JP7421965B2 - 端曲げ用ダイ金型及び端曲げ用金型セット - Google Patents

端曲げ用ダイ金型及び端曲げ用金型セット Download PDF

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Description

本発明は、板金の端曲げを行う際に用いられる端曲げ用ダイ金型及び端曲げ用金型セットに関する。
例えばシンク等、曲げ成形部を有した板金製品を製作する際には、板金部材の曲げ成形部と、他の板金部材の曲げ成形部を溶接等によって接合する。曲げ成形部を有した板金部材は、板金の端曲げ(板金の端部側のR曲げ)によって製作される。板金の端曲げを行う際には、端曲げ用ダイ金型と端曲げ用パンチ金型とからなる端曲げ用金型セットが用いられる。そして、端曲げ用パンチ金型と端曲げ用ダイ金型の構成等について簡単に説明すると、次の通りである。
端曲げ用ダイ金型は、プレスブレーキの下部テーブルの上端部にダイホルダを介して着脱可能なダイボディを備える。ダイボディの上部には、板金の端曲げを行うための凹曲面状のダイ成形面が形成されている。ダイボディのダイ成形面の前縁部及び後縁部には、肩R部がそれぞれ形成されており、両方の肩R部は、同じ高さ位置に位置している。
端曲げ用パンチ金型は、パンチボディと、パンチボディの上部に形成されかつプレスブレーキの上部テーブルの下端部にパンチホルダを介して着脱可能なシャンクと、を備える。パンチボディの下部(先端部)には、板金の端曲げを行うための凸曲面状のパンチ成形面が形成されており、パンチ成形面は、ダイボディのダイ成形面に対応した形状に形成されている。
従って、板金の下面がダイボディの両方の肩R部に接触するように、端曲げ用ダイ金型に板金を水平な状態でセットする。そして、上部テーブルを下部テーブルに対して相対的に下降させることにより、板金の下面がダイボディの両方の肩R部に支持された状態で、パンチボディのパンチ成形面とダイボディのダイ成形面が板金を挟み込みながら加圧する。これにより、板金の端曲げを行って、板金に曲げ成形部を形成することができる。換言すれば、板金から曲げ成形部を有した板金部材を製作することができる。
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1に示すものがある。
特開2005-349457号公報
ところで、板金の端曲げ加工を行う際に、ダイボディの後側の肩R部(後縁部側)において板金への加圧力が十分でなく、板金部材の曲げ成形部の先端面側に平面状のストレート部が残存する。そのため、板金部材の曲げ成形部のストレート部の長さ(曲げ成形部の先端面からの長さ)が長くなると、板金部材の曲げ成形部と他の板金部材の曲げ成形部を接合してなる板金製品の形状精度(外観品質)が低下するという問題がある。
なお、前述の問題は、板金部材の曲げ成形部が他の板金部材の曲げ成形部と接合されることなく、板金部材自体が板金製品として成立する場合においても、同様に生じる。
そこで、本発明は、前述の問題を解決するため、板金の端曲げを行う際に、ダイボディの成形面の後縁部側において板金への加圧力を十分に確保できる、端曲げ用ダイ金型及び端曲げ用金型セットを提供することを目的とする。
第1実施態様に係る端曲げ用ダイ金型は、上部に板金の端曲げを行うための凹曲面状のダイ成形面が形成されたダイボディと、前記ダイボディの背面に設けられ、板金の端曲げを行う際に発生するスラスト荷重を受けるスラスト受け部材と、を備え、前記ダイボディの前記ダイ成形面の前縁部に肩R部が形成され、前記ダイボディの前記ダイ成形面の後縁部は、前記前縁部よりも低くかつ前記スラスト受け部材の正面に近接又は接触すると共にエッジ部が形成されており、前記エッジ部が前記スラスト受け部材の正面に近接している。また、第1実施態様の別の態様に係る端曲げ用ダイ金型は、上部に板金の端曲げを行うための凹曲面状のダイ成形面が形成されたダイボディと、前記ダイボディの背面に設けられ、板金の端曲げを行う際に発生するスラスト荷重を受けるスラスト受け部材と、を備え、前記ダイボディの前記ダイ成形面は、前縁部に肩R部が形成され、後縁部は前記前縁部よりも低くかつ前記スラスト受け部材の正面に近接又は接触しており、前記ダイ成形面に板金の一部の段曲げを行うための段差部が形成されている。
