JP7421471B2 - 補酵素q10の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は補酵素Q10の製造方法に関する。さらに詳しくは、微生物からの疎水性有機溶媒抽出液を冷却して、析出した固形分を分離除去する補酵素Q10の製造方法に関する。
補酵素Qは、細菌から哺乳動物まで広く生体に分布する必須成分であり、生体内の細胞中におけるミトコンドリアの電子伝達系構成成分として知られている。補酵素Qは、ミトコンドリア内で酸化と還元を繰り返すことで、電子伝達系における伝達成分としての機能を担っているほか、還元型補酵素Qは抗酸化作用を持つことが知られている。ヒトの補酵素Qは、補酵素Qの側鎖に、繰り返し構造を10個持つ補酵素Q10が主成分であり、生体内においては、通常、40~90%程度が還元型として存在している。補酵素Qの生理的作用としては、ミトコンドリア賦活作用によるエネルギー生産の活性化、心機能の活性化、細胞膜の安定化効果、抗酸化作用による細胞の保護効果等が挙げられている。
現在製造・販売されている補酵素Q10の多くは酸化型であるが、近年では、酸化型補酵素Q10に比べて高い経口吸収性を示す還元型補酵素Q10も市場に登場し、広く用いられるようになってきている。
補酵素Q10を製造するには、いくつかの方法が知られている。例えば、特許文献1には、還元型補酵素Q10を含有する溶液を47℃を超える温度で少なくとも60分間保持する工程と、その後結晶化する工程(具体的には、冷却晶析、貧溶媒晶析、または冷却晶析と他の晶析方法を組み合わせた方法)を有する還元型補酵素Q10の製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、親水性溶媒と補酵素Q含有物とを水の存在下で接触させる抽出処理、および該抽出処理で得られた補酵素Q抽出液中の補酵素Qを疎水性吸着剤に吸着させる吸着処理とを繰り返す補酵素Qの製造法が記載されている。
また、特許文献3では、補酵素Q10生産微生物の抽出液を、ケイ酸アルミニウムを主成分とする吸着剤単独あるいは前記吸着剤とそれとは異なる吸着剤を併用する複数の吸着剤と接触させる補酵素Q10の製造方法が記載されている。ケイ酸アルミニウムを主成分とする吸着剤として、例えば活性白土等が用いられている。特許文献3の方法によれば、補酵素Q10生産微生物の抽出液から微生物由来の不純物を効率的に除去することで、簡潔かつ安定的に操作運転するための補酵素Q10製造方法が提供できる旨記載されている。
さらに特許文献4には、補酵素Q10を含有する光合成細菌の菌体から、親水性有機溶媒で補酵素Q10を抽出し、抽出液中の含水量を調整し、冷却して補酵素Q10を沈殿させ、沈殿部分を採取する補酵素Q10の精製方法が記載されている。
特開2015-131766号公報 特開昭59-173088号公報 WO2018/003974 特開昭57-63094号公報
しかしながら、上記従来の方法では、安定的かつ安価に、補酵素Q10を簡便で大量生産するには、まだ改善の余地がある。
例えば、特許文献1の方法では、補酵素Q10生産微生物からの抽出液などに不純物が多く共存している場合には、晶析だけでは純度の高い補酵素Q10を得ることは難しい。そのため、晶析による精製が可能な場合でも晶析の操作温度等の操作条件を厳密に制御する必要があり、結晶化の工程に要する時間が長くなるなどの問題点がある。
また、特許文献2の吸着方法では、補酵素Q10自体を吸着剤に吸着することを目的としており、補酵素Q10を得るためには、吸着処理後、さらに脱着用の溶媒を用いて吸着剤より補酵素Qを脱着溶出させる工程が必要となる。
加えて、特許文献3では、不純物除去を目的に吸着剤を使用しているが、その分の原料費アップや、処理後の吸着剤を廃棄した場合に廃棄物量が増加すること、あるいは吸着剤を再生させる設備やエネルギーの問題など、解決すべき課題が多い。
一方、特許文献4の方法は、補酵素Q10生産微生物が脂溶性の不純物量の少ない光合成細菌に限定されており、その場合においても、純度の高い補酵素Q10を得るためにはその収率を犠牲にしなければいけないなどの問題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、補酵素Q10生産微生物の抽出液から微生物由来の不純物を効率的に除去して、且つ、高収率で、簡潔かつ安定的に操作運転可能な補酵素Q10製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前述の課題解決のために鋭意検討を行った。その結果、重量基準で50ppm以上1%以下の水分含量である補酵素Q10生産微生物の疎水性抽出液またはその濃縮抽出液(以下、単に抽出液と呼ぶ場合がある。)を冷却するだけで、補酵素Q10以外の不純物を固形分として析出させ、析出した固形分を分離除去する分離工程に供することで、活性白土等の副原料を使用しなくとも、収率の高い補酵素Q10を効率よく精製できるということを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明に係る補酵素Q10の製造方法の構成は以下のとおりである。
1.重量基準で水分含量50ppm以上1%以下の補酵素Q10生産微生物の疎水性有機溶媒抽出液またはその濃縮抽出液を冷却する冷却工程、および
析出した固形分を分離除去する分離工程を有する補酵素Q10の製造方法。
2.補酵素Q10生産微生物の疎水性有機溶媒抽出液を、アルカリ水溶液と接触混合した後に、水洗し、それを濃縮した濃縮抽出液を冷却工程に供する上記1に記載の製造方法。
3.分離工程で得られた前記固形分を、前記アルカリ水溶液と接触混合させる前の抽出液に添加した後、アルカリ水溶液と接触混合し、水洗し、冷却工程に供することを繰り返すか、または
分離工程で得られた前記固形分を、前記アルカリ水溶液と接触混合した後の抽出液に添加した後、水洗し、冷却工程に供することを繰り返す上記2に記載の製造方法。
4.冷却工程における前記冷却温度が、20℃以下である上記1~3のいずれかに記載の製造方法。
5.冷却工程における前記冷却時の抽出液又は濃縮抽出液中の補酵素Q10の濃度が0.1g/L以上300g/L以下である上記1~4のいずれかに記載の製造方法。
6.前記疎水性有機溶媒が、炭化水素及び/又は脂肪酸エステルである上記1~5のいずれかに記載の製造方法。
7.分離工程における前記固形分の分離除去方法が、回転式フィルターを用いるものである上記1~6のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、補酵素Q10を含む微生物由来の疎水性有機溶媒抽出液を、冷却し、析出した固形分を分離するだけで、不純物を簡便に除去でき、高品質の補酵素Q10を高収率で、作業性および経済性の面でも良好に得ることができる。
以下に本発明の補酵素Q10の製造方法の一形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の製造方法は、重量基準で水分含量50ppm以上1%以下の補酵素Q10生産微生物の疎水性有機溶媒抽出液またはその濃縮抽出液を冷却する冷却工程、および析出した固形分を分離除去する分離工程を有することを特徴とする。
(1)本発明で用いる補酵素Q10生産微生物
補酵素Q10には、酸化型と還元型が存在する。本発明は、補酵素Q10として、酸化型補酵素Q10、還元型補酵素Q10のいずれをも対象とし、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10の混合物である補酵素Q10もその対象である。本発明で用いる補酵素Q10が還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10の混合物である場合の還元型補酵素Q10含有比率も特に限定されない。なお、本明細書において、補酵素Q10とのみ記載した場合はその種類を問わず、酸化型補酵素Q10、還元型補酵素Q10、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10の混合物の全てを表すものである。
