本開示の第1実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
図1は、第1実施形態における光通信用途の光モジュール1の外観図である。PCB130に搭載される駆動IC(図示せず)から、PCB130にはんだまたは導電性接着剤等によって接続されるFPC140を介し、光サブアッセンブリ100に変調された差動電気信号や制御信号等が伝達される。FPC140は、可撓性を有する回路基板である。光サブアッセンブリ100は、光素子350(図3参照)を収容し、かつ出射光をもしくは入射光を送受するインターフェースを備えている。光サブアッセンブリ100は、アイレット310(図3参照)と、光レセプタクル2を含む。なお、図示しないが、光サブアッセンブリ100、PCB130、及びFPC140は、金属製などの筐体に内蔵されて、光モジュール1は構成されている。
図2は、第1実施形態における光モジュール1の一部の断面構造を示す模式図である。図2に示すように、第1実施形態に係る光モジュール1は、光レセプタクル2と光パッケージ3とを含んでいる。そして、光レセプタクル2は、光レセプタクル本体20と、スタブ22と、スリーブ24とを備えている。
第1実施形態に係る光レセプタクル本体20は、一体的に形成された樹脂部材を含んで構成されており、円柱状の外形を有する光パッケージ収容部20fと、光パッケージ収容部20fの外径より小さな外径を有する概略円柱形状の光ファイバ挿入部20dとを備えている。光パッケージ収容部20fと光ファイバ挿入部20dとは、それぞれの一端面同士が、連結されている。
光パッケージ収容部20fには、その外形状と同軸に円型の凹部20aが形成されており、円筒形をなしている。
光レセプタクル本体20には、光ファイバ挿入部20dの先端面から、この光ファイバ挿入部20dの外形状と同軸に延びて、光パッケージ収容部20fに形成された凹部20aの底面に至る挿入孔20bが形成されている。すなわち、光レセプタクル本体20には、凹部20aと、凹部20aから外部に貫通する挿入孔20bと、が形成されている。
挿入孔20bの内壁面の先端に形成されているテーパ部20cは、その径が外側に向かって増加するテーパ形状である。そのため、外部光ファイバを備えたコネクタを挿入孔20bに挿入しやすいようになっている。
光ファイバ挿入部20dには、その外周に沿ってフランジ20eが形成されている。
スタブ22は、ジルコニアなどを含んで構成されている。そして、スタブ22は、光レセプタクル本体20の光ファイバ挿入部20dに形成されている挿入孔20bとほぼ同径の概略円柱形状であり、スタブ22と同軸の光ファイバ50を保持している。そして、スタブ22は光レセプタクル本体20の光ファイバ挿入部20dに圧入などにより挿入固定されている。スタブ22の右側端面は斜め研磨されている。このようにして、光ファイバ50へ入力される光と、その反射光との干渉を防止している。
光レセプタクル2のスタブ22の左側側面は、外部から挿入孔20bに挿入された外部光ファイバを備えたコネクタ(図示せず)と当接されて、コネクタが備える外部光ファイバと、スタブ22が保持する光ファイバ50との結合を行う。
スリーブ24は、ジルコニアなどで構成された割スリーブを含んで構成されている。そして、スリーブ24の内径は、挿入孔20bとほぼ同径の円筒形状をしており、光レセプタクル本体20の内壁面に設けられた溝に埋め込まれている。このスリーブ24によって、光ファイバ挿入部20dに挿入される外部光ファイバを備えたコネクタの、挿入孔20b内における位置の調整ができるようになっている。
光パッケージ3は、球体のレンズ30を備えている。また、光パッケージ3は、レンズ30と略同径の開口が底面に形成された金属製の有底円筒状の部材であるレンズ支持部32を備えている。レンズ支持部32の開口は、レンズ支持部32の底面の形状と同軸に形成されている。そして、レンズ30はレンズ支持部32の開口に嵌め込まれている。すなわち、レンズ支持部32はレンズ30を支持する。
また、光パッケージ3は、上述したアイレット310、台座313と、を含むステムを備えている。ステムは例えば金属により形成されており、FPC140に形成されるグラウンド導体と電気的に接続され、電気的に接地される。
光レセプタクル本体20とアイレット310の第1面311との接合面を接着固定することで光モジュール1は組み立てられる。光レセプタクル本体20とアイレット310とにより、筐体が構成される。アイレット310に溶接されたレンズ支持部32と、このレンズ支持部32に嵌め込まれたレンズ30とは、光レセプタクル2の凹部20aの中に入るように形成される。すなわち、レンズ30やレンズ支持部32は、光レセプタクル本体20の凹部20aに収容される。なお、光レセプタクル2と光パッケージ3とを接着する方法はこの限りではない。
