JP7422045B2 - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Description

本開示は、半導体レーザ素子に関する。
特許文献1には、発光装置に関する技術が開示されている。この発光装置は、S-iPM(Static-integrable Phase Modulating)レーザであって、発光部と光学的に結合された位相変調層を備える。位相変調層は、基本層と、複数の異屈折率領域とを含む。複数の異屈折率領域は、基本層とは異なる屈折率を有し、位相変調層の厚さ方向と垂直な面内において二次元状に分布する。面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、各異屈折率領域の重心は、対応する格子点から離れて配置されるとともに、対応する格子点と重心とを結ぶベクトルの角度が各異屈折率領域毎に個別に設定されている。仮想的な正方格子の格子間隔aと発光部の発光波長λとはM点発振の条件を満たす。位相変調層の逆格子空間上において、光像の角度広がりに対応した波数拡がりをそれぞれ含む4方向の面内波数ベクトルが形成され、少なくとも1つの面内波数ベクトルの大きさは2π/λよりも小さい。
非特許文献1には、ダブルホール構造を有するΓ点発振のフォトニック結晶レーザが開示されている。この非特許文献1に記載された技術は、1次元発振に寄与する(±2,0)次および(0,±2)次のフーリエ係数に比例する結合係数κ(±2,0)及びκ(0,±2)を、ダブルホール構造の孔間隔と深さを調整することにより、選択的に抑える。
国際公開第2020/045453号
基本層と、基本層とは屈折率が異なり二次元状に分布する複数の異屈折率領域とを含む、フォトニック結晶層または位相変調層といった共振モード層を備える半導体レーザ素子が知られている。例えば、フォトニック結晶レーザは、フォトニック結晶層の厚さ方向にレーザ光を出力する。また、S-iPM(Static-integrable Phase Modulating)レーザにおいては、位相変調層の厚さ方向と垂直な面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、仮想的な正方格子の格子点と各異屈折率領域の重心とを結ぶベクトルの角度が、所望の光像に応じて、各異屈折率領域毎に独立して設定される。S-iPMレーザは、位相変調層の厚さ方向およびこれに対して傾斜した方向を含む空間的な任意形状の光像を出力することができる。
これらの半導体レーザ素子のフォトニック結晶層または位相変調層において、1次元的な局所発振が生じることがある。1次元的な局所発振は、1次元回折によるモードの局在化、及びフラットバンド回折といった現象を引き起こす。これらの現象は、光強度分布を不均一にし、単一モードにて出力され得る光像の面積を制限する。このとき、光像の局所化によって設計パターンの一部が欠けたり、局所化に伴う回折拡がりの増加によって光像が不鮮明化するなど、光像の画質が劣化する。
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、1次元的な局所発振を低減し得る半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本開示による第1の半導体レーザ素子は、基板と、基板上に設けられた発光層及び位相変調層と、を備える。位相変調層は、基本層と、基本層とは屈折率が異なり位相変調層の厚さ方向と垂直な面内において二次元状に分布する複数の異屈折率領域とを含む。前記面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、各異屈折率領域の重心は、対応する格子点から離れて配置されるとともに、対応する格子点と重心とを結ぶベクトルの角度が各異屈折率領域毎に個別に設定される。仮想的な正方格子の格子間隔aと発光層の発光波長λとはΓ点発振の条件を満たす。各異屈折率領域を、対応する格子点を回転中心として仮想的に一周回回転させると円環形状または円形状が得られる。円環形状または円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±2,0)及び(0,±2))の絶対値は、0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の20%以下である。
本開示による第2の半導体レーザ素子は、基板と、基板上に設けられた発光層及びフォトニック結晶層と、を備える。フォトニック結晶層は、基本層と、基本層とは屈折率が異なりフォトニック結晶層の厚さ方向と垂直な面内において二次元状に分布する複数の異屈折率領域とを含む。前記面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、各異屈折率領域の重心は、各異屈折率領域に対応する格子点と一致する。仮想的な正方格子の格子間隔aと発光層の発光波長λとはΓ点発振の条件を満たす。各異屈折率領域は、対応する格子点を中心とする円環形状または円形状を有する。円環形状または円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±2,0)及び(0,±2))の絶対値は、0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の20%以下である。
これらの半導体レーザ素子においては、各異屈折率領域が、対応する格子点を中心とする円環形状または円形状を有するか、または、各異屈折率領域を、対応する格子点を回転中心として仮想的に一周回回転させると円環形状または円形状が得られる。そして、それらの円環形状または円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±2,0)及び(0,±2))の絶対値は、0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の20%以下である。このように、Γ点発振の場合、各異屈折率領域の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数が極めて小さい値を有することにより、1次元回折が抑制され、1次元的な局所発振を低減できる。故に、この半導体レーザ素子によれば、1次元回折によるモードの局在化、及びフラットバンド回折といった現象を抑制できる。したがって、光強度分布を均一に近づけ、単一モードにて出力可能な領域の大面積化が可能となるので、出射される光像を高解像度化および高画質化することが出来る。
上記第1及び第2の半導体レーザ素子において、円環形状または円形状の(m,n)次のフーリエ係数はゼロであってもよい。この場合、上記の効果をより顕著に奏することができる。
上記第1及び第2の半導体レーザ素子において、円環形状を画定する内側の円の(m,n)次のフーリエ係数Fと、円環形状を画定する外側の円の(m,n)次のフーリエ係数Fとの比(F/F)は0.99以上1.01以下であってもよい。円環形状のフーリエ係数は、円環形状を画定する外側の円のフーリエ係数と、円環形状を画定する内側の円のフーリエ係数との差として算出される。従って、このように外側の円のフーリエ係数と内側の円のフーリエ係数とが互いに近い値であることによって、円環形状のフーリエ係数をゼロに近づけることができるので、1次元的な局所発振をより効果的に低減できる。
上記第1及び第2の半導体レーザ素子において、フーリエ係数Fとフーリエ係数Fとは互いに等しくてもよい。この場合、円環形状のフーリエ係数が十分に小さくなるので、上記の効果を奏することができる。
上記第1及び第2の半導体レーザ素子において、内側の円の半径は格子間隔aの0.19倍より小さく、外側の円の半径は格子間隔aの0.19倍より大きくてもよい。或いは、上記第1及び第2の半導体レーザ素子において、内側の円の半径は格子間隔aの0.44倍より小さく、外側の円の半径は格子間隔aの0.44倍より大きくてもよい。Γ点発振構造の場合、円形状のフーリエ係数は、その半径が格子間隔aの0.19倍又は0.44倍であるときに極値をとる。したがって、内側の円の半径が格子間隔aの0.19倍(又は0.44倍)より小さく、外側の円の半径が格子間隔aの0.19倍(又は0.44倍)より大きいことにより、内側の円のフーリエ係数と外側の円のフーリエ係数とを互いに近づけることが容易にできる。
上記第1及び第2の半導体レーザ素子において、円形状の半径は格子間隔aの0.30倍以上0.31倍以下であってもよい。Γ点発振構造の場合、円形状のフーリエ係数は、その半径が格子間隔aの0.30倍~0.31倍の範囲内の或る値のときにゼロとなる。したがって、この場合、異屈折率領域の平面形状のフーリエ係数をゼロに近づけることができ、1次元的な局所発振をより効果的に低減できる。
本開示による第3の半導体レーザ素子は、基板と、基板上に設けられた発光層及び位相変調層と、を備える。位相変調層は、基本層と、基本層とは屈折率が異なり位相変調層の厚さ方向と垂直な面内において二次元状に分布する複数の異屈折率領域とを含む。面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、各異屈折率領域の重心は、対応する格子点から離れて配置されるとともに、対応する格子点と重心とを結ぶベクトルの角度が各異屈折率領域毎に個別に設定される。仮想的な正方格子の格子間隔aと発光層の発光波長λとはM点発振の条件を満たす。各異屈折率領域を、対応する格子点を回転中心として仮想的に一周回回転させると円環形状または円形状が得られる。円環形状または円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±1,±1))の絶対値は、0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の10%以下である。
本開示による第4の半導体レーザ素子は、基板と、基板上に設けられた発光層及びフォトニック結晶層と、を備える。フォトニック結晶層は、基本層と、基本層とは屈折率が異なりフォトニック結晶層の厚さ方向と垂直な面内において二次元状に分布する複数の異屈折率領域とを含む。前記面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、各異屈折率領域の重心は、各異屈折率領域に対応する格子点と一致する。仮想的な正方格子の格子間隔aと発光層の発光波長λとはM点発振の条件を満たす。各異屈折率領域は、対応する格子点を中心とする円環形状または円形状を有する。円環形状または円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±1,±1))の絶対値は、0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の10%以下である。
これらの半導体レーザ素子において、各異屈折率領域は、対応する格子点を中心とする円環形状または円形状を有するか、または、各異屈折率領域を、対応する格子点を回転中心として仮想的に一周回回転させると円環形状または円形状が得られる。そして、それらの円環形状または円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±1,±1))の絶対値は、0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の10%以下である。このように、M点発振の場合、各異屈折率領域の(±1,±1)次のフーリエ係数が極めて小さい値を有することにより、1次元的な局所発振を低減できる。故に、この半導体レーザ素子によれば、1次元回折によるモードの局在化、及びフラットバンド回折といった現象を抑制できる。したがって、光強度分布を均一に近づけ、単一モードにて出力可能な領域の大面積化が可能となるので、出射される光像を高解像度化および高画質化することが出来る。
上記第3の半導体レーザ素子において、角度の分布は、位相変調層の厚さ方向に垂直な面と交差する方向に光が出力されるための条件を満たしてもよい。この半導体レーザ素子では、仮想的な正方格子の格子間隔aと光の波長λとが、M点発振の条件を満たす。通常、M点発振の定在波状態において光回折層内を伝搬する光は全反射するので、厚さ方向と垂直な平面と交差する方向への光出力が抑制される。しかしながら、この半導体レーザ素子では、複数の異屈折率領域の各重心が、仮想的な正方格子の対応する格子点から離れて配置されるとともに、対応する格子点と重心とを結ぶベクトルの角度が各異屈折率領域毎に個別に設定され、その角度の分布は、厚さ方向と垂直な平面と交差する方向に光が出力されるための条件を満たす。このような構造によれば、面発光型の半導体レーザ素子を実現できる。
上記第3の半導体レーザ素子において、上記条件は、位相変調層の逆格子空間上において、角度の分布による波数拡がりをそれぞれ含む4方向の面内波数ベクトルのうち少なくとも1つの大きさが2π/λ(ライトライン)よりも小さいことであってもよい。少なくとも1つの面内波数ベクトルの大きさが2π/λ(ライトライン)よりも小さい場合、その面内波数ベクトルは位相変調層の厚さ方向の成分を有するとともに、空気との界面で全反射を生じないので、厚さ方向と垂直な平面と交差する方向に光が出力され得る。
上記第3及び第4の半導体レーザ素子において、円環形状または円形状の(m,n)次のフーリエ係数はゼロであってもよい。この場合、上記の効果をより顕著に奏することができる。
