JP7415694B2 - インク - Google Patents

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本発明は、インクに関する。
インクジェット記録方式は、プロセスが簡単で、かつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られることから、パーソナル用途のみならず、オフィス用途、商用印刷、工業印刷の分野へと広がりつつある。インクジェット記録装置には、着色剤として水溶性染料を使用した水系インクが主に用いられているが、前記染料インクは耐候性及び耐水性に劣るという欠点がある。このため、近年、水溶性染料に代えて顔料を使用する顔料インクの研究が進められている。しかし、前記顔料インクは、染料インクに比べて発色性やインクの吐出安定性、保存安定性がいまだ劣っている。また、OA用プリンタの高画質化技術の向上に伴って、顔料インクを用いて記録メディアとして普通紙に記録する場合でも、染料インクと同等の画像濃度が要求されている。しかし、顔料インクは、記録メディアとして普通紙を使用する場合、紙中へ浸透することにより紙表面の顔料濃度が低くなり、画像濃度が低くなるという問題が生じている。高速印字化のために記録メディアに付着したインクの乾燥速度を早めるため、インクに浸透剤を添加して水を記録メディア中に浸透させることにより乾燥を早める手段がとられるが、この際水だけでなく顔料の記録メディアへの浸透性も高くなってしまい、更に画像濃度が低下してしまうという現象が起こる。
画像濃度の向上については、様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1には、水溶性の多価金属塩を含有してなる紙への記録に用いられるインクが開示されている。このインクは、(a)顔料と、(b)界面活性能を持たず、分子量が150以上10,000以下であり、かつ、その分子構造中におけるリン酸を基本骨格とする官能基とホスホン酸を基本骨格とする官能基から選択される官能基由来のリンの含有率((P量/分子量)×100)が1.4以上である化合物を少なくとも1種含有してなり、(b)化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として1.5質量%以上10.0質量%以下であることを特徴としている。
しかし、特許文献1の方法では、水溶性の多価金属塩の含有率が低い場合、普通紙における画像濃度の向上が不十分であった。また、リン酸を基本骨格とする官能基及びホスホン酸を基本骨格とする官能基から選択される官能基を有する化合物を用いると、画像濃度は向上するが、インク中の顔料の分散が不安定となることが分かった。インク中の顔料の分散が不安定であると、インク保存性に悪影響を及ぼす。すなわち、特許文献1の技術では、高い画像濃度と顔料分散体及びインクとしての顔料の分散安定化の両立は達成できていない。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち本発明は、普通紙において高い画像濃度が得られ、インクとしての顔料の分散安定性が良好であり、保存安定性も良好であるインクを提供することを目的とする。
上記課題は、下記構成1)により解決される。
1)ホスホン酸基を含む黒顔料と、スチレンアクリル樹脂で覆われた樹脂被覆顔料と、水とを含有するインクであって、
前記インクは更にポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、下記構造式1に記載の化合物であることを特徴とするインク。
Figure 0007415694000001
(構造式1中、mは12~15であり、nは8~12である。)
本発明によれば、普通紙において高い画像濃度が得られ、インクとしての顔料の分散安定性が良好であり、保存安定性も良好であるインクを提供することができる。
第一の実施形態に係る画像形成装置の斜視説明図である。 メインタンクの斜視説明図である。
以下、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
本発明のインクは、ホスホン酸基を含む黒顔料と、水とを含有し、前記インクは更にポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、下記構造式1に記載の化合物であることを特徴とする。
Figure 0007415694000002
(構造式1中、mは12~15であり、nは8~12である。)
本発明の上記構成1)によれば、インクが普通紙の紙面上で凝集し、紙表面上に顔料が留まることで、普通紙での高い画像濃度を得ることができ、さらに、顔料分散体及びインクとしての顔料の分散安定性が良くなり、インクの保存安定性も向上する。
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