光サブアッセンブリの例としては、レーザダイオードなどの発光素子を内部に有し、電気信号を光信号に変換して送信する光送信サブアッセンブリ(TOSA; Transmitter Optical Subassembly)や、内部にフォトダイオードに代表される受光素子を有し、受信した光信号を電気信号に変換する光受信サブアッセンブリ(ROSA; Receiver Optical Subassembly)や、これらの両方の機能を内包した双方向光サブアッセンブリ(BOSA;Bidirectional Optical Subassembly)などがある。本願発明は、上記いずれの光サブアッセンブリにも適用でき、第1実施形態においては、光送信サブアッセンブリを例に挙げて説明する。
図3は、本開示の第1実施形態に係る光モジュール1に含まれる光サブアッセンブリ100を示す模式的な斜視図である。図4は、本開示の第1実施形態に係る光モジュール1に含まれる光サブアッセンブリ100をY軸方向から見た図である。
光サブアッセンブリ100は、例えば、アイレット310と、台座313と、リード端子320と、中継基板330と、素子搭載部340と、光素子350と、温度調整素子360と、サブキャリア370と、ボンディングワイヤ380と、を含む。
アイレット310は、第1面311と、第1面311の反対側に配置された第2面312と、第2面312から第1面311までを貫通する複数の貫通孔315と、を含む。具体的には、例えば、アイレット310は、例えば、直径5.6mmの円盤形状であって、金属等の導電性の材料で形成される。アイレット310は、円盤形状のZ軸方向に向かう側に第1面311を有し、第1面311とは反対側に第2面312を有する。また、アイレット310は、第1面311から第2面312までを貫通する複数の貫通孔315を有する。
リード端子320は、複数の貫通孔315に挿入され、少なくとも一部に差動電気信号が入力される。具体的には、例えば、リード端子320は、第1リード端子320Aから第6リード端子320F(図5参照)を含み、各リード端子320はそれぞれアイレット310に設けられた貫通孔315に挿入される。各リード端子320が配置された貫通孔315の隙間には、ガラスなどの誘電体314が充填される。当該ガラスなどの誘電体314が、各貫通孔315内において、各リード端子320を保持している。アイレット310、誘電体314、及び各リード端子320によって、同軸線路を構成している。図3に示す実施形態においては、第1リード端子320A及び第2リード端子320Bには、差動電気信号が入力される。第3リード端子320C及び第4リード端子320Dには温度調整素子360を制御する制御信号が入力される。第5リード端子320E及び第6リード端子320Fには出力モニタ及び温度モニタが接続される。
台座313は、アイレット310の第1面311側に配置される。第1実施形態においては、台座313は金属製であり、アイレット310の第1面311から、第1リード端子320A及び第2リード端子320Bに近接して、Z軸方向に向かって突出している(図7参照)。図3に示す実施形態においては、アイレット310と台座313とは一体形成されている。アイレット310と台座313とは同電位となっており、両者によりステムを構成している。第1実施形態に係るステムは、プレス加工により成型されており、例えば、熱伝導率が50~70[W/m・K]の圧延鋼からなる。
中継基板330は、台座313のX軸方向側に配置される。具体的には、例えば、図5から図7を用いて説明する。図5は、中継基板330が台座313に搭載された状態を示す図であって、アイレット310、台座313、リード端子320及び中継基板330以外の構成を省略した図である。図6は、中継基板330を拡大した図である。図7は、ステムを示す模式的な斜視図である。図3及び図6に示すように、中継基板330は、台座313のX軸方向側に配置される。
中継基板330は、第1面311の法線方向に伸びるリード接続面334と、リード接続面334と隣り合う第1ボンディング面335と、を含む。具体的には、図3から図6に示す実施形態においては、中継基板330は、X軸方向に向かう面にリード接続面334を含み、Y方向に向かう面に第1ボンディング面335を含む。
