JP7419607B1 - 軌条車両 - Google Patents
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Abstract
台車からヨーダンパ及びヨーダンパ支持部を経由して台枠に伝達される加振力を鉄道車両構体に効率的に伝達するとともに、十分な強度を備える軌条車両を提供する。台枠は、床部と側梁と枕梁とを有する。側構体は、台枠の車両幅方向の端部に立設される。台車は、台枠を下方から支持する。ヨーダンパ受部は、台枠の車両幅方向の端部に備えられる。ヨーダンパ支持部は、ヨーダンパ受部に固定される。ヨーダンパは、台車に接続される一方の端部と、ヨーダンパ支持部に接続される他方の端部とを有し、台車のヨーイング振動を抑制する。ヨーダンパ受部は、側構体と側梁と枕梁とに跨って備えられる。
Description
本発明は、軌条車両に関する。
鉄道車両構体は、一般に、床面をなす台枠と、台枠の幅方向の端部に立設されるとともに側面をなす側構体と、台枠の長手方向の端部に立設される妻構体と、側構体および妻構体の上部に備えられる屋根構体とからなる。近年では、軽量化や製作性の向上を目的として、対向する2枚の面板とこれら面板同士を接続する複数のリブから成るアルミニウム合金製の中空押出形材によって、屋根構体、側構体、台枠などを構成し、鉄道車両構体に組み立てる手法が広まりつつある。
床面をなす台枠の下方には、鉄道車両構体を支持する台車が備えられる。台枠の台車を支持する部位には、強度部材である枕梁が備えられ、台車が車体へ伝達するけん引力やブレーキ力は、これら枕梁を経て鉄道車両構体に伝達される。
枕梁の幅方向の端部には、高速走行時に水平面内で旋回する台車のヨーイングを抑制するヨーダンパが接続されるヨーダンパ支持部が備えられる。ヨーダンパの一方の端部を、台枠(構体)が備えるヨーダンパ支持部に接続するとともに、ヨーダンパの他方の端部を、台車をなす台車枠に接続して、台車のヨーイングを抑制する。
特許文献1に、ボルスタアンカまたはヨーダンパ支持用ブラケットの締結位置で下フランジに偶力が作用した時に上フランジ及び下フランジに生じる面外曲げ応力を低減できる鉄道車両の台枠構造が開示されている。
鉄道車両の速度が高まる(高速化する)につれて、軌道の不整の影響を受けた台車からヨーダンパ及びヨーダンパ支持部を経て台枠に伝達される荷重が大きくなる傾向がある。このため、軌道不整に起因して、ヨーダンパ支持部を台枠に固定する部位であるヨーダンパ受部に、レール方向及び上下方向に沿って作用する加振力が大きくなり、ヨーダンパ受部の強度対策が大掛かりになる場合があった。
本発明の目的は、台車からヨーダンパ及びヨーダンパ支持部を経由して台枠に伝達される加振力を鉄道車両構体に効率的に伝達するとともに、十分な強度を備える軌条車両を提供することにある。
上記目的を達成するために、代表的な本発明の軌条車両の一つは、
床面をなす床部と、前記床部の車両幅方向の端部に車両長手方向に沿って備えられる側梁と、前記側梁と前記床部とに跨って前記車両幅方向に沿って前記側梁及び前記床部の下面に備えられる枕梁と、を有する台枠と、
前記台枠の前記車両幅方向の端部に立設される側構体と、
前記台枠を下方から支持する台車と、
前記台枠の前記車両幅方向の端部に備えられるヨーダンパ受部と、
前記ヨーダンパ受部に固定されるヨーダンパ支持部と、
前記台車に接続される一方の端部と、前記ヨーダンパ支持部に接続される他方の端部とを有し、前記台車のヨーイング振動を抑制するヨーダンパと、を備え、
前記ヨーダンパ受部は、前記側構体と前記側梁と前記枕梁とに跨って備えられることにより達成される。
床面をなす床部と、前記床部の車両幅方向の端部に車両長手方向に沿って備えられる側梁と、前記側梁と前記床部とに跨って前記車両幅方向に沿って前記側梁及び前記床部の下面に備えられる枕梁と、を有する台枠と、
前記台枠の前記車両幅方向の端部に立設される側構体と、
前記台枠を下方から支持する台車と、
前記台枠の前記車両幅方向の端部に備えられるヨーダンパ受部と、
前記ヨーダンパ受部に固定されるヨーダンパ支持部と、
前記台車に接続される一方の端部と、前記ヨーダンパ支持部に接続される他方の端部とを有し、前記台車のヨーイング振動を抑制するヨーダンパと、を備え、