第1実施態様及び第1実施態様の別の態様においては、前記ダイボディの正面に設けられ、水平方向に対して傾斜した板金の裏面を支持するサポート部材を備えてもよい
第1実施態様によると、板金の下面が前記ダイボディの前記肩R部及び前記ダイ成形面の後縁部に接触しかつ板金の上縁部が前記スラスト受け部材の正面に接触するように、前記端曲げ用ダイ金型に板金を水平方向に対して傾斜させた状態でセットする。このとき、板金の下面が前記ダイボディの前記ダイ成形面の後縁部に接触する代わりに、板金の下縁部が前記ダイボディの前記ダイ成形面の後縁部の手前側に接触してもよい。そして、板金の下面が前記ダイボディの前記肩R部及び前記ダイ成形面の後縁部に支持された状態で、前記パンチボディの前記パンチ成形面と前記ダイボディの前記ダイ成形面が板金を挟み込みながら加圧する。これにより、板金の端曲げを行って、板金に曲げ成形部を形成することができる。
要するに、第1実施態様によると、前述のように、前記ダイボディの前記ダイ成形面の前縁部に前記肩R部が形成され、前記ダイボディの前記ダイ成形面の後縁部が前縁部よりも低くかつ前記スラスト受け部材の正面に近接又は接触している。そのため、板金を水平方向に対して傾斜させた状態で、板金の端曲げを行うことができ、前記ダイボディの前記成形面の後縁部側において板金への加圧力を十分に確保することができる。
第2実施態様に係る端曲げ用金型セットは、第1実施態様又は第1実施態様の別の態様に記載の端曲げ用ダイ金型と、端曲げ用パンチ金型とからなる。前記端曲げ用パンチ金型は、下部に板金の端曲げを行うための凸曲面状のパンチ成形面が形成され、前記スラスト受け部材の正面に摺接可能なパンチボディを備える。そして、前記パンチボディの前記パンチ成形面が前記ダイボディの前記ダイ成形面に対応する形状に形成されている。
第2実施態様の別の態様に係る端曲げ用金型セットは、第1実施態様又は第1実施態様の別の態様の端曲げ用ダイ金型と、端曲げ用パンチ金型とからなり、前記端曲げ用パンチ金型は、下部に板金の端曲げを行うための凸曲面状のパンチ成形面が形成され、前記スラスト受け部材の正面に摺接可能なパンチボディを備え、前記パンチボディの前記パンチ成形面が前記ダイボディの前記ダイ成形面に対応する形状に形成されており、前記ダイボディの前記ダイ成形面に板金の一部の段曲げを行うための段差部が形成されていてもよい。この場合に、前記端曲げ用パンチ金型は、前記パンチボディの背面に設けられ、前記スラスト受け部材の背面に摺接可能であって、板金の一部の段曲げを行う際に発生するスラスト荷重を前記スラスト受け部材に伝達するスラスト伝達部材を備える。
第2実施態様によると、第1実施態様による作用と同様の作用を奏する。
本発明によれば、板金部材の曲げ成形部における平面状のストレート部の長さを極力短くして、板金製品の形状精度を向上させることができる。
図1Aは、第1実施形態に係る端曲げ用金型セットの周辺の側面図であり、第1実施形態に係る端曲げ用ダイ金型に板金を水平方向に対して傾斜させた状態でセットした様子を示している。 図1Bは、第1実施形態に係る端曲げ用金型セットの周辺の側面図であり、板金の端曲げを行う様子を示している。 図2(a)は、端部側に曲げ成形部を有した板金部材を示す図であり、図2(b)は、曲げ成形部Fを有した板金製品の部分断面図である。 図3は、図1AにおけるIII部の拡大図である。 図4(a)は、図3におけるIV部の拡大図であり、図4(b)は、第1実施形態に係るダイボディからエッジ部を省略した他の態様を示す拡大図である。 図5(a)は、第1実施形態に係るダイボディの側面図であり、図5(b)は、第1実施形態に係るダイボディの背面図である。 図6(a)は、第1実施形態に係る端曲げ用パンチ金型の側面図であり、図6(b)は、第1実施形態に係る端曲げ用パンチ金型の背面図である。 