これらの水溶性有機溶剤は、単独または2種類以上混合して使用することができる。
上記の中でも、インク中に含まれる水溶性有機溶剤の単体又は混合溶剤のSP値が、15.0((cal/cm3)0.5)以上であることが、水分蒸発による吐出不良を防止する上で効果があり、さらに、1,3-プロパンジオールおよびグリセリンを含むことが水分蒸発による吐出不良を防止する上で優れた効果が得られる。
インク中の水溶性有機溶剤の混合溶液のSP値((cal/cm3)0.5)は、次の式(A)により求められる。
[水溶性有機溶剤AのSP値×混合溶液における水溶性有機溶剤Aの体積分率]+[水溶性有機溶剤BのSP値×混合溶液における水溶性有機溶剤Bの体積分率]+・・・+[水溶性有機溶剤NのSP値×混合溶液における水溶性有機溶剤Nの体積分率]・・・ 式(A)
SP値とは、どれだけ互いが溶けやすいかということを数値化したものをいう。SP値は、互いの分子間の引き合う力、すなわち凝集エネルギー密度CED(Cohesive Energy Density)の平方根で表される。なお、CEDとは、1mLのものを蒸発させるのに要するエネルギー量である。
SP値は、Fedors法により下記式(B)を用いて計算することができる。
SP値(溶解パラメータ)=(CED値)1/2=(E/V)1/2 ・・・・・式(B)
式(B)において、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(cm3/mol)であり、分子中の各原子団の蒸発エネルギーをΔei、モル体積をΔviとした場合、下記式(C)、及び式(D)で示される。なお、下記式(C)、及び式(D)中のΣは、分子中の各原子団のΔei、又はΔviの和を示す。
E=ΣΔei ・・・・・式(C)
V=ΣΔvi ・・・・・式(D)
なお、SP値の計算には各種の方法があるが、本実施形態においてはFedorsの方法が用いられる。SP値の計算、及び計算に用いられる各原子団の蒸発エネルギーΔei及びモル体積Δviなどの各種データとしては、「接着の基礎理論」(井本稔著、高分子刊行会発行、第5章)に記載のものを用いることができる。また、-CF基など上記の文献に示されていないデータに関しては、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)を参照することができる。なお、参考までに、式(B)で示されるSP値を、SI単位(J/m3)1/2に換算する場合には、2,046を乗ずればよい。なお、本実施形態において、水溶性有機溶剤は、インク全量に対して、3質量%以上含有されているものに対し上記のSP値の計算で考慮する。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましい。
本発明のインクは更にポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、下記構造式1に記載の化合物であることを特徴とする。
Figure 0007415694000003
(構造式1中、mは12~15であり、nは8~12である。)
前記構造式1に記載以外のポリオキシエチレンアルキルエーテルを使用した場合、本発明の所望の効果を得ることができない。
前記構造式1に記載のポリオキシエチレンアルキルエーテルの添加量は、インク全量に対して、0.01~3.00質量%が好ましく、0.05~1.50質量%がさらに好ましい。
[黒顔料]
本発明に使用される黒顔料としては、インクに使用可能な公知の黒顔料をいずれも使用することができる。具体的には、カーボンブラックなどの無機顔料や有機顔料などを用いることができる。
カーボンブラックとしては、インクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。カーボンブラックの具体例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどを挙げることができる。カーボンブラックの市販品としては、以下商品名で、レイヴァン:7000、5750、5250、5000ULTRA、3500、2000、1500、1255、1250、1200、1190ULTRA-II、1170(以上、コロンビア製);モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000(以上、キャボット製);ブラックパールズ:880、800、L(以上、キャボット製);カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170(以上、デグッサ製);プリンテックス:85、95、140U、140V、U、V(以上、デグッサ製);スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上、デグッサ製);No.900、No.1000、No.2200B、No.2300、No.2350、No.2400R、MCF-88(以上、三菱化学製)を挙げることができる。ホスホン酸型自己分散カーボンブラックの市販品としては、例えば、商品名「CAB-O-JET400」(キャボット製)などを挙げることができる。
