盤)とこの整列盤本体部から容器部底面を貫いて下方へ突き出ていて駆動部の駆動を受ける回転伝動軸(整列盤脚部)とを具備した整列盤と、上記の整列盤本体部と容器部の内壁面との環状間隙の下端部を画する容器部の底板に貫通形成された排出口に対向させて設けられ環状間隙の上端側の一部を仕切る仕切ユニットとを備えている、というものである。
これらの錠剤カセットのうち、二重落下防止用の仕切り部材に平紐状や丸紐状のベルトを採用したものでは(例えば特許文献1を参照)、錠剤が異形剤や半錠であっても定形剤のように手軽に取り扱えるようになっているが、整列盤については、整列盤本体部の下部と容器部の内周面との間の環状間隙に錠剤を整列させるために、環状間隙を錠剤一つ分ずつ区切るべく環状間隙に突き出た羽根状の隔壁が整列盤本体部の下部の外周部位に等ピッチで多数形成されており、隣り合う隔壁の間が、整列盤本体部の上から落ちてきた錠剤を一個ずつ収める区画室になっている。この整列盤では、多数の放射状突出隔壁が整列盤本体部に固定した状態で形成されていた。
また、上記の錠剤カセットのうち、着脱式で付け替え容易な一重回転タイプ錠剤フィーダ対応の錠剤カセットを種々の錠剤に共用しうるようになったものでは(例えば特許文献2を参照)、整列盤本体部が、回転伝動軸に対して固定的に連なる回転盤基部と、それに外装された周方向拡縮機構および径方向拡縮機構とで構成されている。
周方向拡縮機構は区画室を複数連動させて周方向に拡縮しうるものであり、径方向拡縮機構は区画室を複数連動させて径方向に拡縮しうるものなので、この整列盤は、部材交換の不要な一体ものでありながら、サイズの異なる種々の錠剤の逐次排出に用いることができる区画室可変式のものとなっている。
特開2015-012893号公報 特開2020-099585号公報 特願2020-039324号(出願) 特願2020-041600号(出願)
また、区画室可変式の錠剤カセットを低コストで実現したものもある(例えば特許文献3参照)。この錠剤カセットは、整列盤本体部が、回転伝動軸に対して固定的に連なる回転盤基部に加えて、区画室の一つ分を画成する個別画成部材を複数具備している。しかも、回転盤基部が、個別画成部材を着脱しうる画成部材保持部を周面に複数形成されている。そのため、回転盤基部の外周の複数の画成部材保持部に一つずつ個別画成部材を付け替えることで所望の錠剤カセットを具現化できるので、複数個の個別画成部材の管理と交換という小さめの作業負担は増えるが、製造コストに係る負担が大きく削減される。
さらに、低コストの区画室可変式の錠剤カセットを使い易くしたものもある(例えば特許文献4参照)。この錠剤カセットでは、整列盤本体部が、やはり個別画成部材を着脱しうる画成部材保持部を周面に複数形成した回転盤基部を具備するとともに、区画室の一つ分を画成する個別画成部材を複数具備しているが、それにとどまらず、それらの個別画成部材が一列に繋がれて区画室列設体になっている。そして、鎖状や帯状に繋がれて曲げ易くなった区画室列設体を回転盤基部に巻き付けることで複数の個別画成部材が複数の画成部材保持部に一対一で纏めて装着されるようになっている。そのため、個別画成部材が複数であっても交換や管理が纏めて行えるので、作業負担まで軽減される。
このように整列盤本体部を共用の回転盤基部と複数の個別画成部材とで構成しておき、回転盤に個別画成部材を付け替えることで種々の錠剤に区画室を適合させる、という錠剤カセットが開発されている(例えば特許文献3,4)。
そして、それらを試用してみると、満足できることが多いが、更なる改善を求められる局面があることも判明した。
具体的には、回転盤基部に対する個別画成部材や区画室列設体の着脱作業が、ワンタッチと言えるほど簡便ではないので、着脱作業を更に簡素化することが第1技術課題となる。
また、錠剤が小さくなると、個別画成部材も小形になるが、上述した手法では、個別画成部材の装着個数が回転盤基部の外周部の形状に制約されるため、個別画成部材が小さくなっても個別画成部材の装着個数を増やすのは難しい。
そこで、そのような制約を緩和することが第2技術課題となる。
さらに、滅多にないとはいえ既述の仕切ユニットと整列盤の個別画成部材との間に錠剤が挟まって整列盤の回転が阻害されたような場合、駆動部の電流増加に応じた緊急停止制御によって致命的な部材破損は回避されるが、安定動作や部材寿命なども考慮すると、部材の永久変形はできる限り回避や抑制することが望まれるところ、整列盤本体部を一体的な部材でなく共用の回転盤基部と複数の個別画成部材との組み合わせで構成したものでは、個々の部材が弱くなりやすいので、部材の永久変形に係る回避策や抑制策が望まれる。