図7Aは、第1実施形態の変形例に係る端曲げ用金型セットの周辺の側面図であり、第1実施形態の変形例に係る端曲げ用ダイ金型に板金を水平方向に対して傾斜させた状態でセットした様子を示している。 図7Bは、第1実施形態の変形例に係る端曲げ用金型セットの周辺の側面図であり、板金の端曲げを行う様子を示している。 図8Aは、第2実施形態に係る端曲げ用金型セットの周辺の側面図であり、第2実施形態に係る端曲げ用ダイ金型に板金を水平方向に対して傾斜させた状態でセットした様子を示している。 図8Bは、第2実施形態に係る端曲げ用金型セットの周辺の側面図であり、板金の端曲げ及び段曲げを行う様子を示している。 図9(a)は、端部側に段付きの曲げ成形部を有した板金部材を示す図であり、図9(b)は、曲げ成形部Fを有した板金製品の部分断面図である。 図10は、図8AにおけるX部の拡大図である。 図11(a)は、図10におけるXI部の拡大図であり、図11(b)は、第2実施形態に係るダイボディからエッジ部を省略した他の態様を示す拡大図である。 図12(a)は、第2実施形態に係るダイボディの側面図であり、図12(b)は、第2実施形態に係るダイボディの背面図である。 図13(a)は、第2実施形態に係るパンチボディ(シャンクを含む)の側面図であり、図13(b)は、第2実施形態に係るパンチボディの背面図である。
以下、第1実施形態(第1実施形態の変形例を含む)及び第2実施形態について図面を参照して説明する。
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意である。また、本願の明細書において、「金型長さ方向」とは、端曲げ用パンチ金型又は端曲げ用ダイ金型の長さ方向のことをいい、第1実施形態及び第2実施形態においては、左右方向のことをいう。図面中、「L」は左方向、「R」は右方向、「FF」は前方向、「FR」は後方向、「U」は上方向、「D」は下方向をそれぞれ指している。
(第1実施形態)
図1Aから図2に示すように、第1実施形態に係る端曲げ用金型セット10は、板金Wの端曲げ(板金Wの端部側のR曲げ)を行う際に用いられる。板金Wの端曲げによって、端部側に曲げ成形部Fを有した板金部材WAが製作される。板金部材WAの曲げ成形部Fと、他の板金部材WAの曲げ成形部Fを溶接等によって接合することにより、曲げ成形部Fを有した板金製品Mが製作される。換言すれば、端曲げ用金型セット10は、曲げ成形部Fを有した板金部材WA、及び曲げ成形部Fを有した板金製品Mの製作に用いられる。
端曲げ用金型セット10は、プレスブレーキの下部テーブル12の上端部にダイホルダ14を介して着脱可能に設けられた端曲げ用ダイ金型16と、プレスブレーキの上部テーブル18の下端部にパンチホルダ20を介して着脱可能に設けられた端曲げ用パンチ金型22とからなる。そして、端曲げ用ダイ金型16及び端曲げ用パンチ金型22の具体的な構成は、次の通りである。
図1A、図1B、図3、図4(a)、及び図5に示すように、端曲げ用ダイ金型16は、下部テーブル12の上端部にダイホルダ14を介して着脱可能に設けられたダイボディ24を備えており、ダイボディ24は、金型長さ方向(左右方向)に延びている。ダイボディ24の上部には、板金Wの端曲げを行うための凹曲面状のダイ成形面24pが形成されている。また、ダイボディ24の背面24rには、金型長さ方向に延びたスラスト受け部材26が複数の取付ボルト28を介して設けられている。スラスト受け部材26は、板金Wの端曲げを行う際に発生する後方向のスラスト荷重を受ける。ダイボディ24の背面24rには、取付ボルト28を螺合させるための複数のネジ穴24hが金型長さ方向に沿って形成されている。
なお、ダイボディ24を下部テーブル12の上端部にダイホルダ14を介して着脱可能に設ける代わりに、下部テーブル12の上端部に直接的に設けてもよい。換言すれば、端曲げ用ダイ金型16を下部テーブル12の上端部にダイホルダ14を介して着脱可能に設ける代わりに、下部テーブル12の上端部に直接的に設けてもよい。