(自己分散顔料)
本発明のインクは、黒顔料の粒子表面に直接又は他の原子団を介してホスホン酸基が結合した自己分散顔料(ホスホン酸型自己分散顔料)を色材として含有するのが好ましい。ホスホン酸基は、インク中においてその一部又全部が解離していてもよい。
インク中の黒顔料の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
黒顔料の含有量が0.1質量%以上であることにより、画像の発色性が十分となり、一方、黒顔料の含有量が15.0質量%以下であることにより、インクの吐出安定性が十分となる。また、黒顔料、とくに自己分散顔料の平均粒子径は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、本明細書における「平均粒子径」とは、体積基準の粒度分布における累積50%となる粒子径(D50)を意味する。
[ホスホン酸基]
ホスホン酸基は、黒顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(-R-)を介して結合している。ホスホン酸基としては、PO3HM基、PO32基などを挙げることができる。なお、式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。なかでも、ホスホン酸基の構造が-CQ(PO322で表されることが好ましい。式中、Qは、水素原子、R’、OR’、SR’、又はNR’2を表し、R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基を挙げることができる。アシル基としては、アセチル基、ベンゾイル基を挙げることができる。アラルキル基としては、ベンジル基を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。ホスホン酸基の構造は、R’が水素原子である-CH(PO322であることが好ましい。
他の原子団(-R-)としては、アミド基、アミノ基、ケトン基、エステル基、エーテル基、炭素原子数1乃至12のアルキレン基、置換フェニレン基、非置換フェニレン基、置換ナフチレン基、及び非置換ナフチレン基を挙げることができる。他の原子団(-R-)は、-C64-CONH-(ベンズアミド構造)又は-C64-SO2NH-(ベンゼンスルホンアミド構造)を含むことが好ましい。また、他の原子団(-R-)の炭素原子に複数のホスホン酸基が結合していてもよい。具体的には、ビスホスホン酸基やトリホスホン酸基が他の原子団(-R-)を介して顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料が好ましい。なかでも、ビスホスホン酸基が他の原子団(-R-)を介して顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料を用いると、高温長期保存後であっても記録される画像の堅牢性が向上するとともに、顔料の分散安定性も向上するために特に好ましい。
ホスホン酸基が塩を形成する場合におけるカウンターイオンとしては、アルカリ金属;アンモニア(NH3);有機アンモニウムなどのカチオンを挙げることができる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。有機アンモニウムとしては、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類などの有機アンモニウムを挙げることができる。
本発明ではメディア中に添加されている炭酸カルシウムと反応させてより高濃度化を実現するために、黒顔料表面にホスホン酸基の官能基を付加した自己分散顔料を用いることが好ましい。また、カウンターイオンはナトリウムまたはトリエタノールアミンのいずれかであることが好ましい。カウンターイオンがナトリウムの場合、黒顔料の凝集性がより高まるため高濃度化が期待できる。一方、カウンターイオンがトリエタノールアミンの場合、溶媒に対する黒顔料の分散性が優れるため保存安定性などに優れる。なお、インク中に含まれる黒顔料中のカウンターイオンは、例えば遠心分離器にてインク中から顔料成分を取出した後、イオンクロマトグラフィーなどによって特定することが可能である。
[自己分散顔料の分析方法]
インクに含まれる黒顔料が自己分散顔料であるか否かを分析(検証)する方法の一例を以下に示す。
まず、分析対象となるインクを酸析した後、遠心分離して沈殿物を採取する。なお、分析対象が顔料分散体である場合には、顔料分散体を酸析した後、沈殿物を採取する。採取した沈殿物をシャーレに取り、水を流し込んで撹拌し、再分散させる。1日放置後、シャーレに沈殿物が生じず、顔料が分散していれば、インクに含まれる顔料は自己分散顔料であると判断することができる。また、インクに含まれる自己分散顔料がホスホン酸基を有するか否かについては、ICP発光分析装置を使用して検証することができる。