そこで、緊急停止制御に頼るだけでなく、整列盤にも過負荷による損傷を回避する手段を講じることが第3技術課題となる。
また、個別画成部材等の適否確認に用いられる識別情報が、文字印刷やバーコード貼り付け等で具現化され、部材形状等の制約から部材等の内周側に付設されていたため、個別画成部材等の装着後には識別情報の読取確認が困難であった。
そこで、個別画成部材等の装着後でも識別情報の読取確認を可能にすることが第4技術課題となる。
本発明の錠剤カセットは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
多数の錠剤を収容しうる容器部と、軸回転可能な状態で前記容器部に収められて複数の区画室を画成する整列盤本体部を具備するとともに前記整列盤本体部の下端から前記容器部の外へ突き出ていて軸回転力を伝達する回転伝動軸をも具備した整列盤とを備え、前記容器部の底部に排出口が形成されていて、前記整列盤の軸回転にて前記区画室の中に落ち入った錠剤を前記排出口から逐次落下させる錠剤カセットにおいて、
前記整列盤本体部が、前記回転伝動軸に連なる軸状の整列盤芯央部と、前記整列盤芯央部を嵌挿しうる芯央部嵌挿穴が中央に貫通形成されるとともに前記区画室を成す切欠が周縁に形成された整列盤周縁部と、前記整列盤芯央部が前記整列盤周縁部の前記軸心貫通穴に嵌挿されると前記整列盤芯央部と前記整列盤周縁部との相対位置を固定しようとする嵌合維持手段とを具備しており、前記嵌合維持手段が、前記整列盤芯央部と前記整列盤周縁部との何れか一方に形成された小孔と、前記整列盤芯央部と前記整列盤周縁部との何れか他方に付設された突体とを備えたものであり、前記突体のうち前記小孔に対向する部位に、前記小孔に入り込める円滑な凸部と、その周囲に形成されていて前記小孔に入り込めない周縁部とが形成されていることを特徴とする。
また、本発明の錠剤カセットは(解決手段2)、上記解決手段1の錠剤カセットであって、前記突体が前記整列盤芯央部に付設されており、前記小孔が前記整列盤周縁部のうち前記区画室の形成されていない部位に貫通形成されている、ことを特徴とする。
さらに、本発明の錠剤カセットは(解決手段3)、上記解決手段1,2の錠剤カセットであって、前記整列盤周縁部の適否確認に用いられる識別情報を保持するRFIDタグが、前記整列盤周縁部の前記芯央部嵌挿穴に装着されていることを特徴とする。
このような本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段1)、整列盤本体部を回転伝動軸連結側と区画室画成側とに分けるに際して、以前のように共用の回転盤基部と複数の個別画成部材とに分けるのでなく、分け方を変えている。
具体的には、回転伝動軸連結側には外形がシンプルな軸状の整列盤芯央部を採用し、区画室形成側には外周側に複数の区画室が形成され内周側に芯央部嵌挿穴が貫通形成された整列盤周縁部を採用し、更に、整列盤周縁部の軸心貫通穴に整列盤芯央部を挿抜できるようにしたうえで、両部材の相対位置を固定するための嵌合維持手段も導入している。
これにより、回転伝動軸連結側に対する区画室画成側の着脱作業が、嵌合維持手段の位置合わせを意識した挿抜にて、簡便に遂行できることとなる。
したがって、この発明によれば、着脱作業を更に簡素化するという上述の第1技術課題を解決することができる。
しかも、区画室が何れも整列盤周縁部に集約されて整列盤芯央部から完全に分離されていることから、区画室の形成数が共用部の整列盤芯央部の形状によって制約されることが無いので、小さな錠剤に用いる整列盤周縁部については、区画室が小さくて良く、区画室の形成数を容易に増やせるので、上述した第2技術課題も解決することができる。
それらに加え、嵌合維持手段の具現化に際して、嵌合維持手段を小孔と突体との組み合わせにて具体化したうえで、突体には、小孔に入り込める円滑な凸部と、小孔に入り込めない周縁部とを、形成しておくことにより、整列盤周縁部と整列盤芯央部との挿抜時に凸部が小孔に入るように位置合わせすることで容易かつ迅速に整列盤芯央部と整列盤周縁部とを適切に組み上げることができる。