本発明で用いる補酵素Q10生産微生物としては、補酵素Q10を微生物内に生産する微生物であれば、細菌、酵母、カビのいずれも制限無く使用することができる。上記微生物としては、具体的には、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アセトバクター(Acetobacter)属、アミノバクター(Aminobacter)属、アグロモナス(Agromonas)属、アシドフィラス(Acidiphilium)属、ブレロミセス(Bulleromyces)属、ブレラ(Bullera)属、ブレブンジモナス(Brevundimonas)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、キオノスファエラ(Chionosphaera)属、カンジタ(Candida)属、セリノステルス(Cerinosterus)属、エキソフィアラ(Exisophiala)属、エキソバシジウム(Exobasidium)属、フィロミセス(Fellomyces)属、フィロバシジエラ(Filobasidiella)属、フィロバシジウム(Filobasidium)属、ゲオトリカム(Geotrichum)属、グラフィオラ(Graphiola)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、コッコバエラ(Kockovaella)属、クルツマノミセス(Kurtzmanomyces)属、ララリア(Lalaria)属、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)属、レギオネラ(Legionella)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、ミコプラナ(Mycoplana)属、オースポリジウム(Oosporidium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、シュドジマ(Psedozyma)属、パラコッカス(Paracoccus)属、ペトロミセス(Petromyc)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、リゾモナス(Rhizomonas)属、ロドビウム(Rhodobium)属、ロドプラネス(Rhodoplanes)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属、スポリジオボラス(Sporidiobolus)属、サイトエラ(Saitoella)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属、スポトリクム(Sporotrichum)属、シンポジオミコプシス(Sympodiomycopsis)属、ステリグマトスポリジウム(Sterigmatosporidium)属、タファリナ(Tapharina)属、トレメラ(Tremella)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、チレチアリア(Tilletiaria)属、チレチア(Tilletia)属、トリポスポリウム(Tolyposporium)属、チレチオプシス(Tilletiopsis)属、ウスチラゴ(Ustilago)属、ウデニオミセス(Udeniomyce)属、キサントフィロミセス(Xanthophllomyces)属、キサントバクテリウム(Xanthobacter)属、ペキロマイセス(Paecilomyces)属、アクレモニウム(Acremonium)属、ハイホモナス(Hyhomonus)属、リゾビウム(Rhizobium)属、ファフィア(Phaffia)属、ヘマトコッカス(Haematococcus)属等の微生物を挙げることができる。
これらのうち培養の容易さや生産性の観点からは、細菌または酵母が好ましい。細菌では非光合成細菌がより好ましく、さらには、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属等が特に好ましい例として挙げられる。また酵母ではシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、サイトエラ(Saitoella)属、ファフィア(Phaffia)属等が特に好ましい例として挙げられる。
なお、補酵素Q10として、還元型補酵素Q10を製造する目的においては、生産される補酵素Q10中の還元型補酵素Q10含有比率の高い微生物を用いることが好ましく、例えば培養後の補酵素Q10に占める還元型補酵素Q10含有比率(重量%基準)として好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上となる微生物を用いることがより好ましい。
本発明で用いる補酵素Q10生産微生物としては、上記微生物の野生株のみならず、例えば、上記微生物の目的とする補酵素Q10の生合成に関与する遺伝子の転写及び翻訳活性、或いは発現蛋白質の酵素活性を、改変或いは改良した変異体や組換え体も使用することができる。
上記微生物を培養することで、補酵素Q10を含有する微生物細胞を得ることができる。培養方法は特に限定されず、対象となる微生物に適した、あるいは目的とする補酵素Q10の生産に適した培養方法が適宜選択し得る。培養期間も特に限定されず、微生物細胞中に目的とする補酵素Q10が所望の量蓄積される期間であればよい。
本発明の製造方法において、上記微生物細胞から補酵素Q10を抽出する方法として、微生物細胞から直接補酵素Q10を抽出することもできるが、その前処理として、前記微生物細胞を破砕して微生物細胞破砕物又は微生物細胞破砕物の水性懸濁液とし、該破砕物又は微生物細胞破砕物の水性懸濁液から抽出することもできる。あるいは、その前処理として、微生物細胞を乾燥させて、該乾燥微生物細胞から抽出することもできる。なお、本発明における上記「破砕」においては、目的とする補酵素Q10の抽出が可能となる程度に細胞壁等の表面構造が損傷を受ければよい。
本発明で用いる破砕方法としては、例えば、物理的処理、化学的処理等を挙げることができる。
上記物理的処理としては、例えば、高圧ホモジナイザー、回転刃式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、フレンチプレス、ボールミル等の使用;あるいは、これらの組み合わせを挙げることができる。
上記化学的処理としては、例えば、塩酸、硫酸等の酸(好ましくは強酸)を用いる処理、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の塩基(好ましくは強塩基)を用いる処理等、或いは、これらの組み合わせを挙げることができる。
本発明において、補酵素Q10の抽出・回収の前処理としての細胞破砕方法としては、上記破砕方法の中でも、破砕効率の点から物理的処理がより好ましい。
上記の細胞破砕に用いる微生物細胞の形態は、培養液または培養液を濃縮したもの、培養液から微生物細胞を湿微生物として採取したもの、これらを洗浄したもの、湿微生物を溶剤(例えば、水、生理食塩水、緩衝液等も含む)に懸濁したもの等であってよいが、好ましくは微生物細胞の水性懸濁液であり、操作性等の面から、より好ましくは、培養液または培養液を濃縮したものや、これらを洗浄したものである。
微生物細胞破砕物の水性懸濁液中の微生物濃度は、特に制限されないが、微生物の乾燥重量に換算して通常1~25重量%の範囲であり、経済的には10~20重量%の範囲で実施するのが好ましい。
(2)補酵素Q10生産微生物から補酵素Q10の抽出
上記補酵素Q10生産微生物から補酵素Q10を、有機溶媒を用いて抽出する。詳細には本発明では、後述する冷却工程において、冷却時に使用される溶媒(冷却時の抽出液または濃縮抽出液の溶媒)としては疎水性の有機溶媒を使用する必要があるが、補酵素Q10生産微生物から補酵素Q10の抽出(微生物由来成分の抽出)に用いる有機溶媒としては特に限定されず、疎水性、親水性いずれをも利用できる。抽出時に疎水性有機溶媒を使用することで、抽出液やその濃縮液をそのまま冷却工程に供することが出来るため好ましい。
ここで、補酵素Q10の抽出に用いる有機溶媒としては、例えば、炭化水素、脂肪酸エステル、エーテル、アルコール、脂肪酸、ケトン、窒素化合物(ニトリル、アミドを含む)、硫黄化合物等を挙げることができる。
