JP6288381B1 - プレス成形品の製造方法 - Google Patents

プレス成形品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6288381B1
JP6288381B1 JP2017535859A JP2017535859A JP6288381B1 JP 6288381 B1 JP6288381 B1 JP 6288381B1 JP 2017535859 A JP2017535859 A JP 2017535859A JP 2017535859 A JP2017535859 A JP 2017535859A JP 6288381 B1 JP6288381 B1 JP 6288381B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
press
convex
concave
vertical wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017535859A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2017170533A1 (ja
Inventor
隆一 西村
隆一 西村
嘉明 中澤
嘉明 中澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP6288381B1 publication Critical patent/JP6288381B1/ja
Publication of JPWO2017170533A1 publication Critical patent/JPWO2017170533A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D5/00Bending sheet metal along straight lines, e.g. to form simple curves
    • B21D5/01Bending sheet metal along straight lines, e.g. to form simple curves between rams and anvils or abutments
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D22/00Shaping without cutting, by stamping, spinning, or deep-drawing
    • B21D22/02Stamping using rigid devices or tools
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D22/00Shaping without cutting, by stamping, spinning, or deep-drawing
    • B21D22/20Deep-drawing
    • B21D22/22Deep-drawing with devices for holding the edge of the blanks
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D22/00Shaping without cutting, by stamping, spinning, or deep-drawing
    • B21D22/20Deep-drawing
    • B21D22/26Deep-drawing for making peculiarly, e.g. irregularly, shaped articles
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D24/00Special deep-drawing arrangements in, or in connection with, presses
    • B21D24/005Multi-stage presses
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D37/00Tools as parts of machines covered by this subclass
    • B21D37/10Die sets; Pillar guides
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D5/00Bending sheet metal along straight lines, e.g. to form simple curves
    • B21D5/002Positioning devices
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D53/00Making other particular articles
    • B21D53/88Making other particular articles other parts for vehicles, e.g. cowlings, mudguards
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D24/00Special deep-drawing arrangements in, or in connection with, presses
    • B21D24/04Blank holders; Mounting means therefor

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Abstract

製造方法は配置工程と第1プレス工程と第2プレス工程とを含む。配置工程では、ブランクを金型に配置する。第1プレス工程では、凹形稜線(6a)と、凹領域(2a)と、凹対応縦壁領域の凹形稜線(6a)に隣接する領域と、を曲げ成形する。第2プレス工程では、凸形稜線(6b)と、凸領域(2b)と、凸対応縦壁領域の凸形稜線(6b)に隣接する領域と、を絞り成形する。これにより、天板部(2)が長手方向に沿って起伏したプレス成形品(1)を製造する場合に、シワの発生を抑制できる。

