JP7415163B2 - 樹脂製歯車用組成物及びその射出成形物である樹脂製歯車 - Google Patents

樹脂製歯車用組成物及びその射出成形物である樹脂製歯車 Download PDF

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本発明は、樹脂製歯車用組成物及びその射出成形物である樹脂製歯車に関するものである。
従来、樹脂製歯車は、軽量、耐腐食性、低騒音性等の特性を有することから、自動車、電子電気機器、産業機械等の分野で広く利用されている。しかし、樹脂製歯車は、金属製歯車に比べて、機械的強度、耐摩耗性、耐熱性等の点で十分とはいえない。
この改善策として、樹脂製歯車の樹脂成分として、芳香族ポリエーテルケトン樹脂を用いた樹脂製歯車が提案されている(特許文献1、2)。
特許文献1には、熱可塑性ポリエ-テル芳香族ケトン60~90wt%、引張弾性率220~260GPa、引張強度2000~4000MPaを有するピッチ系炭素繊維10~40wt%からなる樹脂組成物を成形した樹脂製歯車が記載されている。このような樹脂製歯車により、高温、高負荷の用途に適し、かつ耐摩耗性にも優れた歯車を提供するという課題が解決されるとされている。
特許文献2には、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及び特定のフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物から形成され、樹脂(I)と(II)の溶融粘度比(1)/(II)が0.3~5.0である樹脂製歯車が記載されている。このような樹脂製歯車により、優れた摩擦摩耗特性及び耐衝撃性を有する歯車を提供することができるとされている。
特開平5-172212号公報 国際公開第2013/88966号
ところで、近年、産業用ロボットの分野では、各種の製造工程で人間と同じ作業スペースで安全柵などで囲うことなく稼働し、人間と直接的に協働することが可能で小型の所謂協働ロボットへの需要が高まっている。また、小型で、軽負荷作業をすることができるロボットや人間の作業負荷を低減する所謂ロボットスーツは、食品、化粧品、医療、介護等の各種のサービス産業や第一次産業等において利用の拡大が見込まれている。
このような協働ロボットにおいては、そのアームの関節部には、アーム自体の質量、作動の加速度及びアームで把持等しているワークの質量が作用し、高い負荷がかかる。そのため、アームの関節部に設けられている減速機に使用する歯車には高負荷運転条件での耐久性が求められる。このような減速機に金属製歯車を使用すると高負荷時の耐久性は高くなるが、重量がかさむ。また、金属歯車同士の噛み合わせでは、摩擦が高くなり摩耗の進行を招き易い。これを防ぐために歯面のグリース潤滑が前提となりメンテナンスコストや汚染が問題となる。また、減速機が重くなると、協働ロボット自体の重量が高くなって、動力源であるモーターおよび作動停止のためのブレーキに高い能力を有するものが必要となるほか、ロボットが扱うワークの重量限界が低くなったり、ロボット自体の移動・据え付けにも問題が生じたりする。前述の小型のロボットやロボットスーツについても同様のことがいえる。そのため、協働ロボット等で使用される減速機の歯車では、高負荷における疲労破壊の限界が高く、摩耗が少なく耐久性の高い樹脂製歯車が求められる。
しかしながら、特許文献1及び2に記載の従来技術でも、このような要求に対応できていないのが現状である。
そこで、本発明の目的は、軽量かつ高負荷時における優れた耐久性を有する樹脂製歯車を射出成形により良好な寸法精度で成形可能な樹脂製歯車用組成物を提供することにある。また、そのような特性を有する射出成形物である樹脂製歯車を提供することにある。
本発明者らは、前述の課題解決のために鋭意検討を行った。その結果、ベース樹脂として、溶融粘度の異なる2種以上のポリエーテルエーテルケトン樹脂を用い、これと、特定の固体潤滑剤及び特定の有機繊維を用いて樹脂組成物を形成することで、前述の課題を解決可能であることを見出した。
本発明の第一は、溶融粘度の異なる2種以上のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、フッ素樹脂系固体潤滑剤及びアラミド繊維を含有する樹脂製歯車用組成物に関する。
本発明の実施形態では、前記樹脂製歯車用組成物中に、前記PEEK樹脂を合計で60~95質量%、フッ素樹脂系固体潤滑剤を1~28質量%、アラミド繊維を1~18質量%含有してもよい。