上記炭化水素としては、特に制限されないが、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。このなかでも脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素が好ましく、脂肪族炭化水素がより好ましい。
上記脂肪族炭化水素としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。通常、炭素数3~20、好ましくは炭素数5~12、より好ましくは炭素数5~8のものが用いられる。具体例としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2-メチルブタン、ヘキサン、2-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、ヘプタン、ヘプタン異性体(例えば、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン)、オクタン、2,2,3-トリメチルペンタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5-トリメチルヘキサン、デカン、ドデカン、2-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p-メンタン、シクロヘキセン等を挙げることができる。好ましくは、ペンタン、2-メチルブタン、ヘキサン、2-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、オクタン、2,2,3-トリメチルペンタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5-トリメチルヘキサン、デカン、ドデカン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p-メンタン等である。より好ましくは、ペンタン、2-メチルブタン、ヘキサン、2-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、オクタン、2,2,3-トリメチルペンタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等であり、さらに好ましくは、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等であり、特に好ましくは、酸化からの防護効果が特に高いという点や汎用性の点から、ヘプタン、ヘキサン、メチルシクロヘキサンであり、最も好ましくはヘプタン、ヘキサンである。
上記芳香族炭化水素としては、特に制限されないが、通常、炭素数6~20、好ましくは炭素数6~12、より好ましくは炭素数7~10のものが用いられる。具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p-シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、スチレン等を挙げることができる。好ましくは、トルエン、キシレン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p-シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン等である。より好ましくは、トルエン、キシレン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、クメン、テトラリン等である。最も好ましくは、クメンである。
上記ハロゲン化炭化水素としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、非環状のものが好ましく用いられる。より好ましくは塩素化炭化水素、フッ素化炭化水素であり、さらに好ましくは塩素化炭化水素である。また、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4、より好ましくは炭素数1~2のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1,1,2-テトラクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2-ジクロロプロパン、1,2,3-トリクロロプロパン、クロロベンゼン,1,1,1,2-テトラフルオロエタン等を挙げることができる。好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン等である。より好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン等である。
上記脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、プロピオン酸エステル、酢酸エステル、ギ酸エステル等を挙げることができる。好ましくは、酢酸エステル、ギ酸エステルであり、より好ましくは酢酸エステルである。エステル基としては、特に制限されないが、通常、炭素数1~8のアルキルエステル、炭素数7~12のアラルキルエステルが、好ましくは炭素数1~6のアルキルエステルが、より好ましくは炭素数1~4のアルキルエステルが用いられる。
上記プロピオン酸エステルの具体例としては、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル等を挙げることができる。好ましくはプロピオン酸エチル等である。
上記酢酸エステルの具体例としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec-ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル等を挙げることができる。好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec-ヘキシル、酢酸シクロヘキシル等である。より好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等であり、最も好ましくは、酢酸エチルである。
上記ギ酸エステルの具体例としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec-ブチル、ギ酸ペンチル等を挙げることができる。好ましくは、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル等である。最も好ましくは、ギ酸エチルである。
上記エーテルとしては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。通常、炭素数3~20、好ましくは炭素数4~12、より好ましくは炭素数4~8のものが用いられる。具体例としては、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、フラン、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等である。より好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等である。さらに好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、アニソール等であり、最も好ましくは、メチルtert-ブチルエーテルである。
上記アルコールとしては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。通常、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~12、より好ましくは炭素数1~6である。なかでも、炭素数1~5の1価アルコール、炭素数2~5の2価アルコール、炭素数3の3価アルコールが好ましい。