しかも、その状態では、突体の周縁部が凸部の小孔への過剰な進入を阻止するので、嵌合維持手段による相対位置固定の力は適度に抑えられる。
そして、突体と小孔との位置をずらそうとする外力が作用すると、その作用方向が軸方向であれ周方向であれ外力が整列盤周縁部の軸心貫通穴を凸部の高さを超えるところまで変形させるほど大きいと、凸部が小孔から抜け出て、突体と小孔との係合が解かれるが、凸部の形状が円滑なものなので、突体にも小孔にも永久変形等の不所望な損傷は生じ難い。この効能は、整列盤周縁部と整列盤芯央部との挿抜時に役立つのに加えて、錠剤の挟み込み等にて整列盤周縁部の回転が阻害されたような場合に整列盤芯央部を空回りさせることで整列盤周縁部等の損傷を回避や緩和させるのにも役立つ。
したがって、この発明によれば、嵌合維持手段の機能を援用することで簡便に整列盤の損傷まで回避しうるので、上述した第3技術課題をも解決することができる。
また、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段2)、小孔の形成対象を整列盤周縁部に選定したうえで、小孔の形状として貫通孔を選定したことにより、小孔の形成作業が容易になっている。
しかも、整列盤周縁部においては区画室形成部位(切欠)より相対的に肉厚になっている区画室外部位(切欠非形成部位)に小孔の形成箇所を限定したことにより、小孔が貫通孔であっても、整列盤周縁部の過剰な剛性低下や弱体化は回避することができる。
さらに、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段3)、整列盤周縁部の適否確認に用いられる識別情報を保持する部材にRFIDタグを採用したことにより、そのRFIDタグが露出しているときに限定されることなく露出していないときでも、識別情報を読み取ることができるようになる。特に、RFIDタグに薄型のフレキシブルRFIDタグを採用すれば、バーコードの如く整列盤周縁部の芯央部嵌挿穴に装着することもできる。
したがって、この発明によれば、整列盤芯央部に整列盤周縁部を装着した状態でも識別情報の読取確認ができるので、上述した第4技術課題をも解決することができる。
本発明の実施例1について、錠剤カセットの構造を示し、(a)が上蓋を取り外した錠剤カセットの縦断面図、(b)が整列盤の外観斜視図、(c)が突体の外観斜視図、(d)が突体の側面図である。 整列盤の展開斜視図である。 (a)が嵌合直前の整列盤芯央部と整列盤周縁部とに係る斜視図であり、(b)が嵌合し始めの整列盤芯央部と整列盤周縁部とに係る横断面図である。 (a)が嵌合状態かつ周方向相対位置固定状態の整列盤芯央部と整列盤周縁部とに係る横断面図であり、(b)が軸回転にて周方向の相対位置がずれた状態の整列盤芯央部と整列盤周縁部とに係る横断面図である。 本発明の実施例2について、錠剤カセットのうちの突体の構造を示し、(a),(b)何れも突体の縦断側面図である。 (a)が嵌合状態かつ周方向相対位置固定状態の整列盤芯央部と整列盤周縁部とに係る横断面図であり、(b)が軸回転にて周方向の相対位置がずれた状態の整列盤芯央部と整列盤周縁部とに係る横断面図である。
このような本発明の錠剤カセットについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1,2により説明する。
図1~4に示した実施例1は、上述した解決手段1~3(出願当初の請求項1~3)を総て具現化したものであり、図5~6に示した実施例2は、突体の変形例を二つほど示している。
本発明の錠剤カセットの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、錠剤カセット10の全体構造を示し、(a)が図示しない上蓋を取り外した錠剤カセット10の縦断面図、(b)が整列盤40の外観斜視図、(c)が突体65の外観斜視図、(d)が突体65の側面図である。
また、図2は、整列盤40の展開斜視図であり、図3(a)は、軸方向相対距離を縮めて嵌合寸前になった整列盤芯央部60と整列盤周縁部70とに係る斜視図である。
さらに、図3(b)は、軸方向相対距離を縮めて嵌合し始めた整列盤芯央部60と整列盤周縁部70とに係る横断面図である。
また、図4(a)は、嵌合状態かつ周方向相対位置固定状態の整列盤芯央部60と整列盤周縁部70とに係る横断面図である。