上記第3及び第4の半導体レーザ素子において、円環形状を画定する内側の円の(m,n)次のフーリエ係数Fと、円環形状を画定する外側の円の(m,n)次のフーリエ係数Fとの比(F/F)は0.99以上1.01以下であってもよい。上述したように、円環形状のフーリエ係数は、円環形状を画定する外側の円のフーリエ係数と、円環形状を画定する内側の円のフーリエ係数との差として算出される。従って、このように外側の円のフーリエ係数と内側の円のフーリエ係数とが互いに近い値であることによって、円環形状のフーリエ係数をゼロに近づけることができるので、1次元的な局所発振をより効果的に低減できる。
上記第3及び第4の半導体レーザ素子において、フーリエ係数Fとフーリエ係数Fとは互いに等しくてもよい。この場合、円環形状のフーリエ係数が十分に小さくなるので、上記の効果を奏することができる。
上記第3及び第4の半導体レーザ素子において、内側の円の半径は格子間隔aの0.27倍より小さく、外側の円の半径は格子間隔aの0.27倍より大きくてもよい。M点発振の場合、円形状のフーリエ係数は、その半径が格子間隔aの0.27倍であるときに極値をとる。したがって、内側の円の半径が格子間隔aの0.27倍より小さく、外側の円の半径が格子間隔aの0.27倍より大きいことにより、内側の円のフーリエ係数と外側の円のフーリエ係数とを互いに近づけることが容易にできる。
上記第3及び第4の半導体レーザ素子において、円形状の半径は格子間隔aの0.43倍以上0.44倍以下であってもよい。M点発振の場合、円形状のフーリエ係数は、その半径が格子間隔aの0.43倍~0.44倍の範囲内の或る値のときにゼロとなる。したがって、この場合、異屈折率領域の平面形状のフーリエ係数をゼロに近づけることができ、1次元的な局所発振をより効果的に低減できる。
上記第1及び第3の半導体レーザ素子において、各異屈折率領域の平面形状は、対応する格子点を内外の円弧の中心とするC字形状であってもよい。この場合、各異屈折率領域の重心と格子点とを結ぶベクトルの角度を、C字形状の開口部分の周方向位置を変えることによって任意に設定することができる。また、C字形状を、格子点を回転中心として仮想的に一周回回転させると、円環形状が好適に得られる。C字形状は円環形状に近いので、各異屈折率領域の平面形状のフーリエ係数を、円環形状のフーリエ係数に精度よく近づけることができる。また、予め定められた一定の円環の範囲内で異屈折率領域を形成するので、互いに隣り合う異屈折率領域同士が合体し難いという作製上のメリットもある。
上記第1及び第3の半導体レーザ素子において、各異屈折率領域の平面形状は、対応する格子点がその外側に位置する円形状であってもよい。この場合であっても、格子点を回転中心として当該円形状を仮想的に一周回回転させると、円環形状が好適に得られる。
上記第1及び第3の半導体レーザ素子において、各異屈折率領域の平面形状は、対応する格子点がその外側に位置する多角形であってもよい。この場合であっても、格子点を回転中心として当該多角形を仮想的に一周回回転させると、円環形状が好適に得られる。
上記第1及び第3の半導体レーザ素子において、各異屈折率領域の平面形状は、対応する格子点を円弧の中心とする扇形であり、円弧は優弧であってもよい。この場合、各異屈折率領域の重心と格子点とを結ぶベクトルの角度を、扇形の切り欠き部分の周方向位置を変えることによって任意に設定することができる。また、この扇形を、格子点を回転中心として仮想的に一周回回転させると、円形が好適に得られる。優弧をもつ扇形は円形状に近いので、各異屈折率領域の平面形状のフーリエ係数を、円形状のフーリエ係数に精度よく近づけることができる。
上記第1及び第3の半導体レーザ素子において、各異屈折率領域の平面形状は、対応する格子点がその内側に位置する円形状であってもよい。この場合であっても、格子点を回転中心として当該円形状を仮想的に一周回回転させると、円形が好適に得られる。
上記第1及び第3の半導体レーザ素子において、各異屈折率領域の平面形状は、対応する格子点がその内側に位置する多角形であってもよい。この場合であっても、格子点を回転中心として当該円形状を仮想的に一周回回転させると、円形が好適に得られる。
本開示によれば、1次元的な局所発振を低減し得る半導体レーザ素子を提供することができる。
本開示の第1実施形態に係る半導体レーザ素子の積層構造を模式的に示す図である。 位相変調層の平面図である。 一つの単位構成領域を拡大して示す図である。 位相変調層の特定領域内にのみ図2の屈折率略周期構造を適用した例を示す平面図である。 半導体レーザ素子の出力ビームパターンが結像して得られる光像と、位相変調層における角度分布との関係を説明するための図である。 球面座標(r,θrottilt)から座標(ξ,η,ζ)への座標変換を説明するための図である。 各異屈折率領域の配置を決める際に、一般的な離散フーリエ変換(或いは高速フーリエ変換)を用いて計算する場合の留意点を説明するための図である。 Γ点で発振するフォトニック結晶層に関する逆格子空間を示す平面図である。 図8に示された逆格子空間を立体的に見た斜視図である。 Γ点で発振する光回折層に関する逆格子空間を示す平面図である。 図10に示された逆格子空間を立体的に見た斜視図である。 (a)部は、発振モードの局在化が進んで局所的な1次元発振が競合する様子を概念的に示す図である。(b)部は、フラットバンド発振が発生してフラットバンド競合が生じる様子を概念的に示す図である。 (a)部は、2次元回折が促進される様子を概念的に示す図である。(b)部は、位相変調層の全域にモードが広く分布する様子を概念的に示す図である。 数式(12)の関係をグラフ化した図である。 第1実施形態における異屈折率領域の平面形状の例を示す図である。 第1実施形態における異屈折率領域の平面形状の例を示す図である。 第1実施形態における異屈折率領域の平面形状の例を示す図である。 第1実施形態における異屈折率領域の平面形状の例を示す図である。 第1実施形態における異屈折率領域の平面形状の例を示す図である。 第1実施形態における異屈折率領域の平面形状の例を示す図である。 第1実施形態における異屈折率領域の平面形状の例を示す図である。 本開示の第2実施形態に係る半導体レーザ素子が備えるフォトニック結晶層の平面図である。 一つの単位構成領域を拡大して示す図である。 第2実施形態における異屈折率領域の平面形状の例を示す図である。 M点で発振するフォトニック結晶層に関する逆格子空間を示す平面図である。 M点で発振する位相変調層に関する逆格子空間を示す平面図である。 数式(14)の関係をグラフ化した図である。 一実施例として、基本層としてのGaAs層にドライエッチングを施すことによって形成された、格子間隔a=200nmのC字形状の異屈折率領域を示す拡大写真である。(a)部は複数の異屈折率領域を示し、(b)部は(a)部の一部を更に拡大して示す。 数式(25)の関係をグラフ化した図である。 4つの面内波数ベクトルに対して或る一定の大きさ及び向きを有する回折ベクトルを加える操作を説明するための概念図である。 ライトラインの周辺構造を模式的に説明するための図である。 角度分布θ2(x,y)の一例を概念的に示す図である。 4方向の面内波数ベクトルから波数拡がりを除いたものに対して回折ベクトルを加える操作を説明するための概念図である。
本開示の半導体レーザ素子の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体レーザ素子1Aの積層構造を模式的に示す図である。なお、図1において、半導体レーザ素子1Aの積層方向をZ方向とし、X方向、Y方向及びZ方向が互いに直交する座標系を定義する。半導体レーザ素子1Aは、XY面内方向において定在波を形成し、位相制御された平面波をZ軸方向に出力するS-iPMレーザであって、後述するように、基板10の主面11に垂直な方向(すなわちZ軸方向)またはこれに対して傾斜した方向、或いはその両方を含む空間的な任意形状の光像を出力する。
図1に示すように、半導体レーザ素子1Aは、基板10、半導体積層部21、電極28及び29を備える。基板10は、半導体積層部21を構成する各半導体層を結晶成長することが可能な材料からなる。一例では、基板10は第1導電型(例えばn型)の半導体基板である。基板10は、結晶成長面である平坦な主面11と、主面11と平行であり主面11とは反対を向く裏面12とを有する。主面11及び裏面12は、XY平面と平行である。
半導体積層部21は、Z方向において順に積層された、下部クラッド層23、活性層24、位相変調層25A、上部クラッド層26、及びコンタクト層27を有する。下部クラッド層23は主面11上に設けられている。活性層24は下部クラッド層23上に設けられている。活性層24は、本開示における発光層に対応する。位相変調層25Aは活性層24上に設けられている。上部クラッド層26は位相変調層25A上に設けられている。すなわち、活性層24は下部クラッド層23と上部クラッド層26との間に位置し、位相変調層25Aは活性層24と上部クラッド層26との間に位置する。なお、この実施形態に限られず、位相変調層25Aは下部クラッド層23と活性層24との間に位置してもよい。コンタクト層27は上部クラッド層26上に設けられている。
下部クラッド層23は、第1導電型を有する。上部クラッド層26は、第2導電型を有する。上部クラッド層26の厚さ及び屈折率は、下部クラッド層23と等しくてもよく、異なってもよい。活性層24は、下部クラッド層23及び上部クラッド層26と比較してエネルギーバンドギャップが小さく屈折率が大きい材料からなる。コンタクト層27は、第2導電型を有する。基板10、下部クラッド層23、活性層24、位相変調層25A、上部クラッド層26及びコンタクト層27の厚さ方向は、Z軸方向と一致する。半導体積層部21は、例えばGaAs系半導体、InP系半導体、もしくはIII-V族窒化物系半導体といった化合物半導体によって構成される。
位相変調層25Aは、第1屈折率媒質からなる基本層25aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり、基本層25a内に存在する複数の異屈折率領域25bとを含んで構成されている。複数の異屈折率領域25bは、略周期構造を含んでいる。モードの等価屈折率をnとした場合、位相変調層25Aが選択する波長λは、活性層24の発光波長範囲内に含まれている。位相変調層25Aは、活性層24の発光波長のうちの波長λ近傍のバンド端波長を選択して、外部に出力することができる。位相変調層25A内に入射した光は、位相変調層25A内において異屈折率領域25bの配置に応じた所定のモードを形成し、所定のパターンを有するレーザ光Loutとして、半導体レーザ素子1Aの表面から外部に出射される。このとき、レーザ光Loutは、主面11に垂直な方向及びこれに対して傾斜した方向を含む空間的な任意方向へ出射する。レーザ光Loutを形成するのは主に0次光、1次光及び-1次光である。0次光は、XY平面に垂直な方向(Z方向)に出射される。1次光及び-1次光は、XY平面に垂直な方向(Z方向)に対して傾斜した方向に出射される。
電極28は、基板10の裏面12上に設けられ、裏面12とオーミック接触を成す第1導電型の電極である。電極29は、コンタクト層27上に設けられ、コンタクト層27とオーミック接触を成す第2導電型の電極である。電極28は、レーザ光Loutを通過させるための開口を有する。裏面12のうち電極28に覆われていない領域は、絶縁性の反射防止膜31によって覆われている。コンタクト層27の表面のうち電極29に覆われていない領域は、絶縁性の保護膜32によって覆われている。なお、電極29に覆われていない領域のコンタクト層27は取り除かれてもよい。この場合、電流注入する領域を限定することが出来るので、半導体レーザ素子1Aを効率的に駆動することが出来る。また、電極28の外側(すなわち開口を除く他の領域)に位置する反射防止膜31は取り除かれてもよい。
電極28と電極29との間に駆動電流が供給されると、活性層24内において電子と正孔の再結合が生じ、活性層24が発光する。この発光に寄与する電子及び正孔、並びに発生した光は、下部クラッド層23と上部クラッド層26との間に効率的に閉じ込められる。
活性層24から出射された光は、位相変調層25Aの内部に入射し、位相変調層25Aの内部の格子構造に応じた所定のモードを形成する。位相変調層25Aから出射したレーザ光Loutは、直接に、裏面12から電極28の開口を通って半導体レーザ素子1Aの外部へ出力されるか、または、電極29において反射したのち、裏面12から電極28の開口を通って半導体レーザ素子1Aの外部へ出力される。このとき、レーザ光Loutに含まれる信号光は、主面11に垂直な方向及びこれに対して傾斜した方向を含む空間的な任意方向へ出射する。所望の光像を形成するのは信号光である。信号光は、主に、1次光及び-1次光である。
或る例では、基板10はGaAs基板であり、下部クラッド層23、活性層24、位相変調層25A、上部クラッド層26、及びコンタクト層27は、GaAs系の化合物半導体を主に含む。一実施例では、下部クラッド層23はAlGaAs層であり、活性層24は多重量子井戸構造(障壁層:AlGaAs/井戸層:InGaAs)を有し、位相変調層25Aの基本層25aはAlGaAsからなり、異屈折率領域25bは空孔であり、上部クラッド層26はAlGaAs層であり、コンタクト層27はGaAs層である。
上記の場合、基板10の厚さは50μm以上300μm以下であり、一実施例では150μmである。下部クラッド層23及び上部クラッド層26の厚さは0.5μm以上10μm以下であり、一実施例では2.0μmである。活性層24の厚さは100nm以上300nm以下であり、一実施例では200nmである。位相変調層25Aの厚さは100nm以上500nm以下であり、一実施例では300nmである。コンタクト層27の厚さは50nm以上500nm以下であり、一実施例では100nmである。