上記アルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサノール、4-メチルシクロヘキサノール等の1価アルコール;1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコールを挙げることができる。
上記1価アルコールとしては、好ましくは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサノール、4-メチルシクロヘキサノール等である。より好ましくは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、シクロヘキサノール等である。さらに好ましくは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール等である。特に好ましくは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、イソペンチルアルコール等であり、最も好ましくは、2-プロパノールである。
上記2価アルコールとしては、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール等が好ましく、1,2-エタンジオールが最も好ましい。3価アルコールとしては、グリセリンが好ましい。
上記脂肪酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等を挙げることができる。好ましくは、ギ酸、酢酸であり、最も好ましくは酢酸である。
上記ケトンとしては、特に制限されず、炭素数3~6のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることができる。好ましくは、アセトン、メチルエチルケトンであり、最も好ましくはアセトンである。
上記ニトリルとしては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に飽和のものが好ましく用いられる。通常、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~12、より好ましくは炭素数2~8のものが用いられる。
上記ニトリルの具体例としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、マロノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプチルシアニド、オクチルシアニド、ウンデカンニトリル、ドデカンニトリル、トリデカンニトリル、ペンタデカンニトリル、ステアロニトリル、クロロアセトニトリル、ブロモアセトニトリル、クロロプロピオニトリル、ブロモプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、トルニトリル、ベンゾニトリル、クロロベンゾニトリル、ブロモベンゾニトリル、シアノ安息香酸、ニトロベンゾニトリル、アニソニトリル、フタロニトリル、ブロモトルニトリル、メチルシアノベンゾエート、メトキシベンゾニトリル、アセチルベンゾニトリル、ナフトニトリル、ビフェニルカルボニトリル、フェニルプロピオニトリル、フェニルブチロニトリル、メチルフェニルアセトニトリル、ジフェニルアセトニトリル、ナフチルアセトニトリル、ニトロフェニルアセトニトリル、クロロベンジルシアニド、シクロプロパンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、シクロヘプタンカルボニトリル、フェニルシクロヘキサンカルボニトリル、トリルシクロヘキサンカルボニトリル等を挙げることができる。
これらのうち好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、ベンゾニトリル、トルニトリル、クロロプロピオニトリルであり、より好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルであり、最も好ましくは、アセトニトリルである。
上記ニトリル以外の窒素化合物としては、例えば、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類やニトロメタン、トリエチルアミン、ピリジン等を挙げることができる。
上記硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げることができる。
上述した補酵素Q10の抽出に用いる有機溶媒は、沸点、融点、粘性等の性質を考慮して選定するのが好ましい。例えば、沸点としては、溶解度を高めるための適度な加温ができ、且つ、溶媒回収や置換が行いやすいという観点から、1気圧下、約30~150℃の範囲が好ましく;融点としては、室温での取り扱い時及び室温以下に冷却した時も固化しにくいという観点から、約0℃以上、好ましくは約10℃以上、より好ましくは約20℃以上であり;粘性は20℃において約10cP以下と低い方が好ましい。
特に本発明の製造方法では、後述する冷却工程において、冷却時の溶媒として疎水性有機溶媒を用いることから、上記補酵素Q10生産微生物からの補酵素Q10の抽出に用いる有機溶媒も、上記冷却時と同じ疎水性有機溶媒を用いることが好ましい。これにより、その後の工程において、溶媒置換などが不要となる。
上記補酵素Q10を抽出するために使用される疎水性有機溶媒としては、特に制限されず、上述の有機溶媒のうち疎水性のものを使用できるが、好ましくは、炭化水素、脂肪酸エステル、エーテル等の疎水性有機溶媒であり、さらに好ましくは脂肪酸エステル又は炭化水素であり、これらは単独で用いても良いし、併用しても良い。より好ましくは脂肪族炭化水素を用いることができる。上記脂肪族炭化水素のなかでも、炭素数5~8のものが好適に用いられる。上記炭素数5~8の脂肪族炭化水素の具体例としては、例えば、ペンタン、2-メチルブタン、ヘキサン、2-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、オクタン、2,2,3-トリメチルペンタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等を挙げることができる。特に好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサンであり、最も好ましくは、ヘキサンである。また脂肪酸エステルとしては、酢酸エチルが好ましく用いられる。
上記補酵素Q10を抽出するために使用される疎水性有機溶媒は、上記疎水性溶媒を主成分として含有するものであっても良く、例えば上記疎水性有機溶媒に少量の親水性有機溶媒(例えばイソプロパノールなどのアルコール)または界面活性剤を含んでいても良い。これにより、補酵素Q10の抽出効率が一層高められる。ここで「主成分とする」とは、全溶媒の容量に対して、上記疎水性有機溶媒の比率が50容量%以上であるもの(好ましくは、60容量%以上)を意味する。
本発明の製造方法において、抽出溶媒の使用量は、特に制限はされないが、抽出時の濃度として、全溶液の容量に対して、25~80容量%が好ましく、50~75容量%がより好ましい。
また本発明の製造方法において、上記抽出時の温度は、特に制限されないが、通常0~60℃、好ましくは20~50℃の範囲で実施できる。
上記抽出方法としては、回分抽出、連続抽出のどちらの方法でも行うことができるが、工業的には連続抽出が生産性の面で好ましく、連続抽出の中でも向流多段抽出が特に好ましい。回分抽出の場合の撹拌時間は、特に制限されないが、通常5分以上であり、連続抽出の場合の平均滞留時間は、特に制限されないが、通常10分以上である。
上記抽出液中の補酵素Q10濃度は、不純物を固形分として必要量析出させる観点から、好ましくは0.1g/L以上、より好ましくは1g/L以上、更に好ましくは10g/L、更により好ましくは20g/Lである。上限も特に限定されないが、補酵素Q10の損失を抑える観点から、300g/L程度が好ましく、150g/L以下がより好ましく、100g/L以下がさらに好ましい。但し、後述する濃縮を実施する場合は上記の限りではなく、抽出効率の観点からは、好ましくは0.01g/L以上、より好ましくは0.1g/L以上、さらに好ましくは0.5g/L、さらにより好ましくは1g/Lであり、上限も特に限定されないが、30g/L程度が好ましく、15g/L以下がより好ましく、10g/L以下がより好ましい。