ダイボディ24のダイ成形面24pは、後縁部から前方向(正面側)に向かって形成された曲面部24pcと、前縁部から曲面部24pcにかけて形成された平面状のストレート部24psとを有している。換言すれば、ダイボディ24のダイ成形面24pは、全体として凹曲面状に形成されていれば、一部にストレート部24psを有してもよい。曲面部24pcの曲がり角度(曲率中心回りの角度)は、板金製品M(図2参照)の円弧角にスプリングパック量を加味して設定されている。ストレート部24psの長さは、板金Wの板厚に応じて設定されている。なお、ダイボディ24のダイ成形面24pからストレート部24psを省略して、ダイボディ24のダイ成形面24p全体を曲面部24pcに形成してもよい。
ダイボディ24のダイ成形面24pの前縁部には、肩R部24sが形成されている。ダイボディ24のダイ成形面24pの後縁部には、直線状のエッジ部24eが形成されており、エッジ部24eの後側には、金型長さ方向に延びた面取部24cが形成されている。ダイボディ24のダイ成形面24pの後縁部であるエッジ部24eは、ダイボディ24のダイ成形面24pの前縁部である肩R部24sよりも低くかつスラスト受け部材26の正面26fに近接している。
ダイボディ24のエッジ部24eからスラスト受け部材26の正面26fまでの距離k(図3参照)は、次の不等式によって設定される。
t・sinθ<k≦t・sinθ+0.5mm ……不等式
ここで、tは、板金Wの板厚であり、θは、ダイボディ24のエッジ部24eと肩R部24sを結ぶ仮想平面(仮想線)VPの水平方向に対する傾斜角である。
なお、図4(b)に示すように、ダイボディ24からエッジ部24eを省略してもよい。この場合には、ダイボディ24のダイ成形面24pの後縁部がスラスト受け部材26の正面26fに接触する。
図1A、図1B、図3、及び図6に示すように、端曲げ用パンチ金型22は、金型長さ方向に延びたパンチボディ30と、パンチボディ30の上部に形成されかつ上部テーブル18の下端部にパンチホルダ20を介して着脱可能なシャンク32と、を備えている。パンチボディ30は、スラスト受け部材26の正面26fに摺接可能である。パンチボディ30の下部(先端部)には、板金Wの端曲げを行うための凸曲面状のパンチ成形面30pが形成されている。
パンチボディ30のパンチ成形面30pは、ダイボディ24のダイ成形面24pに対応した形状(ダイ成形面24pに沿うような形状)に形成されている。パンチボディ30のパンチ成形面30pは、ダイボディ24のダイ成形面24pと同様に、曲面部30pcと、平面状のストレート部30psとを有している。換言すれば、パンチボディ30のパンチ成形面30pは、全体として凸曲面状に形成されていれば、一部にストレート部30psを有してもよい。
続いて、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
図1A、図3、及び図4(a)に示すように、板金Wの下面Wdがダイボディ24の肩R部24s及びエッジ部24eに接触しかつ板金Wの上縁部Weがスラスト受け部材26の正面26fに接触するように、端曲げ用ダイ金型16に板金Wを水平方向に対して傾斜させた状態でセットする。このとき、図4(b)に示すように、ダイボディ24からエッジ部24eを省略した場合には、板金Wの下縁部Wjをダイボディ24のダイ成形面24pの後縁部の手前側に接触させる。そして、図1Bに示すように、上部テーブル18を下部テーブル12に対して相対的に下降させる。すると、板金Wの下面Wdがダイボディ24の肩R部24s及びエッジ部24eに支持された状態で、パンチボディ30のパンチ成形面30pとダイボディ24のダイ成形面24pが板金Wを挟み込みながら加圧する。これにより、板金Wの端曲げを行って、板金Wに曲げ成形部Fを形成することができる。換言すれば、板金Wから曲げ成形部Fを有した板金部材WAを製作することができる。