Description

本発明は、鋼板からなるプレス成形品の製造方法に関する。
自動車のフレーム部品には、ハット形又は溝形の断面を有するプレス成形品が多用される。そのプレス成形品は、天板部、及び2つの縦壁部を備える。厳密には、ハット形断面のプレス成形品は、更に2つのフランジ部を備える。プレス成形品の形状は様々である。複雑な形状のプレス成形品としては、天板部が長手方向に沿って起伏したプレス成形品がある。そのプレス成形品では、天板部は、側面視で内側に湾曲した凹領域と、側面視で外側に湾曲した凸領域とを、長手方向に連なるように有する。
そのような複雑な形状のプレス成形品を製造する場合、従来、ブランクとして、軟鋼板又は440MPa級の高張力鋼板(以下、これらを総称して「低強度鋼板」ともいう)を使用することが主流である。440MPa級高張力鋼板の引張強度(TS)は440MPa以上であり、その降伏強度(YP)は約350MPa以上である。プレス成形によって低強度鋼板のブランクから複雑な形状のプレス成形品を成形する際、シワの発生が懸念される。そのため、従来のプレス成形の主体は絞り成形である(例えば、国際公開WO2014/042067号パンフレット(特許文献1)参照)。絞り成形では、ブランクに張力が与えられながら成形が進行するため、シワの発生を抑制できるからである。そして、最後に、形状凍結のための曲げ成形が施される。
近年、自動車には、地球環境保全の観点から燃費の改善が求められる。そのため、自動車のフレーム部品の軽量化が推進されている。このような背景により、フレーム部品に適用されるプレス成形品のブランクとして、板厚の薄い590MPa級の高張力鋼板(以下、「中強度鋼板」ともいう)が使用される傾向にある。更に、そのブランクとして、板厚のより薄い980MPa級の高張力鋼板(以下、「高強度鋼板」ともいう)が使用される傾向にある。590MPa級高張力鋼板の引張強度(TS)は590MPa以上であり、その降伏強度(YP)は約400MPa以上である。980MPa級高張力鋼板の引張強度(TS)は980MPa以上であり、その降伏強度(YP)は約600MPa以上である。
しかし、プレス成形によって中強度鋼板のブランクから複雑な形状のプレス成形品を成形する際、上記のようにプレス成形の主体が絞り成形であると、天板部の凸領域と縦壁部との間に存在する稜線近傍に過度の張力が生じる場合がある。そのため、稜線近傍においてブランクの板厚が減少し、破断に至ることがある。また、天板部の凹領域には、ブランクの長手方向の圧縮応力が負荷される。そのため、天板部の凹領域近傍の材料が集まり、シワが発生する。
仮に、プレス成形の主体が、パッドを用いた曲げ成形に置き換えられると、天板部の凸領域に隣接する稜線近傍の過度の板厚減少は抑制される。しかしながら、天板部の凸領域から伸びる凸対応縦壁領域(縦壁部の一部)及び天板部の凹領域に、シワが発生する。ハット形のプレス成形品の場合、更に、凸対応縦壁領域から伸びる凸対応フランジ領域(フランジ部の一部)に、シワが発生する。プレス成形時、金型によって拘束されていない縦壁部及びフランジ部の材料が凸領域側に寄ってくるからである。
すなわち、一般的な絞り成形や曲げ成形では、複雑な形状のプレス成形品の成形は困難である。このような事態は、ブランクとして高強度鋼板を使用した場合に、より顕著に起こる。これは、高強度鋼板の延性が中強度鋼板の延性よりも更に低いことによる。
国際公開WO2014/042067号パンフレット
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一つは、天板部が長手方向に沿って起伏したプレス成形品を製造する場合に、シワの発生を抑制できるプレス成形品の製造方法を提供することである。
本発明の実施形態によるプレス成形品の製造方法は、2本の稜線と、天板部と、2つの縦壁部と、を備えたプレス成形品の製造に適用される。天板部は、2本の稜線に挟まれる。2つの縦壁部は、天板部から稜線を介して伸びる。2本の稜線はそれぞれ縦壁部の内側に向かって凸に湾曲する凹形稜線と、縦壁部の外側に向かって凸に湾曲する凸形稜線と、を含む。凹形稜線の中央部と凸形稜線の中央部との間の直線距離は、2本の稜線の間隔の15倍以内である。天板部は、凹形稜線に挟まれた凹領域と、凸形稜線に挟まれた凸領域と、を含む。縦壁部は、凹形稜線に隣接する凹対応縦壁領域と、凸形稜線に隣接する凸対応縦壁領域と、を含む。製造方法は、配置工程と、第1プレス工程と、第2プレス工程と、を含む。配置工程は、金属板のブランクを第1パンチの頂部の両側からはみ出して配置する。第1プレス工程では、第1パンチ、パッド及び第1ダイを用いてブランクに、凹形稜線と、凹領域と、凹対応縦壁領域の凹形稜線に隣接する領域と、を曲げ成形し、中間成形品を得る。第2プレス工程では、第2パンチ、第2ダイ及びブランクホルダを用いて、中間成形品に、凸形稜線と、凸領域と、凸対応縦壁領域の凸形稜線に隣接する領域と、を絞り成形する。
本発明の実施形態によるプレス成形品の製造方法によれば、天板部が長手方向に沿って起伏したプレス成形品を製造する場合に、シワの発生を抑制できる。
図1Aは、本発明の実施形態による製造方法によって製造されるプレス成形品の一例を示す斜視図である。 図1Bは、図1Aに示すプレス成形品の側面図である。 図2Aは、本実施形態の製造方法による第1プレス工程の状況を説明するための斜視図である。 図2Bは、第1プレス工程後の第2プレス工程の状況を説明するための斜視図である。 図2Cは、第2プレス工程後の第3プレス工程の状況を説明するための斜視図である。 図3Aは、第1プレス工程後の中間成形品の外観を示す斜視図である。 図3Bは、第2プレス工程後の中間成形品の外観を示す斜視図である。 図3Cは、第3プレス工程後のプレス成形品の外観を示す斜視図である。 図4Aは、第1プレス工程後の中間成形品の外観を示す斜視図である。 図4Bは、図4Aの線IVB−IVBにおける断面図である。 図4Cは、図4Aの線IVC−IVCにおける断面図である。 図4Dは、図4Aの線IVD−IVDにおける断面図である。 図5は、第2プレス工程後の中間成形品の外観を示す斜視図である。 図6Aは、最初に絞り成形による凸対応領域の成形を行った場合のプレス成形品の外観を示す斜視図である。 図6Bは、図6Aの線VIB−VIBにおける断面図である。 図6Cは、図6Aの線VIC−VICにおける断面図である。 図6Dは、図6Aの線VID−VIDにおける断面図である。 図7は、絞り成形による凸対応領域の成形を行った後に、曲げ成形による凹対応領域の成形を行った場合のプレス成形品の外観を示す斜視図である。
本発明の実施形態によるプレス成形品の製造方法は、2本の稜線と、天板部と、2つの縦壁部と、を備えたプレス成形品の製造に適用される。天板部は、2本の稜線に挟まれる。2つの縦壁部は、天板部から稜線を介して伸びる。2本の稜線はそれぞれ縦壁部の内側に向かって凸に湾曲する凹形稜線と、縦壁部の外側に向かって凸に湾曲する凸形稜線と、を含む。つまり、本実施形態の製造方法によって製造されるプレス成形品は、天板部が長手方向に沿って起伏したハット形断面又は溝形断面を有する。長手方向とは、天板部の稜線のない両端の辺の中心同士を結ぶ直線の方向を意味する。厳密には、ハット形断面のプレス成形品は、更に、各縦壁部から伸びる2つのフランジ部を備える。このような複雑な形状のプレス成形品は、例えば自動車のフレーム部品(例:フロントサイドメンバーリア、リアサイドメンバ、クロスメンバ、アッパメンバ、Bピラー)として用いられる。
天板部は、凹形稜線に挟まれた凹領域と、凸形稜線に挟まれた凸領域と、を含む。本実施形態のプレス成形品における天板部の典型的な例では、凹領域と凸領域が一つずつ設けられる。また、凹領域と凸領域が滑らかに連なる限り、凹領域と凸領域は隣接していなくてもよい。例えば、凹領域と凸領域との間に、長手方向の長さの短い平坦な領域が存在してもよい。但し、凹形稜線の中央部と凸形稜線の中央部との間の直線距離は、2本の稜線の間隔の15倍以内である。また、天板部の端部に平坦領域が設けられてもよい。また、天板部の幅は一定でなくてもよい。例えば、天板部の幅が緩やかに変化してもよい。
縦壁部は、凹形稜線に隣接する凹対応縦壁領域と、凸形稜線に隣接する凸対応縦壁領域と、を含む。本実施形態のプレス成形品における縦壁部の典型的な例では、縦壁部の高さ(天板部に垂直方向の縦壁部の大きさ)が全域にわたって一定である。ただし、縦壁部の高さは一定でなくてもよい。例えば、縦壁部の高さが緩やかに変化してもよい。本実施形態のプレス成形品におけるフランジ部の典型的な例では、フランジ部の幅が全域にわたって一定である。ただし、フランジ部の幅は一定でなくてもよい。例えば、フランジ部の幅が緩やかに変化してもよい。