(3)必要に応じて、上記抽出液の濃縮
また、本発明の製造方法においては、必要に応じて上記補酵素Q10生産微生物の抽出液を濃縮した濃縮抽出液を用いてもよい。例えば、抽出時には有機溶媒を多く使用して抽出操作の安定性や抽出率を高め、冷却工程前に適宜濃縮することで、固形分析出に適した濃度に調整することも好ましい方法の一つである。この場合の濃縮方法は特に限定されず、蒸発濃縮、膜濃縮、凍結濃縮、減圧濃縮、超音波霧化分離などが挙げられ、これらを組み合わせて濃縮してもよい。また濃縮の程度も特に限定されないが、不純物を固形分として必要量析出させる観点から、前述した抽出液と同様、濃縮後の濃縮抽出液中の補酵素Q10濃度は、好ましくは0.1g/L以上、より好ましくは1g/L以上、さらに好ましくは10g/L、更により好ましくは20g/Lである。上限も特に限定されないが、補酵素Q10の損失を抑える観点から、300g/L程度が好ましく、150g/L以下がより好ましく、100g/L以下がより好ましい。もちろん、得られた補酵素Q10生産微生物の疎水性有機溶媒抽出液が上記好ましい範囲を満たす場合は,濃縮は必ずしも必要ではない。
(4)必要に応じて、上記抽出液のアルカリ処理および濃縮
さらに本発明の製造方法においては、上記(2)により得られた抽出液を冷却工程に供する前に、アルカリ処理を濃縮と組み合わせて行うことが好ましい。すなわち、補酵素Q10生産微生物を疎水性有機溶媒で抽出して得られた抽出液を、アルカリ水溶液と接触混合した後に、水洗し、それを濃縮した濃縮抽出液を、冷却工程に供するのが、本発明の好ましい態様である。上記抽出液をアルカリ処理することで微生物由来の脂肪酸、脂肪酸エステル、リン脂質などの脂溶性成分がけん化されて水相に移行するため、不純物の除去効率がさらに向上し、後段の工程への負荷を低減させることができる。
上記補酵素Q10生産微生物の抽出液と接触混合させるためのアルカリ水溶液としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液などがあげられる。けん化効率を鑑みれば強アルカリが好ましく、経済性も踏まえれば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液がより好ましい。使用するアルカリ水溶液の濃度としては用いるアルカリの種類によっても異なり一概に定義できないが、例えば強アルカリを使用した場合、0.1~20重量%が好ましく、より好ましくは2~10重量%である。また、抽出液に対して接触させるアルカリ水溶液の量は特に制限されないが、抽出液に対して例えば1~200容量%、好ましくは1~30容量%、より好ましくは1~10容量%である。
上記アルカリ水溶液との接触方法としては、回分式、連続式のどちらの方法でも行うことができるが、工業的には連続式が生産性の面で好ましく、連続式の中でも洗浄性を踏まえれば並流式が特に好ましい。回分式の場合の撹拌時間は、特に制限されないが、通常1分以上である。また連続式の場合の平均滞留時間は、特に制限されないが、通常10秒以上である。
アルカリ水溶液と接触後の抽出液は、そのままでは熱等によって補酵素Q10の分解、二量体の形成などの品質の低下が起こりやすいので、水洗することが好ましい。抽出液に対して接触させる水の量は特に制限されないが、抽出液に対して1~200容量%、好ましくは1~30容量%、より好ましくは1~10容量%である。
水との接触方法としては、回分式、連続式のどちらの方法でも行うことができるが、工業的には連続式が生産性の面で好ましく、連続式の中でも洗浄性を踏まえれば並流式が特に好ましい。回分式の場合の撹拌時間は、特に制限されないが、通常1分以上である。また連続式の場合の平均滞留時間は、特に制限されないが、通常10秒以上である。
上記水洗後の抽出液は、適宜濃縮して濃縮抽出液として、次の冷却工程に供するのが好ましい。濃縮方法やその好ましい濃度は上記で説明したとおりである。
(5)補酵素Q10生産微生物の疎水性有機溶媒抽出液またはその濃縮抽出液の水分量制御
上記のようにして得られる補酵素Q10生産微生物の抽出液または濃縮抽出液は、特に微生物の培養液、湿微生物細胞、微生物細胞の水性懸濁液やその破砕物から抽出した場合、それらに由来する水分を含んでいる。本発明の製造方法においては、抽出溶媒として疎水性有機溶媒を利用した場合や、若干の親水性有機溶媒を疎水性有機溶媒と併用して用いた場合、疎水性有機溶媒抽出液または濃縮抽出液中の水分含量が重量基準で50ppm以上1%以下の場合は、当該疎水性有機溶媒抽出液または濃縮抽出液をそのまま、次の冷却工程に供することが出来る。また、水分含量が上記範囲を満たさない場合は、適宜加水あるいは脱水して冷却工程に供すればよい。一方、抽出溶媒として親水性の有機溶媒を使用した場合には、冷却工程の前に、疎水性有機溶媒に置換し、その後必要に応じて水分量を調整し、冷却を実施すれば良い。
なお、本明細書においては、補酵素Q10生産微生物の任意の抽出液を別の疎水性有機溶媒に溶媒置換したものも、便宜上「補酵素Q10生産微生物の疎水性有機溶媒抽出液」と表現する。また、本発明においては、上記補酵素Q10生産微生物の疎水性有機溶媒抽出液から、別の方法で不純物をある程度除去したものを、必要に応じて水分含量を調整して用いることも出来る。
(6)冷却工程
本発明の製造方法においては、上記のようにして得られた補酵素Q10生産微生物の疎水性有機溶媒抽出液あるいはその濃縮抽出液を、冷却することで補酵素Q10以外の微生物由来の不純物を固形分として析出させる。この冷却工程において、冷却の対象となる抽出液または濃縮抽出液は前述したとおり、疎水性有機溶媒を溶媒とするものであり、その水分含量は重量%として50ppm以上1%以下の範囲内に制御されている必要がある。上記水分含量が50ppm未満の場合、冷却工程における補酵素Q10以外の成分の除去率が低くなるなどの問題がある。一方、上記水分含量が1%超の場合、冷却工程後も溶液中に水分が多く含まれるため、その後のカラムクロマトグラフィーなどの後段の工程に悪影響を及ぼす可能性がある。上記水分含量の上限は0.4%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.2%以下がさらに好ましい。
繰り返し述べるように、冷却時の抽出液または濃縮抽出液の溶媒としては、疎水性の有機溶媒であれば特に限定されないが、補酵素Q10生産微生物の抽出液として疎水性有機溶媒を使用した場合にはそれをそのまま利用できる。なお抽出時に若干量の親水性有機溶媒を併用した場合でも、固形分の析出に差し支えない範囲(例えば5容量%以下)であれば冷却工程時に混入していてもかまわない。また、上記好ましい態様としてアルカリ処理を実施した場合には、抽出時に併用した親水性有機溶媒は水相に移行するため、多くの場合、本冷却工程の障害とならない範囲まで除去されている。さらに、補酵素Q10生産微生物の抽出液に別の疎水性有機溶媒を添加混合しても良いし、別の疎水性有機溶媒で溶媒置換したものを用いても良い。冷却時の疎水性有機溶媒として、具体的には、炭化水素、脂肪酸エステル、エーテル、窒素化合物(ニトリル、アミドを含む)等を挙げることができる。なかでも、好ましくは、炭化水素、脂肪酸エステル、エーテル等の疎水性有機溶媒であり、さらに好ましくは脂肪酸エステル又は炭化水素、より好ましくは脂肪族炭化水素を用いることができる。その具体例やより好ましい例としては、上記抽出時の抽出溶媒として説明したものを援用できる。
上記冷却時の冷却温度は、室温、例えば25℃以下の範囲で必要に応じて適宜選択されるが、20℃以下が好ましく、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは5℃以下、さらにより好ましくは2℃以下である。上記冷却温度の下限は、補酵素Q10のロスを防ぐ観点や冷却に大きなエネルギーが必要であることなどを考慮すると、例えば、-5℃である。また冷却速度については特に制限はなく、好ましくは100℃/h以下、より好ましくは50℃/h以下、さらに好ましくは30℃/h以下である。