具体的には、ICP発光分析装置を使用して分析した結果、リン元素が確認されれば、インクに含まれる自己分散顔料はホスホン酸基を有すると判断することができる。
本発明における黒顔料は、その一部が、樹脂で覆われた樹脂被覆顔料であることができる。この形態によれば、高い画像濃度が得られ、また定着性を高めることができる。
樹脂被覆顔料としては、マイクロカプセルに包含させた黒顔料が挙げられる。このような樹脂被覆顔料は、水中に分散可能である。
樹脂被覆顔料に使用される樹脂としては、保存安定性を向上させるという観点から、スチレンアクリル樹脂が好ましく、顔料に対するスチレンアクリル樹脂の比率は10質量%以上66質量%以下であることが好ましい。該比率が10質量%以上であることで定着性が良好となり、66質量%以下であることで保存安定性および吐出安定性が良好となる。
前記スチレンアクリル樹脂で覆われていない前記黒顔料と、前記スチレンアクリル樹脂で覆われた樹脂被覆顔料との比(質量比)は、前者:後者として、25:75~75:25であることが好ましく、50:50~75:25であることがさらに好ましい。
前記スチレンアクリル樹脂で覆われていない前記黒顔料と、前記スチレンアクリル樹脂で覆われた樹脂被覆顔料とは、それぞれの比重が異なるため、例えば遠心分離器にてインク中からそれぞれ取り出すことが可能である。
また本発明における黒顔料は、分散剤を用いて分散させることも可能である。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましい。
また本発明のインクは、樹脂粒子を含み、前記樹脂粒子のSP値が、10.0~20.0((cal/cm3)0.5)であることが好ましい。理由は定かではないが、樹脂粒子のSP値が、10.0~20.0((cal/cm3)0.5)であることにより、保存安定性が高まる。
前記樹脂粒子のSP値の算出方法としては、前記水溶性有機溶剤におけるSP値の算出方法とは異なり、濁点滴定法により、下記のK.W.SUH、J.M.CORBETTの式を用いて算出される。
樹脂粒子のSP値={(Vml)1/2×δH+(Vmh)1/2×δD}/{(Vml)1/2+(Vmh)1/2
ここで、Vml、Vmh、δH及びδDは、測定温度20℃において、樹脂粒子0.5g(固形分)をアセトン10mLに溶解した中に、n-ヘキサンを加えたときの濁点における滴定量H(mL)と、測定温度20℃において、樹脂0.5g(固形分)をアセトン10mLに溶解した中に、脱イオン水を加えたときの濁点における滴定量D(mL)とを、下記式に適用することにより算出される値である。
Vml=74.4×130.3/{(1-V)×130.3+V×74.4}
Vmh=74.4×18/{(1-V)×18+V×74.4}
=H/(10+H)
=D/(10+D)
δH=9.75×10/(10+H)+7.24×H/(10+H)
δD=9.75×10/(10+D)+23.43×D/(10+D)
なお、各溶剤の分子容(mL/mol)は、アセトン:74.4、n-ヘキサン:130.3、脱イオン水:18であり、各溶剤のSP値は、アセトン:9.75、n-ヘキサン:7.24、脱イオン水:23.43である。また、得られた樹脂のSP値の単位は(cal/cm1/2である。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、例中の「%」は「質量%」である。また、特に記載が無い場合、調製、評価等は、25℃、相対湿度60%の条件下で行った。また、実施例1~3とあるのは、本発明に含まれない参考例1~3とする。
[自己分散顔料]
<共重合体Aの合成>
攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えたフラスコに、エタノール500gと、1-メタクリロキシエタン-1,1-ジホスホン酸30g、ダイアセトンアクリルアミド10g、1-ビニルナフタレン60g、アゾビスイソブチロニトリル4gを仕込み、65℃に昇温した。次いで、窒素気流化で10時間重合反応させた後、反応系から仕込んだ溶媒の半量程度を留去し、アセトン中に混合物を注入して共重合体を析出させ、更に乾燥して共重合体を得た。
得られた共重合体を水で希釈しながら、100%酸中和を達成できるように、水酸化ナトリウムを加え、固形物濃度が10%になるように水で濃度調整した。このようにして、ホスホン酸基が100%中和された共重合体Aを合成した。
上記と同製法で、水酸化ナトリウムをトリエタノールアミンに変更して得られた固形物濃度10%のものを共重合体Bとした。
上記と同製法で、水酸化ナトリウムを水酸化カリウムに変更して得られた固形物濃度10%のものを共重合体Cとした。
<顔料分散体の調製>