本発明の実施形態では、前記フッ素樹脂系固体潤滑剤が、ポリテトラフルオロエチレンの粉体であってもよい。
本発明の実施形態では、前記アラミド繊維がパラ系アラミド樹脂製の繊維であってもよい。
本発明の実施形態では、前記溶融粘度の異なる2種以上のPEEK樹脂が、400℃における溶融粘度が400Pa・sより高いPEEK樹脂、及び、400℃における溶融粘度が400Pa・s以下のPEEK樹脂を含んでもよい。
本発明の第二は、前述の樹脂製歯車用組成物の射出成形物である樹脂製歯車、或いは、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂系固体潤滑剤及びアラミド繊維を含有する射出成形物であり、JIS B1759に準拠して測定した、歯元曲げ応力が50MPaにおける歯車総回転数が、1×10回以上である、樹脂製歯車に関する。
本発明の第三は、前述の樹脂製歯車を含む減速機に関する。
本発明の第四は、前述の減速機を備える協働ロボットに関する。
本発明によると、軽量かつ高負荷時における優れた耐久性を有する樹脂製歯車を射出成形により良好な寸法精度で成形可能な樹脂製歯車用組成物を提供することができる。また、そのような特性を有する射出成形物である樹脂製歯車を提供することができる。
実施例及び比較例の歯車負荷特性寿命評価試験において用いた動力吸収式動的歯車試験機の概要を模式的に示した説明図である。
本発明の実施形態に係る樹脂製歯車用組成物は、溶融粘度の異なる2種以上のポリエーテルエーテルケトン(以下、「PEEK」と標記する。)樹脂、フッ素樹脂系固体潤滑剤及びアラミド繊維を含有する。
このように、ベース樹脂を構成する樹脂として、溶融粘度の異なるPEEK樹脂を2種以上組み合わせることで、射出成形時の流動性を確保するとともに、高負荷時の耐久性をも確保することを可能にしている。また、このようなベース樹脂に対して耐熱性に優れる有機繊維であるアラミド繊維を含有させることで、無機繊維に比べて相手攻撃性を大幅に低減するとともに、PEEK樹脂のガラス転移温度を超えた際に生じる機械的強度の低下を抑制して金型温度の高い射出成形であっても短い冷却時間での離型を可能にしている。さらに、ベース樹脂に対してフッ素樹脂系の固体潤滑剤を含有させることで、歯車の歯面に局所的に作用する大きな負荷に起因する摩擦力を低減することが可能になる。そして、これらの各成分の相乗効果により、良好な寸法精度で射出成形が可能であるとともに、金属製歯車で想定されるのと同等の高負荷条件において金属製歯車と遜色ないレベルの優れた耐久性を付与可能となる。
ベース樹脂を構成するPEEK樹脂は、溶融粘度が異なる2種以上を組み合わせたものである。この組み合わせは、射出成形性、高負荷時の耐久性等を考慮して決定することができる。組み合わせに適用する所定の溶融粘度を有するPEEK樹脂としては、例えば、単独のPEEK樹脂の400℃における固有の溶融粘度が、(a)400Pa・sより大きく600Pa・s以下のもの(以下、「PEEK-A樹脂」と称する。)、(b)300Pa・s以上400Pa・s以下のもの(以下、「PEEK-B樹脂」と称する。)、(c)300Pa・s未満のもの(以下、「PEEK-C樹脂」と称する。)等を挙げることができる。このうち、高負荷時の耐久性の観点からは、例えば、400℃における固有の溶融粘度が400Pa・sより高いPEEK樹脂、及び、400℃における固有の溶融粘度が400Pa・s以下のPEEK樹脂を含むものが好ましい。このような組み合わせに用いるPEEK樹脂は少なくとも2種含まれていればよいが、PEEK-A樹脂とPEEK-B樹脂とを組み合わせたものがより好ましい。この2種の組み合わせの場合は、得られる樹脂製歯車の耐久性を金属製歯車と同等レベルにまで向上させることも可能である。また、2種以上のPEEK樹脂の混合比は、射出成形性、高負荷時の耐久性を考慮して決定することができる。例えば、高負荷時の耐久性の観点からは、PEEK-A樹脂の配合比がPEEK樹脂全体中51質量%以上であるのが好ましい。また、射出成形性の観点からは、PEEK-A樹脂の配合比がPEEK樹脂全体中85質量%以下であるのが好ましい。したがって、PEEK-A樹脂とPEEK-B樹脂を用いる場合は、射出成形性、高負荷時の耐久性の観点から、両者の質量比(PEEK-A樹脂/PEEK-B樹脂)は、51/49~85/15が好ましく、53/47~83/17がより好ましい。
各PEEK樹脂の溶融粘度は、ISO 11443に準拠して、測定温度を400℃としてキャピラリレオメータにより測定することができる。