本発明の製造方法においては、冷却したときに固形分をより多く析出させることで、ろ液中の補酵素Q10の純度を向上させることができる。析出させる固形分濃度としては特に限定されないが、例えば1g/L以上、好ましくは1.5g/L以上、より好ましくは2g/L以上である。
前述したとおり上記抽出液、アルカリ水溶液との接触混合後に水洗処理を行った抽出液やその濃縮抽出液中には、わずかながら水が含まれており、これはカラムクロマトグラフィーや晶析などの後工程へ可能な限り流入させないようにしなければならない。本発明においては、上記のようにして得られた抽出液あるいは濃縮抽出液を冷却して固形分を析出させる際に、固形分と共に水分も除去することができる。固形分の分離除去処理前の抽出液中の水の濃度にも依るが、冷却して固形分が十分に析出した後のろ液中の水濃度は重量基準で、通常300ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下となる。
(7)固形分の分離工程
上記のようにして冷却した後、析出した固形分を分離除去する。本発明の製造方法において、析出した固形分を分離除去するために用いられる方法は、固形分の分離除去が可能であれば特に限定されず、例えば、濾紙、濾布、円筒状フィルターなどを用いた一般的な濾過方法の他、自然沈降分離、遠心分離、膜分離、振動式膜分離、液体サイクロン、回転式フィルター、吸着分離などの方法あるいはこれらの分離方法の組み合わせを利用することが出来る。
固形分の分離除去性能および所要動力、分離除去設備のコンパクト化、並びにオペレーションの負荷を加味して効果的に補酵素Q10を工業的に製造するためには、回転式フィルターを用いることが好ましい。回転式フィルターの材質としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン、フッ素樹脂などの合成樹脂やその複合物;アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、酸化チタンやこれらの複合物などの酸化物系、ハイドロキシアパタイトなどの水酸化物系、炭化ケイ素などの炭化物系、窒化ケイ素などの窒化物系、蛍石などのハロゲン化物系、リン酸塩系などのセラミック;鉄、銅、亜鉛、スズ、水銀、鉛、アルミニウム、ステンレスやこれらの複合物などの金属が挙げられる。また、回転式フィルターの孔径も特に限定されないが、目的とする固形分と分離するためには1nm~2μmが好ましく、処理量や洗浄のしやすさを考慮すれば60nm~1μmが好ましい。上記回転式フィルターの具体例としては、広島メタル&マシナリー社製やユーロテック社製の「セラミックロータリーフィルター」や三菱化工機社製の「三菱ダイナフィルター」が挙げられる。
本発明の製造方法において、固形分の分離除去方法としては、回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でも行うことができ、ろ過方式についても循環型ろ過、デットエンドろ過のいずれの方法でも行うことができる。例えば、抽出液、あるいはその濃縮抽出液を、冷却後、あるいは冷却前に一定量貯留した後で、析出した固形分の分離除去を施し、任意の割合でろ液を獲得すると同時に分離除去した固形物を前工程へ戻す方法、または上記抽出液あるいはその濃縮抽出液を連続的に冷却して固形分の分離除去を行い、ろ液の獲得と分離除去した固形物を前行程に戻す操作を連続的に行う方法がある。いずれの方法においても、固形分の分離除去時の処理速度は特に制限されないが、通常、5L/h以上、好ましくは50L/h以上、より好ましくは150L/h以上であれば十分である。また、得られた補酵素Q10を含むろ液は、そのまま次の工程に使用することも出来る。
上記分離除去した固形分は、補酵素Q10の損失防止のため、前段の冷却工程の前の工程に戻して繰り返し処理を行ってもよい。具体的には、上記分離除去した固形分を、前述したアルカリ水溶液との接触混合前の抽出液に添加して、その後の工程を同様に実施するのが好ましい。或いは、上記分離除去した固形分を、前述したアルカリ水溶液との接触混合後の工程(具体的には、接触混合後の抽出液、接触混合後水洗の前の抽出液、または水洗後濃縮前の抽出液のいずれか)に添加して、その後の工程を同様に実施するのが好ましい。より好ましくは、アルカリ水溶液との接触混合前の抽出液に添加するか、またはアルカリ水溶液との接触混合後で水洗前の抽出液に添加して、その後の工程を実施することを繰り返すのが推奨される。
前段工程に戻す際には、完全な固液分離を実施せず、析出した固形分をスラリー状態として抽出液又は濃縮抽出液の一部と一緒に戻しても良い。
上述した本発明の製造方法によれば、補酵素Q10の損失を最小化することが可能であり、例えば補酵素Q10の最終収率を、好ましくは99%以上とすることも出来る。前段工程に戻す固形分あるいは固形分を含むスラリーの量は特に限定されないが、好ましくは固形分の分離除去前の液容量に対して0.1~50容量%、より好ましくは0.1~10容量%、さらに好ましくは0.1~5容量%である。
さらに、例えば、回転式フィルターを上記固形分の分離除去方法として用いた場合、抽出液あるいは濃縮抽出液と同様の溶媒で回転式フィルターを定期的に洗浄し、その洗浄液も前工程へ戻せば補酵素Q10の損失をより低減させることも可能である。
本発明の製造方法において、上記固形分として分離除去される不純物としては、補酵素Q10生産微生物由来の補酵素Q10以外の脂溶性成分が含まれ、例えば、主にステロール誘導体や油脂成分が挙げられる。
ここで、上記ステロール誘導体としては特に限定されないが、コレステロール、カンペステロール、デスモステロール、ブラシカステロール、スチグマステロール、α-シトステロール、β-シトステロール、ジヒドロ-β-シトステロール、γ-シトステロール、7-デヒドロコレステロール、エルゴステロール、ジヒドロエルゴステロール等が挙げられる。また上記ステロール誘導体には、これらのステロール誘導体の末端にエステル結合したステロールエステル類も含まれる。本発明の製造方法によれば、これらのうち、2種類以上を分離除去することもできる。本発明の製造方法においては、酵母等を培養した後の培養生産物などに多く含まれるステロール脂肪酸エステルに属するものを選択的に分離することができる点で好ましい。
本発明の製造方法において、固形分の分離除去前の溶液と比較して、固形分の分離除去後の溶液中の補酵素Q10の、純度向上パーセントポイントは、通常2パーセントポイント以上、好ましくは2.5パーセントポイント以上となる。その上限は、特に限定されないが、10パーセントポイント以下、または7パーセントポイント以下でもよい。なお、上記純度向上パーセントポイントは、固形分の分離除去前の溶液と固形分の分離除去後の溶液を乾燥させて、その二つのそれぞれの不揮発性成分中のQ10の重量パーセントの差を示すものである。
さらに固形分として除去される不純物の除去率は、例えばエルゴステロールの除去率としては、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上であり、その上限は100重量%以下であるが、通常90重量%以下、または60重量%以下でもよい。
本発明の製造方法においては、以上の操作によって、精製された、あるいは純度の向上した補酵素Q10を単離・回収できる。分離工程後の補酵素Q10溶液は、そのまま利用することもできるし、さらに処理してより好ましい形態あるいはより高純度の補酵素Q10含有組成物や補酵素Q10結晶としても良い。そのような処理工程としては、濃縮、溶媒置換、酸化、還元、カラムクロマトグラフィー、晶析などが挙げられ、もちろんこれらを組み合わせても良い。例えば、分離工程後、固形分が分離除去された補酵素Q10抽出液から溶媒を留去して(濃縮)、補酵素Q10を含む精製物とする、あるいは必要に応じてさらにシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製した後、有機溶媒を留去して、補酵素Q10を含む精製物とすることもできる。またさらに晶析操作などで目的とする補酵素Q10を結晶体として得ることもできる。上記カラムクロマトグラフィー、酸化、還元、晶析の前に、必要に応じて、さらに溶媒置換を行っても良い。例えば、補酵素Q10生産微生物から疎水性有機溶媒中に補酵素Q10を抽出し、得られた補酵素Q10を含有する抽出液を、本発明の製造方法によって、冷却工程後、析出した固形分を分離除去することにより精製し、その前後で必要に応じて酸化または還元処理を行い、晶析操作を用いて、高純度の補酵素Q10の結晶として取得することもできる。