前記ヨーダンパ受部は、前記側構体と前記側梁と前記枕梁とに跨って備えられることにより達成される。
本発明によれば、台車からヨーダンパ及びヨーダンパ支持部を経由して台枠に伝達される加振力を鉄道車両構体に効率的に伝達するとともに、十分な強度を備える軌条車両を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下に、発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。
軌条車両とは、敷設された軌道5に沿って運行される車両の総称であり、鉄道車両、路面電車、新交通システム車両、モノレール車両等を意味する。軌条車両の代表例として、鉄道車両を例示して、本発明の実施の形態を説明する。
まず、各方向を定義する。鉄道車両の長手(レール)方向をx方向(車両長手方向)、鉄道車両の幅(枕木)方向をy方向(車両幅方向)、鉄道車両の高さ方向をz方向とする。以降、単に、x方向、y方向、z方向と記す場合がある。
図1は鉄道車両の側面図であり、図2は図1に示す鉄道車両のA部の拡大図である。鉄道車両1の構体は、床面をなす台枠10と、台枠10のy方向の両端部に立設される一対の側構体20と、台枠10のx方向の両端部に立設される一対の妻構体(図示なし)と、側構体20と妻構体との上端部に載置される屋根構体(図示なし)とから構成される。側構体20はx方向に沿って起立し、妻構体はy方向に沿って起立する。台枠10は、台車7によって下方から支持される。
台枠10は、y方向の両端部に隔置される一対の側梁11と、x方向の両端部に隔置される一対の端梁(図示なし)と、台枠10のx方向の中央部寄りに配置されて一対の側梁11を接続する枕梁12と、枕梁12と端梁(図示なし)とを接続するとともに連結器受を備える一対の中梁(図示なし)と、を有する。側梁11は、x方向に延伸する態様で備えられる強度部材であり、枕梁12は、側梁11からy方向に延伸する態様で備えられる強度部材である。
枕梁12は、台車7が備える1次ばね9(例えば、空気ばね9など)の上面に載置される強度部材であり、台車7は、1次ばね9及び枕梁12を介して鉄道車両1の荷重を支持する。枕梁12のy方向の端部(台枠10のy方向の端部)には、ヨーダンパ受部14が備えられる。ヨーダンパ受部14の下端部には、垂下する態様のヨーダンパ支持部17が備えられる。
台枠10をなす枕梁12の下方には、軌道5に沿って転動する輪軸を有する台車7が備えられる。台車7は、その台車枠7aの側面に、x方向に沿う態様でヨーダンパ8を備える。ヨーダンパ8の一方の端部は台車枠7aに接続され、ヨーダンパ8の他方の端部はヨーダンパ支持部17の下端部に接続される。ヨーダンパ支持部17の上端部は、ヨーダンパ受部14の下端部に、x方向に隔置される一対のボルト16で締結される。
図3はヨーダンパ受部を車外側から見た斜視図であり、図4はヨーダンパ受部を車体の幅方向中心側から見た斜視図である。
ヨーダンパ受部14は、第1面板70と、上端縁部71とを有する。第1面板70は、上方に長辺を有し下方に短辺を有する2個の台形部(台形状の領域)を含む平板状の部材である。2個の台形部は、その長辺がx方向に沿う略同一直線状に隣接して並んで配置されるとともに、2個の台形部が略同一平面に属する態様で配置されている。上端縁部71は、連続する2個の台形部の長辺に相当する部位から突出するとともに、第1面板70の上端縁の略全長に渡って備えられる板状の部分である。
さらにヨーダンパ受部14は、底板72と、第1傾斜部73aと、第2傾斜部73bとを有する。底板72と第1傾斜部73aと第2傾斜部73bとは、第1面板70の2個の台形部に対してそれぞれ連結される。底板72は、第1面板70の台形部の短辺に相当する部位(台形部の下端縁部)からy方向(水平方向)に延伸する平板状の部分である。底板72は、台形部の下端縁部の略全長に渡って備えられる。
第1傾斜部73aは、第1面板70の台形部の一方の斜辺に相当する部位からy方向に延伸する平板状の部分であり、底板72のx方向の一方の端縁部(x方向の両端縁部のうちヨーダンパ受部14のx方向の中央部側の端縁部)と上端縁部71のy方向の中央部とを接続する。第1傾斜部73aは、台形部の一方の斜辺の略全長に渡って備えられる。