また、図4(b)は、逆向きの軸回転にて周方向の相対位置がずれた状態の整列盤芯央部60と整列盤周縁部70とに係る横断面図である。
錠剤カセット10は(図1(a)参照)、従来品を踏襲していて多数の錠剤を収容可能であって排出口28から錠剤を落下排出しうる容器部20と、やはり従来品を踏襲しており保持部31,33を容器部20に外装されると作用部32,34を容器部20の中に差し込んで錠剤の過剰排出を防止する仕切ユニット30と、改修された新構造の整列盤40とを具備している。
整列盤40は、軸回転可能な状態で容器部20に収められて複数の区画室72を画成する整列盤本体部50を具備するとともにその下端から容器部20の外へ突き出ていて軸回転力を伝達する回転伝動軸41をも具備する点では、従来品を踏襲しているが、整列盤本体部50が整列盤芯央部60と整列盤周縁部70との嵌合にて構成されることに加え特定構造の嵌合維持手段(65+75)を具備するようになった点で従来と相違する。
以下、各部を詳述する。
容器部20は(図1(a)参照)、プラスチックの射出成型などで量産される箱形の容器本体21を主体にしたものであり、容器本体21の内部空間が多数の錠剤をランダム収容しうる錠剤収容空間22になっており、錠剤補充時等には図示しない上蓋にて錠剤収容空間22を開閉しうるようになっている。容器本体21の外側には持ち運び用の把手23が設けられており、容器本体21の下部が駆動部4に対する着脱部24になっている(なお、図1(a)において駆動部4として示したものは、錠剤カセット10を着脱する対象とされるベースの上端部分であり、錠剤カセット10には含まれない)
また、容器部20は、容器本体21の底部25のうち一カ所に(図1(a)では左側)、排出口28が貫通形成されており、整列盤40の軸回転にて錠剤2が排出口28の上に運ばれてくると、その錠剤2を排出口28を通して下方へ落下させるようになっている。
さらに、容器部20は、容器本体21に仕切ユニット30を着脱できるようにもなっている。そして、仕切ユニット30の仕切保持部31を容器本体21に外側から装着して、仕切作用部32を容器本体21のスリットから錠剤収容空間22へ差し込むと、仕切作用部32が排出口28の上方に来て、それより下の錠剤は落下させるが上の錠剤の落下を阻止することで、錠剤の落下を逐次に行わせるものとなる。
それに加え、この容器部20は、仕切ユニット30のベルト保持部33も容器本体21に対して外側から装着できる又は着脱できるようになっている。ベルト保持部33は、例えば丸紐状のゴム製で伸縮性を有する無端ベルト34を張った状態で保持するものであり、仕切ユニット30を容器本体21に装着して、無端ベルト34を容器本体21のスリットから錠剤収容空間22へ差し込むと、無端ベルト34が排出口28及び仕切作用部32の上方に来るようになっている。なお、仕切作用部32は、無端ベルト34と同様のゴム製のものでも良く、金属板製のものなどでも良い。また、仕切保持部31やベルト保持部33も、プラスチック製が多いが、金属など他の材質のものであっても良い。
整列盤40は(図1~図4参照)、従来品と同様に(例えば特許文献1~4参照)、軸回転可能な状態で容器部20に収められて錠剤収容空間22の内底部に複数の区画室72(本例では6個の切欠)を画成する整列盤本体部50と、整列盤本体部50から下方へ突き出ていて駆動部4の回転駆動軸6と嵌合することで回転駆動される回転伝動軸41とを具備したものであり、何れかの区画室72の中に落ち入った錠剤2を軸回転時に区画室72と共に排出口28のところへ移送して落下排出するようになっている。
この整列盤40も、従来品と同様、大部分がプラスチック製である。
しかし、構造は従来品と異なる。特に、整列盤本体部50は、回転伝動軸41に連なる軸状の整列盤芯央部60と、外周面に等ピッチで複数の区画室72が切欠形成されるとともに軸心部に整列盤芯央部60を嵌挿しうる芯央部嵌挿穴71が貫通形成された整列盤周縁部70との組み合わせにて構成されており(図1~図3(a)参照)、整列盤芯央部60を共用部品としてそれに組み合わせる整列盤周縁部70を取り替えることで複数の区画室72を纏めて簡単に変更することができるようになっている。また、この区画室72では、その上端部の周方向両側に、楕円形状など長物の錠剤2でも区画室72への滑り込みが円滑になされるよう、面取72aが形成されている。なお、図示した整列盤40では、整列盤本体部50の整列盤芯央部60と回転伝動軸41とが一体物になっているが、整列盤芯央部60と回転伝動軸41は、複数部材を連結させた物であっても良い。