なお、本発明の製造方法において、補酵素Q10として還元型補酵素Q10単独あるいは還元型補酵素Q10比率の高い補酵素Q10を製造する目的においては、補酵素Q10生産微生物として、生産される補酵素Q10中の還元型補酵素Q10含有比率の高い微生物を用い、酸化を防ぐ雰囲気下(たとえば窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下)で、上記抽出や冷却処理、固形分の分離除去処理を行うことで、還元型補酵素Q10単独あるいは還元型補酵素Q10比率の高い補酵素Q10を特段の処理を行うことなく得ることも可能である。もちろん、このようにして得られた還元型補酵素Q10比率の高い補酵素Q10をさらに還元することで還元型比率をより高めることも可能である。また、補酵素Q10含有抽出液を特に酸化を防ぐ手段を施すことなく、あるいは、空気中の酸素や酸化剤により酸化させて還元型補酵素Q10比率の比較的低いもの(例えば、50mol%以下、あるいは30mol%以下)を得てから、本発明の製造方法で冷却処理および固形分の分離除去処理をし、その後、還元反応を実施することで、還元型補酵素Q10比率の高い補酵素Q10を製造することも可能である。還元型補酵素Q10を製造する目的においては、製造の最終工程あるいは最終製品としての還元型補酵素Q10含有比率は高い方が好ましく、補酵素Q10の総量100mol%中、還元型補酵素Q10は、例えば70mol%以上、好ましくは80mol%以上、より好ましくは90mol%以上、さらに好ましくは96mol%以上であるのが良い。
より具体的な一態様としては、補酵素Q10生産微生物から有機溶媒中に補酵素Q10を抽出し、アルカリ水溶液と接触させた後で水洗し、濃縮処理して得られた水を微量含む液を、本発明の製造方法によって、冷却工程および固形分の分離工程を実施し、カラムクロマトグラフィーを用いてさらに精製した後、必要に応じて還元処理を行い、晶析操作を用いて、高純度の還元型補酵素Q10の結晶として取得することもできる。
一方、本発明の製造方法は酸化型補酵素Q10の製造にも利用できる。その場合、補酵素Q10を含有する微生物細胞、微生物細胞破砕物又は微生物細胞破砕物の水性懸濁液、乾燥微生物細胞又は乾燥微生物細胞破砕物から、有機溶媒中に補酵素Q10を抽出し、冷却工程や分離工程の前又はその後に酸化剤による酸化処理を行っても良い。或は、単に空気中などで、抽出、吸着、その他精製や後処理等を実施したり、抽出前に微生物を空気中で乾燥することで、自然酸化により酸化型補酵素Q10比率の高い補酵素Q10を簡便な操作で得ることも可能である。
より具体的な一態様としては、補酵素Q10生産微生物から、有機溶媒中に補酵素Q10を抽出し、得られた補酵素Q10を含有する抽出液を、アルカリ水溶液と接触後もしくは同時に必要に応じて酸化処理を行い、本発明の製造方法によって冷却工程および固形分の分離工程を実施し、溶媒置換後、カラムクロマトグラフィーを用いてさらに精製した後、晶析操作を用いて、高純度の酸化型補酵素Q10の結晶として取得することもできる。
本願は、2018年3月28日に出願された日本国特許出願第2018-062841号に基づく優先権の利益を主張するものである。2018年3月28日に出願された日本国特許出願第2018-062841号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下に実施例、比較例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また、実施例、比較例中の補酵素Q10の収率および補酵素Q10の純度は、本発明における限界値を規定するものではなく、その上限値を規定するものでもない。補酵素Q10の濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(SHIMADZU製)を使用し、下記の条件で測定した。
(HPLC測定条件)
カラム:YMC-Pack ODS-A
オーブン温度:30℃
移動相:メタノール/ヘキサン=85/15(容積比)
送液速度:1.0ml/min
検出:UV275nm
補酵素Q10の純度向上パーセントポイント(%pt.)は、固形分の分離除去前の溶液と固形分の分離除去後の溶液を乾燥させて、それぞれの不揮発性成分中のQ10の重量パーセントの差として算出した。
エルゴステロール除去率は、固形分の分離除去前と固形分の分離除去後の溶液中のエルゴステロール濃度(ERG濃度)を分析し、下記式により算出した。エルゴステロールの濃度は、HPLCを用いて上記補酵素Q10濃度の測定と同条件で分析した。
エルゴステロール(ERG)除去率={(固形分の分離除去前ERG濃度-固形分の分離除去後ERG濃度)/(吸着処理前ERG濃度)}×100
水分含量は、カールフィッシャー(AQUACOUNTER AQ-2100 HIRANUMA社製)を用いて測定した。
補酵素Q10を産生するサイトエラ・コンプリカタ(Saitoella complicata)IFO10748株を、培地(ペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、マルトエキス3g/L、グルコース20g/L、pH6.0)を用いて、好気的に25℃で160時間培養した。得られた補酵素Q10を含む微生物培養液を遠心分離により濃縮し、圧力破砕機によって微生物を破砕した。得られた微生物破砕液に、ヘキサンを微生物破砕液の体積の1.8倍、2-プロパノールを0.7倍に相当する量添加し、40℃で1時間撹拌し、補酵素Q10を抽出した。該補酵素Q10生産微生物の抽出液に4重量%水酸化ナトリウム水溶液を抽出液に対して8容量%、酸化剤として7%過酸化水素水を抽出液に対して0.5容量%添加して3分間撹拌した後に静置し、水層を分離した。分離後の抽出液に、抽出液に対して13容量%の水道水を添加して撹拌し、水洗した。この水洗操作を2回繰り返した後の抽出液を濃縮し、補酵素Q10濃度を50g/Lとした。なお、濃縮液中の還元型補酵素Q10比率(総補酵素Q10中の還元型補酵素Q10の割合)は0重量%であった。水分含量が重量基準で(以下、同じ。)663.4ppmの当該濃縮抽出液を、20℃まで冷却し、吸引ろ過にて固形分を分離除去した。ろ過操作には桐山ロートおよび桐山ロート用のろ紙No.5-Cを用いた。ろ液を分析した結果、ろ液中の水分含量は201.8ppm、エルゴステロール除去率は34.8%、補酵素Q10の純度は4.0%pt.向上していることが確認された。
実施例1と同じ補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(水分含量663.4ppm)を、15℃まで冷却し、実施例1と同じようにして吸引ろ過にて固形分を分離除去した。ろ液を分析した結果、水分含量は165.4ppm、エルゴステロール除去率は39.0%、補酵素Q10の純度は4.9%pt.向上していることが確認された。
実施例1と同じ補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(水分含量663.4ppm)を、10℃まで冷却し、実施例1と同じようにして吸引ろ過にて固形分を分離除去した。ろ液を分析した結果、水分含量は107.2ppm、エルゴステロール除去率は46.3%、補酵素Q10の純度は5.3%pt.向上していることが確認された。
実施例1と同じ補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(水分含量663.4ppm)を、2℃まで冷却し、実施例1と同じようにして吸引ろ過にて固形分を分離除去した。ろ液を分析した結果、水分含量は63.8ppm、エルゴステロール除去率は51.0%、補酵素Q10の純度は5.8%pt.向上していることが確認された。