第2傾斜部73bは、第1面板70の台形部の他方の斜辺に相当する部位からy方向に延伸する平板状の部分であり、底板72のx方向の他方の端縁部と上端縁部71のy方向の端部近傍とを接続する。第2傾斜部73bは、台形部の他方の斜辺の略全長に渡って備えられる。
同じ台形部に対して設けられる第1傾斜部73aと第2傾斜部73bとは、上方に向かうほど互いの距離が増大する(互いに離れる)ように傾斜する。一方の台形部に対して設けられる第1傾斜部73aと他方の台形部に対して設けられる第1傾斜部73aとは、ヨーダンパ受部14のx方向の中央部にx方向に並んで配置され、これら2つの第1傾斜部73aは、上方に向かうほど互いの距離が減少する(互いに近づく)ように傾斜する。底板72と第1傾斜部73aと第2傾斜部73bとは、第1面板70から車両幅方向内側に突出する。
また、ヨーダンパ受部14は、端面部77と、第3水平部74cとを有する。端面部77は、上端縁部71のx方向の両端部に設けられ、x方向と交差するとともに、上端縁部71のx方向の両端部からy方向に延在する略三角板状の部分である。第3水平部74cは、端面部77及び上端縁部71の下端縁からx方向及びy方向(水平方向)に延伸するとともに、第2傾斜部73bの上端部に接続する平板状の部分である。
図3において、ヨーダンパ受部14は、一対の垂直部76と、第2水平部(底板上方水平部)74bとを有する。一対の垂直部76と第2水平部74bは、第1面板70の2個の台形部に対してそれぞれ設けられる。一対の垂直部76は、底板72(図3)のx方向の両端縁部から上端縁部71の上端に向かって鉛直方向上方(+z方向)に延伸する略三角板状の部分である。第2水平部74bは、一対の垂直部76のz方向の略中央部同士を接続する平板状の部分であり、底板72の上方で底板72と略平行に備えられる。一対の垂直部76と第2水平部74bとは、第1面板70から車両幅方向内側に突出する。
さらにヨーダンパ受部14は、第2面板75を有する。第1面板70の2個の台形部に対してそれぞれ設けられる第2面板75は、底板72のy方向の端部縁部からz方向に起立する。第2面板75のz方向の下端部は底板72に接続し、第2面板75のx方向の両端部縁は一対の垂直部76に接続するが、第2面板75のz方向の上端縁は何れにも接続しない開放端縁をなす。
また、ヨーダンパ受部14は、第1水平部74aを有する。第1水平部74aは、上端縁部71に沿って延在し、x方向に隣接する2つの第1傾斜部73aのz方向の中央部同士を接続する平板状の部分である。第1水平部74aは、第1面板70から車両幅方向内側に突出する。
底板72は、図3において、その下方に備えられるヨーダンパ支持部17を締結するボルト16が貫通するボルト孔72bを有する。ヨーダンパ支持部17の上端部は、x方向に並ぶ2つの底板72に下方から重なり、ボルト16によって底板72に締結固定される。
ヨーダンパ受部14は、2箇所の開口部Pを有する。2箇所の開口部Pは、第1面板70の2個の台形部の中央に設けられる。開口部Pは、底板72と一対の垂直部76と第2水平部74bと第2面板75とによって形成される空間であり、第1面板70を貫通して車両幅方向(y方向)へ開口する。開口部Pには、鉄道車両1に溶接されるヨーダンパ受部14にヨーダンパ支持部17を締結するボルト16を緩解する工具が挿入可能である。
なお、ヨーダンパ受部14は、アルミ合金から削り出し加工によって製造しても良いし、各面板や各傾斜部や各水平部を別部品として、これらを溶接で組み立てて製造しても良い。また、ヨーダンパ受部14の形状は、上記に限定されない。
図5は図2のヨーダンパ受部及びその周囲のB-B断面図であり、図6は図2のヨーダンパ受部及びその周囲のC-C断面図である。
鉄道車両1の構体は、床面をなす床部13と、床部13のy方向の両端部にx方向に沿って備えられる側梁11と、側梁11から上方(+z方向)に延伸する側構体20と、を有する。側梁11及び床部13の下方には、一方の側梁11から床部13を経て他方の側梁11に至る枕梁12が、側梁11と床部13とを支持するように備えられる。構体の床面をなす側梁11及び床部13と、その下面に配置される枕梁12とは、台枠10を構成する。