樹脂製歯車用組成物中のPEEK樹脂の含有量は、高負荷時の耐久性、射出成形性の観点から、合計で60~95質量%であるのが好ましい。
アラミド繊維は、パラ系、メタ系の何れでもよい。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタラミドを基本骨格とする繊維、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミドを基本骨格とする繊維が挙げられる。メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンテレフタラミドを基本骨格とする繊維等が挙げられる。このうち、PEEK樹脂の射出成形温度〈400℃〉における熱安定性の観点から、パラ系アラミド繊維が好ましい。
アラミド繊維は、市販のものを用いることができる。ポリパラフェニレンテレフタラミド製繊維としては、例えば、帝人株式会社製のトワロン(登録商標)、東レ・デュポン社製のケブラー(登録商標)等が挙げられる。コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド製繊維としては、例えば、帝人株式会社製のテクノーラ(登録商標)などが挙げられる。ポリメタフェニレンテレフタラミド製繊維としては、例えば、帝人株式会社製のコーネックス(登録商標)等が挙げられる。
アラミド繊維の形態は、特に限定はなく、長繊維でもよいし、短繊維でもよく、断面形状も特に限定はない。PEEK樹脂への均一な分散性の観点から、カットファイバー(短繊維)等が好ましい。カットファイバーの長さは、剛性、強度、分散性を考慮して適宜決定可能である。例えば、0.1~6mmとすることができる。また、アラミド繊維の繊度は、剛性、強度、分散性を考慮して適宜決定可能である。例えば、1.25~10デニール(D)とすることができる。
樹脂製歯車用組成物中のアラミド繊維の含有量は、射出成形性、剛性、強度の観点から、1~18質量%であるのが好ましい。
尚、繊維成分として、無機繊維は含まないのが好ましい。無機繊維として多用される、カーボン繊維、ガラス繊維、金属繊維等のような無機繊維は繊維の硬度が高いため、歯車の表面から露出した無機繊維の端部や、継続的使用の結果生じた摩耗粉中の無機繊維が相手材を攻撃して、歯車の摩耗を促進する。その結果、歯車及びそれを含む機械装置の寿命を低下させることになり、好ましくない。
フッ素樹脂系固体潤滑剤としては、フッ素樹脂製の固体で構成されたものであれば、特に限定はない。このような固体潤滑剤を構成するフッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等のフッ素含有モノマーの単独又は共重合体や、前記フッ素含有モノマーとエチレン、プロピレン、(メタ)アクリレート等の共重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。これらのフッ素樹脂は1種又は2種以上混合して使用できる。またフッ素樹脂を混合して使用する場合は、各フッ素樹脂の固体潤滑剤を組み合わせて使用してもよいし、樹脂成分としてフッ素樹脂の混合物を用いたものでもよい。このようなフッ素樹脂のうち、摩擦特性、摩耗特性、耐熱性の観点から、PTFEが特に好ましい。
フッ素樹脂系固体潤滑剤の形態は特に限定はなく、粉末状、顆粒状等いずれでもよいが、均質な特性を付与する観点からは粉末状が好ましい。また、そのメジアン(D50)径は、例えば、0.5~100μmとすることができる。
樹脂製歯車用組成物中のフッ素樹脂系固体潤滑剤の含量は、耐久性、射出成形性の観点から、1~25質量%であるのが好ましい。
実施形態に係る樹脂製歯車用組成物には、必要に応じて、他の添加剤を含有させることが可能である。このような添加剤としては、例えば、顔料、離型剤、結晶核剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤等が挙げられる。
このような樹脂製歯車用組成物の分析において、各成分が有機溶剤には不溶であり、有機溶剤を使用する分析法(各種クロマトグラフなど)を適用することが困難である。そのため、簡易手法としては、樹脂製歯車用組成物からなる射出成形物の断面を平滑に研磨し、顕微赤外分光分析(顕微IR)により各成分を定性的に分析し、さらに電子顕微鏡による観察画像から各成分の面積比を算出し、組成比を求めることができる。また、樹脂製歯車用成形物に含まれる溶融粘度の異なる2種以上のPEEK樹脂については、樹脂製歯車用成形物の示差走査熱量分析(DSC)測定において、そのDSC曲線にPEEK樹脂の溶融粘度に応じた複数の結晶化温度ピークが現れ、予め各樹脂の溶融粘度および配合比に応じて作成した検量線と照合することで、定性的、定量的に判定することができる。