本実施形態の製造方法は、配置工程と、第1プレス工程と、第2プレス工程と、を含む。配置工程では、金属板のブランクを第1パンチの頂部の両側からはみ出して配置する。
第1プレス工程では、第1パンチ、パッド及び第1ダイを用いてブランクに曲げ成形を施す。これにより、少なくとも、凹形稜線と、凹領域と、凹対応縦壁領域の凹形稜線に隣接する領域と、を有する中間成形品が得られる。また、中間成形品には、天板部の凸領域から凹領域に至るまでの凹凸形状も成形される。ハット形断面のプレス成形品を製造する場合は、更に、フランジ部の領域のうちで凹対応縦壁領域から伸びる凹対応フランジ領域を成形する。第2プレス工程では、第2パンチ、第2ダイ及びブランクホルダを用いて、第1プレス工程によって得られた中間成形品を絞り成形する。これにより、凸形稜線と、凸領域と、凸対応縦壁領域の凸形稜線に隣接する領域と、が成形される。ハット形断面のプレス成形品を製造する場合は、更に、フランジ部の領域のうちで凸対応縦壁領域から伸びる凸対応フランジ領域を成形する。
本実施形態の製造方法では、プレス成形品を、凹対応縦壁と凸対応縦壁に区分する。プレス成形品にフランジがある場合、凹対応縦壁及び凹対応フランジ領域を総称して「凹対応領域」といい、凸対応縦壁及び凸対応フランジ領域を総称して「凸対応領域」という。最初に第1プレス工程で天板部の凸領域から凹領域に至る領域と、凹対応縦壁あるいは凹対応領域を成形し、次に第2プレス工程で天板部の凸領域と、凸対応縦壁あるいは凸対応領域を成形する。
このような製造方法によれば、最初に行う第1プレス工程が、パッドを用いた曲げ成形であるため、天板部の凹領域及び凹対応領域にシワが発生しない。このとき、凸対応領域に相当する領域は、滑らかに凸領域とつながる。そのため、凸対応領域に相当する領域にシワは発生しない。そして、次に行う第2プレス工程が、ブランクに張力を与えながら実施される絞り成形であるため、凸対応領域にシワが発生しない。このとき、凹対応領域は、先の第1プレス工程によって既に形成されている。そのため、凹対応領域にシワは発生しない。したがって、本実施形態の製造方法では、天板部が長手方向に沿って起伏したハット形断面又は溝形断面を有するプレス成形品を製造する場合に、シワの発生を抑制できる。工程の順番が逆の場合にシワが発生する理由は後述する。
上記の製造方法において、下記の式(1)〜式(5)の条件を満たすことが好ましい。
(Ra/θa)×0.03×(650/YP)×(t/1.8)<Ha<250 …(1)
15<θa<85 …(2)
(Rb/θb)×0.02×(650/YP)×(t/1.8)<Hb<250 …(3)
15<θb<85 …(4)
40<L<16×(Ha+Hb)/2×(650/YP)×(t/1.8) …(5)
上記の式における各記号の意味は次のとおりである:
YP[MPa]、ブランクの降伏強度;
t[mm]、ブランクの板厚;
Ra[mm]、天板部の垂直方向と長手方向を含む面内の凹形稜線の曲率半径;
θa[°]、天板部の垂直方向と長手方向を含む面内の凹形稜線の中心角;
Ha[mm]、凹形稜線中央部における天板部の垂直方向の凹対応縦壁領域の高さ;
Rb[mm]、天板部の垂直方向と長手方向を含む面内の凸形稜線曲率半径;
θb[°]、天板部の垂直方向と長手方向を含む面内の凸形稜線の中心角;
Hb[mm]、凸形稜線中央部における天板部の垂直方向の凸対応縦壁領域の高さ;及び
L[mm]、凹形稜線中央部から凸形稜線中央部までの直線距離。
上記式(1)及び式(2)の条件を満たす場合、絞り成形を主体とする従来のプレス成形を採用すると、天板部の凹領域にシワが発生する。また、上記式(3)及び式(4)の条件を満たす場合、パッドを用いた曲げ成形を主体とする従来のプレス成形を採用すると、凸対応縦壁領域及び凸対応フランジ領域にシワが発生する。更に、それらのシワは、上記式(5)の条件を満たす場合に発生する。本実施形態の製造方法は、そのようなシワの発生を抑制できる。
上記の製造方法において、第2プレス工程によって得られたプレス成形品の凹対応縦壁領域及び凸対応縦壁領域のうちのいずれかの高さがプレス成形品の所望の縦壁部の高さに達していない場合、第3プレス工程を含むことができる。第3プレス工程では、第2プレス工程の後、縦壁部の稜線と反対側にある第2稜線を縦壁部の外側に向かって移動する曲げ成形を施す。第3プレス工程では、プレス金型にパンチとダイの他に更にパッドを使用してもよい。
上記の製造方法において、鋼板で、降伏強度が400MPa以上のブランクを成形できる。典型的な例では、降伏強度(YP)が400MPa以上の鋼板は、590MPa級の高張力鋼板(引張強度(TS)が590MPa以上の中強度鋼板)である。より好ましくは、ブランクの降伏強度が600MPa以上であってもよい。典型的な例では、降伏強度(YP)が600MPa以上の鋼板は、980MPa級の高張力鋼板(引張強度(TS)が980MPa以上の高強度鋼板)である。ブランクの降伏強度が400MPa以上であると、プレス成形の際、面外変形が大きくなり、材料が集まりやすい。すなわち、シワが発生しやすい。本実施形態の製造方法は、このようなシワが発生しやすいブランクを複雑な形状のプレス成形品に成形する場合に特に有効である。また、ブランクの降伏強度が400MPa以上であれば、プレス成形品の部品性能が向上する。
上記の製造方法において、ブランクの板厚が0.8〜1.6mmでも成形できる。ブランクの板厚が1.6mm以下であると、プレス成形の際、面外変形が大きくなり、材料が集まりやすい。すなわち、シワが発生しやすい。また、ブランクの板厚が0.8mm未満であれば、ブランクの板厚が薄すぎることから、フレーム部品としてのプレス成形品に求められる衝突特性及び剛性を満足しにくい。一方、ブランクの板厚が1.6mmを超えれば、ブランクの板厚が厚すぎることから、プレス成形品の顕著な軽量化が望みにくい。
上記の製造方法において、下記式(6)の条件を満たすのが好ましい。
0.011 <t/W< 0.032 (6)
上記の式における各記号の意味は次のとおりである:
W[mm]、2本の稜線の間隔。上記式(6)の条件を満たす場合、特にプレス成形によるシワが発生しやすい。本実施形態の製造方法は、このようなプレス成形品の製造に特に適する。
以下に、本発明のプレス成形品の製造方法について、その実施形態を詳述する。
[プレス成形品]
図1A及び図1Bは、本発明の実施形態による製造方法によって製造されるプレス成形品の一例を示す図である。これらの図のうち、図1Aは斜視図を示し、図1Bは側面図を示す。図1A及び図1Bには、自動車のフレーム部品の一つであるフロントサイドメンバーリアに用いられるプレス成形品1を例示する。プレス成形品1は長手方向の全域にわたってハット形の断面を有する。プレス成形品1は、2本の稜線6、天板部2、2つの縦壁部3、及び2つのフランジ部4を備える。天板部2は2本の稜線6に挟まれる。各縦壁部3は天板部2から稜線6を介して伸びる。すなわち、各縦壁部3は天板部2の両側部からそれぞれ伸びる。各フランジ部4は各縦壁部3からそれぞれ伸びる。
2本の稜線6はそれぞれ、凹形稜線6aと、凸形稜線6bと、を含む。凹形稜線6aは、縦壁部3の内側に向かって凸に湾曲する。凸形稜線6bは、縦壁部3の外側に向かって凸に湾曲する。
凹形稜線6aの中央部と、凸形稜線6bの中央部との間の直線距離Lは、2本の稜線6の間隔W(天板部2の幅)の15倍以内である。要するに、凹形稜線6aは、凸形稜線6bから過剰に離れてはいない。離れ過ぎると、従来のプレス成形でもシワなく成形できてしまう。
天板部2は凹領域2aと凸領域2bとを一つずつ有する。凹領域2aは2本の凹形稜線6aに挟まれる。凸領域2bは2本の凸形稜線6bに挟まれる。側面視の図1Bに示すように、凹領域2aは、縦壁部3の内側に凸に湾曲する。側面視とは、天板部2に平行かつ長手方向に垂直の方向から見ることを意味する。また、天板部2は、凹領域2aに連なるように平坦領域2cを有していてもよい。同様に凸領域2bに連なるように平坦領域2dを有していてもよい。これらの平坦領域2c及び2dは、天板部2の長手方向の端部まで伸びていてもよい。つまり、本実施形態のプレス成形品1は、天板部2が長手方向に沿って起伏したものである。