側構体20は、車外側面板20aと、車内側面板20bと、これら面板を接続するリブ20cとを一体にx方向に押出成形された中空押し出し形材からなる。側梁11は、車外側面板11aと、車内側面板11bと、これら面板を接続するリブ11cとを有する中空押し出し形材からなる。床部13は、車外側面板13aと、車内側面板13bと、これら面板を接続するリブ13cとを有する中空押し出し形材からなる。側構体20の下端部と側梁11の上端部との突き合わせ部が溶接等で接合され、側梁11と床部13との突き合わせ部が溶接等で接合されて、鉄道車両1の構体が構成される。
ヨーダンパ受部14は、側構体20の下端部と側梁11と枕梁12とに跨る態様で、それらに溶接される。図2、5を参照して、ヨーダンパ受部14の上端縁部71の上端と、その一対の端面部77の側部は、側構体20の車外側面板20aに溶接部90aで溶接される。ヨーダンパ受部14の第1傾斜部73aの側部は、側梁11の車外側面板11aと枕梁12とに溶接部90cで溶接され、その第2傾斜部73bの側部は、側梁11の車外側面板11aと枕梁12とに溶接部90bで溶接され、第1水平部74aの側部は、側梁11の車外側面板11aに溶接部90dで溶接される。
ヨーダンパ受部14を鉄道車両1の構体に溶接する場合、ヨーダンパ受部14の底板72の下面72aを、枕梁12の下面12aと略同一面となる位置に位置決めし、側構体20と側梁11と枕梁12に仮溶接した後、溶接部90a、90b、90c、90dを溶接する。ヨーダンパ受部14の底板72の下面72aを、枕梁12の下面12aと略同一面に配置するので、ヨーダンパ受部14は枕梁12の下面12aよりも下方に突出しない。
このとき、ヨーダンパ受部14と側構体20の車外側面板20aとの溶接部、及び/又はヨーダンパ受部14と側梁11の車外側面板11aとの溶接部において、健全な溶接部を形成するために、必要に応じて各車外側面板に当て板等を補強しても良い。
また、開口部Pを形成する第2面板75及び第2水平部74bと、台枠10のy方向の端面(枕梁12のy方向の端面及び側梁11のy方向の端面)との間には、隙間を開けて水抜き流路80が備えられる。ヨーダンパ受部14の内部(第1面板70と台枠10及び側構体20との間の空間)に侵入した雨水等を、水抜き流路80からヨーダンパ受部14の外部へ排出することができる。なお、雨水等が浸入するおそれがある場合であって、ヨーダンパ受部14の空隙部を防水シールで密閉する等の処理をするのであれば、水抜き流路80を省略してもよい。
図7は、ヨーダンパからヨーダンパ支持部を経てヨーダンパ受部に作用する力が鉄道車両の構体に伝達される様子を示す模式図である。
鉄道車両1が走行する時、軌道5の不整等によって、台車7は車体に対してピッチング振動(台車7の重心のy軸周りの振動)、ローリング振動(台車7の重心のx軸周りの振動)、ヨーイング振動(台車7の重心のz軸周りの振動)する。特に、高速走行時において、顕著となりやすいヨーイング振動は、車輪が軌道を左右方向に押す横圧の増加を招きやすいため、台車7と鉄道車両1の構体と間に、ヨーダンパ8を備えることによって、台車7のヨーイング振動を抑制する。
ヨーダンパ8は、台車7のヨーイング振動を抑制する過程で、ヨーダンパ支持部17の下端部を加振力F1で加振する。加振力F1としては、+x方向の力と-x方向の力が交互に観察されるが、代表的に+x方向に作用する力を説明する。
ヨーダンパ支持部17の下端部に作用する加振力F1は、ヨーダンパ支持部17の上端部が接続するヨーダンパ受部14の底板72に、ボルト16を介して、加振力F2に分かれて伝達される。さらにヨーダンパ受部14の底板72に作用する加振力F2は、底板72に接続する第1傾斜部73aに沿う加振力F3と、第2傾斜部73bに沿う加振力F3に分かれて、鉄道車両1の構体に伝達される。
第1傾斜部73aは、枕梁12と側梁11とに跨って溶接部90cで溶接されているので(図2参照)、第1傾斜部73aに沿う加振力F3は、枕梁12と側梁11とに伝達される。同様に、第2傾斜部73bは、枕梁12と側梁11と側構体20とに跨って溶接部90b(一部、溶接部90a)で溶接されているので(図2参照)、第2傾斜部73bに沿う加振力F4は、枕梁12と側梁11と側構体20とに伝達される。