要するに、第1実施態様によると、前述のように、ダイボディ24のダイ成形面24pの後縁部には、直線状のエッジ部24eが形成されている。ダイボディ24のダイ成形面24pの後縁部であるエッジ部24eは、ダイボディ24のダイ成形面24pの前縁部である肩R部24sよりも低くかつスラスト受け部材26の正面26fに近接している。そのため、板金Wを水平方向に対して傾斜させた状態で、板金Wの端曲げを行うことができ、ダイボディ24のダイ成形面24pの後縁部側(エッジ部24e側)において板金Wへの加圧力を十分に確保することができる。
従って、第1実施形態によれば、板金部材WAの曲げ成形部Fにおける平面状のストレート部の長さ(曲げ成形部Fの先端面からの長さ)を極力短くして、板金部材WAの形状精度(外観品質)、換言すれば、板金製品Mの形状精度を向上させることができる。
(第1実施形態の変形例)
図7A及び図7Bに示すように、第1実施形態の変形例に係る端曲げ用金型セット10Aは、第1実施形態に係る端曲げ用金型セット10(図1A参照)と同様に、板金Wの端曲げを行う際に用いられる。端曲げ用金型セット10Aは、プレスブレーキの下部テーブル12の上端部にダイホルダ14を介して着脱可能に設けられた端曲げ用ダイ金型16と、プレスブレーキの上部テーブル18の下端部にパンチホルダ20を介して着脱可能に設けられた端曲げ用パンチ金型22Aとからなる。換言すれば、端曲げ用パンチ金型セット10Aは、端曲げ用金型セット10における端曲げ用ダイ金型16(図1A参照)に代えて、端曲げ用ダイ金型16Aを備えている。
端曲げ用ダイ金型16Aは、端曲げ用ダイ金型16と同様の構成を有している。そして、端曲げ用ダイ金型16Aの構成のうち、端曲げ用ダイ金型16と異なる構成ついて説明する。なお、端曲げ用ダイ金型16Aにおける複数の構成要素のうち、端曲げ用ダイ金型16における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付している。
ダイボディ24の正面には、ブラケット34が取付ボルト36を介して設けられている。ブラケット34には、水平方向に対して傾斜した板金Wの下面Wdを支持するサポート部材38が取付ボルト(図示省略)を介して設けられている。換言すれば、ダイボディ24の正面には、サポート部材38がブラケット34等を介して設けられている。サポート部材38は、金型長さ方向(左右方向)に延びており、板金Wの下面Wdを支持するための支持面38fを有している。サポート部材38の支持面38fは、ダイボディ24のエッジ部24e(図3参照)と肩R部24s(図3参照)を結ぶ仮想平面VP(図3参照)と同一平面上に位置している。
なお、サポート部材38の個数を複数にして、複数のサポート部材38をダイボディ24の正面に左右方向に間隔を置いて設けてもよい。
従って、第1実施形態の変形例によると、板金Wをサポート部材38の支持面38fに支持させるだけで、端曲げ用ダイ金型16Aに板金Wを水平方向に対して傾斜させた状態で容易にセットすることができる。よって、第1実施形態の変形例によれば、前述の第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する他に、板金Wの端曲げ作業の作業性を向上させることができる。
(第2実施形態)
図8Aから図9に示すように、第2実施形態に係る端曲げ用金型セット40は、板金Wの端曲げ(板金Wの端部側のR曲げ)及び段曲げを行う際に用いられる。板金Wの端曲げ及び段曲げによって、端部側に段差Fu付きの曲げ成形部Fを有した板金部材WAが製作される。板金部材WAの段差Fu付きの曲げ成形部Fと、他の板金部材WAの段差Fu無しの曲げ成形部Fを溶接等によって接合することにより、曲げ成形部Fを有した板金製品Mが製作される。換言すれば、端曲げ用金型セット40は、段差Fu付きの曲げ成形部Fを有した板金部材WA、及び曲げ成形部Fを有した板金製品Mの製作に用いられる。なお、他の板金部材WAの製作には、第1実施形態に係る端曲げ用金型セット10(図1A参照)が用いられる。