実施例1と同様の方法で補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(水分含量585ppm)を調整し、それを、10℃まで冷却し、9000gで5分間遠心分離し、上清を回収した。遠心分離にはBECKMAN COULTER社製Allegra X-22R CENTRIGUGEを用いた。濃縮抽出液中の水分含量が585ppmだったのに対し、回収した上清中の水分含量は109.5ppと低減していることが確認された。
実施例1と同様の方法で補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(水分含量121.8ppm)を調整し、それを、17℃まで冷却し、分離方法として、平均細孔径0.2μm、ろ過面積0.034平方メートル、酸化アルミニウム製のディスクを1枚装着した三菱ダイナフィルター(三菱化工機社製)を用いて固形分を含むスラリーとろ液の容量が1対9になるようにスラリーを分離した。濃縮抽出液およびろ液を分析した結果、濃縮抽出液中の水分含量が121.8ppmだったのに対し、ろ液中の水分含量は67.1ppm、エルゴステロール除去率は68.1%、補酵素Q10の純度は4.7%pt.向上していることが確認された。
実施例6と同じ補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(水分含量121.8ppm)を、15℃まで冷却し、分離方法として三菱ダイナフィルター(三菱化工機社製)を用いて固形分を含むスラリーとろ液の容量が1対9になるようにスラリーを分離した。ろ液を分析した結果、水分含量は54.7ppm、エルゴステロール除去率は69.8%、補酵素Q10の純度は4.5%pt.向上していることが確認された。
実施例7で用いた補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液、得られたろ液および固液分離後の固形分を含むスラリーおよび装置洗浄液中の補酵素Q10濃度から補酵素Q10の収支を測定したところ、補酵素Q10が該分離操作によりロスすることはなく、100%回収することが可能であることが確認された。
実施例1と同様の方法で補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(509.9ppm)を調整し、それを、15℃まで冷却し、分離方法として、平均細孔径0.2μm、ろ過面積0.0334平方メートル、酸化アルミニウム製のディスクを1枚装着したセラミックロータリーフィルター(広島メタル&マシナリー社製)を用いて固形分を含むスラリーとろ液の容量が1対2.6になるようにスラリーを分離した。濃縮抽出液およびろ液を分析した結果、濃縮抽出液中の水分含量が509.9ppmだったのに対し、ろ液中の水分含量は133.2ppm、エルゴステロール除去率は69.1%、補酵素Q10の純度は7.0%pt.向上していることが確認された。
実施例7で得られた分離後の固形分を多量に含むスラリーを、実施例1と同様の方法で得られた抽出液に、抽出液に対して0.5容量%混合し、実施例1と同様の方法でアルカリ水溶液と接触混合した後、水洗し、水層と抽出液を分離した。水層中の補酵素Q10濃度は0.01重量%以下と補酵素Q10のロスも見られず、アルカリ処理や水洗時の工程のトラブルも特段なかったことから、固形分を多量に含むスラリーをアルカリ水溶液と接触混合する前の工程に戻しても問題ないことが確認された。
実施例7で得られた分離後の固形分を多量に含むスラリーを、実施例1と同様の方法で得られた抽出液に、抽出液に対して2容量%混合し、実施例1と同様の方法でアルカリ水溶液と接触混合した後、水洗し、水層と抽出液を分離した。水層中の補酵素Q10濃度は0.01%重量以下と補酵素Q10のロスも見られず、アルカリ処理や水洗時の工程のトラブルも特段なかったことから、固形分を多量に含むスラリーをアルカリ水溶液と接触混合する前の工程に戻しても問題ないことが確認された。
実施例7で得られた分離後の固形分を多量に含むスラリーを、実施例1と同様の方法で得られた抽出液に、抽出液に対して0.5容量%、4重量%水酸化ナトリウム水溶液を抽出液に対して8容量%になるように流入し、静置槽にて抽出液と水層を分離し、水層を連続的に排出する連続運転を2時間実施した。運転を通して静置槽での抽出液と水層の分離性は良好で、運転終了後に回収した水層中の補酵素Q10濃度は0.002重量%と補酵素Q10のロスも見られず、上記工程のトラブルも特段なかったことから、固形分を多量に含む濃縮液をアルカリ水溶液と接触混合する前の工程に戻しても問題ないことが確認された。
(比較例1)
実施例1と同じ補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(水分含量663.4ppm)を、40℃の環境に2時間設置し、実施例1と同じようにして吸引ろ過にて固形分を分離除去した。ろ液を分析した結果、補酵素Q10の純度は3.2%pt.向上したものの、ろ液中の水分含量は334.7ppm、エルゴステロール除去率は2.9%であることが確認された。
(比較例2)
実施例5と同じ補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(水分含量585ppm)を、冷却することなく30℃の条件下で、実施例5と同様の遠心分離機を用いて9000gで5分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清中の水分含量は309.5ppmと低減していることが確認された。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(550.5ppm)を調整し、それに、該溶液に対して3.5重量%の活性白土、4重量%のろ過助剤(ロカヘルプ:三井金属鉱業社製)を添加し、40℃にて撹拌し、吸引ろ過にて固形分を分離除去した。ろ過操作には桐山ロートおよび桐山ロート用のろ紙No.5-Cを用いた。その結果、濃縮抽出液中の水分含量が550.5ppmだったのに対し、ろ液中の水分含量は402.5ppm、補酵素Q10の収率は97.8%、エルゴステロール除去率は8.8%、補酵素Q10の純度向上パーセントは0.5%pt.であることが確認された。
(比較例4)
比較例3と同じ補酵素Q10生産微生物の濃縮抽出液(水分含量550.5ppm)に、該溶液に対して3.5重量%の活性白土、4重量%のろ過助剤(ロカヘルプ:三井金属鉱業社製)を添加し、40℃にて撹拌後、18℃まで冷却した後で、比較例3と同様の方法で固形分を分離除去した。その結果、ろ液中の水分含量は220.5ppm、エルゴステロール除去率は62.4%、補酵素Q10の純度は3.5%pt.向上していることが確認されたが、補酵素Q10の収率は98.4%だった。

Claims (6)

  1. 補酵素Q10生産微生物の疎水性有機溶媒抽出液を、アルカリ水溶液と接触混合した後に、水洗し、それを濃縮した、重量基準で水分含量50ppm以上1%以下の濃縮抽出液を冷却する冷却工程、および
    析出したステロール誘導体を含む不純物の固形分を分離除去し、補酵素Q10を含むろ液を得る分離工程を有する補酵素Q10の製造方法。
  2. 分離工程で得られた前記固形分を、前記アルカリ水溶液と接触混合させる前の抽出液に添加した後、アルカリ水溶液と接触混合し、水洗し、冷却工程に供することを繰り返すか、または
    分離工程で得られた前記固形分を、前記アルカリ水溶液と接触混合した後の抽出液に添加した後、水洗し、冷却工程に供することを繰り返す請求項に記載の製造方法。
  3. 冷却工程における前記冷却温度が、20℃以下である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 冷却工程における濃縮抽出液中の補酵素Q10の濃度が0.1g/L以上300g/L以下である請求項1~のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記疎水性有機溶媒が、炭化水素及び/又は脂肪酸エステルである請求項1~のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 分離工程における前記固形分の分離除去方法が、回転式フィルターを用いるものである請求項1~のいずれか1項に記載の製造方法。
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