樹脂製歯車用組成物は、前述のような成分を従来公知の方法により混練することで得ることができる。混合時の順番は特に限定はないが、各成分の融点、PEEK樹脂の均質な混合の観点から、2種以上のPEEK樹脂を予め溶融混練した後に、他の成分を添加するのが好ましい。また、2種以上のPEEK樹脂および他の成分を予めミキサーで混合した後に、溶融混練してもよい。樹脂製歯車用組成物の形態も特に限定はなく、例えば、ペレット状、フレーク状、顆粒状等の形状にすることができる。
また、樹脂製歯車用組成物は、溶融粘度の異なる2種以上のPEEK樹脂を含むことで、フッ素樹脂系固体潤滑剤及びアラミド繊維等の影響を考慮したうえで、溶融時の流動性が確保されているため、射出成形金型の歯車を構成するキャビティの歯先部分へ溶融樹脂組成物を十分に充填させることが可能である。そのため、高負荷時の耐久性及び寸法精度に優れた各種の樹脂製歯車を提供可能としている。
本発明の実施形態に係る樹脂製歯車は、例えば前述のような樹脂製歯車用組成物を射出成形することで得られる射出成形物である。そのため、軽量で、高負荷時の耐久性に優れ、寸法精度が良好である。また、射出成形による大量生産が可能なため、金属製歯車に比べて安価に提供可能である。
さらに、このような樹脂製歯車は、表1に示すLewisの式を用いて算出した歯元曲げ応力が50MPaにおける歯車が破壊するまでの総回転数が、1×10回以上とすることができる。このように、高負荷時の耐久性が高いため、歯車に要求される負荷に応じて決定される歯車の歯幅(歯車の厚み)を薄くすることができる。そのため、樹脂製であることによる軽量化に加えて、歯車の軽量化、小型化をより一層図ることができる。ひいては、歯車を用いた装置の軽量化、小型化を図ることもできる。
前述のような樹脂製歯車用組成物を射出成形することで得られる樹脂製歯車は、換言すると、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂系固体潤滑剤及びアラミド繊維を含有する射出成形物であり、JIS B1759に準拠して測定した、歯元曲げ応力が50MPaにおける歯車総回転数が、1×10回以上である樹脂製歯車ということができる。
本発明の実施形態に係る樹脂製歯車は、各種の歯車に適用可能である。このような歯車としては、例えば、平歯車、内歯車、はすば歯車、はすば内歯車、やまば歯車、すぐばかさ歯車、まがりばかさ歯車、ゼロールかさ歯車、円筒ウォームギヤ、ねじ歯車、フェースギヤ、鼓形ウォームギヤ、ハイポイドギヤ等が挙げられる。
また、本発明の実施形態に係る樹脂製歯車は、自動車、電子電気機器、産業機械等の各種の分野の各種装置に適用可能であるが、減速機、中でもロボットなどの関節部に用いられる減速機への適用が好適である。これにより、減速機ユニットの軽量化が可能である。さらに、高負荷運転条件における優れた耐久性を減速機ユニットに付与可能である。また、このような減速機は、産業用ロボット、特に、協働ロボットやロボットスーツ等への適用が好適である。これにより、多くの減速機の使用が必要となる協働ロボット等において、金属歯車を用いた場合と同等レベルの高負荷耐久性を確保すると同時に、協働ロボットの軽量化を図ることが可能である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。
(評価)
<小型歯車成形性>
後述する実施例1~6及び比較例1~5において、樹脂製歯車の成形が可能であったか否かを目視により確認した。所望の歯車の形状に射出成形可能であったものを「○」、成形不能であったものを「×」とした。評価結果を表2、3に示す。
<比重>
後述する実施例1~6及び比較例4において得られたペレット、比較例1~3、5の樹脂及び比較例6の金属の比重を、水中置換法により測定した。測定結果を表2、3に示す。
<歯車負荷特性寿命評価試験>
JIS B1759に準拠して、実施例及び比較例で得られた樹脂製歯車(インボリュート歯車、モジュール1.0、圧力角20°、歯数30、歯幅8mm)を用いて歯車負荷特性寿命評価試験を行った。図1に示す動力吸収式動的歯車試験機(スターライト工業株式会社製)を用いて、表1に示す測定条件で一定の負荷(歯元曲げ応力)を与えて同種歯車を噛合せ、無潤滑条件では歯元曲げ応力50MPa、及びグリース潤滑条件では歯元曲げ応力70MPaに設定し、試験開始後、歯車の破壊または歯面の摩耗により回転が停止するまでの歯車総回転数を求めた。測定結果を表2及び表3に示す。