縦壁部3は凹対応縦壁領域3aと凸対応縦壁領域3bとを有する。フランジ部4は凹対応フランジ領域4aと凸対応フランジ領域4bとを有する。凹対応縦壁領域3aは稜線6を介して天板部2の凹領域2aから伸びる。凹対応縦壁領域3aは凹形稜線6aに隣接する。凹対応フランジ領域4aは凹対応縦壁領域3aから伸びる。凸対応縦壁領域3bは稜線6を介して天板部2の凸領域2bから伸びる。凸対応縦壁領域3bは凸形稜線6bに隣接する。凸対応フランジ領域4bは凸対応縦壁領域3bから伸びる。
つまり、本実施形態のプレス成形品1は、絞り成形、又はパッドを用いた曲げ成形を主体とする従来のプレス成形を採用したときにシワが発生するような形状寸法を有する。
[プレス成形品の製造]
図2A〜図2Cは、本実施形態の製造方法による各工程の状況を説明するための斜視図である。これらの図のうち、図2Aは第1プレス工程の状況を示す。図2Bは第2プレス工程の状況を示す。図2Cは第3プレス工程の状況を示す。図2A〜図2Cのいずれでも、ブランク11と中間成形品21は各工程のプレス成形前の状態を示す。図3Aは第1プレス工程後の中間成形品21の外観を示す斜視図である。図3Bは第2プレス工程後の中間成形品31の外観を示す斜視図である。図3Cは第3プレス工程後のプレス成形品1の外観を示す斜視図である。なお、図2A〜図2Cのいずれにも、構成の理解を容易にするため、成形用金型は、プレス成形品と接触する面の形状のみを表示する。
本実施形態の製造方法は、配置工程と、第1プレス工程と、第2プレス工程と、第3プレス工程と、を含む。図2Aに示すように、配置工程では、平らなブランク11を準備する。このブランク11は、例えば590MPa級の高張力鋼板から切り出されたものである。ブランク11の形状は、プレス成形品1(図3C参照)の形状に応じて決める。
次に、図2Aに示すように、第1プレス工程では第1プレス装置が用いられる。第1プレス装置は、下型として第1パンチ12を備え、上型として第1ダイ13及び第1パッド14を備える。
第1パンチ12には、天板部2の凸領域から凹領域に至る領域の凹凸形状が反映されている。更に、第1パンチ12には、縦壁部3の領域のうちの凹対応縦壁領域3aの形状が反映さる。プレス成形品にフランジ部4がある場合、フランジ部4の領域のうちの凹対応フランジ領域4aの形状が反映されている。また、第1パンチ12において、凸対応縦壁領域3b及び凸対応フランジ領域4bに相当する部分は、滑らかに凸領域2bに相当する部分とつながる。
第1パッド14には、天板部2の凸領域から凹領域に至る領域の凹凸形状が反映されている。第1ダイ13は、第1パンチ12の一部と対向するように配置される。第1ダイ13には、縦壁部3の領域のうちの凹対応縦壁領域3aの形状が反映され、フランジ部4の領域のうちの凹対応フランジ領域4aの形状が反映されている。更に、第1ダイ13には、縦壁部3及びフランジ部4の領域のうちで平坦領域2cに対応する領域の形状が反映されている。なお、本実施形態では、第1パンチ12及び第1ダイ13に反映された凹対応縦壁領域3aの形状の高さは、後述する第3プレス工程を見越して、最終製品のプレス成形品1における凹対応縦壁領域3aの高さよりも低く設定されている。
先ず、配置工程が実施される。配置工程では、金属板のブランク11を上型(第1ダイ)と下型(第1パンチ)との間に配置する。より具体的には、ブランク11を第1パンチ12の頂部の両側からはみ出して配置する。はみ出した箇所が縦壁あるいはフランジに成形される箇所である。ブランク11は例えば、金属板を打ち抜き加工して得られる。金属板は、例えば、鋼板、アルミニウム、アルミニウム合金等である。
続いて、第1プレス工程が実施される。第1プレス工程では、第1プレス装置を用いて、ブランク11に曲げ成形を施す。第1パッド14を下降させ、第1パンチ12上のブランク11に第1パッド14を押し付ける。これにより、天板部2の凸領域から凹領域に至る領域の凹凸形状が成形される。次に、第1パンチ12上のブランク11に第1パッド14を押し付けた状態で、第1ダイ13を下降させる。これにより、凹形稜線6a、天板部2の凹領域2a、凹対応縦壁領域3aの凹形稜線6aに隣接する領域、及び凹対応フランジ領域4aが成形される。これと同時に、縦壁部3及びフランジ部4の領域のうちで平坦領域2cに対応する領域が成形される。
このような第1プレス工程により、図3Aに示すような第1段階の中間成形品21が得られる。第1プレス工程後の中間成形品21は、天板部2の全ての領域、縦壁部3の領域のうちの凹対応縦壁領域3a、フランジ部4の領域のうちの凹対応フランジ領域4a、及び縦壁部3及びフランジ部4の領域のうちで平坦領域2cに対応する領域が成形されたものとなる。なお、本実施形態では、第1プレス工程後の中間成形品21における凹対応縦壁領域3aの高さは、最終製品のプレス成形品1における凹対応縦壁領域3aの高さよりも僅かに低くなっている。したがって、第1プレス工程では、凹対応縦壁領域3aの凹形稜線6aに隣接する領域、すなわち、凹対応縦壁領域3aの一部が成形される。
次に、第2プレス工程が実施される。図2Bに示すように、第2プレス工程では第2プレス装置が用いられる。第2プレス装置は、下型として第2パンチ22及びブランクホルダ24を備え、上型として第2ダイ23を備える。
第2パンチ22には、天板部2の凸領域から凹領域に至る領域の形状が反映され、凸形稜線と凹形稜線に隣接する縦壁部3の領域の形状が反映されている。更に、第2パンチ22には、フランジ部4の領域の形状のうちで、凹対応フランジ領域4aの形状、及び平坦領域2cに対応する領域の形状が反映されている。ブランクホルダ24には、フランジ部4の領域の形状のうちで、凸対応フランジ領域4bの形状、及び平坦領域2dに対応する領域の形状が反映されている。
第2ダイ23には、天板部2の凸領域から凹領域に至る領域、縦壁部3の凸形稜線と凹形稜線に隣接する領域及びフランジ部4の形状が反映されている。なお、本実施形態では、第2パンチ22及び第2ダイ23に反映された凹対応縦壁領域3aの形状の高さは、最終製品のプレス成形品1における凹対応縦壁領域3aの高さよりも低く設定されている。
第2プレス工程では、第2プレス装置を用いて、中間成形品21に絞り成形を施す。第2プレス工程に先立ち、中間成形品21を上型と下型との間に、天板部2の凹凸形状を下型の形状にあわせて配置する。続いて、第2プレス工程では、第2ダイ23を下降させ、第2ダイ23とブランクホルダ24によって中間成形品21を挟む。この状態で、第2ダイ23を更に下降させる。中間成形品21に張力が与えられながら成形が進行する。これにより、凸形稜線6b、天板部2の凸領域2b、凸対応縦壁領域3bの凸形稜線6bに隣接する領域、及び凸対応フランジ領域4bが成形される。これと同時に、縦壁部3及びフランジ部4の領域のうちで平坦領域2dに対応する領域が成形される。図2Bを参照して、天板部2の凸領域2bの一部は、第1プレス工程で成形されてもよい。したがって、中間成形品21の天板部2には、凹凸形状が形成されてもよい。しかしながら、天板部2の凸領域2bの全部は、第2プレス工程で成形される。
このような第2プレス工程により、図3Bに示すような第2段階の中間成形品31が得られる。第2プレス工程後の中間成形品31は、天板部2の凸領域から凹領域に至る領域、縦壁部3の稜線6に隣接する領域、及びフランジ部4の全ての領域が成形されたものとなる。なお、本実施形態では、第2プレス工程後の中間成形品31における凸対応縦壁領域3bの高さは、最終製品のプレス成形品1における凸対応縦壁領域3bの高さよりも低くなっている。したがって、第2プレス工程では、凸対応縦壁領域3bの凸形稜線6bに隣接する領域、すなわち、凸対応縦壁領域3bの一部が成形される。
そして、第3プレス工程が実施される。図2Cに示すように、第3プレス工程では第3プレス装置が用いられる。第3プレス装置は、下型として第3パンチ32を備え、上型として第3ダイ33及び第3パッド34を備える。
第3パンチ32には、最終製品のプレス成形品1の形状と完全に一致する形状が反映されている。第3パッド34には、天板部2の全ての領域の形状が反映されている。第3ダイ33には、縦壁部3及びフランジ部4の全ての形状が反映されている。
第3プレス工程では、第3プレス装置を用いて、中間成形品31に形状凍結のための曲げ成形を施す。その際、先ず、中間成形品31を上型と下型との間に配置する。続いて、第3パッド34を下降させ、第3パンチ32上の中間成形品31に第3パッド34を押し付ける。この状態で、第3ダイ33を下降させる。より具体的には、縦壁部3の稜線6と反対側にある第2稜線7を縦壁部3の外側に向かって移動する曲げ成形を施す。第2稜線7は、縦壁部3とフランジ部4との間の稜線を意味する。これにより、図3Cに示すように、最終製品のプレス成形品1が成形される。