また、中継基板330は、リード接続面334と第1ボンディング面335にまたがって第1導体パターン331及び第2導体パターン332が形成される。具体的には、図3から図6に示す実施形態においては、中継基板330は、リード接続面334に形成された第1導体パターン331及び第2導体パターン332と、第1ボンディング面335に形成された第1導体パターン331及び第2導体パターン332と、が同電圧となるように切れ目なく形成される。第1導体パターン331及び第2導体パターン332は、差動電気信号を伝搬する導波路として形成される。特に、第1導体パターン331及び第2導体パターン332は、差動電気信号の結合部において、テーパ601が形成されることが望ましい。テーパ601を形成することによって、差動電気信号のインピーダンスが、結合部において急激に変化することを防止できる。その結果、高周波特性を改善できる。
さらに、リード接続面334に形成された第1導体パターン331及び第2導体パターン332は、リード端子320とはんだまたは導電性接着剤333で接続されて差動電気信号が入力される。図3から図6に示す実施形態においては、第1導体パターン331は、第1リード端子320Aとはんだまたは導電性接着剤333で接続され、第2導体パターン332は、第2リード端子320Bとはんだまたは導電性接着剤333で接続される。
上記のように、中継基板330は、中継基板330が有する面のうち面積の大きいリード接続面334の向く方向が、第3導体パターン341及び第4導体パターン342の面が向く方向と、略垂直に配置される。これにより、アイレット310に多数の部品を配置しかつ容易に製造することが可能である。
素子搭載部340は、差動電気信号が入力される第3導体パターン341及び第4導体パターン342が形成された第2ボンディング面343を含む。具体的には、例えば、素子搭載部340は、Y方向に向かう面に第2ボンディング面343を含む。また、素子搭載部340は、第2ボンディング面343に第3導体パターン341及び第4導体パターン342が形成される。第1ボンディング面335の第1導体パターン331及び第2導体パターン332は、第2ボンディング面343の第3導体パターン341及び第4導体パターン342とボンディングワイヤ380によって接続される。図3に示す実施形態においては、第3導体パターン341は、ワイヤボンディングによって、中継基板330に形成された第1導体パターン331と電気的に接続される。同様に、第4導体パターン342は、ワイヤボンディングによって、中継基板330に形成された第2導体パターン332と電気的に接続される。
上記のように、第1導体パターン331及び第2導体パターン332は、第1リード端子320A及び第2リード端子320Bと接続された差動電気信号が入力される。従って、第3導体パターン341及び第4導体パターン342には、ボンディングワイヤ380を介して差動電気信号が入力される。
光素子350は、素子搭載部340に搭載され、第3導体パターン341及び第4導体パターン342と電気的に接続され、光信号と差動電気信号の一方を他方に変換する。具体的には、例えば、光素子350はレーザダイオードであって、素子搭載部340のY方向に向かう面に搭載される。光素子350は、第3導体パターン341及び第4導体パターン342から差動電気信号が入力され、該差動電気信号を光信号に変換する。また、光素子350が受光素子として機能する場合には、光素子350は光信号が入力され、該光信号を差動電気信号に変換する。変換された差動電気信号は、第3導体パターン341及び第4導体パターン342と、ボンディングワイヤ380と、第1導体パターン331及び第2導体パターン332と、を経由して第1リード端子320A及び第2リード端子320Bに伝搬される。なお、図3に示す実施形態においては、素子搭載部340は基板である。
ワイヤボンディングを行う際、ボンディングワイヤ380の両端が接続される面が異なる方向を向いていた場合、片側の端子にボンディングワイヤ380をボンディングした後、ボンディング対象の向きを変更する必要がある。上記構成のように、第1ボンディング面と第2ボンディング面の各法線方向が同一方向(第1実施形態では、図3に示すようにY軸の正方向)であることにより、ボンディング対象である光サブアッセンブリ100の向きを変更する必要が生じない。なお、各法線方向が同一方向であるとは、一方の面にボンディングワイヤ380をボンディングした後、他方の面にボンディングワイヤ380をボンディングする前にボンディング対象の向きを変更する必要がない程度に、第1ボンディング面335と第2ボンディング面343のなす角度が小さいことを表す。すなわち、第1ボンディング面335と第2ボンディング面343は、ともに同じ方向(第1実施形態では、図3に示すようにY軸の正方向)を向いており、第1ボンディング面335と第2ボンディング面343は、互いに略平行な面である。従って、光サブアッセンブリ100の製造が容易になる。