加振力F2は、x方向成分の加振力とz方向成分の加振力とを有する。このため、ヨーダンパ受部14が、x方向に沿う溶接部、またはz方向に沿う溶接部のみによって、鉄道車両1の構体に溶接された場合、加振力F2が有する一方の方向の加振力は、溶接部の溶接線に交差する方向に作用するため、溶接部に高い応力が生じやすく、強度が低下しやすい。さらに、溶接部の溶接線に交差する方向に繰り返し荷重が作用する継手の許容応力は低いため、十分な強度を確保するために構造が複雑になるおそれがある。
これに対して、第1傾斜部73a及び第2傾斜部73bは、x方向及びz方向に対して傾斜する態様(溶接部90b及び溶接部90c)で鉄道車両1の構体に溶接されるため、加振力F2のx方向成分とz方向成分とが、溶接部90b(90c)の溶接線に沿った方向となり、これら溶接部90b、90cに高い応力が生じにくい。また、溶接部の溶接線に平行な方向に繰り返し荷重が作用する継手の許容応力は、溶接線に交差する方向に作用する繰り返し荷重場合の継手の許容応力よりも高いため、溶接部の疲労強度を高めることができる。
また、ヨーダンパ受部14の開口部Pは、底板72と、底板72に接続する一対の垂直部76と、一対の垂直部76を水平方向に接続する第2水平部74bと、底板72と一対の垂直部76の下部とに接続する第2面板75とによって、計5個の面からなる箱状の内部空間として構成される(図3及び図4参照)。このため、x方向成分の加振力とz方向成分の加振力とが底板72に作用した際に、特に第2面板75が、対向する一対の面をなす垂直部76と、垂直部76の下端部を接続する底板72と、の双方に接続するかすがいの機能を備えるため、著しい強度低下を招くことなく、底板72に作用する加振力F2を、第1傾斜部73a及び第2傾斜部73bへ好適に誘導することができる。
また、ヨーダンパ受部14が側構体20と側梁11と枕梁12とに跨って固定されるので、例えばヨーダンパ受部を枕梁12のみに固定し、ヨーダンパ受部から入力する加振力を側梁11及び側構体20に伝達するための補強部材を追加して取付ける場合に比べて、製作工数を低減することができる。
図8は、他の形態のヨーダンパ受部を有する鉄道車両の側面図である。鉄道車両1は、台枠10を構成する枕梁12のy方向の両端部に備えられる空気ばね9を介して台車7に支持されるため、ローリング振動する場合がある。一般に、鉄道車両1は、車体のローリング振動を抑制するために、車体(台枠10)の下面と台車7とを接続するアンチローリング装置を備える。このアンチロ―ロング装置は、枕梁12のy方向の端部に備えられるため、上方に長辺を有し下方に短辺を有する2個の台形部が連続する態様のヨーダンパ受部14の採用が難しい場合がある。
このような場合に対応するため、本形態の構造は、上方に長辺を有し下方に短辺を有する1個の台形部により構成されたヨーダンパ受部14aと、台枠10の下面に枕梁12をx方向に延長する態様で備えられる補助ヨーダンパ受部14bと、を備え、ヨーダンパ受部14aと補助ヨーダンパ受部14bとに跨る態様で、ヨーダンパ支持部17を備える。
ヨーダンパ受部14aは、第1面板70と、上端縁部71と、底板72と、第1傾斜部73aと、第2傾斜部73bとを有する。第1面部70は、上方に長辺を有し下方に短辺を有する1個の台形部によって構成され、長辺と短辺とが車両長手方向に沿う態様で配置される。上端縁部71は、第1面板70の上端縁の略全長に渡って備えられる。底板72は、第1面板70の台形部の短辺に相当する部位から車両幅方向に延伸する。第1傾斜部73aは、底板72の車両長手方向の一方の端縁部と上端縁部71の車両長手方向の一方の端部とを接続する。第2傾斜部73bは、底板72の車両長手方向の他方の端縁部と上端縁部71の車両長手方向の他方の端部とを接続する。
ヨーダンパ受部14aは、上述したヨーダンパ受部14と同様に、側構体20の下端部と側梁11と枕梁12とに跨る態様で、これらに溶接される。ヨーダンパ受部14aの上端縁部71の上端と、その一対の端面部77の側部は、側構体20の車外側面板20a(図5、図6に示す)に溶接部90aで溶接される。ヨーダンパ受部14aの第1傾斜部73aの側部は、側梁11の車外側面板11a(図5、図6に示す)と枕梁12とに溶接部90cで溶接され、第2傾斜部73bの側部は、側梁11の車外側面板11aと枕梁12とに溶接部90bで溶接され、第1水平部74aの側部は、側梁11の車外側面板11aに溶接部90dで溶接される。