本実施形態の製造方法によれば、最初に行う第1プレス工程が、第1パッド14を用いた曲げ成形であるため、天板部2の凹領域2a及び凹対応領域にシワが発生しない。このとき、凸対応領域に相当する領域は、滑らかに凸領域2bと一致するような形状に形成される。そのため、凸対応領域に相当する領域にシワが発生しない。そして、次に行う第2プレス工程が、第1段階の中間成形品21に張力を与えながら実施される絞り成形であるため、凸対応領域(特に、凹対応領域と凸対応領域との境界付近の凸対応縦壁領域3b及び凸対応フランジ領域4b)にシワが発生しない。このとき、凹対応領域は、先の第1プレス工程によって既に形成されている。そのため、凹対応領域にシワが発生しない。したがって、本実施形態の製造方法では、天板部2が長手方向に沿って起伏したハット形断面又は溝形断面を有するプレス成形品1を製造する場合に、シワの発生を抑制できる。
ここで、シワの発生を抑制するために重要なことは、本実施形態の製造方法のように、最初に曲げ成形による凹対応領域の成形を行い、その後に絞り成形による凸対応領域の成形を行うことである。その順序が逆になると、凹対応領域と凸対応領域との境界付近の縦壁部及びフランジ部にシワが発生する。その理由を以下に説明する。
図4A〜図4Dは、本実施形態の製造方法による第1プレス工程後の一例を示す図である。これらの図のうち、図4Aは中間成形品の外観を示す斜視図である。図4Bは図4Aの線IVB−IVBにおける断面図であり、図4Cは図4Aの線IVC−IVCにおける断面図であり、図4Dは図4Aの線IVD−IVDにおける断面図である。図5は、本実施形態の製造方法による第2プレス工程後の中間成形品の外観を示す斜視図である。なお、図4A〜図5には、構成の理解を容易にするため、下型40及び41も表示する。
図6A〜図6Dは、最初に絞り成形による凸対応領域の成形を行った場合の一例を示す図である。これらの図のうち、図6Aはプレス成形品の外観を示す斜視図である。図6Bは図6Aの線VIB−VIBにおける断面図であり、図6Cは図6Aの線VIC−VICにおける断面図であり、図6Dは図6Aの線VID−VIDにおける断面図である。図7は、絞り成形による凸対応領域の成形を行った後に、曲げ成形による凹対応領域の成形を行った場合のプレス成形品の外観を示す斜視図である。なお、図6A〜図7には、構成の理解を容易にするため、下型50及び51も表示する。
本実施形態の製造方法のように、最初に曲げ成形による凹対応領域の成形を行った場合、図4A〜図4Dに示すように、凹対応領域43aと凸対応領域43bとの境界付近において、縦壁部43が張り出す。この張り出しは比較的小さい。そのため、その後に絞り成形による凸対応領域の成形を行うと、その縦壁部43の張り出しは、適度な張力を与えられながら成形される。これにより、図5に示すように、凹対応領域43aと凸対応領域43bとの境界付近にシワは発生しない。
これに対し、最初に絞り成形による凸対応領域の成形を行った場合、図6A〜図6Dに示すように、凹対応領域53aと凸対応領域53bとの境界付近において、縦壁部53が張り出す。この張り出しは比較的大きい。ブランクが張力を与えられながら成形されるからである。そして、その後に曲げ成形による凹対応領域の成形を行うと、その縦壁部53の張り出しは、その位置で押さえ込まれる。これにより、図7に示すように、凹対応領域53aと凸対応領域53bとの境界付近にシワが発生する。
したがって、シワの発生を抑制するためには、本実施形態の製造方法のように、最初に曲げ成形による凹対応領域の成形を行い、その後に絞り成形による凸対応領域の成形を行うことが重要である。
本実施形態のプレス成形品1の材料は、降伏強度(YS)が400MPa以上の鋼板とすることが可能である。より好ましくは、プレス成形品1は、降伏強度(YS)が600MPa以上の鋼板である。その理由は以下のとおりである。降伏強度が低い材料は、低い応力で塑性変形しやすい。そのため、金型によるプレス成形によってシワが生じた領域が塑性変形して金型になじむため、シワが生じにくい。一方、引張強度が高い材料は、塑性変形しにくいためシワが生じやすい。
本実施形態のプレス成形品1に成形されるブランクは、板厚が0.8〜1.6mmの鋼板とすることが可能である。また、本実施形態のプレス成形品1は、シワが発生しやすい条件の上記式(1)〜(6)の条件を満たすことが可能である。
その他本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態では、第2プレス工程後の中間成形品における凹対応縦壁領域の高さが、最終製品のプレス成形品における凹対応縦壁領域の高さよりも低くなるように、第1及び第2プレス工程で用いるパンチ及びダイの寸法が設定されている。これに対し、第2プレス工程後の中間成形品における凸対応縦壁領域の高さが、最終製品のプレス成形品における凸対応縦壁領域の高さよりも低くなるように、第1及び第2プレス工程で用いるパンチ及びダイの寸法が設定されてもよい。いずれの場合でも第3プレス工程が必要となる。
第2プレス工程後の中間成形品における縦壁部の全ての領域の高さが、最終製品のプレス成形品における縦壁部の全ての領域の高さと一致するように、第1及び第2プレス工程で用いるパンチ及びダイの寸法が設定されてもよい。この場合、第3プレス工程は省略できる。
上記の実施形態では、プレス成形品は長手方向の全域にわたってハット形の断面をしているが、一部あるいは全域にわたってフランジの無い溝形断面形状であってもよい。本発明では、凹対応領域や平坦領域はブランクホルダを用いて絞り成形を施す必要が無いため、溝形断面でもシワ等の不具合は特段生じない。また、凸対応領域にはブランクホルダを用いる絞り成形を施すが、成形下死点近くでフランジが無くなる程度まで絞り抜いても良いし、本発明の工程後に、トリム金型やレーザー切断によって切除することで、溝形断面形状としても良い。
上記の実施形態では、第3プレス工程で用いる第3プレス装置は、パンチ、ダイ及びパッドを備える。ただし、第3プレス装置のパッドはダイと一体化してもよい。
第1〜第3プレス装置において、上型及び下型の配置は上下で反転してもよい。
本実施形態の製造方法の効果を確認するために、図1Aに示すプレス成形品の製造を想定したコンピュータシミュレーションを実施した。本発明例では、最初に凹対応領域を曲げ成形し、次に凸対応領域を絞り成形した(図2A〜図2C参照)。比較例1では、1回のプレス工程でプレス成形品を成形した。比較例2では、最初に凸対応領域を絞り成形し、次に凹対応領域を曲げ成形した(図6A〜図7参照)。各シミュレーションにおいて、プレス成形品のひずみを解析し、シワの発生の有無を評価した。
各シミュレーションにおいて、諸条件は以下のとおりとした。ブランクの降伏強度YPは、843MPaであった。ブランクの板厚は、1.80mmであった。凹形稜線の曲率半径は、500mmであった。凹形稜線の中心角θaは、38°であった。凹対応縦壁領域の高さHaは、30mmであった。凸形稜線曲率半径Rbは、500mmであった。凸形稜線の中心角θbは、38°であった。凸対応縦壁領域の高さHbは、50mmであった。凹形稜線中央部から凸形稜線中央部までの直線距離Lは、300mmであった。
各シミュレーションにおいて、板厚減少率の大きさが−0.18以下(増肉)であればシワが発生したと判断した。
表1は、本実施例のシミュレーション結果を示す表である。表1中、文字「E(Excellent)」は、シワが発生しなかったことを意味する。表1中、文字「NA(Not Acceptable)」は、シワが発生したことを意味する。
Figure 0006288381
表1を参照して、本発明例ではシワは発生しなかった。比較例1及び比較例2では、シワが発生した。
本発明のプレス成形品の製造方法は、高強度化が求められる自動車用のプレス成形品の製造に有効に利用できる。
1:プレス成形品
2:天板部
2a:凹領域
2b:凸領域
2c:平坦領域
2d:平坦領域
3:縦壁部
3a:凹対応縦壁領域
3b:凸対応縦壁領域
4:フランジ部
4a:凹対応フランジ領域
4b:凸対応フランジ領域
6:稜線
6a:凹形稜線
6b:凸形稜線
11:ブランク
12:第1パンチ
13:第1ダイ
14:第1パッド
21:中間成形品
22:第2パンチ
23:第2ダイ
24:ブランクホルダ
31:中間成形品
32:第3パンチ
33:第3ダイ
34:第3パッド