ここで、各図面において整列盤40に付した符号のうち特に幾つかのものについて、明確化のために、請求項記載の文言との対応関係を説明する。「40」が整列盤の全体を指しており、「50」が整列盤40から回転伝動軸41を除いた整列盤本体部を指しており、「60」が整列盤本体部50を整列盤芯央部と整列盤周縁部とに分けたうち前者の整列盤芯央部を指しており、「70」が整列盤本体部50を整列盤芯央部と整列盤周縁部とに分けたうち後者の整列盤周縁部を指している。言い換えると(特に図2,図3(a)参照)、整列盤40は、整列盤本体部50と回転伝動軸41とを合わせたものであり、整列盤芯央部60と整列盤周縁部70と回転伝動軸41とを合わせたものでもある。
整列盤芯央部60は(図1~図3参照)、概ね円柱状や円筒状であって外径が芯央部嵌挿穴71の内径より僅かに小さい嵌入部62と、概ね傘状であって上端部の傾斜面に錠剤撹拌用の浅溝等が彫られており下端部が嵌入部62の上端部に連なる傘部63と、嵌入部62の外周面を等間隔で分割した各位置に配設された複数個の突体65とを具備したものである。この整列盤芯央部60にあっては、嵌入部62の外周面のうち対向部位それぞれに突体保持孔64が一つずつ穿たれており、それぞれの突体保持孔64に穿孔突体65が一つずつ挿着されている。なお、上述した回転伝動軸41は、整列盤本体部50のうちの整列盤芯央部60の嵌入部62の下端面から下方へ突き出ている。
整列盤周縁部70は(図1,図2参照)、筒体を加工して形成されたものであり、筒体の軸心を貫通する芯央部嵌挿穴71の内径が上述の整列盤芯央部60の嵌入部62の外径より少しだけ大きくなっている。外周部分には、軸方向に伸びる複数(図では六個)の区画室72が、切欠にて形成されている。区画室72の形状は、取扱対象の錠剤2が一つだけか縦方向一列で入り込めるようになっている。外周部分のうち隣り合う区画室72,72の間に位置していて拡径部分・隔壁部分をなす所には、周方向に伸びるスリット74が外周面73から彫り込み形成されている。スリット74は、仕切ユニット30の仕切作用部32との干渉を避けるためのものであり、仕切作用部32の装着位置の高さを変更できるよう、軸方向(上下)に複数箇所(図では三段)に形成されている。
また、そのような隣り合った区画室72,72間は、区画室の形成されていない部位に該当していて切込状の区画室72形成部位より強度も剛性も高い部分になっており、そこには、即ち整列盤周縁部70の外周部分の拡径部分・隔壁部分には、外周面73から芯央部嵌挿穴71に通じる小孔75が貫通して穿たれている。
この小孔75は、芯央部嵌挿穴71の対向部位に一つずつ形成されており、その配置が上述の整列盤芯央部60の嵌入部62における突体保持孔64の配置に対応している。
なお、突体保持孔64が周方向120゜毎に配置の三個になれば、小孔75も周方向120゜毎に配置の三個になる。四個では、共に、周方向90゜毎の配置になる。
さらに、整列盤周縁部70の芯央部嵌挿穴71には(図2参照)、RFIDタグ76が貼り付けられている。RFIDタグ76には、市販されている薄型のフレキシブルなRFIDタグ(Radio Frequency Identifier)が採用され、個々の整列盤周縁部70に割り振った識別情報が予め書き込まれてデータ保持されている。その識別情報は、整列盤周縁部70の適否確認に用いられるが、無線で読み取れるので、整列盤芯央部60と整列盤周縁部70とが分離されているときだけでなく、整列盤芯央部60と整列盤周縁部70とを嵌め合わせて一体化した後でも、整列盤周縁部70の適否確認が行える。
突体65は(図1(c),(d)参照)、丸棒状や円筒状の短い胴部68と、その一端部で少しだけ拡径された鍔状の周縁部67と、その中央部から盛り上がって中心部が突き出た凸部66とを具備したものであり、胴部68の経が突体保持孔64と同じか僅かに大きく、周縁部67の経が突体保持孔64より大きいので、胴部68を突体保持孔64に向けて(図2参照)、軽く圧入すると(図3(a)参照)、凸部66を嵌入部62から外径方向へ突き出した状態で(図1(a),図3,図4)、整列盤芯央部60の嵌入部62に装着されるようになっている。