AlGaAsにおいては、Alの組成比を変更することで、容易にエネルギーバンドギャップと屈折率を変えることができる。AlxGa1-xAsにおいて、相対的に原子半径の小さなAlの組成比xを減少(増加)させると、これと正の相関にあるエネルギーバンドギャップは小さく(大きく)なり、GaAsに原子半径の大きなInを混入させてInGaAsとすると、エネルギーバンドギャップは小さくなる。すなわち、下部クラッド層23及び上部クラッド層26のAl組成比は、活性層24の障壁層(AlGaAs)のAl組成比よりも大きい。下部クラッド層23及び上部クラッド層26のAl組成比は例えば0.20~1.00に設定され、一実施例では0.50である。活性層24の障壁層のAl組成比は例えば0.00~0.30に設定され、一実施例では0.15である。
別の例では、基板10はInP基板であり、下部クラッド層23、活性層24、位相変調層25A、上部クラッド層26、及びコンタクト層27は、例えばInP系の化合物半導体を主に含む。一実施例では、下部クラッド層23はInP層であり、活性層24は多重量子井戸構造(障壁層:GaInAsP/井戸層:GaInAsP)を有し、位相変調層25Aの基本層25aはInP層またはGaInAsP層であり、異屈折率領域25bは空孔であり、上部クラッド層26はInP層であり、コンタクト層27はGaInAsP層、GaInAs層またはInP層である。
また、更に別の実施例では、下部クラッド層23はInP層であり、活性層24は多重量子井戸構造(障壁層:AlGaInAs/井戸層:AlGaInAs)を有し、位相変調層25Aの基本層25aはInP層またはAlGaInAs層であり、異屈折率領域25bは空孔であり、上部クラッド層26はInP層であり、コンタクト層27はGaInAsまたはInP層である。この材料系や前の段落で述べたGaInAsP/InPを用いた材料系では、1.3/1.55μm帯の光通信波長に適用できると共に、1.4μmより長波長のアイセーフ波長の光を出射することもできる。
また、更に別の例では、基板10はGaN基板であり、下部クラッド層23、活性層24、位相変調層25A、上部クラッド層26、及びコンタクト層27は、例えば窒化物系の化合物半導体を主に含む。一実施例では、下部クラッド層23はAlGaN層であり、活性層24は多重量子井戸構造(障壁層:InGaN/井戸層:InGaN)を有し、位相変調層25Aの基本層25aはGaNであり、異屈折率領域25bは空孔であり、上部クラッド層26はAlGaN層であり、コンタクト層27はGaN層である。
下部クラッド層23には基板10と同じ導電型が付与され、上部クラッド層26及びコンタクト層27には基板10とは逆の導電型が付与される。一例では、基板10及び下部クラッド層23はn型であり、上部クラッド層26及びコンタクト層27はp型である。位相変調層25Aは、活性層24と上部クラッド層26との間に設けられる場合には基板10とは逆の導電型を有し、下部クラッド層23と活性層24との間に設けられる場合には基板10と同じ導電型を有する。不純物濃度は例えば1×1016cm-3~1×1021cm-3である。活性層24は、いずれの不純物も意図的に添加されていない真性(i型)であり、その不純物濃度は1×1016/cm3以下である。
上述の構造では、異屈折率領域25bが空孔となっているが、異屈折率領域25bは、基本層25aとは屈折率が異なる半導体が空孔内に埋め込まれて形成されてもよい。その場合、例えば基本層25aの空孔をエッチングにより形成し、有機金属気相成長法、スパッタ法又はエピタキシャル法を用いて半導体を空孔内に埋め込んでもよい。例えば、基本層25aがGaAsからなる場合、異屈折率領域25bはAlGaAsからなってもよい。また、基本層25aの空孔内に半導体を埋め込んで異屈折率領域25bを形成した後、更に、その上に異屈折率領域25bと同一の半導体を堆積してもよい。なお、異屈折率領域25bが空孔である場合、該空孔にアルゴン、窒素といった不活性ガス又は水素や空気などのガスが封入されてもよい。
反射防止膜31は、例えば、シリコン窒化物(例えばSiN)、シリコン酸化物(例えばSiO2)などの誘電体単層膜、或いは誘電体多層膜からなる。誘電体多層膜としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、二酸化シリコン(SiO2)、一酸化シリコン(SiO)、酸化ニオブ(Nb25)、五酸化タンタル(Ta25)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化インジウム(In23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)などの誘電体層群から選択される2種類以上の誘電体層を積層した膜を用いることができる。例えば、波長λの光に対する光学膜厚で、λ/4の厚さの膜を積層する。また、保護膜32は、例えばシリコン窒化物(例えばSiN)、シリコン酸化物(例えばSiO2)などの絶縁膜である。基板10及びコンタクト層27がGaAs系半導体からなる場合、電極29は、Cr、Ti、及びPtのうち少なくとも1つと、Auとを含む材料により構成されることができ、例えばCr層及びAu層の積層構造を有する。電極28は、AuGe及びNiのうち少なくとも1つと、Auとを含む材料により構成されることができ、例えばAuGe層及びAu層の積層構造を有する。なお、電極28,29の材料は、オーミック接合が実現できればよく、これらの範囲に限定されない。
なお、電極形状を変形し、コンタクト層27の表面からレーザ光Loutを出射することもできる。すなわち、電極28の開口が設けられず、コンタクト層27の表面において電極29が開口している場合、レーザ光Loutはコンタクト層27の表面から外部に出射する。この場合、反射防止膜は、電極29の開口内及び周辺に設けられる。
図2は、位相変調層25Aの平面図である。位相変調層25Aは、Γ点で発振するS-iPMレーザとしての構成を有する。位相変調層25Aは、第1屈折率媒質からなる基本層25aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなる複数の異屈折率領域25bとを含む。ここで、位相変調層25Aに、XY平面内における仮想的な正方格子を設定する。正方格子の一辺はX軸と平行であり、他辺はY軸と平行であるものとする。
このとき、正方格子の格子点Oを中心とする正方形状の単位構成領域Rが、X軸に沿った複数列及びY軸に沿った複数行にわたって二次元状に設定され得る。それぞれの単位構成領域RのXY座標をぞれぞれの単位構成領域Rの重心位置で与えられることとすると、この重心位置は仮想的な正方格子の格子点Oに一致する。複数の異屈折率領域25bは、各単位構成領域R内に例えば1つずつ設けられる。
図3は、一つの単位構成領域Rを拡大して示す図である。図3に示すように、異屈折率領域25bの平面形状は、例えば格子点Oを内外の円弧の中心とするC字形状である。具体的には、異屈折率領域25bの平面形状は、内周側の円弧151、外周側の円弧152、円弧151の一端と円弧152の一端とを結ぶ線分153、及び円弧151の他端と円弧152の他端とを結ぶ線分154によって画定されている。円弧151及び152は優弧である。言い換えると、円弧151,152の中心角は180°より大きい。円弧151の中心角と円弧152の中心角とは互いに等しい。円弧151,152の中心角は、例えば300°以上360°未満である。線分153及び154は、円弧151及び152の径方向に沿って延びている。
異屈折率領域25bのそれぞれは重心Gを有する。ここで、格子点OからC字形状の開口部分の中心に向かうベクトルとX軸との成す角度をθ(x,y)とする。xはX軸におけるx番目の格子点の位置、yはY軸におけるy番目の格子点の位置を示す。この角度θ(x,y)に180°を加算すると、格子点Oから重心Gに向かうベクトルとX軸との成す角度と一致する。したがって、以下の計算においては、角度θ(x,y)を、格子点Oから重心Gに向かうベクトルとX軸との成す角度に対応するものとみなす。格子点Oと重心Gとの距離は、x、yによらず(位相変調層25A全体にわたって)一定である。なお、位相角に定数を加算しても得られる光像は変わらないので、180°を加算せず、位相角を設計してもよい。
図3に示されるように、角度θは、光Loutにおける所望の出力ビームパターンに応じた位相パターンに従って各格子点O毎に個別に設定される。位相パターンすなわち角度分布θ(x,y)は、x,yの値で決まる位置毎に特定の値を有するが、必ずしも特定の関数で表わされるとは限らない。すなわち、角度分布θ(x,y)は、レーザ光Loutにおける所望の出力ビームパターンを逆フーリエ変換して得られる複素振幅分布のうち位相分布を抽出したものから決定される。なお、所望の出力ビームパターンから複素振幅分布を求める際には、ホログラム生成の計算時に一般的に用いられるGerchberg-Saxton(GS)法のような繰り返しアルゴリズムを適用することによって、ビームパターンの再現性が向上する。
図4は、位相変調層25Aの特定領域内にのみ図2の屈折率略周期構造を適用した例を示す平面図である。図4に示す例では、正方形の内側領域RINの内部に、目的となるビームパターンを出射するための略周期構造(例:図2の構造)が形成されている。一方、内側領域RINを囲む外側領域ROUTには、正方格子の格子点位置と重心位置とが一致する真円形の異屈折率領域が配置されている。内側領域RINの内部も、外側領域ROUT内においても、仮想的に設定される正方格子の格子間隔は同一である。この構造の場合、外側領域ROUT内にも光が分布することにより、内側領域RINの周辺部において光強度が急激に変化することで生じる高周波ノイズ(いわゆる窓関数ノイズ)の発生を抑制することが出来るという利点がある。また、面内方向への光漏れを抑制することができ、低閾値化および光出力効率の向上が期待できる。
図5は、半導体レーザ素子1Aの出力ビームパターンが結像して得られる光像と、位相変調層25Aにおける角度分布θ(x,y)との関係を説明するための図である。なお、出力ビームパターンの中心Qは基板10の主面11に対してZ方向に位置するとは限らないが、主面11に対してZ方向に配置させることもできる。ここでは説明のため、中心Qが主面11に対してZ方向にあるものとする。図5には、中心Qを原点とする4つの象限が示されている。図5では例として第1象限および第3象限に光像が得られる場合を示したが、第2象限および第4象限或いは全ての象限に像を得ることも可能である。本実施形態では、図5に示されるように、原点に関して点対称な光像が得られる。図5は、例として、第3象限に文字「A」が、第1象限に文字「A」を180度回転したパターンが、それぞれ得られる場合について示している。なお、回転対称な光像(例えば、十字、丸、二重丸など)である場合には、重なって一つの光像として観察される。
半導体レーザ素子1Aの出力ビームパターンの光像は、スポット、直線、十字架、線画、格子パターン、写真、縞状パターン、CG(コンピュータグラフィクス)、及び文字のうち少なくとも1つを含んでもよい。ここで、所望の光像を得るためには、以下の手順によって位相変調層25Aの異屈折率領域25bの角度分布θ(x,y)を決定する。
まず、第1の前提条件として、基板10の主面11の法線方向に一致するZ軸と、複数の異屈折率領域25bを含む位相変調層25Aの一方の面に一致した、互いに直交するX軸およびY軸を含むXY平面と、により規定される直交座標系において、該XY平面上に、それぞれが正方形状を有するM1×N1個(M1,N1は1以上の整数)の単位構成領域Rにより構成される仮想的な正方格子を設定する。
第2の前提条件として、この直交座標系における座標(ξ,η,ζ)は、図6に示されるように、動径の長さrと、Z軸からの傾き角θtiltと、XY平面上で特定されるX軸からの回転角θrotと、で規定される球面座標(r,θrottilt)に対して、以下の式(1)~式(3)で示された関係を満たしているものとする。なお、図6は、球面座標(r,θrottilt)から座標(ξ,η,ζ)への座標変換を説明するための図であり、座標(ξ,η,ζ)により、実空間である上記直交座標系において設定される所定平面上の設計上のビームパターンが表現される。半導体レーザ素子1Aから出力されるビームパターンを、角度θtiltおよびθrotで規定される方向に向かう輝点の集合とするとき、角度θtiltおよびθrotは、以下の式(4)で規定される規格化波数であってX軸に対応したKx軸上の座標値kと、以下の式(5)で規定される規格化波数であってY軸に対応するとともにKx軸に直交するKy軸上の座標値kに換算されるものとする。規格化波数は、仮想的な正方格子の格子間隔aに相当する波数2π/aを1.0として規格化された波数を意味する。このとき、Kx軸およびKy軸により規定される波数空間において、ビームパターンを含む特定の波数範囲が、それぞれが正方形状のM2×N2個(M2,N2は1以上の整数)の画像領域FRで構成される。なお、整数M2は、整数M1と一致する必要はない。同様に、整数N2は、整数N1と一致する必要もない。また、式(4)および式(5)は、例えば、Y. Kurosaka et al., “Effects of non-lasing band in two-dimensional photonic-crystallasers clarified using omnidirectional band structure”, Opt. Express 20, 21773-21783 (2012)に開示されている。