Claims (6)

  1. 2本の稜線と、前記2本の稜線に挟まれた天板部と、前記天板部から前記稜線を介して伸びる2つの縦壁部と、を備えたプレス成形品の製造方法であって、
    前記2本の稜線はそれぞれ前記縦壁部の内側に向かって凸に湾曲する凹形稜線と、前記縦壁部の外側に向かって凸に湾曲する凸形稜線と、を含み、
    前記凹形稜線の中央部と前記凸形稜線の中央部との間の直線距離は、前記2本の稜線の間隔の15倍以内であって、
    前記天板部は、前記凹形稜線に挟まれた凹領域と、前記凸形稜線に挟まれた凸領域と、を含み、
    前記縦壁部は、前記凹形稜線に隣接する凹対応縦壁領域と、前記凸形稜線に隣接する凸対応縦壁領域と、を含み、
    前記製造方法は、
    金属板のブランクを第1パンチの頂部の両側からはみ出して配置する配置工程と、
    前記第1パンチ、パッド及び第1ダイを用いて前記ブランクに、前記凹形稜線と、前記凹領域と、前記凹対応縦壁領域の前記凹形稜線に隣接する領域と、を曲げ成形し、中間成形品を得る第1プレス工程と、
    第2パンチ、第2ダイ及びブランクホルダを用いて、前記中間成形品に、前記凸形稜線と、前記凸領域と、前記凸対応縦壁領域の前記凸形稜線に隣接する領域と、を絞り成形する第2プレス工程と、を含むプレス成形品の製造方法。
  2. 請求項1に記載のプレス成形品の製造方法であってさらに、
    前記第2プレス工程の後、前記縦壁部の前記稜線と反対側にある第2稜線を前記縦壁部の外側に向かって移動する曲げ成形を施す第3プレス工程を含む、プレス成形品の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のプレス成形品の製造方法であって、
    前記ブランクが鋼板であり、前記ブランクの降伏強度が400MPa以上である、プレス成形品の製造方法。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法であって、
    前記ブランクが鋼板であり、前記ブランクの降伏強度が600MPa以上である、プレス成形品の製造方法。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法であって、
    前記ブランクの板厚が0.8〜1.6mmである、プレス成形品の製造方法。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法であって、
    下記式(6)の条件を満たす、プレス成形品の製造方法。
    0.011 <t/W< 0.032 (6)
    上記の式における各記号の意味は次のとおりである:
    t[mm]、ブランクの板厚;
    W[mm]、2本の稜線の間隔。
JP2017535859A 2016-03-28 2017-03-28 プレス成形品の製造方法 Active JP6288381B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016063058 2016-03-28
JP2016063058 2016-03-28
PCT/JP2017/012609 WO2017170533A1 (ja) 2016-03-28 2017-03-28 プレス成形品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6288381B1 true JP6288381B1 (ja) 2018-03-07
JPWO2017170533A1 JPWO2017170533A1 (ja) 2018-04-05