下記処方の材料をプレミックスし、混合スラリーを作成した。これをディスクタイプのメディアミル(アシザワファインテック社製 DMR型)により、0.05mmジルコニアビーズ、充填率55%を用いて、周速10m/s、液温10℃で3分間循環分散し、次いで遠心分離機(久保田商事社製 Model-7700)で粗大粒子を遠心分離し、顔料濃度15%の顔料分散体Aを得た。
・カーボンブラック(Degussa社製 NIPEX160) 150g
・共重合体A 50g
・蒸留水 800g
上記と同製法で共重合体Aを共重合体Bに変更して得られた顔料濃度15%のものを顔料分散体Bとした。
上記と同製法で共重合体Aを共重合体Cに変更して得られた顔料濃度15%のものを顔料分散体Cとした。
顔料分散体D
製品名「CAB-O-JET200」(キャボット社製)に水を添加して顔料の含有量を10.0%に調整したものを顔料分散体Dとした。この商品名「CAB-O-JET200」は、カウンターイオンがナトリウムであり、ベンゼンスルホン酸基が顔料(カーボンブラック)の粒子表面に結合した自己分散顔料である。
顔料分散体E
製品名「CAB-O-JET300」(キャボット社製)に水を添加して顔料の含有量を15.0%に調整したものを顔料分散体Dとした。この商品名「CAB-O-JET300」は、カウンターイオンがナトリウムであり、カルボン酸基が顔料(カーボンブラック)の粒子表面に結合した自己分散顔料である。
<スチレンアクリル樹脂で覆われた樹脂被覆顔料分散体の調製>
スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12g、ポリエチレングリコールメタクリレート4g、スチレンマクロマー4g、及びメルカプトエタノール0.4gをフラスコ内で混合し、65℃に昇温した。次いで、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.2g、ヒドロキシエチルメタクリレート60g、スチレンマクロマー36g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、固形分濃度50%のポリマー溶液を800g得た。
次いで、ポリマー溶液25g、カーボンブラック(Cabot Corporation社製 Black Pearls 1000)50g、1mol/lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及び水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルで混練した。得られたペーストを純水200gに入れて十分に攪拌した後、エバポレータでメチルエチルケトンを除去し、平均孔径5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧ろ過した後、固形分濃度が20%になるように水分量を調整し、固形分濃度20%のスチレンアクリル樹脂で覆われた樹脂被覆顔料分散体Fを得た。
<インクの調製>
表1の実施例及び比較例の各欄に示す水溶性有機溶媒、浸透剤、pH調整剤、抗菌剤、界面活性剤及び水を1時間攪拌し均一に混合した。次に抑泡剤を加えて更に1時間攪拌し均一に混合した。その後、顔料分散体A~F、樹脂粒子A~Cを加えて更に1時間攪拌し均一に混合した。この混合物を平均孔径0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子やゴミを除去して、実施例及び比較例の各インクを得た。
<有機溶剤>
有機溶剤A(阪本薬品社製 グリセリン)
※SP値=17.4(cal/cm30.5
有機溶剤B(川原油化社製 1,3-プロパンジオール)
※SP値=15.5(cal/cm30.5
有機溶剤C(東京化成工業社製 1,2-ブタンジオール)
※SP値=13.1(cal/cm30.5
<水溶性樹脂>
ポリエーテルウレタン樹脂粒子A(三井化学社製 タケラック W5661)
樹脂SP値=11.1((cal/cm1/2
ポリエーテルウレタン樹脂粒子B(三井化学社製 タケラック W932)
樹脂SP値=19.1((cal/cm1/2
ウレタン樹脂粒子C(中央理化工業社製 SU100N)
樹脂SP値=9.6 ((cal/cm1/2
<界面活性剤>
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王株式会社 エマルゲン1108、構造式1において、m=12、n=11の化合物)
シリコーン系界面活性剤(信越シリコーン社製 KF-640)
<その他>
浸透剤(東京化成工業社製EHD)
抑泡剤(信越化学工業社製KM-72F)
pH調整剤(AEPD(2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール))
抗菌剤(ロンザジャパン社製Proxel GXL)
<画像の濃度評価試験>
作製したインクをリコー社製インクジェットプリンターIPSiO GX e5500に充填し、記録密度600×600dpi、ワンパスで、35mm×35mmべた画像の印字を行った。