温度調整素子360は、第1面311に接して配置され、光素子350の温度を調整する。具体的には、例えば、温度調整素子360は、ペルチェ素子であって、第1面311に接して配置される。温度調整素子360は、第3リード端子320C及び第4リード端子320Dから入力される制御信号に基づいて、光素子350を冷却する。なお、温度調整が不要である場合には、温度調整素子360は省略されてもよい。
なお、通常、光素子350に供給される差動電気信号は、グラウンドに接地された導体パターンと結合していることが望ましい。また、ペルチェ素子は、熱を移動させる半導体素子の両側を絶縁基板で挟んで構成される。そのため、温度調整素子360がペルチェ素子である場合、アイレット310と素子搭載部340とは絶縁されるため、素子搭載部340にグラウンド電位を供給することはできない。しかしながら、第1実施形態によれば、第1リード端子320A及び第2リード端子320Bから光素子350に至るまで、差動電気信号が通る経路が、差動電気信号を伝搬する導波路として形成される。従って、後述するように、素子搭載部340がグラウンドに接地されていなくても、光サブアッセンブリ100の高周波特性を改善できる。
サブキャリア370は、温度調整素子360に搭載され、素子搭載部340を搭載する。具体的には、例えば、サブキャリア370は、温度調整素子360のZ軸方向側に、台座313とはX軸方向に間隔をあけて配置される。
サブキャリア370は、高い熱伝導率を有し、且つ光素子350に近い熱膨張係数を有する絶縁材料からなることが望ましい。第1実施形態においては、サブキャリア370は、例えばセラミックにより形成される。セラミックは、金属や非金属を問わず、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物などの無機化合物の成形体、粉末、膜など無機固体材料を含む。例えば、サブキャリア370に用いるセラミックとして、熱伝導率が170~200[W/m・K]の窒化アルミニウムが望ましい。また、サブキャリア370のY軸方向を向く表面は素子搭載部340が搭載される。
ボンディングワイヤ380は、第1ボンディング面335の第1導体パターン331及び第2導体パターン332と、第2ボンディング面343の第3導体パターン341及び第4導体パターン342と、を電気的に接続する。具体的には、3本以上のボンディングワイヤ380は、第1導体パターン331と第3導体パターン341とを電気的に接続する。同様に、3本以上のボンディングワイヤ380は、第2導体パターン332と第4導体パターン342とを電気的に接続する。第1導体パターン331と第3導体パターン341とを接続するボンディングワイヤ380と、第2導体パターン332と第4導体パターン342とを接続するボンディングワイヤ380と、は近接して配置される。これにより、3対以上のボンディングワイヤ380は、差動電気信号を伝搬する導波路として形成される。3対以上のボンディングワイヤ380で接続することによって、ボンディングワイヤ380に寄生するインダクタンスを低減し、良好な透過特性を得ることができる。
図8は、図3に示した構成と、従来例1及び従来例2の構成についての、光モジュールの透過特性(S21)を3次元電磁界シミュレータHFSS(High Frequency Structure Simulator)を用いて計算したグラフである。
従来例1の光モジュールは、温度調整素子360を搭載しない光サブアッセンブリを搭載している。具体的には、従来例1の光サブアッセンブリは、図9に示す構成を有する。従来例1の光サブアッセンブリは、直径5.6mm金属からなる導電性のステムを含む。ステムは、貫通孔315を設けたアイレット310を含み、貫通孔315にリード端子320がガラスなどの誘電体314で固定されている。アイレット310、誘電体314及びリード端子320によって、同軸線路が構成される。同軸線路のインピーダンスは25Ohmに整合している。リード端子320は、アイレット310に設けられた孔を貫通し、一部が突出している。突出したリード端子320の先端は、アイレット310から垂直に突出した台座313に搭載された中継基板330の表面の導体パターンとAuSnはんだで接合されている。中継基板330には、グラウンド電位であるステムから突出した台座313と導体パターンによってマイクロストリップ線路が形成される。さらに、素子搭載部340は、台座313にダイボンディングされる。素子搭載部340は、光素子350と近い熱膨張係数を持つ窒化アルミなどのセラミックで形成される。素子搭載部340は、表裏面に導体パターンを含むマイクロストリップ線路であり、裏面の導体パターンはグラウンド電位であるステムに接続される。素子搭載部340には、光素子350が搭載される。