a:仮想的な正方格子の格子間隔(格子定数)
λ:活性層24の発光波長
第3の前提条件として、波数空間において、Kx軸方向の座標成分k(0以上M2-1以下の整数)とKy軸方向の座標成分k(0以上N2-1以下の整数)とで特定される画像領域FR(k,k)それぞれを、X軸方向の座標成分x(0以上M1-1以下の整数)とY軸方向の座標成分y(0以上N1-1以下の整数)とで特定されるXY平面上の単位構成領域R(x,y)に二次元逆離散フーリエ変換することで得られる複素振幅F(x,y)が、jを虚数単位として、以下の式(6)で与えられる。また、この複素振幅F(x,y)は、振幅項をA(x,y)とするとともに位相項をP(x,y)とするとき、以下の式(7)により規定される。更に、第4の前提条件として、単位構成領域R(x,y)が、X軸およびY軸にそれぞれ平行であって単位構成領域R(x,y)の中心となる格子点O(x,y)において直交するs軸およびt軸で規定される。

上記第1~第4の前提条件の下、位相変調層25Aは、以下の第1および第2条件を満たすよう構成される。すなわち、第1条件は、単位構成領域R(x,y)内において、重心Gが、格子点O(x,y)から離れた状態で配置されていることである。また、第2条件は、格子点O(x,y)から対応する重心Gまでの線分長r(x,y)がM1個×N1個の単位構成領域Rそれぞれにおいて共通の値に設定された状態で、格子点O(x,y)と対応する重心Gとを結ぶ線分と、s軸と、の成す角度θ(x,y)が、
θ(x,y)=C×P(x,y)+B
C:比例定数であって例えば180°/π
B:任意の定数であって例えば0
なる関係を満たすように、対応する異屈折率領域25bが単位構成領域R(x,y)内に配置されることである。
フーリエ変換で得られた複素振幅分布から強度分布と位相分布を得る方法として、例えば強度分布I(x,y)については、MathWorks社の数値解析ソフトウェア「MATLAB」のabs関数を用いることにより計算することができ、位相分布P(x,y)については、MATLABのangle関数を用いることにより計算することができる。
ここで、出力ビームパターンのフーリエ変換結果から角度分布θ(x,y)を求め、各異屈折率領域25bの配置を決める際に、一般的な離散フーリエ変換(或いは高速フーリエ変換)を用いて計算する場合の留意点を述べる。フーリエ変換前の光像を図7(a)のようにA1,A2,A3,及びA4といった4つの象限に分割すると、得られるビームパターンは図7(b)のようになる。つまり、ビームパターンの第1象限には、図7(a)の第1象限を180度回転したものと図7(a)の第3象限が重畳したパターンが現れ、ビームパターンの第2象限には図7(a)の第2象限を180度回転したものと図7(a)の第4象限が重畳したパターンが現れ、ビームパターンの第3象限には図7(a)の第3象限を180度回転したものと図7(a)の第1象限が重畳したパターンが現れ、ビームパターンの第4象限には図7(a)の第4象限を180度回転したものと図7(a)の第2象限が重畳したパターンが現れる。
従って、フーリエ変換前の出力ビームパターン(元画像)として第1象限のみに値を有するものを用いた場合には、得られるビームパターンの第3象限に元の光像の第1象限が現れ、得られるビームパターンの第1象限に元の光像の第1象限を180度回転したパターンが現れる。
このように、位相変調層25Aにおいては、波面が位相変調されていることによって所望のビームパターンが得られる。このビームパターンは、一対の単峰ビーム(スポット)だけでなく、文字形状、2以上の同一形状スポット群、或いは、位相、強度分布が空間的に不均一であるベクトルビームなどとすることも可能である。
なお、各異屈折率領域25bの大きさが変化することによって回折強度が変化する。この回折効率は、異屈折率領域25bの形状をフーリエ変換した際の係数で表される光結合係数に比例する。光結合係数については、例えばY. Liang et al., “Three-dimensionalcoupled-wave analysis for square-lattice photonic crystal surface emittinglasers with transverse-electric polarization: finite-size effect”, Optics Express 20, 15945-15961 (2012)に記載されている。
次に、本実施形態の位相変調層25Aの特徴について詳細に説明する。本実施形態では、仮想的な正方格子の格子間隔aと活性層24の発光波長λとがΓ点発振の条件を満たす。
まず、比較のため、仮想的な正方格子の格子点上に円形の異屈折率領域が設けられる(すなわち、異屈折率領域が周期的に配列された)PCSELのフォトニック結晶層について説明する。PCSELのフォトニック結晶層は、その厚さ方向と垂直な面内において異屈折率領域の配列周期に応じた発振波長でもって定在波を形成しつつ、基板の主面に垂直な方向にレーザ光を出力する。PCSELのフォトニック結晶層は、通常、Γ点で発振するように設計される。Γ点発振のためには、仮想的な正方格子の格子間隔a、フォトニック結晶層に入力される光の波長λ、及びモードの等価屈折率nが、λ=naといった条件を満たすとよい。
図8は、Γ点で発振するフォトニック結晶層に関する逆格子空間を示す平面図である。この図は、複数の異屈折率領域が正方格子の格子点上に位置する場合を示し、図中の点Pは逆格子点を表す。また、図中の矢印B1は基本逆格子ベクトルを表し、矢印B2はそれぞれ基本逆格子ベクトルB1の2倍の逆格子ベクトルを表す。また、矢印K1,K2,K3,及びK4は4つの面内波数ベクトルを表す。4つの面内波数ベクトルK1,K2,K3,及びK4は、90°及び180°の回折を介して互いに結合し、定在波状態を形成している。ここで、逆格子空間において互いに直交するΓ-X軸及びΓ-Y軸を定義する。Γ-X軸は正方格子の一辺と平行であり、Γ-Y軸は正方格子の他辺と平行である。面内波数ベクトルとは、波数ベクトルをΓ-X・Γ-Y平面内に投影したベクトルである。すなわち、面内波数ベクトルK1はΓ-X軸正方向を向き、面内波数ベクトルK2はΓ-Y軸正方向を向き、面内波数ベクトルK3はΓ-X軸負方向を向き、面内波数ベクトルK4はΓ-Y軸負方向を向く。図8から明らかなように、Γ点で発振するフォトニック結晶層においては、面内波数ベクトルK1~K4の大きさ(すなわち面内方向の定在波の大きさ)は、基本逆格子ベクトルB1の大きさと等しい。なお、面内波数ベクトルK1~K4の大きさをkとすると、下記の数式(8)の関係が成り立つ。
Figure 0007422045000008
図9は、図8に示された逆格子空間を立体的に見た斜視図である。図9には、Γ-X軸及びΓ-Y軸の方向と直交するZ軸が示されている。このZ軸は、図1に示されたZ軸と同一である。図9に示すように、Γ点で発振するフォトニック結晶層の場合、回折によって面内方向の波数が0となり、面垂直方向(Z方向)への回折が生じる(図中の矢印K5)。従って、レーザ光Loutは基本的にZ方向に出力される。
次に、図2に示した略周期構造を有する位相変調層25AをΓ点で発振させることを考える。Γ点発振の条件は前述したPCSELの場合と同様である。図10は、Γ点で発振する光回折層に関する逆格子空間を示す平面図である。基本逆格子ベクトルB1はΓ点発振のPCSELと同様(図8を参照)であるが、面内波数ベクトルK1~K4は、角度分布θ(x,y)による位相変調を受け、出力ビームパターンの広がり角に対応した波数拡がりSPをそれぞれ有する。波数拡がりSPは、Γ点発振のPCSELにおける各面内波数ベクトルK1~K4の先端を中心とし、X方向及びY方向の辺の長さがそれぞれ2Δkxmax、2Δkymaxの矩形領域として表現できる。このような波数拡がりSPによって、各面内波数ベクトルK1~K4は(Kix+Δkx、Kiy+Δky)の矩形状の範囲に広がる(i=1~4、KixはベクトルKiのX方向成分、KiyはベクトルKiのY方向成分)。ここで、-Δkxmax≦Δkx≦Δkxmax、-Δkymax≦Δky≦Δkymaxとなる。Δkxmax及びΔkymaxの大きさは、出力ビームパターンの広がり角に応じて定まる。
図11は、図10に示された逆格子空間を立体的に見た斜視図である。図11には、Γ-X軸及びΓ-Y軸の方向と直交するZ軸が示されている。このZ軸は、図1に示されたZ軸と同一である。図11に示されるように、Γ点で発振する位相変調層25Aの場合、面垂直方向(Z方向)への0次光と、Z方向に対して傾斜した方向への1次光及び-1次光とを含む空間的な拡がりを有するビームパターンLMが出力される。
本実施形態の位相変調層25Aが有する各異屈折率領域25bの特徴について更に説明する。位相変調層25Aにおいて1次元回折(180°方向の回折)が大きい場合、図12の(a)部に概念的に示すように、発振モードの局在化が進んで局所発振が生じ、局所的な1次元発振の競合が起きる。これは高次モードの形成に寄与する。また、図12の(b)部に概念的に示すように、フラットバンド発振が発生してフラットバンド競合が生じる。なお、図12において、矢印は光の回折方向を表す。ここでフラットバンド発振とは、Γ点の場合にはバンド端近傍のΓ-X方向、M点の場合にはバンド端近傍のΓ-M方向のフォトニックバンドのフラットな領域において、定在波が形成されて発振する現象であり、図12(b)に示すようなジグザグの共振状態となる。このとき、出射ビームは細長くなり、設計パターンに対して伸びた光像となってしまう。そして、バンド端発振と同時に競合して、フラットバンド発振するフラットバンド競合が起きることもある。これらの現象は、位相変調層25Aにおける光強度分布を不均一にし、設計パターンに対する光像の画質の劣化を招く。これに対し、1次元的な局所発振が抑制されると、図13の(a)部に示すように、2次元回折が促進される。故に、発振モードの局在化が抑制されて高次モードが形成されにくくなるので、基本モードと高次モードとの閾値利得差を大きくすることができる。また、フラットバンド発振を抑制して、フラットバンド競合を抑制することができる。更に、図13の(b)部に示すように、位相変調層25Aの全域にモードを広く分布させることができる。よって、出力ビームパターンの光強度分布を均一化して、単一モードにて出力可能な領域の大面積化が可能となるので、出射される光像を高解像度化および高画質化することが出来る。
そこで、位相変調層25Aにおける1次元回折を低減するための条件について検討する。本発明者の知見によれば、Γ点発振の場合、基本波の(±2,±0)次及び(±0,±2)次のフーリエ係数がゼロに近づくほど、位相変調層25Aに入射した光の1次元的な180°方向の回折が抑制される。すなわち、光波同士の回折は、下記の論文に示される3次元結合波理論の結合係数κにより表されるが、これはフーリエ係数に比例するので、上記のフーリエ係数がゼロであれば、Γ点発振の180°方向の結合に寄与するκが0となり、180°方向への光波の直接的な結合が起きない。ただし、高次回折を介した間接的な結合は存在する。
論文:Yong Liang et al., “Three-dimensional coupled-wave model forsquare-lattice photonic crystal lasers with transverse electric polarization Ageneral approach”, PhysicalReview, B84, 195119 (2011)
なお、(±2,±0)次及び(±0,±2)次のフーリエ係数がゼロに近づくとは、(+2,0)次、(-2,0)次、(0,+2)次、及び(0,-2)次の4つのフーリエ係数がゼロに近づくことを意味する。
本実施形態の異屈折率領域25bの平面形状は、図3に示したように、格子点Oを内外の円弧の中心とするC字形状である。このような平面形状を有する異屈折率領域25bを、対応する格子点Oを回転中心として仮想的に一周回回転させると、円環形状が得られる。この円環形状の内側の半径は内周円の半径rと等しく、外側の半径は外周円の半径rと等しい。以下の説明において、位相変調層25Aにおける回折作用を検討するうえで、近似的に各異屈折率領域25bを、この円環形状を有する2次元フォトニック結晶とみなす。
フーリエ係数と円の半径との関係は、一般的に次の数式(9)によって表される。但し、ρはフーリエ次数の絶対値、Jは1次のベッセル関数、Rは円の半径であり、circ(r)は数式(10)で表される関数である。なお半径Rは格子間隔aで規格化した値となる。
Figure 0007422045000009