このような突体65は、細い丸棒を切削加工等で成形して作っても良いが、円筒体に一端から球体を押し込み、それで拡径した円筒体の端部をかしめて球体を掴持させるといったことで容易かつ安価に作り上げることもできる。各部66~67の材質は、プラスチックでも金属でも良いが、凸部66は整列盤周縁部70より硬質のものが望ましい。
また、突体65の凸部66の表面は、球面やそれに近い円滑な凸面になっており、凸部66のサイズは、上述した整列盤周縁部70の小孔75にほぼぴったり入り込めるものになっている(図1(a),図4(a)参照)。これに対し、凸部66の周囲の周縁部67は、拡径されていて、小孔75には入り込めないものとなっている。
さらに、突体65すなわち整列盤芯央部60の嵌入部62の突体保持孔64に挿着して整列盤芯央部60に付設された突体65と、小孔75すなわち整列盤周縁部70のうち区画室72の形成部位を避けて区画室72とその隣の区画室72との間の肉厚部分を径方向に貫通して形成された小孔75とは、それらの個数と位置とが一対一で対応しており、それら65,75は、上述のように整列盤芯央部60の嵌入部62が整列盤周縁部70の芯央部嵌挿穴71に嵌挿され更に突体65の凸部66と小孔75とが嵌合すると、安定な結合状態になるため、整列盤芯央部60と整列盤周縁部70との相対位置を軸方向ばかりか周方向にも固定しようとする嵌合維持手段を構成する。
この実施例1の錠剤カセット10について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。
錠剤カセット10は、使用に先立って、各種形状の錠剤2に共用される容器部20(図1(a)参照)及び回転伝動軸41付き整列盤芯央部60(図3(a)参照)と、錠剤2の形状の相違に応じて取り替えられる幾つかの整列盤周縁部70(図3(a)参照)とが準備される。
そして、処方箋や調剤指示などに基づいて取扱対象の錠剤2が決まったけれども直ちに使用できる錠剤カセットが空いていないとき等には、その錠剤2に対応した整列盤周縁部70の有無を調べる。その際、目視だけでなく、整列盤周縁部70に付されたRFIDタグ76をリーダで読み取ってデータベースと照合するといったことも行って探し、使用可能な整列盤周縁部70が見つかれば、それを共用部60,41,20と組み合わせることで容易かつ迅速に必要な錠剤カセット10を組み立てて使用することができる。
その組み立てについて詳述すると、先ず(図3(a)参照)、選出された錠剤2対応の整列盤周縁部70の芯央部嵌挿穴71に、共用の回転伝動軸41付き整列盤芯央部60の嵌入部62を差し込む。
そして、突体65の凸部66が整列盤周縁部70の上端部に当接したら更に押し込む。すると(図3(b)参照)、突体65の凸部66に押されて整列盤周縁部70が僅かながら変形して芯央部嵌挿穴71が楕円状になり、そこへ突体65が滑り込む。
それから(図4(a)参照)、突体65が整列盤周縁部70の小孔75へ向かうように位置合わせしながら更に整列盤芯央部60を押し込むと、突体65の凸部66が小孔75の一端部に嵌まるとともに、突体65の周縁部67が芯央部嵌挿穴71の内周面に当接する。
すると、整列盤周縁部70の変形が解消されて芯央部嵌挿穴71が円状に戻り、更に整列盤芯央部60と整列盤周縁部70とが軸方向にも周方向にも固定されて一体的な状態になって、取扱対象の錠剤2に使用可能な整列盤40が出来上がる(図1(b)参照)。
そして、その整列盤40の回転伝動軸41を容器部20の底部25の貫通穴に差し込んで図示しないリング等で抜け止めすると、整列盤40が容器部20の内周面27の中に収まる。それから更に、仕切ユニット30を容器部20に装着すると、取扱対象の錠剤2の逐次排出に使用できる錠剤カセット10が組み上がる(図1(a)参照)。
このような組立後の錠剤カセット10は、使用可能な錠剤の特定や確認に用いられる識別情報が非接触でも非対面でも読み出せるRFIDタグ76に保持されているので、錠剤との適否確認が、駆動部4への装着前でも後でも何時でも容易に行える。
その錠剤カセット10の使い方は従来と同様なので、簡潔に述べると、容器部20の錠剤収容空間22に適量の錠剤2を投入して図示しない上蓋を閉め、適切な駆動部4に装着して回転駆動軸6と回転伝動軸41とを噛合させると、使用の準備が調う。
それから、図示しない制御装置の指令等に応じて回転駆動軸6が軸回転すると、整列盤40も軸回転し、それに伴い、傘部63や整列盤周縁部70の上に載っていた錠剤2が区画室72に落ち入って次々に排出口28の上へ移送される。