印刷試験用紙は普通紙:MyPaper(A4、リコー社製)を使用し、印字乾燥後、画像濃度を分光測色濃度計X-Rite938(XRite社製)で測定し、下記基準に基づき評価した。なお、△までが許容範囲である。
〔評価基準〕
◎:1.20以上
○:1.15以上、1.20未満
△:1.10以上、1.15未満
×:1.10未満
<インクの保存安定性試験>
作製したインクを20mLのガラス瓶に入れ70℃で3週間保存し、増粘の状態を、下記基準により評価した。粘度の変化率が評価基準〇以上であれば実使用可能なレベルである。
[評価基準]
◎:保存前後の粘度変化率が±5%以内である。
〇:保存前後の粘度変化率が5%を超え、10%以内である。
×:保存前後の粘度変化率が10%を超えている。
インクの粘度は、粘度計(RE-550L、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定した。
<定着性試験>
作製したインクをクロックメータCM-1型によりJISL 0803 綿3号と接触させ、5回摺り合わせた後、綿布に付着したインクを分光測色濃度計(エックスライト社製Model-938)で測色し、初期の綿布の色に対する色濃度により、下記の基準で評価した。なお、△までが許容範囲である。
[評価基準]
◎:綿布の濃度増加が0.05未満
〇:綿布の濃度増加が0.05超~0.10以下
△:綿布の濃度増加が0.10超~0.15以下
×:綿布の濃度増加が0.15超
<吐出安定性の測定方法>
作製したインクを画像形成装置(リコー社製 IPSiO GXe5500改造機)にインク循環機構を有するインク吐出ヘッドを搭載して評価を実施した。インク収容部にインクを充填し、温度:35℃、湿度:30%Rhの環境下にて24時間放置した。放置中は1時間に1回、2分間循環を動作させた。
放置後、印字前の1分間循環機構を動作させた。温度:35℃、湿度:30%Rhの環境下にて、記録媒体(リコー社製 My Paper)上にノズルチェックパターンを印刷して、全ノズル320に対してインクが吐出された吐出ノズル数を確認し、以下の基準で評価を実施した。判定が△以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
◎:ノズル抜けが生じたノズル数 : 0個
○:ノズル抜けが生じたノズル数 : 1個以上2個以下
△:ノズル抜けが生じたノズル数 : 3個以上5個以下
×:ノズル抜けが生じたノズル数 : 6個以上
結果を表1に示す。
Figure 0007415694000004
表1の結果から、実施例の各インクは、画像濃度および保存安定性を両立するものであり、定着性および吐出安定性も実用上十分な結果を示した。
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2011-122072号公報

Claims (6)

  1. ホスホン酸基を含む黒顔料と、スチレンアクリル樹脂で覆われた樹脂被覆顔料と、水とを含有するインクであって、
    前記インクは更にポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、
    前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、下記構造式1に記載の化合物であることを特徴とするインク。
    Figure 0007415694000005
    (構造式1中、mは12~15であり、nは8~12である。)
  2. 前記ホスホン酸基を含む黒顔料のカウンターイオンが、ナトリウムまたはトリエタノールアミンであることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  3. 前記ホスホン酸基を含む黒顔料は、スチレンアクリル樹脂で覆われていない黒顔料であり、
    前記スチレンアクリル樹脂で覆われていない顔料と、前記スチレンアクリル樹脂で覆われた樹脂被覆顔料との比(質量比)が、前者:後者として、25:75~75:25であることを特徴とする請求項1または2に記載のインク。
  4. 前記インクは、樹脂粒子を含み、前記樹脂粒子のSP値が、10.0~20.0((cal/cm3)0.5)であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のインク。
  5. 前記インクは、水溶性有機溶剤を含み、前記水溶性有機溶剤のSP値が、15.0((cal/cm3)0.5)以上であることを特徴とする1~のいずれかに記載のインク。
  6. 前記水溶性有機溶剤が、1,3-プロパンジオールおよびグリセリンを含むことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のインク。
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