従来例2の光モジュールは、温度調整素子360を搭載した光サブアッセンブリを搭載している。具体的には、従来例2の光サブアッセンブリは、図10に示す構成を有する。従来例2の光サブアッセンブリは、従来例1の台座313が設けされた領域の中央部に温度調整素子360及びサブキャリア370を含む。サブキャリア370は、放熱性を高めるため、熱伝導率の高いセラミックや金属で形成される。台座313は、温度調整素子360及びサブキャリア370の両側の2か所に分離して設けられる。中継基板330は、2か所に分離した台座313の上に配置される。光素子350を搭載した素子搭載部340は、サブキャリア370の上に搭載され、分離した中継基板330を経由してリード端子320との間で差動電気信号を送受信する。2つの中継基板330および素子搭載部340は、それぞれ表裏面に導体パターンを含むマイクロストリップ線路を形成している。温度調整素子360はペルチェ素子であるため、温度調整素子360は、アイレット310及びサブキャリア370と面する部分に絶縁基板を有する。従って、素子搭載部340の光素子350が搭載された面の裏面は、グラウンド電位が供給されない。
図8に示すように、従来例1の光サブアッセンブリは、素子搭載部340の裏面にグラウンド電位が供給されるため、高い周波数領域においても透過特性が高い。しかしながら、従来例1の光サブアッセンブリは、温度調整素子360を含まないため、高温環境で用いることはできない。
一方、従来例2の光サブアッセンブリは、温度調整素子360を含むため、高温環境で用いることができる。しかしながら、図8に示すように、従来例2の光サブアッセンブリは、素子搭載部340の裏面にグラウンド電位が供給されないため、高い周波数領域において透過特性が低下する。
これに対し、第1実施形態の光サブアッセンブリ100は、温度調整素子360を含むため、高温環境で用いることができる。さらに、図8に示すように、第1実施形態に係る光サブアッセンブリ100は、従来例2と比較して、高周波特性に関して高い透過特性を有している。第1実施形態は従来例2と異なり、中継基板330が分割されないため、差動電気信号を伝搬する導波路が形成される。当該導波路は、基板の垂直な二面にまたがって形成されている。そのため、第1実施形態では従来例2と異なり、リード端子320から光素子350の直前まで差動電気信号間の電気的な結合が維持された状態で、差動電気信号が伝搬される。これにより、グラウンド電位が素子搭載部340の直下に供給されていない状態であっても、差動電気信号間の電気的な結合によって電磁界が高次モードへの変換を起こすことなく、TEMモードとして伝搬される。従って、良好な透過特性が得られる。
図11は、第2実施形態に係る光モジュール1に含まれる光サブアッセンブリ100の斜視図である。図11に示す光サブアッセンブリ100においては、第3導体パターン341及び第4導体パターン342は、光素子350が搭載される素子搭載面344と第2ボンディング面343にまたがって配置される。具体的には、例えば、素子搭載部340は、サブキャリア370と一体的に形成される。第3導体パターン341及び第4導体パターン342は、素子搭載部340のY方向に向かう面とZ方向に向かう面にまたがって形成される。第1実施形態と同様に、第3導体パターン341及び第4導体パターン342は、素子搭載部340の上で、差動電気信号を伝搬する導波路として形成される。
また、素子搭載部340は、第2ボンディング面343と隣り合う面に、光素子350が搭載される素子搭載面344をさらに含む。具体的には、例えば、素子搭載部340は、Y方向に向かう面に光素子350が搭載される素子搭載面344を含む。光素子350は、素子搭載部340のY方向に向かう面に搭載され、当該面に形成された第3導体パターン341及び第4導体パターン342と接続される。
中継基板330は、第1面311の法線方向に伸びるリード接続面334と、リード接続面334と隣り合う第1ボンディング面335と、を含む。第2実施形態においては、中継基板330は、X軸方向に向かう面にリード接続面334を含み、Z方向に向かう面に第1ボンディング面335を含む。