ヨーダンパ受部14aの第1傾斜部73aは、枕梁12と側梁11とに跨って溶接部90cで溶接されているので、第1傾斜部73aに沿う加振力F3は、枕梁12と側梁11とに伝達される。同様に、第2傾斜部73bは、枕梁12と側梁11とに跨って溶接部90bで溶接されているので、第2傾斜部73bに沿う加振力F4は、枕梁12と側梁11と側構体20とに伝達される。
第1傾斜部73a及び第2傾斜部73bは、x方向及びz方向に対して傾斜する態様(溶接部90c及び溶接部90b)で鉄道車両1の構体に溶接されるため、ヨーダンパ支持部17からヨーダンパ受部14aに入力する加振力F2のx方向成分とz方向成分とが、溶接部90c(90b)の溶接線に沿った方向となり、これら溶接部90c、90bに高い応力が生じにくい。また、溶接部の溶接線に平行な方向に繰り返し荷重が作用する継手の許容応力は、溶接線に交差する方向に作用する繰り返し荷重場合の継手の許容応力よりも高いため、溶接部の疲労強度高めることができる。
したがって、本実施形態によれば、台車7からヨーダンパ8及びヨーダンパ支持部17を経由して台枠10に伝達される加振力を鉄道車両構体に効率的に伝達するとともに、十分な強度を備え、且つ製作工数を低減できる軌条車両を提供することができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…鉄道車両、5…軌道、7…台車、8…ヨーダンパ、9…空気ばね、10…台枠、
11…側梁、11a…車外側面板、11b…車内側面板、11c…リブ、12…枕梁、
12a…枕梁の下面、13…床部、13a…車外側面板、13b…車内側面板、
13c…リブ、14(14a)…ヨーダンパ受部、14b…補助ヨーダンパ受部、
16…ボルト、17…ヨーダンパ支持部、20…側構体、20a…車外側面板、
20b…車内側面板、20c…リブ、70…第1面板、71…上端縁部、72…底板、
72a…下面、72b…ボルト孔、73a…第1傾斜部、73b…第2傾斜部、
74a…第1水平部、74b…第2水平部(底板上方水平部)、74c…第3水平部、
75…第2面板、76…垂直部、77…端面部、80…水抜き流路、
90a~90d…溶接部、P…開口部、F1~F4…加振力などの各種力
11…側梁、11a…車外側面板、11b…車内側面板、11c…リブ、12…枕梁、
12a…枕梁の下面、13…床部、13a…車外側面板、13b…車内側面板、
13c…リブ、14(14a)…ヨーダンパ受部、14b…補助ヨーダンパ受部、
16…ボルト、17…ヨーダンパ支持部、20…側構体、20a…車外側面板、
20b…車内側面板、20c…リブ、70…第1面板、71…上端縁部、72…底板、
72a…下面、72b…ボルト孔、73a…第1傾斜部、73b…第2傾斜部、
74a…第1水平部、74b…第2水平部(底板上方水平部)、74c…第3水平部、
75…第2面板、76…垂直部、77…端面部、80…水抜き流路、
90a~90d…溶接部、P…開口部、F1~F4…加振力などの各種力
Claims (10)
- 床面をなす床部と、前記床部の車両幅方向の端部に車両長手方向に沿って備えられる側梁と、前記側梁と前記床部とに跨って前記車両幅方向に沿って前記側梁及び前記床部の下面に備えられる枕梁と、を有する台枠と、
前記台枠の前記車両幅方向の端部に立設される側構体と、
前記台枠を下方から支持する台車と、
前記台枠の前記車両幅方向の端部に備えられるヨーダンパ受部と、
前記ヨーダンパ受部に固定されるヨーダンパ支持部と、
前記台車に接続される一方の端部と、前記ヨーダンパ支持部に接続される他方の端部とを有し、前記台車のヨーイング振動を抑制するヨーダンパと、を備え、
前記ヨーダンパ受部は、前記側構体と前記側梁と前記枕梁とに跨って備えられる
ことを特徴とする軌条車両。 - 請求項1に記載される軌条車両において、
前記ヨーダンパ受部は、
上方に長辺を有し下方に短辺を有する2個の台形部の前記長辺が前記車両長手方向に沿う略同一直線状に隣接して並ぶとともに、2個の前記台形部が略同一平面に属する態様で配置された第1面板と、