Figure 0007422045000010
円環形状のフーリエ係数は、外側の円のフーリエ係数から、内側の円のフーリエ係数を差し引いた値となる。すなわち、円環形状のフーリエ係数は次の数式(11)によって表される。但し、Rは内側の円の半径(=r)、Rは外側の円の半径(=r)である。
Figure 0007422045000011
位相変調層25AをΓ点発振させる場合、基本波の波数がk=2π/λ=2π/aとなるように、格子間隔aが定められる。したがって、数式(9)に示される円のフーリエ係数は、Γ点発振の場合、1次元回折に寄与する次数(±2、0)次または(0、±2)次に対して、ρ=2となるので、下記の数式(12)となる。但し、rは円の半径である。なお半径rは格子間隔aで規格化した値となる。
Figure 0007422045000012
図14は、数式(12)の関係をグラフ化したものである。図14において、縦軸はフーリエ係数を表し、横軸は円の半径の格子間隔aに対する倍率を表す。同図に示すように、Γ点発振におけるフーリエ係数は、円の半径が格子間隔aの0.19倍であるときに極大値(0.05)となる。そして、フーリエ係数は、極大値の前後においてほぼ同様の傾きをもって増大及び減少する。また、Γ点発振におけるフーリエ係数は、円の半径が格子間隔aの0.44倍であるときに極小値(-0.075)となる。そして、フーリエ係数は、極小値の前後においてほぼ同様の傾きをもって減少及び増大する。
内側の円のフーリエ係数と外側の円のフーリエ係数とが互いに等しければ、その円環形状のフーリエ係数がゼロとなる。したがって、円環形状のフーリエ係数をゼロにするためには、図14に示すように、或るフーリエ係数Fbに対応する2つの半径のそれぞれを、内径r及び外径rに設定するとよい。この場合、内径rは格子間隔aの0.19倍より小さくなり、外径rは格子間隔aの0.19倍より大きくなる。或いは、或るフーリエ係数Fcに対応する2つの半径のそれぞれを、内径r及び外径rに設定してもよい。この場合、内径rは格子間隔aの0.44倍より小さくなり、外径rは格子間隔aの0.44倍より大きくなる。
上記の説明においては、フーリエ係数をゼロとすることにより1次元的な局所発振を抑制しているが、フーリエ係数が厳密にゼロでなくても、その絶対値を極めて小さい値とすることにより1次元的な局所発振を抑制することが可能である。具体的には、異屈折率領域25bを格子点Oを回転中心として仮想的に一周回回転させて得られる円環形状の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の絶対値が、0.01以下、または円形状の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の最大ピーク値(図14の例では0.05)の20%以下であれば、1次元的な局所発振を効果的に抑制することができる。また、その円環形状を画定する内側の円の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数Fと、外側の円の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数Fとの比(F/F)が0.99以上1.01以下であれば、1次元的な局所発振を効果的に抑制することができる。一実施例では、内径rは格子間隔aの0.085倍であり、外径rは格子間隔aの0.28倍である。別の実施例では、内径rは格子間隔aの0.41倍であり、外径rは格子間隔aの0.47倍である。
なお、本実施形態の半導体レーザ素子1Aにおいては、活性層24および位相変調層25Aが設けられていれば、各層の材料、層の厚さ、及び層構造は様々に変更され得る。ここで、仮想的な正方格子からの摂動が0の場合のいわゆる正方格子フォトニック結晶レーザに関してはスケーリング則が成り立つ。すなわち、波長が定数α倍となった場合には、正方格子構造全体をα倍することによって同様の定在波状態を得ることが出来る。同様に、本実施形態においても、波長に応じたスケーリング則によって位相変調層25Aの構造を決定することが可能である。従って、青色、緑色、赤色などの光を発光する活性層24を用い、波長に応じたスケーリング則を適用することで、可視光を出力する半導体レーザ素子1Aを実現することも可能である。
半導体レーザ素子1Aを製造する際、各化合物半導体層の成長には、有機金属気相成長(MOCVD)法若しくは分子線エピタキシー法(MBE)を用いる。AlGaAsを用いた半導体レーザ素子1Aの製造においては、成長温度は500℃~850℃であって、実験では550~700℃を採用し、成長時におけるAl原料としてTMA(トリメチルアルミニウム)、ガリウム原料としてTMG(トリメチルガリウム)およびTEG(トリエチルガリウム)、As原料としてはAsH3(アルシン)、n型不純物用の原料としてSi26(ジシラン)、p型不純物用の原料としてDEZn(ジエチル亜鉛)を用いることが出来る。絶縁膜の形成は、その構成物質を原料としてターゲットをスパッタするか、またはPCVD(プラズマCVD)法により形成すればよい。
半導体レーザ素子1Aを製造する際には、まず、基板10の主面11上に、下部クラッド層23と、活性層24と、位相変調層25Aの基本層25aとを、MOCVD(有機金属気相成長)法を用いて順次、エピタキシャル成長させる。次に、基本層25aにレジストを塗布し、該レジスト上に電子ビーム描画装置で2次元微細パターンを描画し、現像することで該レジスト上に2次元微細パターンを形成する。その後、該レジストをマスクとして、ドライエッチングにより2次元微細パターンを基本層25a上に転写し、孔(穴)を形成したのち、レジストを除去する。なお、レジスト形成前にSiN層やSiO2層をPCVD法で基本層25a上に形成し、その上にレジストマスクを形成し、反応性イオンエッチング(RIE)を使ってSiN層やSiO2層に微細パターンを転写し、レジストを除去してからドライエッチングしても良い。この場合、ドライエッチングの耐性を高めることができる。これらの孔を異屈折率領域25bとするか、或いは、これらの孔の中に、異屈折率領域25bとなる化合物半導体(例えばAlGaAs)を孔の深さ以上に再成長させる。孔を異屈折率領域25bとする場合、孔内に空気、窒素、水素又はアルゴン等の気体を封入してもよい。続いて、上部クラッド層26と、コンタクト層27とを、MOCVD法を用いて順次、基本層25a上にエピタキシャル成長させる。その後、電極28,29を蒸着法又はスパッタ法により形成する。また、必要に応じて、反射防止膜31及び保護膜32をスパッタまたはPCVD法等により形成する。
以上に説明した本実施形態の半導体レーザ素子1Aによって得られる効果について説明する。この半導体レーザ素子1Aでは、各異屈折率領域25bを、対応する格子点Oを回転中心として仮想的に一周回回転させると円環形状が得られ、その円環形状の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の絶対値が、0.01以下、または円形状の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の最大ピーク値の20%以下である。このように、各異屈折率領域25bの(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数が極めて小さい値を有することにより、1次元的な局所発振を低減できる。故に、この半導体レーザ素子1Aによれば、1次元回折によるモードの局在化、及びフラットバンド回折といった現象を抑制できる。したがって、2次元的な回折により光強度分布を均一に近づけ、単一モードにて出力される光像を大面積化することができる。故に、出力光量の向上、高解像度化、2次元ビームパターンの画質の改善等に寄与できる。
前述したように、格子点Oを回転中心として異屈折率領域25bを仮想的に一周回回転させて得られる円環形状の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数はゼロであってもよい。この場合、上記の効果をより顕著に奏することができる。
前述したように、格子点Oを回転中心として異屈折率領域25bを仮想的に一周回回転させて得られる円環形状を画定する内側の円の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数Fと、外側の円の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数Fとの比(F/F)は、0.99以上1.01以下であってもよい。前述したように、円環形状のフーリエ係数は、円環形状を画定する外側の円のフーリエ係数Fと、円環形状を画定する内側の円のフーリエ係数Fとの差として算出される。従って、このように外側の円のフーリエ係数Fと内側の円のフーリエ係数Fとが互いに近い値であることによって、円環形状のフーリエ係数をゼロに近づけることができるので、1次元的な局所発振をより効果的に低減できる。
前述したように、格子点Oを回転中心として異屈折率領域25bを仮想的に一周回回転させて得られる円環形状を画定する内側の円の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数Fと、外側の円の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数Fとは、互いに等しくてもよい。この場合、円環形状のフーリエ係数が十分に小さくなるので、上記の効果を奏することができる。
前述したように、格子点Oを回転中心として異屈折率領域25bを仮想的に一周回回転させて得られる円環形状の内側の円の半径rは格子間隔aの0.19倍より小さく、外側の円の半径rは格子間隔aの0.19倍より大きくてもよい。或いは、内側の円の半径rは格子間隔aの0.44倍より小さく、外側の円の半径rは格子間隔aの0.44倍より大きくてもよい。図14に示したように、Γ点発振構造において、円形状のフーリエ係数は、その半径が格子間隔aの0.19倍または0.44倍であるときに極値をとる。したがって、内側の円の半径rが格子間隔aの0.19倍(または0.44倍)より小さく、外側の円の半径rが格子間隔aの0.19倍(または0.44倍)より大きいことにより、内側の円のフーリエ係数Fと外側の円のフーリエ係数Fとを互いに近づけることが容易にできる。
(第1変形例)
図15、図16及び図17は、第1実施形態における異屈折率領域25bの平面形状の他の例を示す図である。図15に示す例では、上記実施形態と同様、異屈折率領域25bの平面形状は、格子点Oを内外の円弧の中心とするC字形状である。但し、本変形例では、内周側の円弧151の一端と外周側の円弧152の一端とを結ぶ線分153と、円弧151の他端と円弧152の他端とを結ぶ線分154とが、互いに平行である。したがって、外周側の円弧152の中心角は、内周側の円弧151の中心角よりも僅かに大きい。異屈折率領域25bがこのような平面形状を有する場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、図15に示す形状によれば、円環形状との相違がわずかであるので、好適に1次元回折を抑制することが出来る。
図16に示す例では、異屈折率領域25bの平面形状は、対応する格子点Oがその外側に位置する円形状である。また、図17に示す例では、異屈折率領域25bの平面形状は、対応する格子点Oがその外側に位置する多角形である。これらの形状であっても、格子点Oを回転中心として異屈折率領域25bを仮想的に一周回回転させると、内側の円C1及び外側の円C2によって画定される円環形状が好適に得られる。そして、位相変調層25Aには多数の異屈折率領域25bが含まれ、各異屈折率領域25b毎に角度θが個別に設定されている。したがって、位相変調層25Aにおける回折作用を検討するうえで、近似的に各異屈折率領域25bを、この円環形状を有する2次元フォトニック結晶とみなすことができる。故に、異屈折率領域25bがこれらの平面形状を有する場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、これらの場合、異屈折率領域25bの外周において格子点Oに最も近い点と格子点Oとの距離が内側の円の半径rに一致し、異屈折率領域25bの外周において格子点Oから最も遠い点と格子点Oとの距離が外側の円の半径rに一致する。
(第2変形例)
図18は、第1実施形態における異屈折率領域25bの平面形状の他の例を示す図である。図18に示す例では、異屈折率領域25bの平面形状は、対応する格子点Oを円弧の中心とする扇形である。具体的には、異屈折率領域25bの平面形状は、円弧161、円弧161の一端と格子点Oとを結ぶ線分162、及び円弧161の他端と格子点Oとを結ぶ線分163によって画定されている。円弧161は優弧である。言い換えると、円弧161の中心角は180°より大きい。円弧161の中心角は、例えば300°以上360°未満である。線分162及び163は、円弧161の径方向に沿って延びている。
この例では、格子点Oを起点とし扇形の切り欠き部分の中心に沿ったベクトルとX軸との成す角度θ(x,y)が定義される。この角度θ(x,y)に180°を加算すると、格子点Oから重心Gに向かうベクトルとX軸との成す角度と一致する。したがって、この例においても、角度θ(x,y)を、格子点Oから重心Gに向かうベクトルとX軸との成す角度に対応するものとみなすことができる。各異屈折率領域25bの重心Gと格子点Oとを結ぶベクトルの角度は、扇形の切り欠き部分の周方向位置を変えることによって任意に設定され得る。格子点Oと重心Gとの距離は、x、yによらず(位相変調層25A全体にわたって)一定である。なお、位相角に定数を加算しても得られる光像は変わらないので、180°を加算せずに位相角を設計してもよい。
この扇形を、格子点Oを回転中心として仮想的に一周回回転させると、上記実施形態と異なり、半径rの円形が得られる。Γ点発振の場合、円形のフーリエ係数は、上記実施形態にて述べたとおり、数式(12)によって得られる。この数式(12)により算出される(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数がゼロか、若しくはゼロに近い場合に、1次元回折を抑制して上記実施形態と同様の効果を奏することができる。本変形例の異屈折率領域25bの(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の好適な範囲は、上記実施形態と同様である。このようなフーリエ係数を実現する半径rの好適な大きさが、図14に示されている。すなわち、円形状の半径rは、格子間隔aの0.30倍以上0.31倍以下であることが好ましい。Γ点発振の場合、円形状のフーリエ係数は、その半径rが格子間隔aの0.30倍~0.31倍の範囲内の或る値のときにゼロとなる。したがって、この場合、異屈折率領域25bの平面形状のフーリエ係数をゼロに近づけることができ、1次元的な局所発振をより効果的に低減できる。
また、優弧をもつ扇形は円形状に近いので、各異屈折率領域25bの平面形状のフーリエ係数を、円形状のフーリエ係数に精度よく近づけることができる。
なお、本変形例では、第1実施形態と異なり、異屈折率領域25bの空孔の幅が大きくなる。したがって、空孔を上部クラッド層26で覆う際、空孔が上部クラッド層26の材料によって埋め込まれることを防ぐために、空孔の横幅と深さとの比(アスペクト比)を大きくするとよい。その為に、異屈折率領域25bの内側に基本層25aを設け、異屈折率領域25bの外形を維持しつつ空孔を狭くしてもよい。
(第3変形例)
図19、図20及び図21は、第1実施形態における異屈折率領域25bの平面形状の他の例を示す図である。図19に示す例では、異屈折率領域25bの平面形状は、対応する格子点Oを中心とする円形であって径方向に直線状の切り欠きを有する形状である。具体的には、異屈折率領域25bの平面形状は、円弧171と、円弧171の開口部から格子点Oへ向けて延びる矩形の凹状部172とによって画定されている。円弧171は優弧である。言い換えると、円弧171の中心角は180°より大きい。円弧171の中心角は、例えば300°以上360°未満である。円弧171の一端及び他端からそれぞれ延びており凹状部172を形成する一対の線分173及び174は、互いに平行である。
図19に示す例においても、格子点Oを起点とし凹状部172の中心に沿ったベクトルとX軸との成す角度θ(x,y)が定義される。各異屈折率領域25bの重心Gと格子点Oとを結ぶベクトルの角度は、凹状部172の周方向位置を変えることによって任意に設定され得る。この形状を、格子点Oを回転中心として仮想的に一周回回転させると、半径rの円形が得られる。好ましい半径rの大きさは、第2変形例と同様である。
図20に示す例では、異屈折率領域25bの平面形状は、対応する格子点Oがその内側に位置する円形状である。また、図21に示す例では、異屈折率領域25bの平面形状は、対応する格子点Oがその内側に位置する多角形である。これらの形状であっても、格子点Oを回転中心として異屈折率領域25bを仮想的に一周回回転させると、円形C3が好適に得られる。位相変調層25Aには多数の異屈折率領域25bが含まれ、各異屈折率領域25b毎に角度θが個別に設定されているので、位相変調層25Aにおける回折作用を検討するうえで、近似的に各異屈折率領域25bを、この円形C3を有する2次元フォトニック結晶とみなすことができる。故に、異屈折率領域25bがこれらの平面形状を有する場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、これらの場合、異屈折率領域25bの外周において格子点Oから最も遠い点と格子点Oとの距離が、円形C3の半径rに一致する。好ましい半径rの大きさは、第2変形例と同様である。
(第2実施形態)
図22は、本開示の第2実施形態に係る半導体レーザ素子が備えるフォトニック結晶層25Bの平面図である。本実施形態の半導体レーザ素子は、第1実施形態の位相変調層25Aに代えて、フォトニック結晶層25Bを備える。すなわち、本実施形態の半導体レーザ素子は、フォトニック結晶レーザとしての構成を有する。なお、フォトニック結晶層25Bを除く他の半導体レーザ素子の構成は、第1実施形態と同様である。
フォトニック結晶層25Bもまた、第1屈折率媒質からなる基本層25aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなる複数の異屈折率領域25bとを含む。そして、フォトニック結晶層25Bにも、XY平面内における仮想的な正方格子を設定する。正方格子の一辺はX軸と平行であり、他辺はY軸と平行である。複数の異屈折率領域25bは、各単位構成領域R内に例えば1つずつ設けられる。
図23は、一つの単位構成領域Rを拡大して示す図である。図23に示すように、異屈折率領域25bの平面形状は、例えば格子点Oを内外の円の中心とする円環形状である。具体的には、異屈折率領域25bの平面形状は、内周円181及び外周円182によって画定されている。内周円181及び外周円182の各中心は、格子点Oに一致する。
フォトニック結晶層25Bは、Γ点で発振する。すなわち、仮想的な正方格子の格子間隔aと活性層24の発光波長λとがΓ点発振の条件を満たす。Γ点発振の条件は、第1実施形態において述べたとおりである。したがって、この半導体レーザ素子からは、面垂直方向(Z方向)に光Loutが出力される。
フォトニック結晶層25Bにおける1次元的な局所発振を低減するための条件は、第1実施形態と同様である。すなわち、Γ点発振の場合、基本波の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数がゼロに近づくほど、フォトニック結晶層25Bに入射した光の1次元的な180°方向の回折が抑制される。本実施形態の異屈折率領域25bの平面形状は、図23に示したように、格子点Oを内外の円の中心とする円環形状である。この円環形状の内側の円の半径(内径)をr、外側の円の半径(外径)をrとする。フーリエ係数と円の半径との関係は、前述した数式(9)によって表される。また、円環形状のフーリエ係数は、外側の円のフーリエ係数から、内側の円のフーリエ係数を差し引いた値であり、前述した数式(11)によって表される。但し、Rは内径(=r)、Rは外径(=r)である。Γ点発振の場合、基本波の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数は、前述した数式(12)により算出される。
Γ点発振の場合、この数式(12)により算出される(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数がゼロか、若しくはゼロに近い場合に、1次元回折を抑制して第1実施形態と同様の効果を奏することができる。本実施形態の異屈折率領域25bの(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の好適な範囲は、上記実施形態と同様である。
異屈折率領域25bの平面形状が円環形状を有する場合、内側の円のフーリエ係数と外側の円のフーリエ係数とが互いに等しければ、その円環形状のフーリエ係数がゼロとなる。したがって、円環形状のフーリエ係数をゼロにするためには、図14に示すように、或るフーリエ係数Fbに対応する2つの半径のそれぞれを、内径r及び外径rに設定するとよい。この場合、内径rは格子間隔aの0.19倍より小さくなり、外径rは格子間隔aの0.19倍より大きくなる。或いは、或るフーリエ係数Fcに対応する2つの半径のそれぞれを、内径r及び外径rに設定してもよい。この場合、内径rは格子間隔aの0.44倍より小さくなり、外径rは格子間隔aの0.44倍より大きくなる。
上記の説明においては、フーリエ係数をゼロとすることにより1次元的な局所発振を抑制しているが、フーリエ係数が厳密にゼロでなくても、その絶対値を極めて小さい値とすることにより1次元的な局所発振を抑制することが可能である。具体的には、異屈折率領域25bの円環形状の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の絶対値が、0.01以下、または円形状の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の最大ピーク値の20%以下であれば、1次元的な局所発振を効果的に抑制することができる。また、その円環形状を画定する内側の円の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数Fと、外側の円の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数Fとの比(F/F)が0.99以上1.01以下であれば、1次元的な局所発振を効果的に抑制することができる。一実施例では、内径rは格子間隔aの0.085倍であり、外径rは格子間隔aの0.28倍である。別の実施例では、内径rは格子間隔aの0.41倍であり、外径rは格子間隔aの0.47倍である。なお本実施形態では回転対称な孔形状を用いるので、大面積になると垂直方向の回折が抑制される場合がある。しかし、その場合には、端面出射とすることにより、大面積コヒーレント光源として利用することが出来る。
なお、本実施形態においても、波長に応じたスケーリング則によってフォトニック結晶層25Bの構造を決定することが可能である。本実施形態の半導体レーザ素子は、第1実施形態の半導体レーザ素子1Aの製造方法と同様の方法によって製造され得る。
以上に説明した本実施形態の半導体レーザ素子によって得られる効果について説明する。この半導体レーザ素子において、各異屈折率領域25bは、対応する格子点Oを中心とする円環形状を有する。そして、その円環形状の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の絶対値は、0.01以下、または円形状の(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の最大ピーク値の20%以下である。このように、各異屈折率領域25bの(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数が極めて小さい値を有することにより、1次元的な局所発振を低減できる。故に、この半導体レーザ素子によれば、1次元回折によるモードの局在化、及びフラットバンド回折といった現象を抑制できる。したがって、光強度分布を均一に近づけ、単一モードにて出力可能な領域の大面積化が可能となるので、出射される光像を高解像度化および高画質化することが出来る。
(第4変形例)
図24は、第2実施形態における異屈折率領域25bの平面形状の他の例を示す図である。図24に示す例では、異屈折率領域25bの平面形状は、対応する格子点Oを中心とする半径rの円形である。Γ点発振の場合、円形のフーリエ係数は、前述したとおり、数式(12)によって得られる。この数式(12)により算出される(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数がゼロか、若しくはゼロに近い場合に、1次元回折を抑制して第2実施形態と同様の効果を奏することができる。本変形例の異屈折率領域25bの(±2,0)次及び(0,±2)次のフーリエ係数の好適な範囲は、第2実施形態と同様である。このようなフーリエ係数を実現する半径rの好適な大きさが、図14に示されている。すなわち、円形状の半径rは、格子間隔aの0.30倍以上0.31倍以下であることが好ましい。Γ点発振の場合、円形状のフーリエ係数は、その半径rが格子間隔aの0.30倍~0.31倍の範囲内の或る値のときにゼロとなる。したがって、この場合、異屈折率領域25bの平面形状のフーリエ係数をゼロに近づけることができ、1次元的な局所発振をより効果的に低減できる。
(第5変形例)
上記各実施形態では位相変調層25A及びフォトニック結晶層25BがΓ点発振する場合を例示したが、位相変調層25A及びフォトニック結晶層25BはM点発振してもよい。この場合、仮想的な正方格子の格子間隔aと活性層24の発光波長λとがM点発振の条件を満たす。すなわち、仮想的な正方格子の格子間隔a、活性層24の発光波長λ、及びモードの等価屈折率nがλ=(√2)n×aといった条件を満たす。
図25は、M点で発振するフォトニック結晶層25Bに関する逆格子空間を示す平面図である。この図もまた、複数の異屈折率領域が正方格子の格子点上に位置する場合を示し、図中の点Pは逆格子点を表す。また、図中の矢印B1は図8と同様の基本逆格子ベクトルを表し、矢印K6,K7,K8,及びK9は4つの面内波数ベクトルを表す。ここで、逆格子空間において互いに直交するΓ-M1軸及びΓ-M2軸を定義する。Γ-M1軸は正方格子の一方の対角方向と平行であり、Γ-M2軸は正方格子の他方の対角方向と平行である。面内波数ベクトルとは、波数ベクトルをΓ-M1・Γ-M2平面内に投影したベクトルである。すなわち、面内波数ベクトルK6はΓ-M1軸正方向を向き、面内波数ベクトルK7はΓ-M2軸正方向を向き、面内波数ベクトルK8はΓ-M1軸負方向を向き、面内波数ベクトルK9はΓ-M2軸負方向を向く。図25から明らかなように、M点で発振するフォトニック結晶層25Bにおいては、面内波数ベクトルK6~K9の大きさ(すなわち面内方向の定在波の大きさ)は、基本逆格子ベクトルB1の大きさよりも小さい。なお、面内波数ベクトルK6~K9の大きさをkとすると、下記の数式(13)の関係が成り立つ。
Figure 0007422045000013