第1ボンディング面335の第1導体パターン331及び第2導体パターン332は、第2ボンディング面343の第3導体パターン341及び第4導体パターン342とボンディングワイヤ380によって接続される。第2実施形態においては、中継基板330のZ方向に向かう面に形成された第1導体パターン331は、素子搭載部340のZ方向に向かう面に形成された第3導体パターン341と電気的に接続される。中継基板330のZ方向に向かう面に形成された第2導体パターン332は、素子搭載部340のZ方向に向かう面に形成された第4導体パターン342と電気的に接続される。
このような構成においても、中継基板330及び素子搭載部340のワイヤボンディングで接続される面は、ともにZ方向に向かう面である。従って、容易にボンディングを行うことができる。また、第1実施形態と同様に、中継基板330が有する面のうち面積の大きいリード接続面334の向く方向が、第3導体パターン341及び第4導体パターン342の面が向く方向と、略垂直に配置されることにより、アイレット310に多数の部品を配置しかつ容易に製造することが可能である。
さらに、図11に示す第2実施形態の光サブアッセンブリ100では、サブキャリア370の重心はアイレット310の重心に対し、中継基板330側に偏って配置されることを特徴としてもよい。当該実装方法であれば、ガラス同軸部の直上も安定して実装領域として用いることができるため小型化に優位である。
なお、第2実施形態の光サブアッセンブリ100においても、温度調整素子360を含まない構成としてもよいし、ボンディングワイヤ380が3対以上設けられる構成としてもよい。
続いて、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については説明を省略する。上述のように、第1実施形態によれば、差動電気信号間の電気的な結合によって電磁界が高次モードへの変換を起こすことがないため、差動電気信号はTEMモードとして伝搬される。従って、良好な透過特性が得られる。しかしながら、図8のシミュレーション結果が示すように、中継基板330にグラウンド電位が供給されない場合では、良好な応答特性を示す帯域は25GHzに限られる。第3実施形態によれば、30GHz以上の高周波領域においても良好な応答特性を示す電界吸収型光変調器を集積した光半導体レーザーを実現することができる。
図12は、第3実施形態に係る光モジュール1に含まれる光サブアッセンブリ100の斜視図である。図13は、第3実施形態に係る光モジュール1に含まれる光サブアッセンブリ100の別方向からの斜視図である。図14は、第3実施形態に係る中継基板330が台座313にはんだまたは導電性接着剤333で接続された状態を示す模式的な斜視図である。
中継基板330は、さらに、第1ボンディング面335と隣り合う面に、グラウンドに接地された第1グラウンドパターン1202が設けられた第1グラウンドパターン面1302を有する。具体的には、中継基板330は、リード接続面334と反対側の面(すなわち、-X軸方向に向かう面)にグラウンドに接地された第1グラウンドパターン1202を有する。なお、図13に示す例では、第1グラウンドパターン1202は、リード接続面334と反対側の面の全面に配置されている。
第1グラウンドパターン1202は、第1ボンディング面335にまたがって配置される。具体的には、例えば、第1グラウンドパターン1202は、リード接続面334と反対側の面から第1ボンディング面335にまたがって配置される。第1ボンディング面335に配置された第1グラウンドパターン1202は、第1導体パターン331及び第2導体パターン332の両側に配置される。
なお、第1グラウンドパターン1202は、第1ボンディング面335の第1導体パターン331及び第2導体パターン332の-X軸方向側にも配置されてもよい。当該構成によれば、第1導体パターン331及び第2導体パターン332は、第1ボンディング面335からリード接続面334にまたがって配置された部分を除いて、第1グラウンドパターン1202に囲われる。
サブキャリア370は、第1グラウンドパターン面1302と平行な面に、グラウンドに接地された第2グラウンドパターン1304が設けられた第2グラウンドパターン面1306を有する。具体的には、例えば、サブキャリア370は、-X軸方向に向かう面にグラウンドに接地された第2グラウンドパターン1304を有する。なお、図13に示す例では、第2グラウンドパターン1304は、第2グラウンドパターン面1306の全面に配置されている。