Family

ID=59965829

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017535859A Active JP6288381B1 (ja) 2016-03-28 2017-03-28 プレス成形品の製造方法

Country Status (11)

Country Link
US (1) US10596611B2 (ja)
EP (1) EP3437751B1 (ja)
JP (1) JP6288381B1 (ja)
KR (1) KR101940972B1 (ja)
CN (1) CN108883455B (ja)
BR (1) BR112018068949A2 (ja)
CA (1) CA3018484C (ja)
ES (1) ES2776885T3 (ja)
MX (1) MX2018011781A (ja)
RU (1) RU2693402C1 (ja)
WO (1) WO2017170533A1 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6515961B2 (ja) * 2017-08-02 2019-05-22 Jfeスチール株式会社 プレス成形品の製造方法
CN107790561B (zh) * 2017-11-30 2023-05-26 江苏语诣光电科技有限公司 一种透镜支架制造模具及其工艺
KR102356422B1 (ko) * 2018-02-28 2022-02-08 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 프레스 부품의 제조 방법, 프레스 성형 장치 및, 프레스 성형용의 금속판
WO2019167793A1 (ja) 2018-02-28 2019-09-06 Jfeスチール株式会社 プレス部品の製造方法、プレス成形装置、及びプレス成形用の金属板
JP6648870B1 (ja) * 2018-05-11 2020-02-14 日本製鉄株式会社 鞍型プレス成形品の製造方法、プレス成形装置、及び鞍型プレス成形品を製造する製造方法
JP6677289B1 (ja) * 2018-12-12 2020-04-08 Jfeスチール株式会社 プレス成形方法
JP6733772B1 (ja) * 2019-04-22 2020-08-05 Jfeスチール株式会社 プレス成形方法
JP6733773B1 (ja) * 2019-04-22 2020-08-05 Jfeスチール株式会社 プレス成形方法
JP7310712B2 (ja) * 2020-05-23 2023-07-19 Jfeスチール株式会社 プレス成形方法
JP6923043B1 (ja) * 2020-05-23 2021-08-18 Jfeスチール株式会社 プレス成形方法
JP6923044B1 (ja) * 2020-05-23 2021-08-18 Jfeスチール株式会社 プレス成形金型、プレス成形方法
JP7445130B2 (ja) * 2020-06-16 2024-03-07 日本製鉄株式会社 せん断変形特性評価方法
US11642712B1 (en) * 2022-02-24 2023-05-09 GM Global Technology Operations LLC Method of manufacturing vehicle body structure component to include reinforced regions
GB2623337A (en) * 2022-10-13 2024-04-17 Cambridge Entpr Ltd Working of sheet metal