回折は波数ベクトルK6~K9に逆格子ベクトルG(=2mπ/a、mは整数)のベクトル和の方向に生じるが、M点で発振するフォトニック結晶層25Bの場合、回折によって面内方向の波数が0となり得ず、面垂直方向(Z方向)への回折は生じない。従って、レーザ光はZ方向には出力されず、XY平面に沿った方向にのみ出力される。すなわち、本変形例によれば、フォトニック結晶層25Bを備える端面出射型の半導体レーザ素子が得られる。
図26は、M点で発振する位相変調層25Aに関する逆格子空間を示す平面図である。基本逆格子ベクトルB1はM点発振のフォトニック結晶層25Bと同様であるが、面内波数ベクトルK6~K9は、角度分布θ(x,y)による波数拡がりSPをそれぞれ有する。波数拡がりSPの形状及び大きさは、Γ点発振の場合と同様である。異屈折率領域25bが周期的に配置されたフォトニック結晶層25Bに限らず、図2に示した略周期構造を有する位相変調層25Aにおいても、M点発振の場合には面内波数ベクトルK6~K9の大きさ(すなわち面内方向の定在波の大きさ)は基本逆格子ベクトルB1の大きさよりも小さい。このとき、回折によって面内方向の波数が0となり得ず、面垂直方向(Z方向)への回折は生じない。従って、面垂直方向(Z方向)への0次光、並びにZ方向に対して傾斜した方向への1次光及び-1次光の双方が出力されず、0次光、1次光及び-1次光はXY平面に沿った方向にのみ出力される。すなわち、本変形例によれば、位相変調層25Aを備える端面出射型の半導体レーザ素子が得られる。
本変形例のようなM点発振の場合、基本波の(±1,±1)次のフーリエ係数がゼロに近づくほど、位相変調層25A及びフォトニック結晶層25Bに入射した光の1次元的な180°方向の回折が抑制される。位相変調層25A及びフォトニック結晶層25BをM点発振させる場合、基本波の波数がk=2πn/λ=2π/(√2)aとなるように、格子間隔aが定められる。したがって、数式(9)に示される円のフーリエ係数は、M点発振の場合、1次元回折に寄与する次数(±1、±1)次に対して、ρ=√2となるので、下記の数式(14)となる。但し、rは円の半径である。なお半径rは格子間隔aで規格化した値である。
Figure 0007422045000014