なお、第2グラウンドパターン1304は、第2グラウンドパターン面1306と隣接する面にまたがって配置されてもよい。具体的には、例えば、第2グラウンドパターン1304は、第2グラウンドパターン面1306からサブキャリア370のY軸方向に向かう面にまたがって配置されてもよい。すなわち、第2グラウンドパターン1304は、サブキャリア370の中継基板330と接する面の全体に配置されてもよい。さらに、サブキャリア370は、金属のブロックであってもよい。
第1グラウンドパターン1202は、第2グラウンドパターン1304とボンディングワイヤ380によって接続される。具体的には、例えば、中継基板330の第1グラウンドパターン面1302に設けられた第1グラウンドパターン1202は、サブキャリア370の第2グラウンドパターン面1306に設けられた第2グラウンドパターン1304とボンディングワイヤ380によって接続される。
素子搭載部340は、グラウンドに接地され、少なくとも隣り合う二面にまたがる第3グラウンドパターン1308を有する。具体的には、例えば、素子搭載部340は、第2ボンディング面343にグラウンドに接地された第3グラウンドパターン1308を有する。第3グラウンドパターン1308は、第3導体パターン341及び第4導体パターン342の両側に配置される。第3グラウンドパターン1308は、第1ボンディング面335に設けられた第1グラウンドパターン1202とボンディングワイヤ380によって接続される。なお、素子搭載部340は、金属ブロックであってもよい。
なお、第3グラウンドパターン1308は、第2ボンディング面343に隣り合う面を経て、第2ボンディング面343の裏側の面にかけてまたがって配置されてもよい。第2ボンディング面343の裏側の面に配置された第3グラウンドパターン1308は、サブキャリア370のY軸方向に向かう面に配置された第2グラウンドパターン1304と接続されることで、グラウンドに接地される。
複数のリード端子は、対応する信号が入力される一対のリード端子を含む。具体的には、例えば、第1リード端子320A及び第2リード端子320Bは、一対のリード端子である。一対の差動電気信号が、第1リード端子320A及び第2リード端子320Bに入力される。一対のリード端子は、アイレット310を貫通する単一の貫通孔315に誘電体314によって固着される。例えば、単一の貫通孔315に一対のリード端子(第1リード端子320A及び第2リード端子320B)がガラスによって固着され、一対のリード端子のインピーダンスが差動100Ohmに整合するよう設計される。
図12及び図13に示す第3導体パターン341及び第4導体パターン342は、光素子350が電界吸収型光素子である場合におけるものである。電界吸収型光素子が用いられる場合、出力インピーダンスが100Ohmである駆動ICを用いて差動信号が変調されることが一般的である。そのため、差動信号が入力される第3導体パターン341及び第4導体パターン342のインピーダンスは、100Ohmに整合するように設計されるため、第1実施形態や第2実施形態と比べると細いパターン幅である。
第3実施形態によれば、素子搭載部340にグラウンド電位を供給することによって、高周波特性が安定し、30GHz以上の高周波領域においても良好な透過特性を示す。図15は、第3実施形態に係る光モジュール1の透過特性(S21)を3次元電磁界シミュレータHFSS(High Frequency Structure Simulator)を用いて計算したグラフである。グラウンド電位が素子搭載部340の第3グラウンドパターン1308に供給されることで、30GHz以上の透過特性も改善していることがわかる。
第1グラウンドパターン面1302と第2グラウンドパターン面1306は、-X軸方向に向かう面ではなく、Z軸方向に向かう面に設けられてもよい。具体的には、例えば、中継基板330は、Z軸方向に向かう面にグラウンドに接地された第1グラウンドパターン1202を有してもよい。サブキャリア370は、Z軸方向に向かう面にグラウンドに接地された第2グラウンドパターン1304を有してもよい。この場合、中継基板330が台座313よりもZ軸方向に短い場合であっても第1グラウンドパターン1202が露出する。また、第1グラウンドパターン1202と第2グラウンドパターン1304は平行であるため、ボンディングワイヤ380によって接続することができる。
なお、本明細書中では、金属円盤を表すアイレット310という文言を使用したが、アイレット310が円盤形状であることに本質的な意味はなく、多角柱などのその他の形状であってもかまわない。