前記第1面板の上端縁の略全長に渡って備えられる上端縁部と、
前記第1面板の前記台形部の前記短辺に相当する部位から前記車両幅方向に延伸する底板と、
前記底板の前記車両長手方向の一方の端縁部と前記上端縁部の前記車両長手方向の中央部とを接続する第1傾斜部と、
前記底板の前記車両長手方向の他方の端縁部と前記上端縁部の前記車両長手方向の端部とを接続する第2傾斜部と、を有する
ことを特徴とする軌条車両。 - 請求項2に記載される軌条車両において、
前記ヨーダンパ受部の前記第1傾斜部は、前記側梁と前記枕梁とに跨って溶接される
ことを特徴とする軌条車両。 - 請求項2に記載される軌条車両において、
前記ヨーダンパ受部の前記第2傾斜部は、前記側構体と前記側梁と前記枕梁とに跨って溶接される
ことを特徴とする軌条車両。 - 請求項2に記載される軌条車両において、
前記ヨーダンパ受部は、
前記底板の前記車両長手方向の両端縁部から鉛直方向上方に延伸するとともに、前記底板の前記両端縁部と前記上端縁部とを接続する一対の垂直部と、
一対の前記垂直部の高さ方向の中央部同士を接続する底板上方水平部と、
前記垂直部の下端部と前記底板の縁部とを接続するとともに、前記第1面板に略平行に配置される第2面板と、
一対の前記垂直部と前記底板上方水平部と前記底板と前記第2面板とによって形成される空間であり、前記第1面板を貫通して前記車両幅方向へ開口する開口部と、を有する
ことを特徴とする軌条車両。 - 請求項5に記載される軌条車両において、
前記第2面板と前記枕梁との間に、排水のための流路が備えられる
ことを特徴とする軌条車両。 - 請求項2に記載される軌条車両において、
前記底板の下面は、前記枕梁の下面と略同一面に配置される
ことを特徴とする軌条車両。 - 請求項1に記載される軌条車両において、
前記ヨーダンパ受部は、前記側構体と前記台枠とに固定される
ことを特徴とする軌条車両。 - 請求項2に記載される軌条車両において、
前記ヨーダンパ支持部は、前記ヨーダンパ受部の前記底板に固定される
ことを特徴とする軌条車両。 - 請求項1に記載される軌条車両において、
前記ヨーダンパ支持部は、
前記ヨーダンパ受部と、前記台枠の下面の前記車両長手方向に前記枕梁を延長する態様で備えられる補助ヨーダンパ受部と、に跨って備えられており、
前記ヨーダンパ受部は、
上方に長辺を有し下方に短辺を有する1個の台形部の前記長辺と前記短辺とが前記車両長手方向に沿う態様で配置された第1面板と、
前記第1面板の上端縁の略全長に渡って備えられる上端縁部と、
前記第1面板の前記台形部の前記短辺に相当する部位から前記車両幅方向に延伸する底板と、
前記底板の前記車両長手方向の一方の端縁部と前記上端縁部の前記車両長手方向の一方の端部とを接続する第1傾斜部と、
前記底板の前記車両長手方向の他方の端縁部と前記上端縁部の前記車両長手方向の他方の端部とを接続する第2傾斜部と、を有する
ことを特徴とする軌条車両。
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- 2023-05-04 TW TW112116605A patent/TW202346132A/zh unknown
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014125138A (ja) | 2012-12-27 | 2014-07-07 | Kawasaki Heavy Ind Ltd | 鉄道車両の台枠構造 |
CN110667631A (zh) | 2019-11-27 | 2020-01-10 | 西南交通大学 | 一种控制车体异常抖动装置及控制方法 |
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TW202346132A (zh) | 2023-12-01 |
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GB202313147D0 (en) | 2023-10-11 |
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