なお、(±1,±1)次のフーリエ係数がゼロに近づくとは、(+1,+1)次、(+1,-1)次、(-1,+1)次、及び(-1,-1)次の4つのフーリエ係数がゼロに近づくことを意味する。
図27は、数式(14)の関係をグラフ化したものである。図27において、縦軸はフーリエ係数を表し、横軸は円の半径の格子間隔aに対する倍率を表す。同図に示すように、M点発振における(±1,±1)次のフーリエ係数は、円の半径が格子間隔aの0.27倍であるときに極大値(0.10)となる。そして、フーリエ係数は、極大値の前後においてほぼ同様の傾きをもって増大及び減少する。異屈折率領域25bの平面形状が円環形状若しくは近似的な円環形状を有する場合、内側の円のフーリエ係数と外側の円のフーリエ係数とが互いに等しければ、その円環形状のフーリエ係数がゼロとなる。したがって、円環形状のフーリエ係数をゼロにするためには、図27に示すように、或るフーリエ係数Faに対応する2つの半径のそれぞれを、内側の円の半径r及び外側の円の半径rに設定するとよい。この場合、内側の円の半径rは格子間隔aの0.27倍より小さくなり、外側の円の半径rは格子間隔aの0.27倍より大きくなる。
上記の説明においては、フーリエ係数をゼロとすることにより1次元的な局所発振を抑制しているが、フーリエ係数が厳密にゼロでなくても、その絶対値を極めて小さい値とすることにより1次元的な局所発振を抑制することが可能である。具体的には、異屈折率領域25bが有する円環形状、または異屈折率領域25bを格子点Oを中心として仮想的に回転して得られる円環形状の(±1,±1)次のフーリエ係数の絶対値が、0.01以下、または円形状の(±1,±1)次のフーリエ係数の最大ピーク値(図27の例では0.10)の10%以下であれば、1次元的な局所発振を効果的に抑制することができる。また、それらの円環形状を画定する内側の円の(±1,±1)次のフーリエ係数Fと、外側の円の(±1,±1)次のフーリエ係数Fとの比(F/F)が0.99以上1.01以下であれば、1次元的な局所発振を効果的に抑制することができる。一実施例では、半径rは格子間隔aの0.195倍であり、半径rは格子間隔aの0.34倍である。
図28は、一実施例として、基本層25aとしてのGaAs層にドライエッチングを施すことによって形成された、格子間隔a=200nmのC字形状の異屈折率領域25bを示す拡大写真である。図28の(a)部は複数の異屈折率領域25bを示し、図28の(b)部は(a)部の一部を更に拡大して示す。異屈折率領域25bの内側円の直径は42nmであり、半径rは格子間隔aの0.105倍である。外側円の直径は160nmであり、半径rは格子間隔aの0.40倍である。このとき、図29に示すように、半径rの円の(±1,±1)次のフーリエ係数と半径rの円の(±1,±1)次のフーリエ係数とが互いに等しくなるので互いに打ち消し合い、このC字形状を回転して得られる円環の(±1,±1)次のフーリエ係数はほぼゼロとなる。故に、1次元的な局所発振を効果的に抑制することができる。
本変形例では、フォトニック結晶層25Bの各異屈折率領域25bが有する円環形状、及び、位相変調層25Aの各異屈折率領域25bを格子点Oを回転中心として仮想的に一周回回転させて得られる円環形状の(±1,±1)次のフーリエ係数の絶対値が、0.01以下、または円形状の(±1,±1)次のフーリエ係数の最大ピーク値の10%以下である。このように、円環形状の(±1,±1)次のフーリエ係数が極めて小さい値を有することによしり、1次元的な局所発振を低減できる。故に、本変形例によれば、1次元回折によるモードの局在化、及びフラットバンド回折といった現象を抑制できる。したがって、2次元的な回折により光強度分布を均一に近づけ、単一モードにて出力される光像を大面積化することができる。
前述したように、フォトニック結晶層25Bの各異屈折率領域25bが有する円環形状、及び、位相変調層25Aの各異屈折率領域25bを格子点Oを回転中心として仮想的に一周回回転させて得られる円環形状の(±1,±1)次のフーリエ係数はゼロであってもよい。この場合、上記の効果をより顕著に奏することができる。
前述したように、上記の円環形状を画定する内側の円の(±1,±1)次のフーリエ係数Fと、上記の円環形状を画定する外側の円の(±1,±1)次のフーリエ係数Fとの比(F/F)は、0.99以上1.01以下であってもよい。このように外側の円のフーリエ係数と内側の円のフーリエ係数とが互いに近い値であることによって、円環形状のフーリエ係数をゼロに近づけることができるので、1次元的な局所発振をより効果的に低減できる。
前述したように、上記の円環形状を画定する内側の円の(±1,±1)次のフーリエ係数Fと、上記の円環形状を画定する外側の円の(±1,±1)次のフーリエ係数Fとは、互いに等しくてもよい。この場合、上記の円環形状のフーリエ係数が十分に小さくなるので、上記の効果を奏することができる。
前述したように、上記の円環形状の内側の円の半径rは格子間隔aの0.27倍より小さく、外側の円の半径rは格子間隔aの0.27倍より大きくてもよい。図27に示したように、M点発振構造において、円形状のフーリエ係数は、その半径が格子間隔aの0.27倍であるときに極値をとる。したがって、内側の円の半径rが格子間隔aの0.27倍より小さく、外側の円の半径rが格子間隔aの0.27倍より大きいことにより、内側の円のフーリエ係数と外側の円のフーリエ係数とを互いに近づけることが容易にできる。
なお、本変形例においても、位相変調層25Aの各異屈折率領域25bの平面形状は、対応する格子点Oを内外の円弧の中心とするC字形状であってもよく、対応する格子点Oがその外側に位置する円形状または多角形であってもよい。これらの場合、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第6変形例)
第5変形例では、フォトニック結晶層25Bの各異屈折率領域25bが円環形状を有し、位相変調層25Aの各異屈折率領域25bを格子点Oを回転中心として仮想的に一周回回転させると円環形状が得られる場合について示した。この形態に限られず、フォトニック結晶層25Bの各異屈折率領域25bは円形状(図24を参照)を有してもよく、位相変調層25Aの各異屈折率領域25bを格子点Oを回転中心として仮想的に一周回回転させると円形状が得られてもよい。この場合、位相変調層25Aの各異屈折率領域25bは、例えば、格子点Oを円弧の中心とする扇形(図18)、格子点Oがその内側に位置する円形状(図20)、または、格子点Oがその内側に位置する多角形(図21)であってよい。
M点発振の場合、円形のフーリエ係数は、第5変形例にて述べたとおり、数式(14)によって得られる。この数式(14)により算出される(±1,±1)次のフーリエ係数がゼロか、若しくはゼロに近い場合に、1次元回折を抑制して上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。本変形例における(±1,±1)次のフーリエ係数の好適な範囲は、第5変形例と同様である。このようなフーリエ係数を実現する半径rの好適な大きさが、図27に示されている。すなわち、円形状の半径rは、格子間隔aの0.43倍以上0.44倍以下であることが好ましい。M点発振の場合、円形状のフーリエ係数は、その半径rが格子間隔aの0.43倍~0.44倍の範囲内の或る値のときにゼロとなる。したがって、この場合、異屈折率領域25bの平面形状のフーリエ係数をゼロに近づけることができ、1次元的な局所発振をより効果的に低減できる。
(第7変形例)
上述した第5変形例及び第6変形例では位相変調層25AをM点発振させる場合を例示したが、その場合、角度分布θ(x,y)が、XY平面と交差する方向、すなわちZ方向またはZ方向に対して傾斜する方向に光Loutが出力されるための条件を満たしてもよい。図26に示したように、位相変調層25Aにおいて逆格子空間を考えるとき、角度分布θ(x,y)による位相変調を受け、出力ビームパターンの角度広がりに対応した波数拡がりSPをそれぞれ含む定在波を形成する4方向の面内波数ベクトルK6~K9が形成される。XY平面と交差する方向に光Loutが出力される条件とは、例えば、4方向の面内波数ベクトルK6~K9のうち少なくとも1つの大きさが、2π/λ(ライトライン)よりも小さいことである。以下、この点に関して詳細に説明する。
本変形例においては、M点で発振する略周期構造において次のような工夫を位相変調層25Aに施すことにより、0次光を出力しないまま、1次光及び-1次光の一部を出力する。具体的には、図30に示すように、面内波数ベクトルK6~K9に対して或る一定の大きさ及び向きを有する回折ベクトルVを加えることにより、面内波数ベクトルK6~K9のうち少なくとも1つ(図では面内波数ベクトルK8)の大きさを、2π/λよりも小さくする。言い換えると、回折ベクトルVが加えられた後の面内波数ベクトルK6~K9のうち少なくとも1つ(面内波数ベクトルK8)は、半径2π/λの円状領域(ライトライン)LL内に収まる。図30において破線で示される面内波数ベクトルK6~K9は回折ベクトルVの加算前を表し、実線で示される面内波数ベクトルK6~K9は回折ベクトルVの加算後を表す。ライトラインLLは全反射条件に対応しており、ライトラインLL内に収まる大きさの波数ベクトルは面垂直方向(Z方向)の成分を有することとなる。一例では、回折ベクトルVの方向はΓ-M1軸またはΓ-M2軸に沿っており、その大きさは2π/(√2)a-2π/λから2π/(√2)a+2π/λの範囲内となり、一例として、2π/(√2)aとなる。
面内波数ベクトルK6~K9のうち少なくとも1つをライトラインLL内に収めるための回折ベクトルVの大きさ及び向きについて検討する。下記の数式(15)~(18)は、回折ベクトルVが加えられる前の面内波数ベクトルK6~K9を示す。
Figure 0007422045000015

Figure 0007422045000016

Figure 0007422045000017

Figure 0007422045000018

なお、波数ベクトルの広がりΔkx及びΔkyは、下記の数式(19)及び(20)をそれぞれ満たす。面内波数ベクトルのX方向の広がりの最大値Δkxmax及びY方向の広がりの最大値Δkymaxは、設計の出力ビームパターンの角度広がりにより規定される。
Figure 0007422045000019

Figure 0007422045000020

ここで、回折ベクトルVを下記の数式(21)のように表したとき、回折ベクトルVが加えられた後の面内波数ベクトルK6~K9は下記の数式(22)~(25)となる。
Figure 0007422045000021

Figure 0007422045000022

Figure 0007422045000023

Figure 0007422045000024

Figure 0007422045000025

数式(22)~(25)において波数ベクトルK6~K9のいずれかがライトラインLL内に収まることを考慮すると、下記の数式(26)の関係が成り立つ。
Figure 0007422045000026