端曲げ用金型セット40は、端曲げ用金型セット10(図1A参照)と同様に、プレスブレーキの下部テーブル12の上端部にダイホルダ14を介して着脱可能に設けられた端曲げ用ダイ金型42と、プレスブレーキの上部テーブル18の下端部にパンチホルダ20を介して着脱可能に設けられた端曲げ用パンチ金型44とからなる。そして、端曲げ用ダイ金型42及び端曲げ用パンチ金型44の具体的な構成は、次の通りである。
図8A、図8B、図10、図11(a)、及び図12に示すように、端曲げ用ダイ金型42は、金型長さ方向(左右方向)に延びたダイボディ46を備える。ダイボディ46の下面には、底プレート48が複数の取付ボルト(図示省略)を介して設けられており、底プレート48は、下部テーブル12の上端部にダイホルダ14を介して着脱可能である。換言すれば、ダイボディ46は、下部テーブル12の上端部に底プレート48及びダイホルダ14を介して着脱可能である。ダイボディ46の上部には、板金Wの端曲げを行うための凹曲面状のダイ成形面46pが形成されている。また、ダイボディ46の背面46rには、金型長さ方向に延びたスラスト受け部材50が複数の取付ボルト52を介して設けられている。スラスト受け部材50は、板金Wの端曲げを行う際に発生する後方向のスラスト荷重、及び板金Wの一部の段曲げを行う際に発生する前後方向のスラスト荷重を受ける。ダイボディ46の背面46rには、取付ボルト52を螺合させるための複数のネジ穴46hが金型長さ方向に沿って形成されている。
なお、ダイボディ46を下部テーブル12の上端部に底プレート48及びダイホルダ14を介して着脱可能に設ける代わりに、下部テーブル12の上端部に直接的に設けてもよい。換言すれば、端曲げ用ダイ金型42を下部テーブル12の上端部にダイホルダ14を介して着脱可能に設ける代わりに、下部テーブル12の上端部に直接的に設けてもよい。
ダイボディ46のダイ成形面46pは、後縁部から前方向に向かって形成された曲面部46pcと、前縁部から曲面部46pcにかけて形成された平面状のストレート部46psとを有している。換言すれば、ダイボディ46のダイ成形面46pは、全体として凹曲面状に形成されていれば、一部にストレート部46psを有してもよい。曲面部26pcの曲がり角度は、板金製品M(図9参照)の円弧角にスプリングパック量を加味して設定されている。ストレート部46psの長さは、板金Wの板厚に応じて設定されている。なお、ダイボディ46のダイ成形面46pからストレート部46psを省略して、ダイボディ46のダイ成形面46p全体を曲面部46pcに形成してもよい。
ダイボディ46のダイ成形面46pの前縁部には、肩R部46sが形成されている。ダイボディ46のダイ成形面46pの後縁部には、直線状のエッジ部46eが形成されており、エッジ部46eの後側には、金型長さ方向に延びた面取部46cが形成されている。ダイボディ46のダイ成形面46pの後縁部であるエッジ部46eは、ダイボディ46のダイ成形面46pの前縁部である肩R部46sよりも低くかつスラスト受け部材50の正面50fに近接している。また、ダイボディ46のダイ成形面46pの曲面部46pcには、板金Wの一部の段曲げを行うための段差部(ダイ段差部)46puが形成されており、段差部46puは、金型長さ方向に延びている。
ダイボディ46のエッジ部46eからスラスト受け部材50の正面50fまでの距離g(図10参照)は、次の不等式によって設定される。
t・sinθ<g≦t・sinθ+0.5mm ……不等式
ここで、tは、板金Wの板厚であり、θは、ダイボディ46のエッジ部46eと肩R部46sを結ぶ仮想平面(仮想線)VPの水平方向に対する傾斜角である。
なお、図11(b)に示すように、ダイボディ46からエッジ部46eを省略してもよい。この場合には、ダイボディ46のダイ成形面46pの後縁部がスラスト受け部材50の正面50fに接触する。