そして、仕切保持部31の下の錠剤2だけが、排出口28から下方へ落下するので、錠剤2の逐次排出が回転駆動軸6の回転量に応じて適切に行われる。
ところで、そのような錠剤逐次排出動作中に、仕切ユニット30の仕切保持部31や容器部20の内周面27との干渉、あるいは錠剤2の破片や屑の噛み混み等によって、整列盤周縁部70が容器部20に対して不所望にロックされてしまったようなときには、回転駆動軸6の回転制御に伴う駆動電流の過剰増加とその検出に応じた回転駆動の停止制御によって整列盤周縁部70の破損等が防止されるが、錠剤カセット10にあっては、突体65と小孔75とからなる機械的な嵌合維持手段によっても破損等が防止される。
具体的には、突体65と小孔75とが係合していて整列盤周縁部70が整列盤芯央部60に随伴して軸回転しうる状況(図4(a)参照)から、整列盤周縁部70がロックして回転できない状況になり、その状況下で強引に整列盤芯央部60が軸回転すると(図4(b)参照)、整列盤周縁部70が僅かだが変形するため、突体65の凸部66が周方向に移動して整列盤周縁部70の小孔75から抜け出し、整列盤周縁部70と整列盤芯央部60との係合が解けて、整列盤芯央部60が空回りする。そのため、整列盤周縁部70は回転しないで済むので、整列盤周縁部70の過大な変形が回避され、破損しないで済む。
こうして、整列盤周縁部70は、制御手法と機械的手法にて二重に保護される。
上述した実施例1の錠剤カセット10における突体65は(図1参照)、凸部66が固定式のものであったが、この実施例2で挙げる二つの突体65では(図5(a),(b)参照)、凸部66が可動式になっており、凸部66が胴部68の中空内で移動して周縁部67に対して離接することで、凸部66の一部が周縁部67の中央の孔から突き出たり、凸部66のほぼ全体が周縁部67から後退したりできるようになっている。
なお、それらの図示に際しては(図5,図6参照)、上述した実施例1の部材等と対応するものについては、混乱のおそれが無いので、同じ符号を使用している。
一例目の突体65は(図5(a)参照)、凸部66が球体の一部で構成されており、その球体(66)が胴部68の中空を径方向へ容易に移動できるように、球体(66)にはその直径が胴部68の中空の直径より小さいものが採用されている。また、球体(66)を周縁部67の貫通穴に押し付ける力を出す付勢部材69として、スポンジ等からなる弾性部材が適度に圧縮された状態で胴部68の中空内に組み込まれている。
二例目の突体65は(図5(b)参照)、付勢部材69にコイルバネが採用されており、球体(66)の直径が大きくなって胴部68の中空の直径により近くなっており、球体(66)の円滑な移動のため、胴部68の底部に通気孔69aが貫通形成されている。
いずれの突体65も、凸部66に押し込み力が作用すると凸部66が周縁部67から胴部68の中空内へ後退して入り込むものになっているが、一例目の突体65は(図5(a)参照)、弱い押し込み力でも凸部66を後退移動させたいような整列盤40への組み込みに適しており、二例目の突体65は(図5(b)参照)、押し込み力が一例目のものより強くなってから凸部66を後退移動させたいような整列盤本体部50への組み込みに適している。
このような突体65を組み込んだ整列盤本体部50にあっては、整列盤周縁部70に整列盤芯央部60を嵌挿して突体65と小孔75との位置を合わせると、突体65の球体が径方向へ移動して凸部66が周縁部67から突き出て小孔75の一端部に入り込むので、整列盤芯央部60と整列盤周縁部70とが軸方向にも周方向にも固定されて一体的な状態になり(図6(a)参照)、錠剤カセット10は実施例1において説明したような錠剤逐次排出動作が行えるようになる。
また、そのような錠剤逐次排出動作中に、やはり上述したように整列盤周縁部70が容器部20に対して不所望にロックされてしまったようなときには、突体65と小孔75とからなる機械的な嵌合維持手段も破損等防止に役立つ。具体的には、整列盤周縁部70がロックして回転できない状況下で強引に整列盤芯央部60が軸回転すると(図6(b)参照)、突体65では、球体(66)が押し込まれて付勢部材69が縮み、球体(66)が胴部68の内部へ移動して、凸部66が小孔75から抜け出し、整列盤周縁部70と整列盤芯央部60との係合が解けて、整列盤芯央部60が空回りする。このように、突体65側が積極的に変形するため、整列盤周縁部70の変形はほんの僅かなもので済む。