すなわち、数式(26)を満たす回折ベクトルVを加えることにより、波数ベクトルK6~K9のいずれかがライトラインLL内に収まり、1次光及び-1次光の一部が出力される。
なお、ライトラインLLの大きさ(半径)を2π/λとしたのは次の理由による。図31は、ライトラインLLの周辺構造を模式的に説明するための図であって、Z方向と垂直な方向から見たデバイスと空気との境界を示している。真空中の光の波数ベクトルの大きさは2π/λとなるが、図31のようにデバイス媒質中を光が伝搬するとき、屈折率nの媒質内の波数ベクトルKaの大きさは2πn/λとなる。このとき、デバイスと空気の境界を光が伝搬するためには、境界に平行な波数成分が連続している必要がある(波数保存則)。図31で波数ベクトルKaとZ軸とが角度αをなす場合、面内に投影した波数ベクトル(すなわち面内波数ベクトル)Kbの長さは(2πn/λ)sinαとなる。一方で、一般に媒質の屈折率n>1の関係から、媒質内の面内波数ベクトルKbが2π/λより大きくなる角度では波数保存則が成立しなくなる。このとき、光は全反射し、空気側に取り出すことが出来ない。この全反射条件に対応する波数ベクトルの大きさがライトラインLLの大きさとなり、2π/λとなる。
面内波数ベクトルK6~K9に回折ベクトルVを加える具体的な方式の一例として、出力ビームパターンに応じた位相分布である角度分布θ1(x,y)に対し、出力ビームパターンとは無関係の角度分布θ2(x,y)を重畳する方式が考えられる。この場合、位相変調層25Aの角度分布θ(x,y)は、
θ(x,y)=θ1(x,y)+θ2(x,y)
として表される。θ1(x,y)は、前に述べたように出力ビームパターンをフーリエ変換したときの複素振幅の位相に相当する。また、θ2(x,y)は、上記の数式(26)を満たす回折ベクトルVを加えるための角度分布である。図32は、角度分布θ2(x,y)の一例を概念的に示す図である。図32に示されるように、この例では、第1の位相値φAと、第1の位相値φAとは異なる値の第2の位相値φBとが市松模様に配列されている。一実施例では、位相値φAは0(rad)であり、位相値φBはπ(rad)である。すなわち、第1の位相値φAと、第2の位相値φBとがπずつ変化する。このような位相値に対応する角度分布θ2(x,y)によって、Γ-M1軸またはΓ-M2軸に沿う回折ベクトルVを好適に実現することができる。前述の通り市松模様に配列した場合にはV=(±π/a,±π/a)のように図26の波数ベクトルK6~K9と丁度相殺する。なお、回折ベクトルVの角度分布θ2(x,y)は、回折ベクトルV(Vx,Vy)と位置ベクトルr(x,y)との内積で表され、次式で与えられる。
θ2(x,y)=V・r=Vxx+Vyy
前述したように、通常、M点発振の定在波状態において光回折層内を伝搬する光は全反射するので、XY平面と交差する方向への光出力は抑制される。しかしながら、本変形例の位相変調層25Aでは、複数の異屈折率領域25bの各重心Gが、仮想的な正方格子の対応する格子点Oから離れて配置されるとともに、対応する格子点Oと重心Gとを結ぶベクトルの角度θが各異屈折率領域25b毎に個別に設定され、その角度θの分布は、XY平面と交差する方向に光Loutが出力されるための条件を満たす。このような構造によれば、レーザ光Loutを、XY平面と交差する方向に出力することができる。
また、本変形例のように、M点発振の条件とは、位相変調層25Aの逆格子空間上において、角度θの分布による波数拡がりをそれぞれ含む4方向の面内波数ベクトルK6~K9のうち少なくとも1つの大きさが、2π/λ(ライトライン)よりも小さいことであってもよい。少なくとも1つの面内波数ベクトルの大きさが2π/λ(ライトライン)よりも小さい場合、その面内波数ベクトルはZ方向の成分を有するとともに、空気との界面で全反射を生じないので、レーザ光の一部がXY平面と交差する方向に出力され得る。
なお、本変形例の位相変調層25Aからは、1次光及び-1次光だけでなく、2次以上の高次光が出射される場合がある。そのような場合には、1次光及び-1次光の出射方向を面垂直方向(Z方向)に対して傾斜させることにより、高次光の出射方向を1次光及び-1次光と異ならせることができ、1次光及び-1次光と高次光との分離を容易にできる。また、高次光の出射方向とZ方向との成す角を全反射角以上とすることにより、高次光を出力させないことも可能である。
(第8変形例)
上述した第7変形例において、角度θの分布に基づく波数広がりが、波数空間上の或る点を中心とする半径Δkの円に含まれる場合、次のように簡略に考えることもできる。すなわち、上述した第7変形例では、4方向の面内波数ベクトルK6~K9に回折ベクトルVを加えることにより、4方向の面内波数ベクトルK6~K9のうち少なくとも1つの大きさを2π/λ(ライトラインLL)よりも小さくする。これは、4方向の面内波数ベクトルK6~K9から波数拡がりΔkを除いたもの(すなわちM点発振の正方格子PCSELにおける4方向の面内波数ベクトル、図25を参照)に対して回折ベクトルVを加えることにより、4方向の面内波数ベクトルK6~K9のうち少なくとも1つの大きさを、2π/λから波数拡がりΔkを差し引いた値{(2π/λ)-Δk}より小さくすることと同義である。
図33は、上記の操作を概念的に示す図である。同図に示されるように、波数拡がりΔkを除いた面内波数ベクトルK6~K9に対して回折ベクトルVを加えることにより、面内波数ベクトルK6~K9のうち少なくとも1つの大きさを{(2π/λ)-Δk}よりも小さくする。図中において、領域LL2は半径が{(2π/λ)-Δk}の円状の領域である。なお、図33において破線で示される面内波数ベクトルK6~K9は回折ベクトルVの加算前を表し、実線で示される面内波数ベクトルK6~K9は回折ベクトルVの加算後を表す。領域LL2は全反射条件に対応しており、領域LL2内に収まる大きさの波数ベクトルは面垂直方向(Z方向)にも伝搬することとなる。
本変形例において、面内波数ベクトルK6~K9のうち少なくとも1つを領域LL2内に収めるための回折ベクトルVの大きさ及び向きを説明する。下記の数式(27)~(30)は、回折ベクトルVが加えられる前の面内波数ベクトルK6~K9を示す。
Figure 0007422045000027

Figure 0007422045000028

Figure 0007422045000029

Figure 0007422045000030

ここで、回折ベクトルVを前述した数式(21)のように表したとき、回折ベクトルVが加えられた後の面内波数ベクトルK6~K9は下記の数式(31)~(34)となる。
Figure 0007422045000031

Figure 0007422045000032

Figure 0007422045000033

Figure 0007422045000034

数式(31)~(34)において面内波数ベクトルK6~K9のいずれかが領域LL2内に収まることを考慮すると、下記の数式(35)の関係が成り立つ。
Figure 0007422045000035

すなわち、数式(35)を満たす回折ベクトルVを加えることにより、波数拡がりΔkを除いた面内波数ベクトルK6~K9のいずれかが領域LL2内に収まる。このような場合であっても、0次光を出力しないまま、1次光及び-1次光の一部を出力することができる。
本開示による半導体レーザ素子は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態ではGaAs系、InP系、及び窒化物系(特にGaN系)の化合物半導体からなる半導体レーザ素子を例示したが、本開示は、これら以外の様々な半導体材料からなる半導体レーザ素子に適用できる。
1A…半導体レーザ素子、10…基板、11…主面、12…裏面、21…半導体積層部、23…下部クラッド層、24…活性層、25A…位相変調層、25a…基本層、25b…異屈折率領域、25B…フォトニック結晶層、26…上部クラッド層、27…コンタクト層、28,29…電極、31…反射防止膜、32…保護膜、151,152,161,171…円弧、153,154,162,163,173,174…線分、172…凹状部、181…内周円、182…外周円、B1…基本逆格子ベクトル、FR…画像領域、G…重心、K1~K4,K6~K9…面内波数ベクトル、Ka,Kb…波数ベクトル、LL…ライトライン、LL2…領域、LM…ビームパターン、Lout…レーザ光、O…格子点、Q…中心、R…単位構成領域、RIN…内側領域、ROUT…外側領域、SP…波数拡がり、V…回折ベクトル。

Claims (23)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた発光層及び位相変調層と、
    を備え、
    前記位相変調層は、基本層と、前記基本層とは屈折率が異なり前記位相変調層の厚さ方向と垂直な面内において二次元状に分布する複数の異屈折率領域とを含み、
    前記面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、各異屈折率領域の重心が、対応する格子点から離れて配置されるとともに、前記対応する格子点と前記重心とを結ぶベクトルの角度が各異屈折率領域毎に個別に設定され、
    前記仮想的な正方格子の格子間隔aと前記発光層の発光波長λとがΓ点発振の条件を満たし、
    各異屈折率領域を、前記対応する格子点を回転中心として仮想的に一周回回転させると円環形状または円形状が得られ、
    前記円環形状または前記円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±2,0)及び(0,±2))の絶対値は、0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の20%以下である、半導体レーザ素子。
  2. 基板と、
    前記基板上に設けられた発光層及びフォトニック結晶層と、
    を備え、
    前記フォトニック結晶層は、基本層と、前記基本層とは屈折率が異なり前記フォトニック結晶層の厚さ方向と垂直な面内において二次元状に分布する複数の異屈折率領域とを含み、
    前記面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、各異屈折率領域の重心が、各異屈折率領域に対応する格子点と一致し、
    前記仮想的な正方格子の格子間隔aと前記発光層の発光波長λとがΓ点発振の条件を満たし、
    各異屈折率領域は、前記対応する格子点を中心とする円環形状または円形状を有し、
    前記円環形状または前記円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±2,0)及び(0,±2))の絶対値は、0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の20%以下である、半導体レーザ素子。
  3. 前記円環形状または前記円形状の(m,n)次のフーリエ係数がゼロである、請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記円環形状を画定する内側の円の(m,n)次のフーリエ係数Fと、前記円環形状を画定する外側の円の(m,n)次のフーリエ係数Fとの比(F/F)が0.99以上1.01以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記フーリエ係数Fと前記フーリエ係数Fとが互いに等しい、請求項4に記載の半導体レーザ素子。
  6. 前記内側の円の半径は格子間隔aの0.19倍より小さく、前記外側の円の半径は格子間隔aの0.19倍より大きい、請求項4または5に記載の半導体レーザ素子。
  7. 前記内側の円の半径は格子間隔aの0.44倍より小さく、前記外側の円の半径は格子間隔aの0.44倍より大きい、請求項4または5に記載の半導体レーザ素子。
  8. 前記円形状の半径は格子間隔aの0.30倍以上0.31倍以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
  9. 基板と、
    前記基板上に設けられた発光層及び位相変調層と、
    を備え、
    前記位相変調層は、基本層と、前記基本層とは屈折率が異なり前記位相変調層の厚さ方向と垂直な面内において二次元状に分布する複数の異屈折率領域とを含み、
    前記面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、各異屈折率領域の重心が、対応する格子点から離れて配置されるとともに、前記対応する格子点と前記重心とを結ぶベクトルの角度が各異屈折率領域毎に個別に設定され、
    前記仮想的な正方格子の格子間隔aと前記発光層の発光波長λとがM点発振の条件を満たし、
    各異屈折率領域を、前記対応する格子点を回転中心として仮想的に一周回回転させると円環形状または円形状が得られ、
    前記円環形状または前記円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±1,±1))の絶対値は0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の10%以下である、半導体レーザ素子。
  10. 前記角度の分布は、前記位相変調層の厚さ方向に垂直な面と交差する方向に光が出力されるための条件を満たす、請求項9に記載の半導体レーザ素子。
  11. 前記条件は、前記位相変調層の逆格子空間上において、前記角度の分布による波数拡がりをそれぞれ含む4方向の面内波数ベクトルのうち少なくとも1つの大きさが2π/λよりも小さいことである、請求項10に記載の半導体レーザ素子。
  12. 基板と、
    前記基板上に設けられた発光層及びフォトニック結晶層と、
    を備え、
    前記フォトニック結晶層は、基本層と、前記基本層とは屈折率が異なり前記フォトニック結晶層の厚さ方向と垂直な面内において二次元状に分布する複数の異屈折率領域とを含み、
    前記面内において仮想的な正方格子を設定した場合に、各異屈折率領域の重心が、各異屈折率領域に対応する格子点と一致し、
    前記仮想的な正方格子の格子間隔aと前記発光層の発光波長λとがM点発振の条件を満たし、
    各異屈折率領域は、前記対応する格子点を中心とする円環形状または円形状を有し、
    前記円環形状または前記円形状の(m,n)次のフーリエ係数(但し(m,n)=(±1,±1))の絶対値は0.01以下、または円形状の(m,n)次のフーリエ係数の最大ピーク値の10%以下である、半導体レーザ素子。
  13. 前記円環形状または前記円形状の(m,n)次のフーリエ係数がゼロである、請求項9~12のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
  14. 前記円環形状を画定する内側の円の(m,n)次のフーリエ係数Fと、前記円環形状を画定する外側の円の(m,n)次のフーリエ係数Fとの比(F/F)が0.99以上1.01以下である、請求項9~13のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
  15. 前記フーリエ係数Fと前記フーリエ係数Fとが互いに等しい、請求項14に記載の半導体レーザ素子。
  16. 前記内側の円の半径は格子間隔aの0.27倍より小さく、前記外側の円の半径は格子間隔aの0.27倍より大きい、請求項14または15に記載の半導体レーザ素子。
  17. 前記円形状の半径は格子間隔aの0.43倍以上0.44倍以下である、請求項9~13のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
  18. 各異屈折率領域の平面形状は、前記対応する格子点を内外の円弧の中心とするC字形状である、請求項1または9に記載の半導体レーザ素子。
  19. 各異屈折率領域の平面形状は、前記対応する格子点がその外側に位置する円形状である、請求項1または9に記載の半導体レーザ素子。
  20. 各異屈折率領域の平面形状は、前記対応する格子点がその外側に位置する多角形である、請求項1または9に記載の半導体レーザ素子。
  21. 各異屈折率領域の平面形状が、前記対応する格子点を円弧の中心とする扇形であり、前記円弧は優弧である、請求項1または9に記載の半導体レーザ素子。
  22. 各異屈折率領域の平面形状は、前記対応する格子点がその内側に位置する円形状である、請求項1または9に記載の半導体レーザ素子。
  23. 各異屈折率領域の平面形状は、前記対応する格子点がその内側に位置する多角形である、請求項1または9に記載の半導体レーザ素子。
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