図8A、図8B、図10、図11(a)、及び図13に示すように、端曲げ用パンチ金型44は、金型長さ方向に延びたパンチボディ54と、パンチボディ54の上部に形成されかつ上部テーブル18の下端部にパンチホルダ20を介して着脱可能なシャンク56と、を備えている。パンチボディ54は、スラスト受け部材50の正面50fに摺接可能である。パンチボディ54の下部(先端部)には、板金Wの端曲げを行うための凸曲面状のパンチ成形面54pが形成されている。また、パンチボディ54の背面54rには、金型長さ方向に延びたスラスト伝達部材58が複数の取付ボルト60を介して設けられている。スラスト伝達部材58は、板金Wの一部の段曲げを行う際に発生する前方向のスラスト荷重をスラスト受け部材に伝達する。なお、パンチボディ54の背面54rには、取付ボルト60を螺合させるための複数のネジ穴54hが金型長さ方向に沿って形成されている。
パンチボディ54のパンチ成形面54pは、ダイボディ46のダイ成形面46pに対応した形状に形成されている。パンチボディ54のパンチ成形面54pは、ダイボディ46のダイ成形面46pと同様に、曲面部54pcと、平面状のストレート部54psとを有している。換言すれば、パンチボディ54のパンチ成形面54pは、全体として凸曲面状に形成されていれば、一部にストレート部54psを有してもよい。また、パンチボディ54のパンチ成形面54pの曲面部54pcには、板金Wの一部の段曲げを行うための段差部(パンチ段差部)54puが形成されており、段差部54puは、金型長さ方向に延びている。
続いて、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
図8A、図8B、図10、及び図11(a)に示すように、板金Wの下面Wdがダイボディ46の肩R部46s及びエッジ部46eに接触しかつ板金Wの上縁部Weがスラスト受け部材50の正面50fに接触するように、端曲げ用ダイ金型42に板金Wを水平方向に対して傾斜させた状態でセットする。このとき、図11(b)に示すように、ダイボディ46からエッジ部46eを省略した場合には、板金Wの下縁部Wjをダイボディ46のダイ成形面46pの後縁部の手前側に接触させる。そして、図8Bに示すように、上部テーブル18を下部テーブル12にして相対的に下降させる。すると、板金Wの下面Wdがダイボディ46の肩R部46s及びエッジ部46eに支持された状態で、パンチボディ54のパンチ成形面54pとダイボディ46のダイ成形面46pが板金Wを挟み込みながら加圧する。これにより、板金Wの端曲げ及び段曲げを行って、板金Wに段差Fu付きの曲げ成形部Fを形成することができる。換言すれば、板金Wから曲げ成形部Fを有した板金部材WAを製作することができる。
要するに、第2実施態様によると、前述のように、ダイボディ46のダイ成形面46pの後縁部には、直線状のエッジ部46eが形成されている。ダイボディ46のダイ成形面46pの後縁部であるエッジ部46eは、ダイボディ46のダイ成形面46pの前縁部である肩R部46sよりも低くかつスラスト受け部材50の正面50fに近接している。そのため、板金Wを水平方向に対して傾斜させた状態で、板金Wの端曲げ及び段曲げを行うことができ、ダイボディ46のダイ成形面46pの後縁部側(エッジ部46e側)において板金Wへの加圧力を十分に確保することができる。
従って、第2実施形態によれば、前述の第1実施形態の効果と同様の効果を奏する。
図示は省略するが、第2実施形態の変形例として、第1実施形態の変形例と同様に、ダイボディ45の正面に、水平方向に対して傾斜した板金Wの下面Wdを支持するサポート部材を設けてもよい。
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、適宜の変更を行うことにより、種々な態様で実施可能である。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態の説明に限定されないものである。
10 端曲げ用金型セット
12 下部テーブル
14 ダイホルダ
16 端曲げ用ダイ金型
18 上部テーブル
20 パンチホルダ
22 端曲げ用パンチ金型
24 ダイボディ
24r ダイボディの背面
24p ダイ成形面
24pc 曲面部
24ps ストレート部
24s 肩R部
24e エッジ部
24c 面取部
24h ネジ穴
26 スラスト受け部材
26f スラスト受け部材の正面
28 取付ボルト
30 パンチボディ
30p パンチ成形面