この試験では、動力吸収式動的歯車試験機のパウダークラッチによる回転抵抗により負荷(歯元曲げ応力)をかけている。また、歯元曲げ応力の算出には、ポリプラスチックス株式会社発行の製品カタログ「DURACON歯車」(2006年9月刊)、第8頁に記載のルイスの式を用いた。グリース潤滑は、歯車噛合せ部(歯面)にリチウム系グリース(モリコート EM-50L、東レ・ダウコーニング株式会社製)を試験開始前に初期塗布して行った。
Figure 0007415163000001
(実施例1~6)
PEEK-A1樹脂(400℃における溶融粘度:430~530Pa・s、顆粒状)、PEEK-B1樹脂(400℃における溶融粘度:300~400Pa・s、顆粒状)、アラミド繊維(帝人株式会社製、テクノーラ、長さ1mmのカットファイバー、2デニール)、フッ素樹脂系固体潤滑剤(PTFE粉体、D50:14±2μm)を表2に示す配合比で、ヘンシェルミキサ(株式会社三井三池製作所製、FM-20C)を用いて混合後、二軸混練押出機(東芝機械株式会社製、TEM-35B)を用いて射出成形用ペレット(樹脂製歯車用組成物)を作製した。得られたペレットを用いて、前述の試験用樹脂製歯車を射出成形して作製し、評価を行った。
Figure 0007415163000002
(比較例1~3、5)
表3に示す樹脂を用いて後述する試験用樹脂製歯車を作製し、評価を行った。しかし、比較例1は溶融粘度が高く射出成形が不可能であった。そのため、歯車負荷特性寿命評価試験は行わなかった。
(比較例4)
PEEK-C1樹脂(400℃における溶融粘度:130Pa・s、ペレット状)アラミド繊維(帝人株式会社製、テクノーラ、長さ3mmのカットファイバー、2デニール)、フッ素樹脂系固体潤滑剤(PTFE粉体)を表3に示す配合比で混合した以外は、実施例1と同様にして射出成形用ペレット(樹脂製歯車用組成物)を作製した。得られたペレットを用いて、前述の試験用樹脂製歯車を作製しようとしたが、溶融粘度が高く射出成形が不可能であった。そのため、歯車負荷特性寿命評価試験は行わなかった。
(比較例6)
表3に示す焼結金属の市販の鉄系焼結金属歯車(モジュール:1.0、歯数:30、歯幅8mm)を用い、評価を行った。無潤滑では試験開始直後にモーターの負荷能力を超えて停止し、試験不可能であった。
Figure 0007415163000003
表2に示すように、溶融粘度の異なる2種以上のPEEK樹脂を用いることで、小型の歯車であっても、射出成形により成形体が得られることが分かる。また、得られた樹脂製歯車は、金属製の歯車に比べて比重が小さく軽量であり、高負荷時であっても総回転数が大きく、耐久性に優れることが分かる。特に、比較例6(金属製歯車)との対比では、いずれの実施例も総回転数が大きく、焼結金属製歯車と同等レベルの耐久性を有することが分かる。

Claims (7)

  1. 溶融粘度の異なる2種以上のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、フッ素樹脂系固体潤滑剤及びアラミド繊維を含有し、
    前記溶融粘度の異なる2種以上のPEEK樹脂が、400℃における固有の溶融粘度が400Pa・sより大きく600Pa・s以下のPEEK樹脂と、400℃における固有の溶融粘度が300Pa・s以上400Pa・s以下のPEEK樹脂とを組み合わせたものである樹脂製歯車用組成物。
  2. 前記樹脂製歯車用組成物中に、前記PEEK樹脂を合計で60~95質量%、フッ素樹脂系固体潤滑剤を1~28質量%、アラミド繊維を1~18質量%含有する請求項1記載の樹脂製歯車用組成物。
  3. 前記フッ素樹脂系固体潤滑剤が、ポリテトラフルオロエチレンの粉体である請求項1又は2に記載の樹脂製歯車用組成物。
  4. 前記アラミド繊維がパラ系アラミド樹脂製の繊維である請求項1~3の何れか一項に記載の樹脂製歯車用組成物。
  5. 請求項1~の何れか一項に記載の樹脂製歯車用組成物の射出成形物である樹脂製歯車。
  6. 請求項に記載の樹脂製歯車を含む減速機。
  7. 請求項に記載の減速機を備える協働ロボット。
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