[その他]
上述の説明では、煩雑になるのを避けるために言及を控えたが、整列盤40について回転伝動軸41の上端部の外周部や整列盤芯央部60の下端部の外周部などに下向き当接部材を少数個たとえば二個ほど付設するとともに(図示せず)、容器部20の底部25の上面に衝上部材をやはり少数個たとえば二個ほど付設して(図示せず)、整列盤40の軸回転に伴って間欠的に具体的には当接部材が衝上部材を乗り越える度に整列盤40が少し突き上げられるようにしても良い(例えば特開2019-141330号公報を参照)。
そうすることにより、複数個の錠剤が塊になっていた場合でもその塊が速やかに解れるとともに、個々の錠剤が区画室52に転げ落ちやすくなる。
しかも、そのような複雑な構造の整列盤本体部40は、各種の整列盤周縁部50に共用できることの価値が高いものになっている。
本発明の錠剤カセットは、錠剤分包機のように庫部の引出棚などに多数の駆動部を組み込んだ装置にも、錠剤分割装置のように駆動部を一台か少数台しか搭載していない装置にも、使用することが可能である。また、一個の錠剤カセットを幾つかの駆動部に付け替えて使用することや、一個の駆動部に幾つかの錠剤カセットを付け替えて使用することも可能である。さらに、本発明の錠剤カセットで取り扱える錠剤は、丸筒状カプセル剤や、紡錘状や円盤状の固形剤、異形剤など、形状も材質も種々に及ぶ。
2…錠剤、4…駆動部(ベース)、6…回転駆動軸、
10…錠剤カセット、
20…容器部、
21…容器本体、22…錠剤収容空間、23…把手、24…着脱部、
25…底部、26…貫通穴、27…内周面(整列盤内挿空間)、28…排出口、
30…仕切ユニット、
31…仕切保持部(ベルト保持部)、
32…仕切作用部(無端ベルト)、33…ベルト保持部、34…無端ベルト、
40…整列盤、
41…回転伝動軸、
50…整列盤本体部、
60…整列盤芯央部、62…嵌入部、63…傘部、64…突体保持孔、
65…突体(嵌合維持手段)、66…凸部、67…周縁部、
68…胴部、69…付勢部材、69a…通気孔、
70…整列盤周縁部、
71…芯央部嵌挿穴(貫通穴)、72…区画室(周縁の切欠)、72a…面取、
73…外周面(区画室外部位,切欠非形成部位)、
74…スリット、75…小孔(嵌合維持手段)、76…RFIDタグ

Claims (3)

  1. 多数の錠剤を収容しうる容器部と、軸回転可能な状態で前記容器部に収められて複数の区画室を画成する整列盤本体部を具備するとともに前記整列盤本体部の下端から前記容器部の外へ突き出ていて軸回転力を伝達する回転伝動軸をも具備した整列盤とを備え、前記容器部の底部に排出口が形成されていて、前記整列盤の軸回転にて前記区画室の中に落ち入った錠剤を前記排出口から逐次落下させる錠剤カセットにおいて、
    前記整列盤本体部が、前記回転伝動軸に連なる軸状の整列盤芯央部と、前記整列盤芯央部を嵌挿しうる芯央部嵌挿穴が中央に貫通形成されるとともに前記区画室を成す切欠が周縁に形成された整列盤周縁部と、前記整列盤芯央部が前記整列盤周縁部の前記芯央部嵌挿穴に嵌挿されると前記整列盤芯央部と前記整列盤周縁部との相対位置を固定しようとする嵌合維持手段とを具備しており、前記嵌合維持手段が、前記整列盤芯央部と前記整列盤周縁部との何れか一方に形成された小孔と、前記整列盤芯央部と前記整列盤周縁部との何れか他方に付設された突体とを備えたものであり、前記突体のうち前記小孔に対向する部位に、前記小孔に入り込める全方向に円滑な凸部と、その周囲に形成されていて前記小孔に入り込めない周縁部とが形成されていることを特徴とする錠剤カセット。
  2. 前記突体が前記整列盤芯央部に付設されており、前記小孔が前記整列盤周縁部のうち前記区画室の形成されていない部位に貫通形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の錠剤カセット。
  3. 前記整列盤周縁部の適否確認に用いられる識別情報を保持するRFIDタグが、前記整列盤周縁部の前記芯央部嵌挿穴に装着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された錠剤カセット。
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