30pc 曲面部
30ps ストレート部
32 シャンク
10A 端曲げ用金型セット
16A 端曲げ用ダイ金型
34 ブラケット
36 取付ボルト
38 サポート部材
40 端曲げ用金型セット
42 端曲げ用ダイ金型
44 端曲げ用パンチ金型
46 ダイボディ
46r ダイボディの背面
46p ダイ成形面
46pc 曲面部
46ps ストレート部
46pu 段差部(ダイ段差部)
46s 肩R部
46e エッジ部
46c 面取部
46h ネジ穴
48 底プレート
50 スラスト受け部材
50f スラスト受け部材の正面
52 取付ボルト
54 パンチボディ
54p パンチ成形面
54pc 曲面部
54ps ストレート部
54pu 段差部(パンチ段差部)
54h ネジ穴
56 シャンク
58 スラスト伝達部材
60 取付ボルト
M 板金製品
F 曲げ成形部
W 板金
Wd 板金の下面
We 板金の上縁部
Wj 板金の下縁部
VP 仮想平面

Claims (6)

  1. 上部に板金の端曲げを行うための凹曲面状のダイ成形面が形成されたダイボディと、
    前記ダイボディの背面に設けられ、板金の端曲げを行う際に発生するスラスト荷重を受けるスラスト受け部材と、を備え、
    前記ダイボディの前記ダイ成形面の前縁部に肩R部が形成され、
    前記ダイボディの前記ダイ成形面の後縁部は、前記前縁部よりも低くかつ前記スラスト受け部材の正面に近接又は接触すると共にエッジ部が形成されており、
    前記エッジ部が前記スラスト受け部材の正面に近接している端曲げ用ダイ金型。
  2. 前記ダイボディの正面に設けられ、水平方向に対して傾斜した板金の裏面を支持するサポート部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の端曲げ用ダイ金型。
  3. 上部に板金の端曲げを行うための凹曲面状のダイ成形面が形成されたダイボディと、
    前記ダイボディの背面に設けられ、板金の端曲げを行う際に発生するスラスト荷重を受けるスラスト受け部材と、を備え、
    前記ダイボディの前記ダイ成形面は、
    前縁部に肩R部が形成され、後縁部は前記前縁部よりも低くかつ前記スラスト受け部材の正面に近接又は接触しており
    記ダイ成形面に板金の一部の段曲げを行うための段差部が形成されていることを特徴とする端曲げ用ダイ金型。
  4. 前記ダイボディの正面に設けられ、水平方向に対して傾斜した板金の裏面を支持するサポート部材を備えたことを特徴とする請求項3記載の端曲げ用ダイ金型。
  5. 請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の端曲げ用ダイ金型と、端曲げ用パンチ金型とからなり、
    前記端曲げ用パンチ金型は、
    下部に板金の端曲げを行うための凸曲面状のパンチ成形面が形成され、前記スラスト受け部材の正面に摺接可能なパンチボディを備え、
    前記パンチボディの前記パンチ成形面が前記ダイボディの前記ダイ成形面に対応する形状に形成されていることを特徴とする端曲げ用金型セット。
  6. 請求項1又は請求項2記載の端曲げ用ダイ金型と、端曲げ用パンチ金型とからなり、
    前記端曲げ用パンチ金型は、
    下部に板金の端曲げを行うための凸曲面状のパンチ成形面が形成され、前記スラスト受け部材の正面に摺接可能なパンチボディを備え、
    前記パンチボディの前記パンチ成形面が前記ダイボディの前記ダイ成形面に対応する形状に形成されており、
    前記ダイボディの前記ダイ成形面に板金の一部の段曲げを行うための段差部が形成され、
    前記端曲げ用パンチ金型は、
    前記パンチボディの背面に設けられ、前記スラスト受け部材の背面に摺接可能であって、板金の一部の段曲げを行う際に発生するスラスト荷重を前記スラスト受け部材に伝達するスラスト伝達部材を備えることを特徴とする端曲げ用金型セット。
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