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010064139A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Nippon Steel Corp 形状凍結性に優れる多段プレス成形方法
WO2014042067A1 (ja) * 2012-09-12 2014-03-20 新日鐵住金株式会社 湾曲部品の製造方法および自動車のボディシェルの骨格構造部材
WO2015046023A1 (ja) * 2013-09-24 2015-04-02 新日鐵住金株式会社 ハット形断面部品の製造装置
JP2016002560A (ja) * 2014-06-16 2016-01-12 Jfeスチール株式会社 冷間プレス成形方法

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SU1329868A1 (ru) * 1984-05-11 1987-08-15 Предприятие П/Я В-2453 Способ выт жки изделий и штамп дл его осуществлени
RU2057606C1 (ru) * 1992-10-20 1996-04-10 Челябинский государственный технический университет Способ изготовления профилей
WO2004103601A1 (ja) * 1999-07-22 2004-12-02 Jiro Iwaya プレス成形体およびプレス成形方法
JP2002001445A (ja) * 2000-06-16 2002-01-08 Fuji Heavy Ind Ltd プレス成形方法
JP4693475B2 (ja) * 2005-04-14 2011-06-01 アイダエンジニアリング株式会社 プレス成形方法およびそれに用いる金型
EA012124B1 (ru) * 2007-08-07 2009-08-28 Общество С Дополнительной Ответственностью "Кузовные Детали" Способ формообразования изделий из листового материала и приспособление для его осуществления
JP4920649B2 (ja) * 2008-09-12 2012-04-18 新日本製鐵株式会社 形状凍結性に優れる多段プレス成形方法
WO2014050973A1 (ja) 2012-09-27 2014-04-03 新日鐵住金株式会社 センターピラーリンフォースメントの製造方法
US9878362B2 (en) * 2012-12-19 2018-01-30 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Press-forming tool and method for manufacturing press-formed product
KR101718269B1 (ko) * 2013-01-07 2017-03-20 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 프레스 성형품의 제조 방법
CN104936717B (zh) * 2013-01-21 2016-11-30 杰富意钢铁株式会社 具有立体边缘的金属部件的制造方法以及制造用模具
JP5664810B1 (ja) * 2013-06-27 2015-02-04 Jfeスチール株式会社 プレス成形方法及び装置
JP5683658B1 (ja) * 2013-08-28 2015-03-11 株式会社 ディー・エヌ・エー デジタルコンテンツの再生サービスを提供するサーバ及び方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010064139A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Nippon Steel Corp 形状凍結性に優れる多段プレス成形方法
WO2014042067A1 (ja) * 2012-09-12 2014-03-20 新日鐵住金株式会社 湾曲部品の製造方法および自動車のボディシェルの骨格構造部材
WO2015046023A1 (ja) * 2013-09-24 2015-04-02 新日鐵住金株式会社 ハット形断面部品の製造装置
JP2016002560A (ja) * 2014-06-16 2016-01-12 Jfeスチール株式会社 冷間プレス成形方法

Also Published As

Publication number Publication date
KR20180122730A (ko) 2018-11-13
US10596611B2 (en) 2020-03-24
US20190030583A1 (en) 2019-01-31
BR112018068949A2 (pt) 2019-01-22
ES2776885T3 (es) 2020-08-03
EP3437751A1 (en) 2019-02-06
CN108883455A (zh) 2018-11-23
CN108883455B (zh) 2019-09-24
CA3018484A1 (en) 2017-10-05
JPWO2017170533A1 (ja) 2018-04-05
EP3437751A4 (en) 2019-06-26
EP3437751B1 (en) 2020-02-12
MX2018011781A (es) 2018-12-17
WO2017170533A1 (ja) 2017-10-05
CA3018484C (en) 2019-04-30
KR101940972B1 (ko) 2019-01-21
RU2693402C1 (ru) 2019-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6288381B1 (ja) プレス成形品の製造方法
JP5836972B2 (ja) L形製品の製造方法
JP6281670B1 (ja) プレス部品の製造方法および製造装置
AU2011255898C1 (en) Method for press-forming l-shaped components
KR101718269B1 (ko) 프레스 성형품의 제조 방법
TWI619564B (zh) 壓製成形品之製造方法及壓製模具
JP6315163B1 (ja) プレス成形品の製造方法および製造装置
JPWO2014042067A1 (ja) 湾曲部品の製造方法及び湾曲部品の製造装置
JP2011206789A (ja) プレス成形方法
CA2961188A1 (en) Producing method, producing apparatus and producing equipment line of press formed product
CN111727089B (zh) 冲压部件的制造方法、冲压成型装置和冲压成型用的金属板
JPWO2019167791A1 (ja) プレス成形用の金属板、プレス成形装置及びプレス部品の製造方法
JP6729841B1 (ja) プレス成形方法およびプレス装置
JP5079604B2 (ja) 金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型およびプレス成形方法
US10858048B2 (en) Structural member and method of production of same
JP2007175760A (ja) 金属薄板プレス成形品とその製造方法
JP2020049494A (ja) プレス成形部品の製造方法、及びプレス成形部品
WO2021125290A1 (ja) プレス成形品の製造方法およびプレス成形装置、プレス成形ライン
JP2021169119A (ja) プレス部品の製造方法、プレス成形用の金属板、及び高張力鋼板
JP2022139302A (ja) プレス成形品の製造方法および製造装置
KR20220134017A (ko) 프레스 부품의 제조 방법, 프레스 성형용의 금속판, 및 고장력 강판
JP2020082180A (ja) プレス成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180122

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6288381

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350